以下に添付図面を参照して、本発明にかかる運転支援システム、運転支援装置、運転支援方法、運転支援プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
はじめに、実施の形態1にかかる運転支援システム100の機能的構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかる運転支援システムの機能的構成を示すブロック図である。図1のブロック図において、運転支援システム100は、第1の通信装置110と、第2の通信装置120とによって構成される。
第1の通信装置110は、合流地点に合流する2つのルートのうち一方のルートの近傍に設置されている。また、第2の通信装置120は、合流地点に合流する2つのルートのうち他方のルートの近傍に設置されている。
第1の通信装置110は、受信部111、判断部112、検出部113、送信部114によって構成される。受信部111は、第1の通信装置110が近傍に設置されている一方のルートを移動している第1の移動体の進行方向に関する情報を受信するとともに、第1の移動体の移動速度に関する情報を連続的に受信する。また、受信部111は、後述する第2の通信装置120の送信部123から判定部122の判定結果が送信された場合には、送信された判定結果を受信する。
受信部111は、たとえば、自装置の近傍を通過する移動体に搭載された通信機に対して、移動方向や移動速度に関する情報の取得要求信号を送信し、返信された情報を受信する。また、たとえば、移動体に対して速度計測用電波を発射し、その反射波を受信することによって移動方向および移動速度を得ることとしてもよい。
ここで、移動体の進行方向に関する情報とは、たとえば、第1の移動体に搭載された通信機から送信される移動体の移動方向情報や目的地点情報などである。また、移動速度に関する情報とは、たとえば、第1の移動体に搭載された通信機から送信される現在速度情報や、前述した速度計測用電波の反射波などである。
また、連続的に受信する、とは、第1の移動体と常時接続して情報を受信してもよいし、一定時間ごとの情報の受信を継続するものであってもよい。具体的には、たとえば、第1の移動体に対して、一定時間ごとに情報の取得要求信号を送信し、返信される情報を受信する。
判断部112は、受信部111によって受信された進行方向に関する情報に基づいて、第1の移動体が合流地点に向かって移動しているか否かを判断する。判断部112は、具体的には、たとえば、第1の移動体の進行方向が変化しないまま、道なりに走行した場合、合流地点に到達するか否かによって、第1の移動体が合流地点に向かって移動しているか否かを判断する。
検出部113は、判断部112によって合流地点に向かって移動していると判断された場合、受信部111によって連続的に受信された移動速度に関する情報に基づいて、移動速度の時間的変化を検出する。検出部113は、具体的には、たとえば、受信部111が受信する移動速度に関する情報を記憶しておき、今回受信された情報と前回受信された情報とを比較する。そして、今回受信された情報と前回受信された情報とが異なる場合は変化あり、今回受信された情報と前回受信された情報とが等しい場合は変化なし、と検出する。
また、検出部113は、第1の移動体の現在位置と合流地点間の距離とに基づいて、合流地点に到達する時間の移動速度ごとの変化を検出することとしてもよい。この場合、検出部113は、たとえば、第1の移動体から、その現在位置を示す現在位置情報を取得し、現在位置から合流地点までの距離を算出する。そして、算出した距離を移動速度で除算することによって、第1の移動体が合流地点に到達する時間(以下、合流時間という)を算出する。
また、検出部113は、たとえば、装置本体が一方のルートの近傍に設置されている場合、装置本体の位置を第1の移動体の位置に近似して、第1の移動体の移動速度に関する情報と、装置本体と合流地点間の距離と、に基づいて、第1の移動体の合流時間を算出することとしてもよい。すなわち、装置本体と合流地点間の距離を、第1の移動体の速度で除算することによって、合流時間を算出することとしてもよい。
検出部113は、受信部111が連続的に受信する移動速度に関する情報をすべて用いて合流時間を算出してもよいし、連続的に受信する情報を一定間隔で間引いて合流時間を算出してもよい。なお、合流地点に到達する時間(合流時間)とは、時刻のように時間軸上の一点を特定するものでもよいし、時間帯のように一定の幅がある時間であってもよい。
送信部114は、判断部112によって判断された判断結果と検出部113によって検出された検出結果とを、第2の通信装置120に送信する。なお、判断部112によって、第1の移動体は合流地点に向かって移動していないと判断された場合には、送信部114による情報の送信は省略してもよい。
また、送信部114は、受信部111が後述する第2の通信装置120の送信部123から判定部122の判定結果を受信した場合は、受信した判定結果を第1の移動体に送信する。
つぎに、第2の通信装置120の機能的構成について説明する。第2の通信装置120は、受信部121、判定部122、送信部123によって構成される。受信部121は、第1の通信装置110の送信部114によって送信された判断結果および検出結果を受信する。また、受信部121は、送信部114による判断結果および検出結果の送信前後における第2の移動体の移動速度に関する情報を受信することとしてもよい。
判定部122は、受信部121によって第2の移動体の移動速度に関する情報が受信された場合、その情報の送信前後における移動速度に基づいて、第1および第2の移動体の衝突可能性を判定する。判定部122は、たとえば、受信部121によって受信された移動速度が情報の送信前後において変化している場合、第1および第2の移動体それぞれの合流時間の差分を算出する。そして、合流時間の差分が所定時間以内の場合、衝突可能性があると判断する。
送信部123は、受信部121によって受信された判断結果および検出結果を、合流地点に合流する2つのルートのうち他方のルートを移動している第2の移動体に送信する。また、送信部123は、判定部122によって判定された判定結果を、第1の通信装置110に送信する。
つぎに、運転支援システム100の運転支援処理の手順について説明する。ここでは、第1の通信装置110における処理と、第2の通信装置120における処理とを分けて説明する。図2は、第1の通信装置の運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図2において、まず、第1の通信装置110は、受信部111によって、第1の移動体の移動速度に関する情報を連続的に受信する(ステップS201)。また、受信部111によって、第1の移動体の進行方向に関する情報を受信する(ステップS202)。
つぎに、判断部112によって、第1の移動体が合流地点に向かって移動しているか否かを判断する(ステップS203)。合流地点に向かって移動している場合は(ステップS203:Yes)、検出部113によって、移動速度の変化を検出する(ステップS204)。
そして、ステップS203で得られた判断結果およびステップS204で得られた検出結果を第2の通信装置120に送信する(ステップS205)。一方、合流地点に向かって移動していない場合は(ステップS203:No)、ステップS201に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS205において、判断結果および検出結果を第2の通信装置120に送信した場合、第1の通信装置110は、受信部111によって、第2の通信装置120の判定部122による判定結果を受信したか否かを判断する(ステップS206)。判定結果を受信した場合は(ステップS206:Yes)、送信部114によって、受信した判定結果を第1の移動体に送信して(ステップS207)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、判定結果を受信しなかった場合は(ステップS206:No)、ステップS201に戻り、以降の処理を継続する。
つぎに、第2の通信装置120がおこなう運転支援処理の手順について説明する。図3は、第2の通信装置の運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図3において、まず、第2の通信装置120は、受信部121によって、第1の通信装置110から送信された判断結果および検出結果を受信するまで待機する(ステップS301:Noのループ)。
判断結果および検出結果を受信した場合は(ステップS301:Yes)、受信した判断結果および検出結果を第2の移動体に送信し(ステップS302)、受信部121によって、判断結果および検出結果の送信前後における第2の移動体の移動速度に関する情報を受信する(ステップS303)。そして、判定部122によって、第1の移動体と第2の移動体とに衝突可能性があるか否かを判断する(ステップS304)。
衝突可能性がある場合は(ステップS304:Yes)、第1の移動体と第2の移動体とに衝突可能性がある旨の情報を第1の通信装置110に送信して(ステップS305)、本フローチャートによる処理を終了する。このとき、第1の通信装置120と同時に、第2の移動体に対して衝突可能性がある旨の情報を送信してもよい。一方、衝突可能性がない場合は(ステップS304:No)、衝突可能性はない旨の情報を第1の通信装置110に送信して(ステップS306)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、衝突可能性がない場合は、情報の送信を省略することとしてもよい。
以上説明したように、運転支援システム100によれば、合流地点に合流する2つのルートのうち、一方のルートから合流地点に向かって移動している第1の移動体の有無についての情報を、他方のルートを移動している第2の移動体に送信することができる。これにより、第2の移動体は、合流地点において第1の移動体と衝突する可能性があるかどうかを知ることができる。
また、判断結果とともに第1の移動体の移動速度の変化に関する検出結果を、第2の移動体に送信する。これにより、合流地点での衝突を回避するための策を講じる際に判断材料となる情報を、第2の移動体の運転者に与えることができる。さらに、移動速度に関する情報を元に、第1の移動体が合流地点に到達する時間の変化を検出し、第2の移動体に送信することによって、より詳細な判断材料を与えることができる。
また、第1の移動体と第2の移動体との衝突可能性があるかを判断し、第1の移動体に送信する。これにより、第1の移動体の運転者に対しても、合流地点での衝突を回避するための策を講じる際に判断材料となる情報を与えることができる。さらに、第1の移動体の移動速度に関する情報を連続的に受信し、検出した移動速度の変化を第2の移動体に送信する。これにより、第2の移動体では、合流地点に至るまでのルートにおいて、第1の移動体の変化に応じて衝突回避のための動作をおこなうことができる。
また、装置本体の位置を第1の移動体の位置と近似することによって、第1の移動体から位置に関する情報を受信しなくても、合流地点に到達する時間を算出することができ、第1の移動体から受信する情報を軽減することができる。
なお、本実施の形態1においては、第1の移動体と第2の移動体とに衝突可能性があるか否かは、第2の通信装置120で判断したが、第1の通信装置110で判断してもよい。この場合、判定部122を第1の通信装置110に設け、図3のステップS303で受信した第2の移動体の移動速度に関する情報は、第1の通信装置110に送信される。そして、第1の通信装置110の判定部122で衝突可能性があるか否かの判断をおこない、判定結果を第1の移動体および第2の通信装置120に送信する。
