JPWO2007072804A1 - 非水性インクジェット用インキ組成物およびそれを用いて得られる印刷物 - Google Patents

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Abstract

印刷面が主として塩化ビニル系重合体やエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に対して濡れ性および定着性が良好で、さらに優れた吐出安定性を有する非水性インクジェット用インキ組成物に関し、バインダー樹脂として塩化ビニル系重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体およびエチレン−酢酸ビニル系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のビニル系重合体、着色剤、ならびに有機溶剤を含んでなり、前記有機溶剤として次の一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを、全有機溶剤中に15〜30質量%含有することを特徴とする非水性インクジェット用インキ組成物。R1−O−(−CH2−CHX−O−)n−R2(I)

Description

本発明は、印刷面が主として塩化ビニル系重合体やエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材シートに対して良好な濡れ性、定着性を有し、かつ高い吐出安定性を長時間維持することが可能な、大判の看板広告などを製造するのに適した非水性インクジェット用インキ組成物、およびそれを用いて得られる印刷物に関する。
最近の看板広告では、鮮やかで洗練されたデザインのロゴや模様の他に、商品の外観や人物の顔といった写真調のものが増加している。さらに看板のサイズも、見る者により強いインパクトを与えるように、大判のものが非常に多く見受けられるようになっている。
従来、看板広告を製作する方法として、ロゴの場合は着色シートを文字の形に切り抜いて貼り付けたり、写真調の場合は各種印刷機を利用することが一般的であった。そのために、製作に多くの時間と手間を要し、また、印刷機等の大掛かりな設備が必要になる等、数々の問題があった。そこで、鮮明な画像の看板をより簡単に製作するために、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)上で創作したデザインを直接基材に印刷できるインクジェット方式を利用する試みが行なわれている。
インクジェット方式は、印刷用基材として利用できる材料の幅が広く、紙、ポリマー、金属、その他の硬質・軟質いずれの材料のシートにも手軽に印刷可能であるという特徴がある。とりわけ、屋外に設置される看板広告では、軽量で強度や耐久性に優れ、雨にも強く、さらに安価といった性能が要求されることから、それらの特性を有するポリマーシートに簡単に印刷できることは、非常に大きな利点となる。それに加えて、最近では、印刷幅が2,000mm以上の超ワイドフォーマットのインクジェットプリンターも登場し、これまで貼り合わせで対応してきた大判の印刷物が、一挙に印刷可能となるなど、ますます簡単に看板の製作ができるようになっている。
一方、インクジェット用インキとして、これまで開発の主力となってきたのは水性タイプであるが、このタイプのインキはポリマーシート表面ではじかれて印刷できない(濡れ性の不足)。そこで、新たに有機溶剤をベースとしたポリマーシート用の非水性インクジェット用インキが開発され、例えば、有機溶剤として(ポリ)アルキレングリコール誘導体と含窒素複素環化合物を使用する技術(特開2005−23298号公報)、蒸気圧の異なる有機溶剤を特定の比率で混合する技術(特開2005−36199号公報)が提案されている。ところが、良好な印刷物を得るためには、上記の表面に対する濡れ性の他にも、乾燥性や基材に対する接着性(通常、定着性といわれる)といった数々のインキ性能が必要であり、有機溶剤の物性が直接または間接的にそれらの性能に影響することが多い。
ポリマーシート表面は非浸透性であるため、乾燥は主として溶剤の蒸発速度に依存するが、蒸発速度が速すぎる有機溶剤は、インクジェット方式での吐出安定性を低下させる。したがって、如何にしてそのバランスを図るかが、良好な印刷物を効率よく得るための重要な課題となる。また、印刷基材に対するインキ皮膜の定着性が良好でなければ、すぐにインキ皮膜が印刷基材から剥離し、長期に渡って鮮明な印刷物の状態が維持できなくなる。インキの定着性は、主として定着性樹脂(バインダー樹脂)の性能に依存するが、有機溶剤は定着性樹脂を溶解しなければならず、この場合、定着性は利用する有機溶剤の物性に間接的に依存することになる。さらに、印刷から乾燥の間に、基材となるポリマーシートの表面を若干溶解させるような有機溶剤を利用すると定着性の向上が認められることから、定着性は利用する有機溶剤の物性に直接的にも依存するといえる。そして、ポリマーシートは非常に多種にわたるため、上記のような条件を満足して良好なインキ組成物を得るには、印刷基材となるポリマーの種類に応じて個別に設計する必要がある。
一般に、看板広告には、ターポリンと呼ばれるポリマーシートがよく利用される。ターポリンはポリエステルやポリアミドを芯材として、表裏にポリ塩化ビニルやエチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体を積層した複合シートである。そこで、ターポリンを印刷対象とするインキには、先に記載したように、シート表面の素材である上記ビニル系ポリマーに対して、良好な濡れ性、乾燥性、定着性等を有する材料を利用することが必要となる。
上記の特開2005−23298号公報に記載されているインキは、印刷基材としてポリ塩化ビニルシートを対象としているが、好適なバインダー樹脂として例示されているアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース等では、定着性を良好とするには限界がある。それに対して、基材と同類の塩化ビニル系樹脂は良好な定着性を有するが、特開2005−23298号公報で具体的に例示されている溶剤に対しては、十分な溶解性を示さず、インクジェット方式で利用する場合に最も重要な吐出安定性の低いインキとなる等の問題がある。
また、上記の特開2005−36199号公報で記載されている発明も、一応は塩化ビニル系ポリマーシートを対象としているが、その本旨から、有機溶剤の蒸発速度にのみ依存し、さらに特定の数式(1)〜(3)の条件を満足することではじめて良好となるインキ性能に対しては、何らかの効果があるといえなくもない。しかし、有機溶剤の蒸発速度と全く関係のない要因で如何様にも変化する濡れ性や定着性等の性能(この発明で効果があると記載されている耐水性、耐光性も変化する)に関しては、高いレベルの性能を得る技術は全く開示されていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、印刷面が主として塩化ビニル系重合体やエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に対して濡れ性および定着性が良好で、さらにインクジェット印刷の間および長期休止状態の後においても優れた吐出安定性を有する非水性インクジェット用インキ組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、着色剤、バインダー樹脂、有機溶剤を含有する非水性インクジェット用インキ組成物において、バインダー樹脂として、塩化ビニル系重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体およびエチレン−酢酸ビニル系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のビニル系重合体を使用し、有機溶剤として特定のポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを有機溶剤中に特定量含有させることにより、上記課題を実現化しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はつぎの非水性インクジェット用インキ組成物およびそれを用いて得られる印刷物を提供する。
