JPWO2007072730A1 - 扁平形電池 - Google Patents

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正彦 吉田
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Abstract

本発明は、遠心力が加わる装置に電池を装着した場合においても放電性能が低下しない扁平形電池を提供することを目的とする。本発明は、内部に空隙を有する正極と、アルカリ金属を含む金属で構成され、前記正極に対向配置された負極と、前記正極と前記負極とに介在し前記正極と前記負極とを絶縁するセパレータと、前記セパレータに含浸し、前記正極と前記負極とに介在する電解液と、前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記電解液を収納する密閉ケースと、を備え、前記電解液の体積が前記密閉ケース内に形成された空間を、前記セパレータを厚さ方向に二分する平面で分割したときの前記正極側の空間体積よりも大きい扁平形電池である。

Description

本発明は扁平形電池、特に回転体上に取付けられるなどにより遠心力が加わる環境下で使用される扁平形電池に関する。
一般的な化学電池において電気エネルギーが発生する電気化学反応は、正極と負極との間に存在する電解質中のイオン伝導により進行する。通常、液状の電解質(電解液)は正極と負極との間に介在させたセパレータに含浸させた状態で存在し、正負極間の酸化還元反応に寄与する。電解液には大別して水溶液と有機溶液とがある。また最近ではポリマー電解質などの固体電解質を用いた電池も開発されている。
これらの電池のうち扁平形電池は機器のリアルタイムクロックやメモリーのバックアップ電源、電卓や時計等の民生用機器などに多く使用されている。電池が搭載された機器は若干の振動や衝撃が加わる場合もあるが基本的には静置されて使用される場合が多い。このように電池はほとんどの場合静置された機器内または可搬型の機器内で使用されている。この場合、振動が電池に対してかかる場合はあるが、遠心力や加速度はほとんどかからず、通常の電池設計においては遠心力等が加わる環境で動作することを考慮されていない。
静置された状態において、電解液は正極内部の空間に存在しているが、正極材料の細孔部分や成形密度の高い部分にまでは浸透しない。そのため電解液は正負極界面に存在し、問題なく放電反応に関与する。
しかしながら、遠心力が加わる装置に電池を搭載したとき、遠心力により電池内部の電解液が流動する。これにより正負極の対向面に存在し酸化還元反応に寄与するべき電解液が、活物質間の空隙や部品間の空間に流れてしまう。そのため、特に大電流が必要とされる場合や、低温環境下などで電池の放電性能が著しく低下する。
例えば、自動車タイヤの空気圧を自動車の走行中に測定するように構成された装置を動作させるためにも電池が使用される。このような電池にはタイヤの回転による遠心力が加わる。自動車が巡航速度に達すると、機器と電池とには200G以上の遠心力がかかる。そのため、上述のように電解液が偏在し、放電特性が低下する。
遠心力が加わる環境において安定した放電を行う方法として、例えば特許文献1では、電池が回転体上に設置される方向を規定する方法が考案されている。この方法によれば、正負極対向面に電解液が存在するようになり、遠心力が働く環境下においても正常に電池が動作する。
自動車の運行中、自動車のタイヤ内はタイヤと路面の摩擦やブレーキ時の摩擦などにより外気より高温になる。急ブレーキ時など時には100℃以上の高温となる場合がある。そのため、このような用途には高温での使用が可能なリチウム一次電池に代表される有機電解液電池が使用されている。しかしながらリチウム一次電池の負極は金属で内部に空間を有しないため、負極方向へ遠心力が働く場合には電解液は負極表面、すなわち正極との界面に存在することで正常な放電が可能となる。
また、放電反応においては電解液がセパレータに充分存在することが重要である。しかしながら電池内では電解液が徐々に分解されてガスが発生する。このガスにより電池内部の電解液の位置や、電池部品間の接触が不安定になることがある。そのための対応として特許文献2では電池内部の圧力を減圧する方法が考案されている。
通常、有機電解液電池は長期間あるいは高温多湿環境下で保存された場合、有機電解液が徐々に分解され水素やメタン等が発生し、これらの気体が電池内部に蓄積されることにより内部圧力が上昇する。内部圧力の上昇は電池の変形や耐漏液性の低下を招くため、電池内には内部圧力の上昇を緩和するために電池構成部品や電解液が存在せず気体のみが存在する空間が設けられている。この空間には封口時に電池内に存在した空気または空気を置換した不活性ガスなどが存在している。そのため電池内部に必要空間を確保するための量の電解液が電池内に注入されている。この量は遠心力が関与しない条件では正負極の境界面のセパレータに存在し放電反応を行うに充分な量である。そのため遠心力がかからない機器で使用する場合電解液量と電池内空間の体積とを規定する必要はない。電解液量を増やしても電池放電特性は改良されず、耐漏液性が低下する可能性があるため、従来の電池では少なめの量の電解液が用いられている。
