本発明は、特に直列、または直並列に接続された複数のキャパシタを用いた蓄電装置における電圧モニタ装置に関する。
直列に接続された複数の電気二重層キャパシタを用いた従来の蓄電装置では、それぞれのキャパシタの端子電圧は以下のようにして検出される。まず、直列接続した2つの抵抗の組を電気二重層キャパシタ同士の接続点である各端子とグランドとの間に接続し、この2つの抵抗の間の接続箇所の電圧(分圧電圧)を切替スイッチに入力する。そしてマイクロコンピュータが切替スイッチにキャパシタ選択信号を送り、切替スイッチを制御する。これによって切替スイッチはマイクロコンピュータで選択されたキャパシタの分圧電圧をマイクロコンピュータのA/Dに入力する。マイクロコンピュータはこのようにして検出した分圧電圧を演算してそれぞれのキャパシタの端子間電圧を検出する。
特開2004−271356号公報はこの種の電圧モニタ装置を開示している。この電圧モニタ装置では、切替スイッチとしてマルチプレクサを用い、複数の抵抗の接続の組み合わせをマルチプレクサで選択する。
しかしながら、マルチプレクサの入力端子の間隔は狭い。そのため切替スイッチとしてマルチプレクサを用い、基板に実装すると電極を構成する金属のマイグレーションなどにより隣接入力端子間で短絡する故障を起こす可能性がある。このように隣接入力端子間で短絡を起こすと各キャパシタの分圧電圧が正しく得られなくなる。そのため、このような短絡を検出する必要がある。
入力端子間の短絡を検出する方法として以下のような方法が考えられる。すなわち、分圧電圧の出力を切替スイッチの隣接する全ての入力端子に接続して電圧検出するのではなく、例えば分圧電圧出力を接続した入力端子の両側の隣接入力端子をグランドに接続しておく。このようにすれば隣の入力端子と短絡しても分圧電圧出力がグランドにクランプされるので簡単に短絡を検出することができる。
しかし、切替スイッチの入力端子に各分圧電圧出力とグランドを交互に接続すると、半分の入力端子しか有効に使えず効率が悪い。あるいは大きな切替スイッチを使用する必要があり、電圧モニタ装置自体が大きくなる。
本発明は、抵抗分割された各分圧電圧出力が切替スイッチに接続される際、狭間隔な入力端子に接続された場合でも隣接入力端子間の短絡異常を簡単に検出することができる電圧モニタ装置である。本発明による電圧モニタ装置は、直列に接続された第1キャパシタと第2キャパシタとを少なくとも含む蓄電部の、第1、第2キャパシタの各両端への各印加電圧を検出する。この電圧モニタ装置は、蓄電部に充電電圧を印加する充電回路と、モニタ部と、制御部と、を有する。モニタ部は、第1分圧部と、第1入力端子と、第2分圧部と、第2入力端子と、切替スイッチと、を有する。第1分圧部は、第1、第2キャパシタの接続点における電圧を複数の抵抗で分圧する。第1入力端子には第1分圧部の分圧電圧が入力される。第2分圧部は第2キャパシタの、充電回路側の電圧を複数の抵抗で分圧する。この複数の抵抗は、第1キャパシタと第2キャパシタとが同容量の場合に第1分圧部の分圧電圧とは異なる分圧電圧を出力するように抵抗値が設定されている。第2分圧部の分圧電圧が入力される第2入力端子は第1入力端子に隣接して設けられている。切替スイッチは第1、第2入力端子のいずれか一つを選択して制御部に出力する。制御部は切替スイッチに第1、第2入力端子の選択信号を出力するとともに、切替スイッチの出力に基づき第1、第2キャパシタの両端への各印加電圧を算出する。そして第1、第2入力端子間が短絡した際に、切替スイッチの出力が異常電圧となるように、第1、第2分圧部を構成する複数の抵抗の抵抗値が設定されている。制御部はこの異常電圧から算出した第1、第2キャパシタの両端への各印加電圧から第1、第2入力端子間が短絡したことを判定する。この構成により、短絡が発生すると分圧電圧出力が正常時の分圧電圧の範囲を逸脱する。その結果、入力端子間の短絡を簡単に検出することができる。
図1は本発明の実施の形態1における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図である。
図2は本発明の実施の形態1における電圧モニタ装置の入力端子短絡時の等価回路図である。
図3は本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図である。
