JPWO2007094325A1 - ベンズイミダゾール系骨格を有する新規蛍光物質及びその用途 - Google Patents

ベンズイミダゾール系骨格を有する新規蛍光物質及びその用途 Download PDF

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武 今西
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Abstract

本発明は、微量な生体成分や環境物質などを高感度に検出することが可能な蛍光物質及びその用途を提供することを目的とする。具体的には、一般式(I)、(II)、(I−1)又は(II−1)で表される化合物。[式中の各記号は、明細書中と同義を示す。]

Description

本発明は、ベンズイミダゾール系骨格を有する新規蛍光物質及びその用途に関する。
蛍光分析によって微量な生体成分や環境物質などを高感度に検出するためには、高い蛍光量子収率を持ち、かつ励起光やラマン散乱などのバックグラウンドが無視できるほどの大きなストークスシフトを有する蛍光物質の利用が望ましい。現在、FluoresceinやBODIPY、Cy3など、数多くの蛍光物質が実用化されているが、ストークスシフトと蛍光量子収率の両方の特性を満足できるものは得られていない。
Figure 2007094325
高い蛍光量子収率と大きなストークスシフトを併せもつ蛍光物質としては、例えば、Heptamethine cyanine dyeが知られている(非特許文献1)。生体成分などの検出は、現在放射性同位体標識に代わって、蛍光標識が主流となってきており、さらなる高感度と優れた特性を併せもつ蛍光物質の開発が望まれている。
J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 4170-4171
本発明は、微量な生体成分や環境物質などを高感度に検出することが可能な蛍光物質及びその用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、2,2’−ビスベンズイミダゾール骨格を有する化合物の構造変化や水素結合に着目して鋭意検討した結果、下記構造を有する化合物が大きなストークスシフトを示す蛍光を発することを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕一般式(I)、(II)、(I−1)又は(II−1)で表される化合物。
Figure 2007094325
[式中、
環Aは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、カルバモイル基及び置換カルバモイル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環であり;
は、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アラルキル基又はリンカーであり;
及びRは、同一又は異なってそれぞれ、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基及びC7−16アラルキルオキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基又はC7−16アラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜9員の環を形成してもよく;
は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、カルバモイル基又は置換カルバモイル基であり;
lは、0又は1〜3の整数であり;
は、C1−6アルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、置換ベンジル基、置換シリル基、ホスホノオキシ基又は置換ホスホノオキシ基であり;
は、対アニオンである。]
〔2〕環Aが、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環であり;
が、C1−6アルキル基又はリンカーであり;
及びRが、同一又は異なってそれぞれ、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基及びアミノ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基又はアラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜6員の環を形成してもよく;
が、C1−6アルキル基又はC1−6アルコキシ基であり;
lが、0又は1であり;
が、C1−6アルキル−カルボニル基、ホスホノオキシ基又は置換ホスホノオキシ基であり;
が、トリフルオロメタンスルホン酸イオン又は塩素イオンである、上記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物と、核酸、ペプチド、糖及び脂質からなる群より選ばれる生体由来分子とを含む、蛍光標識分子。
〔4〕ドナー蛍光分子として上記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物と、核酸、ペプチド、糖及び脂質からなる群より選ばれる生体由来分子と、アクセプター蛍光分子とを含む、蛍光共鳴エネルギートランスファーを利用する蛍光指示薬。
〔5〕担体に結合されている、上記〔3〕に記載の蛍光標識分子。
〔6〕担体に結合されている、上記〔4〕に記載の蛍光指示薬。
〔7〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物を蛍光標識として使用することを特徴とする、環境物質又は生体由来分子の測定方法。
〔8〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物を蛍光標識として使用することを特徴とする、細胞内分子イメージング方法。
〔9〕上記〔3〕に記載の蛍光標識分子を使用することを特徴とする、生体由来分子の測定方法。
〔10〕上記〔4〕に記載の蛍光指示薬を使用することを特徴とする、生体由来分子の測定方法。
本発明の化合物は、蛍光分析に用いた場合、励起光やラマン散乱などのバックグラウンドが無視できるほどの大きなストークスシフトを有するものであり、微量な生体成分や環境物質などを高感度に検出することができる。本発明の蛍光標識分子又は蛍光指示薬は、検出対象に特異的に作用する生体由来分子を選択することにより、高感度かつ特異的に微量成分を検出することができる。本発明の環境物質もしくは生体由来分子の測定方法又は分子イメージング方法は、本発明の化合物を蛍光物質として利用するものであることから、高感度かつ特異的な測定環境を提供することができる。
本明細書において使用する各基及び各記号の定義は次の通りである。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖又は分枝鎖のC1−6アルキル基が挙げられる。
「C2−6アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニルなどの直鎖又は分枝鎖のC2−6アルケニル基が挙げられる。
「C2−6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−ヘキシニルなどの直鎖又は分枝鎖のC2−6アルキニル基が挙げられる。
「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
「C7−16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチルなどが挙げられる。
「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの直鎖又は分枝鎖のC1−6アルコキシ基が挙げられる。
「C1−6アルキル−カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイルなどの直鎖又は分枝鎖のC1−6アルキル−カルボニル基が挙げられる。
「C1−6アルコキシ−カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの直鎖又は分枝鎖のC1−6アルコキシ−カルボニル基が挙げられる。
「C6−14アリールオキシ−カルボニル基」としては、例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニルなどが挙げられる。
「C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。
「置換カルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルなどのモノ−又はジ−C1−6アルキルカルバモイル基;フェニルカルバモイル、ジフェニルカルバモイルなどのモノ−又はジ−C6−14アリールカルバモイル基;ベンジルカルバモイルなどのモノ−又はジ−C7−16アラルキルカルバモイル基が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ピバロイルオキシなどの直鎖又は分枝鎖のC1−6アルキル−カルボニルオキシ基;フェニルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシなどのC6−14アリール−カルボニルオキシ基;ベンジルカルボニルオキシなどのC7−16アラルキル−カルボニルオキシ基が挙げられる。
環Aは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、カルバモイル基及び置換カルバモイル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環である。
「アリール環」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンなどのC6−14アリール環が挙げられる。
「芳香族複素環」としては、例えば、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子より選ばれるヘテロ原子を1〜4個有する5〜7員の単環式芳香族複素環及び縮合芳香族複素環が挙げられる。縮合芳香族複素環としては、例えば、5〜7員の単環式芳香族複素環同士の縮合環や、5〜7員の単環式芳香族複素環とベンゼン環との縮合環が挙げられる。
「5〜7員の単環式芳香族複素環」としては、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トロポロンなどが挙げられる。
「縮合芳香族複素環」としては、例えば、キノリン、イソキノリン、インドールなどが挙げられる。
環Aで示される「アリール環」又は「芳香族複素環」が有していてもよい置換基の数は特に限定されない。置換基が2個以上の場合、置換基はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。また、無置換のアリール環又は芳香族複素環も好ましい。
環Aは、好ましくは、C1−6アルコキシ基及びアシルオキシ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環であり、より好ましくは、アリール環である。
は、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C7−16アラルキル基又はリンカーである。
「リンカー」としては、本発明の化合物を標識として、核酸配列、アミノ酸配列、糖鎖配列などの結合対象と結合させるように作用する部分であり、結合対象により適宜選択することができるが、例えば、C1−10炭化水素基、ポリエチレンジオキシ基などが挙げられる。
また、リンカーは、結合対象との結合に供するために、末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基を有していてもよい。
「C1−10炭化水素基」としては、例えば、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基などが挙げられる。
「C1−10アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖又は分枝鎖のC1−10アルキル基が挙げられる。
「C2−10アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニルなどの直鎖又は分枝鎖のC2−10アルケニル基が挙げられる。
「C2−10アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−ヘキシニルなどの直鎖又は分枝鎖のC2−10アルキニル基が挙げられる。
「ポリエチレンジオキシ基」としては、1〜5個のエチレンオキシ基からなるポリエチレンジオキシ基が挙げられる。
は、好ましくは、C1−6アルキル基又はリンカーであり、より好ましくは、C1−6アルキル基である。
及びRは、同一又は異なってそれぞれ、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基及びC7−16アラルキルオキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基又はC7−16アラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜9員の環を形成してもよい。
ここで、R及びRが結合して形成する5〜9員の環としては、例えば、
Figure 2007094325
