JP4843827B2 - 膵臓β細胞の再生促進剤及び膵臓β細胞におけるインスリン産生促進剤 - Google Patents

膵臓β細胞の再生促進剤及び膵臓β細胞におけるインスリン産生促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、インスリンを産生する膵臓β細胞の新生又は再生を促進する医薬に関するものである。また、本発明は、膵臓β細胞の新生又は再生を促進することにより高血糖の抑制又は治療する方法に関するものである。
糖尿病は高血糖症とも称され、インスリンの分泌不足又はその標的細胞側の感受性低下などに基づく糖代謝を中心とした代謝異常であり、高血糖をきたすことが大きな特徴である。高血糖が長期間持続すると、血管障害を主要因として網膜症、腎症、神経障害など種々の臓器や神経に深刻な合併症が生じる。従って、現在の糖尿病の治療では血糖値をコントロールして正常値に維持することが極めて重要であり、そのための手段が以前から研究されている。
糖尿病(高血糖症)の判断には、ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖75g経口負荷)による判定が用いられる。当該判定では空腹時に採血して血中のインスリン及び血糖の値を測定し、次にブドウ糖75gを溶かした水を摂取後、一定時間後に採血して血中のインスリン及び血糖の値を測定し、「血中インスリンの負荷後30分の値と負荷前の値との差」(ΔIRI)を「血糖値の負荷後30分の値と負荷前の値との差」(ΔBG)で割った値(ΔIRI/ΔBG)が0.4以下の場合に重篤な高血糖症へと悪化する危険が高いと判定される。
糖尿病は主に1型糖尿病と2型糖尿病に分類される。1型糖尿病は、膵臓β細胞が衰弱又は死滅することによりインスリンが分泌されないか又は極めて分泌が少ないことに起因してインスリン分泌が欠乏し、インスリン分泌の絶対的不足により発症する。その原因は、ウイルス感染及び当該感染に起因する自己免疫異常によるものと考えられている。また、2型糖尿病は、膵臓β細胞からのインスリン分泌が低下することに起因して発症する場合(インスリンの量的不足)、又は糖を取り込む側の細胞におけるインスリン作用の減弱に起因し(インスリン抵抗性)、インスリン抵抗性が増大すると相対的なインスリンの量的不足状態に陥り、血糖値が上がり始めることにより発症する場合がある。後者の場合、相対的なインスリンの量的不足状態を補うように膵臓β細胞からのインスリンの分泌が過剰となり、インスリンの過剰分泌が限界に達して長時間持続すると、やがて膵臓β細胞が疲弊して当該細胞からのインスリン分泌が低下してくる。
従って、糖尿病(高血糖症)に係る根本的原因は膵臓β細胞の不足及び当該細胞におけるインスリンの産生低下又は分泌不足によるものと考えられる。
現在、血糖値の改善のために、インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア系薬剤、チアゾリジンジオン系薬剤等が使われているが、現在使用されている血糖降下剤は副作用などの点で未だ満足すべきものとは言えない。更に、これらの薬剤は血糖値を下げることを目的として開発された薬剤であり、血糖値のコントロールという対症療法は可能であるものの、上記したように糖尿病に係る根本的原因である膵臓β細胞自体の不足および当該細胞におけるインスリンの産生低下又は分泌不足を改善する根治療法という観点からも未だ満足すべきものとは言えない状況である。
以上のような観点から、高血糖の抑制又は治療のために、膵臓β細胞を新生又は再生したり、膵臓β細胞の疲弊や死滅を抑制したり、さらには膵臓β細胞におけるインスリンの産生を促進したりすることができる薬剤の開発が切望されている。
一方、グレリン(Ghrelin)は1999年にラットの胃より発見されたホルモンであり、N末端から3番目のアミノ酸が脂肪酸でアシル化された極めて珍しい化学構造を有するペプチドである(Nature, 402, pp.656-660, 1999)。グレリンは下垂体からの成長ホルモンの分泌を刺激する作用を有することが明らかにされており、最近の研究では、摂食を刺激したり、あるいは脂肪を蓄積して体重を増加させ、心機能を改善するなどの作用を有することも明らかにされている(Nature, 409, pp.194-198, 2001; Endocr. Rev., 25, pp.656-660, 2004; Front Neuroendocrinol., 25, pp.27-68, 2004)。
グレリンは成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R)に対する内因性成長ホルモン分泌促進因子(GHS)として、ラットから単離精製された後、ラット以外の脊椎動物、例えばヒト、マウス、ブタ、ニワトリ、ウナギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、カエル、ニジマス、イヌからも、類似した一次構造を有するグレリンのアミノ酸配列が知られている。
ヒト(Human):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号1)
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQRVQRKESKKPPAKLQPR(配列番号2)
ラット(Rat):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号3)
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQRKESKKPPAKLQPR(配列番号4)
マウス(Mouse):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号5)
ブタ(Porcine):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKVQQRKESKKPAAKLKPR(配列番号6)
ウシ(Bovine):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQRKEAKKPSGRLKPR(配列番号7)
ヒツジ(Ovine):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQRKEPKKPSGRLKPR(配列番号8)
イヌ(Canine):
GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号9)
ウナギ(Eel):
GSS(n-octanoyl)FLSPSQRPQGKDKKPPRV-NH2(配列番号10)
ニジマス(Trout):
GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQVRQGKGKPPRV-NH2(配列番号11)
GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQGKGKPPRV-NH2(配列番号12)
ニワトリ(Chicken):
GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKGTRKPTAR(配列番号13)
GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKDTRKPTAR(配列番号14)
GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKDTRKPTARLH(配列番号15)
ウシガエル(Bullfrog):
GLT(n-octanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNM(配列番号16)
GLT(n-decanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNM(配列番号16)
GLT(n-octanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNMN(配列番号17)
テラピア(Tilapia):
GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQNKVKSSRI-NH2(配列番号18)
ナマズ(Catfish):
GSS(n-octanoyl)FLSPTQKPQNRGDRKPPRV-NH2(配列番号19)
GSS(n-octanoyl)FLSPTQKPQNRGDRKPPRVG(配列番号20)
ウマ(Equine):
GSS(n-butanoyl)FLSPEHHKVQHRKESKKPPAKLKPR(配列番号21)
(上記表記において、アミノ酸残基は一文字標記により表している。)
上記ペプチドは、3位のセリン残基(S)又はスレオニン残基(T)の側鎖水酸基がオクタン酸、デカン酸などの脂肪酸によりアシル化された特異的な構造を有するペプチドであり、このような疎水性修飾構造を有する生理活性ペプチドは、グレリン以外に生体から単離された例はない。当該ペプチドは、強力な成長ホルモン分泌促進活性を有し、成長ホルモン分泌の調節に関与することが知られている(国際公開WO01/07475)。
