JPWO2007034843A1 - 多孔質基盤体とその製造方法並びに多孔質基盤体の使用方法 - Google Patents

多孔質基盤体とその製造方法並びに多孔質基盤体の使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明の多孔質基盤体は、細胞の播種用孔を有し、細胞の播種用孔を有する多孔質な主体の外周面に前記細胞よりも小さい孔からなる多孔質膜を配設してなることを特徴とする。これにより、細胞の漏れを抑制し、細胞を高効率に播種でき、さらに接着しにくい細胞でも接着することのできる多孔質基盤体が提供される。

Description

本発明は、細胞の播種用孔を有する多孔質基盤体とその製造方法並びに多孔質基盤体の使用方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、疾患や事故などの原因で損傷、失った骨や軟骨、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等の生体組織・臓器を修復するために、それらの生体組織・臓器に分化して組織化する細胞を播種できる多孔質基盤体とその製造方法並びに多孔質基盤体の使用方法に関するものである。
従来、事故や病気などの原因で損傷を受けたり、失われたりした軟骨や皮膚、骨、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等の生体組織・臓器を修復、治療する方法は、例えば、人工臓器や臓器移植等による治療法が知られている。しかしながら、人工臓器の場合では、機能が不十分、人工物による磨耗・緩み・破損などの問題点がある。また、組織移植の場合では、ドナーの不足という問題に加え、ドナーが他人の場合、免疫応答に基づく拒絶反応という問題もある。
このような種々の問題点の存在により、現在では、再生医工学的な手法による治療法は理想的であると考えられ、患者自身の細胞を多孔質基盤体中で培養し、移植する組織を新たに再生する研究が盛んに行われている。具体的には、まず第1には、生体外で生体の細胞を増殖させ、生体細胞や組織の足場とする多孔質基盤体に播種し、生体外で培養し、生体組織が形成された後、生体内に移植する方法である。第2には、生体細胞を多孔質基盤体に播種し、生体内に埋め込み、生体内で生体組織の再生を誘導する方法である。そして第3には、直接に多孔質基盤体を損傷したところに埋め込み、隣の細胞の多孔質基盤体への侵入を誘導し、新しい組織の形成を誘導する方法である。そのため、生体組織の形成を誘導、促進し、生体組織の形態を維持する多孔質基盤体は非常に重要な役割を果たしている。この多孔質基盤体には、生体に影響を及ぼさない性質としての生体適合性や、新しい生体組織が形成すると共に分解・吸収される生体吸収性や、適当な機械強度などが要求されている。
従来、このような基盤体として、ポリ乳酸(PLA)や、ポリグリコール酸(PGA)や、乳酸とグリコール酸との共重合体(PLGA)、やコラーゲンなどの生体吸収性高分子の多孔質材料がよく用いられている(例えば、特開2003−10309号公報)。
また、生体吸収性高分子の多孔質材料を用いて細胞を培養する場合には、細胞を播種し、材料に接着させなければならないが、患者から採取される細胞の数は限られており、得られた貴重な細胞を全部多孔質基盤体に播種し、接着させることが最も望ましいことを考えると、接着しやすい細胞と、接着しにくい細胞に関係なく、全ての種類の細胞を多孔質基盤体に播種し、接着させることは非常に重要である。
しかしながら、これらの生体吸収性高分子の多孔質材料に細胞を播種する際、多孔質材料の周りから、細胞の漏れが激しく、また多孔質材料の空隙率が低く、細胞を高効率に播種することができない。さらに、接着しにくい細胞の場合では、ほとんど材料に接着できず、組織・臓器の再生に悪影響を与えている。
また、変形性関節症は整形外科分野において高頻度見られる疾患で、しばしば高度の機能障害をきたす。人工関節手術が外科的治療の主流であるが、現在の金属や高分子ポリマーを材料とする人工関節部分は、上記と同様、感染・磨耗・緩み・破損といった問題を有する。組織移植の場合、やはりドナー不足、免疫応答に基づく拒絶反応という問題がある。このような種々の問題点の存在により、現在では、再生医工学的な手法による治療法は理想的であると考えられ、軟骨組織の再生に関する研究も盛んに行われている。
再生医工学的な手法により軟骨組織を再生するためには、軟骨細胞あるいは軟骨細胞に分化し得る幹細胞が増殖するための足場として、また、形成している生体組織の支持体としての三次元的な多孔質基盤体が必要である。
しかしながら、従来の多孔質基盤体の中心部と表面層はほとんど同様な多孔質構造を有し、播種した細胞が多孔質基盤体の中に留まらず、その大部分は細胞のサイズより大きい隙間、割れ目を通過し、多孔性物質の周囲から漏れてしまっている。そのため、軟骨細胞あるいは軟骨細胞に分化しうる幹細胞を効率がよく培養多孔質基盤体に播種することが極めて困難であり、このため、有効な細胞の播種率が得られず、これら細胞を大量に培養多孔質基盤体に集積することができないため、軟骨組織の再生に悪影響を与えている。
また、これまでは、隣接する異なる組織であっても、これを全く同じ多孔質基盤体で再生しているため、異なる組織が複合、積層化されている生体の組織や臓器における隣接構造とは異質な環境下にあるといえる。隣接する組織を同時に再生するためには、それぞれの組織再生に適した材料、構造を有する多孔質基盤体を利用することも望ましい。
そこで、このような従来の問題点を解決すべく、本発明は、細胞の漏れを抑制し、細胞を高効率に播種でき、さらに接着しにくい細胞でも接着することのできる多孔質基盤体とその製造方法並びに多孔質基盤体の使用方法を提供することを課題としている。
また、本発明は、良好な生体親和性を有し、隣接する幾つかの組織におけるそれぞれの組織の再生に適合するようにできる多孔質基盤体とその製造方法並びに多孔質基盤体の使用方法を提供することをも課題としている。
本発明によれば、前記の課題を解決するために下記の技術的手段が提供される。
(1)細胞の播種用孔を有する多孔質基盤体であって、細胞の播種用孔を有する多孔質な主体の外周面に前記細胞よりも小さい孔からなる多孔質膜を配設してなることを特徴とする多孔質基盤体。
(2)上記第(1)の多孔質基盤体において、その主体が、フレーム状の骨格を有することを特徴とする多孔質基盤体。