などが挙げられる。
及びRは、好ましくは、それぞれ同一又は異なって、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基及びC7−16アラルキルオキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基又はC7−16アラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜9員の環を形成してもよい。
及びRは、より好ましくは、それぞれC1−6アルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜6員の環を形成してもよい。
は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、カルバモイル基又は置換カルバモイル基であり、lは、0又は1〜3の整数である。
lが2以上である場合、Rはそれぞれ同一又は異なっていてもよい。
は、好ましくは、C1−6アルキル基又はC1−6アルコキシ基であり、より好ましくは、C1−6アルキル基である。
lは、好ましくは、0又は1であり、より好ましくは、0である。
また、化合物(I)、(II)、(I−1)又は(II−1)において、−O又は−ORの置換位置は特に限定されないが、以下の一般式(I’)、(II’)、(I’−1)又は(II’−1):
Figure 2007094325
[式中、各記号は上記と同義である。]
で表される位置で置換されていることが好ましい。
は、C1−6アルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、置換ベンジル基、置換シリル基、ホスホノオキシ基又は置換ホスホノオキシ基である。
「置換ベンジル基」としては、例えば、C1−6アルコキシ、ニトロなどで置換されたベンジル基が挙げられる。
「置換シリル基」としては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなどが挙げられる。
「置換ホスホノオキシ基」としては、例えば、ジメチルホスホノオキシ、ジエチルホスホノオキシなどが挙げられる。
は、好ましくは、C1−6アルキル−カルボニル基、置換シリル基、ホスホノオキシ基、置換ホスホノオキシ基であり、より好ましくは、C1−6アルキル−カルボニル基、ホスホノオキシ基、置換ホスホノオキシ基である。
は、対アニオンである。
「対アニオン」としては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン;硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、リン酸イオンなどの無機酸イオン;メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンなどの有機酸イオン;などが挙げられる。
は、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンであり、より好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、塩素イオンである。
化合物(I)、(II)、(I−1)又は(II−1)としては、
環Aが、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環であり;
が、C1−6アルキル基又はリンカーであり;
及びRが、同一又は異なってそれぞれ、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基及びアミノ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基又はアラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜6員の環を形成してもよく;
が、C1−6アルキル基又はC1−6アルコキシ基であり;
lが、0又は1であり;
が、C1−6アルキル−カルボニル基、ホスホノオキシ基又は置換ホスホノオキシ基であり;
が、トリフルオロメタンスルホン酸イオン又は塩素イオンである;
化合物が好ましい。
このうち、一般式(I’’)又は(II’’):
Figure 2007094325
[式中、
が、C1−6アルキル基であり、
及びRが、それぞれC1−6アルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、6員の環を形成してもよい。]
で表される化合物がより好ましい。
以下、本発明の化合物の製造方法について説明するが、本発明の化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
以下の各工程で得られる生成物は、結晶化、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿などの常法により精製することができる。また、以下の式中の化合物が市販されている場合には市販品を用いることができる。
本発明の化合物(I)及び(II)は、以下に示すA法により製造することができる。
Figure 2007094325
[式中、P及びPは、それぞれ水酸基の保護基であり、Xは、脱離基であり、その他の記号は、上記と同義である。]
又はPで示される「水酸基の保護基」としては、例えば、アセチル、プロピオニルなどのC1−6アルキル−カルボニル基;ベンゾイルなどのC6−14アリール−カルボニル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなどのシリル基;ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジルなどの置換されていてもよいC7−16アラルキル基などが挙げられる。
Xで示される「脱離基」としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などのハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−スルホニルオキシ基;トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基などの置換されていてもよいC6−14アリールスルホニルオキシ基などが挙げられる。
としては、好ましくは、アセチル、プロピオニルなどのC1−6アルキル−カルボニル基である。
としては、好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなどのシリル基である。
以下、A法の各工程につき、詳細に説明する。
工程1
工程1は、化合物(V)を還元して、化合物(VI)を得る工程である。
原料の化合物(V)は、公知化合物であるか、又は自体公知の方法(例えば、Han, G.; Shin, K. J.; Kim, D. C.; Yoo, K. H.; Kim, D. J.; Park, S. W. Heterocycles, 1996, 43, 2496. 及びPanteleon, V.; Marakos, P.; Pouli, N.; Mikros, M.; Andreadou, I. Chem. Pharm. Bull. 2003, 51, 522.に記載の方法)に従って製造することができる。
本工程は、例えば、接触還元する方法;鉄、亜鉛、スズなどの還元剤で還元する方法などにより行うことができ、好ましくは、接触還元による方法である。
接触還元反応は、溶媒中、触媒の存在下、水素ガスを使用して常圧下で行われる。
反応に使用する触媒としては、パラジウム−炭素、ラネーニッケル、酸化白金などが挙げられ、好ましくは、パラジウム−炭素である。触媒の使用量は、化合物(V)に対して、10〜100重量%、好ましくは50〜70重量%である。
反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;酢酸エチルなどのエステル類;酢酸などが挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノールなどのアルコール類である。
反応時間は、通常、12〜60時間、好ましくは、36〜48時間である。
反応温度は、通常、10℃〜30℃、好ましくは、15℃〜25℃である。
本工程で得られた化合物(VI)は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの常法により精製することができるが、精製することなく次の反応に使用することもできる。
工程2
工程2は、化合物(VI)を脱水することにより、化合物(VII)を得る工程である。
本工程は、例えば、溶媒中、酸存在下で脱水する方法により行うことができる。
反応に使用する酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、硫酸などが挙げられる。酸の使用量は、化合物(VI)1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1〜1.5モルである。
反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノールなどのアルコール類とベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類の混合溶媒である。
反応時間は、通常、6〜48時間、好ましくは10〜24時間である。
反応温度は、通常、100℃〜200℃、好ましくは100℃〜150℃である。
また、Dean-Stark蒸留器を用いて、生成する水を除去することにより、反応を促進することもできる。
工程3
工程3は、化合物(VII)を脱保護し、所望の保護基を導入して化合物(VIII)を得る工程であり、PとPが異なる場合、必要に応じて行われる。
脱保護反応及び保護反応は、保護基の種類によって異なるが、自体公知の方法(例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”(Theodora W. Greene 著、1981年、A Wiley-Interscience Publication発行)に記載の方法)により行うことができる。
例えば、Pが、C1−6アルキル−カルボニル基である場合、化合物(VII)を溶媒中、塩基存在下反応させることにより、対応するアルコール体が得られる。
反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;水;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応に使用する塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。塩基の使用量は、化合物(VII)1モルに対して、5〜50モル、好ましくは10〜20モルである。
反応時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは2〜4時間である。
反応温度は、通常、10℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃である。
が、シリル基である場合、上記で得られたアルコール体を、溶媒中、塩基存在下、対応するシリルハライドと反応させることにより、化合物(VIII)を得ることができる。
反応に使用する塩基としては、トリエチルアミン、イミダゾール、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどの有機アミンなどが挙げられる。塩基の使用量は、アルコール体又は化合物(VII)1モルに対して、1〜10モル、好ましくは2〜5モルである。
シリルハライドの使用量は、アルコール体又は化合物(VII)1モルに対して、1〜10モル、好ましくは1.2〜3モルである。
反応に使用する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジクロロメタンなどの含ハロゲン炭化水素類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応時間は、通常、3〜48時間、好ましくは5〜24時間である。
反応温度は、通常、10℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃である。
工程4
工程4は、化合物(VIII)を、塩基存在下、化合物(XXIII)と反応させることにより、化合物(IX)を得る工程である。
反応に使用する塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド;カリウムtert−ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられ、好ましくは、水素化ナトリウムである。塩基の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1.1〜1.6モルである。
化合物(XXIII)の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、1.0〜1.3モル、好ましくは1.0〜1.1モルである。
反応に使用する溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類である。
反応時間は、通常、1〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
反応温度は、通常、0℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃である。
