JP2011009608A - ニッケルアルミニウム多孔集電体およびそれを用いた電極、キャパシタ - Google Patents
ニッケルアルミニウム多孔集電体およびそれを用いた電極、キャパシタ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高容量で耐久性に優れたキャパシタを提供することを課題とする。
【解決手段】ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆した後、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行い、ニッケルアルミニウム合金多孔体としたキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填してキャパシタ用電極とし、これを用いたキャパシタにより解決される。前記ニッケルアルミニウム合金多孔体のアルミニウム含有量は5wt%以上20wt%未満であることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆した後、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行い、ニッケルアルミニウム合金多孔体としたキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填してキャパシタ用電極とし、これを用いたキャパシタにより解決される。前記ニッケルアルミニウム合金多孔体のアルミニウム含有量は5wt%以上20wt%未満であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明はキャパシタ用の集電体に関し、特に、電気二重層キャパシタ用の集電体に関する。
電気二重層キャパシタは、各種キャパシタの中でも容量が大きいため、最近注目されている。例えば、キャパシタは電気機器のメモリーバックアップ用として幅広く使われており、近年この用途にも電気二重層キャパシタの利用が促進されている。更に、ハイブリッド車、燃料自動車等の自動車用にも利用が期待されている。
電気二重層キャパシタには、ボタン型、円筒型、角型といった種類があり、各種キャパシタが知られている。ボタン型は、例えば、活性炭電極層を集電体上に設けた分極性電極を一対として、その電極間にセパレータを配置して電気二重層キャパシタ素子を構成し、電解質とともに金属ケース内に収納し、封口材と両者を絶縁するガスケットで密封することにより製造される。円筒型は、この一対の分極性電極とセパレータを重ね、捲回して電気二重層キャパシタ素子を構成し、この素子に電解液を含浸させてアルミニウムケース中に収納し、封口材を用いて密封することにより製造される。角型も、基本的構造はボタン型や円筒型と同様である。
上記メモリーバックアップ用、自動車用等の用途に用いられる電気二重層キャパシタは、より一層の高容量化等が求められている。つまり、単位体積当たりの容量の高容量化と内部抵抗の低減が求められている。このため、電極を構成する集電体には種々のものが提案されている。例えば、金属集電体として、アルミニウム、ステンレス等を用いたもの、ステンレス繊維のマットをステンレス箔に電気溶接したもの、タンタル、アルミニウム及びチタニウムの少なくとも1種の金属からなる多孔体を使用したもの等が知られている(特許文献1〜3)。
しかしながら、従来のキャパシタは、容量を増やそうとすると内部抵抗が大きくなり容量が増えないという問題がある。すなわち、集電体の形状が二次元構造である場合には、容量密度を高めるために厚い電極を作製すると、集電体と活性炭の距離が長くなるため、集電体から離れたところは電気抵抗が高くなり、活性炭の利用率が小さくなって容量密度も小さくなってしまう。また、内部抵抗低減については、電気抵抗改善のために導電助剤を添加すると、活性炭の量が少なくなるためやはり容量密度が小さくなる。
現在、量産可能な三次元構造集電体としては、発泡状ニッケル多孔体があり、アルカリ電解質二次電池用の集電体として普及している。しかし、高電圧・高容量化を目的として非水電解質を用いる電気二重層キャパシタでは、ニッケルは非水電解液による酸化を受けやすく、電解液中に溶解してしまい、長期の充放電で十分な充電ができなくなる。
このように、多孔性樹脂にニッケルをめっきして作製した集電体は、耐食性に劣るため非水系のキャパシタの高い充放電電圧に耐えられない。多孔性樹脂に被覆する金属の候補としてニッケル以外には、耐食性の高いアルミニウムやステンレスが挙げられる。しかし、これらの金属は、多孔度の高い多孔性の有機樹脂表面に金属被覆層を形成できないという問題がある。すなわち、アルミニウムのめっき処理には非常に高温の溶融塩状態で処理する必要があるため、有機樹脂を被めっき体として使用することができず、有機樹脂表面にめっき処理することは困難である。
