この発明は、地上デジタル放送受信装置に関し、受信装置のチャンネルスキャンを高速に行えるデジタル放送受信装置に関するものである。
地上波テレビジョン放送は、日本においては、2003年末に一部の地域でデジタル信号による放送が開始され、2006年にはそれが全国に拡大されて実施されることが決定している。
地上デジタル放送は、UHF(Ultra-High Frequency)帯を用いて実施されることになっており、その物理チャンネルは13チャンネルから62チャンネルまでとなる。したがって、現行のアナログ放送を標準的に実施しているVHF(VeryHigh Frequency)帯に対して、大幅にチャンネル数が増加する。
現在実施されているテレビジョン放送は、各地域毎に放送チャンネルが固定されており、ユーザは、テレビジョン受信機を新規に購入等した場合、設定場所(居住地域)を特定する例えば郵便番号等を受信機に入力することによって、その地域で受信可能なチャンネルを選局ポジションにセットすることができるように構成されている。この目的のため、テレビジョン受信機には地域毎に、受信可能チャンネルと選局ポジションの対応表が日本全国の分予め記憶されている。
地上デジタル放送もアナログ信号による地上波放送と同様に各地に配置された複数の放送局によって放送が行われる。このため、地上デジタル受信装置においても設定場所(居住地域)を特定し、その地域で受信可能なチャンネルを選局ポジションにセットすることが行われている。
地上デジタル放送受信機の場合、放送信号に多重されて伝送される付加情報に基づいて、受信チャンネルの放送事業者(放送局)等を特定することができる。
受信装置が設置される居住地を実際に受信した放送信号に基づいて設定でき、その設定した居住地域に基づいて、リモートコントローラの数字キーの割り付けを行う装置が提案されている。
特開2005−79861号公報
しかし、車載型の移動体や携帯電話向けの地上デジタル放送受信装置では、受信場所は固定ではなく、仮に初期設定しても走行等により頻繁に受信地域が変化することになる。受信地域が変化すると、いままで受信できていた放送がその後は受信できなくなるといった不都合が生じる。このような場合には、自動的あるいはユーザによる指示操作に基づいて、チャンネルスキャンを行い受信可能チャンネルと選局ポジションを設定することが考えられる。このチャンネルスキャンにおいては、例えば、物理チャンネルにおける13チャンネルから62チャンネルまでの全てのチャンネルを順次スキャンすることとなる。全てのチャンネルをスキャンすると多くの時間がかかるという難点がある。
この発明は、上記の事情に鑑み、比較的短い時間でチャンネルスキャンが行えるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
この発明のデジタル放送受信装置は、地域により受信可能な放送局が異なる地上デジタル放送を受信するデジタル放送受信装置において、地上デジタル放送を受信するチューナによって複数の放送を受信する受信手段と、現在地域を示す情報を取得する現在地域取得手段と、地域に存在しうる放送局の物理チャンネル情報を地域毎に作成したチャンネルリストと、前記現在地域取得手段にて取得した地域におけるチャンネルリストに登録されている物理チャンネルについて前記受信手段から得られる放送データに基づきチャンネルスキャンを行うチャンネルスキャン手段と、を備えたことを特徴とする。
上記の構成によれば、或る地域でのチャンネルスキャンにおいて、放送局が存在しうる物理チャンネル数より少ない数の物理チャンネルの情報に基づいて、チャンネルスキャンを行うので、比較的短い時間でチャンネルスキャンが行えることになる。
前記チャンネルリストは、各地域毎の受信可能推定放送局リストで構成することができる。
また、前記チャネルスキャンの実行でスキャン実行済みのチャンネルについてはそのことを示すフラグをセットするチャンネルスキャン時フラグ設定手段を備えるように構成すると良い。
そして、前記スキャン実行済みを示すフラグがセットされたチャンネルについては、前記該当チャンネルのスキャンをスキップさせるように構成すると良い。
また、前記チャネルスキャンの実行でスキャンが成功したチャンネルについてはそのことを示すフラグをセットするスキャン成功フラグ設定手段を備えるように構成すると良い。
また、前記スキャン成功フラグがセットされたチャンネルについては、前記該当チャンネルのスキャンをスキップさせるように構成すると良い。
また、この発明は、通信手段を更に備え、前記現在地域取得手段により取得された現在地域を前記通信手段にて通信相手先に送信し、この通信相手先から現在地域の放送局の物理チャンネル情報の送信を受けて前記チャンネルリストを作成するように構成すると良い。
この発明によれば、比較的短い時間でチャンネルスキャンが行えるという効果を奏する。
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
図1は、この発明の地上デジタル放送受信装置の第1の実施の形態を示す回路構成図、図2は、この発明の地上デジタル放送受信装置の正面図である。この実施形態は、車載型の地上デジタル放送受信装置に適用したものである。
図2に示すように、受信装置2の正面に、液晶表示(LCD)パネル202の表示画面とその下側に操作部214を構成する各種ボタン214a、214b、214cが設けられている。受信装置2の上部にはアンテナ240が回転自在に取り付けられている。この受信装置は、地上デジタル放送の1セグメント(ワンセグメント)放送を受信するものである。尚、必要に応じて12セグメントの受信も可能なように構成しても良い。
この受信装置2の内部に、地上デジタル放送を受信するための回路等が収容されている。
図1において、この実施形態における受信装置2は、地上デジタルチューナ220が放送を受信することにより得た符号化映像・音声データ、あるいはスロット201に差し込まれたメモリカード3等から読み出した符号化映像・音声データにより、映像を液晶表示パネル202に映し出すとともに、音声をスピーカ203から出力するようになっている。
地上放送受信装置2は、UHF帯用のアンテナ240でキャッチした信号を受けるアンテナ端子206を備えている。アンテナ(ANT)端子206は、地上デジタルチューナ220に接続され、ここでアンテナ端子206に供給された放送信号から所定のチャンネルの信号が選局されて、かつデジタルの放送データに変換されて出力される。地上デジタルチューナ220における選局動作は、デジタル放送受信用システム集積回路20のチューナ制御I/F239から供給される選局信号に基づいて実行される。
デジタル放送受信用システム集積回路20は、例えば、地上デジタル放送の受信処理を行う機能システムを1チップ上に形成したシステムLSIで構成される。このデジタル放送受信用システム集積回路20は、このシステムを制御するためのCPU(CentralProcessing Unit)231、TS分離部232、映像デコーダ部233、オーディオデコーダ部234、チューナ制御I/F239等を備える。
この放送受信用システム集積回路20は、装置2の全体の動作を制御するマイクロコンピュータ(以下、メインマイコンという。)200により、制御される。
メインマイコン200より与えられる選局信号がI/O238を介してデジタル放送受信用システム集積回路20に与えられる。CPU231はこの選局信号に応じてチューナ制御I/F239を制御し、地上デジタルチューナ220に選局信号を供給する。
地上デジタルチューナ220は、映像・音声データを含む高周波デジタル変調信号のうちから指定された周波数の信号を取り出す。更に、この実施形態における地上デジタルチューナ220は、復調、誤り訂正等の処理を行う回路を備え、選択したデジタル変調信号を復調してトランスポート・ストリーム(TS)信号を出力する。復調、誤り訂正等は、例えば、ISDB−T(IntegratedServices Digital Broadcasting - Terrestrial:地上デジタル放送)デコーダにより、復調、誤り訂正等の処理を施し、TS信号として出力される。復調は、OFDM(OrthogonalFrequency Division Multiplexing)に基づいて行われる。
メインマイコン200には、ユーザが操作可能な複数の操作ボタン、カーソルキー(方向キー)、選局ボタン等を備える操作部214、操作キーとしてのリモートコントローラ216が接続されている。操作部214に対する操作情報は、アナログデジタル変換回路(ADC)215を介してメインマイコンに与えられる。ユーザが操作部あるいはリモートコントローラ216を操作することによって、メインマイコン200が選局信号を生成してデジタル放送受信用システム回路20を介して地上デジタルチューナ220に送る。操作キー(リモートコントローラ)216が赤外線通信等によりデータの送受を行う場合には、受信装置2には、赤外線受信ユニットが設けられる。
なお、液晶表示パネル202上に設けたタッチパネルにて前記操作部214の全部又は一部を構成することができる。
また、メインマイコン200は、操作部214及び操作キー(リモートコントローラ)216の操作を受けて、受信装置2全体の動作及び機能の制御を行なうべく動作する。更にメインマイコン200には、この装置の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ218やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM219が接続されている。不揮発性メモリ218としては、フラッシュメモリ、ハードディスクなどが用いられ、RAM219としてはSDRAMなどが用いられる。更に、不揮発性メモリ218には、後述するように、番組情報(EPG)、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リスト等が格納されている。番組情報(EPG)、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リスト等は、フラッシュメモリに限らず、RAMやメモリカードに格納してもよい。
デジタル放送受信用システム集積回路20には、不揮発性メモリ221やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM222が接続されている。この実施形態では、不揮発性メモリ221としては、フラッシュメモリが用いられ、RAM222としてはSDRAMなどが用いられる。不揮発性メモリ221には、デジタル放送受信用システム集積回路動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。
また、例えば、工場出荷時の地域対象リストについては、固定的に保持しておくこととし、変更情報を別に持つこととしても良い。工場出荷時の地域対象リストについては、固定的に保持しておけば、受信装置2のリセットの際に用いることができる。また、内容情報とそれにアクセスするためのリンク情報とを別に持つ形態を採用しても良い。
チューナ220からのトランスポート・ストリーム(TS)信号は、デジタル放送受信用システム集積回路20にTS・I/F回路235を介して入力される。TS・I/F回路235から与えられたTS信号は、内部のTS分離部232に供給される。
TS分離部232では、多重されている番組を構成する映像データ及び音声データを分離抽出する他、付加情報として多重伝送されるNIT(NetworkInformation Table)等を分離抽出する。
TS分離部232で分離された映像データは、映像デコーダ233に供給される。この実施形態においては、符号化映像データは、H.264データとしている。映像デコーダ233は、H.264の符号化映像データを復号し、非圧縮のデジタル映像信号を出力する。この非圧縮のデジタル映像信号がビデオ(Video)出力部236から出力される。また、符号化映像データがMPEG(MovingPicture Experts Group)データである場合には、映像デコーダ233は、MPEGの復号が実行され、非圧縮のデジタル映像信号を出力する。
ビデオ出力部236aから出力される非圧縮のデジタル映像信号は、ビデオエンコーダ204に与えられ、このビデオエンコーダ204にて、液晶表示パネル202の表示形式に対応したビデオ信号にエンコードされ、グラフィックコントローラ205に送出される。
グラフィックコントローラ205では、ビデオエンコーダ204からの映像データ(例えば、R、G、Bデータ)に対して色調整の調整を行う。更に、グラフィックコントローラ205はビデオエンコーダ204の出力に対して、例えば、メインマイコン200から供給されるGUI形式のOSD(OnScreen Display)情報を重畳して液晶表示パネル202に出力する。メインマイコン200からは、操作ボタン、電子プログラム画面、メニュー画面その他の文字情報等が与えられる。
また、TS分離部232で分離された音声データは、オーディオデコーダ234でACC復号処理がなされて非圧縮のデジタル音声データとしてオーディオI/F236bから出力される。
オーディオI/F236bから出力された音声データはDAC(Digital Analog Converter)208でデジタル信号からアナログ信号に変換され、ボリューム制御回路209にて、所定の音量に制御される。そして、アンプ210で増幅され、スピーカ端子211から出力される。スピーカ端子211から出力された音声信号はスピーカ203から出力される。
TS分離部232で分離抽出されたNIT等の付加情報は、I/O238からメインマイコン200に与えられる。
上記各回路は、車載2次電池などからなる電源260により電力が供給される。
図3は、図1の受信装置2に適用されるリモートコントローラ216の具体的キー配列を示す模式図である。リモートコントローラ216は、1〜12の数字キー216aを備える。数字キー216aは、受信装置2の地上デジタルチューナ220の選局キーとして使用される他、数字情報を入力するために使用される。
数字キー216aをチャンネル選局に適用する場合、NIT内に記載されているremote_control_key_idに対応したワンタッチ選局キーとしての機能と、各サービス毎に付された3桁数字そのものを入力して選局を行なうためのダイレクト選局キーとしての機能を有する。
更に、リモートコントローラ216は、選局切換えキー216bと、電源キー216cと、番組表キー216dとメニューキー216eを備える。
選局切換えキー216bは、例えばワンタッチ選局とダイレクト選局とを切換えるためのキーであり、電源キー216cは、受信装置10の電源をオンオフするためのキーであり、番組表キー216dは、番組表いわゆるEPG(ElectronicProgram Guide)を画面表示させるためのキーであり、メニューキー216eは、受信装置2の各種機能を設定するためのメニューを表示させるためのキーである。