従来の有機電解液電池では特許文献1が示すとおり、回転体上への設置方向を規定しないと正常な放電を行い得ない。しかしながら機器の回路基板の設計や基板上の部品配置などにより、規定された向きに電池を設置することが困難となる場合がある。たとえば、タイヤ内部に装着される空気圧計の場合において、タイヤホイールの幅が電池径よりも細い場合には電池をタイヤホイール上に縦または斜めに設置することになる。すなわち特許文献1に示すように電池の負極を遠心力方向に対して外側に位置させることが困難になる。このように特許文献1の方法は実施できない場合がある。
特開平11−242948号公報 特開平5−182649号公報
本発明は、遠心力等が加わる装置上に、従来の電池では放電が困難となる方向に配置した場合にも放電性能が低下しない電池である。本発明の扁平形電池は、内部に空隙を有する正極と、負極と、セパレータと、電解液と、密閉ケースとを有する。負極はアルカリ金属を含む金属で構成され、正極に対向配置されている。セパレータは正極と負極とに介在し正極と負極との直接接触を防ぐように絶縁している。電解液はセパレータに含浸して正極と負極とに介在する。密閉ケースは正極、負極、セパレータ、電解液を収納している。電解液の体積は、密閉ケース内に形成された空間を、セパレータを厚さ方向に二分する平面で分割したときの正極側の空間体積よりも大きい。この様に電池設計することにより、遠心力方向に対する電池の設置方向にかかわらず、常に電解液は正負極境界面に存在する。すなわち本発明に規定する電解液量と正極側空間体積を維持することにより、遠心力が働く環境においても、常にセパレータが湿潤し、正負極間の放電反応を行うことが可能である。そのため、本発明の扁平形電池は、回転体上への電池取付け角度や静置角度によらず安定した放電が可能である。
図1は本発明の実施の形態による扁平形電池の断面図である。 図2は回転体上の扁平形電池に作用する遠心力の方向を示す斜視図である。 図3は回転体上の扁平形電池に作用する遠心力の方向を示す正面図である。 図4は回転体と扁平形電池との取付け角度を示す拡大図である。
符号の説明
1 封口板
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 正極ケース
6 ガスケット
8 セパレータを厚さ方向に二分する平面
9 正極の中心から負極の中心に向かう中心軸方向(法線)
10 電池
11 端子
12 回転体
13 回転軸
図1は本発明の実施の形態による扁平形電池の断面図である。この扁平形電池(以下、電池)10は、内部に空隙を有する正極3と、負極2と、セパレータ4と、図示しない電解液と、正極ケース(以下、ケース)5と封口板1とを有する。負極2は無孔性でアルカリ金属を含む金属で構成され、正極3に対向配置されている。すなわち負極2はアルカリ金属またはアルカリ金属の合金から構成されている。セパレータ4は正極3と負極2とに介在し正極3と負極2との直接接触を防ぐように絶縁している。電解液はセパレータ4に含浸して正極3と負極2とに介在する。ケース5と封口板1とガスケット6を介して組み合わせられ、正極3、負極2、セパレータ4、電解液を収納する密閉ケースを構成している。電解液の体積は、密閉ケース内に形成された空間を、セパレータ4を厚さ方向に二分する平面8で分割したときの正極3側の空間体積よりも大きい。すなわち正極3側の電池10内全空間体積から正極3側電池10内部に存在する全部品及び材料の真体積を除いた空間体積よりも、電池10内部に充填された電解液の体積が大きい。
このような量の電解液を充填することにより、電解液が電池10内の間隙を満たしかつセパレータ4上を満たす。そのため、電池10は常に安定した放電特性を示す。すなわち遠心力が働く環境下で電池10がいかなる姿勢をとった場合においても正常な放電が可能になる。また電解液量を規定することにより懸念される耐漏液特性の低下に対して正極3の充填率を規定することにより、実使用上問題のない性能を確保することが可能である。
電池10内の空間から電池10内部に存在する全部品、材料の真体積を除いた空間体積を、セパレータ4を厚さ方向に二分する平面8により分割した場合に、正極3側の空間体積が電解液の体積よりも大となる場合、遠心力が動作する方向によっては電解液が充分にセパレータ4上に存在しなくなる。そのため放電が正常に行われなくなる場合があるので好ましくない。
なお本実施の形態のように正極3の充填量と電解液の量とを設計とすることにより電池10内空間が減少する。そのため電解液の分解によりガスが発生して電池10内の圧力が増加した場合、通常の電池よりも早期に漏液が発生する可能性がある。そのため、電池10内部の圧力を減圧に規定することが好ましい。具体的には電池10内の圧力を1気圧以下にすることが好ましい。これにより保存中に電解液の分解により発生するガスの影響が抑制され、耐漏液特性が良好に維持される。そして遠心力が働く環境において、どのような取付け方法を採用した場合においても常に安定した放電を行うことが可能となる。
