JPWO2008004602A1 - 電解装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

溶融金属塩化物を含む融体電解液を収容する電解槽(4)と、導体である電極(8)、電極の上端面を覆って上端部に固定され上端部から上方に延在する第1の絶縁部材(9)、電極の下端面を覆って下端部に固定され下端部から下方に延在する第2の絶縁部材(10)及び電極を囲む絶縁体である電極枠(12)を有し、融体電解液中に浸漬されるべき電極ユニット(1)と、を備えた溶融塩電解装置及びかかる装置を用いた溶融塩電解方法である。

Description

本発明は、融体電解液に対する電解装置及び方法に関し、特に、溶融金属塩化物に対して電解を行い、陽極からガスを、陰極から融体金属を、それぞれ得るための溶融塩電解装置及び方法に関するものである。
近年、金属塩化物に対する直接電解によって金属と塩素とを得る製法が提案されている。かかる製法は、金属塩化物の水溶液を用いた電解による製法とは異なり、得られる塩素の純度がほぼ100%の高純度であると共に、得られる金属の純度も高いという特性を有するので、金属の製造に適用され得るのみならず、金属塩化物から金属を得る際に使用される還元用金属を回収する際にも用いられ得る。
具体的には、金属塩化物から得られる金属としては、ナトリウムなどのアルカリ金属やアルミニウムが知られ、また金属塩化物を還元した後回収される還元用金属としては、いわゆるクロル法により塩化チタンからチタンを精錬する際に使用されるマグネシウムなどが知られている。
また、いわゆる亜鉛還元法により四塩化珪素を亜鉛で還元して高純度のシリコンを得る製法は、設備がコンパクトで消費エネルギーが小さく、かつ6−ナイン以上の高純度のシリコンが得られるため、今後急速に需要が拡大するとされるソーラーセル用シリコンの製法として注目されている。
かかる製法は、下記の化学式1で示される反応を用いるが、シリコン(Si)の原子量28.1に対して、塩化亜鉛(ZnCl)の分子量は136.4であって、さらに2分子の塩化亜鉛が生成されるので、シリコンの収量に対して約10倍の収量の塩化亜鉛が生成されて、その回収処理法の確立が大きな課題となっている。

SiCl + 2Zn → Si + 2ZnCl … (化学式1)
本発明者らは、既に、塩化亜鉛の融点が283℃から360℃の範囲内であり、亜鉛の融点が413℃であることなどに着目して、溶融塩化亜鉛の直接塩電解が可能となる条件を見出した。具体的には、亜鉛の融点は塩化亜鉛の融点より100℃以上高いものであるが、さらに、塩化亜鉛電解質の電気伝導度や粘性係数を考慮すれば、塩化亜鉛の融点より約200℃以上高い500℃から550℃の温度範囲で、効率よく溶融塩化亜鉛の直接電解ができることを見出した。ただし、かかる高温度域では塩化亜鉛の蒸気圧が0.05atm程度に上昇し、かつ塩素ガスの生成に伴って塩化亜鉛の多量のミストが生成するので、そのままでは配管の閉塞などの事象が生じる傾向がある。
そこで、下記の特許文献1では、電解用の電極を複極型として電解効率を高めると共に、電解槽の上部に電解槽とほぼ同等の断面積を有するデミスタを設けて、金属ミストを含む塩素ガスの上昇速度を下げながら、塩素ガスの上昇中に塩素ガスを冷却し、塩素ガス中の塩化亜鉛の微液滴、つまり塩化亜鉛ミストを電解浴側に向けて落として分離する電解装置が提案されている。
また、下記の特許文献2では、電極を電極枠で囲うことによって、電解液表面の温度を実電解温度より低く保持し、塩化亜鉛ミストの発生を抑制する電解装置が提案されている。
特開2005−200759公報 特開2005−200758公報
以上の技術的な進展においては、塩化亜鉛に限らずその他の金属塩からの金属の採取に有効に適用すべく、溶融金属塩化物といった溶融塩の電解の分野では実現が困難であった複極型電解槽を有する電解装置を、実証レベルまで完成させたという一定の成果は得られている。
しかしながら、本発明者のさらなる検討によれば、電解効率を向上するには、理論上は、複極型の電極を設けた構成が好ましいが、かかる複極型の電極を採用した場合、電極間の領域でのオーム損を低減して電解効率を上げるために電極間の距離を短くしていくと、電極間外の領域への漏洩電流が発生してしまい、かえって電解効率が低下する傾向も見いだされ、改良の余地が認められる。
また、同時に、陰極面近傍で生成された電解生成金属と陽極面近傍で生成された電解生成ガスとの接触による逆反応が発生する傾向が認められ、かかる点においても改良の余地がある。
また、同時に、電解生成金属が電極間へ蓄積してしまい、電解液の上昇流に対する阻害や閉塞といった現象が発生して、電解生成ガスがデミスタまで速やかに上昇できない事象も認められ、かかる点においても改良の余地がある。
また、単なる複極型の電極の周囲を囲む電極枠を設けると、電極枠内の領域に電解液が滞留しやすくなり、かえって電解効率の低下を招くという傾向が認められ、改良の余地がある。
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、オーム損を低減しながら漏洩電流を抑制し、電解生成金属と電解生成ガスとの接触を抑制し、さらに電解生成金属が速やかに電極枠外に排出されるような構成を実現することで、電解の電流効率を向上させた電解装置及び方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決すべく、本発明の第1の局面では、溶融金属塩化物を含む融体電解液を収容する電解槽と、導体である電極、電極の上端面を覆って上端部に固定され上端部から上方に延在する第1の絶縁部材、電極の下端面を覆って下端部に固定され下端部から下方に延在する第2の絶縁部材及び電極を囲む絶縁体である電極枠を有し、融体電解液中に浸漬されるべき電極ユニットと、を備えた溶融塩電解装置である。
また、本発明の第2の局面では、上記構成に加え、電極は、陽極面部及び陽極面部に対応する陰極面部を有し、陽極面部においてはガスが生成され、陰極面部においては融体電解液より比重の大きな融体金属が生成される溶融塩電解装置である。
また、本発明の第3の局面では、上記第2の局面に加え、第2の絶縁部材は、流路を有し、陰極面部で生成された融体金属は、流路を通過して電解槽の底部に向け流下される溶融塩電解装置である。
また、本発明の第4の局面では、上記第3の局面に加え、流路は、陰極面部の下端部と第2の絶縁部材との間隙部に、陰極面部で生成された融体金属を導入する入口を有する溶融塩電解装置である。
また、本発明の第5の局面では、上記第4の局面に加え、流路の入口において、陰極面部の下端部を角取りした角取り形状部及び第2の絶縁部材を切り欠いた切り欠き部の少なくとも一方を有する溶融塩電解装置である。
また、本発明の第6の局面では、上記第2から5のいずれかの局面に加え、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材の少なくとも一方は、それが隣接する絶縁部材に向かって、陰極面部の位置に比較して張り出す張り出し部を有する溶融塩電解装置である。
また、本発明の第7の局面では、上記第2から6のいずれかの局面に加え、電極は、陽極面部が下向きになって陰極面部が上向きになるように、垂直方向に対して傾けられて配置され、陽極面部で生成されたガスが陽極面部に沿って上方へ移動し、陰極面部で生成された融体金属が陰極表面に沿って下方へ移動する溶融塩電解装置である。
