JPWO2007148432A1 - 重合性組成物、これを用いた樹脂、光学部品、および化合物 - Google Patents

重合性組成物、これを用いた樹脂、光学部品、および化合物 Download PDF

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Abstract

下記一般式(1)で表される化合物を含有する重合性組成物を提供する。[式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、X1およびX2は各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、R1は二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、pおよびqは(1、0)または(0,1)を表し、Yは無機または有機残基を表す。]

Description

本発明は、高い屈折率を有する透明樹脂用の原料モノマーとして有用な、分子内にS(硫黄)を含む環状構造を有し、かつP(リン)原子を含有する重合性化合物に関する。さらには、該化合物を含有する重合性組成物、該重合性組成物を重合して得られる樹脂、該樹脂を含む光学部品、ならびに該化合物に関する。
無機ガラスは透明性に優れ、光学異方性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性材料として広い分野で使用されている。しかしながら、重くて破損しやすい、成型加工して製品を得る際の生産性が悪い等の短所があり、無機ガラスに代わる素材として透明性有機高分子材料(光学用樹脂)が使用されている。かかる光学用樹脂から得られる光学部品としては、例えば、視力矯正用眼鏡レンズやデジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等のプラスチックレンズなどがあって、実用化され普及をみている。特に、視力矯正用眼鏡レンズの用途においては、無機ガラス製のレンズと比較して軽量で割れにくい、染色が可能でファッション性に富むなどの特長を生かして広く使用されている。
従来、眼鏡レンズに用いられる光学用樹脂としてジエチレングリコールビスアリルカーボネートを加熱下に注型重合して得られる架橋型樹脂(通称、DAC樹脂)が実用化されている。架橋型樹脂は、透明性、耐熱性が良好で色収差が低いといった特徴から、汎用の視力矯正用プラスチック眼鏡レンズ用途において最も多く使用されてきた。しかしながら、屈折率が低い(nd=1.50)ためにプラスチックレンズの中心厚みや周辺の厚み(コバ厚)が大きくなる。そのため、着用感、ファッション性に劣るなどの問題があった。したがって、これら問題を解決し得る高屈折率のプラスチックレンズ用樹脂が求められており、開発が行われている。
その流れの中にあって、ジイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを注型重合させて得られる硫黄原子を含有するポリチオウレタンは、透明性、耐衝撃性に優れ、高屈折率(nd=1.6〜1.7)で、かつ、色収差も比較的低いなどの極めて優れた特徴を実現している。このようなポリチオウレタンは、薄厚、軽量の高品質な視力矯正用プラスチック眼鏡レンズの用途で使用されてきている。
一方、さらに高い屈折率を有する光学用樹脂を追求する流れの中で、エピスルフィド基を有する化合物(特許文献1、特許文献2)やチエタン基を有する化合物(特許文献3)を重合させて得られる透明性樹脂やSeなどの金属含有化合物を重合させて得られる樹脂(特許文献4)などいつくかの提案がなされている。しかしながら、エピスルフィド基を有する化合物を重合させて得られる透明性樹脂においては、機械物性の点で問題がある。チエタン基を有する化合物においては、重合性の点で問題がある。また、Seなどの金属含有化合物を重合させて得られる樹脂においては、安全性の点で問題がある。したがって、これらの樹脂においてはさらなる改良が望まれている。また、最近では、プラスチックレンズとして必要な諸特性(透明性、熱的特性、機械的特性など)を有しつつ、かつ、屈折率(nd)1.7を超える、さらに高屈折率の光学用樹脂が求められ開発が行われている。こうした環境の下、金属含有チエタン化合物が新たに見出され、屈折率(nd)1.7を超える高屈折率の光学用樹脂が提案されている(特許文献5)。
特開平9−110979号公報 特開平11−322930号公報 特開2003−327583号公報 特開平11−140046号公報 国際公開第2005−095490号パンフレット
本発明は、プラスチックレンズなどの光学部品に必要な諸特性(透明性、熱的特性、機械的特性など)を有しつつ、かつ屈折率(nd)1.7を超える非常に高い屈折率を与える、重合性組成物を提供するものである。さらに、本発明は、該組成物を重合して得られる樹脂、該樹脂の製造方法および該樹脂を含む光学部品、レンズ、および化合物を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、分子内にS(硫黄)を含む環状構造を有し、かつP(リン)原子を含有する化合物に関する。
すなわち、本発明は、
[1]下記一般式(1)で表される化合物を含有する重合性組成物。
Figure 2007148432

[式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、pおよびqは(1、0)または(0,1)を表し、Yは無機または有機残基を表す。];
[2]一般式(1)が下記一般式(2)で表される、[1]に記載の重合性組成物。
Figure 2007148432

[式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、Yは無機または有機残基を表す。];
[3]前記一般式(2)で表される化合物において、m=0である、[2]に記載の重合性組成物;
[4]前記一般式(2)で表される化合物において、m=0およびX1が硫黄原子である、[2]に記載の重合性組成物;
[5]前記一般式(2)で表される化合物において、n=3、m=0、およびX1が硫黄原子である、[2]に記載の重合性組成物;
[6]前記一般式(1)が下記一般式(3)で表される、[1]に記載の重合性組成物。
Figure 2007148432