(3)上記(1)の多孔質基盤体において、その主体が、カゴ状の骨格を有することを特徴とする多孔質基盤体。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの多孔質基盤体において、その多孔質膜は、生体吸収性物質又は生体非吸収性物質であることを特徴とする多孔質基盤体。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの多孔質基盤体において、その多孔質膜上に、さらに膜状多孔質体を積層してなることを特徴とする多孔質基盤体。
(6)上記(5)の多孔質基盤体において、その膜状多孔質体が複数層繰り返して配設され、多層化されていることを特徴とする多孔質基盤体。
(7)上記(3)の多孔質基盤体において、そのカゴ状主体中に、さらに多孔質物質を充填してなることを特徴とする多孔質基盤体。
(8)上記(7)の多孔質基盤体において、その多孔質物質は、生体吸収性物質であることを特徴とする多孔質基盤体。
(9)上記(4)又は(8)の多孔質基盤体において、その生体吸収性物質は、少なくとも生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子およびこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする多孔質基盤体。
(10)上記(1)から(8)のいずれかの多孔質基盤体において、互いに異なる性質を有する層からなる複層構造を有することを特徴とする多孔質基盤体。
(11)上記(10)の多孔質基盤体において、積層、包接、被覆、粒状もしくは塊状の接触、立体もしくは平面域のパターン接触、あるいはこれらの2種以上の組合せにより積層化されていることを特徴とする多孔質基盤体。
(12)上記(10)又は(11)の多孔質基盤体において、複層構造を構成する各層は、組成、空隙率や孔の大きさや孔の連通性などの多孔質構造、および力学的性質のうちの少なくとも1種が互いに異なることを特徴とする多孔質基盤体。
(13)上記(1)から(12)のいずれかの多孔質基盤体において、その主体が、生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする多孔質基盤体。
(14)上記(10)から(12)のいずれかの多孔質基盤体において、複層構造の少くとも1層は、生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする多孔質基盤体。
(15)上記(1)から(14)のいずれかの多孔質基盤体の製造方法であって、主体に骨格構造を有するものを用い、当該骨格構造の表面に多孔質膜を積層することを特徴とする多孔質基盤体の製造方法。
(16)上記(1)から(14)のいずれかの多孔質基盤体の使用方法であって、その主体内に、軟骨細胞または軟骨細胞に分化する幹細胞を担持させることを特徴する多孔質基盤体の使用方法。
本発明によれば、細胞の大きさより小さい孔を有する多孔質膜にて主体が覆われた構成を採用しているので、主体に播種された細胞が外部にこぼれ出す虞がなくなり、組織の再生を早めることができ、極めて効率的に再生細胞の播種を行うことが可能となる。
また、本発明によれば、複層構造を持たせることにより、骨や軟骨、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等の複層化した生体組織・臓器を再生することが可能となり、軟骨、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等などの疾患の治療への応用を大きく期待することができる。
多孔質膜により覆われる多層構造を有する円柱状の多孔質基盤体の代表例1を示す図である。 多孔質膜により覆われる多層構造を有する円柱状の多孔質基盤体の代表例2を示す図である。 多孔質膜により覆われる多層構造を有する円柱状の多孔質基盤体の代表例3を示す図である。 多孔質膜により覆われる単一な多孔質構造を有する円柱状の多孔質基盤体を示す図である。 多孔質膜により覆われる単一な多孔質構造を有する立方体状の多孔質基盤体を示す図である。 ポリエチレンとナイロンメッシュのシリンダー状フレーム中に形成したコラーゲンスポンジ/PLGA−コラーゲン複合スポンジの多層構造を有する複合多孔質体の周縁部(上)と中心部(下)の電顕写真を示す図である。 ポリエチレンとナイロンメッシュのシリンダー状フレーム中に形成したコラーゲンスポンジにより構成した多孔質基盤体の周縁部(上)と中心部(下)の電顕写真を示す図である。 骨髄由来の間葉系幹細胞を多孔質基盤体で培養し、再生した軟骨組織の組織学的な染色写真を示す図である。A:ヘマトオキシリンとエオシン染色、B:afranin−O染色、C:トルイジンブルー染色。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明における細胞を担持して培養することのできる多孔質基盤体は、主体と多孔質膜より構成される。
多孔質膜は、細胞のサイズよりも小さいポアサイズの緻密な孔を有する。多孔質膜の空隙率は、10〜99%が好ましく、最も望ましい空隙率は30〜99%である。多孔質膜のポアサイズは、細胞より小さいサイズである0.1〜30μmが好ましく、最も望ましいポアサイズは0.45〜10μmである。このようなサイズの孔により、細胞懸濁液を多孔質基盤体に滴下するとその内部に侵入させる細胞に至ることができるようになる。また、このような多孔質膜により再生組織の形状を維持することもできる。
多孔質膜の材料は、生体吸収性高分子、あるいはナイロンメッシュやスポンジ等の生体非吸収性高分子とすることができる。
生体吸収性高分子としては、たとえば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、これらの共重合体などのポリエステルあるいはセルロース、ポリアルギン酸などの多糖類等を挙げることができる。生体非吸収性高分子としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどを挙げることができる。中でも、本発明において好ましく使用される生体吸収性高分子は、たとえば、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、これらの共重合体で、生体非吸収高分子は、ナイロンである。
本発明において、主体を多孔質膜で覆うが、細胞を播種するための入口部分は多孔質膜で覆わないようにする。多孔質膜は一層でもよく、二層以上の多層構造としてもよい。また、二層以上とした場合には、最内側の一層が多孔質構造を有するものであればよいが、すべての層が多孔質構造を有する構造であってもよい。最内側の膜は、中心部に形成する主体と密接することで細胞の漏れを防ぐために機能する。