更に、リモートコントローラ216には、カーソルキー216fとこのカーソルキー216fの操作で選択された項目を登録するための決定キー216gと、チャンネルを連続的に切換えるためのアップダウンキー216hを備えている。
日本国における地上デジタル放送に関する規定はARIB(Association of Radio Industries and Businesses:社団法人電波産業会)によって制定されている。その内、受信機の機能仕様についてはARIBTR−B14「地上波デジタルテレビジョン放送運用規定技術資料」の第2編に示されている。付加情報は次のように制定されている。
デジタル放送の付加情報に含まれるNIT(Network Information Table)のサービスリスト記述子及びTS(Transport Stream)情報記述子には、Service_idが記載されており、このService_idによって、放送地域とそこで提供されるサービスを特定することが可能となっている。
図4にService_idのデータ構造を示す。図4に示すようにService_idは、16ビットで構成され、最上位側の6ビットが地域識別データ4aを構成し、次の1ビットが県複フラグ4bを構成する。更に、次の2ビットがサービス種別4cを構成し、次の4ビットが地域識別者識別4dを構成し、最下位側の3ビットがサービス番号4eを構成している。
地域識別データ4aは、0〜64の符号で地域を特定するものであり、図5に示すように、0〜9が広域放送を示し、10〜63が県域(県内局)放送を示す。より具体的に示すと、図5のように広域放送は、関東、近畿、中京の他、北海道域、岡山香川、島根鳥取を含む。また、県域放送は、北海道が6に区分けされる他、各県毎に分けられている。図8は関東の広域放送圏を示し、親局、中継局との関係をそれぞれ示している。
また、図4に示す県複フラグ4bは、「0」が、地域識別データ4aで特定される地域で1つのTS、または2つのTSを送出する場合の1つ目のTSであることを特定するデータであり、「1」は、地域識別データ4aで同一事業者によって2つのTSを送出する場合の2つ目のTSを特定するデータである。
更に、サービス種別4cは、放送の種別を示すデータであり、「0」がテレビ型のサービスを示し、「1」あるいは「2」が部分受信サービスを除くデータ型のサービスを示し、「3」が部分受信サービスのデータ型サービスを示している。
また、地域事業者識別4dは、0〜15の符号が事業者A〜Pを特定するデータとして使われる。
更に、サービス番号4eは、0〜7の符号が、当該TS内のサービス種別4c毎に事業者が設定可能な番号を意味するもので、これはいわゆるチャンネル番号のイメージである。
また、地上デジタル放送は、現行のアナログ放送の視聴形態をできるだけ踏襲して、移行の際にユーザに与える違和感を少なくさせようとする配慮がなされている。すなわち、デジタル放送になっても現行の放送事業者がそのまま引き続きサービスを提供するため、現行のチャンネル番号による切換え機能をそのまま使うことができるように、受信機に装備されているリモートコントローラの数字キーを、現行のアナログ放送のチャンネル番号と一致するように割り付ける設定がなされている。
サービスリストを取得するための一般的な手順を以下に示す。
(1)始めに、ユーザが視聴者居住地域を設定する。
(2)スキャン開始指示によって、受信機のチューナの13チャンネルから62チャンネルをサーチしてサービスリストを取得する。
(3)NIT内には、remote_control_key_idを記載して、放送事業
者が望むリモコンキー番号1〜12をTS毎に割り付ける。これによって、TS毎の代表的なサービスがリモコンキーに割り付けられる。
(4)同一TSが検出された場合には、C/N(Carrier/Noise:搬送波電力対ノイズ電力比)やBER((Bit Error Rate)をチェックして優位なキャリアを選択する。
上記の手順により、受信可能チャンネルと選局ポジションを設定する。このチャンネルスキャンにおいては、例えば、物理チャンネルにおける13チャンネルから62チャンネルまでの全てのチャンネルをスキャンすると多くの時間がかかる。この実施形態においては、比較的短い時間でチャンネルスキャンを行うように構成したものである。このため、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リストを不揮発性メモリ218に格納し、チャンネルスキャンの際に利用している。
次に、不揮発性メモリ218に格納される地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リストを説明する。
(A)地域対象放送局リスト
地域対象放送局リストは、地域毎に受信可能な(可能とされる)放送局情報を記載したリストであり、一例として次の内容を有する。
(a)受信機地域:地域を区別するために用いられる番号である(地域識別と同じ数字を用いている)。
(b)TS_ID:放送局毎に一意に決められる識別子である。日本では、ISTB−Tの場合、総務大臣が各放送局に対して一意に決定している。尚、放送データ内のNITで当該放送局の情報が記述されており、NITを受信することにより、受信している放送波の放送局名が判別できる。
(c)TS名:放送局名である。ISTB−Tの場合、放送データ内のNITで記述されている。
(d)親局物理チャンネル:放送局の親局の物理チャンネルである。親局なので、一番放送エリアが広いと考えられる。親局の物理チャンネルは総務省より公表されている。
(e)Last Tuning物理チャンネル:最後に選局やスキャンが成功したときの物理チャンネルである(初期値として親局物理チャンネルを設定しても良い)。
(f)周波数情報:MFN(Multi Frequency Network)の場合、中継局の周波数(物理チャンネル番号)も含め、その放送局の放送周波数が全て記載されている。ISTB−Tの場合NIT内に記述されている。尚、工場出荷値としては総務省が公表している親局及び中継局の物理チャンネル(周波数)を記載しておく。但し、総務省公表試料ではNHK総合・NHK教育以外の放送局に関しては、放送局毎の周波数は明記されずに、当該地域の民放全体の中継局が記載されているだけなので、例えば、当該地域の中継局周波数全てを記載しておく。NITを受信した際に、NIT内の周波数情報で更新することで最新に保ってもよい。工場出荷状態では、スキャン対象の放送局以外の周波数もスキャンするために時間がかかる可能性があるが、2回目からはNIT記載の周波数情報を使うために、スキャン対象放送局の中継局の周波数のみを保持することが可能である。
(g)地域識別:放送局の放送対象の地域である。NIT部分受信記述子内のサービスIDの上位6ビットに存在する。
(h)スキャン成功フラグ:スキャンによって該当の放送局の物理チャンネルを検出できた場合に、セット(ON)されるフラグである。スキャンを実行する前に、スキャン対象の放送局についてはリセット(OFF)しておく。スキャン時に取得したNIT内のTS_IDに基づいて、TS_IDの放送局のスキャンが成功したと判断し、該当する放送局のフラグをセットする。フラグは、放送局に対応して、図7に示すように、メモリのフラグ領域にセットされる。セットの場合「1」が、リセットの場合「0」が記憶されることになる。
地域対象放送局リストにおける東京地域の記憶内容は、例えば、図7に示すようになる。尚、この図7では、工場出荷時の記憶内容を示しており、チャンネルスキャンによって、NITを取得すると、記憶内容は変化する場合がある。また、上記例示した記憶内容の全てが必須となるものではない。例えば、TS_IDが存在すれば、TS名は無くても良い。物理チャンネル番号と周波数とは対応関係が存在するので、これらのうちの一方だけが存在することとしても良い。図7においては、民放局の中継チャンネル(周波数情報)の具体的内容は省略している。
また、地域対象放送局リストの作成においては、以下の点に留意するとよい。受信機の場所(位置)によっては、隣接県の放送局も受信できる可能性があるため、受信機が位置する地域以外の放送局が受信できるようであれば、予め受信機が位置する地域で受信できる放送局を当該受信地域に登録しておく。例えば、東京でも「ちばテレビ」が受信できる場合もあるので、工場出荷段階では、受信地域「東京」にも「ちばテレビ」を登録しておく(図7参照)。地域外の放送局については、工場出荷段階では、親局チャンネルのみ登録しておいても良い。チャンネルスキャンでNITが取得できたときに中継局チャンネルを登録すればよい。
(B)スキャン済み物理チャンネル管理リスト
地域によっては、異なる放送局が同一物理チャンネルを使用する場合がある。但し、受信エリアは重複しない。スキャンを実行する際に、既にスキャンを試みた周波数を管理するためのリストを保持する。このリストをこの実施形態では、スキャン済み物理チャンネル管理リストという。このスキャン済み物理チャンネル管理リストは、図6に示すように、各物理チャンネルの番号とフラグとを対応させている。そして、チャンネルスキャン処理を実行する前に、全てのフラグをリセット(OFF)する。すなわち、スキャン済み物理チャンネル管理リストを設けることにより、チャンネルスキャンに際して、同じチャンネルを重複してスキャンする事態を防止することができる。
次に、図9のフローチャートに基づいて、チャンネルスキャン処理を説明する。このフローチャートは、メインマイコン200の制御動作を中心にして説明している。
このチャンネルスキャン処理は、移動のために、放送受信が行えなくなったときに、自動的に或いはユーザのスキャン指示操作によって実行される。
まず、メインマイコン200は、受信機地域の特定を行う(ステップS1)。この受信機地域特定は、例えば、操作部214または操作キー216を用いてその指示を行う。操作部214または操作キー216に受信機地域特定を指示するボタンを設けるか、或いは、複数のキーを押下すると受信機地域特定処理を指示するように設定しておき、メインマイコン200は、この特定するための指示があると、受信機地域特定処理に入る。例えば、受信機地域を特定するためのキーが押されたことをメインマイコン200が検出すると、液晶表示パネル202の画面上に、「東京」、「千葉」、「埼玉」といったリストが表示される。
例えば、ユーザは自身の知識に従って、現在位置が何処であるかを判断し、該当地域を指定する。この該当地域の指定は、タッチパネルを実装している場合には、該当する地域の表示箇所をタッチして指定する。また、カーソルを該当する地域の表示箇所に移動させ、決定ボタン等を押すことで、該当地域を指定するように構成しても良い。
この場合、「東京」=23、「千葉」=27、「埼玉」=29といった、地域番号対応テーブルを不揮発性メモリ218に保持しておくこととする。
次に、メインマイコン200は、スキャン済み物理チャンネル管理リストを不揮発性メモリ218より読み出し、ワークメモリとしてのRAM219に書き込み、フラグ領域をクリア(リセット)する(ステップS2)。更に、指定された該当地域に従い、メインマイコン200は、不揮発性メモリ218より、該当する地域の図7に示す地域対象放送局リストによる該当地域の記憶内容を読み出し、このデータに基づく処理を行うため係る記憶データをRAM219に格納するととともに、スキャン成功フラグ領域をリセットする(ステップS3)。
次に、前記RAM219に格納された地域対象放送局リスト内の前記特定された受信機地域に登録されている放送局を順番に読み出してスキャン対象とする(ステップS4)。この地域対象放送局リストが図7に示している状態で格納され、図7の上の方が上位のアドレスとし、下の方が下位のアドレスとすると、例えば、上位のアドレスから下位のアドレスへと順番に読み出してスキャン対象とする。
続いて、スキャン対象となる放送局を全てスキャンしたか否かメインマイコン200が判断する。スキャンすべき放送局があれば、ステップS6へ進み、スキャン対象となる全ての放送局のスキャンが終了すれば、ステップS14へ進む。ステップS14では、スキャン動作を終了する。この判断は、RAM219に格納されたスキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグを判断することにより行われる。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS6へ進む。そして、メインマイコン200は、RAM219に書き込まれている地域対象放送局リストを検索する。そして、当該スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されているか否か判断する。この判断は、該当する放送局のスキャン成功フラグ領域のフラグの状態を見ることで判断される。当該フラグがセットされていたら、再度スキャンする必要が無いので、ステップS4へ戻る。
最初のスキャンにおいては、ステップS3において、スキャン成功フラグのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS7へ進む。
次に、スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセットされていない(OFF)場合には、放送局毎のスキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネル、親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)の順番にチューナを設定する(ステップS7)。このステップS7では、スキャンすべき物理チャンネルとして設定した物理チャンネルは、次のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。すなわち、まず、最初にラストチューニング(LastTuning)物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、親局物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、親局物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、周波数情報をスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、周波数情報がこの物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。周波数情報の全てが設定されると、ステップS7では、スキャン対象となる周波数が無くなることになる。
そして、これらチャンネルの全てについて処理が終了したかどうか、即ち、スキャン対象周波数がないかどうか判断し(ステップS8)、スキャン対象周波数が無ければステップS4へ戻る。
