本発明は、壁掛けテレビや大型モニター等に用いられるプラズマディスプレイパネルおよびプラズマディスプレイ装置ならびにプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」または「パネル」と略記する)は、大画面、薄型、軽量であることを特徴とする視認性に優れた表示デバイスである。
パネルとして代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁がそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線でRGB各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
パネルを駆動する方法としてはサブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般的である。ここで、各サブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
初期化期間では、全ての放電セルで一斉に初期化放電を行い、それ以前の個々の放電セルに対する壁電荷の履歴を消すとともに、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成する。加えて、放電遅れを小さくし書込み放電を安定して発生させるためのプライミング(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生させるという働きをもつ。書込み期間では、走査電極に順次走査パルス電圧を印加するとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルス電圧を印加し、走査電極とデータ電極との間で選択的に書込み放電を発生させ、選択的な壁電荷形成を行う。続く維持期間では、走査電極と維持電極との間に所定の回数の維持パルス電圧を印加し、書込み放電による壁電荷形成を行った放電セルを選択的に放電させ発光させる。
このように、画像信号に基づきPDPに画像を正しく表示させるためには、書込み期間における選択的な書込み放電を確実に行うことが重要である。しかし、回路構成上の制約から書込みパルス電圧に高い電圧が使えない、あるいはデータ電極上に形成された蛍光体層が放電を起こり難くしている、あるいは近年のPDPの大画面化に伴ない、データ電極の配線距離が延びて電極抵抗が増加している等、書込み放電に関しては放電遅れを大きくする要因が多い。したがって、書込み放電を安定して発生させるためのプライミングが非常に重要となる。
しかしながら、放電によって生じるプライミングは時間の経過とともに急速に減少する。そのため、上述したパネルの駆動方法において、初期化放電から長い時間が経過した書込み放電に対しては初期化放電で生じたプライミングが不足して放電遅れが大きくなり、書込み動作が不安定になって画像表示品質が低下する。あるいは、書込み動作を安定して行うために書込み時間を長く設定し、その結果、書込み期間に費やす時間が大きくなりすぎる。
そこで、プライミング電極を設けてプライミング放電を発生させ、それによって発生したプライミングにより放電遅れを小さくするPDPとその駆動方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら上述のPDPにおいては、隣接する放電セルが相互干渉を起こし易く、特に書込み期間において、隣接する放電セルの書込み放電の影響を受けて誤書込み、あるいは書込み不良を生じる恐れがあり、そのため書込み動作の駆動電圧マージンが狭くなる。さらにそれぞれの走査電極に対する書込み動作の直前にプライミング放電を発生させるため、それぞれのプライミング電極を独立に駆動する必要があり、そのためにプライミング電極数と同数のプライミング電極を駆動するための回路が必要となる。
特開平9−245627号公報
本発明は、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法を提供する。
本発明のPDPは、第1の基板上に平行に配置された、表示電極対を構成する走査電極および維持電極と、第1の基板上において、表示電極対のうち隣り合う表示電極対の間に表示電極対と平行に配置されたプライミング電極と、放電空間を挟んで第1の基板に対向配置された第2の基板上に、表示電極対と交差する方向に配置されたデータ電極と、表示電極対とデータ電極とが対向する位置に主放電セルを区画するとともに、プライミング電極とデータ電極とが対向する位置にプライミング放電セルを区画する隔壁とを備え、隣り合う少なくとも2つのプライミング電極が互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
この構成により、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイ装置は、第1の基板上に平行に配置された、表示電極対を構成する走査電極および維持電極と、第1の基板上において、表示電極対のうち隣り合う表示電極対の間に表示電極対と平行に配置されたプライミング電極と、放電空間を挟んで第1の基板に対向配置された第2の基板上に、表示電極対と交差する方向に配置されたデータ電極と、表示電極対とデータ電極とが対向する位置に主放電セルを区画するとともに、プライミング電極とデータ電極とが対向する位置にプライミング放電セルを区画する隔壁とを備えたPDPを有し、隣り合う少なくとも2つのプライミング電極に同時にプライミングパルス電圧が印加されることを特徴とする。
この構成により、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
また、本発明のPDPの駆動方法は、第1の基板上に平行に配置された、表示電極対を構成する走査電極および維持電極と、第1の基板上において、表示電極対のうち隣り合う表示電極対の間に表示電極対と平行に配置されたプライミング電極と、放電空間を挟んで第1の基板に対向配置された第2の基板上に、表示電極対と交差する方向に配置されたデータ電極と、表示電極対とデータ電極とが対向する位置に主放電セルを区画するとともに、プライミング電極とデータ電極とが対向する位置にプライミング放電セルを区画する隔壁とを備え、1フィールドを初期化期間、書込み期間、維持期間を有する複数のサブフィールドで構成されたPDPにおいて、書込み期間において、隣り合う少なくとも2つのプライミング電極に同時にプライミングパルス電圧を印加ステップと、主放電セルを間に挟んで隣り合う少なくとも2つのプライミング放電セルに同時にプライミング放電を発生させるステップとを有する。
この方法により、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるPDPの駆動方法を提供することができる。
また、プライミング放電を発生させた少なくとも2つのプライミング放電セルに隣接する少なくとも4つの主放電セルにおいて、まず奇数行目または偶数行目の主放電セルに順次書込み放電を発生させ、残る主放電セルには、プライミング放電を発生させた少なくとも2つのプライミング放電セルにおいて再度プライミング放電を発生させた後で順次書込み放電を発生させてもよい。この方法によれば、プライミング電極を駆動するための駆動回路を削減するとともに安定して書込み放電を発生させることができる。
また、プライミング放電を発生させた少なくとも2つのプライミング放電セルに隣接する少なくとも4つの主放電セルにおいて順次書込み放電を発生させてもよい。この方法によれば、プライミング電極を駆動するための駆動回路を削減するとともにさらに効率よく安定して書込み放電を発生させることができる。
以上のように、本発明によれば、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法を提供することができる。
図1は本発明の実施の形態1におけるPDPの構造を示す分解斜視図である。
図2は同PDPの断面図である。
図3は同PDPの電極配列図である。
図4は同PDPのプライミング電極とプライミング電極駆動回路との接続の様子を示す平面図である。
図5は同PDPを用いたプラズマディスプレイ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6は同PDPの駆動波形図である。
図7は同PDPの駆動方法の他の例を示した駆動波形図である。
図8は同PDPの他の例におけるプライミング電極とプライミング電極駆動回路との接続の様子を示す平面図である。
符号の説明
10 PDP(プラズマディスプレイパネル)
21 前面基板
22 走査電極
22a,23a 透明電極
22b,23b 金属母線
23 維持電極
24,33 誘電体層
25 保護層
28 光吸収層
29 プライミング電極
31 背面基板
32 データ電極
34 隔壁
34a 縦壁部
34b 横壁部
35 蛍光体層
38 接続部
39 MgO粉末層
40 主放電セル
41,41b 隙間部
41a プライミング放電セル
100 プラズマディスプレイ装置
101 画像信号処理回路
102 データ電極駆動回路
103 タイミング制御回路
104 走査電極駆動回路
105 維持電極駆動回路
106 プライミング電極駆動回路
107 プライミング電極駆動IC
108 導電線
以下、本発明の実施の形態におけるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の構造を示す分解斜視図であり、図2は、同PDP10の断面図である。
図1、図2に示すように、PDP10では、第1の基板であるガラス製の前面基板21と第2の基板である背面基板31とが放電空間を挟んで対向配置され、放電空間には放電によって紫外線を放射するネオン(Ne)とキセノン(Xe)との混合ガスが封入されている。
前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対が互いに平行に複数対形成されている。本実施の形態1においては、例えば走査電極22−維持電極23の順で構成された表示電極対に隣接する表示電極対は維持電極23−走査電極22の順で構成されている。そして、隣接する表示電極対の間のうち、走査電極22が対向する側にはプライミング電極29が表示電極対と平行に構成されている。したがって、前面基板21上には、維持電極23−走査電極22−プライミング電極29−走査電極22−維持電極23−維持電極23−走査電極22−プライミング電極29−走査電極22−維持電極23−・・・となるように配列されている。
走査電極22と維持電極23は、それぞれ透明電極22a、23aとその透明電極22a、23a上に形成された金属母線22b、23bとから構成されている。走査電極22−走査電極22間、および維持電極23−維持電極23間には黒色材料からなる光吸収層28が設けられており、プライミング電極29は走査電極22−走査電極22間に設けられた光吸収層28上に金属母線を用いて構成されている。そして、これらの走査電極22、維持電極23、プライミング電極29および光吸収層28とを覆うように誘電体層24および保護層25が形成されている。
背面基板31上には、走査電極22と交差する方向にデータ電極32が互いに平行に複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成されている。そして表示電極対とデータ電極32とが対向する位置に主放電セル40を区画するとともに、プライミング電極29とデータ電極32とが対向する位置にプライミング放電セル41aを区画するように、誘電体層33の上に隔壁34が形成されている。
隔壁34は、データ電極32と平行な方向に延びる縦壁部34aと、主放電セル40を形成するとともに主放電セル40の間に隙間部41を形成する横壁部34bとで構成されている。その結果、隔壁34は走査電極22と維持電極23とからなる一対の表示電極対に沿って主放電セル40を複数連結した主放電セル行を形成し、隣接した主放電セル行の間に隙間部41を形成している。隙間部41のうち、2本の走査電極22が隣り合う側に位置する隙間部41の前面基板21上にはプライミング電極29が形成されており、この隙間部41はプライミング放電セル41aとして働く。また、2本の維持電極23が隣り合う側に位置する部分には隙間部41bが形成される。すなわち、隙間部41は、プライミング電極29を有するプライミング放電セル41aと隙間部41bとが交互に配列された構成となっている。
そして、これら隔壁34の頂部は前面基板21に当接するように平坦に形成されている。これは、隣接する主放電セル40の相互干渉を防ぐためであり、特に、書込み期間において、隣接する主放電セル40の放電の影響を受けて誤書込みを生じる等の誤動作を防ぐためである。さらには、プライミング放電によってプライミング放電セル41aに隣接する主放電セル40の壁電荷が減少し書込み不良を生じる等の誤動作を防ぐためである。
そして、隔壁34により区画された主放電セル40に対応する誘電体層33の表面と隔壁34の側面とには蛍光体層35が設けられている。
さらに本実施の形態1においては、プライミング放電セル41aにおける放電開始電圧を下げるために、AC型PDPの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料によってなるMgO粉末層39を塗布している。したがって、MgO粉末層39は、プライミング電極29とデータ電極32との間に電圧を印加した場合に、MgO粉末層39からプライミング放電セル41a内に効果的に2次電子を放出する機能を有している。この結果、本実施の形態1では、プライミング放電セル41aの長手方向に連続して形成されたMgO粉末層39からプライミング放電セル41a内に均一に2次電子を供給することができる。したがって、細長い形状を有するプライミング放電セル41aにおけるプライミング放電のばらつきを抑制し、各主放電セル40に対して均一なプライミング放電を発生させることができる。また、プライミング放電の発生を促進し、プライミング放電に印加すべき電圧を低減することができる。
なお、放電開始電圧を下げることができれば、MgO粉末以外の物質、例えば、導電性物質、あるいは2次電子放出係数の大きい金属酸化物等をMgO粉末層39に代えて塗布してもよい。2次電子放出係数の大なる材料としては、アルカリ金属の酸化物(例えば、Cs2O等)、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等)、希土類酸化物(例えば、Y2O3、La2O3、CeO2、Er2O3、Lu2O3等)、または弗化物(例えば、LiF、CaF2、MgF2等)の少なくともいずれかを含む材料の使用が考えられる。
あるいは、放電開始電圧を下げることができれば、必ずしもプライミング放電セル41aにMgO粉末層39を設ける必要はなく、プライミング放電セル41aのプライミング電極29−データ電極32間の放電距離を短くした構造として放電開始電圧を下げる構成としてもよい。
なお、ここではデータ電極32を覆うように誘電体層33を形成した構成を説明したが、誘電体層33を形成しない構成としてもよい。また、図1、図2では隙間部41側に蛍光体層35を形成していないが、蛍光体層35を形成する構成としてもよい。また、図1、図2ではプライミング放電セル41aにMgO粉末層39を形成し隙間部41bにはMgO粉末層39を形成しない構成を説明したが、隙間部41bにもMgO粉末層39を形成する構成としてもよい。
図3は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の電極配列図であり、図4は、本発明の実施の形態1におけるPDP10のプライミング電極29とプライミング電極駆動回路との接続の様子を示す平面図である。
図3に示すように、PDP10には、列方向にm列のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列され、行方向にn行の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)とn行の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)とn/2行のプライミング電極PR1〜PRn−1(図1のプライミング電極29)とが維持電極SU1−走査電極SC1−プライミング電極PR1−走査電極SC2−維持電極SU2−維持電極SU3−走査電極SC3−プライミング電極PR3−走査電極SC4−維持電極SU4−・・・となるように配列されている。そして、一対の走査電極SCi、維持電極SUi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とを含む主放電セルCi,j(図1の主放電セル40)が放電空間内にm×n個形成されている。また、プライミング電極PRp(pは奇数)とデータ電極D1〜Dmとを含むプライミング放電セルPSp(図1のプライミング放電セル41a)が放電空間内にn/2個形成されている。そして、書込み期間においてこのプライミング放電セルPSpで発生したプライミングは、プライミング放電セルPSpに隣接する主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,mに供給される。
