JPWO2007108273A1 - サーモスタット装置 - Google Patents

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Abstract

高温冷却液ポート33から流入する高温冷却液の温度を主に感知し、この感知した温度に基づいて高温冷却液ポート33側へ駆動可能な温度感知可動部39と、温度感知可動部39に一体的に取り付けられ、温度感知可動部39の高温冷却液ポート33側への駆動に応じて低温冷却液ポート31と混合室32とを開放可能に構成することにより、低温冷却液ポート31から混合室32への低温冷却液の流入量を制御するメインバルブ36と、高温冷却液ポート33に連絡され、高温冷却液ポート33からの高温冷却液を温度感知可動部39の周囲へと整流した後、これを混合室32へ流出させる高温冷却液整流部42とを備える。

Description

本発明は、主に自動車のエンジンを冷却する冷却液温度の自動制御を行うサーモスタット装置に関する。
従来のサーモスタット装置20は、図10に示すように、ラジエターなどの冷却部で冷却された低温冷却液Aを混合室19に流入させる低温冷却液ポート2、この低温冷却液ポート2に略対抗する側に設けられた、エンジン(被冷却部)で加熱された高温冷却液Bを混合室19に流入させる高温冷却液ポート3、低温冷却液ポート2と高温冷却液ポート3から流入し混合形成された冷却液Cをエンジンに送出する冷却液送出しポート4とからなるハウジング本体16を備えている。また、このサーモスタット装置20は、ハウジングカバー1に設けられたピストンシャフト支持部6に支持されるように高温冷却液ポート3に向け設けられたピストンシャフト7と、このピストンシャフト7に取り付けられた混合室19の液温に対応して可動する熱膨張材エレメントである温度感知可動部8と、ピストンシャフト7に支持案内されて温度感知可動部8と一体的に可動して低温冷却液ポート2からの低温冷却液Aの混合室19への流入量を制御するメインバルブ9と、ハウジングカバー1によりメインバルブ9から離れた部位に支持された取り付け枠10と、メインバルブ9と取り付け枠10の間に押し付勢状態で設けられ、メインバルブ9を低温冷却液ポート2に付勢押し付けするメインスプリング11と、温度感知可動部8から高温冷却液ポート3に向かう方向で設けられたバイパスシャフト12と、このバイパスシャフト12に設けられた、温度感知可動部8と高温冷却ポートを閉止するまで一体的に可動して高温冷却液ポート3からの高温冷却液Bの混合室19への流入量を制御するバイパスバルブ13と、このバイパスバルブ13と温度感知可動部8との間に押し付勢状態で取り付けられ、バイパスバルブ13を高温冷却液ポート3に付勢押し付けするバイパススプリング14とを備えている。
温度感知可動部8の周囲の液温上昇時においては、カップ15の中に密封された熱膨張材が、温度感知可動部8の周囲の液温に応じて体積増大し、ピストンシャフト7を押し出し動作し、ピストンシャフト7は可動できないように固定されているのでピストンシャフト7を押して温度感知可動部8が移動する。このときに、温度感知可動部8に固定されたメインバルブ9をメインスプリング11の荷重に逆らって開移動させ、低温冷却液Aの流入量を増大させ、且つ、バイパスバルブ13を閉め移動させて高温冷却液Bの流入量を減少させる。
また、温度感知可動部8の周囲の液温の降下の際には、温度感知可動部8の周囲の液温に応じて、熱膨張材の体積収縮が起こり、メインスプリング11の付勢力によってピストンシャフト7を押し戻し、メインバルブ9がそれに伴って閉め移動し、ラジエターからの低温冷却液Aの流入量を減少させ、且つ、高温冷却液Bの流入量を増大させる。
このような動作により、従来のサーモスタット装置20は、高温冷却液Bとラジエターからの低温冷却液Aの混合液である冷却液Cの液温を主に感知し一定温度に保つように制御し、該冷却液Cをエンジンに供給する。
同様な構成および動作をするサーモスタット装置として、特許文献1〜4の開示技術が提案されている。
実開平2−5672号公報 実開平6−37524号公報 特開平10−19160号公報 特公昭47−16584号公報
上述した従来技術は次に述べるような欠点があった。
(1)混合室19において、高温冷却液ポート3および堰18が温度感知可動部8から離れた構成であるので、混合部(温度感知可動部8周囲)に高温冷却液Bが届き難い。したがって低温冷却液Aと高温冷却液Bとが温度感知可動部8の部位で効率よく混合できず、温度感知可動部8が冷却液Cの温度を感知し難くなる。その結果、エンジンを冷却する冷却液Cの液温が不安定となり、且つ、エンジン負荷変動等に伴う温度制御幅が大きくなるという欠点を有する。
さらに、この混合室19に、車室ヒーター用の回路から戻ってくる冷却液が流入する場合、ますます混合を高効率に行うことができず、上記欠点は増幅する。
またさらに、高温冷却液Bを感温する性能が悪いために冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点も有する。
このため、冷却液温には上限があるために通常の制御液温をあらかじめ比較的低温に抑えておかなければならず、エンジンの燃焼効率の低下、及びエンジンのフリクションロス、熱的損失の増大により燃費の悪化などを招く。
また、冷却液Cのエンジン負荷変動に伴う温度制御幅が大きくなるということは、図11に示すような従来技術品の特性となり、エンジンの熱的膨張収縮が大きくなる。また、それが頻繁に起こることになれば、エンジンのストレスの増大による低寿命化、温度降下時と温度差によるエンジン性能の低下等を招く。
(2)従来では、高温冷却液Bを遮断して全ての高温冷却液Bをラジエターに通す際に、バイパススプリング14によってバイパスバルブ13を高温冷却液ポート3に押し付けていた。しかしながら、このバイパススプリング14の荷重は、温度感知可動部8に対する負荷となる。温度感知可動部8への負荷が大きいと、必然的に温度感知可動部8の寿命が短くなる。また、熱膨張材にかかる圧力が高くなるために熱膨張材の融点が上昇し、メインバルブ9の開度を大きくとるには、より高い冷却液温が必要となる。即ち、冷却液Cの温度が上昇し、更なるメインバルブ9の開度が必要な際に、図12に示す従来技術の特性のように、メインバルブ9の開度を稼ぐことができないという欠点を有するものであった。
(3)高温冷却液ポート3の閉止時において、急激に高温冷却液ポート3を遮断してしまうため、閉止直後に温度ハンチングが生じ冷却液Cの温度が安定しないという欠点を有するものであった。
(4)従来技術におけるバイパスバルブ13は、フラットな円板の面で、高温冷却液ポート3全面に当たり閉じる構造である。そして、メインバルブ9閉弁時のバイパスバルブ13と高温冷却液ポート3の距離は、a:メインバルブ9閉弁時における高温冷却液ポート3の流路面積の確保、b:バイパスバルブ13閉弁後、更に冷却液C温が上昇して、温度感知可動部8が更に移動した際にバイパススプリング14の線間が密着しないこと、c:バイパスバルブ13と温度感知可動部8が接触しないこと、という因子で決められていた。
即ち、メインバルブ9閉弁時にバイパスバルブ13と高温冷却液ポート3の距離を大きくとる必要があった。
このため、高温冷却液Bを出来るだけ温度感知可動部8方向に導くために堰18のような複雑な構造が必要となった。
本発明は以上のような従来技術の欠点に鑑み、主に自動車のエンジンの冷却液温を従来より高温に保つことを実現し、冷却液温を高精度に制御することが出来るサーモスタット装置を提供することを目的としている。結果、エンジンの燃焼効率の向上及び、エンジンのフリクションロスの低減、熱的損失の低減に寄与し、エンジンの低燃費化に寄与するサーモスタット装置を提供することを目的としている。
また本発明の他の目的は、主に自動車のエンジンの冷却液温を高精度に制御することができ、且つ、安定した動作と長寿命化を実現するサーモスタット装置を提供することを目的としている。
本発明を適用したサーモスタット装置は、上述した課題を解決するために、冷却部において冷却された低温冷却液を混合室に流入させる低温冷却液ポートと、被冷却部において加熱された高温冷却液を混合室に流入させる高温冷却液ポートと、前記混合室において前記低温冷却液及び前記高温冷却液を混合することにより生成した冷却液を前記被冷却部へと送出するサーモスタット装置において、前記低温冷却液ポート側に設けられたピストンシャフト支持部に固定され、他端が前記高温冷却液ポート側へ延長されているピストンシャフトと、前記ピストンシャフトの他端に設けられ、前記高温冷却液ポートから流入する高温冷却液の温度を主に感知し、この感知した温度に基づいて前記高温冷却液ポート側へ駆動可能な温度感知可動部と、前記温度感知可動部に一体的に取り付けられ、前記温度感知可動部の前記高温冷却液ポート側への駆動に応じて前記低温冷却液ポートと前記混合室とを開放可能に構成することにより、前記低温冷却液ポートから前記混合室への前記低温冷却液の流入量を制御するメインバルブと、前記高温冷却液ポートに連絡され、該高温冷却液ポートからの前記高温冷却液を前記温度感知可動部の周囲へと整流した後、これを前記混合室へ流出させる高温冷却液整流部とを備えることを特徴とする。
以上の構成からなる本発明は、以下の効果を奏する。
(1)高温冷却液ポートに連絡されて、該高温冷却液ポートからの高温冷却液をその温度や流速を大きく損なうことなく確実に温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させ伝熱させるようにする。前記温度感知可動部の全部または一部を覆い該温度感知可動部に近接する部位にその開口部位を位置させてなる高温冷却液整流部が設けられ、開口部位より手前では高温冷却液整流部の内側で温度感知可動部との隙間部分が高温冷却液の循環通路を形成し、開口部位の先では温度感知可動部の周囲を高温冷却液が取り巻き支配する状態になっている。以上により前記温度感知可動部が配置される域を高温冷却液が支配する領域とする高温冷却液整流構造を形成するので次に述べるような効果を奏する。
本発明では、殆ど高温冷却液の温度のみによって温度感知可動部の可動を制御することができる。高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率を十分に高め該高温冷却液の温度の影響を受けて該温度感知可動部の可動状態を制御できる状態を実現することができる。
混合室に、車室ヒーター用の回路から戻ってくる冷却液が流入する場合でも、高温冷却液整流部と該高温冷却液整流部を通過した高温冷却液が車室ヒーター用の回路からの冷却液をガードして、高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率を維持することができる。
ここで「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」とは、下記の式で示される係数aで定義されるものである。
(温度感知可動部の感温温度)=a×(高温冷却液温)+b×(低温冷却液温)
冷却液の熱を利用した車室ヒーターを流れる回路からの冷却液が混合室に戻される場合でも、基本的には、上記式と同様である。
したがって、本発明によるサーモスタット装置は、従来技術による混合液である冷却液Cの液温を主に感知し一定温度に保つように制御し該冷却液Cをエンジン等の被冷却部に供給するサーモスタット装置から、十分にエンジン等被冷却部出口の冷却液(高温冷却液B)の液温を主に感知し(該高温冷却液Bの液温を)一定温度に保つように液温制御された冷却液Cをエンジン等の被冷却部に供給するサーモスタット装置への転換である。
またこの転換は、冷却系における装着位置関係を変更することなく実現するので、広く普及している従来技術により構築された冷却系設計を大きく見直す必要なく実現可能である。
一般に冷却系において冷却液の最高温度には限度があり、それを超えないように冷却液温が設定され制御されなければならない。ところで、自動車などに搭載される冷却系において、冷却液がもっとも高温になる部分がエンジン等被冷却部出口の冷却液である。従来技術では、さまざまな運転状況でエンジン等被冷却部出口の冷却液の温度(高温冷却液温)が許容限度を超えないように予めエンジン等の被冷却部に供給する冷却液の温度を低く制御して供給する。しかし、本発明によれば、上記説明の効果により、エンジン等被冷却部出口液温を直接感知し制御するので、許容限度いっぱいの冷却液温設定が可能である。必要に応じて被冷却部に供給する冷却液温を上げ下げしながらも、エンジン等被冷却部出口の冷却液温を高温側の許容限度付近で安定に保つので、被冷却部内部の平均水温を従来技術に比べて高く設定することができる。
このことは、エンジンの燃焼効率の向上及び、エンジンのフリクションロスの低減、熱的損失の低減等、に寄与し、結果としてエンジンの低燃費化を実現する。また、車室ヒーターの能力向上等にも寄与出来る。
上記説明の効果により、安定して高温冷却液の温度を感知するので、エンジンを冷却する冷却液の液温が不安定となるという問題を克服し、高温冷却液温を中心とした冷却液温の安定した制御を実現することができる。これにより、エンジンの冷却液温変動による熱的膨張収縮を抑えることができ、エンジンへのストレスの軽減を実現する。
これらの効果は、具体的には図11に示すような、本発明によって得られる自動車走行中の冷却液温特性により得ることが出来るものである。
図11に示すデータは、同一の自動車に従来技術を搭載した場合と本発明技術を搭載した場合で、その他の条件は同一にして、また同一走行モードで試験したときのエンジン出口液温(高温冷却液温)の推移を記録したものである。
例示的に説明すると、図11に示すような挙動を呈するある自動車においては、冷却系におけるエンジン出口の冷却液温はT℃(例えば97℃)が最も高能率、低燃費でエンジンが動作する冷却液温度理想値である。すなわち97℃一定のエンジン出口冷却液温でエンジンが動作することが理想的である。
従来技術ではエンジン出口の冷却液温度がTmax℃(例えば100℃)〜T℃(例えば88℃)の温度差で、主にエンジンの負荷状態に同調して、次いでハウジング内部の冷却液流通状態の変動に伴い主に低温冷却液と高温冷却液との混合状態が不安定で変動し温度感知可動部が感温する該温度感知可動部周辺液温が不安定であること、等のために大きく変動する。
本願発明よると、エンジン出口の冷却液温がTmax℃(例えば100℃)〜T℃(例えば95℃)の温度差で安定的に推移する。
エンジン等被冷却部出口の冷却液温は、該被冷却部の冷却必要度合いを示す指標と考えられ、上記説明の効果のごとく、エンジン等被冷却部出口液温を直接感知し、制御することは、必要冷却量へのサーモスタット装置の対応応答性を向上させる。従来技術が高温冷却液を感温する性能が悪いために冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点を克服するものである。
また、冷却系の回路中の高温冷却液の流通量を少なくする場合でも、高温冷却液の温度への感度が高いので本発明の機能を十分発揮することが出来る。
高温冷却液整流部と温度感知可動部の位置関係に注目すれば、前記高温冷却液整流構造は、高温冷却液の温度が上昇する局面ではピストンシャフトが伸び動作をするので温度感知可動部は高温冷却液整流部の内部に進入し「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」を上昇させ、高温冷却液の温度が下降する局面ではピストンシャフトが押戻され動作をするので温度感知可動部は高温冷却液整流部の内部から外側に移動し「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」を下降させる。以上によって温度感知可動部の高温冷却液温に対する応答性がメカニカルに向上する。
上記説明の効果により、従来技術の欠点(4)で述べた堰18のような複雑な構造をとる必要がない。