[式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、Yは無機または有機残基を表す。];
[7]前記一般式(3)で表される化合物において、m=0である、[6]に記載の重合性組成物;
[8]前記一般式(3)で表される化合物において、m=0およびX1が硫黄原子である、[6]に記載の重合性組成物;
[9]前記一般式(3)で表される化合物において、n=3、m=0、およびX1が硫黄原子である、[6]に記載の重合性組成物;
[10]さらに、下記一般式(7)で表される化合物を含有する、[1]に記載の重合性組成物。
Figure 2007148432

[11][1]乃至[10]のいずれかに記載の重合性組成物を注型重合する工程を含む、樹脂の製造方法;
[12][1]乃至[10]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られる樹脂;
[13][12]に記載の樹脂を含む光学部品;
[14][12]に記載の樹脂を含むレンズ;
[15][1]に記載の一般式(1)で表される化合物において、nが2または3である、化合物;
である。
本発明の重合性化合物を重合して得られる樹脂は、高い透明性、良好な耐熱性と機械的強度を有しつつ、かつ、屈折率(nd)1.7を超える高屈折率を有している。したがって、プラスチックレンズなどの光学部品に使用される樹脂として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下、各成分について具体例を用いて説明するが、本発明は以下の例示化合物に限定されるものではない。また、本発明において、各成分について例示化合物を単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。
本発明は、分子内にS(硫黄)を含む環状構造を有し、かつP(リン)原子を含有する化合物に関するものである。具体的には、本発明は、下記一般式(1)で表され、かつP(リン)原子を含有する化合物および該化合物を含有する重合性組成物に関するものである。
Figure 2007148432
[式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、pおよびqは(1、0)または(0、1)を表し、Yは無機または有機残基を表す。]
本発明の一つの好ましい態様としては、上記一般式(1)で表される化合物は、分子内にエピスルフィド基を1個または2個以上有し、かつ、P(リン)原子を含有する化合物である。かかる化合物の好ましい態様としては、MがP、P=O、またはP=Sからなる群より選択される一または二以上の化合物である。
具体的には、例えば、一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2007148432
また、本発明の他の好ましい態様としては、上記一般式(1)で表される化合物は、分子内にチエタン基を1個または2個以上有し、かつ、P(リン)原子を含有する化合物である。かかる化合物の好ましい様態としては、MがP、P=O、またはP=Sからなる群より選択される一または二以上の化合物である。
具体的には、例えば、一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2007148432
一般式(1)乃至(3)において、Mは、P、P=O、およびP=Sを表す。
一般式(1)乃至(3)において、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表す。本発明の所望の効果である高屈折率を得るという観点から、XおよびXは、好ましくは硫黄原子である。
一般式(1)乃至(3)において、Rは二価の有機基を表す。かかる二価の有機基としては、例えば、鎖状または環状脂肪族基、芳香族基または芳香族−脂肪族基である。高屈折率を考慮すると、Rは、好ましくは炭素数1以上20以下の鎖状脂肪族基、炭素数3以上20以下の環状脂肪族基、炭素数5以上20以下の芳香族基、炭素数6以上20以下の芳香族−脂肪族基である。
1は、より具体的には、好ましくは、メチレン基、エチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等の炭素数1以上20以下の置換または無置換の鎖状または環状脂肪族基;
フェニレン基、クロロフェニレン基、ナフチレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、フルオレニレン基等の置換または無置換の炭素数5以上20以下の芳香族基;または
−C64−CH2−基、−CH2−C64−CH2−基、−CH2−C63(Cl)−CH2−基、−C106−CH2−基、−CH2−C106−CH2−基、−CH2CH2−C64−CH2CH2−基等の置換または無置換の炭素数6以上20以下の芳香族−脂肪族基である。
1は、より好ましくはメチレン基、エチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリメチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数1以上6以下の置換または無置換の鎖状または環状脂肪族基;
フェニレン基、クロロフェニレン基、ナフチレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、フルオレニレン基等の置換または無置換の炭素数5以上15以下の芳香族基;または
−C64−CH2−基、−CH2−C64−CH2−基、−CH2−C63(Cl)−CH2−基、−C106−CH2−基、−CH2−C106−CH2−基、−CH2CH2−C64−CH2CH2−基等の置換または無置換の炭素数6以上15以下の芳香族−脂肪族基である。
かかる二価の有機基は、基中に炭素原子、水素原子以外のヘテロ原子を含有していても良い。かかるヘテロ原子としては、酸素原子または硫黄原子が挙げられる。本発明の所望の効果である高屈折率を考慮すると、ヘテロ原子は硫黄原子であることが好ましい。
一般式(1)乃至(3)において、mは0または1以上の整数を表す。かかるmは、高屈折率という観点から、好ましくは、0以上4以下の整数であり、より好ましくは、0以上2以下の整数であり、さらに好ましくは、整数0または1である。
一般式(1)乃至(3)において、nは1以上3以下の整数を表す。かかるnは、架橋密度が高いほうが機械強度が高いことから、好ましくは、整数2または3であり、より好ましくは、整数3である。
一般式(1)乃至(3)において、Yは無機または有機残基を表す。該残基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フェノキシ基、フェニルチオ基、アルキル基またはフェニル基などが挙げられる。
さらに、一般式(1)において、pおよびqは(1、0)または(0、1)を表す。すなわち、pおよびqはいずれか一方が1となり、他方が0となる。ここで、pが0の場合、qは1となり、一般式(1)で表される化合物は、エピスルフィド基を有する上記一般式(2)で表される化合物となる。一方、pが1の場合、qは0となり、一般式(1)で表される化合物は、チエタン基を有する上記一般式(3)で表される化合物となる。
一般式(2)で表される化合物としては、具体的には例えば、
トリス(β−エピチオプロピル)ホスフィン、
トリス(β−エピチオプロピル)オキソリン(V)、
トリス(β−エピチオプロピル)チオリン(V)、
トリス(β−エピチオプロピル)ホスファイト、
トリス(β−エピチオプロピル)ホスファート、
トリス(β−エピチオプロピル)チオホスファートなどが例示される。しかしながら、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
一般式(3)で表される化合物としては、具体的には例えば、
トリス(3−チエタニルチオ)ホスフィン、
トリス(3−チエタニルチオ)オキソリン(V)、
トリス(3−チエタニルチオ)チオリン(V)、
トリス(3−チエタニル)ホスファイト、
トリス(3−チエタニル)ホスファート、
トリス(3−チエタニル)チオホスファートなどが例示される。しかしながら、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
本発明の一般式(2)で表される化合物は、代表的には、一般式(4)で示されるP、P=OまたはP=Sのハロゲン化物と、一般式(5)で表されるエピスルフィド基を有するヒドロキシ化合物またはチオール化合物との反応により製造される。
Figure 2007148432