また、本発明の第8の局面では、上記第2から7のいずれかの局面に加え、陽極面部と第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材とは、面一である溶融塩電解装置である。
また、本発明の第9の局面では、上記第2から8のいずれかの局面に加え、陰極面部で生成されて電解槽の底部に貯留される融体金属と第2の絶縁部材との間に、漏洩電流を抑制するマスク部材が設けられた溶融塩電解装置である。
また、本発明の第10の局面では、上記第1から9のいずれかの局面に加え、電極は、一対の端部電極及び一対の端部電極の間に配される中間部電極を有する複極式電極である溶融塩電解装置である。
また、本発明の第11の局面では、上記第1から10のいずれかの局面に加え、融体電解液は、溶融塩化亜鉛である溶融塩電解装置である。
また、本発明の第12の局面では、上記第1から11のいずれかの局面に加え、電解槽は、電解槽の内部表面にセラミックが被覆された金属製又はグラファイト製である。
また、本発明の第13の局面では、上記第1から12のいずれかの局面に加え、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材は、セラミック製である溶融塩電解装置である。
また、本発明の第14の局面では、上記第1から13のいずれかの局面に加え、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材の少なくとも一方は、その先端部に向かうに従って厚さが減少する溶融塩電解装置である。
また、本発明の第15の局面では、溶融金属塩化物を含む融体電解液を収容する電解槽と、導体である電極、電極の上端部に固定され上端部から上方に延在する第1の絶縁部材、電極の下端部に固定され下端部から下方に延在する第2の絶縁部材及び電極を囲む絶縁体である電極枠を有し、融体電解液中に浸漬されるべき電極ユニットと、を備えた溶融塩電解装置を用意する工程と、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材の存在によりオーム損を低減しながら、電極の陽極面部においてはガスが生成され、陽極面部に対応する陰極面部においては融体電解液より比重の大きな融体金属が生成される電解工程と、を備えた溶融塩電解方法である。
本発明の第1の局面における溶融塩電解装置においては、電極に第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材を設けることにより、電解生成ガス及び電解生成金属の移動を阻害することなく、オーム損を低減しながら漏洩電流を抑制することができ、電解の電流効率を向上させることができる。また、この際、電極枠を設けることにより、電極枠内で電解反応領域の電解液の温度を調整することができ、効果的に電解をなすことができる。
また、本発明の第2の局面における溶融塩電解装置においては、電極の陽極面部ではガスが確実に生成され、陰極面部では融体電解液より比重の大きな融体金属が確実に生成されて、電流効率を向上した電解をなすことができる。
また、本発明の第3の局面における溶融塩電解装置においては、陰極面部で生成された融体金属は、流路を通過して電解槽の底部に向け確実に流下されることにより、電解生成金属と電解生成ガスとの接触をより確実に抑制し、電解生成金属をより確実に電極間外に排出することができる。
また、本発明の第4の局面における溶融塩電解装置においては、陰極面部で生成された融体金属を流路の入り口から確実に流路内に導くことができ、陰極面部で生成された融体金属を、流路を通過して電解槽の底部に向けより確実に流下させることができる。
また、本発明の第5の局面における溶融塩電解装置においては、角取り形状部及び切り欠き部の少なくとも一方を設けることにより、より確実に陰極面部で生成された融体金属を流路の入り口からより確実に流路内に導くことができる。
また、本発明の第6の局面における溶融塩電解装置においては、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材の少なくとも一方に張り出し部を設けることにより、対応する絶縁部材間の距離を、対応する電極面部間の距離よりも小さく設定することができ、漏洩電流をより抑制することができる。さらに、陽極面部側に強い電解液流を生起し得て、電解生成ガスと電解生成金属とをより確実に分離することができる。
また、本発明の第7の局面における溶融塩電解装置においては、電極を垂直方向に対して傾けて配置することにより、電解生成ガスを陽極面側に、電解生成金属を陰極面側に、それぞれ強く拘束できるので、陽極面部側の強い電解液流が電解生成ガスにより効果的に作用し得て、電解生成ガスと電解生成金属との確実な分離をより速やかになすことができる。
また、本発明の第8の局面における溶融塩電解装置においては、陽極面部と第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材とを面一に設定することにより、生成ガスが陽極面部に沿って確実に上方へ移動することができ、電解生成金属と電解生成ガスとの接触をより確実に抑制することができる。
また、本発明の第9の局面における溶融塩電解装置においては、マスク部材を設けることにより、電解槽の底部に貯留される融体金属の寄与による漏洩電流をより確実に抑制することができる。
また、本発明の第10の局面における溶融塩電解装置においては、複極式電極を設けることにより、電解の電流効率をより確実に向上することができる。
また、本発明の第11の局面における溶融塩電解装置においては、融体電解液として溶融塩化亜鉛を用いることにより、亜鉛還元法による高純度シリコンの製造時におけるより現実的な副生成物の処理の途を開くことができる。
また、本発明の第12の局面における溶融塩電解装置においては、電解槽をその内部表面にセラミックが被覆された金属製又はグラファイト製とすることにより、より耐熱性と耐食性とに優れた電解槽でもって安定的に電解をなすことができる。
また、本発明の第13の局面における溶融塩電解装置においては、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材が、セラミック製であるため、熱的に安定して漏洩電流を抑制できる。
また、本発明の第14の局面では、第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材の少なくとも一方は、その先端部に向かうに従って厚さが減少する構成を有するため、漏洩電流を抑制しながら軽量化することができる。
また、本発明の第15の局面における溶融塩電解方法においては、電極に第1の絶縁部材及び第2の絶縁部材を設けた溶融塩電解装置を用いることにより、電解生成ガス及び電解生成金属の移動を阻害することなく、オーム損を低減しながら漏洩電流を抑制することができ、電解の電流効率を向上させることができる。また、この際、溶融塩電解装置には電極枠が設けられているので、電極枠内で電解反応領域の電解液の温度を調整することができ、効果的に電解をなすことができる。