図4は本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子の短絡時の等価回路図である。
図5Aは本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置の、正常時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。
図5Bは温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より高い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。
図5Cは、温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より低い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。
図6は本発明の実施の形態3における電圧モニタ装置の温度検出部の概略回路図である。
図7は本発明の実施の形態3における電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子の短絡時に分圧電圧出力が選択された時の一部回路図である。
図8Aは本発明の実施の形態3において、電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の蓄電装置の一部回路図であり、直列接続を並列に接続した一部回路図である。
図8Bは本発明の実施の形態3において、電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の蓄電装置の一部回路図であり、並列接続を直列に接続した場合の一部回路図である。
図8Cは本発明の実施の形態3において、電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の蓄電装置の一部回路図であり、並列接続と単数の電気二重層キャパシタを組み合わせて直列に接続した場合の一部回路図である。
符号の説明
1 主電源
2 充電回路
3 制御部
4 上位制御部
5A 第1分圧部
5B 第2分圧部
5C 第3分圧部
6 蓄電部
7 切替スイッチ
8 モニタ部
9 温度検出部
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図である。図2は本実施の形態における電圧モニタ装置の入力端子短絡時の等価回路図である。
主電源1はバッテリーまたは発電機からなり、充電回路2に接続されている。充電回路2は充電電圧と充電電流とを所定の値に制御する。充電回路2は制御部3から充電の開始および停止の指令を得る。制御部3は後述するように電圧モニタ装置全体を制御するとともに、上位制御部4と通信して充電の開始、停止を決定する。
第1分圧部である分圧部5Aは、電気二重層キャパシタC1〜Cn(nはキャパシタの個数)を直列に接続した蓄電部6の、キャパシタC1とキャパシタC2との接続点に印加される接続点電圧V1を複数の抵抗R1、R2により分圧するように構成されている。第1入力端子である入力端子IN1には分圧部5Aの分圧電圧が入力される。第2分圧部である分圧部5Bは、キャパシタC2の、充電回路2側の電圧を複数の抵抗R3、R4で分圧する。入力端子IN1に隣接する第2入力端子である入力端子IN2には分圧部5Bの分圧電圧が入力される。以下同様に、キャパシタC3〜Cnにはそれぞれ、各キャパシタの、充電回路2側の電圧を複数の抵抗で分圧する分圧部が設けられている。蓄電部6は充電回路2により所定の電圧まで充電される。
切替スイッチ7は、スイッチSW1〜SWn+1からいずれかを選ぶ信号を制御部3から受ける。そして複数の入力端子IN1〜INn+1の内、その選択信号に適合する入力端子INx(xは選択信号で、1≦x≦n+1)の電圧を切替スイッチ7の出力として制御部3に出力する。
モニタ部8は、分圧部5A、5Bを含む複数の分圧部、入力端子IN1〜INn+1、切替スイッチ7、温度検出部9を有し、充電時に電圧が異なる電気二重層キャパシタCxの端子の接続点における電圧と蓄電部6の環境温度とをモニタしている。
環境温度を出力する温度検出部9は、基準電圧Vrefを抵抗R7とサーミスタTH1とで分圧し、両者の間の電圧を温度出力として出力する。この温度出力は電圧バッファとしてのオペアンプOP1を介して複数の入力端子の1つである入力端子IN3に接続されている。
