JPWO2007138979A1 - X線ct装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、1ビュー分の投影データは、前記X線検出器のチャネル数×列数分のデータから成る(シングルスライス型X線CT装置は前記のとおり列数=1の場合である)。
そこで、被曝線量・画像SD値を増大させないようにしつつ従来より低い管電圧(X線管の陽極と陰極間に印加する電圧)を使用することで再構成画像におけるCNRを向上させる、あるいは再構成画像におけるCNRを減少させないようにしつつ従来より低い管電圧を使用することで被曝線量を低減するX線CT装置が特許文献1に開示されている。
例えば、臓器間のコントラストは必ずしも管電圧に大きく依存しないので、画像SD値が増大しないようにしつつ従来より低い管電圧を使用しても、CNRの向上には必ずしも有効ではない。
さらに診断対象のサイズによって実現すべきCNRが異なり、したがって設定すべきX線条件も異なるが、その点についても検討されてはいない。
すなわち、被検体に照射するX線を発生するX線管と、前記被検体を挟み前記X線管と対向配置され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管とX線検出器を搭載して前記被検体の周りを回転するスキャナ回転体と、スキャノグラム撮影及びスキャン撮影に必要な情報を入力及び設定して操作する操作手段と、前記X線検出器によって検出された被検体のスキャノグラム投影データに基づいてスキャン時の撮影条件を決定する撮影条件決定手段と、この撮影条件決定手段によって決定された撮影条件でスキャンするスキャン手段とを備え、このスキャン手段によってスキャンされ前記X線検出器で検出した透過X線量に基づいて前記被検体の断層像を再構成するX線CT装置において、前記撮影条件決定手段は、標準撮影条件を記憶する記憶手段と、前記スキャノグラム投影データを解析して前記被検体の3次元モデルを生成する被検体3次元モデル生成手段と、前記操作手段で前記被検体の診断対象サイズを設定する診断対象サイズ設定手段と、前記設定した診断対象サイズと前記被検体3次元モデルと前記標準撮影条件とから診断対象を識別するコントラストノイズ比を得るためのX線条件を算出するX線条件算出手段とを備える。
本発明のX線CT装置において、前記X線条件算出手段は、以下、例示する種々の態様を採りえる。
(1)前記コントラストノイズ比算出手段は、前記コントラストノイズ比を、前記診断対象のサイズと識別可能なコントラストノイズ比との関係の関数より算出する手段である。
なお、本発明は、診断対象を識別するために適切なコントラストノイズ比を得るためのX線条件をスキャン開始前に予め決定し、この決定したX線条件でスキャンするものであり、スキャン方式(アキシャルスキャン、螺旋スキャン)及びスライス型(シングルスライス、マルチスライス)のいずれにも適用可能であるが、ここでは、マルチスライス型螺旋スキャン方式のX線CT装置に適用した場合を例として説明する。
図2に示すX線CT装置は、被検体にX線を照射して前記被検体の透過X線データを収集し、この収集したX線データを再構成演算して断層像を得るもので、被検体にX線を照射して被検体を透過したX線データを収集するスキャナガントリ1と、被検体を載置する移動可能な天板4を備えた寝台2と、各種動作設定を行うと共に収集したX線データに基づいてX線断層像を再構成し表示する操作装置6と表示装置5等を備えた操作卓3とにより構成される。
このX線検出素子18は、例えばシンチレータとフォトダイオードとの組み合わせによって構成され、全体として円筒面状若しくはチャネル方向に関して折れ線状に湾曲したX線入射面を構成しており、例えばチャネル番号iは1〜1000程度、列番号jは1〜1000程度である。
X線検出器11におけるチャネルの配列方向に一致するコーンビームX線のチャネル方向の広がり角度、すなわちファン角度はαであり、またX線検出器11における列の配列方向に一致するコーンビームX線の列方向広がりの角度、すなわちコーン角度はγである。
X線検出器11にはデータ収集装置12が接続され、このデータ収集装置12はX線検出器11の個々のX線検出素子18の検出データを収集する。
すなわち、このシステム制御装置19により、スキャナガントリ1内のX線制御装置7、コリメータ制御装置9、データ収集装置12、回転制御装置14及び寝台2内の寝台制御装置20が制御される。
この画像再構成装置23は、スキャノグラム撮影時にはデータ収集装置12が収集したスキャノグラム投影データ(被検体透視データ)を用いてスキャノグラム画像を作成し、スキャン時にはデータ収集装置12が収集した複数ビューの投影データを用いてCT画像再構成を行う。
記憶装置24には、標準撮影条件も記憶される。標準撮影条件とは、被検体17の体格や撮影部位で推奨される撮影条件を意味する。さらに後述するスキャン計画装置25の計算に必要なデータ等も保存される。
また、システム制御装置19には、表示装置5と操作装置6がそれぞれ接続され、表示装置5は、画像再構成装置23から出力される再構成画像やシステム制御装置19が取り扱う種々の情報を表示する。
そして、操作者は、前記表示装置5および操作装置6を使用して対話的に本発明によるX線CT装置を操作する。
すなわち、記憶装置24から読み出されたスキャノグラム画像が表示装置5に表示され、操作者は表示された被検体スキャノグラム画像上で操作装置6を用いてCT画像再構成位置(以下、スライス位置という)の座標を指定することにより、スライス位置を設定することができ、ここで設定したスライス位置の情報は記憶装置24に保存されると共にX線量制御条件等を設定するために用いられる。
この準備操作は、被検体の撮影位置を設定するためのスキャノグラム画像の撮影と、この撮影で得られたスキャノグラムデータの解析と、それに基づく撮影条件としての最適な照射X線条件の決定などで、これらはシステム制御装置19の制御の下で行われる。
そして、回転板13を回転させずに被検体17を載置した天板4と回転板13を前記被検体17の体軸に沿って相対移動させて、スキャノグラム画像の撮影を行い、スキャノグラム投影データ及びスキャノグラム画像データを記憶装置24に保存する。
スキャノグラム画像データは、画像再構成装置23の機能の一部を使用して、スキャノグラム投影データにチャネル方向およびビュー方向の2次元フィルタ処理を行って作成する。
このモデルは、被検体の体軸に沿った位置(以下、z位置と記載)に依存して楕円断面の長軸長・短軸長が変化する3次元的なモデルとなる(以下、被検体3次元モデルと記載)。
この被検体3次元モデルのデータは記憶装置24に保存される。
上記機能を持つスキャン計画装置25は、本発明の重要な構成要素で、これらによりスキャン時の最適なX線条件を決定するものである(X線条件算出手段)。
被検体17のスキャノグラム画像を撮影する。被検体17のスキャノグラム画像を撮影する手順とスキャンにおいてCT画像を撮影する手順とは基本的には同じである。
このスキャノグラム投影データは、スキャナガントリ1の回転板13を回転させずに被検体17に対して一定方向、例えば被検体17の背面方向からX線を照射して、X線検出器11によって被検体17を透過したX線を検出し、この検出データを取り込むことによって得られる。
このとき得られるスキャノグラム画像は一定方向、例えば背面から正面へ透過するX線による像を正面方向から見たもので、このスキャノグラム画像は、スキャン時の被検体17のスライス位置(CT画像再構成位置)設定のために利用される。
スキャノグラム投影データは、スキャノグラム画像作成に用いられるだけでなく、本発明の特徴であるスキャンにおける最適なX線照射撮影条件決定のために利用される。
操作者が表示装置5に表示されたスキャノグラム画像を参照して操作装置6から撮影条件としての天板移動ピッチ、スキャン開始位置zs、スキャン終了位置zeを入力する。ここでzs≦zeと仮定して一般性を失わないので、以下においてzs≦zeとする。
これらの入力データを用いてスキャン計画装置25により、被検体17のCT画像撮影範囲とスライス位置zとX線管8の位相角(回転板13の位相角)βが決定される。