(1)バインダー樹脂として塩化ビニル系重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体およびエチレン−酢酸ビニル系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のビニル系重合体、着色剤、ならびに有機溶剤を含んでなり、前記有機溶剤として次の一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを、全有機溶剤中に15〜30質量%含有することを特徴とする非水性インクジェット用インキ組成物。
1−O−(−CH2−CHX−O−)n−R2 (I)
〔式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数が1〜3のアルキル基、nは3〜6の整数、n個のXはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す〕。
(2)上記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとして、トリエチレングリコールジアルキルエーテルを用いる前記(1)項記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
(3)上記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとして、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびトリエチレングリコールジエチルエーテルの少なくとも1種を用いる前記(1)項または(2)項記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
(4)上記着色剤が、カルボジイミド基と反応する官能基を有する顔料であり、かつ非水性インクジェット用インキ組成物中に顔料分散剤としてカルボジイミド基を有するカルボジイミド系化合物を含有する前記(1)項〜(3)項のいずれかに記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
(5)上記ビニル系重合体として塩化ビニル系重合体を用いる前記(1)項〜(4)項のいずれかに記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
(6)少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に、前記(1)項〜(5)項のいずれかに記載の非水性インクジェット用インキ組成物を印刷して得られる印刷物。
(7)少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体からなる基材に、前記(5)項記載の非水性インクジェット用インキ組成物を印刷して得られる印刷物。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の非水性インクジェット用インキ組成物は、バインダー樹脂、着色剤、有機溶剤を含有するものである。
本発明の非水性インクジェット用インキ組成物を構成するバインダー樹脂としては、塩化ビニル系重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体およびエチレン−酢酸ビニル系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のビニル系重合体が使用される。塩化ビニル系重合体としては、塩化ビニルのホモポリマー(ポリ塩化ビニル)や、塩化ビニルとその他の少量の共重合可能な単量体(例えば、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデンなど)との共重合体が挙げられる。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体としては、この種のインクで通常使用されているものが特に制限なく使用できる。バインダー樹脂の分子量としては、溶剤に対する溶解性、得られるインキ組成物の粘度、吐出安定性等の観点から、重量平均分子量で2千〜10万程度が好ましい。少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体(特にポリ塩化ビニル)またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に印刷する場合は、バインダー樹脂として塩化ビニル系重合体(特にポリ塩化ビニル)が好ましい。
上記バインダー樹脂の使用量は、非水性インクジェット用インキ組成物全量に対して1〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜7質量%である。バインダー樹脂の使用量が前記範囲未満では基材との定着性が充分でなく、一方前記範囲を超えると固形分が増え過ぎるため、吐出安定性が低下する。
なお、性能が低下しない範囲内で、上記バインダー樹脂以外の樹脂、例えば、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂等を併用することも可能である。
次に、本発明の非水性インクジェット用インキ組成物を構成する着色剤としては、従来から非水性型インクジェット用インキ組成物に使用されている染料および/または顔料が特に制限なく使用できる。
着色剤として染料を使用する場合は、従来公知の染料を使用することができ、具体例として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199等の直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56等の酸性染料、C.I.フードイエロー3等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料等が挙げられる。これら染料は、1種もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、非水性インクジェット用インキ組成物全量に対して2〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。染料の使用量が前記範囲より少ないと着色力が充分でない傾向があり、一方前記範囲より多くなると固形分が増えすぎるため、吐出安定性が低下する傾向がある。
着色剤として顔料を用いる場合は、従来公知の無機顔料や有機顔料等を使用することができる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカ等が例示できる。
有機顔料としては、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系等の有機顔料が挙げられ、具体的な例をカラーインデックスで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、60、ピグメントグリーン7、36、ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、149、168、177、178、179、206、207、209、242、254、255、ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74等が挙げられる。
これら顔料は、1種もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、非水性インクジェット用インキ組成物全量に対して好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜7質量%である。顔料の使用量が前記範囲より少ないと着色力が充分でない傾向があり、一方前記範囲より多くなると粘度が上昇し、インクの流動性が低下する傾向がある。
本発明の非水性インクジェットインキ組成物に使用する着色剤としては、耐光性の点より、上記着色剤の中でも顔料を使用することが好ましい。
