JPWO2008018597A1 - デスアシルグレリン及びその誘導体を有効成分とする脊髄神経修復促進治療剤 - Google Patents

デスアシルグレリン及びその誘導体を有効成分とする脊髄神経修復促進治療剤 Download PDF

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美穂 橋本
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友二郎 林
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Abstract

脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞増殖促進剤、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等を提供する。デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を用いた、脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞増殖促進剤、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等を提供する。

Description

本発明は、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質の脊髄神経細胞増殖作用に関する。より具体的には当該物質を有効成分とする脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞増殖促進剤、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等に関する。
交通事故やスポーツ中の事故、労働災害で、年間6000人以上の人が脊髄を損傷し、その総数は全国で約11万人にも上る。その社会的損失は年間3000億円とも言われ、治療法がないと言われてきた(非特許文献1)。脊髄神経は、これまで再生あるいは移植できないとされてきたが、近年、胎児脊髄細胞の移植などが実験レベルで検討され、移植治療の可能性が示唆されつつある組織である。さらに、今後の移植再生研究を見据えるとき、脊髄神経発生研究、培養胎児脊髄神経細胞を用いた再生研究などを通して、今後、発生・再生過程などが検証されることが期待される組織と考えられる。しかも、脊髄神経移植再生研究は、脊髄損傷、脊髄腫瘍や脳腫瘍あるいは脳神経障害において重要な役割を果たすことが期待される。
現実にも、神経再生の基礎研究は日進月歩の状況にある。神経の修復・再生に可能性がある細胞・物質としてヒト幹細胞、鼻粘膜細胞、骨髄間質細胞などの骨髄系細胞、臍帯血、マクロファージ、4-アミノピジリン(大規模第III相治験中)等がある。このように最近2、3年間に、神経の修復・再生の可能性を示す新たな細胞や物質の研究報告があいついでなされてきている。これらの研究のいくつかは動物実験レベルの研究からヒトにおける臨床研究段階に入ろうとしており、その着実な発展のためには基礎研究と臨床研究を結合させ総合的な研究体制をもった脊髄再生医療センターの開設が我が国における緊急の課題となってきている(非特許文献2)。
現在、脊髄細胞移植は実験的に動物を用いて研究されており、ヒトでの脊髄損傷治療に応用するために臨床研究が開始されている。基礎研究あるいは臨床研究に用いられる細胞には、ヒト幹細胞、鼻粘膜細胞、骨髄系細胞、臍帯血、マクロファージ、胎児由来組織等がある(非特許文献2)。
また、神経再生研究に用いられるソースの1つとして胎児由来組織がある。動物実験では高い再生能力を示すソースとして注目され、サルを用いて胎児脊髄から神経幹細胞を取り出し、脊髄損傷サルに移植して機能回復に成功している(非特許文献3)が、一般に胎児細胞の増殖速度は遅いために増殖を促進させる技術の開発が望まれている。
更に、神経再生治療に用いられるGM-CSFやレクチン誘導体などの臨床応用にも、人体他部位の細胞分化や副作用に関する懸念もあり、安全性の高いこのような活性を持つ物質の発見・開発が望まれている(非特許文献4)。
デスアシルグレリンは、1999年に胃から発見されたホルモンであるグレリン(Ghrelin)から脂肪酸が脱離したペプチドである(非特許文献5、特許文献1)。
グレリンは、成長ホルモン分泌促進因子レセプター1a(Growth Hormone Secretagogue- Receptor 1a:GHS-R1a、非特許文献6)に対する内因性のGHSとして、ラットから初めて単離精製され、ラット以外の脊椎動物、例えばヒト、マウス、ブタ、ニワトリ、ウナギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、カエル、ニジマス、イヌからも、類似した一次構造を有するグレリンのアミノ酸配列が知られている(特許文献1)。
ヒト(Human)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号1に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQRVQRKESKKPPAKLQPR(配列番号2に対応)
ラット(Rat)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号3に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQRKESKKPPAKLQPR(配列番号4に対応)
マウス(Mouse)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号5に対応)
ブタ(Porcine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKVQQRKESKKPAAKLKPR(配列番号6に対応)
ウシ(Bovine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQRKEAKKPSGRLKPR(配列番号7に対応)
ヒツジ(Ovine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQRKEPKKPSGRLKPR(配列番号8に対応)
イヌ(Canine)
: GSS(n-octanoyl)FLSPEHQKLQQRKESKKPPAKLQPR(配列番号9に対応)
ウナギ(Eel)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQRPQGKDKKPPRV-NH2(配列番号10に対応)
ニジマス(Trout)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQVRQGKGKPPRV-NH2(配列番号11に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQGKGKPPRV-NH2(配列番号12に対応)
ニワトリ(Chicken)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKGTRKPTAR(配列番号13に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKDTRKPTAR(配列番号14に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTYKNIQQQKDTRKPTARLH(配列番号15に対応)
ウシガエル(Bullfrog)
: GLT(n-octanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNM(配列番号16に対応)