工程5
工程5は、化合物(IX)を、塩基存在下、亜硝酸エステルと反応させることにより、オキシム体を得て、ついで当該オキシム体を、酸存在下で脱水することにより、化合物(X)を得る工程である。
まず、オキシム体を得る反応について説明する。
反応に使用する塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド;カリウムtert−ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられ、好ましくは、リチウムジイソプロピルアミドである。塩基の使用量は、化合物(IX)1モルに対して、2〜3モル、好ましくは2.2〜2.6モルである。
反応に使用する亜硝酸エステルとしては、亜硝酸エチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ブチルなどが挙げられる。亜硝酸エステルの使用量は、化合物(IX)1モルに対して、2〜10モル、好ましくは3〜5モルである。
反応に使用する溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類である。
反応時間は、通常、0.2〜5時間、好ましくは0.5〜2.5時間である。
反応温度は、通常、−100℃〜0℃、好ましくは−80℃〜−50℃である。
本反応で得られたオキシム体は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの常法により精製することができるが、精製することなく次の反応に使用することもできる。
オキシム体を脱水する反応で使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの含ハロゲン炭化水素類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類である。
オキシム体を脱水する反応で使用する酸としては、塩化チオニル、オキシ塩化リンなどが挙げられ、好ましくは、塩化チオニルである。酸の使用量は、オキシム体又は化合物(IX)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1.1〜1.3モルである。
反応時間は、通常、0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間である。
反応温度は、通常、60℃〜120℃、好ましくは70℃〜100℃である。
工程6
工程6は、化合物(X)を化合物(XXIV)と反応させることにより、化合物(XI)を得る工程である。
本反応は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基、及び塩化水素−メタノールなどの酸を使用して、適切なpH(例えば、pH=6)に調整して行うことが好ましい。
化合物(XXIV)の使用量は、化合物(X)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1.1〜2モルである。
反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応時間は、通常、5〜24時間、好ましくは6〜12時間である。
反応温度は、通常、10℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃である。
工程7
工程7は、化合物(XI)を、溶媒中、化合物(XXV)と反応させることにより、化合物(XII)又は化合物(XIII)を得る工程である。
化合物(XXV)の使用量は、化合物(XI)1モルに対して、1〜1.5モル、好ましくは1〜1.2モルである。
反応に使用する溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの含ハロゲン炭化水素類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの含ハロゲン炭化水素類である。
Xがトリフルオロメタンスルホニルオキシである化合物(XXV)を使用した場合、化合物(XXV)の使用量は、化合物(XI)1モルに対して、1〜1.5モル、好ましくは1〜1.2モルである。
反応に使用する溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどのエーテル類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類である。
反応時間は、通常、1〜10時間、好ましくは3〜7時間である。
反応温度は、通常、−78℃〜10℃、好ましくは−20℃〜0℃である。
本工程で得られる生成物は、Rが導入されるイミダゾール環が2つあるため、化合物(XII)と化合物(XIII)との混合物となる。これら位置異性体は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの常法により分離することができる。
工程8
工程8は、化合物(XII)又は化合物(XIII)を脱保護することにより、化合物(I)又は化合物(II)をそれぞれ得る工程である。
脱保護反応は、保護基の種類によって異なるが、自体公知の方法(例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”(Theodora W. Greene 著、1981年、A Wiley-Interscience Publication発行)に記載の方法)により行うことができる。
例えば、Pが、シリル基である場合、化合物(XII)又は化合物(XIII)を、溶媒中、フッ化物イオンで処理することにより、脱保護を行うことができる。
反応に使用するフッ化物イオンとしては、フッ化ナトリウム−フッ化水素緩衝液、テトラブチルアンモニウムフルオリドなどが挙げられる。フッ化物イオンの使用量は、化合物(XII)又は化合物(XIII)1モルに対して、5〜50モル、好ましくは10〜15モルである。
反応に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどアルコール類;水;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類である。
反応時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
反応温度は、通常、−5℃〜10℃、好ましくは0℃〜5℃である。
及びRが結合して環を形成している化合物(III)及び(IV)は、以下に示すB法により製造することができる。
Figure 2007094325
[式中、R10は、C1−6アルキル基であり、mは、1〜5の整数であり、nは、(m−1)で表される整数であり、Pは、水酸基の保護基であり、その他の記号は上記と同義である。]
で示される「水酸基の保護基」としては、P又はP2で示される「水酸基の保護基」と同様のものが挙げられ、工程13で行われる脱保護の観点から、Pとは異なるものであることが好ましい。
工程9
工程9は、化合物(VIII)を、塩基存在下、化合物(XXVI)と反応させることにより、化合物(XIV)を得る工程である。
反応に使用する塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;カリウムtert−ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられ、好ましくは、水素化ナトリウムである。塩基の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1.1〜1.6モルである。
化合物(XXVI)の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、1.0〜1.3モル、好ましくは1.0〜1.1モルである。
反応に使用する溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類である。
反応時間は、通常、0.2〜1.5時間、好ましくは0.5〜1時間である。
反応温度は、通常、−10℃〜20℃、好ましくは0℃〜10℃である。
工程10
工程10は、化合物(XIV)を還元して、化合物(XV)を得る工程である。
本工程は、還元剤を使用して還元する方法により行うことができる。
反応に使用する還元剤としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられ、好ましくは、水素化ホウ素カルシウムである。還元剤の使用量は、化合物(XIV)1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1.5〜2.5モルである。
反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;又はそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類である。
反応時間は、通常、0.5〜2時間、好ましくは1〜1.5時間である。
反応温度は、通常、−20℃〜10℃、好ましくは−10℃〜0℃である。
工程11
工程11は、化合物(XV)を保護することにより、化合物(XVI)を得る工程である。
保護反応は、保護基の種類によって異なるが、自体公知の方法(例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”(Theodora W. Greene 著、1981年、A Wiley-Interscience Publication発行)に記載の方法)により行うことができる。
が、シリル基である場合、化合物(XV)を、溶媒中、塩基存在下、対応するシリルハライドと反応させることにより、化合物(XVI)を得ることができる。
反応に使用する塩基としては、トリエチルアミン、イミダゾール、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどの有機アミンなどが挙げられる。塩基の使用量は、化合物(XV)1モルに対して、1〜10モル、好ましくは2〜5モルである。
シリルハライドの使用量は、化合物(XV)1モルに対して、1〜10モル、好ましくは1.2〜3モルである。
反応に使用する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジクロロメタンなどの含ハロゲン炭化水素類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応時間は、通常、0.1〜2時間、好ましくは0.2〜1時間である。
反応温度は、通常、−10℃〜20℃、好ましくは0℃〜10℃である。
工程12
工程12は、化合物(XVI)を、塩基存在下、亜硝酸エステルと反応させることにより、オキシム体を得て、ついで当該オキシム体を、塩基及び酸存在下で脱水することにより、化合物(XVII)を得る工程である。
まず、オキシム体を得る反応について説明する。
反応に使用する塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド;カリウムtert−ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられ、好ましくは、リチウムジイソプロピルアミドである。塩基の使用量は、化合物(XVI)1モルに対して、2〜3モル、好ましくは2.2〜2.6モルである。
反応に使用する亜硝酸エステルとしては、亜硝酸エチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ブチルなどが挙げられる。亜硝酸エステルの使用量は、化合物(XVI)1モルに対して、2〜10モル、好ましくは3〜5モルである。
反応に使用する溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類である。
反応時間は、通常、0.2〜5時間、好ましくは0.5〜2.5時間である。
反応温度は、通常、−100℃〜0℃、好ましくは−80℃〜−50℃である。
本反応で得られたオキシム体は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの常法により精製することができるが、精製することなく次の反応に使用することもできる。
オキシム体を脱水する反応で使用する塩基としては、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジンなどが挙げられ、好ましくは、4−ジメチルアミノピリジンである。塩基の使用量は、オキシム体又は化合物(XVI)1モルに対して、1〜5モル、好ましくは3〜4モルである。
オキシム体を脱水する反応で使用する酸としては、塩化チオニル、オキシ塩化リンなどが挙げられ、好ましくは、塩化チオニルである。酸の使用量は、オキシム体又は化合物(XVI)1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
オキシム体を脱水する反応で使用する溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタンなど含ハロゲン炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、好ましくは、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの含ハロゲン炭化水素類である。
反応時間は、通常、1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。
反応時間は、通常、−20℃〜35℃、好ましくは−10℃〜20℃である。
工程13