また、第1の通信装置110および第2の通信装置120と、通信可能な通信サーバを設けることとしてもよい。この場合、第1の通信装置110は、第1の移動体の進行方向に関する情報を受信するとともに、第1の移動体の移動速度に関する情報を連続的に受信し、受信結果を通信サーバに送信する。通信サーバは、図2のステップS203およびステップS204の判断および検出をおこない、判断結果および検出結果を第2の通信装置120に送信する。
この場合、通信サーバは、さらに第2の通信装置120から判断結果および検出結果の送信前後における第2の移動体の移動速度に関する情報を受信し、第1の移動体と第2の移動体とに衝突可能性があるか否かを判断することとしてもよい。このように通信サーバを設置することによって、ルートの近傍に設置する通信装置の構成を簡易化することができる。
(実施例1)
つぎに、上述した実施の形態1にかかる運転支援システム100の実施例1について説明する。以下の実施例においては、運転支援システム100を道路脇に設置された路側機430,440および、車両410,420に搭載された通信機411,421からなる運転支援システム400に適用した場合について説明する。
まず、実施例1にかかる運転支援システム400が適用される交通状況について説明する。図4は、実施例1にかかる運転支援システムが適用される交通状況を示す説明図である。図4において、合流地点の一例として、高速道路の本線L1と合流車線L2とが交差する合流地点Pが図示されている。合流地点Pの周辺には、移動体の一例として車両410(410a〜410c),420(420a,420b)が走行している。車両410は本線L1を走行する車両、車両420は合流車線L2を走行する車両である。
車両410,420には、それぞれ通信機411(411a〜411c),421(421a,421b)が搭載されている。通信機411,421は、車両410,420がそれぞれ走行する道路脇に設置された路側機430,440と交信し、自車の走行情報を送信したり、運転支援情報を受信したりする。
また、車両410,420は、それぞれ自車を特定するIDが、たとえば、IPアドレスのように、それぞれの車両410,420に一意に割り振られている。このIDは、運転支援システム400において通信用アドレスに用いられ、通信機411,421は、車両410,420のIDを用いて特定の車両410,420に情報を送信することができる。それぞれの車両410,420のIDは、それぞれの通信機411,421に記憶されている。
路側機430は、本線L1の近傍に設置されており、本線L1を走行し、路側機430の側を通過する車両410の通信機411と交信する。また、路側機440は、合流車線L2の近傍に設置されており、合流車線L2を走行し、路側機440の側を通過する車両420の通信機421と交信する。以下、路側機430を本線側路側機430、路側機440を合流側路側機440という。
本線側路側機430、合流側路側機440の通信範囲は、それぞれ図4中の点線で示すエリアA,B(以下、通信エリアA,Bという)である。通信エリアA,Bは、それぞれ合流地点Pを含み、エリア内をそれぞれ異なる速度で走行し、かつ、同時刻に合流地点Pに達する車両410,420とそれぞれ交信可能である。また、本線側路側機430と合流側路側機440は、相互に通信することができる。
本線側路側機430と合流側路側機440は、それぞれ、本線L1あるいは合流車線L2の平均的な速度で車両410,420が走行した場合に、合流地点Pに到着するまでかかる時間が等しくなる距離(以下、等時間距離という)に設置される。たとえば、本線L1の平均速度が80km/h、合流車線L2の平均速度が50km/hの場合、本線側路側機430は合流地点Pから約2670m、合流側路側機440は合流地点Pから約1670mにそれぞれ設けられる。これにより、それぞれの路側機430は、合流地点Pに到達するまで120秒の等時間距離に設けられることとなる。
ここで、運転支援システム400がおこなう運転支援の概要を説明する。本線側路側機430は、本線L1を走行する車両410から車両IDや走行方向、走行速度などの情報を受信し、それぞれの車両410が合流地点Pに到達する時刻(以下、合流時刻という)を算出し、保存している。また、合流側路側機440は、合流車線L2を走行する車両420から車両IDや走行方向、走行速度などの情報を受信し、車両420の合流時刻を算出する。そして、本線側路側機430に対して、衝突可能性がある車両410があるかを照合要求する。
本線側路側機430は、車両420の合流時刻と保存している車両410の合流時刻を照合し、合流時刻が所定時間内の車両410がある場合には、衝突可能性があるとして合流側路側機440に警告情報を送信する。合流側路側機440は、本線側路側機430から警告情報を受信すると、合流車線L2を走行する車両420の通信機421に警告情報を送信する。通信機421では、警告情報の内容を表示したり、音声出力したりして、車両420の運転者に車両410との衝突可能性を報知して、減速や車線変更など衝突回避のための措置を講じるよう促す。
一方、本線側路側機430では、車両420との衝突可能性がある車両410(以下、監視対象車両という)について、合流地点Pに達するまで継続的に交信し、その速度と位置を常にモニターして合流時刻の変化を把握する。そして、合流時刻の変化があれば、その都度合流側路側機440に送信する。合流側路側機440は、本線側路側機430からの情報を元に、監視対象車両と車両420の衝突可能性をモニターし、衝突可能性が消えなければ車両420への警告情報の送信を継続する。なお、監視対象車両は複数の車両410であってもよい。以上のような処理によって、運転支援システム400は、車両410、420の運転を支援する。
なお、以下の実施例では、合流地点は高速道路の本線L1と合流車線L2の合流地点Pとしたが、この他、合流地点は、信号機が設けられていない交差点、または、信号機が設けられている交差点であってもよい。信号機が設けられていない交差点においては、交差する車線から進入する他の車両の動きを知ることができず、事故が発生する可能性が高い。また、信号機が設けられている交差点であっても、夜間点滅式信号機の場合や、信号無視をして走行する他の車両がある場合などは、他の車両との衝突可能性を判断する必要が生じるためである。
また、以下の実施例では、2つの道路が合流する合流地点を例に説明するが、2つの道路が交差する四叉路や三叉路、五叉路などであってもよい。これらの合流地点でも、他の車両との衝突可能性を判断する必要が生じるためである。この場合、たとえば、合流地点に到達しようとする車両(以下の実施例では車両420)は、交差する道路それぞれの近傍に設置された路側機から警告情報などの提供を受ける。
さらに、以下の実施例では、本線側路側機430に、合流側路側機440が照合要求することとするが、合流側路側機440に対して、本線側路側機430が照合要求をおこなうこととしてもよい。この場合、以下に説明する本線側路側機430および合流側路側機440の処理をそれぞれ逆に読み替えればよい。
(路側機430,440のハードウェア構成)
つぎに、路側機430,440のハードウェア構成について説明する。図5は、路側機のハードウェア構成を示すブロック図である。図5において、路側機430,440は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、磁気ディスクドライブ504と、磁気ディスク505と、光ディスクドライブ506と、光ディスク507と、音声I/F(インターフェース)508と、マイク509と、スピーカ510と、入力デバイス511と、映像I/F512と、ディスプレイ513と、通信I/F(インターフェース)514と、を備えている。また、各構成部501〜514はバス520によってそれぞれ接続されている。
まず、CPU501は、路側機430,440の全体の制御を司る。ROM502は、ブートプログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。
磁気ディスクドライブ504は、CPU501の制御にしたがって磁気ディスク505に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク505は、磁気ディスクドライブ504の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク505としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
また、光ディスクドライブ506は、CPU501の制御にしたがって光ディスク507に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク507は、光ディスクドライブ506の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク507は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク507のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
また、音声I/F508は、音声入力用のマイク509および音声出力用のスピーカ510に接続される。マイク509に受音された音声は、音声I/F508内でA/D変換される。また、スピーカ510からは音声が出力される。また、入力デバイス511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。
また、映像I/F512は、ディスプレイ513と接続される。映像I/F512は、具体的には、たとえば、ディスプレイ513全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ513を表示制御する制御ICなどによって構成される。
ディスプレイ513には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ513は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
また、通信I/F514は、無線を介して通信ネットワークに接続され、通信機411,421とCPU501とのインターフェースとして機能する。通信I/F514は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU501とのインターフェースとしても機能する。
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F514は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線通信機器、およびその他の通信機器によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
なお、通信機411,421のハードウェア構成は、上述した路側機430,440のハードウェア構成のうち、少なくともCPU501と、ROM502と、RAM503と、音声I/F508と、スピーカ510と、映像I/F512と、ディスプレイ513と、通信I/F514と、を備えるものとする。