一方、スキャン対象周波数があれば、ステップS9へ進み、ステップS7において設定された周波数(チャンネル)がスキャン済みかどうかを前記スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグにより判断する。スキャン済みフラグがセットされている判断すると、ステップS7に戻り、次の周波数を設定する。
最初のスキャンにおいては、ステップS7において、メインマイコン200は、スキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルの周波数をデジタル放送受信用システム集積回路230に指示する。ステップS8においては、スキャンする対象の周波数が有るので、ステップS9に進む。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS11へ進む。
ステップS9でスキャン済みでないと判断されたときは、スキャン済み物理チャンネル管理リストのスキャン済みフラグをセット(ON)し、デジタル放送受信用システム集積回路230のチューナ制御部239が地上デジタルチューナ220にステップS7において設定された周波数を設定する。そして、放送データを取得し、そのデータの解析を行う(ステップS10)。この放送データを取得する時間には、タイムアウト時間を設定しておき、この時間内に放送データが取得できないときにはタイムアウトとし、次のステップへ進む。このスキャン時タイムアウト時間は、例えば、3秒程度とする。
続いて、メインマイコン200は解析した放送データからNITを取得できたかどうか判断する(ステップS11)。取得できなければ、ステップS7に戻る。
NITを取得できたときには、メインマイコン200は、このTS_IDに基づいて、「地域対象放送局リスト」内のTS_IDの放送局のスキャン成功フラグをセット(ON)する(ステップS12)。
そして、取得したNIT内のTS_IDより、受信した放送波がスキャン対象放送局かどうか判断し、対象放送局であった場合は、当該放送局にスキャン候補の他の物理チャンネル(親局物理チャンネル、周波数情報)が存在していてもスキップする(すなわち、ステップS4に戻る)。一方、対象放送局がなければ、ステップS7に戻る。
上記ループ処理において、受信地域の全放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)になる。すなわち、ステップS5でYESとメインマイコン200が判断すると、当該受信地域で受信可能な放送局は全てスキャンが成功したとしてスキャン処理は終了することになる(ステップS14)。また、スキャンすべきチャンネルがなくなったときもスキャン処理を終了する。すなわち、リスト上の全ての放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されていなかったとしても、ビルの陰や高速移動等の影響でたまたまスキャンが成功しなかったと考えられ、この場合もスキャン処理を終了する。
スキャン処理が終了すると、RAM219上の書き換えられた地域対象放送局リストに基づいて、不揮発メモリ218の該当する地域対象放送局リストを書き換えて、最新の地域対象放送局リストとして保存される。
ここで、例えば、東京地域において初めてチャンネルスキャンがなされたときを説明する。東京地域における地域対象放送局リストは工場出荷のままである。まず、親局チャンネルである27CHが選局される(図7参照)。27CHでNITが取得でき、且つこのNITで「7FE0」が取得できれば、地域対象の放送局リストにおける東京地域の27CHのスキャン成功フラグをセット(ON)する。そして、スキャン済み物理チャンネル管理リストの27CHのフラグもセット(ON)し、次のチャンネルである26CHを選局する(ステップS4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S11→S12→S13→S4)。また、取得したNITによって周波数情報は書き換えられることがある。また、ラストチューニング物理チャンネルは27CHとなる。次回の東京地域でのチャンネルスキャンでは、親局チャンネルではなく、ラストチューニング物理チャンネルを用いることができる。
上記の前提において、27CHでNITが取得できなかったとき、周波数情報における27CHの選局を行おうとするが(図7、図8参照)、27CHはすでにスキャン済みである。スキャン済み物理チャンネル管理リストの27CHはフラグがセット(ON)されている。このため、周波数情報における40CHの選局を行い、NITが取得できなければ、次の26CHを選局する処理に進むことになる。
同前提において、27CHでNITが取得できず且つ周波数情報におけるチャンネルとして仮に21CHがあると仮定する。そして、21CHの選局によって「7FE4」が取得できたとする。「「7FE4」は民放のTS_IDであり、当該放送局についてのチャンネルスキャンが実行できたことになる。そして、この民放の21CHのNITで周波数情報が得られたとしたなら、当該21CHにおける周波数情報を書き換えることになる。その後、次のチャンネルである26CHを選局することになる。そして、26CH→25CH→22CH→21CHと親局チャンネルの選局が進むことになる。しかし、前記21CHはすでにスキャン済みであるので、ステップS9でスキップされる。また、次回のチャンネルスキャンで21CHが不成功になったとき、前記21CHのNITから取得した周波数情報を用いてスキャンを行うことができる。
このように、この実施形態のチャンネルスキャン処理は、番号順に全ての物理チャンネル(放送局が存在しうる全ての物理チャンネル)のスキャンを行っていくものではない。この結果、チャンネルスキャンに要する時間は短く済む。
なお、前記スキャン済み物理チャンネル管理リストを持たない構成も採用できる。この場合、重複スキャンが生じてしまうが全ての物理チャンネルのスキャンを行う場合に比べるとスキャン時間は短くなる。また、たまたまビルの陰などであるチャンネルのスキャンが成功できなかった場合においては、上記重複スキャンによってスキャンが成功する場合もある。
また、当初は工場出荷時のリスト内容に従うが、NITを取得ができればその内容に従って前記リストの内容を書き換える処理が行われ、リストの内容は最新の内容に保たれる。そして、他の地域から再び東京地域に入ってチャンネルスキャンが実行されるときには、前記最新のリスト内容によってスキャンが実行されることになる。
また、上記の例では、チャンネルリストとして各地域ごとの受信可能推定放送局の物理チャンネルの情報が予め格納された地域対象放送局リストを備えたが、これに限るものではない。前記チャンネルリストは、ユーザによって入力された物理チャンネルの番号に基づいて作成されるものでも良い。例えば、ユーザ自身が記憶している放送局の物理チャンネルの番号を受信装置2に記憶させて前記リストを作成させることとしても良い。この場合、13CH〜63CHの全チャンネルを入力することを許可しないこととし、例えば、10個程度のチャンネルの入力を許可するように構成できる。
次に、この発明の第2の実施形態につき、図10に従い説明する。この第2の実施形態は、第1の実施形態に更にカーナビゲーションの機能を追加したものである。図1に示す実施形態とは、カーナビゲーション機能を追加した以外は、同じ構成である。ここでは、説明の重複を避けるために、追加した機能の部分につき説明し、第1の実施形態と同じ構成には同じ符号を付し説明を割愛する。
図10は、この発明の地上デジタル放送受信装置の第2の実施の形態を示す回路構成図である。図10に示すように、第2の実施の形態は、ナビゲーション部5と受信装置2とが接続されている。
これらナビゲーション部5ならびに受信装置2はそれぞれ、液晶表示パネル221、操作部214、操作キー216、スピーカ221などのほか、相手と接続するための接続部I/O238、502よって互いに接続される。
この実施形態におけるナビゲーション部5は、CPU501を備えたナビゲーション集積回路50を備える。ナビゲーション集積回路50には、この装置の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ52やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM51が接続されている。不揮発性メモリ52としては、フラッシュメモリ、ハードディスクなどが用いられ、RAM51としてはSDRAMなどが用いられる。このナビゲーション集積回路50は、不揮発性メモリ52に格納されたプログラムにより、現在位置検出と判断の動作を行う。
この実施形態においては、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信ユニット53から得られる航法データに基づいて、現在位置を検出する。GPS受信ユニット53は、GPSアンテナ55から得られた衛星からの信号をアンテナ端子54から受け取り、現在の位置を検出する。
また、ナビゲーション集積回路50は、検出した現在位置がどのエリアに属するかCPU501により判断し、その判断結果をエリア情報として、I/O502から受信装置2へ伝達する。
ナビゲーション情報を音声で伝達する場合には、ナビゲーション集積回路50は対応する音声データを作成し、オーディオI/503から音声データが出力される。オーディオI/F505から出力された音声データはDAC505でデジタル信号からアナログ信号に変換され、ボリューム制御回路209にて、所定の音量に制御される。そして、アンプ210で増幅され、スピーカ端子211から出力される。スピーカ端子211から出力された音声信号はスピーカ203から出力される。
さて、この第2の実施形態においては、受信機地域特定のために、ナビゲーション部5で検出したエリア情報を用いる。図9のフローチャートにおけるステップ1の受信機地域の特定をナビゲーション部5から得られるエリア情報を用いる。上記したように、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信ユニット53から得られる航法データに基づいて、現在位置を検出する。そして、出した現在位置がどのエリアに属するかCPU501により判断し、その判断結果をエリア情報として、I/O502から受信装置2へ伝達する。メインマイコン200は、得られたエリア情報に基づき受信機地域を特定する。そして、前述したステップS3〜S14の動作を行いチャンネルスキャン処理が行われる。
次に、この発明の第3の実施形態につき、図11に従い説明する。この第3の実施形態は、第2の実施形態に、通信手段を付加したものである。図10に示す実施形態とは、メモリカード3を通信SDカード3bに替えたものである。その他の部分は同じ構成である。ここでは、説明の重複を避けるために、追加した機能の部分につき説明し、第1、第2の実施形態と同じ構成には同じ符号を付し説明を割愛する。
この第3の実施形態は、通信SDカード3bをスロット221に装着し、無線LANにおける通信が行えるように構成したものである。通信SDカード3bによる通信手段により、前記GPS等により取得された現在の受信機地域を通信相手先(例えば、インターネット上の所定のサイト)に送信し、この通信相手先から現在の受信機地域の放送局の物理チャンネルの情報の伝送を受けて前記チャンネルリストを作成するように構成することができる。
次に、この発明の第4の実施形態につき、図12に従い説明する。この第4の実施形態は、携帯電話端末に地上デジタル放送受信装置を内蔵したデジタル放送受信装置である。この第4の実施形態におけるデジタル放送受信部の構成は基本的には図1に示す実施形態と同じである。ここでは、説明の重複を避けるために、同様の構成の部分には同じ符号を付し説明を割愛する。
図14は、この発明の地上デジタル放送受信装置の第4の実施の形態を示す回路構成図である。
携帯電話の主要部6は、アンテナ61、携帯電話の変復調、ベースバンド処理、コーディック処理などを行うベースバンド集積回路6を備える。ベースバンド集積回路6には、CPU600、バスI/F602、オーディオI/F601等を備える。
ベースバンド集積回路60からのデータはバスI/F602からデジタル集積回路230のホストI/F238bを介してCPU231等に与えられる。
アンテナ61により携帯電話基地局と電波を送受信するものである。アンテナ61はアンテナ端子62に接続されている。受信した信号はRF回路63を介してベースバンド集積回路60に与えられる。送信するデータはベースバンド集積回路60からRF回路63、アンテナ端子62、アンテナ61から携帯電話基地局に送信される。
ベースバンド集積回路60には、ベースバンド集積回路60の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ64やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM65が接続されている。不揮発性メモリ64としては、フラッシュメモリなどが用いられ、RAM65としてはSDRAMなどが用いられる。
ベースバンド集積回路60には、マイク68からの音声データがアナログデジタル変換回路(ADC)69でデジタル変換された音声データが与えられる。この音声データがコーディック処理、ベースバンド処理、変調処理され、送信される。
受信した音声データはベースバンド集積回路60で所定の処理が行われ、音声データとしてオーディオI/F601から出力される。オーディオI/F601から出力された音声データはDAC67でデジタル信号からアナログ信号に変換され、ボリューム制御回路209にて、所定の音量に制御される。そして、アンプ210で増幅され、スピーカ端子211から出力される。スピーカ端子211から出力された音声信号はスピーカ203から出力される。
携帯電話には、テンキーなどを備えた操作キー70を有し、かかる操作キーを用いてダイヤルやその他の操作指示を行う。
携帯電話は、携帯電話回線を使用して、デジタル放送受信装置との間で、映像コンテンツ、オーディオコンテンツや位置情報などの様々な情報を取得することができる。
この第4の実施形態と第1の実施形態と相違するところは、第1の実施形態においては、メインマイコン200が受信装置2の動作を制御していたのに対し、この第4の実施形態においては、デジタル放送受信用集積回路20のCPU231がチャンネルスキャン処理動作を含め放送受信用の動作を制御する。
この第4の実施形態においては、デジタル放送受信用集積回路20にこの装置の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ221やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM222が接続されている。不揮発性メモリ221としては、フラッシュメモリなどが用いられ、RAM222としてはSDRAMなどが用いられる。更に、不揮発性メモリ221には、上記したように、番組情報(EPG)、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リスト等が格納されている。
