JPWO2007077893A1 - 肝臓疾患治療剤及び肝機能改善剤 - Google Patents

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Abstract

副作用が少なく、経口投与ができ、汎用性が高く、且つ、安価な肝臓疾患治療剤を提供すること。肝臓疾患治療剤は、リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分とする。この肝臓疾患治療剤を、肝臓疾患に罹患する患者に投与すると、肝機能が改善され、肝機能の指標であるALT値、AST値が低下する。

Description

本発明は、例えば、肝臓疾患治療剤及び肝機能改善剤に関する。
肝臓は、解毒作用、栄養素の合成、分解、貯蔵、胆汁の分泌といった様々な機能を有し、生体の恒常性維持のために重要な臓器であるが、肝炎ウイルス、薬剤、アルコール等の種々の要因によって、急性又は慢性の肝機能障害を受ける場合がある。これにより、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害等の肝臓疾患が誘発される。
代表的な肝臓疾患であるウイルス性肝炎は、ウイルス感染によって誘発される肝炎である。ウイルス性肝炎の代表例として、C型肝炎やB型肝炎が挙げられ、これらの肝炎は、症状が悪化すると、肝硬変や肝臓癌の発症につながることが知られている。
C型肝炎ウイルス(HCV)の日本国内でのキャリア数は、150万人と推定されている(非特許文献1参照)。C型肝炎ウイルスキャリアのうち、70〜80%のキャリアが慢性C型肝炎へと移行し、慢性C型肝炎患者となる。慢性C型肝炎患者のうち約30%が、10〜30年のうちにC型肝硬変患者となり、このC型肝硬変患者の約80%が、5〜10年のうちに肝臓癌を発症する。このように、慢性C型肝炎患者の肝臓癌発生率は極めて高いため、慢性C型肝炎の治療が極めて重要となる。
従来から、ウイルス性肝炎の治療用成分として、インターフェロン及びリバビリンが代表的に使用されている。具体的には、インターフェロンを単独で、又は、インターフェロン及びリバビリンを併用して、患者に投与する。これにより、肝炎ウイルスが体内から除去されるため、ウイルス性肝炎を治療できる場合がある(特許文献1参照)。
特開平6−234657号公報 慢性肝炎の治療ガイド、日本肝臓学会編、文光堂、p21〜p23
しかしながら、上記特許文献1に示される治療方法は、発熱、血小板減少、白血球減少、脱毛、頭痛、耳鳴り、鬱等の重い副作用を伴うため、患者への身体的な負担が大きかった。また、インターフェロンはタンパク質であることから、経口投与できないため、注射投与に依存せざるを得ず、利便性及び安全性の面で問題があった。また、治療費用が高額となるため、治療が金銭的に難しい場合もあった。
しかも、肝炎ウイルスの遺伝子型や、治療用成分の投与時期によっては、治療効果を奏しない場合も少なからずあった。具体的には、インターフェロン及びリバビリンの併用投与による場合でも、肝炎ウイルスを体内から除去できる割合は最大で50%程度であった。
これらの問題により、上記特許文献1に示される治療方法が不適切となるときは、肝硬変や肝臓癌への進行を抑制するため、肝庇護療法が行われる場合がある。この肝庇護療法では、強力ミノファーゲンCやウルソデオキシコール酸を、肝機能改善剤として用いる。これにより、肝機能を改善できるが、これはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)等の肝機能指標物質値が低値に保たれていることをもって確認できる。
しかしながら、強力ミノファーゲンCは、注射で投与するため、利便性及び安全性の面で問題があった。また、長期間投与すると注射部位が硬化するために投与の継続が困難になる場合もあった。
また、ウルソデオキシコール酸は、経口投与することはできるものの、全ての患者に有効というわけではなく、一部の慢性C型肝炎患者に対しては、効果を奏さない場合があった。
更に、他の肝臓疾患においても、ウイルス性肝炎に見られる上記の問題と同様な問題があった。
そこで、本発明は、副作用が少なく、経口投与ができ、汎用性が高く且つ安価な肝臓疾患治療剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、リファマイシン系抗生物質が、ウイルス性肝炎等の肝臓疾患において、肝機能を改善できること、及び、その結果、肝炎から肝硬変への進行を抑制し、肝臓癌の発症を予防できることを見出し、本発明を完成するに至った。
ちなみに、リファマイシン系抗生物質は、ストレプトマイセス メディターレーネイ(Streptomyces mediterranei)の生産する抗生物質であるリファマイシン(Rifamycin)、及びその誘導体であり、長年、結核治療薬の成分等として使用されている。
ところで、近年、リファマイシン系抗生物質の血管新生抑制作用が発見され、この発見に基づき、リファマイシン系抗生物質によれば肝臓癌の進行を抑制できることが示された(特開2004−75665号公報参照)。しかしながら、リファマイシン系抗生物質の投与の目的は、肝臓疾患の治療により、この肝臓疾患によって誘発される肝臓組織中での癌細胞の発生を予防することではなかった。従って、リファマイシン系抗生物質の投与の対象となる患者は、既に肝臓組織内に癌細胞が生じている可能性の高い患者に限られていた。