工程13は、化合物(XVII)を脱保護して、化合物(XVIII)を得る工程である。
脱保護反応は、保護基の種類によって異なるが、自体公知の方法(例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”(Theodora W. Greene 著、1981年、A Wiley-Interscience Publication発行)に記載の方法)により行うことができるが、保護基Pのみを除去できる条件を選択することが好ましい。
例えば、Pがtert−ブチルジメチルシリル基であり、Pがトリエチルシリル基である場合、アセトニトリルなどの溶媒中、塩化セリウム七水和物存在下反応させることにより、Pのみを除去することができる。
工程14
工程14は、化合物(XVIII)を、溶媒中、塩基存在下、化合物(XXVII)と反応させることにより、化合物(XIX)を得る工程である。
反応に使用する塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは、炭酸カリウムである。塩基の使用量は、化合物(XVIII)1モルに対して、0.1〜1.5モル、好ましくは0.5〜1モルである。
化合物(XXVII)の使用量は、化合物(XVIII)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1〜1.5モルである。
反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応時間は、通常、1〜5時間、好ましくは1.5〜3時間である。
反応温度は、通常、10℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃である。
工程15
工程15は、化合物(XIX)を閉環反応させることにより、化合物(XX)を得る工程である。
本工程は、例えば、光延反応による方法;分子内求核置換反応などにより行うことができ、好ましくは、光延反応による方法である。
光延反応は、通常、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのホスフィン類、及びアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジtert−ブチル、アゾジカルボン酸ジベンジルなどのアゾジカルボン酸エステルの存在下行われる。ホスフィン類の使用量は、化合物(XIX)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは、1.1〜2モルである。アゾジカルボン酸エステルの使用量は、化合物(XIX)1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1.1〜2モルである。
反応に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類である。
反応時間は、通常、0.5〜3時間、好ましくは、0.5〜1.5時間である。
反応温度は、通常、10℃〜30℃、好ましくは、15℃〜25℃である。
工程16
工程16は、化合物(XX)を、溶媒中、化合物(XXV)と反応させることにより、化合物(XXI)又は化合物(XXII)を得る工程であり、上記工程7と同様にして行うことができる。
本工程で得られる生成物は、Rが導入されるイミダゾール環が2つあるため、化合物(XXI)と化合物(XXII)との混合物となる。これら位置異性体は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの常法により分離することができる。
工程17
工程17は、化合物(XXI)又は化合物(XXII)を脱保護することにより、化合物(III)又は化合物(IV)をそれぞれ得る工程であり、上記工程8と同様にして行うことができる。
このようにして製造された本発明の化合物は、以下の特性の少なくとも1つを有する蛍光物質である。好ましくは2以上の特性を有し、より好ましくは以下のすべての特性を有する。
A) 水に可溶であり、水溶液中でのストークスシフトが大きい。
本発明におけるストークスシフトとは、水溶液中での本発明の化合物の励起波長と蛍光波長との差をいい、通常100nm以上であり、好ましくは110〜250nmであり、より好ましくは120〜250nmである。このようなストークスシフトを示す化合物は、励起光やラマン散乱などのバックグランドを無視することができ、高感度で微量成分を検出することができる。また、本発明の化合物が水に可溶であることは、生体内の微量成分の検出に有利である。
B) 蛍光量子収率が高い。
本発明の化合物は、ストークスシフトの大きさに加え、蛍光量子収率も高い。ここで、蛍光量子収率とは、吸収光子数と放出光子数の比率であり、励起状態から非放射メカニズムではなく蛍光により失活する確率をいい、通常0.1以上であり、好ましくは0.1〜1.0である。このような蛍光量子収率を有し、かつストークスシフトの大きい化合物は、放射性同位体を用いた検出法と同等以上の感度が期待でき、高感度で微量成分を検出することができる。
C) 蛍光物質として安定性が高い。
本発明の化合物は、pH3〜10の範囲では、pHに依存することなく安定な蛍光を発する。したがって、前記範囲内でpHが大きく変化する条件下での蛍光強度の測定にも好適に使用することができる。
D) 修飾されても安定性が高い。
本発明の化合物は、核酸又はペプチドなどの生体由来分子に結合させるため、又は酵素基質として用いるため、種々の修飾がなされた場合でも、蛍光物質としての安定性が高い。したがって、様々な用途に供することが期待される。
E) 溶媒により蛍光の色が変化する。
本発明の化合物は、溶解させる溶媒により蛍光の色が変化する。特に、低濃度の水を含む溶媒では蛍光の色相の変化を肉眼でも確認することができる。この性質を利用して、水分の割合を予想することができる。例えば、水の割合が0〜10v/v%の水−メタノール混合溶液中の色相の変化は、試験例2に記載されている。
本発明の化合物は、様々な物質と結合させ、蛍光標識として使用することができる。結合対象の物質としては、特に限定されるものではないが、天然又は合成の低分子化合物、天然又は合成の高分子化合物などがあげられる。中でも、核酸及びタンパク質を始めとする生体由来の物質の検出に利用されることが期待される。
本発明は、本発明の化合物と、核酸、ペプチド、糖及び脂質からなる群より選ばれる生体由来分子とを含む、蛍光標識分子を提供する。前記蛍光標識分子は、生体由来分子が本発明の化合物のリンカー部分と共有結合していることが好ましい。
本発明の蛍光標識分子中に含まれ、本発明の化合物の結合対象となる前記核酸は、DNA、RNAなどの天然核酸もしくは合成核酸又は核酸類似体であってもよく、核酸の長さも特に限定されるものではない。核酸と結合又は複合体を形成したペプチドもしくは脂質などを含んでいてもよい。
同様に、前記ペプチドは、天然もしくは合成ペプチドであってもよく、ペプチドの長さも特に限定されるものではない。ペプチドと結合又は複合体を形成した核酸、糖、脂質などを含んでいてもよい。
同様に、前記糖は、天然もしくは合成の糖であってもよく、単糖、オリゴ糖、多糖のいずれでもよく、糖と結合又は複合体を形成したペプチド、脂質などを含んでいてもよい。
同様に、前記脂質は、天然もしくは合成脂質であってもよく、脂質と結合又は複合体を形成した核酸、ペプチド、糖などを含んでいてもよい。
本発明は、ドナー蛍光分子として本発明の化合物と、核酸、ペプチド、糖及び脂質からなる群より選ばれる生体由来分子と、アクセプター蛍光分子とを含む、蛍光共鳴エネルギートランスファーを利用する蛍光指示薬を提供する。
「蛍光共鳴エネルギートランスファー(FRET)」とは、ドナー蛍光分子が励起し、励起したエネルギーを放出する際に共鳴によるエネルギーの移動によりそのエネルギーを受け取ったアクセプター蛍光分子が励起される現象をいう。
前記ドナー蛍光分子(本発明の化合物)と、生体由来分子と、アクセプター蛍光分子とは、FRETを起こすためには、一定の間隔で共有結合していることが好ましい。
前記アクセプター蛍光分子としては、前記ドナー蛍光分子の蛍光スペクトルと重なる蛍光スペクトルを有し、ドナー蛍光分子の双極子配向とほぼ平行の双極子配向であるものが好ましい。このようなアクセプター蛍光分子としては、Acridine、AMCA、BODIPY、Cascade Blue、Cy2、Cy3、Cy5、Cy7、Dabcyl、Edans、Eosin、Erythrosin、Fluorescein、6-Fam、TET、Joe、HEX、LightCycler、NBD、Oregon Green、Rhodamine 6G、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Rhodol Green、TAMRA、ROX、Texas Red、NED、VICなどがあげられる。
FRETを効率良く起こすためには、蛍光指示薬中のドナー蛍光分子とアクセプター蛍光分子との距離は、通常、1〜10nm程度であることが好ましい。
本発明の蛍光標識分子及び蛍光指示薬は、生体成分などの検出の便宜に供するため、担体に結合されていることが好ましい。ここで、担体としては、セファロース、アガロース、ポリアクリル酸誘導体、ポリスチレンなどがあげられ、これらは好ましくはビーズ状又はスティック状又は平板状に加工されるが、これに限定されない。
本発明の蛍光標識分子及び蛍光指示薬は、公知の添加剤などを含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、アジ化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの保存剤、水、生理食塩水、緩衝液などの希釈剤、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、グリセロールなどの有機溶媒などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
本発明の蛍光標識分子及び蛍光指示薬中に含まれる蛍光成分の含有量は、所望の検出効果を奏することができる範囲で適宜設定することができるが、通常、0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜99.9重量%、より好ましくは0.5〜99.5重量%である。
本発明は、本発明の化合物を蛍光標識として使用することを特徴とする、環境物質又は生体由来分子などの微量成分を測定する方法を提供する。環境物質の測定のため、環境物質を特異的に認識する抗体を用いる場合、下記生体由来分子の測定方法に準じて行うことができる。
本発明は、前記蛍光標識分子又は蛍光指示薬を使用することを特徴とする、生体由来分子の測定方法を提供する。
前記生体由来分子の測定方法は、前記蛍光標識分子又は蛍光指示薬と測定対象を含む試料とを混合して試料溶液を調製する工程、及び
蛍光検出系を用いて前記試料溶液の蛍光信号全体の強さ、蛍光信号の時間経過による変化又は蛍光偏光の度合いを計測する工程
を含む。
1)試料溶液を調製する工程
測定対象を含む試料とは、試料中に測定対象が存在する可能性がある限り、いかなる試料であってもよい。
前記蛍光標識分子又は蛍光指示薬と測定対象を含む試料とを混合する方法は、用いる試薬に適した溶液中で、当該試薬と測定対象とが接触できるような条件下で行えばよい。例えば、試薬と測定対象とが溶解可能な溶媒中で、約0〜40℃程度の温度で数分〜1日程度混合させることができる。前記混合には、機械的に混合する手段の他、静置させる手段も含まれる。調製された試料溶液は、下記計測工程に供される。
2)蛍光検出系を用いて前記試料溶液の蛍光信号全体の強さ、蛍光信号の時間経過による変化又は蛍光偏光の度合いを計測する工程
本発明において、蛍光検出系とは、公知のあらゆる検出系を使用することができ、特に限定されるものではない。
前記蛍光検出系において、蛍光信号全体の強さ、蛍光信号の時間経過による変化又は蛍光偏光の度合いを定性的又は定量的に計測することができる。
前記計測工程により得られた信号は、対照試料における信号と比較し、場合によっては一定の既知濃度の測定対象を含む試料における信号と対比させ、検出対象の試料中に含まれる物質を定性的又は定量的に検出することができる。
本発明においては、検出の容易性及び感度の観点から、担体に担持された検出試薬を用いることが好ましい。
本発明は、本発明の化合物を蛍光標識として使用することを特徴とする、細胞内分子イメージング方法を提供する。かかる方法は、本発明の化合物により蛍光標識された分子をインビトロで培養した細胞又は生体内に所定の方法により加え、細胞内又は生体内の挙動を蛍光顕微鏡下で観察することなどにより、行うことができる。
以下に、実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例1〜9は次に示す合成経路に従って実施した。
Figure 2007094325
実施例1:化合物6の合成
Pd-C (1.8 g) のエタノール懸濁液 (25 mL) を、常圧にて水素気流下4時間撹拌した。文献 (Han, G.; Shin, K. J.; Kim, D. C.; Yoo, K. H.; Kim, D. J.; Park, S. W. Heterocycles, 1996, 43, 2496.) に従い調製した化合物5 (3.0 g, 0.013 mol) のエタノール溶液 (150 mL) を加え、同条件下2日間撹拌した。触媒を濾去した後、濾液を減圧濃縮し、化合物6の粗結晶を得た。本化合物は精製することなく次の反応に用いたが、分析用試料はエタノールから再結晶することにより得た。
化合物6: 無色結晶.
mp 155-157℃ (EtOH).