ここで、スキャン開始位置zs、スキャン終了位置zeは一連のスキャンで得られる最初のCT画像のz位置、最後のCT画像のz位置を各々意味している。
操作者が操作装置6から撮影条件としての標準管電圧、標準管電流、スキャン時間、X線コリメーション条件、再構成フィルタ関数の種類、視野サイズ、スライス厚、ウィンドウ条件等を入力する。
操作者が操作装置6から、特に着目する撮影範囲の開始位置zssおよび終了位置zse、診断対象(例えば、造影した肝細胞がん)のサイズd_0を入力する。
ここで、zs≦zss≦zse≦zeである。zssの入力を省略した場合はzss=zs、zseの入力を省略した場合はzse=zeが自動設定される。また、診断対象のサイズd_0としては、例えば診断対象と等しい面積を持つ円の直径(等価直径)を入力する。
スキャン計画装置25でスキャノグラム投影データを解析して被検体17の被検体3次元モデルを生成する。
この被検体3次元モデルは、z位置に対応する被検体17の各断面を水に等価なX線吸収係数を持つ楕円断面として近似したもので、その近似方法については特許文献1や特開2001-276040号公報に開示されているので、ここではその説明を省略する。
標準管電圧xv_ref、標準管電流時間積(管電流値とスキャン時間との積)i_refを用いた場合に、スキャン開始位置zsからスキャン終了位置zeの範囲内の任意のスライス位置zにおいて得られるCT画像の画像SD値の予測値SD_ref(z,xv_ref,i_ref)を算出する(第1の画像SD予測値算出手段)。
この予測算出方法についても、特許文献1や特開2001-276040号公報に開示されている方法を各スライス位置zにおける断面モデル、標準管電圧xv_ref、標準管電流時間積i_refに対して用いればよいので、ここでは説明を省略する。
前記ステップS180で予測したSD_ref(z,xv_ref,i_ref)の特定スライス位置範囲(zss≦z≦zse)における最大値MAX_SD_refと、画像SD値がMAX_SD_refとなるスライス位置(参照スライス位置)z_MAXSDを求める(画像SD予測値の最大値におけるスライス位置算出手段)。
ステップS150で入力した診断対象サイズd_oから診断対象を識別可能なCNRを求める(コントラストノイズ比算出手段)。
これは図6に示す診断対象サイズdと識別可能CNRとの関係の関数CNR_det_funcを予め実験により求めておき、次式により目的とする識別可能コントラストノイズ比CNR_detを求めることによって成される。
CNR_det=CNR_det_func(d_o) (式1)
ここで、関数CNR_det_funcは典型的には次式のように表される
CNR_det_func(x)≡a×x-b (式2)
ただし、a、bは実数であり、a>0、b>0である。
この場合、
CNR_det_func=a+b*x+c*x2+・・・+n*xn (式2’)
のように表される。
ただし、a, b, c, nは実数である。
ここでは、ステップS200で算出した識別可能CNRを、ステップS140で設定したスライス厚およびウィンドウ条件の情報を基に補正する。具体的には、図7に示す手順により補正処理を行う。
スライス厚と診断対象サイズdとから診断対象実効径d_effを算出する。
これは診断対象を球とした場合にスライス厚が厚くなることにより、球の見かけ上のサイズが小さく見えるため、ここではその実効的なサイズを求める。典型的には以下の式により表される。スライス厚をSthickとすると、
診断対象の実効径d_effに基づき、スライス厚による実効径の変化が識別可能CNRに及ぼす影響を補正する。図8(a)に示すように、識別可能CNRと診断対象のサイズ(径)との関係を示すグラフにおいて、診断対象のサイズがd_oからd_effに変わる、識別可能CNRも変わり、この時点での補正後の識別可能CNRは、CNR_d_modu1となる。
スライス厚、ウィンドウ条件(ウィンドウ幅、ウィンドウレベル)が診断対象のコントラストに及ぼす影響を補正する。
これはスライス厚およびウィンドウ条件が変化した場合、診断対象の見かけ上のコントラストが変化し、識別可能CNRを適切に補正する必要があるためである。
典型的には式2および式2’において、CNR_det_funcをCNR_appに、xをW_Condに置き換えた式により表される。よって、ウィンドウ条件を考慮した場合、補正後の識別可能CNRをCNR_d_modu2とすると、
CNR_d_domu2=CNR_d_modu1*CNR_app
となる。
以上、ステップS201〜S203の手順を踏むことにより、スライス厚やウィンドウ条件の影響を考慮した補正後の識別可能CNR(CNR_d_modu2)を得ることができる。
なお、上記ステップS201〜S204による識別可能CNRの補正は、本実施の形態において必須ではないが、スライス厚およびウィンドウ条件を考慮した補正を行なうことにより、より精度の高いX線条件設定を行なうことができる。以下、参照する識別可能コントラストノイズ比CNR_detは、上述した補正後の識別可能コントラストノイズ比を含む。
予め記憶装置24に格納してある診断対象の標準管電圧xv_refにおける想定コントラスト値C_oとステップS200で求めたCNR_detとから、標準管電圧で実現すべき画像SD値の基準値であるSD_xv_refを次式により求める(第1の画像SD基準値算出手段)。
SD_xv_ref=C_o/CNR_det (式3)
参照スライス位置z_MAXSDにおける標準管電圧xv_refのもとでの画像SD値であるSD_xv_refを実現するための管電流時間積i_ta(z_MAXSD)を次式によって求める(第1の管電流時間積算出手段)。
i_ta(z_MAXSD)=i_ref×(MAX_SD_ref/SD_xv_ref)2 (式4)
識別対象以外の部分の画質を考慮し、(式4)で算出した管電流時間積i_ta(z_MAXSD)での画像SDが上限値SD_ULIM以下となるような管電圧xv_aを求める。画像SDの上限値SD_ULIMは、適切な値を予め操作装置から入力しておく。或いは推奨される値をデフォルトで記憶装置24に設定しておいてもよい。
ここで、管電流一定のもとでは管電圧によらず造影対象のCNRが略一定に保たれることがわかっているため、管電圧の変更は造影対象の診断に悪影響を与えない。
そこで、管電圧xv_aの算出は、画像SD値の予測機能を用い、実験データ他に基づいて求めた図9に示すスライス位置z_MAXSD、管電流時間積i_ta(z_MAXSD)のもとでの管電圧と画像SDとの関係を用いて、次式を満たす最低の管電圧xv_aを求める。(第1の管電圧を算出する手段)。
SD_ULIM≧SD_func(xv_a) (式5)
この時、スライス位置z_MAXSDにおいて予測される画像SD値をSD_xv_aとする。なお管電圧と画像SDとの関係は典型的には次式のように表される。
SD_func(x)≡c×x-g (式6)
ただし、c、gは実数であり、c>0、g>0である。
画像SD予測機能により、各スライス位置zにおいて管電圧xv_a、管電流時間積i_ta(z_MAXSD)を用いた場合に得られるCT画像の画像SD値、SD_ref(z,xv_a,i_ta(z_MAXSD))を予測する(第2の画像SD予測値算出手段)。
各スライス位置zにおける管電圧xv_aのもとでスライス位置z_MAXSDにおいて予測される画像SD値SD_xv_aとするための管電流時間積i_r(z)を次式によって求める(第2の管電流時間積算出手段)。
i_r(z)=i_ta(z_MAXSD)×(SD_ref(z,xv_a,i_ta(z_MAXSD))/SD_xv_a)2
こうして求めた管電流時間積i_r(z)および管電圧xv_aが、スキャン計画装置25で算出された管電流時間積および管電圧の推奨条件となる。
上記推奨条件およびそれ以外の条件で撮影した場合の、被曝線量(CTDI)、画像SD値、診断対象の識別可能サイズ等の予想値を計算し、それを操作者に対する選択肢として表示する。例えば、以下の選択肢<1>〜<3>の各々につき、図10に示すように、管電圧、平均管電流(管電流時間積をスキャン時間で除した値)、被曝線量(CTDI)、画像SD値、診断対象の識別可能サイズ等の予想値を表示し(評価指標の予想値表示手段)、この中で選択肢<1>が推奨条件であることを明示する。