上記の動作は図9のフローチャートに従い行われるが、第1の実施形態とは、メインマイコン200の制御とCPU231の制御と相違する点もあるので、図9に従いこの第4の実施形態の動作につき簡単に説明する。
次に、図9のフローチャートに基づいて、チャンネルスキャン処理を説明する。この実施形態では、CPU231の制御動作を中心にして説明している。
このチャンネルスキャン処理は、移動のために、放送受信が行えなくなったときに、自動的に或いはユーザのスキャン指示操作によって実行される。
まず、CPU231は、受信機地域の特定を行う(ステップS1)。この受信機地域特定は、携帯電話6から得られる位置情報や操作キー70を用いてその指示を行う。CPU231は、この特定するための指示があると、受信機地域特定処理に入る。例えば、受信機地域を特定するためのキーが押されたことをCPU231が検出すると、液晶表示パネル202の画面上に、「東京」、「千葉」、「埼玉」といったリストを表示する。
次に、CPU231は、スキャン済み物理チャンネル管理リストを不揮発性メモリ221より、読み出し、ワークメモリとしてのRAM222に書き込み、フラグ領域をクリア(リセット)する(ステップS2)。更に、指定された該当地域に従い、メインマイコン200は、不揮発性メモリ218より、該当する地域の図7に示す地域対象放送局リストによる該当地域の記憶内容を読み出し、このデータに基づく処理を行うため係る記憶データをRAM222に格納するととともに、スキャン成功フラグ領域をリセットする(ステップS3)。
次に、前記RAM219に格納された地域対象放送局リスト内の前記特定された受信機地域に登録されている放送局を順番に読み出してスキャン対象とする(ステップS4)。
続いて、スキャン対象となる放送局を全てスキャンしたか否かメインマイコン200が判断する。スキャンすべき放送局があれば、ステップS6へ進み、スキャン対象となる全ての放送局のスキャンが終了すれば、ステップS14へ進む。ステップS14では、スキャン動作を終了する。この判断は、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグを判断することにより行われる。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS6へ進む。そして、CPU231は、当該スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されているか否か判断される。この判断は、該当する放送局のスキャン成功フラグ領域のフラグの状態を見ることで判断される。当該フラグがセットさ
れていたら、再度スキャンする必要が無いので、ステップS4へ戻る。
最初のスキャンにおいては、ステップS3において、スキャン成功フラグのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS7へ進む。
次に、スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセットされていない(OFF)場合には、放送局毎のスキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネル、親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)の順番にチューナの設定する(ステップS7)。このステップS7では、スキャンすべき物理チャンネルとして設定した物理チャンネルは、次のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。すなわち、まず、最初にラストチューニング(LastTuning)物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、親局物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、親局物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、周波数情報をスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、周波数情報がこの物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。周波数情報の全てが設定されると、ステップS7では、スキャン対象となる周波数が無くなることになる。
これらチャンネルの全てについて処理が終了したかどうか、即ち、スキャン対象周波数がないかどうか判断し(ステップS8)、スキャン対象周波数が無ければステップS4へ戻る。
一方、スキャン対象周波数があれば、ステップS9へ進み、ステップS7において設定された周波数(チャンネル)がスキャン済みかどうかを前記スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグにより判断する。スキャン済みフラグがセットされている判断すると、ステップS7に戻り、次の周波数を設定する。
最初のスキャンにおいては、ステップS7において、CPU231は、スキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルの周波数をデジタル放送受信用システム集積回路230に指示する。ステップS8においては、スキャンする対象の周波数が有るので、ステップS9に進む。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS11へ進む。
ステップS9でスキャン済みでないと判断されたときは、スキャン済み物理チャンネル管理リストのスキャン済みフラグをセット(ON)し、デジタル放送受信用システム集積回路20のチューナ制御部239が地上デジタルチューナ220にステップS7において設定された周波数を設定する。そして、放送データを取得し、そのデータの解析を行う(ステップS10)。この放送データを取得する時間には、タイムアウト時間を設定しておき、この時間内に放送データが取得できないときにはタイムアウトとし、次のステップへ進む。このスキャン時タイムアウト時間は、例えば、3秒程度とする。
続いて、CPU231は解析した放送データからNITを取得できたかどうか判断する(ステップS11)。取得できなければ、ステップS7に戻る。
NITを取得できたときには、CPU231は、このTS_IDに基づいて、「地域対象放送局リスト」内のTS_IDの放送局のスキャン成功フラグをセット(ON)する(ステップS12)。
そして、取得したNIT内のTS_IDより、受信した放送波がスキャン対象放送局かどうか判断し、対象放送局であった場合は、当該放送局にスキャン候補の他の物理チャンネル(親局物理チャンネル、周波数情報)が存在していてもスキップする(すなわち、ステップS4に戻る)。一方、対象放送局がなければ、ステップS7に戻る。
上記ループ処理において、受信地域の全放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)になる。すなわち、ステップS5でYESとCPU231が判断すると、当該受信地域で受信可能な放送局は全てスキャンが成功したとしてスキャン処理は終了することになる(ステップS14)。また、スキャンすべきチャンネルがなくなったときもスキャン処理を終了する。すなわち、リスト上の全ての放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されていなかったとしても、ビルの陰や高速移動等の影響でたまたまスキャンが成功しなかったと考えられ、この場合もスキャン処理を終了する。
スキャン処理が終了すると、RAM222上の書き換えられた地域対象放送局リストに基づいて、不揮発メモリ221の該当する地域対象放送局リストを書き換えて、最新の地域対象放送局リストとして保存される。
上記したように、携帯電話端末に地上デジタル放送受信装置を内蔵したデジタル放送受信装置において、チャンネルスキャンを高速に行える。
上記第4の実施形態においては、携帯電話という通信手段を備えているので、現在の受信機地域を通信相手先(例えば、インターネット上の所定のサイト)に送信し、この通信相手先から現在の受信機地域の放送局の物理チャンネルの情報の伝送を受けて前記チャンネルリストが作成されることとしても良い。
次に、この発明の第5の実施形態につき、図13に従い説明する。この第5の実施形態は、携帯電話端末に地上デジタル放送受信装置を内蔵したデジタル放送受信装置である。この第5の実施形態は、第4の実施形態がデジタル放送受信部と携帯電話の集積回路を別チップに構成したのを1チップ化したものである。即ち、デジタル放送受信用集積回路20aにベースバンド処理回路の構成を組み合わせたものである。それ以外の構成は基本的には図12に示す実施形態と同じである。ここでは、説明の重複を避けるために、同様の構成の部分には同じ符号を付し説明を割愛する。
ところで、ISDB−Tでは、放送波を使ったダウンロード機能があるため、放送波によるダウンロードで前記チャンネルリストの作成/更新を行っても良い。
また、例えば、編集ボタンといったボタンを備え、このボタンが押下されたときに、前記チャンネルリストの編集モードとなるように構成されても良い。この編集モードでは、前記チャンネルリスト中のある物理チャンネルを特定してその消去を行ったり、ユーザが知り得ている放送局の周波数を物理チャンネルの番号を入力して、チャンネル追加しても良い。物理チャンネルの特定は、例えば、番号上にカーソルキーを載せて行えばよい。
また、上記の例では、親局の物理チャンネルでスキャンが成功したときには、その中継局の物理チャンネルのスキャンは実行しない。そして、前記親局の物理チャンネルでスキャンが成功しなかった時には、その中継局の物理チャンネルのスキャンを実行することとしたが、これに限るものではない。例えば、東京地域における前記ちばテレビのように、域外放送局については、親局の物理チャンネルでスキャンが成功しなかった場合でも、その中継局の物理チャンネルのスキャンを実行しないこととしても良い。域外の放送局についてまで中継局の物理チャンネルのスキャンを行うと、チャンネルスキャンに要する時間が長くなる割にはスキャンが成功する率は低いであろうと思われるからである。
(全チャンネルスキャン)
例えば、地域対象放送局リストの当該受信機地域である放送局のスキャンが成功しなかった場合、未スキャンの物理チャンネル当該放送局が移行した可能性がある。全チャンネルスキャンを行うことで、残りの未スキャンの物理チャンネルを確かめることができる。このように、この全チャネルスキャンモード行うことで、新たな放送局や他の周波数に移行した放送局を見つけることができる。全チャンネルスキャンを行う場合は、例えば、図4のフローチャートにおいて、ステップS14のスキャン終了に替えて、全チャンネルスキャンモードに移行すればよい。この全チャンネルスキャンモードでは、スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルについて、スキャンを行っていけばよい。スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルについては、フラグが未セット(OFF)となる物理チャンネルを検索することで把握できる。スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルを、例えば、物理チャンネルの番号が小さい順に物理チャンネルを選択してスキャンを行って行けばよい。
更に、全チャンネルスキャンにおいては、スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルについて、チャンネルリスト(例えば、地域対象放送局リスト)に登録されている各物理チャンネルのスキャン時タイムアウト時間(例えば、3秒程度とする)よりも、前記フラグ未セットの物理チャンネルについてのスキャン時タイムアウトの時間を短くする(例えば、1.5秒〜2秒程度とする)こととしても良い。このように、チャンネルリストに登録されている以外の物理チャンネルについてスキャン時タイムアウトの時間を短くすることで、高速な全チャンネルスキャンを実現できる。
また、地域識別には、サービス識別に含まれる6ビットの地域識別(area_code)と、NITの地上分配記述子に存在する12ビットの地域識別(area_code)とがあり、どちらを用いても良い。但し、両者の値は同じ地域に該当する場合でも異なったものとなる。例えば、関東広域の地域識別の値は、6ビット情報では、「1」であるのに対して、12ビット情報では「1445」である。どちらも地域識別する情報として用いることができるが、矛盾が生じないように、どちらか一方だけを用いるのがよい。
地上デジタル放送の規格は、上記した日本方式のISDB−T以外にも、北米方式である「ATSC」(Advanced Television SystemsCommittee)、欧州方式の「DVB−T」(Digital Video Broadcasting Terrestrial)がある。これらの方式においてもこの発明は適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明のデジタル放送受信装置は、特にモバイルに用いて好適である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第1の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の正面図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置に適用されるリモートコントローラの具体的キー配列を示す模式図である。
地上デジタル放送で伝送されるサービス識別情報の構成を示す図である。
各地域の広域放送局対応表を示した説明図である。
チャンネルスキャン済み物理チャンネル管理リストを例示した説明図である。
東京地域の地域対象放送局リストを例示した説明図である。
関東広域圏の東京の物理チャンネル情報を示した説明図である。
この発明の処理内容を示したフローチャートである。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第2の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第3の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第4の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第5の実施の形態を示す回路構成図である。
符号の説明
2 デジタル放送受信装置
20 デジタル放送受信用システム集積回路
200 メインマイコン
202 液晶表示パネル
203 スピーカ
220 地上デジタルチューナ
221 不揮発性メモリ
222 RAM
231 CPU