IR ν (KBr): 3224, 1754, 1669, 1532, 1209, 1157cm-1.
1H-NMR (CD3OD) δ : 2.13 (3H, s), 2.22 (3H, s), 6.39 (1H, dd, J = 8.5, 2.5 Hz), 6.54 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.06 (1H, d, J = 8.5 Hz).
13C-NMR (CD3OD) δ c : 21.0, 23.0, 110.6, 111.6, 122.0, 127.9, 144.7, 151.1, 170.9, 172.2.
EI-MS (m/z, %): 208 (M+, 31), 124(100).
Anal. Calcd for C10H12N2O3: C, 57.69; H, 5.81; N, 13.45. Found: C, 57.31; H, 5.82; N, 13.39.
実施例2:化合物7の合成
化合物6のエタノール溶液 (50 mL) に、ベンゼン (200 mL) 及びp-トルエンスルホン酸1水和物 (2.47 g, 0.013 mol) を加え、Dean-Stark蒸留器を用いて12時間加熱還流した。反応液を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物7 (1.88 g, 76% from 化合物5) を得た。
化合物7: 無色結晶.
mp 192-195℃ (AcOEt).
IR ν (KBr): 3334, 2695, 1755, 1370, 1134, 1019 cm-1.
1H-NMR (CDCl3) δ : 2.34 (3H, s), 2.52 (3H, s), 6.92 (1H, dd, J = 8.5, 2 Hz), 7.20 (1H, d, J = 2 Hz), 7.43 (1H, d, J = 8.5 Hz).
13C-NMR (CDCl3) δ c : 15.0, 21.3, 107.4, 114.7, 116.0, 136.3, 138.3, 145.9, 152.1, 170.4.
EI-MS (m/z, %): 190 (M+, 26), 148 (100).
Anal. Calcd for C10H10N2O2: C, 63.15; H, 5.30; N, 14.73. Found: C, 63.04; H, 5.39; N, 14.59.
実施例3:化合物8の合成
炭酸ナトリウム (660 mg) 及び重曹 (743 mg) の水懸濁液 (7.5 mL) に、化合物7 (63 mg, 0.33 mmol) のメタノール溶液 (7.5 mL) を滴下し、室温で3時間撹拌した。メタノールを減圧留去後、飽和シュウ酸水を加え酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒を減圧留去し、フェノール体 (58 mg) を得た。得られたフェノール体は精製することなくただちに次の反応に用いた。フェノール体 (58 mg) のDMF (2 mL) 溶液に、イミダゾール (132 mg, 1.94 mmol) 及びTBDMSCl (176 mg, 1.16 mmol) を加え、室温で12時間撹拌した。反応液をエーテルで希釈後、水を加え、エーテルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン:メタノール = 30 : 1) により精製し、化合物8 (67.5 mg, 78%) を得た。
化合物8: 無色結晶.
mp 148.5-150.5℃ (AcOEt).
IR ν (KBr): 2930, 2857, 1728, 1628, 1458, 1408, 1254, 1167 cm-1.
1H-NMR (CDCl3) δ : 0.18 (6H, s), 0.98 (9H, s), 2.61 (3H, s), 6.76 (1H, dd, J =9, 2 Hz), 6.99 (1H, d, J = 2 Hz), 7.38 (1H, d, J = 9 Hz), 10.24 (1H, br s).
13C-NMR (CDCl3) δ c : -4.3, 15.0, 18.3, 25.8, 104.5, 114.8, 115.8, 134.0, 138.5, 151.0, 151.3.
EI-MS (m/z, %): 262 (M+, 42), 205 (100).
Anal. Calcd for C14H22N2OSi : C, 64.08; H, 8.45; N, 10.67. Found: C, 64.08; H, 8.40; N, 10.66.
実施例4:化合物9の合成
窒素気流下、あらかじめ無水ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(60% in oil, 68.6 mg, 1.71 mmol) の無水THF (1 mL) 懸濁液中に、化合物8 (300 mg, 1.14 mmol) の無水THF溶液 (1.5 mL) を加え、室温で30分間撹拌した。さらに、ヨウ化メチル (78.3 μL, 1.26 mmol) を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に氷水を加えた後、エーテルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物9 (279 mg, 88%) を得た。
なお、化合物9a (1-メチル体) と化合物9b (3-メチル体) はシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:アセトン=10:1) により分離可能であるが、混合物のまま次の反応に用いた。
化合物9a: 無色結晶.
mp 130-131℃ (AcOEt-hexane).
IR ν (KBr) : 3428, 2932, 2858, 1622, 1587, 1514, 1481, 1397, 1257, 1162 cm-1.
UV λmax MeCNnm (ε): 290 (6000), 256 (6100).
1H-NMR (CDCl3) δ : 0.19 (6H, s), 0.99 (9H, s), 2.56 (3H, s), 3.68 (3H, s), 6.80 (1H, dd, J = 9, 3 Hz), 7.09 (1H, d, J = 9 Hz), 7.14 (1H, d, J = 3 Hz).
13C-NMR (CDCl3) δ c : -4.4, 13.9, 18.3, 25.8, 29.9, 108.6, 109.1, 115.7, 130.9, 143.0, 151.0, 152.0.
EI-MS (m/z, %): 276 (M+, 41), 219 (100).
Anal. Calcd for C15H24N2OSi : C, 65.17; H, 8.75; N, 10.13. Found: C, 65.25; H, 8.67; N, 10.10.
化合物9b: 無色結晶.
mp 141.5-145℃ (AcOEt-hexane).
IR ν (KBr) : 3466, 2934, 2859, 1626, 1476, 1400, 1254, 1209, 1093 cm-1.
UV λmax MeCNnm (ε): 284 (7900), 258 (4500).
1H-NMR (CDCl3) δ : 0.20 (6H, s), 1.01 (9H, s), 2.56 (3H, s), 3.65 (3H, s), 6.70 (1H, d, J = 2 Hz), 6.75 (1H, dd, J = 9, 2 Hz), 7.49 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (CDCl3) δ c : -4.3, 13.9, 18.3, 25.8, 29.9, 99.8, 115.2, 118.9, 136.2, 137.2, 150.9, 151.3.
EI-MS (m/z, %): 276 (M+, 78), 219 (100).
Anal. Calcd for C15H24N2OSi : C, 65.17; H, 8.75; N, 10.13. Found: C, 65.00; H, 8.69; N, 10.06.
実施例5:化合物10の合成
常法に従い、ジイソプロピルアミン (251 μL, 1.79 mmol) 及び n-ブチルリチウムヘキサン溶液 (1.50 M, 1.19 mL, 1.79 mmol) から調製したLDAのTHF溶液 (2.4 mL) に、窒素気流下、-78℃で化合物9 (198 mg, 0.716 mmol) の THF (1.2 mL) 溶液を滴下し、-78℃で30分間撹拌した。さらに、亜硝酸ブチル (429 μL, 3.58 mmol) を加え、-78℃で45分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え室温に戻した後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後、溶媒を減圧留去し、粗オキシム体を得た。得られた粗オキシム体は精製することなく、ただちに以下の反応に用いた。
粗オキシム体のベンゼン (2 mL) 溶液を15分間加熱還流した。塩化チオニル (65.3 μL, 0.895 mmol) を滴下し、さらに1時間加熱還流した。室温に戻した後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン=1:10) により分離精製し、化合物10b (3-メチル体, 49.9 mg, 24%) 及び化合物10a (1-メチル体, 46.8 mg, 23%)を得た。
化合物10a: 微黄色針状晶.
mp 170.5-173.5℃ (AcOEt-hexane).
IR ν (KBr): 3467, 2931, 2859, 2237, 1622, 1486, 1266, 1169 cm-1.
UV λmax MeCNnm (ε): 316 (7600), 274 (12000).
1H-NMR (CDCl3) δ : 0.22 (6H, s), 1.00 (9H, s), 3.97 (3H, s), 7.06 (1H, dd, J =9, 2 Hz), 7.24 (1H, d, J = 2 Hz), 7.28 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (CDCl3) δ c : -4.4, 18.3, 25.7, 31.5, 110.2, 110.3, 111.0, 121.5, 126.7, 129.9, 143.1, 153.2.