制御部3は上記の温度出力により環境温度を算出し、また切替スイッチ7を制御する。これ以外に制御部3は、蓄電部6の充電状態を監視する。さらに各入力端子IN1〜INn+1の電圧から、それぞれのキャパシタC1〜Cnの印加電圧を算出し、異常があれば上位制御部4へ通信により情報を伝達する。すなわち制御部3は切替スイッチ7の出力に基づきキャパシタC1〜Cnの両端への各印加電圧を算出する。また必要であれば、充電停止指令を充電回路2へ送出する。さらに、各分圧部に用いられる抵抗比を記憶している。
次に、このように構成された電圧モニタ装置の動作について説明する。充電回路2は制御部3から充電開始の指令を受けると、蓄電部6に所定の充電電圧を印加して蓄電部6を充電する。このとき、各キャパシタC1〜Cnへの印加電圧が高い場合、あるいは周囲環境温度が高い場合には、容量および内部抵抗の劣化が進行する。そこで、制御部3は各キャパシタC1〜Cnの印加電圧と環境温度とをモニタする。そして印加電圧が所定値を著しく超えたり、環境温度が所定値を著しく超えたりする異常が発生すれば、制御部3は充電回路2を制御して充電を停止する。場合によっては蓄電部6を放電する。このように制御部3はキャパシタC1〜Cnへの過負荷を軽減する。なお、図示していないが、強制空冷するファンや水冷するための冷却水循環路とポンプとを設けて制御部3がこれらを制御し、環境温度を低下させて過負荷を軽減してもよい。
蓄電部6が正常に充電されれば、制御部3は充電回路2に対して充電停止を指令する。その後、切替スイッチ7に対してどの入力端子INxを選択するかの選択信号を順次出力する。これにより制御部3は、各キャパシタC1〜Cnの接続点電圧V1〜Vnが各分圧部で分圧された分圧電圧VM1〜VMnを、切替スイッチ7の出力から読み込んでいく。
制御部3は読み込まれた各分圧電圧VM1〜VMnに基づいて、実際の各キャパシタC1〜Cnの印加電圧を推定する。具体的には、各分圧部の分圧比の逆数を各分圧電圧VM1〜VMnに乗じて接続点電圧V1〜Vnを算出する。そして。得られた接続点電圧V1〜Vnのうち、隣接する接続点電圧の差Vx+1−Vxを算出することで、制御部3は各キャパシタC1〜Cnの両端に印加されている電圧を推定する。
例えば図1に示した第2キャパシタであるキャパシタC2の印加電圧は、第1キャパシタであるキャパシタC1とキャパシタC2との接続点電圧V1と、キャパシタC2の充電回路2側の接続点電圧V2より、V2−V1を制御部3で算出することで推定している。なお、これらの演算の詳細は後述する。
次に、環境温度の検出方法について説明する。一定の基準電圧Vrefは、第1抵抗である抵抗R7と、温度に反比例して抵抗値が変化するサーミスタTH1とで分圧される。すなわち、抵抗R7とサーミスタTH1とは基準電圧Vrefを分圧する第3分圧部5Cを形成している。抵抗R7とサーミスタTH1とによる分圧電圧(温度出力)VMtは、オペアンプOP1を介して切替スイッチ7の入力端子IN3に接続されている。そのため、制御部3は入力端子の選択信号で入力端子IN3を選択することにより、温度を算出するための温度出力VMtを読み込む。
こうして得られた各種電圧より、制御部3は各キャパシタC1〜Cnの印加電圧と環境温度とを算出する。それぞれの印加電圧と環境温度との推定値のうち、いずれかが所定の閾値幅を逸脱する場合、通信出力を用いて上位制御部4へ異常を送信する。各キャパシタC1〜Cnの印加電圧と環境温度とが閾値幅内の場合、制御部3は引き続き所定時間毎に印加電圧や環境温度をモニタする。
図1において、キャパシタC2の両端に印加される印加電圧はV2−V1である。したがって、まず制御部3はスイッチSW1をオンにし、V1の電圧を抵抗分割した分圧電圧VM1=V1×R2/(R1+R2)を読み込む。
次に、制御部3はスイッチSW1をオフした後、スイッチSW2をオンにし、V2の電圧を抵抗分割した分圧電圧VM2=V2×R4/(R3+R4)を読み込む。
制御部3は、読み込んだVM1、VM2に、それぞれの分圧部5A、5Bの分圧比の逆数を乗算した後、減算処理を実行する。具体的には、制御部3は次の(1)式よりV2−V1の値、すなわちC2の両端印加電圧を求める。
