JPWO2007114340A1 - 緑膿菌の外膜タンパク質pa0427 - Google Patents

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Abstract

本発明は、緑膿菌に関連する疾患の診断、予防、または治療に用いられるタンパク質抗原またはペプチド抗原およびこれらに対する抗体を提供することを目的とする。本発明によれば、緑膿菌に関連する疾患の診断、予防、または治療に用いられる、緑膿菌の外膜タンパク質PA0427由来のタンパク質またはペプチドおよびこれらに対する抗体が提供される。

Description

本発明は、緑膿菌の外膜タンパク質PA0427由来のタンパク質抗原またはペプチド抗原、および該抗原に対する抗体に関する。本発明はまた、該抗原を含んでなるワクチン組成物に関する。本発明はさらに、該抗体を含んでなる医薬組成物、緑膿菌感染症診断剤、緑膿菌の検出キットに関する。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、土壌、水中など自然環境中に広く一般的に分布しているグラム陰性桿菌であるが、治療抵抗性の重篤な致死性の感染症を引き起こす。その主な標的は、熱傷、臓器移植または癌患者を含む、一般にcompromised hostと呼ばれる生体防御機能が衰弱した易感染性の患者であり、緑膿菌は院内感染の主要な原因菌である。さらに本菌による肺感染症は嚢胞性繊維症患者において致死性である。これらの患者に対して、主に抗緑膿菌活性を有する抗菌剤が投与されるが、緑膿菌の薬剤耐性により十分に治療効果が得られない症例が多い。また、緑膿菌に対するワクチンや抗体についても古くから検討されているが、直接、不活化した菌を用いる方法では、緑膿菌の血清型別に種々のワクチンや抗体を調製しなければならない等の欠点があった。
このような状況下、緑膿菌間で共通なアミノ酸配列を有する緑膿菌由来のタンパク質を用いた能動免疫または受動免疫による緑膿菌感染症の予防あるいは治療が期待されている。緑膿菌由来のタンパク質をワクチンに応用する例としては、外膜タンパク質OprFおよびOprIの一部分を融合させた組換えタンパク質(特開平8−245699号公報)、typeIV pilinタンパク質(WO2004/099250号公報)等が知られている。
また、緑膿菌由来のタンパク質を標的とする抗体医薬に関しては抗typeIV pilin 抗体(WO2004/099250号公報)、抗PA1706(またはPcrV)抗体(米国特許公報第6309651号、6827935号)等が報告されている。
しかし、多様な血清型を示す緑膿菌の臨床分離株が共通に保有する菌体由来のタンパク質は、「緑膿菌共通抗原」として緑膿菌感染症の予防、診断あるいは治療に応用可能であるため、常に求められている。
ところで、PA0427(またはoprM)遺伝子にコードされるPA0427(別名OprM)タンパク質は、緑膿菌クオラムセンシングのシグナル分子であるホモセリンラクトンの分泌装置を構成する外膜タンパク質であり、同時にテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ニューキノロン系、ベータラクタム系抗生物質を排出するマルチコンポーネント型異物排出ポンプを構成する外膜タンパク質として、これらの抗生物質の耐性化に直接関与することが報告されている(Journal of Bacteriology, 1998, 180, 5443-5447、Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 1995, 39, 1948-1953)。また、その立体構造に関しては、X線結晶構造解析が行われ、外膜を4回貫通する3次元構造が明らかにされている(Journal of Biological Chemistry, 2004, 279, 52816-52819)。一方、動物実験において、当該タンパク質を含む異物排出ポンプをコードするmexA−mexB−oprMオペロンを欠損した緑膿菌は、野生株と比べて病原性が著しく低下するが、PA0427遺伝子のみを欠損させた変異株では病原性が低下しないことも報告されている(Journal of Experimental Medicine, 2002, 196, 109-118)。さらに、当該タンパク質を免疫して得られた抗血清をimmuno blotで当該タンパク質の検出用試薬として用いることが報告されている(FEMS Microbiology Letters, 1994, 122, 267-274)。しかしながら、PA0427タンパク質を標的とする抗緑膿菌薬や、当該タンパク質をワクチンの成分として、またこれから産生される抗体組成物を緑膿菌感染症治療薬あるいは診断薬として用いることは知られていなかった。
発明の概要
本発明者らは、緑膿菌の外膜タンパク質から新規で有用な「緑膿菌共通抗原」を探索することを試み、種々検討の結果、緑膿菌の外膜にあるPA0427(別名OprM)タンパク質をコードする遺伝子が、ヒト血清の存在いかんに関わらず、定常的に発現していることをGeneChip解析により見出した(実施例1)。また、95株の緑膿菌臨床分離株について遺伝子解析を実施したところ、PA0427タンパク質の2箇所にわたる推定細胞外領域にアミノ酸変異が認められず、完全に保存されていることを見出した(実施例2)。さらに、PA0427組換えタンパク質または推定細胞外領域を含むペプチドを免疫して得られた抗血清または抗体が、PA0427タンパク質に結合すること(実施例7および8)、該抗体がオプソニン作用を有すること(実施例9)、該抗体が緑膿菌感染モデルマウスにおいて高い感染防御効果を示すこと(実施例11〜13)を確認した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明は、緑膿菌感染を実質的に予防あるいは治療する能力を有し、緑膿菌感染患者由来の臨床分離株の多様性に対応できるワクチン組成物として使用可能なタンパク質抗原またはペプチド抗原、また、該抗原に対する抗体を提供することを目的とする。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質に対する抗体を産生することができるタンパク質抗原またはペプチド抗原を含んでなる抗原組成物が提供される。
本発明によれば、以下の(i)、(ii)、(iii)、および(iv)から選択されるタンパク質(以下、「本発明によるタンパク質」という)が提供される:
(i)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
(ii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;
(iii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされ、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;および
(iv)配列番号:4で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質。
本発明によれば、配列番号:5で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチド(以下、「本発明による第一の態様のペプチド」という)が提供される。
本発明によれば、配列番号:6で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:6で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチド(以下、「本発明による第二の態様のペプチド」という)が提供される(以下、本発明による第一の態様のペプチドと、本発明による第二の態様のペプチドとを併せて「本発明によるペプチド」ということがある)。
本発明によれば、本発明によるタンパク質または本発明によるペプチドを含んでなる、抗原組成物が提供される(以下、この抗原組成物と、緑膿菌由来のPA0427タンパク質に対する抗体を産生することができるタンパク質抗原またはペプチド抗原を含んでなる抗原組成物とを併せて「本発明による抗原組成物」という)。
本発明によれば、本発明による抗原組成物と、場合によっては1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤および/またはアジュバントとを含んでなる、緑膿菌に関連する疾患の予防または治療に用いられるワクチン組成物が提供される。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質またはその一部に対する抗体またはその機能的断片(以下、「本発明による抗体」という)が提供される。
本発明によれば、FERM BP−10782の受託番号のもと寄託されたハイブリドーマが提供される。
本発明によれば、本発明による抗体と、場合によっては1種以上の薬学的に許容される担体、および/または希釈剤とを含んでなる、緑膿菌に関連する疾患の予防または治療に用いられる医薬組成物が提供される。
本発明によれば、本発明による抗体を含んでなる、緑膿菌感染症診断剤が提供される。
本発明によれば、本発明による抗体を含んでなる、緑膿菌の検出キットが提供される。
本発明は、緑膿菌感染症を実質的に予防または治療する能力を有し、さらには緑膿菌感染症患者由来の臨床分離株の多様性に対応するワクチン組成物およびポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を提供するものであり、これらは緑膿菌感染症の予防若しくは治療剤、または緑膿菌感染症診断薬への応用を可能にするものである。