また、図4に示すように、プライミング電極駆動回路106は複数のプライミング電極駆動IC107を有しており、プライミング電極駆動IC107とプライミング電極29とが導電線108によって電気的に接続され、プライミング電極駆動IC107から出力されるプライミングパルス電圧が導電線108を介してプライミング電極29に印加される。そして、本実施の形態1においては、プライミング電極PR1−プライミング電極PR3、プライミング電極PR5−プライミング電極PR7、というように隣り合うプライミング電極PRp−プライミング電極PRp+2が接続部38によって互いに電気的に接続された構成となっている。したがって、1つのプライミング電極駆動IC107と2つのプライミング電極PRp、PRp+2とを電気的に接続することができ、1つのプライミング電極駆動IC107から2つのプライミング電極PRp、PRp+2にプライミングパルス電圧を同時に印加することができるように構成されている。これにより、主放電セル40−隙間部41b−主放電セル40を間に挟んで隣り合う2つのプライミング放電セル41aに同時にプライミング放電を発生させることができる。
図5は、本発明の実施の形態1におけるPDP10を用いたプラズマディスプレイ装置の構成の一例を示すブロック図である。プラズマディスプレイ装置100は、入力される画像信号および同期信号に基づいてサブフィールド信号を作成する画像信号処理回路101、データ電極32の駆動を行うデータ電極駆動回路102、走査電極22の駆動を行う走査電極駆動回路104、維持電極23の駆動を行う維持電極駆動回路105、プライミング電極29の駆動を行うプライミング電極駆動回路106および入力される同期信号に基づいて各駆動回路を制御するためのタイミング制御信号を作成するタイミング制御回路103を有している。
画像信号処理回路101は、入力される画像信号および同期信号に基づいて各画素の各サブフィールドにおける点灯・非点灯を制御するサブフィールド信号を作成し、データ電極駆動回路102に出力する。タイミング制御回路103は、入力される同期信号に基づいて、データ電極駆動回路102、走査電極駆動回路104、維持電極駆動回路105、プライミング電極駆動回路106にタイミング制御信号を出力する。
データ電極駆動回路102は、入力されるサブフィールド信号およびタイミング制御信号に基づきPDP10のデータ電極32(図3のデータ電極D1〜Dm)に所定の駆動波形電圧を印加する。走査電極駆動回路104は、入力されるタイミング制御信号に基づきPDP10の走査電極22(図3の走査電極SC1〜SCn)に所定の駆動波形電圧を印加する。維持電極駆動回路105は、入力されるタイミング制御信号に基づきPDP10の維持電極23(図3の維持電極SU1〜SUn)に所定の駆動波形電圧を印加する。
プライミング電極駆動回路106は、プライミング電極29の総数の2分の1の数のプライミング電極駆動IC107を備えている。そして、1つのプライミング電極駆動IC107に2つのプライミング電極29が電気的に接続され、1つのプライミング電極駆動IC107が2つのプライミング電極29を同時に駆動することができる。そして、プライミング電極駆動回路106は、入力されるタイミング制御信号に基づきPDP10のプライミング電極29(図3のプライミング電極PR1〜PRn−1)に所定の駆動波形電圧を印加する。また、データ電極駆動回路102、走査電極駆動回路104、維持電極駆動回路105、プライミング電極駆動回路106にはそれぞれ電源回路(図示せず)から必要な電力が供給されている。
次に、本発明の実施の形態1におけるPDP10を駆動するための駆動波形とそのタイミングについて、PDP10の動作とともに説明する。図6は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の駆動波形図である。なお、1フィールド期間は複数のサブフィールドから構成され、それぞれのサブフィールドは、初期化期間、奇数ライン書込み期間、プライミング放電セル初期化期間(図面中には「初期化期間(プライミング)」と記す)、偶数ライン書込み期間、維持期間を有する。また、本発明の実施の形態1においては、1フィールドを構成する複数のサブフィールドのうち最初のサブフィールドの初期化期間では画像表示にかかわる全ての主放電セル40で初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、2番目以降のサブフィールドではその直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った主放電セル40に対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うものとする。また、全セル初期化期間を便宜上2つに分けて前半部、後半部と呼ぶことにする。
図6に示すように、1フィールドを構成する最初のサブフィールドの初期化期間前半部では、まず、データ電極D1〜Dm、維持電極SU1〜SUnをそれぞれ0(V)に保持し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vi1から、維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmに対して放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。また、プライミング電極PR1〜PRn−1にも走査電極SC1〜SCnと同様の傾斜波形電圧を印加する。すると、主放電セルCi,j内部では、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、走査電極SC1〜SCnとデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こり、プライミング放電セル41a内部では、プライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部およびプライミング電極PR1〜PRn−1上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上部および維持電極SU1〜SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上部の壁電圧とは電極を覆う保護層25や蛍光体層35上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnを正電圧Veに保ち、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。また、プライミング電極PR1〜PRn−1にも走査電極SC1〜SCnと同様の傾斜波形電圧を印加する。すると、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、走査電極SC1〜SCnとデータ電極D1〜Dm、プライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は次の書込み動作に適した値に調整され、プライミング電極PR1〜PRn−1上部の壁電圧もプライミング動作に適した値に調整される。以上により画像表示にかかわる全放電セルを初期化放電させる全セル初期化動作が終了する。
続く奇数ライン書込み期間では、走査電極SC1〜SCnおよびプライミング電極PR1〜PRn−1を一旦Vcに保持する。これは、後述する書込みパルス電圧Vdの印加にともなって不要な放電を発生させないためである。そして、1行目のプライミング電極PR1および3行目のプライミング電極PR3に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS1とプライミング放電セルPS3とでプライミング放電が発生する。
このとき、本構成ではプライミング放電セル内に2次電子放出係数の高いMgO粉末層39を形成しているので、安定した放電を低電圧で発生させることができるようになり、その結果、放電開始電圧のばらつきが低減され、動作マージンを大きくすることができる。また、放電を低電圧で発生させることができるので放電の強度を小さくすることができ、プライミング放電セル41aにおける放電の他への影響、例えばクロストーク等を抑制することができる。また、従来と同じ放電電圧とする場合は、従来よりも放電の動作マージンを大きくすることができる。印加電圧を調整することにより、クロストークの抑制効果と動作マージン増大の効果を併用することもできる。このことにより、高精細度のPDPにおいても、書込み特性をより安定化させることができる。
そして、このプライミング放電により、1行目の主放電セルC1,1〜C1,m、2行目の主放電セルC2,1〜C2,m、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR1、PR3上部には正の壁電圧が蓄積される。
次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち1行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dk(Dkはデータ電極D1〜Dmのうち映像信号に基づき選択されるデータ電極を表す)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC1との交差部に対応する主放電セルC1,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC1,kの走査電極SC1上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上部に負電圧が蓄積されて、1行目の主放電セルC1,1〜C1,mにおける書込み動作が終了する。ここで、主放電セルC1,kの書込み放電は、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
なお、本発明の実施の形態1においては、プライミング電極PR1、PR3にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と1行目の走査電極SC1に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間があるが、これは、プライミング放電の発生後、できるだけ速やかに1行目の主放電セルC1,1〜C1,mおよび3行目の主放電セルC3,1〜C3,mへの書込み動作を行うためである。また、1行目の主放電セルC1,1〜C1,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。また、本実施の形態1においては、プライミングパルス幅を書込みパルス幅の2乃至3倍に設定している。また、本実施の形態1では、電極PR1〜PRn−1を駆動するプライミング電極駆動回路106を他の駆動回路と独立して設けているので、プライミングパルス電圧の印加のタイミングやプライミングパルス幅等を任意に設定し、上述したような駆動を実現することができる。
次に、3行目の走査電極SC3に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち3行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC3との交差部に対応する主放電セルC3,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC3,kの走査電極SC3上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU3上部に負電圧が蓄積されて、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC3,kの書込み放電も、プライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
次に、5行目の走査電極SC5への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、5行目のプライミング電極PR5および7行目のプライミング電極PR7に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR7とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS5とプライミング放電セルPS7とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、5行目の主放電セルC5,1〜C5,m、6行目の主放電セルC6,1〜C6,m、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR5、PR7上部には正の壁電圧が蓄積される。
そして、上述と同様に5行目の走査電極SC5に負の走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち5行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC5,kで書込み放電を発生させる。この書込み放電により主放電セルC5,kの走査電極SC5上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU5上部に負電圧が蓄積されて、5行目の主放電セルC5,1〜C5,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC5,kの書込み放電も、上述と同様にプライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに5行目の主放電セルC5,1〜C5,mおよび7行目の主放電セルC7,1〜C7,mへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と5行目の走査電極SC5に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、5行目の主放電セルC5,1〜C5,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
引き続き、7行目の走査電極SC7に走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち7行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC7,kで書込み放電を発生させ、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mにおける書込み動作が終了する。
次に、9行目の走査電極SC9への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、9行目のプライミング電極PR9および11行目のプライミング電極PR11に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。以下、上述と同様の奇数行目の主放電セルへの書込み動作と次のプライミング放電の発生の繰り返しを全ての奇数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。
このように、本発明の実施の形態1では、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2にプライミング放電を発生させ、プライミング放電セルPSp、PSp+2に隣接する奇数行目の主放電セルCp,k、Cp+2,kに順次書込み放電を発生させるとともに、p+4行目の走査電極SCp+4への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けてプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpの印加という動作の繰り返しを全ての奇数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。なお、このときのそれぞれの主放電セルCi,jの書込み放電は、隣接するプライミング放電セルからプライミングが供給された後に発生するので、放電遅れの小さい安定した放電となる。