次に、隣接する入力端子IN1〜INn+1の短絡が発生した場合の故障検出方法について具体的に説明する。一例として入力端子IN1、IN2間が短絡した場合を、図2を用いて説明する。この状態では、制御部3がスイッチSW1を選択した場合も、スイッチSW2を選択した場合も、図2に示すVM1とVM2の合成電圧値Vaが制御部3に読み込まれる。この合成電圧値Vaは、(2)式で表現することができる。なお、//は並列接続された合成抵抗値を表す。
したがって、制御部3がキャパシタC2の両端印加電圧として算出する電圧値V2’−V1’は、次の(3)式で表現できる。
ここで、VM1=VM2とならないように、R1〜R4の値を設定しておく。すなわち、分圧部5Bは、キャパシタC1とキャパシタC2とが同容量の場合に分圧部5Aの分圧電圧とは異なる分圧電圧が出力されるように抵抗値R3、R4が設定されている。以下同様に、隣り合う入力端子INnとINn−1とでは分圧電圧VMnとVMn−1とが異なるように各分圧部の抵抗値が設定されている。
また入力端子IN1、IN2間に短絡が発生すると切替スイッチ7の出力が異常電圧となり、制御部3が正常値V1−V2とは明らかに異なる異常電圧V1’−V2’を算出するように、各抵抗値R1〜R4をあらかじめ所定値に設定しておく。すなわち、入力端子IN1、IN2が短絡すると、正常に充電される場合の分圧電圧VM1、VM2に比べ著しく大きい、または小さい電圧にシフトするように、あらかじめ抵抗分割する抵抗値R1〜R4が設定されている。
このように各抵抗を設定すると、(2)式、(3)式より、入力端子IN1とIN2の短絡故障発生時に制御部3が算出するV2’−V1’は、短絡していない正常値V2−V1と比べ異なった値、すなわち異常電圧となる。
そして、V2’−V1’>Vth>V2−V1、またはV2’−V1’<Vth<V2−V1が成り立つように、V2−V1とV2’−V1’の中間に電圧閾値Vthを設定する。前者の不等式の場合、任意のVx+1−VxがVth未満であれば正常であり、Vthを超えていれば短絡故障であると判定できる。一方、後者の不等式の場合、任意のVx+1−VxがVthより大きければ正常であり、Vth以下であれば短絡故障であると判定できる。このように制御部3は切替スイッチ7の出力する異常電圧から算出したキャパシタC1、C2の両端への各印加電圧から入力端子IN1、IN2間が短絡したことを判定する。
V2−V1はキャパシタC2の両端電圧として算出される値である。一方、各キャパシタの概略電圧は、蓄電部6全体の電圧を各キャパシタの静電容量の逆数に比例して配分することにより推定できる。そのため、キャパシタの静電容量のばらつきを考慮しつつ、各キャパシタの電圧の正常電圧範囲を決定することができる。この電圧範囲の上下限を閾値として用いることもできる。
通常、各分圧部の抵抗分割比は、直列接続した最上位キャパシタ電圧Vnを分割した電圧が制御部3を構成するマイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限を超えない範囲で、同じになるように設定される。そして、分圧電圧VMn−1とVMnとが切換スイッチ7の入力端子に隣接するように接続すれば、容易にスイッチ7の入力隣接間の短絡を検知できる。これは短絡時にVM1とVM2とが同じ値になり、(1)式の分割比が同じであれば、V2−V1が0となるためである。しかしながらマイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分は耐圧上限値を有するため、高電圧側に合せて抵抗分割比を設定すると、グランド(GND)電位に近いキャパシタC1の分圧電圧VM1が小さくなる。そのため、マイクロコンピュータでの読み取りA/D値は周辺ノイズの影響を受けやすくなる。電気二重層キャパシタの直列数Cnが大きくなるほどその現象は顕著になる。さらにA/D端子の電圧が約0.3Vより低くなると、A/D端子からのリーク(漏れ)電流が急増する。このためA/D端子からの読み取り誤差が増大する。
そのため、キャパシタC1の分圧電圧VM1は、マイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限内でなるべく大きい方が好ましい。そのためには、キャパシタC1に対応する抵抗分割比(R1+R2)/R2やキャパシタC2に対応する抵抗分割比(R3+R4)/R4は小さく設定することが好ましい。