: GLT(n-decanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNM(配列番号16に対応)
: GLT(n-octanoyl)FLSPADMQKIAERQSQNKLRHGNMN(配列番号17に対応)
テラピア(Tilapia)
: GSS(n-octanoyl)FLSPSQKPQNKVKSSRI-NH2(配列番号18に対応)
ナマズ(Catfish)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTQKPQNRGDRKPPRV-NH2(配列番号19に対応)
: GSS(n-octanoyl)FLSPTQKPQNRGDRKPPRVG(配列番号20に対応)
ウマ(Equine)
: GSS(n-butanoyl)FLSPEHHKVQHRKESKKPPAKLKPR(配列番号21に対応)
(上記表記において、アミノ酸残基は一文字標記により表している)。
上記ペプチドは、3位のセリン残基(S)又はスレオニン残基(T)の側鎖水酸基がオクタン酸、デカン酸などの脂肪酸によりアシル化された特異的な構造を有するペプチドであり、このような疎水性修飾構造を有する生理活性ペプチドは、グレリン以外に生体から単離された例はない。これらのペプチドにおいて、3位のセリン又はスレオニン残基の脂肪酸が脱離したもの、例えば、配列番号1〜21のいずれか1つに記載の配列を有するペプチドが、デスアシルグレリンである。
デスアシルグレリンは、GHS-R1aへの親和性は弱く、下垂体からの成長ホルモン(GH)の分泌を亢進させる活性は弱い。最近の研究では、グレリンが食欲を亢進させること、皮下投与することにより体重及び体脂肪が増加すること(非特許文献7〜9)、及び心機能を改善する等などの作用を有することも明らかにされている(非特許文献10〜12)。デスアシルグレリンはグレリンと同様に心筋細胞のアポトーシス抑制を介して心筋保護に働くことが報告され(非特許文献13)、細胞増殖や細胞死などの細胞の運命に関わっていることが示唆されている。デスアシルグレリンは前立腺がん細胞に対して増殖抑制作用を示すことが報告されており(非特許文献14)、デスアシルグレリンはGHS-R 1a以外の受容体に作用するものと考えられている。デスアシルグレリンの摂食行動に及ぼす影響については、亢進と抑制の両方の報告があり、デスアシルグレリンの過剰発現は体形が小型になりIGF-1が低下しているとの報告がある(非特許文献15)。
また、本発明者らは、妊娠母動物羊水中にグレリン及びデスアシルグレリンが存在し、その機能や役割を考慮して検討した結果、胎児の皮膚細胞にGHS-R1aが存在すること及びデスアシルグレリンが胎児皮膚細胞の増殖作用を有することを見出した(非特許文献16)。その他、デスアシルグレリンの作用としては、癌細胞増殖に及ぼす影響などが示唆されているが(非特許文献17)、神経細胞系への作用は知られていない。
また、本発明者らが知る限りでは、デスアシルグレリン特異的結合部位が脊髄神経細胞で発現していること及びデスアシルグレリンが脊髄神経細胞に作用して脊髄神経細胞の増殖作用を示すことに係る報告は未だ見出されていない。
国際公開番号 WO 01/07475 A1 医療イン・フォーカス、第2部再生医療、6.「脊髄神経」再生、2005年5月21日、(URL:http://www.ubenippo.co.jp/infocus/saisei/saisei_6.html) 神経再生研究における胎児組織利用に関する見解、2005年4月5日、NPO法人日本せきずい基金、(URL:http://www.jscf.org/jscf/SIRYOU/igaku-1/saiboisyoku/jscf050405.html) 神経幹細胞で脊髄損傷回復、2001年12月10日、東京新聞記事(URL:http://www.normanet.ne.jp/~JSCF/SIRYOU/tokyo-2.htm) 神経再生治療(Regeneration of Central Nerves System)(URL:http://www.ins-gbs.co.jp/nerve.html) Kojima et al.: Nature,402,pp.656-660(1999) Howard et al.: Science,273,pp.974-977(1996) Wren et al.: Endocrinology,141,pp.4325-4328(2000) Nakazato et al.: Nature,409,194-198(2001) Shintani et al.: Diabetes,50,pp.227-232(2001) Nakazato et al.: Nature,409,pp.194-198(2001) Lely et al.: Endocr.Rev.,25,pp.656-660(2004) Korbonits et al.:Front Neuroendocrinol.,25,pp.27-68(2004) Baldanzi et al.: J.Cell Biol., 159, pp.1029-1037(2002) Cassoni et al.: Eur.J.Endocrinol., 150, pp.173-184(2004) Ariyasu et al.: Endocrinology, 146, pp.355-364(2005) Nakahara et al.: Endocrinology, 147,pp.1333-42(2006) Zhang et al.:J Physiol., 559,pp.729-737(2004)
本発明は、脊髄神経細胞の増殖作用を有する物質を用いた脊髄神経損傷治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞増殖促進剤、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤等の提供に関する。
本発明者らは、上述したようにラット胎児の皮膚細胞に成長ホルモン分泌因子レセプター(GHS-R 1a)が存在すること及びデスアシルグレリンが胎児皮膚細胞の増殖作用を有することを見出した。
更に、本発明者らはラット胎児のGHS-R1a及びデスアシルグレリン特異的結合部位(レセプター)に作用する物質の作用を検討する目的で、RT-PCR法によりGHS-R1aの存在部位を検索したところ、脊髄神経細胞にGHS-R1aが存在すること、及び脊髄神経細胞にデスアシルグレリン特異的結合部位が存在することを見出した。そこで、本発明者らはデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質が脊髄神経細胞に作用して脊髄神経細胞の増殖作用を示すことを見出した。さらには、ラット脊髄損傷モデルを用いた試験により、培養脊髄神経細胞移植とともにデスアシルグレリンを局所投与することで、脊髄損傷による下肢機能の低下が回復することを確認した。
即ち、本発明はデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質を有効成分とする脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤に関する。
また、本発明はデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質を投与することからなる個体における脊髄神経損傷の治療方法、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞の増殖を促進する方法、及び個体における培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生を促進する方法に関する。
