JP2010175772A - プラズマディスプレイパネルの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精細化されたプラズマディスプレイパネルにおいて、壁電荷の異常を生じた放電セルの異常壁電荷を消去し、画像表示品質を向上させる。
【解決手段】1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、少なくとも1つのサブフィールドに、初期化放電を行う初期化期間と、発光させる放電セルを選択するための書込み期間と、この書込み期間で選択された放電セルにおいて維持放電を発生させる維持期間とを設け、かつ前記初期化期間と前記書込み期間の間に、前記走査電極に上り傾斜電圧および下り傾斜電圧を有する電圧波形を印加する異常電荷消去部を設けるとともに、前記異常電荷消去部の下り傾斜電圧の電圧波形が印加されているときに、前記維持電極をハイインピーダンス状態にするように構成した。
【選択図】図4
【解決手段】1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、少なくとも1つのサブフィールドに、初期化放電を行う初期化期間と、発光させる放電セルを選択するための書込み期間と、この書込み期間で選択された放電セルにおいて維持放電を発生させる維持期間とを設け、かつ前記初期化期間と前記書込み期間の間に、前記走査電極に上り傾斜電圧および下り傾斜電圧を有する電圧波形を印加する異常電荷消去部を設けるとともに、前記異常電荷消去部の下り傾斜電圧の電圧波形が印加されているときに、前記維持電極をハイインピーダンス状態にするように構成した。
【選択図】図4
Description
本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁とがそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
パネルを駆動する方法としては、サブフィールド法、すなわち、1フィールドを複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般に用いられている。
各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成するとともに、書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(書込み放電を発生させるための励起粒子)を発生させる。
書込み期間では、走査電極に走査パルス電圧を印加するとともにデータ電極に選択的に書込みパルス電圧を印加して表示を行うべき放電セルに選択的に書込み放電を発生させ壁電荷を形成する(以下、この動作を「書込み」とも記す)。そして維持期間では、走査電極と維持電極とからなる表示電極対に交互に維持パルス電圧を印加し、書込み放電を起こした放電セルで維持放電を発生させ、対応する放電セルの蛍光体層を発光させることにより画像表示を行う。
また、サブフィールド法の中でも、緩やかに変化する電圧波形を用いて初期化放電を行い、さらに維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を行うことで、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させた駆動方法が開示されている。
具体的には、複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては、全ての放電セルに初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間においては直前の維持期間で維持放電を行った放電セルにのみ初期化放電を発生させる選択初期化動作を行う。このように駆動することにより、画像の表示に関係のない発光によって変化する黒表示領域の輝度(以下、「黒輝度」と略記する)は、全セル初期化動作における微弱発光だけとなり、コントラストの高い画像表示が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
また、初期化期間に、緩やかな傾斜で電圧が上昇する部分と緩やかな傾斜で電圧が下降する部分とを有する初期化波形を放電セルに印加するとともに、その直前に全放電セルの維持電極と走査電極との間に微弱放電を発生させて、黒の視認性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−242224号公報
特開2004−37883号公報
近年、パネルの高精細化に伴い、放電セルの微細化が進んでおり、また消費電力削減や輝度向上の要求にこたえるために、パネルの構造やパネル材料等に対する検討が活発になされている。例えば、パネルに封入されている放電ガスのキセノン分圧を増加させることによりパネルの発光効率が向上することが一般に知られている。しかしながら、放電セルの微細化、キセノン分圧の増加により、画面全体で均一な放電を発生させるためにパネルに印加する駆動電圧を高くする傾向がある。そして、駆動電圧を高くすると放電が発生しやすくなるため、何らかの理由でわずかな壁電荷の異常を生じた放電セルであっても画像信号に関係なく放電を発生し、画像表示品質を低下させる恐れがあった。
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、良好な品質で画像表示させることができるパネルの駆動方法を提供することを目的とする。
本発明のプラズマディスプレイの駆動方法は、1対の走査電極と維持電極からなる表示電極対を複数対平行に配置した前面板と、この前面板に対向配置されかつ前記表示電極対と交差するように複数のデータ電極を配置した背面板とからなり、前記表示電極対とデータ電極との交差部分に複数の放電セルを設けたプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、少なくとも1つのサブフィールドに、初期化放電を行う初期化期間と、発光させる放電セルを選択するための書込み期間と、この書込み期間で選択された放電セルにおいて維持放電を発生させる維持期間とを設け、かつ前記初期化期間と前記書込み期間の間に、前記走査電極に上り傾斜電圧および下り傾斜電圧を有する電圧波形を印加する異常電荷消去部を設けるとともに、前記異常電荷消去部の下り傾斜電圧の電圧波形が印加されているときに、前記維持電極をハイインピーダンス状態にするように構成したことを特徴とする。