232 TS分離部
233 映像デコーダ
234 オーディオデコーダ
この発明は、地上デジタル放送受信装置に関し、受信装置のチャンネルスキャンを高速に行えるデジタル放送受信装置に関するものである。
地上波テレビジョン放送は、日本においては、2003年末に一部の地域でデジタル信号による放送が開始され、2006年にはそれが全国に拡大されて実施されることが決定している。
地上デジタル放送は、UHF(Ultra-High Frequency)帯を用いて実施されることになっており、その物理チャンネルは13チャンネルから62チャンネルまでとなる。したがって、現行のアナログ放送を標準的に実施しているVHF(VeryHigh Frequency)帯に対して、大幅にチャンネル数が増加する。
現在実施されているテレビジョン放送は、各地域毎に放送チャンネルが固定されており、ユーザは、テレビジョン受信機を新規に購入等した場合、設定場所(居住地域)を特定する例えば郵便番号等を受信機に入力することによって、その地域で受信可能なチャンネルを選局ポジションにセットすることができるように構成されている。この目的のため、テレビジョン受信機には地域毎に、受信可能チャンネルと選局ポジションの対応表が日本全国の分予め記憶されている。
地上デジタル放送もアナログ信号による地上波放送と同様に各地に配置された複数の放送局によって放送が行われる。このため、地上デジタル受信装置においても設定場所(居住地域)を特定し、その地域で受信可能なチャンネルを選局ポジションにセットすることが行われている。
地上デジタル放送受信機の場合、放送信号に多重されて伝送される付加情報に基づいて、受信チャンネルの放送事業者(放送局)等を特定することができる。
受信装置が設置される居住地を実際に受信した放送信号に基づいて設定でき、その設定した居住地域に基づいて、リモートコントローラの数字キーの割り付けを行う装置が提案されている。
特開2005−79861号公報
しかし、車載型の移動体や携帯電話向けの地上デジタル放送受信装置では、受信場所は固定ではなく、仮に初期設定しても走行等により頻繁に受信地域が変化することになる。受信地域が変化すると、いままで受信できていた放送がその後は受信できなくなるといった不都合が生じる。このような場合には、自動的あるいはユーザによる指示操作に基づいて、チャンネルスキャンを行い受信可能チャンネルと選局ポジションを設定することが考えられる。このチャンネルスキャンにおいては、例えば、物理チャンネルにおける13チャンネルから62チャンネルまでの全てのチャンネルを順次スキャンすることとなる。全てのチャンネルをスキャンすると多くの時間がかかるという難点がある。
この発明は、上記の事情に鑑み、比較的短い時間でチャンネルスキャンが行えるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
この発明のデジタル放送受信装置は、地域により受信可能な放送局が異なる地上デジタル放送を受信するデジタル放送受信装置において、地上デジタル放送を受信するチューナによって複数の放送を受信する受信手段と、現在地域を示す情報を取得する現在地域取得手段と、地域に存在しうる放送局の物理チャンネル情報を地域毎に作成したチャンネルリストと、前記現在地域取得手段にて取得した地域におけるチャンネルリストに登録されている物理チャンネルについて前記受信手段から得られる放送データに基づきチャンネルスキャンを行うチャンネルスキャン手段と、を備えたことを特徴とする。
上記の構成によれば、或る地域でのチャンネルスキャンにおいて、放送局が存在しうる物理チャンネル数より少ない数の物理チャンネルの情報に基づいて、チャンネルスキャンを行うので、比較的短い時間でチャンネルスキャンが行えることになる。
前記チャンネルリストは、各地域毎の受信可能推定放送局リストで構成することができる。
また、前記チャネルスキャンの実行でスキャン実行済みのチャンネルについてはそのことを示すフラグをセットするチャンネルスキャン時フラグ設定手段を備えるように構成すると良い。
そして、前記スキャン実行済みを示すフラグがセットされたチャンネルについては、前記該当チャンネルのスキャンをスキップさせるように構成すると良い。
また、前記チャネルスキャンの実行でスキャンが成功したチャンネルについてはそのことを示すフラグをセットするスキャン成功フラグ設定手段を備えるように構成すると良い。
また、前記スキャン成功フラグがセットされたチャンネルについては、前記該当チャンネルのスキャンをスキップさせるように構成すると良い。
また、この発明は、通信手段を更に備え、前記現在地域取得手段により取得された現在地域を前記通信手段にて通信相手先に送信し、この通信相手先から現在地域の放送局の物理チャンネル情報の送信を受けて前記チャンネルリストを作成するように構成すると良い。
この発明によれば、比較的短い時間でチャンネルスキャンが行えるという効果を奏する。
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
図1は、この発明の地上デジタル放送受信装置の第1の実施の形態を示す回路構成図、図2は、この発明の地上デジタル放送受信装置の正面図である。この実施形態は、車載型の地上デジタル放送受信装置に適用したものである。
図2に示すように、受信装置2の正面に、液晶表示(LCD)パネル202の表示画面とその下側に操作部214を構成する各種ボタン214a、214b、214cが設けられている。受信装置2の上部にはアンテナ240が回転自在に取り付けられている。この受信装置は、地上デジタル放送の1セグメント(ワンセグメント)放送を受信するものである。尚、必要に応じて12セグメントの受信も可能なように構成しても良い。
この受信装置2の内部に、地上デジタル放送を受信するための回路等が収容されている。
図1において、この実施形態における受信装置2は、地上デジタルチューナ220が放送を受信することにより得た符号化映像・音声データ、あるいはスロット201に差し込まれたメモリカード3等から読み出した符号化映像・音声データにより、映像を液晶表示パネル202に映し出すとともに、音声をスピーカ203から出力するようになっている。
地上放送受信装置2は、UHF帯用のアンテナ240でキャッチした信号を受けるアンテナ端子206を備えている。アンテナ(ANT)端子206は、地上デジタルチューナ220に接続され、ここでアンテナ端子206に供給された放送信号から所定のチャンネルの信号が選局されて、かつデジタルの放送データに変換されて出力される。地上デジタルチューナ220における選局動作は、デジタル放送受信用システム集積回路20のチューナ制御I/F239から供給される選局信号に基づいて実行される。
デジタル放送受信用システム集積回路20は、例えば、地上デジタル放送の受信処理を行う機能システムを1チップ上に形成したシステムLSIで構成される。このデジタル放送受信用システム集積回路20は、このシステムを制御するためのCPU(CentralProcessing Unit)231、TS分離部232、映像デコーダ部233、オーディオデコーダ部234、チューナ制御I/F239等を備える。
この放送受信用システム集積回路20は、装置2の全体の動作を制御するマイクロコンピュータ(以下、メインマイコンという。)200により、制御される。
メインマイコン200より与えられる選局信号がI/O238を介してデジタル放送受信用システム集積回路20に与えられる。CPU231はこの選局信号に応じてチューナ制御I/F239を制御し、地上デジタルチューナ220に選局信号を供給する。
地上デジタルチューナ220は、映像・音声データを含む高周波デジタル変調信号のうちから指定された周波数の信号を取り出す。更に、この実施形態における地上デジタルチューナ220は、復調、誤り訂正等の処理を行う回路を備え、選択したデジタル変調信号を復調してトランスポート・ストリーム(TS)信号を出力する。復調、誤り訂正等は、例えば、ISDB−T(IntegratedServices Digital Broadcasting - Terrestrial:地上デジタル放送)デコーダにより、復調、誤り訂正等の処理を施し、TS信号として出力される。復調は、OFDM(OrthogonalFrequency Division Multiplexing)に基づいて行われる。
メインマイコン200には、ユーザが操作可能な複数の操作ボタン、カーソルキー(方向キー)、選局ボタン等を備える操作部214、操作キーとしてのリモートコントローラ216が接続されている。操作部214に対する操作情報は、アナログデジタル変換回路(ADC)215を介してメインマイコンに与えられる。ユーザが操作部あるいはリモートコントローラ216を操作することによって、メインマイコン200が選局信号を生成してデジタル放送受信用システム回路20を介して地上デジタルチューナ220に送る。操作キー(リモートコントローラ)216が赤外線通信等によりデータの送受を行う場合には、受信装置2には、赤外線受信ユニットが設けられる。
なお、液晶表示パネル202上に設けたタッチパネルにて前記操作部214の全部又は一部を構成することができる。
また、メインマイコン200は、操作部214及び操作キー(リモートコントローラ)216の操作を受けて、受信装置2全体の動作及び機能の制御を行なうべく動作する。更にメインマイコン200には、この装置の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ218やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM219が接続されている。不揮発性メモリ218としては、フラッシュメモリ、ハードディスクなどが用いられ、RAM219としてはSDRAMなどが用いられる。更に、不揮発性メモリ218には、後述するように、番組情報(EPG)、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リスト等が格納されている。番組情報(EPG)、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リスト等は、フラッシュメモリに限らず、RAMやメモリカードに格納してもよい。
デジタル放送受信用システム集積回路20には、不揮発性メモリ221やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM222が接続されている。この実施形態では、不揮発性メモリ221としては、フラッシュメモリが用いられ、RAM222としてはSDRAMなどが用いられる。不揮発性メモリ221には、デジタル放送受信用システム集積回路動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。
また、例えば、工場出荷時の地域対象リストについては、固定的に保持しておくこととし、変更情報を別に持つこととしても良い。工場出荷時の地域対象リストについては、固定的に保持しておけば、受信装置2のリセットの際に用いることができる。また、内容情報とそれにアクセスするためのリンク情報とを別に持つ形態を採用しても良い。
チューナ220からのトランスポート・ストリーム(TS)信号は、デジタル放送受信用システム集積回路20にTS・I/F回路235を介して入力される。TS・I/F回路235から与えられたTS信号は、内部のTS分離部232に供給される。
TS分離部232では、多重されている番組を構成する映像データ及び音声データを分離抽出する他、付加情報として多重伝送されるNIT(NetworkInformation Table)等を分離抽出する。
TS分離部232で分離された映像データは、映像デコーダ233に供給される。この実施形態においては、符号化映像データは、H.264データとしている。映像デコーダ233は、H.264の符号化映像データを復号し、非圧縮のデジタル映像信号を出力する。この非圧縮のデジタル映像信号がビデオ(Video)出力部236aから出力される。また、符号化映像データがMPEG(MovingPicture Experts Group)データである場合には、映像デコーダ233は、MPEGの復号が実行され、非圧縮のデジタル映像信号を出力する。
ビデオ出力部236aから出力される非圧縮のデジタル映像信号は、ビデオエンコーダ204に与えられ、このビデオエンコーダ204にて、液晶表示パネル202の表示形式に対応したビデオ信号にエンコードされ、グラフィックコントローラ205に送出される。
グラフィックコントローラ205では、ビデオエンコーダ204からの映像データ(例えば、R、G、Bデータ)に対して色調整の調整を行う。更に、グラフィックコントローラ205はビデオエンコーダ204の出力に対して、例えば、メインマイコン200から供給されるGUI形式のOSD(OnScreen Display)情報を重畳して液晶表示パネル202に出力する。メインマイコン200からは、操作ボタン、電子プログラム画面、メニュー画面その他の文字情報等が与えられる。
また、TS分離部232で分離された音声データは、オーディオデコーダ234でACC復号処理がなされて非圧縮のデジタル音声データとしてオーディオI/F236bから出力される。
オーディオI/F236bから出力された音声データはDAC(Digital Analog Converter)208でデジタル信号からアナログ信号に変換され、ボリューム制御回路209にて、所定の音量に制御される。そして、アンプ210で増幅され、スピーカ端子211から出力される。スピーカ端子211から出力された音声信号はスピーカ203から出力される。
TS分離部232で分離抽出されたNIT等の付加情報は、I/O238からメインマイコン200に与えられる。
上記各回路は、車載2次電池などからなる電源260により電力が供給される。
図3は、図1の受信装置2に適用されるリモートコントローラ216の具体的キー配列を示す模式図である。リモートコントローラ216は、1〜12の数字キー216aを備える。数字キー216aは、受信装置2の地上デジタルチューナ220の選局キーとして使用される他、数字情報を入力するために使用される。
数字キー216aをチャンネル選局に適用する場合、NIT内に記載されているremote_control_key_idに対応したワンタッチ選局キーとしての機能と、各サービス毎に付された3桁数字そのものを入力して選局を行なうためのダイレクト選局キーとしての機能を有する。
更に、リモートコントローラ216は、選局切換えキー216bと、電源キー216cと、番組表キー216dとメニューキー216eを備える。
選局切換えキー216bは、例えばワンタッチ選局とダイレクト選局とを切換えるためのキーであり、電源キー216cは、受信装置10の電源をオンオフするためのキーであり、番組表キー216dは、番組表いわゆるEPG(ElectronicProgram Guide)を画面表示させるためのキーであり、メニューキー216eは、受信装置2の各種機能を設定するためのメニューを表示させるためのキーである。