更に、本発明は脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤を製造するためのデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質の使用に関する。
以上のことから、本発明は具体的には以下の事項に関する:
[1] デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、脊髄神経損傷治療剤。
[2] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[1]の治療剤。
[3] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[2]の治療剤。
[4] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を、0.001mg〜100mg含有する、上記[1]〜[3]に記載の治療剤。
[5] デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその塩を有効成分とする、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞増殖促進剤。
[6] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[5]の促進剤。
[7] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[6]の促進剤。
[8] 脊髄神経細胞の培地中の前記物質又はその塩の含有量が、0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、上記[5]〜[7]に記載の促進剤。
[9] デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤。
[10] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[9]の治療剤。
[11] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[10]の治療剤。
[12] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を、0.001mg〜100mg含有する、上記[9]〜[11]に記載の治療剤。
[13] デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、脊髄神経損傷の治療方法。
[14] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[13]の方法。
[15] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[14]の方法。
[16] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg投与する、上記[13]〜[15]に記載の方法。
[17] デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその塩を用いることを特徴とする、培養脊髄神経細胞の増殖を促進する方法。
[18] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[17]の方法。
[19] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[18]の方法。
[20] 培養脊髄神経細胞の培地中の前記物質又はその塩の含有量が0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、上記[17]〜[19]に記載の促進剤。
[21] デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経の再生を促進する方法。
[22] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[21]の方法。
[23] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[22]の方法。
[24] 前記物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg投与する、上記[21]〜[24]に記載の方法。
[25] 脊髄神経損傷治療剤を製造するための、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩の使用。
[26] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[25]の使用。
[27] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[26]の使用。
[28] 前記脊髄神経損傷治療剤中に、前記物質又はその薬学的に許容される塩を、0.001mg〜100mg含有する、上記[25]〜[27]に記載の使用。
[29] 培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤を製造するための、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩の使用。
[30] 前記物質が:
(1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
(2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
(3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、上記[29]の使用。
[31] 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、上記[30]の使用。
[32] 前記脊髄神経再生促進剤中に、前記物質又はその薬学的に許容される塩を、0.001mg〜100mg含有する、上記[29]〜[31]に記載の使用。
本発明により、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質が、脊髄神経細胞を増殖させる作用を持つことが明らかにされた。当該作用に基づき脊髄神経を損傷している個体にデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質を投与することにより脊髄神経損傷の治療が可能となる。
また、脊髄神経細胞を培養するときにデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質を添加して細胞増殖を促進させることにより、速やかに培養脊髄神経細胞を治療に使用することが可能となる。即ち、脊髄神経細胞を培養して、脊髄神経損傷部位に移植することによって脊髄神経の修復治療を行う際に、培養脊髄神経細胞をより速やかに個体に供給することが可能となる。
更に、培養脊髄神経細胞を直接障害部位に移植し、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質を移植部位に投与することにより治癒促進を図ることが可能となる。
図1は、脊髄膜画分におけるデスアシルグレリン特異的結合の存在を示す。 図2は、デスアシルグレリンの脊髄神経細胞におけるBrdU取り込み促進作用及び細胞増殖作用を示す。図2Aは、デスアシルグレリンの脊髄神経細胞におけるBrdU取り込み促進作用を示す。数値は平均±SEMを示す。*:p<0.05。図2Bは、脊髄神経細胞に生理食塩水を作用させたときのBrdU陽性細胞(免疫染色)を示す。図2Cは、脊髄神経細胞にデスアシルグレリンを作用させたときのBrdU陽性細胞(免疫染色)を示す。なお、図2B'及び2C'は、図2B及び2Cに基づいて作成した線図である。