ステンレスも正極集電体の材料として広く使用されているが、このステンレスもアルミニウムと同様の理由から、有機樹脂表面にめっき処理することにより、多孔度の大きい集電体とすることは困難である。なお、ステンレスについては、粉末状にして有機樹脂多孔体に塗着して焼結することにより、多孔体を得る方法が提供されているが、ステンレススチール粉末は非常に高価である。また、粉末が付着した後に、基材である有機樹脂多孔体は焼却除去されるため、強度が衰えてしまい使用に耐えないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みて、高容量で耐久性に優れたキャパシタを提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意探求を重ねた結果、ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを合金化することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下の構成を有する。
(1)ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆した後、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行い、ニッケルアルミニウム合金多孔体としたキャパシタ用の集電体。
(2)前記ニッケルアルミニウム合金多孔体のアルミニウム含有量が、5wt%以上20wt%未満であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ用の集電体。
(3)前記ニッケルアルミニウム合金多孔体が、少なくともニッケルとNi3Alの複合体であり、ニッケルの周囲をNi3Alが被覆している構造であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のキャパシタ用の集電体。
(1)ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆した後、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行い、ニッケルアルミニウム合金多孔体としたキャパシタ用の集電体。
(2)前記ニッケルアルミニウム合金多孔体のアルミニウム含有量が、5wt%以上20wt%未満であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ用の集電体。
(3)前記ニッケルアルミニウム合金多孔体が、少なくともニッケルとNi3Alの複合体であり、ニッケルの周囲をNi3Alが被覆している構造であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のキャパシタ用の集電体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填したことを特徴とするキャパシタ用電極。
(5)正極に上記(4)に記載のキャパシタ用電極を使用し、負極に上記(4)に記載のキャパシタ用電極、又はニッケル多孔体を集電体とするキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。
(5)正極に上記(4)に記載のキャパシタ用電極を使用し、負極に上記(4)に記載のキャパシタ用電極、又はニッケル多孔体を集電体とするキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。
(6)ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆する工程と、該アルミニウムを被覆した多孔体を不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行ってニッケルアルミニウム合金多孔体とする工程とを含むことを特徴とするキャパシタ用の集電体の製造方法。
(7)上記(6)に記載の製造方法により得たキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填することを特徴とするキャパシタ用電極の製造方法。
(7)上記(6)に記載の製造方法により得たキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填することを特徴とするキャパシタ用電極の製造方法。
本発明に係るキャパシタ用の集電体は、アルミニウムとの合金化により、ニッケルの耐食性が上がり、非水系キャパシタの電圧でもニッケルが酸化されずに集電体として良好に使用することができる。さらに、ニッケルは多孔体構造にできるため、多孔体のキャパシタ用集電体が作製でき、キャパシタの容量密度を増加させることができる。