顔料を使用する場合は、顔料を有機溶剤中に安定して分散させる点から、顔料として、カルボジイミド基と反応する基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等)を有している顔料を使用し、顔料分散剤として、後述する顔料分散剤のなかでもカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。
なお、顔料表面にカルボジイミド基と反応する官能基がない場合は、表面処理により導入することができ、例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」、技術情報協会、2001年12月25日第1刷発行、76〜85頁に記載のプラズマ処理、酸素/紫外線処理、特開昭58−217559号公報に記載の低温プラズマ法等によって導入できる。
次に、本発明の非水性インクジェット用インキ組成物を構成する有機溶剤としては、一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを、非水性インクジェット用インキ組成物中の全有機溶剤に対して15〜30質量%となるように含有させて使用する。
1−O−(−CH2−CHX−O−)n−R2 (I)
〔式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数が1〜3のアルキル基、nは3〜6の整数、n個のXはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す〕。
ここで、nは(−CH2−CHX−O−)で表される構成単位の繰り返し数である。一般式(I)において、R1およびR2で示される炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルの使用量が前記範囲より少ないと、良好な濡れ性、定着性が得られない傾向があり、一方前記範囲より多いと、基材として少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材を使用する場合に、基材の表面を溶かしすぎてしまい、印刷物の表面に凹凸が生じたり、光沢の低下を招く傾向がある。
上記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルの中でも、上記樹脂の溶解性の点、印刷適性の点から、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールのジアルキルエーテルが好ましく、その中でも、トリエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
上記ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル以外の溶剤としては、従来から非水性インクジェット用インキ組成物に使用されているものが使用可能である。
一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルに加えて、基材の表面層にある塩化ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体が可溶な有機溶剤を併用することができる。このような有機溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、ジオキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、β−ラクタム、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、この中でも沸点が150℃以上であるものを使用するのが好ましい。これら有機溶剤を併用する場合は、該有機溶剤と一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとの合計量が非水性インクジェット用インキ組成物中の全有機溶剤に対して30質量%以下になる範囲内で使用するのが好ましい。
本発明の非水性インクジェット用インキ組成物に使用する有機溶剤としては、上記基材の表面層にある塩化ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が可溶な有機溶剤以外に、上記基材の表面層にある塩化ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体を全く溶解しないか、ほとんど溶解しない有機溶剤を併用できる。このような有機溶剤としては、特に制限を受けるものではないが、非水性インクジェット用インキ組成物として安定してインキを吐出させるためには、沸点が140℃以上のものを使用するのが好ましい。沸点の上限は特に制限されないが、インキの乾燥性の点からは、250℃以下のものが好ましい。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等のエステル類等があげられる。上記有機溶剤は非水性インクジェット用インキ組成物中の全有機溶剤に対して85〜70質量%の範囲で使用するのが好ましい。
本発明の非インクジェット用インキ組成物には、着色剤として顔料を用いる場合は、有機溶剤中に顔料の分散性向上の目的で顔料分散剤を併用することが好ましい。
顔料分散剤としては、イオン性または非イオン性の界面活性剤や、アニオン性、カチオン性またはノニオン性の高分子化合物等が使用できる。
中でも顔料分散剤としては、高分子化合物であるものが好ましく、例えば、特開2004−083872号公報、再公表WO2003/076527号公報、再公表WO2004/000950号公報に記載されているカルボジイミド系化合物、味の素(株)製のアジスパー、ゼネカ社製のSOLSPERSE、ビックケミー社製のDISPERBYK、エフカアディティブズ社製のエフカ等が好ましい。これら顔料分散剤は1種または2種以上を混合して使用できる。
この中でも、顔料の有機溶剤中での分散安定性の点から、顔料としてカルボジイミド基と反応する基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等)を有している顔料を使用し、顔料分散剤としてはカルボジイミド基と反応する基を有している顔料と共有結合による強い結合力を持つことができる顔料分散剤であるカルボジイミド基を分子内に有するカルボジイミド系化合物を使用することが最も好ましい。
上記カルボジイミド基を分子内に有するカルボジイミド系化合物の具体例としては、特開2004−083872号公報に記載されているもの、再公表WO2003/076527号公報、再公表WO2004/000950号公報に記載されているもののなかでカルボジイミド基を有するもの等が例示できる。
さらに、カルボジイミド系化合物としては、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、ポリアクリル側鎖等の側鎖を有するものが、顔料分散安定性の点から好ましく、より好ましくは、上記側鎖以外に塩基性窒素含有基を有するものものである。
次に、本発明に使用するカルボジイミド系化合物の好ましい具体例について説明する。なお、本発明のカルボジイミド系化合物は、これに限定されるものでない。
本発明で使用できる好ましいカルボジイミド系化合物としては、カルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応を利用して、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリアクリル鎖よりなる群より選択される少なくとも1種を分子内に導入した、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖およびポリアクリル側鎖よりなる群から選択される少なくとも1種の側鎖を有し、かつカルボジイミド当量が100〜50000のものである。
より好ましいカルボジイミド系化合物としては、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖およびポリアクリル側鎖よりなる群から選択される少なくとも1種の側鎖と、少なくとも1種の塩基性基含有基を分子内に有し、かつカルボジイミド当量が100〜50000のものである。