本発明の医薬はヒトを含む動物(個体)の医薬として使用できる。本発明において用いることができる物質としては、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(リガンド)、例えば、デスアシルグレリン及びその誘導体を挙げることができる。
「ペプチド」とは、複数のアミノ酸がペプチド結合で連なった化合物のことをいう。ここでアミノ酸(又はアミノ酸残基とも表現する)とは、一般式:NH2-CH(R')-COOHのアミノ酸において、R'が天然に存在する置換基を有する天然アミノ酸のほか、そのD,L-光学異性体等を含む。天然アミノ酸が修飾アミノ酸(又は修飾アミノ酸残基と表現する)で置換されている場合もある。修飾アミノ酸は、上記一般式の置換機R'がさらに修飾されたアミノ酸及びそのD,L-光学異性体ばかりではなく、例えば上記一般式の置換基R'において、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、アミド、カルバミド又はチオカルバミド等を介して又は介さずに、様々な置換基が結合した非天然アミノ酸も含む。また、アミノ酸のアミノ基に低級アルキル基が置換されている非天然アミノ酸も含まれる。
本明細書中において「ペプチド誘導体」には、例えばペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸が非アミノ酸化合物で置換された化合物、ペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端が修飾された化合物(例えば、カルボキシル末端がアミド化された化合物)、ペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸が非アミノ酸化合物で置換され更にアミノ末端及び/又はカルボキシル末端が修飾された化合物が含まれる。
本明細書中において、「アミノ酸」には、L-アミノ酸、D-アミノ酸、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、天然アミノ酸、合成アミノ酸等あらゆるアミノ酸が含まれる。
本明細書中において、「修飾アミノ酸」とは、上記アミノ酸の任意の基が化学修飾されているアミノ酸を意味する。特に、α-アミノ酸におけるα炭素が化学修飾されている修飾アミノ酸が好ましい。
デスアシルグレリンとしては、配列番号1〜21のいずれか1つの配列を有するペプチドを挙げることができる。即ち、上述したようにヒト由来デスアシルグレリンをはじめ、ラット、マウス、ブタ、ウシ等その他の動物由来のデスアシルグレリンを用いることができる。各々の個体に対して当該個体が属する種由来のデスアシルグレリンを用いることが望ましく、例えばヒトに対してはヒト由来デスアシルグレリンを用いることが望ましい。ヒト由来デスアシルグレリンは28個のアミノ酸からなるペプチドであり、グレリンとは異なりアミノ末端から3番目のセリン残基の側鎖の水酸基が脂肪酸(n-オクタノイル基)によりアシル化されていないペプチドである(配列番号1)。
デスアシルグレリンの誘導体としては、例えばデスアシルグレリンのアミノ酸配列(例えば、配列番号1〜21のアミノ酸配列)において、アミノ酸の1若しくは数個が欠失するか、他のアミノ酸若しくは非アミノ酸により置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有する化合物、デスアシルグレリンのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端が修飾された化合物(例えば、カルボキシル末端がアミド化された化合物)、等が含まれる。アミノ酸のカルボキシル末端をカルボン酸で終わらせずにアミド化し、ペプチド結合をミミックした形にすることで、より短いアミノ酸配列での最小活性単位を見出すことが可能になる。例えば、配列番号1のアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜28番目のアミノ酸、好ましくは、アミノ末端から11番目〜28番目のアミノ酸、より好ましくは、アミノ末端から16番目〜28番目のアミノ酸において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有し、且つデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質であれば使用することができる。
すなわち、配列番号1〜21に記載されたアミノ酸配列においてアミノ末端から少なくとも4番目、例えばアミノ末端から5番目まで、好ましくはアミノ末端から7番目まで、より好ましくはアミノ末端から10番目まで、さらに好ましくはアミノ末端から15番目までの配列が保持されたものであればデスアシルグレリン誘導体として好適に用いることができ、例えば、実施例3に記載のデスアシルグレリン(1-5)-NH2(配列番号22)、デスアシルグレリン(1-7)-NH2(配列番号23)及びデスアシルグレリン(1-15)-NH2(配列番号24)のように、デスアシルグレリンのアミノ末端から少なくとも5番目まで、好ましくは7番目まで、例えば15番目までの配列を含むデスアシルグレリンの誘導体であれば、好適に用いることができる。
本明細書において、アミノ酸に関し「1若しくは数個が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」というときの置換等されるアミノ酸の個数は、そのアミノ酸配列からなるペプチド又はその誘導体が所望の機能を有する限り特に限定されないが、例えば1〜9個、又は1〜4個程度である。性質(電荷及び/又は極性)の似たアミノ酸への置換等であれば、多数のアミノ酸が置換されていても、所望の機能を消失しないであろう。
また、ペプチド又はその誘導体のアミノ酸配列としては天然型のアミノ酸配列と比較して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上の相同性を有することが望ましい。他の動物由来のデスアシルグレリン(配列番号2〜21)やその一部(例えば配列番号22〜24、好ましくは配列番号23〜24)においても同様である。
例えばグレリンに関する上述の特許文献1の記載を参照して、その他のペプチド又はその誘導体を設計することが出来る。例えば、好ましいペプチド又はその誘導体としては:
配列番号1〜21、好ましくは配列番号1〜9、より好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸配列のいずれか1つを有するペプチド又はその誘導体;
配列番号1〜21のいずれか1つのアミノ酸配列において、アミノ末端から5番目〜カルボキシル末端、好ましくは、アミノ末端から11番目〜カルボキシル末端、より好ましくは、アミノ末端から16番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチド又はその誘導体;
配列番号1〜21のいずれか1つのアミノ酸配列の、少なくともアミノ末端から4番目まで、例えばアミノ末端から5番目まで、7番目まで、10番目まで又は15番目までのアミノ酸配列を有する、ペプチド又はその誘導体;
上記ペプチド又はその誘導体のいずれか1つにおいて、カルボキシル末端がアミド体であるペプチド又はその誘導体;
上記ペプチド又はその誘導体のいずれか1つにおいて、カルボキシル末端に酸性のマスキング及び塩基性基を導入したペプチド又はその誘導体;