従来のサーモスタットのメインバルブ9は、メインスプリング11の端末位置によって規定される方向に傾きながら開弁し始めるという特徴を持っているために、冷却系内における特性は、メインスプリングの端末位置によって異なったものである。それに対し、本発明のサーモスタット装置の冷却系内における特性は、高温冷却液整流部がメインバルブから流入する低温冷却液の温度感知可動部への作用を十分にガードするのでメインスプリングの端末位置によって殆ど左右されない。また、請求項3に記載の発明においては、メインバルブの傾き自体を抑制することが出来る。
高温冷却液整流部を設けることにより、「高温冷却液の通路を絞る」機能を追加することが可能になり、従来技術のバイパスバルブ13を高温冷却液ポート3に押し付けるバイパススプリング14を不要とし、メインバルブを低温冷却液ポート側に押し付勢する付勢手段1つにすることを可能とする効果を奏する。
また、高温冷却液整流部を設けることにより、この1つの付勢手段は高温冷却液整流部の外側または温度感知可動部の感温部と前記ピストンシャフトの中間部分に配置された付勢手段受け部により支持され、メインバルブを低温冷却液ポート側に押し付勢する。このため、高温冷却液整流部と温度感知可動部の感温部との間の領域には付勢手段が存在しない状態を作り出すことが可能となる。
これにより、高温冷却液整流構造による機能を効果的に発揮することができる。
「付勢手段1つにすること」は、温度感知可動部内部へピストンシャフトが押し込まれる形で負荷される荷重を1つの付勢手段のみの付勢力に軽減させるという効果を奏する。
図12は、この付勢力軽減の動作効果を、従来技術品と本願発明技術品の「冷却液温度とメインバルブの開度」の特性比較で示している。
すなわち、従来技術はバイパスバルブによって高温冷却液ポートを閉止後、メインスプリングとバイパススプリングの二重付勢力であることから、温度感知可動部の内部の熱膨張材にかかる圧力が高くなるために熱膨張材の融点が上昇し、メインバルブの開度を大きくとるには、より高い冷却液温が必要となるため、図のように変態点のある冷却液温に対するメインバルブの開度の変化となる。これに対して本願発明は一つの付勢力によるので、メインバルブの冷却液温に対する開度の変化は、図のようにスムーズで、より精度の高い冷却液温度の制御を実現するものである。また、相対的に低い冷却液温でメインバルブの開度を大きくとることができ、冷却液温が高くなったときにラジエターの冷却能力を十分に引き出すことができ、冷却液温のオーバーシュートを防ぐことができる。
また、付勢力の軽減は、温度感知可動部への荷重負荷の軽減による長寿命化を実現する。
また、温度感知可動部への荷重負荷を小さくすることができたことにより、より小型の温度感知可動部(サーモエレメント)を使用することが可能となる。温度感知可動部を小型化すると、応答性(液温変化に対する追従性)が良くなるため、より安定した冷却液の温度制御が可能となり、小型化によるコスト低減もできる。
また、請求項3に記載の発明においては、ピストンシャフト、温度感知可動部および温度感知可動部延長軸からなる同軸構造体をピストンシャフト支持部と、該ピストンシャフト支持部から離れた可動案内支持部との二点支持構造としたことと、温度感知可動部の感温部の側面をガイドするのではなく温度感知可動部延長軸を可動案内支持部でガイドする構造としたので、温度感知可動部延長軸と可動案内支持部のクリアランスを小さく設定できることにより、エンジンの振動や冷却液の脈動、走行振動による温度感知可動部の振れ幅を小さくできるという効果を奏する。
これにより、温度感知可動部、メインバルブの動きがスムーズな動きとなり、且つ、ストレスを軽減してサーモスタット装置の長寿命化を実現する。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、自動車のエンジンの冷却温度を制御する際に適用可能なサーモスタット装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)は、本発明を適用したサーモスタット装置3の全体構成を示している。このサーモスタット装置3は、ラジエター52で冷却された低温冷却液Aと、エンジン(被冷却部)51からバイパス53を介して供給される高温冷却液Bとが流入され、これらの混合比率を制御することで、エンジン51へ流入させる冷却液Cの温度を制御するいわゆる入口制御方式の範疇に入るものである。
即ち、この制御系においては、エンジン51を通過した高温冷却液Bがバイパス53を介してそのまま送られてくる高温冷却液ポート33と、エンジン51を通過した高温冷却液Bの一部がラジエター52において冷却されて低温冷却液Aとされ、この低温冷却液Aがラジエター52から供給される低温冷却液ポート31と、この低温冷却液ポート31から低温冷却液Aが流入されるとともに、高温冷却液ポート33から高温冷却液Bが流入される混合室32とを備え、この混合室32において低温冷却液A及び高温冷却液Bは互いに混合されて冷却液Cが生成される。この生成された冷却液Cは、冷却液送出ポート30を介してエンジン51へと供給されることになる。
サーモスタット装置3が特徴的なのは、殆ど高温冷却液の温度のみによって温度感知可動部の可動状態を制御できる状態を実現することができるので、エンジン(被冷却部)51から流出される高温冷却液Bの水温を一定にするべく動作することである。
なお、このバイパス53からラジエター(冷却部)52に至る途中において車室ヒータ101が設けられている。
この制御を実行する上で、サーモスタット装置3は、さらにハウジング本体48と、このハウジング本体48に対して取り付けられたハウジングカバー47によりその筐体を形成することになる。ハウジング本体48は、内部に高温冷却液ポート33と、混合室32と、冷却液送出ポート30に対応した形状が成型されてなる。またハウジングカバー47は、低温冷却液ポート31に対応した形状が成型されてなる。なお、このハウジング本体48と、ハウジングカバー47はそれぞれアルミ(ダイカスト)やプラスチック等からなる。
また、このサーモスタット装置3は、低温冷却液ポート31側に設けられたピストンシャフト支持部35と、このピストンシャフト支持部35に固定され、他端が高温冷却液ポート33側へ延長されているピストンシャフト34と、ピストンシャフト34の端部に設けられた温度感知可動部39と、温度感知可動部39に対して一体的に取り付けられたメインバルブ36と、このメインバルブ36を低温冷却液ポート31側に押し付勢するスプリング等で構成される付勢部材41と、高温冷却液ポート33から混合室32へ向けて突出されてなり、当該高温冷却液ポート33から混合室へ向けて開口46を介して連結された筒形の高温冷却液整流部42と、高温冷却液ポート33内に形成された支持案内部44とを備えている。
温度感知可動部39は、カップと、このカップ内に密封された熱膨張材と、ピストンシャフト34と熱膨張材との間に設けられる図示しないスリーブと、キャップやシール等により構成されている。この温度感知可動部39を構成する熱膨張材は、高温冷却液Bの温度を感知し、これに応じて体積が増減することにより、ピストンシャフト34に対して上下に駆動させることができる。なお、ここでいう上下における上方とは、低温冷却液ポート31側に相当し、下方とは、高温冷却液ポート33側に相当する。以下の説明においても同様とする。
高温冷却液整流部42は、高温冷却液ポート33から低温冷却液ポート31に向けて上方に突出された形状とされている。この高温冷却液整流部42の材質は、例えば樹脂製であるが、これに限定されるものではない。高温冷却液整流部42の上端は、図1(a)に示すように、温度感知可動部39の下端よりも上方に位置する。その結果、温度感知可動部39の下端は、この筒形としての高温冷却液整流部42内に入り込む形となる。
なお、この高温冷却液整流部42の内径は、温度感知可動部39の外径よりも広めに設定されている。その結果、この高温冷却液整流部42を構成する筒内に、温度感知可動部39の先端を挿入する際には、この高温冷却液整流部42の内壁と、温度感知可動部39の外壁とが互いに空間的に余裕を持った状態で挿入される、いわゆる遊挿可能な状態とされることになる。
ちなみに、この高温冷却液整流部42の外周には、上述した付勢部材41が嵌合されることになる。また、この高温冷却液整流部42には、補助金具59が更に埋め込まれてなり、この補助金具59の一端は、ハウジングカバー47の下端にビス固定されている。ハウジング本体48がエンジンブロックの場合、ハウジングカバー47に固定された形が望まれる場合が多いことから、図1に示すような補助金具59の形態が望ましい。ちなみに、この補助金具59の構成は、省略されていてもよい。
温度感知可動部39の下端からは、高温冷却液ポート33にかけて延長軸43が延長されている。また、高温冷却液ポート33内においては、延長軸43を支持案内するための支持案内部44が形成されている。この支持案内部44は、この延長軸43を挿通し、これを支持するための孔が形成されている。この支持案内部44は、その周囲が高温冷却液ポート33の内壁に取り付け固定されている。また、この支持案内部44は、図示しない孔が上下面にかけて貫通されており、この図示しない孔を介して高温冷却液ポート33から高温冷却液Bが混合室32へと流入されることになる。このような支持案内部44により、温度感知可動部39の下端から延長されてきた延長軸を支持することにより、温度感知可動部39の上下方向の駆動を安定した状態で実行させることが可能となる。
次に、上述の如き構成からなるサーモスタット装置3の動作について説明をする。エンジン51により熱せられた高温の高温冷却液Bが高温冷却液ポート33へと供給されてきた場合に、当該高温冷却液Bは支持案内部44を介して高温冷却液整流部42へと送られる。この高温冷却液整流部42は、送られてきた高温冷却液Bを温度感知可動部39の周囲へ整流させる。即ち、この筒形で構成されている高温冷却液ポート33の内壁に沿って高温冷却液Bを導くことができる。その結果、この高温冷却液Bは、図1中の矢印の方向に沿って整流されることになる。ちなみに、この高温冷却液整流部42内には、温度感知可動部39が予め遊挿された状態で静止していることから、この温度感知可動部39と、高温冷却液整流部42との間に所定の隙間が予め形成されていることになる。高温冷却液Bは、この温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間に形成された隙間を通って混合室32へと流出していくことになる。これにより、高温冷却液Bの温度感知可動部39周囲への整流を実現することが可能となる。また、これに伴って温度感知可動部39は、高温冷却液Bの温度を高効率に感知することができる。なお、この温度感知可動部39には、高温冷却液B以外の液体も接触する可能性はあるが、本発明では、この温度感知可動部39に対して主に高温冷却液Bを中心に接触させることができ、当該高温冷却液Bの液温に応じてこの温度感知可動部39を可動させることが可能となる。
また開口46から混合室32へと流出した高温冷却液Bも、最初は温度感知可動部39の周囲を取り巻くようにして流れることになるため、結果として温度感知可動部39周囲に整流されることになる。
なお、温度感知可動部39は、かかる高温冷却液Bを受けて、当該温度感知可動部39を構成する熱膨張材の体積が増大し、これに伴ってピストンシャフト34を押そうとする力が作用する。しかし、このピストンシャフト34の上端は、上述したようにピストンシャフト支持部35に固定されていることから、このピストンシャフト34を押そうとする力が作用した場合には、その反作用の力が温度感知可動部39自身に働き、当該温度感知可動部39自身が図1(b)に示すように高温冷却液ポート33側へ移動することになる。この温度感知可動部39に対して一体的に取り付けられているメインバルブ36も同様に、この温度感知可動部39の駆動に伴って高温冷却液ポート33側へ移動することになる。
ちなみに、このメインバルブ36は、付勢部材41により低温冷却液ポート31側に押し付勢されているため、温度感知可動部39が駆動しない場合には、低温冷却液ポート31と混合室32とが互いに遮蔽された状態となっている。これに対して、高温の高温冷却液Bが供給された場合には、温度感知可動部39が高温冷却液ポート33側へ駆動し、これに伴ってメインバルブ36は、付勢部材41の荷重に逆らって開駆動される。その結果、低温冷却液ポート31から混合室32への低温冷却液Aの流入量を増大させることが可能となる。即ち、上述の如く動作するこのサーモスタット装置3においては、低温冷却液ポート31から混合室32への低温冷却液Aの流入量を高温冷却液Bの温度に応じて制御することが可能となる。また、このサーモスタット装置3においては、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエター52からの低温冷却液Aとの混合比を制御し、冷却液送出ポート30を介してエンジン51に対して供給すべき冷却液Cの温度を制御することが可能となる。
なお車室ヒータ101からの戻りの冷却液が混合室32中に供給される場合もあるが、高温冷却液Bの整流作用を発揮可能な本発明においては、かかる車室ヒータ101からの戻りの冷却液温の影響を受けることなく、高温冷却液Bの温度を主に受けて制御を実行することが可能となる。
本発明においては、温度感知可動部39の外周において高温冷却液整流部42との間隙の形状に対応した突起部40が形成されていてもよい。高温の高温冷却液Bが供給された場合には、図1(b)に示すように温度感知可動部39が高温冷却液ポート33側へ駆動し、また、これに伴って突起部40も同様に高温冷却ポート33側へとシフトしていくことになる。その結果、温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間に形成された隙間を突起部40により狭めることが可能となり、高温冷却液Bの混合室32への流路を狭くすることが可能となる。その結果、高温冷却液ポート33から混合室32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、この突起部40を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエター52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエター52へまわし、冷却能力を最大に引き出すことができ、さらにこれをよりシンプルな構造で実現可能としている。
なお、この突起部40により、温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間に形成された隙間を完全に閉塞することにより高温冷却液Bの流出量を0にするようにしてもよい。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図2(a)に示すように、高温冷却液整流部42における内壁において、内側に縮径された縮径部61を形成するようにしてもよい。これにより、高温冷却液ポート33からの高温冷却液Bの混合室32への流入量を抑制制御しながらも温度感知可動部39周辺の高温冷却液の流通クリアランスを狭めることで該高温冷却液の流速を大きく損なわなくすることができる。これにより、高温冷却液整流部42内の高温冷却液Bの流通量が抑制された状態でも高温冷却液整流構造による機能をより確実に維持できる。
また、縮径部61は、テーパー形態、凹湾曲形態、凸湾曲形態など様々な形態を形成することができるので、温度感知可動部39の進入により、高温冷却液Bの流路を絞る際に高温冷却液Bの流入が適度に徐々に絞られるようにチューニングすることができる。これにより、急激に高温冷却液Bの通路を絞る場合、或いは高温冷却液ポート33と、混合室32とを完全に遮蔽してしまう場合に、従来技術と比較して、冷却液の温度ハンチングが生じることなく、安定した冷却液温制御を実現することができる。