また、リファマイシン系抗生物質は、従来、結核患者及びハンセン病患者に抗菌剤として投与されてきたにとどまり、これらの疾患を発症していない患者に対しては使用されてこなかった。
加えて、リファマイシン系抗生物質が、結核治療に用いられる場合には、その肝臓毒性が懸念されていた。特に、他の抗結核薬と併用すると、時に重篤な副作用が表れることが報告されていた。従って、従来、リファマイシン系抗生物質が肝臓疾患治療剤、又は肝機能改善剤として使用されることはなかった。唯一、一種の毒物である四塩化炭素(CCl)による動物の薬剤性肝炎のモデルでは、リファンピシンの投与が、肝細胞の障害を低減し、肝機能指標物質値を低下させるという報告がなされている(Huang, R., Okuno, H., Takasu, M., Shiozaki, Y., and Inoue, K. Protective effect of rifampicin against acute liver injury induced by carbon tetrachloride in mice. Jpn J Pharmacol, 69: 325−334, 1995.;Takeda, K., Watanabe, J., Inoue, K., and Kanamura, S. Rifampicin suppresses hepatic CYP2E1 expression and minimizes DNA injury caused by carbon tetrachloride in perivenular hepatocytes of mice. Alcohol Clin Exp Res, 24: 87S−92S, 2000.)。しかし、四塩化炭素による薬剤性肝炎は化学物質の毒性で細胞が傷害されることにより誘導されるものであり、免疫反応が関与すると考えられているC型肝炎とは発病機構が全く異なる。本発明は、一種の免疫反応が深く関与していると思われる、ヒトでのC型肝炎や、マウスでのConAあるいはラットでのガラクトサミンによる肝炎の治療等に、リファンピシンが有効であることを示した点で、画期的である。
本発明は、具体的には、以下のようなものを提供する。
(1) リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする肝臓疾患治療剤。
ここで、「リファマイシンBの誘導体」とは、リファマイシンBから直接、又は複数の中間体を経て合成される化合物をいい、具体的にはリファマイシンSV、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン等が挙げられる。
また、「薬理学的に許容しうる塩」とは、肝臓疾患の治療作用が失われていない塩をいい、具体的には、塩酸塩等の酸付加塩、ナトリウム塩等の塩基付加塩が挙げられる。
「肝臓疾患」とは、肝臓組織における、内因性又は外因性の原因による慢性又は急性の疾患の総称であり、内因性又は外因性の原因としては、具体的には肥満、ウイルス感染、アルコールの摂取、免疫系の異常、胆管の異常に伴う胆汁の肝臓での滞留等である。
「有効成分」とは、肝臓疾患の治療効果を示す成分をいう。また、肝臓疾患治療剤は、肝臓疾患の治療効果が失われない限りにおいて、有効成分以外の成分を含有していてもよい。
(2) 前記リファマイシンB又はリファマイシンBの誘導体は、一般式(I)で示されるリファマイシン系抗生物質、又はその薬理学的に許容しうる塩である(1)記載の肝臓疾患治療剤。
Figure 2007077893
[式中Rは水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基、ヒドロキシカルボニルメチレン基又は置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基を示し、Rは水素、ホルミル基、C1−10アルコキシイミノ基又は置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基を示す。]
ここで、「C1−3アルキルカルボニル基」とは、炭素数1〜3個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が、カルボニル基のカルボニル炭素に結合したものを指す。
「ヒドロキシカルボニルメチレン基」とは、カルボニル基のカルボニル炭素にヒドロキシル基が結合した基であるヒドロキシカルボニル基が、メチル基水素原子の1つを置換したものを指す。
「置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基」とは、一般式(III)で示される基である。ここでR、Rはそれぞれ、水素、炭素数1〜3個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を示す。
Figure 2007077893
「C1−10アルコキシイミノ基」とは、炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が、オキシム基の有する酸素原子に結合したものを指す。