さらに本発明による抗体は、緑膿菌の外膜ないしは細胞外に存在するPA0427タンパク質の細胞外領域と結合し、しかもこれらの領域は、血清型等によらず株間での保存性が極めて高く多様な臨床分離株と反応すると推測されるので、緑膿菌感染症に対し高い治療効果が期待される。
pET15bプラスミド(pET−PA0427−2)を示した図である。
発明の具体的な説明
[PA0427タンパク質]
PA0427タンパク質は緑膿菌由来の外膜PA0427タンパク質である。該タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号:3に、該タンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、配列番号:1に記載される。
ここで、緑膿菌PA0427(OprM)タンパク質の2次構造および立体構造情報(J. Biol. Chem., 2004, 279, 52816-52819)と、大腸菌のTolCタンパク質の立体構造情報(Nature, 2000, 405, 914-919)とから得られる情報より、配列番号:1で表される塩基配列のうち、アミノ酸コード領域1458塩基中の340番目から1017番目の塩基配列は、PA0427タンパク質の細胞表面表出部分をコードすると推測された(配列番号:2)。
PA0427タンパク質の細胞表面表出部分は、以下の(i)、(ii)、(iii)、および(iv)から選択されるタンパク質である:
(i)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
(ii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;
(iii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされ、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;および
(iv)配列番号:4で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質。
本願明細書において、「アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の方法により、または天然に生じ得る程度の複数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされたことを意味する。アミノ酸の改変の個数は、好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜30個、さらに好ましくは1〜10個、さらにより好ましくは1〜5個、最も好ましくは1〜2個である。
PA0427タンパク質の改変アミノ酸配列の例は、好ましくは、そのアミノ酸が、1または複数個(好ましくは、1ないし数個あるいは1、2、3、または4個)の保存的置換を有する配列番号:4で表されるアミノ酸配列であることができる。
本願明細書において、「保存的置換」とは、1若しくは複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置き換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に該技術分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
本願明細書において「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション後のメンブレンの洗浄操作を、高温下低塩濃度溶液中で行うことを意味し、例えば、0.5×SSC濃度(1×SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)、60℃、15分間の洗浄条件、好ましくは0.5×SSC濃度、0.1%SDS溶液中で60℃、15分間の洗浄条件、を意味する。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
本願明細書において、塩基配列またはアミノ酸配列についての「同一性」とは、比較される配列間において、各々の配列を構成する塩基またはアミノ酸残基の一致の程度の意味で用いられる。本明細書において示した「同一性」の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えばFASTA、BLAST等においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、容易に算出することができる。
配列番号:4で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列は、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、そして最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列であることができる。
本発明において、配列番号:4で表されるアミノ酸配列が与えられれば、それをコードするヌクレオチド配列は容易に定まり、配列番号:4で表されるアミノ酸配列をコードする種々のヌクレオチド配列を選択することができる。
従って、配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドとは、配列番号:2で表されるDNA配列の一部または全部に加え、同一のアミノ酸をコードするDNA配列であって縮重関係にあるコドンをDNA配列として有する配列をも意味するものとする。本発明においてはさらに、これらに対応するRNA配列も含まれる。
配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの好ましい例としては、配列番号:2で表される塩基配列を含んでなるポリヌクレオチドが挙げられる。
本願明細書において、配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するかどうかは配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質の発現と関連する生体現象あるいは機能を評価することにより決定することができ、例えば、そのタンパク質を遺伝子組み換え技術により発現させ、PA0427タンパク質に対する抗体を作製できるかどうかを評価することにより決定することができる。
本発明によるタンパク質は、緑膿菌の細胞表面に表出しているため、該タンパク質は、緑膿菌に対する抗体を作製するための抗原(タンパク質抗原)として用いることができる。
PA0427タンパク質の細胞表面表出部分のうち、アミノ酸変異が認められない部分として以下の2カ所(以下、「推定細胞外領域」という)が特定された:
配列番号:5で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチド;および
配列番号:6で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:6で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチド。
本発明によるペプチドは、緑膿菌の細胞表面に表出し、また緑膿菌において保存されているため、該ペプチドは緑膿菌に対する抗体を作製するための抗原(ペプチド抗原)として用いることができる。
該ペプチドは、多数の緑膿菌臨床分離株においてアミノ酸変異が認められなかったことから、緑膿菌共通抗原として有用である点で有利である。
本発明によるペプチドは、電荷による凝集等を防ぐために、N末端やC末端にブロック基を付加することが可能である。N末端には、アセチル化(acetylation)、C末端にはアミド化(amidation)がよく用いられるがこれらに限定されない。 本発明によるペプチドは、システイン残基を付加し、スペーサーとの結合を強化する修飾などを用いることができる。
スペーサーとしては、DMS(dimethyl suberimidate)、DMA(Dimethyl adipimidate)、Sulfo−SMCC(Sulfosuccinimidyl-4-[N-maleimidomethyl]cyclohexane-1-carboxylate)、MBS(m−Maleimidobenzoyl−N−hydoxysuccinimide ester)、Sulfo-MBSなどを用いることが一般的であるが、これに限るものでなくスペーサーとして機能する化合物であれば足りる。
本発明によるペプチドは、担体として、牛血清アルブミン(BSA)、卵白アルブミン(OVA)、ヒト血清アルブミン(HSA)あるいはラパスガイ由来のヘモシアニン(KLH Keyhole limpet hemocyanin)などのキャリアータンパク質を用いることが可能であるがこれらに限定されない。
[抗原組成物]
本発明によるタンパク質または本発明によるペプチドは、タンパク質抗原またはペプチド抗原として用いることができる。従って、本発明によれば、緑膿菌由来の外膜PA0427タンパク質に対する抗体を産生することができる該タンパク質抗原または該ペプチド抗原を含んでなる抗原組成物が提供される。
ここで、タンパク質抗原またはペプチド抗原は、好ましくは、本発明によるタンパク質または本発明によるペプチドを当業者に周知の方法に従って精製して用いることができる。
本願明細書において、「抗原組成物」とは、タンパク質抗原またはペプチド抗原を唯一の構成要素とする組成物でもよく、また他の成分を含んでなる組成物であってもよい。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質に対する抗体を産生することができるタンパク質抗原またはペプチド抗原を含んでなる抗原組成物が提供される。