一方、キャパシタC3よりもグランド側から離れた位置に接続されているキャパシタではマイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限を超えないように抵抗分割比を大きく設定する必要がある。このように各分圧部の抵抗分割比が異なる方が分圧電圧の測定精度を向上させることができる。しかしながらそのために、従来の方法では入力端子間の短絡を検出できない。
本実施の形態では、隣り合う入力端子INnとINn−1とでは分圧電圧VMnとVMn−1とが異なるように各分圧部の抵抗値を設定している。そして制御部3は、各キャパシタの両端電圧が所定の閾値を上回るか下回ったときに入力端子間の短絡が生じていると判断する。以上の構成、動作により、確実に切替スイッチ7の入力端子間の短絡を検出することができる。なお、本構成では全ての入力端子に分圧電圧出力が接続できるので、入力端子を有効に利用できる。
ここで、抵抗値や抵抗分割比の設定の具体例を説明する。図1において、電気二重層キャパシタの直列数Cnを6、C1〜C6間の満充電電圧を12Vとする。この場合、各キャパシタの両端電圧はそれぞれ2Vとなる。なお、マイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限電圧は高精度の電圧が得られる2.5Vとする。
まず、充電過程で種々の演算に対するノイズの影響を低減できるようにVM1の値を高めるため、キャパシタC1に対応する分圧部5Aにおいて、R1=866Ω、R2=866Ωとする。分割比は(R1+R2)/(R2)=2である。切換スイッチ7の入力間短絡がない正常時に、入力端子IN1の電圧VM1は1V、演算電圧V1は2Vとなる。
一方、キャパシタC2に対応する分圧部5Bにおいては、R3=4330Ω、R4=866Ωとする。分割比は(R3+R4)/(R4)=6である。切換スイッチ7の入力間短絡がない正常時に、入力端子IN2の電圧VM2は0.67V、演算電圧V2は4Vである。すなわちV2−V1=2Vであり、VM2はVM1と異なる値となる。
これに対し、切換スイッチの入力端子IN1とIN2との間が短絡した時の異常電圧Vaは(2)式より、Va=0.875Vとなる。したがって、V2‘−V1’=5.25−1.75=3.25Vとなる。
これらより例えば、Vthを、V2−V1とV2‘−V1’(7)中間値である2.625Vに設定すれば制御部3は入力端子IN1とIN2との間の短絡を検出することができる。VthはV2−V1とV2‘−V1’との間で適宜設定することができる。たとえば、キャパシタC1〜C6の容量ばらつきが10%と見積もれるのであれば、下限閾値を1.8Vとして、これを下回る場合に短絡と判定してもよい。また、上限閾値を2.2Vとして、これを上回る場合に短絡と判定してもよい。
なお、VM1の値が0.3V以上になるように分圧部5Aの抵抗分割比を設定することでノイズの影響を抑制することができるので、上記以外の抵抗分割比に設定することもできる。さらに、上記の説明では蓄電部6が満充電の場合の電圧を例に説明しているが、より低充電の状態で判定してもよい。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図である。図4は同電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子との短絡時の等価回路図である。図5A〜図5Cは同電圧モニタ装置の充電電圧の経時特性図であり、図5Aは正常時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。図5Bは温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より高い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。図5Cは温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より低い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図を示す。