「置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基」とは、一般式(IV)で示される基である。ここで、R〜R15はそれぞれ、水素、炭素数1〜3個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を示し、R16は水素、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、炭素数3〜8個の環状の脂肪族炭化水素基、ベンジル基を示す。
Figure 2007077893
「2,4−ジニトロアニリノイミノ基」は、イミノ基の窒素原子に結合する水素原子が、2,4−ジニトロアニリンのアミノ基から1つの水素原子を除いた基により置換されているものを指す。
(3) 前記リファマイシンB又はリファマイシンBの誘導体は、一般式(II)で示されるリファマイシン系抗生物質、又はその薬理学的に許容しうる塩である請求項1記載の肝臓疾患治療剤。
Figure 2007077893
[式中Rは水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−6アルキル基を示す。]
ここで、「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を指す。
(4) 前記リファマイシン系抗生物質は、リファンピシン、リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシン、リファペンチン、リファマイシンBからなる群より選ばれる(2)記載の肝臓疾患治療剤。
(5) 前記リファマイシン系抗生物質は、リファブチンである(3)記載の肝臓疾患治療剤。
(6) 脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎からなる群より選ばれる肝臓疾患の治療に用いられる(1)から(5)いずれか記載の肝臓疾患治療剤。
(6)に記載の肝臓疾患治療剤によれば、肝機能が改善されるから、肝臓疾患を治療できる。よって、肝臓疾患の進行の結果として起こる肝臓組織中での癌細胞の発生を予防して、肝臓癌の発症を予防することもできる。
ここで、「ウイルス性肝炎」とは、肝炎ウイルスにより引き起こされる肝炎をいい、例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎及び、E型肝炎が挙げられる。
(7) リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする肝機能改善剤。
ここで、「薬理学的に許容しうる塩」とは、肝機能の改善作用が失われていない塩をいい、具体的には、塩酸塩等の酸付加塩、ナトリウム塩等の塩基付加塩が挙げられる。
「有効成分」とは、肝機能の改善効果を示す成分をいう。また、肝機能改善剤は、肝機能の改善効果が失われない限りにおいて、有効成分以外の成分を含有していてもよい。
本発明の肝臓疾患治療剤によれば、以下のような効果が得られる。
リファマイシン系抗生物質を有効成分としたので、肝臓疾患を治療できる。これにより、肝臓疾患の進行の結果として発症し得る、肝臓癌を予防することもできる。
リファマイシン系抗生物質が、従来の抗菌剤としての投与量に比べ、少ない投与量で肝臓疾患を治療できるので、副作用が発生する可能性を低減できる。
本発明の肝機能改善剤によれば、以下のような効果が得られる。
リファマイシン系抗生物質を有効成分としたので、肝機能を改善できる。これにより、例えば、肝臓疾患を治療でき、肝臓疾患の進行の結果として発症し得る、肝臓癌を予防することもできる。
リファマイシン系抗生物質が、従来の抗菌剤としての投与量に比べ、少ない投与量で肝機能を改善できるので、副作用が発生する可能性を低減できる。
更に、本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤によれば、以下のような効果が得られる。
リファマイシン系抗生物質が消化管から迅速に吸収されやすく、消化酵素の影響を受けにくいので、経口投与できる。
リファマイシン系抗生物質が、例えば、インターフェロンやウルソデオキシコール酸による治療の効果を奏さない患者においてもウイルス性肝炎を治療できる場合があるように、汎用性が高い。
また、リファマイシン系抗生物質は安価なので、肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤も安価に提供できるから、患者に与える経済的な負担を軽減できる。
本発明の実施例の薬剤投与後における、患者の肝機能の経時的変化を示す図である。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明は、リファマイシン系抗生物質及び/又はリファマイシン系抗生物質の薬理学的に許容しうる誘導体を有効成分とする肝臓疾患治療剤及び肝機能改善剤に関する。
<組成>
本発明の肝臓疾患治療剤及び肝機能改善剤は、リファマイシン系抗生物質等を有効成分とする。
[有効成分]
(リファマイシン系抗生物質)
