JP2021150015A - リチウム空気電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】充放電時の過電圧を低減したリチウム空気電池を提供する。【解決手段】本開示のリチウム空気電池20は、リチウムを吸蔵放出する負極活物質を有する負極21と、結着材を含まない炭素材料からなり酸素を正極活物質とする正極22と、正極に接触し、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の範囲で含むアセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒を含む非水電解液26と、を備えたものである。このリチウム空気電池20において、正極22は、カーボンペーパーからなるものとしてもよい。また、負極21は、負極活物質としてリチウム金属を有し、正極22と負極21との間にリチウムイオンを伝導する固体電解質25を備えるものとしてもよい。【選択図】図1

Description

本開示は、リチウム空気電池に関する。
従来、リチウム空気電池において、アセトニトリルを含む非水電解液を用いることが提案されている。例えば、特許文献1では、正極に接触する非水電解液の溶媒にアセトニトリルを用いることによって、放電容量を高めることが提案されている。また、例えば、非特許文献1では、アセトニトリルを含む電解液にジメチルスルホキシドを0.1M添加すると反応中間体LiO2の溶解性が向上することを、電気化学的手法によって検出したことが報告されている。また、非特許文献2では、アセトニトリルやジメチルスルホキシドなどの各種電解液溶媒について検討し、O2 -イオンあるいはLi+イオンに対する溶媒和が大きいほど、放電電位すなわちO2/Li+−O2 -のレドックス対の標準酸化還元電位が降下することを実験で示している。
特開2017−168190号公報
Electrochem. Commun. 31(2013)56. Angew. Chem. Int. Ed. 55(2016)3129.
しかしながら、特許文献1のリチウム空気電池では、放電容量を高めることができるものの、充放電時の過電圧が高いことがあった。また、非特許文献1では、アセトニトリルにジメチルスルホキシドを添加することで放電時の容量が向上する可能性を示唆しているが、充放電時の過電圧については検討されていなかった。また、非特許文献2では、放電時の過電圧に関連するO2/Li+−O2 -のレドックス対の標準酸化還元電位について検討されているが、ジメチルスルホキシドを用いると放電時の過電圧が増加することを示唆しているし、充電時の過電圧への影響は検討されていなかった。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、充放電時の過電圧を低減したリチウム空気電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、正極に結着材を含まない自立した炭素材料を用い、且つ電解液にジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の範囲で含むアセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒を含むものとすると、充放電時の過電圧を低減したリチウム空気電池となることを見いだし、本開示のリチウム空気電池を完成するに至った。
即ち、本開示のリチウム空気電池は、
リチウムを吸蔵放出する負極活物質を有する負極と、
結着材を含まない炭素材料からなり、酸素を正極活物質とする正極と、
前記正極に接触し、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の割合で含むアセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒を含む非水電解液と、
を備えたものである。
本開示では、充放電時の過電圧を低減したリチウム空気電池を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、以下のように推測される。本開示のリチウム空気電池では、正極は、結着材を含まない炭素材料からなり、非水電解液は、Li+イオン伝導性の高いアセトニトリルとLi+イオンと溶媒和しやすいジメチルスルホキシドとを所定の割合で含む混合溶媒を含む。これにより、正極−非水電解液間の電子移動と物質移動が円滑になり、正極表面の電子移動及び非水電解液中のイオン伝導の活性化エネルギーが低減されるなどして、充放電時の過電圧が低減すると推察される。
リチウム空気電池20の一例を模式的に示す説明図。 実験例1〜5の充放電容量と充放電電位との関係を示すグラフ。
本開示のリチウム空気電池は、リチウムを吸蔵放出する負極活物質を有する負極と、結着材を含まない炭素材料からなり酸素を正極活物質とする正極と、正極に接触し、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の割合で含むアセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒を含む非水電解液と、を備えている。
このリチウム空気電池において、負極は、リチウムを吸蔵放出する負極活物質を有する。リチウムを吸蔵放出可能な負極としては、例えば金属リチウムやリチウム合金のほか、金属酸化物、金属硫化物、リチウムを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えばアルミニウムやスズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素などが挙げられる。