図3に示す電圧モニタ装置は、図1に示した実施の形態1の構成において温度検出部9の温度出力VMtの入力端子の位置が異なる。すなわち温度検出部9の温度出力VMtは入力端子IN2に接続され、分圧部5Bの分圧電圧VM2は入力端子IN3に接続されている。この場合、入力端子IN3は分圧電圧VM2が入力される第2端子であり、入力端子IN2は温度出力VMtが入力される第3端子である。これ以外は実施の形態1と同じ構成であるので、同一構成要素には同一番号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態における特徴的な点は、温度検出部9の温度出力VMtを入力される入力端子IN2と、分圧部5Aの分圧電圧VM1または分圧部5Bの分圧電圧VM2が入力される入力端子IN1またはIN3とが短絡した時の検出方法である。
実施の形態1で述べたように、キャパシタC1〜Cnの両端印加電圧をモニタする場合の切替スイッチ7の入力端子間短絡は、あらかじめ短絡を検出可能な各分圧部の抵抗値と制御部3内に故障判定の電圧閾値Vthを設定しておく方法で解決できる。しかし温度検出部9では分圧するための抵抗の一方がサーミスタTH1であり抵抗値が温度で変化するため、あらかじめ故障判定できる抵抗値に設定できない。その理由を以下に説明する。
Vrefを5V、キャパシタの温度特性を補正するための温度範囲を−40℃から+25℃とする。またR7は200kΩとする。25℃でのサーミスタTH1の抵抗値が10kΩ、温度特性であるB定数が3400の場合、VMtの温度依存性は(表1)のように指数関数的に変化する。
(表1)に示すように、VMtは温度変化により図1の分圧電圧VM1とVM2の値を包含するので、IN2とその隣接端子との間の短絡、すなわちIN2のIN1との短絡、またはIN2のIN3との短絡を検知できない。
そこで図3に示すように、抵抗R7とそれに直列に接続したサーミスタTH1で基準電圧Vrefを分圧し、その分圧電圧(温度出力)と切替スイッチ7の入力端子IN2との間にオペアンプOP1を電圧バッファとして挿入する。この電圧バッファにより、入力端子IN2が隣接する入力端子IN1やIN3と短絡した場合でも、制御部3は簡単にこのような故障を検出できる。
以下にその検出方法について具体的に説明する。まず図5Aを用いて入力端子IN2とIN1やIN3との短絡が無く正常に充電する場合について説明する。入力端子IN1、IN3の電圧VM1、VM3は、正常時の電圧変化の軌跡をたどって満充電まで上昇し、これに応じて図5Aに示すようにV1、V2が上昇する。
これに対し、切替スイッチ7の入力端子IN1、IN2が短絡し、VMt>VM1である場合について図5Bを用いて説明する。図4に示すように入力端子IN1、IN2が短絡した場合、正常時のV1を抵抗分割した分圧電圧VM1=V1×R2/(R1+R2)の値に関わらず、VM1は、電圧バッファであるオペアンプOP1の出力電圧値(=温度出力)VMt=Vref×TH1/(R7+TH1)に固定される。特に蓄電部6が充電開始初期の0Vから所定の満充電電圧まで急速に充電される充電制御の場合、充電中の時間0からTの短時間の範囲においては、環境温度の変化が非常に小さいと想定される。そのため、入力端子IN1、IN2の電圧VM1、VMtは一定の値に固定されたままになる。これによってV1は図5Bのように高い値で一定になる。
このため、充電開始初期にはV2−V1の印加電圧、すなわちキャパシタC2の両端印加電圧が充電初期にマイナスの電圧からスタートし、満充電になる前にマイナスからプラスへ逆転する。そしてさらに満充電に達した時、キャパシタC2の両端印加電圧V2−V1は異常に小さい電圧として検出される。一方、キャパシタC1の両端印加電圧V1は異常に大きい電圧として検出される。
一方、短絡時の温度出力VMtがキャパシタC1の満充電電圧V1よりも小さい値の場合は、図5Cに示すようになる。すなわち、キャパシタC2の両端印加電圧V2−V1は異常に大きい電圧として制御部3で算出される。
このように温度検出部9の温度出力VMtと短絡すれば、キャパシタC1、C2の印加電圧は異常な挙動を示す。この挙動を利用し、充電中に減少する印加電圧、充電初期のキャパシタのマイナスの印加電圧、あるいは満充電時の過大な印加電圧といった異常電圧を制御部3で検出する。この検知結果に基づき制御部3は、温度検出部9の温度出力の入力端子IN2に、隣接する分圧電圧の入力端子IN1が短絡したことを検出する。すなわち制御部3は、入力端子IN2と入力端子IN1との間が短絡した際に生じる入力端子IN1の異常電圧から算出したキャパシタC1、C2の両端への各印加電圧から入力端子IN1、IN2間が短絡したと判定する。