[ワクチン組成物]
本発明による抗原組成物は、ワクチンとして用いることができる。従って、本発明によれば、緑膿菌由来の外膜PA0427タンパク質に対する抗体を産生することができる抗原組成物を含んでなるワクチン組成物が提供される。
本発明によれば、本発明による抗原組成物と、場合によっては1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、および/またはアジュバントとを含んでなる緑膿菌に関連する疾患の予防または治療に用いられるワクチン組成物を製造することができる。
本発明によるワクチン組成物に用いられる担体は、投与の様式および経路、並びに標準的な製薬の実際を基にして選択され、キャリアータンパク質(例えば、牛血清アルブミン(BSA)、卵白アルブミン(OVA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、ラパスガイ由来のヘモシアニン(KLH:Keyhole limpet hemocyanin)等)、溶解剤(例えば、エタノール、ポリソルベート、Cremophor EL(登録商標)等)、等張化剤、保存剤、抗酸化剤、賦形剤(例えば、ラクトース、スターチ、結晶性セルロース、マンニトール、マルトース、リン酸水素カルシウム、軽無水珪酸、炭酸カルシウム等)、結合剤(例えば、スターチ、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等)、安定化剤(例えば、ラクトース、マンニトール、マルトース、ポリソルベート、マクロゴル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等)等がある。必要であれば、グリセリン、ジメチルアセトアミド、70%乳酸ナトリウム、界面活性剤、または塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン、エタノールアミン、重炭酸ナトリウム、アルギニン、メグルミン、トリスアミノメタン等)等を加えてもよい。
キャリアータンパク質の具体例としては、本発明によるワクチン組成物の抗原性を高めるため、本発明によるペプチドに公知のKLH溶液(Calbiotec社製 50%グリセロール溶液に1ml当たり125mgを溶解させる)をカップリング(coupling)させることができる。
本発明によるワクチン組成物に用いられる希釈剤は、投与の様式及び経路、並びに標準的な製薬の実際を基にして選択され、例えば、水または生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水、重炭酸塩溶液等が挙げられる。
本発明によるワクチン組成物に用いられるアジュバントは、投与の様式及び経路、並びに標準的な製薬の実際を基にして選択され、例えば、コレラ毒素、大腸菌の熱不安定腸毒素(LT)、リポソーム、又は免疫刺激性複合体(ISCOM:immunostimulating complex)等が挙げられる。
投与は、緑膿菌による感染のおそれがある投与対象の年齢、体重、性別、一般的な健康状態により異なるが、経口投与、非経口投与(例えば、静脈投与、動脈投与、局所投与)のいずれかの投与経路で投与することができるが、好ましくは非経口投与である。
経口投与および非経口投与のための剤形およびその製造方法は当業者に周知であり、本発明による抗原組成物を、薬学的に許容される上記の坦体などと混合等することにより、常法に従って製造することができる。
経口投与のための剤型は、固体または液体の剤型、具体的には溶剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等が挙げられる。
非経口投与のための剤型は、溶剤、懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、坐剤、眼剤、点鼻剤、点耳剤等が挙げられる。
本製剤の徐放を希望する場合、生物分解性のポリマー(例えば、ポリ−D,L−ラクチド−コ−グリコリド、ポリグリコリド等)を、増量母材として加えることができる(例えば、米国特許5,417,986号公報、米国特許4,675,381号公報、米国特許4,450,150号公報を参照することができる)。
経口投与の場合、香味料及び着色料を加えることもできる。
適当な医薬用の担体および希釈剤等、並びにこれらの使用のために医薬上必要な物は、Remington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
本発明によるワクチン組成物の投与量は、例えば、ワクチン抗原の種類、本抗原と共にアジュバントを投与するか否か、共投与されるアジュバントの種類、投与の様式と頻度、及び希望する効果(例えば、予防か、それとも治療か)により、本発明者によって決定されるが、一般的には、本発明のワクチン組成物を、1成人1投与あたり1μg〜100mgの量で投与する。本ワクチンと共にアジュバントを投与する場合、一般的には、1成人1投与あたり1ng〜1mgの量を投与する。本発明者の決定に従って、必要がある場合には、投与を繰り返す。例えば、初期化のための投与に引き続いて、1週間毎に3回の増強のための投与を行うことができる。あるいは増強のための注射を、最初の免疫接種後8〜12週目に、そして2回目の増強を16〜20週目に、同一の調合剤を用いて行うことができる。
[抗体]
本発明による抗体は、緑膿菌の外膜PA0427タンパク質またはその一部を認識しかつ、緑膿菌に結合することができる。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質の一部が、緑膿菌由来のPA0427タンパク質の細胞表面表出部分である、本発明による抗体またはその機能的断片が提供される。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質の一部が、本発明によるタンパク質である、本発明による抗体(以下、「本発明による第一の態様の抗体」という)が提供される。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質の一部が、本発明による第一の態様のペプチドである、本発明による抗体(以下、「本発明による第二の態様の抗体」という)が提供される。
本発明によれば、緑膿菌由来のPA0427タンパク質の一部が、本発明による第二の態様のペプチドである、本発明による抗体(以下、「本発明による第三の態様の抗体」という)が提供される。
このような抗体には、本発明によるタンパク質を認識し、かつ緑膿菌に結合する抗体が含まれる。また、本発明によるペプチドを認識する抗体が含まれる。
本発明による抗体は、好ましくは精製された本発明によるタンパク質抗原またはペプチド抗原を含んでなる抗原組成物を免疫して抗体が誘発できる量で実験動物へ投与することによって得られる。心臓あるいは動脈から採血し、分離して得た抗血清を精製した後、純粋抗体として使用することができる。
本発明による抗体には、PA0427タンパク質またはペプチドを抗原として、該抗原をマウス等の哺乳動物に免疫して得られるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体も含む)、遺伝子組換え技術を用いて製造されキメラ抗体およびヒト化抗体、並びにヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造されるヒト抗体が含まれる。
本発明による抗体を医薬としてヒトに投与する場合は、副作用低減の観点から、ヒト抗体が望ましい。
「ヒト抗体」とは、すべての領域がヒト由来の抗体である。本発明によるヒト抗体は、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例えば、Intern. Rev. Immunol, 1995, 13, 65-93、J. Mol. Biol, 1991, 222, 581-597、特開平10−146194号公報、特開平10−155492号公報、特許2938569号公報、特開平11−206387号公報、特表平8−509612号公報、特表平11−505107号公報等を参照することができる)。
「ヒト化抗体」は、マウス抗体の抗原結合部位(CDR;相補性決定領域)の遺伝子配列だけをヒト抗体遺伝子に移植(CDRグラフティング)した抗体である。本発明によるヒト化抗体は、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例えば、EP239400、WO90/07861号公報等を参照することができる)。
「キメラ抗体」は、ある種の抗体の可変領域とそれとは異種の抗体の定常領域とを連結した抗体である。具体的には、抗原をマウスに免役し、そのマウスモノクローナル抗体の遺伝子から抗原と結合する抗体可変部(V領域)を切り出し、ヒト骨髄由来の抗体定常部(C領域)遺伝子と結合して作製することができる。本発明によるキメラ抗体は、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例えば、特開平8−280387号公報、米国特許第4816397号公報、米国特許第4816567号公報、米国特許第5807715号公報等を参照することができる)。
本発明によるモノクローナル抗体は、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例えば、Antibodies A LABORATORY MANUAL Ed Harlow, David Lane Cold Spring Harbor Laboratory 1988、単クローン抗体実験マニュアル(1987)講談社、富山朔二ら編、単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA(1987)講談社、岩崎辰夫ら編等を参照することができる)。