EI-MS (m/z, %): 287 (M+, 73), 230 (100).
Anal. Calcd for C15H21N3OSi : C, 62.68; H, 7.36; N, 14.62. Found: C, 62.61; H, 7.34; N, 14.58.
化合物10b: 無色結晶.
mp 109.5-111℃ (AcOEt-hexane).
IR ν (KBr): 3443, 2930, 2858, 2239, 1624, 1497, 1467, 1397, 1268 cm-1.
UV λmax MeCNnm (ε): 310 (20000).
1H-NMR (CDCl3) δ : 0.24 (6H, s), 1.02 (9H, s), 3.93 (3H, s), 6.79 (1H, d, J = 2 Hz), 6.95 (1H, dd, J = 9, 2 Hz), 7.68 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (CDCl3) δ c : -4.3, 18.3, 25.7, 31.2, 99.8, 111.2, 119.3, 122.0, 125.9, 135.6, 137.4, 155.1.
EI-MS (m/z, %): 287 (M+, 29), 230 (100). Anal. Calcd for C15H21N3OSi : C, 62.68; H, 7.36; N, 14.62. Found: C, 62.66; H, 7.33; N, 14.66.
実施例6:化合物11の合成
窒素気流下、化合物10b (85.0 mg, 0.296 mmol) の無水メタノール溶液 (6.0 mL) に、室温下、炭酸カリウム (45.0 mg, 0.352 mmol) を加え、室温で15分間攪拌した。塩化水素-メタノール溶液により pH 6 に調整したのち、N-メチル-1,2-フェニレンジアミン (67μL, 0.59 mmol) を加え、室温で9時間攪拌した。飽和重曹水を加え、メタノールを減圧留去後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-へキサン : 酢酸エチル = 6 : 1) により精製し、化合物11 (44.0 mg, 38%) を得た。
化合物11: 無色結晶.
mp 110-115℃.
IR ν (KBr) : 2953, 2857, 1622, 1463 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.26 (6H, s), 1.08 (9H, s), 4.25 (3H, s), 4.29 (3H, s), 6.91 (2H, m), 7.03-7.46 (3H, m), 7.70 (1H, d, J = 9 Hz), 7.85 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3) δc: -4.4, 18.2, 25.6, 32.3, 32.3, 100.3, 110.0, 117.1, 120.1, 120.5, 122.7, 123.7, 136.1, 137.0, 137.6, 142.5, 142.7, 143.3, 153.1.MS (FAB) m/z: 393 (M+H+).
HRMS Calcd for C22H29N4OSi: 393.2111. Found: 393.2097.
実施例7:化合物12及び13の合成
窒素気流下、化合物11 (45.0 mg, 0.115 mmol) の無水ジクロロメタン溶液 (2.30 mL)に、-78℃冷却下、メチルトリフラート (13 μL, 0.12 mmol) を加え、-10℃冷却下5時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた粗成績体をシリカゲルクロマトグラフィー (クロロホルム : メタノール = 30 : 1) により分離精製し、化合物12 (26.0 mg, 36%) 及び化合物13 (23.0 mg, 41%) を得た。
化合物12: 白色粉末.
mp 287-290℃.
IR ν (KBr) : 2930, 1621, 1530, 1465, 1260, 1160 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.28 (6H, s), 1.05 (9H, s), 4.06 (3H, s), 4.13 (6H, s), 6.95 (1H, d, J = 2 Hz), 7.03 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.75 (1H, d, J = 9 Hz), 7.77-7.86 (4H, m).
13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3) δc: -4.3, 19.1, 26.1, 32.3, 34.0, 102.3, 114.7, 120.6, 122.4, 129.4, 134.0, 134.9, 138.7, 139.6, 141.6, 156.3.
MS (FAB) m/z: 407 (M+).
HRMS Calcd for C23H31N4OSi: 407.2267. Found: 407.2278.
化合物13: 白色粉末.
mp 189-192℃.
IR ν (KBr) : 2930, 1632, 1500, 1276, 1159 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.30 (6H, s), 1.04 (9H, s), 4.03 (3H, s), 4.09 (3H, s), 7.13 (1H, d, J = 2 Hz), 7.27 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.47-7.64 (3H, m), 7.69 (1H, d, J = 9 Hz), 7.91 (1H, d, J = 8 Hz).
13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3) δc: -4.6, 19.1, 26.1, 32.3, 33.8, 34.0, 104.3, 112.7, 115.7, 121.2, 123.8, 125.6, 127.2, 129.0, 135.2, 135.7, 137.3, 137.7, 144.2, 157.8.
MS (FAB) m/z: 407 (M+).
HRMS Calcd for C23H31N4OSi: 407.2267. Found: 407.2262.
実施例8:化合物1の合成
窒素気流下、化合物12 (14.0 mg, 0.0344 mmol) の無水THF溶液 (1.0 mL) に、氷冷下pH 5フッ化ナトリウム-フッ化水素緩衝液 (0.50 mL) を加え、同条件下1.5時間攪拌した。エーテルで希釈後、生じた沈殿を遠心分離により集めた。沈殿をエーテルで洗浄し、減圧下乾燥し、化合物1 (6.0 mg, 60%) を得た。
化合物1: 黄色粉末.
mp 114-119℃.
IR ν (KBr) : 1617, 1573, 1522 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 3.84 (3H, s), 4.11 (6H, s), 6.82 (1H, d, J = 2 Hz), 6.94 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.59 (1H, d, J = 9 Hz), 7.85 (2H, dd, J = 3, 6 Hz), 8.08 (2H, dd, J = 3, 6 Hz).
MS (FAB) m/z: 293 (M+H+).
HRMS Calcd for C17H17N4O: 293.1402. Found: 293.1397.
実施例9:化合物2の合成
化合物1の合成と同様の操作により、化合物13 (40.0 mg, 0.0982 mmol) を用い、氷冷下20時間攪拌し、化合物2 (16.2 mg, 56%) を得た。
化合物2: 黄色粉末.
mp 180-184℃.
IR ν (KBr) : 2924, 1610, 1514, 1468 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CD3OD) δ: 3.89 (3H, s), 3.95 (3H, s), 3.99 (3H, s), 6.86 (1H, d, J = 2 Hz), 7.12 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.47-7.61 (2H, m),7.65 (1H, d, J = 9 Hz), 7.78 (1H, d, J = 8 Hz), 7.89 (1H, d, J = 8 Hz).
MS (FAB) m/z: 293 (M+H+).
HRMS Calcd for C17H17N4O: 293.1402. Found: 293.1393.
以下の実施例10〜19は次に示す合成経路に従って実施した。
Figure 2007094325
実施例10:化合物14の合成
窒素気流下、あらかじめ無水ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(60% in oil, 264 mg, 6.6 mmol) の無水THF (5 mL) 懸濁液中に、化合物8 (1.15 g, 4.4 mmol) の無水THF (8 mL) 溶液を氷冷下滴下し、同温で30分攪拌した。氷冷下、ブロモ酢酸エチル (532 μL, 4.80 mmol) を加え、同温にてさらに30分攪拌した後、反応液に氷水を加え、エーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム : メタノール = 60 : 1) により精製し、1位置換体及び3位置換体の混合物(約1 : 1)として化合物14 (1.38 g, 90%) を得た。両位置異性体は分離することなく以下の反応に用いた。
化合物14: 微黄色粉末.
mp 64.0-66.0℃.
IR ν (KBr) : 3395, 2933, 2857, 1749, 1623, 1478, 1260, 1202, 1161 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 0.19 (12H, s), 0.98 (9H, s), 0.99 (9H, s), 1.25 (6H, d, J = 7 Hz), 2.54 (3H, s), 2.55 (3H, s), 4.22 (4H, q, J = 7 Hz), 4.72 (2H, s), 4.75 (2H, s), 6.64 (1H, d, J = 2 Hz), 6.76 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 6.78 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.03 (1H, d, J = 9 Hz), 7.15 (1H, d, J = 2 Hz), 7.51 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (67.8 MHz, CDCl3) δc: -4.4, -4.4, 13.7, 13.8, 14.1, 18.3, 18.3, 25.8, 25.8, 45.1, 45.1, 62.0, 100.0, 108.4, 109.3, 115.6, 116.1, 119.2, 130.2, 135.7, 137.1, 142.9, 150.8, 151.3, 151.7, 152.0, 167.0, 167.0.
Ms (EI) m/z :348 (M+,87), 291 (100).
Anal. Calcd for C18H28N2O3Si: C, 62.03; H, 8.10; N, 8.04. Found: C, 62.02; H, 8.04; N, 7.97.
