JP6552117B2 - 敗血症の予防治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、神経ペプチドであるオレキシンの末梢投与による敗血症、重症敗血症、特に敗血症性ショックの予防治療薬としての新規用途に関する。
敗血症は、細菌などの病原体感染が全身に広がり、細菌由来のエンドトキシンなどの毒素が原因となって全身性の炎症反応が生じることで多臓器不全、血圧低下、ショックなどの症状が引き起こされる疾病である。通常、感染症に対しては、抗生物質などによる治療を行うが、敗血症性ショックに至ると有効な手立てがなく、高い確率で死に至る。日本における同疾患の発症は年に38万人以上と推計され、米国では毎年およそ100万人の患者が発症し、その20−30%が死亡している。集中治療が必要な患者の死因としては最多の疾患である。
近年、感染症に対する生体の防御機構に関わる熱産生、食欲不振などを司る神経シグナルが解明されつつあるが、感染症により引き起こされる眠気あるいは倦怠感、無気力、活動量の低下に関して、どのような中枢神経機構が関与しているかは明確でなかった。中枢神経系からの末梢免疫系への作用に関しては、迷走神経による抗炎症作用(非特許文献1)、交感神経系による抗菌作用、過剰な免疫反応による臓器障害を抑制するなどの複雑な免疫調節機構(非特許文献2)などが報告されている。
また、感染症が起こった場合、視床下部外側核において、神経活動の指標となる Fos タンパクの発現が減少すること(非特許文献3)や、炎症性サイトカインであるインターロイキン−1βあるいは腫瘍壊死因子−α(tumor necrosis factor-α)により、視床下部外側野のグルコース感受性神経の発火が抑制されること(非特許文献4)など、オレキシン含有神経の関与が示唆される報告もある。
1998年に発見されたオレキシンは、情動やエネルギーバランスに応じて、睡眠・覚醒や報酬系そして摂食行動を適切に制御する統合的な機能を担っている神経ペプチドである(非特許文献5)。摂食行動をはじめとする動機にともなう“行動”を制御するには、覚醒の維持や報酬系の関与が必要であり、オレキシンは、様々な“行動”に必要な覚醒を維持する機能を持っていると考えられている(非特許文献6)。オレキシン欠損マウスは、摂食量の低下、活動量の低下、睡眠覚醒の分断化、ナルコレプシー症状が見られ、また食事制限に適応できない病的な表現型を持つ(非特許文献7)。また、敗血症ラットでは自発活動が低下しており、視床下部の脳弓周囲領域でのオレキシン含有神経活動が低下し(非特許文献8)、敗血症モデルマウスにオレキシンを脳室内投与すると体温上昇と心機能の回復が見られたという報告もある(非特許文献9)。また、血液脳関門は通常タンパク質や脂溶性の低い物質は通過しないことが知られているが、敗血症モデルラットでは、全身性炎症状態にともなう血液脳関門の障害により、末梢に投与したインスリンやアルブミン等の特定のタンパクが血液脳関門を通過しやすくなることが報告されている。いっぽう神経ペプチドのレプチンは敗血症モデルラットであっても通過しないことが報告されている(非特許文献10)。これまでに他のタンパクやオレキシンが血液脳関門を通過することは知られていない。
集中治療室(ICU)において、敗血症は二次性疾患リスクの上昇をもたらし、臓器不全の一つの兆候として筋蛋白質の異化による筋萎縮が起こるといわれている(非特許文献11)。ICUにおいて敗血症患者に早期から自発的に運動をさせると、せん妄が改善され、人工呼吸器の早期の離脱をもたらし、死亡率の改善につながることも報告されている(非特許文献12)。
しかし敗血症の患者はしばしばショック状態に陥り回復が遅れると、末梢組織の循環が悪い状態が長く続き、種々の治療等を試みても回復が難しく死亡率の顕著な改善効果は見られず、新しい治療法と予防法の確立が強く求められている。
Tracey K. J. et al., 2002, Nature, 420; 853-859 Seeley E. J. et al., 2013, J Immunol, 190;4717-4724 Gaykema and Goehler, 2009, Brain Behav Immu, 23; 926-930 Plata-Salaman C. R. et al., 1988, Brain Res, 448; 106-114 Sakurai T. et al., 1998, Cell, 92(4); 573-585 Sakurai T. et al., 2011, Trends Pharmacol Sci, 32(8); 451-462 Chemelli R. M., et al., 1999, Cell, 98; 437-451 Grossberg A. J. et al., 2011, J Neuro Sci, 31(31);11376-11386 Crit Care Med. 41. 1-8, 2013 Brain Res. 896. 36-42, 2001 Schefold J. C. et al., 2010, J Cachexia Sarcopenia Muscle, (1) 147-157 Schweickert W. D. et al., 2009, Lancet, 373; 1874-1882
本発明の課題は、敗血症の予防および治療のみならず、重症敗血症および敗血症性ショックの予防および治療に有効で、敗血症患者の死亡率を低下させる医薬を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、覚醒を維持する機能を有する神経ペプチドのオレキシンは、飲んでも消化管で分解され、たとえ血液中に吸収されたとしても酵素で分解されやすく持続時間が短いうえに血液脳関門を通過できないため脳室内投与以外では脳内へ移行できないと考えられていたが、意外にもオレキシンそのものが末梢投与により敗血症患者の血液脳関門を通過し脳内で作用し、敗血症や重症敗血症や敗血症性ショックを予防および改善しうることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
[1]オレキシン、オレキシン高活性体またはオレキシン受容体アゴニストを有効成分として含有する末梢投与用敗血症予防治療剤。
[2]敗血症が、重症敗血症または敗血症性ショックである、[1]に記載の剤。