本発明の多孔質基盤体において、主体は、フレーム状またはカゴ状の骨格を有することが好ましい。本発明の多孔質基盤体は、このフレーム状またはカゴ状の骨格の形状に沿って、その外周面に多孔質膜を配設して構成される。この骨格の大きさおよび形状は、再生する軟骨組織等の組織の大きさおよび形状と合わせる形で成型することができる。たとえば、この骨格の大きさおよび形状は、再生する軟骨組織の厚み、カーブ等を考慮して決定される。
生体吸収性材料で骨格を調製する場合には、骨格の外側の大きさと形状は再生する軟骨組織の厚み、カーブと同じとする。生体非吸収性材料で骨格を調製する場合には、骨格の内側の大きさと形状を再生する軟骨組織の厚み、カーブと同じにする。このようにすることにより、再生による形状異常が発生しにくく、欠損する以前の形状に近い形状で再生することが可能となる。
また、これら骨格の内部は、細胞を播種できる大きさの孔を有する多孔質体で満たすようにする。この多孔質体としては、生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子およびこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種類以上を用いることができる。
多孔質体には、細胞が接着するための足場として、細胞の接着を支持し、細胞の増殖、分化、細胞外マトリックス分泌、組織再生を促進する機能を持たせるようにする。この多孔質体は、多孔質構造を有する膜が配設されたフレーム状、あるいは、カゴ状の骨格と密接に繋がって、細胞播種、細胞培養の過程で両者は離れることがない。
この多孔質体を構成する生体吸収性合成高分子としては、たとえば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、これらの共重合体などのポリエステルあるいはセルロース、ポリアルギン酸などの多糖類等を挙げることができる。中でも、本発明において好ましく使用される生体吸収性合成高分子は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、これらの共重合体である。
この多孔質体を構成する生体吸収性天然高分子は、自然に存在する、あるいは生体に由来するもので、生体親和性を示すものであれば、いずれも使用できるが、コラーゲン、ヒアルロン酸、プロティオグリカン、アグリカン、コンドロイチン硫酸、ゼラチン、フィブロネクチン、およびラミニンなどからなる群より選ばれた1種以上のもの、特にコラーゲンが好ましく使用される。コラーゲンにはI、II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X型などのものがあるが、本発明においては、これらのいずれも使用でき、またこれらの誘導体を使用してもよい。
一般に、生体吸収性天然高分子は生体吸収性合成高分子よりも空隙率および細胞播種率が高く、この点で優れている。その一方で、生体吸収性合成高分子は生体吸収性天然高分子よりも機械的な強度が高い。従って、本発明の多孔質基盤体は、適宜に、生体吸収性天然高分子と生体吸収性合成高分子を組み合わせることで、適切な空隙率、細胞播種率および機械的強度を備えた基盤体とすることができる。たとえば、生体吸収性合成高分子を最内側の一層とし、これに生体吸収性天然高分子を積層する等の構成とすることができる。
多孔質体を構成する細胞成長因子と細胞分化制御因子としては、細胞の成長、分化を制御できるものであれば、いずれも使用できるが、上皮細胞成長因子(EGF)、インシュリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、β型形質転換増殖因子(TGF−β)、骨形成因子(BMP)、デキサメタゾンなどからなる群より選ばれた1種以上のもの、あるいはこれらの誘導体を用いることができる。
多孔質体の細孔は、播種細胞の接着、増殖及び組織再生の足場とするものであり、細孔は連続していることが好ましい。その大きさは1〜1000μm、好ましくは20〜400μm程度とするのがよい。
また、本発明においては、多孔質体の厚みは、生体複合材料の使用態様によって適宜定めればよいが、通常0.1〜100mm、好ましくは0.1〜50mmである。直径、あるいは横幅、奥行きは、通常0.1〜100mm、好ましくは0.1〜50mmである。その空隙率は、通常50〜99.9%、好ましくは90〜99.9%である。
本発明の複層構造を有する多孔質基盤体の作製方法としては、具体的には、例えば、(1)生体吸収性高分子、あるいは生体非吸収性高分子の多孔質(メッシュ、スポンジなど)、あるいは多孔質の円筒状(図4参照)、あるいは、直方体状ないし立方体状(図5参照)のものを作製した後、(2)この円筒状、あるいは直方体状ないし立方体状のものの内側と底面に生体吸収性高分子、あるいは生体非吸収性高分子の緻密な多孔質構造を有する膜を熱や糊、有機溶媒などで貼り付けた後、(3)生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子あるいはそれらの誘導体などからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のものの溶液を載せた後、そして、(4)凍結乾燥し、好ましくはガス状ないし液状の架橋剤、熱で処理することにより架橋することで得られる。
上記工程(3)における生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子またはこれらの誘導体の水溶液での処理方法としては、種々のものがあるが、浸漬法が好ましく採用される。
浸漬法は、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子またはこれらの誘導体の水溶液の濃度や粘度が低い場合に有効であり、具体的には、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子またはこれらの誘導体の低濃度水溶液に生体吸収性高分子、あるいは生体非吸収性高分子の多孔質体(メッシュ、スポンジなど)、あるいは多孔質円筒状体、あるいは多孔質直方体ないし立方体を浸漬することにより行われる。減圧脱気処理することにより、生体吸収性高分子、あるいは生体非吸収性高分子の多孔質体(メッシュ、スポンジなど)、あるいは多孔質円筒状体、あるいは多孔質直方体ないし立方体の中を生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子またはこれらの誘導体の低濃度水溶液で満たす。