通常大気圧下で封口する場合、ケース5と封口板1とをガスケット6を介して組み合わせ、所定の高さまで圧縮する。そのため、電池内部の圧力は大気圧よりも高くなる。本実施の形態では、電池10内部の圧力すなわち電池10内部の気体総量を製造時に減じることが好ましい。このように組立時の電池10内部を減圧することにより電池10内にガスが蓄積した場合の圧力が緩和され、電解液量と正極側の真空間体積を調整した場合でも良好な耐漏液特性を維持することができる。なお電解液を構成する溶媒の気化によって支持塩濃度が著しく変化するのを避けるため、組立時の電池10内部を0.4気圧以上に保つことが好ましい。
さらに電池10外部を図示しない樹脂で充填し電池10の外装の強度を高めることによっても同様に良好な耐漏液特性を維持することができる。
以下、具体的な実施例について説明する。まずサンプルAの試験用電池の作製手順を説明する。
正極3には活物質として二酸化マンガン、導電剤としてカーボン、結着剤としてポリ4フッ化エチレン(PTFE)のディスパージョン溶液をそれぞれ固形分として100:7:1の比率で用いた。この混合物を混練し、乾燥させて直径18.5mm、厚さ0.6mmの円筒形状に成型した。これを再度乾燥して正極3として使用した。
負極2として、金属リチウム0.08gを用い、封口板1に圧着した。封口板1は厚さ0.2mmのステンレス板を成型して作製した。
以上のように作製した正極3をケース5に挿入し、セパレータ4を上面に配置した。セパレータ4にはポリプロピレン製不織布を使用した。さらにプロピレンカーボネートとジメトキシエタンの体積比で1:1の混合溶媒に過塩素酸リチウム1mol/lを溶解させた電解液320μlを注入した。3分間放置し正極3に電解液を含浸させた後、負極2を圧着した封口板1にガスケット6を装着してからケース5に嵌め込んだ。最後にケース5の開口部をカールさせ封口し、直径23mm、厚さ3mmのサンプルAの電池10を完成した。
サンプルAの電池10の空間体積は、ケース5を封口板1によって封口したときの電池10内空間体積から、その中に収容された電池10の全構成材料の真体積によって占められた体積を差し引いた残りの体積である。試験用電池の場合、電池空間体積は761μlである。また、正極3、負極2、セパレータ4等の固形物の真体積が369μlであり、固形物の真体積を除いた空間の体積は392μlである。
電池10をセパレータ4を厚さ方向に二分する平面8で、正極3側と負極2側に分割した場合、電解液注入前の正極3側の空間体積は318μlであり、負極2側の空間体積は74μlである。この空間体積は実際の電池10内容積より部品の真体積を減じて算出する。部品の真体積は電解液中に部品を浸漬し、見かけ上増加した電解液量により測定する。正極3については原材料の粉体を成型せずに電解液中に浸漬しその体積と重量より真密度を計算して、実際の正極3の重量より真体積を算出した。
サンプルBでは電解液量を340μlとした。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルCでは電解液量を360μlとした。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。
サンプルDでは電解液量を320μlとし、0.8気圧の減圧環境下で封口した。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルEでは電解液量を340μlとした。これ以外はサンプルDと同様にして試験用電池を作製した。サンプルFでは電解液量を360μlとした。これ以外はサンプルDと同様にして試験用電池を作製した。
サンプルGでは電解液量を320μlとし、0.5気圧の減圧環境下で封口した。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルHでは電解液量を340μlとした。これ以外はサンプルGと同様にして試験用電池を作製した。サンプルJでは電解液量を360μlとした。これ以外はサンプルGと同様にして試験用電池を作製した。
これらのサンプルと比較するために以下のようにサンプルK、L、Mを作製した。サンプルKでは電解液量を280μlとし、サンプルLでは、300μlとした。サンプルMは、大気圧下で封口した。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルMの試験用電池内部の圧力は、電池作製後に流動パラフィン中で電池を分解して内部の空気を捕集し、その体積と電池内空間体積とから1.1気圧と算出された。
以上のようにして作製した各サンプルの電池10を、まず室温25℃において15kΩで2.0Vまで定抵抗放電し、その放電容量を測定した。このように遠心力が加わらない状態での放電容量を100%とした。この試験用電池の場合は265mAhが放電容量100%に相当する。
次に各サンプルの電池10を図2、図3に示すように回転試験機の回転体12に装着して回転軸13を中心に回転させ、回転による遠心力の方向に対する電池10の装着角度による放電容量の変化を測定した。なお電池10の個体間ばらつきを考慮して各320個の試験用電池を作製して、試験条件あたりそれぞれ20個の電池10を評価し、平均値を比較した。