まとめれば、以上の構成においては、漏洩電流を抑制しながら、オーム損を増加する要因である電極間距離を拡大する構成を排し得て、例えば電極間距離を5mm程度に設定できる。また、同時に、電解液の上昇流を維持して、電解液の滞留、電気生成ガスの気泡の滞留、金属ミストの発生及び滞留が抑制され得る。また、同時に、電解生成物の逆反応につながる電解生成金属と電解生成ガスとの接触を抑制され得る。また、同時に、電解液の滞留及び電極間ショートにつながる生成金属の極間蓄積によるも抑制され得る。さらに流路を経て電解生成金属を分離する構成を付加すれば、電解生成金属をより速やかに電極間外の領域に排出し得て、例えば電極間距離を2mmから3mm程度まで短縮可能である。
図1は、本発明の実施形態における溶融塩電解装置の断面模式図である。 図2は、同実施形態の溶融塩電解装置における電極ユニットの斜視図である。 図3は、同実施形態の溶融塩電解装置における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図4は、同実施形態の第1の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図5は、同実施形態の第2の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図6は、同実施形態の第3の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図7は、同実施形態における第4の変形例における電極ユニットの陰極生成金属の導入口近傍の拡大図である。 図8は、同実施形態の他の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図9は、同実施形態の他の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図10は、同実施形態の他の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。 図11は、同実施形態における実験例の溶融塩電解装置の断面模式図である。 図12は、同実験例の電極ユニットの斜視図である。
符号の説明
S 溶融塩電解装置
1 電極ユニット
2 デミスタ
3 外部ヒータ
4 電解槽
4a 電解浴
4b セラミック膜
P プレート
5 目皿
5a 開口
6 金属液だまり
M 融体金属
G 電解生成ガス
7 ガス出口
8 電極
8a 端部電極
8b 端部電極
8i 中間電極
9 上部絶縁部材
9a 上部絶縁部材
9b 上部絶縁部材
9i 上部絶縁部材
9p 張り出し部
10 下部絶縁部材
10a 下部絶縁部材
10b 下部絶縁部材
10i 下部絶縁部材
10p 張り出し部
11 電極構造体
11a 端部電極構造体
11b 端部電極構造体
11i 中間電極構造体
12 電極枠
12a 側壁
13 電流供給端子
13a 電流供給端子
13b 電流供給端子
14 陽極面部
15 陰極面部
16 排出流路
17 間隙部
18 排出口
19 端部切り欠き部
20 開口
21 電解槽
22 端部電極
23 中間電極
24 位置決め溝
25 ビス
26 目皿
26a 開口
41 電極ユニット
51 電極ユニット
61 電極ユニット
71 電極ユニット
81 電極ユニット
91 電極ユニット
100 加熱炉
101 電極ユニット
(実施形態)
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における溶融塩電解装置及び方法につき、詳細に説明する。なお、図中、x、y、z軸は、3軸直交座標系をなし、説明の便宜上、適宜、y方向を横、z方向を縦又は上下方向(垂直方向)と記し、x方向長さを厚さ、y方向長さを幅、及びz方向長さを高さと記す。
図1は、本発明の実施形態における溶融塩電解装置の断面模式図であり、図2は、本実施形態の溶融塩電解装置における電極ユニットの斜視図であり、説明の便宜上、電極枠の一部を切り欠いて示す。また、図3は、本実施形態の溶融塩電解装置における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。
図1に示されるように、溶融塩電解装置Sは、電極ユニット1及びその上方に設けられたデミスタ2を有する。電極ユニット1は、詳細は後述する電極及び電極枠を有し、外部ヒータ3によって加熱され、電解液としての溶融塩が満たされた電解浴4a中に浸漬されている。かかる電極近傍の電解浴中、つまり溶融塩浴4a中で、電解反応が生じる。電解液の温度は、電解液の融点より高いことはもちろんだが、さらに、電解反応によって生成される金属の融点よりも高く設定され、電解生成金属は、融体金属Mとして取り出される。なお、外部ヒータ3は、溶融塩浴4a中の電解液を所望の温度まで加熱可能にすべく加熱炉100に配置される。また溶融塩浴4aは、電解槽4の内部空間に画定され、電解槽4は、その内部表面にセラミック膜4bが被覆された金属製であり、加熱された電解液を収容するに足りる耐熱性及び耐食性を有する。また、かかる特性を満足すれば、電解槽4は、グラファイト製でもかまわない。また、電極ユニット1は、電解槽4に設置された図示を省略する支持体によって電解槽4に固定され、電解槽4は、外部ヒータ3が配置された加熱炉100に固定される。
かかる電極ユニット1で生成された融体金属Mは、電極ユニット1の下部から流れ出し、電解槽4に固定されて溶融塩浴4a中に傾斜配置されたプレートPを経て、下方の金属液だまり6に蓄積保持される。ここで、プレートPは、ムライト製などのセラミック製であり、電極ユニット1で生成されて電解槽4の底部の金属液だまり6に貯留される融体金属Mと、電極ユニット1の下部構成部材であり詳細は後述する絶縁部材と、の間に設けられ、電極ユニット1から融体金属Mへ向かう漏洩電流を抑制するマスク部材として機能する。なお、このように傾斜配置されるプレートPの代わりに、複数の開口5aを有する目皿5を設けてもよく、かかる場合、融体金属Mは、開口5aを経て、下方の金属液だまり6に流れ落ちて蓄積保持される。
一方、電極ユニット1の上部では、電解反応により生成された電解生成ガスGが電解液の層を通って放出されてデミスタ2へと流入され、流入された電解生成ガスG’は対流しながらデミスタ2内を通過し、デミスタ2の上端部に設けられたガス出口7から取り出される。
図2及び図3に示されるように、電極ユニット1は、それぞれが平板状の電極8、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10並びに側壁12aを有する電極枠12を備える。具体的には、電極ユニット1は、電極8を挟むように、電極8に対して上部絶縁部材9と下部絶縁部材10とをそれぞれ上下に固定した端部電極構造体11a及び11b並びに中間電極構造体11iからなる電極構造体11が、x方向に7組平行に並んで配置されると共に、かかる7組の電極構造体11の上下領域を除く側部周囲が、電極枠12の側壁12aで取り囲まれた構造を有する。このように電極構造体11の側部周囲を電極枠12が取り囲むことで、電極枠12が保温部材として働き、電解反応が起きている電極ユニット1の内部を、溶融塩浴4aの他の部分に比べ高温に維持することができて、電解電圧を低下させることができると共に、電解液表面の温度は溶融塩浴4a内部の温度よりも低くなるので、電解液の微液滴、つまり電解液のミストの発生を抑制し得る。ここで、電極枠12は、電極構造体11において少なくとも電解反応が起こる領域を含んで囲むものであり、かかる観点では、電極枠12の側壁12aは、少なくとも電極8を囲み得るような高さを有することが好ましい。なお、電極8は、グラファイト製であり、上部絶縁部材9、下部絶縁部材10及び電極枠12は、セラミック製であることが、電気的、温度的特性上や作製上などの観点から好ましく、また内部が中空であることが、重量を低減する意味で好ましい。また、ここでは、電極ユニット1を、電極構造体11の個数が7個、つまり電極8の枚数が7枚である複極式の構成としたが、かかる電極枚数は、要求される電解能力や電解液種などに合わせて、適宜設定すればよい。