なお、本発明において、このようなカルボジイミド基と官能基との反応をグラフト化反応と呼ぶことがあり、その方法で導入された側鎖をグラフト化側鎖、導入されたポリエステル側鎖をグラフト化ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖をグラフト化ポリエーテル側鎖、ポリアクリル側鎖をグラフト化ポリアクリル側鎖と呼ぶこともある。
また、本明細書において、カルボジイミド当量とは、
(カルボジイミド系化合物の分子量)/(カルボジイミド系化合物
分子中のカルボジイミド基の数)
で表される数値を意味するものである。
本発明において、カルボジイミド系化合物は、1種または2種以上を用いることができる。
なお、本明細書において、「側鎖」とは、カルボジイミド系化合物を主鎖としたときに、主鎖から枝分れの状態にある鎖をいう。また、一つの側鎖の中にポリエステル鎖とポリエーテル鎖とをそれぞれ1種以上で組み合わせて形成したものは、「ポリエステル側鎖」と「ポリエーテル側鎖」との両方に属し、一つの側鎖の中にポリエステル鎖とポリアクリル鎖とをそれぞれ1種以上で組み合わせて形成したものは、「ポリエステル側鎖」と「ポリアクリル側鎖」との両方に属し、一つの側鎖の中にポリエーテル鎖とポリアクリル鎖とをそれぞれ1種以上で組み合わせて形成したものは、「ポリエーテル側鎖」と「ポリアクリル側鎖」との両方に属する。さらに、一つの側鎖の中にポリエステル鎖、ポリエーテル側鎖およびポリアクリル鎖をそれぞれ1種以上で組み合わせて形成したものは、「ポリエステル側鎖」、「ポリエーテル側鎖」、「ポリアクリル側鎖」のいずれにも属する。そして、この様に一つの側鎖の中に、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアクリル鎖が混在するものも、もちろん「ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖およびポリアクリル側鎖よりなる群から選択される少なくとも1種の側鎖」の条件を満足する側鎖である。
また、「塩基性基窒素含有基」とは、水中で4級アンモニウムイオンを形成する窒素を含有するものはもとより、ルイス塩基として作用する窒素を含有する基を含むものであり、その代表的なものとしては、アミノ基や含窒素複素環基である。
まず、上記グラフト化側鎖を有するカルボジイミド系化合物について説明する。
上記グラフト化側鎖を有するカルボジイミド系化合物としては、まず、分子内にカルボジイミド基を2つ以上有する化合物をもとに、グラフト化反応によりポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖およびポリアクリル側鎖よりなる群から選択される少なくとも1種の側鎖を1つ以上付加する(残余のカルボジイミド基も1つ以上とする)方法で得られる化合物を挙げることできる。
ここで、上記分子内にカルボジイミド基を2つ以上有する化合物としては、例えば、有機溶媒中で、カルボジイミド化触媒の存在下、ジイソシアネート化合物を脱炭酸反応によりカルボジイミド化して得られる化合物が利用でき、具体的に脱炭酸反応させるジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等、脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物を挙げることができる。
なお、得られる化合物の分子内にカルボジイミド基を2つ以上有するのに充分な条件下においては、モノイソシアネート化合物を併用してもよく、その場合に利用可能なモノイソシアネート化合物としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等、脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族モノイソシアネート化合物を挙げることができる。
また、利用可能な有機溶媒としては、沸点が高く、かつ、イソシアネート化合物や生成するカルボジイミド基を有する化合物と反応するような活性水素を持たないものであり、具体的には、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコールジアセテート、グリコールジアセテート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート等のグリコールエーテルエステル類;エチルブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸アミル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル等の脂肪族エステル等を挙げることができる。
また、利用可能なカルボジイミド化触媒としては、ホスホレン類やホスホレンオキサイド類等が挙げられ、具体的には、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレンオキサイド等が例示できる。
これらの材料を用いて、イソシアネート基の脱炭酸反応を行う方法としては、既知の方法が利用でき、例えば、窒素雰囲気下で、100〜200℃の反応温度で行うことができる。なお、上記カルボジイミド基を有する化合物を得る他の方法としては、例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、特開平5−178954号公報、特開平6−56950号公報等に記載の方法が挙げられる。
このような方法を用いて、例えば、K(≧3)モルのジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られる化合物は以下の一般式(1)−1で、(K−1)モルのジイソシアネート化合物と2モルのモノイソシアネート化合物を脱炭酸して得られる化合物は、以下の一般式(1)−2で表すことができる。これらは、ポリカルボジドイミド系化合物ともいう。
OCN−(A−N=C=N)k-1−A−NCO (1)−1
A1−N=C=N−(A−N=C=N)k-1−A1 (1)−2
なお、上記一般式中、Aは、ポリカルボジイミド化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基、A1は、ポリカルボジイミド系化合物の合成に用いたモノイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基である。
上記一般式(1)−1で表されるカルボジイミド基を有する化合物の市販品としては、テトラメチルキシリレンジイソシアネートを原料としたカルボジイミドとしてカルボジライトV−03、V−05等(いずれも商品名、日清紡績(株)製)等が挙げられる。
また、例えば、K’(≧2)モルのジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られる化合物と水酸基を2つ有するジオール化合物とを反応させて得られる一般式(2)で表されるカルボジイミド基を2つ以上有する化合物も利用できる。この化合物は、ポリカルボジイミド系化合物ともいう。
OCN−(A−N=C=N)k-1−A−NHCOO−(B−OOCNH
−(N=C=N−A)k-1)m−NCO (2)
なお、上記一般式中、Aは、ポリカルボジイミド系化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基で、Bは、水酸基を2つ有するジオール化合物の水酸基を除く残基で、mは1以上の整数である。
このような一般式(1)−1または(2)で表される化合物は、分子内にイソシアネート基を有するが、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物を反応させることも可能であり、本発明のカルボジイミド系化合物を形成することになる分子内に2つ以上のカルボジイミド基を有する化合物として利用することができる。
このようなイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物としては、残余のカルボジイミド基との反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等の低分子モノアルコール化合物、上記水酸基を有するポリエステル化合物、ポリアルキレングリコールとそのモノアルキルエステル化合物、ポリメチルメタクリレートジオール、ポリブチルメタクリレートジオール、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレートジオール等の水酸基含有ポリアクリル化合物といったような水酸基含有化合物を挙げることができる。その中でも、好ましくは式量が500〜5000のポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアクリル鎖である。