なお、この図2以降において、上述した図1と同様の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。この縮径部61を高温冷却液整流部42内において形成させることにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図2(b)に示すように、当該温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間隙に形成される流路を狭く構成することが可能となり、いわゆる絞り自在に構成することが可能となる。その結果、高温冷却液ポート33から混合室32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となり、より多くの高温冷却液Bをラジエター52へまわし冷却能力を最大に引き出すことができる。また、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエター52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図3(a)に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図3(a)に示す形態では、図1(a)の形態において高温冷却液ポート33内に形成した支持案内部44並びに温度感知可動部39の下端から延長されている延長軸43の構成が省略されている。またこれらの代替として、温度感知可動部39の側面を支持案内可能な可動案内支持部62を備えている。
可動案内支持部62は、鋼材を折曲げ加工、プレス加工等することにより構成されてなり、温度感知可動部39の側面を接触可能に配置することにより、これを支持可能な構成としている。ちなみに、この可動案内支持部62は、上述した補助金具59と一体化されるものであってもよいし、また互いに離間されているものであってもよい。また、この可動案内支持部62には、図示しない孔が多数設けられている。高温冷却液Bは、この可動案内支持部62における図示しない孔を通過していくことになる。この構成においても同様に、高温冷却液ポート33からの高温冷却液Bを温度感知可動部39の周囲へと整流することが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、高温冷却液整流部42における内壁において、内側に縮径された縮径部63を形成するようにしてもよい。この縮径部63を高温冷却液整流部42内において形成させることにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図3(b)に示すように、当該温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間隙に形成される流路を狭く構成することが可能となり、いわゆる絞り自在に構成することが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図4(a)に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図4(a)に示す形態では、図1(a)の形態において高温冷却液ポート33内に形成した支持案内部44並びに温度感知可動部39の下端から延長されている延長軸43の構成が省略されている。またこれらの代替として、温度感知可動部39の側面を支持案内可能な可動案内支持部62を備えている。なお、上述した補助金具59と同様の補助金具65が形成されていてもよい。この補助金具65は省略して可動案内支持部62だけにしてもよい。
この図4の形態においては、可動案内支持部62より高温冷却液ポート33側において整流部を形成するものである。可動案内支持部62は、図示しない孔が多数設けられており、高温冷却液Bは、この可動案内支持部62における図示しない孔を通過するが、逆に混合室32からはこの可動案内支持部62における図示しない孔を通過して上記整流部へと液体が流入しない構成となっている。このため、可動案内支持部62より高温冷却液ポート33側において形成される整流部には、高温冷却液Bのみが流通する状態とされている。この高温冷却液Bにより満たされている可動案内支持部62より高温冷却液ポート33側には、温度感知可動部39が突出されていることから、結果として、この温度感知可動部39の周囲に高温冷却液Bを整流させることができ、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
また、本発明を適用したサーモスタット装置3は、高温冷却液整流部42における内壁において、内側に縮径された縮径部63を形成するようにしてもよい。この縮径部63を高温冷却液整流部42内において形成させることにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図4(b)に示すように、当該温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間隙に形成される流路を狭く構成することが可能となり、いわゆる絞り自在に構成することが可能となる。
さらに、この図4に示す形態においては、ハウジング本体48における高温冷却液ポートと連絡する冷却液通路を利用したシンプルな構造とすることができる。また、ハウジング本体がエンジンブロックに成型される場合には特に、装置全体をよりコンパクトな構成とすることが可能となる。
なお、本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図5(a)に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図5(a)に示す形態では、図1(a)の形態において高温冷却液ポート33内に形成した支持案内部44並びに温度感知可動部39の下端から延長されている延長軸43の構成が省略されている。またこれらの代替として、温度感知可動部39と、メインバルブ36とを連結する前記温度感知可動部と一体的なメインバルブ連結部位66をさらに備えている。また、メインバルブ連結部位66を支持案内するための支持案内部67も更に備えている。ちなみに、このメインバルブ連結部位66は、鞘状で構成されていてもよい。
このメインバルブ連結部位66は、温度感知可動部39に一体的に取り付けられていると共に、メインバルブ36にも一体的に取り付けられている。このため、温度感知可動部39が高温冷却液整流部42に向けて駆動されると、このメインバルブ連結部位66も同様に当該方向へ向けて駆動され、さらにこれに伴ってメインバルブ36も駆動することになる。このような構成からなるメインバルブ連結部位66を支持案内部67により支持案内することにより、特に温度感知可動部39とメインバルブ36の上下駆動を安定した状態で実行することが可能となる。
また、この図5(a)に示す形態においては、メインバルブ連結部位66を長めに設定し、その先端において温度感知可動部39を設けている。そして、高温冷却液整流部42の上端の高さを押し下げられている。その結果、高温冷却液ポート33の出口付近にこの温度感知可動部39を位置させることが可能となり、高温冷却液ポート33から排出される高温冷却液Bをこの温度感知可動部39の周囲に整流させることができる。なお、この高温冷却液整流部42の上端の高さは、冷却系内部における本サーモスタット装置に対するニーズに応じて適正にチューニング出来る。
また、本発明を適用したサーモスタット装置3は、高温冷却液整流部42における内壁において、内側に縮径された縮径部63を形成するようにしてもよい。この縮径部63を高温冷却液整流部42内において形成させることにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図5(b)に示すように、当該温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間隙に形成される流路を狭く構成することが可能となり、いわゆる絞り自在に構成することが可能となる。
特に、この図5に示す形態では、高温冷却液ポートの高温冷却液の流路を殆どそのまま高温冷却液整流部とする、よりシンプルな高温冷却液整流構造とすることができ、温度感知可動部39の全面に対し、高温冷却液ポート33から整流部32を通じてなんらの障害物もなく高温冷却液Bを作用(伝熱)させることができ、整流効果をより効果的に発揮できる。また、ハウジング本体がエンジンブロックに成型される場合には特に、装置全体をよりコンパクトな構成とすることが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図6(a)に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図6(a)に示す形態では、図1(a)の形態において高温冷却液ポート33内に形成した支持案内部44並びに温度感知可動部39の下端から延長されている延長軸43の構成が省略されている。またこれらの代替として、ピストンシャフト34をピストンシャフト支持部35により強固に固定している。その結果、左右にぶれることなく、温度感知可動部39を安定した状態で上下駆動させることが可能となる。
また、本発明を適用したサーモスタット装置3は、高温冷却液整流部42における内壁において、内側に縮径された縮径部63を形成するようにしてもよい。この縮径部63を高温冷却液整流部42内において形成させることにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図6(b)に示すように、当該温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間隙に形成される流路を狭く構成することが可能となり、いわゆる絞り自在に構成することが可能となる。
なお、図4、5、6では、エンジンブロック等に形成される高温冷却液Bの通路を整流部と兼用させることができることから、製作に伴う加工費、材料費を低減させることが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図7(a)に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図7(a)に示す形態では、図1(a)の形態において高温冷却液ポート33内に形成した支持案内部44並びに温度感知可動部39の下端から延長されている延長軸43の構成が省略されている。またこれらの代替として、温度感知可動部39の周囲には、案内部材68を形成している。
高温冷却液整流部42は、筒形で構成され、開口部内に案内部材68を嵌挿させることにより案内自在としている。即ち、この案内部材68が、これが嵌挿される高温冷却液整流部42により案内されることにより、この温度感知可動部39を上下方向へ安定した状態で駆動させることが可能となる。
なお、図7に示す形態は、案内部材68を筒形の高温冷却液整流部42の内側に嵌挿させる場合の図であるが、案内部材68が、高温冷却液整流部42の外壁側により案内されても良い。
また、この案内部材68は、高温冷却液ポート33から供給されてきた高温冷却液Bを温度感知可動部39の周囲へ整流し、さらに混合室32へ向けて流出可能な整流路69が形成されている。この整流路69を流れる高温冷却液は、案内部材の周壁に設けた孔102を通って混合室へ流出される。
温度感知可動部39が駆動したときに、孔102と高温冷却液整流部42との位置関係によって、高温冷却液Bの 混合室への流出路を絞る構造にするようにしてもよい。その結果、高温冷却液ポート33から混合室32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、この案内部材68を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエター52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエター52へ回すことができ、冷却能力を最大に引き出すことが可能となる。
なお、この案内部材68の長さを高温冷却液ポート33側へさらに延長した構成としておくことにより、整流部としての主たる機能を案内部材68が担うようにしてもよい。このとき、案内部材68内にある整流路69を流れる高温冷却液の流量を絞るような構成を設けることも容易に実現可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、例えば図8に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図8に示す形態では、図1(a)の形態に加えて、更にメインバルブ36側から延長されてきているディフレクター70を備えている。ディフレクター70は、温度感知可動部39の外周から離間した位置から、これを取り囲むようにして配設されている。図8では、ディフレクター70は、メインスプリングの外側に配置されているが、それに限らず、メインスプリングの内側にこのディフレクター70を備えることも可能である。このディフレクター70を備えることにより、筒形で構成されている高温冷却液整流部42の内壁に沿って導かれた高温冷却液Bは、ディフレクター70によりその流れを温度感知可動部39の周囲に整流させることが可能となる。また、このディフレクター70の存在により、低温冷却液Aを温度感知可動部39に不用意に接触させないようにガードすることが可能となる。
また、温度感知可動部39が駆動したときに、ディフレクター70の下端部分と高温冷却液整流部42の上端部分との位置関係によって、高温冷却液Bの混合室への流出路を絞る構造にするようにしてもよい。その結果、高温冷却液ポート33から混合室32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、このディフレクター70を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエター52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエター52へ回すことができ、冷却能力を最大に引き出すことが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置3は、上述の如き制御を実行する上で適用される場合に限定されるものではなく、出口制御を実行する上で適用されるものであってもよい。
図9(a)は、出口制御を実行する上で適用されるサーモスタット装置3の全体構成を示している。このサーモスタット装置3は、エンジン51において加熱された高温冷却液を内部へと流入させるための被冷却部連結ポート72と、エンジン51へ再び冷却液を送り返すバイパスポート73と、冷却部へ冷却液を送り出す冷却部連結ポート71とを備えている。なお、この図9(a)に示すサーモスタット装置3においても、上述した図1と同様の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
この図9(a)に示すサーモスタット装置3は、さらに延長軸43に取り付けられているバイパスバルブ74を備えている。このバイパスバルブ74を形成させておくことにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図9(b)に示すように、バイパスポート73への流路をこのバイパスバルブ74により閉塞させることが可能となる。これにより、流量を制御することが可能となる。
なお、高温冷却液整流部42は、温度感知可動部39の駆動状態の如何に関わらず、高温冷却整流部42が被冷却部連結ポート72に対して露出された状態となる程度まで高さ調整された筒形で構成されている。このため、被冷却部連結ポート72から供給されてくる高温冷却水が直接的にこの温度感知可動部39に整流されることになり、主として、かかる高温冷却水の温度に基づいて温度感知可動部39が上下に駆動自在とすることが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置の全体構成を示す図である。 高温冷却液整流部における内壁において、内側に縮径された縮径部を形成させた例を示す図である。 温度感知可動部の側面を支持案内可能な可動案内支持部を備えた構成を示す図である。 可動案内支持部より下側において整流部を形成する例を示す図である。 本発明を適用したサーモスタット装置の他の構成例を示す図である。 ピストンシャフトをピストンシャフト支持部により強固に固定させた例を示す図である。 温度感知可動部の周囲に案内部材を形成した例を示す図である。 メインバルブ側から延長されてきているディフレクターを備える例を示す図である。 出口制御を実行する上で適用されるサーモスタット装置の全体構成を示す図である。 従来のサーモスタット装置の構成例を示す図である。 各負荷運転モードに対するエンジン出口温度の関係を示す図である。 冷却水温度に対するメインバルブの開度の関係を示す図である。