グレリンとその受容体(GHS-R)は膵臓においても発現していることから(Endocrinology,145, pp.3813-3820, 2004; Brain Res. Mol. Brain Res., 48, pp.23-39, 1997; J. Clin. Endocrinol. Metab., 87, pp.1300-1308, 2002)、糖代謝又はインスリン分泌に関連する研究が行われ、血中のインスリン及びグルコースを調節していることが判明し、グレリンが血糖上昇作用やインスリン分泌の抑制又は促進作用を有することが報告されている(Pancreas, 27, pp.161-166, 2003; Endocrinology, 144, pp.916-921, 2003; Eur. J. Endocrinol., 146, pp.241-244, 2002; Endocrinology, 143, pp.185-190, 2002; J. Neuroendcrinol., 14, pp.555-560, 2002)。しかしながら、膵臓β細胞自体に作用して当該細胞を新生又は再生することについては何等示唆されていない。
また、国際公開WO2001/56592(並びに米国特許公開2001/0020012A1及び同2004/0063636A1)には、グレリンを含むGHS-R 1A受容体リガンドを2型糖尿病の治療のための医薬として用いることについての示唆があるが、グレリンが2型糖尿病の治療薬として使用できるのか否かについて何らの実証もなく、示唆された有用性が実際にあるか否かは当業者にとって不明である。また、国際公開WO2002/60472において肥満に対するグレリンの作用について記載があるが、糖尿病の治療に有用であることは実証されていない。
更に、膵臓β細胞とグレリンとの関連については、β細胞への分化が抑制されるとグレリン産生細胞(ε細胞)が増加して膵臓β細胞に置き換わる現象が確認されている(Proc. Natl.Acad.Sci.,101,pp.2924-2929,2004)。当該2種の細胞が同一の前駆細胞に由来する可能性及びグレリン産生細胞を用いて幹細胞等から純粋なβ細胞集団を産生させ細胞レベルで糖尿病を治療することについて将来的な可能性が示唆されているが、これらについても何らの実証がなされておらず、単なる可能性を示唆したものにすぎない。また、この刊行物には、グレリンが膵臓β細胞を新生又は再生する作用を有することや、膵臓β細胞におけるインスリン産生を促進することについては示唆も教示もない。
国際公開WO01/07475 国際公開WO2001/56592 国際公開WO2002/60472 Nature, 402, pp.656-660, 1999 Nature, 409, pp.194-198, 2001 Endocr. Rev., 25, pp.656-660, 2004 Front Neuroendocrinol., 25, pp.27-68, 2004 Endocrinology, 145, pp.3813-3820, 2004 Brain Res. Mol. Brain Res., 48, pp.23-39, 1997 J. Clin. Endocrinol. Metab., 87, pp.1300-1308, 2002 Pancreas, 27, pp.161-166, 2003 Endocrinology, 144, pp.916-921, 2003 Eur. J. Endocrinol., 146, pp.241-244, 2002 Endocrinology, 143, pp.185-190,2002 J. Neuroendcrinol., 14, pp.555-560, 2002 Proc. Natl. Acad. Sci., 101, pp.2924-2929, 2004
本発明は、インスリンを産生及び分泌する膵臓β細胞の新生又は再生を促進する方法、及び膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅したことによりインスリン分泌がされないか又は極めて少ないことに起因する高血糖、あるいは膵臓β細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖において、インスリンを産生及び分泌する膵臓β細胞の新生又は再生を促進することにより高血糖を抑制又は治療するための医薬を提供することを課題としている。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、グレリンが膵臓β細胞の新生又は再生を顕著に促進する作用を有していること、及びグレリンが膵臓β細胞におけるインスリン産生を促進する作用を有していることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
本発明は具体的には以下の事項に関する。;
項1.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、高血糖の抑制又は治療用医薬組成物、
項2.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項1に記載の医薬組成物、
項3.高血糖が、膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅したことによりインスリン分泌がされないか、若しくはインスリンが極めて少ないことに起因する高血糖、は膵臓β細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である項1又は2に記載の医薬組成物、
項4.高血糖が、膵臓β細胞が衰弱、又は死滅したことによりインスリンが分泌されないか又は極めて少ないことに起因する高血糖である項3に記載の医薬組成物、
項5.高血糖が、膵臓のβ細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である項3に記載の医薬組成物、
項6.高血糖が、ΔIRI/ΔBGの値として0.4以下である項1乃至5のいずれか1項に記載の医薬組成物、
項7.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項2乃至6のいずれか1項に記載の医薬組成物、
項8.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項7に記載の医薬組成物、
項9.ペプチドが、GHRP−2である項2乃至6のいずれか1項に記載の医薬組成物、
項10.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞の新生又は再生を促進する医薬組成物、
項11.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項10に記載の医薬組成物、
項12.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項11に記載の医薬組成物、
項13.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項12に記載の医薬組成物、
項14.ペプチドが、GHRP−2である項11に記載の医薬組成物、
項15.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞におけるインスリンの産生を促進する医薬組成物、
項16.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項15に記載の医薬組成物、
項17.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項16に記載の医薬組成物、
項18.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項17に記載の医薬組成物、
項19.ペプチドが、GHRP−2である項16に記載の医薬組成物、
項20.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、高血糖を示す個体に投与することからなる高血糖を抑制又は治療する方法、
項21.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項20に記載の方法、
項22.高血糖が、膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅したことによりインスリンが分泌されないか、若しくはインスリンが極めて少ないことに起因する高血糖、は膵臓β細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である項20又は21に記載の方法、
項23.高血糖が、膵臓β細胞が衰弱、又は死滅したことによりインスリンが分泌されないか又は極めて少ないことに起因する場合である項22に記載の医薬組成物、
項24.高血糖が、膵臓のβ細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である項22に記載の方法、
項25.高血糖が、ΔIRI/ΔBGの値として0.4以下である項20乃至24のいずれか1項に記載の方法、
項26.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項21乃至25のいずれか1項に記載の方法、
項27.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項26に記載の方法、
項28.ペプチドが、GHRP−2である項21乃至25のいずれか1項に記載の方法、
項29.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体に投与することからなる膵臓β細胞の新生又は再生を促進する方法、
項30.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項29に記載の方法
項31.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項30に記載の方法
項32.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項31に記載の方法
