JPWO2007046556A1 - 新規dnaポリメラーゼ - Google Patents

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Abstract

BacillussmithiiJCM9076から得られた新規のDNAポリメラーゼであり、最適温度などの最適反応条件,酵素活性,などの新しい特徴をもったDNAポリメラーゼの提供。以下の(a)から(f)のいずれかのタンパク質であり、かつDNAポリメラーゼ活性を有するポルI型DNAポリメラーゼ。(a)配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質(b)配列番号7で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質(c)配列番号9で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質(d)配列番号9で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質

Description

本発明は、鎖置換活性を有するBacillus smithii由来の新規なDNAポリメラーゼに関する。
DNAポリメラーゼはライフサイエンスの分野で最も汎用的な酵素の一つである。PCR法をはじめとして種々の技術に必須の酵素であり、数多くの種類のDNAポリメラーゼが販売され、それぞれのポリメラーゼは反応条件、酵素活性について特徴を持っている。DNAの増幅技術としては、PCR法が一般的に利用されているが、複雑な温度制御が必要なためサーマルサイクラーが必要であること、時間が数時間かかることなどの問題点があった。PCR法に代わるDNAの増幅技術として、LAMP法やSDA法などが開発されてきたが、これらの反応には鎖置換活性を持ったDNAポリメラーゼが必須である。鎖置換活性を持ったDNAポリメラーゼについての報告もあるが(特許文献1参照)、現在市場で入手できる種類は少なく至適温度などの反応条件が限られる、あるいは反応時間が長いなどの理由により、これらのDNA増幅方法を用いる検査・診断薬などの開発にも制限となっていた。
特許2978001号公報
本発明は、Bacillus smithii JCM9076から得られた新規のDNAポリメラーゼであり、最適温度などの最適反応条件、酵素活性などの新しい特徴をもったDNAポリメラーゼの提供を目的とする。
DNAポリメラーゼはライフサイエンスの分野で最も汎用的な酵素の一つである。PCR法をはじめとして種々の技術に必須の酵素であり、数多くの種類のDNAポリメラーゼが販売され、それぞれのポリメラーゼは反応条件、酵素活性について特徴を持っている。DNAの増幅技術としては、PCR法が一般的に利用されているが、複雑な温度制御が必要なためサーマルサイクラーが必要であること、時間が数時間かかることなどの問題点があった。PCR法に代わるDNAの増幅技術として、LAMP法やSDA法などが開発されてきたが、これらの反応には鎖置換活性を持ったDNAポリメラーゼが必須である。鎖置換活性を持ったDNAポリメラーゼは、現在市場で入手できる種類は少なく至適温度などの反応条件が限られる、あるいは反応時間が長いなどの理由により、これらのDNA増幅方法を用いる検査・診断薬などの開発にも制限となっていた。
本発明者は、Bacillus smithiiより通常の鋳型依存性のDNA複製酵素活性、相補鎖置換複製酵素活性および逆転写酵素活性を有する新規なポルI型DNAポリメラーゼを単離し、該DNAポリメラーゼが従来のDNAポリメラーゼに比べ優れた特性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 以下の(a)から(f)のいずれかのタンパク質であり、かつDNAポリメラーゼ活性を有するポルI型DNAポリメラーゼ。
(a)配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号7で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号9で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)配列番号9で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(e)配列番号7に表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(f)配列番号7に表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
[2] 以下の(a)から(f)のいずれかのタンパク質であり、かつDNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(a)配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号7で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号9で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)配列番号9で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(e)配列番号7で表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(f)配列番号7で表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
[3] 以下の(g)から(j)のDNAであり、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(g)配列番号6で表される塩基配列からなるDNA