符号の説明
3 サーモスタット装置
31 低温冷却液ポート
32 混合室
33 高温冷却液ポート
34 ピストンシャフト
35 ピストンシャフト支持部
36 メインバルブ
39 温度感知可動部
41 付勢部材
42 高温冷却液整流部
44 支持案内部
46 開口
48 ハウジング本体
47 ハウジングカバー
51 エンジン
52 ラジエター
53 バイパス
本発明は、主に自動車のエンジンを冷却する冷却液温度の自動制御を行うサーモスタット装置に関する。
従来のサーモスタット装置20は、図に示すように、ラジエタなどで冷却された低温冷却液Aをハウジング本体内部19に流入させるラジエタ連結ポート2、このラジエタ連結ポート2に略対抗する側に設けられた、エンジンで加熱された高温冷却液Bをハウジング本体内部19に流入させるバイパスポート3、ラジエタ連結ポート2とバイパスポート3から流入し混合形成された冷却液Cをエンジンに送出するエンジン連結ポート4とからなるハウジング本体16を備えている。
また、このサーモスタット装置20は、ハウジング本体内部19の液温に対応して可動する熱膨張体エレメントである温度感知可動部8と、この温度感知可動部8に一端を収納され熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフト7と、このピストンシャフト7の他端を支持するようにラジエタ連結ポート2側に設けられたピストンシャフト支持部6と、温度感知可動部8と一体的に可動してラジエタ連結ポート2からの低温冷却液Aのハウジング本体内部19への流入量を制御するメインバルブ9と、ハウジングカバー1により支持されたフレーム10と、メインバルブ9とフレーム10の間に押し付勢状態で設けられ、メインバルブ9をラジエタ連結ポート2に付勢押し付けするメインスプリング11と、温度感知可動部8からバイパスポート3に向かう方向で設けられたバイパスシャフト12と、このバイパスシャフト12に設けられたバイパスポート3からの高温冷却液Bのハウジング本体内部19への流入量を制御するバイパスバルブ13と、このバイパスバルブ13と温度感知可動部8との間に押し付勢状態で取り付けられ、バイパスバルブ13をバイパスポート3に付勢押し付けするバイパススプリング14とを備えている。
温度感知可動部8の周囲の液温上昇時においては、カップ15の中に密封された熱膨張が、熱膨張しピストンシャフト7を押し出し動作し、これにより、温度感知可動部8とともにメインバルブ9をメインスプリング11の荷重に逆らって開移動させ、低温冷却液Aの流入量を増大させ、且つ、バイパスバルブ13を閉め移動させて高温冷却液Bの流入量を減少させる。
また、温度感知可動部8の周囲の液温の降下の際には、熱膨張の収縮が起こり、メインスプリング11の付勢力によってピストンシャフト7を押し戻し、メインバルブ9がそれに伴って閉め移動し、ラジエタからの低温冷却液Aの流入量を減少させ、且つ、高温冷却液Bの流入量を増大させる。
このような動作により、従来のサーモスタット装置20は、高温冷却液Bとラジエタからの低温冷却液Aの混合液である冷却液Cの液温を主に感知して制御し、該冷却液Cをエンジンに供給する。
同様な構成および動作をするサーモスタット装置として、特許文献1〜の開示技術が提案されている。
実開平2−5672号公報 実開平6−37524号公報 特開平10−19160号公報 特公昭47−16584号公報 実開昭61−175534号公報
尚、特許文献5には、上記のようないわゆるボトムバイパス式のサーモスタットにおいて、バイパスからの冷却液が温度感知可動部の周囲に導かれるように冷却水誘導筒を取り付けてなる構造が開示されている。
上述した従来のサーモスタット装置は次に述べるような欠点があった。
(1)ハウジング本体内部19において、バイパスポート3およびディフレクター18が温度感知可動部8から離れた構成である上、高温冷却液の流れを温度感知可動部8の手前でバイパスバルブ13が遮る構成であるので、温度感知可動部8に高温冷却液Bが届き難い。したがって低温冷却液Aと高温冷却液Bとが温度感知可動部8の部位で効率よく混合できず、温度感知可動部8が冷却液Cの温度を感知し難くなる。その結果、エンジンを冷却する冷却液Cの液温が不安定となり、且つ、エンジン負荷変動等に伴う温度制御幅が大きくなるという欠点を有する。
さらに、このハウジング本体内部19に、車室ヒーター用の回路から戻ってくる冷却液が流入する場合、ますます混合を高効率に行うことができず、上記欠点は増幅する。
またさらに、高温冷却液Bを感温する性能が悪いために冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点も有する。
このため、冷却液温には上限があるために通常の制御液温をあらかじめ比較的低温に抑えておかなければならず、エンジンの燃焼効率の低下、及びエンジンのフリクションロス、熱的損失の増大により燃費の悪化などを招く。
また、冷却液Cのエンジン負荷変動に伴う温度制御幅が大きくなるということは、図に示すような従来のサーモスタット装置の特性となり、エンジンの熱的膨張収縮が大きくなる。また、それが頻繁に起こることになれば、エンジンのストレスの増大による低寿命化、温度降下時と温度差によるエンジン性能の低下等を招く。
(2)従来では、高温冷却液Bを遮断して全ての高温冷却液Bをラジエタに通す際に、バイパススプリング14によってバイパスバルブ13をバイパスポート3に押し付けていた。しかしながら、このバイパススプリング14の荷重は、温度感知可動部8に対する負荷となる。温度感知可動部8への負荷が大きいと、必然的に温度感知可動部8の寿命が短くなる。また、熱膨張にかかる圧力が高くなるために熱膨張の融点が上昇し、メインバルブ9の開度を大きくとるには、より高い冷却液温が必要となる。即ち、冷却液Cの温度が上昇し、更なるメインバルブ9の開度が必要な際に、図に示す従来のサーモスタット装置の特性のように、メインバルブ9の開度を稼ぐことができないという欠点を有するものであった。
(3)バイパスポート3の閉止時において、急激にバイパスポート3を遮断してしまうため、閉止直後に温度ハンチングが生じ冷却液Cの温度が安定しないという欠点を有するものであった。
(4)従来のサーモスタット装置におけるバイパスバルブ13は、フラットな円板の面で、バイパスポート3全面に当たり閉じる構造である。そして、メインバルブ9閉弁時のバイパスバルブ13とバイパスポート3の距離は、
a:メインバルブ9閉弁時におけるバイパスポート3の高温冷却液の流路面積の確保
b:バイパスバルブ13閉弁後、更に冷却液Cの温度が上昇して、温度感知可動部8が更に移動した際にバイパススプリング14の線間が密着しないこと、
c:バイパスバルブ13と温度感知可動部8が接触しないこと、という因子で決められていた。
即ち、メインバルブ9閉弁時にバイパスバルブ13とバイパスポート3の距離を大きくとる必要があった。
このため、高温冷却液Bを出来るだけ温度感知可動部8方向に導くためにディフレクター18のような複雑な構造が必要となった。
尚、特許文献5に開示される「冷却水誘導筒」をもってしても、比較的小径であるバイパスポートに備えられた高温冷却液Bの流入路から該流入路より大径の「冷却水誘導筒」内部に吐出されるので、流入する高温冷却液Bは温度感知可動部に接触する前に拡散しその温度と流速を損なうことになる。
さらに、「冷却水誘導筒」に流入した高温冷却液Bはバイパスバルブにより温度感知可動部の手前で遮られますます拡散されてしまって、周囲に乱れ流れる低温冷却液Aや冷却液C(混合液)と少なからず混ざり合ってしまい元々の温度を損なってしまう。
高温冷却液Bが温度感知可動部の周囲に到達するまでに元々の温度を損なうと、上記の通りであるが、温度感知可動部は高温冷却液Bの温度を感温する性能を損ない、冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点を招く。また「元々の温度を損なう」損ない方がエンジンの運転状態に連動された冷却液ポンプの回転数により安定的ではないために、液温制御の安定性を欠く。
温度感知可動部の表面における冷却液の流速が早い場合に、冷却液の温度が素早く温度感知可動部に伝達される。「冷却水誘導筒」に流入した高温冷却液Bは温度感知可動部の周囲に到達するまでに元々の流速を損なってしまうので、その分、温度感知可動部は応答よく高温冷却液Bの温度を感温する性能を損ない、冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点を招く。また、エンジンの運転状態の変動に伴う冷却液の温度変化への対応応答性を損ない、液温制御の安定性を欠く。
上記のごとく、「冷却水誘導筒」をもってしても、高温冷却液Bが温度感知可動部の周囲に到達するまでに温度と流速を損なってしまうために、冷却液の急激な温度変化に対する温度感知可動部の感温応答性を十分に向上させることが出来ず、冷却液温の高精度な制御をすることが出来ない。
本発明は以上のような従来のサーモスタット装置の欠点に鑑み、冷却液温を高精度に制御することが出来るサーモスタット装置を提供することを目的としている。結果、エンジンの燃焼効率の向上及び、エンジンのフリクションロスの低減、熱的損失の低減に寄与し、エンジンの低燃費化に寄与するサーモスタット装置を提供することを目的としている。
本発明を適用したサーモスタット装置は、上述した課題を解決するために、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる管路が、温度感知可動部の全部又は一部を覆うまで延長されて、該管路に流れる前記高温冷却液を、その温度や流速を損なわず直接に前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、前記温度感知可動部の外径に相応した内径を有した高温冷却液管路を形成する構造を特徴とする。
以上の構成からなる本発明は、以下の効果を奏する。
高温冷却液管路の構造を有しているので、温度感知可動部が配置される域を高温冷却液が支配する状態を形成するので次に述べるような効果を奏する。
本発明では、殆ど高温冷却液の温度のみによって温度感知可動部の可動を制御することができる。高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率を十分に高め該高温冷却液の温度の影響を受けて該温度感知可動部の可動状態を制御できる状態を実現することができる。
ハウジング本体内部(高温冷却液管路の吐出開口部から高温冷却液が吐出した先のスペース、以下同様)に、車室ヒーター用の回路から戻ってくる冷却液が流入する場合でも、高温冷却液管路と該高温冷却液管路を通過した高温冷却液が車室ヒーター用の回路からの冷却液をガードして、高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率を維持することができる。
ここで「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」とは、下記の式で示される係数aで定義されるものである。
(温度感知可動部の感温温度)=a×(高温冷却液温)+b×(低温冷却液温)
冷却液の熱を利用した車室ヒーターを流れる回路からの冷却液がハウジング本体内部に戻される場合でも、基本的には、上記式と同様である。
したがって、従来のサーモスタットは、混合液である冷却液Cの液温を主に感知する装置であるが、本発明のサーモスタットは、十分にエンジン出口の冷却液(高温冷却液B)の液温を主に感知し該高温冷却液Bの液温を一定温度に保つように冷却液Cをエンジンに供給する装置への転換である。
またこの転換は、冷却系におけるサーモスタット装置の装着位置関係を変更することなく実現するので、広く普及している従来のサーモスタット装置を採用して構築された冷却系設計を大きく見直す必要なく実現可能である。
一般に冷却系において冷却液の最高温度には限度があり、それを超えないように冷却液温が設定され制御されなければならない。ところで、自動車などに搭載される冷却系において、冷却液がもっとも高温になる部分がエンジン出口の冷却液である。従来のサーモスタット装置では、さまざまな運転状況でエンジン出口の冷却液の温度(高温冷却液温)が許容限度を超えないように予めエンジンに供給する冷却液の温度を低く制御して供給する。しかし、本発明によれば、上記説明の効果により、エンジン出口液温を直接感知し制御するので、許容限度いっぱいの冷却液温設定が可能である。必要に応じてエンジンに供給する冷却液温を上げ下げしながらも、エンジン出口の冷却液温を高温側の許容限度付近で安定に保つので、エンジン内部の平均水温を従来技術に比べて高く設定することができる。
このことは、エンジンの燃焼効率の向上及び、エンジンのフリクションロスの低減、熱的損失の低減等、に寄与し、結果としてエンジンの低燃費化を実現する。また、車室ヒーターの能力向上等にも寄与出来る。
上記説明の効果により、安定して高温冷却液の温度を感知するので、エンジンを冷却する冷却液の液温が不安定となるという問題を克服し、高温冷却液温を中心とした冷却液温の安定した制御を実現することができる。これにより、エンジンの冷却液温変動による熱的膨張収縮を抑えることができ、エンジンへのストレスの軽減を実現する。
これらの効果は、具体的には図8に示すような、本発明によって得られる自動車走行中の冷却液温特性により得ることが出来るものである。
に示すデータは、同一の自動車に図7で説明した従来のサーモスタット装置を搭載した場合と本発明のサーモスタット装置を搭載した場合で、その他の条件は同一にして、また同一走行モードで試験したときのエンジン出口液温(高温冷却液温)の推移を記録したものである。
例示的に説明すると、図に示すような挙動を呈するある自動車においては、冷却系におけるエンジン出口の冷却液温はT℃(例えば97℃)が最も高能率、低燃費でエンジンが動作する冷却液温度理想値である。すなわち97℃一定のエンジン出口冷却液温でエンジンが動作することが理想的である。
従来のサーモスタット装置ではエンジン出口の冷却液温度がTmax℃(例えば100℃)〜T℃(例えば88℃)の温度差で、主にエンジンの負荷状態に同調して、次いでハウジング本体内部の冷却液流通状態の変動に伴い主に低温冷却液と高温冷却液との混合状態が不安定で変動し温度感知可動部が感温する該温度感知可動部周辺液温が不安定であること、等のために大きく変動する。
本発明のサーモスタット装置によると、エンジン出口の冷却液温がTmax℃(例えば100℃)〜T℃(例えば95℃)の温度差で安定的に推移する。
エンジン出口の冷却液温(高温冷却液温)は、該エンジンの冷却必要度合いを示す指標と考えられ、上記説明の効果のごとく、エンジン出口液温を直接感知することは、サーモスタット装置がエンジンの必要冷却量を直接認識することであり、混合液の温度を主に感知するために従来のサーモスタット装置には困難であった対応応答性の向上を実現させる。
また、高温冷却液管路と温度感知可動部の位置関係に注目すれば、高温冷却液の温度が上昇する局面ではピストンシャフトが伸び動作をするので温度感知可動部は高温冷却液管路の内部に進入し「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」を上昇させ、エンジン出口液温が要求する冷却能力引出し方向への動作(メインバルブの開動作)の応答を早め、高温冷却液の温度が下降する局面ではピストンシャフトが押戻され動作をするので温度感知可動部は高温冷却液管路の内部から外側に移動し「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」を下降させ、エンジン出口液温が要求する冷却能力抑制方向への動作(メインバルブの閉動作)の応答を早める。以上によって温度感知可動部の高温冷却液温に対する応答性がメカニカルに向上する。
また、バイパス回路の高温冷却液の流通量を少なくする場合でも、高温冷却液の温度への感度が高いので本発明の機能を十分発揮することが出来る。