この際、各々の異常電圧に対する所定の閾値をそれぞれ設定しておき、閾値を逸脱したか否かで正常充電と区別する。すなわち、前述のように満充電状態におけるキャパシタの両端印加電圧で判断する場合には、実施の形態1と同様に、キャパシタC1〜C6の容量ばらつきを見越して閾値を設定することができる。容量ばらつきが10%と見積もれるのであれば、下限閾値を1.8Vとして、これを下回る場合に短絡と判定してもよい。また、上限閾値を2.2Vとして、これを上回る場合に短絡と判定してもよい。このように、温度検出部9の出力が含まれる短絡であっても簡単に検出できる。
なお、入力端子IN2とIN3とが短絡した場合は、分圧部5Bの分圧電圧VM2が温度出力電圧VMtに固定される。この場合も、入力端子IN1とIN2との短絡時と同様に検知できる。この場合、異常検出対象のキャパシタはC1、C2ではなくC2、C3になる。
以上の構成、動作により温度検出部9の温度出力が含まれる短絡であっても、簡単な構成で短絡検出することができる。なお、本構成においても全ての入力端子に接続できるので、入力端子を有効に利用できる。
なおここでは入力端子IN1またはIN3との短絡を例に説明しているが、温度出力の入力端子を例えば入力端子IN4など他の位置にした場合でも同様にして他の入力端子との短絡を検出することができる。
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3における電圧モニタ装置の温度検出部の概略回路図である。図7は同電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子の短絡時に分圧電圧出力が選択された時の一部回路図である。
本実施の形態と図3に示した実施の形態2とが異なる点は、図6に示す回路構成の温度検出部9Aを用いた点である。それ以外の構成は、実施の形態2の構成とほぼ同等であるので、同一構成要素には同一番号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分について説明する。
実施の形態2では、抵抗R7とサーミスタTH1との分圧電圧(温度出力)VMtは、オペアンプOP1で構成された電圧バッファに入力されている。これに対し本実施の形態では、温度出力VMtの入力される入力端子IN2は外部制御可能なスイッチSWを介して既定電圧に接続されている。すなわち、基準電圧Vrefを分圧する第1抵抗である抵抗R7とサーミスタTH1とで構成された第3分圧部である分圧部5Cの分圧電圧(温度出力)VMtはスイッチSWに接続されている。スイッチSWはオン時に抵抗7とサーミスタTH1との接続点を既定電圧に接続する。なお本実施の形態では既定電圧をグランドとしている。また、スイッチSWは制御部3によってオンオフを制御されている。
次に正常時の温度検出部9Aの動作を説明する。図7において、短絡がない正常時であって、切替スイッチ7が温度検出部9Aの温度出力VMtと接続された入力端子IN2以外の入力端子を選択している時、制御部3はスイッチSWをオンにしている。これにより、温度検出時以外は常に入力端子IN2がグランドにクランプされる。
温度を検出する際、制御部3は、温度出力VMtが接続された入力端子IN2を選択するよう切替スイッチ7に選択信号を出力する。このとき制御部3は、同時にスイッチSWをオフにする。これにより、温度出力VMtはグランドから切り離されるので、入力端子IN2の電圧は温度出力VMtになり、制御部3は温度を算出することができる。そして制御部3は蓄電部の環境温度を算出した後、スイッチSWをオンにする。以上のようにスイッチSWを制御することにより、スイッチSWは温度出力VMtを読み込む時だけオフになり、それ以外の時間はオンのままとなる。
次に、温度出力VMtが入力された入力端子IN2と分圧部5Aの分圧電圧VM1が接続された入力端子IN1とが短絡した場合に短絡を検出する方法を説明する。図7に示すように、入力端子IN1とIN2が短絡した状態で切替スイッチ7が入力端子IN1を選択する。この場合、スイッチSWはオンであるので、分圧部5Aの分圧電圧VM1はグランドに接続される。したがって、入力端子IN1の電圧はグランドレベルとなる。入力端子IN1が既定電圧であるグランドレベルであることから、制御部3は入力端子1N1とIN2との短絡を検出することができる。