本発明によれば、高精細化されたパネルにおいても、何らかの理由でわずかな壁電荷の異常を生じた放電セルの異常電荷を消去することができ、異常放電の発生を抑えて画像表示品質を向上させることができるプラズマディスプレイパネルの駆動方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの駆動方法について、図1〜図6の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数対互いに平行となるように形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。この保護層26としては、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料から形成されている。
背面板31上にはデータ電極32が複数形成されるとともに、そのデータ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着することによりパネル10が構成されている。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン分圧を約10%とした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分には、複数の放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像表示を行うことができる。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
図2は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dk(k=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がパネル10の表示領域となる。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。なお、本実施の形態における駆動方法は、サブフィールド法、すなわち1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドに輝度重みをそれぞれ設定し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行うものである。
このサブフィールド法では、例えば、1フィールドを8つのサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第8SF)で構成し、各サブフィールドはそれぞれ1、2、4、8、16、32、64、128の輝度重みを有する構成とすることができる。また、複数のサブフィールドのうち、少なくとも1つのサブフィールドの初期化期間においては、全ての放電セルにおいて初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い(以下、全セル初期化動作を行うサブフィールドを「全セル初期化サブフィールド」と呼称する)、他のサブフィールドの初期化期間においては維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行う(以下、選択初期化動作を行うサブフィールドを「選択初期化サブフィールド」と呼称する)ことで、階調表示に関係しない発光を極力減らし、コントラスト比を向上させることが可能である。
そして、本実施の形態では、第1SFの初期化期間では全セル初期化動作を行い、第2SF〜第8SFの初期化期間では選択初期化動作を行うものとする。これにより、画像の表示に関係のない発光は、第1SFにおける全セル初期化動作の放電に伴う発光のみとなり、維持放電を発生させない黒表示領域の輝度である黒輝度は全セル初期化動作における微弱発光だけとなって、コントラストの高い画像表示が可能となる。また、各サブフィールドの維持期間においては、それぞれのサブフィールドの輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24のそれぞれに印加する。
なお、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みは上記の値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの駆動方法を実現するためのプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。図3は、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、制御信号発生回路45および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路41は、パネル10の画素数に応じて、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示すサブフィールドデータに変換する。
制御信号発生回路45は、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vにもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種の制御信号を発生し、それぞれの回路ブロック(画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44)へ供給する。
データ電極駆動回路42は、サブフィールド毎のサブフィールドデータを各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換し、制御信号発生回路45から供給される制御信号にもとづいて各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形を発生するための初期化波形発生回路、維持期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路、複数の走査電極駆動IC(以下、「走査IC」と略記する)を備え、書込み期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生するための走査パルス発生回路を有する。そして、制御信号発生回路45から供給される制御信号にもとづいて各走査電極SC1〜走査電極SCnをそれぞれ駆動する。
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路(図示せず)を備え、制御信号発生回路45から供給される制御信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