(h)配列番号6の塩基配列からなるDNAと相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、タンパク質をコードするDNA
(i)配列番号8で表される塩基配列からなるDNA
(j)配列番号8の塩基配列からなるDNAと相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、タンパク質をコードするDNA
[4] [2]または[3]のDNAを含有する組換えベクター。
[5] [4]の組換えベクターを含む形質転換体。
[6] [5]の形質転換体を培養し、得られる培養物からポルI型DNAポリメラーゼを採取することを特徴とするポルI型DNAポリメラーゼの製造方法。
[7] 相補鎖置換複製酵素活性および逆転写酵素活性を有する[1]のポルI型DNAポリメラーゼ。
[8] 5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している[1]または[7]のポルI型DNAポリメラーゼ。
[9] 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する[1]、[7]または[8]のポルI型DNAポリメラーゼ。
[10] 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している[1]、[7]または[8]のポルI型DNAポリメラーゼ。
[11] [1]および[7]〜[10]のいずれかのポルI型DNAポリメラーゼを用いる核酸増幅法。
[12] 等温増幅法である[11]の核酸増幅法。
[13] [1]および[7]〜[10]のいずれかのポルI型DNAポリメラーゼを含む核酸増幅キット。
[14] ポルI型DNAポリメラーゼ遺伝子をクローニングする方法であって、
(1)配列番号1で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号2で表される塩基配列からなるプライマーを用意する工程、
(2)鋳型ゲノムDNAを用意する工程、
(3)配列番号1で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号2で表される塩基配列からなるプライマーを用いて鋳型ゲノムDNAを増幅する工程、
(4)(3)の増幅断片をクローン化する工程、
(5)ポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNAを配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーを用いて増幅する工程、ならびに
(6)(5)の増幅断片をクローン化する工程、
を含む方法。
[15] 配列番号8で表される配列からなるポルI型DNAポリメラーゼ遺伝子をクローニングする方法であって、
(1)配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーを用意する工程、
(2)鋳型ゲノムDNAを用意する工程、
(3)配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーを用いて鋳型ゲノムDNAを増幅する工程、
(4)増幅断片をクローン化する工程、
を含む方法。
[16] [2]または[3]のDNAの断片からなるプライマーであり、5〜50個の塩基からなるプライマー。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−306228号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、DNAポリメラーゼ活性測定の結果を示す図であり、DNAポリメラーゼ量と測定値の回帰直線を示す図である。
図2は、本発明の酵素(Bsm DNAポリメラーゼ)を用いた相補鎖置換複製活性測定の結果を示す図である。
図3は、本発明の酵素(Bsm DNAポリメラーゼ)を用いた逆転写酵素活性測定の結果を示す図である。
図4は、本発明の酵素(Bsm DNAポリメラーゼ)を用いた逆転写酵素活性測定(ラダーを用いた検討)の結果を示す図である。
図5は、本発明の酵素(Bsm DNAポリメラーゼ)を用いた等温遺伝子増幅の結果を示す図である。
図6は、等温遺伝子増幅におけるテンプレート配列とプライマーの位置関係を示す図である。
本発明のDNAポリメラーゼは、Bacillus属微生物から単離することができ、好ましくはBacillus smithiiより、さらに好ましくはBacillus smithii JCM9076株より単離することができる。Bacillus smithii JCM9076株は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター 微生物材料開発室より分譲可能である(http://www.jcm.riken.jp/JCM/JCM_Home_J.html)。
本発明において、DNAの取得は、J.Sambrook,E.F.Fritsch & T.Maniatis(1989):Molecular Cloning,a laboratory manual,second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press及びEd Harlow and David Lanc(1988):Antibodies,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press等の当業者に良く知られた文献に記載された方法に従って取得することができる。