上記のような方法を用いて得た、分子内に2つ以上のカルボジイミド基を有する化合物に、さらにグラフト化反応によりポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖またはポリアクリル側鎖を導入して、分子内にカルボジイミド基と、グラフト化ポリエステル側鎖、グラフト化ポリエーテル側鎖、グラフト化ポリアクリル側鎖よりなる群から選択される少なくとも1種のグラフト化側鎖とを、それぞれ少なくとも1つ含有するカルボジイミド系化合物とする。
そして、グラフト化反応によりこれらの側鎖を分子内に導入する代表的な方法としては、カルボジイミド基と反応可能な官能基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、水酸基、アミノ基等を有するポリエステル化合物、ポリエーテル化合物またはポリアクリル化合物を、カルボジイミド基を有する化合物のカルボジイミド基と反応させる方法が利用できる。
上記官能基を有するポリエステル化合物としては、まず、(1)オキシカルボン酸、モノアルコール、低分子ジオール化合物等を開始剤とした環状エステル化合物の開環重合化合物(例えば、乳酸、カプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のモノまたはポリオキシカルボン酸を開始剤として用い、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、2−メチルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合して得られるカルボキシル基と水酸基を含有するポリエステル化合物;メタノール、エタノール等の低分子モノオール化合物を開始剤として用い、上記環状エステル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエステルモノオール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子ジオール化合物を開始剤として用い、上記環状エステル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(2)オキシカルボン酸の自己重縮合化合物(例えば、乳酸、カプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のモノオキシカルボン酸を重縮合して得られるカルボキシル基と水酸基を含有するポリエステル化合物等)を挙げることができる。
また、(3)低分子ジオール化合物と低分子ジカルボン酸化合物とを重縮合させて得られる化合物(例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状グリコール類、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチルブチルプロパンジオール等の分岐グリコール類等の低分子ジオール化合物成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸等の飽和または不飽和脂肪族ジカルボン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等の低分子ジカルボン酸化合物成分とを、低分子ジオール化合物の過剰存在下で反応させて得られる水酸基を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(4)モノアルコールを開始剤とした環状エステル化合物の開環重合物のリン酸エステル化合物(例えば、上記のポリエステルモノオール化合物をリン酸とエステル化反応させて得られるリン酸基を含有するポリエステルジオール化合物等)、(5)アミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤とした環状エステル化合物の開環重合化合物(例えば、タウリン等のアミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤として、上記環状エステル化合物を開環重合して得られるスルホン酸を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(6)モノアルコールを開始剤とした環状エステル化合物の開環重合物の亜硫酸ガス付加物(例えば、上記のポリエステルモノオール化合物に亜硫酸ガスを付加して得られるスルホン酸を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
この様なポリエステル化合物としては、ポリカプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステル化合物であることが好ましい。
上記官能基を有するポリエーテル化合物としては、まず、
(1)オキシカルボン酸、モノアルコール、低分子ジオール化合物等を開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合化合物(例えば、乳酸、カプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のモノ又はポリオキシカルボン酸を開始剤として用い、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル化合物を開環重合して得られるカルボキシル基と水酸基を含有するポリエーテル化合物;メタノール、エタノール等の低分子モノオール化合物を開始剤として用い、上記環状エーテル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエーテルモノオール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子ジオール化合物を開始剤として用い、上記環状エーテル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエーテルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(2)モノアルコールを開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合物のリン酸エステル化合物(例えば、上記ポリエーテルモノオール化合物をリン酸とエステル化反応させて得られるリン酸基を含有するポリエーテル化合物)を挙げることができる。
また、(3)アミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合化合物(例えば、タウリン等のアミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤として、上記環状エーテル化合物を開環重合して得られるスルホン酸基を含有するポリエーテル化合物)を挙げることができる。
また、(4)モノアルコールを開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合物の亜硫酸ガス付加物(例えば、上記ポリエーテルモノオール化合物に亜硫酸ガスを付加して得られるスルホン酸基を含有するポリエーテル化合物)を挙げることができる。
上記官能基を有するポリアクリル化合物としては、