本発明に係るキャパシタ用の集電体は、ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを合金化したニッケルアルミニウム合金多孔体であることを特徴とする。アルミニウムと合金化することによりニッケルの耐食性が向上する。このため、かかる集電体に電極材料を充填し、キャパシタ用電極として用いた場合にも、非水電解液中で酸化されることなく良好に使用することが可能となる。
本発明に係る集電体は、ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆し、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行い、ニッケルとアルミニウムを合金化することにより作製することができる。以下に、各構成とその製造方法についてより詳しく説明する。
(集電体の作製方法)
ニッケル多孔体としては、例えば、発泡状ニッケルや、ニッケル繊維不織布など、連通気孔を有する構造体を好ましく用いることができる。多孔体の空間に活物質を充填して使用するため、多孔度は高いほうがよく、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。
発泡状ニッケルは、公知のウレタンシートにニッケルめっきを施した後に、ウレタンを焼却除去し、還元性雰囲気で加熱することによりニッケルを還元して得られる。ウレタンシートにニッケルめっきを施す際には、ウレタンシートを導電処理した後に電解ニッケルめっきをすればよい。導電処理はスパッタリングによりニッケルを被覆しても良いし、無電解ニッケルめっきやカーボン塗布により行ってもよい。
ニッケル多孔体としては、例えば、発泡状ニッケルや、ニッケル繊維不織布など、連通気孔を有する構造体を好ましく用いることができる。多孔体の空間に活物質を充填して使用するため、多孔度は高いほうがよく、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。
発泡状ニッケルは、公知のウレタンシートにニッケルめっきを施した後に、ウレタンを焼却除去し、還元性雰囲気で加熱することによりニッケルを還元して得られる。ウレタンシートにニッケルめっきを施す際には、ウレタンシートを導電処理した後に電解ニッケルめっきをすればよい。導電処理はスパッタリングによりニッケルを被覆しても良いし、無電解ニッケルめっきやカーボン塗布により行ってもよい。
発泡状ニッケルのセル数が少なすぎると基材の孔径が大きくなり活物質の保持性能が下がるうえ、集電性能も悪くなるため、40セル/inch以上が好ましい。また、多すぎると活物質の充填が難しかったり骨格が細くなりすぎて基材の強度が下がったりするため、100セル/inch以下がよい。さらに好ましくは、50セル/inch以上80セル/inchである。
また、後述するように、本発明の集電体をキャパシタ用電極とする場合にはローラープレスにより調厚する必要があり、元の厚さが厚いとローラープレスによる変形で集電性が悪化するため、発泡状ニッケルの厚さは1.6mm以下が好ましい。ただし、活物質を十分に充填するためには出来上がりの電極よりも厚い状態で充填することが必要なため、0.2mm以上が好ましい。より好ましくは、0.3mm〜1.4mmの範囲である。
さらに、ニッケルの目付は電気抵抗と基材の強度に大きく関係する。少なすぎると集電性能・基材強度ともに著しく低下し実用に耐えないため、100g/m2以上は必要である。しかし、ニッケルを多くしすぎると基材の多孔度が下がってキャパシタの容量が低下するため、500g/m2以下が好ましい。より好ましくは、200〜420g/m2の範囲である。
本発明に係るキャパシタにおいて、負極については上記のようにして得られたニッケル多孔体からなる集電体を電極材料として好ましく用いることができる。
一方、正極については、ニッケルが溶け出すという問題があるため、以下のようにしてアルミニウムと合金化した本発明に係る集電体を電極材料として用いる。
すなわち、本発明に係る集電体は、上記の発泡状ニッケルのようなニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆し、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行うことにより作製する。これによりニッケルアルミニウム多孔体が得られる。なお、本発明においては、このようなニッケルアルミニウム多孔体からなる集電体は正極のみならず負極にも用いることが可能である。
一方、正極については、ニッケルが溶け出すという問題があるため、以下のようにしてアルミニウムと合金化した本発明に係る集電体を電極材料として用いる。