また、実施の形態1にかかる運転支援システム100の機能的構成のうち、受信部111,121および送信部114,123は通信I/F514によって、判断部112、検出部113、判定部122はROM502などに記録されたプログラムをCPU501が実行することによって、それぞれその機能を実現する。
(運転支援システム400の運転支援処理)
つぎに、実施例1にかかる運転支援システム400の運転支援処理の詳細について説明する。はじめに、本線側路側機430がおこなう処理について説明する。図6および図7は、本線側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。
図6のフローチャートにおいて、本線側路側機430は、自装置の通信エリアAに車両410が進入したか否かを判断する(ステップS601)。車両410が進入した場合は(ステップS601:Yes)、進入した車両410の通信機411から、車両410のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS602)。
具体的には、車両410に対して、これらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両410に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。一方、車両410が通過しない場合は(ステップS601:No)、図7のステップS605に移行する。
つぎに、本線側路側機430は、ステップS602で取得した走行方向および走行速度を元に車両410が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS603)。具体的には、車両410が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両410と合流地点Pとの距離は、ステップS602で受信した車両410の位置情報を用いて算出する。また、車両410と合流地点Pとの距離を、本線側路側機430と合流地点Pとの距離を近似して用いることとしてもよい。この場合、車両410が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、本線側路側機430は、受信したID、走行方向、走行速度、位置情報や、算出した合流時刻をデータベースとして保存し(ステップS604)、図7のステップS605に移行する。データベースに保存されたデータは、少なくとも合流時刻が経過するまでは本線側路側機430で保存し、それ以降は逐次消去する。
図7の説明に移り、本線側路側機430は、合流側路側機440からデータベースの照合要求があったか否かを判断する(ステップS605)。ここで、データベースの照合要求とは、合流車線L2を走行する車両420の合流時刻と同時刻に、合流地点Pに到達する車両410が存在するかを、合流側路側機440が照合要求するものである。このとき合流側路側機440から送信される照合要求には、車両420の合流時刻が含まれている。
照合要求があった場合は(ステップS605:Yes)、ステップS604で保存したデータベースを照合して(ステップS606)、車両420と衝突可能性がある車両410があるか否かを判断する(ステップS607)。衝突可能性がある車両410がある場合は(ステップS607:Yes)、その車両410を監視対象車両としてリストアップするとともに(ステップS608)、合流側路側機440に照合結果を送信する(ステップS609)。
一方、照合要求がない場合は(ステップS605:No)、ステップS601に戻り、以降の処理を繰り返す。また、衝突可能性がある車両410がない場合は(ステップS607:No)、照合結果を送信して(ステップS610)、本フローチャートによる処理を終了する。
ステップS606において、本線側路側機430は、たとえば、車両420の合流時刻を含む所定の時間帯(たとえば、合流時刻の前後15秒など)に合流時刻が含まれる車両410があるかを照合し、ある場合には、その車両を監視対象車両として、合流時刻、走行速度、位置情報などを抽出する。そして、本線側路側機430は、抽出した車両410の合流時刻、走行速度、位置情報などを照合結果として送信する。このとき、監視対象車両に対して、何らかの警告情報を送信してもよい。
一方、車両420の合流時刻を含む所定の時間帯に合流時刻が含まれる車両410がない場合は(ステップS607:Noの場合)、該当する車両410がない旨の情報を送信する。また、このように該当する車両410がない場合は、照合結果の送信を省略することをもって、該当する車両410がない旨の情報の送信に代えてもよい。
ステップS609で照合結果を送信した後、本線側路側機430は、監視対象車両の走行速度などを受信する(ステップS611)。走行速度など、とは、ステップS602で受信した走行方向、走行速度、位置情報などの情報である。つぎに、ステップS611で受信した情報を用いて、再度監視対象車両の合流時刻を算出する(ステップS612)。
そして、算出した合流時刻とステップS603で算出した合流時刻とを比較して、合流時刻に変化があるか否かを判断する(ステップS613)。このように、合流時刻に変化があったかを判断するのは、はじめに走行速度を受信した際と比較して、車両410の走行速度や走行方向などに変化があった場合には、衝突可能性がなくなっている場合があるからである。
合流時刻に変化があった場合は(ステップS613:Yes)、合流側路側機440に合流時刻の変化を送信し(ステップS614)、ステップS615に移行する。一方、合流時刻に変化がない場合は(ステップS613:No)、合流地点Pに到達したか否かを判断し(ステップS615)、合流地点Pに到達した場合は(ステップS615:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、合流地点Pに到達しない場合は(ステップS615:No)、ステップS611に戻り、以降の処理を継続し、監視対象車両の監視を継続する。
つぎに、合流側路側機440側でおこなう処理について説明する。図8は、合流側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、合流側路側機440は、自装置の通信エリアBに車両420が進入するまで待機する(ステップS801:Noのループ)。車両420が進入した場合は(ステップS801:Yes)、進入した車両420の通信機421から、車両420のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS802)。
具体的には、本線側路側機430と同様に、車両420に対してこれらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両420に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。
つぎに、合流側路側機440は、ステップS802で取得した走行方向および走行速度を元に車両420が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS803)。具体的には、車両420が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両420と合流地点Pとの距離は、ステップS802で受信した車両420の位置情報を用いて算出する。また、車両420と合流地点Pとの距離を、合流側路側機440と合流地点Pとの距離を近似して用いることとしてもよい。この場合、車両420が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、合流側路側機440は、本線側路側機430に対して、ステップS803で算出した合流時刻を含んだ照合要求を送信する(ステップS804)。照合要求とは、車両420の合流時刻と同時刻に、合流地点Pに到達する車両410が存在するかを合流側路側機440が照合要求するものである。
合流側路側機440は、本線側路側機430から照合要求に対する返信があるまで待機する(ステップS805:Noのループ)。本線側路側機430から照合要求に対する返信があると(ステップS805:Yes)、返信された照合結果を元にして、車両420と車両410とに衝突可能性があるか否かを判断する(ステップS806)。
衝突可能性があるかの判断は、返信された照合結果を元にしておこなう。たとえば、受信した照合結果に、車両410の合流時刻、走行速度、位置情報などが含まれる場合は、衝突可能性ありと判断する。また、照合結果が該当する車両410がない旨の情報である場合は、衝突可能性なしと判断する。
そして、衝突可能性がある場合は(ステップS806:Yes)、車両420の通信機421に警告情報を送信する(ステップS807)。このとき、車両420の通信機421への情報送信には、ステップS802で受信した車両420のIDを通信用アドレスとして用いる。
また、警告情報とは、衝突可能性がある車両410の存在を、車両420の運転者に警告する情報である。具体的には、衝突可能性がある車両410の合流時刻や走行速度、位置情報、衝突を回避するための具体的な措置などの情報である。車両420の通信機421では、送信された警告情報を画面表示や音声出力することによって、衝突可能性のある車両410の存在を車両420の運転者に報知する。車両420の運転者は、通信機421から報知される情報を元に、車両410との衝突を回避する措置(たとえば走行速度の低減、車線変更など)を講じる。
一方、衝突可能性がない場合は(ステップS806:No)、警告情報の送信はおこなわず、本フローチャートによる処理を終了する。なお、このとき、衝突可能性がある車両410はない旨の情報を送信することとしてもよい。
ステップS807で警告情報を送信した後、合流側路側機440は、本線側路側機430から合流時刻の変化に関する情報を受信したか否かを判断する(ステップS808)。合流時刻の変化に関する情報とは、図7のステップS614において、本線側路側機430が、監視対象車両の合流時刻に変化があった場合に送信する情報である。
合流時刻の変化に関する情報を受信した場合は(ステップS808:Yes)、監視対象車両との衝突が回避されたか否かを判断する(ステップS809)。衝突が回避されたか否かの判断は、たとえば、新たに受信した監視対象車両の合流時刻と、車両420の合流時刻との差分が、所定時間以上の場合には、衝突可能性がなくなり衝突は回避されたと判断し、所定時間未満の場合には、衝突可能性がなくならず衝突は回避されていないと判断する。
監視対象車両との衝突が回避された場合は(ステップS809:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、このとき、車両420の通信機421に、衝突が回避された旨の情報を送信することとしてもよい。
一方、合流時刻の変化に関する情報を受信しない場合(ステップS808:No)、または衝突が回避されない場合は(ステップS809:No)、車両420が合流地点Pに到達したか否かを判断する(ステップS810)。合流地点Pに到達したか否かの判断は、たとえば、ステップS803で算出した合流時刻が経過したか、または、車両420に対して継続的に位置情報の送信を要求し、返信される現在位置情報が合流地点Pを通過したか、などによって判断する。