(1)カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、水酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種を有する(メタ)アクリルモノマーから選択される少なくとも1種を含有する単量体成分を重合してなる(メタ)アクリル系重合体(例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー:(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトコラン酸(メチルマレイン酸)、イタコン酸等;スルホン酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー:(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル等;燐酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー:2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェイト、トリスアクリロイルオキシエチルホスフェート等;水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド等の単量体から選択される少なくとも1種のモノマー成分と必用に応じて上記以外の一般にアクリル系樹脂の反応成分として使用されるアルキルエステルやスチレン系モノマー等、既知のモノマーを重合して得られる(メタ)アクリル重合体等)を挙げることができる。
(2)また、酸基非含有(メタ)アクリル系単量体の少なくとも1種を含む酸基非含有ラジカル重合性不飽和単量体を酸基含有連鎖移動剤の存在下で重合して得られる分子の末端に酸基を含有するポリアクリル化合物を挙げることができる。
なお、さらに、上記官能基を有し、ポリエステル鎖とポリエーテル鎖の両方を含んでいる化合物、ポリエステル鎖を有するポリアクリル化合物、ポリエーテル鎖を有するポリアクリル化合物を用いてもよく、例えばポリアルキレングリコールやそのモノアルキルエーテル化合物を開始剤として、環状エステル化合物を反応させて得られる化合物、水酸基含有ポリエステル化合物に環状エーテル化合物を反応させて得られる化合物、ポリエステル鎖を分子内に含む(メタ)アクリル系モノマーやポリエーテル鎖を分子内に含む(メタ)アクリル系モノマーを用いて得られるポリアクリル鎖化合物を挙げる事ができる。
これらのポリエステル化合物、ポリエーテル化合物、ポリアクリル化合物の中でも、カルボジイミド基との反応性の面からはカルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基を有する方が有利である。
また、水酸基を有する化合物は、もととなるポリカルボジイミド化合物がさらにイソシアネート基を有する場合、カルボジイミド基より先にイソシアネート基との反応が起こり、反応の制御が困難となり、さらに、水酸基を2つ以上有する化合物は、グラフト化反応の間に架橋してゲル化を起こす可能性がある。
そこで、官能基が水酸基のみの化合物については、さらに、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等の酸無水物を反応させて、カルボキシル基を一つ含有するポリエステル化合物を得てから、グラフト化反応させることが望ましい。
上記で例示したポリエステル化合物、ポリエーテル化合物またはポリアクリル化合物をグラフト化により分子内に少なくとも1つ導入した化合物は、さらに、カルボジイミド基を少なくとも1つ有する必要があり、例えば、上記一般式(1)−1で表されるポリカルボジイミド化合物にグラフト化反応により側鎖を導入した時には、下記一般式(3)で表されるカルボジイミド系化合物を得るものである(ただし、K−1=m+n個とする)。
Figure 2007072804
ここで、Aは、ポリカルボジイミド系化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基である。Xは、同一または異なって、カルボジイミド基とそれに反応可能な官能基を反応させて得られる3価の連結基、Yは、同一または異なって、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖またはポリアクリル鎖であり、mおよびnはそれぞれ1以上の整数を表す。
なお、上記Xで表される3価の連結基として、例えば、カルボジイミド基とカルボキシル基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(4)、(5)、カルボジイミド基と水酸基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(6)、(7)、カルボジイミド基とアミノ基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(8)、カルボジイミド基とスルホン酸基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(9)、カルボジイミド基と燐酸基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(10)で表される。
Figure 2007072804
上記一般式中、Rは、水素原子または炭素数1以上の炭化水素基を表す。
さらに、一般式(3)で表されるカルボジイミド系化合物は、分子内にイソシアネート基を有するが、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物を反応させることも可能であり、下記一般式(11)で表される化合物も本発明におけるカルボジイミド系化合物として利用することができる。
Figure 2007072804
上記一般式中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、異なる構造を有してもよい、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物の、当該官能基の活性水素の1つを除く残基を表す。Aは、ポリカルボジイミド化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基である。Xは、同一または異なって、カルボジイミド基とそれに反応可能な官能基を反応させて得られる3価の連結基、Yは、同一または異なって、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖またはポリアクリル鎖であり、mおよびnはそれぞれ1以上の整数を表す。
このようなイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物としては、残余のカルボジイミド基との反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等の低分子モノアルコール化合物、上記水酸基を含有するポリエステル化合物、ポリアルキレングリコールとそのモノアルキルエステル化合物、ポリメチルメタクリレートジオール、ポリブチルメタクリレートジオール、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレートジオール等の水酸基含有ポリアクリル化合物といったような水酸基含有化合物を挙げることができる。その中でも、好ましくは式量が500〜5000のポリエステル鎖、ポリエーテル鎖またはポリアクリル鎖を形成するものである。
なお、以上に挙げた反応、すなわち、上記の水酸基含有化合物を開始剤とした環状エステル化合物の開環反応、オキシカルボン酸の重縮合反応、低分子ジオール化合物と低分子ジカルボン酸化合物との縮重合反応、水酸基含有エステル化合物と酸無水物の開環反応、環状エーテル化合物の開環反応、水酸基含有エーテル化合物と酸無水物との開環反応、カルボジイミド基と、カルボキシル基や水酸基等との反応、さらにはイソシアネート基と水酸基等との反応には常法が利用できる。
上記カルボジイミド系化合物は、カルボジイミド基と、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖またはグラフト化ポリアクリル鎖とを、それぞれ少なくとも1つ含有する化合物であればよく、各反応材料を反応させる順序が異なっても、最終的に得られる化合物が同一の分子構造を有すれば、得られる性能も異なるものではない。