より具体的には、電極8は、両端の端部電極8a及び8bとそれらの間に配された5枚の中間電極8iとからなり、上部絶縁部材9は、両端の上部絶縁部材9a及び9bとそれらの間に配された5枚の中間の上部絶縁部材9iとからなり、下部絶縁部材10は、両端の下部絶縁部材10a及び10bとそれらの間に配された5枚の中間の下部絶縁部材10iとからなる。
かかる7枚の電極8a、8b及び8iの上端部には、対応して7枚の上部絶縁部材9a、9b及び9iが固定され、電極8a、8b及び8iの下端部には、対応して7枚の下部絶縁部材10a、10b及び10iが固定される。かかる上部絶縁部材9a、9b及び9iは、電極8a、8b及び8iのいずれかから、その直近で隣接する電極の上方の領域を通って、直近ではない電極、例えば1つおいた電極へ流れる漏洩電流を抑制すべく設けられるもので、特に電極8a、8b及び8iの上端面(x−y平面に平行な端面)を覆って上方に延在しているものである。また、同様に、下部絶縁部材10a、10b及び10iは、電極8a、8b及び8iの下端面(x−y平面に平行な端面)を覆って下方に延在しているものである。
また、端部電極8a及び8bには、対応する上部絶縁部材9a及び9b中を貫通する電流供給端子13、つまり電流供給端子13a及び13bが対応して接続されて、電流供給端子13a及び13bを介して、図示を省略する直流電源より電解電流が供給される。
このように電解電流が供給されると、電極8一方の面が陽極面部14として、その反対の面が陰極面部15として、それぞれ働く。具体的には、端部電極8aにおいてx正方向にある面(y−z平面に平行な面)が、陰極面部15aであり、端部電極8aにx正方向で直近で隣接する中間電極8iにおいて、かかる陰極面部15aに対向する面(y−z平面に平行な面)が陽極面部14iであり、順次、このように互いに隣接する中間電極8i間において、それぞれの陰極面部15i及び陽極面部14iが対向していく。また、端部電極8bとそれにx負方向で直近で隣接する中間電極8iとの間においては、端部電極8bにおいてx負方向にある面(y−z平面に平行な面)が、陽極面部14aであり、端部電極8bにx負方向で直近で隣接する中間電極8iにおいて、かかる陽極面部14aに対向する面(y−z平面に平行な面)が陰極面部15iとなる。
そして、陽極面部14近傍からは電解生成ガスGが生成されて上方に移動し、陰極面部15近傍からは電解生成金属である融体金属Mが生成されて下方に移動する。ここで、上部絶縁部材9の陽極面部14側の面及び陰極面部15側の面は、それぞれ電極8の陽極面部14及び陰極面部15と面一に設定されるため、電解生成ガスGの上方への移動は阻害されず、かつ下部絶縁部材10の陰極面部15側の面及び陽極面部14側の面は、それぞれ電極8の陰極面部15及び陽極面部14と面一に設定されるため、かかる電解生成金属である融体金属Mの下方への移動は阻害されず、電解生成ガスG及び電解生成金属Mは、それぞれ確実に電極ユニット1の外方に向けて移動することができる。
また、陰極面部15近傍から生成された融体金属Mと電解液との比重差がさほど大きくないときは、陰極生成金属Mが電解液中に多数の微液滴として存在するような金属ミストが生じる傾向があるが、加熱された電解液の強い上昇流には、金属ミストが電解液中で拡散するのを抑制する効果が認められ、これによって、電解生成ガスGと電解生成金属Mとの逆反応による電流効率の低下、つまり電解効率の低下を抑制できる。ここで、特に、下部絶縁部材10の陽極面部14側の面及び上部絶縁部材9の陽極面部14側の面が、電極8の陽極面部14と面一に設定されるため、加熱された電解液の強い上昇流は阻害されず、金属ミストの電解液中への不要な拡散を抑えることができる。また、かかる電解液の上昇流は、電解生成ガスGに大きなガスリフト効果を与え、電解生成ガスGを速やかに電極ユニット1から上外方へと排出できる。
このように、塩化亜鉛を代表とする金属塩の直接電解では、陽極面部14近傍からは塩素などのガスGが、陰極面部15近傍からは融体金属Mが生成する。このときに、電解液のオーム損を低減しながら漏洩電流を低減して、電解電圧を下げるには、電極8間の距離、つまり互いに対向する陽極面部14と陰極面部15との距離を短くするとともに、電極上下に大きな絶縁部材9及び10を設けることが有効であることが確認された。一例としては、電解液と電解生成金属との比重差が比較的大きい塩化亜鉛の直接電解による亜鉛及び塩素の製造において、縦x横が300mmx300mmで厚さが25mmの各電極8に、縦x横が各電極8のものと同じ300mmx300mmに設定された絶縁部材9及び10を設けて、電極8間の距離、つまり互いに対向する陽極面部14と陰極面部15との距離をそれぞれ5mmとしたとき(対応して互いに対向する上部絶縁部材9間の距離及び互いに対向する下部絶縁部材10間の距離もそれぞれ5mmとなる)、漏洩電流は、上部絶縁部材及び下部絶縁部材を設けない構成に較べて半分以下の5%に低減できる。ついで、オーム損を低減するためにかかる電極8間距離を3mmとしても(対応してかかる絶縁部材9、10間の距離も3mmとなる)、漏洩電流は5%程度のままであり、電流密度50A/dmの高電流密度で90%以上の電流効率を得ることができた。これは、各電極8の上下端面を覆うように上下の絶縁部材9及び10が設けられた電極8間の距離を、可能な限り短く設定することで、具体的には5mmから3mm程度に設定することで、電極8の上下領域への漏洩電流を効果的に減少させ得て、かつオーム損も確実に減少せさせ得ていることによると考えられる。
ここで、理論上は、絶縁部材9及び10の縦長さ、つまりの高さは、大きければ大きいほど漏洩電流の抑制効果は大きいことになる。しかし、かかる高さをむやみに大きくすると、電極ユニット1が大型化し、それに伴って大容量の電解槽4が必要になってしまう。例えば、絶縁部材9及び10の高さを60mmにまで小さくしたとき、かかる高さが300mmであるときに比較して、漏洩電流は60%近く増加するものの、電極ユニット1の高さは半分以下にできる。つまり、漏洩電流を効果的に抑制するための絶縁部材の高さは、このように漏洩電流の抑制効果と電極ユニット1のサイズとの兼ね合いで設定すべきもので、さらにこの際、金属塩の種類、電極8間の距離及び電極8の幅等も考慮して設定すべきものである。また、本実施形態においては、絶縁部材9及び10が、電極8とは別体の部材で構成されているため、かかる絶縁部材9及び10の高さや幅は、求められる電極ユニット1の特性やサイズ等を考慮して、設計自由度高く設定し得るものである。