奇数ライン書込み期間の終了後は、続く偶数ラインへの書込み動作を行う前にプライミング放電セル初期化動作を行い、プライミング放電セルPS1〜PSn−1内の壁電荷の再調整を行う。このプライミング放電セル初期化期間では、まずプライミング電極PR1〜PRn−1に電圧Vp1を印加してプライミング放電セルPS1〜PSn−1内部で放電を発生させ、プライミング放電セルPS1〜PSn−1内部のプライミング電極PR1〜PRn−1上部には負の壁電圧、データ電極D1〜Dm上部には正の壁電圧を蓄積する。
次に、プライミング電極PR1〜PRn−1に、データ電極D1〜Dmに対して放電開始電圧以下となる電圧Vp2から放電開始電圧を超える電圧Vp3に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。すると、プライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間で微弱な初期化放電が起こる。そして、プライミング電極PR1〜PRn−1上部の負の壁電圧およびデータ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は次の書込み期間におけるプライミング動作に適した値に調整される。なお、これらプライミング放電セルPS1〜PSn−1内部で発生した放電は主放電セルCp,1〜Cp,m内部の壁電圧には実質的な影響を与えない。
偶数ライン書込み期間では、走査電極SC1〜SCnおよびプライミング電極PR1〜PRn−1を一旦Vcに保持する。これは、奇数ライン書込み期間における動作と同様に書込みパルス電圧Vdの印加にともなって不要な放電を発生させないためである。そして、1行目のプライミング電極PR1および3行目のプライミング電極PR3に奇数ライン書込み期間と同様の負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS1とプライミング放電セルPS3とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、1行目の主放電セルC1,1〜C1,m、2行目の主放電セルC2,1〜C2,m、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR1、PR3上部には正の壁電圧が蓄積される。
次に、2行目の走査電極SC2に負の走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち2行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC2との交差部に対応する主放電セルC2,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC2,kの走査電極SC2上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU2上部に負電圧が蓄積されて、2行目の主放電セルC2,1〜C2,mにおける書込み動作が終了する。ここで、主放電セルC2,kの書込み放電は、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに2行目の主放電セルC2,1〜C2,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,mへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR1、PR3にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と2行目の走査電極SC2に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、2行目の主放電セルC2,1〜C2,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
次に、4行目の走査電極SC4に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち4行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC4との交差部に対応する主放電セルC4,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC4,kの走査電極SC4上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU4上部に負電圧が蓄積されて、4行目の主放電セルC4,1〜C4,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC4,kの書込み放電も、プライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
次に、6行目の走査電極SC6への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、5行目のプライミング電極PR5および7行目のプライミング電極PR7に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR7とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS5とプライミング放電セルPS7とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、5行目の主放電セルC5,1〜C5,m、6行目の主放電セルC6,1〜C6,m、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR5、PR7上部には正の壁電圧が蓄積される。
そして、上述と同様に6行目の走査電極SC6に負の走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち6行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC6,kで書込み放電を発生させる。この書込み放電により主放電セルC6,kの走査電極SC6上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU6上部に負電圧が蓄積されて、6行目の主放電セルC6,1〜C6,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC6,kの書込み放電も、上述と同様にプライミング電極PR6とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに6行目の主放電セルC6,1〜C6,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,mへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と6行目の走査電極SC6に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、6行目の主放電セルC6,1〜C6,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
引き続き、8行目の走査電極SC8に走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち8行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC8,kで書込み放電を発生させ、8行目の主放電セルC8,1〜C8,mにおける書込み動作が終了する。
次に、10行目の走査電極SC10への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、9行目のプライミング電極PR9および11行目のプライミング電極PR11に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。以下、上述と同様の偶数行目の主放電セルへの書込み動作と次のプライミング放電の発生の繰り返しを全ての偶数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。
このように、本発明の実施の形態1では、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2にプライミング放電を発生させ、プライミング放電セルPSp、PSp+2に隣接する偶数行目の主放電セルCp+1,k、Cp+3,kに順次書込み放電を発生させるとともに、p+4行目の走査電極SCp+4への書込みパルス電圧Vaの印加に先駆けてプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpの印加という動作の繰り返しを全ての偶数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。なお、このときのそれぞれの主放電セルCi,jの書込み放電は、隣接するプライミング放電セルからプライミングが供給された後に発生するので、放電遅れの小さい安定した放電となる。このように、本発明の実施の形態1においては、まず奇数行目の主放電セルへの書込み動作を行った後偶数行目の主放電セルへの書込み動作を行うことで、全ての主放電セルへの書込み動作を行う構成としている。
なお、本発明の実施の形態1においては、プライミングパルス電圧Vpと走査パルス電圧Vaとは互いに等しい電圧値であってもかまわない。また、プライミングパルス幅と走査パルス幅とを互いに等しくし、p+2行目の走査電極SCp+2への書込みパルス電圧Vaの印加と同時にプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpを印加する構成であってもかまわない。
続く維持期間においては、走査電極SC1〜SCn、プライミング電極PR1〜PRn−1および維持電極SU1〜SUnを0(V)に一旦戻す。その後、走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加する。このとき、書込み放電を起こした主放電セルCi,jにおける走査電極SCi上部と維持電極SUi上部との間の電圧は、維持パルス電圧Vsに加えて、書込み期間において走査電極SCi上部および維持電極SUi上部に蓄積された壁電圧が加算されるので、放電開始電圧を超え維持放電が発生する。以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに維持パルス電圧を交互に印加することにより、書込み放電を起こした主放電セルCi,jに対して維持パルスの回数だけ維持放電が継続して行われる。
続くサブフィールドの初期化期間(図示せず)では、維持電極SU1〜SUnを正電圧Veに保ち、走査電極SC1〜SCnとプライミング電極PR1〜PRn−1には電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。すると、維持放電を行った主放電セルCi,kの走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部および維持電極SU1〜SUn上部の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整され、プライミング電極PR1〜PRn−1上部の正の壁電圧もプライミング動作に適した値に調整される。
なお、この後に続く奇数ライン書込み期間、プライミング放電セル初期化期間、偶数ライン書込み期間、維持期間、および続くサブフィールドの駆動波形とPDP10の動作は上述と同様である。
なお、初期化期間、維持期間においてはプライミング電極PR1〜PRn−1に走査電極SC1〜SCnとほぼ同様の駆動波形電圧を印加しているが、これは、走査電極SCp、SCp+1とプライミング電極PRpとの距離が近いため、これらの電極間で不要な放電を発生させないためである。また、書込み期間および維持期間の最初のパルス電圧印加時にプライミング放電セル内部で画像表示に関係しない放電が発生する場合があるが、プライミング放電セルには光吸収層28が設けてあるので、このときに発生する発光がPDP10外部に漏れる可能性は非常に低く、たとえ漏れたとしてもそれが画像に与える影響は実質的に無視することができる。そして、書込み期間において、それぞれの主放電セルCi,jの書込み放電は、隣接するプライミング放電セルからプライミングが供給された後に発生するので、放電遅れの小さい安定した放電となる。
また、走査電極SC3に走査パルス電圧Vaを印加している時間とプライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している時間、走査電極SC7に走査パルス電圧Vaを印加している時間とプライミング電極PR9、PR11にプライミングパルス電圧Vpを印加している時間等、走査パルス電圧Vaを印加している時間とプライミングパルス電圧Vpを印加している時間とに重なりを設けているので、1行目と3行目のプライミング放電を除いて、プライミング放電のための時間を新たに設ける必要はない。これにより、パネルの駆動時間を延ばすことなくプライミング放電を発生させることが可能となる。
このように、本発明の実施の形態1では、2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2でプライミング放電を同時に発生させ、それぞれのプライミング放電セルに隣接する4つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにプライミングを供給し、まず奇数行目の主放電セルの書込み動作(主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+2,1〜Cp+2,mにおける書込み動作)を順次行う。その後、続く2つのプライミング放電セルPSp+4、PSp+6におけるプライミング放電の同時発生とそのプライミング放電セルに隣接した奇数行目の主放電セルにおける順次の書込み動作という同様の動作の繰り返しを、全ての奇数行目の主放電セルにおける書込み動作が終了するまで行う。そして、奇数行目の主放電セルの書込み動作の終了後に一旦プライミング放電セルPS1〜PSn−1の初期化をして、再度2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2においてプライミング放電を発生させ、今度はそのプライミング放電セルに隣接した偶数行目の主放電セルにおける書込み動作(主放電セルCp+1,1〜Cp+1,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにおける書込み動作)を順次行う。そして、続く2つのプライミング放電セルPSp+4、PSp+6におけるプライミング放電の同時発生とそのプライミング放電セルに隣接した偶数行目の主放電セルにおける連続した書込み動作という同様の動作の繰り返しを、全ての偶数行目の主放電セルにおける書込み動作が終了するまで行う。
本発明の実施の形態1においてこのような駆動を行うのは以下のような理由による。プライミング放電によって主放電セル内に供給されたプライミングは時間の経過とともに急速に失われていく。そこで、本発明者は、1回のプライミング放電によって主放電セル内に供給されたプライミングの残留期間、すなわち、放電遅れが小さく安定した書込み放電を発生させるために十分な量のプライミングが残留している期間がどれ位なのかを確認する実験を行った。この実験の結果、少なくとも書込みパルス2回分に相当する期間は十分な量のプライミングが主放電セル内に残留していることがわかった。
一方、1つのプライミング電極駆動IC107を用いて複数のプライミング電極29を駆動させるような構成にすることができれば、プライミング電極駆動IC107の総数を削減することができる。
そこで、本発明の実施の形態1では、主放電セル内に供給されたプライミングが少なくとも書込みパルス2回分に相当する期間は十分に残留しているという実験結果に基づき、2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2を1つのプライミング電極駆動IC107で駆動させることができる上述のような駆動方法とした。これにより、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく放電遅れの小さい安定した書込み放電を発生させることができ、さらにプライミング電極駆動IC107の数をプライミング電極29の総数の半分に削減することができる。