したがって、上記一般式(11)の化合物において、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリアクリル鎖よりなる群から選択される少なくとも1種の鎖(を有する化合物)と、カルボジイミド基(を有する化合物)との反応により上記側鎖を分子内に導入させる方法、即ち、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖またはグラフト化ポリアクリル鎖を導入するために、先にカルボジイミド基と反応する官能基含有ポリエステル化合物、カルボジイミド基と反応する官能基含有ポリエーテル化合物またはカルボジイミド基と反応する官能基含有ポリアクリル化合物を合成後、カルボジイミド基に反応させて上記側鎖とする方法を説明したが、グラフト化反応により側鎖をカルボジイミド系化合物の分子内に導入する別の方法としては、カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物とカルボジイミド基(を有する化合物)とを反応させた後、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリアクリル鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を形成する化合物を分子内に導入させることによっても行うことができる。
例えば、グラフト化ポリエステル側鎖またはグラフト化ポリエーテル側鎖を導入する場合であれば、先にオキシカルボン酸をカルボジイミド基に反応させて、水酸基をカルボジイミド化合物の分子内に導入した後、環状ポリエステル化合物または環状ポリエーテル化合物を開環重合させて、ポリエステル鎖またはポリエーテル鎖をグラフト結合する方法であってもよい。また、グラフト化ポリアクリル鎖を導入する場合であれば、先にオキシカルボン酸をカルボジイミド基に反応させて、水酸基をカルボジイミド基を有する化合物の分子内に導入した後、ポリアクリル鎖をグラフト結合する方法であってもよい。
さらに、先にカルボジイミド基を有する化合物の分子内に残存するイソシアネート基と、それに上述したような反応可能な官能基とを反応させた後、グラフト化を行ってもよく、そして、これらの反応の順序については、好ましくない副反応生成物の最も少なくなるような条件で合成することが望ましい。
次に、上記グラフト化側鎖を有し、かつ上記塩基性基含有基を分子内に有するカルボジイミド系化合物について説明する。
上記グラフト化側鎖を有し、かつ上記塩基性基含有基を分子内に有するカルボジイミド系化合物の代表的な具体例としては、(1)上記一般式(1)−1または(2)のポリカルボジイミド化合物のイソアネート基と、該イソシアネート基と選択的に反応可能な官能基として好適な水酸基と、カルボジイミド基やイソシアネート基との反応に関与しない3級アミノ基または塩基性窒素含有複素環基とを有する化合物を反応させて得た化合物のカルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応を利用して、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリアクリル鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を分子内に導入したカルボジイミド系化合物、(2)上記一般式(1)−1または(2)のポリカルボジイミド系化合物のカルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応を利用して、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖及びポリアクリル鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を分子内に導入した化合物のイソアネート基と、該イソシアネート基と選択的に反応可能な官能基として好適な水酸基と、カルボジイミド基やイソシアネート基との反応に関与しない3級アミノ基または塩基性窒素含有複素環基とを有する化合物を反応させて得られるカルボジイミド系化合物、(3)上記K’(≧2)モルのジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られる化合物と水酸基を2つ有するジオール化合物とを反応させて得られる一般式(2)で表すカルボジイミド基を2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物で、水酸基を2つ有するジオール化合物として、水酸基を2つ有する化合物と3級アミノ基を有する化合物を使用して得られる塩基性基含有基を分子内に有するポリカルボジイミド系化合物をもとにして、この化合物のカルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応を利用して、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリアクリル鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を分子内に導入したカルボジイミド系化合物等が挙げられる。
なお、上記(1)〜(3)において、イソシアネート基が残存している場合は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物を反応させることも可能である。
このようなイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物としては、残余のカルボジイミド基と反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等の低分子モノアルコール化合物、上記水酸基を有するポリエステル化合物、ポリアルキレングリコールとそのモノアルキルエステル化合物、ポリメチルメタクリレートジオール、ポリブチルメタクリレートジオール、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレートジオール等の水酸基含有ポリアクリル化合物といったような水酸基含有化合物を挙げることができる。
上記イソシアネート基と選択的に反応可能な官能基として好適な水酸基と、カルボジイミド基やイソシアネート基との反応に関与しない3級アミノ基または塩基性窒素含有複素環基とを有する化合物としては、具体的には、水酸基1つと3級アミノ基とを有する化合物としては、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン化合物、2級アミン化合物のエチレンオキサイド付加物、2級アミン化合物とエポキシ化合物との反応物等を挙げることができる。また、水酸基2つと3級アミノ基とを有する化合物としては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン化合物、1級アミン化合物のエチレンオキサイド付加物、1級アミン化合物とエポキシ化合物との反応物等を挙げることができる。
さらに、水酸基および塩基性窒素含有複素環基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシピリジンや、ピリジンメタノール、ピリジンエタノール等、ピリジン、ピラジン、トリアジン、キノリン等の3級の塩基性窒素を含有する複素環および水酸基を有する化合物が使用できる。また、ピペリジンやピペラジン等の2級の塩基性窒素を含有する複素環化合物であっても、アルキル化して3級化し、かつ水酸基を含有させることにより使用することができる。
本発明で用いるカルボジイミド系化合物の数平均分子量としては、1,000以上で、1,000,000以下のものが好ましい。カルボジイミド系化合物の数平均分子量が高くなりすぎると、非水性インクッジェット印刷用インキ組成物として適切な粘度のものが得られにくくなる。
なお、上記分散剤は、顔料の種類、使用する有機溶剤の種類に応じて適宜選択して使用する。
さらに、本発明の非水性インクジェット用インキ組成物には、必要に応じて、可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を使用することができる。
次に、これらの材料を用いて本発明の非水性インクジェット用インキ組成物を製造する方法について説明する。