[3]敗血症が、敗血症性ショックである、[2]に記載の剤。
[4]敗血症性ショックが、敗血症性ショックに伴う血圧低下、体温低下、自発運動量低下、呼吸障害および乏・無尿からなる群から選択される少なくとも1種である、[3]に記載の剤。
[5]オレキシンの成人1日当たりの投与量が、50mg〜2000mgである、[1]〜[4]のいずれかに記載の剤。
[6]オレキシン、オレキシン高活性体またはオレキシン受容体アゴニストの有効量を対象に末梢投与することを特徴とする、敗血症の予防または治療方法。
オレキシンを有効成分とする本発明の医薬は、敗血症、重症敗血症、特に敗血症性ショックを予防および治療するために有用である。とりわけ通常は脳室内投与でなければ脳へ移行できないオレキシンを安全で簡便な末梢投与で処置できるので敗血症患者の負担が軽減する。
また本発明によれば、敗血症を発症した時点でオレキシンを末梢投与すれば敗血症性ショックへの重症化を抑制することができ死亡率が改善される。
さらにオレキシンそのものを使用するため、副作用が少なく安全に投与することができる。
敗血症モデルマウスにおけるオレキシン脳室内投与による行動量を示す。縦軸は自発運動量および横軸は時間を示す。明期開始時間(9:00AM)=ZT0とし、ZT10.5は19:30(PM)を示す。 敗血症性ショックモデルマウスにおけるヨードラベルオレキシンAの脳内への移行量を示す。上段は正常マウスおよび下段は敗血症性ショックモデルマウスの脳中のオレキシン濃度を示す写真である。 敗血症性ショックモデルマウスおよび正常マウスにおけるヨードラベルオレキシンAの脳内への移行量を示す。縦軸は放射活性を示す。 敗血症性ショック後のオレキシンの末梢投与による体温の変化を示す。縦軸は温度(℃)および横軸は時刻を示す。 敗血症性ショック後のオレキシンの末梢投与による心拍数の変化を示す。縦軸は心拍数(拍/分)および横軸は時刻を示す。 オレキシンの末梢投与による敗血症ショックマウスの生存率を示す。縦軸は生存率(%)および横軸はLPS投与後の時間(時)を示す。 オレキシンの末梢投与による敗血症ショックマウスの生存率を示す。縦軸は生存率(%)および横軸はLPS投与後の時間(時)を示す
本発明はオレキシン、オレキシン高活性体またはオレキシン受容体アゴニストを有効成分として含有する末梢投与用敗血症予防治療剤に関する(以下本発明の予防治療剤と略することもある)。
本発明においてオレキシン、オレキシン高活性体またはオレキシン受容体アゴニスト(オレキシンと総称することもある)は、敗血症、重症敗血症、特に敗血症性ショックの予防や治療に有用である。なお、本明細書において、「治療」とは、「治療・改善」を含む意である。ここで「改善」とは、敗血症性ショック等に伴う症状が、正常化の方向に改善の兆しを見せ、死亡率が改善することを意味する。
敗血症は重症度に幅があり、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックの順で重篤化し、死亡率が上昇する。
本明細書中において「敗血症」とは、細菌などの病原体感染による全身性炎症反応症候群と呼ばれる全身性の炎症反応を伴う全身性の感染症であり、全身性炎症反応症候群は数多くの内因性メディエーターが血流に放出されて起きる全身症状を伴う急性炎症反応である。全身性炎症反応症候群は、体温が38℃以上または36℃未満;心拍数が90回/分以上;呼吸数が20回/分以上;白血球数:12,000/mm以上または4,000/mm未満、のうち2項目以上に当てはまるものと定義されている(1992年にAmerican College of Chest PhysiciansとSociety of Critical Care Medicineの合同会議で提唱された)。
敗血症の主な原因菌としては、大腸菌や髄膜炎菌、緑膿菌などのグラム陰性菌、ブドウ球菌や肺炎球菌、腸球菌などのグラム陽性菌が挙げられるが、感染症による全身性炎症反応症候群であれば病原体を限定するものではない。
「重症敗血症」は、敗血症に加えて臓器不全を有する病態であって、少なくとも一つの臓器の不全の徴候を伴う敗血症である。例えば、循環不全は低灌流・低血圧、呼吸不全は低酸素血症、腎不全は乏尿、血液に関する不全は凝固障害で示される。
「敗血症性ショック」は、重症敗血症に加えて難治性低血圧を有し、初期の輸液蘇生にほとんど反応しない臓器低灌流を伴う敗血症である。
本発明におけるオレキシンは、上記の敗血症に有効であるが、重症敗血症および敗血症性ショックにより有効に使用され、敗血症性ショックに特に有効に使用される。
敗血症性ショックの症状としては、生命維持臓器への有効な血液が不足し、それに対する神経体液性の反応が加わって生じるもので、典型的には、多臓器不全、特に循環不全(低灌流、低血圧)、低体温、意識障害等が挙げられる。具体的には、血圧低下、体温低下(皮膚が蒼白で冷たい)、冷汗、自発活動量低下(無力・無気力)、呼吸障害、乏・無尿、播種性血管内凝固などが挙げられる。
なかでも本発明におけるオレキシンは、循環不全、低体温、意識障害の症状に有効に使用され、循環不全、低体温等の症状により有効に使用される。
オレキシンは、視床下部の「摂食中枢」とされる視床下部外側野を中心にその近傍の視床下部脳弓周囲野および視床下部後部に存在する神経細胞が産生する神経ペプチドである。オレキシンは覚醒の維持に対する機能を有し、摂食行動、自律神経系、内分泌、報酬系などに関連する機能を有する。
オレキシンには、オレキシンAとオレキシンBの二つのイソペプチドが存在する。
オレキシンAは33アミノ酸残基からなり、分子内に2対のジスルフィド結合を有する。N末端はピログルタミン酸、C末端はアミド化されており、きわめて安定な構造をもっている。ヒト由来全長オレキシンAのアミノ酸配列は、下記アミノ酸配列からなるポリペプチドである(Uはピログルタミン酸)。
UPLPDCCRQKTCSCRLYELLHGAGNHAAGILTL(配列番号1)
オレキシンBは28アミノ酸残基の直線状のペプチドである。ヒト由来全長オレキシンBのアミノ酸配列は、下記アミノ酸配列からなるポリペプチドである。
RSGPPGLQGRLQRLLQASGNHAAGILTM(配列番号2)
本発明におけるオレキシンは、特に限定されないが、安定性の観点では脳内での半減期も作用時間も神経ペプチドとしては例外的に長いオレキシンAが好ましい。なかでも天然由来のオレキシンAおよび還元型オレキシンAが好ましい。