項33.ペプチドが、GHRP−2である項30に記載の方法、
項34.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体に投与することからなる膵臓β細胞におけるインスリンの産生を促進する方法、
項35.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項34に記載の方法
項36.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項35に記載の方法
項37.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項36に記載の方法
項38.ペプチドが、GHRP−2である項35に記載の方法、
項39.高血糖の抑制又は治療用医薬組成物を製造するための成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の使用、
項40.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が、当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項39に記載の使用
項41.高血糖が、膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅したことによりインスリン分泌がされないか若しくは極めて少ないことに起因する高血糖であるか、又は膵臓β細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である項39又は40に記載の使用、
項42.高血糖が、膵臓β細胞が衰弱又は死滅したことによりインスリン分泌がされないか又は極めて少ないことに起因する高血糖である項41に記載の使用、
項43.高血糖が、膵臓のβ細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である項41に記載の使用、
項44.高血糖が、ΔIRI/ΔBGの値として0.4以下である項39乃至43のいずれか1項に記載の使用、
項45.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸を導入した修飾アミノ酸残基であるペプチドである項40乃至44のいずれか1項に記載の使用、
項46.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項45に記載の使用、
項47.ペプチドが、GHRP−2である項40乃至44のいずれか1項に記載の使用、
項48.膵臓β細胞の新生又は再生を促進する医薬組成物を製造するための成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の使用、
項49.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項48に記載の使用
項50.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリンの側鎖の水酸基に脂肪酸を導入した修飾アミノ酸残基であるペプチドである項49に記載の使用、
項51.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリンの側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項50に記載の使用、
項52.ペプチドが、GHRP−2である項49に記載の使用、
項53.膵臓β細胞におけるインスリンの産生を促進する医薬組成物を製造するための成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の使用、
項54.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項53に記載の使用
項55.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸を導入した修飾アミノ酸残基であるペプチドである項54に記載の使用、
項56.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項55に記載の使用、
項57.ペプチドが、GHRP−2である項54に記載の使用、
項58.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体に投与することからなる膵臓β細胞の衰弱、死滅、又は疲弊を抑制する方法、
項59.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項58に記載の方法、
項60.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項59に記載の方法、
項61.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項60に記載の方法、
項62.ペプチドが、GHRP−2である項59に記載の使用、
項63.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞の衰弱、死滅、又は疲弊の抑制用医薬組成物、
項64.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項63に記載の医薬組成物、
項65.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項64に記載の医薬組成物、
項66.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項65に記載の医薬組成物、
項67.ペプチドが、GHRP−2である項64に記載の医薬組成物、
項68.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体から単離された膵臓β細胞又は膵臓β細胞の前駆細胞に作用させて膵臓β細胞を増殖させる工程を含む、膵臓β細胞再生医療用細胞製剤の製造方法、
項69.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項68に記載の方法、
項70.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項69に記載の方法、
項71.ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項70に記載の方法、
項72.ペプチドが、GHRP−2である項69に記載の方法、
項73.成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド若しくは非ペプチド性化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体から単離された膵臓β細胞又は膵臓β細胞の前駆細胞に作用させて膵臓β細胞を新生又は再生させる方法、
項74.ペプチドが、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つGHS-Rに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチドである項73に記載の方法、
項75.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである項74に記載の方法
項76.ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである項75に記載の方法
項77.ペプチドが、GHRP−2である項74に記載の方法。
生後21日目における膵臓でのインスリン解析結果を示した図である。図中、Aはインスリン遺伝子発現を示したグラフであり、B〜Dはインスリンの免疫組織染色(Bはコントロール群、Cはn0-STZ群、Dはn0-STZ/グレリン群、それぞれ倍率は×100)の結果を示し、Eはインスリン染色陽性細胞面積の定量結果を示す。A及びEにおいて、「Cont」はコントロール群、「STZ」はn0-STZ群、「STZ+G」はn0-STZ/グレリン群を示し、各群における数値は3観察例の平均値±SEを示す。また、*はP<0.001、**はP<0.01、***はP<0.005であることを示す。 生後21日目における膵臓でのpdx-1の解析結果を示した図である。図中、AはmRNA発現レベルを示し、B〜Dは免疫組織染色(Bはコントロール群、Cはn0-STZ群、Dはn0-STZ/グレリン群、それぞれ倍率は×500)の結果を示す。Aにおいて、「Cont」はコントロール群、「STZ」はn0-STZ群、「STZ+G」はn0-STZ/グレリン群を示し、各群における数値は3観察例の平均値±SEを示す。また、*はP<0.0005、**はP<0.0001であることを示す。 生後70日目におけるインスリン解析結果を示した図である。図中、Aは血中グルコース及び血中インスリン濃度の相関を示し、Bは膵臓におけるインスリン遺伝子発現を示したグラフであり、C〜Fは膵臓におけるインスリンの免疫組織染色(Cはコントロール群、Dはn0-STZ群、Eはn0-STZ/グレリン群、それぞれ倍率は×100)の結果を示し、Fはインスリン染色陽性細胞面積の定量結果を示す。B及びFにおいて、「Cont」はコントロール群、「STZ」はn0-STZ群、「STZ+G」はn0-STZ/グレリン群を示し、各群における数値は3観察例の平均値±SEを示す。また、*はP<0.001、**はP<0.05、***はP<0.01であることを示す。 生後70日目における膵臓でのpdx-1の解析結果を示した図である。