リファマイシン系抗生物質は、肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤として使用できる化合物である限りにおいて、特に限定されない。即ち、リファマイシン系抗生物質は、一般式(I)又は一般式(II)に示される化合物である。ここで、一般式(I)において、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基、ヒドロキシカルボニルメチレン基、置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基を示し、Rは水素、ホルミル基、C1−10アルコキシイミノ基、置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基を示す。一般式(II)においては、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−6アルキル基を示す。
における「置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基」は、一般式(III)で示される基である。ここでR、Rはそれぞれ、水素、C1−3アルキル基を示す。
における「置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基」は、一般式(IV)で示される基である。ここで、R〜R15はそれぞれ、水素、C1−3アルキル基を示し、R16は水素、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、ベンジル基、2,4−ジニトロフェニル基を示す。
ここで、「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を指し、具体的には、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、3−メチル−1−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2,2−ジメチル−1−プロピル基、1−へキシル基、2−へキシル基、3−へキシル基、2−メチル−1−ペンチル基、3−メチル−1−ペンチル基、4−メチル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−2−ペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2,2−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−2−ブチル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基等が挙げられる。
「C1−3アルキル基」は、前記C1−6アルキル基のうち、炭素数が1〜3個のものを指す。
「C1−10アルコキシイミノ基」とは、炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を指すC1−10アルキル基が、オキシム基の有する酸素原子に結合したものを指し、具体的には、メトキシイミノ基、エトキシイミノ基、1−プロピルオキシイミノ基、2−プロピルオキシイミノ基、2−メチル−1−プロピルオキシイミノ基、2−メチル−2−プロピルオキシイミノ基、1−ブチルオキシイミノ基、2−ブチルオキシイミノ基、1−ペンチルオキシイミノ基、2−ペンチルオキシイミノ基、3−ペンチルオキシイミノ基、2−メチル−1−ブチルオキシイミノ基、3−メチル−1−ブチルオキシイミノ基、2−メチル−2−ブチルオキシイミノ基、3−メチル−2−ブチルオキシイミノ基、2,2−ジメチル−1−プロピルオキシイミノ基、1−へキシルオキシイミノ基、2−へキシルオキシイミノ基、3−へキシルオキシイミノ基、1−オクチルオキシイミノ基、2−オクチルオキシイミノ基、3−オクチルオキシイミノ基、1−ノニルオキシイミノ基、2−ノニルオキシイミノ基、3−ノニルオキシ基、1−デシルオキシ基、2−デシルオキシ基、3−デシルオキシ基、2−メチル−1−ペンチルオキシイミノ基、3−メチル−1−ペンチルオキシイミノ基、4−メチル−1−ペンチルオキシイミノ基、2−メチル−2−ペンチルオキシイミノ基、3−メチル−2−ペンチルオキシイミノ基、4−メチル−2−ペンチルオキシイミノ基、2−メチル−3−ペンチルオキシイミノ基、3−メチル−3−ペンチルオキシイミノ基、2,3−ジメチル−1−ブチルオキシイミノ基、3,3−ジメチル−1−ブチルオキシイミノ基、2,2−ジメチル−1−ブチルオキシイミノ基、2−エチル−1−ブチルオキシイミノ基、3,3−ジメチル−2−ブチルオキシイミノ基、2,3−ジメチル−2−ブチルオキシイミノ基等が挙げられる。
「C3−8シクロアルキル基」とは、炭素数3〜8個の環状の脂肪族炭化水素基を指し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。
「C1−3アルキルカルボニル基」とはC1−3アルキル基が、カルボニル基のカルボニル炭素に結合したものを指し、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、1−プロピルカルボニル基、2−プロピルカルボニル基が挙げられる。