なお、実施の形態1において図6を用いて説明した駆動方法では、まず奇数行目の主放電セルの書込み動作を行い、その後偶数行目の主放電セルの書込み動作を行う構成を説明したが、先に偶数行目の主放電セルの書込み動作を行い、その後奇数行目の主放電セルの書込み動作を行う構成としても同様の効果を得ることができる。
また、この駆動方法は、主放電セル内に供給されたプライミングが少なくとも書込みパルス2回分に相当する期間十分に残留している場合の例として示したものであるが、例えば、少なくとも書込みパルス4回分に相当する期間プライミングが主放電セル内に十分に残留しているような場合には、次のような駆動方法とすることもできる。
図7は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の駆動方法の他の例を示した駆動波形図である。なお、図7に示す駆動波形図では、1フィールド期間を構成する複数のサブフィールドがそれぞれ初期化期間、書込み期間、維持期間を有しているが、図6に示した駆動波形図のように、書込み期間は奇数ライン書込み期間と偶数ライン書込み期間とに分かれてはおらず、また、プライミング放電セル初期化期間も備えていない。しかし、1フィールドを構成する複数のサブフィールドのうち最初のサブフィールドの初期化期間では画像表示にかかわる全ての主放電セル40で初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、2番目以降のサブフィールドではその直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った主放電セル40に対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うことや、初期化期間および維持期間における駆動波形は図6を用いての説明と同様であるので、ここでは、書込み期間における説明のみを行う。なお、書込み期間における走査パルス幅と走査パルス電圧Vaおよびプライミングパルス幅とプライミングパルス電圧Vpも図6を用いての説明と同様である。
図7に示すように、書込み期間では、走査電極SC1〜SCnおよびプライミング電極PR1〜PRn−1を一旦Vcに保持する。そして、1行目のプライミング電極PR1および3行目のプライミング電極PR3に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS1とプライミング放電セルPS3とでプライミング放電が発生する。
そして、このプライミング放電により、1行目の主放電セルC1,1〜C1,m、2行目の主放電セルC2,1〜C2,m、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR1、PR3上部には正の壁電圧が蓄積される。
次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち1行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dk(Dkはデータ電極D1〜Dmのうち映像信号に基づき選択されるデータ電極を表す)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC1との交差部に対応する主放電セルC1,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC1,kの走査電極SC1上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上部に負電圧が蓄積されて、1行目の主放電セルC1,1〜C1,mにおける書込み動作が終了する。
次に、2行目の走査電極SC2に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち2行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC2との交差部に対応する主放電セルC2,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC2,kの走査電極SC2上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU2上部に負電圧が蓄積されて、2行目の主放電セルC2,1〜C2,mにおける書込み動作が終了する。
次に、3行目の走査電極SC3に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち3行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC3との交差部に対応する主放電セルC3,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC3,kの走査電極SC3上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU3上部に負電圧が蓄積されて、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mにおける書込み動作が終了する。
次に、4行目の走査電極SC4に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち4行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC4との交差部に対応する主放電セルC4,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC4,kの走査電極SC4上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU4上部に負電圧が蓄積されて、4行目の主放電セルC4,1〜C4,mにおける書込み動作が終了する。
ここでの主放電セルC1,k〜C4,kの書込み放電も、プライミング電極PR1〜PR4とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので、上述の説明と同様に放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、5行目の走査電極SC5への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、5行目のプライミング電極PR5および7行目のプライミング電極PR7に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR7とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS5とプライミング放電セルPS7とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、5行目の主放電セルC5,1〜C5,m、6行目の主放電セルC6,1〜C6,m、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR5、PR7上部には正の壁電圧が蓄積される。なお、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに5行目以降の主放電セルへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と5行目の走査電極SC5に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、5行目の主放電セルC5,1〜C5,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
続いて、5行目の走査電極SC5、6行目の走査電極SC6、7行目の走査電極SC7、8行目の走査電極SC8に負の走査パルス電圧Vaを順次印加し、それぞれ走査パルス電圧Vaの印加と同時に、データ電極D1〜Dmのうち5行目〜8行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC5,k〜C8,kで書込み放電を発生させる。この書込み放電により主放電セルC5,k〜C8,kの走査電極SC5〜SC8上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU5〜SU8上部に負電圧が蓄積されて、5行目〜8行目の主放電セルC5,1〜C5,m、C6,1〜C6,m、C7,1〜C7,m、C8,1〜C8,mにおける書込み動作が順次終了する。
また、9行目の走査電極SC9への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、9行目のプライミング電極PR9および11行目のプライミング電極PR11に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加し、以下、上述と同様の書込み動作を繰り返す。
このように、図7に示した駆動方法では、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加して2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2でプライミング放電を同時に発生させて、それぞれのプライミング放電セルに隣接する4つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにプライミングを供給する。そして、プライミングが供給された主放電セルにおいて書込み動作(主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにおける書込み動作)を順次行う。また、p+4行目の走査電極SCp+4への書込みパルス電圧Vaの印加に先駆けてプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpの印加を行いプライミング放電セルPSp+4、PSp+6でプライミング放電を発生させる。そしてこれらプライミング放電の発生とそのプライミング放電セルに隣接した主放電セルにおける順次の書込み動作という一連の動作の繰り返しを、全ての主放電セルにおける書込み動作が終了するまで行う。
なお、図7に示したPDP10の駆動方法は、少なくとも書込みパルス4回分に相当する期間プライミングが主放電セル内に十分に残留しているような場合でないと用いることができないが、1回の書込み期間でそれぞれのプライミング電極には1回だけしかプライミングパルス電圧を印加しなくてよいので、プライミング放電セル初期化期間が不要となり、その分サブフィールド期間を短縮することができる。また、1回の書込み期間で同一のプライミング電極に印加されるプライミングパルス電圧Vpの回数は1回でよいので、その分の消費電力を削減することができる。
なお、実施の形態1では、最初のサブフィールドの初期化期間は全ての主放電セルで初期化放電を行う全セル初期化動作を行い、次のサブフィールド以降の初期化期間は維持放電を行った主放電セルを選択的に初期化する選択初期化動作を行うものとして動作説明をしたが、これらの初期化動作は任意に組み合わせてもよい。
また、実施の形態1においては、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加した後、続く2つのプライミング電極PRp+4、PRp+6に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加する構成を説明したが、何らこの構成に限定されるものではなく、例えばプライミング電極PRp、PRp+2にプライミングパルス電圧Vpを印加した後、プライミング電極PRp、PRp+2から離れた位置に配置された2つのプライミング電極PRp+2n、PRp+2(n+1)(nは、1回の書込み期間内で同一のプライミング電極にプライミングパルス電圧が重複して印加されないように選ばれる整数)にプライミングパルス電圧Vpを印加する構成であってもよい。
また、実施の形態1においては、隣り合うプライミング電極PRp−プライミング電極PRp+2が接続部38によって互いに電気的に接続された構成を図4に示して説明したが、何らこの構成に限定されるものではなく、1つのプライミング電極駆動IC107が複数のプライミング電極を駆動できる構成であればよい。
図8は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の他の例におけるプライミング電極29とプライミング電極駆動回路106との接続の様子を示す平面図である。例えば、図8に示すように隣り合うプライミング電極PRp−プライミング電極PRp+2が接続部38によって互いに電気的に接続されていなくとも、1つのプライミング電極駆動IC107と複数のプライミング電極29とが導電線108によって電気的に接続されていれば上述と同様の駆動を行うことができる。
なお、実施の形態1においては、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加する構成を説明したが、何らこの構成に限定するものではなく、書込みパルスのパルス幅を比較的狭くできる、あるいは主放電セルに供給されたプライミングの残留時間を比較的長くすることができる等の理由でプライミングの残留時間内により多くの書込み動作を行うことができる場合には、1つのプライミング電極駆動IC107から3つ、あるいはそれ以上のプライミング電極に同時にプライミングパルス電圧を印加する構成としてもよい。書込みパルス3回分に相当する期間主放電セル内に十分な量のプライミングが残留しているのであれば、例えば次のような書込み動作を行わせることもできる。
すなわち、まず3つのプライミング電極PRp、PRp+2、PRp+4に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に同時にプライミング放電を発生させる。次にプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に隣接する主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+4,1〜Cp+4,m、Cp+5,1〜Cp+5,mのうちの奇数行目の3つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+4,1〜Cp+4,mに順次書込み放電を発生させる。そして、全ての奇数行目の主放電セルの書込み動作が終了した後にプライミング放電セルの初期化動作を行い、その後、再度3つのプライミング電極PRp、PRp+2、PRp+4に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に同時にプライミング放電を発生させる。そして今度は主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+4,1〜Cp+4,m、Cp+5,1〜Cp+5,mのうちの偶数行目の3つの主放電セルCp+1,1〜Cp+1,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+5,1〜Cp+5,mに順次書込み放電を発生させる。こうして全ての偶数行目の主放電セルの書込み動作が終了すれば全ての主放電セルでの書込み動作が完了する。
あるいは、書込みパルス6回分に相当する期間主放電セル内に十分な量のプライミングが残留しているのであれば、例えば次のような書込み動作を行わせることもできる。すなわち、3つのプライミング電極PRp、PRp+2、PRp+4に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に同時にプライミング放電を発生させる。次にプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に隣接する6つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+4,1〜Cp+4,m、Cp+5,1〜Cp+5,mに順次書込み放電を発生させる。そして、これらの駆動方法を行うことができれば、プライミング電極駆動IC107の総数をプライミング電極の総数の3分の1に削減することができる。1つのプライミング電極駆動ICが駆動するプライミング電極の数をさらに多くすることができれば、その分プライミング電極駆動ICの総数を削減することができる。
