JPWO2008013057A1 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、熱可塑性樹脂が本来有している剛性を損なわずに、耐熱性(高結晶化性)および透明性が改善された樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物からなる成形体を提供すること。本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)およびトリメシン酸のトリス(アミノ酸エステル)アミド類からなる結晶核剤(B)を含むことを特徴とする。前記結晶核剤(B)はトリメシン酸のトリス(バリンエステル)アミド類またはトリメシン酸のトリス(ロイシンエステル)アミド類であることが好ましく、また、前記熱可塑性樹脂(A)は乳酸系樹脂であることが好ましく、ポリ乳酸であることがより好ましい。

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。より詳しくは、透明性、結晶化速度および耐熱性を向上させた乳酸系樹脂組成物および該組成物からなる成形体に関する。
地球環境問題への意識が高まる中、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂と比べてリサイクルがし易く、その用途は年々広がりを見せている。
一方で、化石原料や石油資源の枯渇、二酸化炭素の増大が問題視されているため、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂や植物を原料として合成する樹脂の研究開発も活発に行われており、脂肪族ポリエステルの中でも特に、優れた成形性を有するポリ乳酸は、とうもろこし等の穀物資源から発酵により得られる乳酸を原料とする、植物由来の樹脂として注目されている。
一般に熱可塑性樹脂は、加熱や加圧により成形が容易であるという利点がある一方、ガラス転移点(Tg)以上では軟化してしまうことから、耐熱性に難がある。これを解決する手段として、ガラスファイバー、カーボンファイバー、タルク、シリカ等の副資材による補強も行われるが、結晶性を有する樹脂においては結晶化を促進することにより、耐熱性の大幅な向上を図ることが可能である。
しかしながら、ポリ乳酸は、結晶化速度が遅く、耐熱性が低いため、用途展開に限界があった。特に、ポリ乳酸非晶成形体の場合、軟化温度が60℃未満であるため、日常の使用環境下において白化や変形等を生じやすいという問題点が指摘されている。
また、熱処理(アニール)をして結晶性を上げることによりポリ乳酸の耐熱性を向上させようとすると、通常、光を散乱する原因となる光の波長と同程度以上の大きさの結晶(例えば、球晶)が急速に成長し、不透明になる問題点がある。
このような問題を解決するため、ポリ乳酸に各種添加剤を添加することにより、耐熱性、透明性を向上させる試みが多数なされている。
特許文献1には、核剤としてリン酸エステル金属塩、含水珪酸マグネシウム等の添加が効果的であると記載されている。しかしながら、その様な核剤を用いた場合、透明性が損なわれるという欠点がある。また、一般的に用いられるタルクは、結晶化速度の観点のみならば実用範囲内であるが、そのためには添加量が1%以上必要となる場合が多く、ポリ乳酸本来の特性である透明性を損なう欠点がある。
特許文献2には、核剤として脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸エステルから選択される少なくとも一種を透明核剤として添加する方法が記されている。しかしながら、この場合、結晶化度33%でヘイズ6.5%であり、十分な結晶化度と透明性とを兼ね備える結果は得られなかった。
特許文献3には、特定の官能基を有する化合物を開始剤とするポリ乳酸と無機フィラーを用いる方法が記載されている。しかしながら、この方法では、スリップ性が改良されたものの、無機フィラーを添加していることで、透明性を確保することはできなかった。
特開2003-192884号公報 特開平9-278991号公報 特開2004-285121号公報
本発明の課題は、熱可塑性樹脂が本来有している剛性を損なわずに、耐熱性(高結晶化性)および透明性が改善された樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。また、本発明は、前記組成物に好適に用いられる新規な結晶核剤を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、特定の結晶核剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)およびトリメシン酸のトリス(アミノ酸エステル)アミド類からなる結晶核剤(B)を含むことを特徴とする。
本発明の熱可塑性組成物は、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、前記結晶核剤(B)を0.01〜10重量部の量で含むことが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A)は乳酸系樹脂(A’)であることが好ましく、前記乳酸系樹脂(A’)はポリ乳酸であることが好ましい。
前記結晶核剤(B)はトリメシン酸のトリス(バリンエステル)アミド類またはトリメシン酸のトリス(ロイシンエステル)アミド類であることが好ましく、さらにエステルとしてはメチルエステルまたはエチルエステルが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、該組成物を220℃で3分間溶融した後、99℃/分の冷却速度で100℃まで冷却し、100℃で保持した際の等温結晶化時間が5分以内であることが好ましい。