上記ペプチド又はその誘導体のいずれか1つにおいて、3位のアミノ酸が、疎水性アミノ酸(例えば、芳香族性の疎水性アミノ酸であるトリプトファン、シクロヘキシルアラニン、ナフチルアラニン等や、脂肪族性の疎水性アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、イルロイシン、バリン等)であるペプチド又はその誘導体;
上記ペプチド又はその誘導体のいずれか1つにおいて、3位のアミノ酸が塩基性であるペプチド又はその誘導体;
上記ペプチド又はその誘導体のいずれか1つにおいて、2位のアミノ酸が、側鎖が比較的小さく、近隣残基の自由度を束縛しないアミノ酸(例えばセリン、アラニン、ノルバリン)であるペプチド又はその誘導体;
上記ペプチド又はその誘導体のいずれか1つにおいて、3位と4位のアミノ酸がともにL-体であるペプチド又はその誘導体;
配列番号1に記載のアミノ酸配列のアミノ末端から5番目までの5アミノ酸残基を有し、5番目のアミノ酸がアミド体であるペプチド又はその誘導体;
配列番号1に記載のアミノ酸配列のアミノ末端から7番目までの7アミノ酸残基を有し、7番目のアミノ酸がアミド体であるペプチド又はその誘導体;
配列番号1に記載のアミノ酸配列のアミノ末端から15番目までの15アミノ酸残基を有し、15番目のアミノ酸がアミド体であるペプチド又はその誘導体;
等が挙げられる。
本明細書中において、本発明に係る物質として用いることが出来るか否かは、例えば、後述の実施例1〜3に記載のように、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質、即ちデスアシルグレリン特異的結合部位に対する結合活性を有する物質であるか否かや、「脊髄神経細胞増殖作用を有する物質」であるか否か(例えば、「ウリジン取り込み促進作用を有する物質」であるか否か)を、当業者に公知の手法を用いて調べることで、判断することができる。
例えば、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質、即ちデスアシルグレリン特異的結合部位に対する結合活性を有する物質であるか否かは、後述の実施例1に記載のように、任意の組織から調製した試料(例えば、摘出した脊髄組織から調製した膜画分)に、[125I]標識デスアシルグレリンのような放射性リガンドを添加して及び添加しないで、試験物質存在下でインキュベートして放射活性を測定し、得た値を解析することで調べることができる。値の解析は、当業者に公知の手法を用いることができ、例えばScatchardの方法を用い、GraphPAD Prism 4 program等のプログラムを用いて、結合サイトの最大数(Bmax)と、解離定数(Kd)を計算することが出来る。デスアシルグレリン特異的結合部位はまだ具体的に同定されていないが、その存在場所の1つは、ラット脊髄細胞中、より特定すれば、ラット脊髄細胞膜上である。
更に、上述のように試験物質とともに放射性リガンドを添加してインキュベートすることで、結合様式(競合型、非競合型、不競合型、混合型等)を調べることも出来る。例えば、標識デスアシルグレリンの結合は、非標識デスアシルグレリン10-3M付近以上の濃度で置換される(IC50は、23.52nM)。
また、例えば、「脊髄神経細胞増殖作用を有する物質」であるか否か(例えば、「ウリジン取り込み促進作用を有する物質」であるか否か)は、チミジンのアナログで、細胞周期S期特異的にDNAに組み込まれるブロモデオキシウリジン(BrdU)を用いて調べることが出来る。例えば、後述の実施例2及び3に記載のように、細胞を、試験物質の存在下又は非存在下で、BrdU添加培地中で培養してBrdUを取り込ませた後、該細胞を、抗BrdU抗体を用いてBrdU取り込み細胞を染色することで、調べることが出来る。この際、特定の細胞に対するマーカー(例えば、神経細胞前駆細胞のマーカーであるネスチンや神経細胞のマーカーであるMap2:Microtuble-associated protein 2)と、BrdUとの二重染色を行うこともできる。また、例えば細胞を、試験物質の存在下又は非存在下で、BrdU添加倍地中で培養してBrdUを取り込ませた後、ELISA法を用いて細胞へのBrdU取り込み量を測定して調べることも出来る。
判断基準としては、試験物質非存在下で培養した細胞(コントロール)と比較して、試験物質存在下で培養した細胞における染色BrdU取り込み細胞の数が多い場合に、該試験物質は脊髄神経細胞増殖作用を有する物質であると判断できる。コントロールと比較して有意差が得られる場合であればよく、特に限定されるものではないが、例えば試験物質存在下で培養した細胞における染色BrdU取り込み細胞の数が、コントロールと比較して105%以上であることが好ましく、より好ましくは110%以上である。
また、試験物質非存在下で培養した細胞(コントロール)と比較して、試験物質存在下で培養した細胞におけるBrdU取り込み量が多い場合にも、該試験物質は脊髄神経細胞増殖作用を有する物質であると判断できる。コントロールと比較して有意差が得られる場合であればよく、特に限定されるものではないが、例えばコントロールと比較して試験物質存在下で培養した細胞におけるBrdU取り込み量が105%以上であることが好ましく、より好ましくは110%以上である。
上記のように脊髄神経細胞増殖作用を有することが確認された物質について、例えば後述の実施例4に記載のように、ラット脊髄損傷モデルに脊髄神経細胞移植と併せて該物質を投与することで、個体における脊髄損傷からの回復に有用な物質であることを確認することができる。
本発明に係るデスアシルグレリン及びその誘導体は常法(例えば、J. Med. Chem., 43, pp.4370-4376, 2000を参照)により得ることが出来る。例えば、天然の原料から単離することや、天然の原料から単離したグレリンの脂肪酸を除去することにより得ることができ、又は組換えDNA技術及び/又は化学的合成によって製造することができる。例えば組換えDNA技術を用いた製法においては、本発明に係るペプチドをコードするDNAを有する発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養し、当該培養物から目的のペプチドを採取することにより本発明に係るデスアシルグレリン及びその誘導体を得ることもできる。
遺伝子を組み込むベクターとしては、例えば大腸菌のベクター(pBR322、pUC18、pUC19等)、枯草菌のベクター(pUB110、pTP5、pC194等)、酵母のベクター(YEp型、YRp型、YIp型)、又は動物細胞のベクター(レトロウィルス、ワクシニアウィルス等)等が挙げられるが、その他のものであっても、宿主細胞内で安定に目的遺伝子を保持できるものであれば、いずれをも用いることができる。当該ベクターは、適当な宿主細胞に導入される。目的の遺伝子をプラスミドに組み込む方法や宿主細胞への導入方法としては、例えば、Molecular Cloninng (Sambrook et al., 1989)に記載された方法が利用できる。
上記プラスミドにおいて目的のペプチド遺伝子を発現させるために、当該遺伝子の上流にはプロモーターを機能するように接続させる。
本願発明において用いられるプロモーターとしては、目的遺伝子の発現に用いる宿主細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、形質転換する宿主細胞がEscherichia属の場合はlacプロモーター、trpプロモーター,lppプロモーター、λPLプロモーター,recAプロモーター等を用いることができ、Bacillus属の場合はSPO1プロモーター、SPO2プロモーター等を用いることができ、酵母の場合はGAPプロモーター、PHO5プロモーター、ADHプロモーター等を用いることができ、動物細胞の場合は、SV40由来プロモーター、レトロウィルス由来プロモーター等を用いることができる。