本発明は、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるので、壁掛けテレビや大型モニター等に用いられるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法として有用である。
本発明は、壁掛けテレビや大型モニター等に用いられるプラズマディスプレイパネルおよびプラズマディスプレイ装置ならびにプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」または「パネル」と略記する)は、大画面、薄型、軽量であることを特徴とする視認性に優れた表示デバイスである。
パネルとして代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁がそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線でRGB各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
パネルを駆動する方法としてはサブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般的である。ここで、各サブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
初期化期間では、全ての放電セルで一斉に初期化放電を行い、それ以前の個々の放電セルに対する壁電荷の履歴を消すとともに、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成する。加えて、放電遅れを小さくし書込み放電を安定して発生させるためのプライミング(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生させるという働きをもつ。書込み期間では、走査電極に順次走査パルス電圧を印加するとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルス電圧を印加し、走査電極とデータ電極との間で選択的に書込み放電を発生させ、選択的な壁電荷形成を行う。続く維持期間では、走査電極と維持電極との間に所定の回数の維持パルス電圧を印加し、書込み放電による壁電荷形成を行った放電セルを選択的に放電させ発光させる。
このように、画像信号に基づきPDPに画像を正しく表示させるためには、書込み期間における選択的な書込み放電を確実に行うことが重要である。しかし、回路構成上の制約から書込みパルス電圧に高い電圧が使えない、あるいはデータ電極上に形成された蛍光体層が放電を起こり難くしている、あるいは近年のPDPの大画面化に伴ない、データ電極の配線距離が延びて電極抵抗が増加している等、書込み放電に関しては放電遅れを大きくする要因が多い。したがって、書込み放電を安定して発生させるためのプライミングが非常に重要となる。
しかしながら、放電によって生じるプライミングは時間の経過とともに急速に減少する。そのため、上述したパネルの駆動方法において、初期化放電から長い時間が経過した書込み放電に対しては初期化放電で生じたプライミングが不足して放電遅れが大きくなり、書込み動作が不安定になって画像表示品質が低下する。あるいは、書込み動作を安定して行うために書込み時間を長く設定し、その結果、書込み期間に費やす時間が大きくなりすぎる。
そこで、プライミング電極を設けてプライミング放電を発生させ、それによって発生したプライミングにより放電遅れを小さくするPDPとその駆動方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら上述のPDPにおいては、隣接する放電セルが相互干渉を起こし易く、特に書込み期間において、隣接する放電セルの書込み放電の影響を受けて誤書込み、あるいは書込み不良を生じる恐れがあり、そのため書込み動作の駆動電圧マージンが狭くなる。さらにそれぞれの走査電極に対する書込み動作の直前にプライミング放電を発生させるため、それぞれのプライミング電極を独立に駆動する必要があり、そのためにプライミング電極数と同数のプライミング電極を駆動するための回路が必要となる。
特開平9−245627号公報
本発明は、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法を提供する。
本発明のPDPは、第1の基板上に平行に配置された、表示電極対を構成する走査電極および維持電極と、第1の基板上において、表示電極対のうち隣り合う表示電極対の間に表示電極対と平行に配置されたプライミング電極と、放電空間を挟んで第1の基板に対向配置された第2の基板上に、表示電極対と交差する方向に配置されたデータ電極と、表示電極対とデータ電極とが対向する位置に主放電セルを区画するとともに、プライミング電極とデータ電極とが対向する位置にプライミング放電セルを区画する隔壁とを備え、隣り合う少なくとも2つのプライミング電極が互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
この構成により、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイ装置は、第1の基板上に平行に配置された、表示電極対を構成する走査電極および維持電極と、第1の基板上において、表示電極対のうち隣り合う表示電極対の間に表示電極対と平行に配置されたプライミング電極と、放電空間を挟んで第1の基板に対向配置された第2の基板上に、表示電極対と交差する方向に配置されたデータ電極と、表示電極対とデータ電極とが対向する位置に主放電セルを区画するとともに、プライミング電極とデータ電極とが対向する位置にプライミング放電セルを区画する隔壁とを備えたPDPを有し、隣り合う少なくとも2つのプライミング電極に同時にプライミングパルス電圧が印加されることを特徴とする。
この構成により、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
また、本発明のPDPの駆動方法は、第1の基板上に平行に配置された、表示電極対を構成する走査電極および維持電極と、第1の基板上において、表示電極対のうち隣り合う表示電極対の間に表示電極対と平行に配置されたプライミング電極と、放電空間を挟んで第1の基板に対向配置された第2の基板上に、表示電極対と交差する方向に配置されたデータ電極と、表示電極対とデータ電極とが対向する位置に主放電セルを区画するとともに、プライミング電極とデータ電極とが対向する位置にプライミング放電セルを区画する隔壁とを備え、1フィールドを初期化期間、書込み期間、維持期間を有する複数のサブフィールドで構成されたPDPにおいて、書込み期間において、隣り合う少なくとも2つのプライミング電極に同時にプライミングパルス電圧を印加ステップと、主放電セルを間に挟んで隣り合う少なくとも2つのプライミング放電セルに同時にプライミング放電を発生させるステップとを有する。
この方法により、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるPDPの駆動方法を提供することができる。
また、プライミング放電を発生させた少なくとも2つのプライミング放電セルに隣接する少なくとも4つの主放電セルにおいて、まず奇数行目または偶数行目の主放電セルに順次書込み放電を発生させ、残る主放電セルには、プライミング放電を発生させた少なくとも2つのプライミング放電セルにおいて再度プライミング放電を発生させた後で順次書込み放電を発生させてもよい。この方法によれば、プライミング電極を駆動するための駆動回路を削減するとともに安定して書込み放電を発生させることができる。
また、プライミング放電を発生させた少なくとも2つのプライミング放電セルに隣接する少なくとも4つの主放電セルにおいて順次書込み放電を発生させてもよい。この方法によれば、プライミング電極を駆動するための駆動回路を削減するとともにさらに効率よく安定して書込み放電を発生させることができる。
以上のように、本発明によれば、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の構造を示す分解斜視図であり、図2は、同PDP10の断面図である。
図1、図2に示すように、PDP10では、第1の基板であるガラス製の前面基板21と第2の基板である背面基板31とが放電空間を挟んで対向配置され、放電空間には放電によって紫外線を放射するネオン(Ne)とキセノン(Xe)との混合ガスが封入されている。
前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対が互いに平行に複数対形成されている。本実施の形態1においては、例えば走査電極22−維持電極23の順で構成された表示電極対に隣接する表示電極対は維持電極23−走査電極22の順で構成されている。そして、隣接する表示電極対の間のうち、走査電極22が対向する側にはプライミング電極29が表示電極対と平行に構成されている。したがって、前面基板21上には、維持電極23−走査電極22−プライミング電極29−走査電極22−維持電極23−維持電極23−走査電極22−プライミング電極29−走査電極22−維持電極23−・・・となるように配列されている。
走査電極22と維持電極23は、それぞれ透明電極22a、23aとその透明電極22a、23a上に形成された金属母線22b、23bとから構成されている。走査電極22−走査電極22間、および維持電極23−維持電極23間には黒色材料からなる光吸収層28が設けられており、プライミング電極29は走査電極22−走査電極22間に設けられた光吸収層28上に金属母線を用いて構成されている。そして、これらの走査電極22、維持電極23、プライミング電極29および光吸収層28とを覆うように誘電体層24および保護層25が形成されている。
背面基板31上には、走査電極22と交差する方向にデータ電極32が互いに平行に複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成されている。そして表示電極対とデータ電極32とが対向する位置に主放電セル40を区画するとともに、プライミング電極29とデータ電極32とが対向する位置にプライミング放電セル41aを区画するように、誘電体層33の上に隔壁34が形成されている。
隔壁34は、データ電極32と平行な方向に延びる縦壁部34aと、主放電セル40を形成するとともに主放電セル40の間に隙間部41を形成する横壁部34bとで構成されている。その結果、隔壁34は走査電極22と維持電極23とからなる一対の表示電極対に沿って主放電セル40を複数連結した主放電セル行を形成し、隣接した主放電セル行の間に隙間部41を形成している。隙間部41のうち、2本の走査電極22が隣り合う側に位置する隙間部41の前面基板21上にはプライミング電極29が形成されており、この隙間部41はプライミング放電セル41aとして働く。また、2本の維持電極23が隣り合う側に位置する部分には隙間部41bが形成される。すなわち、隙間部41は、プライミング電極29を有するプライミング放電セル41aと隙間部41bとが交互に配列された構成となっている。
そして、これら隔壁34の頂部は前面基板21に当接するように平坦に形成されている。これは、隣接する主放電セル40の相互干渉を防ぐためであり、特に、書込み期間において、隣接する主放電セル40の放電の影響を受けて誤書込みを生じる等の誤動作を防ぐためである。さらには、プライミング放電によってプライミング放電セル41aに隣接する主放電セル40の壁電荷が減少し書込み不良を生じる等の誤動作を防ぐためである。
そして、隔壁34により区画された主放電セル40に対応する誘電体層33の表面と隔壁34の側面とには蛍光体層35が設けられている。
さらに本実施の形態1においては、プライミング放電セル41aにおける放電開始電圧を下げるために、AC型PDPの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料によってなるMgO粉末層39を塗布している。したがって、MgO粉末層39は、プライミング電極29とデータ電極32との間に電圧を印加した場合に、MgO粉末層39からプライミング放電セル41a内に効果的に2次電子を放出する機能を有している。この結果、本実施の形態1では、プライミング放電セル41aの長手方向に連続して形成されたMgO粉末層39からプライミング放電セル41a内に均一に2次電子を供給することができる。したがって、細長い形状を有するプライミング放電セル41aにおけるプライミング放電のばらつきを抑制し、各主放電セル40に対して均一なプライミング放電を発生させることができる。また、プライミング放電の発生を促進し、プライミング放電に印加すべき電圧を低減することができる。
なお、放電開始電圧を下げることができれば、MgO粉末以外の物質、例えば、導電性物質、あるいは2次電子放出係数の大きい金属酸化物等をMgO粉末層39に代えて塗布してもよい。2次電子放出係数の大なる材料としては、アルカリ金属の酸化物(例えば、Cs2O等)、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等)、希土類酸化物(例えば、Y2O3、La2O3、CeO2、Er2O3、Lu2O3等)、または弗化物(例えば、LiF、CaF2、MgF2等)の少なくともいずれかを含む材料の使用が考えられる。
あるいは、放電開始電圧を下げることができれば、必ずしもプライミング放電セル41aにMgO粉末層39を設ける必要はなく、プライミング放電セル41aのプライミング電極29−データ電極32間の放電距離を短くした構造として放電開始電圧を下げる構成としてもよい。
なお、ここではデータ電極32を覆うように誘電体層33を形成した構成を説明したが、誘電体層33を形成しない構成としてもよい。また、図1、図2では隙間部41側に蛍光体層35を形成していないが、蛍光体層35を形成する構成としてもよい。また、図1、図2ではプライミング放電セル41aにMgO粉末層39を形成し隙間部41bにはMgO粉末層39を形成しない構成を説明したが、隙間部41bにもMgO粉末層39を形成する構成としてもよい。
図3は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の電極配列図であり、図4は、本発明の実施の形態1におけるPDP10のプライミング電極29とプライミング電極駆動回路との接続の様子を示す平面図である。
図3に示すように、PDP10には、列方向にm列のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列され、行方向にn行の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)とn行の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)とn/2行のプライミング電極PR1〜PRn−1(図1のプライミング電極29)とが維持電極SU1−走査電極SC1−プライミング電極PR1−走査電極SC2−維持電極SU2−維持電極SU3−走査電極SC3−プライミング電極PR3−走査電極SC4−維持電極SU4−・・・となるように配列されている。そして、一対の走査電極SCi、維持電極SUi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とを含む主放電セルCi,j(図1の主放電セル40)が放電空間内にm×n個形成されている。また、プライミング電極PRp(pは奇数)とデータ電極D1〜Dmとを含むプライミング放電セルPSp(図1のプライミング放電セル41a)が放電空間内にn/2個形成されている。そして、書込み期間においてこのプライミング放電セルPSpで発生したプライミングは、プライミング放電セルPSpに隣接する主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,mに供給される。
また、図4に示すように、プライミング電極駆動回路106は複数のプライミング電極駆動IC107を有しており、プライミング電極駆動IC107とプライミング電極29とが導電線108によって電気的に接続され、プライミング電極駆動IC107から出力されるプライミングパルス電圧が導電線108を介してプライミング電極29に印加される。そして、本実施の形態1においては、プライミング電極PR1−プライミング電極PR3、プライミング電極PR5−プライミング電極PR7、というように隣り合うプライミング電極PRp−プライミング電極PRp+2が接続部38によって互いに電気的に接続された構成となっている。したがって、1つのプライミング電極駆動IC107と2つのプライミング電極PRp、PRp+2とを電気的に接続することができ、1つのプライミング電極駆動IC107から2つのプライミング電極PRp、PRp+2にプライミングパルス電圧を同時に印加することができるように構成されている。これにより、主放電セル40−隙間部41b−主放電セル40を間に挟んで隣り合う2つのプライミング放電セル41aに同時にプライミング放電を発生させることができる。