本発明の成形体は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物からなり、厚み100μmでのヘイズが0.1〜15%であり、かつ結晶化度が35%以上であることを特徴とする。
また、本発明は、上記結晶核剤(B)として好適に用いることができる新規な化合物として、下記一般式(1)で表されるトリメシン酸トリス(バリンエステル)アミド化合物および下記一般式(2)で表されるトリメシン酸トリス(ロイシンエステル)アミド化合物についても提供する。
Figure 2008013057
(式中、R1はメチル基またはエチル基を表す。)
Figure 2008013057
(式中、R1はメチル基またはエチル基を表す。)
本発明によって結晶化速度および透明性が改善され、従来困難であった成形サイクル短縮、耐熱性および透明性の必要とされる製品への適用が可能となり、ポリ乳酸系樹脂に代表されるグリーンプラスチックの使用拡大に貢献できる。
実施例1で得られたトリメシン酸トリスバリンメチルエステルアミドの1H-NMRチャートである。 実施例2で得られたトリメシン酸トリスロイシンメチルエステルアミドの1H-NMRチャートである。 実施例3で得られたトリメシン酸トリスバリンエチルエステルアミドの1H-NMRチャートである。 実施例4で得られたトリメシン酸トリスロイシンエチルエステルアミドの1H-NMRチャートである。
以下、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物およびその成形体について詳細に説明する。まず、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることができる各成分について説明する。
<熱可塑性樹脂(A)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、結晶性を有するものであれば特に限定されない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、乳酸系樹脂(A’)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PTFE等のフッ素樹脂および液晶性ポリマー(LCP)などが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、乳酸系樹脂(A’)が好ましい。なお、以下において、熱可塑性樹脂として乳酸系樹脂(A’)を含む場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物を「乳酸系樹脂組成物」と称することがある。
本発明の組成物に好適に用いられる「乳酸系樹脂」とは、L-乳酸単位および/またはD-乳酸単位を少なくとも50モル%以上、好ましくは75モル%以上含有する重合体を主成分とする重合体組成物を意味するものであり、乳酸の重縮合や乳酸の環状二量体であるラクチドの開環重合によって合成される。
乳酸系樹脂(A’)は、乳酸と共重合可能な他のモノマーが共重合されたものでもよい。好ましくは乳酸単位が100モル%のポリ乳酸であり、さらに好ましくはL-乳酸またはD−乳酸由来の構成単位が95モル%以上、より好ましくは97モル%以上であるポリ乳酸である。また、乳酸系樹脂(A’)には、乳酸単位が50モル%以上含有された重合体以外に、該重合体の性質を著しく損なわない範囲で、他の樹脂や添加物等が混合された組成物であってもよい。
上記乳酸系樹脂(A’)の重量平均分子量(Mw)は5,000〜500,000、好ましくは10,000〜400,000、さらに好ましくは50,000〜300,000である。
乳酸と共重合可能なモノマーとしては、ヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、カプロン酸等)、脂肪族多価アルコール(例えば、ブタンジオール、エチレングリコール等)および脂肪族多価カルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸等)などが挙げられる。
上記乳酸系樹脂(A’)がコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。これらは、少なくとも一部が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の二官能以上等の多価アルコール;キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート等のような多価イソシアネート;セルロース、アセチルセルロースやエチルセルロース等のような多糖類などが共重合されたものでもよい。また、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造等のいずれの構造をとってもよい。
ラクチド、乳酸またはその他のモノマーの重合を行う際に溶媒を使用しても構わない。溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジグリムなどのエーテル系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,1,2,2,−テトラクロロエタン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などが用いられる。