遠心力強度は、回転試験機の回転により30G、100G、1000Gの遠心力を加えた各状態で調整した。また電池の取付け角度は、図1に示す正極3の中心から負極2の中心に向かう中心軸の方向9が遠心力方向と一致する角度を0°とする。すなわち、負極2が回転体12の外側に位置し法線9が遠心力方向と同一である角度を0°とする。そして図4に示すように反転して正極3が回転体12の外側に位置し法線9が遠心力方向と同一である角度を180°とする。そして0°、45°、90°、135°、180°に電池10を固定して回転体12を回転させた。以上の試験結果をそれぞれ(表1)、(表2)、(表3)に示す。
Figure 2007072730
Figure 2007072730
Figure 2007072730
サンプルA〜J、Mではいずれの電池も、サンプルK、Lの電池と比較しても、遠心力が働く環境での放電容量が優れている。
扁平形電池の構造上、取付け角度が90°の場合、正極3と負極2との界面のうち、回転体12の外側に位置する部分には電解液で完全に満たされていない。それでも、(表1)〜(表3)の結果が示すとおりサンプルA〜J、Mでは放電にほとんど影響を受けていない。このように本実施の形態における電池設計とすることにより、回転体12への取付け角度によらず、良好な放電特性を得ることが可能であることがわかる。
実際に遠心力が働いた直後に電池10を分解し、セパレータ4を観察すると、サンプルA〜J、Mの各電池のセパレータ4はいずれの取り付け角度、遠心力強度の場合も電解液により湿潤している。一方、サンプルK、Lを180°の取付け角度で遠心力が1000Gの場合、セパレータ4はほぼ乾燥した状態である。このように、セパレータ4に含浸された電解液量には差がある。またサンプルA〜J、Mの各電池では遠心力がかかった状態でもセパレータ4と、正極3と負極2との対向面に電解液が存在していることが推測できる。
サンプルAよりも電解液量が大であるサンプルB、Cの電池は、遠心力強度や取り付け角度に関わらず、ほぼ静置した状態と差がない放電容量を示している。これは遠心力がかかった状態でも電解液が反応に必要な正極3と負極2との対向面を満たしているからと推測される。
次にそれぞれの電池20個を高温に保存し、耐漏液特性を比較した。具体的には60℃で各期間保存後の漏液状態を確認した。これらの試験結果を(表4)に示す。
Figure 2007072730
通常のリチウム電池の使用温度範囲における本実験での耐漏液性は、(表4)に示すとおり各サンプルA〜Lの電池とも差は生じていない。一方、サンプルMの電池では1ヶ月目から漏液が発生し、徐々に漏液が増加した。このことから、電池10の密閉ケースである封口板1とケース5で形成された空間の圧力を1気圧以下とすることにより耐漏液性が向上することがわかる。また、電池10に遠心力が加わることによる放電容量の低下は、放電時の反応に関与する正極3と負極2との対向面に必要な電解液が充分に存在しない状態になることにより発生するものと考えられる。この状態は正極3と負極2とが平行に対向して配置される扁平形電池で顕著に発生する。
円筒形電池では、正極と負極とが同心円状に配置されるボビン形構造の場合や、長尺の正極、負極を、セパレータを介して捲回することで電極群を構成するスパイラル構造の場合、構造上電解液が正極または負極の片側に偏在することはない。そのため遠心力の方向と放電容量との間には一般的に大きな関連性はない。
上述の二酸化マンガンリチウム電池だけでなくフッ化黒鉛リチウムなど、正極3が粉末成形体等で構成され正極3の内部に空隙を有し、負極2が金属等内部に空間を有しない構造である扁平形電池に、本実施の形態の設計を適用することが好適である。このような設計を適用することにより遠心力が加わる状態においても正常に放電することができる。
遠心力が加わった状態でも電解液は瞬時に正極3と負極2との対向面より流出しない。そのため30G程度の遠心力ではサンプルK、Lの電池においても放電容量はほとんど影響を受けていない。また100G程度の加速度が加わった状態でも回転開始直後はサンプルK、Lの電池でも放電可能であり、その後電解液が流出するに従い放電不能になる。この電池は遠心力から開放されると正常に放電可能な状態に復帰する。
このように電解液量を、電池10内に形成された空間を、セパレータ4を厚さ方向に二分する平面8で分割したときの正極3側の空間体積よりも大きくすれば遠心力がかかり、かつ取り付け角度が0°以外の場合でも充分な放電容量を示す電池10が提供できる。なお電解液量の上限は、電池空間体積の全てを満たす体積までとなる。しかしながら現実的には、電解液量が著しく多いと電池内部での反応により電解液等が分解して気体が発生した場合に耐漏液特性が著しく低下する。そのため図1に示すカール封口構造では電池としての性能が低下する。このようなことを考慮すると、電解液量は実用上電池内の全空間体積の70%程度までとすることが好ましい。
電池を機器に取付けるほとんどの場合において、電池は回路基板上に直接取付けられる。機器設計上、遠心力方向を考慮して電池を取付けることが困難な場合であっても、本実施の形態による電池10を使用することにより機器設計上の制約を伴わずに、優れた放電性能を発揮することが可能である。
本発明にかかる扁平形電池は、遠心力が加わる装置に装着する電池の電解液量を規制することにより、遠心力により負極反応面に対して電解液が減少する状態が解消され、遠心力が加わる状態において電池の設置姿勢によらず電池を正常動作させることが可能になる。そのため、自動車タイヤに装着され空気圧を測定する装置等、遠心力が加わる状態に装着される機器を動作させるために使用する電池として有用である。