本発明のポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNAは、公知のポルI型DNAポリメラーゼのDNA配列を比較し、共通の配列を有する保存領域の塩基配列に基づいてプライマーを合成し、該プライマーを用いてBacillus属微生物を材料に用いて単離することができる。また、Bacillus属微生物のポルI型DNAポリメラーゼをコードする遺伝子の上流にはphoRが、下流にはmutMが保存されていることから、該保存されている部分の配列に基づいてプライマーを設計すればよい。該プライマーを用いてPCRにより、遺伝子を増幅する。次いで増幅産物をクローン化し、配列を決定し、ORF部分を挟むように設計したプライマー対を用いてさらに増幅すればよい。この際、ポルI型DNAポリメラーゼの大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片に相当する部分を単離する場合は、プライマーの一方に大腸菌のクレノウ断片のN末端に相当する位置の塩基配列に基づいてプライマーを設計し、クレノウ断片に相当する部分を挟むようにして用いればよい。
本発明は、上記プライマーを用いて、微生物よりポルI型DNAポリメラーゼを単離する方法を包含する。用いるプライマーとして、例えば、保存領域の配列に基づいて設計された配列番号1および2に表される塩基配列からなるプライマー対がある。また、ポルI型DNAポリメラーゼのORF部分を挟むプライマーとして配列番号3および4に表される塩基配列からなるプライマー対があり、クレノウ断片に相当する部分を単離する場合に用いるプライマーとして配列番号5に表される塩基配列からなるプライマーが挙げられる。微生物は限定されず、Bacillus属微生物だけでなく、広く細菌を含む。微生物よりポルI型DNAポリメラーゼを単離するには、保存領域の配列に対応するプライマー対を調製し、微生物から鋳型ゲノムDNAを調製し、前記プライマーを用いて鋳型ゲノムDNAを増幅し、増幅断片をクローン化し、ポルI型DNAポリメラーゼ遺伝子をORFまたはクレノウ断片に相当する部分を挟むプライマー対を用いて増幅し、ポルI型DNAポリメラーゼ発現プラスミドを構築して、発現させればよい。
本発明は、このようにして得られた微生物由来のポルI型DNAポリメラーゼおよび該ポリメラーゼをコードするDNAも包含する。
本発明のポルI型ポリメラーゼは、通常の鋳型依存性のDNA複製酵素活性、相補鎖置換複製酵素活性、逆転写酵素活性を有する。また、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有していてもよい。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する利点は、基質を取り込む際のエラーが少ない点などが挙げられる。本発明のポルI型DNAポリメラーゼの至適温度は公知の相補鎖置換複製酵素活性を有するDNAポリメラーゼより低温度であり、50〜60℃、好ましくは50〜55℃で活性を有する。従って、本発明のDNAポリメラーゼは、従来の相補鎖置換複製酵素活性を持ったDNAポリメラーゼより低温度の反応条件で用いることができ、より室温に近い温度で用いることが可能となった。また逆転写活性があるので、RNAを鋳型としてDNAを合成することができ、従来のRT−PCRの代替法に利用できる。
本発明は、上記のようにして得られるポルI型DNAポリメラーゼであるタンパク質および該ポリメラーゼをコードするDNAを包含する。
配列番号6に本発明のポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNAの塩基配列を、配列番号7に本発明のポルI型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を例示する。
さらに、本発明はポルI型DNAポリメラーゼのN末端側アミノ酸を欠失させたΔNポルI型DNAポリメラーゼおよびそれをコードするDNAも包含する。欠失させるN末端側のアミノ酸の数は、ΔNポルI型DNAポリメラーゼが相補鎖置換複製酵素活性を有する限り限定されない。好ましくは、ΔNポル型DNAポリメラーゼは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しており、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片に対応する活性を有する。ΔNポルI型DNAポリメラーゼは、配列番号7に表されるポルI型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失している。クレノウ断片に対応するΔNポルI型DNAポリメラーゼは、配列番号7に表されるポルI型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の1番目のValから297番目のGluまでの297残基のアミノ酸を欠失している。配列番号8にクレノウフラグメントに対応するΔNポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNA配列を、配列番号9にクレノウ断片に対応するΔNポルI型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を示す。すなわち、本発明のタンパク質は、配列番号7に表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失しており、相補鎖置換複製酵素活性を有するタンパク質をも包含する。該タンパク質は、アミノ酸の欠失数が多い場合、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している。この場合、遺伝子増幅を行う際に増幅産物を分解してしまうことがないという利点を有する。