これらの溶媒は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。ラクチドや乳酸の溶解性、反応温度、反応速度、反応終了後の溶媒除去の容易性等の点から、芳香族炭化水素とエーテル系溶媒が好ましく、特に好ましくはキシレン、トルエンである。溶媒の使用量は、ラクチドまたは乳酸の合計量に対して、0.1〜20倍、好ましくは0.5〜3倍の範囲で選択される。
また、重合において用いられる触媒としては公知のものを使用できる。例えば、オクタン酸スズ(2-エチルヘキサン酸スズ)、ジラウリン酸ジブチルスズ、塩化スズ等のスズ系触媒、塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド等のチタン系触媒、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛系触媒が挙げられる。これらの中では、好ましくはスズ系触媒、より好ましくはオクタン酸スズである。触媒の使用量は、乳酸やラクタイド等のモノマー100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.003〜1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。
重合温度は、60℃〜250℃、好ましくは100℃〜230℃である。たとえば、溶媒を用いない場合、反応温度は150〜200℃程度が好ましい。また、例えば、溶媒にキシレンを用い、触媒としてオクタン酸スズを用いて重合開始剤にラクチドを反応させる場合、反応温度は110〜150℃程度が好ましい。
重合時間は、用いるモノマーの種類、重合温度、触媒量などにより異なるが、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜12時間、さらに好ましくは1〜6時間であり、現実的には反応の際、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により分子量(重量平均分子量)を測定し、所望の分子量に到達した時点を反応終点として決定すればよい。
<結晶核剤(B)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる「結晶核剤」とは、上記熱可塑性樹脂に添加した際に、結晶化の際に核剤となるもので、かつ透明性を付与するものであり、具体的にはトリメシン酸のトリス(アミノ酸エステル)アミド類である。
上記トリメシン酸のトリス(アミノ酸エステル)アミド類は、トリメシン酸とアミノ酸エステル類とのアミド化反応により製造することができる。トリメシン酸とアミノ酸エステル類とのアミド化反応は公知慣用の方法で行うことができ、たとえば、トリメシン酸とアミノ酸エステル類との脱水反応や、トリメシン酸クロライドとアミノ酸エステル類との脱塩化水素反応などの方法で行うことができる。反応時の副生物や着色等の問題を考慮すれば、トリメシン酸クロライドとアミノ酸エステルまたはアミノ酸エステル塩酸塩を用いることが好ましく、アミノ酸エステル塩酸塩が最も好ましい。
上記アミノ酸エステル類としては、たとえば、グリシンメチルエステル、グリシンエチルエステル、バリンメチルエステル、バリンエチルエステル、バリン−n−プロピルエステル、バリン−i−プロピルエステル、ロイシンメチルエステル、ロイシンエチルエステル、ロイシン−n−プロピルエステル、ロイシン−i−プロピルエステル、アラニン−i−プロピルエステル、アスパラギン酸エチルエステル、アスパラギン酸−n−プロピルエステル、アスパラギン酸−i−プロピルエステル、およびこれらの塩酸塩などを挙げることができる。これらの中では、好ましくはバリンエステル類、ロイシンエステル類であり、エステルとしてはメチルエステルおよびエチルエステルが好ましい。
上記アミド化反応の形態は特に限定されないが、副反応や着色の抑制を考慮すれば、反応に対して不活性な溶媒を用いて、マイナス20℃〜200℃の範囲、好ましくはマイナス10℃〜150℃の範囲、より好ましくはマイナス5℃〜100℃の範囲で行うことがよい。
この時用いられる溶媒の種類としては、各原料および反応に対して不活性なものであれば特に限定されず、たとえば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、p−シメン等の脂肪族または芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の脂肪族または芳香族ハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(グライム)、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。
上記溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら溶媒の使用量は、任意の量で行えばよいが、撹拌および反応効率を考慮すれば、通常反応基質の合計量に対して1〜100重量%の範囲、好ましくは1.5〜50重量%の範囲、さらに好ましくは、2〜25重量%の範囲である。なお、上記反応において、反応基質および生成物は必ずしも反応溶媒に溶解していなくてもよい。
また、トリメシン酸源としてトリメシン酸クロライドを用いる場合、脱塩化水素剤としての塩基の使用は任意であるが、低温において効率よく反応を行うためには、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基を当量以上で用いることが望ましい。