なお診断対象の識別可能サイズについては、(式1)に記載した関数CNR_det_funcの逆関数を用いて算出することができる。
<1>管電圧xv_a、管電流時間積i_r(z)を使用する場合(推奨条件)
<2>標準管電圧xv_ref、管電流時間積i_r(z)を使用する場合(管電流のみ最適化)
<3>標準管電圧xv_ref、標準管電流時間積i_refを使用する場合(最適化なし)
通常は、本発明の目的である診断対象を識別するために適切なCNRを達成するためのX線条件を求めて、このX線条件でスキャンする場合は<1>が最適であるが、読影医等の判断で<1>以外を選ぶこともあり、そのような場合でも、その結果得られる画質等について予測値を示しておく方が判断の一助となる。
操作者が前記ステップS260で示された選択肢から最も適切な条件を選択する。
前記条件の選択は、例えば図10に示す条件を表示装置5に表示し、この表示された条件の中から使用する条件を操作装置6の入力装置、例えばマウスでクリックして選択する(X線条件選択手段)。
なお、診断対象を最小限の被曝線量で識別可能とするには<1>が最適であるが、若干被曝線量が増大しても<1>より画像SD値が小さい画像にしたい場合は<2>を選択し、あるいは経験的に慣れている標準条件でスキャンするのが最も適切と考える場合は<3>を選択することになる。
ただし、<3>は適切なCNRを達成できない場合が考えられるので、表示された識別可能サイズが入力した診断対象サイズより大きくなってしまう場合は、改めて<1>や<2>を選択すれば良い。
図11は、第2の実施形態における上記最適なX線条件を決定するためのスキャン前に行なう準備操作の一連の動作フロー図で、以下、この動作フロー図を用いてX線条件を決定する工程について詳細に説明する。
本実施形態は、(a)識別可能CNRの算出に際し、診断対象のサイズに加えて、真陽性率および偽陽性率を用いる点、および(b)予め求めておいた画像SDと管電流時間積mAsの関係を用いて識別可能CNRを実現する管電流時間積mAsを求める点、および(c)求めた管電流時間積mAsを管電圧に依らずCNRを概一定にするように補正する点が、主として第1の実施形態と異なっている。(a)を採用することにより、読影医の読影能力を考慮した識別可能CNRに基づき推奨撮影条件を算出することができる。
被検体17のスキャノグラム画像を撮影する。このスキャノグラム画像の撮影は第1の実施形態と同様であるので、その詳細については省略する。
この処理は、第1の実施形態のステップS110、S120、S130およびS140と同じで、操作者がスキャノグラム画像を参照して操作装置6から診断対象を含んだ撮影領域(スキャン開始位置zs、スキャン終了位置ze)を設定する。
ここで、スライス位置の撮影条件として、スライス厚、天板移動ピッチ、スキャン時間、標準管電圧、標準管電流、X線コリメーション条件、再構成フィルタ関数の種類、視野サイズ、ウィンドウ条件等を入力する。
第1の実施形態のS160、S170と同様に、スキャン計画装置25でスキャノグラム投影データを解析して被検体17の被検体3次元モデルを生成する。
操作装置6の入力装置から診断対象となるもののサイズ(例えば造影された肝細胞ガン)d_oを入力して設定する。
さらに、操作装置6の入力装置から操作者が診断の際の目安となる真陽性率(診断対象に存在する疾病が正しいと判断する確率:True Positive Fraction、以下「TPF」と記す)と偽陽性率(診断対象に疾病が存在しないにもかかわらず誤って存在すると判断する確率:False Positive Fraction、以下「FPF」と記す)とを操作装置6の入力装置から入力して設定する(真陽性率および偽陽性率設定手段)。
診断対象のサイズは、例えば診断対象と等しい面積を持った円の直径r(円等価直径)とする。
ステップS304で操作者が入力した診断対象のサイズd_oから診断対象を識別可能なCNR_detを求める(コントラストノイズ比算出手段)。
識別可能なCNR_detは、図12に示す診断対象サイズd_oと識別可能なCNRとの関係図(診断対象サイズと識別可能なコントラストノイズ比との関係)と、図13(a)に示すFPFとTPFとの関係図(真陽性率と偽陽性率との関係)および図13(b)に示す識別可能なCNRとFPFとの関係図(識別可能なコントラストノイズ比と偽陽性率との関係)を用いて算出する。
そして、図13(a)のROC曲線上で操作者がステップS304で入力したTPFの値がTである場合、例えば、d_o=r、CNR=aのROC曲線上からTPF=Tに対応するFPF=Fをスキャン計画装置25で算出する。同様にして異なるCNR毎のROC曲線で、TPF=Tに対するFPFを求め、図13(b)に示すCNR-FPF曲線を作成する。
その後、CNR−FPF曲線において、例えばFPF=F1におけるCNR_detが診断対象サイズrにおける識別可能なCNRとして算出される(図12に参照)。
ここで、さらにFPFの値を定めることによって、図12に示す様な診断対象サイズd_oと識別可能CNRとの関係図が作成される。
この図12の関係図を基に、操作者は該当する検査に対応する診断対象サイズd_oを入力することで、該診断対象サイズd_oに対応する識別可能なCNR_detを算出することができる。
このように、読影者に応じて改変する場合は、ROC解析を行うためのデータセットを記憶装置24に格納しておいても良いし、操作者が用意したものを使用しても良い。
さらにまた、診断対象サイズd_oの入力も省略可能である。この場合は、診断対象部位や撮影部位に応じて、例えば肝臓領域であればd_o=10mmという値を予め記憶装置24に格納しておき、読影者に応じて改変することも可能である。
なお、診断対象サイズd_oと識別可能CNRの関係は、典型的には上記(式2)と同様である。
この結果、算出した(式2)の曲線と読影医の読影能力が完全に一致することで、より最適な識別可能なCNRの設定が可能になる。
この方法による識別可能なCNRの設定は、以下の実施形態(第3の実施形態、第4の実施形態および第5の実施形態)でも同様に適用可能である。
また上述のようにステップS305で算出した識別可能なCNRは、第1の実施形態のステップS201〜S204(図7)と同様に、ステップS301で入力されたスライス厚やウィンドウ条件を考慮して補正してもよい。
ステップS303で作成した被検体17の3次元モデルからスキャン範囲内における同一撮影条件での画像SDが最大になる参照スライス位置z_MAXSD2を算出する(スライス位置算出手段)。
このz_MAXSD2は、スキャノグラムの投影高さ(スライス毎のX線減衰量に対応し、投影高さが大きいとX線減衰が大きいことを意味し、画像SDは大きくなる)を解析することによって算出される。
この工程では、撮影部位および被検体のサイズ等を考慮した想定コントラスト値C_dと、ステップS305で算出したCNR_detより、参照スライス位置z_MAXSD2での画像SDであるSD(z_MAXSD2)を以下の(式7)により算出する(画像ノイズ標準偏差値算出手段)。
SD(z_MAXSD2)=C_d/CNR_det (式7)
図14は、標準管電圧xv_refにおいて成人の平均被検体サイズをPat_aveとし、このPat_aveで正規化した被検体サイズに応じた想定コントラスト値を示す模式図である。スキャノグラム解析データを基にz_MAXSD2における被検体サイズがPat_Rと算出できる時、正規化想定コントラスト値がc(R)であることを意味する。
実際の想定コントラスト値ΔHU_refの算出は、例えば(式8)のようになる。
ΔHU_ref=(HU_dia/HU_init)×c(R) (式8)
ただし、HU_initは正規化造影効果を算出する際に使用した造影剤濃度、HU_diaは実際に臨床で使用される造影剤濃度を表す。
このΔHU_refを、上記式7の想定造影効果C_dに用いる。
図15に示す被検体サイズLにおける画像SDと管電流時間積mAsの関係より、画像SD=SD(z_MAXSD2)に対応する管電流時間積mAs(z_MAXSD2)を算出する(管電流時間積算出手段)。ここで、画像SD-管電流時間積mAs曲線の管電圧条件は、例えば120kV(以降、標準管電圧xv_ref)とする。