一般式(I)で示されるリファマイシン系抗生物質では、Rとしては、水素、メチルカルボニル基が好ましく、メチルカルボニル基がより好ましく、Rとしては、水素、ヒドロキシカルボニルメチレン基が好ましく、Rとしては、水素、ホルミル基、オクタノキシイミノ基、4−メチルピペラジニルイミノ基、4−シクロペンチルピペラジニルイミノ基、4−ベンジルピペラジニルイミノ基、2,6−ジメチル−4−ベンジルピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基が好ましく、水素、ホルミル基、4−メチルピペラジニルイミノ基、4−シクロペンチルピペラジニルイミノ基がより好ましい。
また、一般式(II)で示されるリファマイシン系抗生物質では、Rとしては、水素、メチルカルボニル基が好ましく、メチルカルボニル基がより好ましく、Rとしては2−メチルプロピル基が好ましい。
また、一般式(I)で示されるリファマイシン系抗生物質では、リファンピシン(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=4−メチルピペラジニルイミノ基)、リファマイシン−SV(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=水素)、3−フォルミルリファマイシン(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=ホルミル基)、リファペンチン(R=メチルカルボニル基、R=水素、R=4−シクロペンチルピペラジニルイミノ基)、リファマイシンB(R=メチルカルボニル基、R=ヒドロキシカルボニルメチレン基、R=水素)が更に好ましく、式(II)であらわされるリファマイシン系抗生物質としては、リファブチン(R=メチルカルボニル基、R=2−メチルプロピル基)が更に好ましい。
(リファマイシン系抗生物質の薬理学的に許容しうる誘導体)
リファマイシン系抗生物質の薬理学的に許容しうる誘導体は、溶媒(例えば、水)に対する溶解度を増加させ、身体への吸収効率を向上できる点で、好ましい。薬理学的に許容しうる誘導体としては、特に限定されないが、医薬の製剤化において一般的に用いられている塩や、これらの塩の水和物であってよい。ここで、薬理学的に許容しうる塩としては、酸付加塩又は塩基付加塩等が挙げられる。
酸付加塩としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸、酒石酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、コハク酸塩、安息香酸、酢酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、リン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩が挙げられる。
塩基付加塩としては、特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、エタノールアミン塩、トリエチルアミン塩、メチルアミン塩等の有機アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
[添加物]
本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤は、単独で投与してもよいが、薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物を更に含む医薬組成物の形態で投与することが好ましい。薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、乳化剤、懸濁剤、分散剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基材、溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤が挙げられる。
賦形剤としては、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース等が挙げられ、崩壊剤及び崩壊補助剤としては、カルボキシメチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロースカリウム等が挙げられ、乳化剤、懸濁剤及び分散剤としては、ステアリン酸ポリオキシル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられ、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等が挙げられ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク等が挙げられ、コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール、酸化チタン等が挙げられ、基材としては、ワセリン、流動パラフイン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、ハードファット等が挙げられる。