車両420が合流地点Pに到達した場合は(ステップS810:Yes)、衝突可能性についての警告情報を送信する必要はなくなるため、本フローチャートによる処理を終了する。一方、車両420が合流地点Pに到達していない場合は(ステップS810:No)、ステップS807に戻り、車両420に対して、衝突可能性についての警告情報を送信を継続する。以上が運転支援システム400の運転支援処理の手順である。
なお、実施例1では、本線側路側機430のみが本線L1を走行する車両410の合流時刻の変化を検出することとしたが、合流側路側機440においても、合流車線L2を走行する車両420の合流時刻の変化を検出し、本線側路側機430にフィードバックすることとしてもよい。これにより、本線側路側機430においても、より正確な情報を合流側路側機440に提供することができる。
また、本線側路側機430において、衝突可能性がある車両410(監視対象車両)の後続車の合流時刻についても、合流側路側機440に送信することとしてもよい。これにより、合流側路側機440では、後続車も含めて衝突を回避するための措置を車両420の運転者に提案することができる。
さらに、衝突回避のための動作(以下、衝突回避動作という)は、運転者の運転によらず、車両410,420に設けられた運転補助装置や自動運転装置(図示せず)によって、自動的におこなうこととしてもよい。その際、衝突可能性がある他の車両410,420に対して、衝突可能性についての報知情報などを送信すると同時に、減速や車線変更などの衝突回避動作の種類についての情報(以下、回避動作情報という)を送信することとしてもよい。回避動作情報の送信は、ブレーキ操作やハンドル操作に応じて自動でおこなわれることとしてもよい。
他の車両410,420に送信された回避動作情報は、その内容が他の車両410,420に搭載された通信機411,421に表示される。運転者による運転によって他の車両410,420の回避動作をおこなう場合、他の車両410,420の運転者は、相手側が回避動作に入ったことを認識し、自身は回避動作をおこなわず、そのまま走行しようと判断することができる。
また、運転補助装置または自動運転装置によって回避動作をおこなう場合は、相手側から回避動作情報を受信後、相手側に対して回避動作をおこなうことに対する許可を取ってから回避動作をおこなう。この場合、これらの情報の送受信、回避動作をおこなうかの判断および回避動作の実行は、運転補助装置または自動運転装置によって自動でおこなわれる。
さらに、衝突回避動作は、原則的に本線L1を走行する車両410がおこなうというルールを設けて、合流車線L2を走行する車両420から、車両410に対して衝突回避動作を促す通知を送るようにしてもよい。逆に、本線L1を走行する車両410から、車両420に対して衝突回避動作を促す通知を送るようにしてもよい。この場合、たとえば、車両410,420に、後方や側方の通行状態を自動的に認識できる機能が設けられている場合、通知を受信した側の車線が衝突回避動作を起しにくいときは、回避不可である信号を返し、通知を送信した側の車両410,420が衝突回避動作をおこなう。
このような通知は、たとえば、運転者による運転によって車両410,420の回避動作をおこなう場合であれば、「○○km/hに減速してください」、「右側の車線に車線変更してください」のような具体的な回避動作を含んだ回避動作情報を送信する。また、運転補助装置または自動運転装置によって回避動作をおこなう場合であれば、これらの装置を制御する信号を、車両410,420に送信する。
さらに、図8のステップS806の衝突可能性があるか否かを判断は、本線側路側機430でおこなうこととしてもよい。この場合、本線側路側機430は、ステップS804で送信される照合要求に含まれる車両420の合流時刻および車両410の合流時刻のデータベースに基づいて、衝突可能性を判断する。そして、データベースの照合結果の代わりに、判断結果を第2の通信装置120に送信する。また、この場合、図7のステップS613で合流時刻に変化があった場合は、再度衝突可能性があるか否かの判断をおこない、判断結果を合流側路側機440に送信することとしてもよい。
以上説明したように、実施例1にかかる運転支援システム400によれば、本線側路側機430および合流側路側機440によって、衝突可能性がある車両410,420を特定し、合流地点Pまで継続的に監視することができる。これにより、車両410,420の運転者は、衝突可能性がある他の車両410,420の動きを考慮しつつ、減速や車線変更などの衝突回避のための処理をおこなうことができる。
(実施例2)
実施の形態1の実施例1にかかる運転支援システム400では、本線L1および合流車線L2にそれぞれ1台ずつ設置された路側機430,440によって車両410,420の運転支援をおこなった。実施の形態1の実施例2にかかる運転支援システム900では、本線L1および合流車線L2にそれぞれ複数台ずつ設置された路側機930,940によって車両410,420の運転支援をおこなう。このように、複数台の路側機930,940を設けることによって、現実の交通状況をより反映させた運転支援をおこなうことができる。
まず、実施例2にかかる運転支援システム900が適用される交通状況について説明する。図9は、実施例2にかかる運転支援システムが適用される交通状況を示す説明図である。図9において、図4に示した実施例1と同様に、合流地点の一例として、高速道路の本線L1と合流車線L2とが交差する合流地点Pが図示されている。合流地点Pの周辺には、移動体の一例として車両410(410a〜410c),420(420a,420b)が走行している。車両410は本線L1を走行する車両、車両420は合流車線L2を走行する車両である。
車両410,420には、それぞれ通信機411(411a〜411c),421(421a,421b)が搭載されている。通信機411,421は、車両410,420がそれぞれ走行する道路脇に設置された路側機930,940と交信し、自車の走行情報を送信したり、運転支援情報を受信したりする。
また、車両410,420は、それぞれ自車を特定するIDが、たとえば、IPアドレスのように、それぞれの車両410,420に一意に割り振られている。このIDは、運転支援システム900において通信用アドレスに用いられ、通信機411,421は、車両410,420のIDを用いて特定の車両410,420に情報を送信することができる。それぞれの車両410,420のIDは、それぞれの通信機411,421に記憶されている。
路側機930(930a〜930n)は、本線L1の近傍に設置されており、本線L1を走行し、路側機930の側を通過する車両410の通信機411と交信する。また、路側機940(940a〜940m)は、合流車線L2の近傍に設置されており、合流車線L2を走行し、路側機940の側を通過する車両420の通信機421と交信する。以下、路側機930を本線側路側機930、路側機940を合流側路側機940という。
本線側路側機930(930a〜930n)は、本線L1の近傍に合流地点Pの手前から適当な間隔をあけて設置されている。本線側路側機930のうち、合流地点Pから最も遠いものを本線側路側機930a、合流地点Pに最も近いものを本線側路側機930nとする。また、合流側路側機940(940a〜940m)は、合流車線L2の近傍に合流地点Pの手前から適当な間隔をあけて設置されている。合流側路側機940のうち、合流地点Pから最も遠いものを合流側路側機940a、合流地点Pに最も近いものを合流側路側機940mとする。
また、本線側路側機930、合流側路側機940は、たとえば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)のような狭域通信用の路側機であり、その通信エリアは、通信機411,421と交信した時点における車両410,420の位置を、自装置の位置と近似できる程に狭小なものとする。
また、本線側路側機930、合流側路側機940は、ネットワークを通じた通信によって相互に情報の送受信が可能である。以下、本線側路側機930、合流側路側機940はが車両410,420とおこなう通信を「狭域通信」、本線側路側機930および合流側路側機940間でおこなう通信を「広域通信」という。
本線側路側機930、合流側路側機940は、それぞれの広域通信用アドレスをあらかじめ保持している。一方で、本線側路側機930、合流側路側機940は、車両910,920の狭域通信用アドレスは保持しておらず、車両910,920が自装置の近傍を通過した際にアドレス(ID)の取得要求をおこなうことによって、その通信用アドレスを得る。
つぎに、実施例2にかかる運転支援システム900の運転支援処理の詳細について説明する。なお、路側機930,940のハードウェア構成は、実施例1にかかる路側機330,340と同様であるため、説明を省略する。はじめに、合流地点Pから最も遠い本線側路側機930aがおこなう処理について説明する。なお、説明の便宜上、合流地点Pから最も遠い本線側路側機930aと、その他の本線側路側機930b〜930nとの処理を分けて説明するが、各本線側路側機930a〜930nにおいて、どちらの処理をおこなってもよい。
図10は、合流地点から最も遠い本線側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図10のフローチャートにおいて、本線側路側機930aは、自装置の近傍を車両410が通過したか否かを判断する(ステップS1001)。車両410が通過した場合は(ステップS1001:Yes)、通過した車両410の通信機411から、車両410のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS1002)。
具体的には、車両410に対して、これらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両410に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。一方、車両410が通過しない場合は(ステップS1001:No)、ステップS1005に移行する。
つぎに、本線側路側機930aは、ステップS1002で受信した走行方向および走行速度を元に車両410が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS1003)。具体的には、車両410が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両410と合流地点Pとの距離は、本線側路側機930aと合流地点Pとの距離を近似して用いる。この場合、車両410が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、ステップS1002で車両410の位置情報を受信できる場合には、受信した位置情報を用いてもよい。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、本線側路側機930aは、受信したID、走行方向、走行速度、位置情報や、算出した合流時刻をデータベースとして保存する(ステップS1004)。データベースに保存されたデータは、少なくとも合流時刻が経過するまでは本線側路側機930aで保存し、それ以降は逐次消去する。
つぎに、本線側路側機930aは、合流側路側機940からデータベースの照合要求があったかを判断する(ステップS1005)。ここで、データベースの照合要求とは、合流車線L2を走行する車両420の合流時刻と同時刻に、合流地点Pに到達する車両410が存在するか否かを、合流側路側機940が照合要求するものである。このとき合流側路側機940から送信される照合要求には、車両420の合流時刻が含まれている。