本発明の有効成分である、オレキシンは、遊離体のみならず、塩の形態でも使用することができる。塩の形態としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などにすることができる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが用いられ、有機塩基との塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が用いられる。無機酸との塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が用いられ、有機酸との塩としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が用いられる。塩基性アミノ酸との塩としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が用いられ、酸性アミノ酸との塩としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が用いられる。
本発明において、オレキシン高活性体とは、オレキシン受容体に高い活性を示すポリペプチドやその修飾体を意味する。例えばオレキシンのポリペプチドやその修飾体等が挙げられる。
オレキシンのポリペプチドとしては、オレキシンAと同等以上の活性を有する限り、
UPLPDCCRQKTCSCRLYELLHGAGNHAAGILTL(配列番号1)で表されるヒト由来のオレキシンAのアミノ酸配列において1〜14個、好ましくは1〜7個、より好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個のN末端側のアミノ酸が欠失または置換されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよく(オレキシンAの部分ペプチドと称する)、その一部にヒト由来のオレキシンAのアミノ酸配列(又はオレキシンの部分ペプチドA)を含んでいるものであれば、その他の部分が任意のアミノ酸配列であるポリペプチドでもよい。該任意のアミノ酸配列は、オレキシンAのアミノ酸配列(又はオレキシンの部分ペプチドA)のN末端側、C末端側、または、N末端側およびC末端側の両方に位置していてもよい。
オレキシンAの部分ペプチドとしては、1〜14個、好ましくは1〜7個、より好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個のN末端側のアミノ酸が欠失したポリペプチドが好ましく、なかでも還元型のポリペプチドがより好ましい。
またオレキシンBのポリペプチドとしては、オレキシンBと同等以上の活性を有する限り、
RSGPPGLQGRLQRLLQASGNHAAGILTM(配列番号2)
で表されるヒト由来のオレキシンBのアミノ酸配列において1〜9個、好ましくは1〜5個、より好ましくは5個のN末端側アミノ酸が欠失または置換されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよく(オレキシンBの部分ペプチドと称する)、その一部にヒト由来のオレキシンBのアミノ酸配列(又はオレキシンの部分ペプチドB)を含んでいるものであれば、その他の部分が任意のアミノ酸配列であるポリペプチドでもよい。該任意のアミノ酸配列は、オレキシンBのアミノ酸配列(又はオレキシンの部分ペプチドB)のN末端側、C末端側、または、N末端側およびC末端側の両方に位置していてもよい。
オレキシンBの部分ペプチドとしては、1〜9個、好ましくは1〜5個、より好ましくは5個のN末端側アミノ酸が欠失したポリペプチドが好ましい。また5個のN末端側アミノ酸が欠失したポリペプチドのアミノ酸のひとつがL−アラニンまたはプロリンで置換されたポリペプチドであってもよい。
本明細書において「アミノ酸の欠失」とは、アミノ酸配列の任意の位置において、構成アミノ酸が取り除かれることをいう。
本明細書において「アミノ酸の置換」とは、アミノ酸配列の任意の位置において、構成アミノ酸が別のアミノ酸に置き換わることをいう。アミノ酸の置換としては、保存的置換が好ましい。保存的置換とは、アミノ酸が同様の特性を有する別のアミノ酸で置換され、そのためペプチド化学分野の当業者によってポリペプチドの2次構造およびハイドロパシー特性が実質的に変化しないことが予期されるような置換をいう。
本発明のポリペプチドのさらに好ましい実施態様は、例えば以下のアミノ酸配列からなるオレキシンAのポリペプチドである。
Figure 0006552117
本発明のポリペプチドのさらに好ましい実施態様は、例えば以下のアミノ酸配列からなるオレキシンBのポリペプチドである。
Figure 0006552117
本発明においてポリペプチドは、例えばJ. Med. Chem. 2004, 47, 1153-1160に記載の方法により製造することができる。
本発明におけるオレキシンまたはオレキシンポリペプチドを化学的合成法で製造する場合には、公知のペプチド合成法に従って製造することができる。ペプチド合成法には、固相合成法、液相合成法等があり、固相合成法が好ましい。固相合成法としては、例えばFmoc法が挙げられる。Fmoc法は、α−アミノ基を9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、側鎖官能基をt−ブチルアルコール系保護基で保護する方法で、Fmoc基を第二級アミンであるピペリジンにより脱保護しつつFmocアミノ酸を縮合し、最後に側鎖保護基をトリフルオロ酢酸のような酸により脱保護する。つまり、合成しようとするペプチドのC末端側より、α−アミノ保護基の選択的除去、保護アミノ酸の縮合という一連の操作を繰り返して保護ペプチド鎖を構築し、側鎖官能基の保護基を脱保護することにより、目的のペプチドを得ることができるものである。