更に、リモートコントローラ216には、カーソルキー216fとこのカーソルキー216fの操作で選択された項目を登録するための決定キー216gと、チャンネルを連続的に切換えるためのアップダウンキー216hを備えている。
日本国における地上デジタル放送に関する規定はARIB(Association of Radio Industries and Businesses:社団法人電波産業会)によって制定されている。その内、受信機の機能仕様についてはARIBTR−B14「地上波デジタルテレビジョン放送運用規定技術資料」の第2編に示されている。付加情報は次のように制定されている。
デジタル放送の付加情報に含まれるNIT(Network Information Table)のサービスリスト記述子及びTS(Transport Stream)情報記述子には、Service_idが記載されており、このService_idによって、放送地域とそこで提供されるサービスを特定することが可能となっている。
図4にService_idのデータ構造を示す。図4に示すようにService_idは、16ビットで構成され、最上位側の6ビットが地域識別データ4aを構成し、次の1ビットが県複フラグ4bを構成する。更に、次の2ビットがサービス種別4cを構成し、次の4ビットが地域識別者識別4dを構成し、最下位側の3ビットがサービス番号4eを構成している。
地域識別データ4aは、0〜64の符号で地域を特定するものであり、図5に示すように、0〜9が広域放送を示し、10〜63が県域(県内局)放送を示す。より具体的に示すと、図5のように広域放送は、関東、近畿、中京の他、北海道域、岡山香川、島根鳥取を含む。また、県域放送は、北海道が6に区分けされる他、各県毎に分けられている。図8は関東の広域放送圏を示し、親局、中継局との関係をそれぞれ示している。
また、図4に示す県複フラグ4bは、「0」が、地域識別データ4aで特定される地域で1つのTS、または2つのTSを送出する場合の1つ目のTSであることを特定するデータであり、「1」は、地域識別データ4aで同一事業者によって2つのTSを送出する場合の2つ目のTSを特定するデータである。
更に、サービス種別4cは、放送の種別を示すデータであり、「0」がテレビ型のサービスを示し、「1」あるいは「2」が部分受信サービスを除くデータ型のサービスを示し、「3」が部分受信サービスのデータ型サービスを示している。
また、地域事業者識別4dは、0〜15の符号が事業者A〜Pを特定するデータとして使われる。
更に、サービス番号4eは、0〜7の符号が、当該TS内のサービス種別4c毎に事業者が設定可能な番号を意味するもので、これはいわゆるチャンネル番号のイメージである。
また、地上デジタル放送は、現行のアナログ放送の視聴形態をできるだけ踏襲して、移行の際にユーザに与える違和感を少なくさせようとする配慮がなされている。すなわち、デジタル放送になっても現行の放送事業者がそのまま引き続きサービスを提供するため、現行のチャンネル番号による切換え機能をそのまま使うことができるように、受信機に装備されているリモートコントローラの数字キーを、現行のアナログ放送のチャンネル番号と一致するように割り付ける設定がなされている。
サービスリストを取得するための一般的な手順を以下に示す。
(1)始めに、ユーザが視聴者居住地域を設定する。
(2)スキャン開始指示によって、受信機のチューナの13チャンネルから62チャンネルをサーチしてサービスリストを取得する。
(3)NIT内には、remote_control_key_idを記載して、放送事業
者が望むリモコンキー番号1〜12をTS毎に割り付ける。これによって、TS毎の代表的なサービスがリモコンキーに割り付けられる。
(4)同一TSが検出された場合には、C/N(Carrier/Noise:搬送波電力対ノイズ電力比)やBER((Bit Error Rate)をチェックして優位なキャリアを選択する。
上記の手順により、受信可能チャンネルと選局ポジションを設定する。このチャンネルスキャンにおいては、例えば、物理チャンネルにおける13チャンネルから62チャンネルまでの全てのチャンネルをスキャンすると多くの時間がかかる。この実施形態においては、比較的短い時間でチャンネルスキャンを行うように構成したものである。このため、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リストを不揮発性メモリ218に格納し、チャンネルスキャンの際に利用している。
次に、不揮発性メモリ218に格納される地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リストを説明する。
(A)地域対象放送局リスト
地域対象放送局リストは、地域毎に受信可能な(可能とされる)放送局情報を記載したリストであり、一例として次の内容を有する。
(a)受信機地域:地域を区別するために用いられる番号である(地域識別と同じ数字を用いている)。
(b)TS_ID:放送局毎に一意に決められる識別子である。日本では、ISTB−Tの場合、総務大臣が各放送局に対して一意に決定している。尚、放送データ内のNITで当該放送局の情報が記述されており、NITを受信することにより、受信している放送波の放送局名が判別できる。
(c)TS名:放送局名である。ISTB−Tの場合、放送データ内のNITで記述されている。
(d)親局物理チャンネル:放送局の親局の物理チャンネルである。親局なので、一番放送エリアが広いと考えられる。親局の物理チャンネルは総務省より公表されている。
(e)Last Tuning物理チャンネル:最後に選局やスキャンが成功したときの物理チャンネルである(初期値として親局物理チャンネルを設定しても良い)。
(f)周波数情報:MFN(Multi Frequency Network)の場合、中継局の周波数(物理チャンネル番号)も含め、その放送局の放送周波数が全て記載されている。ISTB−Tの場合NIT内に記述されている。尚、工場出荷値としては総務省が公表している親局及び中継局の物理チャンネル(周波数)を記載しておく。但し、総務省公表試料ではNHK総合・NHK教育以外の放送局に関しては、放送局毎の周波数は明記されずに、当該地域の民放全体の中継局が記載されているだけなので、例えば、当該地域の中継局周波数全てを記載しておく。NITを受信した際に、NIT内の周波数情報で更新することで最新に保ってもよい。工場出荷状態では、スキャン対象の放送局以外の周波数もスキャンするために時間がかかる可能性があるが、2回目からはNIT記載の周波数情報を使うために、スキャン対象放送局の中継局の周波数のみを保持することが可能である。
(g)地域識別:放送局の放送対象の地域である。NIT部分受信記述子内のサービスIDの上位6ビットに存在する。
(h)スキャン成功フラグ:スキャンによって該当の放送局の物理チャンネルを検出できた場合に、セット(ON)されるフラグである。スキャンを実行する前に、スキャン対象の放送局についてはリセット(OFF)しておく。スキャン時に取得したNIT内のTS_IDに基づいて、TS_IDの放送局のスキャンが成功したと判断し、該当する放送局のフラグをセットする。フラグは、放送局に対応して、図7に示すように、メモリのフラグ領域にセットされる。セットの場合「1」が、リセットの場合「0」が記憶されることになる。
地域対象放送局リストにおける東京地域の記憶内容は、例えば、図7に示すようになる。尚、この図7では、工場出荷時の記憶内容を示しており、チャンネルスキャンによって、NITを取得すると、記憶内容は変化する場合がある。また、上記例示した記憶内容の全てが必須となるものではない。例えば、TS_IDが存在すれば、TS名は無くても良い。物理チャンネル番号と周波数とは対応関係が存在するので、これらのうちの一方だけが存在することとしても良い。図7においては、民放局の中継チャンネル(周波数情報)の具体的内容は省略している。
また、地域対象放送局リストの作成においては、以下の点に留意するとよい。受信機の場所(位置)によっては、隣接県の放送局も受信できる可能性があるため、受信機が位置する地域以外の放送局が受信できるようであれば、予め受信機が位置する地域で受信できる放送局を当該受信地域に登録しておく。例えば、東京でも「ちばテレビ」が受信できる場合もあるので、工場出荷段階では、受信地域「東京」にも「ちばテレビ」を登録しておく(図7参照)。地域外の放送局については、工場出荷段階では、親局チャンネルのみ登録しておいても良い。チャンネルスキャンでNITが取得できたときに中継局チャンネルを登録すればよい。
(B)スキャン済み物理チャンネル管理リスト
地域によっては、異なる放送局が同一物理チャンネルを使用する場合がある。但し、受信エリアは重複しない。スキャンを実行する際に、既にスキャンを試みた周波数を管理するためのリストを保持する。このリストをこの実施形態では、スキャン済み物理チャンネル管理リストという。このスキャン済み物理チャンネル管理リストは、図6に示すように、各物理チャンネルの番号とフラグとを対応させている。そして、チャンネルスキャン処理を実行する前に、全てのフラグをリセット(OFF)する。すなわち、スキャン済み物理チャンネル管理リストを設けることにより、チャンネルスキャンに際して、同じチャンネルを重複してスキャンする事態を防止することができる。
次に、図9のフローチャートに基づいて、チャンネルスキャン処理を説明する。このフローチャートは、メインマイコン200の制御動作を中心にして説明している。
このチャンネルスキャン処理は、移動のために、放送受信が行えなくなったときに、自動的に或いはユーザのスキャン指示操作によって実行される。
まず、メインマイコン200は、受信機地域の特定を行う(ステップS1)。この受信機地域特定は、例えば、操作部214または操作キー216を用いてその指示を行う。操作部214または操作キー216に受信機地域特定を指示するボタンを設けるか、或いは、複数のキーを押下すると受信機地域特定処理を指示するように設定しておき、メインマイコン200は、この特定するための指示があると、受信機地域特定処理に入る。例えば、受信機地域を特定するためのキーが押されたことをメインマイコン200が検出すると、液晶表示パネル202の画面上に、「東京」、「千葉」、「埼玉」といったリストが表示される。
例えば、ユーザは自身の知識に従って、現在位置が何処であるかを判断し、該当地域を指定する。この該当地域の指定は、タッチパネルを実装している場合には、該当する地域の表示箇所をタッチして指定する。また、カーソルを該当する地域の表示箇所に移動させ、決定ボタン等を押すことで、該当地域を指定するように構成しても良い。
この場合、「東京」=23、「千葉」=27、「埼玉」=29といった、地域番号対応テーブルを不揮発性メモリ218に保持しておくこととする。
次に、メインマイコン200は、スキャン済み物理チャンネル管理リストを不揮発性メモリ218より読み出し、ワークメモリとしてのRAM219に書き込み、フラグ領域をクリア(リセット)する(ステップS2)。更に、指定された該当地域に従い、メインマイコン200は、不揮発性メモリ218より、該当する地域の図7に示す地域対象放送局リストによる該当地域の記憶内容を読み出し、このデータに基づく処理を行うため係る記憶データをRAM219に格納するととともに、スキャン成功フラグ領域をリセットする(ステップS3)。
次に、前記RAM219に格納された地域対象放送局リスト内の前記特定された受信機地域に登録されている放送局を順番に読み出してスキャン対象とする(ステップS4)。この地域対象放送局リストが図7に示している状態で格納され、図7の上の方が上位のアドレスとし、下の方が下位のアドレスとすると、例えば、上位のアドレスから下位のアドレスへと順番に読み出してスキャン対象とする。
続いて、スキャン対象となる放送局を全てスキャンしたか否かメインマイコン200が判断する。スキャンすべき放送局があれば、ステップS6へ進み、スキャン対象となる全ての放送局のスキャンが終了すれば、ステップS14へ進む。ステップS14では、スキャン動作を終了する。この判断は、RAM219に格納されたスキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグを判断することにより行われる。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS6へ進む。そして、メインマイコン200は、RAM219に書き込まれている地域対象放送局リストを検索する。そして、当該スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されているか否か判断する。この判断は、該当する放送局のスキャン成功フラグ領域のフラグの状態を見ることで判断される。当該フラグがセットされていたら、再度スキャンする必要が無いので、ステップS4へ戻る。
最初のスキャンにおいては、ステップS3において、スキャン成功フラグのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS7へ進む。
次に、スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセットされていない(OFF)場合には、放送局毎のスキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネル、親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)の順番にチューナを設定する(ステップS7)。このステップS7では、スキャンすべき物理チャンネルとして設定した物理チャンネルは、次のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。すなわち、まず、最初にラストチューニング(LastTuning)物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、親局物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、親局物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、周波数情報をスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、周波数情報がこの物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。周波数情報の全てが設定されると、ステップS7では、スキャン対象となる周波数が無くなることになる。
そして、これらチャンネルの全てについて処理が終了したかどうか、即ち、スキャン対象周波数がないかどうか判断し(ステップS8)、スキャン対象周波数が無ければステップS4へ戻る。