すなわち、本発明に係る集電体は、上記の発泡状ニッケルのようなニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆し、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行うことにより作製する。これによりニッケルアルミニウム多孔体が得られる。なお、本発明においては、このようなニッケルアルミニウム多孔体からなる集電体は正極のみならず負極にも用いることが可能である。
アルミニウムの被覆方法は、スパッタが好ましいが、蒸着やCVD、粉末パックによるカロライズ処理でも行うことができる。
アルミニウムの含有量は20wt%未満とすることが必要である。アルミニウム含有量が少ないと耐食性が劣るためキャパシタの集電体として使用できず、多すぎると基材の強度が著しく低下して実用に耐えない。このため5wt%以上20wt%未満の範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは、7〜16wt%である。
アルミニウムの含有量は20wt%未満とすることが必要である。アルミニウム含有量が少ないと耐食性が劣るためキャパシタの集電体として使用できず、多すぎると基材の強度が著しく低下して実用に耐えない。このため5wt%以上20wt%未満の範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは、7〜16wt%である。
熱処理は不活性雰囲気中あるいは還元性雰囲気中であればよく、水素雰囲気やアルゴン雰囲気でもよい。また、熱処理温度はアルミニウムが溶融せずに熱拡散できる温度であればよく、640℃以下が好ましい。余りに温度が低いと熱拡散が遅く工業的でないため、150℃以上の温度が好ましい。熱処理の時間は熱処理温度によって適当に変化させればよい。
ニッケルアルミニウム合金の組成は、少なくともニッケルとNi3Alが含まれており、かつ基材表面にニッケルが露出していない必要がある。ニッケルが露出していると、その部分から腐食してキャパシタ用電極に使用できない。また、Ni3Alは常温での強度に劣るため、この割合が大きくなりすぎると基材強度が低下する。ニッケルの周囲をNi3Alが隙間なく被覆している状態が理想である。
(電極の作製方法)
上記のようにして得られた集電体に電極材料を充填することによりキャパシタ用電極とすることができる。
まず、得られた集電体をローラープレスにより最適な厚さに調厚する。キャパシタ用電極とするためには、最終的に電極の厚さが300〜1500μmであることが好ましいため、以下の操作を行う前に、集電体の厚さを150μm〜700μmとしておくことが好ましい。
上記のようにして得られた集電体に電極材料を充填することによりキャパシタ用電極とすることができる。
まず、得られた集電体をローラープレスにより最適な厚さに調厚する。キャパシタ用電極とするためには、最終的に電極の厚さが300〜1500μmであることが好ましいため、以下の操作を行う前に、集電体の厚さを150μm〜700μmとしておくことが好ましい。
集電体に充填する電極材料は、活性炭の他に、導電助剤やバインダー等を混合し、溶媒と混合してペースト状にすることが好ましい。必要に応じて界面活性剤を加えることもできる。
キャパシタの容量を大きくするために、主成分である活性炭の量は多いほうがよく、乾燥後(溶媒除去後)の組成比で活性炭が90wt%以上あることが好ましい。また、導電助剤やバインダーは必要であるが容量低下の要因であり、バインダーはさらに内部抵抗を増大させる要因にもなるため、できる限り少ないほうが良い。導電助剤は10wt%以下、バインダーは10wt%以下が好ましい。
キャパシタの容量を大きくするために、主成分である活性炭の量は多いほうがよく、乾燥後(溶媒除去後)の組成比で活性炭が90wt%以上あることが好ましい。また、導電助剤やバインダーは必要であるが容量低下の要因であり、バインダーはさらに内部抵抗を増大させる要因にもなるため、できる限り少ないほうが良い。導電助剤は10wt%以下、バインダーは10wt%以下が好ましい。
活性炭は表面積が大きい方がキャパシタの容量が大きくなるため、比表面積が2000m2/g以上あることが好ましい。また、導電助剤としてはケッチェンブラックやアセチレンブラック、炭素繊維やこれらの複合材料が使用できる。また、バインダーとしてはポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガムなどが使用できる。溶媒はバインダーの種類によって水や有機溶媒を適当に選択すればよい。有機溶媒ではNメチルピロリドンが使用される場合が多い。また、溶媒に水を使う場合、充填性を高めるために界面活性剤を使用しても良い。
上記活性炭を主成分とする電極材料を混合して攪拌することにより活性炭ペーストが得られる。かかる活性炭ペーストを上記集電体に充填して乾燥させ、必要に応じてローラープレス等により調圧することによりキャパシタ用電極が得られる。