図4は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。図4には、書込み期間において最初に走査を行う走査電極SC1、書込み期間において最後に走査を行う走査電極SCn(例えば、走査電極SC1080)、維持電極SU1〜維持電極SUn、およびデータ電極D1〜データ電極Dmの駆動波形を示す。また、図4には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち全セル初期化サブフィールドである第1サブフィールド(第1SF)と、選択初期化サブフィールドである第2サブフィールド(第2SF)とを示す。なお、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形は、維持期間における維持パルスの発生数が異なる以外は、第2SFの駆動電圧波形とほぼ同様である。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中からサブフィールドデータ(サブフィールド毎の発光・非発光を示すデータ)にもとづき選択された電極を表す。
まず、図4において、全セル初期化サブフィールドである第1SFについて説明する。
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜データ電極Dm、維持電極SU1〜維持電極SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、0(V)から電圧Vscを印加した後、さらに電圧Vscに積み上げ電圧を重畳した電圧Vi1を印加する。このとき、電圧Vi1は、放電開始電圧以下の電圧にする。さらに電圧Vi1から、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに(例えば、約1.3V/μsecの勾配で)上昇する上り傾斜電圧(以下、「上りランプ電圧」と呼称する)L1を印加する。
この上りランプ電圧L1が上昇する間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜データ電極Dm上部および維持電極SU1〜維持電極SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える負の電圧Vi4に向かって緩やかに(例えば、約−2.5V/μsecの勾配で)下降する下り傾斜電圧(以下、「下りランプ電圧」と呼称する)L2を印加する。
この間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜維持電極SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜データ電極Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。以上により、全ての放電セルに対して初期化放電を行う全セル初期化動作が終了する。
この初期化期間の後、異常電荷消去部が設けられ、その後発光させる放電セルを選択するための書込み期間が設けられており、まずは書込み期間について説明する。
続く書込み期間では、走査電極SC1〜走査電極SCnに対しては順次走査パルス電圧を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmに対しては、発光させるべき放電セルに対応するデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加して、各放電セルに選択的に書込み放電を発生させる。
この書込み期間では、まず維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を、走査電極SC1〜走査電極SCnに(電圧Va+電圧Vsc)を印加する。そして、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜データ電極Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。このとき、データ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(電圧Vd−電圧Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。また、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を印加しているため、維持電極SU1上と走査電極SC1上との電圧差は、外部印加電圧の差である(電圧Ve2−電圧Va)に維持電極SU1上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。このとき、電圧Ve2を、放電開始電圧をやや下回る程度の電圧値に設定することで、維持電極SU1と走査電極SC1との間を、放電には至らないが放電が発生しやすい状態にすることができる。
これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電を発生させることができる。これにより、発光させるべき選択した放電セルに書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜データ電極Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させる。
この維持期間では、まず走査電極SC1〜走査電極SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜維持電極SUnにベース電位となる接地電位、すなわち0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。
そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極SC1〜走査電極SCnにはベース電位となる0(V)を、維持電極SU1〜維持電極SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので、再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを交互に印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
維持期間の最後には、走査電極SC1〜走査電極SCnに、0(V)から電圧Versに向かって緩やかに上昇する上り傾斜電圧(以下、「上り消去ランプ電圧」と呼称する)L3を印加する。これにより、維持放電を発生させた放電セルにおいて、微弱な放電を持続して発生させ、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧の一部または全部を消去する。
