JP2013038170A - ナトリウムイオンキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、正極と、負極と、電解液とを有するキャパシタであって、前記正極が、三次元構造を有する耐電解液性の金属多孔体からなる正極用集電体の多孔部にナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料を充填して得られたものであり、前記電解液がナトリウム塩を含む非水電解液であることを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。
【選択図】なし
Description
ところが近年とくにリチウムイオンキャパシタに注目が集まっている。このキャパシタは、電気二重層の原理を使いながら負極にはリチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を使い、そこにリチウムイオンを添加することでエネルギー密度を向上させたキャパシタである。正極と負極とで反応の原理が異なり、リチウムイオン電池の負極と電気二重層の正極を組み合わせた構造を持つ。性能面では既存の電気二重層キャパシタの市場を代替する可能性があり、期待が寄せられている。
また、負極に活性炭、正極にリチウムイオン電池同様の作用物質を用いるハイブリッドキャパシタも提案されている。
これらキャパシタの用途は、携帯電話、ノート型パソコン、家庭用分散型蓄電システム、ハイブリッド車、電気自動車、メモリーバックアップなどである。
ナトリウムはリチウムと同じアルカリ金属であり、その塩化物が海水などに多量に存在していてリチウムに比べれば資源的には、はるかに豊富で価格もリチウムより安い。ナトリウムは周期表でリチウムに近く、特性は似ているが、リチウムより密度が約80%大きく、イオン半径もリチウムより約30%大きいといわれている。そのため、リチウムイオン電池で可能なリチウムイオンのようなインターカレート、デインターカレートは困難であるとされている。
また、ナトリウムイオンキャパシタは、依然として両極の集電体には、銅やアルミニウムなどの箔状集電体が用いられ、これに塗着や充填される作用物質の明確な組合せも確立されていないので、リチウムイオン系のキャパシタに比べて、高エネルギー密度、高出力特性、長寿命などが得られていない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものである。
(1)少なくとも、正極と、負極と、電解液とを有するキャパシタであって、
前記正極が、三次元構造を有する耐電解液性の金属多孔体からなる正極用集電体の多孔部にナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料を充填して得られたものであり、
前記電解液がナトリウム塩を含む非水電解液である
ことを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。
(2)前記金属多孔体が、三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化した金属多孔体であることを特徴とする上記(1)に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(3)前記三次元構造を有するニッケル多孔体が樹脂多孔体にニッケルめっきを施すことにより得られたものであることを特徴とする上記(2)に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(4)前記三次元構造を有するニッケル多孔体は樹脂多孔体にニッケルめっきを施した後に、樹脂を加熱により焼却して得られたものであることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(5)前記三次元構造を有するニッケル多孔体のニッケル目付量が200〜500g/m2であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(6)前記金属多孔体の多孔度が90〜97%であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(7)前記金属多孔体におけるクロムの量がニッケルクロム合金に対して25〜50質量%であることを特徴とする上記(2)〜(6)のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(8)前記金属多孔体が前記ニッケル多孔体をクロマイジング処理することによって形成されたものであることを特徴とする上記(2)〜(7)いずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(9)前記ナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料が活性炭であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(10)前記負極が、三次元構造を有するニッケル多孔体からなる負極用集電体の多孔部にナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料を充填して得られたものである
ことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(11)ナトリウムイオンキャパシタを構成する前の前記負極のナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料にナトリウムが担持されていることを特徴とする上記(10)に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(12)前記負極用集電体が、前記ニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化することにより得られたものである
ことを特徴とする上記(10)又は(11)に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(13)前記負極用集電体に充填されているナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料が、活性炭、黒鉛、ハードカーボン、スズ、スズ化合物、チタン酸リチウム、シリコン微粒子、及びシリコン酸化物からなる群より選択される1以上の材料である
ことを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
(14)正極は三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化して得られた正極用集電体の多孔部に、活性炭を充填して得られたものであり、