上記説明の効果により、従来のサーモスタット装置の欠点(4)で述べたディフレクター18のような複雑な構造をとる必要がない。
従来のサーモスタット装置のメインバルブ9は、メインスプリング11の端末位置によって規定される方向に傾きながら開弁し始めるという特徴を持っているために、冷却系内における特性は、メインスプリングの端末位置によって異なったものである。それに対し、本発明のサーモスタット装置の冷却系内における特性は、高温冷却液管路がメインバルブから流入する低温冷却液の温度感知可動部への作用を十分にガードするのでメインスプリングの端末位置によって殆ど左右されない。また、請求項に記載の発明においては、メインバルブの傾き自体を抑制することが出来る。
高温冷却液管路を設けることにより、「高温冷却液の通路を絞る」機能を追加することが可能になり、従来のサーモスタット装置のバイパスバルブ13をバイパスポート3に押し付けるバイパススプリング14を不要とし、メインバルブを低温冷却液ポート側に押し付勢する付勢手段1つにすることを可能とする効果を奏する。
また、この1つの付勢手段は高温冷却液管路の外側に配置すると、高温冷却液管路と温度感知可動部の感温部との間の領域には付勢手段が存在しない状態を作り出すことが可能となる。
さらに、「付勢手段1つにすること」は、温度感知可動部内部へピストンシャフトが押し込まれる形で負荷される荷重を1つの付勢手段のみの付勢力に軽減させるという効果を奏する。
は、この付勢力軽減の動作効果を、従来のサーモスタット装置と本願発明のサーモスタット装置の「冷却液温度とメインバルブの開度」の特性比較で示している。
すなわち、従来のサーモスタット装置はバイパスバルブによってバイパスポートを閉止後、メインスプリングとバイパススプリングの二重付勢力であることから、温度感知可動部の内部の熱膨張にかかる圧力が高くなるために熱膨張の融点が上昇し、メインバルブの開度を大きくとるには、より高い冷却液温が必要となるため、変態点のある冷却液温に対するメインバルブの開度の変化となる。これに対して本発明のサーモスタット装置は一つの付勢力によるので、メインバルブの冷却液温に対する開度の変化は、スムーズで、より精度の高い冷却液温度の制御を実現するものである。また、相対的に低い冷却液温でメインバルブの開度を大きくとることができ、冷却液温が高くなったときにラジエタの冷却能力を十分に引き出すことができ、冷却液温のオーバーシュートを防ぐことができる。
また、付勢力の軽減は、温度感知可動部への荷重負荷の軽減による長寿命化を実現する。
また、温度感知可動部への荷重負荷を小さくすることができたことにより、より小型の温度感知可動部を使用することが可能となる。温度感知可動部を小型化すると、応答性(液温変化に対する追従性)が良くなるため、より安定した冷却液の温度制御が可能となり、小型化によるコスト低減もできる。
また、請求項2に記載の発明においては、ピストンシャフト、温度感知可動部および延長軸からなる同軸構造体をピストンシャフト支持部と、該ピストンシャフト支持部から離れた支持案内部との二点支持構造としたことと、温度感知可動部の感温部の側面をガイドするのではなく延長軸を支持案内部でガイドする構造としたので、延長軸と支持案内部のクリアランスを小さく設定できることにより、エンジンの振動や冷却液の脈動、走行振動による温度感知可動部の振れ幅を小さくできるという効果を奏する。
これにより、温度感知可動部、メインバルブの動きがスムーズな動きとなり、且つ、ストレスを軽減してサーモスタット装置の長寿命化を実現する。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、自動車のエンジンの冷却温度を制御する際に適用可能なサーモスタット装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態としてのサーモスタット装置300の構成を示している。
このサーモスタット装置300は、ラジエタ52で冷却された低温冷却液Aと、エンジン51からバイパス53を介して供給される高温冷却液Bとが流入され、これらの混合比率を制御することで、エンジン51へ流入させる冷却液Cの温度を制御するいわゆる入口制御方式の範疇に入るものである。
即ち、この制御系においては、エンジン51を通過した高温冷却液Bがバイパス53を介してそのまま送られてくるバイパスポート33と、エンジン51を通過した高温冷却液Bの一部がラジエタ52において冷却されて低温冷却液Aとされ、この低温冷却液Aがラジエタ52から供給されるラジエタ連結ポート31とを備え、ハウジング本体内部32において低温冷却液A及び高温冷却液Bは互いに混合されて冷却液Cが生成される。この生成された冷却液Cは、エンジン連結ポート30を介してエンジン51へと供給されることになる。
サーモスタット装置300が特徴的なのは、殆ど高温冷却液の温度のみによって温度感知可動部の可動状態を制御できる状態を実現することができるので、エンジン51から流出される高温冷却液Bの水温を一定にするべく動作することである。
なお、このバイパス53からラジエタ52に至る途中において車室ヒータ101が設けられている。
この制御を実行する上で、サーモスタット装置300は、さらにハウジング本体48と、このハウジング本体48に対して取り付けられたハウジングカバー47によりその筐体を形成することになる。ハウジング本体48は、内部にバイパスポート33と、エンジン連結ポート30に対応した形状が成型されてなる。またハウジングカバー47は、ラジエタ連結ポート31に対応した形状が成型されてなる。なお、このハウジング本体48と、ハウジングカバー47はそれぞれアルミ(ダイカスト)やプラスチック等からなる。
また、このサーモスタット装置300は、温度感知可動部39と、温度感知可動部39に一端を収納されたピストンシャフト34と、ラジエタ連結ポート31側に設けられ、ピストンシャフト34の他端を支持するピストンシャフト支持部35と、温度感知可動部39に対して一体的に取り付けられたメインバルブ36と、このメインバルブ36をラジエタ連結ポート31側に押し付勢するスプリング41と、バイパスポート33からハウジング本体内部32へ向けて突出されてなり、当該バイパスポート33からハウジング本体内部32へ向けて吐出開口46を介して連結された高温冷却液管路42と、
を備え、さらに、温度感知可動部39からバイパスポート33側に延長されている延長軸43と、これを支持案内するため高温冷却液管路42内に形成された支持案内部44とを備えている。
高温冷却液管路42の材質は、例えば樹脂製であるが、これに限定されるものではない。高温冷却液管路42の上端は、図1に示すように、温度感知可動部39の下端よりも上方に位置する。その結果、温度感知可動部39の下端は、高温冷却液管路42内に入り込む形となる。なお、ここでいう上下における上方とは、ラジエタポート31側に相当し、下方とは、バイパスポート33側に相当する。以下の説明においても同様とする。
なお、この高温冷却液管路42の内径は、温度感知可動部39の外径よりも広めに設定されている。その結果、この高温冷却液管路42を構成する内に、温度感知可動部39の先端を挿入する際には、この高温冷却液管路42の内壁と、温度感知可動部39の外壁とが互いに空間的に余裕を持った状態で挿入される、いわゆる遊挿可能な状態とされている。
ちなみに、この高温冷却液管路42の外周には、上したスプリング41が嵌合されることになる。この高温冷却液管路42には、フレーム59が更に埋め込まれてなり、このフレーム59の一端は、ハウジングカバー47固定されている。ちなみに、このフレーム59の構成は、省略されていてもよい。
支持案内部44は、その周囲が高温冷却液管路42の内壁に形成されている。また、この支持案内部44は、図示しない孔が上下面にかけて貫通されており、高温冷却液Bはこの図示しない孔を介してバイパスポート33から吐出開口部46に向けて流れ、ハウジング本体内部32へと流されることになる。
次に、上述の如き構成からなるサーモスタット装置300の動作について説明をする。エンジン51により熱せられた高温の高温冷却液Bがバイパスポート33へと供給されてきた場合に、当該高温冷却液Bは高温冷却液管路42へと送られる。この高温冷却液管路42は、送られてきた高温冷却液Bを直接に温度感知可動部39の周囲に接触させることができる。この高温冷却液管路42内には、温度感知可動部39が予め遊挿された状態で静止していて、この温度感知可動部39と、高温冷却液管路42との間に所定の隙間が予め形成されている。高温冷却液Bは、この温度感知可動部39と高温冷却液管路42との間に形成された隙間を通ってハウジング本体内部32へと流出していくことになる。これにより、高温冷却液Bを温度や流速を損なうことなく直接に温度感知可動部39周囲(底面・側面)に接触させ伝熱させるようにすることが可能となる。
また、これに伴って温度感知可動部39は、高温冷却液Bの温度を高効率に感知することができ、当該高温冷却液Bの液温に応じてこの温度感知可動部39を可動させることが可能となる。
また吐出開口46からハウジング本体内部32へと流出した高温冷却液Bも、最初は温度感知可動部39の周囲を取り巻くようにして流れる。これにより温度感知可動部39が配置される領域を高温冷却液が支配する状態を形成することができる。
メインバルブ36は、スプリング41によりラジエタ連結ポート31側に押し付勢されているため、温度感知可動部39が駆動しない場合には、ラジエタ連結ポート31とハウジング本体内部32とが互いに遮蔽された状態となっている。これに対して、所定温度以上の高温冷却液Bが高温冷却液管路42内に供給された場合には、温度感知可動部39がバイパスポート33側へ駆動し、これに伴ってメインバルブ36は、スプリング41の荷重に逆らって開駆動され、ラジエタ連結ポート31からハウジング本体内部32への低温冷却液Aの流入量を増大させることが可能となる。その結果、このサーモスタット装置300においては、ラジエタ連結ポート31からハウジング本体内部32への低温冷却液Aの流入量を高温冷却液Bの温度に応じて制御することが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、図2に示す第2実施形態のように、温度感知可動部39が高温冷却液管路42内部の支持案内部62に挿入案内される構成にされていても良い。なお、この図2以降において、上述した図1と同様の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
支持案内部62は、鋼材を折曲げ加工、プレス加工等することにより構成されてなり、温度感知可動部39の側面を挿入可能に配置することにより、これを支持案内可能な構成としている。ちなみに、この支持案内部62は、上述した補助金具59と一体化されるものであってもよいし、また互いに離間されているものであってもよい。また、この支持案内部62には、図示しない孔が多数設けられている。高温冷却液Bは、この図示しない孔を通過していくことになる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、図3に示す第3実施形態に適用されるようにしてもよい。
この図3に示す形態では、高温冷却液管路42がハウジング本体48の高温冷却液の流入路と支持案内部62との組み合わせにより形成され、吐出開口部46が支持案内部62に形成されるとともに、温度感知可動部39が支持案内部62に支持案内されている。
支持案内部62には、図示しない複数の孔=吐出開口部46が設けられており、バイパスポート33から供給された高温冷却液Bは、直接に温度感知可動部39の周囲(底面・側面)に接触、伝熱した後この吐出開口部46を介してハウジング本体内部32へと流出されることになる。これにより、高温冷却液管路の機能を維持しながら簡単コンパクトな構成を実現することができる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、例えば図1に示すように、温度感知可動部39の外周において高温冷却液管路42との間隙の形状に対応した突起部40が形成されていてもよい。高温の高温冷却液Bが供給された場合には、図1(b)に示すように温度感知可動部39がバイパスポート33側へ駆動し、また、これに伴って突起部40も同様にバイパスポート33側へとシフトしていくことになる。その結果、温度感知可動部39と高温冷却液管路42との間に形成された隙間を突起部40により狭めることが可能となり、高温冷却液Bのハウジング本体内部32への流路を狭くすることが可能となる。その結果、バイパスポート33からハウジング本体内部32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、この突起部40を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエタ52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエタ52へまわし、冷却能力を最大に引き出すことができ、さらにこれをシンプルな構造で実現可能としている。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、例えば図に示すように、高温冷却液管路42における内壁において、内側に縮径された縮径部61を形成するようにしてもよい。これにより、温度感知可動部39の駆動に応じて温度感知可動部39と高温冷却液管路42との間隙が絞り自在に構成される。
その結果、高温冷却液ポート33からハウジング本体内部32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となり、より多くの高温冷却液Bをラジエタ52へまわし冷却能力を最大に引き出すことができる。また、この縮径部61によってもエンジン51からの高温冷却液Bとラジエタ52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。
さらにまた、バイパスポート33からの高温冷却液Bのハウジング本体内部32への流入量を抑制制御しながらも温度感知可動部39周辺の高温冷却液Bの流通クリアランスを狭めることで該高温冷却液Bの流速を大きく損なわなくすることができる。これにより、高温冷却液管路42内の高温冷却液Bの流通量が抑制された状態でも温度感知可動部39が配置される領域を高温冷却液Bが支配する状態をより確実に維持できる。
また、縮径部61は、テーパー形態、凹湾曲形態、凸湾曲形態など様々な形態を形成することができるので、温度感知可動部39の進入により、高温冷却液Bの流路を絞る際に高温冷却液Bの流入が適度に徐々に絞られるようにチューニングすることができる。これにより、急激に高温冷却液Bの通路を絞る場合、或いはバイパスポート33と、ハウジング本体内部32とを完全に遮蔽してしまう場合に、従来のサーモスタット装置と比較して、冷却液の温度ハンチングが生じることなく、安定した冷却液温制御を実現することができる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、例えば図に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図に示す形態では、更にメインバルブ36側から延長されてきているディフレクター70を備えている。ディフレクター70は、温度感知可動部39の外周から離間した位置から、これを取り囲むようにして配設されている。図では、ディフレクター70は、スプリング41の外側に配置されているが、それに限らず、スプリング41の内側にこのディフレクター70を備えることも可能である。このディフレクター70を備えることにより、高温冷却液管路42の内壁に沿って導かれた高温冷却液Bは、ディフレクター70によりその流れをより確実に温度感知可動部39の周囲に接触させることが可能となる。また、このディフレクター70の存在により、低温冷却液Aを温度感知可動部39に不用意に接触させないようにガードすることが可能となる。