図中、AはmRNA発現レベルを示し、B〜Dは免疫組織染色(Bはコントロール群、Cはn0-STZ群、Dはn0-STZ/グレリン群、それぞれ倍率は×500)の結果を示す。Aにおいて、「Cont」はコントロール群、「STZ」はn0-STZ群、「STZ+G」はn0-STZ/グレリン群を示し、各群における数値は3観察例の平均値±SEを示す。また、*はP<0.01、**はP<0.05であることを示す。 生後21日目のラットにおけるβ細胞の複製をホスホヒストンH3染色により調べた結果を示した図である。図中、Aはn0-STZ/グレリンラットにおけるホスホヒストンH3(緑)及びインスリン(赤)による免疫組織染色の結果を示し、BはホスホヒストンH3により染色されたβ細胞(1000個中)の割合(%)を示す。「Cont」はコントロール群、「STZ」はn0-STZ群、「STZ+G」はn0-STZ/グレリン群を示し、*はP<0.01であることを示す。 生後70日目のラットにおいてホスホヒストンH3で染色されたβ細胞の割合(%)を示した図である。「Cont」はコントロール群、「STZ」はn0-STZ群、「STZ+G」はn0-STZ/グレリン群を示す。 生後9週目における体重(A)、及び膵臓重量(B)を示した図である。Control, 正常対照群、8例; STZ-vehicle, STZ処置媒体(5%マンニトール溶液)投与群、9例; STZ-human ghrelin, STZ処置human ghrelin投与群、8例。各値は平均値±SE を示す。*はP<0.05、コントロール群との比較、#はP<0.05、STZ-vehicle群との比較であることを示す(Dunnettの多重比較検定)。 生後9週目における体重(A)、及び膵臓重量(B)を示した図である。Control, 正常対照群、8例; STZ-vehicle, STZ処置媒体(5%マンニトール溶液)投与群、12例; STZ-GHRP-2, STZ処置GHRP-2投与群、12例。各値は平均値 ± SE を示す。*はP<0.05; コントロール群との比較(Dunnettの多重比較検定)、 #はP<0.05; STZ-vehicle群との比較 (Student’s t-test)であることを示す。 普通食または高脂肪酸食で飼育したマウスの体重(A)、及び血糖値(B)を示した図である。Aは、高脂肪酸食飼育、及び被験物質投与42日目の午前9時ごろに測定した体重、Bは高脂肪酸食飼育、及び被験物質投与43日目の午前9時ごろに測定した血糖値を示す。ND, 普通食飼育群:HFD-vehicle, 高脂肪酸食負荷、媒体(5% マンニトール溶液)投与群: HFD-ghrelin, 高脂肪酸食負荷、ヒトグレリン 300 μg/kg投与群.被験物質は、平日は1日2回、休日は1日1回皮下投与した。各値は、8例の平均値±標準誤差を表す。*は P<0.05,ND群との比較(Dunnettの多重比較検定)であることを示す。 普通食または高脂肪食で飼育したマウスに、リノール酸を腹腔内投与したときの血漿中インスリン濃度(A)、及び血漿グルコース濃度(B)を示した図である。高脂肪酸食飼育、並びに被験物質投与開始50日後にマウスを一晩絶食した後、リノール酸 1mL/kgを腹腔内投与した。その1時間後に採血して、血漿中インスリン濃度、及び血漿中グルコース濃度を測定した。ND, 普通食飼育群:HFD-vehicle, 高脂肪酸食負荷、媒体(5% マンニトール溶液)投与群: HFD-ghrelin, 高脂肪酸食負荷、ヒトグレリン 300 μg/kg投与群.各値は、8例の平均値±SEを表す。*はP<0.05,ND群との比較(Dunnettの多重比較検定)であることを示す。
本発明の医薬はヒトを含む動物(個体)の医薬として使用できる。本発明において用いることができる物質としては、成長ホルモン分泌促進因子(growth hormone secretagogue)レセプター(GHS-R)に対するリガンドである成長ホルモン分泌促進因子(GHS)を挙げることができる。GHSとしては公知のペプチド化合物や低分子化合物を用いることができるが、特にペプチド化合物であるグレリンが望ましい。
グレリンとしては、上述したようにヒト由来グレリンをはじめ、ラット、マウス、ブタ、ウシ等その他の動物由来のグレリン及びその誘導体を用いることができる。
各々の個体に対して当該個体由来のグレリンを用いることが望ましく、例えばヒトに対してはヒト由来グレリンを用いることが望ましい。ヒト由来グレリンは28個のアミノ酸からなり、アミノ末端から3番目のセリン残基の側鎖の水酸基が脂肪酸(n−オクタノイル基)によりアシル化されたペプチドである(配列番号1)。また、グレリンの誘導体としては、例えば配列番号1に記載されたアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目のアミノ酸残基において1個又は数個のアミノ酸が置換、挿入、又は欠失したアミノ酸配列を有し、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプター(GHS-R)に結合することによって、細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチドであれば使用することができる。誘導体のアミノ酸配列としては天然型のアミノ酸配列と比較して70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、特に好ましくは95%、最も好ましくは97%の相同性を有することが望ましい。他の動物由来のグレリン(配列番号2乃至22)においても同様である。
本発明の医薬に用いるグレリン及びその誘導体は常法により得ることができる。例えば、天然の原料から単離することができるし、又は組換えDNA技術及び/又は化学的合成によって製造することができる。更にアミノ酸残基に修飾(アシル化)が必要な場合は公知の手段に従って修飾反応を施すことができる。例えば組換えDNA技術を用いた製法においては、本願発明に係るペプチドをコードするDNAを有する発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養し、当該培養物から目的のペプチドを採取することにより本発明に係るグレリン及びその誘導体を得ることもできる。当該宿主細胞を選択することにより、当該細胞内において目的のペプチドに修飾(アシル化)がされた化合物を得ることができる。また、当該ペプチドが修飾(アシル化)されていない場合は、所望により公知の手段に従ってアシル化等の修飾反応を行えばよい。
遺伝子を組み込むベクターとしては、例えば大腸菌のベクター(pBR322、pUC18、pUC19等)、枯草菌のベクター(pUB110、pTP5、pC194等)、酵母のベクター(YEp型、YRp型、YIp型)、又は動物細胞のベクター(レトロウィルス、ワクシニアウィルス等)等が挙げられるが、その他のものであっても、宿主細胞内で安定に目的遺伝子を保持できるものであれば、いずれをも用いることができる。当該ベクターは、適当な宿主細胞に導入される。
目的の遺伝子をプラスミドに組み込む方法や宿主細胞への導入方法としては、例えば、Molecular Cloninng (Sambrook et al., 1989)に記載された方法が利用できる。
上記プラスミドにおいて目的のペプチド遺伝子を発現させるために、当該遺伝子の上流にはプロモーターを機能するように接続させることができる。プロモーターとしては、目的遺伝子の発現に用いる宿主細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、形質転換する宿主細胞がEscherichia属の場合はlacプロモーター、trpプロモーター,lppプロモーター、λPLプロモーター,recAプロモーター等を用いることができ、Bacillus属の場合はSPO1プロモーター、SPO2プロモーター等を用いることができ、酵母の場合はGAPプロモーター,PHO5プロモーター、ADHプロモーター等を用いることができ、動物細胞の場合は、SV40由来プロモーター、レトロウィルス由来プロモーター等を用いることができる。
上記のようにして得られた目的遺伝子を含有するベクターを用いて宿主細胞を形質転換することができる。宿主細胞としては細菌(例えば、Escherichia属、Bacillus属等)、酵母(Saccharomyces属、Pichia属、Candida属等)、動物細胞(CHO細胞、COS細胞等)等を用いることができる。培養時の培地としては液体培地が適当であり、当該培地中には培養する形質転換細胞の生育に必要な炭素源、窒素源等が含まれることが特に好ましい。所望によりビタミン類、成長促進因子、血清などを添加することができる。
脂肪酸修飾(アシル化)ペプチドを直接製造するためには、当該ペプチドの前駆体ポリペプチドを適切な位置で切断できるプロセッシング・プロテアーゼ活性を有し、当該ペプチド中のセリン残基をアシル化できる活性を有する細胞が望ましい。このようなプロセッシング・プロテアーゼ活性及びセリンアシル化活性を有する宿主細胞は、当該前駆体ポリペプチドをコードするcDNAを含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形質転換細胞がカルシウム上昇活性又は成長ホルモン分泌促進活性を有する脂肪酸修飾ペプチドを産生することを確認することにより選抜できる。
培養後、培養物からグレリンを常法により分離精製することができる。例えば、培養菌体又は細胞から目的物質を抽出するには、培養後、菌体又は細胞を集め、これをタンパク質変性剤(塩酸グアニジンなど)を含む緩衝液に懸濁し、超音波などにより菌体又は細胞を破砕した後、遠心分離を行うことができる。次に上清から目的物質を精製するには、目的物質の分子量、溶解度、荷電(等電点)、親和性等を考慮して、ゲル濾過、限外濾過、透析、SDS-PAGE、各種クロマトグラフィーなどの分離精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。