実施例11:化合物15の合成
窒素気流下、塩化カルシウム (811 mg, 7.31 mmol) の無水エタノール (14 mL) 溶液に、-10℃冷却下、水素化ホウ素ナトリウム (531 mg, 14.1 mmol) の無水エタノール (14 mL)懸濁液を滴下した。本反応液中に化合物14 (1.96 g, 5.62 mmol) の無水エタノール (30 mL) 溶液を-10℃冷却下で滴下し、同温で1時間攪拌した。酢酸エチルで希釈後、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物15 (1.47 g, 86%) を得た。
化合物15: 無色油状物.
IR ν (KBr) : 4347, 3222, 2932, 2857, 1622, 1478, 1408, 1258, 1163 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 0.16 (6H, s), 0.17 (6H, s), 0.98 (9H, s), 0.99 (9H, s), 2.19 (3H, s), 2.21 (3H, s), 3.94 (4H, br t, J = 5 Hz), 4.05 (4H, br t, J = 5 Hz), 6.60 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 6.66 (1H, d, J = 2 Hz), 6.68 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 6.87 (1H, s), 7.04 (1H, d, J = 9 Hz), 7.12 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (67.8 MHz, CDCl3) δc: -4.4, -4.3, 13.6, 13.6, 18.3, 18.3, 25.8, 25.8, 45.6, 62.0, 62.1, 100.2, 108.4, 109.1, 115.4, 115.8, 118.2, 129.9, 135.1, 136.2, 142.2, 151.0, 151.3, 151.3, 152.3.
Ms (EI) m/z: 306 (M+,100).
Anal. Calcd for C16H26N2O2Si: C, 62.70; H, 8.55; N, 9.14. Found: C, 62.55; H, 8.38; N, 9.04.
実施例12:化合物16の合成
窒素気流下、化合物15 (1.84 g, 6.00 mmol) 及びイミダゾール (613 mg, 9.00 mmol) のDMF (12 mL) 溶液に、氷冷下、TESCl (1.21 mL, 7.20 mmol) を滴下し、同条件下10分撹拌した。室温にした後、さらに14時間攪拌した。反応液をエーテルで希釈後、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-へキサン : 酢酸エチル = 1 : 1) により精製し、化合物16 (2.07 g, 82%) を得た。
化合物16: 無色油状物質.
IR ν (KBr) : 2954, 1622, 1477 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 0.19 (6H, s), 0.20 (6H, s), 0.38-0.50 (12H, m), 0.77-0.85 (18H, m), 1.00 (9H, s), 1.02 (9H, s), 3.86-3.92 (4H, m), 4.13-4.20 (4H, m), 6.69-6.78 (3H, m), 7.08 (1H, d, J = 9 Hz), 7.13 (1H, d, J = 2 Hz), 7.48 (1H, d, J = 9 Hz).
実施例13:化合物17の合成
常法に従い、ジイソプロピルアミン (1.68 mL, 12.0 mmol) 及びn-ブチルリチウムヘキサン溶液 (1.54 M, 7.8 mL, 12.0 mmol) から調製したLDAのTHF (15 mL) 溶液に、-78℃冷却下、化合物16 (2.02 g, 4.80 mmol) の無水THF (17 mL) 溶液を滴下し、同条件下1時間攪拌した。亜硝酸ブチル (2.88 mL, 24.0 mmol) を加え、-78℃冷却下2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温に戻した後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、粗オキシム体を得た。粗オキシム体は精製することなくただちに以下の反応に用いた。
窒素気流下、4-ジメチルアミノピリジン (2.05 g, 16.8 mmol) の無水ジクロロメタン(30 mL) 溶液に、-10℃冷却下、10%塩化チオニル-ジクロロメタン溶液 (5.30 mL, 7.20 mmol) を滴下し同温にて5分間攪拌した。-10℃冷却下、上記粗オキシム体の無水ジクロロメタン(20 mL) 溶液を反応液中に滴下し、同条件下さらに5分間攪拌した。室温に戻し、2時間攪拌した後、飽和重曹水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン : ベンゼン : 酢酸エチル= 7 : 7 : 1) により精製し、化合物17 (1.42 g, 69%) を得た。
化合物17: 黄色油状物質.
IR ν (KBr) : 2953, 2859, 2235, 1620 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 0.21 (6H, s), 0.24 (6H, s), 0.37-0.49 (12H, m), 0.74-0.85 (18H, m), 1.00 (9H, s), 1.01 (9H, s), 3.39-3.98 (4H, m), 4.39-4.47 (4H, m), 6.83 (1H, d, J = 2 Hz), 6.92 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.01 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.24 (1H, d, J = 2 Hz), 7.34 (1H, d, J = 9 Hz), 7.66 (1H, d, J = 9 Hz).
実施例14:化合物18の合成
化合物17 (380 mg, 0.880 mmol) のアセトニトリル(18 mL) 溶液に塩化セリウム七水和物 (656 mg, 1.76 mmol) を加え、9時間加熱還流した。室温に戻した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-へキサン : 酢酸エチル = 3 : 1) により分離精製し、化合物18a (117 mg, 42%) 及び化合物18b (113 mg, 41%) を得た。
化合物18a: 白色固体.
mp 107.0-107.5℃.
IR ν (KBr) : 3345, 2932, 2858, 1620, 1578, 1483, 1269, 1168 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 0.20 (6H, s), 1.00 (9H, s), 4.04 (2H, t, J = 5 Hz), 4.46 (1H, t, J = 5 Hz), 7.01 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.13 (1H, d, J = 2Hz), 7.33 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ: -4.4, 18.3, 25.8, 47.9, 61.1, 110.2, 110.9, 111.2, 121.1, 126.8, 129.5, 143.3, 153.1.
MS (EI) m/z: 317 (M+,32), 260 (100).
HRMS Calcd for C14H16N4O3: 317.1559; Found: 317.1562.
化合物18b: 白色固体.
mp 112.0-113.0℃.
IR ν (KBr) : 3289, 2933, 2858, 1621, 1495, 1408, 1260 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 0.23 (6H, s), 1.00 (9H, s), 4.05 (2H, t, J = 5 Hz), 4.44 (1H, t, J = 5 Hz), 6.87 (1H, d, J = 2Hz), 6.91 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.62 (1H, d, J = 9 Hz).
13C-NMR (67.8 MHz, CDCl3) δc: -4.3, 15.1, 18.3, 25.7, 47.6, 61.1, 100.4, 111.3, 119.3, 121.9, 126.0, 135.2, 137.4, 155.1.
MS (EI) m/z: 317 (M+,100).
HRMS Calcd for C16H23N3O2Si: 317.1559; Found: 317.1559.
実施例15:化合物19の合成
窒素気流下、化合物18b (100.0 mg, 0.315 mmol) の無水メタノール(3.2 mL) 溶液に、室温下、炭酸カリウム (30.0 mg, 0.221 mmol) を加え、氷冷下30分間攪拌した。1,2-フェニレンジアミン (80.0 mg, 0.442 mmol) を加え、室温にてさらに2時間攪拌した。飽和重曹水を加え、メタノールを減圧留去後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム) により精製し、化合物19 (62.0 mg, 48%) を得た。
化合物19: 白色固体.
mp 230-235℃.
IR ν (KBr) : 3127, 2956, 2858, 1623, 1489 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.21 (6H, s), 1.00 (9H, s), 4.30 (2H, t, J = 5 Hz), 5.00 (2H, t, J = 5 Hz), 6.82 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 6.90 (1H, d, J = 2 Hz), 7.25-7.31 (2H, dd, J = 3, 6 Hz), 7.49 (1H, d, J = 9 Hz), 7.61 (2H, brs).
13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3) δc: -4.4, 18.3, 25.7, 47.2, 62.1, 100.7, 118.2 (2C), 119.7 (2C), 123.8 (2C), 136.5, 136.6 (2C), 143.1 (2C), 143.3, 153.7.
MS (EI) m/z: 408 (M+,100).
HRMS Calcd for C22H28N4O2Si: 408.1982; Found: 408.1994.
実施例16:化合物20の合成
窒素気流下、化合物19 (45.0 mg, 0.110 mmol) の無水THF (1.4 mL) 溶液に、室温下、トリフェニルホスフィン (43.0 mg, 0.165 mmol) を加えた。氷冷下、ジ-tert-ブチルアゾジカルボキシラート (38.0 mg, 0.165 mmol) を加え、同条件下1時間攪拌した。酢酸エチルで希釈後、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー (クロロホルム) により精製し、化合物20 (41.0 mg, 95%) を得た。
化合物20: 白色固体.
mp >300℃.
IR ν (KBr) : 3060, 2928, 2892, 2856, 1624, 1600 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.24 (6H, s), 1.02 (9H, s), 4.56-4.67 (4H, m), 6.83 (1H, d, J = 2 Hz), 6.90 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.31-7.44 (3H, m), 7.73 (1H, d, J = 9 Hz) 7.87-7.92 (1H, m).
13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3) δc: -4.2, 18.3, 25.8, 40.6, 40.7, 99.7 (2C), 109.3 (2C), 117.7 (2C), 120.7, 121.3, 123.4, 124.2, 133.7 (2C), 134.6, 153.5.