本発明によるポリクローナル抗体は、当業者に周知の方法を用いて作製することができる。
本発明による「機能的断片」とは、抗体の一部分(部分断片)であって、本発明によるタンパク質を特異的に認識するものを意味する。具体的には、Fab、Fab’、F(ab’)、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv、一本鎖抗体(scFv)、およびこれらの重合体等が挙げられる。
本発明による第一の態様の抗体の好ましい例としては、配列番号:4で表されるアミノ酸配列もしくは1または複数個の保存的置換を有する配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質に対する抗体またはその機能的断片が挙げられる。
本発明による第二の態様の抗体の好ましい例としては、配列番号:5で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドに対する抗体またはその機能的断片が挙げられる。
本発明による第三の態様の抗体の好ましい例としては、FERM BP−10782のもと受託されたハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体が挙げられる。
従って、本発明によれば、2007年2月8日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託された受託番号FERM BP−10782のハイブリドーマ(0427−L2−1)が提供される。
本発明による抗体は、好ましくはモノクローナル抗体である。
本発明によれば、本発明によるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体と同じ抗原と交差反応するモノクローナル抗体であることを特徴とする抗体が提供される。
本発明によれば、本発明による抗原組成物に応答して、動物自身の免疫系によって産生されることを特徴とする緑膿菌に結合することができる抗体が提供される。
[抗体の用途および医薬組成物]
緑膿菌に関連する疾患
緑膿菌は宿主の抵抗力の低下につれて致命的な結果となる日和見感染の病原菌であり、また、抗生物質に抵抗性であるため、院内感染の主要な原因菌でもある。後記実施例により示されるように、本発明による第三の態様の抗体は、オプソニン作用を有することが確認された(実施例9)。また、ムチン投与によりマクロファージの機能を低下させたマウス緑膿菌易感染性モデルにおいて、本発明による抗血清が実際に感染防御効果を有すること(実施例11)、また、Cyclophosphamide monohydrate投与により好中球を減少させたマウス緑膿菌易感染性モデルにおいて、本発明による抗体が実際に感染防御効果を有すること(実施例12)が確認された。さらに、マウス多剤耐性緑膿菌易感染性モデルにおいて、本発明による第三の態様の抗体が実際に感染防御効果を有することが確認された(実施例13)。従って、本発明による抗体は、緑膿菌に関連する疾患の予防または治療に有用である。
緑膿菌に関連する疾患としては、多剤耐性緑膿菌を含む緑膿菌感染に起因する全身感染疾患、例えば、敗血症、髄膜炎、心内膜炎等が挙げられる。耳鼻科領域では、中耳炎、副鼻腔炎、呼吸器科領域では、肺炎、慢性気道感染症、カテーテル感染症、外科領域では、術後腹膜炎、術後胆道などの炎術後感染症、眼科領域では、眼瞼膿瘍、涙膿炎、結膜炎、角膜潰瘍、角膜膿瘍、全眼球炎、眼窩感染、泌尿器科領域では、複雑性尿路感染症を含む尿路感染症、カテーテル感染症、肛門周辺膿瘍等が挙げられる。この他にも、重症熱傷、気道熱傷を含む熱傷や褥瘡感染症、嚢胞性繊維症等が挙げられる。
本発明による第三の態様の抗体は、治療に難渋する多剤耐性緑膿菌感染症の予防または治療に対し有効性が期待できる点で特に有利である。本発明による第一の態様の抗体についても、本発明による第二の態様のペプチドと結合することが確認されていることから(実施例7および実施例8)、同様の効果が期待できる。
本発明によれば、緑膿菌に関連する疾患の予防剤または治療剤の製造のための、本発明による抗体の使用が提供される。
本発明によれば、予防上または治療上の有効量の本発明による抗体を、ヒトを含む哺乳類に投与する工程を含んでなる、緑膿菌に関連する疾患の予防方法または治療方法が提供される。
緑膿菌感染症診断剤
後記の実施例において示されるように、本発明による第一の態様の抗体は、本発明によるタンパク質、本発明による第一の態様のペプチド、および本発明による第二の態様のペプチドとそれぞれ結合することが確認された(実施例7)。また、本発明による第二の態様の抗体は、本発明によるタンパク質および本発明による第一の態様のペプチドと結合することが確認された(実施例7)。さらに、本発明による第三の態様の抗体は、本発明によるタンパク質および本発明による第二の態様のペプチドと結合することが確認された(実施例7)。また、本発明による第一ないし第三の態様の抗体は、緑膿菌の細胞表面に露出するPA0427タンパク質の細胞外領域と結合することが確認された(実施例8)。
これらの結果から、本発明による抗体は、緑膿菌の存在を検出することができることが示唆された。従って、本発明による抗体は、緑膿菌感染症診断剤として用いることができる。
本発明によれば、本発明による抗体を用いる緑膿菌感染の診断方法が提供される。
本発明による診断方法は、緑膿菌感染のおそれのあるヒトを含む哺乳動物から喀痰、肺洗浄液、膿、涙、血液、尿等の生体試料を採取し、次いで、採取した試料と本発明による抗体とを接触させ、抗原抗体反応が生じたか否かを判断することにより実施することができる。
緑膿菌感染症診断薬キット
本発明によれば、緑膿菌の存在を検出するためのキットであって、本発明による抗体を少なくとも含んでなるキットが提供される。
本発明による抗体は、標識したものであってもよい。この検出用キットは抗原抗体反応を検出することにより緑膿菌の存在を検出する。
従って本発明による検出キットは、所望により、抗原抗体反応を実施するための種々の試薬、例えばELISA法等に用いる2次抗体、発色試薬、緩衝液、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。
医薬組成物
本発明による医薬組成物または用剤は、本発明による抗体を有効成分として用い、好ましくは、精製した抗体と任意の成分、例えば生理食塩水、葡萄糖水溶液又はリン酸塩緩衝液などを含有する組成物の形態で使用しても良い。
本発明による医薬組成物は必要に応じて液体又は凍結乾燥した形態で製形化しても良く、任意に薬学的に許容される担体、例えば、安定化剤、防腐剤、等張化剤(isotonic agent)などを含有させることもできる。
薬学的に許容される担体としては、凍結乾燥した製剤の場合、マンニトール、ラクトース、サッカロース、ヒトアルブミンなどを例として挙げることができ、液状製剤の場合には、生理食塩水、注射用水、燐酸塩緩衝液、水酸化アルミニウムなどを例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
投与は、投与対象の年齢、体重、性別、一般的な健康状態により異なるが、経口投与、非経口投与(例えば、静脈投与、動脈投与、局所投与)のいずれかの投与経路で投与することができるが、好ましくは非経口投与である。
医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、性別、一般的な健康状態、緑膿菌感染症の程度及び投与する抗体組成物の成分により多様である。本発明による抗体組成物は、一般的に静脈内投与の場合、成人には体重1kg当たり1日0.1ないし1000mg、好ましくは1ないし100mgを投与する。
本発明による医薬組成物は、緑膿菌による感染のおそれがある患者に対してあらかじめ投与しておくことが好ましい。
診断剤として調剤するには、合目的な任意の手段を採用して任意の剤型でこれを得ることが出来る。たとえば腹水、目的抗体を含む培養液、または精製した抗体についてその抗体価を測定し、適当にPBS(生理食塩を含むリン酸緩衝液)等で希釈した後、0.1%ナトリウムアジド等を防腐剤として加える。またはラテックス等に本発明の抗体を吸着させたものも抗体価を求め適当に希釈し、防腐剤を添加して用いる。前記のように本発明の抗体をラテックス粒子に結合させたものは、診断薬として好ましい剤型の一つである。この場合のラテックスとしては適当な樹脂材料たとえばポリスチレン、ポリビニールトルエン、ポリプタジエン等のラテックスが適当である。
以下、本発明の理解を深めるために実施例に沿って説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:GeneChip (R) 解析
ヒト血清添加培地で発現している遺伝子を探索する手法として、GeneChip(R)発現解析システム(Affymetrix社製GeneChip(R) P.aeruginosaゲノムアレイ)を用いた。緑膿菌PAO1菌株(ATCC BAA−47)を用いて、3通りの培養条件、すなわち0%、20%、50%ヒト血清添加Luria−Bertani(LB)培地(ナカライテスク社製)(最終のLB培地組成は均一)で37℃にて595nmの吸光度が1.0になるまで振とう培養し、RNeasy Protect Bacteria Miniキット(QIAGEN GmbH社製)を用い、添付文書の方法に従って、全RNAを抽出し、2100バイオアナライザー(Agilent Technologies社製)により定量を行った。その後、GeneChip(R)の添付文書の方法に従って実験を行った。遺伝子発現データの解析はMicroarray Suite 5.0(Affymetrix社製)により行い、シグナルならびにディテクションを計算した。このとき、全プローブセットのシグナルの平均値が1000となるように補正を行った。実験は独立に2回実施した。