ステップS308で算出した管電流時間積mAs(z_MAXSD2)の条件において、図16に示す被写体サイズLにおける管電圧と正規化CNRとの関係図を基にして、管電圧に依らずCNRを概一定にするためのmAs補正係数λを算出する(管電流時間積補正係数を算出手段)。
これは、図16に実線のグラフで示すように、CNRは管電圧が小さくなるにつれてが減少傾向にあることを考慮するためである。例えば、管電圧がb(<標準管電圧xv_ref)の時、正規化CNRがc(b)であるとすると、mAs補正係数λ(b)および補正後のmAs値であるmAs_corr(b)は以下の(式9)で算出される(管電流時間積補正手段)。
mAs_corr(b)=λ(b)×mAs(z_MAXSD2) (式9)
ただし、λ(b)=1/c(b)2
使用するX線CT装置もしくはシミュレーションにおいて様々な条件から算出された被曝線量およびX線管電力の基礎データは、予め記憶装置24に記憶されており、ステップS309で算出した管電圧毎の補正後管電流時間積mAs_corrで、z_MAXSD2のスライス位置における被曝線量(例えばCTDIw)、X線管電力を算出する。
この時の管電圧、被曝線量、X線管電力の関係は、図17に示すようになり、管電圧の最適値であるkV_optは、X線管電力kWがkW≦kW_max(定格X線管電力)となる条件下で被曝線量が最小となる最適管電圧である(管電圧算出手段)。
また、被曝線量(例えばCTDIw)は、IECから勧告されている測定法CTDIwの国際基準に準じて測定し、“スキャン範囲内で変動するmAs値の平均を単位質量あたりに放射線によって吸収されるエネルギーとしCTDIwに換算”して求める。
ステップS310で求めた最適管電圧kV_optの条件下で、他のスライス面zでCNR_detを満たすmAs値であるmAs(z)を被写体サイズL(z)毎の図16に示す管電圧-正規化CNR曲線から(式9)によりに算出し、xv_opt、mAs(z)における被曝線量(例えばCTDIw)、X線管電力を算出する。
これらの表示の一例を図18に示す。この例でも、上記ステップにより最適化した推奨撮影条件と、最適化しない場合の撮影条件を表示して操作者に示している。
図19は、第3の実施形態における上記最適なX線条件を決定するためのスキャン前に行なう準備操作の一連の動作フロー図で、以下、この動作フロー図を用いてX線条件を決定する工程について詳細に説明する。
本実施形態は、第2の実施形態のように、診断対象サイズとCNRとの関係からCNRを求めて、CNRから参照スライス位置におけるSDを求めるのではなく、操作者が目標とする目標SDを設定し、診断対象サイズとCNRとの関係から識別可能な診断対象サイズを算出する点が異なる。本実施形態は、従来から用いてきた画像SDを入力して撮影条件を設定する方式と同様の入力によりCNRに基く撮影条件を設定できるという利点がある。
ラムデータ解析(S402)および被検体の3次元モデル生成(S403)までの処理は、上記第2の実施形態のステップS300〜ステップS303の処理と同様であるので、各工程の説明は省略する。
ステップS403で作成した被検体17の3次元モデルからスキャン範囲内における同一撮影条件での画像SDが最大になるスライス位置z_MAXSD3を算出する(スライス位置算出手段)。
このz_MAXSD3は、スキャノグラムの投影高さ(スライス毎のX線減衰量に対応し、投影高さが大きいとX線減衰が大きいことを意味し、画像SDは大きくなる)を解析することによって算出される。これは第2の実施形態と同じである。
操作者が要求する画像SDであるSD_dem(目標画像SD)を操作装置6の入力手段から入力して設定する(目標画像ノイズ標準偏差値設定手段)。
本スキャン時には前記SD_demに基づいて、全スライス位置でSD_demが実現できるようにX線制御装置7によってX線量が制御される。
この工程では、撮影部位および被検体のサイズ等を考慮した想定コントラスト値と前記ステップS405で入力されたSD_demから識別可能なCNRが算出され、識別可能なCNRと診断対象サイズとの関係を表す(式2)の概念から診断で識別可能な対象物のサイズdが逆算されて(診断対象サイズ算出手段)表示装置5に表示される。想定コントラスト値は、第2の実施形態のステップS307で説明したものと同じであり、診断対象部位や撮影部位、被検者の体格等に応じて予め記憶装置24に格納されている。
操作者は、表示装置5に表示された図20のグラフ上で、マウス等を用いて視覚的にSD_demを入力することもできる。
また、想定コントラスト値やSD_demは撮影部位もしくは診断対象毎に予め記憶装置24に格納されているものをデフォルトとして用いても良いし、操作者自らが操作装置6の入力手段から入力しても良い。この入力した想定コントラスト値は(式10)に反映される。
この工程では、操作者が前記ステップS406で表示された識別可能なサイズd(診断対象と等しい面積を持つ円の直径r)が診断部位や疾病の程度などから適切かどうかを判断する(診断対象サイズ判断手段)。
適切であると判断された場合、ステップS408へ進み、適切でないと判断された場合は操作者が画像SDを調整しながら(画像ノイズ標準偏差値調整手段)ステップS405およびステップS406の工程を踏む。ステップS408以降の手順は、基準とするSDが目標SD値であるSD_demであることを除き、第2の実施の形態と同様である。
この工程では、スライス位置z_MAXSD3における被検体サイズLの図15に示す画像SD−管電流時間積mAs曲線上でSD_demを満たす管電流時間積であるmAs(SD_dem)を算出する(管電流時間積算出手段)。
この場合の管電圧条件は、標準管電圧xv_refである。
被写体サイズL、mAs(SD_dem)において図16に示す管電圧―正規化CNR曲線から、管電圧に依らずCNRを一定にするためのmAs補正係数を算出する(管電流時間積補正係数算出手段)。
より具体的には、前記ステップS408で算出したmAs(SD_dem)の条件において、被写体サイズLの管電圧-正規化CNR曲線を基に、管電圧に依らずにCNRを概一定にするためのmAs補正係数λを(式9)により算出する。
ステップS409で算出した管電圧毎の補正後mAsで、z_MAXSD3のスライス位置における被曝線量(例えばCTDIw)、X線管電力を算出する。算出方法は第2の実施形態のステップS310と同じである。
また、管電圧の最適値kV_optは、X線管電力kWがkW≦kW_maxとなる条件下で被曝線量を最小とする管電圧である(管電圧算出手段)。
ステップS410で求めた最適管電圧kV_optの条件下で、他のスライス面zにおけるSD_demを満たすmAs値であるmAs(z)を図16に示す被写体サイズL(z)毎の管電圧−正規化CNR曲線から(式9)によりに算出し、kV_opt、mAs(z)における被曝線量(例えばCTDIw)、X線管電力を算出する。
この表示においても第2の実施形態の表示例(図18)と同様に、本実施形態によって最適化した推奨撮影条件と最適化しない従来の撮影条件を踏襲した場合を並べて表示して操作者に示すことにより、本実施形態によって最適化したX線推奨条件との差を明確に提示することができる。
図21は、第4の実施形態における上記最適なX線条件を決定するためのスキャン前に行なう準備操作の一連の動作フロー図で、以下、この動作フロー図を用いてX線条件を決定する工程について詳細に説明する。
第1〜第3の実施形態では、最初に特定スライス範囲のうちSD値が最大となるスライス位置(参照スライス位置)において管電圧および管電流(もしくは管電流時間積)を算出したが、本実施形態では、SD値が最大となるスライス位置を基準とするのではなく、操作者が所望のスライス位置を指定する点が上記実施形態と異なる。このため本実施形態では、算出されたCNRが全スライスに適用可能か否かに応じて処理を異ならせる。
ラムデータ解析(S502)および被検体の3次元モデル生成(S503)までの処理は、上記第2の実施形態のステップS300〜ステップS303の処理および第3の実施形態のステップS400〜ステップS403の処理と同様であるので、各工程の説明は省略する。