以上説明したように、電極8に上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を設けることにより、電極8間距離を小さく設定して、電解電圧を小さくしながらも、高電流効率を保持することができる。さらに、電極8間距離をより短く設定しながら絶縁部材9及び10の両面を陽極面部14及び陰極面部15と面一に設定することにより、金属ミストを不要に拡散することなく電解生成ガスG及び電解生成金属Mを速やかに外方に移動させることができる。
次に、本実施形態における溶融塩電解装置Sにおける電極ユニットの各変形例につき、図面を適宜参照して、詳細に説明する。かかる各変形例においては、特記する構成以外は、以上説明してきた実施形態の構成と同一であり、その説明を適宜省略する。
図4は、本実施形態の第1の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。また、図5は、本実施形態の第2の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。また、図6は、本実施形態の第3の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。また、図7は、本実施形態の第4の変形例における電極ユニットの陰極生成金属の導入口近傍の拡大図である。
(第1の変形例)
図4に示す本実施形態の第1の変形例の電極ユニット41では、下部絶縁部材10に、それを上下に貫通して排出流路16が設けられていることが、主として図3に示す電極ユニット1の構成との相違点である。
前述したように、電解反応により、陽極面部14からは電解生成ガスGが生成されて上方に移動し、陰極面部15からは電解生成金属である融体金属Mが生成されて下方に移動する。さらに検討すると、絶縁部材9及び10を設けて電極8間距離を小さくしていくと、オーム損や漏洩電流は低減されて電解電圧は小さくなるが、生成された融体金属Mは、その金属と電極8、絶縁部材9及び10との濡れ性や、その金属自体の粘性によっては、特に陰極面部15の下端部の表面や下部絶縁部材10の表面に厚く付着してしまい、かかる付着金属により、電解生成ガスGの陽極面部14からの迅速な離脱及び上昇に寄与する電解液の上昇流を阻害したり電極8間のショートを惹起する傾向がある。また、陽極生成物であるガスGと陰極生成物である金属Mが互いに接触して逆反応が生じる結果、電流効率が低下する傾向も強まる。これを解消するためには、電解生成金属Mが、陰極面部15に付着せず電解液の上昇流にも干渉しないような構成を付加すればより好ましい。
ここで、本変形例では、各電極8の下端部に、それを斜めにあるいは曲面にカットされた角取り形状部8eが設けられており、下部絶縁部材10には、それを上下に貫通して排出流路16が設けられている。このように各電極8の下端部に角取り形状部8eが設けられているため、下部絶縁部材10の排出流路16の上端部で、融体金属Mが排出流路16へ導入される導入口となる間隙部17が画成される。従って、電解生成された融体金属Mは、かかる隙間部17を通って下部絶縁部材10の排出流路16に入り、排出流路16を通って下部に流れ、下部絶縁部材10の下端部に設けられた排出口18から排出される。なお、端部電極8bは、陰極面部15を有さないため、角取り形状部8eを省略でき、端部電極8bに対応する下部絶縁部材10bは、排出流路16を省略できる。
このように電極8と少なくとも同じ厚さを有する下部絶縁部材10内に電解生成金属M用の排出流路16を設けることによって、電解生成金属Mが、電解液の上昇流が通過する電極8間や下部絶縁部材10間から、下部絶縁部材10内へと速やかに導かれる。つまり、電解生成金属Mが、下部絶縁部材10内へと速やかに導かれることにより、下部絶縁部材10間を及び電極8間における電解液の上昇路が確保されることとなり、電解液流の上昇速度を、高く維持することができる。これに伴い、生成する陽極ガスGは、電解液の強い上昇流によって、ガスリフト効果がより有効に作用し、速やかに電極ユニット41から上方へと排出されるようになる。また、陰極に生成した金属Mと電解液との比重差がさほど大きくないとき、陰極生成金属Mが電解液中に微液滴として分散する金属ミストが発生するが、かかる強い電解液上昇流は、金属ミストの電解液中への拡散を抑える効果がある。これによって、電解生成ガスGと電解生成金属Mとの逆反応による電流効率、つまり電解効率の低下を抑制できる。
さらに、下部絶縁部材10間の距離について検討すると、下部絶縁部材10は、それが隣接する下部絶縁部材10に向かって、電極8の陰極面部15の位置に比較して張り出す張り出し部10pを有することが、漏洩電流を低減する観点からは好ましい。これは、かかる張り出し部10pを設けることにより、下部絶縁部材10間の距離dが、電極8間の距離Dより短くなって、電極8の下方領域を経由して流れようとする漏洩電流の経路が狭まるためである。ここで、単に下部絶縁部材10間の距離を狭めたときには、電解生成金属Mが電解液の上昇流を阻害してしまうが、上述したように下部絶縁部材10内に電解生成金属M用の排出流路16を設けることにより、電解生成金属Mが、下部絶縁部材10間を流下せず、排出流路16内を通過して、電解液の上昇流に影響を与えることがなくなる。なお、端部電極8bは、陰極面部15を有さないため、端部電極8bに対応する下部絶縁部材10bは、張り出し部10pを省略できる。
また、このように下部絶縁部材10間の距離を狭める場合には、下部絶縁部材10の陽極面部14側の面は、電極8の陽極面部14と面一にすることが好ましい。これは、かかる面一の構成により、電解液の強い上昇流が陽極面部14に沿って確実に流れ得ることになり、陽極生成ガスGを効率よく上方へ輸送できるようになると共に、陰極面部15で生成した融体金属Mの液中への拡散をより確実に防止して、金属ミストの生成による電解効率の低下を最小限に抑えることができるからである。
以上説明したように、本変形例の構成では、下部絶縁部材10中に排出流路16を設けることにより、電解生成金属Mを速やかに排出することができる。さらに、下部絶縁部材10間距離をより短く設定して、漏洩電流を抑制して、高電流効率を保持することができる。またさらに、下部絶縁部材10の一方の面を面一に設定することにより、電解液の上昇流と共に電解生成ガスGを速やかに上昇させることができる。
(第2の変形例)
次に、図5に示す本実施形態の第2の変形例の電極ユニット51では、上部絶縁部材9に、それが直近で隣接する上部絶縁部材9に向かって、電極8の陰極面部15の位置に比較して張り出す張り出し部9pが設けられていることが、主として図4に示す第1の変形例の電極ユニット41の構成との相違点である。なお、端部電極8bは、陰極面部15を有さないため、端部電極8bに対応する上部絶縁部材9bは、張り出し部9pを省略できる。また、もちろん、かかる上部絶縁部材9の張り出し部9pは、図3に示す電極ユニット1において設けられてもよい。
かかる本変形例の構成においては、第1の変形例の下部絶縁部材10で設定されたのと同様に、上部絶縁部材9間の距離d’は、電極8間の距離Dより短くなるが、陽極面部14に沿った陽極生成ガスGの上昇を阻害することなく、漏洩電流を低減することができる。またかえって、上部絶縁部材9に張り出し部9pを設けることにより、上部絶縁部材9が陽極面部14側に偏ることによって、陽極面部14に沿って電解液のより強い上昇流が生じてガスリフト効果が強くなり、陽極生成ガスGの上昇が促進される。また、電解液の流れが陽極面部14側のみの上方流となることによって、陰極面部15側には陽極生成ガスGの発生に伴う気泡が拡散せず、陽極面部14と陰極面部15との間に隔膜を設けたのと同様の効果を得ることができる。