本発明で用いられる架橋剤としては、従来公知のものがいず何れも使用できる。好ましく使用される架橋剤は、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドのようなアルデヒド類を用いることができるが、特に好ましいのはグルタルアルデヒドである。
本発明における架橋化は、前記架橋剤をガス状にして用いるのが好ましい。具体的には、生体吸収性天然高分子よりなる多孔質体を架橋するに際し、一定温度で一定濃度の架橋剤またはその水溶液で飽和した架橋剤蒸気の雰囲気下で一定時間架橋を行う。
架橋温度は、生体吸収性高分子よりなる多孔質体が溶解せず、且つ架橋剤の蒸気が形成できる範囲内で選定すればよく、通常、20〜50℃に設定される。
架橋時間は、架橋剤の種類や架橋温度にもよるが、上記天然高分子多孔質体の親水性や生体吸収性を阻害せず、かつ生体移植時にこのものが溶解しないような架橋固定化が行われる範囲に設定するのが望ましい。
架橋時間が短くなると、架橋固定化が不十分となり、移植後生体内で生体吸収性天然高分子よりなる多孔質体が短時間で溶解する恐れがあり、また架橋時間が長いほど架橋化が進むが、架橋時間があまり長過ぎると、親水性が低くなり、骨形成性細胞、軟骨形成性細胞の足場材料に対する播種密度が低くなり、細胞の贈殖および組織再生が効率よく行われないほか、生体吸収性も低下する等の問題点を生じるので好ましくない。好ましい架橋時間は10分〜12時間程度である。
そして、本発明の多孔質基盤体は、各種の細胞や細胞を含む播種用細胞液を播種することで、細胞の足場材料、すなわち培養担体として使用することもできる。また、細胞を担持させて培養することで、細胞を組織化することができ、これを生体へ直接移植して、医療に活用できる再生移植体とすることもできる。
ここで、本発明において培養対象となる細胞は、特に制限されるものではない。たとえば、動物由来、植物由来および微生物由来の細胞を培養することができ、中でも動物由来の細胞が好ましく、特に哺乳類由来の細胞が好ましい。たとえば、哺乳類としては、ヒト、ウシ、サル、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、ウサギ等が使用できる。
もちろん、本発明における細胞としては、上記の由来の細胞だけでなく、いかなる由来の培養細胞でもよい。たとえば、異種由来の細胞同士、あるいは、細胞とコラーゲンゲル膜、繭糸、ナイロンメッシュ等の非細胞との融合細胞でもよい。もちろん、そのほかにも、動物の肝臓、心臓、腎臓、皮膚、骨、軟骨、骨髄、血管等の組織や器官、これら例示した組織から派生して形成された組織等をはじめとする組織由来の細胞でもよく、さらには、初代細胞や株化細胞でもよい。さらにまた、たとえば、動物細胞における初代細胞としては、ニワトリ胚由来細胞(PSG)、ラット初代心筋細胞、ラット初代肝細胞、マウス初代骨髄細胞、ブタ初代肝細胞、ウシ血管内皮細胞、ヒト初代臍帯血細胞、ヒト初代骨髄造血細胞、後根神経節細胞(DRG)等のヒト初代神経細胞等が例示できる。
さらにまた、株化細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞、ヒト子宮ガン由来のHeLa細胞、ヒト肝ガン由来のHuh7細胞やHepG2細胞等が例示できる。さらに、マウス、ニワトリ、ブタ、ヒト等から得られた胚性幹細胞(ES細胞)や組織幹細胞も例示でき、これらES細胞や組織幹細胞から分化した細胞も例示できる。また、これら細胞にプラスミド導入やウイルス感染等の遺伝子操作により得られた細胞もこの本発明の多孔質基盤体で培養することができる。
播種用細胞液の調製としては、具体的には、例えば、軟骨細胞の場合には、生体軟骨組織をコラーゲナーゼ、トリプシン、リバラーゼ、プロティナーゼ等の酵素処理により、細胞外マトリックスを分解処理し、次いで血清培地を添加し、遠心して、軟骨細胞を単離する。単離した軟骨細胞を培養フラスコに播き、10%ウシ胎児血清、4500mg/Lのグルコース、584mg/Lのグルタミン、0.4mMのプロリンおよび50mg/Lのアスコルビン酸を含有するDMEM培地(DMEM血清培地)で培養する。十分な細胞数になるまで、2〜3回継代培養し、この継代培養した細胞をトリプシン処理により回収し、播種用細胞液とし、これを播種することで、培養することができる。
本発明において用いる軟骨細胞および軟骨細胞に分化し得る幹細胞は常法により生体組織から調製することができる。
また、軟骨細胞に分化する幹細胞は、骨髄抽出液をパーコール(percoll)からなる密度勾配媒体を用いた密度勾配遠心法、あるいは通常の遠心法により遠心して単離する。これらの細胞を培養フラスコに播き、DMEM血清培地で十分な細胞数となるまで、2〜3回継代培養する。継代培養した細胞をトリプシン処理により回収し、播種用細胞液とする。
さらに、本発明の軟骨組織の再生移植体は、上記のとおりの多孔性を有する細胞の多孔質基盤体に、軟骨細胞または軟骨細胞に分化する幹細胞を担持させてなることを特徴としている。このような再生移植体は、生体本来が有する三次元構造に類似した軟骨組織を有しているため、これを変形性関節症などの疾患や事故などの原因による軟骨創傷を修復するために利用することができる。
この再生移植体の作製方法は、上記のとおりの多孔性を有する細胞の多孔質基盤体に、軟骨細胞あるいは軟骨細胞に分化し得る幹細胞を播種するには、上記多孔質基盤体を培養液で濡らしておき、この多孔質基盤体の細胞播種面(小さい孔の緻密な多孔質構造を有する膜が付いていない面)に上記播種用細胞液を滴加する。
上記播種用細胞液の細胞濃度は、通常1×10cells/mL〜5×10cells/mL、好ましくは1×10cells/mL〜5×10cells/mL、播種する細胞液の容量は多孔質基盤体の体積以上であることが望ましい。
本発明の軟骨組織を再生するための移植体は、軟骨細胞の場合、上記三次元多孔性物質に上記播種用細胞液を滴加した後、さらに、培養液を添加し、該三次元多孔性物質中の軟骨細胞をDMEM血清培地で、37℃、5%CO雰囲気下のインキュベータにおいて培養増殖させることにより、当該移植体を得る。
幹細胞の場合は、さらに軟骨細胞への分化工程が必要であり、上記三次元多孔性物質に上記軟骨細胞に分化する幹細胞の播種用細胞液を滴加した後、DMEM血清培地で1〜2週間培養増殖させた後、4500mg/Lグルコース、584mg/Lグルタミン、0.4mMプロリンおよび50mg/Lアスコルビン酸に加え、トランスフォーミング増殖因子−β3(TGF−β3)を含有するDMEM培地(分化培地)で1〜2週間培養し、分化させて当該移植体を得る。
そして、このようにして得られた軟骨組織の再生移植体は、そのまま生体に移植すればよい。このとき、担体の骨格である枠部分、すなわち、フレーム状やカゴ状の部分が、上記多孔性物質と同様に生体吸収性物質からなる、もしくは、生体との高い適応性を有する材質からなることで、より好ましい。