固相ペプチド合成法においては、自動ペプチド合成装置による合成も一般的に用いられている(例えば、「新生化学実験講座1 タンパク質IV」(1992) 日本生化学会編, 東京化学同人;“The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology” Vol. 1-5, ed. by E. Gross, J. Meienhofer; Vol. 6-9, ed. by S. Udenfriend, J. Meienhofer, Academic Press, New York (1979-1987))。
本発明のオレキシンまたはポリペプチドを組換えDNA技術で製造する場合には、例えば、当該ポリペプチドをコードするcDNAの塩基配列に基づいてプライマーを設計し、適当なcDNAライブラリーをテンプレートとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により目的とする配列を増幅することにより、当該ポリペプチドをコードするcDNAを製造することができる。このようなPCR手法は当該技術分野においてよく知られており、例えば、“PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications”, Academic Press, Michael, et al., eds., 1990に記載されている。次いで、本発明のポリペプチドをコードするDNAを、適当な発現ベクター中に組み込み、これを真核生物または原核生物細胞のいずれかに導入して、それぞれの鎖を発現させることにより所望のポリペプチドを得ることができる。本発明のポリペプチドを発現させるために用いることができる宿主細胞の例としては、限定されないが、大腸菌、枯草菌等の原核生物宿主、および酵母、真菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核生物宿主が挙げられる。ベクターとは、細胞にトランスフェクトすることができ、細胞ゲノム中でまたはそれとは独立に複製しうる一本鎖または二本鎖の核酸分子を表す。発現ベクターは、DNAの発現を駆動するプロモーター領域を含み、さらに転写および翻訳の制御配列、例えばTATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、3’非コード領域、エンハンサー等を含んでいてもよい。プロモーターの例としては、原核生物宿主中で用いる場合には、blaプロモーター、catプロモーター、lacZプロモーター、真核生物宿主中で用いる場合には、マウスメタロチオネインI遺伝子配列のプロモーター、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母解糖系酵素遺伝子配列プロモーター等が挙げられる。ベクターの例には、限定されないが、pBR322、pUC118、pUC119、λgt10、λgt11、pMAM−neo、pKRC、BPV、ワクチニア、SV40、2−ミクロン等が含まれる。
発現ベクターは、これを含有する宿主細胞を選択することができるように、1またはそれ以上のマーカーを有することが好ましい。マーカーとしては、栄養要求性宿主に対する栄養、抗生物質耐性(例えばアンピシリン、テトラサイクリン、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ジェネティシン等)、または重金属耐性(例えば銅)を与えるものを用いることができる。
さらに、シグナル配列を用いて本発明のポリペプチドを分泌発現させるように、あるいは、本発明のポリペプチドを別のポリペプチドとの融合ポリペプチドの形で発現させるように、ベクターを構築することができる。融合ポリペプチドを用いることにより、ポリペプチドの安定性を改良し、または精製を容易にすることができる。そのような発現ベクターの構築は当該技術分野においてよく知られている。
本発明のポリペプチドを発現するよう構築したベクターは、トランスフォーメーション、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈澱、直接マイクロインジェクション等により、適当な宿主細胞中に導入することができる。ベクターを含む細胞を適当な培地中で成長させて本発明のポリペプチドを産生させ、細胞または培地から所望の組換えポリペプチドを回収し、精製することにより、本発明のポリペプチドを得ることができる。
本発明においてポリペプチドは、Kunkel法又はGapped duplex法等の公知手法またはこれに準ずる方法により、その欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸位置に該当する改変を施すことにより、当該ポリペプチドをコードするcDNAを得、その遺伝子を用いて上述と同様の組換えDNA技術に付すことにより製造することもできる。遺伝子への変異導入は、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))など、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて行うことができる。
上述のようにして得られた本発明におけるオレキシンまたはポリペプチドの単離及び精製は、公知の方法により行うことができる。公知の単離及び精製法としては、塩析、溶媒沈殿、透析、限外濾過、ゲル濾過、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、等電点電気泳動などが挙げられる。
また、上記した各ポリペプチドは、その活性に影響を及ぼさない範囲でN末端のアミノ基、C末端のカルボキシ基またはアミノ酸側鎖の官能基が化学的に修飾された誘導体であってもよい。誘導化の例としては、リン酸化、アミド化、アセチル化、メチル化、糖鎖付加、脂質付加、ポリエチレン付加などが挙げられる。
本発明において、オレキシン受容体アゴニストは、オレキシン受容体に結合して活性化することが出来る化合物であり、生体内のオレキシンと同じ作用をする化合物である。オレキシン受容体は、二つのGタンパク質共役型受容体である、オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)があり、一般にどちらの受容体を介する作用も受容体発現ニューロンに対して強力かつ持続的な興奮性作用を示す。
オレキシン受容体アゴニストとしては、例えばOX2Rアゴニストである下記式(I)で表される化合物または薬学的に許容されるその塩が挙げられる。