具体的には、0(V)から放電開始電圧を超える電圧Versに向かって上昇する上り消去ランプ電圧L3を、上りランプ電圧L1よりも急峻な勾配(例えば、約10V/μsec)で発生させ、走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する。すると、維持放電を起こした放電セルの維持電極SUiと走査電極SCiとの間で微弱な放電が発生する。そして、この微弱な放電は、走査電極SC1〜走査電極SCnへの印加電圧が上昇する期間、持続して発生する。そして、上昇する電圧があらかじめ定めた電圧Versに到達したら、走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する電圧をベース電位となる0(V)まで下降させる。
このとき、この微弱な放電で発生した荷電粒子は、維持電極SUiと走査電極SCiとの間の電圧差を緩和するように、維持電極SUi上および走査電極SCi上に壁電荷となって蓄積されていく。これにより、走査電極SC1〜走査電極SCn上と維持電極SU1〜維持電極SUn上との間の壁電圧は、走査電極SCiに印加した電圧と放電開始電圧の差、例えば(電圧Vers−放電開始電圧)の程度まで弱められる。すなわち、上り消去ランプ電圧L3により発生する放電は、消去放電として働く。
その後、走査電極SC1〜走査電極SCnを0(V)に戻し、維持期間における維持動作が終了する。
第2SFの初期化期間では、第1SFにおける初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加する。すなわち、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve1を、データ電極D1〜データ電極Dmに0(V)をそれぞれ印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには放電開始電圧以下となる電圧(例えば、0(V))から負の電圧Vi4に向かって下りランプ電圧L2と同じ勾配(例えば、約−2.5V/μsec)で下降する下りランプ電圧L4を印加する。
これにより、直前のサブフィールド(図4では、第1SF)の維持期間で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCi上部および維持電極SUi上部の壁電圧が弱められ、データ電極Dk(k=1〜m)上部の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。このように第2SFにおける初期化動作は、直前のサブフィールドの維持期間で維持動作を行った放電セルに対して初期化放電を行う選択初期化動作となる。
第2SFの書込み期間では、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmに対して第1SFの書込み期間と同様の駆動波形を印加する。
第2SFの維持期間では、第1SFの維持期間と同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとにあらかじめ定められた数の維持パルスを交互に印加する。これにより、書込み期間において書込み放電を発生させた放電セルで維持放電を発生させる。そして、維持期間の最後には、第1SFの維持期間と同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnに上り消去ランプ電圧L3を印加して維持放電を発生させた放電セルに消去放電を発生させる。
また、第3SF以降のサブフィールドでは、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmに対して、維持期間における維持パルスの発生数が異なる以外は第2SFと同様の駆動波形を印加する。
本発明の駆動方法においては、前記第1SFの全セル初期化動作を行う初期化期間と前記書込み期間の間に、前記走査電極に上りランプ電圧および下りランプ電圧を有する電圧波形を印加する異常電荷消去部を設けるとともに、その異常電荷消去部の下り傾斜電圧の電圧波形が印加されているときに、前記維持電極をハイインピーダンス状態にするように構成し、異常放電の発生を抑えるように構成している。以下、異常電荷消去部について説明する。
第1SFの全セル初期化動作を行う初期化期間後に設けられた異常電荷消去部では、初期化期間終了時の状態から維持電極SU1〜SUnを0(V)に戻し、走査電極SC1〜走査電極SCnに、0(V)から電圧Versに向かって緩やかに上昇する上り消去ランプ電圧L3を印加する。その後、走査電極SC1〜走査電極SCnに、0(V)を印加し、維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Ve1を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、Versから負の電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下りランプ電圧を印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnが緩やかに下降し始めた後、維持電極SU1〜維持電極SUnをハイインピーダンス状態(以下、Hizと記す)としている。
この間、安定した初期化放電を行った放電セルにおいては、放電は発生せず、壁電荷も初期化期間後の状態を保持する。しかしながら、全セル初期化期間の下りランプ電圧で走査電極SCiと維持電極SUiで強い放電が発生し、走査電極SCiに正の壁電荷、維持電極SUiに負の壁電荷が形成されてしまう異常放電セルに対しては、走査電極SC1〜SCnがVersに到達するまでに放電開始電圧を超えるため、走査電極SCi上の壁電荷が反転および減少する。走査電極SC1〜走査電極SCnに下りランプ電圧が印加されているときに、本実施の形態とは異なり、維持電極SU1〜SUnに正の電圧Ve1が印加され続けた場合、走査電極SCiと維持電極SUiの間、走査電極SCiとデータ電極Diで放電が起き、各電極の壁電圧が続く書込み動作に適した値に調整される。
しかしながら、異常な壁電荷が蓄積している放電セルは、全セル初期化期間の下りランプ電圧で異常な壁電荷を蓄積するのと同様に、異常電荷消去部の下りランプ電圧による放電でも異常な壁電荷を蓄積してしまい、輝点に至る場合があることが判明した。