MS (FAB) m/z: 391 (M+H+).
HRMS Calcd for C22H27N4OSi: 391.1954. Found: 391.1949.
実施例17:化合物21及び22の合成
化合物12及び化合物13の合成と同様の操作により、化合物20 (40.0 mg, 0.102 mmol) を用い、-10℃下2時間攪拌し、化合物21 (26.7 mg, 47%) 及び化合物22 (28.3 mg, 50%) を得た。
化合物21: 白色固体.
mp 245-249℃.
IR ν (KBr) : 2927, 1605, 1547, 1471 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.29 (6H, s), 1.04 (9H, s), 4.61 (3H, s), 4.89 (2H, t, J = 6 Hz), 5.17 (2H, t, J = 6 Hz), 6.95 (1H, d, J = 2 Hz), 7.00 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.69-7.78 (4H, m), 8.04 (1H, d, J = 7 Hz).
13C-NMR (67.80 MHz, CD3OD) δc: -4.4, 19.0, 26.0, 33.7, 42.2, 43.2, 101.4, 113.6, 113.9, 120.7, 122.8, 128.5, 128.6, 131.9, 134.0, 135.6, 136.1, 138.9, 140.3, 156.6.
MS (FAB) m/z: 405 (M+).
HRMS Calcd for C23H29N4OSi: 405.2211. Found: 405.2111.
化合物22: 白色固体.
mp 239-241℃.
IR ν (KBr) : 2946, 1625, 1551, 1504, 1474 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.30 (6H, s), 1.02 (9H, s), 4.61 (3H, s), 4.99 (2H, t, J = 5 Hz), 5.09 (2H, t, J = 5 Hz), 7.19 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.33 (1H, d, J = 2 Hz), 7.42-7.61 (3H, m), 7.62 (1H, d, J = 9 Hz), 7.90 (1H, d, J = 8 Hz).
13C-NMR (67.80 MHz, CD3OD) δc: -4.6, 19.1, 26.0, 34.0, 41.4, 43.3, 103.9, 112.1, 115.2, 122.2, 123.1, 125.9, 127.9, 129.3, 133.4, 135.2, 136.7, 138.8, 145.2, 157.6.
MS (FAB) m/z: 405 (M+).
HRMS Calcd for C23H29N4OSi: 405.2211. Found: 405.2128.
実施例18:化合物3の合成
化合物1の合成と同様の操作により、化合物21 (15.0 mg, 0.032 mmol) を用い、氷冷下1時間攪拌し、化合物3 (7.0 mg, 65%) を得た。
化合物3: 黄色粉末.
mp 196-203℃.
IR ν (KBr) : 3368, 1595 cm-1.
1H-NMR (270 MHz, CD3OD) δ: 4.52 (3H, s), 4.69 (2H, t, J = 6 Hz), 4.91 (2H, t, J = 6 Hz), 6.65 (1H, d, J = 2 Hz), 6.77 (1H, dd, J = 2, 9 Hz), 7.46 (1H, d, J = 9 Hz), 7.70-7.75 (2H, m), 7.92-7.96 (2H, m).
MS (FAB) m/z: 291 (M+H+).
HRMS Calcd for C17H15N4O: 291.1246. Found: 291.1245.
実施例19:化合物4の合成
化合物1の合成と同様の操作により、化合物22 (11.0 mg, 0.027 mmol) を用い、氷冷下30分攪拌し、化合物4 (5.5 mg, 70%) を得た。
化合物4: 黄色粉末.
mp 255-260℃.
IR ν (KBr) : 1609, 1441 cm-1.
1H-NMR (300 MHz, DMSO) δ: 4.36 (3H, s), 4.68 (2H, t, J = 5 Hz), 4.78 (2H, t, J = 5 Hz), 6.30 (1H, brs), 6.59 (1H, d, J = 9 Hz), 7.36-7.49 (3H, m), 7.80 (1H, d, J = 8 Hz), 7.85 (1H, d, J = 8 Hz).
試験例1:蛍光特性の評価(1)
蛍光スペクトルは、蛍光分光光度計RF-5300PC(島津製作所製)を用い、石英セル(10×10mm)中、室温で測定を行った。測定に当たっては、まず吸収スペクトルを測定し、極大吸収から励起波長を求め、得られた励起波長を基に蛍光スペクトルを測定した。
化合物1〜4の蛍光の測定結果を表1に示す。
Figure 2007094325
以上より、本発明の化合物は、ストークスシフトが大きく、特に水中でより大きな値を示すことがわかった。
試験例2:蛍光特性の評価(2)
種々の割合の水−メタノール混合溶液(v/v%)を調製し、水の割合の変化による化合物3の蛍光の変化を調べた。化合物3の濃度は全て48.4(nM)であり、励起波長は383(nm)にて測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2007094325
以上のように、水−メタノール混合溶液(v/v%)中の水の割合が増加するに従って、450nmにおける蛍光強度が減少し、555nmにおける蛍光強度が増加し、蛍光の色が青色から黄色へと変化する。
試験例3:蛍光特性の評価(3)
蛍光量子収率(φ)の決定
硫酸キニーネを標準物質(φst = 0.54 in 1.0 N H2SO4 aq)に用い、以下の式により相対蛍光量子収率(φx)を算出した[参考文献:Demas, J. N,; Crosby, G. A. J. Phys. Chem. 1997, 75, 991;木下一彦, 御橋廣眞, “蛍光測定”, 学会出版センター, 2002]。
φxst・(FAx / FAst)・(Ast/ Ax)・(nx 2 / nst 2)
FA : スペクトルの積分面積
A : 励起波長での試料の吸光度
n : 溶媒の屈折率
添字のxとstはそれぞれ未知試料と標準物質を意味する。結果を表3に示す。
Figure 2007094325
化合物3のストークスシフトは、水中で162nmと大きな値を示した。また、蛍光量子収率(φf)は水中で0.15、DMSO中で0.98と非常に高い値が得られた。
本発明は、微量な生体成分や環境物質などを高感度に検出することが可能な蛍光物質であり、蛍光標識分子、蛍光指示薬、環境物質又は生体由来分子の測定方法、細胞内分子イメージング方法などとして有用である。
本出願は、日本で出願された特願2006−035860(出願日:2006年2月13日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (10)

  1. 一般式(I)、(II)、(I−1)又は(II−1)で表される化合物。
    Figure 2007094325


    [式中、
    環Aは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、カルバモイル基及び置換カルバモイル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環であり;
    は、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C7−16アラルキル基又はリンカーであり;
    及びRは、同一又は異なってそれぞれ、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基及びC7−16アラルキルオキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基又はC7−16アラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜9員の環を形成してもよく;
    は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、カルバモイル基又は置換カルバモイル基であり;
    lは、0又は1〜3の整数であり;
    は、C1−6アルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、置換ベンジル基、置換シリル基、ホスホノオキシ基又は置換ホスホノオキシ基であり;
    は、対アニオンである。]
  2. 環Aが、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、アリール環又は芳香族複素環であり;
    が、C1−6アルキル基又はリンカーであり;
    及びRが、同一又は異なってそれぞれ、C1−6アルコキシ基、アシルオキシ基及びアミノ基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい、C1−6アルキル基又はアラルキル基であるか、或いはR及びRが結合して、5〜6員の環を形成してもよく;
    が、C1−6アルキル基又はC1−6アルコキシ基であり;
    lが、0又は1であり;
    が、C1−6アルキル−カルボニル基、ホスホノオキシ基又は置換ホスホノオキシ基であり;
    が、トリフルオロメタンスルホン酸イオン又は塩素イオンである、請求項1に記載の化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物と、核酸、ペプチド、糖及び脂質からなる群より選ばれる生体由来分子とを含む、蛍光標識分子。
  4. ドナー蛍光分子として請求項1又は2に記載の化合物と、核酸、ペプチド、糖及び脂質からなる群より選ばれる生体由来分子と、アクセプター蛍光分子とを含む、蛍光共鳴エネルギートランスファーを利用する蛍光指示薬。
  5. 担体に結合されている、請求項3に記載の蛍光標識分子。
  6. 担体に結合されている、請求項4に記載の蛍光指示薬。
  7. 請求項1又は2に記載の化合物を蛍光標識として使用することを特徴とする、環境物質又は生体由来分子の測定方法。
  8. 請求項1又は2に記載の化合物を蛍光標識として使用することを特徴とする、細胞内分子イメージング方法。
  9. 請求項3に記載の蛍光標識分子を使用することを特徴とする、生体由来分子の測定方法。
  10. 請求項4に記載の蛍光指示薬を使用することを特徴とする、生体由来分子の測定方法。
JP2008500505A 2006-02-13 2007-02-13 ベンズイミダゾール系骨格を有する新規蛍光物質及びその用途 Pending JPWO2007094325A1 (ja)

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