また、かかる本変形例の構成では、上部絶縁部材9間の距離及び下部絶縁部材10間の距離が共に短く設定されて、漏洩電流が抑制されているので、電流密度を高くしても電流効率を高く保持することが可能となった。一例としては、電解液と電解生成金属との比重差が比較的大きい塩化亜鉛の直接電解による亜鉛及び塩素の製造では、縦x横が300mmx300mmで厚さが25mmの各電極8に、縦x横が各電極8のものと同じ300mmx300mmに設定された絶縁部材9及び10を設けて、電極8間距離を5mmに設定し、かつ上部絶縁部材9間距離を3mm及び下部絶縁部材10間距離を3mmにそれぞれ設定し、電流密度50A/dmの高電流密度で、90%前後の電流効率を得ることができた。
(第3の変形例)
次に、図6に示す本実施形態の第3の変形例の電極ユニット61では、各電極8並びに対応した上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10が、陽極面部14が下向きになって陰極面部15が上向きになるように、垂直方向に対して角度θほど傾けられて配置されていることが、主として図5に示す第2の変形例における電極ユニット51の構成との相違点である。なお、かかる電極8の傾斜配置は、図3又は図4に示す電極ユニット1又は41において設けられてもよい。
かかる構成においては、電極8の陰極面部15が上方に向くようにわずかに傾けることによって、電解生成ガスGの移動を陽極面部14側に、電解生成金属Mの移動を陰極面部15側に、それぞれより強く拘束できる。つまり、陽極生成ガスGは、浮力によって上方に向かって力が加わっているので、陽極面部14に沿って上昇し、電極ユニット61の外方に出ていく。一方、陰極生成金属Mは、重力によって下方に向かう力が働いているので、陰極面部15に沿って下方に移動する。つまり、かかる構成により、より電解生成ガスGと電解生成金属Mとの接触確率が小さくなるとともに、電解生成ガスG及び電解生成金属Mが、それぞれ陽極面部14及び陰極面部15の面に沿って移動するために金属ミストの拡散も抑制することができる。ここで、電極8、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10が垂直に配置されれば、かかる効果は得られないが、これらの傾きが大きすぎると、かえって電解生成ガスGの上昇や電解生成金属Mの流下を妨げてしまう。よって、かかる電極8、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10の傾斜角度は、電解液種、電解生成金属種及び電解生成ガス種をも考慮して、設定しなければならないが、塩化亜鉛の溶融塩電解では、3°から10°の範囲内がかかる効果を発揮する上で好適である。
(第4の変形例)
次に、図7に示す本実施形態の第4の変形例の電極ユニット71では、電極8の下端部の角取り形状部8eと下部絶縁部材10の排出流路16の上端部とで画成され、融体金属Mが排出流路16へ導入される導入口となる間隙部17の近傍において、下部絶縁部材10の陰極面部15側の部分に、端部切り欠き部19及び開口20が設けられていることが、主として図5に示す第2の変形例における電極ユニット51の構成との相違点である。なお、かかる端部切り欠き部19及び開口20は、図3、図4又は図6に示す電極ユニット1、41又は61において設けられてもよい。また、端部切り欠き部19及び開口20を総称して、単に切り欠き部と呼ぶ。また、もちろんかかる切り欠け部で導入口が画成できるのであれば、電極8の下端部の角取り形状部8eは設けなくともよい。
かかる構成においては、融体金属Mが排出流路16へ導入される導入口となる間隙部17近傍において、下部絶縁部材10の陰極面部15側に、切り欠き部(端部切り欠き部19及び開口20)が設けられているため、単に間隙部17を設けただけの構成と比べて、より確実に電解生成金属Mを下部絶縁部材10の排出流路16へ導入することができる。また、かかる切り欠き部を設けることにより、下部絶縁部材10の重量が低減され、併せて上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10をも適宜中空にすれば、電極ユニット71全体の重量を大幅に減らすことができ、その支持が簡便かつ確実になる。
さて、以上のように、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10は、漏洩電流を抑制すると共に、電解生成ガスを迅速に上方に移動させ、かつ電解生成金属を迅速に下方に移動させることに寄与する必要があることはもちろんであるが、電解能力を向上するため複極型電極の枚数を増やせば増やすほど、より軽量化した構成を採用することが必要となる。そこで、以下、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を軽量化した構成について説明する。
(その他の変形例)
図8から図10は、本実施形態の他の変形例における電極ユニットの電極構造体の断面図であり、図2のA−A線断面図に相当する。
まず、図8に示す変形例の電極ユニット81では、下部絶縁部材10の上端部は、電極8の下端面(x−y平面に平行な端面)を覆っているが、その上端部から下方で厚さが減じられ、下部絶縁部材10全体としては、陰極面部15側が凹んだL字状の断面形状を有して、軽量化されている。また、図9に示す変形例の電極ユニット91では、上部絶縁部材9の下端部は、電極8の上端面(x−y平面に平行な端面)を覆っているが、その下端部から上方で厚さが減じられ、上部絶縁部材9全体としては、陽極面部14側が凹んだL字状の断面形状を有して、軽量化されている。
また、図10に示す変形例の電極ユニット101では、かかるL字状の断面形状をそれぞれ有する上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を併せ持った構成を有し、上部絶縁部材9の下端部は、電極8の上端面(x−y平面に平行な端面)を覆っているが、その下端部から上方で厚さが減じられ、上部絶縁部材9全体としては、陽極面部14側が凹んだL字状の断面形状であり、下部絶縁部材10の上端部は、電極8の下端面(x−y平面に平行な端面)を覆っているが、その上端部から下方で厚さが減じられ、下部絶縁部材10全体としては、陰極面部15側が凹んだL字状の断面形状である。
ここで、上部絶縁部材9は、電極8の対応する上端面を覆い、かつ上方に延在しながら漏洩電流の抑制と電解生成ガスの移動とを両立できるものであればよく、下部絶縁部材10は、電極8の対応する下端面を覆い、かつ下方に延在しながら漏洩電流の抑制と電解生成金属の移動とを両立できるものであればよいのであるから、L字状の断面形状以外に、先端に向かうに従って徐々に厚さが減少する傾斜状の断面形状が採用し得る。なお、端部電極8aに対応する上部絶縁部材9及び端部電極8bに対応する下部絶縁部材10は、いずれもかかる断面形状を有していなくともよい。