本発明は扁平形電池、特に回転体上に取付けられるなどにより遠心力が加わる環境下で使用される扁平形電池に関する。
一般的な化学電池において電気エネルギーが発生する電気化学反応は、正極と負極との間に存在する電解質中のイオン伝導により進行する。通常、液状の電解質(電解液)は正極と負極との間に介在させたセパレータに含浸させた状態で存在し、正負極間の酸化還元反応に寄与する。電解液には大別して水溶液と有機溶液とがある。また最近ではポリマー電解質などの固体電解質を用いた電池も開発されている。
これらの電池のうち扁平形電池は機器のリアルタイムクロックやメモリーのバックアップ電源、電卓や時計等の民生用機器などに多く使用されている。電池が搭載された機器は若干の振動や衝撃が加わる場合もあるが基本的には静置されて使用される場合が多い。このように電池はほとんどの場合静置された機器内または可搬型の機器内で使用されている。この場合、振動が電池に対してかかる場合はあるが、遠心力や加速度はほとんどかからず、通常の電池設計においては遠心力等が加わる環境で動作することを考慮されていない。
静置された状態において、電解液は正極内部の空間に存在しているが、正極材料の細孔部分や成形密度の高い部分にまでは浸透しない。そのため電解液は正負極界面に存在し、問題なく放電反応に関与する。
しかしながら、遠心力が加わる装置に電池を搭載したとき、遠心力により電池内部の電解液が流動する。これにより正負極の対向面に存在し酸化還元反応に寄与するべき電解液が、活物質間の空隙や部品間の空間に流れてしまう。そのため、特に大電流が必要とされる場合や、低温環境下などで電池の放電性能が著しく低下する。
例えば、自動車タイヤの空気圧を自動車の走行中に測定するように構成された装置を動作させるためにも電池が使用される。このような電池にはタイヤの回転による遠心力が加わる。自動車が巡航速度に達すると、機器と電池とには200G以上の遠心力がかかる。そのため、上述のように電解液が偏在し、放電特性が低下する。
遠心力が加わる環境において安定した放電を行う方法として、例えば特許文献1では、電池が回転体上に設置される方向を規定する方法が考案されている。この方法によれば、正負極対向面に電解液が存在するようになり、遠心力が働く環境下においても正常に電池が動作する。
自動車の運行中、自動車のタイヤ内はタイヤと路面の摩擦やブレーキ時の摩擦などにより外気より高温になる。急ブレーキ時など時には100℃以上の高温となる場合がある。そのため、このような用途には高温での使用が可能なリチウム一次電池に代表される有機電解液電池が使用されている。しかしながらリチウム一次電池の負極は金属で内部に空間を有しないため、負極方向へ遠心力が働く場合には電解液は負極表面、すなわち正極との界面に存在することで正常な放電が可能となる。
また、放電反応においては電解液がセパレータに充分存在することが重要である。しかしながら電池内では電解液が徐々に分解されてガスが発生する。このガスにより電池内部の電解液の位置や、電池部品間の接触が不安定になることがある。そのための対応として特許文献2では電池内部の圧力を減圧する方法が考案されている。
通常、有機電解液電池は長期間あるいは高温多湿環境下で保存された場合、有機電解液が徐々に分解され水素やメタン等が発生し、これらの気体が電池内部に蓄積されることにより内部圧力が上昇する。内部圧力の上昇は電池の変形や耐漏液性の低下を招くため、電池内には内部圧力の上昇を緩和するために電池構成部品や電解液が存在せず気体のみが存在する空間が設けられている。この空間には封口時に電池内に存在した空気または空気を置換した不活性ガスなどが存在している。そのため電池内部に必要空間を確保するための量の電解液が電池内に注入されている。この量は遠心力が関与しない条件では正負極の境界面のセパレータに存在し放電反応を行うに充分な量である。そのため遠心力がかからない機器で使用する場合電解液量と電池内空間の体積とを規定する必要はない。電解液量を増やしても電池放電特性は改良されず、耐漏液性が低下する可能性があるため、従来の電池では少なめの量の電解液が用いられている。
従来の有機電解液電池では特許文献1が示すとおり、回転体上への設置方向を規定しないと正常な放電を行い得ない。しかしながら機器の回路基板の設計や基板上の部品配置などにより、規定された向きに電池を設置することが困難となる場合がある。たとえば、タイヤ内部に装着される空気圧計の場合において、タイヤホイールの幅が電池径よりも細い場合には電池をタイヤホイール上に縦または斜めに設置することになる。すなわち特許文献1に示すように電池の負極を遠心力方向に対して外側に位置させることが困難になる。このように特許文献1の方法は実施できない場合がある。
特開平11−242948号公報 特開平5−182649号公報