図5は、本発明の実施の形態1におけるPDP10を用いたプラズマディスプレイ装置の構成の一例を示すブロック図である。プラズマディスプレイ装置100は、入力される画像信号および同期信号に基づいてサブフィールド信号を作成する画像信号処理回路101、データ電極32の駆動を行うデータ電極駆動回路102、走査電極22の駆動を行う走査電極駆動回路104、維持電極23の駆動を行う維持電極駆動回路105、プライミング電極29の駆動を行うプライミング電極駆動回路106および入力される同期信号に基づいて各駆動回路を制御するためのタイミング制御信号を作成するタイミング制御回路103を有している。
画像信号処理回路101は、入力される画像信号および同期信号に基づいて各画素の各サブフィールドにおける点灯・非点灯を制御するサブフィールド信号を作成し、データ電極駆動回路102に出力する。タイミング制御回路103は、入力される同期信号に基づいて、データ電極駆動回路102、走査電極駆動回路104、維持電極駆動回路105、プライミング電極駆動回路106にタイミング制御信号を出力する。
データ電極駆動回路102は、入力されるサブフィールド信号およびタイミング制御信号に基づきPDP10のデータ電極32(図3のデータ電極D1〜Dm)に所定の駆動波形電圧を印加する。走査電極駆動回路104は、入力されるタイミング制御信号に基づきPDP10の走査電極22(図3の走査電極SC1〜SCn)に所定の駆動波形電圧を印加する。維持電極駆動回路105は、入力されるタイミング制御信号に基づきPDP10の維持電極23(図3の維持電極SU1〜SUn)に所定の駆動波形電圧を印加する。
プライミング電極駆動回路106は、プライミング電極29の総数の2分の1の数のプライミング電極駆動IC107を備えている。そして、1つのプライミング電極駆動IC107に2つのプライミング電極29が電気的に接続され、1つのプライミング電極駆動IC107が2つのプライミング電極29を同時に駆動することができる。そして、プライミング電極駆動回路106は、入力されるタイミング制御信号に基づきPDP10のプライミング電極29(図3のプライミング電極PR1〜PRn−1)に所定の駆動波形電圧を印加する。また、データ電極駆動回路102、走査電極駆動回路104、維持電極駆動回路105、プライミング電極駆動回路106にはそれぞれ電源回路(図示せず)から必要な電力が供給されている。
次に、本発明の実施の形態1におけるPDP10を駆動するための駆動波形とそのタイミングについて、PDP10の動作とともに説明する。図6は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の駆動波形図である。なお、1フィールド期間は複数のサブフィールドから構成され、それぞれのサブフィールドは、初期化期間、奇数ライン書込み期間、プライミング放電セル初期化期間(図面中には「初期化期間(プライミング)」と記す)、偶数ライン書込み期間、維持期間を有する。また、本発明の実施の形態1においては、1フィールドを構成する複数のサブフィールドのうち最初のサブフィールドの初期化期間では画像表示にかかわる全ての主放電セル40で初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、2番目以降のサブフィールドではその直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った主放電セル40に対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うものとする。また、全セル初期化期間を便宜上2つに分けて前半部、後半部と呼ぶことにする。
図6に示すように、1フィールドを構成する最初のサブフィールドの初期化期間前半部では、まず、データ電極D1〜Dm、維持電極SU1〜SUnをそれぞれ0(V)に保持し、走査電極SC1〜SCnには電圧Vi1から、維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmに対して放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。また、プライミング電極PR1〜PRn−1にも走査電極SC1〜SCnと同様の傾斜波形電圧を印加する。すると、主放電セルCi,j内部では、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、走査電極SC1〜SCnとデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こり、プライミング放電セル41a内部では、プライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部およびプライミング電極PR1〜PRn−1上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上部および維持電極SU1〜SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上部の壁電圧とは電極を覆う保護層25や蛍光体層35上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnを正電圧Veに保ち、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。また、プライミング電極PR1〜PRn−1にも走査電極SC1〜SCnと同様の傾斜波形電圧を印加する。すると、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、走査電極SC1〜SCnとデータ電極D1〜Dm、プライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は次の書込み動作に適した値に調整され、プライミング電極PR1〜PRn−1上部の壁電圧もプライミング動作に適した値に調整される。以上により画像表示にかかわる全放電セルを初期化放電させる全セル初期化動作が終了する。
続く奇数ライン書込み期間では、走査電極SC1〜SCnおよびプライミング電極PR1〜PRn−1を一旦Vcに保持する。これは、後述する書込みパルス電圧Vdの印加にともなって不要な放電を発生させないためである。そして、1行目のプライミング電極PR1および3行目のプライミング電極PR3に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS1とプライミング放電セルPS3とでプライミング放電が発生する。
このとき、本構成ではプライミング放電セル内に2次電子放出係数の高いMgO粉末層39を形成しているので、安定した放電を低電圧で発生させることができるようになり、その結果、放電開始電圧のばらつきが低減され、動作マージンを大きくすることができる。また、放電を低電圧で発生させることができるので放電の強度を小さくすることができ、プライミング放電セル41aにおける放電の他への影響、例えばクロストーク等を抑制することができる。また、従来と同じ放電電圧とする場合は、従来よりも放電の動作マージンを大きくすることができる。印加電圧を調整することにより、クロストークの抑制効果と動作マージン増大の効果を併用することもできる。このことにより、高精細度のPDPにおいても、書込み特性をより安定化させることができる。
そして、このプライミング放電により、1行目の主放電セルC1,1〜C1,m、2行目の主放電セルC2,1〜C2,m、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR1、PR3上部には正の壁電圧が蓄積される。
次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち1行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dk(Dkはデータ電極D1〜Dmのうち映像信号に基づき選択されるデータ電極を表す)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC1との交差部に対応する主放電セルC1,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC1,kの走査電極SC1上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上部に負電圧が蓄積されて、1行目の主放電セルC1,1〜C1,mにおける書込み動作が終了する。ここで、主放電セルC1,kの書込み放電は、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
なお、本発明の実施の形態1においては、プライミング電極PR1、PR3にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と1行目の走査電極SC1に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間があるが、これは、プライミング放電の発生後、できるだけ速やかに1行目の主放電セルC1,1〜C1,mおよび3行目の主放電セルC3,1〜C3,mへの書込み動作を行うためである。また、1行目の主放電セルC1,1〜C1,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。また、本実施の形態1においては、プライミングパルス幅を書込みパルス幅の2乃至3倍に設定している。また、本実施の形態1では、電極PR1〜PRn−1を駆動するプライミング電極駆動回路106を他の駆動回路と独立して設けているので、プライミングパルス電圧の印加のタイミングやプライミングパルス幅等を任意に設定し、上述したような駆動を実現することができる。
次に、3行目の走査電極SC3に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち3行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC3との交差部に対応する主放電セルC3,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC3,kの走査電極SC3上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU3上部に負電圧が蓄積されて、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC3,kの書込み放電も、プライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
次に、5行目の走査電極SC5への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、5行目のプライミング電極PR5および7行目のプライミング電極PR7に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR7とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS5とプライミング放電セルPS7とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、5行目の主放電セルC5,1〜C5,m、6行目の主放電セルC6,1〜C6,m、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR5、PR7上部には正の壁電圧が蓄積される。
そして、上述と同様に5行目の走査電極SC5に負の走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち5行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC5,kで書込み放電を発生させる。この書込み放電により主放電セルC5,kの走査電極SC5上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU5上部に負電圧が蓄積されて、5行目の主放電セルC5,1〜C5,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC5,kの書込み放電も、上述と同様にプライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに5行目の主放電セルC5,1〜C5,mおよび7行目の主放電セルC7,1〜C7,mへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と5行目の走査電極SC5に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、5行目の主放電セルC5,1〜C5,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
引き続き、7行目の走査電極SC7に走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち7行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC7,kで書込み放電を発生させ、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mにおける書込み動作が終了する。
次に、9行目の走査電極SC9への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、9行目のプライミング電極PR9および11行目のプライミング電極PR11に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。以下、上述と同様の奇数行目の主放電セルへの書込み動作と次のプライミング放電の発生の繰り返しを全ての奇数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。
このように、本発明の実施の形態1では、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2にプライミング放電を発生させ、プライミング放電セルPSp、PSp+2に隣接する奇数行目の主放電セルCp,k、Cp+2,kに順次書込み放電を発生させるとともに、p+4行目の走査電極SCp+4への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けてプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpの印加という動作の繰り返しを全ての奇数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。なお、このときのそれぞれの主放電セルCi,jの書込み放電は、隣接するプライミング放電セルからプライミングが供給された後に発生するので、放電遅れの小さい安定した放電となる。
奇数ライン書込み期間の終了後は、続く偶数ラインへの書込み動作を行う前にプライミング放電セル初期化動作を行い、プライミング放電セルPS1〜PSn−1内の壁電荷の再調整を行う。このプライミング放電セル初期化期間では、まずプライミング電極PR1〜PRn−1に電圧Vp1を印加してプライミング放電セルPS1〜PSn−1内部で放電を発生させ、プライミング放電セルPS1〜PSn−1内部のプライミング電極PR1〜PRn−1上部には負の壁電圧、データ電極D1〜Dm上部には正の壁電圧を蓄積する。
次に、プライミング電極PR1〜PRn−1に、データ電極D1〜Dmに対して放電開始電圧以下となる電圧Vp2から放電開始電圧を超える電圧Vp3に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。すると、プライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間で微弱な初期化放電が起こる。そして、プライミング電極PR1〜PRn−1上部の負の壁電圧およびデータ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は次の書込み期間におけるプライミング動作に適した値に調整される。なお、これらプライミング放電セルPS1〜PSn−1内部で発生した放電は主放電セルCp,1〜Cp,m内部の壁電圧には実質的な影響を与えない。