グレリン及びその誘導体は常法により化学合成することができる。例えば、保護基の付いたアミノ酸を液相法及び/又は固相法により縮合、ペプチド鎖を延長させ、酸で全保護基を除去し、得られた粗生成物を上記の精製方法で精製することにより得られる。アシル化酵素又はアシル基転移酵素で選択的に目的位置にあるアミノ酸の側鎖をアシル化することもできる。
ペプチドの製造法は従来既に種々の方法が知られており、グレリンも公知の方法に従って容易に製造できる。例えば、古典的なペプチド合成法に従ってもよいし、固相法に従っても容易に製造できる。
また、組換えDNA技術と化学合成を併用した製法を用いてもよく、修飾アミノ酸残基を含むフラグメントを化学合成により製造し、修飾アミノ酸残基を含まないその他のフラグメントを組換えDNA技術を用いて製造し、その後各々のフラグメントを融合させる方法でも製造することができる(国際公開WO01/07475参照)。
本発明に用いることができるグレリン及びその誘導体に係る塩としては薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
以上の塩の中でも特にナトリウム塩、カリウム塩が最も好ましい。
グレリンの生理作用については、GHS-R であるGHS-R 1A受容体に対するリガンド活性や上記刊行物に記載された生理作用を指標として誘導体を選抜することが可能である。細胞内カルシウムイオン濃度の測定法は公知の方法が利用できるが、例えば、カルシウムイオン濃度変化によるFluo-4 AM (Molecular Probe社)の蛍光強度の変化を利用したFLIPR (Fluorometric Imaging Plate Reader, Molecular Devices社)を用いることができる。また、カルシウム上昇活性を有するペプチドが、in vitro 及びin vivoで成長ホルモン分泌促進因子活性を有するか確認するためには、公知の方法を利用することができる。例えばin vitroでは、成長ホルモンを分泌してGHS-Rの発現も確認されている脳下垂体細胞に添加して、細胞培養液中に分泌される成長ホルモンを、抗成長ホルモン抗体を用いたラジオイムノアッセイによって測定することができる。in vivoでの成長ホルモン分泌促進活性を確認するためには、カルシウム上昇活性を有するペプチドを動物の末梢静脈に注射した後の血清中の成長ホルモン濃度を測定すればよい。また、グレリン誘導体及びその調製方法については、例えば、J. Med. Chem., 43, pp.4370-4376, 2000を参照することができる。
グレリン及びその誘導体は、本明細書の実施例に具体的に示すとおり、個体に投与すると膵臓β細胞を新生又は再生する作用を有しており、膵臓β細胞におけるインスリン陽性細胞数を顕著に増加させることができる。また、グレリン及びその誘導体は膵臓β細胞におけるインスリン産生を促進し、膵臓β細胞内へのインスリンの貯留を増加させる作用を有する。
グレリンについては膵臓β細胞からのインスリンの分泌を低下させるとの報告があるが、インスリンの産生及び貯留とインスリンの分泌とは異なるメカニズムによるものと考えられ、本発明の医薬の作用は、膵臓β細胞を新生又は再生すること、及び膵臓β細胞におけるインスリン産生を促進させてインスリン貯留量を増加させることにより、インスリン分泌のポテンシャルを上昇させることにあると考えられる。
従って、本発明の医薬を個体に投与することにより、膵臓においてインスリン分泌能を有するβ細胞の数を増加させ、インスリン分泌機能を有する膵臓β細胞を新生又は再生することが可能になる。
以上のことから、膵臓β細胞を新生又は再生する作用を有する本発明の医薬を用いて個体における膵臓β細胞の衰弱、死滅又は疲弊を抑制することができ、膵臓β細胞を保護することができる。また、糖尿病の発症前に高血糖の状態において個体に本発明の医薬を投与することによって糖尿病の発症の予防を行なうことができる。更に、糖尿病が軽度な場合には個体に本発明の医薬を投与することによって糖尿病の病態の進行を阻止することができる。あるいは重症化した糖尿病の場合(ΔIRI/ΔBG値が0.4以下)には個体に本発明の医薬を投与することにより、膵臓β細胞の新生又は再生による糖尿病の根治治療を行なうことができる。膵臓β細胞が新生又は再生されたことは、例えば、膵臓の分化のための主要な転写因子の一つであるpdx-1の発現を確認することにより証明することができる。
また、本発明の医薬を用いて個体から単離した膵臓β細胞に試験管内で作用させて膵臓β細胞の再生を促進して当該細胞を増幅させ、当該細胞を個体の膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅した部位又は膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅の進行が予想される部位に移植することにより、膵臓β細胞に関する再生医療が可能になる。膵臓β細胞の前駆細胞を同定及び単離する方法については、現在世界の多くの研究グループによって精力的に研究され、種々の方法が開発されている(例えば、Lancet, 364, pp.203-205, 2004参照)。更に単離された膵臓β細胞の前駆細胞にグレリン又はその誘導体を作用させることにより膵臓β細胞を新生又は再生することができ、そのようにして得られた細胞群を個体の生体内に移植することにより、膵臓β細胞の再生医療が可能になる。
グレリン、その誘導体又はそれらの薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含む本発明の医薬は、薬理学的に許容しうる担体、賦形剤、増量剤などと混合して個体(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して用いることができる。投与量は特に限定されず、本発明の医薬の使用目的や個体の年齢、体重、個体の種類などに応じて適宜選択可能であるが、例えば、ヒト成人に対してグレリン又はその誘導体の重量として50〜200 μg を1日1〜2回程度あるいはこの投与量を数日ないし数週間程度連続投与することができる。
グレリン、その誘導体又はそれらの薬理学的に許容しうる塩は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;又はシロップ剤、注射剤などの液状製剤として経口又は非経口的に投与することができる。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。
また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、又は筋肉内投与用などの注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、又は吸入剤などを挙げることができ、経口投与に適する製剤形態としては、例えば、カプセル剤、錠剤、シロップ剤などを挙げることができるが、本発明の医薬の製剤形態としては非経口投与に適する製剤形態が好ましく、例えば、注射剤、点滴剤、又は吸入剤などの製剤形態が好ましい。これらの製剤形態は当業者に種々知られており、当業者は所望の投与経路に適する製剤形態を適宜選択し、必要に応じて当業界で利用可能な1又は2以上の製剤用添加物を用いて医薬用組成物の形態の製剤を製造することが可能である。
例えば、注射剤又は点滴剤の形態の医薬は、有効成分であるグレリン又はその誘導体とともに等張化剤、pH調節剤、無痛化剤、防腐剤などの1又は2以上の製剤用添加物を注射用蒸留水に溶解して滅菌することにより調製できる。また、注射剤又は点滴剤の形態の医薬は、凍結乾燥形態の医薬として提供することもできる。このような製剤は、用時に注射用蒸留水や生理食塩水などを添加して溶解することにより注射剤又は点滴剤として使用できる。また、例えば経粘膜投与には、点鼻剤や鼻腔内スプレー剤などの鼻腔内投与剤又は舌下剤などの口腔内投与剤なども好適である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例
に限定されることはない。
例1
1.材料及び方法
チャールズリバーから購入したSprague Dawleyの雌性又は雄性ラットを水道水とラット標準飼料ペレット(352 kcal/100 g、CE-2、CLEA)の自由摂取により飼育し、雌を雄と一晩檻にいれて14日後に腹部触診により妊娠を調べた。雌と雄をケージに入れてから22日後に子を自然分娩させた。試験に際して、以下の3つの実験群:出生直後のラットの腹腔内にクエン酸緩衝液を一回注射したコントロール群(Sprague Dawleyラット);腹腔内にストレプトゾトシン(STZ)を一回注射したn0-STZ 群;及びラットの腹腔内に一回ストレプトゾトシンを注射し、その後、生後2〜8日目から7日間にわたり皮下に1日2回ラット由来グレリン(以下、ラットグレリン、配列番号3、100μg/kg 体重)を注射したn0-STZ/グレリン群を設けた。
ストレプトゾトシン(シグマ、100 mg/kg 体重)をクエン酸緩衝液(0.05 mmol/L, pH4.5)に溶解し、すぐに出生直後のラットに一回腹腔内注射した。子ラットは母ラットと一緒に飼育した。全ての新生ラットについて2日目にMultistix SG (バイエルメディカル)で尿糖を検査し、生後2日目に糖尿(Multistix SGテストで3+値)が認められたラットのみをn0-STZモデルとして以下の試験に用いた。動物を21日目又は70日目にペントバルビタールナトリウム(50 mg/kg)の腹腔内注射の麻酔下で出血死させた。血液サンプルを下大静脈から採取し、すぐに4℃で遠心分離しアッセイまで−80℃で保存した。