さらに、本発明は、ポルI型DNAポリメラーゼであって、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているタンパク質および該タンパク質をコードするDNAを包含する。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有しているポルI型DNAポリメラーゼは、プライマーの3’側を分解してしまうため、核酸増幅速度が遅くなる。一方、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているポルI型DNAポリメラーゼは、プライマーを分解しないため、核酸増幅速度が速くなるという利点を有する。また、DNAの変異検出に際して、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有しているポルI型DNAポリメラーゼを用いると、プライマーの3’側が分解されてしまうことにより変異箇所をプライマーが認識することができず、伸長合成反応が進んでしまい、変異検出ができない。一方、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失したポルI型DNAポリメラーゼを用いると、プライマーが分解されないため、変異箇所でプライマーがアニールすることなく、伸長合成反応を停止することができ、変異を検出することができるという利点を有する。
また、配列番号6に表されるDNA配列と相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAであって、ポルI型DNAポリメラーゼの活性を有するタンパク質をコードするDNAも本発明のDNAに含まれる。さらに、配列番号8に表されるDNA配列と相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAであって、ポルI型DNAポリメラーゼ活性を有するが、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているタンパク質をコードするDNAも本発明の遺伝子に含まれる。ここでストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSCとは150mM NaCl、15mM クエン酸ナトリウムからなる)を用い、68℃で洗浄することにより同定することができる条件をいう。
また、本発明のポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNAは、配列番号6に表される塩基配列と、BLAST等を用いてデフォルトの条件で計算したときに、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有しており、ポルI型DNAポリメラーゼの活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号8に表される塩基配列と、BLAST等を用いてデフォルトの条件で計算したときに、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有しており、ポルI型DNAポリメラーゼ活性を有するが、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているタンパク質をコードする塩基配列からなるDNAをも含む。さらに、上記DNAに対するRNA、又は該RNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるRNAであってポルI型DNAポリメラーゼの活性を有するタンパク質またはポルI型DNAポリメラーゼ活性を有するが、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているタンパク質をコードするRNAも本発明に含まれる。
さらに、配列番号6または8に表される塩基配列の縮重変異体も、本発明のDNAに含められる。
遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法やGapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant−K(TAKARA社製)やMutant−G(TAKARA社製))などを用いて容易に行うことができる。
さらに、本発明は、配列番号7に表されるアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸に欠失、置換または付加の変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってポルI型DNAポリメラーゼの活性を有するタンパク質、配列番号9に表されるアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸に欠失、置換または付加の変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってポルI型DNAポリメラーゼ活性を有するが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているタンパク質を包含する。さらに、本発明は配列番号7に表されるアミノ酸配列から1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸に欠失、置換または付加の変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であってポルI型DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質を包含する。該タンパク質は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失していても保持していてもよい。1個または数個のアミノ酸の欠失、置換または付加とは、1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個または2個のアミノ酸の欠失、置換または付加をいう。