これらの工程では、操作者が所望のスライス位置z_defを指定し(所望スライス位置指定手段)、FPF、診断対象サイズd_oを入力して設定する(偽陽性率設定手段、診断対象サイズ設定手段)。スライス位置は断面指定でも良いし、あるいはボリュームで指定しても良い。
撮影部位および被検体のサイズ等を考慮した想定コントラスト値と前記ステップS504で指定した所望スライス位置z_defにおいて、ステップS503で算出された被検体の3次元モデルから画像SD予測機能を用いて、所望スライス位置z_defにおける画像ノイズ標準偏差値SD(z_def)を求める(所望スライス位置画像ノイズ標準偏差値予測手段)。
CNR_d=想定コントラスト値/SD(z_def) (式11)
この工程では、ステップS506で算出した被検体の3次元モデル上での画像SD(z_def)が、使用しているX線CT装置で実現可能かどうかを判断する(画像ノイズ標準偏差予測値実現性判断手段)。
これには算出した被検体の3次元モデル条件下における図15のような画像SDと管電流時間積mAsの関係を用いれば良い。SD(z_def)を満たすmAsについて、ソフトウェアがX線CT装置のコンフィグファイルを参照することによって、X線CT装置の限界性能範囲内にあるかどうかを判断する。なお、コンフィグファイルとは、各種撮影条件の組合せ、CTシステムとしての動作条件等が記載されたパラメータ設定ファイルである。
さらに、ステップS506で算出したCNR_dをステップS501で設定したスキャン領域全域に適用可能かを判断する(コントラストノイズ比判断手段)。
全スライス位置に適用可能な場合はS509へ移行し、適用できない場合はS510へ移行する。
この工程は、第2の実施形態におけるステップS308〜S311と同様である。ただし、第2の実施形態における表記z_MAXSD2、SD(z_MAXSD2)はそれぞれz_def、SD(z_def)に置き換える(管電流時間積算出手段、管電流時間積補正係数算出手段、管電流時間積補正手段、管電圧算出手段)。
この場合、操作者に対しては、図22に「○」で示すようにCNR_dを達成できないスライス位置を表示装置5に強調表示して明示するようにしても良い。
また、操作者が指定した重点スライス位置以外においては、図22に「装置限界出力する」と示したように、装置限界性能を要求しないようにすることも可能である。
この工程は、ステップS508において、ステップS506で算出したCNR_dがスキャン領域全域に適用可能ではないと判断された場合に、さらに、SD(z_def)が全スライス位置で満足するかどうかを当該検査内容および診断領域に応じて判断する(全スライス位置適用判断手段)。
このステップS510(全スライス位置適用判断手段)でSD(z_ref)を全スライス位置で満足すると判断した場合はステップS511へ移行し、SD(z_ref)を全スライス位置に適用できないと判断した場合はステップS514へ移行する。
スライス位置に依らず画像SD_defを満たすような撮影条件の制御を行い、被検体サイズL(z)毎に画像SD予測機能を用いてSD_defになるmAs(z)を図15を用いて算出する(第2の管電流時間積算出手段)。
図15は、z_MAXSD2における被検体サイズLの画像SD-管電流時間積mAs曲線なので、スライス位置zに応じた被検体サイズL(z)毎の曲線からmAs(z)を算出することができる。
この方法は、画像SDが指定したスライス位置と同等に保たれるので、MPR(multi planar reconstruction、多断面再構成法)による画像作成などで有効な手段となる。
この工程では、被検体の診断対象サイズL(z)と前記指定したスライス位置z_defにおける被検体サイズL(z_def)とを比較して(被検体サイズ比較手段)以下の処理を行う。
前記L(z)>L(z_def)の場合のmAs(z)は、前記最適管電圧xv_optにおける図15に示す画像SD-管電流時間積mAs曲線から、SD_defを満たすmAs値を算出し、L(z)≦L(z_def)の場合と同様に前記算出したmAs値を補正するための係数を算出して前記mAs値を補正する。
この時の管電圧の最適値は、X線管電力kWがkW≦kW_ref(X線管電力の基準値)となる条件下で被曝線量が最小となる最適管電圧である(管電圧算出手段)。
この場合は、可能な限りSD_defに近付くよう撮影パラメータを調整してX線CT装置の限界性能でスキャンする。
そして、操作者に対しては、図22に示す様にSD_defを達成できないスライス位置を表示装置5に強調表示して操作者に明示するようにしても良い。
また、操作者が指定した重点スライス位置以外においては、X線CT装置の限界性能を要求しないようにすることも可能である。
前記ステップS512で決定した管電圧、管電流(mAsをスキャン時間で除算した平均管電流)画像SD、診断対象の識別可能サイズ、被曝線量、X線管電力等の情報を表示装置5に表示した後に撮影を開始する。
ステップS514で、SD(z_def)を全スライスに適用しないと判断された場合は、スライス位置z_defにおいてCNR_dを満たすような管電流時間積mAs(z_def)で全スライス位置の撮影を行う。
mAs(z_def)は、被検体サイズL(z_def)における画像SD予測機能を用いて算出する(第4の管電流時間積算出手段)。
この方法は、全スライス位置で同一mAsを用いることができるので、管電流制御が非常に簡便になるというメリットがある。
ステップS514で算出した管電流時間積mAs(z_def)を用いてスライス位置z_defにおける被曝線量(例えばCTDIw)とX線管電力を使用可能な管電圧の全てにおいて算出する(指定スライス位置の被曝線量およびX線管電力算出手段)。
この場合の管電圧の最適値kV_optは、X線管電力kWがkW≦kW_maxとなる条件下で被曝線量を最小とする管電圧である(管電圧算出手段)。
ステップS515で決定した管電圧、管電流(mAsをスキャン時間で除算した平均管電流)画像SD、診断対象の識別可能サイズ、被曝線量、X線管電力等の情報を表示装置5に表示した後に撮影を開始する。
図23は、第5の実施形態における上記最適なX線条件を決定するためのスキャン前に行なう準備操作の一連の動作フロー図で、以下、この動作フロー図を用いてX線条件を決定する工程について詳細に説明する。本実施形態は、関心領域を複数設定可能し、各関心領域毎に推奨撮影条件を算定する。それ以外は、第2の実施形態とほぼ同様である。
前記ステップS601で設定した本スキャン領域内で、操作者が条件を変えて撮影したい関心領域を複数設定する(複数関心領域設定手段)。
以降の説明では、設定した複数の領域番号をnとする。
操作者が診断の際の目安となるFPF(n)、および診断対象となるもののサイズ(例えば造影された肝細胞ガン)d_0を設定した領域毎に入力する(診断対象サイズ設定手段、複数偽陽性率設定手段)。
前記診断対象サイズd_0は、例えば診断対象と等しい面積を持った円の直径r(円等価直径)とする。
前記ステップS605で操作者が入力した診断対象のサイズに基づき、達成すべきCNR_d(n)を算出する(第4のコントラストノイズ比算出手段)。
達成すべきCNRの算出には、第2の実施形態と同様に、図12および図13に示す識別可能CNRと診断対象サイズとの関係、FPFとTPFとの関係図および識別可能CNRとFPFとの関係図を用いる。識別可能なCNRは、第1の実施形態と同様にスライス厚およびウィンドウ条件をもとに補正される。
ステップS603で作成した被検体3次元モデルから前記ステップS604で設定した関心領域(ROI)毎に同一撮影条件での画像SDが最大になるスライス位置z_ref(n)を算出する(スライス位置算出手段)。
この工程では、撮影部位および被検体のサイズ等を考慮した想定コントラスト値と、ステップS606で算出したCNR_d(n)より、ステップS607で求めたスライス位置z_ref(n)での画像SD(z_ref(n))を算出する(画像ノイズ標準偏差値算出手段)。
この工程では、z_ref(n)における被検体サイズL(z_ref(n))のSD(z_ref(n))を満たすmAs(z_ref(n))を図15に示す画像SD-管電流時間積mAs曲線上で算出する(管電流時間積算出手段)。