上記結晶核剤(B)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記結晶核剤(B)は、上記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部の範囲の量で用いることができる。結晶核剤(B)の含有量が前記範囲内であることにより、結晶核剤としての効果が大きく発現し、高い結晶化速度、透明性を兼ね備えた樹脂組成物が得られる。
<各種添加剤等>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、目的(例えば、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性、難燃性等の向上)に応じて、上記成分(A)および(B)以外の他の樹脂もしくは重合体や各種添加剤を添加してもよい。
他の樹脂もしくは重合体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、非晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、エチレン・α-オレフィン共重合ゴム、共役ジエン系ゴム、スチレン系ゴム、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
各種添加剤としては、たとえば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、有機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、染料、核化剤、滑剤、天然物等を挙げることができ、好ましくは可塑剤が挙げられる。
可塑剤としては、たとえば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、ジブチルセバケート、シリコーンオイルなどが挙げられる。
無機添加剤や滑剤は、フィルムもしくはシートのブロッキング防止やすべり性を改良するために用いることができる。このような無機添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、カオリン、カオリナイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ワラストナイト、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、マグネシウムオキシサルフェート繊維、チタン酸カリウム繊維、亜硫酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレー、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、無機添加剤としてガラス繊維を用いることにより、樹脂組成物の耐熱性向上が期待できる。
有機添加剤としては、デンプン及びその誘導体、セルロース及びその誘導体、パルプ及びその誘導体、紙及びその誘導体、小麦粉、おから、ふすま、ヤシ殻、コーヒー糟、タンパクや、フタル酸系、脂肪族多塩基酸系、グリセリン系、クエン酸系、グリコール系、オレフィン系の低分子量体や、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の樹脂、重合体または添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜選択される。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、公知の製造方法を適宜採用することができる。例えば、高速撹拌機または低速撹拌機等を用いて、各成分を予め均一に混合した後、樹脂の融点以上において十分な混練能力のある一軸もしくは多軸の押出機で溶融混練する方法、溶融時に混合混練する方法、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などを採用することができる。
熱可塑性樹脂組成物の製造は、成形体の成形前に行ってもよく、組成物の製造と成形とを同時に行ってもよい。成形前に組成物を製造する場合、樹脂組成物の形状はペレット、棒状または粉末などが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、結晶化速度が速いという点で優れる。ここで、本発明における「結晶化速度」とは、示差走査熱量測定(DSC)分析において、ポリマーを昇温して融解した後、一定速度で所定の温度まで冷却し、その所定の温度で保持した際に、その所定の温度に保持した時点から結晶化のための発熱ピークが最大値となるまでの時間(以下「等温結晶化時間」ともいう。)によって求められる。この時間が短ければ結晶化速度は速いことになる。なお、前記所定の温度とは、測定するポリマーによって適宜選択される。
上記等温結晶化時間は、具体的には、本発明のように樹脂が乳酸由来のユニットにより構成されている場合、フィルム状のポリマー5〜6mgを秤量し、窒素シールしたパンに計り込み、窒素シールされた予め30℃に設定されたDSC測定部に装入した後、100℃/minの昇温速度で昇温し、220℃で3分間溶融した後、99℃/minの冷却速度で所定の結晶化温度(例えば100℃)まで冷却して保持した際に、所定の温度まで冷却された時点から結晶化のための発熱ピークが最大値となるまでの時間によって求められる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の等温結晶化時間は、5分以内、好ましくは0.1〜4分、さらに好ましくは0.2〜3分、より好ましくは、0.2〜1.0分である。