上記のようにして得られた目的遺伝子を含有するベクターを用いて宿主細胞を形質転換する。宿主細胞としては細菌(例えば、Escherichia属、Bacillus属等)、酵母(Saccharomyces属、Pichia属、Candida属等)、動物細胞(CHO細胞、COS細胞等)等を用いることができる。培養時の培地としては液体培地が適当であり、当該培地中には培養する形質転換細胞の生育に必要な炭素源、窒素源等が含まれることが特に好ましい。所望によりビタミン類、成長促進因子、血清などを添加することができる。
培養後、培養物から本発明に係る物質を常法により分離精製する。例えば、培養菌体又は細胞から目的物質を抽出するには、培養後、菌体又は細胞を集め、これをタンパク質変性剤(塩酸グアニジンなど)を含む緩衝液に懸濁し、超音波などにより菌体又は細胞を破砕した後、遠心分離を行う。次に上清から目的物質を精製するには、目的物質の分子量、溶解度、荷電(等電点)、親和性等を考慮して、ゲル濾過、限外濾過、透析、SDS-PAGE、各種クロマトグラフィーなどの分離精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。
本発明に係るデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン及びその誘導体)は常法により化学合成することができる。例えば、保護基の付いたアミノ酸を液相法及び/又は固相法により縮合、ペプチド鎖を延長させ、酸で全保護基を除去し、得られた粗生成物を上記の精製方法で精製することにより得られる。
またペプチドの製造法は従来既に種々の方法が知られており、本発明に係る物質に含まれるペプチドの製造も公知の方法に従って容易に製造でき、例えば古典的なペプチド合成法に従ってもよいし、固相法に従っても容易に製造できる。
また、組換えDNA技術と化学合成を併用した製法を用いてもよく、修飾アミノ酸残基を含むフラグメントを化学合成により製造し、修飾アミノ酸残基を含まないその他のフラグメントを組換えDNA技術を用いて製造し、その後各々のフラグメントを融合させる方法でも製造することができる(例えば、特許文献1参照)。
本発明に用いることができるデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン及びその誘導体)に係る塩としては薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
以上の塩の中でも特にナトリウム塩、カリウム塩が最も好ましい。
なお、本発明に係るデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質が細胞増殖作用を示す細胞は、Map2及びNestinに関していずれも陽性(免疫染色)であることを踏まえ、本明細書中において「脊髄神経細胞」とは、脊髄神経細胞又は脊髄神経前駆細胞を意味する。
細胞の増殖は、当業者に公知の手法を用いて調べることができ、例えば、チミジンのアナログで、細胞周期S期特異的にDNAに組み込まれるブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込み量、BrdUを取り込んだ細胞の数を計測することで調べることが出来る。そのような計測には、例えば上述したような方法や、後述の実施例に記載の方法を用いることが出来る。
本発明に係るデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)は、本明細書の実施例に具体的に示すとおり、脊髄神経細胞の増殖作用を有することが見出され、特に胎児の脊髄神経細胞数を顕著に増加させることができる。そのような細胞増殖作用は、デスアシルグレリン特異的結合部位を介して起こり得る。
即ち、本発明に係るデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はその薬学的に許容される塩は、脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤において有効成分として用いることができる。
また、本発明に係るデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、個体における脊髄神経損傷の治療方法、脊髄神経細胞の培養における培養脊髄神経細胞の増殖を促進する方法、及び個体における培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生を促進する方法に用いることができる。
更に、本発明に係るデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はその薬学的に許容される塩を、脊髄神経損傷の治療における脊髄神経損傷治療剤、脊髄神経細胞の培養における培養脊髄神経細胞の増殖促進剤、及び培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤を製造する際に使用することができる。
デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はそれらの薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含む本発明の薬剤は、薬理学的に許容しうる担体、賦形剤、増量剤などと混合して個体(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して用いることができる。
本発明の薬剤(治療剤、促進剤)は、脊髄神経再生治療中の個体に対して、非経口的に、例えば静脈内、皮下、筋肉内への注射により、所定量を単回又は複数回に分けて投与することが好ましいが、個体がヒト成人であり特に在宅治療の場合には経鼻投与、経肺投与、坐剤投与が望ましい。
本発明において薬剤の投与量は特に限定されず、使用目的や投与対象の個体の年齢、体重、個体の種類、症状、栄養状態及び併用薬剤等に応じて適宜選択可能であるが、単回又は複数回をヒト成人に投与する場合、デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はその塩を0.001mg〜100mgの範囲で投与することが好ましく、0.01mg〜10mgがより望ましい。
投与期間としては、上記の投与量を1日1回〜数回、4週間〜24週間投与することが好ましく、より好ましくは4週間〜12週間の投与が好ましい。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。
また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
本発明の医薬の製剤形態としては非経口投与に適する製剤形態が好ましく、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、又は筋肉内投与用等の注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤又は吸入剤などを挙げることができるが、上記注射剤の製剤形態が好ましく、特に個体がヒト成人であり在宅治療の場合には経粘膜吸収剤、吸入剤、坐剤等の製剤形態も好ましい。これらの製剤形態は当業者に種々知られており、当業者は所望の投与経路に適する製剤形態を適宜選択し、必要に応じて当業界で利用可能な1又は2以上の製剤用添加物を用いて医薬用組成物の形態の製剤を製造することが可能である。