このリチウム空気電池において、正極は、気体からの酸素を正極活物質とするものである。気体としては、空気であってもよいし酸素ガスであってもよい。この正極は、結着材を含まない炭素材料からなる。なお、結着材とは、粒子状の活物質を繋ぎ止める役割を果たすものをいい、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等のゴムのほか、セルロース化合物やスチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。この正極は、結着材を含まない炭素材料として直径5μm以上20μm以下の炭素繊維を含むものとしてもよい。この炭素材料は、例えば、炭素材料のみで自立した形状を維持することが可能なものとしてもよく、カーボンペーパーやカーボンフェルトなどのようなシート状のものとしてもよい。炭素材料が炭素繊維からなる場合、繊維方向が配向しているものとしてもよい。この炭素材料は、炭素材料自体に形成されたミクロ孔やメソ孔などの細孔容積が0.01cm3/g以下など、少ないものとしてもよいし、細孔がないものとしてもよい。また、炭素材料は、炭素繊維同士が形成する空間により多孔質に類似する性質を有するものとしてもよい。この炭素材料は、気体透過性が100(mL・mm/(cm2・h・Pa))以上300(mL・mm/(cm2・h・Pa))以下の範囲が好ましい。この範囲では、例えば非水電解液や酸素などを透過しやすく好ましい。このような炭素材料により正極を構成すると、正極の表面が完全に放電生成物で被覆されることなく継続して高出力の放電が可能である。なお、正極は、放電生成物であるリチウム酸化物やリチウム過酸化物を含んでいてもよい。また、正極は、触媒を含むものとしてもよい。触媒としては、例えば、酸素の酸化還元を行うものが好ましく、二酸化マンガン、四酸化三コバルトなどの金属酸化物であってもよいし、Pt、Pd、Coなどの金属であってもよいし、金属ポルフィリン、金属フタロシアニン、イオン化フラーレン、カーボンナノチューブなどの有機及び無機化合物であってもよい。
このリチウム空気電池において、正極と接触する非水電解液は、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の割合で含むアセトニトリル(以下ANとも称する)とジメチルスルホキシド(以下DMSOとも称する)との混合溶媒を含む。アセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒が、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の割合で含む場合には、充放電時の過電圧が低減される。混合溶媒は、充放電時の過電圧をより低減する観点からは、ジメチルスルホキシドの割合が多いことが好ましく、例えば、ジメチルスルホキシドの割合を40体積%以上としてもよいし、50体積%以上としてもよい。また、混合溶媒は、充放電容量を高める観点からは、ジメチルスルホキシドの割合が少ないことが好ましく、例えば、ジメチルスルホキシドの割合を85体積%以下としてもよいし、75体積%以下としてもよい。なお、混合溶媒において、ジメチルスルホキシド以外(残部)はアセトニトリルである。混合溶媒において、アセトニトリルの割合は10体積%以上としてもよいし、15体積%以上としてもよいし、25体積%以上としてもよい。また、混合溶媒において、アセトニトリルの割合は75体積%以下としてもよいし、60体積%以下としてもよいし、50体積%以下としてもよい。この非水電解液には、支持塩が含まれるものとしてもよい。支持塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF6,LiClO4,LiAsF6,LiBF4,Li(CF3SO22N,Li(CF3SO3),LiN(C25SO22などの公知の支持塩を用いることができる。これらの支持塩は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。支持塩は、ジメチルスルホキシド1リットルあたり2mol以下の割合で含まれていてもよく、1mol以下の割合で含まれていてもよい。支持塩は、ジメチルスルホキシド1リットルあたり0.1mol以上の割合で含まれていてもよい。非水電解液中の支持塩の濃度としては、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.5〜1.8Mであることがより好ましい。非水電解液には、上述した混合溶媒及び支持塩以外の成分、例えば、イオン液体やエーテル系溶媒などが含まれていてもよい。非水電解液において、混合溶媒及び支持塩以外の成分の割合は少ない方がよく、50体積%以下が好ましく、20体積%以下がより好ましく、10体積%以下がさらに好ましく、含まれないことが一層好ましい。イオン液体としては、例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME−TFSI)、N,N−ジエチル−N−エチル‐N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピペリジウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばジメトキシエタン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の鎖状エーテルなどが挙げられる。イオン液体やエーテル系溶媒などは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