照合要求があった場合は(ステップS1005:Yes)、ステップS1004で保存したデータベースを照合して(ステップS1006)、車両420と衝突可能性がある車両410があるか否かを判断する(ステップS1007)。
衝突可能性がある車両410がある場合は(ステップS1007:Yes)、その車両410を監視対象車両としてリストアップするとともに(ステップS1008)、合流側路側機940に照合結果を送信する(ステップS1009)。そして、監視対象車両に関する情報を他の本線側路側機930b〜930nに送信して(ステップS1010)、本フローチャートによる処理を終了する。監視対象車両に関する情報とは、たとえば、監視対象車両のIDおよび合流時間、走行速度などの情報である。このとき、監視対象車両に対して、何らかの警告情報を送信してもよい。
一方、照合要求がない場合は(ステップS1005:No)、ステップS1001に戻り、以降の処理を繰り返す。また、衝突可能性がある車両410がない場合は(ステップS1007:No)、合流側路側機940に照合結果を送信して(ステップS1011)、本フローチャートによる処理を終了する。
ステップS1007において、本線側路側機930は、たとえば、車両420の合流時刻を含む所定の時間帯(たとえば、合流時刻の前後15秒など)に合流時刻が含まれる車両410があるかを照合し、ある場合には、その合流時刻、走行速度、位置情報などを抽出する。そして、本線側路側機930は、抽出した車両410の合流時刻、走行速度、位置情報などを照合結果として送信する。
一方、車両420の合流時刻を含む所定の時間帯に合流時刻が含まれる車両410がない場合は(ステップS1007:Noの場合)、該当する車両410がない旨の情報を送信する。また、このように該当する車両410がない場合は、照合結果の送信を省略することをもって、該当する車両410がない旨の情報の送信に代えてもよい。
つぎに、本線側路側機930a以外の他の本線側路側機930b〜930nがおこなう処理について説明する。図11は、他の本線側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。なお、他の本線側路側機930b〜930nは、図10のステップS1010で本線側路側機930aが送信した、監視対象車両に関する情報を、あらかじめ受信しているものとする。
図11のフローチャートにおいて、他の本線側路側機930b〜930n、自装置の近傍を車両410が通過するまで待機する(ステップS1101:Noのループ)。車両410が通過した場合は(ステップS1101:Yes)、車両410からIDを受信し(ステップS1102)、監視対象車両か否かを判断する(ステップS1103)。具体的には、本線側路側機930aから受信した、監視対象車両に関する情報に含まれるIDと、ステップS1102で受信したIDとを照合することによって、監視対象車両か否かを判断する。
監視対象車両の場合は(ステップS1103:Yes)、車両410の走行方向、走行速度、位置情報などを受信する(ステップS1104)。そして、受信した情報から車両410の合流時刻を算出し(ステップS1105)、監視対象車両のIDおよび算出した合流時刻から構成される合流時刻情報を合流側路側機940に送信して(ステップS1106)、本フローチャートによる処理を終了する。
なお、合流側路側機940は合流車線L2に複数設置されているが、合流時刻を送信するのは、すべての合流側路側機940でもよいし、いずれか1つの合流側路側機940であってもよい。いずれか1つの合流側路側機940に送信された場合、合流時刻を受信した合流側路側機940は、他の合流側路側機940に対して合流時刻を送信する。一方、監視対象車両ではない場合は(ステップS1103:No)、ステップS1101に戻り、以降の処理を繰り返す。以上が本線側路側機930がおこなう処理である。
つぎに、合流側路側機940がおこなう運転支援処理について説明する。まず、合流地点Pから最も遠い合流側路側機940aがおこなう処理について説明する。なお、説明の便宜上、合流地点Pから最も遠い合流側路側機940aと、その他の合流側路側機940b〜940mとの処理を分けて説明するが、各合流側路側機940a〜940mにおいて、どちらの処理をおこなってもよい。
図12は、合流地点から最も遠い合流側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図12のフローチャートにおいて、合流地点Pから最も遠い合流側路側機940aは、自装置の近傍を車両420が通過するまで待機する(ステップS1201:Noのループ)。車両420が通過した場合は(ステップS1201:Yes)、通過した車両420の通信機421から、車両420のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS1202)。
具体的には、本線側路側機930と同様に、車両420に対してこれらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両420に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。
つぎに、合流側路側機940aは、ステップS1202で取得した走行方向および走行速度を元に車両420が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS1203)。具体的には、車両420が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両420と合流地点Pとの距離は、合流側路側機940と合流地点Pとの距離を近似して用いる。この場合、車両420が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、ステップS802で車両420の位置情報を受信した場合は、受信した情報を用いて算出することとしてもよい。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、合流側路側機940aは、本線側路側機930に対して、ステップS1203で算出した合流時刻を含んだ照合要求を送信する(ステップS1204)。照合要求とは、車両420の合流時刻と同時刻に、合流地点Pに到達する車両410が存在するかを合流側路側機940aが照合要求するものである。なお、本線側路側機930は複数設置されているが、照合要求を送信するのは、すべての本線側路側機930でもよいし、いずれか1つの本線側路側機930であってもよい。
合流側路側機940aは、本線側路側機930から照合要求に対する返信があるまで待機する(ステップS1205:Noのループ)。本線側路側機930から照合要求に対する返信があると(ステップS1205:Yes)、返信された照合結果を元にして、車両420と車両410とに衝突可能性があるか否かを判断する(ステップS1206)。
衝突可能性があるかの判断は、返信された照合結果を元にしておこなう。たとえば、受信した照合結果に、車両410の合流時刻、走行速度、位置情報などが含まれる場合は、衝突可能性ありと判断する。また、照合結果が該当する車両410がない旨の情報である場合は、衝突可能性なしと判断する。なお、実施例1と同様に、衝突可能性があるかの判断は、本線側路側機930でおこなってもよい。
そして、衝突可能性がある場合は(ステップS1206:Yes)、他の合流側路側機940b〜940mに警告情報を送信して(ステップS1207)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、衝突可能性がない場合は(ステップS1206:No)、警告情報の送信はおこなわず、本フローチャートによる処理を終了する。なお、このとき、衝突可能性はない旨の情報を、他の合流側路側機940b〜940mに送信することとしてもよい。
ここで、警告情報とは、衝突可能性がある車両410の存在を、車両420の運転者に警告する情報である。具体的には、衝突可能性がある車両410の合流時刻や走行速度、位置情報、衝突を回避するための具体的な措置などの情報である。車両420の通信機421では、送信された警告情報を画面表示や音声出力することによって、衝突可能性のある車両410の存在を車両420の運転者に報知する。車両420の運転者は、通信機421から報知される情報を元に、車両410との衝突を回避する措置(たとえば走行速度の低減、車線変更など)を講じる。
つぎに、他の合流側路側機940b〜940mがおこなう運転支援処理の手順について説明する。図13は、他の合流側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、他の合流側路側機940b〜940mは、合流側路側機940aが送信する警告情報を受信するまで待機する(ステップS1301:Noのループ)。警告情報を受信すると(ステップS1301:Yes)、他の合流側路側機940b〜940mは、受信した警告情報から車両420のIDを抽出する(ステップS1302)。
そして、他の合流側路側機940b〜940mは、自装置の近傍を車両420が通過するまで待機する(ステップS1303:Noのループ)。車両420が通過すると(ステップS1303:Yes)、通過した車両420からIDを受信する(ステップS1304)。そして、受信したIDとステップS1302で抽出したIDとを照合し、警告情報の送信先か否かを判断する(ステップS1305)。
警告情報の送信先である場合(ステップS1305:Yes)、すなわち、ステップS1304で受信したIDとステップS1302で抽出したIDとが等しい場合は、そのIDに対応する車両420の合流時刻情報を受信したかを判断する(ステップS1306)。ここで、合流時刻情報とは、図11のステップS1106において、他の本線側路側機930a〜930nが送信した情報である。
合流時刻情報を受信した場合は(ステップS1306:Yes)、受信した合流時刻を参照して、車両420と監視対象車両との衝突が回避されたかを判断する(ステップS1307)。衝突が回避されたか否かの判断は、たとえば、新たに受信した監視対象車両の合流時刻と、車両420の合流時刻との差分が、所定時間以上の場合には、衝突可能性がなくなり衝突は回避されたと判断し、所定時間未満の場合には、衝突可能性がなくならず衝突は回避されていないと判断する。
衝突が回避された場合には(ステップS1307:Yes)、ステップS1301で受信した警告情報を送信せず、本フローチャートによる処理を終了する。一方、衝突が回避されない場合や(ステップS1307:No)、合流時刻情報を受信しなかった場合は(ステップS1306:No)、ステップS1301で受信した警告情報を送信して(ステップS1308)、本フローチャートによる処理を終了する。
ステップS1308で警告情報を送信された車両420の通信機421は、送信された警告情報を画面表示や音声出力することによって、衝突可能性のある車両410(監視対象車両)の存在を車両420の運転者に報知する。車両420の運転者は、通信機421から報知される情報を元に、車両410との衝突を回避する措置(たとえば走行速度の低減、車線変更など)を講じることができる。
以上説明したように、実施例2にかかる運転支援システム900では、本線L1および合流車線L2にそれぞれ複数台ずつ設置された路側機930,940によって車両410,420の走行状態を監視する。このように、複数台の路側機930,940を設けることによって、それぞれの車両410,420の走行状態を、より正確に把握することができる。