(式中、MおよびYは上述と同じであり、Zはハロゲン原子を表し、pは1以上3以下の整数を表す)
Figure 2007148432

(式中、R、X、Xおよびmは上述と同じ)
また、本発明の一般式(3)で表される化合物は、代表的には、上述の一般式(4)で示されるP、P=OまたはP=Sのハロゲン化物と、一般式(6)で表されるチエタン基を有するヒドロキシ化合物またはチオール化合物との反応により製造される。
Figure 2007148432

(式中、R、X、Xおよびmは上述と同じ)
一般式(4)で表される化合物は、工業用原料または研究用試薬として入手可能である。一般式(5)で表される化合物は公知化合物であって、例えば、SYNTHETIC COMMUNICATION誌2003年595〜600頁に記載の方法に従って製造される。一般式(6)で表される化合物は公知化合物であって、例えば、特開2003−327583号公報に記載の方法に従って製造される。
上記の反応は無溶媒で行ってもよく、あるいは反応に不活性な有機溶媒の存在下に行ってもよい。
かかる有機溶媒としては、反応に不活性な有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの含塩素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなど非プロトン性極性溶媒などが例示される。
反応温度は、特に制限されるものではないが、通常、−78℃〜200℃の範囲であり、好ましくは、−78℃〜100℃である。
反応時間は反応温度により影響されるが、通常、数分から100時間である。
上記の反応における、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、一般式(5)で表される化合物の使用量は、0.01以上100モル以下である。また、好ましくは、0.1モル以上50モル以下であり、より好ましくは、0.5モル以上20モル以下である。
また、上記の反応における、一般式(4)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、一般式(6)で表される化合物の使用量は、0.01以上100モル以下である。また、好ましくは、0.1モル以上50モル以下であり、より好ましくは、0.5モル以上20モル以下である。
反応は無触媒で行われてもよく、あるいは触媒存在下に行われてもよい。反応を効率よく行うために、塩基を用いることは好ましい。かかる塩基として、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどが例示される。
本発明の重合性組成物は、一般式(1)で表される化合物を含有する化合物を重合性化合物として含有し、さらに重合触媒を含有してもよい。
この場合、上述したような一般式(1)で表される化合物を単独、または一般式(1)で表される化合物であって、かつ異なる複数の化合物を併用して用いてもよい。例えば、一般式(2)で表される化合物および一般式(3)で表される化合物を混合して用いてもよい。
本発明の重合性組成物中に含まれる重合性化合物の総重量に基づいて、一般式(1)で表される化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、通常、10重量%以上であり、好ましくは、30重量%以上であり、より好ましくは、50重量%以上であり、さらに好ましくは、70重量%以上である。
本発明の重合性組成物に使用する重合触媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、特開2003−327583号公報などに記載の公知の重合触媒などを使用することができる。かかる重合触媒としては、例えば、アミン化合物、ホスフィン化合物、有機酸およびその誘導体(塩、エステルまたは酸無水物など)、無機酸、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物、三級スルホニウム塩化合物、二級ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、ルイス酸化合物、ラジカル重合触媒、カチオン重合触媒などが使用される。
かかる重合触媒の使用量は、重合性組成物の組成、重合条件などによって影響されるため、特に限定されるものではないが、重合性組成物中に含まれる全重合性化合物100重量部に対して、0.0001重量部以上10重量部以下であり、好ましくは、0.001重量部以上5重量部以下であり、より好ましくは、0.005重量部以上3重量部以下である。
本発明の重合性組成物は、本発明の所望の効果を損なわない範囲において、一般式(1)で表される化合物以外の、他の重合性化合物をさらに含有してもよい。
かかる重合性化合物としては、公知の各種重合性モノマーまたは重合性オリゴマーが挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ビニル化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、オキセタン化合物、チエタン化合物などが例示される。
例えば、本発明の重合性組成物は、さらに、他の重合性化合物として下記一般式(7)で表される化合物を含んでもよい。
Figure 2007148432
本発明の重合性組成物中に含まれる重合性化合物の総重量に基づいて、これら他の重合性化合物の含有量は、含まれる場合、本発明の所望の効果を損なわない限り特に制限はないが、通常、90重量%以下であり、好ましくは、80重量%以下であり、より好ましくは、70重量%以下であり、さらに好ましくは、50重量%以下である。
本発明の重合性組成物の製造方法として、代表的には、本発明の一般式(1)で表される化合物を用い、所望により上記の公知の各種重合性化合物を併用して、さらに上記重合触媒を添加した後、混合、溶解させる方法などが挙げられる。さらに該重合性組成物は、必要に応じて減圧下で十分に脱気処理(脱泡)し、重合前に不溶物や異物などを濾過により除去した後、重合に使用されることが好ましい。
また重合性組成物を製造する際には、本発明の効果を損なわない範囲内で所望に応じて、内部離型剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色顔料(例えば、シアニングリーン、シアニンブルー等)、染料、流動調節剤、充填剤などの公知の各種添加剤を添加することが可能である。
本発明の樹脂ならびに該樹脂からなる光学部品は、上記重合性組成物を重合して得られるものである。かかる方法として、プラスチックレンズを製造する際に用いられる、従来より公知の各種方法によって好適に実施される。代表的な方法としては、注型重合が挙げられる。すなわち、前述の方法により製造された本発明の重合性組成物を、必要に応じて、減圧下での脱法処理やフィルターろ過を行った後、該重合性組成物を成型用モールドに注入し、必要に応じて加熱して重合を行うことによって実施される。この場合、低温から高温へ徐々に加熱して重合することが好ましい。
該成型用モールドは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等からなるガスケットを介した鏡面研磨した二枚の鋳型により構成される。鋳型としては、代表的には、ガラスとガラスの組み合わせであり、他にガラスとプラスチック板、ガラスと金属板等の組み合わせの鋳型が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、成型用モールドは2枚の鋳型をポリエステル粘着テープなどのテープ等で固定したものであってもよい。必要に応じて、鋳型に対して離型処理など公知の処理方法を行ってもよい。
注型重合を行う場合、重合温度は重合開始剤の種類など重合条件によって影響されるので、限定されるものではないが、通常、−50〜200℃であり、好ましくは、−20〜170℃であり、より好ましくは、0〜150℃である。
重合時間は、重合温度により影響されるが、通常、0.01〜100時間であり、好ましくは、0.05〜50時間である。また必要に応じて、低温や昇温、降温などを行っていくつかの温度を組み合わせて重合を行うことも可能である。