一方、スキャン対象周波数があれば、ステップS9へ進み、ステップS7において設定された周波数(チャンネル)がスキャン済みかどうかを前記スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグにより判断する。スキャン済みフラグがセットされている判断すると、ステップS7に戻り、次の周波数を設定する。
最初のスキャンにおいては、ステップS7において、メインマイコン200は、スキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルの周波数をデジタル放送受信用システム集積回路20に指示する。ステップS8においては、スキャンする対象の周波数が有るので、ステップS9に進む。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS11へ進む。
ステップS9でスキャン済みでないと判断されたときは、スキャン済み物理チャンネル管理リストのスキャン済みフラグをセット(ON)し、デジタル放送受信用システム集積回路20のチューナ制御部239が地上デジタルチューナ220にステップS7において設定された周波数を設定する。そして、放送データを取得し、そのデータの解析を行う(ステップS10)。この放送データを取得する時間には、タイムアウト時間を設定しておき、この時間内に放送データが取得できないときにはタイムアウトとし、次のステップへ進む。このスキャン時タイムアウト時間は、例えば、3秒程度とする。
続いて、メインマイコン200は解析した放送データからNITを取得できたかどうか判断する(ステップS11)。取得できなければ、ステップS7に戻る。
NITを取得できたときには、メインマイコン200は、このTS_IDに基づいて、「地域対象放送局リスト」内のTS_IDの放送局のスキャン成功フラグをセット(ON)する(ステップS12)。
そして、取得したNIT内のTS_IDより、受信した放送波がスキャン対象放送局かどうか判断し、対象放送局であった場合は、当該放送局にスキャン候補の他の物理チャンネル(親局物理チャンネル、周波数情報)が存在していてもスキップする(すなわち、ステップS4に戻る)。一方、対象放送局がなければ、ステップS7に戻る。
上記ループ処理において、受信地域の全放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)になる。すなわち、ステップS5でYESとメインマイコン200が判断すると、当該受信地域で受信可能な放送局は全てスキャンが成功したとしてスキャン処理は終了することになる(ステップS14)。また、スキャンすべきチャンネルがなくなったときもスキャン処理を終了する。すなわち、リスト上の全ての放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されていなかったとしても、ビルの陰や高速移動等の影響でたまたまスキャンが成功しなかったと考えられ、この場合もスキャン処理を終了する。
スキャン処理が終了すると、RAM219上の書き換えられた地域対象放送局リストに基づいて、不揮発メモリ218の該当する地域対象放送局リストを書き換えて、最新の地域対象放送局リストとして保存される。
ここで、例えば、東京地域において初めてチャンネルスキャンがなされたときを説明する。東京地域における地域対象放送局リストは工場出荷のままである。まず、親局チャンネルである27CHが選局される(図7参照)。27CHでNITが取得でき、且つこのNITで「7FE0」が取得できれば、地域対象の放送局リストにおける東京地域の27CHのスキャン成功フラグをセット(ON)する。そして、スキャン済み物理チャンネル管理リストの27CHのフラグもセット(ON)し、次のチャンネルである26CHを選局する(ステップS4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S11→S12→S13→S4)。また、取得したNITによって周波数情報は書き換えられることがある。また、ラストチューニング物理チャンネルは27CHとなる。次回の東京地域でのチャンネルスキャンでは、親局チャンネルではなく、ラストチューニング物理チャンネルを用いることができる。
上記の前提において、27CHでNITが取得できなかったとき、周波数情報における27CHの選局を行おうとするが(図7、図8参照)、27CHはすでにスキャン済みである。スキャン済み物理チャンネル管理リストの27CHはフラグがセット(ON)されている。このため、周波数情報における40CHの選局を行い、NITが取得できなければ、次の26CHを選局する処理に進むことになる。
同前提において、27CHでNITが取得できず且つ周波数情報におけるチャンネルとして仮に21CHがあると仮定する。そして、21CHの選局によって「7FE4」が取得できたとする。「「7FE4」は民放のTS_IDであり、当該放送局についてのチャンネルスキャンが実行できたことになる。そして、この民放の21CHのNITで周波数情報が得られたとしたなら、当該21CHにおける周波数情報を書き換えることになる。その後、次のチャンネルである26CHを選局することになる。そして、26CH→25CH→22CH→21CHと親局チャンネルの選局が進むことになる。しかし、前記21CHはすでにスキャン済みであるので、ステップS9でスキップされる。また、次回のチャンネルスキャンで21CHが不成功になったとき、前記21CHのNITから取得した周波数情報を用いてスキャンを行うことができる。
このように、この実施形態のチャンネルスキャン処理は、番号順に全ての物理チャンネル(放送局が存在しうる全ての物理チャンネル)のスキャンを行っていくものではない。この結果、チャンネルスキャンに要する時間は短く済む。
なお、前記スキャン済み物理チャンネル管理リストを持たない構成も採用できる。この場合、重複スキャンが生じてしまうが全ての物理チャンネルのスキャンを行う場合に比べるとスキャン時間は短くなる。また、たまたまビルの陰などであるチャンネルのスキャンが成功できなかった場合においては、上記重複スキャンによってスキャンが成功する場合もある。
また、当初は工場出荷時のリスト内容に従うが、NITを取得ができればその内容に従って前記リストの内容を書き換える処理が行われ、リストの内容は最新の内容に保たれる。そして、他の地域から再び東京地域に入ってチャンネルスキャンが実行されるときには、前記最新のリスト内容によってスキャンが実行されることになる。
また、上記の例では、チャンネルリストとして各地域ごとの受信可能推定放送局の物理チャンネルの情報が予め格納された地域対象放送局リストを備えたが、これに限るものではない。前記チャンネルリストは、ユーザによって入力された物理チャンネルの番号に基づいて作成されるものでも良い。例えば、ユーザ自身が記憶している放送局の物理チャンネルの番号を受信装置2に記憶させて前記リストを作成させることとしても良い。この場合、13CH〜63CHの全チャンネルを入力することを許可しないこととし、例えば、10個程度のチャンネルの入力を許可するように構成できる。
次に、この発明の第2の実施形態につき、図10に従い説明する。この第2の実施形態は、第1の実施形態に更にカーナビゲーションの機能を追加したものである。図1に示す実施形態とは、カーナビゲーション機能を追加した以外は、同じ構成である。ここでは、説明の重複を避けるために、追加した機能の部分につき説明し、第1の実施形態と同じ構成には同じ符号を付し説明を割愛する。
図10は、この発明の地上デジタル放送受信装置の第2の実施の形態を示す回路構成図である。図10に示すように、第2の実施の形態は、ナビゲーション部5と受信装置2とが接続されている。
これらナビゲーション部5ならびに受信装置2はそれぞれ、液晶表示パネル221、操作部214、操作キー216、スピーカ203などのほか、相手と接続するための接続部I/O238、502よって互いに接続される。
この実施形態におけるナビゲーション部5は、CPU501を備えたナビゲーション集積回路50を備える。ナビゲーション集積回路50には、この装置の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ52やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM51が接続されている。不揮発性メモリ52としては、フラッシュメモリ、ハードディスクなどが用いられ、RAM51としてはSDRAMなどが用いられる。このナビゲーション集積回路50は、不揮発性メモリ52に格納されたプログラムにより、現在位置検出と判断の動作を行う。
この実施形態においては、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信ユニット53から得られる航法データに基づいて、現在位置を検出する。GPS受信ユニット53は、GPSアンテナ55から得られた衛星からの信号をアンテナ端子54から受け取り、現在の位置を検出する。
また、ナビゲーション集積回路50は、検出した現在位置がどのエリアに属するかCPU501により判断し、その判断結果をエリア情報として、I/O502から受信装置2へ伝達する。
ナビゲーション情報を音声で伝達する場合には、ナビゲーション集積回路50は対応する音声データを作成し、オーディオI/F503から音声データが出力される。オーディオI/F503から出力された音声データはDAC505でデジタル信号からアナログ信号に変換され、ボリューム制御回路209にて、所定の音量に制御される。そして、アンプ210で増幅され、スピーカ端子211から出力される。スピーカ端子211から出力された音声信号はスピーカ203から出力される。
さて、この第2の実施形態においては、受信機地域特定のために、ナビゲーション部5で検出したエリア情報を用いる。図9のフローチャートにおけるステップ1の受信機地域の特定をナビゲーション部5から得られるエリア情報を用いる。上記したように、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信ユニット53から得られる航法データに基づいて、現在位置を検出する。そして、出した現在位置がどのエリアに属するかCPU501により判断し、その判断結果をエリア情報として、I/O502から受信装置2へ伝達する。メインマイコン200は、得られたエリア情報に基づき受信機地域を特定する。そして、前述したステップS3〜S14の動作を行いチャンネルスキャン処理が行われる。
次に、この発明の第3の実施形態につき、図11に従い説明する。この第3の実施形態は、第2の実施形態に、通信手段を付加したものである。図10に示す実施形態とは、メモリカード3を通信SDカード3bに替えたものである。その他の部分は同じ構成である。ここでは、説明の重複を避けるために、追加した機能の部分につき説明し、第1、第2の実施形態と同じ構成には同じ符号を付し説明を割愛する。
この第3の実施形態は、通信SDカード3bをスロット201に装着し、無線LANにおける通信が行えるように構成したものである。通信SDカード3bによる通信手段により、前記GPS等により取得された現在の受信機地域を通信相手先(例えば、インターネット上の所定のサイト)に送信し、この通信相手先から現在の受信機地域の放送局の物理チャンネルの情報の伝送を受けて前記チャンネルリストを作成するように構成することができる。
次に、この発明の第4の実施形態につき、図12に従い説明する。この第4の実施形態は、携帯電話端末に地上デジタル放送受信装置を内蔵したデジタル放送受信装置である。この第4の実施形態におけるデジタル放送受信部の構成は基本的には図1に示す実施形態と同じである。ここでは、説明の重複を避けるために、同様の構成の部分には同じ符号を付し説明を割愛する。
図12は、この発明の地上デジタル放送受信装置の第4の実施の形態を示す回路構成図である。
携帯電話の主要部6は、アンテナ61、携帯電話の変復調、ベースバンド処理、コーディック処理などを行うベースバンド集積回路6を備える。ベースバンド集積回路6には、CPU600、バスI/F602、オーディオI/F601等を備える。
ベースバンド集積回路60からのデータはバスI/F602からデジタル集積回路20のホストI/F238bを介してCPU231等に与えられる。
アンテナ61により携帯電話基地局と電波を送受信するものである。アンテナ61はアンテナ端子62に接続されている。受信した信号はRF回路63を介してベースバンド集積回路60に与えられる。送信するデータはベースバンド集積回路60からRF回路63、アンテナ端子62、アンテナ61から携帯電話基地局に送信される。
ベースバンド集積回路60には、ベースバンド集積回路60の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ65やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM64が接続されている。不揮発性メモリ65としては、フラッシュメモリなどが用いられ、RAM64としてはSDRAMなどが用いられる。
ベースバンド集積回路60には、マイク68からの音声データがアナログデジタル変換回路(ADC)69でデジタル変換された音声データが与えられる。この音声データがコーディック処理、ベースバンド処理、変調処理され、送信される。
受信した音声データはベースバンド集積回路60で所定の処理が行われ、音声データとしてオーディオI/F601から出力される。オーディオI/F601から出力された音声データはDAC66でデジタル信号からアナログ信号に変換され、ボリューム制御回路209にて、所定の音量に制御される。そして、アンプ210で増幅され、スピーカ端子211から出力される。スピーカ端子211から出力された音声信号はスピーカ203から出力される。
携帯電話には、テンキーなどを備えた操作キー70を有し、かかる操作キーを用いてダイヤルやその他の操作指示を行う。
携帯電話は、携帯電話回線を使用して、デジタル放送受信装置との間で、映像コンテンツ、オーディオコンテンツや位置情報などの様々な情報を取得することができる。
この第4の実施形態と第1の実施形態と相違するところは、第1の実施形態においては、メインマイコン200が受信装置2の動作を制御していたのに対し、この第4の実施形態においては、デジタル放送受信用集積回路20のCPU231がチャンネルスキャン処理動作を含め放送受信用の動作を制御する。
この第4の実施形態においては、デジタル放送受信用集積回路20にこの装置の動作を制御するためのプログラムが書き込まれた不揮発性メモリ221やデータの一時保持やワークメモリなどとして用いられるRAM222が接続されている。不揮発性メモリ221としては、フラッシュメモリなどが用いられ、RAM222としてはSDRAMなどが用いられる。更に、不揮発性メモリ221には、上記したように、番組情報(EPG)、地域対象放送局リスト、スキャン済み物理チャンネル管理リスト等が格納されている。