偶数ライン書込み期間では、走査電極SC1〜SCnおよびプライミング電極PR1〜PRn−1を一旦Vcに保持する。これは、奇数ライン書込み期間における動作と同様に書込みパルス電圧Vdの印加にともなって不要な放電を発生させないためである。そして、1行目のプライミング電極PR1および3行目のプライミング電極PR3に奇数ライン書込み期間と同様の負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS1とプライミング放電セルPS3とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、1行目の主放電セルC1,1〜C1,m、2行目の主放電セルC2,1〜C2,m、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR1、PR3上部には正の壁電圧が蓄積される。
次に、2行目の走査電極SC2に負の走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち2行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC2との交差部に対応する主放電セルC2,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC2,kの走査電極SC2上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU2上部に負電圧が蓄積されて、2行目の主放電セルC2,1〜C2,mにおける書込み動作が終了する。ここで、主放電セルC2,kの書込み放電は、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに2行目の主放電セルC2,1〜C2,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,mへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR1、PR3にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と2行目の走査電極SC2に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、2行目の主放電セルC2,1〜C2,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
次に、4行目の走査電極SC4に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち4行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC4との交差部に対応する主放電セルC4,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC4,kの走査電極SC4上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU4上部に負電圧が蓄積されて、4行目の主放電セルC4,1〜C4,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC4,kの書込み放電も、プライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
次に、6行目の走査電極SC6への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、5行目のプライミング電極PR5および7行目のプライミング電極PR7に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR7とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS5とプライミング放電セルPS7とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、5行目の主放電セルC5,1〜C5,m、6行目の主放電セルC6,1〜C6,m、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR5、PR7上部には正の壁電圧が蓄積される。
そして、上述と同様に6行目の走査電極SC6に負の走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち6行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC6,kで書込み放電を発生させる。この書込み放電により主放電セルC6,kの走査電極SC6上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU6上部に負電圧が蓄積されて、6行目の主放電セルC6,1〜C6,mにおける書込み動作が終了する。ここでの、主放電セルC6,kの書込み放電も、上述と同様にプライミング電極PR6とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに6行目の主放電セルC6,1〜C6,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,mへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と6行目の走査電極SC6に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、6行目の主放電セルC6,1〜C6,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
引き続き、8行目の走査電極SC8に走査パルス電圧Vaを印加し、同時にデータ電極D1〜Dmのうち8行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC8,kで書込み放電を発生させ、8行目の主放電セルC8,1〜C8,mにおける書込み動作が終了する。
次に、10行目の走査電極SC10への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、9行目のプライミング電極PR9および11行目のプライミング電極PR11に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。以下、上述と同様の偶数行目の主放電セルへの書込み動作と次のプライミング放電の発生の繰り返しを全ての偶数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。
このように、本発明の実施の形態1では、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2にプライミング放電を発生させ、プライミング放電セルPSp、PSp+2に隣接する偶数行目の主放電セルCp+1,k、Cp+3,kに順次書込み放電を発生させるとともに、p+4行目の走査電極SCp+4への書込みパルス電圧Vaの印加に先駆けてプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpの印加という動作の繰り返しを全ての偶数行目の主放電セルへの書込み動作が終了するまで行う。なお、このときのそれぞれの主放電セルCi,jの書込み放電は、隣接するプライミング放電セルからプライミングが供給された後に発生するので、放電遅れの小さい安定した放電となる。このように、本発明の実施の形態1においては、まず奇数行目の主放電セルへの書込み動作を行った後偶数行目の主放電セルへの書込み動作を行うことで、全ての主放電セルへの書込み動作を行う構成としている。
なお、本発明の実施の形態1においては、プライミングパルス電圧Vpと走査パルス電圧Vaとは互いに等しい電圧値であってもかまわない。また、プライミングパルス幅と走査パルス幅とを互いに等しくし、p+2行目の走査電極SCp+2への書込みパルス電圧Vaの印加と同時にプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpを印加する構成であってもかまわない。
続く維持期間においては、走査電極SC1〜SCn、プライミング電極PR1〜PRn−1および維持電極SU1〜SUnを0(V)に一旦戻す。その後、走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加する。このとき、書込み放電を起こした主放電セルCi,jにおける走査電極SCi上部と維持電極SUi上部との間の電圧は、維持パルス電圧Vsに加えて、書込み期間において走査電極SCi上部および維持電極SUi上部に蓄積された壁電圧が加算されるので、放電開始電圧を超え維持放電が発生する。以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに維持パルス電圧を交互に印加することにより、書込み放電を起こした主放電セルCi,jに対して維持パルスの回数だけ維持放電が継続して行われる。
続くサブフィールドの初期化期間(図示せず)では、維持電極SU1〜SUnを正電圧Veに保ち、走査電極SC1〜SCnとプライミング電極PR1〜PRn−1には電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。すると、維持放電を行った主放電セルCi,kの走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR1〜PRn−1とデータ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部および維持電極SU1〜SUn上部の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整され、プライミング電極PR1〜PRn−1上部の正の壁電圧もプライミング動作に適した値に調整される。
なお、この後に続く奇数ライン書込み期間、プライミング放電セル初期化期間、偶数ライン書込み期間、維持期間、および続くサブフィールドの駆動波形とPDP10の動作は上述と同様である。
なお、初期化期間、維持期間においてはプライミング電極PR1〜PRn−1に走査電極SC1〜SCnとほぼ同様の駆動波形電圧を印加しているが、これは、走査電極SCp、SCp+1とプライミング電極PRpとの距離が近いため、これらの電極間で不要な放電を発生させないためである。また、書込み期間および維持期間の最初のパルス電圧印加時にプライミング放電セル内部で画像表示に関係しない放電が発生する場合があるが、プライミング放電セルには光吸収層28が設けてあるので、このときに発生する発光がPDP10外部に漏れる可能性は非常に低く、たとえ漏れたとしてもそれが画像に与える影響は実質的に無視することができる。そして、書込み期間において、それぞれの主放電セルCi,jの書込み放電は、隣接するプライミング放電セルからプライミングが供給された後に発生するので、放電遅れの小さい安定した放電となる。
また、走査電極SC3に走査パルス電圧Vaを印加している時間とプライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している時間、走査電極SC7に走査パルス電圧Vaを印加している時間とプライミング電極PR9、PR11にプライミングパルス電圧Vpを印加している時間等、走査パルス電圧Vaを印加している時間とプライミングパルス電圧Vpを印加している時間とに重なりを設けているので、1行目と3行目のプライミング放電を除いて、プライミング放電のための時間を新たに設ける必要はない。これにより、パネルの駆動時間を延ばすことなくプライミング放電を発生させることが可能となる。
このように、本発明の実施の形態1では、2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2でプライミング放電を同時に発生させ、それぞれのプライミング放電セルに隣接する4つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにプライミングを供給し、まず奇数行目の主放電セルの書込み動作(主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+2,1〜Cp+2,mにおける書込み動作)を順次行う。その後、続く2つのプライミング放電セルPSp+4、PSp+6におけるプライミング放電の同時発生とそのプライミング放電セルに隣接した奇数行目の主放電セルにおける順次の書込み動作という同様の動作の繰り返しを、全ての奇数行目の主放電セルにおける書込み動作が終了するまで行う。そして、奇数行目の主放電セルの書込み動作の終了後に一旦プライミング放電セルPS1〜PSn−1の初期化をして、再度2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2においてプライミング放電を発生させ、今度はそのプライミング放電セルに隣接した偶数行目の主放電セルにおける書込み動作(主放電セルCp+1,1〜Cp+1,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにおける書込み動作)を順次行う。そして、続く2つのプライミング放電セルPSp+4、PSp+6におけるプライミング放電の同時発生とそのプライミング放電セルに隣接した偶数行目の主放電セルにおける連続した書込み動作という同様の動作の繰り返しを、全ての偶数行目の主放電セルにおける書込み動作が終了するまで行う。
本発明の実施の形態1においてこのような駆動を行うのは以下のような理由による。プライミング放電によって主放電セル内に供給されたプライミングは時間の経過とともに急速に失われていく。そこで、本発明者は、1回のプライミング放電によって主放電セル内に供給されたプライミングの残留期間、すなわち、放電遅れが小さく安定した書込み放電を発生させるために十分な量のプライミングが残留している期間がどれ位なのかを確認する実験を行った。この実験の結果、少なくとも書込みパルス2回分に相当する期間は十分な量のプライミングが主放電セル内に残留していることがわかった。
一方、1つのプライミング電極駆動IC107を用いて複数のプライミング電極29を駆動させるような構成にすることができれば、プライミング電極駆動IC107の総数を削減することができる。
そこで、本発明の実施の形態1では、主放電セル内に供給されたプライミングが少なくとも書込みパルス2回分に相当する期間は十分に残留しているという実験結果に基づき、2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2を1つのプライミング電極駆動IC107で駆動させることができる上述のような駆動方法とした。これにより、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく放電遅れの小さい安定した書込み放電を発生させることができ、さらにプライミング電極駆動IC107の数をプライミング電極29の総数の半分に削減することができる。
なお、実施の形態1において図6を用いて説明した駆動方法では、まず奇数行目の主放電セルの書込み動作を行い、その後偶数行目の主放電セルの書込み動作を行う構成を説明したが、先に偶数行目の主放電セルの書込み動作を行い、その後奇数行目の主放電セルの書込み動作を行う構成としても同様の効果を得ることができる。
また、この駆動方法は、主放電セル内に供給されたプライミングが少なくとも書込みパルス2回分に相当する期間十分に残留している場合の例として示したものであるが、例えば、少なくとも書込みパルス4回分に相当する期間プライミングが主放電セル内に十分に残留しているような場合には、次のような駆動方法とすることもできる。