また、本発明の重合性組成物は、電子線、紫外線や可視光線などの活性エネルギー線を照射することによっても重合を行うことができる。この際には、必要に応じて、活性エネルギー線によって重合開始するラジカル重合触媒やカチオン重合触媒が用いられる。
得られた樹脂およびこの樹脂からなるレンズは、必要に応じて、片面または両面にコーティング層を施して用いてもよい。コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止膜層、防曇コート膜層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いてもよいし、複数のコーティング層を多層化して使用してもよい。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
これらのコーティング層には、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。添加剤として、具体的には、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤;
赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤;
レンズの耐候性の向上を目的で光安定剤や酸化防止剤;
レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料等を用いてもよく、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他の各種添加剤を用いてもよい。また、塗布によるコーティングを行う層に関しては、塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
プライマー層は、通常、後述するハードコート層とレンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。
プライマー層には、得られたレンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物には組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
プライマー組成物は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成することができる。塗布法を用いる場合、レンズへスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布された後、固化させることによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面に、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
ハードコート層には、一般的には、硬化性を有する有機ケイ素化合物と、Si、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、InおよびTiの元素群から選ばれる1種の元素を含む酸化物微粒子および/またはこれら元素群から選ばれた2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子を含むハードコート組成物が使用される。酸化物微粒子および/または複合酸化物から構成される微粒子は、ハードコート組成物中に1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ハードコート組成物には前記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±(プラスマイナス)0.1の範囲にあるのが好ましい。
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO2、TiO2等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
反射防止層には、単層のものおよび多層のものがあり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。さらに効果的に反射防止機能を発現するには、多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合にも、低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は、0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO2、CeO2、Sb25、SnO2、ZrO2、Ta25等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO2膜等が挙げられる。
反射防止膜層の上には、必要に応じて防曇コート膜層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇コート膜層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇コート処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。
たとえば、防曇コート、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。
また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
また、得られた樹脂およびこの樹脂からなるレンズは、ファッション性やフォトクロミック性の付与などを目的として、目的に応じた色素を用い、染色して使用してもよい。以下、光学レンズの染色を例に説明する。
光学レンズの染色は公知の染色方法で実施可能であるが、通常、以下に示すいずれかの方法で実施される。
(a)レンズを染色液に浸漬する方法、
(b)色素を含有するコーティング剤を用いてコーティングする方法、または染色可能なコーティング層を設け、そのコーティング層を染色する方法、
(c)原料モノマーに染色可能な材料を含有させて重合する方法、および
(d)昇華性色素を加熱して昇華させる方法。
(a)の方法は、一般的には、使用する色素を溶解または均一に分散させた染色液中に、所定の光学面に仕上げられたレンズ生地を浸漬(染色工程)した後、必要に応じてレンズを加熱して色素を固定化(染色後アニール工程)する方法である。
染色工程に用いられる色素は、たとえば公知の色素であり特に限定されないが、通常は、油溶染料もしくは分散染料が使用される。染色工程で使用される溶剤は、用いる色素が溶解可能もしくは均一に分散可能なものであれば特に限定されない。
この染色工程では、必要に応じて染色液に色素を分散させるための界面活性剤や、染着を促進するキャリアを添加してもよい。
染色工程は、色素および必要に応じて添加される界面活性剤を水または水と有機溶媒との混合物中に分散させて染色浴を調製し、この染色浴中に光学レンズを浸漬し、所定温度で所定時間染色を行う。染色温度および時間は、所望の着色濃度により変動するが、通常、120℃以下で数分〜数十時間程度でよく、染色浴の染料濃度は0.01〜10重量%程度で実施される。また、染色が困難な場合は加圧下で行ってもよい。必要に応じて実施される染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地に加熱処理を行う工程である。加熱処理は、染色工程で染色されたレンズ生地の表面に残る水を溶剤等で除去したり、溶媒を風乾したりした後に、たとえば大気雰囲気の赤外線加熱炉、あるいは抵抗加熱炉等の炉中に所定時間滞留させる。染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地の色抜けを防止する(色抜け防止処理)と共に、染色時にレンズ生地の内部に浸透した水分の除去が行われる。
(b)の方法は、プラスチックレンズ素材に直接染色するのではなく、色素を分散または溶解した有機コーティング液をプラスチックレンズに塗布した後、硬化処理することにより、染色されたコーティング層をレンズ表面に形成する方法、もしくはプラスチックレンズ表面に染色可能なコーティング層を形成してから(a)の方法を採る、すなわち、染色液中にプラスチックレンズを浸漬し、加熱することにより染色する方法である。