本発明は、遠心力等が加わる装置上に、従来の電池では放電が困難となる方向に配置した場合にも放電性能が低下しない電池である。本発明の扁平形電池は、内部に空隙を有する正極と、負極と、セパレータと、電解液と、密閉ケースとを有する。負極はアルカリ金属を含む金属で構成され、正極に対向配置されている。セパレータは正極と負極とに介在し正極と負極との直接接触を防ぐように絶縁している。電解液はセパレータに含浸して正極と負極とに介在する。密閉ケースは正極、負極、セパレータ、電解液を収納している。電解液の体積は、密閉ケース内に形成された空間を、セパレータを厚さ方向に二分する平面で分割したときの正極側の空間体積よりも大きい。この様に電池設計することにより、遠心力方向に対する電池の設置方向にかかわらず、常に電解液は正負極境界面に存在する。すなわち本発明に規定する電解液量と正極側空間体積を維持することにより、遠心力が働く環境においても、常にセパレータが湿潤し、正負極間の放電反応を行うことが可能である。そのため、本発明の扁平形電池は、回転体上への電池取付け角度や静置角度によらず安定した放電が可能である。
図1は本発明の実施の形態による扁平形電池の断面図である。この扁平形電池(以下、電池)10は、内部に空隙を有する正極3と、負極2と、セパレータ4と、図示しない電解液と、正極ケース(以下、ケース)5と封口板1とを有する。負極2は無孔性でアルカリ金属を含む金属で構成され、正極3に対向配置されている。すなわち負極2はアルカリ金属またはアルカリ金属の合金から構成されている。セパレータ4は正極3と負極2とに介在し正極3と負極2との直接接触を防ぐように絶縁している。電解液はセパレータ4に含浸して正極3と負極2とに介在する。ケース5と封口板1とガスケット6を介して組み合わせられ、正極3、負極2、セパレータ4、電解液を収納する密閉ケースを構成している。電解液の体積は、密閉ケース内に形成された空間を、セパレータ4を厚さ方向に二分する平面8で分割したときの正極3側の空間体積よりも大きい。すなわち正極3側の電池10内全空間体積から正極3側電池10内部に存在する全部品及び材料の真体積を除いた空間体積よりも、電池10内部に充填された電解液の体積が大きい。
このような量の電解液を充填することにより、電解液が電池10内の間隙を満たしかつセパレータ4上を満たす。そのため、電池10は常に安定した放電特性を示す。すなわち遠心力が働く環境下で電池10がいかなる姿勢をとった場合においても正常な放電が可能になる。また電解液量を規定することにより懸念される耐漏液特性の低下に対して正極3の充填率を規定することにより、実使用上問題のない性能を確保することが可能である。
電池10内の空間から電池10内部に存在する全部品、材料の真体積を除いた空間体積を、セパレータ4を厚さ方向に二分する平面8により分割した場合に、正極3側の空間体積が電解液の体積よりも大となる場合、遠心力が動作する方向によっては電解液が充分にセパレータ4上に存在しなくなる。そのため放電が正常に行われなくなる場合があるので好ましくない。
なお本実施の形態のように正極3の充填量と電解液の量とを設計とすることにより電池10内空間が減少する。そのため電解液の分解によりガスが発生して電池10内の圧力が増加した場合、通常の電池よりも早期に漏液が発生する可能性がある。そのため、電池10内部の圧力を減圧に規定することが好ましい。具体的には電池10内の圧力を1気圧以下にすることが好ましい。これにより保存中に電解液の分解により発生するガスの影響が抑制され、耐漏液特性が良好に維持される。そして遠心力が働く環境において、どのような取付け方法を採用した場合においても常に安定した放電を行うことが可能となる。
通常大気圧下で封口する場合、ケース5と封口板1とをガスケット6を介して組み合わせ、所定の高さまで圧縮する。そのため、電池内部の圧力は大気圧よりも高くなる。本実施の形態では、電池10内部の圧力すなわち電池10内部の気体総量を製造時に減じることが好ましい。このように組立時の電池10内部を減圧することにより電池10内にガスが蓄積した場合の圧力が緩和され、電解液量と正極側の真空間体積を調整した場合でも良好な耐漏液特性を維持することができる。なお電解液を構成する溶媒の気化によって支持塩濃度が著しく変化するのを避けるため、組立時の電池10内部を0.4気圧以上に保つことが好ましい。
さらに電池10外部を図示しない樹脂で充填し電池10の外装の強度を高めることによっても同様に良好な耐漏液特性を維持することができる。
以下、具体的な実施例について説明する。まずサンプルAの試験用電池の作製手順を説明する。
正極3には活物質として二酸化マンガン、導電剤としてカーボン、結着剤としてポリ4フッ化エチレン(PTFE)のディスパージョン溶液をそれぞれ固形分として100:7:1の比率で用いた。この混合物を混練し、乾燥させて直径18.5mm、厚さ0.6mmの円筒形状に成型した。これを再度乾燥して正極3として使用した。
負極2として、金属リチウム0.08gを用い、封口板1に圧着した。封口板1は厚さ0.2mmのステンレス板を成型して作製した。
以上のように作製した正極3をケース5に挿入し、セパレータ4を上面に配置した。セパレータ4にはポリプロピレン製不織布を使用した。さらにプロピレンカーボネートとジメトキシエタンの体積比で1:1の混合溶媒に過塩素酸リチウム1mol/lを溶解させた電解液320μlを注入した。3分間放置し正極3に電解液を含浸させた後、負極2を圧着した封口板1にガスケット6を装着してからケース5に嵌め込んだ。最後にケース5の開口部をカールさせ封口し、直径23mm、厚さ3mmのサンプルAの電池10を完成した。