ラットから膵臓を摘出して重量を測定し、インスリン含有量の測定のため膵臓(35-50 mg)をホモジナイズし、5 ml の酸-エタノール(0.15 M HCl 75%(v/v)−エタノール溶液)中で遠心分離し、上清を−80℃で保存した。免疫組織染色のためにその他の膵臓を4%パラホルムアルデヒド固定化液中に24時間固定し、パラフィン包埋処理を行った。
インスリンとpdx-1の免疫組織化学的検出は3 μm厚の組織切片を用いてペルオキシダーゼ間接標識法により行った。切片をそれぞれ一次抗体(モルモット抗ブタインスリン、DACO)又は(ウサギ抗マウス/ラット IDX-1;CHEMICON)とともに一時間インキュベートした。染色は3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)キット(DakoCytomation)とのインキュベーションにより行なった。総β細胞面積の定量評価はデジタルカメラDP 12と接続したオリンパスBX 51顕微鏡を用いてMac SCOPE Ver2.6 ソフトウェア(三谷、福井、日本)によるコンピュータ支援画像分析法で行なった。β細胞面積及び全ての膵臓切片面積をそれぞれの染色切片について評価した。β細胞の相対体積は、免疫反応性細胞が占める面積と全ての膵臓細胞が占める面積との比を計算して立体形態学的方法により決定した。
全RNAを既報の方法(Biochem. Biophys. Res. Commun., 214, pp.239-246,1995)によりラット膵臓から抽出した。抽出物をRT(インビトロジェン)及び対象の3'プライマーを含む反応におけるテンプレートとして用い、cDNAのファーストストランドを合成した。RT-PCR分析は既報の方法(Biochem. Biophys. Res. Commun., 214, pp.239-246, 1995)に従って行なった。ファーストストランドcDNAは次ステップの PCR分析に用いた。このPCR分析では下記のオリゴヌクレオチドプライマーを各々の目的のcDNAに用いた。PCR産物の同一性はアガロースゲル電気泳動で確認した。
インスリン−1:
5'-tagaccatcagcaagcaggtc(配列番号22)
3'-cacaccaggtacagagcct(配列番号23)
インスリン−2
5'-cacttggtggaagctctctacc(配列番号24)
3'-gacagggtagtggtgggcctagt(配列番号25)
Rdx-1:
5'-aggaggtgcatacgcagcag(配列番号26)
3'-gaggccgggagatgtatttgtt(配列番号27)
リアルタイムPCRは以下のとおり行なった。cDNA(1μl)を2×PCRマスターミックス(アプライドバイオシステム)(25μl)、滅菌蒸留水(23μl)、並びにインスリン及びPdx-1のセンス及びアンチセンスプライマー(10 pmol/μl 、0.5μl)と混合した。PCR増幅はサーマルサイクラーシステム(ABI PRISM 7700, アプライドバイオシステム, 日本)を用いて95℃で15秒及び60℃で60秒を1サイクルとして40サイクル行なった。それぞれのmRNAの濃度は蛍光強度と標準PCR産物の量をプロットして求めた検量線を用いて定量した。
全ての発現データを同一個体サンプルの18S リボゾームRNAの発現レベルにより標準化した。
血漿グルコースと血中グルコースはグルコース分析器(Antsense 2, 三共)で測定した。インスリンは膵臓から既報の方法に従って抽出した(Endocrinology, 140, pp.4861-4873, 1999)。インスリン濃度はレビスインスリンELISAキット(シバヤギ)で測定した。
測定値は平均±SEMで表した。コントロール群とSTZ投与群ラットの差は、ANOVAの分散分析で評価した。
2.結果
21日齢のラットについての結果を表1に示す。コントロール群とn0-STZ群では、体重、空腹時血中グルコース(FBG)濃度及びインスリン濃度に顕著な差は認めらなかった。n0-STZ群とn0-STZ/グレリン群との間でもこれらのパラメーターについては顕著な差は認められなかった。しかしながら、n0-STZ/グレリン群ではコントロール群に比べてFBG濃度が顕著に低下していた(P<0.01)。
膵臓でのインスリンのmRNA発現レベルはコントロール群に比べてn0-STZ群において顕著に減少していたが、ラットグレリン処置(n0-STZ/グレリン群)によりコントロール群のレベルまでほぼ回復した(図1A)。n0-STZ群の膵臓でのインスリンmRNA発現レベルはn0-STZ/グレリン群に比べて約1/3であったが、n0-STZ群はコントロール群及びn0-STZ/グレリン群と同等の血漿インスリン濃度を与えた。膵臓のインスリン免疫染色の結果は遺伝子発現の結果と一致していた(図1A-E)。コントロール群に比べてn0-STZ群ではランゲルハンス島が小さかった(図1B,C,E)。n0-STZ/グレリン群のランゲルハンス島はn0-STZ群のものよりも大きいが、コントロール群のものよりは小さかった(図1B-E)。
膵臓でのインスリン発現の変化の機構を調べるため、膵臓の分化のための主要な転写因子の一つであるpdx-1の発現を調べた。pdx-1のmRNAレベル及び蛋白レベルはいずれもインスリンと同様に変化した(図2A-D)。n0-STZ群のpdx-1の遺伝子発現レベルはコントロール群のレベルの1/10未満であったが、ラットグレリン処置後のn0-STZ/グレリン群のレベルはコントロール群のレベルに回復した(図2A)。膵臓でのpdx-1の免疫蛍光染色はインスリンパターンと一致していた(図2B-D)。
このn0-STZモデルでは21日目にインスリン産生の減少が認められたが、血中グルコース濃度については21日目では変化がなかった。ラットグレリン処置はこのモデルのインスリン産生の減少を抑制したことを、mRNAレベル、及びタンパク質レベルで確認した。
n0-STZモデルは8〜10週齢の後に徐々に高血糖になることが知られているので、このモデルについて初期のグレリン処置が長期的におよぼす効果について調べた。10週齢のコントロール群、n0-STZ群、及びn0-STZ/グレリン群の特徴を表2に示した。
n0-STZ群ではコントロール群に比べて体重が減少し、かつ高血糖を示した。この群の血漿インスリン濃度は減少していなかったが、個々の動物のインスリン濃度は上昇したグルコース濃度に比べて低かった(表2、図3A)。実際、膵臓インスリン濃度はコントロール群に比較して減少していた(表2)。
一方、n0-STZ/グレリン群のFBG濃度はn0-STZ群に比べて極めて低く、コントロール群のレベルに比べてあまり高くはなかった。また、膵臓インスリン含量はコントロール群と同程度のレベルを維持していた。n0-STZ/グレリン群の体重はコントロール群に比べて顕著に低くなったが、n0-STZ群との差は認められなかった。
成熟ラットにおけるインスリンmRNA発現については、n0-STZ群では少し回復しているものの、依然として低いレベルであった。
一方、n0-STZ/グレリン群は生後21日目と同じようにコントロール群と同様のレベルを示した。(図3B)。また、インスリン免疫組織化学染色では、n0-STZ/グレリン群のランゲルハンス島はn0-STZ群よりも大きかったが、コントロール群のものよりは小さかった(図3C-F)。
成熟ラットの3つの群におけるpdx-1のmRNA及び蛋白発現レベルは生後21日目のレベルと同様のパターンを示した(図4)。n0-STZ群におけるpdx-1の遺伝子発現レベルはコントロール群の約1/3に下がっているのに対して、n0-STZ/グレリン群ではコントロール群のレベルにまで回復していた(図4A)。膵臓におけるpdx-1の免疫蛍光染色でもインスリンと同様のパターンが得られた(図4B-D)。
このように、このn0-STZモデルでは膵臓でのインスリン産生が減少し、生後10週目で高血糖になったが、一方、ラットグレリン処置によりこの悪化をインスリン産生を維持ないし促進することによって阻止することができた。このインスリン産生の維持にはpdx-1の発現増加も部分的に関与していると考えられる。即ち、n0-STZ/グレリン群において膵臓の発生・分化に重要な役割を果たす転写因子、pdx-1の発現が高かったことから、出生直後にSTZ投与により破壊された膵臓β細胞がグレリンの投与により再生したことが示され、膵臓β細胞の再生がインスリン産生の維持に寄与したものと考えられる。
例2
1.材料及び方法
形態観察用に用いていない脾臓切片をβ細胞複製試験に用いた。切片に対してホスホヒストンH3 (Ser10)及びインスリンについて二重染色を行った。切片を50倍希釈の抗−ホスホヒストンH3 (Ser10) 抗体(セルシグナリングテクノロジー)と共に4℃で一晩インキュベートした。その後、切片をモルモット抗インスリン抗体と共に室温で1時間インキュベートした。PBSで6回洗浄した後、切片をブロッキング溶液中、30分間室温で蛍光体(アレクサフルア 488及び546、モレキュラープローブ)を共役させた二次抗体と共にインキュベートした。PBSで洗浄した後、切片にDAPI (ベクターラボラトリーズ)を加えたマウンティング培地をマウントし、 共焦点レーザースキャニング顕微鏡(ライカマイクロシステムズ)で観察した。一切片あたり最低1,000個のβ細胞をカウントした。
2.結果