なお、上述した実施例では、路上に設置された路側機において、合流時刻の算出や衝突可能性があるか否かの判断などの処理をおこなったが、これらの処理をおこなうための通信サーバを設けることとしてもよい。この場合、各路側機は、車両410,420からのID、走行方向、走行速度、位置情報の受信処理(たとえば、図6のステップS601、図8のステップS802など)および、警告情報の送信処理(たとえば、図8のステップS807など)のみをおこなうこととなる。このため、各路側機440の構成は、通信サーバおよび車両410,420との通信部を備えていればよく、路上に設置する路側機に関しては簡易な構成で運転支援を実現することができる。
また、上述した実施例において、合流側路側機440,940で、車両420の走行速度を継続的に監視し、速度変化があった場合は、本線側路側機430,930を介して車両410に通知をおこなうこととしてもよい。これにより、本線L1を走行する車両410で合流車線L2を走行する車両420の走行状態を把握して、衝突を回避する措置を講じることができる。
以上説明したように、運転支援システムによれば、合流地点Pに合流する2つの車線L1,L2のうち、本線L1から合流地点Pに向かって移動している車両410の有無についての情報を、合流車線L2を移動している車両420に送信することができる。これにより、車両420は、合流地点Pにおいて車両410と衝突する可能性があるかどうかを知ることができる。
また、判断結果とともに車両410の移動速度の変化に関する検出結果を、車両420に送信する。これにより、合流地点Pでの衝突を回避するための策を講じる際に判断材料となる情報を、車両420の運転者に与えることができる。さらに、移動速度に関する情報を元に、車両410が合流地点に到達する時間(合流時刻)の変化を検出し、車両420に送信することによって、より詳細な判断材料を与えることができる。
また、車両410および420の衝突可能性があるかを判断し、車両410に送信する。これにより、車両410の運転者に対しても、合流地点Pでの衝突を回避するための策を講じる際に判断材料となる情報を与えることができる。さらに、車両410の移動速度に関する情報を連続的に受信し、検出した移動速度の変化を車両420に送信する。これにより、車両420では、合流地点Pに至るまでのルートにおいて、車両410の変化に応じて衝突回避のための動作をおこなうことができる。
また、路側機430,440の位置を車両410,420の位置と近似することによって、車両410,420から位置に関する情報を受信しなくても、合流地点に到達する時間を算出することができ、車両410,420から受信する情報を軽減することができる。
(実施の形態2)
はじめに、実施の形態2にかかる運転支援システム2100の機能的構成について説明する。図14は、実施の形態2にかかる運転支援システムの機能的構成を示すブロック図である。図14のブロック図において、運転支援システム2100は、第1の通信装置2110と、第2の通信装置2120とから構成される。
第1の通信装置2110は、合流地点に合流する2つのルートのうち一方のルートの近傍に設置されている。また、第2の通信装置2120は、他方のルートの近傍に設置されている。運転支援システム2100は、第1の通信装置2110および第2の通信装置2120によって、合流地点近傍を移動する移動体の運転を支援する。
第1の通信装置2110は、受信部2111、判断部2112、送信部2113、算出部2114によって構成される。受信部2111は、一方のルートを移動している第1の移動体の進行方向に関する情報を第1の移動体から受信する。移動体の進行方向に関する情報とは、たとえば、第1の移動体に搭載された通信機から送信される移動体の移動方向情報や目的地点情報などである。
また、受信部2111は、第1の移動体の移動速度に関する情報を受信する。移動速度に関する情報とは、たとえば、第1の移動体に搭載された通信機から送信される現在速度情報や、後述するような速度計測用電波の反射波などである。
受信部2111は、たとえば、自装置の近傍を通過する移動体に搭載された通信機に対して、移動方向や移動速度に関する情報の取得要求信号を送信し、返信された情報を受信する。また、たとえば、移動体に対して速度計測用電波を発射し、その反射波を受信することによって移動速度および移動方向を得ることとしてもよい。
判断部2112は、受信部2111によって受信された進行方向に関する情報に基づいて、第1の移動体が合流地点に向かって移動しているか否かを判断する。判断部2112は、具体的には、たとえば、第1の移動体の進行方向が変化しないまま、道なりに走行した場合、合流地点に到達するか否かによって、第1の移動体が合流地点に向かって移動しているか否かを判断する。
送信部2113は、判断部2112によって判断された判断結果を、第2の通信装置2120に送信する。送信部2113は、たとえば、第2の通信装置2120から送信される判断結果の送信要求に応じて、判断部2112の判断結果を送信する。
また、送信部2113は、判断結果とともに、受信部2111によって受信された移動速度に関する情報を、第2の通信装置2120に送信してもよい。さらに、後述する算出部2114によって第1の移動体が合流地点に到達する時間が算出された場合は、その算出結果を第2の通信装置2120に送信することとしてもよい。
算出部2114は、受信部2111によって受信された移動速度に関する情報に基づいて、第1の移動体が合流地点に到達する時間を算出する。ここで、合流地点に到達する時間とは、時刻のように時間軸上の一点を特定するものでもよいし、時間帯のように一定の幅がある時間であってもよい。
算出部2114は、具体的には、たとえば、第1の移動体から、その現在位置を示す現在位置情報を取得し、現在位置から合流地点までの距離を算出する。そして、算出した距離を現在の走行速度で除算することによって、第1の移動体が合流地点に到達する時間を算出する。
また、算出部2114は、たとえば、装置本体が一方のルートの近傍に設置されている場合、装置本体の位置を第1の移動体の位置に近似して、第1の移動体の移動速度に関する情報と、装置本体と合流地点間の距離と、に基づいて、第1の移動体が合流地点に到達する時間を算出する。すなわち、装置本体と合流地点間の距離を、第1の移動体の速度で除算することによって、合流地点に到達するまでの時間を算出することとしてもよい。
つぎに、第2の通信装置2120の機能的構成について説明する。第2の通信装置2120は、受信部2121と、送信部2122とによって構成される。受信部2121は、第1の通信装置2110の送信部2113によって送信された判断結果を受信する。また、受信部2121は、第1の通信装置2110の送信部2113によって、第1の移動体の移動速度に関する情報や、第1の移動体が合流地点に到達する時間が送信された場合は、第1の移動体の移動速度に関する情報や、第1の移動体が合流地点に到達する時間を受信する。
送信部2122は、受信部2121によって受信された判断結果を、他方のルートを移動している第2の移動体に送信する。また、送信部2122は、受信部2121によって、第1の移動体の移動速度に関する情報や、第1の移動体が合流地点に到達する時間が受信された場合には、第2の移動体に対して、第1の移動体の移動速度に関する情報や、第1の移動体が合流地点に到達する時間を送信する。
送信部2122は、たとえば、第2の移動体が第2の通信装置2120の近傍を通過した際に、第2の移動体の通信用アドレスを取得しておき、取得した通信アドレスを用いて第2の移動体に判断結果を送信する。
つぎに、運転支援システム2100の運転支援処理の手順について説明する。図15は、運転支援システムの運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図15において、まず、運転支援システム2100は、第1の通信装置2110において、第1の移動体の進行方向および速度に関する情報を受信する(ステップS2201)。これらの情報の受信は、受信部2111によっておこなう。
そして、判断部2112によって、第1の移動体が合流地点に向かって移動しているか否かを判断する(ステップS2202)。第1の移動体が合流地点に向かって移動している場合は(ステップS2202:Yes)、算出部2114によって第1の移動体が合流地点に到達する時間(到達時間)を算出する(ステップS2203)。そして、送信部2113によって、第1の移動体が合流地点に向かっている旨の情報および到達時間を第2の通信装置2120に送信し(ステップS2204)、ステップS2206に移行する。
一方、ステップS2202において、第1の移動体が合流地点に向かって移動していない場合は(ステップS2202:No)、送信部2113によって、第1の移動体は合流地点に向かっていない旨の情報を第2の通信装置2120に送信する(ステップS2205)。なお、合流地点に向かっている移動体はない旨の情報の送信は、省略してもよい。すなわち、第1の通信装置2110からの情報送信がないことをもって、第1の移動体は合流地点に向かっていないことを示すこととしてもよい。
つぎに、第2の通信装置2120において、第1の通信装置2110によって送信された判断結果などを受信する(ステップS2206)。これらの情報の受信は、第2の通信装置2120の受信部2121によっておこなう。そして、送信部2122によって、ステップS2206で受信した情報を第2の移動体に送信して(ステップS2207)、本フローチャートによる処理を終了する。
なお、第2の通信装置2120に算出部、判断部を設け、第1の通信装置2110から送信された判断結果だけでなく、第1の通信装置2110から送信された第1の移動体の合流地点に到達する時間と、第2の移動体の合流地点に到達する時間とを比較して、合流地点にて鉢合わせになる可能性を判断し、その結果を含めて送信するようにしてもよい。
たとえば、第2の通信装置2120の受信部2121は、第1の通信装置2110の受信部2111と同様にして他方のルートを移動している第2の移動体から進行方向に関する情報と移動速度に関する情報を受信する。そして、第2の移動体の現在位置と合流地点までの距離及び第2の移動体の移動速度から、第2の移動体が合流地点に到達する時間を算出部にて算出する。そして、判断部にて、第1の移動体の合流地点に到達する時間と第2の移動体の合流地点に到達する時間とを比較して両者が鉢合わせする可能性を判断し、その判断結果を第2の移動体に送信する。
さらには、第1の通信装置2110による第1の移動体に対する処理と同等の処理を第2の通信装置2120の第2の移動体に対する処理として行わせ、それらの処理を同時に行わせることにより第1の移動体及び第2の移動体の各々に、第1の通信装置2110と第2の通信装置2120の各々の判断結果を相互に送信するようにしてもよい。
以上説明したように、実施の形態2にかかる運転支援システム2100によれば、合流地点に合流する2つのルートのうち、一方のルートから合流地点に向かって移動している第1の移動体の有無についての情報を、他方のルートを移動している第2の移動体に送信することができる。これにより、第2の移動体は、合流地点において第1の移動体と衝突する可能性があるかどうかを知ることができる。