また、移植前の作業として、担体に再生した軟骨組織を担体から採取し、これを移植してもよい。採取方法としては、担体の骨格である枠部分、すなわち、フレーム状またはカゴ状を壊して採取する方法や、ドリルで再生軟骨組織を採取する方法が考慮することができる。
本発明の複層構造を有する多孔質基盤体は、組成、空隙率や孔の大きさや孔の連通性などの多孔質構造、力学的性質等のいずれかの点において互いに相違して、実質的に同一ではなく異なるものであると認められる二種類以上の材料で構築される多孔質構造体である。これらの二種類以上の材料は、好適には、組成、多孔質構造および力学的性質のうちの一つ以上が異なるものを考慮することができ、組成だけが異なってほかの構造や性質が同じであったり、空隙率や孔の大きなや孔の連通性などの多孔質構造の一つ以上が異なったり、力学性質のみ違ったり、あるいはこれらの性質が二つ以上異なったりである多孔質構造体で構成される複層構造を有する多孔質体が含まれている。これらの2種類以上の多孔質構造体が互いに繋がって複層構造が形成されている。ここでの繋がりは、異なる多孔質構造体の層が当接、接触、あるいは積層されて複層構造が形成されるようにしてもよいし、あるいは異なる多孔質構造体が粒状の配置パターン、あるいは平面エリアの配置パターンとして、さらには包接形態等として複層構造化されているようにしてもよい。
そして、本発明においては、異なる二種以上の多孔質構造体は、それぞれが、隣接した状態の組織の各々の再生に適合したものとして定めることが考慮される。
本発明の好ましい複層構造を有する多孔質基盤体は、たとえば図1にその概要を例示することができる。
すなわち、互いに繋がって積層化されている第一の多孔質体Aと第二の多孔質体B、そして第三の多孔質体Cの2種あるいは3種の組合せにより構成される。そして周囲には多孔質膜が配設される。第一の多孔質体Aは、たとえば上記のように、生体吸収性合成高分子の1種類以上のメッシュ体あるいは多孔質体の中に、すなわちメッシュ体の網目あるいは多孔質体の孔内に、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多孔質体をさらに形成した複合多孔質体、すなわち複合メッシュ体あるいは複合多孔質体であってよく、第二と第三の多孔質体B、Cも、生体吸収性合成高分子の1種類以上のメッシュ体あるいは多孔質体の中に、すなわちメッシュ体の網目あるいは多孔質体の孔内に、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多孔質体をさらに形成した複合多孔質体、すなわち複合メッシュ体あるいは複合多孔質体でもよい。第一、第二と第三の多孔質体はすべて、複合メッシュ体あるいは複合多孔質体である場合では、それぞれの構成成分の組成、空隙率や孔の大きさや孔の連通性などの多孔質構造、力学的性質が一つ以上異なることが好ましい。第一と第二、あるいは第三の多孔質体は複合メッシュ体あるいは複合多孔質体である場合には、第一と第二、あるいは第三のそれぞれの構成成分の組成、空隙率や孔の大きさや孔の連通性などの多孔質構造、力学的性質が一つ以上異なることが好ましい。第二と第三の多孔質体は生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、及び細胞分化制御因子またはその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多孔質体の場合では、第二と第三のそれぞれの構成成分の組成、空隙率や孔の大きさや孔の連通性などの多孔質構造、力学的性質が一つ以上異なることが好ましい。
本発明に用いられるメッシュ体あるいは多孔質体は、主として本発明の複層構造を有する多孔質基盤体のそれぞれの層に同じ、あるいは違う種類細胞を播種しやすく、隣接した軟骨・骨、上皮・真皮、上皮・真皮・皮下組織などの組織を再生しやすいことから用いられる。メッシュ体は、織物、編物、織布又は不織布等からなるものでよい。また、多孔質体は、発泡剤を利用する発泡成形法、凍結乾燥法、あるいは多孔質化剤除去法等周知の方法により得ることができる。この多孔質体の発泡成型法においては、高分子化合物に発泡剤を添加し発泡剤を発泡させた後、上記高分子を硬化させる。高分子の水溶液、或いは乳濁液を凍結した後、凍結乾燥し、架橋処理すればよい。高分子溶液中に、水溶性の糖類あるいは塩類を添加し、硬化後、該水溶性物質を水で洗浄除去すればよい。
メッシュの編目の大きさあるいは多孔質体の孔の大きさ、および空隙率は大きくなればなるほど、機械的強度は低下するものの、播種細胞は多孔質体の細孔に保持されるので、多孔質体における播種細胞数を増大でき、骨組織、軟骨組織、皮膚などの組織の再生が効率的になる。
したがって、そのメッシュの編目の大きさあるいは多孔質体の孔の大きさは、移植される生体内の場所等に応じて、求められる機械強度あるいは弾力性、あるいは骨組織や軟骨組織や皮膚などの再生速度等を勘案して適宜定められる。
本発明の好ましい複層構造を有する多孔質基盤体の例を示したものが図2、図3である。第一と第二と第三の多孔質体A、B、Cは生体吸収性合成高分子の1種類以上のメッシュ体あるいは多孔質体の中に、すなわちメッシュ体の網目あるいは多孔質体の孔内に、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多孔質体をさらに形成した複合多孔質体、すなわち複合メッシュ体あるいは複合多孔質体であることが好ましい。
ここで、たとえば本発明の多孔質基盤体(図2a)の作製方法の好ましい形態としては、(1)第一の多孔質体(A)である生体吸収性合成高分子の多孔質体の上に第三の多孔質体(C)である生体吸収性合成高分子の多孔質体を載せて積層化した後、(2)第一の多孔質体(A)と第三の多孔質体(C)の中にそれぞれ第四の多孔質体(D)と第六の多孔質体(F)を構成する生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を含浸させた後に、(3)凍結乾燥し、好ましくはガス状ないし液状の架橋剤で処理して架橋する方法が例示される。なお、多孔質膜の配設については上述したとおりである。
上記工程(1)においては、生体吸収性合成高分子を用いて、相分離法や粒子溶出法(particulate-leaching)や発泡成形法によって実施することができる。生体吸収性合成高分子を有機溶媒に溶かした溶液に直径が異なる2種類の多孔質化剤とそれぞれ混ぜて、2種類の多孔質化剤/高分子溶液を調整し、1種類の多孔質化剤/高分子溶液の上にも1種類の多孔質化剤/高分子溶液をなせて乾燥した後、多孔質化剤を除去することにより、上記工程(1)の多孔質体を作製できる。