かかる変形例の構成においては、陽極面部14側が凹んだL字状の断面形状の上部絶縁部材9は、その下端部で電極8の上端面を覆いながら上方に延在するものであるため、漏洩電流を抑制し得るのみならず、陽極面部14側が凹んだ形状を有するものであるため、電解生成ガスGが上昇する上昇領域自体を拡張し得て、より確実に電解生成ガスを上方に移動できる。また、陰極面部15側が凹んだL字状の断面形状の下部絶縁部材10は、その上端部で電極8の下端面を覆いながら下方に延在するものであるため、漏洩電流を抑制し得るのみならず、陰極面部15側が凹んだ形状を有するものであるため、電解生成金属Mが下降する下降領域自体を拡張し得て、より確実に電解生成金属を下方に移動できる。
なお、かかる構成において、第3の変形例で説明したように、電極8並びに対応した上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10が、陽極面部14が下向きになって陰極面部15が上向きになるように、垂直方向に対して角度θほど傾けられて配置された構成を採用すれば、電解生成ガスGの移動を陽極面部14側に、電解生成金属Mの移動を陰極面部15側に、それぞれより強く拘束できるため、より確実に電解生成ガスや電解生成金属の移動を行い得る。
以下、変形例を含む本実施形態における実験例につき、図を適宜参照しながら、詳細に説明する。
図11は、本実施形態における実験例の溶融塩電解装置の断面模式図であり、図12は、本実験例の電極ユニットの斜視図である。
(本実施形態の実験例)
図11に示すように、本実験例では、電解槽21として、直径が350mmでz方向深さが800mmの片面が閉じられた円筒状の軟鋼製容器の内面に、プラズマ溶射により約200μmの厚さでムライト被膜を形成し、さらに、かかるムライト被膜上に、繊維入りのキャスタブルセラミック耐火物(東芝セラミック製:商品名CASTYNA)を微粉砕して水と混合したものを、約500μmの厚さで塗布し900℃で1時間焼き付けて、セラミック被膜を形成したものを用いた。
また、電極としては、一対の端部電極22が、縦x横が200mmx200mmで厚さが50mmのものを用い、それらの間に縦x横が200mmx200mmで厚さが20mmの中間電極23を1枚配置した。ここで、各電極間距離は5mmに設定され、各電極はこの配置で直列接続される。
かかる電極22及び23に固定する上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10としては、繊維入りキャスタブルを板状にした後900℃で燒結して得られ、それぞれ対応する電極22及び23と同じ縦x横サイズ及び厚さのセラミック板を用いた。具体的には、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10の陽極面部側(x負方向の面側)の面は電極22及び23の陽極面部(x負方向の面)と面一に設定し、かつ上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10の陰極面部側(x正方向の面側)の面は電極22及び23の陰極面部(x正方向の面)と面一に設定した。つまり、隣接する上部絶縁部材9間の距離は、5mmであり、隣接する下部絶縁部材10間の距離も、5mmである。
上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10が固定された電極22及び23は、図12に示すように、厚さ10mmのムライト製の電極枠12で囲んだ。かかる電極枠12には、電極22及び23、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を位置決めすべく位置決め溝24が設けられ、位置決め溝24に位置決めされた電極22及び23、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10は、アルミナ製のビス25で電極枠12に固定される。なお、電極枠12の上面及び下面は開放されている。
また、電解槽21の底部から100mmの上方位置に、底部の金属液だまり6への漏洩電流の防止のために、マスク部材として開口率(z方向に投影したときの全面積に対する全開口26aの面積の百分率)30%のムライト製目皿26を置いた。また、電解槽21の底部から150mmの上方位置に下部絶縁部材10の下端がくるように、電極ユニットを配置した。電解液4aの液面は、上部絶縁部材9の上端から30mm上方になるように設定した。この電解槽21の上部には、電解槽21の缶体と同じ直径で高さ1000mmの、その外周部を室温の冷風により冷却するようにしたデミスタ2を取り付け、上部のガス出口7から陽極生成ガスを排出するようにした。電解槽21はヒーターで加熱され、電解液4aは約600℃にまで加熱できる。
かかる構成で、電解槽21に電解液4aとして塩化亜鉛を投入し、その液温を500℃にまで加熱して、電解を行った。このとき、電流密度は50A/dm、電解電圧は8.0V(電極22及び23の2組からなる電極組あたり4.0V)であった。この電解電圧は、電解液温度が560℃のときの電解電圧に相当している。このことは、電極枠12に囲まれた電極ユニット近傍部の電解液温度が、電極ユニット外の電解液温度よりも60℃高くなっていることを示しており、電解反応が起きている領域を適切な温度に保温する電極枠12の効果を確認できた。また、漏洩電流も5%以下であり、かかる構成の上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を有さない構成に比較して半分程度となっていることが確認された。ちなみに、得られた亜鉛の重量から、電流効率を計算すると、89%から90%の範囲に相当するという値を得た。この値は、かかる構成の上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を有さない構成に比較して、約5%効率が改善されている。
(第1の変形例の実験例)
本実験例では、本実施形態の実験例の構成に加えて、下部絶縁部材10の厚さを2mm増やし、下部絶縁部材10の陰極面部側(x正方向の面側)面が、電極22及び23の陰極面部(x正方向の面)からx正方向に2mm張り出すように設定したと以外、かかる実験例の構成と同様な構成を採用した。つまり、隣接する上部絶縁部材9間の距離は、5mmであり、隣接する下部絶縁部材10間の距離は、3mmである。また、いずれも図示は省略するが、下部絶縁部材10の陰極面部側の下端部には、R形状部を形成し、かつ下部絶縁部材10の上端部には、2mm程度の間隙部を設け、下部絶縁部材10内を貫通する排出流路の導入口とした。
かかる相違点以外は、本実施形態の実験例と同じ条件で電解を行ったところ、電解電圧は8.0V(電極22及び23の2組からなる電極組あたり4.0V)であった。この電解電圧は、電解液温度が560℃のときの電解電圧に相当している。このことは、電極枠12に囲まれた電極ユニット近傍部の電解液温度が、電極ユニット外の電解液温度よりも60℃高くなっていることを示しており、電解反応が起きている領域を適切な温度に保温する電極枠12の効果を確認できた。また、漏洩電流も3%以下であり、下部絶縁物内に排出流路を設けても、漏洩電流が増えることはがないことがなく、むしろ漏洩電流が減っていることが確認された。また、電解生成金属である融体の亜鉛が下部絶縁部材10内の排出流路に、速やかに流れ込むので、下部絶縁部材10間の距離を狭めているにもかかわらず、電解生成金属を介した電流のショートは発生せず、安定な電解反応を連続的に実施することができた。ちなみに、得られた亜鉛の重量から、電流効率を計算すると、88%から91%の範囲に相当するという値を得た。この値は、かかる構成の上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10を有さない構成に比較して、約10%効率が改善されている。