画像SD−管電流時間積mAs曲線の管電圧条件は、例えば120kV(以降、標準管電圧xv_ref)とする。
前記ステップS609で算出したmAs(z_ref(n))の条件において、被検体サイズL(z_ref(n))の図16に示す管電圧-正規化CNR曲線を基に、管電圧に依らずCNRを概一定にするためのmAs補正係数を算出する(管電流時間積補正係数算出手段)。
このmAs補正係数の算出方法は、第2の実施形態と同様である。
ステップS610で算出した管電圧ごとの補正後管電流時間積mAs_corr(n)で、スライス位置z_ref(n)における被曝線量(例えばCTDIw)、X線管電力を算出する。前記被曝線量のデータは予め記憶装置24に格納されており、管電圧の最適値であるkV_opt(n)は、X線管電力kWがkW≦kW_max(n)となる条件下で被曝線量を最小とする管電圧である(管電圧算出手段)。
ステップS611で選択した最適管電圧xv_opt(n)の条件で、他のスライス面でSD(z_ref(n))を満たすmAs値を画像SD予測機能より算出する。算出されたmAs値におけるスライス面毎の管電圧−正規化CNR曲線(図16)からmAs_corr(z(n))を算出し、ステップS611で選択した撮影条件における被曝線量(例えばCTDIw)、X線管電力を算出する。
このようにして算出されたmAs値は、X線制御装置7における管電流制御に用いられる。
これにより、無用な被曝を低減することが可能となり、決定された撮影条件は、記憶装置24に格納され、スキャン時に被検体17の撮影部位に応じてシステム制御装置19によって順次呼び出されながらX線量の制御が行われる。
上記第2〜5の実施形態では、管電流および管電圧をともに最適化した場合について示したが、本実施形態では、スライス位置に依らず所望のCNRになるよう、管電圧はユーザ設定値から変化させず、管電流のみ最適化する。本実施形態の利点としては、
(1)管電圧をユーザ設定値と異なる最適管電圧へと変化させると、X線スペクトルが変化し各組織のCT値が変化する。臨床では、組織のCT値に応じて診断を下す場合があるため、これを防止する。
(2)同一患者で過去画像との比較を行う場合には、同一管電圧で撮影を行うことで画像の印象を変化させない方が好ましい場合がある。
が挙げられる。
図25は、第6の実施形態における上記最適なX線条件を決定するためのスキャン前に行なう準備操作の一連の動作フロー図で、以下、この動作フロー図を用いてX線条件を決定する工程について詳細に説明する。
被検体17のスキャノグラム画像を撮影する。このスキャノグラム画像の撮影は第1の実施形態のステップS100と同様であるので、その詳細については省略する。
この処理は、第1の実施形態のステップS110、S120、S130およびS140と同じで、操作者がスキャノグラム画像を参照して操作装置6から診断対象を含んだ撮影領域(スキャン開始位置zs、スキャン終了位置ze)を設定する。
ここで、スライス位置の撮影条件として、スライス厚、天板移動ピッチ、スキャン時間、標準管電圧、標準管電流、X線コリメーション条件、再構成フィルタ関数の種類、視野サイズ、ウィンドウ条件等を入力する。
第1の実施形態のステップS160、S170と同様に、スキャン計画装置25でスキャノグラム投影データを解析して被検体17の被検体3次元モデルを生成する。
操作装置6の入力装置から診断対象となるもののサイズ(例えば造影された肝細胞ガン)d_oを入力して設定する。
さらに、操作装置6の入力装置から操作者が診断の際の目安となるTPF、FPFとを操作装置6の入力装置から入力して設定する(真陽性率および偽陽性率設定手段)。
診断対象のサイズは、例えば診断対象と等しい面積を持った円の直径r(円等価直径)とする。
ステップS704で操作者が入力した診断対象のサイズd_oから診断対象を識別可能なCNR_detを求める(第2のコントラストノイズ比算出手段)。
識別可能CNR_detは、第2の実施形態で示した図12および図13の関係を用いて第2の実施形態と同様に算出する。また第1の実施形態で示した図7の手順と同じ手順により、スライス厚およびウィンドウ条件をもとに補正された識別可能なCNR_detを得る。
この工程では、撮影部位および被検体のサイズ等を考慮した想定コントラスト値C_dと、ステップS6で算出した識別可能CNR_detより、各スライス位置での画像SDであるSD(Z)を、(式7)を用いて第2の実施形態と同様にして算出する(画像ノイズ標準偏差値算出手段)。
mAs(Z)の算出は、図15に示す被検体サイズLにおける画像SDと管電流時間積mAsの関係より、求めることができる。
ここで、スライス位置に応じた被検体サイズによっては、CNR_dを達成するためのmAs値がX線CT装置の限界性能範囲を超えることが予想されるが、この場合は、可能な限り識別可能CNR_dに近付くように修正して装置許容性能範囲内の限界値でスキャンする。
この場合、操作者に対しては、図22に示したように識別可能CNR_dを達成できないスライス位置を表示装置5に強調表示して明示するようにしても良い。また、操作者が指定した重点スライス位置以外においては、装置限界性能を要求しないようにすることも可能である。
この時の被曝線量、X線管電力の関係は、図26に示すようになり、被検体サイズが小さくなるスライス位置ほど被曝線量、X線管電力ともに小さくなる。
また、本発明は、上記別の好ましい第2〜第6の5つの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
スキャナガントリ、2 寝台、3 操作卓、4 天板、5 表示装置、6 操作装置、7 X線制御装置、8 X線管、9 コリメータ制御装置、10 コリメータ、11 X線検出器、12 データ収集装置、13 回転板、14 回転制御装置、15 回転板駆動装置、16 駆動力伝達系、17 被検体、18 X線検出素子、19 システム制御装置、20 寝台制御装置、21寝台上下移動装置、22 天板移動装置、23 画像再構成装置、24 記憶装置、25 スキャン計画装置、26 スキャナガントリの開口部、TPF 真陽性率、FPF 偽陽性率、ROI1、ROI2 関心領域
Claims (20)
- 被検体に照射するX線を発生するX線管と、
前記被検体を挟み前記X線管と対向配置され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管とX線検出器を搭載して前記被検体の周りを回転するスキャナ回転体と、
スキャノグラム撮影及びスキャン撮影に必要な情報を入力及び設定して操作する操作手段と、
前記X線検出器によって検出された被検体のスキャノグラム投影データに基づいてスキャン時の撮影条件を決定する撮影条件決定手段と、
この撮影条件決定手段によって決定された撮影条件でスキャンするスキャン手段とを備え、
このスキャン手段によってスキャンされ前記X線検出器で検出した透過X線量に基づいて前記被検体の断層像を再構成するX線CT装置において、
前記撮影条件決定手段は、標準撮影条件を記憶する記憶手段と、
前記スキャノグラム投影データを解析して前記被検体の3次元モデルを生成する被検体3次元モデル生成手段と、
前記操作手段で前記被検体の診断対象サイズを設定する診断対象サイズ設定手段と、
前記設定した診断対象サイズと前記被検体3次元モデルと前記標準撮影条件とから診断対象を識別するコントラストノイズ比を得るためのX線条件を算出するX線条件算出手段と、
を備えたことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記記憶手段に格納された前記被検体の診断対象サイズと、診断対象を識別するコントラストノイズ比との関係を表す関数をもとに、診断対象を識別するコントラストノイズ比を算出するコントラストノイズ比算出手段を備え、
前記コントラストノイズ比算出手段が算出したコントラストノイズ比を用いてX線条件を算出することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項2に記載のX線CT装置であって、