その結果、ハウスキーピングタンパク質であるPA4761タンパク質(DnaKあるいはHSP70)は、いずれの培養条件でも血清添加の有無に関わらず、転写産物が検出されたことを示す「Present」と判定され、該遺伝子が発現していることが示された。また、PA5158タンパク質(OpmG)ならびにPA2019タンパク質(MexX)と会合し薬剤排出ポンプを構成する内膜貫通タンパク質でテトラサイクリンやアミノグシコシド系抗生物質などリボソーム阻害剤によって誘導されるPA2018タンパク質(MexY)(J. Bacteriology, 2005, 187, 5341-5346)はそれらの薬剤が存在しない今回の条件下では「Absent」と判定され、これらの遺伝子が発現していないことが示された。一方、PA0427遺伝子に関しては、いずれの条件下においても血清添加の有無に関わらず「Present」と判定された。
以上のことから、間違いなくPA0427遺伝子が発現し、その遺伝子産物であるPA0427タンパク質が菌体表面に定常的に存在している可能性が示唆された。このことから、緑膿菌のPA0427タンパク質がワクチンの成分として有用であることが示唆された。
実施例2:臨床分離株におけるPA0427遺伝子の解析
使用菌株は、全国の臨床施設において各種臨床材料より分離された緑膿菌95株(明治製菓株式会社 横浜研究所に保管)を試験に供した。これらの株は血液、尿、喀痰、膿、咽頭粘液などに由来しており、血清型は緑膿菌研究会主催の型別検討委員会の決定(1975年)による血清学的分類に基づくA群、B群、E群、F群、G群、I群、M群などが含まれている
(1)ゲノムDNAの調製
臨床分離の緑膿菌95株について、ミューラーヒントン培地(ベクトン・ディッキンソン社製)で37℃にて一晩培養し、低速遠心によって集菌した。得られた菌体からDNeasy Tissueキット(QIAGEN GmbH社製)を用い、添付文書の方法に従って、ゲノムDNAを調製した。
(2)PCR法によるDNA断片の増幅
調製したゲノムDNAを鋳型に、PA0427遺伝子を含む領域をPCRにより増幅した。具体的には、緑膿菌PAO1菌株のゲノム配列(NCBIのデータベースにおけるアクセッション番号: NC_002516)をもとに、PA0427遺伝子を特異的に増幅するプライマーセット(配列番号:7、配列番号:8)を設計し、Takara ExTaq(タカラバイオ株式会社製)で添付の説明書に従い、GeneAmp PCR System 9700(Applied BioSystems社製)を用いてPCRを実施した。PCRにて増幅されたDNA断片は、アガロースゲル電気泳動により、目的のサイズ(1628塩基対)であることを確認した。
(3)DNAシーケンサーによるポリヌクレオチド配列の解析
PCR産物は、MultiScreen PCRプレート(Millipore Corporation社製)にて精製後、シーケンス反応に供した。PAO1菌株のゲノム配列(NC_002516)をもとに、各PCR産物をシーケンシングできるプライマー(配列番号:9〜配列番号:13)を設計し、シーケンス反応にはBigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencingキット(Applied BioSystems社製)を用いた。シーケンス反応は添付の説明書に従い、GeneAmp PCR System 9700(Applied BioSystems社製)で実施した。シーケンス反応産物は、あらかじめ水で膨張させたSephadex G−50 Fine DNA Grade(Amersham Biosciences AB社製)をつめたMultiScreen-HVプレート(Millipore Corporation社製)で精製後、Applied Biosystems 3730 DNA Analyzer(Applied BioSystems社製)を用いてポリヌクレオチド配列の解析を行った。
上記の解析により判明した臨床分離株のポリヌクレオチド配列をポリペプチド配列に置換し、PAO1菌株のものと比較検討した結果、PA0427タンパク質の全長配列において、3ヶ所に変異が認められた(表1)。
しかしながら、緑膿菌PA0427タンパク質の2次構造ならびに立体構造情報(J. Biol. Chem.,2004, 279, 52816−52819)と、大腸菌のTolCタンパク質の立体構造情報(Nature, 2000, 405, 914-919)から得られる情報を基に、独自に推測した推定細胞外領域(配列番号:5、配列番号:6)に変異は認められなかった。このことから、緑膿菌のPA0427タンパク質が「緑膿菌共通抗原」として有用であることが示唆された。
Figure 2007114340
実施例3:PA0427遺伝子DNA断片のクローニング
緑膿菌PA0427遺伝子(配列番号:1)のアミノ酸コード領域1458塩基中の340番目から1017番目のDNA断片(配列番号:2)を、以下の方法により、ベクターpIVEX2.4d(Roche Diagnostics社)を用いてクローニングし、発現ベクターpET15b(Novagen社)に組み込んだ。
アミノ酸コード領域の1番目から339番目および1018番目から1458番目の塩基配列は、PA0427タンパク質と同族の大腸菌TolCタンパク質の構造解析情報(Nature, 2000, 9405, 914-919)を基に、細胞表面に表出しない部分をコードすると推測し、クローニング対象から除外した。
クローニングするDNA断片を緑膿菌PAO1菌株のゲノムDNAからPCR(DNA Thermal Cycler 480;Perkin-Elmer社製)により増幅した。DNAポリメラーゼはPyrobest(宝酒造社製)を使用し、反応液にジメチルスルホキシドを5%添加し、PCRプライマーは制限酵素部位NcoI(CCATGG)およびPstI(CTGCAG)ならびに終止コドンを付加するための塩基を含むプライマー(配列番号:14、配列番号:15)を用いた。
PCRの温度条件は、94℃で2分間の加熱の後、94℃で30秒間、60℃で1分間および72℃で2分間を30サイクルとした。PCR産物をGenElute PCR DNA Purification Kit(Sigma社製)を用いて精製し、NcoIおよびPstI(共にNew England Biolabs社製)で切断した。pIVEX2.4dをNcoIおよびPstIで切断し、これらのDNA断片をアガロースゲル電気泳動し、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen社製)を用いて抽出精製した。NcoI-PstIで切断したPCR産物およびpIVEX2.4dをT4 DNAリガーゼ(Invitrogen社製)で連結し、大腸菌DH5α菌株(Competent High DH5α、東洋紡社製)を形質転換した。PA0427遺伝子断片が組み込まれたpIVEX2.4dプラスミド(pIVEX−PA0427-1)を、 QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen社製)を用いて精製し、BigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてサイクルシークエンス反応を行い、挿入部分の塩基配列を確認した(3730 DNA Analyzer、Applied Biosystems / HITCHI社製)。
次に、pET15bをNdeI(New England Biolabs社製)およびBamHI(東洋紡社製)で切断した。また、pIVEX-PA0427-1を鋳型として、挿入部分の上流に位置する部分に対合するPCRプライマー(配列番号:16)および制限酵素部位BglII(AGATCT)ならびに終止コドンを付加するための塩基を含むPCRプライマー(配列番号:17)を用いて挿入断片を増幅し、NcoI部位上流に隣接するNdeIおよびBglII(東洋紡社製)で切断した。BamHIとBglIIの切断後突出末端は相補的であるため、これらの切断DNA断片を連結し、大腸菌を形質転換し、PA0427遺伝子断片が組み込まれたpET15bプラスミド(pET-PA0427-2)を得た(図1)。
実施例4:PA0427組換えタンパク質の発現ならびに精製
組換えタンパク質の発現には、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子が組み込まれた大腸菌BL21(DE3)菌株とT7プロモーターを有するpETベクターの発現系(Novagen社製)を使用した。大腸菌発現ベクターpET-PA0427-2は、T7プロモーターの下流にHis-タグ(6個の連続したヒスチジン)が融合したPA0427部分タンパク質をコードするプラスミドである(実施例3参照)。BL21(DE3)菌株を塩化カルシウムで処理(Molecular Cloning第2版、Sambrook他(1989)参照)し、pET-PA0427-2により形質転換した。形質転換体を50μg/mlアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、新しい培地に200倍希釈で懸濁して37℃で4時間培養後、IPTGを最終濃度0.5mMで添加して発現誘導し、さらに3時間培養した。細胞を遠心で回収し、−20℃で凍結した。細胞をタンパク質抽出試薬B-PER Bacterial Protein Extraction Reagent(Pierce社製)で溶解し、発現タンパク質を含む不溶性画分を回収し、最終濃度100μg/mlのリゾチーム(卵白リゾチーム、生化学工業社製)で処理後、1%Triton X-100を添加したダルベッコリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で洗浄した。