サンプルAの電池10の空間体積は、ケース5を封口板1によって封口したときの電池10内空間体積から、その中に収容された電池10の全構成材料の真体積によって占められた体積を差し引いた残りの体積である。試験用電池の場合、電池空間体積は761μlである。また、正極3、負極2、セパレータ4等の固形物の真体積が369μlであり、固形物の真体積を除いた空間の体積は392μlである。
電池10をセパレータ4を厚さ方向に二分する平面8で、正極3側と負極2側に分割した場合、電解液注入前の正極3側の空間体積は318μlであり、負極2側の空間体積は74μlである。この空間体積は実際の電池10内容積より部品の真体積を減じて算出する。部品の真体積は電解液中に部品を浸漬し、見かけ上増加した電解液量により測定する。正極3については原材料の粉体を成型せずに電解液中に浸漬しその体積と重量より真密度を計算して、実際の正極3の重量より真体積を算出した。
サンプルBでは電解液量を340μlとした。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルCでは電解液量を360μlとした。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。
サンプルDでは電解液量を320μlとし、0.8気圧の減圧環境下で封口した。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルEでは電解液量を340μlとした。これ以外はサンプルDと同様にして試験用電池を作製した。サンプルFでは電解液量を360μlとした。これ以外はサンプルDと同様にして試験用電池を作製した。
サンプルGでは電解液量を320μlとし、0.5気圧の減圧環境下で封口した。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルHでは電解液量を340μlとした。これ以外はサンプルGと同様にして試験用電池を作製した。サンプルJでは電解液量を360μlとした。これ以外はサンプルGと同様にして試験用電池を作製した。
これらのサンプルと比較するために以下のようにサンプルK、L、Mを作製した。サンプルKでは電解液量を280μlとし、サンプルLでは、300μlとした。サンプルMは、大気圧下で封口した。これ以外はサンプルAと同様にして試験用電池を作製した。サンプルMの試験用電池内部の圧力は、電池作製後に流動パラフィン中で電池を分解して内部の空気を捕集し、その体積と電池内空間体積とから1.1気圧と算出された。
以上のようにして作製した各サンプルの電池10を、まず室温25℃において15kΩで2.0Vまで定抵抗放電し、その放電容量を測定した。このように遠心力が加わらない状態での放電容量を100%とした。この試験用電池の場合は265mAhが放電容量100%に相当する。
次に各サンプルの電池10を図2、図3に示すように回転試験機の回転体12に装着して回転軸13を中心に回転させ、回転による遠心力の方向に対する電池10の装着角度による放電容量の変化を測定した。なお電池10の個体間ばらつきを考慮して各320個の試験用電池を作製して、試験条件あたりそれぞれ20個の電池10を評価し、平均値を比較した。
遠心力強度は、回転試験機の回転により30G、100G、1000Gの遠心力を加えた各状態で調整した。また電池の取付け角度は、図1に示す正極3の中心から負極2の中心に向かう中心軸の方向9が遠心力方向と一致する角度を0°とする。すなわち、負極2が回転体12の外側に位置し法線9が遠心力方向と同一である角度を0°とする。そして図4に示すように反転して正極3が回転体12の外側に位置し法線9が遠心力方向と同一である角度を180°とする。そして0°、45°、90°、135°、180°に電池10を固定して回転体12を回転させた。以上の試験結果をそれぞれ(表1)、(表2)、(表3)に示す。
Figure 2007072730
Figure 2007072730
Figure 2007072730
サンプルA〜J、Mではいずれの電池も、サンプルK、Lの電池と比較しても、遠心力が働く環境での放電容量が優れている。
扁平形電池の構造上、取付け角度が90°の場合、正極3と負極2との界面のうち、回転体12の外側に位置する部分には電解液で完全に満たされていない。それでも、(表1)〜(表3)の結果が示すとおりサンプルA〜J、Mでは放電にほとんど影響を受けていない。このように本実施の形態における電池設計とすることにより、回転体12への取付け角度によらず、良好な放電特性を得ることが可能であることがわかる。
実際に遠心力が働いた直後に電池10を分解し、セパレータ4を観察すると、サンプルA〜J、Mの各電池のセパレータ4はいずれの取り付け角度、遠心力強度の場合も電解液により湿潤している。一方、サンプルK、Lを180°の取付け角度で遠心力が1000Gの場合、セパレータ4はほぼ乾燥した状態である。このように、セパレータ4に含浸された電解液量には差がある。またサンプルA〜J、Mの各電池では遠心力がかかった状態でもセパレータ4と、正極3と負極2との対向面に電解液が存在していることが推測できる。