前記コントラストノイズ比算出手段は、前記関数をもとに算出したコントラストノイズ比を、前記操作手段を介して入力されたスライス厚およびウィンドウ条件を用いて補正するコントラストノイズ比補正手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項2に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記診断対象サイズ設定手段で設定した前記被検体の診断対象における真陽性率と偽陽性率とを設定する真陽性率および偽陽性率設定手段を備え、
前記コントラストノイズ比算出手段は、設定された真陽性率、偽陽性率および診断対象サイズをもとに、前記被検体の診断対象サイズと、診断対象を識別するコントラストノイズ比との関係を表す関数を作成することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、
前記標準撮影条件である標準管電圧および標準管電流時間積を用いた場合に、前記操作手段で設定した撮影範囲内の各スライス位置において実現される画像ノイズ標準偏差値の第1の予測値を算出する第1の画像ノイズ標準偏差予測値算出手段と、
前記第1の画像ノイズ標準偏差予測値が前記撮影範囲内に設定した特定スライス位置範囲内において最大値となる参照スライス位置を算出する手段と、
前記設定した診断対象のサイズから当該診断対象を識別するためのコントラストノイズ比を算出するコントラストノイズ比算出手段と、
前記コントラストノイズ比算出手段が算出したコントラストノイズ比を用いて前記標準管電圧における第1の画像ノイズ標準偏差基準値を算出する手段と、
前記第1の画像ノイズ標準偏差基準値を実現するための第1の管電流時間積を算出する第1の管電流時間積算出手段と、
前記参照スライス位置において前記第1の管電流時間積を用いた場合の画像ノイズ標準偏差予測値が所定の上限値以下となる第1の管電圧を算出する手段と、
前記参照スライス位置において前記第1の管電圧および前記第1の管電流時間積により実現される第2の画像ノイズ標準偏差基準値を算出する手段と、
前記撮影範囲内の各スライス位置で前記第1の管電圧および前記第1の管電流時間積により実現される第2の画像ノイズ標準偏差値予測値を算出する手段と、
前記第1の管電圧および前記第2の画像ノイズ標準偏差予測値と前記第2の画像ノイズ標準偏差基準値から前記撮影範囲内の各スライス位置において前記第2の画像ノイズ標準偏差基準値を実現するための第2の管電流時間積を算出する第2の管電流時間積算出手段とを備え、
前記第1の管電圧および第2の管電流時間積をX線条件とすることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。 - 請求項5に記載のX線CT装置であって、
前記コントラストノイズ比算出手段は、前記診断対象のサイズと識別可能なコントラストノイズ比との関係の関数より算出する手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項5に記載のX線CT装置であって、
前記第1の画像ノイズ標準偏差基準値算出手段は、前記記憶装置に記憶してある診断対象の標準管電圧における想定コントラスト値を前記コントラストノイズ比算出手段で算出したコントラストノイズ比で除算することにより算出する手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1ないし7の何れか1項に記載のX線CT装置
さらに、前記第1の管電圧及び第2の管電流時間積によるX線条件とこのX線条件とは異なるX線条件での撮影時における評価指標の予想値を表示する手段と、この表示手段に表示された評価指標の予想値に対応するX線条件を選択するX線条件選択手段とを備えたことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項8に記載のX線CT装置であって、
前記評価指標の予想値は、管電圧、管電流、被曝線量、診断対象の想定コントラスト値、コントラストノイズ比、画像ノイズ標準偏差値、診断対象の識別可能サイズ、消費X線管電力のうち少なくとも一つを含むことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記診断対象サイズ設定手段で設定した前記被検体の診断対象における真陽性率と偽陽性率とを設定する真陽性率および偽陽性率設定手段と、
前記設定した診断対象のサイズから当該診断対象を識別するためのコントラストノイズ比を算出するコントラストノイズ比算出手段と、
前記被検体3次元モデルにおける同一撮影条件での画像ノイズ標準偏差値が最大になる参照スライス位置を算出するスライス位置算出手段と、
想定コントラスト値と前記コントラストノイズ比算出手段で算出したコントラストノイズ比とから前記参照スライス位置における画像ノイズ標準偏差値を算出する画像ノイズ標準偏差値算出手段と、
該画像ノイズ標準偏差値算出手段で算出した画像ノイズ標準偏差値を実現するための第1の管電流時間積を算出する管電流時間積算出手段と、
前記第1の管電流時間積における、管電圧に依らずコントラストノイズ比を概一定にするための管電流時間積補正係数を算出する管電流時間積補正係数算出手段と、
前記第1の管電流時間積を前記管電流時間積補正係数により補正する管電流時間積補正手段と、
前記X線管で消費する電力が前記標準撮影条件であるX線管電力の基準値以下となる条件下で被曝線量を最小とする管電圧を算出する管電圧算出手段とを備え、
前記管電圧算出手段が算出した管電圧および前記管電流時間積補正手段で補正した管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記被検体3次元モデルにおける同一撮影条件での画像ノイズ標準偏差値が最大になる参照スライス位置を算出するスライス位置算出手段と、
前記操作手段から目標の画像ノイズ標準偏差値を入力して設定する目標画像ノイズ標準偏差値設定手段と、
前記参照スライス位置における想定コントラスト値と前記目標の画像ノイズ標準偏差値とから前記被検体の診断対象の識別可能なコントラストノイズ比を算出して診断対象サイズを算出する診断対象サイズ算出手段と、
前記算出した診断対象サイズが現実の診断対象サイズとして適切か否かの判断を受け付ける診断対象サイズ判断入力手段と、
前記算出した診断対象サイズが適切であると判断された場合に、前記参照スライス位置での前記診断対象サイズで前記目標の画像ノイズ標準偏差値を満たす第1の管電流時間積を算出する管電流時間積算出手段と、
前記算出した診断対象サイズが適切でないと判断された場合に、前記診断対象サイズが妥当になるように目標の画像ノイズ標準偏差値を調整する画像ノイズ標準偏差値調整手段と、
前記第1の管電流時間積における、管電圧に依らずコントラストノイズ比を概一定にするための前記管電流時間積補正係数を算出する管電流時間積補正係数算出手段と、
前記第1の管電流時間積を前記管電流時間積補正係数により補正する管電流時間積補正手段と、
前記X線管で消費する電力が前記標準撮影条件であるX線管電力の基準値以下となる条件下で被曝線量を最小とする管電圧を算出する管電圧算出手段とを備え、
前記管電圧算出手段が算出した管電圧および前記管電流時間積補正手段で補正した管電流時間積をX線条件とすることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記操作手段で所望のスライス位置を指定する所望スライス位置指定手段と、
前記診断対象サイズ設定手段で設定した前記被検体の診断対象における偽陽性率を設定する偽陽性率設定手段と、
想定コントラスト値と前記所望スライス位置における前記被検体3次元モデルとから前記所望スライス位置の画像標準偏差予測値を算出する所望スライス位置画像ノイズ標準偏差値予測手段と、
前記所望スライス位置の画像ノイズ標準偏差予測値と前記想定コントラスト値とから前記指定した所望のスライス位置における診断対象を識別するためのコントラストノイズ比を算出するコントラストノイズ比算出手段と、
前記所望スライス位置の画像ノイズ標準偏差予測値が実現可能かを判断する画像ノイズ標準偏差予測値実現性判断手段と、