さらに、本発明は上記のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを包含する。
本発明は、微生物からDNAポリメラーゼを単離するために用いるプライマーおよびプローブを包含する。該プライマーまたはプローブは、上記のDNAの断片であり、塩基の数は5〜50、好ましくは10〜30、さらに好ましくは15〜25である。増幅させる塩基配列の長さは限定されない。
本発明のポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNAおよびその変異体を発現ベクターに挿入し、適当な宿主細胞に該ベクターを導入し、該宿主細胞を培養することにより、ポルI型DNAポリメラーゼを得ることができる。この際、適宜GSTをコードするDNAやヘキサヒスチジンをコードするDNAを連結させてもよい。ベクターとして、プラスミド、ファージ、ウイルス等の宿主細胞において複製可能である限りいかなるベクターも用いることができる。例えば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pKC30、pCFM536等の大腸菌プラスミド、pUB110等の枯草菌プラスミド、pG−1、YEp13、YCp50等の酵母プラスミド、λgt110、λZAPII等のファージのDNA等が挙げられ、哺乳類細胞用のベクターとしては、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス等のウイルスDNA、SV40とその誘導体等が挙げられる。ベクターは、複製開始点、選択マーカー、プロモータを含み、必要に応じてエンハンサー、転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル等を含んでいてもよい。プロモータとしては、宿主細胞で効率よく発現するものであればいかなるプロモータでもよいが、例えば、SRαプロモータ、SV40プロモータ、LTRプロモータ、CMVプロモータ、HSV−TKプロモータ等が挙げられる。
宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌等の細菌細胞、アスペルギルス属菌株等の真菌細胞、パン酵母、メタノール資化性酵母等の酵母細胞、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞、HEK293T、HeLa細胞、SH−SY5Y、CHO、COS、BHK、3T3、C127等の哺乳類細胞等が挙げられる。
形質転換は、塩化カルシウム法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション法、エレクトロポレーション法等の公知の方法で行うことができる。
ポルI型DNAポリメラーゼの単離精製は、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより行うことができる。
本発明は、ポルI型DNAポリメラーゼに対する抗体をも含む。抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の両者を含む。抗体は公知の方法により作製できる。抗体は、機能的断片をも含み、抗体の機能的断片とは、(Fab)フラグメントおよび(Fab)フラグメント等を含む抗体分子の可変部を保持しているあらゆる分子を意味する。得られた抗体は、例えば、本発明のポルI型DNAポリメラーゼの精製に用いることができる。
さらに、本発明は、本発明のポルI型DNAポリメラーゼを用いて核酸を増幅する方法を包含する。核酸増幅方法として、公知のPCR法(polymerase chain reaction method)、RT−PCR法(reverse transcriptase polymerase chain reaction method)、三谷法(Mitani method)(WO01/030993号国際公開パンフレット)、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)法(Nucleic Acids Res 28,No.12,e63(2000);医学のあゆみ,Vol.206,No.8,470−474,2003;Molecular and Cellular Probes,Vol.16,No.3,223−229,2002)、SDA(Strand Displacement Amplification)法(特開平10−313900号公報;「検査と技術 Vol.24、No.3」、(1996年)、佐藤隆著、(株)医学書院発行、241頁〜243頁)、ICAN(登録商標)(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids)法(WO00/56877号国際公開パンフレット),TRC(Transcription Reverse Transcription Concerted Reaction)、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法(日本国特許第2650159号公報)等が挙げられ、本発明のポルI型DNAポリメラーゼいずれの方法においても用いることができる。この中でも、三谷法、LAMP法、SDA法、ICAN(登録商標)法等の等温増幅法に適している。これらの遺伝子増幅法において、従来用いられていたDNAポリメラーゼの代わりに本発明のポルI型DNAポリメラーゼを用いることができる。
さらに、本発明は、本発明のポルI型DNAポリメラーゼを用いる核酸増幅キットを包含する。該キットは上記のいずれかの核酸増幅法に適応させたキットである。該キットは、本発明のポルI型DNAポリメラーゼの他、プライマー、dNTP、Tris−HCl、HCl、MgSO、ベタイン等を含む。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