Figure 0006552117
式中、Rは、
置換または無置換のアルキル;
置換または無置換のシクロアルキル;
置換または無置換のアルケニル;
アダマンチル;
置換または無置換のフェニル;
窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の5又は6員の複素環基;
置換または無置換のベンジル;
8〜10個の環原子を有する飽和または不飽和の縮合環炭素環基;または
CHXR、(Xは酸素、硫黄、−NH−または−CH−;およびRは置換または無置換のアルキル、置換または無置換のシクロアルキル、置換または無置換のフェニル、置換または無置換のベンジル、2−カルバミド−インドリル、または窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の5〜9員の複素環基);
は、
置換または無置換のアルキル;
置換または無置換のシクロアルキル;
置換または無置換のアルケニル;
置換または無置換のアルコキシアルキル;
窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の5又は6員の複素環基;
−(CH(Rは(i)窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の5〜9員の複素環基;(ii)−NR(RおよびRは水素、メチル、エチルおよびベンジルから独立して選択される);または(iii)COOR(Rはアルキル);およびnは2または3);
置換または無置換のフェニル;
置換または無置換のベンジル;
8〜10個の環原子を有する飽和または不飽和の縮合環炭素環基;または
メチレン−1−ナフチル;および
は、
水素;
(CHCOOR15(R15はアルキルまたは置換されたアルキル;mは0、1または2);
CONR1617(R16およびR17は独立して(i)水素;(ii)アルキルまたは置換されたアルキル;(iii)シクロアルキル;(iv)アルコキシアルキル;(v)窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の5〜10員の複素環基;(vi)8〜10個の環原子を有する飽和または不飽和の縮合環炭素環基;(vii)置換または無置換のフェニル;(viii)(CH18(R18は窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の5又は6員の複素環基、およびpは1、2または3);(ix)置換されていてもよいベンジル;または(x)1または2個のフェニル基で置換された、1〜4個のメチレン基の鎖を含むアラルキル基);
−Cアルコキシ;
置換されていてもよいフェノキシ;
SONR1920(R19およびR20は独立して水素、置換されていてもよいアルキルまたはフェニル);
NR2122(R21およびR22は独立して水素、アルキル、置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいベンジル);
COR23(R23はアルキルまたはNR2122);
COOR24(R24は水素、アルキルまたはベンジル);または
SO25(R25はアルキルまたはNR2122)。
好ましい態様としては、
が、フェニル、無置換のフェニル(Rは無置換のフェニルおよびモノ−またはジハロフェニルである化合物が特に好ましい)、複素環基(チエニルが特に好ましい)、またはCHXR(Xは酸素およびRは置換または無置換のフェニルまたはベンジルが特に好ましい);
が、ベンジル、置換されたベンジル、C−Cのアルキル、または−(CH(Rは窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の5〜6員の複素環基(2−N−ピペリドエチルが最も好ましい));および
が、水素;
またはR、RおよびRがこれらの好ましい基の組合せである化合物が挙げられる。
本明細書においては、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびオクチル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ;メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシエチル;メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ等が挙げられる。
アルキレンオキシ、アルキレンジオキシとしては、メチレンジオキシ、−OCHO−、エチレンジオキシ、−OCHCHO−およびエチレンオキシ、−CHCHO−等が挙げられる。
シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
アルケニルとしては、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびオクテニル基が挙げられる。
アルキル、アルケニル、シクロアルキルおよび他の脂肪族基は、不飽和または置換されていてもよい。典型的にはハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、COOHおよびCOOCHが挙げられ、好ましくは置換されたアルキル、アルケニルおよびシクロアルキル部分は1〜4個の置換を有する。多置換の化合物において置換基は同じか異なってもよく、すなわちアルキル基は2または3個の異なるハロゲン、またはハロおよびヒドロキシル基で置換されていてもよい。
アラルキルは、アリル基を有するアルキル基であり、一般式(CH1−4Ph1−2(Phはフェニル)で表され、3,3−ジフェニルプロピルなどが挙げられる。
ハロとしては、フルオロ、クロロ、ブロモおよびイオド基が挙げられる。
縮合炭素環は、2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基で置換されたナフチル、テトラヒドロナフチルおよびフェニルなどの全部または部分的に不飽和の環が挙げられる。例としてインダニル、すなわちプロピレン(−CHCHCH−)部分で置換されたフェニル環である。