前記所望スライス位置の画像ノイズ標準偏差予測値が実現不可能であると判断した場合に、前記画像ノイズ標準偏差予測値が実現できるように前記偽陽性率と前記診断対象サイズを調整する偽陽性率および診断対象サイズ調整手段と、
前記画像ノイズ標準偏差予測値が実現可能であると判断した場合に、前記コントラストノイズ比算出手段で算出したコントラストノイズ比が全スライス位置に適用可能かを判断するコントラストノイズ比判断手段とを備え、
前記コントラストノイズ比が全スライス位置に適用可能であると判断した場合は、前記所望スライス位置の画像ノイズ標準偏差予測値を実現するための第1の管電流時間積を算出する管電流時間積算出手段と、
前記第1の管電流時間積における、管電圧に依らずコントラストノイズ比を概一定にするための管電流時間積補正係数を算出する管電流時間積補正係数算出手段と、
前記第1の管電流時間積を前記管電流時間積補正係数により補正する管電流時間積補正手段と、
前記X線管で消費する電力が前記標準撮影条件であるX線管電力の基準値以下となる条件下で被曝線量を最小とする管電圧を算出する管電圧算出手段とを備え、
前記管電圧算出手段が算出した管電圧および前記管電流時間積補正手段で補正した管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項12に記載のX線CT装置であって、
前記コントラストノイズ比判断手段で前記コントラストノイズ比算出手段で算出したコントラストノイズ比が全スライス位置に適用不可能と判断した場合に、前記指定したスライス位置の画像ノイズ標準偏差予測値が全スライス位置に適用可能かの判断をする全スライス位置適用判断手段と、
この手段で全スライス位置に適用可能と判断した場合に、スライス位置に依らず前記所望スライス位置における画像ノイズ標準偏差予測値を満たす第2の管電流時間積を算出する第2の管電流時間積算出手段と、
前記被検体のスライス位置毎のサイズと前記指定した所望スライス位置における被検体サイズとを比較する被検体サイズ比較手段とを備え、
前記管電流時間積補正係数算出手段および前記管電流時間積補正手段は、前記被検体サイズ比較手段において、指定した所望スライス位置における被検体サイズがスキャン位置における被検体サイズと同等以下と判断された場合は、前記第2の管電流時間積における、管電圧に依らずコントラストノイズ比を概一定にするための管電流時間積補正係数を算出し、前記第2の管電流時間積を前記補正係数により補正し、
前記管電圧算出手段が算出した管電圧および前記管電流時間積補正手段で補正した管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項13に記載のX線CT装置であって、
前記被検体サイズ比較手段において、当該スライス位置における被検体サイズが前記指定したスライス位置における被検体サイズより大きいと判断された場合に、前記管電圧算出手段が算出した管電圧の条件下でスライス位置毎に前記所望スライス位置における画像ノイズ標準偏差予測値を満たす第3の管電流時間積を算出する第3の管電流時間積算出手段と、
前記管電流時間積補正係数算出手段および前記管電流時間積補正手段は、前記第3の管電流時間積における、管電圧に依らずコントラストノイズ比を概一定にするための管電流時間積補正係数を算出し、前記第3の管電流時間積を前記補正係数により補正し、
前記管電圧算出手段が算出した管電圧および前記管電流時間積補正手段で補正した管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項13に記載のX線CT装置であって、
前記指定したスライス位置の画像標準偏差予測値が全スライス位置に適用できない場合に、前記指定したスライス位置における画像ノイズ標準偏差値を満たす第4の管電流時間積を算出する第4の管電流時間積算出手段と、
該第4の管電流時間積を用いて前記指定したスライス位置における被曝線量とX線管電力を算出する指定スライス位置の被曝線量およびX線管電力算出手段と、
この手段で算出したX線管電力が前記標準撮影条件であるX線管電力の基準値以下となる条件下で被曝線量を最小とする第2の管電圧を算出する第2の管電圧算出手段とを備え、
前記第2の管電圧および前記第4の管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記操作手段でスキャン領域を設定し、この領域内で複数の関心領域を設定する複数関心領域設定手段と、
前記複数関心領域設定手段で設定した複数の関心領域毎に前記診断対象サイズ設定手段で診断対象サイズを設定し、かつ前記複数の診断対象サイズ内に存在する疾病の偽陽性率を設定する複数偽陽性率設定手段と、
前記設定した複数の関心領域の診断対象サイズから当該診断対象を識別するためのコントラストノイズ比を算出するコントラストノイズ比算出手段と、
前記被検体3次元モデルで前記設定した関心領域毎に画像ノイズ標準偏差値が最大になるスライス位置を算出するスライス位置算出手段と、
想定コントラスト値と前記コントラストノイズ比算出手段で算出したコントラストノイズ比とから前記スライス位置算出手段で算出したスライス位置における画像ノイズ標準偏差値を算出する画像ノイズ標準偏差値算出手段と、
該画像ノイズ標準偏差値算出手段で算出した画像ノイズ標準偏差値を実現するための管電流時間積を算出する管電流時間積算出手段と、
該管電流時間積算出手段で算出した管電流時間積における管電圧に依らずコントラストノイズ比を概一定にするための管電流時間積補正係数を算出する管電流時間積補正係数算出手段と、
前記管電流時間積算出手段で算出した管電流時間積を前記管電流時間積補正係数により補正する管電流時間積補正手段と、
前記X線管で消費する電力が前記標準撮影条件であるX線管電力の基準値以下となる条件下で被曝線量を最小とする管電圧を算出する管電圧算出手段とを備え、
前記管電圧算出手段が算出した管電圧および前記管電流時間積補正手段で補正した管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1または2に記載のX線CT装置であって、
前記X線条件算出手段は、前記診断対象サイズ設定手段で設定した前記被検体の診断対象における真陽性率と偽陽性率とを設定する真陽性率および偽陽性率設定手段と、
前記設定した診断対象のサイズから当該診断対象を識別するためのコントラストノイズ比を算出するコントラストノイズ比算出手段と、
想定コントラスト値と前記コントラストノイズ比算出手段で算出したコントラストノイズ比とを満たす画像ノイズ標準偏差値を、特定スライス位置範囲内にあるスライス面毎に算出する画像ノイズ標準偏差値算出手段と、
前記標準撮影条件として設定された管電圧において、スライス面毎の診断対象サイズで前記画像ノイズ標準偏差値を満たす管電流時間積を算出する管電流時間積算出手段とを備え、
前記設定された管電圧および前記管電流時間積算出手段で算出された管電流時間積をX線条件とすることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項10ないし17の何れか1項に記載のX線CT装置であって、
さらに、前記X線条件算出手段で算出した管電圧および管電流時間積をスキャン時間で除算して得た平均管電流によるX線条件とこれらのX線条件とは異なるX線条件での撮影時における評価指標の予想値を表示する手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項18に記載のX線CT装置であって、
前記評価指標の予想値は、前記管電圧である推奨管電圧、平均管電流、偽陽性率、診断対象の識別可能サイズ、画像ノイズ標準偏差値、被曝線量、消費X線管電力のうち少なくも一つを含むことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項18に記載のX線CT装置であって、
さらに、前記表示手段に表示された評価指標の予想値に対応するX線条件を選択するX線条件選択手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。
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