(キャパシタの作製)
上記のようにして得られた電極を適当な大きさに打ち抜いて2枚用意し、セパレータを挟んで対向させる。そして、必要なスペーサを用いてセルケースに収納し、電解液を含浸させる。最後に絶縁ガスケットを介してケースに蓋をして封口することにより電気二重層キャパシタを作製することができる。非水系の材料を使用する場合は、キャパシタ内の水分を限りなく少なくするため、キャパシタの作製は水分の少ない環境下で行い、封止は減圧環境下で行う。なお、本発明の集電体、電極を用いていればキャパシタとしては特に限定されず、これ以外の方法により作製されるものでも構わない。
また、負極は特に限定されず従来の負極用電極を使用可能であるが、アルミ箔を集電体に用いた従来の電極では容量が小さいため、前述の発泡状ニッケルのような多孔体に活物質を充填した電極が好ましい。
上記のようにして得られた電極を適当な大きさに打ち抜いて2枚用意し、セパレータを挟んで対向させる。そして、必要なスペーサを用いてセルケースに収納し、電解液を含浸させる。最後に絶縁ガスケットを介してケースに蓋をして封口することにより電気二重層キャパシタを作製することができる。非水系の材料を使用する場合は、キャパシタ内の水分を限りなく少なくするため、キャパシタの作製は水分の少ない環境下で行い、封止は減圧環境下で行う。なお、本発明の集電体、電極を用いていればキャパシタとしては特に限定されず、これ以外の方法により作製されるものでも構わない。
また、負極は特に限定されず従来の負極用電極を使用可能であるが、アルミ箔を集電体に用いた従来の電極では容量が小さいため、前述の発泡状ニッケルのような多孔体に活物質を充填した電極が好ましい。
電解液は水系・非水系ともに使用できるが、非水系の方が電圧を高く設定できるため好ましい。水系では電解質として水酸化カリウムなどが使用できる。非水系の電解質はカチオンとアニオンの組み合わせで多数有り、カチオンとしては低級脂肪族4級アンモニウム、低級脂肪族4級ホスホニウム及びイミダゾリニウム等が使用されている。アニオンとしては4フッ化ホウ酸及び6フッ化リン酸等が使用されている。有機電解液の溶媒は極性非プロトン性有機溶媒であり、具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びスルホラン等が使用される。この中でも、イオン伝導度の低い組み合わせである、ホウフッ化テトラエチルアンモニウムとプロピレンカーボネートの組み合わせが好ましい。
[実施例1及び2]
(集電体の作製)
発泡状ニッケルにスパッタによりアルミニウムを被覆後に熱処理し、発泡状のニッケルアルミニウム合金基材による集電体を作製した。
発泡状ニッケルは、ウレタンシート(市販品、セル数55セル/inch、厚さ1.4mm、多孔度96%)に導電処理後、所定量のニッケルめっきを行い、ウレタンを大気中800℃で焼却除去後に還元性雰囲気(水素)で1000℃に加熱し、ニッケルを還元して作製した。導電処理はスパッタリングにより10g/m2のニッケルを被覆した。ニッケルめっき量は、導電処理の分も合計して400g/m2になるようにした。作製した発泡状ニッケルは、セル数55セル/inch、厚さ1.4mm、多孔度95%となった。
発泡状ニッケルにスパッタによりアルミニウムを被覆した。その後窒素雰囲気の炉で550℃、3時間の熱処理を行った。アルミニウムの含有量は、スパッタの時間で調整し、アルミニウム含有量がそれぞれ5wt%,15wt%のニッケルアルミニウム合金基材を作製し、それぞれ集電体a,bとした。作製した集電体の厚さは1.4mmであった。
(集電体の作製)
発泡状ニッケルにスパッタによりアルミニウムを被覆後に熱処理し、発泡状のニッケルアルミニウム合金基材による集電体を作製した。
発泡状ニッケルは、ウレタンシート(市販品、セル数55セル/inch、厚さ1.4mm、多孔度96%)に導電処理後、所定量のニッケルめっきを行い、ウレタンを大気中800℃で焼却除去後に還元性雰囲気(水素)で1000℃に加熱し、ニッケルを還元して作製した。導電処理はスパッタリングにより10g/m2のニッケルを被覆した。ニッケルめっき量は、導電処理の分も合計して400g/m2になるようにした。作製した発泡状ニッケルは、セル数55セル/inch、厚さ1.4mm、多孔度95%となった。
発泡状ニッケルにスパッタによりアルミニウムを被覆した。その後窒素雰囲気の炉で550℃、3時間の熱処理を行った。アルミニウムの含有量は、スパッタの時間で調整し、アルミニウム含有量がそれぞれ5wt%,15wt%のニッケルアルミニウム合金基材を作製し、それぞれ集電体a,bとした。作製した集電体の厚さは1.4mmであった。
(電極の作製)
ローラープレスのスリットを700μmに調節し、得られた集電体a,bを通し、厚さ0.72mmの集電体を得た。