また、温度感知可動部39が駆動したときに、ディフレクター70の下端部分と高温冷却液管路42の上端部分との位置関係によって、高温冷却液Bのハウジング本体内部への流出を絞る構造にするようにしてもよい。その結果、バイパスポート33からハウジング本体内部32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、このディフレクター70を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエタ52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエタ52へ回すことができ、冷却能力を最大に引き出すことが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置400は、上の如き制御を実行する上で適用される場合に限定されるものではなく、出口制御を実行する上で適用されるものであってもよい。
は、出口制御を実行する上で適用されるサーモスタット装置400の構成を示している。このサーモスタット装置400は、エンジン51において加熱された高温冷却液を内部へと流入させるためのエンジン連結ポート72と、エンジン51へ再び冷却液を送り返すバイパスポート73と、ラジエタへ冷却液を送り出すラジエタ連結ポート71とを備えている。なお、この図に示すサーモスタット装置400においても、上述した図1と同様の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
この図に示すサーモスタット装置400は、さらに延長軸43に取り付けられているバイパスバルブ74を備えている。このバイパスバルブ74を形成させておくことにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図(b)に示すように、バイパスポート73への流路をこのバイパスバルブ74により閉塞させることが可能となる。これにより、流量を制御することが可能となる。
なお、高温冷却液管路42は、温度感知可動部39の駆動状態の如何に関わらず、温度感知可動部39エンジン連結ポート72から流入する高温冷却液に対して露出された状態となる程度まで高さ調整された筒形で構成されている。このため、エンジン連結ポート72から供給されてくる高温冷却が直接的にこの温度感知可動部39に接触し伝熱することになり、主として、かかる高温冷却の温度に基づいて温度感知可動部39が上下に駆動自在とすることが可能となる。
本発明の第1の実施形態と突起部が設けられた例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示す図である。 本発明の第3の実施形態を示す図である。 本発明の縮径部の実施例を示す図である。 本発明のディフレクターの実施例を示す図である。 本発明の出口制御の実施形態を示す図である。 従来のサーモスタット装置の構成例を示す図である。 各負荷運転モードに対するエンジン出口温度の関係を示す図である。 冷却液温度に対するメインバルブの開度の関係を示す図である。
符号の説明
30 エンジン連結ポート
31 ラジエタ連結ポート
32 ハウジング本体内部
33 バイパスポート
34 ピストンシャフト
35 ピストンシャフト支持部
36 メインバルブ
39 温度感知可動部
41 スプリング
42 高温冷却液管路
44 支持案内部
46 吐出開口
47 ハウジングカバー
48 ハウジング本体
51 エンジン
52 ラジエタ
53 バイパス
59 フレーム
62 支持案内部
300 サーモスタット装置
400 サーモスタット装置
本発明は、主に自動車のエンジンを冷却する冷却液温度の自動制御を行うサーモスタット装置に関する。
従来のサーモスタット装置20は、図7に示すように、ラジエタなどで冷却された低温冷却液Aをハウジング本体内部19に流入させるラジエタ連結ポート2、このラジエタ連結ポート2に略対抗する側に設けられた、エンジンで加熱された高温冷却液Bをハウジング本体内部19に流入させるバイパスポート3、ラジエタ連結ポート2とバイパスポート3から流入し混合形成された冷却液Cをエンジンに送出するエンジン連結ポート4とからなるハウジング本体16を備えている。
また、このサーモスタット装置20は、ハウジング本体内部19の液温に対応して可動する熱膨張体エレメントである温度感知可動部8と、この温度感知可動部8に一端を収納され熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフト7と、このピストンシャフト7の他端を支持するようにラジエタ連結ポート2側に設けられたピストンシャフト支持部6と、温度感知可動部8と一体的に可動してラジエタ連結ポート2からの低温冷却液Aのハウジング本体内部19への流入量を制御するメインバルブ9と、ハウジングカバー1により支持されたフレーム10と、メインバルブ9とフレーム10の間に押し付勢状態で設けられ、メインバルブ9をラジエタ連結ポート2に付勢押し付けするメインスプリング11と、温度感知可動部8からバイパスポート3に向かう方向で設けられたバイパスシャフト12と、このバイパスシャフト12に設けられたバイパスポート3からの高温冷却液Bのハウジング本体内部19への流入量を制御するバイパスバルブ13と、このバイパスバルブ13と温度感知可動部8との間に押し付勢状態で取り付けられ、バイパスバルブ13をバイパスポート3に付勢押し付けするバイパススプリング14とを備えている。
温度感知可動部8の周囲の液温上昇時においては、カップ15の中に密封された熱膨張体が、熱膨張しピストンシャフト7を押し出し動作し、これにより、温度感知可動部8とともにメインバルブ9をメインスプリング11の荷重に逆らって開移動させ、低温冷却液Aの流入量を増大させ、且つ、バイパスバルブ13を閉め移動させて高温冷却液Bの流入量を減少させる。
また、温度感知可動部8の周囲の液温の降下の際には、熱膨張体の収縮が起こり、メインスプリング11の付勢力によってピストンシャフト7を押し戻し、メインバルブ9がそれに伴って閉め移動し、ラジエタからの低温冷却液Aの流入量を減少させ、且つ、高温冷却液Bの流入量を増大させる。
このような動作により、従来のサーモスタット装置20は、高温冷却液Bとラジエタからの低温冷却液Aの混合液である冷却液Cの液温を主に感知して制御し、該冷却液Cをエ
ンジンに供給する。
同様な構成および動作をするサーモスタット装置として、特許文献1〜5の開示技術が提案されている。
実開平2−5672号公報 実開平6−37524号公報 特開平10−19160号公報 特公昭47−16584号公報 実開昭61−175534号公報
尚、特許文献5には、上記のようないわゆるボトムバイパス式のサーモスタットにおいて、バイパスからの冷却液が温度感知可動部の周囲に導かれるように冷却水誘導筒を取り付けてなる構造が開示されている。
上述した従来のサーモスタット装置は次に述べるような欠点があった。
(1)ハウジング本体内部19において、バイパスポート3およびディフレクター18が温度感知可動部8から離れた構成である上、高温冷却液の流れを温度感知可動部8の手前でバイパスバルブ13が遮る構成であるので、温度感知可動部8に高温冷却液Bが届き難い。したがって低温冷却液Aと高温冷却液Bとが温度感知可動部8の部位で効率よく混合できず、温度感知可動部8が冷却液Cの温度を感知し難くなる。その結果、エンジンを冷却する冷却液Cの液温が不安定となり、且つ、エンジン負荷変動等に伴う温度制御幅が大きくなるという欠点を有する。
さらに、このハウジング本体内部19に、車室ヒーター用の回路から戻ってくる冷却液が流入する場合、ますます混合を高効率に行うことができず、上記欠点は増幅する。
またさらに、高温冷却液Bを感温する性能が悪いために冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点も有する。
このため、冷却液温には上限があるために通常の制御液温をあらかじめ比較的低温に抑えておかなければならず、エンジンの燃焼効率の低下、及びエンジンのフリクションロス、熱的損失の増大により燃費の悪化などを招く。
また、冷却液Cのエンジン負荷変動に伴う温度制御幅が大きくなるということは、図8に示すような従来のサーモスタット装置の特性となり、エンジンの熱的膨張収縮が大きくなる。また、それが頻繁に起こることになれば、エンジンのストレスの増大による低寿命化、温度降下時と温度差によるエンジン性能の低下等を招く。
(2)従来では、高温冷却液Bを遮断して全ての高温冷却液Bをラジエタに通す際に、バイパススプリング14によってバイパスバルブ13をバイパスポート3に押し付けていた。しかしながら、このバイパススプリング14の荷重は、温度感知可動部8に対する負荷となる。温度感知可動部8への負荷が大きいと、必然的に温度感知可動部8の寿命が短くなる。また、熱膨張体にかかる圧力が高くなるために熱膨張体の融点が上昇し、メインバルブ9の開度を大きくとるには、より高い冷却液温が必要となる。即ち、冷却液Cの温度が上昇し、更なるメインバルブ9の開度が必要な際に、図9に示す従来のサーモスタット装置の特性のように、メインバルブ9の開度を稼ぐことができないという欠点を有するものであった。
(3)バイパスポート3の閉止時において、急激にバイパスポート3を遮断してしまうため、閉止直後に温度ハンチングが生じ冷却液Cの温度が安定しないという欠点を有するものであった。
(4)従来のサーモスタット装置におけるバイパスバルブ13は、フラットな円板の面で、バイパスポート3全面に当たり閉じる構造である。そして、メインバルブ9閉弁時のバイパスバルブ13とバイパスポート3の距離は、
a:メインバルブ9閉弁時におけるバイパスポート3の高温冷却液の流路面積の確保
b:バイパスバルブ13閉弁後、更に冷却液Cの温度が上昇して、温度感知可動部8が更に移動した際にバイパススプリング14の線間が密着しないこと、
c:バイパスバルブ13と温度感知可動部8が接触しないこと、という因子で決められて
いた。
即ち、メインバルブ9閉弁時にバイパスバルブ13とバイパスポート3の距離を大きくとる必要があった。
このため、高温冷却液Bを出来るだけ温度感知可動部8方向に導くためにディフレクター18のような複雑な構造が必要となった。
尚、特許文献5に開示される「冷却水誘導筒」をもってしても、比較的小径であるバイパスポートに備えられた高温冷却液Bの流入路から該流入路より大径の「冷却水誘導筒」内部に吐出されるので、流入する高温冷却液Bは温度感知可動部に接触する前に拡散しその温度と流速を損なうことになる。
さらに、「冷却水誘導筒」に流入した高温冷却液Bはバイパスバルブにより温度感知可動部の手前で遮られますます拡散されてしまって、周囲に乱れ流れる低温冷却液Aや冷却液C(混合液)と少なからず混ざり合ってしまい元々の温度を損なってしまう。
高温冷却液Bが温度感知可動部の周囲に到達するまでに元々の温度を損なうと、上記の通りであるが、温度感知可動部は高温冷却液Bの温度を感温する性能を損ない、冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点を招く。また「元々の温度を損なう」損ない方がエンジンの運転状態に連動された冷却液ポンプの回転数により安定的ではないために、液温制御の安定性を欠く。
温度感知可動部の表面における冷却液の流速が早い場合に、冷却液の温度が素早く温度感知可動部に伝達される。「冷却水誘導筒」に流入した高温冷却液Bは温度感知可動部の周囲に到達するまでに元々の流速を損なってしまうので、その分、温度感知可動部は応答よく高温冷却液Bの温度を感温する性能を損ない、冷却系全体の温度上昇時にオーバーシュートの懸念が大きいという欠点を招く。また、エンジンの運転状態の変動に伴う冷却液の温度変化への対応応答性を損ない、液温制御の安定性を欠く。
上記のごとく、「冷却水誘導筒」をもってしても、高温冷却液Bが温度感知可動部の周囲に到達するまでに温度と流速を損なってしまうために、冷却液の急激な温度変化に対する温度感知可動部の感温応答性を十分に向上させることが出来ず、冷却液温の高精度な制御をすることが出来ない。
本発明は以上のような従来のサーモスタット装置の欠点に鑑み、冷却液温を高精度に制御することが出来るサーモスタット装置を提供することを目的としている。結果、エンジンの燃焼効率の向上及び、エンジンのフリクションロスの低減、熱的損失の低減に寄与し、エンジンの低燃費化に寄与するサーモスタット装置を提供することを目的としている。
第1の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、該高温冷却液整流部は、前記温度感知可動部との隙間部分を通過する前記高温冷却液の流速が、その手前の前記高温冷却液流路での前記高温冷却液の流速に比べて速くなるように形成されてなることを特徴とするサーモスタット装置である。
第2の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、前記弁体を閉弁方向に押し付勢する付勢部材を備え、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、前記付勢部材と前記温度感知可動部との間に高温冷却液整流部を形成する構造を特徴とするサーモスタット装置である。
第3の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、前記弁体を閉弁方向に押し付勢する付勢部材と、該付勢部材の付勢力を受けるとともに前記弁体に対応する弁座側の部材に固定される補助金具とを備え、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、前記補助金具の内側で前記温度感知可動部側に突出されて高温冷却液整流部を形成する構造を特徴とするサーモスタット装置である。
第4の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、前記温度感知可動部の延長軸が、前記高温冷却液整流部内の支持案内部に支持案内される構造を特徴とするサーモスタット装置である。
第5の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、前記温度感知可動部が前記高温冷却液整流部内の支持案内部に挿入案内される構造を特徴とするサーモスタット装置である。
第6の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、該高温冷却液整流部は、ハウジング本体の高温冷却液の流入路と支持案内部62とにより形成され、前記吐出開口部が前記支持案内部62に形成されるとともに、前記温度感知可動部が前記支持案内部62に支持案内される構造を特徴とするサーモスタット装置である。
第7の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、前記温度感知可動部は、その外周において前記高温冷却液整流部との間隙の形状に対応した突起部が設けられていることを特徴とするサーモスタット装置である。
第8の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、前記高温冷却液整流部は、内側へ縮径された縮径部が形成され、前記温度感知可動部の駆動に応じて、当該温度感知可動部と前記高温冷却液整流部との間隙が絞り自在に構成されていることを特徴とするサーモスタット装置である。
第9の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、エンジンで加熱された高温冷却液をサーモスタット装置にバイパスさせる高温冷却液流路が、温度感知可動部の全部または一部を覆うまで連絡・延長されて、該高温冷却液流路に流れる前記高温冷却液を、前記温度感知可動部の周囲(底面・側面)に接触させた後、吐出開口部から流出させるように、高温冷却液整流部を形成し、前記温度感知可動部の外周から離間した位置からこれを取り囲むように、前記メインバルブ側から延長されているディフレクターを備えることを特徴とするサーモスタット装置である。