負極は、三次元構造を有するニッケル多孔体の多孔部にハードカーボンを充填して得られたものであり、
電解液としてナトリウム塩を含む非水電解液を備え、
負極計算容量と正極計算容量の比が、10〜100、の範囲にあることを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。
(15)正極は、三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化して得られた正極用集電体の多孔部に、活性炭を充填して得られたものであり、
負極は、三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化して得られた負極用集電体の多孔部にハードカーボンを充填して得られたものであり、
電解液としてナトリウム塩を含む非水電解液を備え、
負極計算容量と正極計算容量の比が、10〜100、の範囲にあることを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。
一般に、汎用のリチウムイオン電池には正極にリチウム金属酸化物、負極に黒鉛が使用され、負極には活性炭の他に、ケイ素、スズなどの材料あるいは酸化物がそれぞれ使われている。また、非水系キャパシタには、両極に活性炭が使われており、リチウムイオンキャパシタには正極に活性炭、負極に黒鉛などが用いられている。そして、これらはいずれも集電体としてアルミニウム箔、銅箔などが使われている。
かかる三次元構造を有するニッケル多孔体は、ニッケル目付量が200〜500g/m2であることが好ましい。これにより好適な強度を備え、かつ、クロムと合金化した場合に良好な耐電解液性を発揮させることができる。
クロム層を形成する方法としては、例えば、ニッケル多孔体の表面にクロムめっきを施す方法を挙げられる。そして、クロムめっきを施した後の多孔体を加熱により処理することによりニッケル多孔体中にクロムを拡散させ合金化することができる。
クロマイジング処理は、ニッケル膜にクロムを拡散浸透させる処理であり、公知の手法を採用できる。例えば、前記ニッケル多孔体(発泡状ニッケル、不織布状ニッケル等)にクロム粉末、ハロゲン化物、アルミナ粉末を混合した浸透材を充填して還元性雰囲気で加熱する粉末パック法を採用することができる。また、浸透材とニッケル多孔体を離間して配置し、還元性雰囲気中で加熱し、浸透材のガスを形成してニッケル多孔体表面のニッケルに浸透材を浸透させることもできる。
ニッケルクロムは製造方法が確立しているため、アルミニウムやステンレスの多孔体に比べて安価に製造することができる。
また、負極用集電体に充填する、ナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料としては、活性炭、黒鉛、ハードカーボン、スズ、スズ化合物、チタン酸リチウム、シリコン微粒子、及びシリコン酸化物からなる群より選択される1以上の材料であることが好ましい。これらの中でもハードカーボンを使用することが特に好ましい。
導電助剤の添加量は、ハードカーボンを重量比で85に対して、0.1〜10程度が好ましい。
バインダの添加量は、材料にもよるが、ハードカーボンを重量比で85に対して、0.5〜15程度が好ましい。これ以下であると作用物質の保持性に劣り、これ以上では、容量が小さくなるとともに電気抵抗も大きくなる。
ナトリウムイオン系キャパシタには、公知のようにリード端子を設け、板状、ボタン型、角型、円筒型などの形状することが好ましい。
その方法として、ナトリウム金属粉末と負極用の電極材料(作用物質)をあらかじめ混合しておく、又は電極を製造後にナトリウム金属箔と接触させるなどがある。後者は一種の短絡法ともいえる。
なお、セパレータとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン、ポリエチレンレテフタラート、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ガラス繊維などの公知の多孔体を用いることができる。セパレータの平均孔径は特に限定されないが、孔径0.01μm〜4μm程度、多孔度35〜70%、厚さは10μm〜100μmが採用できる。
本実施例では、三次元構造を有する金属集電体として、三次元構造のニッケル多孔体の表面にクロム層を形成したものを使用した。
具体的には、発泡状ニッケル多孔体の表面にクロムを添加し加熱してニッケルクロム合金層を形成した三次元構造の金属多孔体を製造した。すなわち発泡状ニッケルにクロマイジング処理をして、作製された発泡状ニッケルクロム合金多孔体を用いた。
そして、発泡状ニッケル(三次元構造を有するニッケル多孔体)をクロマイジング処理することにより、ニッケルをニッケル−クロム合金とした。つまり、クロム粉末とハロゲン化物、アルミナを混合した浸透材を基材に充填して還元雰囲気で過熱する粉末パック法を用いたもので、発泡状ニッケルに浸透材(クロム:90%、NH4Cl:1%、Al2O3:9%)を充填し、水素ガス雰囲気中で800℃に加熱して作製した。
このようにして作製した金属多孔体におけるクロムの含有量は30重量%であり、厚さは1.4mmであった。
作用物質材料としてハードカーボン(計算容量密度200mAh/g)を用いた。
市販の平均粒径約10μmのハードカーボンを重量比で85に対して、導電剤としてケッチェンブラック(KB)を3、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を12、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を100、を混合機で攪拌しながらバインダを溶媒に溶解して負極用スラリーを得た。
続いて、上記で作製した、約1250μm、多孔度96%、孔径100〜400μmの金属多孔体を、あらかじめ1000μmに厚さを調節し、金型で直径11mm円状に打抜いた。
そしてこの発泡状ニッケルクロム多孔体を負極用集電体とし、上記負極用スラリーを下記表1に示す充填量で充填し、乾燥、加圧して負極1及び負極2を得た。負極へのナトリウムのドープは電解により行った。
また、比較として銅箔を使用して、下記表1の条件により負極3及び負極4を作製した。
正極には、上記で作製した発泡状ニッケルクロム多孔体を正極用集電体として用いた。正極では、発泡状ニッケルクロム多孔体を厚さ780μmに調節し、負極と同様に金型で直径11mm円状に打抜いて正極用集電体とした。そして、これに市販の活性炭(計算容量密度30mAh/g)を充填した。活性炭は、アルカリ処理により賦活した表面積(2500m2/g)、平均粒径10μmの活性炭を用いた。
また、作用物質の重量比80に対して、導電剤としてKBを5、バインダとしてPVdFを15、溶媒としてNMPを300、を混合機で攪拌しながらバインダを溶媒に溶解して正極用スラリーを得た。