活性炭粉末(比表面積2500m2/g、平均粒径約5μm)21wt%に、導電助剤としてケッチェンブラック1wt%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン粉末2wt%、溶媒としてN−メチルピロリドン75wt%を添加し、混合機で攪拌することにより、活性炭ペーストを調製した。乾燥してNMPを除去した後の組成比は、活性炭粉末92wt%、ケッチェンブラック3wt%、ポリフッ化ビニリデン粉末5wt%となった。
この活性炭ペーストを上記集電体a,bに、活性炭の含有量が30mg/cm2となるように充填した。実際の充填量はそれぞれ29mg/cm2,31mg/cm2であった。次に、乾燥機で200℃、1時間乾燥させて溶媒を除去した後、直径500ミリのローラープレス機(スリット:300μm)で加圧して実施例1の電極A,及び実施例2の電極Bを得た。加圧後の厚さはそれぞれ475μm,482μmであった。
ローラープレスのスリットを700μmに調節し、得られた集電体a,bを通し、厚さ0.72mmの集電体を得た。
活性炭粉末(比表面積2500m2/g、平均粒径約5μm)21wt%に、導電助剤としてケッチェンブラック1wt%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン粉末2wt%、溶媒としてN−メチルピロリドン75wt%を添加し、混合機で攪拌することにより、活性炭ペーストを調製した。乾燥してNMPを除去した後の組成比は、活性炭粉末92wt%、ケッチェンブラック3wt%、ポリフッ化ビニリデン粉末5wt%となった。
この活性炭ペーストを上記集電体a,bに、活性炭の含有量が30mg/cm2となるように充填した。実際の充填量はそれぞれ29mg/cm2,31mg/cm2であった。次に、乾燥機で200℃、1時間乾燥させて溶媒を除去した後、直径500ミリのローラープレス機(スリット:300μm)で加圧して実施例1の電極A,及び実施例2の電極Bを得た。加圧後の厚さはそれぞれ475μm,482μmであった。
[比較例1]
集電体のアルミニウム含有量が20wt%になるようにスパッタの時間を調整した以外は、実施例1と全く同じ方法で電極Cを作製しようとした。しかし、集電体が非常に脆くなっており、ローラープレスによる調厚の段階で集電体が割れてしまい、電極を得ることができなかった。
集電体のアルミニウム含有量が20wt%になるようにスパッタの時間を調整した以外は、実施例1と全く同じ方法で電極Cを作製しようとした。しかし、集電体が非常に脆くなっており、ローラープレスによる調厚の段階で集電体が割れてしまい、電極を得ることができなかった。
[比較例2]
集電体として、アルミニウム箔(市販品、厚さ20μm)を用いた。実施例1で作製した活性炭ペーストをドクターブレード法により両面合計が8mg/cm2となるように塗着したが、接着強度が不十分であるため、活物質が十分にアルミニウム箔に接着できなかった。
そこで、ポリフッ化ビニリデンを乾燥後で20wt%になるように調整した以外は実施例1で作製したのと同様の活性炭ペーストを作製した。このペーストをドクターブレード法により、アルミニウム箔の両面に塗着し、乾燥及び加圧することにより、比較例2の電極Dを作製した。活性炭の塗着量は8mg/cm2、電極の厚みは、165μmであった。
集電体として、アルミニウム箔(市販品、厚さ20μm)を用いた。実施例1で作製した活性炭ペーストをドクターブレード法により両面合計が8mg/cm2となるように塗着したが、接着強度が不十分であるため、活物質が十分にアルミニウム箔に接着できなかった。
そこで、ポリフッ化ビニリデンを乾燥後で20wt%になるように調整した以外は実施例1で作製したのと同様の活性炭ペーストを作製した。このペーストをドクターブレード法により、アルミニウム箔の両面に塗着し、乾燥及び加圧することにより、比較例2の電極Dを作製した。活性炭の塗着量は8mg/cm2、電極の厚みは、165μmであった。
[比較例3]
集電体として、発泡状ニッケル(市販品、ニッケル目付400g/m2、多孔度96vol%、セル数55セル/inch、厚さ720μm)を用いた。これに実施例1で作製した活性炭ペーストを実施例1と同様にして充填した後、さらに加圧及び乾燥することにより、比較例3の電極Eを作製した。活性炭の充填量は29mg/cm2、加圧後の電極の厚さは477μmとなった。
集電体として、発泡状ニッケル(市販品、ニッケル目付400g/m2、多孔度96vol%、セル数55セル/inch、厚さ720μm)を用いた。これに実施例1で作製した活性炭ペーストを実施例1と同様にして充填した後、さらに加圧及び乾燥することにより、比較例3の電極Eを作製した。活性炭の充填量は29mg/cm2、加圧後の電極の厚さは477μmとなった。