上記の生体吸収性合成高分子としては、前述したポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、これらの共重合体などのポリエステル或いはセルロース、ポリアルギン酸などの多糖類等を挙げることができる。中でも、本発明において好ましく使用される生体吸収性合成高分子は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、これらの共重合体である。
上記の生体吸収性合成高分子を溶かす溶媒には、クロロホルム、四塩化炭素、ジオキサン、トリクロロ酢酸、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジメチルアセトアミド、ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどが挙げられる。
また、上記の多孔質化剤としては、ブトウ糖、砂糖などの水溶性の糖質や、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどの塩の粒子、結晶が挙げられる。
そして、上記の多孔質化剤を除去する方法として、純水に浸漬し、純水による洗浄法が挙げられる。
上記の工程(2)においては、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などは1種以上混ぜてから、含浸せしめるか、あるいはそれぞれ1種以上のものを混ぜて行われる。
この工程(2)では、第一の多孔質体(A)である生体吸収性合成高分子の多孔質体の上に第三の多孔質体(C)である生体吸収性合成高分子の多孔質体を載せて作製した多孔質体を前記生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子またはこれらの誘導体の水溶液で処理することができる。処理方法としては種々のものがあるが、浸漬法や塗布法が好ましく採用される。
浸漬法については上述した方法で行うことができる。塗布法は、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子の水溶液の濃度や粘度が高く、浸漬法が適用できないときに有効であり、具体的には、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子の高濃度水溶液を生体吸収性合成高分子メッシュ体に塗布することにより行われる。
多孔質基盤体(図2b)の作製方法の好ましい形態としては、(1)第一の多孔質体(A)である生体吸収性合成高分子の多孔質体の上に第二の多孔質体(B)である生体吸収性合成高分子の多孔質体を積層し、その上にさらに第三の多孔質体(B)である生体吸収性合成高分子の多孔質体を積層した後に、(2)第一の多孔質体(A)と第二の多孔質体(B)と第三の多孔質体(C)の中にそれぞれ第四の多孔質体(D)、第五の多孔質体(E)と第六の多孔質体(F)を構成する生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を含浸させた後に、(3)凍結乾燥し、好ましくはガス状ないし液状の架橋剤で処理することにより架橋する方法を例示することができる。なお、多孔質膜の配設については上述したとおりである。
上記工程(1)においては、生体吸収性合成高分子を用いて、相分離法や粒子溶出法(particulate-leaching)や発泡成形法によって作製することができる。生体吸収性合成高分子を有機溶媒に溶かした溶液に直径が異なる3種類の多孔質化剤とそれぞれ混ぜて、3種類の多孔質化剤/高分子溶液を調整し、1種類の多孔質化剤/高分子溶液の上に別種類の多孔質化剤/高分子溶液1種類を載せた後、さらにも1種類の多孔質化剤/高分子溶液を載せて、乾燥した後、多孔質化剤を除去することにより、上記工程(1)の多孔質体を作製できる。
上記工程(2)と(3)は上記図2aの場合と同様である。
多孔質基盤体(図3a)の作製方法の好ましい形態としては、(1)第一の多孔質体(A)である生体吸収性合成高分子の多孔質体を作製した後に、(2)2次構造体を構成する生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を付着、含浸せしめた後、続いて、(3)この上に生体吸収性天然高分子の水溶液、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を載せた後、そして、(4)凍結乾燥し、好ましくはガス状ないし液状の架橋剤で処理することにより架橋する方法が例示される。なお、多孔質膜の配設については上述したとおりである。
上記工程(1)においては、生体吸収性合成高分子を用いて、相分離法や粒子溶出法(particulate-leaching)や発泡成形法によって作製することができる。生体吸収性合成高分子を有機溶媒に溶かした溶液に多孔質化剤を添加して混合し、乾燥した後、多孔質化剤を除去することにより、上記工程(1)の多孔質体を作製できる。
工程(2)においては、たとえば、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などは1種以上混ぜてから、含浸せしめるか、あるいはそれぞれ1種以上のものを混ぜて行われる。
工程(3)においては、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などは1種以上混ぜてから、上記工程(3)の濃度が高い生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を付けた第一の多孔質体(A)の上にさらに静かに添加、あるいは塗布する。生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などは1種以上の混合液の重量濃度は0.05〜3%である。もっとも望ましい濃度は0.1〜2%である。
構造体(図3b)の作製方法の好ましい形態としては、(1)第一の多孔質体(A)である生体吸収性合成高分子の多孔質体を作製した後に、(2)2次構造体を構成する生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を付着、含浸せしめた後、続いて、(3)この上に濃度が高い生体吸収性天然高分子の水溶液、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を載せた後、さらに(4)この上に生体吸収性天然高分子の水溶液、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を載せた後、そして、(5)凍結乾燥し、好ましくはガス状ないし液状の架橋剤で処理することにより架橋する方法が例示される。なお、多孔質膜の配設については上述したとおりである。