そして、正極用スラリーを前記正極用集電体に下記表2に示す充填量で充填し、乾燥、加圧して正極1及び正極2を得た。
また、比較としてアルミニウム箔を使用して、下記表2の条件により正極3及び正極4を作製した。
上記で得られた正極1及び負極1の間にガラス製のセパレータを挟んで対向させてセルを構成し、R2032サイズのコイン形のセルケースに収納し、1mol/lのNaPF6を溶解した、体積比1:1のエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)に溶解した電解液を用いて電極及びセパレータに含浸した。
さらに、プロピレン製の絶縁ガスケットを介してケース蓋を締めて封口して、コイン形のナトリウムイオンキャパシタAを作製した。同様に、前記負極2及び正極2を用いてナトリウムイオンキャパシタBを作製した。
また、比較として、前記負極3及び正極3を用いてナトリウムイオンキャパシタCを、負極4及び正極4を用いてナトリウムイオンキャパシタDを作製した。
それぞれのナトリウムイオンキャパシタのN/P値を表3に示す。
なお、ナトリウムイオンキャパシタBもナトリウムイオンキャパシタAと同様に良好な放電曲線が示された。
なお、N/Pは以下のようにして求めた。負極活物質であるハードカーボンの容量を200mAh/g、正極活物質である活性炭の容量を30mAh/gとし、それぞれの電極に含有されているハードカーボンおよび活性炭の重量をかけたものをそれぞれの電極の容量とした。このようにして求めた負極の電極容量を正極の電極容量で割った値をN/P比とした。N/P比は集電体に充填する活物質の量を変化させることで調節した。
Claims (15)
- 少なくとも、正極と、負極と、電解液とを有するキャパシタであって、
前記正極が、三次元構造を有する耐電解液性の金属多孔体からなる正極用集電体の多孔部にナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料を充填して得られたものであり、
前記電解液がナトリウム塩を含む非水電解液である
ことを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。 - 前記金属多孔体が、三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化した金属多孔体であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記三次元構造を有するニッケル多孔体が樹脂多孔体にニッケルめっきを施すことにより得られたものであることを特徴とする請求項2に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記三次元構造を有するニッケル多孔体は樹脂多孔体にニッケルめっきを施した後に、樹脂を加熱により焼却して得られたものであることを特徴とする請求項2又は3に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記三次元構造を有するニッケル多孔体のニッケル目付量が200〜500g/m2であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記金属多孔体の多孔度が90〜97%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記金属多孔体におけるクロムの量がニッケルクロム合金に対して25〜50質量%であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記金属多孔体が前記ニッケル多孔体をクロマイジング処理することによって形成されたものであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記ナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料が活性炭であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記負極が、三次元構造を有するニッケル多孔体からなる負極用集電体の多孔部にナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料を充填して得られたものである
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。 - ナトリウムイオンキャパシタを構成する前の前記負極のナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料にナトリウムが担持されていることを特徴とする請求項10に記載のナトリウムイオンキャパシタ。
- 前記負極用集電体が、前記ニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化することにより得られたものである
ことを特徴とする請求項10又は11に記載のナトリウムイオンキャパシタ。 - 前記負極用集電体に充填されているナトリウムを吸着あるいは吸蔵脱離できる材料が、
活性炭、黒鉛、ハードカーボン、スズ、スズ化合物、チタン酸リチウム、シリコン微粒子、及びシリコン酸化物からなる群より選択される1以上の材料である
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のナトリウムイオンキャパシタ。 - 正極は三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化して得られた正極用集電体の多孔部に、活性炭を充填して得られたものであり、
負極は、三次元構造を有するニッケル多孔体の多孔部にハードカーボンを充填して得られたものであり、
電解液としてナトリウム塩を含む非水電解液を備え、
負極計算容量と正極計算容量の比が、10〜100、の範囲にあることを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。 - 正極は、三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化して得られた正極用集電体の多孔部に、活性炭を充填して得られたものであり、
負極は、三次元構造を有するニッケル多孔体の表面にクロム層を形成して合金化して得られた負極用集電体の多孔部にハードカーボンを充填して得られたものであり、
電解液としてナトリウム塩を含む非水電解液を備え、
負極計算容量と正極計算容量の比が、10〜100、の範囲にあることを特徴とするナトリウムイオンキャパシタ。
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