第10の発明は、エンジンなどの冷却液回路に設けられ、エンジンにおいて加熱された高温冷却液を流入させるエンジン連結ポートと、エンジンへ再び冷却液を送り返すバイパスポートと、ラジエタへ冷却液を送り出すラジエタ連結ポートとを備え、冷却液の温度変化により熱膨張または収縮する熱膨張体を内蔵する温度感知可動部と、この温度感知可動部に一端を収納され前記熱膨張体の熱膨張、収縮により摺動駆動するピストンシャフトを有し、該ピストンシャフトの駆動により弁体の開閉を行うサーモスタット装置において、前記バイパスポートに連絡され、前記エンジン連結ポートからの前記高温冷却液を前記温度感知可動部の周囲へと導いた後、これを前記バイパスポートへ流出させる冷却液整流部と、前記温度感知可動部におけるバイパスポート側に設けられたバイパスバルブとを備え、前記冷却液整流部は、前記温度感知可動部が前記エンジン連結ポートから流入する前記高温冷却液に対して常時露出された状態となる程度まで高さ調整された筒形で構成され、前記バイパスバルブは、前記温度感知可動部の駆動状態に応じて前記冷却液整流部内に挿入自在に構成されていることを特徴とするサーモスタット装置である。
以上の構成からなる本発明は、以下の効果を奏する。
高温冷却液整流部の構造を有しているので、温度感知可動部が配置される領域を高温冷却液が支配する状態を形成するので次に述べるような効果を奏する。
本発明では、殆ど高温冷却液の温度のみによって温度感知可動部の可動を制御することができる。高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率を十分に高め該高温冷却液の温度の影響を受けて該温度感知可動部の可動状態を制御できる状態を実現することができる。
ハウジング本体内部(高温冷却液整流部の吐出開口部から高温冷却液が吐出した先のスペース、以下同様)に、車室ヒーター用の回路から戻ってくる冷却液が流入する場合でも、高温冷却液整流部と該高温冷却液整流部を通過した高温冷却液が車室ヒーター用の回路からの冷却液をガードして、高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率を維持することができる。
ここで「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」とは、下記の式で示される係数aで定義されるものである。
(温度感知可動部の感温温度)=a×(高温冷却液温)+b×(低温冷却液温)
冷却液の熱を利用した車室ヒーターを流れる回路からの冷却液がハウジング本体内部に戻される場合でも、基本的には、上記式と同様である。
したがって、従来のサーモスタットは、混合液である冷却液Cの液温を主に感知する装置であるが、本発明のサーモスタットは、十分にエンジン出口の冷却液(高温冷却液B)
の液温を主に感知し該高温冷却液Bの液温を一定温度に保つように冷却液Cをエンジンに供給する装置への転換である。
またこの転換は、冷却系におけるサーモスタット装置の装着位置関係を変更することなく実現するので、広く普及している従来のサーモスタット装置を採用して構築された冷却系設計を大きく見直す必要なく実現可能である。
一般に冷却系において冷却液の最高温度には限度があり、それを超えないように冷却液温が設定され制御されなければならない。ところで、自動車などに搭載される冷却系において、冷却液がもっとも高温になる部分がエンジン出口の冷却液である。従来のサーモスタット装置では、さまざまな運転状況でエンジン出口の冷却液の温度(高温冷却液温)が許容限度を超えないように予めエンジンに供給する冷却液の温度を低く制御して供給する。しかし、本発明によれば、上記説明の効果により、エンジン出口液温を直接感知し制御するので、許容限度いっぱいの冷却液温設定が可能である。必要に応じてエンジンに供給する冷却液温を上げ下げしながらも、エンジン出口の冷却液温を高温側の許容限度付近で安定に保つので、エンジン内部の平均水温を従来技術に比べて高く設定することができる。
このことは、エンジンの燃焼効率の向上及び、エンジンのフリクションロスの低減、熱的損失の低減等、に寄与し、結果としてエンジンの低燃費化を実現する。また、車室ヒーターの能力向上等にも寄与出来る。
上記説明の効果により、安定して高温冷却液の温度を感知するので、エンジンを冷却する冷却液の液温が不安定となるという問題を克服し、高温冷却液温を中心とした冷却液温の安定した制御を実現することができる。これにより、エンジンの冷却液温変動による熱的膨張収縮を抑えることができ、エンジンへのストレスの軽減を実現する。
これらの効果は、具体的には図8に示すような、本発明によって得られる自動車走行中の冷却液温特性により得ることが出来るものである。
図8に示すデータは、同一の自動車に図7で説明した従来のサーモスタット装置を搭載した場合と本発明のサーモスタット装置を搭載した場合で、その他の条件は同一にして、また同一走行モードで試験したときのエンジン出口液温(高温冷却液温)の推移を記録したものである。
例示的に説明すると、図8に示すような挙動を呈するある自動車においては、冷却系におけるエンジン出口の冷却液温はT℃(例えば97℃)が最も高能率、低燃費でエンジンが動作する冷却液温度理想値である。すなわち97℃一定のエンジン出口冷却液温でエンジンが動作することが理想的である。
従来のサーモスタット装置ではエンジン出口の冷却液温度がTmax℃(例えば100℃)〜T℃(例えば88℃)の温度差で、主にエンジンの負荷状態に同調して、次いでハウジング本体内部の冷却液流通状態の変動に伴い主に低温冷却液と高温冷却液との混合状態が不安定で変動し温度感知可動部が感温する該温度感知可動部周辺液温が不安定であること、等のために大きく変動する。
本発明のサーモスタット装置によると、エンジン出口の冷却液温がTmax℃(例えば100℃)〜T℃(例えば95℃)の温度差で安定的に推移する。
エンジン出口の冷却液温(高温冷却液温)は、該エンジンの冷却必要度合いを示す指標と考えられ、上記説明の効果のごとく、エンジン出口液温を直接感知することは、サーモスタット装置がエンジンの必要冷却量を直接認識することであり、混合液の温度を主に感知するために従来のサーモスタット装置には困難であった対応応答性の向上を実現させる。
また、高温冷却液整流部と温度感知可動部の位置関係に注目すれば、高温冷却液の温度が上昇する局面ではピストンシャフトが伸び動作をするので温度感知可動部は高温冷却液整流部の内部に進入し「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」を上昇させ、エンジン出口液温が要求する冷却能力引出し方向への動作(メインバルブの開動作)の応答を早め、高温冷却液の温度が下降する局面ではピストンシャフトが押戻され動作をするので温度感知可動部は高温冷却液整流部の内部から外側に移動し「高温冷却液の温度感知可動部への温度支配率」を下降させ、エンジン出口液温が要求する冷却能力抑制方向への動作(メインバルブの閉動作)の応答を早める。以上によって温度感知可動部の高温冷却液温に対する応答性がメカニカルに向上する。
また、バイパス回路の高温冷却液の流通量を少なくする場合でも、高温冷却液の温度への感度が高いので本発明の機能を十分発揮することが出来る。
上記説明の効果により、従来のサーモスタット装置の欠点(4)で述べたディフレクター18のような複雑な構造をとる必要がない。
従来のサーモスタット装置のメインバルブ9は、メインスプリング11の端末位置によって規定される方向に傾きながら開弁し始めるという特徴を持っているために、冷却系内における特性は、メインスプリングの端末位置によって異なったものである。それに対し、本発明のサーモスタット装置の冷却系内における特性は、高温冷却液整流部がメインバルブから流入する低温冷却液の温度感知可動部への作用を十分にガードするのでメインスプリングの端末位置によって殆ど左右されない。また、請求項2に記載の発明においては、メインバルブの傾き自体を抑制することが出来る。
高温冷却液整流部を設けることにより、「高温冷却液の通路を絞る」機能を追加することが可能になり、従来のサーモスタット装置のバイパスバルブ13をバイパスポート3に押し付けるバイパススプリング14を不要とし、メインバルブを低温冷却液ポート側に押し付勢する付勢手段1つにすることを可能とする効果を奏する。
また、この1つの付勢手段は高温冷却液整流部の外側に配置すると、高温冷却液整流部と温度感知可動部の感温部との間の領域には付勢手段が存在しない状態を作り出すことが可能となる。
さらに、「付勢手段1つにすること」は、温度感知可動部内部へピストンシャフトが押し込まれる形で負荷される荷重を1つの付勢手段のみの付勢力に軽減させるという効果を奏する。
図9は、この付勢力軽減の動作効果を、従来のサーモスタット装置と本願発明のサーモスタット装置の「冷却液温度とメインバルブの開度」の特性比較で示している。
すなわち、従来のサーモスタット装置はバイパスバルブによってバイパスポートを閉止後、メインスプリングとバイパススプリングの二重付勢力であることから、温度感知可動部の内部の熱膨張体にかかる圧力が高くなるために熱膨張体の融点が上昇し、メインバルブの開度を大きくとるには、より高い冷却液温が必要となるため、変態点のある冷却液温に対するメインバルブの開度の変化となる。これに対して本発明のサーモスタット装置は一つの付勢力によるので、メインバルブの冷却液温に対する開度の変化は、スムーズで、より精度の高い冷却液温度の制御を実現するものである。また、相対的に低い冷却液温でメインバルブの開度を大きくとることができ、冷却液温が高くなったときにラジエタの冷却能力を十分に引き出すことができ、冷却液温のオーバーシュートを防ぐことができる。
また、付勢力の軽減は、温度感知可動部への荷重負荷の軽減による長寿命化を実現する。
また、温度感知可動部への荷重負荷を小さくすることができたことにより、より小型の温度感知可動部を使用することが可能となる。温度感知可動部を小型化すると、応答性(液温変化に対する追従性)が良くなるため、より安定した冷却液の温度制御が可能となり、小型化によるコスト低減もできる。
また、請求項4に記載の発明においては、ピストンシャフト、温度感知可動部および延長軸からなる同軸構造体をピストンシャフト支持部と、該ピストンシャフト支持部から離れた支持案内部との二点支持構造としたことと、温度感知可動部の感温部の側面をガイドするのではなく延長軸を支持案内部でガイドする構造としたので、延長軸と支持案内部のクリアランスを小さく設定できることにより、エンジンの振動や冷却液の脈動、走行振動による温度感知可動部の振れ幅を小さくできるという効果を奏する。
これにより、温度感知可動部、メインバルブの動きがスムーズな動きとなり、且つ、ストレスを軽減してサーモスタット装置の長寿命化を実現する。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、自動車のエンジンの冷却温度を制御する際に適用可能なサーモスタット装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態としてのサーモスタット装置300の構成を示してい
る。
このサーモスタット装置300は、ラジエタ52で冷却された低温冷却液Aと、エンジン51からバイパス53を介して供給される高温冷却液Bとが流入され、これらの混合比率を制御することで、エンジン51へ流入させる冷却液Cの温度を制御するいわゆる入口制御方式の範疇に入るものである。
即ち、この制御系においては、エンジン51を通過した高温冷却液Bがバイパス53を介してそのまま送られてくるバイパスポート33と、エンジン51を通過した高温冷却液Bの一部がラジエタ52において冷却されて低温冷却液Aとされ、この低温冷却液Aがラジエタ52から供給されるラジエタ連結ポート31とを備え、ハウジング本体内部32において低温冷却液A及び高温冷却液Bは互いに混合されて冷却液Cが生成される。この生成された冷却液Cは、エンジン連結ポート30を介してエンジン51へと供給されることになる。
サーモスタット装置300が特徴的なのは、殆ど高温冷却液の温度のみによって温度感知可動部の可動状態を制御できる状態を実現することができるので、エンジン51から流出される高温冷却液Bの水温を一定にするべく動作することである。
なお、このバイパス53からラジエタ52に至る途中において車室ヒータ101が設けられている。
この制御を実行する上で、サーモスタット装置300は、さらにハウジング本体48と、このハウジング本体48に対して取り付けられたハウジングカバー47によりその筐体を形成することになる。ハウジング本体48は、内部にバイパスポート33と、エンジン連結ポート30に対応した形状が成型されてなる。またハウジングカバー47は、ラジエタ連結ポート31に対応した形状が成型されてなる。なお、このハウジング本体48と、ハウジングカバー47はそれぞれアルミ(ダイカスト)やプラスチック等からなる。
また、このサーモスタット装置300は、温度感知可動部39と、温度感知可動部39に一端を収納されたピストンシャフト34と、ラジエタ連結ポート31側に設けられ、ピストンシャフト34の他端を支持するピストンシャフト支持部35と、温度感知可動部39に対して一体的に取り付けられたメインバルブ36と、このメインバルブ36をラジエタ連結ポート31側に押し付勢するスプリング41と、バイパスポート33からハウジング本体内部32へ向けて突出されてなり、当該バイパスポート33からハウジング本体内部32へ向けて吐出開口部46を介して連結された高温冷却液整流部42と、を備え、さらに、温度感知可動部39からバイパスポート33側に延長されている延長軸43と、これを支持案内するため高温冷却液整流部42内に形成された支持案内部44とを備えている。
高温冷却液整流部42の材質は、例えば樹脂製であるが、これに限定されるものではない。高温冷却液整流部42の上端は、図1に示すように、温度感知可動部39の下端よりも上方に位置する。その結果、温度感知可動部39の下端は、高温冷却液整流部42内に入り込む形となる。なお、ここでいう上下における上方とは、ラジエタポート31側に相当し、下方とは、バイパスポート33側に相当する。以下の説明においても同様とする。
なお、この高温冷却液整流部42の内径は、温度感知可動部39の外径よりも広めに設定されている。その結果、この高温冷却液整流部42を構成する管内に、温度感知可動部39の先端を挿入する際には、この高温冷却液整流部42の内壁と、温度感知可動部39の外壁とが互いに空間的に余裕を持った状態で挿入される、いわゆる遊挿可能な状態とされている。
ちなみに、この高温冷却液整流部42の外周には、上記したスプリング41が嵌合されることになる。この高温冷却液整流部42には、補助金具59が更に埋め込まれてなり、この補助金具59の一端は、ハウジングカバー47に固定されている。ちなみに、この補助金具59の構成は、省略されていてもよい。
支持案内部44は、その周囲が高温冷却液整流部42の内壁に形成されている。また、この支持案内部44は、図示しない孔が上下面にかけて貫通されており、高温冷却液Bはこの図示しない孔を介してバイパスポート33から吐出開口部46に向けて流れ、ハウジング本体内部32へと流出されることになる。
次に、上述の如き構成からなるサーモスタット装置300の動作について説明をする。エンジン51により熱せられた高温の高温冷却液Bがバイパスポート33へと供給されてきた場合に、当該高温冷却液Bは高温冷却液整流部42へと送られる。この高温冷却液整流部42は、送られてきた高温冷却液Bを直接に温度感知可動部39の周囲に接触させることができる。この高温冷却液整流部42内には、温度感知可動部39が予め遊挿された状態で静止していて、この温度感知可動部39と、高温冷却液整流部42との間に所定の隙間が予め形成されている。高温冷却液Bは、この温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間に形成された隙間を通ってハウジング本体内部32へと流出していくことになる。これにより、高温冷却液Bを温度や流速を損なうことなく直接に温度感知可動部39の周囲(底面・側面)に接触させ伝熱させるようにすることが可能となる。また、これに伴って温度感知可動部39は、高温冷却液Bの温度を高効率に感知することができ、当該高温冷却液Bの液温に応じてこの温度感知可動部39を可動させることが可能となる。
また吐出開口部46からハウジング本体内部32へと流出した高温冷却液Bも、最初は温度感知可動部39の周囲を取り巻くようにして流れる。これにより温度感知可動部39が配置される領域を高温冷却液が支配する状態を形成することができる。