(c)の方法は、プラスチックレンズの原料モノマーに予め染料を溶解してから重合する方法である。使用する色素は原料モノマーに均一に溶解または光学的性質を損なわない程度に分散できるものであれば特に限定されない。
(d)の方法の例としては、以下の(d1)〜(d3)が挙げられる。
(d1)固形昇華性色素を昇華させてプラスチックレンズを染色する方法、
(d2)昇華性色素を含む溶液を塗布してなる基体をプラスチックレンズに非接触状態で対向させ、基体およびレンズを加熱することにより染色する方法、および
(d3)昇華性色素を含有する着色層と、粘着層とからなる転写層をプラスチックレンズに転写した後、加熱することにより染色する方法。
本発明の樹脂およびこの樹脂からなるレンズについては、いずれの方法で染色してもよい。使用する色素は昇華性を有している色素であれば特に限定されない。
また本発明の重合性組成物を重合して得られる樹脂硬化物および光学部品は、高い透明性、良好な耐熱性と機械的強度を有しつつ、かつ、屈折率(nd)1.7を超える高屈折率を有している。
本発明の光学部品としては、例えば、視力矯正用眼鏡レンズ、撮像機器用レンズ、液晶プロジェクター用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、コンタクトレンズなどの各種プラスチックレンズ、発光ダイオード(LED)用封止材、光導波路、光学レンズや光導波路の接合に用いる光学用接着剤、光学レンズなどに用いる反射防止膜、液晶表示装置部材(基板、導光板、フィルム、シートなど)に用いる透明性コーティングまたは透明性基板などが挙げられる。
本発明はさらに、上記一般式(1)で表される化合物において、nが2または3である化合物に関する。このような化合物は、例えば、重合性化合物として本発明の重合性組成物に含めることができる。
以下、製造例および実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<本発明の一般式(2)で表される化合物の製造>
[参考製造例1]
SYNTHETIC COMMUNICATION誌2003年595〜600頁に記載の方法に従って、2,3−エピチオ−1−プロパノールを合成した。すなわち、攪拌装置と温度計を備えた反応器中に、チオ尿素152g、グリシドール74g、テトラフルオロホウ酸リチウム18.7gおよびアセトニトリル500gを装入した。還流下で0.5時間、攪拌して反応を行った。その後、水300gを加え、クロロホルム500gで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒をエバポレーターで留去した。シリカゲルカラムにて精製を行い、2,3−エピチオ−1−プロパノールを72g得た(単離収率80%)。
[実施例A1]
[本発明の式(2−1)で表される化合物の製造]
2,3−エピチオ−1−プロパノール42.6g(0.473モル)を乾燥させたテトラヒドロフラン500g中に装入し、−30℃まで冷却し、乾燥させたトリエチルアミン50.1g(0.495モル)を同温度で加え、5分間攪拌を行なった。続いて、チオホスホリルクロリドのテトラヒドロフラン溶液90ml(チオホスホリルクロリド0.150モルに相当)を−30℃で2時間かけて滴下挿入した。滴下終了後、−20℃まで昇温し、その温度でさらに4時間攪拌した。この反応混合物を濾過し塩を除去した後、600mlのトルエンおよび600mlの水を加え、有機層と水層に分液した。有機層を500mlの1%NaHCO水溶液、および500mlの純水でそれぞれ2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。この抽出物から塩化メチレンおよびトルエンを留去して得られた粗生成物をヘキサン/トルエン混合液を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して下記式(2−1)のトリス(β−エピチオプロピル)チオホスファート21.5g(収率43%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:DMSO−d6、内部標準物質:TMS);δ2.50(6H)、δ3.10(3H)、δ3.50(6H)。
Figure 2007148432
[実施例A2]
[本発明の式(2−2)で表される化合物の製造]
実施例A1において2,3−エピチオ−1−プロパノールの代わりに、2,3−エピチオ−1−プロパンチオールを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(2−2)のトリス(β−エピチオプロピル)チオリン(V)30.8g(収率54%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ2.35(3H)、δ2.65(3H)、δ3.10(3H)、δ3.25(3H)、δ3.45(3H)。
Figure 2007148432
[実施例A3]
[本発明の式(2−3)で表される化合物の製造]
実施例A1において2,3−エピチオ−1−プロパノールの代わりに、2,3−エピチオ−1−プロパンチオールを用い、チオホスホリルクロリドの代わりにオキシ3塩化リンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(2−3)のトリス(β−エピチオプロピル)オキソリン(V)16.3g(収率30%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ2.52(6H)、δ3.12(3H)、δ3.37(6H)。
Figure 2007148432
[実施例A4]
[本発明の式(2−4)で表される化合物の製造]
実施例A1において2,3−エピチオ−1−プロパノールの代わりに、2,3−エピチオ−1−プロパンチオールを用い、チオホスホリルクロリドの代わりに3塩化リンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(2−4)のトリス(β−エピチオプロピル)ホスフィン32.2g(収率62%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ2.46(6H)、δ3.00(3H)、δ3.33(6H)。
Figure 2007148432
<重合性組成物の調製とその重合による樹脂硬化物の製造>
下記実施例において製造した樹脂または光学部品(レンズ)の物性評価を下記の方法により行った。
・外観:目視および顕微鏡観察により色味、透明性、光学的な歪みの有無を確認した。
・屈折率:プルフリッヒ屈折計を用いて20℃で測定した。
・落球試験:高さ127cmのところから鉄球を自由落下させて中心厚1mmのレンズが割れるかどうかの試験を行った。
[実施例A5]
室温(25℃)下、ガラスビーカーに実施例A1で製造した式(2−1)で表される化合物30gを秤取し、重合触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸0.15gを加えた。その後、攪拌して十分に混合した。得られた混合液をテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、1.3kPa以下の減圧下に発泡が認められなくなるまで十分脱気させた。ガラスモールドとテープよりなるモールド中へ該重合性組成物を注入した後、加熱オーブン中へ入れ30℃〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.732、落球試験は12gでも割れなかった。
[実施例A6]
実施例A5において、式(2−1)で表される化合物を用いる代わりに、実施例A2で製造した式(2−2)で表される化合物を使用する以外は、実施例A5に記載の方法と同様にして行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.760、落球試験は12gでも割れなかった。
[実施例A7]
実施例A5において、式(2−1)で表される化合物を用いる代わりに、実施例A3で製造した式(2−3)で表される化合物を使用する以外は、実施例A5に記載の方法と同様にして行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.728、落球試験は12gでも割れなかった。