例えば、注射剤又は点滴剤の形態の医薬は、有効成分であるデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)と共に適切な緩衝液、糖溶液、等張化剤、pH調節剤、無痛化剤、防腐剤などの1又は2以上の製剤用添加物を注射用蒸留水に溶解して滅菌(フィルター)濾過後にアンプル又はバイアル詰めするか、滅菌濾過した溶液を凍結乾燥して凍結乾燥製剤とすることにより調製し提供することができる。添加剤としては、例えばグルコース、マンニトール、キシリトール、ラクトースなどの糖類、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー類、グリセロールなどのアルコール類、グリシンなどのアミノ酸類、血清アルブミンなどのタンパク類、NaCl、クエン酸ナトリウムなどの塩類、酢酸、酒石酸、アスコルビン酸などの酸類、Tween 80などの界面活性剤、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤などを使用することができる。このような製剤は、用時に注射用蒸留水や生理食塩水などを添加して溶解することにより注射剤又は点滴剤として使用できる。また、経粘膜投与には、点鼻剤や鼻腔内スプレー剤などの鼻腔内投与剤(経鼻投与剤)等も好適であり、経肺投与には吸入剤等も好適である。
1製剤中のデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はその塩の含有量は0.001mg〜100mg、好ましくは0.01mg〜10mgであり、1日1回〜数回投与することが望ましい。
単離した脊髄神経細胞の処理方法としては、単離した脊髄神経細胞を培養液中でインキュベートし、インキュベート液中に無菌濾過又はオートクレーブ滅菌して調製したデスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)を0.1nM〜1μM、好ましくは1nM〜100nM、を添加することにより行うことができる。デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質(例えば、デスアシルグレリン)又はその塩を0.0000001mg/L〜0.1mg/L添加することにより行うこともできる。この処理を行うことによって、実施例2及び3に示すように、本来は増殖がほとんど進まない脊髄神経細胞の増殖を促進させることが可能となる。
さらには、実施例4に記載のように、個体の脊髄損傷による機能障害の回復を促進することが可能となる。
本明細書中において、物質(例えば、ペプチド)又はその塩に関し、量に言及する場合(例えば、「物質又はその薬学的に許容される塩を0.001mg〜100mg含有する」、「物質又はその塩の含有量が、0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである」等)、その量は、特別な場合を除き、物質(例えば、ペプチド)としての量を示している。すなわち、塩に関しては、特別な場合を除き、対応する物質(例えば、ペプチド)の相当量として記載されている。
以下に、実施例により本発明を具体的に示す。
実施例1 ラット胎児におけるデスアシルグレリン特異的結合
[125I]標識デスアシルグレリンを放射性リガンドとして用い、胎児脊髄の組織膜へのデスアシルグレリンの結合を調べた。妊娠13〜19日のWistarラット胎児から脊髄組織を摘出し、膜画分(30,000xg沈殿画分)を調製した。Lowry法によってタンパク質含量が10μgと決定された膜画分を、0.13〜16.64nMに濃度増加する[125I]標識デスアシルグレリンアッセイバッファー(50mM Tris-HCl、2.5mM EGTA、0.1% BSA、プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma, MO, USA)、pH 7.4)(最終容量0.5ml)中において、4℃で1時間インキュベートした。非特異的結合の決定のために、1.0μM 非標識デスアシルグレリン存在下でのインキュベートを並行して行い、これを全結合から引くことで特異的結合の値を得た。競合アッセイのために、組織膜を0.1nM 標識デスアシルグレリン及び非標識デスアシルグレリン又はグレリンのいずれかと、4℃で1時間インキュベートした。その後、反応溶液をWhatman GF/Bフィルターで濾過して膜結合画分を分離した。フィルター上の膜の放射活性を、ガンマカウンターで測定した。Scatchardの方法を用い、GraphPAD Prism 4 program (GraphPAD Software, CA, USA)を用いて、結合サイトの最大数(Bmax)と、解離定数(Kd)を計算した。
結果を図1に示す。標識デスアシルグレリンについて、特異的、高親和性かつ飽和性の結合が観察された(Kd=3.467, Bmax=8.79fmol/mg protein)。脊髄膜画分への標識デスアシルグレリンの結合は、非標識デスアシルグレリン約10-3M付近以上の濃度で置換された。デスアシルグレリンのIC50は、23.52nMであった。
以上のことから、胎児の脊髄膜画分にデスアシルグレリン特異的結合部位の発現が確認された。
実施例2 ラット培養胎児脊髄神経細胞におけるデスアシルグレリンのBrdU取り込み促進作用、細胞増殖作用
(1) 妊娠17日のWistar系ラットより麻酔下に胎児を摘出した。この胎児から、脊髄を採取して、冷ハンクス液内でパパイン消化し、ピペッティングによる機械的分離を経て、胎児脊髄神経細胞の分散液を得た。ここで得られた細胞は、Map2及びNestin陽性であることから、脊髄神経細胞及び脊髄神経前駆細胞であることが分かった。この分散細胞を、NaHCO3、5% ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するDMEM培地に懸濁し、ラミニン被覆96穴マルチウエルプレートに、105 細胞/wellを播種した。4日間のインキュベート後、これにデスアシルグレリン(0.03〜300nM)を添加して12時間インキュベートし、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)(10nM)を添加して更に6時間インキュベートして、デスアシルグレリンのBrdU取り込みに対する作用を検討した。
(2) 上記インキュベート終了後、細胞を回収し、Cell Proliferation ELISA Kit(Roche Diagnostic GmbH. Mannheim, Germany)を用いて胎児脊髄神経細胞へのBrdU取り込み量を測定して脊髄神経細胞の増殖作用を検討した。
結果を図2Aに示す。胎児培養脊髄神経細胞にデスアシルグレリンを作用させると、3nM以上のデスアシルグレリンにより細胞へのBrdU取り込みが増加した。
(3) 上記(1)のインキュベート終了後、細胞をメタノール、氷酢酸で固定し、2N HClでDNAを変性させた後に、細胞に取り込まれたBrdUを、ラット抗BrdUモノクローナル抗体(1:1000, Abcam, Cambridge, UK)を一次抗体として用い、CyTM 3-conjugatedロバ抗ラットIgGポリクローナル抗体(1:1000, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., PA, USA)を二次抗体として用いて、BrdU陽性細胞を検出して脊髄細胞への増殖作用を検討した。対照としてデスアシルグレリンの代わりに生理食塩水を作用させた場合と比較した。
結果を図2B、2Cに示す。デスアシルグレリンの代わりに生理食塩水を作用させた場合(図2B)に比べて、デスアシルグレリンを作用させた場合には BrdU 取り込みが増加し、且つBrdU取り込み細胞数が増加した(図2C)。即ち、デスアシルグレリンの脊髄神経細胞増殖作用が細胞レベルでも確認された。
以上のことから、胎児培養脊髄神経細胞にデスアシルグレリンを作用させると、BrdU取り込みが増加すると共にBrdU取り込み細胞数が増加し、デスアシルグレリンには脊髄神経細胞を増殖させる作用があることが明らかとなった。