このリチウム空気電池において、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム空気電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
このリチウム空気電池において、正極と負極との間にリチウムイオンを伝導する固体電解質を備えるものとしてもよい。こうすれば、正極及び負極の短絡を防止できる。また、負極活物質としてリチウム金属を有する場合には、この固体電解質を備えることが望ましい。非水電解液に含まれるアセトニトリルは、リチウム金属に接触すると還元されることがある。このリチウム空気電池では、負極がリチウム金属である場合に固体電解質によりアセトニトリルと負極との物理的接触を遮断することができ、非水電解液の劣化などをより抑制することができる。固体電解質は、緻密な板状体であるものが好ましく、例えば、気孔率が5%以下、より好ましくは、2%以下などが好ましい。固体電解質としては、例えば、ガラスセラミックスや、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などが挙げられる。具体的には、ガラスセラミックスとして、Li1+XTi2SiX3-X12・AlPO4(OHARA電解質)や、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43(LAGP)などが挙げられる。その他に、特開2009−122991号公報に紹介されている固体電解質、例えば、ガーネット型酸化物Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(Xは1.4≦X<2)、ガーネット型酸化物Li7La3Zr212 、ガーネット型酸化物Li7ALa3Nb212(A=Ca,Sr,Ba)、なども用いることができる。また、固体電解質としては、Li3.25Ge0.250.254、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物なども挙げられる。また、固体電解質としては、LiとSrとZrとを含むペロブスカイト型イオン伝導性酸化物としてもよい。このペロブスカイト型イオン伝導性酸化物は、基本構成をSrZrO3とするものとし、SrサイトやZrサイトが他の元素により置換されたものとしてもよい。
固体電解質を備えたリチウム空気電池において、負極と固体電解質との間には、正極側の非水電解液とは異なるイオン伝導媒体を含むものとしてもよい。イオン伝導媒体は、非水電解液としてもよいし、ゲル電解質などとしてもよい。イオン伝導媒体には、例えば、プロトン性の有機溶媒が含まれているものとしてもよい。この有機溶媒は、例えば、イオン伝導媒体に、50体積%以上の範囲で含まれてもよく、70体積%以上含まれてもよく、80体積%以上含まれてもよい。このような有機溶媒としては、例えば環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル等が挙げられる。環状カーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等がある。鎖状カーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等がある。環状エステルカーボネートとしては、例えばガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等がある。環状エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等がある。鎖状エーテルとしては、例えばジメトキシエタン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等がある。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、イオン伝導媒体には、上述したエーテル系溶媒やイオン液体が含まれているものとしてもよい。また、このイオン伝導媒体は、上述した支持塩を含むものとしてもよい。支持塩の種類や濃度などは正極側の非水電解液に準ずるものとしてもよい。支持塩の濃度は、正極側の非水電解液よりも高くしてもよい。
本開示のリチウム空気電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本開示のリチウム空気電池20の一例を模式的に示す説明図である。このリチウム空気電池20は、リチウムを吸蔵放出する負極活物質を有する負極21と、酸素を正極活物質とする正極22と、負極21と正極22との間に配設された固体電解質25とを備えている。負極21と固体電解質25との間には、リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体24があり、正極22と固体電解質25との間には、リチウムイオンを伝導する非水電解液26がある。また、リチウム空気電池20は、ケーシング28と、押さえ部材31と、ガス溜め32とを備える、ケーシング28は、負極21や正極22を収容する絶縁体の収容容器である。押さえ部材31は、正極22を押さえる部材であり、内部を酸素が流通可能になっている。ガス溜め32は、その内部に酸素を含むガス(例えば乾燥空気)を収容しており、押さえ部材31を介して正極22に酸素を供給する。正極22は、結着材を含まない炭素材料からなる。また、非水電解液26には、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の割合で含むアセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒が含まれる。