図7は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の駆動方法の他の例を示した駆動波形図である。なお、図7に示す駆動波形図では、1フィールド期間を構成する複数のサブフィールドがそれぞれ初期化期間、書込み期間、維持期間を有しているが、図6に示した駆動波形図のように、書込み期間は奇数ライン書込み期間と偶数ライン書込み期間とに分かれてはおらず、また、プライミング放電セル初期化期間も備えていない。しかし、1フィールドを構成する複数のサブフィールドのうち最初のサブフィールドの初期化期間では画像表示にかかわる全ての主放電セル40で初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、2番目以降のサブフィールドではその直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った主放電セル40に対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うことや、初期化期間および維持期間における駆動波形は図6を用いての説明と同様であるので、ここでは、書込み期間における説明のみを行う。なお、書込み期間における走査パルス幅と走査パルス電圧Vaおよびプライミングパルス幅とプライミングパルス電圧Vpも図6を用いての説明と同様である。
図7に示すように、書込み期間では、走査電極SC1〜SCnおよびプライミング電極PR1〜PRn−1を一旦Vcに保持する。そして、1行目のプライミング電極PR1および3行目のプライミング電極PR3に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR1とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR3とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS1とプライミング放電セルPS3とでプライミング放電が発生する。
そして、このプライミング放電により、1行目の主放電セルC1,1〜C1,m、2行目の主放電セルC2,1〜C2,m、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mおよび4行目の主放電セルC4,1〜C4,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR1、PR3上部には正の壁電圧が蓄積される。
次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち1行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dk(Dkはデータ電極D1〜Dmのうち映像信号に基づき選択されるデータ電極を表す)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC1との交差部に対応する主放電セルC1,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC1,kの走査電極SC1上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上部に負電圧が蓄積されて、1行目の主放電セルC1,1〜C1,mにおける書込み動作が終了する。
次に、2行目の走査電極SC2に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち2行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC2との交差部に対応する主放電セルC2,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC2,kの走査電極SC2上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU2上部に負電圧が蓄積されて、2行目の主放電セルC2,1〜C2,mにおける書込み動作が終了する。
次に、3行目の走査電極SC3に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち3行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC3との交差部に対応する主放電セルC3,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC3,kの走査電極SC3上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU3上部に負電圧が蓄積されて、3行目の主放電セルC3,1〜C3,mにおける書込み動作が終了する。
次に、4行目の走査電極SC4に走査パルス電圧Vaを印加する。このとき同時に、データ電極D1〜Dmのうち4行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、書込みパルス電圧Vdが印加されたデータ電極Dkと走査パルス電圧Vaが印加された走査電極SC4との交差部に対応する主放電セルC4,kで書込み放電が発生する。この書込み放電により主放電セルC4,kの走査電極SC4上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU4上部に負電圧が蓄積されて、4行目の主放電セルC4,1〜C4,mにおける書込み動作が終了する。
ここでの主放電セルC1,k〜C4,kの書込み放電も、プライミング電極PR1〜PR4とデータ電極D1〜Dmとの間で発生したプライミング放電からプライミングが供給された後に発生するので、上述の説明と同様に放電遅れが小さく安定した放電となる。
また、5行目の走査電極SC5への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、5行目のプライミング電極PR5および7行目のプライミング電極PR7に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加する。これにより、データ電極D1〜Dmに印加される書込みパルスの有無にかかわらず、プライミング電極PR5とデータ電極D1〜Dmとの間、およびプライミング電極PR7とデータ電極D1〜Dmとの間、すなわちプライミング放電セルPS5とプライミング放電セルPS7とでプライミング放電が発生する。このプライミング放電により、5行目の主放電セルC5,1〜C5,m、6行目の主放電セルC6,1〜C6,m、7行目の主放電セルC7,1〜C7,mおよび8行目の主放電セルC8,1〜C8,m内部にプライミングが供給される。この放電によってプライミング電極PR5、PR7上部には正の壁電圧が蓄積される。なお、プライミング放電の発生後できるだけ速やかに5行目以降の主放電セルへの書込み動作を行うために、プライミング電極PR5、PR7にプライミングパルス電圧Vpを印加している期間と5行目の走査電極SC5に走査パルス電圧Vaを印加している期間とは互いに重なっている期間がある。そして、5行目の主放電セルC5,1〜C5,mへの書込み動作がこれによって実質的に影響を受けることはない。
続いて、5行目の走査電極SC5、6行目の走査電極SC6、7行目の走査電極SC7、8行目の走査電極SC8に負の走査パルス電圧Vaを順次印加し、それぞれ走査パルス電圧Vaの印加と同時に、データ電極D1〜Dmのうち5行目〜8行目に表示すべき画像信号に対応するデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vdを印加して、主放電セルC5,k〜C8,kで書込み放電を発生させる。この書込み放電により主放電セルC5,k〜C8,kの走査電極SC5〜SC8上部に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU5〜SU8上部に負電圧が蓄積されて、5行目〜8行目の主放電セルC5,1〜C5,m、C6,1〜C6,m、C7,1〜C7,m、C8,1〜C8,mにおける書込み動作が順次終了する。
また、9行目の走査電極SC9への走査パルス電圧Vaの印加に先駆けて、9行目のプライミング電極PR9および11行目のプライミング電極PR11に負のプライミングパルス電圧Vpを同時に印加し、以下、上述と同様の書込み動作を繰り返す。
このように、図7に示した駆動方法では、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加して2つのプライミング放電セルPSp、PSp+2でプライミング放電を同時に発生させて、それぞれのプライミング放電セルに隣接する4つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにプライミングを供給する。そして、プライミングが供給された主放電セルにおいて書込み動作(主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,mにおける書込み動作)を順次行う。また、p+4行目の走査電極SCp+4への書込みパルス電圧Vaの印加に先駆けてプライミング電極PRp+4、PRp+6へのプライミングパルス電圧Vpの印加を行いプライミング放電セルPSp+4、PSp+6でプライミング放電を発生させる。そしてこれらプライミング放電の発生とそのプライミング放電セルに隣接した主放電セルにおける順次の書込み動作という一連の動作の繰り返しを、全ての主放電セルにおける書込み動作が終了するまで行う。
なお、図7に示したPDP10の駆動方法は、少なくとも書込みパルス4回分に相当する期間プライミングが主放電セル内に十分に残留しているような場合でないと用いることができないが、1回の書込み期間でそれぞれのプライミング電極には1回だけしかプライミングパルス電圧を印加しなくてよいので、プライミング放電セル初期化期間が不要となり、その分サブフィールド期間を短縮することができる。また、1回の書込み期間で同一のプライミング電極に印加されるプライミングパルス電圧Vpの回数は1回でよいので、その分の消費電力を削減することができる。
なお、実施の形態1では、最初のサブフィールドの初期化期間は全ての主放電セルで初期化放電を行う全セル初期化動作を行い、次のサブフィールド以降の初期化期間は維持放電を行った主放電セルを選択的に初期化する選択初期化動作を行うものとして動作説明をしたが、これらの初期化動作は任意に組み合わせてもよい。
また、実施の形態1においては、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加した後、続く2つのプライミング電極PRp+4、PRp+6に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加する構成を説明したが、何らこの構成に限定されるものではなく、例えばプライミング電極PRp、PRp+2にプライミングパルス電圧Vpを印加した後、プライミング電極PRp、PRp+2から離れた位置に配置された2つのプライミング電極PRp+2n、PRp+2(n+1)(nは、1回の書込み期間内で同一のプライミング電極にプライミングパルス電圧が重複して印加されないように選ばれる整数)にプライミングパルス電圧Vpを印加する構成であってもよい。
また、実施の形態1においては、隣り合うプライミング電極PRp−プライミング電極PRp+2が接続部38によって互いに電気的に接続された構成を図4に示して説明したが、何らこの構成に限定されるものではなく、1つのプライミング電極駆動IC107が複数のプライミング電極を駆動できる構成であればよい。
図8は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の他の例におけるプライミング電極29とプライミング電極駆動回路106との接続の様子を示す平面図である。例えば、図8に示すように隣り合うプライミング電極PRp−プライミング電極PRp+2が接続部38によって互いに電気的に接続されていなくとも、1つのプライミング電極駆動IC107と複数のプライミング電極29とが導電線108によって電気的に接続されていれば上述と同様の駆動を行うことができる。
なお、実施の形態1においては、隣接する2つのプライミング電極PRp、PRp+2に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加する構成を説明したが、何らこの構成に限定するものではなく、書込みパルスのパルス幅を比較的狭くできる、あるいは主放電セルに供給されたプライミングの残留時間を比較的長くすることができる等の理由でプライミングの残留時間内により多くの書込み動作を行うことができる場合には、1つのプライミング電極駆動IC107から3つ、あるいはそれ以上のプライミング電極に同時にプライミングパルス電圧を印加する構成としてもよい。書込みパルス3回分に相当する期間主放電セル内に十分な量のプライミングが残留しているのであれば、例えば次のような書込み動作を行わせることもできる。
すなわち、まず3つのプライミング電極PRp、PRp+2、PRp+4に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に同時にプライミング放電を発生させる。次にプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に隣接する主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+4,1〜Cp+4,m、Cp+5,1〜Cp+5,mのうちの奇数行目の3つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+4,1〜Cp+4,mに順次書込み放電を発生させる。そして、全ての奇数行目の主放電セルの書込み動作が終了した後にプライミング放電セルの初期化動作を行い、その後、再度3つのプライミング電極PRp、PRp+2、PRp+4に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に同時にプライミング放電を発生させる。そして今度は主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+4,1〜Cp+4,m、Cp+5,1〜Cp+5,mのうちの偶数行目の3つの主放電セルCp+1,1〜Cp+1,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+5,1〜Cp+5,mに順次書込み放電を発生させる。こうして全ての偶数行目の主放電セルの書込み動作が終了すれば全ての主放電セルでの書込み動作が完了する。
あるいは、書込みパルス6回分に相当する期間主放電セル内に十分な量のプライミングが残留しているのであれば、例えば次のような書込み動作を行わせることもできる。すなわち、3つのプライミング電極PRp、PRp+2、PRp+4に同時にプライミングパルス電圧Vpを印加してプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に同時にプライミング放電を発生させる。次にプライミング放電セルPSp、PSp+2、PSp+4に隣接する6つの主放電セルCp,1〜Cp,m、Cp+1,1〜Cp+1,m、Cp+2,1〜Cp+2,m、Cp+3,1〜Cp+3,m、Cp+4,1〜Cp+4,m、Cp+5,1〜Cp+5,mに順次書込み放電を発生させる。そして、これらの駆動方法を行うことができれば、プライミング電極駆動IC107の総数をプライミング電極の総数の3分の1に削減することができる。1つのプライミング電極駆動ICが駆動するプライミング電極の数をさらに多くすることができれば、その分プライミング電極駆動ICの総数を削減することができる。
本発明は、書込み動作の駆動電圧マージンを狭めることなく書込み放電を安定して発生させ、さらにプライミング電極を駆動するための駆動回路を削減することができるので、壁掛けテレビや大型モニター等に用いられるPDPおよびプラズマディスプレイ装置ならびにPDPの駆動方法として有用である。
本発明の実施の形態1におけるPDPの構造を示す分解斜視図
同PDPの断面図
同PDPの電極配列図
同PDPのプライミング電極とプライミング電極駆動回路との接続の様子を示す平面図
同PDPを用いたプラズマディスプレイ装置の構成の一例を示すブロック図
同PDPの駆動波形図
同PDPの駆動方法の他の例を示した駆動波形図
同PDPの他の例におけるプライミング電極とプライミング電極駆動回路との接続の様子を示す平面図
符号の説明
10 PDP(プラズマディスプレイパネル)
21 前面基板
22 走査電極
22a,23a 透明電極
22b,23b 金属母線
23 維持電極
24,33 誘電体層
25 保護層
28 光吸収層
29 プライミング電極
31 背面基板
32 データ電極
34 隔壁
34a 縦壁部
34b 横壁部
35 蛍光体層
38 接続部
39 MgO粉末層
40 主放電セル
41,41b 隙間部
41a プライミング放電セル
100 プラズマディスプレイ装置
101 画像信号処理回路
102 データ電極駆動回路
103 タイミング制御回路
104 走査電極駆動回路
105 維持電極駆動回路
106 プライミング電極駆動回路
107 プライミング電極駆動IC
108 導電線