上記の動作は図9のフローチャートに従い行われるが、第1の実施形態とは、メインマイコン200の制御とCPU231の制御と相違する点もあるので、図9に従いこの第4の実施形態の動作につき簡単に説明する。
次に、図9のフローチャートに基づいて、チャンネルスキャン処理を説明する。この実施形態では、CPU231の制御動作を中心にして説明している。
このチャンネルスキャン処理は、移動のために、放送受信が行えなくなったときに、自動的に或いはユーザのスキャン指示操作によって実行される。
まず、CPU231は、受信機地域の特定を行う(ステップS1)。この受信機地域特定は、携帯電話6から得られる位置情報や操作キー70を用いてその指示を行う。CPU231は、この特定するための指示があると、受信機地域特定処理に入る。例えば、受信機地域を特定するためのキーが押されたことをCPU231が検出すると、液晶表示パネル202の画面上に、「東京」、「千葉」、「埼玉」といったリストを表示する。
次に、CPU231は、スキャン済み物理チャンネル管理リストを不揮発性メモリ221より、読み出し、ワークメモリとしてのRAM222に書き込み、フラグ領域をクリア(リセット)する(ステップS2)。更に、指定された該当地域に従い、CPU231は、不揮発性メモリ221より、該当する地域の図7に示す地域対象放送局リストによる該当地域の記憶内容を読み出し、このデータに基づく処理を行うため係る記憶データをRAM222に格納するととともに、スキャン成功フラグ領域をリセットする(ステップS3)。
次に、前記RAM222に格納された地域対象放送局リスト内の前記特定された受信機地域に登録されている放送局を順番に読み出してスキャン対象とする(ステップS4)。
続いて、スキャン対象となる放送局を全てスキャンしたか否かCPU231が判断する。スキャンすべき放送局があれば、ステップS6へ進み、スキャン対象となる全ての放送局のスキャンが終了すれば、ステップS14へ進む。ステップS14では、スキャン動作を終了する。この判断は、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグを判断することにより行われる。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS6へ進む。そして、CPU231は、当該スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されているか否か判断される。この判断は、該当する放送局のスキャン成功フラグ領域のフラグの状態を見ることで判断される。当該フラグがセットされていたら、再度スキャンする必要が無いので、ステップS4へ戻る。
最初のスキャンにおいては、ステップS3において、スキャン成功フラグのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS7へ進む。
次に、スキャンすべき放送局のスキャン成功フラグがセットされていない(OFF)場合には、放送局毎のスキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネル、親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)の順番にチューナの設定する(ステップS7)。このステップS7では、スキャンすべき物理チャンネルとして設定した物理チャンネルは、次のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。すなわち、まず、最初にラストチューニング(LastTuning)物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが親局物理チャンネル、周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、親局物理チャネルをスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、この物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。この結果、親局物理チャネルを設定すると、ステップS7には、設定すべき物理チャンネルが周波数情報(中継局チャンネル)になる。ステップS7において、周波数情報をスキャンすべき物理チャンネルとして設定すると、周波数情報がこの物理チャンネルが次回のループ処理でスキャン対象とならないように、次のスキャン対象の物理チャンネルから除外する。周波数情報の全てが設定されると、ステップS7では、スキャン対象となる周波数が無くなることになる。
これらチャンネルの全てについて処理が終了したかどうか、即ち、スキャン対象周波数がないかどうか判断し(ステップS8)、スキャン対象周波数が無ければステップS4へ戻る。
一方、スキャン対象周波数があれば、ステップS9へ進み、ステップS7において設定された周波数(チャンネル)がスキャン済みかどうかを前記スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグにより判断する。スキャン済みフラグがセットされている判断すると、ステップS7に戻り、次の周波数を設定する。
最初のスキャンにおいては、ステップS7において、CPU231は、スキャンすべき物理チャンネルとして、ラストチューニング(LastTuning)物理チャネルの周波数をデジタル放送受信用システム集積回路20に指示する。ステップS8においては、スキャンする対象の周波数が有るので、ステップS9に進む。最初のスキャンにおいては、ステップS2において、スキャン済み物理チャンネル管理リストのフラグ領域がクリア(リセット)されているので、ステップS11へ進む。
ステップS9でスキャン済みでないと判断されたときは、スキャン済み物理チャンネル管理リストのスキャン済みフラグをセット(ON)し、デジタル放送受信用システム集積回路20のチューナ制御部239が地上デジタルチューナ220にステップS7において設定された周波数を設定する。そして、放送データを取得し、そのデータの解析を行う(ステップS10)。この放送データを取得する時間には、タイムアウト時間を設定しておき、この時間内に放送データが取得できないときにはタイムアウトとし、次のステップへ進む。このスキャン時タイムアウト時間は、例えば、3秒程度とする。
続いて、CPU231は解析した放送データからNITを取得できたかどうか判断する(ステップS11)。取得できなければ、ステップS7に戻る。
NITを取得できたときには、CPU231は、このTS_IDに基づいて、「地域対象放送局リスト」内のTS_IDの放送局のスキャン成功フラグをセット(ON)する(ステップS12)。
そして、取得したNIT内のTS_IDより、受信した放送波がスキャン対象放送局かどうか判断し、対象放送局であった場合は、当該放送局にスキャン候補の他の物理チャンネル(親局物理チャンネル、周波数情報)が存在していてもスキップする(すなわち、ステップS4に戻る)。一方、対象放送局がなければ、ステップS7に戻る。
上記ループ処理において、受信地域の全放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)になる。すなわち、ステップS5でYESとCPU231が判断すると、当該受信地域で受信可能な放送局は全てスキャンが成功したとしてスキャン処理は終了することになる(ステップS14)。また、スキャンすべきチャンネルがなくなったときもスキャン処理を終了する。すなわち、リスト上の全ての放送局のスキャン成功フラグがセット(ON)されていなかったとしても、ビルの陰や高速移動等の影響でたまたまスキャンが成功しなかったと考えられ、この場合もスキャン処理を終了する。
スキャン処理が終了すると、RAM222上の書き換えられた地域対象放送局リストに基づいて、不揮発メモリ221の該当する地域対象放送局リストを書き換えて、最新の地域対象放送局リストとして保存される。
上記したように、携帯電話端末に地上デジタル放送受信装置を内蔵したデジタル放送受信装置において、チャンネルスキャンを高速に行える。
上記第4の実施形態においては、携帯電話という通信手段を備えているので、現在の受信機地域を通信相手先(例えば、インターネット上の所定のサイト)に送信し、この通信相手先から現在の受信機地域の放送局の物理チャンネルの情報の伝送を受けて前記チャンネルリストが作成されることとしても良い。
次に、この発明の第5の実施形態につき、図13に従い説明する。この第5の実施形態は、携帯電話端末に地上デジタル放送受信装置を内蔵したデジタル放送受信装置である。この第5の実施形態は、第4の実施形態がデジタル放送受信部と携帯電話の集積回路を別チップに構成したのを1チップ化したものである。即ち、デジタル放送受信用集積回路20aにベースバンド処理回路の構成を組み合わせたものである。それ以外の構成は基本的には図12に示す実施形態と同じである。ここでは、説明の重複を避けるために、同様の構成の部分には同じ符号を付し説明を割愛する。
ところで、ISDB−Tでは、放送波を使ったダウンロード機能があるため、放送波によるダウンロードで前記チャンネルリストの作成/更新を行っても良い。
また、例えば、編集ボタンといったボタンを備え、このボタンが押下されたときに、前記チャンネルリストの編集モードとなるように構成されても良い。この編集モードでは、前記チャンネルリスト中のある物理チャンネルを特定してその消去を行ったり、ユーザが知り得ている放送局の周波数を物理チャンネルの番号を入力して、チャンネル追加しても良い。物理チャンネルの特定は、例えば、番号上にカーソルキーを載せて行えばよい。
また、上記の例では、親局の物理チャンネルでスキャンが成功したときには、その中継局の物理チャンネルのスキャンは実行しない。そして、前記親局の物理チャンネルでスキャンが成功しなかった時には、その中継局の物理チャンネルのスキャンを実行することとしたが、これに限るものではない。例えば、東京地域における前記ちばテレビのように、域外放送局については、親局の物理チャンネルでスキャンが成功しなかった場合でも、その中継局の物理チャンネルのスキャンを実行しないこととしても良い。域外の放送局についてまで中継局の物理チャンネルのスキャンを行うと、チャンネルスキャンに要する時間が長くなる割にはスキャンが成功する率は低いであろうと思われるからである。
(全チャンネルスキャン)
例えば、地域対象放送局リストの当該受信機地域である放送局のスキャンが成功しなかった場合、未スキャンの物理チャンネル当該放送局が移行した可能性がある。全チャンネルスキャンを行うことで、残りの未スキャンの物理チャンネルを確かめることができる。このように、この全チャネルスキャンモード行うことで、新たな放送局や他の周波数に移行した放送局を見つけることができる。全チャンネルスキャンを行う場合は、例えば、図4のフローチャートにおいて、ステップS14のスキャン終了に替えて、全チャンネルスキャンモードに移行すればよい。この全チャンネルスキャンモードでは、スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルについて、スキャンを行っていけばよい。スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルについては、フラグが未セット(OFF)となる物理チャンネルを検索することで把握できる。スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルを、例えば、物理チャンネルの番号が小さい順に物理チャンネルを選択してスキャンを行って行けばよい。
更に、全チャンネルスキャンにおいては、スキャン済み物理チャンネル管理リストにおける未スキャンの物理チャンネルについて、チャンネルリスト(例えば、地域対象放送局リスト)に登録されている各物理チャンネルのスキャン時タイムアウト時間(例えば、3秒程度とする)よりも、前記フラグ未セットの物理チャンネルについてのスキャン時タイムアウトの時間を短くする(例えば、1.5秒〜2秒程度とする)こととしても良い。このように、チャンネルリストに登録されている以外の物理チャンネルについてスキャン時タイムアウトの時間を短くすることで、高速な全チャンネルスキャンを実現できる。
また、地域識別には、サービス識別に含まれる6ビットの地域識別(area_code)と、NITの地上分配記述子に存在する12ビットの地域識別(area_code)とがあり、どちらを用いても良い。但し、両者の値は同じ地域に該当する場合でも異なったものとなる。例えば、関東広域の地域識別の値は、6ビット情報では、「1」であるのに対して、12ビット情報では「1445」である。どちらも地域識別する情報として用いることができるが、矛盾が生じないように、どちらか一方だけを用いるのがよい。
地上デジタル放送の規格は、上記した日本方式のISDB−T以外にも、北米方式である「ATSC」(Advanced Television SystemsCommittee)、欧州方式の「DVB−T」(Digital Video Broadcasting Terrestrial)がある。これらの方式においてもこの発明は適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明のデジタル放送受信装置は、特にモバイルに用いて好適である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第1の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の正面図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置に適用されるリモートコントローラの具体的キー配列を示す模式図である。
地上デジタル放送で伝送されるサービス識別情報の構成を示す図である。
各地域の広域放送局対応表を示した説明図である。
チャンネルスキャン済み物理チャンネル管理リストを例示した説明図である。
東京地域の地域対象放送局リストを例示した説明図である。
関東広域圏の東京の物理チャンネル情報を示した説明図である。
この発明の処理内容を示したフローチャートである。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第2の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第3の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第4の実施の形態を示す回路構成図である。
この発明の地上デジタル放送受信装置の第5の実施の形態を示す回路構成図である。
符号の説明
2 デジタル放送受信装置
20 デジタル放送受信用システム集積回路
200 メインマイコン
202 液晶表示パネル
203 スピーカ
220 地上デジタルチューナ
221 不揮発性メモリ
222 RAM
231 CPU
232 TS分離部
233 映像デコーダ
234 オーディオデコーダ