ここで、リチウム空気電池の正極での反応について説明する。リチウム空気電池の正極(空気極)では、充放電に伴って下記式(1)で表される反応が進行すると考えられている。放電時には式(1)は右側に進み、正極表面にLi22が析出する。充電時には式(1)は左側に進み、Li22が酸化分解されてLi+イオンが電解液中に溶解し、同時に酸素ガスが発生する。式(1)の進行に必要とされる電位は理論的には2.94V(Li/Li+基準)であるが、実際のリチウム空気電池においては、充電・放電ともに例えば0.2〜1.5V程度の過電圧を与えなければ反応は進行しない。そのため、リチウム空気電池のエネルギー効率(充電時に要するエネルギーに対する放電時に得られるエネルギーの割合)が低く、課題の1つとなっている。なお、充電時の式(1)の反応は、下記式(2)〜(4)を経て進行すると考えられている。
Figure 2021150015
Figure 2021150015
本開示のリチウム空気電池では、正極は、結着材を含まない炭素材料からなるものである。これにより、正極と非水電解液との界面または正極とLi22との界面の電子伝導性が向上すると考えられる。また、本開示のリチウム空気電池では、非水電解液は、Li+イオンと溶媒和しやすいジメチルスルホキシドと、Li+イオン伝導性の高いアセトニトリルとの混合溶媒とを所定の比率で含んでいる。これにより、正極と非水電解液との界面、正極とLi22との界面またはLi22と非水電解液との界面での電荷移動と非水電解液中のイオン伝導に要するエネルギーを低減できると考えられる。これらによって、本開示のリチウム空気電池では、充放電時の過電圧を低減でき、結果としてエネルギー効率を高めることができると考えられる。
以上詳述した本開示では、上述した通り、充放電時の過電圧を低減したリチウム空気電池を提供することができる。また、このリチウム空気電池では、Li+イオン伝導性及び酸素溶解性が高いアセトニトリルを混合溶媒に用いている。これにより、充放電容量も比較的高い値とすることができる。このため、本開示では、高エネルギー密度かつ高出力の特性を有する高容量型のリチウム空気電池を実現できる。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本開示のリチウム空気電池を具体的に作製した例を実施例として説明する。なお、実験例1〜3が実施例に相当し、実験例4〜5が比較例に相当する。本開示は以下に示す実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
[実験例1]
(リチウム空気電池の作製)
カーボンペーパー(東レ製、TGP−H−060)を3.14cm2の面積となるように切り取り、リチウム空気電池の正極とした。このカーボンペーパーは、気体透過性が194(mL・mm/(cm2・h・Pa))であり、直径20μm以下の炭素繊維からなる。負極には、直径10mm、厚さ0.5mmの金属リチウム(田中貴金属製)を用いた。これらを用いて図1に示したリチウム空気電池を作製した。まず、SUS製のケーシング28に負極21を設置し、正極22との間にはリチウム伝導性の固体電解質25(OHARA製)を設置した。負極21と固体電解質25との間には、イオン伝導媒体24として非水電解液(電解液A)5mLを注入した。電解液Aには、1Mのリチウムテトラフルオロスルフォニルイミド(以下LiTFSI)を支持塩として含む、エチレンカーボネート30質量部とジエチルカーボネート70質量部からなる溶液(関東化学製)を用いた。次に、ジメチルスルホキシドを50体積%の割合で含む、アセトニトリル(ANとも称する)とジメチルスルホキシド(DMSOとも称する)との混合溶媒(AN/DMSOの体積比率=50/50)に0.5MのLiTFSIを含む非水電解液を調製した(電解液B)。この非水電解液(電解液B)200μLを固体電解質25と正極22の間に注入した。正極22上から空気が流通可能な押さえ部材31で押し付けることにより、セルを固定した。このようにして実験例1のリチウム空気電池を得た。なお、図示しないが、ケーシング28は正極22と接触する上部と負極21と接触する下部とに分離可能であり、絶縁樹脂の介在により、正極22と負極21とは電気的に絶縁されている。
(充放電試験)
このようにして得られたリチウム空気電池を、アスカ電子製の充放電装置(型名5V/100MA)にセットし、正極22から負極21の方向に0.63mA(200μA/cm2)の電流を流して放電電位が1.7V以下となるまで放電した。続けて、負極21から正極22の方向に0.063A(20μA/cm2)の電流を流して充電電位が4.3V以上となるまで充電した。この充放電試験は、25℃で行った。
[実験例2]
電解液Bの混合溶媒を、AN/DMSOの体積比率=25/75とした混合溶媒に替えた以外は実験例1と同様に充放電試験を実施した。
[実験例3]
電解液Bの混合溶媒を、AN/DMSOの体積比率=75/25とした混合溶媒に替えた以外は実験例1と同様に充放電試験を実施した。
[実験例4]
電解液Bの混合溶媒を、AN単独溶媒に替えた以外は実験例1と同様に充放電試験を実施した。
[実験例5]
電解液Bの混合溶媒を、DMSO単独溶媒に替えた以外は実験例1と同様に充放電試験を実施した。
(結果と考察)