タンパク質の精製には、His-タグを利用したNiキレートクロマトグラフィを用いた。発現調製した不溶性タンパク質を、溶解バッファー(8M尿素、5mMイミダゾール、200mM NaClおよび0.05%NP-40を添加したPBS)で可溶化した。溶解したタンパク質をNi-NTA Agarose(Qiagen社製)に結合し、40容量の溶解バッファーで洗浄した。さらに、40容量の洗浄バッファー(NP-40を除いた溶解バッファー)で洗浄した後、溶出バッファー(8M尿素、300mMイミダゾール、200mM NaClを添加したPBS)により、His-タグ付タンパク質を溶出し回収した。
その結果、大腸菌115mlの培養から最終的に2.0mgのタンパク質が得られた。
実施例5:抗原の免疫ならびに抗血清の調製
緑膿菌はPA103菌株(ATCC29260)をミューラーヒントン寒天培地上にて一晩37℃で培養し、数個のコロニーをLB培地に懸濁後、一晩37℃で振とう培養し、PBSで洗浄、再懸濁した後、1%となるようにホルマリンを加え、24時間以上不活化処理した不活化菌(以下、「ホルマリン不活化PA103菌株」ということがある)を使用した。
PA0427組換えタンパク質による免疫は100μg/mlとなるよう8M尿素溶液に溶解して用いた。
PA0427タンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列は、緑膿菌PA0427タンパク質の2次構造ならびに立体構造情報(J. Biol. Chem., 2004, 279, 52816−52819)と、大腸菌のTolCタンパク質の立体構造情報(Nature, 2000, 405, 914-919)から得られる情報を基に独自に推測した。
推測したアミノ酸配列(配列番号:5、配列番号:6)を含むペプチドの合成はFmocを用いる固相合成法を用いた。配列番号:5のアミノ酸配列を含む合成ペプチドとしては、配列番号:5のアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「0427L1」ということがある)を合成した。配列番号:6のアミノ酸配列を含む合成ペプチドとしては、配列番号:6のアミノ酸配列のカルボキシル末端にシステイン残基を付加したペプチド(以下、「0427L2Q」ということがある)を合成した(配列番号:18)。配列番号:5のアミノ酸配列からなる合成ペプチド0427L1では、質量分析により [M+1] m/z 1592.94(計算値m/z 1591.77)を観測し、HPLC分析にて、保持時間13.199分にエリア面積比71.1%のピークを与えた。また、配列番号:6のアミノ酸配列を含む合成ペプチド0427L2Qは質量分析にて[M+1] m/z 1615.51(計算値m/z 1613.84)を与え、HPLC分析にて、保持時間16.75分にエリア面積比74.7%のピークを観測した。上記の合成ペプチドにスペーサーを介してKLHとカップリングさせたKLHコンジュゲートペプチドを調製し、それぞれ0427L1-KLH 、0427L2Q-KLHと命名した。スペーサーとしてはDMS(Dimethyl suberimide・2HCl、Pierce社製、カタログNo.20700)またはsulfo-MBS(m−Maleimidobenzoyl−N−hydoxysulfosuccinimide ester:Pierce社製カタログNo.22312)を用いた。なお、ペプチド合成はThermo Electron社に委託した。
ホルマリン不活化PA103菌株、PA0427組換えタンパク質および各KLHコンジュゲートペプチドはアジュバントとともに、それぞれ20μg/animalで免疫した。動物への投与方法は雄性BNラット(日本チャールスリバー社より購入)の皮下あるいは筋肉内に初回のみフロインドの完全アジュバントとともに、2回目以降は不完全アジュバントとともに2週間間隔で、計6回実施した。最終免疫の1週間後、腹部大動脈からの全採血を行い、室温1時間放置後、遠心分離(1500G、20分間)を行い、上清を血清としてラット1匹あたり約5mLを得た。
実施例6:抗血清からのIgG画分の精製
ラット抗血清からのIgG画分の精製は、McCauley R & Racker, E ; Molecular and Cellular Biochemistry 1, 73-81 (1973)らの方法に従った。氷冷飽和硫酸アンモニウム溶液(pH8)を43(v/v) %になるように添加し、得られた懸濁液を室温で15分間攪拌した。10,000xgで20分間遠心することにより沈殿を回収し、10%グリセロールを添加した10mMリン酸カリウム緩衝液(pH8)に溶解後、氷冷飽和硫酸アンモニウム溶液(pH8)を50(v/v)%になるように添加し再度沈殿を析出させることにより2回洗浄を行った。沈殿を、10%グリセロール添加した10mMリン酸カリウム緩衝液(pH8)に溶解し、次いで当該緩衝液に対して一夜透析した。遠心後、陰イオン交換クロマトグラフィー(DEAE-Toyopearl 650M(TOSOH社製))に添加し、280nmの紫外吸収を測定することにより素通り容積をIgG画分として回収した。最終標品は、Amicon Ultra-15 (Millipore社製)を用い濃縮し、最終的にPBS(−)溶液に交換した。PA0427組換えタンパク質免疫ラット血清5mlより精製を行い、IgG画分として14.5mgのタンパク質を回収し、これを抗PA0427 IgGと命名した。タンパク定量はLowry法に基づくDC Protein Assay(Bio-Rad社製)、IgGの純度はSDS-PAGEにより評価した。
また、簡易的な別法としてHarlow & Lane, 288−318, Chapter 8, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor (1988)らの方法を使用した。ラット抗血清を10,000xgで20分間遠心し不溶物を除いた上清に、2容量の60mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を添加した後、1N塩酸によりpHを4.8に調製した。抗血清に対して0.06容量のカプリル酸を室温にて除々に添加し30分間攪拌し不溶物を生成させた。13,000xgで10分間遠心し沈殿を除いた後、0.45μmのフィルターを通過させた。得られた試料は、Amicon Ultra-15(Millipore社製)を用い濃縮後、最終的にPBS(−)溶液に交換し最終標品とした。本方法によりKLHコンジュゲートペプチド、すなわち0427L1-KLHあるいは0427L2Q−KLH免疫ラット血清の精製を各30mlより行い、IgG画分としてそれぞれ68、27mgのタンパク質を回収し、それぞれを抗0427L1 IgG、抗0427L2Q IgGと命名した。タンパク定量はLowry法に基づくDC Protein Assay(Bio-Rad社製)、IgGの純度はSDS-PAGEにより評価した。
実施例7: ELISA試験
PA0427組換えタンパク質並びに合成ペプチド0427L1および0427L2Qに結合する抗体をELISA法で検出するため、PA0427組換えタンパク質は8M尿素を添加したPBSに溶解し、合成ペプチド0427L1および0427L2Qは炭酸バッファー(0.15%Na2CO3、0.3%NaHCO3)に溶解し、96ウェルELISAプレート(MaxiSorp Type,NUNC社製)に入れ、終夜4℃に置いて固相化した。PBSで洗浄し、0.5%BSAを添加したPBSでブロッキング後、試料として実施例6で得られた各精製IgG画分をウェルに加え、室温で反応させた。0.05%Tween20含有PBSで洗浄後、2次抗体(ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体、10000倍希釈、Sigma社製)を添加し、室温で反応後に洗浄した。発色基質(TMB Microwell Peroxidase substrate System、KPL社製)を添加して反応後、1Mリン酸溶液で酵素反応を停止し、450nmの吸光度を測定した。
その結果、PA0427組換えタンパク質を固相化した場合、抗PA0427 IgG画分の吸光度は0.961であったのに対し、陰性対照であるラットsham IgG画分の吸光度は0.080であった。これは抗PA0427 IgG画分中に、免疫原としたPA0427組換えタンパク質に結合する抗体(IgG)が含まれていることを示している。また、抗PA0427L1 IgG画分、抗PA0427L2Q IgG画分の吸光度はそれぞれ0.353、0.751であり、これらの画分中にもPA0427組換えタンパク質に結合する抗体(IgG)が含まれていることを示している。
また、合成ペプチド0427L1を固相化した場合、抗PA0427 IgG画分の吸光度は0.750であったのに対し、陰性対照であるラットsham IgG画分の吸光度は0.015であった。これは抗PA0427 IgG画分中に、推定細胞外領域の一つであるアミノ酸配列(配列番号:5)からなる合成ペプチド0427L1に結合する抗体(IgG)が含まれていることを示している。抗PA0427L1 IgG画分の吸光度は0.117であり、該画分中にも合成ペプチド0427L1に結合する抗体(IgG)が含まれていることを示している。一方、抗PA0427L2Q IgG画分の吸光度は0.034であり、該画分中には合成ペプチド0427L1に結合する抗体(IgG)は含まれていないことを示している。