[実施例A8]
実施例A5において、式(2−1)で表される化合物を用いる代わりに、実施例A4で製造した式(2−4)で表される化合物を使用する以外は、実施例A5に記載の方法と同様にして行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.737、落球試験は12gでも割れなかった。
<本発明の一般式(3)で表される化合物の製造>
[参考製造例2]
特開2003−327583号に記載の方法に従って、3−チエタノールを合成した。すなわち、攪拌装置と温度計を備えた反応器中に、チオ尿素190g、35%塩酸水253gおよび水250gを装入して攪拌している反応液に対して、3−チエタノール156gを1時間かけて適下した。30℃で24時間、攪拌して反応を行った後、24%アンモニア水177gを1時間かけて適下した。さらに30℃で15時間反応を行ない、その後、静置して有機層(下層)を取り出し、粗生成物134gを得た。得られた粗生成物を減圧下に蒸留して、沸点40℃/106Paの留分を集め、無色透明液体の目的物である3−メルカプトチエタンを得た。
[実施例B1]
[本発明の式(3−1)で表される化合物の製造]
3−チエタノール42.6g(0.473モル)を乾燥させたテトラヒドロフラン500g中に装入し、−30℃まで冷却し、乾燥させたトリエチルアミン50.1g(0.495モル)を同温度で加え、5分間攪拌を行なった。続いて、チオホスホリルクロリドのテトラヒドロフラン溶液90ml(チオホスホリルクロリド0.150モルに相当)を−30℃で2時間かけて滴下挿入した。滴下終了後、−20℃まで昇温し、その温度でさらに4時間攪拌した。この反応混合物を濾過し塩を除去した後、600mlのトルエンおよび600mlの水を加え、有機層と水層に分液した。有機層を500mlの1%NaHCO水溶液、および500mlの純水でそれぞれ2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。この抽出物から塩化メチレンおよびトルエンを留去して得られた粗生成物をヘキサン/トルエン混合液を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して下記式(3−1)のトリス(3−チエタニル)チオホスファート21.5g(収率43%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:DMSO−d6、内部標準物質:TMS);δ3.30(12H)、δ5.12(3H)。
Figure 2007148432
[実施例B2]
[本発明の式(3−2)で表される化合物の製造]
実施例B1において3−チエタノールの代わりに、3−メルカプトチエタンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(3−2)のトリス(3−チエタニルチオ)チオリン(V)30.8g(収率54%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ3.35(6H)、δ3.61(6H)、δ4.92(3H)。
Figure 2007148432
[実施例B3]
[本発明の式(3−3)で表される化合物の製造]
実施例B1において3−チエタノールの代わりに3−メルカプトチエタンを用い、チオホスホリルクロリドの代わりにオキシ3塩化リンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(3−3)のトリス(3−チエタニルチオ)オキソリン(V)16.3g(収率30%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ3.35(6H)、δ3.65(6H)、δ4.92(3H)。
Figure 2007148432
[実施例B4]
[本発明の式(3−4)で表される化合物の製造]
実施例B1において3−チエタノールの代わりに3−メルカプトチエタンを用い、チオホスホリルクロリドの代わりに3塩化リンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(3−4)のトリス(3−チエタニルチオ)ホスフィン32.2g(収率62%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ3.25(6H)、δ3.62(6H)、δ4.70(3H)。
Figure 2007148432
<重合性組成物の調製とその重合による樹脂硬化物の製造>
下記実施例において製造した樹脂または光学部品(レンズ)の物性評価(外観、屈折率、落球試験)を上述と同様の方法により行った。
[実施例B5]
室温(25℃)下、ガラスビーカーに実施例B1で製造した式(3−1)で表される化合物30gを秤取し、重合触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸0.15gを加えた後、攪拌して十分に混合した。得られた混合液をテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、1.3kPa以下の減圧下に発泡が認められなくなるまで十分脱気させた。ガラスモールドとテープよりなるモールド中へ該重合性組成物を注入した後、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.737、比重1.49、落球試験は12gでも割れなかった。
[実施例B6]
実施例B5において、式(3−1)で表される化合物を用いる代わりに、実施例B2で製造した式(3−2)で表される化合物を使用する以外は、実施例B5に記載の方法と同様にして行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.767、比重1.51、落球試験は12gでも割れなかった。
[実施例B7]
実施例B5において、式(3−1)で表される化合物を用いる代わりに、実施例B3で製造した式(3−3)で表される化合物を使用する以外は、実施例B5に記載の方法と同様にして行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.733、比重1.50、落球試験は12gでも割れなかった。
[実施例B8]
実施例B5において、式(3−1)で表される化合物を用いる代わりに、実施例B4で製造した式(3−4)で表される化合物を使用する以外は、実施例B5に記載の方法と同様にして行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.743、比重1.49であった。
[比較例1]
ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド100gにベンジルアミン5gを溶解させた。ついで硬化触媒としてN,N−ジシクロヘキシルメチルアミン0.2gを添加して混合した。このモノマー混合物を真空度1330Paで0.5時間脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。これを、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.730、落球試験は8gで割れてしまった。
[比較例2]
ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド100gにベンジルアミン5gを溶解させた。ついで硬化触媒としてN,N−ジシクロヘキシルメチルアミン0.2gを添加して混合した。このモノマー混合物を真空度1330Paで0.5時間脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。これを、加熱オーブン中へ入れ30〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.706、落球試験は8gで割れてしまった。
[参考製造例3]