工程(1)においては、生体吸収性合成高分子を用いて、相分離法や粒子溶出法(particulate-leaching)や発泡成形法によって作製することができる。生体吸収性合成高分子を有機溶媒に溶かした溶液に多孔質化剤を添加して混合し、乾燥した後、多孔質化剤を除去することにより、上記工程(1)の多孔質体を作製できる。
工程(2)においては、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などは1種以上混ぜてから、含浸せしめるか、あるいはそれぞれ1種以上のものを混ぜて行われる。
工程(3)においては、濃度が高い生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などは1種以上混ぜてから、上記工程(2)の生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を付着、含浸せしめた第一の多孔質体(A)の上に添加、あるいは塗布することができる。生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因、あるいはそれらの誘導体などは1種以上の混合液の重量濃度は0.1〜5%である。もっとも望ましい濃度は0.3〜5%である。
工程(4)においては、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはそれらの誘導体などは1種以上混ぜてから、上記工程(3)の濃度が高い生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因、あるいはそれらの誘導体などの1種以上のものの溶液を付着させた第1多孔質体(A)の上にさらに静かに添加、あるいは塗布することができる。生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、あるいはそれらの誘導体などは1種以上の混合液の重量濃度は0.05〜3%である。もっとも望ましい濃度は0.1〜2%である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
[実施例1]
例として、ポリエチレンシリンダーフレームとナイロンメッシュで作ったフレーム中に生体吸収性高分子である乳酸とグリコール酸との共重合体(PLGA)と生体吸収性天然高分子であるブタ皮膚由来ペプシン可溶化I型コラーゲンとの複合スポンジ(PLGA−コラーゲン複合スポンジ)部分とブタ皮膚由来ペプシン可溶化I型コラーゲンスポンジ部分より構成され、階層構造を有するPLGA−コラーゲン複合スポンジ/コラーゲンスポンジを導入した多孔質体を調製した。
内径が6mmのポリエチレンシリンダーフレームの底面と内側面に直径が2μmのポアを有するナイロンメッシュを熱で貼付し、多孔質基盤体の骨格としてのフレーム状を作製した。作製した骨格をアルカリ水で洗浄し、超純水でリンスした後、乾燥処理を行った。
口径が355μmと425μmの篩で直径が355〜425μmの塩化ナトリウムの粒子をふるい分けた。乳酸とグリコール酸(75:25)との共重合体PLGAをクロロホルムに溶かし、15(w/v)%の溶液を調製した。
PLGAのクロロホルム溶液をアルミニウム鍋に入れ、直径が355〜425μmの塩化ナトリウムの粒子(PLGAの量の9倍)をこの溶液に入れ、よく混ぜた後、空気中で48時間乾燥した。乾燥後、内径が6.0mmのコルクポーラーにより直径が6.0mmの塩化ナトリウム/PLGAの円柱体をドリルした。塩化ナトリウム/PLGA円柱体を蒸留水に入れ、2時間ごとに蒸留水を交換し、4日間洗浄を行った。このようにして、孔の大きさが355〜425μmで空隙率が90%のPLGAスポンジ円柱体を得た。
PLGAスポンジ円柱体を空気中で24時間乾燥した後、さらに真空状態で12時間乾燥した。その後、PLGAスポンジ円柱体を1.0wt%のブタ皮膚由来ペプシン可溶化I型コラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)に浸漬し、真空してPLGAスポンジの孔の中にブタ皮膚由来ペプシン可溶化I型コラーゲン水溶液を占めさせた。そして、ブタ皮膚由来ペプシン可溶化I型コラーゲン水溶液で満たしたPLGAスポンジ円柱体を作製したポリエチレンシリンダーフレームとナイロンメッシュの骨格に入れ、上の端にさらに1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液を入れて、−80℃で12時間凍結した。
凍結した後、真空減圧下(0.2Torr)で24時間凍結乾燥し、ポリエチレンシリンダーフレームとナイロンメッシュの骨格にPLGAスポンジの中にコラーゲンスポンジを形成すると共にPLGAスポンジの一端にコラーゲンスポンジを形成した。
作製した材料を37℃で、25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気で4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。さらに、0.1Mのグリシン水溶液で24時間処理した後、蒸留水で20回洗浄した。これを−80℃で12時間凍結し、真空減圧下(0.2Torr)で24時間凍結乾燥することにより、ポリエチレンシリンダーフレームとナイロンメッシュの骨格にPLGAスポンジの中にコラーゲンスポンジを形成すると共にPLGAスポンジの一端にコラーゲンスポンジを形成した階層構造を有するPLGA−コラーゲン複合スポンジ/コラーゲンスポンジを調製した。得られた階層構造を有するPLGA−コラーゲン複合スポンジ/コラーゲンスポンジを金でコーティングし、それらの構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。電顕写真を図6に示す。
[実施例2]
例として、ポリエチレンシリンダーフレームとナイロンメッシュで作ったフレーム中に生体吸収性天然高分子であるウシI型アテロコラーゲンのスポンジを導入した多孔質体を調製した。
内径が6mmのポリエチレンシリンダーフレームの底面と内側面に直径が2μmのポアを有するナイロンメッシュを熱で貼付し、多孔質基盤体の骨格としてのフレームを作製した。作製した骨格をアルカリ水で洗浄し、超純水ですすいだ後、乾燥した。