複素環は、5員の複素環としては、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、オキサゾリル、イソザゾイル、チアゾイル、イソチアゾイル、チアゾリジニル、ピロリル、ピローリジニル、ピローリニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、トリアゾリルおよびピラゾリジニル、6員の複素環としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ピぺリジニル、モルフォリニル、ピラニル、テトラヒドロピラニルおよびピペラジニルが挙げられる。
6個以上の炭素を有する複素環部分としては、インドール、キヌクリジニル、キノリル、クロマニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルおよびキノリニルが挙げられる。
複素環部分は置換されていなくても、ハロ、C−Cアルキル、ヒドロキシまたはオキソから独立して選択される1〜3個の置換基、そのような置換基の組合せで置換されていてもよい。
不飽和の部分は、炭素環および複素環の場合には、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニルおよび2,3−ジヒドロインドリルなどの部分的に不飽和、ピリジニルおよびインドリルなどの全部不飽和の部分が挙げられる。
本発明における上記オレキシン受容体アゴニストは、例えばアメリカ特許公報第8,258,163号に記載の製造方法に従って製造することができる。
本発明の予防治療剤の投与対象としては、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)が挙げられる。なお、ヒト以外の哺乳動物に適応する場合、本発明の予防治療剤の摂取量は、動物の体重もしくは大きさに応じて適宜加減すればよい。
オレキシンはペプチドであることから、非経口の投与経路が好ましいが、胃で溶けない腸溶性カプセル等の製剤を用いれば経口投与もできる。
オレキシンをヒトに投与する場合、剤形としてはそれ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される担体、溶媒、溶解補助剤、賦形剤、希釈剤などと混合し、胃内でオレキシンが分解されないように工夫された経口投与製剤(例1、顆粒剤、細粒剤、散在、粉剤、液剤、懸濁剤、乳濁剤を腸溶性カプセルに充填した製剤、例2、制酸剤を配合した顆粒剤、細粒剤、散剤、粉剤、錠剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳濁剤、例3、腸溶剤等など)、非経口投与製剤(例、静脈内注射剤、筋肉内注射剤等の注射剤(マイクロカプセル、ペレット製剤等の徐放性製剤も含む))、経鼻投与製剤、経腸坐剤、経腟製剤、経肺製剤等の医薬組成物が挙げられる。
オレキシンは消化管で分解することから非経口投与剤が好ましく、中でも注射製剤、皮下注射、静脈注射、筋肉注射がより好ましい。
これらの製剤は、例えば、製剤の製造において通常一般に用いられる自体公知の方法、例えば、第16改正日本薬局方、製剤総則に記載された方法で製造することができる。
製剤中のオレキシンの配合割合は、その形態によっても異なるが、例えば前記した経口投与剤においては通常0.01〜100重量%、0.1〜90重量%が好ましく、例えば前記した非経口投与剤では通常0.1〜80重量%、1〜50重量%が好ましい。
例えば注射剤(静脈直接注入用、点滴投与用、皮下投与用、筋肉注射用)は、オレキシンを可溶化剤(例、β−シクロデキストリン類など)、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO60(日光ケミカルズ製)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例,メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノールなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖など)などとともに常法に従って水性注射剤にすることもでき、あるいは植物油(例、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油など)、プロピレングリコールなどに、適宜溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤にすることもできる。
経口投与製剤は、通常のペプチド製剤を製造する公知の方法に従って、オレキシンに、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)などを適宜添加して散剤や顆粒剤にし、さらに圧縮成形し、次いで必要に応じて、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のための自体公知の方法でのコーティングなどを施した錠剤とすることもできる。コーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギッド(ローム社製、西ドイツ、メタアクリル酸、アクリル酸共重合体)、色素(例、酸化チタン、ベンガラなど)などが適宜用いられる。
オレキシンは、固状、半固状あるいは液状の外用剤としても用いることができる。
例えば、固状の外用剤は、オレキシンをそのまま、あるいは賦形剤(例、グリコール、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体など)などを添加、混合し、粉状の組成物とすることにより製造されることもできる。半固状の外用剤は、常法に従って製造し、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏剤として用いることが好ましい。液状の外用剤は、注射剤の製造に用いる手段あるいはそれに準じた手段により、油性あるいは水性の懸濁剤とすることにより製造されることもできる。また、固状、半固状または液状の外用剤に、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを適宜加えてもよい。具体的には、例えばワセリン、ラノリンなどを基剤として、1gあたりオレキシンを通常約0.1〜約100mg含有する軟膏剤として、あるいは基材に塗布した貼付剤としても用いることもできる。