さらに、合成ペプチド0427L2Qを固相化した場合、抗PA0427 IgG画分の吸光度は0.569であったのに対し、陰性対照であるラットsham IgG画分の吸光度は0.063であった。これは抗PA0427 IgG画分中に、推定細胞外領域の一つであるアミノ酸配列(配列番号:6)を含む合成ペプチド0427L2Qに結合する抗体(IgG)が含まれていることを示している。抗PA0427L2Q IgGの吸光度は0.361であり、該画分中にも合成ペプチド0427L2Qに結合する抗体(IgG)が含まれていることを示している。一方、抗PA0427L1 IgG画分の吸光度は0.101であり、該画分中には合成ペプチド0427L2Qに結合する抗体(IgG)は含まれていないことを示している。
実施例8:Whole cell ELISA試験
Whole cell ELISAは、LB培地にて終夜培養したPA103菌株の菌液を96ウェルELISAプレート(MaxiSorp Type,NUNC社製)にウェルあたり100μL分注し、4℃、1時間で固相化後、洗浄バッファー(0.05%Tween20含有TBS)で洗浄し、ブロッキングバッファー(2%ウシ血清アルブミン含有TBS)でブロッキング後、実施例6で得られた各精製IgG画分をウェルに加え、37℃で1時間反応させた。洗浄後、2次抗体(ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体、5000倍希釈、Sigma社製)を添加し、室温で1時間反応後に洗浄した。発色基質(TMB Microwell Peroxidase substrate System、KPL社製)を添加して暗所で反応後、1Mリン酸溶液で酵素反応を停止し、450nmの吸光度を測定した。
その結果、抗PA0427 IgGの吸光度は0.713であったのに対し、陰性対照であるラットsham IgGの吸光度は0.240であった。これは抗PA0427 IgGの中に、緑膿菌の細胞表面に露出するPA0427タンパク質の細胞外領域を認識する抗体(IgG)が含まれていることを示している。また、抗PA0427L1 IgG、抗PA0427L2Q IgGの吸光度はそれぞれ0.555、0.596であり、これらの試料中にも緑膿菌の細胞表面に露出するPA0427タンパク質の細胞外領域を認識する抗体(IgG)が含まれていることを示している。
実施例9:オプソニン作用確認試験
実施例6で得られた0427L2Q-KLH免疫ラット血清から得られた精製IgG画分(抗0427L2Q IgG)について、マウス好中球による緑膿菌の貪食作用を指標にしてオプソニン作用を検討した。
BALB/c雄性マウス(日本チャールズリバー社より購入)の腹腔内に8%カゼイン溶液を投与し、6時間後に腹腔細胞を回収した。腹腔細胞は遠心洗浄後、RPMI1640培地(Gibco社製)に2×106 cells/mLになるよう懸濁し、ラット補体(ICNバイオメディカル社製)および抗0427L2Q IgGまたはアジュバントのみを投与し得た対照ラット血清より精製したIgG存在下、4%パラホルムアルデヒドで処理した蛍光標識P.aeruginosa PA103菌株と25:1の割合で1.5時間混合培養した。培養後、貪食されたP.aeruginosaをフローサイトメーター(Epics LXII, コールター社)により測定した。好中球領域にゲートを施し1万個の細胞の蛍光強度を測定し平均蛍光強度をオプソニン作用の指標とした。
その結果、抗0427L2Q IgG 100μg/mL、200μg/mL存在下にP.aeruginosaと培養した好中球の平均蛍光強度は、それぞれ0.39、0.52、対照IgG 100μg/mL、200μg/mL存在下にP.aeruginosaと培養した好中球の平均蛍光強度は、それぞれ0.36、0.41であり抗0427L2Q IgGのオプソニン作用が認められた。
実施例10:モノクローナル抗体(MAb)の作製
緑膿菌PA0427タンパク質の2次構造ならびに立体構造情報(J.Biol. Chem.,2004,279,52816-52819)と、大腸菌のTolCタンパク質の立体構造情報(Nature,2000,405,914−919)から得られる情報を基に、独自に推測した推定細胞外領域(配列番号:6)を含むKLHコンジュゲートペプチド0427L2Q-KLHの実施例5における初回免疫の1週間後に不完全アジュバントとともに追加免疫を行い、その3日後に麻酔下、無菌的に膝下リンパ節を摘出した。得られたリンパ節をRPMI−1640培地(Gibco社製)で洗浄した後、スライドグラスのフロスト部にリンパ節を挟んですり潰し、微小片として供試リンパ節細胞を得た。得られたリンパ節細胞はRPMI−1640培地で1000rpm5分間遠心し洗浄した。一方10%FCS(ウシ胎児血清)を含むRPMI−1640培地で5%CO、相対湿度100%、37℃で予め培養して対数増殖期にあるミエローマ細胞(P3X63Ag8U1細胞)をRPMI−1640培地で遠心洗浄し、先に述べたリンパ節細胞とミエローマ細胞の比が4:1程度になるように混合した。混合した細胞を1000rpmで5分間遠心し、上清を捨て細胞を充分にほぐした。この細胞を含む遠心管にポリエチレングリコール(M.W. 1000 和光純薬社製)2g、RPMI−1640培地2mLおよびDMSO(ナカライテスク社製)0.2mLからなる溶液1mLを静かに加え、遠心管をゆっくり回転させ細胞を混合させた。一分後、遠心管をゆっくり回転させながらRPMI−1640培地15mLを3分かけ加えた。1000rpmで5分間遠心後、上清を捨て充分に細胞をほぐした後、HT培地(Gibco社製)50mLで懸濁し、一晩培養した。その後、1000rpmで10分間遠心して細胞を回収し10mLのRPMI培地で懸濁後、90mLのメチルセルロールHAT選択培地(Stem Cell Technologies社製)のボトルに細胞液を加え十分に混合した。混合したメチルセルロース培地の細胞を9cmデッシュに10mLずつまいた。5%CO、相対湿度100%、37℃で約10〜14日間培養後、メチルセルロース培地上に生育しているハイブリドーマのコロニーが観察された。これらのコロニーを拾い、96穴マイクロプレートでさらに数日培養した。
(1)目的抗体のスクリーニング
PA0427組換えタンパク質ならびに推定細胞外領域(配列番号:6)を含む合成ペプチド(配列番号:18)に結合する抗体を実施例7に記載したELISA法で検出した。また、緑膿菌の細胞表面に結合する抗体を実施例8に記載したwhole cell ELISA法で検出した。
(2)目的抗体産生細胞のクローニング
スクリーニングの結果、目的抗体を産生していると判定されたハイブリドーマを1個/0.2mLとなるよう5%BM−Condimed H1 Hybridoma Cloning Supplement(ロシュダイアグノスティックス社製)を含む10%FCS/HT(Gibco社製)培地にて調整し、96穴プレートの各ウェルに0.2mLずつ分注して培養した。1〜2週間後にスクリーニングの項で述べた方法で分析し、目的の抗体を産生する単クローンを選択し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターの受託番号がFERM BP−10782であるハイブリドーマを得た。
(3)in vitroにおける細胞の培養およびMAbの産生
96穴マイクロプレートで充分増殖させた目的クローンは24穴プレート、50mL、250mLフラスコに徐々にスケールアップして10%FCS−RPMI培地で培養した。このようにして得られた細胞の培養上清に産生されているMAbを実施例7に記載したELISA法で検出した。
ペプチドなし、合成ペプチド0427L1(配列番号:5)、合成ペプチド0427L2Q(配列番号:18)をそれぞれ吸着させたウェルへの結合を検出するELISAでの吸光度が、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターの受託番号がFERM BP−10782であるハイブリドーマの培養上清では、0.049、0.049および0.610であったことから、合成ペプチド0427L2Q(配列番号:18)に特異的に結合するMAbが産生されていることが明らかとなった。
(4)in vivoにおける細胞の腹水化およびMAbの産生
BALB/c-nu/nuマウス(日本チャールスリバー社より購入)に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターの受託番号がFERM BP−10782であるハイブリドーマを1×10/mouseとなるように腹腔内投与し、1〜2週間後に腹水を採取した。腹水中に含まれるMAbは実施例6に記載した方法で精製し、得られた精製IgG画分を抗0427L2Q(48−5) IgGと命名した。このラットMAbのIgGのサブクラスは、モノクローナル抗体アイソタイピングキット(RMT1、大日本製薬社製)によって重鎖はIgG2a、軽鎖はκと判定された。
PA0427組換えタンパク質ならびに合成ペプチド(配列番号:18)に結合する抗体を実施例7に記載したELISA法で検出した。
その結果、PA0427組換えタンパク質を吸着したウェルへの結合を検出するELISAでの吸光度が、抗0427L2Q(48−5)では0.906であったのに対し、陰性対照であるラットsham IgGの吸光度は0.080であったことから、該タンパク質に結合するMAbが産生されていることが明らかとなった。
また、合成ペプチド0427L2Q(配列番号:18)を吸着したウェルへの結合を検出するELISAでの吸光度が、抗0427L2Q(48−5)では0.585であったのに対し、陰性対照であるラットsham IgGの吸光度は0.063であったことから、該ペプチドに結合するMAbが産生されていることが明らかとなった。
実施例11:正常マウスにおけるPA103菌株全身感染に対するPA0427組換えタンパク質免疫ラット血清の感染防御能