1. Bacillus smithii DNAポリメラーゼクローニング
B.smithii JCM9076培養菌体より定法にてゲノムDNAを調製した。次いで、Bacillus属の他種のpolAの遺伝子構造より上流にphoR、下流にmutMが保存されていることから、各々の遺伝子の保存領域よりプライマーPhoF(配列番号1)、MutR(配列番号2)を設計した。さらに、調製したゲノムDNAを鋳型としてPhoF、MutRをプライマーにPCRを行い遺伝子増幅し、増幅断片をPromega社製pGEM−Tにてクローン化し、定法により内部配列を決定した。決定したシーケンスよりpolAと思われるORF部分をBsth−EcoNF(配列番号3)とBsth−SalCR(配列番号4)にてPCRで増幅した。得られたPCR産物およびpUC18をEcoRIとSalIで消化し、混合して連結することによりBsm DNAポリメラーゼI発現プラスミド構築した。前記のように決定したシーケンスよりpolAのE.coliクレノウ断片のN末端と同等位置に相当するBsth−EcoLF(配列番号5)とBsth−SalCR(配列番号4)にてPCRで増幅した。得られたPCR産物およびpUC18をEcoRIとSalIで消化し、混合して連結することによりΔN Bsm DNAポリメラーゼ発現プラスミドを構築した。
2. Bsm DNAポリメラーゼI及びΔN Bsm DNAポリメラーゼIの発現及び精製
(1)培養、発現、及び粗抽出液調製
pUCBsmまたはpUCdNBsmを有する大腸菌XL1−Blueを100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地5mlにて37℃一晩培養して前培養液とした。得られた前培養液5mlを100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地500mlに植菌し、37℃、200rpmで振盪培養(Orbital Shaking Incubator,FIRSTEK OSI−502LD)を行った。OD600nm値が0.5付近になったときに、1mM IPTGを添加した。さらに、37℃、200rpmにて1〜2時間振盪培養を行った。得られた培養液を遠沈管に移し、4,000×g、10分間の遠心分離を行い、沈殿を得た。得られた沈殿を1×PBS 30mlにて懸濁し、再度4,000×g、10分間の遠心分離を行い、菌体を洗浄した。得られた沈殿を1×PBS 25mlにて懸濁し、10sec×6の超音波にて細胞を破砕(MISONIX Astrason Ultrasonic processor XL)した。超音波破砕後の試料を15,000×g、30分間遠心分離を行い、上清を得た。得られた上清に30%ポリエチレンイミン溶液を終濃度0.1%となるように添加して混合し、氷中で30分間放置した後、15,000×g、30分間の遠心分離を行い、上清を得た。本上清を粗抽出液とした。
(2) 陰イオン交換カラムクロマトグラフィー
GEヘルスケア社製AKTA Prime高速液体クロマトグラフィーシステムとGEヘルスケア社製強陰イオン交換カラムHiTrapQを用いてイオン交換クロマトグラフィーを行った。ランニングバッファーとして50mM Tris−HCl(pH7.6)、2mM EDTA、10mM 2−メルカプトエタノールを用いた。流速1ml/分でカラムを平衡化し、粗抽出液をアプライした後、非吸着画分を同ランニングバッファーで洗浄した。約15CVの0〜1M塩化ナトリウム濃度勾配により吸着画分を溶出した。溶出画分は1mlごとに分画し、これをSDS−PAGEに供して該当分子量のタンパク質バンドを確認した後、同バンドを有する画分を回収した。回収画分を限外濾過膜を用いて濃縮・脱塩し、これを陰イオン交換画分とした。
(3) ヘパリンアフィニティーカラムクロマトグラフィー
GEヘルスケア社製AKTA Prime高速液体クロマトグラフィーシステムとGEヘルスケア社製ヘパリンアフィニティーカラムHiTrap Heparinを用いてヘパリンアフィニティーカラムクロマトグラフィーを行った。ランニングバッファーとして陰イオン交換カラムクロマトグラフィーで用いたのと同じ溶液を用いた。流速1ml/分でカラムを平衡化し、陰イオン交換画分をアプライした後、非吸着画分を同ランニングバッファーで洗浄した。約22CVの0〜1M塩化ナトリウム濃度勾配により吸着画分を溶出した。溶出画分は1mlごとに分画し、これをSDS−PAGEに供して該当分子量のタンパク質バンドを確認した後、同バンドを有する画分を回収した。回収画分を限外濾過膜を用いて、50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2M塩化ナトリウムにバッファー置換を行い、さらに濃縮して、これをヘパリン画分とした。
(4) ゲルろ過カラムクロマトグラフィー
GEヘルスケア社製AKTA 10XT高速液体クロマトグラフィーシステムとGEヘルスケア社製ゲルろ過カラムHiLoad 16/60 Superdex 200 prep gradeを用いてゲルろ過カラムクロマトグラフィーを行った。ランニングバッファーとして50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2M塩化ナトリウムを用いた。流速1ml/分でカラムを平衡化し、ヘパリン画分をアプライした後、同ランニングバッファーで溶出した。溶出画分は1mlごとに分画し、これをSDS−PAGEに供して該当分子量のタンパク質バンドを確認した後、同バンドを有する画分を回収した。回収画分を限外濾過膜を用いて濃縮し、保存バッファー(50mM塩化カリウム、10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM DTT、0.1mM EDTA、0.1%TritonX−100、50%グリセロール)にバッファー置換を行い、これを精製酵素標品とした。