メインバルブ36は、スプリング41によりラジエタ連結ポート31側に押し付勢されているため、温度感知可動部39が駆動しない場合には、ラジエタ連結ポート31とハウジング本体内部32とが互いに遮蔽された状態となっている。これに対して、所定温度以上の高温冷却液Bが高温冷却液整流部42内に供給された場合には、温度感知可動部39がバイパスポート33側へ駆動し、これに伴ってメインバルブ36は、スプリング41の荷重に逆らって開駆動され、ラジエタ連結ポート31からハウジング本体内部32への低温冷却液Aの流入量を増大させることが可能となる。その結果、このサーモスタット装置300においては、ラジエタ連結ポート31からハウジング本体内部32への低温冷却液Aの流入量を高温冷却液Bの温度に応じて制御することが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、図2に示す第2実施形態のように、温度感知可動部39が高温冷却液整流部42内部の支持案内部62に挿入案内される構成にされていても良い。なお、この図2以降において、上述した図1と同様の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
支持案内部62は、鋼材を折曲げ加工、プレス加工等することにより構成されてなり、温度感知可動部39の側面を挿入可能に配置することにより、これを支持案内可能な構成としている。ちなみに、この支持案内部62は、上述した補助金具59と一体化されるものであってもよいし、また互いに離間されているものであってもよい。また、この支持案内部62には、図示しない孔が多数設けられている。高温冷却液Bは、この図示しない孔を通過していくことになる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、図3に示す第3実施形態に適用されるようにしてもよい。
この図3に示す形態では、高温冷却液整流部42がハウジング本体48の高温冷却液の流入路と支持案内部62との組み合わせにより形成され、吐出開口部46が支持案内部62に形成されるとともに、温度感知可動部39が支持案内部62に支持案内されている。
支持案内部62には、図示しない複数の孔=吐出開口部46が設けられており、バイパスポート33から供給された高温冷却液Bは、直接に温度感知可動部39の周囲(底面・
側面)に接触、伝熱した後この吐出開口部46を介してハウジング本体内部32へと流出されることになる。これにより、高温冷却液整流部の機能を維持しながら簡単コンパクトな構成を実現することができる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、例えば図1に示すように、温度感知可動部39の外周において高温冷却液整流部42との間隙の形状に対応した突起部40が形成されていてもよい。高温の高温冷却液Bが供給された場合には、図1(b)に示すように温度感知可動部39がバイパスポート33側へ駆動し、また、これに伴って突起部40も同様にバイパスポート33側へとシフトしていくことになる。その結果、温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間に形成された隙間を突起部40により狭めることが可能となり、高温冷却液Bのハウジング本体内部32への流路を狭くすることが可能となる。その結果、バイパスポート33からハウジング本体内部32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、この突起部40を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエタ52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエタ52へまわし、冷却能力を最大に引き出すことができ、さらにこれをシンプルな構造で実現可能としている。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、例えば図4に示すように、高温冷却液整流部42における内壁において、内側に縮径された縮径部61を形成するようにしてもよい。これにより、温度感知可動部39の駆動に応じて温度感知可動部39と高温冷却液整流部42との間隙が絞り自在に構成される。
その結果、高温冷却液ポート33からハウジング本体内部32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となり、より多くの高温冷却液Bをラジエタ52へまわし冷却能力を最大に引き出すことができる。また、この縮径部61によってもエンジン51からの高温冷却液Bとラジエタ52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。
さらにまた、バイパスポート33からの高温冷却液Bのハウジング本体内部32への流入量を抑制制御しながらも温度感知可動部39周辺の高温冷却液Bの流通クリアランスを狭めることで該高温冷却液Bの流速を大きく損なわなくすることができる。これにより、高温冷却液整流部42内の高温冷却液Bの流通量が抑制された状態でも温度感知可動部39が配置される領域を高温冷却液Bが支配する状態をより確実に維持できる。
また、縮径部61は、テーパー形態、凹湾曲形態、凸湾曲形態など様々な形態を形成することができるので、温度感知可動部39の進入により、高温冷却液Bの流路を絞る際に高温冷却液Bの流入が適度に徐々に絞られるようにチューニングすることができる。これにより、急激に高温冷却液Bの通路を絞る場合、或いはバイパスポート33と、ハウジング本体内部32とを完全に遮蔽してしまう場合に、従来のサーモスタット装置と比較して、冷却液の温度ハンチングが生じることなく、安定した冷却液温制御を実現することができる。
本発明を適用したサーモスタット装置300は、例えば図5に示す形態に適用されるようにしてもよい。
この図5に示す形態では、更にメインバルブ36側から延長されてきているディフレクター70を備えている。ディフレクター70は、温度感知可動部39の外周から離間した位置から、これを取り囲むようにして配設されている。図5では、ディフレクター70は、スプリング41の外側に配置されているが、それに限らず、スプリング41の内側にこのディフレクター70を備えることも可能である。このディフレクター70を備えることにより、高温冷却液整流部42の内壁に沿って導かれた高温冷却液Bは、ディフレクター70によりその流れをより確実に温度感知可動部39の周囲に接触させることが可能となる。また、このディフレクター70の存在により、低温冷却液Aを温度感知可動部39に不用意に接触させないようにガードすることが可能となる。
また、温度感知可動部39が駆動したときに、ディフレクター70の下端部分と高温冷却液整流部42の上端部分との位置関係によって、高温冷却液Bのハウジング本体内部への流出を絞る構造にするようにしてもよい。その結果、バイパスポート33からハウジング本体内部32への高温冷却液Bの流量を少なくすることが可能となる。このため、このディフレクター70を設けることによっても、エンジン51からの高温冷却液Bとラジエタ52からの低温冷却液Aとの混合比を制御することが可能となる。また、高温冷却液Bの液温が高い場合により多くの高温冷却液Bをラジエタ52へ回すことができ、冷却能力を最大に引き出すことが可能となる。
本発明を適用したサーモスタット装置400は、上記の如き制御を実行する上で適用される場合に限定されるものではなく、出口制御を実行する上で適用されるものであってもよい。
図6は、出口制御を実行する上で適用されるサーモスタット装置400の構成を示している。このサーモスタット装置400は、エンジン51において加熱された高温冷却液を内部へと流入させるためのエンジン連結ポート72と、エンジン51へ再び冷却液を送り返すバイパスポート73と、ラジエタへ冷却液を送り出すラジエタ連結ポート71とを備えている。なお、この図6に示すサーモスタット装置400においても、上述した図1と同様の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
この図6に示すサーモスタット装置400は、さらに延長軸43に取り付けられているバイパスバルブ74を備えている。このバイパスバルブ74を形成させておくことにより、温度感知可動部39の駆動に応じて、図6(b)に示すように、バイパスポート73への
流路をこのバイパスバルブ74により閉塞させることが可能となる。これにより、流量を制御することが可能となる。
なお、高温冷却液整流部42は、温度感知可動部39の駆動状態の如何に関わらず、温度感知可動部39がエンジン連結ポート72から流入する高温冷却液に対して露出された状態となる程度まで高さ調整された筒形で構成されている。このため、エンジン連結ポート72から供給されてくる高温冷却液が直接的にこの温度感知可動部39に接触し伝熱することになり、主として、かかる高温冷却液の温度に基づいて温度感知可動部39が上下に駆動自在とすることが可能となる。
本発明の第1の実施形態と突起部が設けられた例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示す図である。 本発明の第3の実施形態を示す図である。 本発明の縮径部の実施例を示す図である。 本発明のディフレクターの実施例を示す図である。 本発明の出口制御の実施形態を示す図である。 従来のサーモスタット装置の構成例を示す図である。 各負荷運転モードに対するエンジン出口温度の関係を示す図である。 冷却液温度に対するメインバルブの開度の関係を示す図である。
30 エンジン連結ポート
31 ラジエタ連結ポート
32 ハウジング本体内部
33 バイパスポート
34 ピストンシャフト
35 ピストンシャフト支持部
36 メインバルブ
39 温度感知可動部
41 スプリング
42 高温冷却液整流部
44 支持案内部
46 吐出開口部
47 ハウジングカバー
48 ハウジング本体
51 エンジン
52 ラジエタ
53 バイパス
59 補助金具
62 支持案内部
300 サーモスタット装置
400 サーモスタット装置

Claims (12)

  1. 冷却部において冷却された低温冷却液を混合室に流入させる低温冷却液ポートと、被冷却部において加熱された高温冷却液を混合室に流入させる高温冷却液ポートと、前記混合室において前記低温冷却液及び前記高温冷却液を混合することにより生成した冷却液を前記被冷却部へと送出するサーモスタット装置において、
    前記低温冷却液ポート側に設けられたピストンシャフト支持部に固定され、他端が前記高温冷却液ポート側へ延長されているピストンシャフトと、
    前記ピストンシャフトの他端に設けられ、前記高温冷却液ポートから流入する高温冷却液の温度を主に感知し、この感知した温度に基づいて前記高温冷却液ポート側へ駆動可能な温度感知可動部と、
    前記温度感知可動部に一体的に取り付けられ、前記温度感知可動部の前記高温冷却液ポート側への駆動に応じて前記低温冷却液ポートと前記混合室とを開放可能に構成することにより、前記低温冷却液ポートから前記混合室への前記低温冷却液の流入量を制御するメインバルブと、
    前記高温冷却液ポートに連絡され、該高温冷却液ポートからの前記高温冷却液を前記温度感知可動部の周囲へと整流した後、これを前記混合室へ流出させる高温冷却液整流部とを備えること
    を特徴とするサーモスタット装置。
  2. 前記高温冷却液整流部は、前記温度感知可動部を遊挿可能な筒形に構成されていること
    を特徴とする請求項1記載のサーモスタット装置。
  3. 前記温度感知可動部から前記高温冷却液ポートにかけて延長されている延長軸を支持案内するための支持案内部が前記高温冷却液ポート内に形成されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタット装置。
  4. 前記温度感知可動部の側面を支持案内可能な可動案内支持部を更に備え、
    前記可動案内支持部は、前記高温冷却液ポートからの高温冷却液が前記混合室へ通過可能な孔を形成してなること
    を特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタット装置。
  5. 前記高温冷却液ポートからの前記高温冷却液を前記可動案内支持部の高温冷却液ポート側において前記温度感知可動部の周囲へと整流すること
    を特徴とする請求項4記載のサーモスタット装置。
  6. 前記温度感知可動部と前記メインバルブとを連結し、かつ前記温度感知可動部と一体化されたメインバルブ連結部位と、
    前記メインバルブ連結部位を支持案内するための支持案内部とをさらに備え、
    前記温度感知可動部の位置が、前記高温冷却液ポートからの高温冷却液の流出口付近まで延長されるように、前記メインバルブ連結部位の長さが調整されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタット装置。
  7. 前記温度感知可動部の周囲には、案内部材が形成され、
    前記高温冷却液整流部は、前記案内部材を支持案内自在とした筒形で構成され、
    前記案内部材は、前記高温冷却液ポートから供給されてきた高温冷却液を前記温度感知可動部の周囲へ整流し、さらに前記混合室へ流出可能な整流路が形成されてなること
    を特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタット装置。
  8. 前記温度感知可動部は、その外周において前記高温冷却液整流部との間隙の形状に対応した突起部が設けられていること
    を特徴とする請求項2記載のサーモスタット装置。
  9. 前記高温冷却液整流部は、内側へ縮径された縮径部が形成され、
    前記温度感知可動部の駆動に応じて、当該温度感知可動部と前記高温冷却液整流部との間隙が絞り自在に構成されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタット装置。
  10. 前記温度感知可動部の外周から離間した位置からこれを取り囲むように、前記メインバルブ側から延長されているディフレクターを更に備えること
    を特徴とする請求項1又は2記載のサーモスタット装置。
  11. 被冷却部において加熱された高温冷却液を流入させる被冷却部連結ポートと、被冷却部へ再び冷却液を送り返すバイパスポートと、冷却部へ冷却液を送り出す冷却部連結ポートとを有するサーモスタット装置において、
    前記冷却部連結ポート側に設けられたピストンシャフト支持部に固定され、他端が前記バイパスポート側へ延長されているピストンシャフトと、
    前記ピストンシャフトの他端に設けられ、前記被冷却部連結ポートから流入する高温冷却液の温度を感知し、この感知した温度に基づいて前記バイパスポート側へ駆動可能な温度感知可動部と、
    前記温度感知可動部に一体的に取り付けられ、前記温度感知可動部の前記バイパスポート側への駆動に応じて前記冷却部連結ポートと前記被冷却部連結ポートとを開放可能に構成することにより、前記被冷却部連結ポートから前記冷却部連結ポートへの前記高温冷却液の流入量を制御するメインバルブと、
    前記バイパスポートに連絡され、前記被冷却部連結ポートからの前記高温冷却液を前記温度感知可動部の周囲へと整流した後、これを前記バイパスポートへ流出させる高温冷却液整流部とを備えること
    を特徴とするサーモスタット装置。
  12. 前記ピストンシャフトにおける高温冷却液ポート側に設けられたバイパスバルブを更に備え、
    前記高温冷却液整流部は、前記高温冷却整流部が前記被冷却部連結ポートに対して常時露出された状態となる程度まで高さ調整された筒形で構成され、
    前記バイパスバルブは、前記温度感知可動部の駆動状態に応じて前記高温冷却液整流部内に挿入自在に構成されていること
    を特徴とする請求項11記載のサーモスタット装置。
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