(第2の変形例の実験例)
本実験例では、第1の変形例の実験例の構成に加えて、上部絶縁部材9の陰極面部側(x正方向の面側)面を電極22及び23の陰極面部(x正方向の面)からx正方向に2mm張り出すように設定したこと以外、かかる実験例の構成と同様な構成を採用した。つまり、隣接する電極22及び23間の距離は5mmのままであるが、隣接する上部絶縁部材9の距離及び隣接する下部絶縁部材10の距離は、それぞれ3mmに設定した。
かかる相違点以外は、第1の変形例の実験例と同じ条件で電解を行ったところ、電解電圧は7.6V(電極22及び23の2組からなる電極組あたり3.8V)と、他の第1の変形例の実験例に比べて、僅かに低下した。これは、上部絶縁部材9部分の漏洩電流がさらに小さくなり、それに対応するオーム損が小さくなったためである。また、上部絶縁部材9間の間隔が、陽極面部側に偏っていることによって、陽極面部に沿ってより強い電解液の上昇流が生じるようになり、電解生成された塩素ガスの上昇が促進された。結果として、得られた亜鉛から計算した電流効率は91%から92%の範囲内となり、第1の変形例の実験例より、さらに向上された。
(第3の変形例の実験例)
本実験例では、第1の変形例の実験例の構成に対して、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10が固定された電極22及び23を陰極面部側(x正方向の面側)が上になるように5°傾けて配置したこと以外、かかる実験例の構成と同様な構成を採用した。
かかる相違点以外は、第1の変形例の実験例と同じ条件で電解を行ったところ、電解電圧は8.1Vから8.2Vの範囲内となって、他の第1の実験例1に比べて僅かに高くなったものの、電流効率は92%から93%の範囲内と上昇した。これは、上部絶縁部材9及び下部絶縁部材10が固定された電極22及び23を傾けたことによって、電解生成ガスである塩素と、電解生成金属である亜鉛の分離がより増強され、逆反応が強く抑制されたことに起因する。
本発明による溶融塩電解装置及び方法は、例えば、塩化アルミニウムに対する電解によってアルミを生産するといったような主として塩化金属化合物から溶融金属を採取する場合の如く、比較的低い融点を有する金属に対して有用であって、漏洩電流を低減して、電流効率を大きく向上させることができ、また、金属ミストの拡散や、生成ガスと生成金属の逆反応、電解生成金属を介した電極間の短絡現象も防ぐことができ、安定で高効率な電解反応の維持が実現される。従って、かかる溶融塩電解装置及び方法は、電解による金属製造産業に広く利用されることが期待される。
さらに、亜鉛還元法による高純度シリコンの製造は、太陽電池用ポリシリコンの製造に有用であるが、副生成物である塩化亜鉛の処理が大きな課題として浮上している。これに対して本発明の溶融塩電解装置及び方法を適用すると、塩化亜鉛を、塩化亜鉛法の原料である塩素と亜鉛に、容易に分解して再利用できるようになる。これは、原料を系内で循環させることで、低消費エネルギーかつ連続運転が可能な、閉鎖型ポリシリコン製造プラントへの道を拓くものである。従って、かかる溶融塩電解装置及び方法は、基幹的な材料であるポリシリコン製造産業において、大きな役割を果たすものと期待される。

Claims (15)

  1. 溶融金属塩化物を含む融体電解液を収容する電解槽と、
    導体である電極、前記電極の上端面を覆って上端部に固定され前記上端部から上方に延在する第1の絶縁部材、前記電極の下端面を覆って下端部に固定され前記下端部から下方に延在する第2の絶縁部材及び前記電極を囲む絶縁体である電極枠を有し、前記融体電解液中に浸漬されるべき電極ユニットと、
    を備えた溶融塩電解装置。
  2. 前記電極は、陽極面部及び前記陽極面部に対応する陰極面部を有し、前記陽極面部においてはガスが生成され、前記陰極面部においては前記融体電解液より比重の大きな融体金属が生成される請求項1に記載の溶融塩電解装置。
  3. 前記第2の絶縁部材は、流路を有し、前記陰極面部で生成された融体金属は、前記流路を通過して前記電解槽の底部に向け流下される請求項2に記載の溶融塩電解装置。
  4. 前記流路は、前記陰極面部の下端部と前記第2の絶縁部材との間隙部に、前記陰極面部で生成された融体金属を導入する入口を有する請求項3に記載の溶融塩電解装置。
  5. 前記流路の前記入口において、前記陰極面部の前記下端部を角取りした角取り形状部及び前記第2の絶縁部材を切り欠いた切り欠き部の少なくとも一方を有する請求項4に記載の溶融塩電解装置。
  6. 前記第1の絶縁部材及び前記第2の絶縁部材の少なくとも一方は、それが隣接する絶縁部材に向かって、前記陰極面部の位置に比較して張り出す張り出し部を有する請求項2に記載の溶融塩電解装置。
  7. 前記電極は、前記陽極面部が下向きになって前記陰極面部が上向きになるように、垂直方向に対して傾けられて配置され、前記陽極面部で生成されたガスが前記陽極面部に沿って上方へ移動し、前記陰極面部で生成された融体金属が前記陰極表面に沿って下方へ移動する請求項2に記載の溶融塩電解装置。
  8. 前記陽極面部と前記第1の絶縁部材及び前記第2の絶縁部材とは、面一である請求項7に記載の溶融塩電解装置。
  9. 前記陰極面部で生成されて前記電解槽の底部に貯留される融体金属と前記第2の絶縁部材との間に、漏洩電流を抑制するマスク部材が設けられた請求項2に記載の溶融塩電解装置。
  10. 前記電極は、一対の端部電極及び前記一対の端部電極の間に配される中間部電極を有する複極式電極である請求項1に記載の溶融塩電解装置。
  11. 前記融体電解液は、溶融塩化亜鉛である請求項1に記載の溶融塩電解装置。
  12. 前記電解槽は、前記電解槽の内部表面にセラミックが被覆された金属製である請求項1に記載の溶融塩電解装置。
  13. 前記第1の絶縁部材及び前記第2の絶縁部材は、セラミック製である請求項1に記載の溶融塩電解装置。
  14. 前記第1の絶縁部材及び前記第2の絶縁部材の少なくとも一方は、その先端部に向かうに従って厚さが減少する請求項1に記載の溶融塩電解装置。
  15. 溶融金属塩化物を含む融体電解液を収容する電解槽と、導体である電極、前記電極の上端面を覆って上端部に固定され前記上端部から上方に延在する第1の絶縁部材、前記電極の下端面を覆って下端部に固定され前記下端部から下方に延在する第2の絶縁部材及び前記電極を囲む絶縁体である電極枠を有し、前記融体電解液中に浸漬されるべき電極ユニットと、を備えた溶融塩電解装置を用意する工程と、
    前記第1の絶縁部材及び前記第2の絶縁部材の存在によりオーム損を低減しながら、前記電極の陽極面部においてはガスが生成され、前記陽極面部に対応する陰極面部においては前記融体電解液より比重の大きな融体金属が生成される電解工程と、
    を備えた溶融塩電解方法。
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