そこで、本実施の形態においては、この異常電荷消去部の下りランプ電圧を印加する際に、維持電極SUi〜SUnに正の電圧Ve1を印加し、下りランプ電圧が印加された後にHizとすることで、走査電極SCiと維持電極SUiの間で異常な壁電荷を形成する元となる放電そのものが発生せず、確実に異常な壁電荷を消去することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、少なくとも1つのサブフィールドに、初期化放電を行う初期化期間と、発光させる放電セルを選択するための書込み期間と、この書込み期間で選択された放電セルにおいて維持放電を発生させる維持期間とを設け、かつ前記初期化期間と前記書込み期間の間に、前記走査電極に上り傾斜電圧および下り傾斜電圧を有する電圧波形を印加する異常電荷消去部を設けるとともに、前記異常電荷消去部の下り傾斜電圧の電圧波形が印加されているときに、前記維持電極をハイインピーダンス状態にするように構成したことで、何らかの理由でわずかな壁電荷の異常を生じた放電セルの異常電荷を消去することができ、異常放電の発生を抑えて画像表示品質を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、異常電荷消去部の下りランプ電圧L4を下りランプ電圧L2と同じ勾配で発生させる構成を説明したが、例えば異常電荷消去部の下りランプ電圧L4の勾配を下りランプ電圧L2よりも緩やかな勾配(例えば、−1V/μsec)で発生させる構成としてもよい。このような構成であっても、上述と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、異常電荷消去部の下りランプ電圧L4を全て同じ勾配で発生させる構成を説明したが、例えば異常電荷消去部の下りランプ電圧L4を複数の期間に分け、各期間で勾配を変えて下り消去ランプ電圧L4を発生させる構成としてもよい。
図5は、本発明の一実施の形態における走査電極22に印加する異常電荷消去部の下りランプ電圧L4の他の波形例を示す波形図である。例えば、図5に示すように、下りランプ電圧での放電が発生するまでは下りランプ電圧L2よりも急峻な勾配(例えば、−8V/μsec)で下降させ、その後、一旦下りランプ電圧L2と同等の勾配(例えば、−2.5V/μsec)で下降させ、最後に、下りランプ電圧L2よりも緩やかな勾配(例えば、−1V/μsec)で下降させて、下りランプ電圧を発生させる構成としてもよい。このような構成であっても、上述と同様の効果が得られる。また、この構成では、下り消去ランプ電圧を発生させる期間を短縮できるという効果も得られる。
また、本実施の形態では、異常電荷消去部の下りランプ電圧を印加する際に、維持電極SUi〜SUnに正の電圧Ve1を印加し、下りランプ電圧が印加された後にHizとする構成を説明したが、Hizにするタイミングに関しては下りランプ電圧波形が印加されてから、数μsec後(例えば、15μsec)に設定しても良い。
図6に走査電極に下りランプ電圧が印加されてから維持電極をHizにするタイミングにおいて、輝点が発生する維持パルス電圧Vsとの関係を実験により調べた結果を示す。なお、図6において、異常電荷消去部が無い場合に輝点が発生する維持パルス電圧Vsを0Vとしている。
図6に示すように、Hizにするタイミングにより輝点が発生する維持パルス電圧Vsが変化し、14〜16μsecで最大値、つまり一番輝点が発生しにくい状態となる。このようにHizにするタイミングを下りランプ波形が印加されるタイミングよりも遅らせるように設定することでも、上述と同様、もしくは同様以上の効果が得られる。
さらに、本発明による駆動方法は、走査電極SC1〜走査電極SCnを第1の走査電極群と第2の走査電極群とに分割し、書込み期間を、第1の走査電極群に属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第1の書込み期間と、第2の走査電極群に属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第2の書込み期間とで構成する、いわゆる2相駆動によるパネルの駆動方法にも適用させることができる。
また、本発明の駆動方法は、走査電極と走査電極とが隣り合い、維持電極と維持電極とが隣り合う電極構造、すなわち前面板21に設けられる電極の配列が、「走査電極−走査電極−維持電極−維持電極−走査電極−走査電極・・・」となる電極配列構造のパネルにおいても有効である。
また、上記実施の形態において示した具体的な各数値、例えば、下りランプ電圧L2、あるいは上りランプ電圧L1、下りランプ電圧L2、上り消去ランプ電圧L3の各傾斜電圧の勾配等は、表示電極対の数が1080本の50インチのパネルの特性にもとづき設定したものであり、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて適宜最適に設定すればよい。
以上のように本発明は、高精細化されたパネルにおいても、何らかの理由でわずかな壁電荷の異常を生じた放電セルの異常電荷を消去することができ、異常放電の発生を抑えて画像表示品質を向上させることができるので、プラズマディスプレイパネルの駆動方法として有用である。
10 パネル
21 前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
31 背面板
32 データ電極
21 前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
31 背面板
32 データ電極
Claims (1)
- 1対の走査電極と維持電極からなる表示電極対を複数対平行に配置した前面板と、この前面板に対向配置されかつ前記表示電極対と交差するように複数のデータ電極を配置した背面板とからなり、前記表示電極対とデータ電極との交差部分に複数の放電セルを設けたプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成するとともに、少なくとも1つのサブフィールドに、初期化放電を行う初期化期間と、発光させる放電セルを選択するための書込み期間と、この書込み期間で選択された放電セルにおいて維持放電を発生させる維持期間とを設け、かつ前記初期化期間と前記書込み期間の間に、前記走査電極に上り傾斜電圧および下り傾斜電圧を有する電圧波形を印加する異常電荷消去部を設けるとともに、前記異常電荷消去部の下り傾斜電圧の電圧波形が印加されているときに、前記維持電極をハイインピーダンス状態にするように構成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009017577A JP2010175772A (ja) | 2009-01-29 | 2009-01-29 | プラズマディスプレイパネルの駆動方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103201785A (zh) * | 2011-01-28 | 2013-07-10 | 松下电器产业株式会社 | 等离子显示面板的驱动方法以及等离子显示装置 |
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2009
- 2009-01-29 JP JP2009017577A patent/JP2010175772A/ja not_active Withdrawn
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