図2に、実験例1〜5の充放電試験における電位と電池容量の変化を表すグラフを示す。また、表1に、実験例1〜5のAN/DMSOの体積比、放電容量が25mAh/gのときの放電電位(V)、充電率が50%のときの充電電位(V)及び放電容量(mAh/g)をまとめて示す。
Figure 2021150015
図2及び表1に示すように、ANとDMSOとの混合溶媒を電解液溶媒とした実験例1〜3では、実験例4(AN単独溶媒)や実験例5(DMSO単独溶媒)のどちらと比較しても放電電位が高い値を示しており、実験例4,5と比較して放電時の過電圧が低減されたことがわかった。また、実験例1〜3では、実験例4や実験例5のどちらと比較しても充電電位が低い値を示しており、実験例4,5と比較して充電時の過電圧も低減されたことがわかった。さらに、実験例1〜3では、いずれの場合にも実験例5よりも充放電容量が高かった。これらのことから、実験例1〜3のリチウム空気電池は、高出力及び高エネルギー密度の特性を兼ね備えていることが分かった。
実験例4(AN単独溶媒)では、充放電容量が大きいものの、充放電時の過電圧が大きかった。これは、非水電解液の溶媒として、Li+イオン伝導性が高くLi+イオンに対して溶媒和しにくいアセトニトリルを単独で用いたためと推察された。
実験例5(DMSO単独溶媒)では、充放電時の過電圧が実験例4より低減された。これは、非水電解液の溶媒としてO2 -イオンとLi+イオンの両方に対して溶媒和しやすいジメチルスルホキシド単独で用いたことによる、溶媒和の効果により、上述した式(2)での過電圧が低減されたためと推察された。しかし、実験例5では、実験例1〜3ほど充放電時の過電圧を低減することはできなかった。これは、ジメチルスルホキシドではLi+イオンの伝導性が低いため、比較的早期に過電圧が上昇することなどによるものと推察された。
これに対して、実験例1〜3では、非水電解液の溶媒として、Li+イオン伝導性の高いアセトニトリルとLi+イオンと溶媒和しやすいジメチルスルホキシドとを含む混合溶媒を用いている。これにより、正極と非水電解液との界面、正極とLi22との界面またはLi22と非水電解液との界面での電荷移動と非水電解液中のイオン伝導に要するエネルギーが低減され、過電圧が低減されたと推察された。つまり、実験例1〜3では、ジメチルスルホキシドの溶媒和の効果とアセトニトリルの高いLi+イオン伝導性の両方が電荷移動エネルギー及び物質移動エネルギーを低減させるように働き、充電時の過電圧及び放電時の過電圧の両方が低減されたと推察された。なお、実験例1〜3において、正極は、結着材を含まない炭素材料からなるものである。これによっても、正極と非水電解液との界面または正極とLi22との界面の電子伝導性が向上し、充放電時の過電圧が低減されたと推察された。
実験例1〜3のうち、混合溶媒中のジメチルスルホキシドの割合が25体積%と少ない実験例3よりも、ジメチルスルホキシドの割合が50体積%の実験例1やジメチルスルホキシドの割合が75体積%の実験例2の方が充電時及び放電時の両方において過電圧が小さかった。このことから、混合溶媒中のジメチルスルホキシドの割合は25体積%以上が好ましく、40体積%以上がより好ましく、50体積%以上がさらに好ましいことがわかった。また、混合溶媒中のジメチルスルホキシドの割合が100%の実験例5よりも、アセトニトリルを含む実験例1〜3の方が充放電時の過電圧が小さいことから、混合溶媒中にアセトニトリルをある程度含むものとすれば過電圧を低減できると考えられ、ジメチルスルホキシドの割合は90体積%以下でもよく、85体積%以下でもよく、75体積%以下でもよいと推察された。充放電容量を向上させる観点からは、ジメチルスルホキシドの割合は90体積%以下が好ましく、85体積%以下がより好ましく、75体積%以下がさらに好ましいことがわかった。
本開示は、電池産業に利用可能である。
20 リチウム空気電池、21 負極、22 正極、24 イオン伝導媒体、25 固体電解質、26 非水電解液、28 ケーシング、31 押さえ部材、32 ガス溜め。

Claims (6)

  1. リチウムを吸蔵放出する負極活物質を有する負極と、
    結着材を含まない炭素材料からなり、酸素を正極活物質とする正極と、
    前記正極に接触し、ジメチルスルホキシドを25体積%以上90体積%以下の割合で含むアセトニトリルとジメチルスルホキシドとの混合溶媒を含む非水電解液と、
    を備えたリチウム空気電池。
  2. 前記混合溶媒は、ジメチルスルホキシドを40体積%以上85体積%以下の割合で含む、
    請求項1に記載のリチウム空気電池。
  3. 前記混合溶媒は、ジメチルスルホキシドを50体積%以上75体積%以下の割合で含む、
    請求項1又は2に記載のリチウム空気電池。
  4. 前記正極は、前記結着材を含まない炭素材料として直径5μm以上20μm以下の炭素繊維を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム空気電池。
  5. 前記正極は、前記結着材を含まない炭素材料としてカーボンペーパーからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム空気電池。
  6. 前記負極は、前記負極活物質としてリチウム金属を有し、
    前記正極と前記負極との間にリチウムイオンを伝導する固体電解質を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム空気電池。
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