正常マウス全身感染モデルでの評価は、4週齡のCD−1雄性マウス(日本チャールズリバー社より購入)に5%ムチン含有生理食塩水500μlに懸濁したPA103菌株の7.0x10cfu/マウス(14LD50)を腹腔内に接種し、直後に生理食塩水で5倍希釈した血清サンプルを10ml/kgで尾静脈より投与し、7日後の生死で感染防御活性を判定した。
その結果、陰性対照であるアジュバントのみを投与して得たラットsham血清投与群では、7匹中5匹のマウスが死亡し生存は2匹だったが、実施例5で得られたホルマリン不活化PA103菌株免疫血清投与群では全例生存し、感染防御活性が認められた。この条件下で、実施例5で得られたPA0427組換えタンパク質免疫ラット血清投与群は7匹中6匹生存し感染防御活性が認められた。
実施例12:好中球減少マウスにおけるPA103菌株全身感染に対するPA0427組換えタンパク質免疫ラット血清および精製IgG画分の感染防御能
好中球減少マウス全身感染モデルでの評価は、cyclophosphamide(以下、CYとする。Sigma-Aldrich社製)の12.5mg/mL(生理食塩水)を調製し、4週齡のCD−1雄性マウスに125mg/kgの投与量でday−5、−2、0に合計3回腹腔内投与して末梢血中の好中球を減少させた。その後、生理食塩水250μlに懸濁したPA103菌株の1.0x10cfu/マウス(74LD50)を腹腔内に接種し、直後にサンプル(血清および精製IgG画分は、生理食塩水でそれぞれ5倍希釈および2.5mg/mLとした。)を10あるいは20mL/kgで尾静脈より投与し、7日後の生死で感染防御活性を判定した。
その結果、ラット血清をサンプルとした場合、陰性対照であるアジュバントのみを投与して得たラットsham血清投与群では、全例死亡したが、実施例5で得られたホルマリン不活化PA103菌株免疫血清投与群では全例生存し、感染防御活性が認められた。この条件下で、実施例5で得られたPA0427組換えタンパク質免疫ラット血清投与群は7匹中5匹生存し、感染防御活性が認められた。
また、精製IgG画分をサンプルとした場合(0.5mg/mouse)、陰性対照であるラットsham IgG投与群は7匹中6匹のマウスが死亡し生存は1匹のみだったが、ホルマリン不活化PA103菌株免疫血清より得られた抗PA103 IgG投与群では7匹中5匹生存し、感染防御活性が認められた。この条件下で、実施例6で得られた抗0427L1 IgG投与群は、7匹中5匹生存し、感染防御活性が認められた。また、実施例6で得られた抗0427L2Q IgG投与群は、7匹中4匹生存し、感染防御活性が認められた。さらに、実施例10で得られたラットMAbである抗0427L2Q(48−5) IgG投与群は、7匹中4匹生存し、感染防御活性が認められた。
実施例13:好中球減少マウスにおける多剤耐性緑膿菌全身感染に対する精製IgG画分の感染防御能
多剤耐性緑膿菌MSC06120菌株に対する各種抗菌剤の最小発育阻止濃度は、イミペネム:32μg/ml、アミカシン:64μg/ml、シプロフロキサシン:>256μg/mlであった。本菌株を用いた好中球減少マウス全身感染モデルでの評価は、CYの12.5mg/mL(生理食塩水)を調製し、4週齡のCD−1雄性マウスに125mg/kgの投与量でday−5、−2、0に合計3回腹腔内投与して末梢血中の好中球を減少させ、その後、生理食塩水250μlに懸濁したMSC06120菌株の0.925x10cfu/マウス(8.3LD50)を腹腔内に接種し、直後に精製IgGサンプルを20mL/kg(0.5mg/mouse)で尾静脈より投与し、7日後の生死で感染防御活性を判定した。
その結果、陰性対照であるラットsham IgG投与群は7匹中4匹のマウスが死亡し生存は3匹だったが、ホルマリン不活化PA103菌株免疫血清より得られた抗PA103 IgG投与群では7匹中6匹生存し、感染防御活性が認められた。この条件下で、実施例6で得られた抗0427L2Q IgG投与群は、7匹中5匹生存し、感染防御活性が認められた。

Claims (20)

  1. 緑膿菌由来のPA0427タンパク質に対する抗体を産生することができるタンパク質抗原またはペプチド抗原を含んでなる抗原組成物。
  2. 以下の(i)、(ii)、(iii)、および(iv)から選択されるタンパク質:
    (i)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
    (ii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;
    (iii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされ、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;および
    (iv)配列番号:4で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質。
  3. 配列番号:5で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチド。
  4. 配列番号:6で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:6で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチド。
  5. 請求項2に記載のタンパク質または請求項3もしくは4に記載のペプチドを含んでなる、抗原組成物。
  6. 請求項1または5に記載の抗原組成物と、場合によっては1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、および/またはアジュバントとを含んでなる、緑膿菌に関連する疾患の予防または治療に用いられるワクチン組成物。
  7. 緑膿菌由来のPA0427タンパク質またはその一部に対する抗体またはその機能的断片。
  8. 緑膿菌由来のPA0427タンパク質の一部が、緑膿菌由来のPA0427タンパク質の細胞表面表出部分である、請求項7に記載の抗体またはその機能的断片。
  9. 緑膿菌由来のPA0427タンパク質の細胞表面表出部分が、以下の(i)、(ii)、(iii)、および(iv)から選択されるタンパク質である、請求項8に記載の抗体またはその機能的断片:
    (i)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
    (ii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;
    (iii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされ、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質;および
    (iv)配列番号:4で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなり、かつ配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質。
  10. 緑膿菌由来のPA0427タンパク質の細胞表面表出部分が、配列番号:5で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドである、請求項8に記載の抗体またはその機能的断片。
  11. 緑膿菌由来のPA0427タンパク質の細胞表面表出部分が、配列番号:6で表されるアミノ酸配列、または1若しくは数個の保存的置換を有する配列番号:6で表されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドである、請求項8に記載の抗体またはその機能的断片。
  12. FERM BP−10782の受託番号のもと寄託されたハイブリドーマにより産生される、請求項11に記載の抗体またはその機能的断片。
  13. 抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片。
  14. FERM BP−10782の受託番号のもと寄託されたハイブリドーマ。
  15. 請求項14に記載のハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体と同じ抗原と交差反応するモノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項7に記載の抗体またはその機能的断片。
  16. 請求項7〜13、および15のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片と、場合によっては1種以上の薬学的に許容される担体、および/または希釈剤とを含んでなる、緑膿菌に関連する疾患の予防または治療に用いられる医薬組成物。
  17. 緑膿菌に関連する疾患が、緑膿菌感染に起因する全身感染疾患である請求項6に記載のワクチン組成物または請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 緑膿菌感染が、多剤耐性緑膿菌感染である、請求項17に記載のワクチン組成物または医薬組成物。
  19. 請求項7〜13、および15のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片を含んでなる、緑膿菌感染症診断剤。
  20. 請求項7〜13、および15のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片を含んでなる、緑膿菌の検出キット。
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