サンプルAよりも電解液量が大であるサンプルB、Cの電池は、遠心力強度や取り付け角度に関わらず、ほぼ静置した状態と差がない放電容量を示している。これは遠心力がかかった状態でも電解液が反応に必要な正極3と負極2との対向面を満たしているからと推測される。
次にそれぞれの電池20個を高温に保存し、耐漏液特性を比較した。具体的には60℃で各期間保存後の漏液状態を確認した。これらの試験結果を(表4)に示す。
Figure 2007072730
通常のリチウム電池の使用温度範囲における本実験での耐漏液性は、(表4)に示すとおり各サンプルA〜Lの電池とも差は生じていない。一方、サンプルMの電池では1ヶ月目から漏液が発生し、徐々に漏液が増加した。このことから、電池10の密閉ケースである封口板1とケース5で形成された空間の圧力を1気圧以下とすることにより耐漏液性が向上することがわかる。また、電池10に遠心力が加わることによる放電容量の低下は、放電時の反応に関与する正極3と負極2との対向面に必要な電解液が充分に存在しない状態になることにより発生するものと考えられる。この状態は正極3と負極2とが平行に対向して配置される扁平形電池で顕著に発生する。
円筒形電池では、正極と負極とが同心円状に配置されるボビン形構造の場合や、長尺の正極、負極を、セパレータを介して捲回することで電極群を構成するスパイラル構造の場合、構造上電解液が正極または負極の片側に偏在することはない。そのため遠心力の方向と放電容量との間には一般的に大きな関連性はない。
上述の二酸化マンガンリチウム電池だけでなくフッ化黒鉛リチウムなど、正極3が粉末成形体等で構成され正極3の内部に空隙を有し、負極2が金属等内部に空間を有しない構造である扁平形電池に、本実施の形態の設計を適用することが好適である。このような設計を適用することにより遠心力が加わる状態においても正常に放電することができる。
遠心力が加わった状態でも電解液は瞬時に正極3と負極2との対向面より流出しない。そのため30G程度の遠心力ではサンプルK、Lの電池においても放電容量はほとんど影響を受けていない。また100G程度の加速度が加わった状態でも回転開始直後はサンプルK、Lの電池でも放電可能であり、その後電解液が流出するに従い放電不能になる。この電池は遠心力から開放されると正常に放電可能な状態に復帰する。
このように電解液量を、電池10内に形成された空間を、セパレータ4を厚さ方向に二分する平面8で分割したときの正極3側の空間体積よりも大きくすれば遠心力がかかり、かつ取り付け角度が0°以外の場合でも充分な放電容量を示す電池10が提供できる。なお電解液量の上限は、電池空間体積の全てを満たす体積までとなる。しかしながら現実的には、電解液量が著しく多いと電池内部での反応により電解液等が分解して気体が発生した場合に耐漏液特性が著しく低下する。そのため図1に示すカール封口構造では電池としての性能が低下する。このようなことを考慮すると、電解液量は実用上電池内の全空間体積の70%程度までとすることが好ましい。
電池を機器に取付けるほとんどの場合において、電池は回路基板上に直接取付けられる。機器設計上、遠心力方向を考慮して電池を取付けることが困難な場合であっても、本実施の形態による電池10を使用することにより機器設計上の制約を伴わずに、優れた放電性能を発揮することが可能である。
本発明にかかる扁平形電池は、遠心力が加わる装置に装着する電池の電解液量を規制することにより、遠心力により負極反応面に対して電解液が減少する状態が解消され、遠心力が加わる状態において電池の設置姿勢によらず電池を正常動作させることが可能になる。そのため、自動車タイヤに装着され空気圧を測定する装置等、遠心力が加わる状態に装着される機器を動作させるために使用する電池として有用である。
本発明の実施の形態による扁平形電池の断面図 回転体上の扁平形電池に作用する遠心力の方向を示す斜視図 回転体上の扁平形電池に作用する遠心力の方向を示す正面図 回転体と扁平形電池との取付け角度を示す拡大図
符号の説明
1 封口板
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 正極ケース
6 ガスケット
8 セパレータを厚さ方向に二分する平面
9 正極の中心から負極の中心に向かう中心軸方向(法線)
10 電池
11 端子
12 回転体
13 回転軸

Claims (2)

  1. 内部に空隙を有する正極と、
    アルカリ金属を含む金属で構成され、前記正極に対向配置された負極と、
    前記正極と前記負極とに介在し前記正極と前記負極とを絶縁するセパレータと、
    前記セパレータに含浸し、前記正極と前記負極とに介在する電解液と、
    前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記電解液を収納する密閉ケースと、を備え、
    前記電解液の体積は、前記密閉ケース内に形成された空間を、前記セパレータを厚さ方向に二分する平面で分割したときの前記正極側の空間体積よりも大きい、
    扁平形電池。
  2. 前記密閉ケース内の圧力が1気圧以下である、
    請求項1記載の扁平形電池。
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