また、注射用又は点滴用の製剤に用いる添加物では、特に限定されないが、溶解剤又は溶解補助剤としては、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等が挙げられ、pH調整剤としては、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。
<製造方法>
(リファマイシン系抗生物質の製造方法)
本発明に係るリファマイシン系抗生物質の一例としてのリファマイシンBは、ストレプトマイセス メディターレーネイ(Streptomyces mediterranei)が生産する抗生物質の一種であり、ストレプトマイセス メディターレーネイの培養液から、公知の方法で分離できる(特公昭37−1697号公報、第2頁右段8行〜第4頁右段32行参照)。
リファンピシン、リファペンチン、リファブチン、リファマイシンSV及びこれらの誘導体は、このリファマイシンBから、公知の方法によって合成できる(特公昭62−41671号公報 第2頁左段30行〜右段27行;特公昭62−41672号公報 第2頁左段34行〜右段31行;特公昭62−41673号公報 第2頁左段32行〜右段29行;特開平1−149790号公報 第3頁右下段12行〜7頁右上段7行、第8頁左下段4行〜10頁左下段14行;特開平2−304090号公報 第9段9行〜第21段20行;特開平2−56487号公報、第13頁左上段18行〜18頁左上段9行、第19頁右上段15行〜28頁左上段13行;特開平3−169884号公報、第17頁右下段18行〜22頁左下段3行、第23頁右下段10行〜33頁左下段20行;特開平4−159283号公報、段落番号0038〜0070、0081〜0107;特開平4−230688号公報、段落番号0065〜0103、0118〜0147;特開平4−247088号公報、段落番号0076〜0120、0136〜0139;米国特許第4,002,752号公報参照)。なお、リファマイシン系抗生物質としては、リファンピシンとして「リファンピシン」(Alexis社製)、リファペンチンとして「リファフチン錠(商品名)」(Sanofi−Aventis社製)、リファブチンとして「リファブチン」(U.S.P. Reference Standards社製)、リファマイシンSVとして「リファマイシンSVナトリウム塩」(MP Biomedicals社製)等が市販されており、これらの製品を使用してもよい。
<投与の対象となる疾患>
本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤は、脂肪性肝炎(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎)、ウイルス性肝炎、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、肝臓癌等に対して使用できる。ここで、ウイルス性肝炎としては、例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎が挙げられる。
本発明は、以下のような、肝臓疾患の治療方法、及び、肝機能改善方法も提供する。
リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする肝臓疾患治療剤を、肝臓疾患に罹患している対象(例えば、ヒト、非ヒト動物)に投与する手順を含む肝臓疾患の治療方法。
リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする肝臓疾患治療剤を、対象(例えば、ヒト、非ヒト動物)に投与する手順を含む肝機能改善方法。
[投与方法、投与形態]
本発明に係る肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤のうち、リファンピシン、リファペンチン及びリファブチンは、既に、結核患者等の極めて多数の患者に使用されているため、その用法や副作用が熟知されている。よって、本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤は、経験に基づき、副作用を抑制できる投与方法、投与形態を選択できる。
本発明に係る肝臓疾患治療剤は、肝臓疾患治療のために使用される既存の様々な成分と併用できる。具体的には、強力ネオミノファーゲンC、ウルソデオキシコール酸、プロパゲルマニウム、グルタチオン、マロチラート、グリチロン酸等の肝臓疾患治療薬の群より選ばれる少なくとも1種以上の成分と併用できる。また、インターフェロンアルファ(Interferon−α)、インターフェロンアルファ−2a(Interferon−α−2a)、インターフェロンアルファ−2b(Interferon−α−2b)、インターフェロンベータ(Interferon−β)等の各種インターフェロンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の成分と併用できる。更に、ラミブジン(Lamivudine)、リバビリン(Ribavilin)等の抗ウイルス薬の群より選ばれる少なくとも1種以上の成分と併用できる。