3−メルカプトチエタン11.15g(0.105モル)を純水50g中に装入し、続いて、10%NaOH水溶液41.2g(0.103モル)を室温下、40分かけて滴下装入した。続いて、反応液を30℃まで昇温し、10%四塩化スズの水溶液65.2g(四塩化スズ0.025モルに相当)を同温度で4時間かけて滴下挿入した。滴下終了後、同温度でさらに2時間攪拌した。この反応混合物にクロロホルム100mlを加え、有機層と水層に分液した。有機層を100mlの純水で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。この抽出物から溶媒を留去して式(7)で表される化合物13.40g(収率99%)を得た。
Figure 2007148432
[実施例B9]
40℃下、ガラスビーカーに実施例B2で製造した式(3−2)で表される化合物27gおよび上記式(7)で表される化合物3gを秤取し、重合触媒を添加せずに、攪拌して十分に混合した。得られた混合液をテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、1.3kPa以下の減圧下に発泡が認められなくなるまで十分脱気させた。ガラスモールドとテープよりなるモールド中へ該重合性組成物を注入した後、加熱オーブン中へ入れ60〜120℃まで徐々に昇温し20時間重合を行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。
得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.771、比重1.60、落球試験は12gでも割れなかった。
[比較例3]
室温(25℃)下、ガラスビーカーにm−キシリレンジイソシアナート36.4g、ジ−n−ブチルスズジクロリド0.0105g、内部離型剤(STEPAN社、商品名、ゼレックUN)0.070g、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名、バイオソーブ583)0.035gを20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この均一溶液に、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン33.6gを添加し、混合溶解させた。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、テフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。その後、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合を行った。
得られた樹脂の成型片は透明性良好であり、歪みのない外観良好なものであった。得られた樹脂の屈折率を測定したところ、屈折率nd=1.660であった。また、落球試験は12gでも割れなかった。
一般式(2)で表される化合物としては、具体的には例えば、
トリス(β−エピチオプロピルチオ)ホスフィン、
トリス(β−エピチオプロピルチオ)オキソリン(V)、
トリス(β−エピチオプロピルチオ)チオリン(V)、
トリス(β−エピチオプロピル)ホスファイト、
トリス(β−エピチオプロピル)ホスファート、
トリス(β−エピチオプロピル)チオホスファートなどが例示される。しかしながら、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
本発明の樹脂ならびに該樹脂からなる光学部品は、上記重合性組成物を重合して得られるものである。かかる方法として、プラスチックレンズを製造する際に用いられる、従来より公知の各種方法によって好適に実施される。代表的な方法としては、注型重合が挙げられる。すなわち、前述の方法により製造された本発明の重合性組成物を、必要に応じて、減圧下での脱処理やフィルターろ過を行った後、該重合性組成物を成型用モールドに注入し、必要に応じて加熱して重合を行うことによって実施される。この場合、低温から高温へ徐々に加熱して重合することが好ましい。
[実施例A1]
[本発明の式(2−1)で表される化合物の製造]
2,3−エピチオ−1−プロパノール42.6g(0.473モル)を乾燥させたテトラヒドロフラン500g中に装入し、−30℃まで冷却し、乾燥させたトリエチルアミン50.1g(0.495モル)を同温度で加え、5分間攪拌を行なった。続いて、チオホスホリルクロリドのテトラヒドロフラン溶液90ml(チオホスホリルクロリド0.150モルに相当)を−30℃で2時間かけて滴下入した。滴下終了後、−20℃まで昇温し、その温度でさらに4時間攪拌した。この反応混合物を濾過し塩を除去した後、600mlのトルエンおよび600mlの水を加え、有機層と水層に分液した。有機層を500mlの1%NaHCO水溶液、および500mlの純水でそれぞれ2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。この抽出物から塩化メチレンおよびトルエンを留去して得られた粗生成物をヘキサン/トルエン混合液を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して下記式(2−1)のトリス(β−エピチオプロピル)チオホスファート21.5g(収率43%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:DMSO−d6、内部標準物質:TMS);δ2.50(6H)、δ3.10(3H)、δ3.50(6H)。
[実施例A2]
[本発明の式(2−2)で表される化合物の製造]
実施例A1において2,3−エピチオ−1−プロパノールの代わりに、2,3−エピチオ−1−プロパンチオールを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(2−2)のトリス(β−エピチオプロピルチオ)チオリン(V)30.8g(収率54%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ2.35(3H)、δ2.65(3H)、δ3.10(3H)、δ3.25(3H)、δ3.45(3H)。
[実施例A3]
[本発明の式(2−3)で表される化合物の製造]
実施例A1において2,3−エピチオ−1−プロパノールの代わりに、2,3−エピチオ−1−プロパンチオールを用い、チオホスホリルクロリドの代わりにオキシ3塩化リンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(2−3)のトリス(β−エピチオプロピルチオ)オキソリン(V)16.3g(収率30%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ2.52(6H)、δ3.12(3H)、δ3.37(6H)。
[実施例A4]
[本発明の式(2−4)で表される化合物の製造]
実施例A1において2,3−エピチオ−1−プロパノールの代わりに、2,3−エピチオ−1−プロパンチオールを用い、チオホスホリルクロリドの代わりに3塩化リンを用いる以外は同様な操作を行い、下記式(2−4)のトリス(β−エピチオプロピルチオ)ホスフィン32.2g(収率62%)を得た。以下に1H−NMRデータを示す(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS);δ2.46(6H)、δ3.00(3H)、δ3.33(6H)。
<本発明の一般式(3)で表される化合物の製造>
[参考製造例2]
特開2003−327583号に記載の方法に従って、3−メルカプトチエタンを合成した。すなわち、攪拌装置と温度計を備えた反応器中に、チオ尿素190g、35%塩酸水253gおよび水250gを装入して攪拌している反応液に対して、3−チエタノール156gを1時間かけて適下した。30℃で24時間、攪拌して反応を行った後、24%アンモニア水177gを1時間かけて適下した。さらに30℃で15時間反応を行ない、その後、静置して有機層(下層)を取り出し、粗生成物134gを得た。得られた粗生成物を減圧下に蒸留して、沸点40℃/106Paの留分を集め、無色透明液体の目的物である3−メルカプトチエタンを得た。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含有する重合性組成物。
    Figure 2007148432