また、判断結果とともに第1の移動体の移動速度に関する情報を、第2の移動体に送信する。これにより、合流地点での衝突を回避するための策を講じる際に判断材料となる情報を、第2の移動体の運転者に与えることができる。さらに、移動速度に関する情報を元に、第1の移動体が合流地点に到達する時間を算出し、第2の移動体に送信することによって、より詳細な判断材料を与えることができる。
また、第1の通信装置2110の位置を第1の移動体の位置と近似することによって、第1の移動体から位置に関する情報を受信しなくても、合流地点に到達する時間を算出することができ、第1の移動体から受信する情報を軽減することができる。
(実施例1)
つぎに、上述した実施の形態2にかかる運転支援システム2100の実施例1について説明する。以下の実施例においては、運転支援システム2100を道路脇に設置された路側機2330(2330a,2330b)および、車両2310,2320に搭載された通信機2311,2321からなる運転支援システム2300に適用した場合について説明する。なお、以下説明する各実施例において、運転支援システムのシステム構成、ハードウェア構成などは同様である。
まず、実施例1にかかる運転支援システム2300が適用される交通状況について説明する。図16は、実施例1にかかる運転支援システムが適用される交通状況を示す説明図である。図16において、合流地点の一例として、高速道路の本線L1と合流車線L2とが交差する合流地点Pが図示されている。合流地点Pの周辺には、移動体の一例として車両2310(2310a〜2310c),2320(2320a,2320b)が走行している。車両2310は本線L1を走行する車両、車両2320は合流車線L2を走行する車両である。
車両2310,2320には、それぞれ通信機2311(2311a〜2311c),2321(2321a,2321b)が搭載されている。通信機2311,2321は、車両2310,2320がそれぞれ走行する道路脇に設置された路側機2330と交信し、自車の走行情報を送信したり、運転支援情報を受信したりする。
また、車両2310,2320は、それぞれ自車を特定するIDが、たとえば、IPアドレスのように、それぞれの車両2310,2320に一意に割り振られている。このIDは、運転支援システム2300において通信用アドレスに用いられ、通信機2311,2321は、車両2310,2320のIDを用いて特定の車両2310,2320に情報を送信することができる。それぞれの車両2310,2320のIDは、それぞれの通信機2311,2321に記憶されている。
路側機2330aは、本線L1の近傍に設置されており、本線L1を走行し、路側機2330aの側を通過する車両2310の通信機2311と交信する。また、路側機2330bは、合流車線L2の近傍に設置されており、合流車線L2を走行し、路側機2330bの側を通過する車両2320の通信機2321と交信する。以下、特に2つの路側機を区別する必要がある場合、路側機2330aを本線側路側機2330a、路側機2330bを合流側路側機2330bという。
本線側路側機2330a、合流側路側機2330bの通信範囲は、それぞれ図16中の点線で示すエリアA,Bである。エリアA,Bは、それぞれ合流地点Pを含み、エリア内をそれぞれ異なる速度で走行し、かつ、同時刻に合流地点Pに達する車両2310,2320とそれぞれ交信可能である。また、本線側路側機2330aと合流側路側機2330bは、相互に通信することができる。
本線側路側機2330aと合流側路側機2330bは、それぞれ、本線L1あるいは合流車線L2の平均的な速度で車両2310,2320が走行した場合に、合流地点Pに到着するまでかかる時間が等しくなる距離(以下、等時間距離という)に設置される。たとえば、本線L1の平均速度が80km/h、合流車線L2の平均速度が50km/hの場合、本線側路側機2330aは合流地点Pから約2670m、合流側路側機2330bは合流地点Pから約1670mにそれぞれ設けられる。これにより、それぞれの路側機2330は、合流地点Pに到達するまで120秒の等時間距離に設けられることとなる。
ここで、運転支援システム2300がおこなう運転支援の概要を説明する。本線側路側機2330aは、本線L1を走行する車両2310から車両IDや走行方向、走行速度などの情報を受信し、それぞれの車両2310が合流地点Pに到達する時刻(以下、合流時刻という)を算出し、保存している。また、合流側路側機2330bは、合流車線L2を走行する車両2320から車両IDや走行方向、走行速度などの情報を受信し、車両2320の合流時刻を算出する。そして、本線側路側機2330aに対して、衝突可能性がある車両2310があるかを照合要求する。
本線側路側機2330aは、車両2320の合流時刻と保存している車両2310の合流時刻を照合し、合流時刻が所定時間内の車両2310がある場合には、衝突可能性があるとして合流側路側機2330bに警告情報を送信する。合流側路側機2330bは、本線側路側機2330aから警告情報を受信すると、合流車線L2を走行する車両2320の通信機2321に警告情報を送信する。
通信機2321では、警告情報の内容を表示したり、音声出力したりして、車両2320の運転者に車両2310との衝突可能性を報知して、減速や車線変更など衝突回避のための措置を講じるよう促す。以上のような処理によって、運転支援システム2300は、車両2310,2320の運転を支援する。
なお、以下の実施例では、合流地点は高速道路の本線L1と合流車線L2の合流地点Pとしたが、この他、合流地点は、信号機が設けられていない交差点、または、信号機が設けられている交差点であってもよい。信号機が設けられていない交差点においては、交差する車線から進入する他の車両の動きを知ることができず、事故が発生する可能性が高い。また、信号機が設けられている交差点であっても、夜間点滅式信号機の場合や、信号無視をして走行する他の車両がある場合などは、他の車両との衝突可能性を判断する必要が生じるためである。
また、以下の実施例では、2つの道路が合流する合流地点を例に説明するが、2つの道路が交差する四叉路や三叉路、五叉路などであってもよい。これらの合流地点でも、他の車両との衝突可能性を判断する必要が生じるためである。この場合、たとえば、合流地点に到達しようとする車両(以下の実施例では車両2320)は、交差する道路それぞれの近傍に設置された路側機2330から警告情報などの提供を受ける。
さらに、実施例1では、本線側路側機2330aに、合流側路側機2330bが照合要求することとするが、合流側路側機2330bに対して、本線側路側機2330aが照合要求をおこなうこととしてもよい。この場合、以下に説明する本線側路側機2330aおよび合流側路側機2330bの処理をそれぞれ逆に読み替えればよい。
(路側機2330のハードウェア構成)
ここで、路側機2330のハードウェア構成については、実施の形態1の実施例1で説明した構成と同様であるため、ここでは基本的な説明を省略する(図5参照)。図5における通信I/F514は、無線を介して通信ネットワークに接続され、通信機2311,2321とCPU501とのインターフェースとして機能する。通信機2311,2321のハードウェア構成は、図5に示したハードウェア構成のうち、少なくともCPU501と、ROM502と、RAM503と、音声I/F508と、スピーカ510と、映像I/F512と、ディスプレイ513と、通信I/F514と、を備えるものとする。
また、実施の形態2にかかる運転支援システム2100の機能的構成のうち、受信部2111,2121および送信部2113,2122は通信I/F514によって、判断部2112および算出部2114はROM502などに記録されたプログラムをCPU501が実行することによって、それぞれその機能を実現する。
(運転支援システム2300の運転支援処理)
つぎに、実施例1にかかる運転支援システム2300の運転支援処理の詳細について説明する。はじめに、本線L1側に設置されている本線側路側機2330aでおこなう処理について説明する。図17は、本線側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。
図17のフローチャートにおいて、本線側路側機2330aは、自装置の通信エリアAに車両2310が進入したか否かを判断する(ステップS2501)。車両2310が進入した場合は(ステップS2501:Yes)、進入した車両2310の通信機2311から、車両2310のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS2502)。
具体的には、車両2310に対して、これらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両2310に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。一方、車両2310が進入しない場合は(ステップS2501:No)、ステップS2505に移行する。
つぎに、本線側路側機2330aは、ステップS2502で受信した走行方向および走行速度を元に車両2310が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS2503)。具体的には、車両2310が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両2310と合流地点Pとの距離は、ステップS2502で受信した車両2310の位置情報を用いて算出する。また、車両2310と合流地点Pとの距離を、本線側路側機2330aが記憶している本線側路側機2330aと合流地点Pとの距離を近似して用いることとしてもよい。この場合、車両2310が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、本線側路側機2330aは、受信したID、走行方向、走行速度、位置情報や、算出した合流時刻をデータベースとして保存する(ステップS2504)。データベースに保存されたデータは、少なくとも合流時刻が経過するまでは本線側路側機2330aで保存し、それ以降は逐次消去する。つぎに、本線側路側機2330aは、合流側路側機2330bからデータベースの照合要求があったか否かを判断する(ステップS2505)。
ここで、ステップS2505において、データベースの照合要求とは、合流車線L2を走行する車両2320の合流時刻と同時刻に、合流地点Pに到達する車両2310が存在するかを合流側路側機2330bが照合要求するものである。このとき合流側路側機2330bから送信される照合要求には、車両2320の合流時刻が含まれている。
照合要求があった場合は(ステップS2505:Yes)、ステップS2504で保存したデータベースを照合して(ステップS2506)、合流側路側機2330bに照合結果を送信して(ステップS2507)、本フローチャートによる処理を終了する。
ステップS2506において、本線側路側機2330aは、たとえば、車両2320の合流時刻を含む所定の時間帯(たとえば、合流時刻の前後15秒など)に合流時刻が含まれる車両2310があるかを照合し、ある場合には、その合流時刻、走行速度、位置情報などを抽出する。そして、本線側路側機2330aは、抽出した車両2310の合流時刻、走行速度、位置情報などを照合結果として送信する。
一方、車両2320の合流時刻を含む所定の時間帯に合流時刻が含まれる車両2310がない場合は、該当する車両2310がない旨の情報を送信する。また、このように該当する車両2310がない場合は、照合結果の送信を省略することをもって、該当する車両2310がない旨の情報の送信に代えてもよい。