実施例3 培養脊髄神経細胞におけるデスアシルグレリン及びその誘導体のBrdU取り込み促進作用
妊娠16日のWistar系ラットより麻酔下に開腹して胎児を摘出した。この胎児から、脊髄を採取して冷ハンクス液内でパパイン消化し、ピペッティングによる機械的分離を経て胎児脊髄神経細胞の分散液を得た。この分散細胞を濾過及び遠心分離した後、NaHCO3、5% ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するDMEM培地に懸濁し、ラミニン被覆96穴マルチウェルプレートに105細胞/well を播種した。4日間のインキュベート後、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)(10μM)を添加して6時間インキュベートし、更にラットデスアシルグレリン、デスアシルグレリン(1-5)-NH2(GSSFL-NH2、配列番号22)、デスアシルグレリン(1-7)-NH2(GSSFLSP-NH2、配列番号23)又はデスアシルグレリン(1-15)-NH2(GSSFLSPEHQRVQQR-NH2、配列番号24) (0.03〜3nM)を添加して12時間インキュベートし、デスアシルグレリン及びその誘導体のBrdU取り込み作用を検討した。
インキュベート終了後、細胞を回収して、Cell Proliferation ELISA Kit(Roche Diagnostic GmbH, Mannheim, Germany)を用いて細胞へのBrdU取り込み量を測定して、脊髄神経細胞の増殖作用を検討した。
結果を表1に示す。脊髄神経細胞にデスアシルグレリンを作用させると、0.3nM以上のデスアシルグレリンにより細胞へのBrdU取り込みが増加したことから、デスアシルグレリンには脊髄神経細胞を増殖させる作用があることが確認された。
また、デスアシルグレリンの誘導体を用いてもこのような脊髄神経細胞増殖作用が認めらられ、特にデスアシルグレリン(1-7)-NH2又はデスアシルグレリン(1-15)-NH2を作用させると細胞へのBrdU 取り込みが顕著に増加し、デスアシルグレリン及びその誘導体であって、デスアシルグレリンのアミノ末端から5番目以上、好ましくは7番目以上のペプチド鎖を持つものには脊髄神経細胞数を増殖させる作用があることが細胞レベルで確認された。
Figure 2008018597
実施例4 ラット脊髄損傷モデルにおける、脊髄神経細胞移植及びデスアシルグレリン局所投与の評価
Morino, T. et al, Neuroscience Research, 2003, vol. 46, pp 309-318に記載の手法に準じ、ラット脊髄損傷モデルにおける、脊髄神経細胞移植及びデスアシルグレリン局所投与の評価を行った。SD系雄性ラット(8〜9週齢)をペントバルビタールで麻酔し、背部を切開して脊椎骨(L11)を露出させた。椎弓を切除した後、歯科用ドリルで直径約3mmの窓を開けて、シリコン性ゴムをステンレス針に固定したものを垂直に当て、上部に重さ20gの重しを負荷した。圧迫時間は30分間とし、最後に上部から重さ約100g相当の落下障害を加え、下肢の運動障害を起こしたモデルを作成した。群構成は、1) シャムオペ群、2) 脊髄損傷コントロール群、3) 脊髄損傷+細胞移植+デスアシルグレリン局所投与群、とした。シャムオペ群は椎弓切除までで筋肉、皮膚を縫合した。脊髄損傷を加えた後に、培養脊髄神経細胞 105 cells/25μLを硬膜下に移植した。ラットデスアシルグレリンは、細胞とともに1nmol を硬膜下に投与した。
手術後24時間に、シースルーケージ内にラットを移し、立ち上がり回数を観察した(3分間観察)。主要観察項目としては、ラット後肢の機能を反映する立ち上がり(上肢を持ち上げ、下肢のみで体重を支える姿勢)の、単位時間あたりの回数を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2008018597
表2に示すように、脊髄損傷モデル・コントロール群において立ち上がり回数が術前の10.7回が1.3回に減少したが、細胞移植+デスアシルグレリンの局所投与により立ち上がり回数が回復した。

Claims (16)

  1. デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、脊髄神経損傷治療剤。
  2. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項1の治療剤。
  3. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項2の治療剤。
  4. 前記物質又はその薬学的に許容される塩を、0.001mg〜100mg含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の治療剤。
  5. デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその塩を有効成分とする、脊髄神経細胞の培養における脊髄神経細胞増殖促進剤。
  6. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項5の促進剤。
  7. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項6の促進剤。
  8. 脊髄神経細胞の培地中の前記物質又はその塩の含有量が、0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、請求項5〜7のいずれか1項に記載の促進剤。
  9. デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、培養脊髄神経細胞移植時の脊髄神経再生促進剤。
  10. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項9の治療剤。
  11. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項10の治療剤。
  12. 前記物質又はその薬学的に許容される塩を、0.001mg〜100mg含有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の治療剤。
  13. デスアシルグレリン特異的結合部位に作用する物質又はその塩を用いることを特徴とする、培養脊髄神経細胞の増殖を促進する方法。
  14. 前記物質が:
    (1) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチド;
    (2) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から4番目までのアミノ酸配列を有し、且つアミノ末端から5番目〜カルボキシル末端までのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;及び
    (3) 配列番号1〜21のいずれか1つに記載のアミノ酸配列のアミノ末端から少なくとも4番目までの配列を有するペプチドであって、脊髄神経細胞増殖作用を有するペプチド;
    からなる群から選択されるペプチド又はその誘導体である、請求項13の方法。
  15. 前記物質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項14の方法。
  16. 培養脊髄神経細胞の培地中の前記物質又はその塩の含有量が、0.0000001mg/L〜0.1mg/Lである、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
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