<成形体>
本発明の成形体は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物、好ましくは乳酸系樹脂組成物からなる。本発明の成形体は、公知公用の方法、たとえば、以下のような方法で製造することができる。
(1)押出成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、一般的なTダイ押出成形機で成形することにより、フィルムやシートを成形することができる。
(2)射出成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物のペレットを溶融軟化させて金型に充填し、成形サイクル20〜300秒で成形体が得られる。
(3)ブロー成形(射出ブロー成形、延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形)においては、たとえば、射出ブロー成形の場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、一般的な射出ブロー成形機で溶融して金型に充填することにより、予備成形体を得る。得られた予備成形体をオーブン(加熱炉)中で再加熱した後、一定温度に保持された金型内に入れて、圧力空気を送出してブローすることによりブローボトルを成形することができる。
(4)真空成形・真空圧空成形においては、上記(1)の押出成形と同様の方法により成形したフィルムやシートを予備成形体とする。得られた予備成形体を加熱して、一旦、軟化させた後、一般的な真空成形機を用いて、一定温度に保持された金型内で、真空成形または真空圧空成形することにより、成形体を得ることができる。
(5)積層体成形においては、上記(1)の押出成形の方法で得たフィルムやシートと他の基材とを、接着剤や熱でラミネーションする方法;上記(1)の押出成形の方法と同様の方法で、Tダイから溶融樹脂を直接、紙、金属、プラスチックなどの基材上へ押出す押出ラミネーション法;本発明の樹脂組成物などを別の押出機で各々溶融し、ダイヘッドで合流させて同時に押し出す共押出法;これらを組み合わせた共押出ラミネーションなどの方法で積層成形体を得ることができる。
(6)テープヤーン成形においては、上記(1)の押出成形と同様の方法により成形したフィルムやシートを特定の幅にスリットし、60℃〜140℃の温度範囲で一軸に熱延伸し、必要に応じてさらに80℃〜160℃の温度範囲で熱固定することで成形体を得ることができる。
(7)糸成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、押出機を用いて150〜240℃の温度で溶融し、紡糸口金から吐出させる溶融紡糸法により糸を得ることができる。必要に応じて、60℃〜100℃の温度範囲で一軸に熱延伸し、場合によってはさらに80℃〜140℃の温度範囲で熱固定することで糸を成形することができる。
(8)不織布成形においては、スパンボンド法またはメルトブローン法により成形体を成形することができる。スパンボンド法では、上記(7)の糸成形と同様の方法で、多孔の紡糸口金を用いて溶融紡糸し、紡糸口金の下部に設置したエアーサッカを用いて延伸してウェブを形成し、捕集面に堆積させ、さらにこれをエンボスロールおよび平滑ロールにて圧着または熱融着させることで不織布を得ることができる。メルトブローン法では、多孔の紡糸口金から吐出された溶融樹脂が、加熱気体吹出口から吹き出される高速度の加熱気体と接触して微細なファイバーに繊維化され、さらに移動支持体上に堆積されることで不織布を得ることができる。
本発明の成形体は、80℃〜120℃で1〜300秒間熱処理した後の厚み100μmでのヘイズが0.1〜15%、好ましくは0.1〜12%、さらに好ましくは0.1〜11%であり、かつ、結晶化度が35%以上、好ましくは38〜60%。さらに好ましくは40〜55%である。
本発明における「結晶化度」とは、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる。具体的には、まず、プレス成形によって得られた無配向フィルムを105℃のオーブンで所定時間熱処理する。熱処理後のフィルムを5〜6mg秤量し、窒素シールしたパンに計り込み、窒素シールされた予め30℃に設定されたDSC測定部に装入し、10℃/minの昇温速度で昇温し220℃まで昇温する。結晶化エンタルピー(ΔHc)、結晶融解エンタルピー(ΔHm)を測定し、[[(ΔHm−ΔHc)/(ΔH0)]×100]を求め、これを結晶化度とする。ここで、ΔH0は完全理想結晶融解エンタルピーを表し、たとえば、ポリ乳酸のΔH0は93J/gである。また、本発明における「ヘイズ」は、ヘイズメーターで測定した値である。
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した種々の成形加工方法により成形することができ、特に限定されることなく様々な用途に好適に使用することができる。また、これらの成形品は、自動車部品、家電材料部品、電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材および日用品、各種フィルム、通気性フィルムやシート、一般産業用途及びレクリエーション用途に好適な発泡体、糸やテキスタイル、医療又は衛生用品などの各種用途に利用することができ、好ましくは耐熱性、耐衝撃性が必要とされる自動車材料部品、家電材料部品、電気・電子材料部品あるいは耐熱性および透明性が求められる日用品に利用することができる。