本発明の非水性インクジェット用インキ組成物は、例えば、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー、ジーナスPY、DeBEE2000等)、パールミル等の分散機を使用して分散混合し、非水性インクジェット用インキ組成物の粘度が2〜10mPa・sとなるように調整することによって得ることができる。本発明の非水性インクジェット用インキ組成物中における全有機溶剤の含有量は、インキ組成物全量から、バインダー樹脂、着色剤(顔料を使用する場合は顔料分散剤を含む)、必要により使用するその他の添加剤の合計量を差し引いた量であるが、インキ粘度が前記範囲内になるように適宜変更するのが好ましい。
本発明の印刷物を得る方法について説明すると、少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に、上記非水性インクジェット用インキ組成物を用いてインクジェット用プリンターで印刷して得ることができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は質量部を意味する。
実施例1〜5および比較例1〜2
<非水性インクジェット用ベースインキの製造>
下記の顔料分散剤(カルボジイミド化合物)20部をジエチレングリコールジエチルエーテル60部に溶解し、これに顔料としてカーボンブラックMA−7(三菱化学(株)製、カルボジイミド其と反応する其としてカルボキル基等を有するもの)20部を攪拌混合した後、ビーズミルを用いて練肉し、非水性インクジェット用ベースインキを得た。
<顔料分散剤(カルボジイミド化合物)の製造>
還流冷却管、窒素ガス導入管、攪拌機、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量316のポリカルボジイミド化合物のトルエン溶液(固形分50%)1823部、N−メチルジエタノールアミン178部を仕込み、約100℃で3時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いで末端にカルボキシル基を有する分子量2000のポリカプロラクトン2915部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5104部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させて数平均分子量約10800、カルボジイミド当量2800の顔料分散剤(固形分40%)を得た。
<非水性インクジェット用インキ組成物の製造>
表1の配合(各材料の配合比率は質量%である)に従い、各材料を攪拌混合して25℃における粘度がほぼ4mPa・sの実施例1〜5および比較例1、2の非水性インクジェット用インキ組成物を得た。
<印刷方法および印刷物>
市販のインクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.(株)製SOLJET PRO II SC−540)に実施例1〜5および比較例1、2の非水性インクジェット用インキ組成物を装填し、ポリ塩化ビニルシート(商品名:カプジェット グロスバーナー、フィルムルックス社製)に印字し、実施例1〜5および比較例1、2の印刷物を得た。
<評価>
実施例1〜5および比較例1、2のインキ組成物、印刷物について、下記の特性を評価した。下記評価において、A、Bが実用レベルで、C、Dは製品としての使用に差し支えるレベルである。
(粘度)
実施例1〜5、比較例1、2の各非水性インクジェット用インキ組成物の25℃における粘度を粘度計(東機産業(株)製RE100L型)を用いて測定した。
(光沢)
実施例1〜5、比較例1、2の各印刷物の光沢を日本電色工業(株)製変角光沢計(VGS−300A)にて60度で測定した。
評価基準
A:光沢値40以上
B:光沢値40未満〜20以上
C:光沢値20未満
(セット性)
実施例1〜5、比較例1、2の各非水性インクジェット用インキ組成物を用いてポリ塩化ビニルシート(商品名:カプジェット グロスバーナー、フィルムルックス社製)にベタ印刷を行い、30℃で乾燥するまでの時間を計測した。乾燥は指触して指につかないことによって判定した。
評価基準
A:3分未満
B:3分以上〜5分未満
C:5分以上
(吐出安定性)
実施例1〜5、比較例1、2の各非水性インクジェット用インキ組成物を用いてポリ塩化ビニルシート(商品名:カプジェット グロスバーナー、フィルムルックス社製)に印刷を行い、印刷されない部分が発生する枚数で評価した。
評価基準
A:印刷されない部分が71枚目以降に発生するか、印刷されない部分が100枚目までは発生しない。
B:印刷されない部分が51枚目〜71枚目で発生する。
C:印刷されない部分が31枚目〜50枚目で発生する。
D:印刷されない部分が30枚目までに発生する。
Figure 2007072804
本発明の非水性インクジェット用インキ組成物は、印刷面が主として塩化ビニル系重合体やエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に対して濡れ性および定着性が良好で、さらにインクジェット印刷の間および長期休止状態の後においても優れた吐出安定性を有する。
したがって、本発明の非水性インクジェット用インキ組成物をターポリンなどの基材に印刷することによって、良好な印刷品質の大判の看板広告などを容易に製造することができる。

Claims (7)

  1. バインダー樹脂として塩化ビニル系重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体およびエチレン−酢酸ビニル系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のビニル系重合体、着色剤、ならびに有機溶剤を含んでなり、前記有機溶剤として次の一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを、全有機溶剤中に15〜30質量%含有することを特徴とする非水性インクジェット用インキ組成物。
    1−O−(−CH2−CHX−O−)n−R2 (I)
    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数が1〜3のアルキル基、nは3〜6の整数、n個のXはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す)。
  2. 上記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとして、トリエチレングリコールジアルキルエーテルを用いる請求の範囲第1項記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
  3. 上記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとして、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびトリエチレングリコールジエチルエーテルの少なくとも1種を用いる請求の範囲第1項または第2項記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
  4. 上記着色剤が、カルボジイミド基と反応する官能基を有する顔料であり、かつ非水性インクジェット用インキ組成物中に顔料分散剤としてカルボジイミド基を有するカルボジイミド系化合物を含有する請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
  5. 上記ビニル系重合体として塩化ビニル系重合体を用いる請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の非水性インクジェット用インキ組成物。
  6. 少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる基材に、請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の非水性インクジェット用インキ組成物を印刷して得られる印刷物。
  7. 少なくとも表面層が塩化ビニル系重合体からなる基材に、請求の範囲第5項記載の非水性インクジェット用インキ組成物を印刷して得られる印刷物。
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