    [式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、pおよびqは(1、0)または(0,1)を表し、Yは無機または有機残基を表す。]
  2. 前記一般式(1)が下記一般式(2)で表される、請求項1に記載の重合性組成物。
    Figure 2007148432

    [式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、Yは無機または有機残基を表す。]
  3. 前記一般式(2)で表される化合物において、m=0である、請求項2に記載の重合性組成物。
  4. 前記一般式(2)で表される化合物において、m=0およびX1が硫黄原子である、請求項2に記載の重合性組成物。
  5. 前記一般式(2)で表される化合物において、n=3、m=0、およびX1が硫黄原子である、請求項2に記載の重合性組成物。
  6. 前記一般式(1)が下記一般式(3)で表される、請求項1に記載の重合性組成物。
    Figure 2007148432

    [式中、Mは、P、P=O、またはP=Sを表し、XおよびXは各々独立に硫黄原子または酸素原子を表し、Rは二価の有機基を表し、mは0または1以上の整数を表し、nは1以上3以下の整数を表し、Yは無機または有機残基を表す。]
  7. 前記一般式(3)で表される化合物において、m=0である、請求項6に記載の重合性組成物。
  8. 前記一般式(3)で表される化合物において、m=0およびX1が硫黄原子である、請求項6に記載の重合性組成物。
  9. 前記一般式(3)で表される化合物において、n=3、m=0、およびX1が硫黄原子である、請求項6に記載の重合性組成物。
  10. さらに、下記一般式(7)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の重合性組成物。
    Figure 2007148432
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の重合性組成物を注型重合する工程を含む、樹脂の製造方法。
  12. 請求項1乃至10のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られる樹脂。
  13. 請求項12に記載の樹脂を含む光学部品。
  14. 請求項12に記載の樹脂を含むレンズ。
  15. 請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物において、nが2または3である、化合物。
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