また点鼻剤や吸入剤等のエアロゾル製剤も公知の方法に従って製造される。
オレキシンは、油性または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることもできる。坐剤を製造する際の油性基剤としては、例えば高級脂肪酸のグリセライド(例、カカオ脂など)、中級脂肪酸(例、中鎖脂肪酸トリグリセリドなど)、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが適宜用いられる。また水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコールなどが用いられ、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニル重合体、アクリル酸重合体などが適宜用いられる。
本発明の予防治療剤を使用する場合の投与量は、対象患者の年齢、体重もしくは病態、剤形、又は投与方法などによっても異なるが、成人(体重約60kg)1日あたり、経口投与の場合には、通常、オレキシン100mg〜2000mg、好ましくは、200mg〜2000mg、より好ましくは、400mg〜2000mg、特に好ましくは1000mg〜2000mgである。
非経口投与の場合には、成人(体重約60kg)1日あたり、通常、オレキシン50mg〜2000mg、好ましくは、50mg〜1000mg、より好ましくは、100mg〜1000mg、特に好ましくは200mg〜1000mgであり、とりわけ好ましくは500mg〜1000mgである。
上記1日あたりの量は一度にもしくは数回に分けて経口または非経口投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。食前、食後、食間を問わない。また投与間隔、投与期間等の投与計画は特に限定されないが、後述の投与計画が好ましい。
本発明の予防治療剤は、敗血症と判断された時に、350μg/分〜700μg/分を点滴投与する。症状が改善されるまで期間は特に限定されないが、通常1分〜24時間(1日)、好ましくは1分〜48時間持続投与することが、敗血症性ショック等の予防の観点から好ましい。
本発明においてオレキシンは他の薬物と併用して使用することができる。
併用することにより、オレキシンや併用薬物を単独投与した場合よりも、これらの投与量を軽減することができ、敗血症性ショック等に対して、相乗的な治療効果が得られ、さらに細菌感染などの疾患に伴い発症する種々の疾患に対して、広く治療効果を発揮することができる。
併用に際しては、オレキシンと併用薬物の投与時期は限定されず、オレキシンまたはその医薬組成物と併用薬物またはその医薬組成物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
そのような併用薬としては、例えば、抗菌薬、抗真菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、抗凝血薬、抗血小板薬、血栓溶解薬、免疫調節薬、抗原虫薬、鎮咳・去たん薬、鎮静薬、麻酔薬、麻薬拮抗薬、抗潰瘍薬、高脂血症治療薬、動脈硬化症治療薬、HDL増加薬、不安定プラーク安定化薬、心筋保護薬、甲状腺機能低下症治療薬、ネフローゼ症候群治療薬、慢性腎不全治療薬、利尿薬、高血圧治療薬、心不全治療薬、筋弛緩薬、抗てんかん薬、強心薬、血管拡張薬、血管収縮薬、不整脈治療薬、糖尿病治療薬、昇圧薬、精神安定薬、抗精神病薬、アルツハイマー病治療薬、抗パーキンソン薬、筋萎縮性脊髄側索硬化症治療薬、神経栄養因子、抗うつ薬、精神分裂病治療薬、抗腫瘍薬、ビタミン薬、ビタミン誘導体、関節炎治療薬、抗リウマチ薬、抗アレルギー薬、抗喘息薬、アトピー性皮膚炎治療薬、アレルギー性鼻炎治療薬、頻尿・尿失禁治療薬、タンパク質分解薬、タンパク質分解酵素阻害薬、抗SIDS薬、抗セプシス薬、抗セプティックショック薬、エンドトキシン拮抗薬あるいは抗体、シグナル伝達阻害薬、炎症性メディエーター作用抑制薬、炎症性メディエーター作用抑制抗体、炎症性メディエーター産生抑制薬、抗炎症性メディエーター作用抑制薬、抗炎症性メディエーター作用抑制抗体、抗炎症性メディエーター産生抑制薬、α1アドレナリン作動薬などが挙げられ、なかでも抗菌薬、抗真菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、抗凝血薬などが好ましい。
本発明において上記併用剤の投与量は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての1日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
本発明の併用剤におけるオレキシンと併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、状態等により適宜選択することができる。例えば、本発明の併用剤におけるオレキシンの含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%程度である。本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜100重量%、好ましくは約0.1〜50重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
また、オレキシンおよび併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
本発明の併用剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、オレキシンを投与してもよいし、オレキシンを先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内にオレキシンを投与する方法が挙げられる。オレキシンを先に投与する場合、オレキシンを投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。本発明の組成物を治療薬と配合する場合、本発明の組成物と治療薬の配合比はそれぞれ重量比で、通常、1:0.1〜1,000,000の範囲であり、特に好ましくは1:1〜1,000の範囲である。