一方、ステップS2505において、データベースの照合要求がない場合は(ステップS2505:No)、ステップS2501に戻り、以降の処理を繰り返す。以上のような処理を繰り返して、本線側路側機2330aは、合流側路側機2330bに本線L1を走行する車両2310の情報を提供する。
つぎに、合流側路側機2330b側でおこなう処理について説明する。図18は、合流側路側機がおこなう運転支援処理の手順を示すフローチャートである。図18のフローチャートにおいて、合流側路側機2330bは、自装置の通信エリアBに車両2320が進入するまで待機する(ステップS2601:Noのループ)。車両2320が進入した場合は(ステップS2601:Yes)、進入した車両2320の通信機2321から、車両2320のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS2602)。
具体的には、本線側路側機2330aと同様に、車両2320に対してこれらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両2320に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。
つぎに、合流側路側機2330bは、ステップS2602で受信した走行方向および走行速度を元に車両2320が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS2603)。具体的には、車両2320が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両2320と合流地点Pとの距離は、ステップS2602で受信した車両2320の位置情報を用いて算出する。また、車両2320と合流地点Pとの距離を、合流側路側機2330bが記憶している合流側路側機2330bと合流地点Pとの距離を近似して用いることとしてもよい。この場合、車両2320が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、合流側路側機2330bは、本線側路側機2330aに対して、ステップS2603で算出した合流時刻を含んだ照合要求を送信する(ステップS2604)。照合要求とは、車両2320の合流時刻と同時刻に、合流地点Pに到達する車両2310が存在するかを合流側路側機2330bが照合要求するものである。
合流側路側機2330bは、本線側路側機2330aから照合要求に対する返信があるまで待機する(ステップS2605:Noのループ)。本線側路側機2330aから照合要求に対する返信があると(ステップS2605:Yes)、返信された照合結果を元にして、車両2320と車両2310とに衝突可能性があるか否かを判断する(ステップS2606)。
衝突可能性があるかの判断は、返信された照合結果を元にしておこなう。たとえば、受信した照合結果に、車両2310の合流時刻、走行速度、位置情報などが含まれる場合は、衝突可能性ありと判断する。また、照合結果が該当する車両2310がない旨の情報である場合は、衝突可能性なしと判断する。
また、たとえば、本線側路側機2330aでは衝突可能性についての判断をおこなわず、照合要求があった場合には記録しているすべての車両2310の合流時刻を送信することとしてもよい。この場合、合流側路側機2330bは、本線側路側機2330aから送信された車両2310の合流時刻と、車両2320の合流時刻とを比較して、合流地点での衝突可能性について判断する。
そして、衝突可能性がある場合は(ステップS2606:Yes)、車両2320の通信機2321に警告情報を送信して(ステップS2607)、本フローチャートによる処理を終了する。ここで、車両2320の通信機2321への情報送信には、ステップS2602で受信した車両2320のIDを通信用アドレスとして用いる。
また、警告情報とは、衝突可能性がある車両2310の存在を、車両2320の運転者に警告する情報である。具体的には、衝突可能性がある車両2310の合流時刻や走行速度、位置情報、衝突を回避するための具体的な措置などの情報である。
通信機2321は、送信された警告情報を画面表示や音声出力することによって、衝突可能性のある車両2310の存在を車両2320の運転者に報知する。車両2320の運転者は、通信機2321から報知される情報を元に、車両2310との衝突を回避する措置(たとえば走行速度の低減、車線変更など)を講じる。
一方、衝突可能性がない場合は(ステップS2606:No)、警告情報の送信はおこなわず、本フローチャートによる処理を終了する。なお、このとき、衝突可能性がある車両2310はない旨の情報を送信することとしてもよい。
以上説明したように、実施例1にかかる運転支援システム2300によれば、車両2320の運転者に対して、他の車線から合流しようとする車両2310の存在や合流時刻、走行速度などの情報を与え、合流地点Pでの衝突を回避する措置を講じる際の判断材料を提供する。これにより、合流地点P付近での交通を円滑におこなわせることができる。また、車両2310および車両2320の速度情報などを用いて、減速指示などの具体的な措置を指示すれば、さらに合流地点P付近での交通の安全性を向上させることができる。
また、他の車線を走行する車両2310との衝突可能性があるかの判断を、路側機2330でおこなうことによって、車両2320(もしくは車両2310)に搭載する通信機2321(もしくは通信機2311)の構成を簡易化することができる。
なお、上述した本線側路側機2330aの処理を、合流側路側機2330bが車両2320に対しておこない、また、上述した合流側路側機2330bの処理を、本線側路側機2330aが車両2310に対しておこなうこととしてもよい。そして、それぞれの判断結果を相互に送信することとすれば、それぞれ他の車線を走行する車両2310,2320の存在を知ることができ、合流地点での交通をより一層安全におこなうことができる。
(実施例2)
実施の形態2の実施例1にかかる運転支援システム2300では、本線側路側機2330aのみがデータベースを保持し、合流側路側機2330bは、データベースの照合要求をおこなっていた。実施の形態2にかかる実施例2では、本線側路側機2330aおよび合流側路側機2330bの間で、各車線L1,L2を走行する車両2310,2320についての情報のデータベースを共有し、必要な場合には、各自が共有データベースを参照して警告情報の送信をおこなう。
図19は、実施例2にかかる運転支援システムの運転支援処理の手順を示すフローチャートである。以下、表記の都合上、本線側路側機2330aの処理として説明するが、本フローチャートの処理は、本線側路側機2330aおよび合流側路側機2330bで共通しておこなう。
図19のフローチャートにおいて、本線側路側機2330aは、自装置の通信エリアAに車両2310が進入するまで待機する(ステップS2701:Noのループ)。車両2310が進入した場合は(ステップS2701:Yes)、進入した車両2310の通信機2311から、車両2310のID、走行方向、走行速度、位置情報を受信する(ステップS2702)。
具体的には、実施例1と同様に、車両2310に対して、これらの情報の送信要求をおこない、返信される情報を受信する。また、位置情報は、GPS電波受信機が搭載されている場合など、車両2310に自車の現在位置を取得する機能が備わっている場合に送信を要求する。
つぎに、本線側路側機2330aは、ステップS2702で受信した走行方向および走行速度を元に車両2310が合流地点Pに到達する合流時刻を算出する(ステップS2703)。具体的には、車両2310が、そのまま道なりに走行すると合流地点Pに到達する場合に、現在の走行速度を維持すると仮定して合流地点Pに到達する時刻を算出する。
なお、合流時刻の算出にあたって、車両2310と合流地点Pとの距離は、ステップS2702で受信した車両2310の位置情報を用いて算出する。また、車両2310と合流地点Pとの距離を、本線側路側機2330aが記憶している本線側路側機2330aと合流地点Pとの距離を近似して用いることとしてもよい。この場合、車両2310が自車の現在位置情報を取得する機能を有さなくても、合流時刻を算出することができる。また、合流時刻は、合流地点Pに到達するまでに起こりうる速度変化を考慮に入れ、時刻ではなく所定の幅を有する時間帯として算出することとしてもよい。
そして、本線側路側機2330aは、受信したID、走行方向、走行速度、位置情報や算出した合流時刻を共有データベースに保存する(ステップS2704)。本線側路側機2330aと合流側路側機2330bは、それぞれの記憶領域に共有データベースを保存している。
本線側路側機2330aと合流側路側機2330bは常時接続しており、それぞれがおこなった共有データベースの更新は、両路側機2330がそれぞれ保存するデータベースにリアルタイムに反映される。データベースに保存されたデータは、少なくとも合流時刻が経過するまでは本線側路側機2330aで保存し、それ以降は逐次消去する。
つぎに、本線側路側機2330aは、共有データベースを参照して、車両2310と衝突可能性がある車両2320があるか否かを判断する(ステップS2705)。共有データベースは合流側路側機2330bがおこなった更新も、リアルタイムに反映されている。このため、共有データベースを参照すれば、車両2310と衝突可能性がある車両2320があるかを知ることができる。
衝突可能性があるかの判断は、たとえば、車両2310の合流時刻を含む所定の時間帯(たとえば、合流時刻の前後15秒など)に合流時刻が含まれる車両2320は、衝突可能性ありと判断する。衝突可能性がある車両2320がある場合は(ステップS2705:Yes)、車両2320に対して、衝突可能性がある車両2310の合流時刻、走行速度、位置情報などを含んだ警告情報を送信する(ステップS2706)。なお、このとき、車両2310の通信機2311への情報送信には、ステップS2702で受信した車両2310のIDを通信用アドレスとして用いる。
一方、衝突可能性がない場合は(ステップS2705:No)、警告情報の送信はおこなわず、本フローチャートによる処理を終了する。なお、このとき、衝突可能性がある車両2320はない旨の情報を送信することとしてもよい。
以上説明したように、実施例2にかかる運転支援システム2300は、本線側路側機2330aと合流側路側機2330bとを常時接続し、データベースを共有する。これにより、本線側路側機2330aおよび合流側路側機2330bは、自装置側で保存するデータベースを参照することによって、それぞれの車線L1,L2を走行する車両2310,2320に警告情報を送信することができる。
以上説明したように、運転支援システム、運転支援方法、運転支援プログラムおよび記録媒体によれば、合流地点Pに合流する2つのルート(車線)L1,L2のうち、一方のルートである本線L1から合流地点Pに向かって移動している車両2310の有無についての情報を、他方のルートである合流車線L2を移動している車両2320に送信することができる。これにより、車両2320は、合流地点Pにおいて車両2310と衝突する可能性があるかどうかを知ることができる。
また、判断結果とともに車両2310の移動速度や合流時刻の情報を、車両2320に送信する。これにより、合流地点Pでの衝突を回避するための策を講じる際に判断材料となる情報を、車両2320の運転者に与えることができる。
なお、各実施の形態で説明した運転支援方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。