3. DNAポリメラーゼ活性測定
インビトロジェン社製Picogreen dsDNA定量試薬を用いて、Biotechniques 21,664−668(1996)を参考にDNAポリメラーゼ活性を測定した。Picogreen dsDNA定量試薬をTE緩衝液と1:345となるように混合し、M13mp18一本鎖DNAとプライマー、dNTP、精製酵素標品の混合物27μlに対して173μlを添加し、室温で5分間放置した後に励起波長480nm、測定波長520nmにて蛍光を測定した。このとき、市販で単位既知のクレノウ断片を同様に測定し、その値より相対値としての酵素単位を算出した。以下に測定の−例を示す。尚、標準直線は測定ごとに作成している。市販のBst DNAポリメラーゼを標準として、Picogreen dsDNA定量試薬により、各希釈倍での蛍光強度を測定したところ、表1のような結果を得た。
この結果をプロットし、1次直線に回帰したところ、次の式を得た。回帰直線を図1に示す。
y=7.8457x+58.247(R=0.8967)
また、同時に測定したBsm DNAポリメラーゼ試料は、平均96.26(1回目98.814、2回目93.707)の蛍光強度を示したことから、本回帰直線式より、約4.85unitと算出された。
4. 相補鎖置換複製活性測定
Nucleic Acids Res 28,No.12,e63(2000)に従って、LAMP法により、M13mp18一本鎖DNA、0.8μM FIP、0.8μM BIP、0.2μM F3、0.2μM B3の各合成DNA、1Mベタイン、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.8)、10mM塩化カリウム、10mM硫酸アンモニウム、0.1%TritonX−100、2〜4mM硫酸マグネシウムの混合物20μlを95℃で5分間放置し、次いで氷上で5分間放置した。これに精製酵素標品5μlを加えて55℃〜65℃で1時間放置し、これをアガロースゲル電気泳動に供した。このとき、市販で単位既知のBst DNAポリメラーゼ(ew England Biolabs,No.MO275S)を同様に測定し、その電気泳動後の生成物バンドの濃さにより、相対値としての酵素単位を算出した。
結果を図2に示す。図2に示すように、市販単位既知のBst DNAポリメラーゼの結果(図2レーン3)と比較してレーン6および7がほぼ同等の結果を示した。このことから、レーン6および7に使用した酵素標品5μlには単位既知Bst DNAポリメラーゼと同等の活性があると判断した。
5. 逆転写酵素活性
インビトロジェン社製EnzChek Reverse Transcriptase Assay Kitを用いて、マニュアルどおりに逆転写酵素活性の測定及びその反応産物の検出を行った。また、インビトロジェン社製RNAラダー(0.24〜9.5kb)を鋳型としても同様に逆転写反応を行い、反応産物をアガロースゲル電気泳動に供してその反応産物をオートラジオグラフィーにより検出した。
結果を図3および4に示す。図3レーン4〜6に示すように、塩化マンガンの有無にかかわらず逆転写産物が検出された。また、その逆転写産物は図4レーン2〜4とレーン5〜7を比較しても分がるように、Bst DNAポリメラーゼの逆転写産物よりも長鎖のものであった。
6. 等温遺伝子増幅
以下に示す条件で等温遺伝子増幅を行った。
増幅条件:60℃,90分間
反応液(25μl中) Tris−HCl(20mM,pH8.8)、KCl(10mM)、(NHSO(10mM)、SYBR green(0.01μl/ml)、8mM MgSO;0.1% Tween 20;0.5Mベタイン;1.4mM dNTP;BsmまたはBst DNAポリメラーゼ4ユニットおよび40ngヒトゲノムDNA。
用いたプライマーは以下の通りであった。
1600nM EF5 ACAACGAGGCGCAGCAGAGGGGACATGAAA(配列番号11)
1600nM ER6 TTGAAGACGTAAAGACTCTTTCACATCCTC(配列番号12)
8mM ER6−L1 TGTGCCATTCCAAAGG(配列番号13)
遺伝子増幅は、Mx3000P(Stratagene)を用いた反応液中でSYBR green I(Molecular Probes)の存在下で、60℃、90分間リアルタイムでモニタした。
結果を図5に示す。図5に示すように本発明のBsm DNAポリメラーゼを用いた場合、従来から存在していたBst DNAポリメラーゼを用いた場合よりも早く増幅した。また、目的配列が増幅されていることを確認するために、シークエンサーを用い増幅のシークエンス配列を読んだところ、目的配列が増幅されていることが確認された。図6にテンプレート配列(配列番号10)とプライマーの位置関係を示す。図6の配列中、下線部がプライマー領域であり、ループプライマーは枠で囲んである。
本発明のDNAポリメラーゼは、従来の鎖置換活性を持ったDNAポリメラーゼより低温度の反応条件で活性を持っているため、より室温に近い温度で用いることが可能となった。また逆転写活性があるので、RNAを鋳型としてDNAを合成することができ、従来のRT−PCRの代替法に利用できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
配列番号1〜5、10〜13:合成
[配列表]

Claims (16)

  1. 以下の(a)から(f)のいずれかのタンパク質であり、かつDNAポリメラーゼ活性を有するポルI型DNAポリメラーゼ。
    (a)配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号7で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (c)配列番号9で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (d)配列番号9で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (e)配列番号7で表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