<キャパシタの作製及び試験>
実施例1、2、比較例1〜3で得られた電極A〜Eをそれぞれ直径14mmに打ち抜き(2枚)、セルロース繊維製セパレータ(厚さ60μm、密度450mg/cm3、多孔度70%)を挟み、これらの電極を対向させた。この状態で180℃、12時間減圧下で乾燥した。その後、ステンレススチール製スペーサを用いてR2032サイズのコインセルケースに収納し、非水電解液にホウフッ化テトラエチルアンモニウムを1mol/Lとなるように溶解したプロピレンカーボネート溶液を、電極及びセパレータに含浸した。さらに、プロピレン製の絶縁ガスケットを介してケース蓋を締めて封口して、コイン形の試験用電気二重層キャパシタAA、BB、CC、DD、EE(それぞれ電極A〜Eに対応)を作製した。定格電圧は2.5Vとした。
実施例1、2、比較例1〜3で得られた電極A〜Eをそれぞれ直径14mmに打ち抜き(2枚)、セルロース繊維製セパレータ(厚さ60μm、密度450mg/cm3、多孔度70%)を挟み、これらの電極を対向させた。この状態で180℃、12時間減圧下で乾燥した。その後、ステンレススチール製スペーサを用いてR2032サイズのコインセルケースに収納し、非水電解液にホウフッ化テトラエチルアンモニウムを1mol/Lとなるように溶解したプロピレンカーボネート溶液を、電極及びセパレータに含浸した。さらに、プロピレン製の絶縁ガスケットを介してケース蓋を締めて封口して、コイン形の試験用電気二重層キャパシタAA、BB、CC、DD、EE(それぞれ電極A〜Eに対応)を作製した。定格電圧は2.5Vとした。
[実施例3]
実施例3として、正極に実施例1で作製した電極A(ニッケルアルミニウム合金多孔体)を、負極に比較例3で作製した電極E(ニッケル多孔体)を用いたキャパシタAEを、上記キャパシタAA〜EEと同様の方法で作製した。
実施例3として、正極に実施例1で作製した電極A(ニッケルアルミニウム合金多孔体)を、負極に比較例3で作製した電極E(ニッケル多孔体)を用いたキャパシタAEを、上記キャパシタAA〜EEと同様の方法で作製した。
[静電容量の評価]
実施例1〜3及び比較例1〜3と同様のキャパシタをそれぞれ10個作製し、65℃で2.5Vの電圧を6時間印加してエージングを行った後、25℃にして2.5Vを開始電圧として1mAの電流で放電を行い、初期静電容量及び内部抵抗を調べた。単位面積当たりの静電容量、単位体積あたりの静電容量および内部抵抗の平均値を表1に示す。比較例1は電極が作製できなかったために、また、比較例3のキャパシタは、10セル全数でエージングの電圧が2.5Vまで達せず、放電もわずかな時間しかできなかったため、静電容量や内部抵抗を求められなかった。
実施例1〜3及び比較例1〜3と同様のキャパシタをそれぞれ10個作製し、65℃で2.5Vの電圧を6時間印加してエージングを行った後、25℃にして2.5Vを開始電圧として1mAの電流で放電を行い、初期静電容量及び内部抵抗を調べた。単位面積当たりの静電容量、単位体積あたりの静電容量および内部抵抗の平均値を表1に示す。比較例1は電極が作製できなかったために、また、比較例3のキャパシタは、10セル全数でエージングの電圧が2.5Vまで達せず、放電もわずかな時間しかできなかったため、静電容量や内部抵抗を求められなかった。
表1から明らかなように、実施例1、2及び3のキャパシタは、比較例2のAl箔を使用したキャパシタよりも、単位体積当たりの容量が大きく、内部抵抗が減少している。これは多孔体を集電体に用いることで、Al箔を使用した場合に比べて活性炭の充填量が高くなり、かつ骨格が電極内に均等に分散するため集電性に優れるためと考えられる。特に、静電容量を見ると、実施例1、2及び3のキャパシタは、比較例2のキャパシタの約4倍の静電容量を発揮している。よって、比較例2で示した従来のキャパシタと同等の静電容量を得るには、本発明のキャパシタ(特に分極性電極部分)では1/4以下の面積で達成することができることが分かる。
一方、比較例1の結果から、アルミニウム含有量が20wt%以上になると、集電体強度が著しく低下し、実用に耐えないことが分かる。また、比較例3の結果から、多孔構造の集電体であってもアルミニウムを含有させなければ耐電解性及び耐酸化性が不足し、集電体として不適であることが分かる。ただし、実施例3のように、正極に本発明のアルミ合金化多孔体を使用する場合は、負極にアルミニウムを含まない多孔体でも使用できる。これは、キャパシタの電圧の関係で、正極でのみ高い耐電解性及び耐酸化性が必要とされるからと考えられる。
[耐久性試験1]
次に、キャパシタ特性として重要な耐久性を調べた。高電圧で保持されたときの耐久性は、バックアップ用などの用途で重要である。なお、比較例1および比較例3については以降の試験は実施していない。