具体的には、自動車部品材料用途では、フロントドア、ホイルキャップなどのこれまで樹脂部品が用いられている部品への展開、家電材料部品用途ではパソコン、ヘッドホンステレオ、携帯電話などの製品の筐体部品への展開、電気・電子部品では、反射材料フィルム・シート、偏光フィルム・シート、日用品では飲用カップ、野菜トレーやブリスターパック等への展開が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<液体クロマトグラフィー(純度分析)>
検出器:日本分光(株)社製「UV1570」、ポンプ:日本分光(株)社製「PU1580」2台並列、(カラム:(株)ワイエムシー社製「YMC A−312」、カラム温度:35℃、移動相:アセトニトリル/水=70/30(V/V)、流量:1mL/min)を用い、ピーク面積比から純度を求めた。
<結晶化速度(等温結晶化時間)>
DSC(島津製作所製「DSC−60」)により求めた。プレス成形によって得られた無配向フィルム5〜6mgを秤量し、窒素シールしたパンに計り込み、窒素シールされた予め30℃に設定されたDSC測定部に装入した後、100℃/minの昇温速度で昇温し、220℃で3分間溶融した。溶融後、99℃/minの冷却速度で100℃まで冷却し、100℃に冷却された時点を開始時間として、結晶化ピークが最大になる時間を求めた。
<結晶化度>
DSC(島津製作所製「DSC−60」)により求めた。プレス成形によって得られた無配向フィルムを105℃のオーブンで所定時間熱処理し、処理後のフィルム5〜6mgを秤量し、窒素シールしたパンに計り込み、窒素シールされた予め25℃に設定されたDSC測定部に装入した後、10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温した。結晶化エンタルピー(ΔHc)、結晶融解エンタルピー(ΔHm)を測定し、[[(ΔHm−ΔHc)/(ΔH0)]×100]を求め、これを結晶化度とした。ここで、ΔH0は完全理想結晶融解エンタルピーを表し、ポリ乳酸の数値93J/gを使用した。
<透明性(HAZE)>
JISK7105に基づきヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)により求めた。
〔実施例1〕
(結晶核剤の合成)
攪拌機、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備え付けた200mLガラス製反応装置に、L−バリンメチルエステル塩酸塩20.78g(124mmol)、ピリジン23.7g(300mmol)およびクロロホルム100mLを入れ、窒素を流しながら室温で溶解させた。その後、氷水浴で冷却して2〜3℃の条件下とし、トリメシン酸クロリド10.62g(40mmol)をクロロホルム40mLに溶解させた溶液を、滴下ロートを用いて同温度にて2時間かけて滴下し、同温度にて3時間反応させた。
反応後、氷水浴を外して室温まで戻した。この反応液を1L分液ロートに移し、蒸留水200mLで洗浄し、下層(クロロホルム層)を分液し、これを0.5N塩酸水200mLで洗浄し、下層を分液した。次いで、分液した下層を0.5N炭酸水素ナトリウム水200mLで洗浄し、下層を分液した。さらに分液した下層を10wt%塩化ナトリウム溶液200mLで洗浄し、下層を分液した。この分液した下層に無水硫酸ナトリウム50gを加え、室温で2時間マグネチックスターラーにて攪拌および脱水した後、濾過およびクロロホルム洗浄し、濾洗液をエバポレーターにて濃縮乾固した。さらに、この濃縮物にトルエン100mLを加え、エバポレーターにて濃縮乾固した。このようにして得られた濃縮物にトルエン160gを加えたスラリーを冷却した後、濾過および洗浄し、濾塊を乾燥して10.9gの白色粉体(以下「結晶核剤(B−1)」ともいう。)を得た。
高速液体クロマトグラフィーによる結晶核剤(B−1)の純度は99.0Area%であった。また、NMR測定および元素分析等により、得られた結晶核剤(B−1)が、下記式(I)で示されるトリメシン酸トリスバリンメチルエステルアミドであることを確認した。元素分析の結果を表1に示す。また、1H-NMRチャートを図1に示す。なお、1H-NMR測定は、CDCl3を溶媒とし、日本電子(株)社製「GSX 270」を用いて行った。
Figure 2008013057
Figure 2008013057

〔実施例2〕
(結晶核剤の合成)
攪拌機、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備え付けた500mLガラス製反応装置に、トリメシン酸クロライド26.8g(0.1mol)、L−ロイシンメチルエステル塩酸塩56.3g(0.31mol)、テトラヒドロフラン300mLを入れ、窒素を流しながら室温で溶解させた。その後、ピリジン57.9g(0.732mol)およびテトラヒドロフラン57.9gの混合溶液を、滴下ロートを用いて1.5時間かけて滴下した後、同温度にて3時間反応させた。反応に伴い発熱を生じたが、水冷により室温を保ちながら反応を行った。
得られた反応マスは、副生したピリジン塩酸塩の結晶を含むスラリーであり、蒸留水1L中に排出して1時間撹拌を行った後、濾過を行い目的とするトリメシン酸トリスロイシンメチルエステルアミドの結晶を得た。この結晶をさらに500mLの蒸留水により2回スラッジング(撹拌洗浄および濾過)を行い、濾塊を乾燥して64.9gの白色粉体(以下「結晶核剤(B−2)」ともいう。)を得た。