    (f)配列番号7で表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
  2. 以下の(a)から(f)のいずれかのタンパク質であり、かつDNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (a)配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号7で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (c)配列番号9で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (d)配列番号9で表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (e)配列番号7で表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
    (f)配列番号7で表されるアミノ酸配列から、1番目のValから始まる連続したアミノ酸配列であって297番目のGluまでのいずれかのアミノ酸までのアミノ酸配列を欠失したアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
  3. 以下の(g)から(j)のDNAであり、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (g)配列番号6で表される塩基配列からなるDNA
    (h)配列番号6の塩基配列からなるDNAと相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、タンパク質をコードするDNA
    (i)配列番号8で表される塩基配列からなるDNA
    (j)配列番号8の塩基配列からなるDNAと相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、タンパク質をコードするDNA
  4. 請求項2または3に記載のDNAを含有する組換えベクター。
  5. 請求項4に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  6. 請求項5に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からポルI型DNAポリメラーゼを採取することを特徴とするポルI型DNAポリメラーゼの製造方法。
  7. 相補鎖置換複製酵素活性および逆転写酵素活性を有する請求項1に記載のポルI型DNAポリメラーゼ。
  8. 5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している請求項1または7に記載のポルI型DNAポリメラーゼ。
  9. 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する請求項1、7または8に記載のポルI型DNAポリメラーゼ。
  10. 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している請求項1、7または8に記載のポルI型DNAポリメラーゼ。
  11. 請求項1および7〜10のいずれか1項に記載のポルI型DNAポリメラーゼを用いる核酸増幅法。
  12. 等温増幅法である請求項11記載の核酸増幅法。
  13. 請求項1および7〜10のいずれか1項に記載のポルI型DNAポリメラーゼを含む核酸増幅キット。
  14. ポルI型DNAポリメラーゼ遺伝子をクローニングする方法であって、
    (1)配列番号1で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号2で表される塩基配列からなるプライマーを用意する工程、
    (2)鋳型ゲノムDNAを用意する工程、
    (3)配列番号1で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号2で表される塩基配列からなるプライマーを用いて鋳型ゲノムDNAを増幅する工程、
    (4)(3)の増幅断片をクローン化する工程、
    (5)ポルI型DNAポリメラーゼをコードするDNAを配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーを用いて増幅する工程、ならびに
    (6)(5)の増幅断片をクローン化する工程、
    を含む方法。
  15. 配列番号8で表される配列からなるポルI型DNAポリメラーゼ遺伝子をクローニングする方法であって、
    (1)配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーを用意する工程、
    (2)鋳型ゲノムDNAを用意する工程、
    (3)配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーおよび配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーを用いて鋳型ゲノムDNAを増幅する工程、
    (4)増幅断片をクローン化する工程、
    を含む方法。
  16. 請求項2または3に記載のDNAの断片からなるプライマーであり、5〜50個の塩基からなるプライマー。
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