作製した骨格をブタ皮膚由来ペプシン可溶化I型コラーゲン酸性水溶液に浸漬し、水溶液が氷らない程度の真空減圧し、骨格中の泡を抜き、コラーゲン水溶液で満たした。コラーゲン水溶液で満たした骨格を−80℃で6時間凍結した。次にこの凍結物を、真空減圧下(0.2Torr)で48時間凍結乾燥し、骨格中にコラーゲンスポンジを形成した未架橋足場材料を製造した。
得られた未架橋足場材料を37℃で、25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気で4時間架橋処理した後、リン酸緩衝液で10回洗浄した。さらに、0.1Mグリシン水溶液に4時間浸漬し、リン酸緩衝液で10回洗浄した後、蒸留水で3回洗浄し、−80℃で12時間凍結した。これを真空減圧下(0.2Torr)で24時間凍結乾燥し、足場材料として、本発明における細胞の多孔質基盤体を得た。
得られた多孔質基盤体を金でコーティングし、それらの構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。電顕写真を図7に示す。
[実施例3]
実施例2で調整した多孔質体を用いて、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞を担持させてなる軟骨組織の再生移植体の再構築を行った。
Cambrex(CambrexBioScienceWalkersville,Inc.)社から購入したヒト骨髄由来の間葉系幹細胞を、Cambrex(CambrexBioScienceWalkersville,Inc.)社より購入した増殖培地(間葉系幹細胞用基礎培地に、10%ウシ胎児血清とペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミンを添加した培地で、37℃、5%CO雰囲気下で2回継代培養した。2回継代培養した骨髄細胞を0.025%トリプシン/0.01%EDTA/PBS(−)で剥離・採集し、1.5×10cells/mL骨髄細胞液を調製した。次に、酸化エチレンガスで滅菌した上記三次元多孔質材に1000μl細胞液を滴加し、細胞を播種した。播種後、多孔質基盤体の外に漏れた液を回収し、細胞の数を数えた。その結果、播種した細胞の播種効率は95.2±1.0%で非常に高かった。その後、細胞を播種した細胞の多孔質基盤体をT75培養フラスコに移して、50mLのMSC増殖培地を入れて、揺らしながら、1週間培養した。1週間培養後、培地を血清が含まない、抗生物質、4500mg/Lのグルコース、584mg/Lのグルタミン、0.4mMのプロリンおよび50mg/Lのアスコルビン酸、100nMのデキサメタゾン、10ng/mLのTGFβ3を含有するDMEM分化培地に変えて、さらに4週間培養し、軟骨組織を再生した。
再生した組織をHE(ヘマトオキシリンとエオシン)染色、Safranin−O染色とトルイジンブルー染色を行った結果の写真を示したものが図8であり、円形細胞とSafranin−O染色とトルイジンブルー染色性細胞外マトリックスが確認することができた。

Claims (16)

  1. 細胞の播種用孔を有する多孔質基盤体であって、細胞の播種用孔を有する多孔質な主体の外周面に前記細胞よりも小さい孔からなる多孔質膜を配設してなることを特徴とする多孔質基盤体。
  2. 請求項1に記載の多孔質基盤体において、その主体が、フレーム状の骨格を有することを特徴とする多孔質基盤体。
  3. 請求項1に記載の多孔質基盤体において、その主体が、カゴ状の骨格を有することを特徴とする多孔質基盤体。
  4. 請求項1から3のいずれかに一項に記載の多孔質基盤体において、その多孔質膜は、生体吸収性物質又は生体非吸収性物質であることを特徴とする多孔質基盤体。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の多孔質基盤体において、その多孔質膜上に、さらに膜状多孔質体を積層してなることを特徴とする多孔質基盤体。
  6. 請求項5に記載の多孔質基盤体において、その膜状多孔質体が複数層繰り返して配設され、多層化されていることを特徴とする多孔質基盤体。
  7. 請求項3に記載の多孔質基盤体において、そのカゴ状主体中に、さらに多孔質物質を充填してなることを特徴とする多孔質基盤体。
  8. 請求項7に記載の多孔質基盤体において、その多孔質物質は、生体吸収性物質であることを特徴とする多孔質基盤体。
  9. 請求項4又は8に記載の多孔質基盤体において、その生体吸収性物質は、少なくとも生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子およびこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする多孔質基盤体。
  10. 請求項1から8のいずれか一項に記載の多孔質基盤体において、互いに異なる性質を有する層からなる複層構造を有することを特徴とする多孔質基盤体。
  11. 請求項10に記載の多孔質基盤体において、積層、包接、被覆、粒状もしくは塊状の接触、立体もしくは平面域のパターン接触、あるいはこれらの2種以上の組合せにより積層化されていることを特徴とする多孔質基盤体。
  12. 請求項10又は11に記載の多孔質基盤体において、複層構造を構成する各層は、組成、空隙率や孔の大きさや孔の連通性などの多孔質構造、および力学的性質のうちの少なくとも1種が互いに異なることを特徴とする多孔質基盤体。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の多孔質基盤体において、その主体が、生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする多孔質基盤体。
  14. 請求項10から12のいずれか一項に記載の多孔質基盤体において、複層構造の少くとも1層は、生体吸収性合成高分子、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする多孔質基盤体。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載の多孔質基盤体の製造方法であって、主体に骨格構造を有するものを用い、当該骨格構造の表面に多孔質膜を積層することを特徴とする多孔質基盤体の製造方法。
  16. 請求項1から14のいずれか一項に記載の多孔質基盤体の使用方法であって、その主体内に、軟骨細胞または軟骨細胞に分化する幹細胞を担持させることを特徴する多孔質基盤体の使用方法。
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