65℃で2.5Vの電圧を印加しながら2000時間保持した。その後25℃にして静電容量と内部抵抗を測定し、初期からの静電容量と内部抵抗の変化率を調べた。結果を表2に示す。
次に、キャパシタ特性として重要な耐久性を調べた。高電圧で保持されたときの耐久性は、バックアップ用などの用途で重要である。なお、比較例1および比較例3については以降の試験は実施していない。
65℃で2.5Vの電圧を印加しながら2000時間保持した。その後25℃にして静電容量と内部抵抗を測定し、初期からの静電容量と内部抵抗の変化率を調べた。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例は比較例に比べて2000時間経過後も静電容量及び内部抵抗の変化は小さかった。したがって、本発明の電気二重層キャパシタは、高い静電容量が得られるとともに、耐久性に優れていることが分かった。アルミニウムを含有することで、耐電解性及び耐酸化性が向上し、継続して高い電圧を印加しても腐食が起こらなくなったと考えられる。
[耐久性試験2]
別の耐久性評価法として充放電サイクル特性を調べた。サイクル特性はセルの寿命を現す重要な指標である。条件として、雰囲気温度45℃で0.5〜2.5Vの間で1mAの定電流による充放電サイクルを1万回繰り返し、1万サイクル後の放電容量及び内部抵抗を測定し、初期特性と比較して評価を行った。
その結果、静電容量の低下率は実施例1、2及び3でそれぞれ9.9%,9.8%,9.9%であったのに対して比較例2では13.2%低下した。内部抵抗は、実施例1と2でそれぞれ9.3%,9.4%,9.2%の増加であったのに対して比較例2では15.5%増加した。
アルミニウムを含有させることによる耐電解性及び耐酸化性が向上に加え、多孔体を集電体に用いることで活性炭を骨格で保持することができ、繰り返しの充放電による活性炭の剥離などを防ぐことができるためと考えられる。
別の耐久性評価法として充放電サイクル特性を調べた。サイクル特性はセルの寿命を現す重要な指標である。条件として、雰囲気温度45℃で0.5〜2.5Vの間で1mAの定電流による充放電サイクルを1万回繰り返し、1万サイクル後の放電容量及び内部抵抗を測定し、初期特性と比較して評価を行った。
その結果、静電容量の低下率は実施例1、2及び3でそれぞれ9.9%,9.8%,9.9%であったのに対して比較例2では13.2%低下した。内部抵抗は、実施例1と2でそれぞれ9.3%,9.4%,9.2%の増加であったのに対して比較例2では15.5%増加した。
アルミニウムを含有させることによる耐電解性及び耐酸化性が向上に加え、多孔体を集電体に用いることで活性炭を骨格で保持することができ、繰り返しの充放電による活性炭の剥離などを防ぐことができるためと考えられる。
以上により、本発明の集電体をキャパシタ用の電極に用いた場合、従来のキャパシタに比べて容量・耐久性に優れたキャパシタを提供できることが分かった。
Claims (7)
- ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆した後、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行い、ニッケルアルミニウム合金多孔体としたキャパシタ用の集電体。
- 前記ニッケルアルミニウム合金多孔体のアルミニウム含有量が、5wt%以上20wt%未満であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ用の集電体。
- 前記ニッケルアルミニウム合金多孔体が、少なくともニッケルとNi3Alの複合体であり、ニッケルの周囲をNi3Alが被覆している構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャパシタ用の集電体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填したことを特徴とするキャパシタ用電極。
- 正極に上記請求項4に記載のキャパシタ用電極を使用し、
負極に上記請求項4に記載のキャパシタ用電極、又はニッケル多孔体を集電体とするキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。 - ニッケルを主成分とする多孔体にアルミニウムを被覆する工程と、該アルミニウムを被覆した多孔体を不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気で熱処理を行ってニッケルアルミニウム合金多孔体とする工程とを含むことを特徴とするキャパシタ用の集電体の製造方法。
- 請求項6に記載の製造方法により得たキャパシタ用の集電体に、活性炭を主成分とする電極材料を充填することを特徴とするキャパシタ用電極の製造方法。
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