本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤は、経口投与又は非経口投与(例えば、静脈注射、筋肉注射、皮下注射)のいずれの形式でも投与できる。投与形式は、投与を受ける患者の病状に応じて適宜選択できるが、利便性及び安全性の面から、経口投与が好ましい。
経口投与の場合、リファマイシン系抗生物質は、固体又は液体の製剤、具体的には、錠剤、顆粒剤、カプセル、粉末、トローチ、溶液、懸濁液、乳液等の形態で、投与できる。
非経口投与の場合、リファマイシン系抗生物質は、適当な溶媒に溶解させた形態で、投与できる。
[投与量]
本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤の投与量は、対象となる疾患や投与方法等によって、適宜設定できる。リファンピシンを経口投与する場合、投与量は、約10〜900mg/日、好ましくは約50〜450mg/日である。また、リファブチンを経口投与する場合、投与量は、約10〜600mg/日、好ましくは約20〜300mg/日である。また、リファペンチンを経口投与する場合、投与量は、約50〜1800mg/週、好ましくは約50〜1200mg/週である。
[投与期間]
本発明の肝臓疾患治療剤又は肝機能改善剤は、投与する患者の症状にもよるが、毎日継続的に、少なくとも1ヶ月以上投与することが好ましく、一年以上投与することが更に好ましい。
<実施例1> リファンピシン少量投与による慢性C型肝炎患者における肝機能改善治療効果
慢性C型肝炎(肝臓疾患の一例)患者6人に、リファンピシン製剤として「リファジン(登録商標)」(第一製薬社製)を、毎日150mg(1カプセル)経口投与し、各患者の血液を定期的に採取した。採取した血液中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値の測定を行った。
ここで、本実施例で被検体として選択した患者は、以下のような状態であった。
第1に、患者6人のうち、5人は、肝繊維化がF3〜F4相当のC型肝硬変の患者であることが、生検及び血小板数から推測された。
第2に、全ての患者が、インターフェロンによる治療が難しいとされるIb型のC型肝炎ウイルスを保持する慢性C型肝炎患者であった。患者4人に対して、インターフェロンによる治療を行ったが、このうちの1人で治療効果が見られなかった。また、4人で、強い副作用が発生したために、治療を中止した。
第3に、これら全ての患者に対して、ウルソデオキシコール酸投与による治療を行ったが、治療効果がみられなかった。
図1は、慢性C型肝炎患者6人のALT値及びAST値の平均値の経時的変化を示す図である。ALT値及びAST値は、損傷を受けた肝臓細胞から流出されるアミノトランスフェラーゼの濃度を示すため、これらの値が高いことは、より多くの肝臓細胞が損傷を受け、肝機能が低下していることを示唆する。
ALT値の測定は、以下のような方法で行った。
まず、採取した血液から血清を分離し、この血清を用いてJSCCに準拠した乳酸脱水素酵素共役UV法(「日立自動分析装置7350」、日立ハイテクノロジーズ社製)により定期的に測定し、ALT値を算出した。
また、AST値の測定は、以下のような方法で行った。
まず、採取した血液から血清を分離し、この血清を用いてJSCCに準拠したりんご酸脱水素酵素共役UV法(「日立自動分析装置7350」、日立ハイテクノロジーズ社製)により定期的に測定し、AST値を算出した。
図1に示されるように、ALT値及びAST値は、投与開始後において、薬剤の投与前に比べて約1ヶ月程度で顕著に低下し、その後、6ヶ月まで低値を維持していた。なお、ALT値及びAST値は、11〜40IU/Lが正常値であり、ウイルス性慢性肝炎患者においては正常値の上限を超える高値を示すことが多い。慢性肝炎においては、ALT値及びAST値が低下すると、肝炎の症状が改善されたものと一般的に判断されている。従って、この結果から、薬剤投与によって、肝機能が改善され、ウイルス性肝炎の症状が改善されていることがわかった。
また、この薬剤は、経口投与によっても、ウイルス性肝炎の症状を充分に改善できることが分かった。リファンピシンは、Ib型のC型肝炎ウイルスを保持する慢性C型肝炎患者に対しても、効果的に肝炎の症状を改善できた。
リファンピシンの投与による副作用としては、肝障害、胃腸障害、血液障害、発疹、発熱等が知られている。しかしながら、本実施例においてリファンピシンを投与した患者6人では、これらの副作用は発見されなかった。また、本実施例の評価期間終了後も、数年間に亘り、これらの患者にリファンピシンを投与したが、副作用は発生せず、長期間にわたりALT値及びAST値が低い状態が維持され、肝臓癌の発症もみられなかった。
以上の結果より、リファンピシンが慢性C型肝炎において、肝機能改善剤としての作用を有することが明らかになった。
また、肝臓疾患治療剤及び肝機能改善剤としてのリファンピシンの投与量は、結核治療剤としての投与量(例えば、約450mg、1日1回)に比べ大幅に少なくても、肝臓疾患治療効果及び肝機能改善効果を奏することが分かった。
<実施例2> リファンピシンの投与による肝庇護効果(1)