グレリンによるβ細胞増殖がSTZ処置ラットにおけるインスリン産生とβ細胞数に影響を与えるか否かを調べるために、細胞増殖有糸分裂マーカーであるホスホヒストンH3(J. Clin. Invest., 113, pp.1364-1374, 2004; Br. J. Cancer, 88, pp.257-262, 2003)による免疫組織化学分析を行った。結果を図5(A)に示す。21日齢ラットにおいて、ホスホヒストンH3及びインスリンに対する二重陽性細胞は、ラットグレリン処置により対照及びn0-STZラットに比較してグレリン及びn0-STZ/グレリン群でそれぞれおよそ1.7倍及び15倍に増加した(図5(B))。10週齢ラットにおいては4群の間に有意な差は認められなかったものの、 STZモデルにおいてラットグレリン処置によりホスホヒストンH3及びインスリンに対する二重陽性細胞が増加する傾向にあり、一方、対照群ではグレリン処置はそれらの細胞に減少傾向が認められた(図6)。n0-STZ/グレリンラットにおけるpdx-1、インスリン、及びホスホヒストンH3の発現は、21日齢の対照n0-STZラットで観察されたレベルに比較して顕著に増加していることから、STZ処置された新生ラットにおいてグレリンはβ細胞の再生及び複製を刺激するものと考えられた。
例3
例1及び例2でラットグレリンの効果を確認したことから、次に、ヒト由来グレリン(以下、ヒトグレリン、配列番号1)の作用について、実施例1と同様に新生児ラットSTZモデルを用いて検討した。ヒトグレリンはラットグレリンと2箇所のアミノ酸が異なっている。
1.材料及び方法
チャールズリバーから購入したSprague Dawley系雌性妊娠ラットを水道水とラット標準飼料ペレット(CRF-1, オリエンタル酵母株式会社)の自由摂取により飼育し、自然分娩させた。以下の3つの実験群:出生直後のラットの腹腔内にクエン酸緩衝液を一回注射したコントロール群、腹腔内にSTZを一回注射し、その後、生後2日目から7日間、媒体(5% マンニトール溶液)を1日2回皮下投与したSTZ-vehicle 群、及びラットの腹腔内に一回STZを注射し、その後、生後2日目から7日間にわたり皮下に1日2回ヒトグレリン(配列番号1, 100μg/kg 体重)を注射したSTZ-ヒトグレリン群を設けた。
STZは例1と同様に調製し、投与した。全ての雄性新生児ラットについて2日目にプレテスト 3aII (和光純薬工業株式会社)で尿糖を検査し、生後2日目に糖尿(プレテスト 3aIIで3+値)が認められたラットのみを以降の試験に用いた。ラットは生後20日の夕方に離乳させた。生後8週目(57日)に覚醒下で尾静脈より採血し、血漿中のグルコース及び、インスリン濃度を測定した。また、生後9週目(62ないし63日)に体重測定後、ペントバルビタールナトリウム(50 mg/kg)腹腔内注射による麻酔下で、腹部大動脈から血液を採取した。また、全膵臓を摘出して湿重量を測定した。その後、インスリン含量測定用に膵臓を2分割して保存した。血液はすぐに4℃で遠心分離して血漿サンプルを調製し、グルコース濃度、インスリン濃度の測定まで−80℃で保存した。グルコース濃度はグルコースCII-テストワコー(和光純薬株式会社)で、インスリン濃度は超高感度インスリン測定キット(株式会社森永生科学研究所)を用いて測定した。
2.結果
STZ投与直後からのヒトグレリン7日間投与による、8週時(4時間絶食後)の血漿中グルコース濃度、及び血漿中インスリン濃度に対する作用を検討した。結果を表3に示す。血漿中グルコース濃度はコントロール群と比較して、vehicle群で有意に上昇したが、STZ-ヒトグレリン群ではグルコース濃度の上昇が軽度で、コントロール群と有意な差異を認めなかった。一方、血漿中インスリン濃度は群間で有意な差がなかった。
次に、9週時の体重、及び膵臓重量、並びに膵臓中のインスリン含量を解析した。体重、及び膵臓重量の結果を図7に示す。STZ-vehicle群の体重は、コントロール群に比べて有意に低かったが、STZ-ヒトグレリン群では体重低下が抑制され、コントロール群と同程度の体重であった。膵臓重量は、コントロール群に比べて、STZ-vehicle群では若干低値を示した。一方、STZ-ヒトグレリン群では、STZ-vehicle群と比し、有意に膵臓重量が大きかった。
STZ-ヒトグレリン群で膵臓重量の増加が見られたことから、膵臓中のインスリン含量を比較した。膵臓を脾臓側と腸管側の二つに分けてサンプリングし、各々のインスリン含量から膵臓中のインスリン含量を算出して解析した。結果を表4に示す。コントロール群に比し、STZ-vehicle群では両部位から算出された膵臓中のインスリン含量が著明に低下した。STZ-ヒトグレリン群のインスリン含量もコントロール群より有意に低かったものの、STZ-vehicle群の約2倍高い値を示した。
以上の結果より、新生児STZモデルにおいて、STZ投与直後のヒトグレリン投与は、成熟時の高血糖や体重減少を抑制することが判明した。この時に、膵臓重量の増加や、膵臓中インスリン含量の低下抑制傾向が見られたことから、実施例1で示したラットグレリンの場合と同様に、出生直後にSTZ投与により破壊された膵臓β細胞がヒトグレリンの投与により再生し、インスリン産生が部分的に維持されたことが、高血糖の抑制に寄与した可能性が示唆された。
例4
グレリンは、GHS-Rを介してその生理作用を発現すると考えられていることから、グレリン以外のGHS-R作動性化合物(growth hormone secretagogues, 以下、GHS化合物)も、グレリンと同様に、β細胞の再生を促進し、高血糖や糖尿病の発症を抑制する可能性がある。そこで次に、GHS化合物の作用を、新生児STZモデルを用いて検討した。GHS化合物としては、ペプチド性、非ペプチド性の様々な化合物が知られているが、今回、ペプチド性のGHS化合物であるGHRP-2 (Ala-D-Trp-Ala-Trp-D-Phe-Lys-NH2, Drugs of the Future 30, pp124-127, 2005, CAS No. 158861-67-7)を用いて検討した。
1.材料及び方法
実験材料、実験方法、及び、評価法は、実施例2と同様に行った。被験物質として、GHRP-2の100μg/kgを生後2日目から7日間、1日2回皮下投与した(STZ-GHRP-2群)。
2.結果
8週時(4時間絶食後)の血漿中グルコース濃度、及び血漿中インスリン濃度に対する生後初期のGHRP-2投与による作用を検討した。結果を表6に示す。血漿中グルコース濃度はコントロール群と比較して、STZ-vehicle群で有意に上昇したが、STZ-GHRP-2群では上昇が軽度で、STZ-vehicle群より有意に低値であった。一方、血漿中インスリン濃度については群間の有意差は認められなかった。
次に、9週時の体重、及び膵臓重量、並びに膵臓中のインスリン含量を解析した。体重、及び膵臓重量の結果を図8に示す。STZ-vehicle群の体重はコントロール群に比べて有意に低かったが、STZ-GHRP-2群では体重低下が抑制され、コントロール群と有意差を認めなかった。膵臓重量は、コントロール群に比べて、STZ-vehicle群で低値傾向を示した。一方、STZ-GHRP-2群では、STZ-vehicle群と比し、膵臓重量が大きかった。
膵臓中のインスリン含量を比較した。膵臓を脾臓側と腸管側の二つに分けてサンプリングし、各々のインスリン含量から膵臓中のインスリン含量を算出した結果を表6に示す。コントロール群に比し、STZ-vehicle群では両部位の膵臓中のインスリン含量が顕著に低下した。STZ-GHRP-2群のインスリン含量もコントロール群より有意に低かったものの、STZ-vehicle群より高い値を示し、インスリン産生能が維持される傾向が示された。
このように、ラットグレリンやヒトグレリンに加えて、GHS-R結合・活性化能を有するGHRP-2もまた、新生児STZモデルへの初期の投与にて、インスリン産生能を改善する傾向を示し、成熟期の高血糖の発症を抑制することが示された。従って、グレリンのβ細胞再生作用、高血糖抑制作用はGHS-Rを介するものであること、GHS-R結合・活性化能を有する化合物(GHS)も同様の効果を有することが示唆された。
以上から、ラットグレリン、ヒトグレリン、並びにGHS化合物の新生児STZモデルにおける成熟時の高血糖発症抑制作用が示された。次に、別の高血糖モデルを用いてヒトグレリンの作用を検討した。
例5
西洋型の高脂肪食は、肥満や糖尿病の発症原因となると言われている。また、リノール酸などの脂肪酸は、G蛋白質共役型受容体の一つであるGPR40のリガンドであり、脂肪酸によるGPR40の活性化は膵β細胞からのグルコース応答性インスリン分泌を促進することが報告されている(Itoh Y et al. Nature 422, pp173-176, 2003.)。一方、脂肪酸の短期の負荷はインスリン分泌を促進するが、長期間曝露ではインスリン分泌能や膵臓のインスリン含量を低下させることが示唆されている(Steneberg P et al. Cell Metab 1, p245-258, 2005.)そこで、リノール酸を添加した高脂肪酸餌でマウスを飼育し、ヒトグレリンのインスリン分泌や血中グルコース濃度に対する作用を検討した。
1.材料及び方法
雄性Crj:CD1(ICR)系マウス(チャールズリバー・ジャパン)を水道水とマウス標準飼料(CRF-1, オリエンタル酵母株式会社)の自由摂取により飼育した(照明時間 21時〜9時)。正常コントロールマウスはそのまま飼育した(normal diet, ND群)。高脂肪酸食群(High Fat Diet, HFD群)には、4週齢より、高脂肪酸食として CRF-1(粉末)5gに対してリノール酸 1gを混合したものを自由に摂取させた。被験物質として、媒体(5% マンニトール溶液) (HFD-vehicle群)または、ヒトグレリン 300 μg/kg(HFD-ghrelin群)を高脂肪酸食負荷開始日より1日2回(休日は1日1回)約7週間投与した。被験物質投与開始後の体重、随時血糖値の推移をモニターした。また、被験物質投与開始50日目にマウスを一晩絶食した後、翌日にリノール酸 (1 mL/kg, 腹腔内投与)を急性負荷し、1時間後の血漿グルコース濃度、及び血漿インスリン濃度を測定した。血糖値はアントセンスII(株式会社堀場製作所)を用いて、血漿中グルコース濃度、及びインスリン濃度は、それぞれ、グルコースCII-テストワコー(和光純薬株式会社)、及びレビスインスリンキット(マウス用 TMB)(株式会社シバヤギ)を用いて測定した。