オレキシン、オレキシン高活性体またはオレキシン受容体アゴニストの有効量を対象に末梢投与することを特徴とする、敗血症の予防または治療方法も本発明の別の態様である。有効量は体内で効果を発揮するために必要な薬剤の投与量であり、上記投与量は既述に従い適宜決められる。投与対象等その他の定義も既述に準じる。
以下の実施例によって本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を示すものにすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(実施例1)敗血症モデルマウスにおけるオレキシン脳室内投与による行動量の評価
8週令のC57B6Jマウスにリポポリサッカライド(LPS)0.3mg/kgを腹腔内投与し敗血症モデルマウスを作製した。
マウスに側脳室内投与用のポートを埋め込む処置を行い、5から7日後に、LPSを投与と同時に生理食塩水(n=2)またはオレキシンA(7.2nmol)(n=2)を0.6μl/時間で持続的に12時間脳室内投与した。マウスの自発運動量はシンファクトリーの装置を用いて赤外線ビーム横断回数を測定する方法で測定した。
モデルマウスはいずれもLPS投与後運動量が低下したが、オレキシンA(7.2nmol)を持続的に12時間、脳室内投与したところ運動量の低下が回復した(図1)。生理食塩水を投与したマウスの運動量は回復しなかった。
この試験から感染症により生じる眠気、倦怠感、活動量の低下にオレキシンが関与していることが示された。
(実施例2)敗血症性ショックモデルマウスにおける末梢投与のオレキシンの脳内移行
8週令のC57B/6Jマウスにリポポリサッカライド(LPS)10mg/kg(n=4)を腹腔内投与し、敗血症性ショックモデルマウスを作製した。コントロールとして生理食塩水(n=4)を腹腔内投与した。
オレキシンAのヨードラベル体を調製し(10cpm/100μL濃度)4ml/kgを腹腔内投与し、2時間後に屠殺し全脳を摘出した。
その結果、生理食塩水投与群と比較しLPSを投与して作製した敗血症性ショックモデルマウスではヨードラベルオレキシンAの脳内への取り込みが確認できた(図2)。
さらに、全脳の放射活性を測定し定量化すると生理食塩水投与群と比較しLPSを投与して作製した敗血症性ショックモデルマウス群で、有意に脳内への取り込みが増加していることが判明した(図3)。なお放射活性のカウントは全脳のタンパク質質量で補正した。
このことから敗血症性ショックモデルマウスにオレキシンを末梢から投与すると、オレキシンが血液脳関門を通過し脳に移行していると考えられた(図2、3)。
(実施例3)敗血症性ショックモデルマウスにおける末梢投与のオレキシンによる体温および心拍数に及ぼす効果
8週令のC57B/6Jマウス(n=4)および二種類のオレキシン受容体ノックアウトマウス(DKO n=4)に体温、心拍数をモニターするためにテレメトリープローブを皮下に埋め込み、5から7日後にLPS(10mg/kg)を腹腔内投与し敗血症性ショックモデルマウスを作製した。
両モデルマウスにLPS投与後13.5時間後にオレキシンA(30nmol)を腹腔内投与し、経時的に体温と心拍数を測定した。
コントロールとしてC57B/6Jマウスに生理食塩水4ml/kgを腹腔内投与し、同様に体温と心拍数を測定した。
C57B/6JマウスではLPS投与により低下した体温と減少した心拍数がオレキシン投与により回復した。
いっぽう二種類のオレキシン受容体ノックアウトマウスでは低下した体温と減少した心拍数に対する効果は確認できなかった(図4、図5)。
(実施例4)敗血症性ショックによる死亡率に及ぼす敗血症性ショック誘導30分前から末梢投与したオレキシンの効果
8週令のC57B/6Jマウス(n=10)に体温、心拍数をモニターするためにテレメトリープローブを皮下に埋め込む処置を行い、5から7日後に、オレキシンA(300nmol/100μL)を末梢皮下組織からアルゼットポンプを用いて24時間持続投与し、投与30分後にリポポリサッカライド(10mg/kg)を腹腔内投与した。コントロールとして生理食塩水を同様に24時間持続投与しLPSを投与した(n=10)。
LPS投与後の生存率を評価した結果、敗血症性ショックが起こる前からオレキシンを末梢から持続投与するだけで有意に死亡率の改善がみられた(図6)。
(実施例5)敗血症性ショックによる死亡率に及ぼす敗血症性ショック誘導30分後に末梢投与したオレキシンの効果
8週令のC57B/6Jマウス(n=10)に体温、心拍数をモニターするためにテレメトリープローブを皮下に埋め込む処置を行い、5から7日後に、リポポリサッカライド(10mg/kg)を腹腔内投与した30分後から、オレキシンA(600nmol/100μL)を末梢皮下組織から実験動物用高性能プログラマブルポンプiPRECIO―DSI(プライムテック社)を用いて24時間持続投与した。コントロールとして生理食塩水を同様に24時間持続投与した(n=10)。
LPS投与後の生存率を評価した結果、オレキシンを末梢から持続投与するだけで有意に死亡率の改善がみられた(図7)。
以上の結果より、オレキシンの末梢投与が敗血症性ショックの予防または治療に有用であることは明らかである。
本出願は日本で出願された特願2014−067451を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (5)

  1. オレキシンを有効成分として含有する末梢投与用敗血症予防治療剤であって、末梢投与が腹腔内投与、皮下投与又は筋肉投与である剤
  2. 敗血症が、重症敗血症または敗血症性ショックである、請求項1に記載の剤。
  3. 敗血症が、敗血症性ショックである、請求項2に記載の剤。
  4. 敗血症性ショックが、敗血症性ショックに伴う血圧低下、体温低下、自発運動量低下、呼吸障害および乏・無尿からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の剤。
  5. オレキシンの成人1日当たりの投与量が、50mg〜2000mgである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤
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