高速液体クロマトグラフィーによる結晶核剤(B−2)の純度は99.1Area%であった。また、NMR測定および元素分析等により、得られた結晶核剤(B−2)が、下記式(II)で示されるトリメシン酸トリスロイシンメチルエステルアミドであることを確認した。元素分析の結果を表2に示す。また、1H-NMRチャートを図2に示す。
Figure 2008013057
Figure 2008013057
〔実施例3〕
(結晶核剤の合成)
実施例2におけるL−ロイシンメチルエステル塩酸塩56.3g(0.31mol)をL−バリンエチルエステル56.3g(0.31mol)に変えた以外は実施例2と同様にして、白色粉体(以下「結晶核剤(B−3)」ともいう。)65.1gを得た。高速液体クロマトグラフィーによる結晶核剤(B−3)の純度は99.3Area%であった。また、NMR測定および元素分析等により、得られた結晶核剤(B−3)が、下記式(III)で示されるトリメシン酸トリスバリンエチルエステルアミドであることを確認した。元素分析の結果を表3に示す。また、1H-NMRチャートを図3に示す。
Figure 2008013057
Figure 2008013057

〔実施例4〕
(結晶核剤の合成)
実施例2におけるL−ロイシンメチルエステル塩酸塩56.3g(0.31mol)をL−ロイシンエチルエステル67.6g(0.31mol)に変えた以外は実施例2と同様にして、白色粉体(以下「結晶核剤(B−4)」ともいう。)76.2gを得た。高速液体クロマトグラフィーによる結晶核剤(B−4)の純度は99.3Area%であった。また、NMR測定および元素分析等により、得られた結晶核剤(B−4)が、下記式(IV)で示されるトリメシン酸トリスロイシンエチルエステルアミドであることを確認した。元素分析の結果を表3に示す。また、1H-NMRチャートを図4に示す。
Figure 2008013057
Figure 2008013057
〔実施例5〜10〕
実施例1〜4で合成した結晶核剤(B−1)〜(B−4)と市販のポリ乳酸(A−1)[三井化学製、登録商標LACEA、グレードH−100、Mw=17.3万]とを、ラボプラストミルを用いて、温度200℃、時間5分および回転数50rpmの条件で、表5に示す重量部で混練した。混練物を、200℃および10MPaの条件で5分間プレスし、厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィルムの等温結晶化時間を、上記のようにして測定した。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れてアニール(熱処理)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表5に示す。
〔比較例1〕
市販のポリ乳酸(A−1)[三井化学製、登録商標LACEA、グレードH−100、Mw=17.3万]100重量部に対して、結晶核剤(EBL:エチレンビスラウリン酸アミド)を表5に示す量で用いた以外は、実施例5〜10と同様にしてフィルムを作製し、等温結晶化時間、結晶化度および透明性を測定した。結果を表5に示す。
〔比較例2〕
透明核剤を用いずに、市販のポリ乳酸(A−1)[三井化学製、登録商標LACEA、グレードH−100、Mw=17.3万]100重量部を用いたこと以外は、実施例5〜10と同様にしてフィルムを作製し、等温結晶化時間、結晶化度および透明性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2008013057

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂(A)およびトリメシン酸のトリス(アミノ酸エステル)アミド類からなる結晶核剤(B)を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、前記結晶核剤(B)を0.01〜10重量部の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)が乳酸系樹脂(A’)であることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記乳酸系樹脂(A’)がポリ乳酸であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記結晶核剤(B)がトリメシン酸のトリス(バリンエステル)アミド類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記結晶核剤(B)がトリメシン酸のトリス(ロイシンエステル)アミド類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂組成物を220℃で3分間溶融した後、99℃/分の冷却速度で100℃まで冷却し、100℃で保持した際の等温結晶化時間が5分以内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなり、厚み100μmでのヘイズが0.1〜15%であり、かつ結晶化度が35%以上であることを特徴とする成形体。
  9. 下記一般式(1)で表されるトリメシン酸トリス(バリンエステル)アミド化合物。
    Figure 2008013057
    (式中、R1はメチル基またはエチル基を表す。)
  10. 下記一般式(2)で表されるトリメシン酸トリス(ロイシンエステル)アミド化合物。
    Figure 2008013057
    (式中、R1はメチル基またはエチル基を表す。)
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