コンカナバリンA(ConA)により誘導されるマウスのウイルス性肝炎モデルにより、リファンピシンの肝庇護効果を評価した。即ち、リファンピシン製剤として「GK−001」(Lupin Limited社製)を、50mg/kg・day、100mg/kg・day、及び200mg/kg・dayの投与量で、各群8匹のマウスに4日間連続して経口投与した。4日目の投与から1時間後にリン酸生理食塩水(PBS)に溶解させた0.2mgのConAを、尾静脈から投与した。同様の操作は、200mg/kgのGK−001を一回のみ投与した群のマウス、及び、GK−001を投与しなかった群のマウスについても行った。ConAの投与の24時間後、マウスに麻酔を施し、動脈血を採取した。血中のALT値、AST値、及び血中乳酸脱水素酵素(LDH)値を測定した。
LDH値は、採取した血液から血清を分離し、この血清を用いてJSCCに準拠したパラニトロフェニルホスフェート基質法(「自動分析装置7170」、日立製作所社製)によりの測定、算出した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2007077893
表1より、リファンピシンを投与した群においては、投与量が増加するに従って、ALT値、AST値、及びLDH値が有意に低下していることが分かる。この結果より、リファンピシンが、ConAにより誘導される肝機能の低下を抑制していることが示唆された。
<実施例3> リファンピシンの投与による肝庇護効果(2)
ガラクトサミン(Gal)により誘導されるラットのウイルス性肝炎モデルにより、リファンピシンの肝庇護効果を評価した。即ち、リファンピシン製剤として、「GK−001」(Lupin Limited社製)を、50mg/kg・day、100mg/kg・day、及び200mg/kg・dayの投与量で、各群8匹のラットに4日間連続して経口投与した。4日目の投与から1時間後に生理食塩水に溶解させた350mg/kgのGalを、腹腔内に投与した。同様の操作は、200mg/kgのGK−001を一回のみ投与した群のラット、及び、GK−001を投与しなかった群のラットについても行った。Galの投与の24時間後、ラットに麻酔を施し、動脈血を採取した。血中のALT値、AST値、及びLDH値を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2007077893
表2より、リファンピシンを投与した群においては、投与量が増加するに従って、ALT値、AST値、及びLDH値が有意に低下していることが分かる。この結果より、リファンピシンが、Galにより誘導される肝機能の低下を抑制していることが示唆された。
表1より、リファンピシンを投与した群においては、投与量が増加するに従って、ALT値、AST値、及びLDH値が有意に低下していることが分かる。この結果より、リファンピシンが、ConAにより誘導される肝機能の低下を抑制していることが示された。
表2より、リファンピシンを投与した群においては、投与量が増加するに従って、ALT値、AST値、及びLDH値が有意に低下していることが分かる。この結果より、リファンピシンが、Galにより誘導される肝機能の低下を抑制していることが示された。

Claims (7)

  1. リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする肝臓疾患治療剤。
  2. 前記リファマイシンB又はリファマイシンBの誘導体は、一般式(I)で示されるリファマイシン系抗生物質、又はその薬理学的に許容しうる塩である請求項1記載の肝臓疾患治療剤。
    Figure 2007077893
    [式中Rは水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−3アルキルカルボニル基、ヒドロキシカルボニルメチレン基又は置換基を有していてもよいアミノカルボニルメチレン基を示し、Rは水素、ホルミル基、C1−10アルコキシイミノ基又は置換基を有していてもよいピペラジニルイミノ基、2,4−ジニトロアニリノイミノ基を示す。]
  3. 前記リファマイシンB又はリファマイシンBの誘導体は、一般式(II)で示されるリファマイシン系抗生物質、又はその薬理学的に許容しうる塩である請求項1記載の肝臓疾患治療剤。
    Figure 2007077893
    [式中Rは水素又はC1−3アルキルカルボニル基を示し、Rは水素、C1−6アルキル基を示す。]
  4. 前記リファマイシン系抗生物質は、リファンピシン、リファマイシン−SV、3−フォルミルリファマイシン、リファペンチン、リファマイシンBからなる群より選ばれる請求項2記載の肝臓疾患治療剤。
  5. 前記リファマイシン系抗生物質は、リファブチンである請求項3記載の肝臓疾患治療剤。
  6. 脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎からなる群より選ばれる肝臓疾患の治療に用いられる請求項1から5いずれか記載の肝臓疾患治療剤。
  7. リファマイシンB若しくはリファマイシンBの誘導体又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする肝機能改善剤。
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