2. 結果
高脂肪酸食飼育マウスにおけるヒトグレリン投与の体重、及び血糖値に対する作用を検討した。図9に、投与42日目の体重、及び、投与43日目の随時血糖値を示す。
HFD-vehicle群のマウスの体重は、ND群に比べて大きく、HFD-ghrelin群ではさらに増加した。また、HFD-vehicle群の血糖値はND群より有意に上昇していた。一方、HFD-ghrelin群では、HFD-vehicle群と比べて血糖値が低い傾向にあり、ND群と有意差がなかった。このように、グレリンの投与により高脂肪酸食による高血糖の誘発が軽減されることが示された。
次に、高脂肪酸食負荷マウスにリノール酸を急性負荷した後の血漿インスリン濃度、及び、血漿グルコース濃度変化を解析した。
図10に、普通食または高脂肪酸食で飼育したマウスに1 mL/kgのリノール酸を腹腔内投与した時の血漿インスリン濃度(A)、及び血漿グルコース濃度(B)を示す。HFD-vehicle群では、リノール酸負荷後の血漿インスリン濃度がND群に比べて平均で1/3以下に低下しており、長期間の高脂肪酸食負荷により、インスリン分泌能が障害されたことが示唆された。HFD-ghrelin群では、HFD-vehicle群に比べて高いインスリン濃度を示し、ND群との有意差は見られなかった(図10A)。一方、リノール酸負荷前の血漿グルコース濃度は3群間で殆ど差異がなかったが(ND群:138±5, HFD-vehicle群:146±12,HFD-ghrelin群:141±5 mg/dL, 各群8例の平均値±標準誤差)、リノール酸投与1時間後にすべての群で投与前に比べて血漿グルコース濃度が有意に上昇した(P<0.05, paired t-test)。HFD-vehicle群では、ND群に比べて、リノール酸投与後の血漿グルコース濃度の上昇がより顕著であった。
HFD-ghrelin群のリノール酸負荷後血漿グルコース濃度は、HFD-vehicle群に比べて低い傾向にあり、ND群の濃度と有意差がなかった(図10B)。
以上のように、高脂肪酸食負荷マウスにおいて、ヒトグレリンの反復投与は、血糖値の上昇を抑制することが示された。高脂肪酸食負荷により、リノール酸誘発インスリン分泌の低下が見られ、ヒトグレリン投与群ではこれが改善する傾向が認められたことから、ヒトグレリンは、高脂肪酸食によるβ細胞機能不全、即ち、インスリン分泌機能不全を改善することにより、高血糖の発症を抑制したことが示唆された。
本発明の医薬はインスリンを産生及び分泌する膵臓β細胞の新生又は再生を促進する作用及び膵臓β細胞におけるインスリン産生を促進する作用を有しているため、膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅したことによりインスリン分泌がされないか、又は極めてインスリン分泌が少ないことに起因する高血糖、あるいは膵臓β細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖において、インスリンを産生及び分泌する膵臓β細胞の新生又は再生を促進することにより高血糖を抑制又は治療することができる。更にインスリン産生機能を有する膵臓β細胞の再生医療のための医薬としても用いることができる。本発明によれば、インスリンを産生及び分泌する膵臓β細胞を新生又は再生することができるため、高血糖の根本的原因である膵臓β細胞自体の不足及び当該細胞におけるインスリンの産生低下又は分泌不足を改善できる利点を有する。

Claims (27)

  1. (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチド、又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞が衰弱若しくは死滅したことによりインスリン分泌がされないか、若しくは極めて少ないことに起因する高血糖であるか、又は膵臓β細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖の抑制又は治療用医薬組成物。
  2. 高血糖が、膵臓β細胞が衰弱、又は死滅したことによりインスリン分泌がされないか又は極めて少ないことに起因する高血糖である請求項に記載の医薬組成物。
  3. 高血糖が、膵臓のβ細胞におけるインスリンの分泌が低下することに起因する高血糖である請求項に記載の医薬組成物。
  4. 高血糖が、ΔIRI/ΔBGの値として0.4以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである請求項に記載の医薬組成物。
  7. ペプチドが、GHRP−2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチド、又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞の新生又は再生を促進するための医薬組成物。
  9. ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである請求項に記載の医薬組成物。
  10. ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである請求項に記載の医薬組成物。
  11. ペプチドが、GHRP−2である請求項に記載の医薬組成物。
  12. (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチド、又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞におけるインスリンの産生を促進するための医薬組成物。
  13. ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである請求項12に記載の医薬組成物。
  14. ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである請求項13に記載の医薬組成物。
  15. ペプチドが、GHRP−2である請求項12に記載の医薬組成物。
  16. (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチド、又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、膵臓β細胞の衰弱、死滅、又は疲弊の抑制用医薬組成物。
  17. ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである請求項16に記載の医薬組成物。
  18. ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである請求項17に記載の医薬組成物。
  19. ペプチドが、GHRP−2である請求項16に記載の医薬組成物。
  20. (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチド、又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体から単離された膵臓β細胞又は膵臓β細胞の前駆細胞に作用させて膵臓β細胞を増殖させる工程を含む、膵臓β細胞再生医療用細胞製剤の製造方法。
  21. ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである請求項20に記載の方法。
  22. ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである請求項21に記載の方法。
  23. ペプチドが、GHRP−2である請求項20に記載の方法。
  24. (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチド、(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてアミノ末端から5番目〜28番目までのアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目のアミノ酸残基が当該アミノ酸残基の側鎖に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドであり、且つ成長ホルモン分泌促進因子レセプターに結合することによって細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するペプチド、及び(3)GHRP−2からなる群から選択されたペプチド、又はそれらの薬学的に許容される塩を、個体から単離された膵臓β細胞又は膵臓β細胞の前駆細胞に作用させて膵臓β細胞を新生又は再生させる方法。
  25. ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基が当該残基の側鎖の水酸基に脂肪酸が導入された修飾アミノ酸残基であるペプチドである請求項24に記載の方法。
  26. ペプチドが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、アミノ末端から3番目に位置するセリン残基の側鎖の水酸基がn−オクタノイル基によりアシル化されているペプチドである請求項25に記載の方法。
  27. ペプチドが、GHRP−2である請求項24に記載の方法。
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