このように入力端子IN1、IN2が短絡していることがわかれば、制御部3は切替スイッチ7が次に選択する入力端子IN2の温度出力が異常であるとし、温度への換算動作を行わない。また制御部3は、これらの短絡情報や温度が正常に得られないという情報を上位制御部4に通信するとともに、必要に応じて充電停止指令を充電回路2へ送出する等の動作を行う。
以上のように、入力端子IN2と、それに隣接する入力端子IN1または入力端子IN3との短絡が起これば、切替スイッチ7が入力端子IN1または入力端子IN3を選んだ時に電圧が既定電圧となる。そのため入力端子IN1または入力端子IN3の電圧が既定電圧か否かという簡単な判断基準で短絡の有無を検出することができる。また、図6の回路構成に示す温度検出部9Aを用いることにより、実施の形態2に比べてオペアンプOP1が不要で回路構成が簡単になり、低コスト化が可能となる。以上の構成、動作により温度検出部9Aの温度出力がキャパシタの端子電圧を算出するための分圧電圧と短絡した場合でも、さらに簡単な構成で短絡検出することができる。
なお、温度出力が含まれない入力端子間の短絡検出方法は実施の形態1と同じである。また、本構成においても全ての入力端子に接続できるので、入力端子を有効に利用できる。
なお、実施の形態1〜3においては、複数の電気二重層キャパシタを全て直列に接続する構成としたが、これは蓄電部6に要求される電力仕様に応じて直並列接続としてもよい。図8A〜図8Cは電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の一部回路図である。図8Aは直列接続を並列に接続した一部回路図、図8Bは並列接続を直列に接続した場合の一部回路図、図8Cは並列接続と単数の電気二重層キャパシタを組み合わせて直列に接続した場合の一部回路図をそれぞれ示している。
図8Aに示すように複数の電気二重層キャパシタを直列接続した蓄電部6を並列に接続する直並列構成においては、モニタ部8も蓄電部6と同数設ければよい。また、図8Bに示すように複数の電気二重層キャパシタを並列に接続したものを直列接続した直並列構成や、図8Cに示すような複数の電気二重層キャパシタを並列に接続したものと単数の電気二重層キャパシタを組み合わせて直列接続した直並列構成においては、モニタ部8は充電時に電圧が異なる電気二重層キャパシタの端子の接続点における電圧をモニタするように接続すればよい。すなわち、キャパシタC1に第3キャパシタであるキャパシタC3を並列接続し、これにキャパシタC2を直列接続した構成の蓄電部6でも本発明を適用することができる。またキャパシタC3をキャパシタC2に並列接続してもよい。なお、並列に接続するキャパシタの数は限定されない。
実施の形態1〜3ではキャパシタとして容量の大きい電気二重層キャパシタを用いているが、これに限定されない。しかしながら、電気二重層キャパシタは環境温度や維持電圧によって容量の低下を引き起こしやすい。そのため本実施の形態による電圧モニタ装置は電気二重層キャパシタを用いた蓄電装置に特に有効である。
本発明の電圧モニタ装置は、容易に入力端子間の短絡故障を検出できるので、特にキャパシタを用いた高信頼性を要求される車両用緊急補助電源等として有用である。
本発明は、特に直列、または直並列に接続された複数のキャパシタを用いた蓄電装置における電圧モニタ装置に関する。
直列に接続された複数の電気二重層キャパシタを用いた従来の蓄電装置では、それぞれのキャパシタの端子電圧は以下のようにして検出される。まず、直列接続した2つの抵抗の組を電気二重層キャパシタ同士の接続点である各端子とグランドとの間に接続し、この2つの抵抗の間の接続箇所の電圧(分圧電圧)を切替スイッチに入力する。そしてマイクロコンピュータが切替スイッチにキャパシタ選択信号を送り、切替スイッチを制御する。これによって切替スイッチはマイクロコンピュータで選択されたキャパシタの分圧電圧をマイクロコンピュータのA/Dに入力する。マイクロコンピュータはこのようにして検出した分圧電圧を演算してそれぞれのキャパシタの端子間電圧を検出する。
特開2004−271356号公報はこの種の電圧モニタ装置を開示している。この電圧モニタ装置では、切替スイッチとしてマルチプレクサを用い、複数の抵抗の接続の組み合わせをマルチプレクサで選択する。
しかしながら、マルチプレクサの入力端子の間隔は狭い。そのため切替スイッチとしてマルチプレクサを用い、基板に実装すると電極を構成する金属のマイグレーションなどにより隣接入力端子間で短絡する故障を起こす可能性がある。このように隣接入力端子間で短絡を起こすと各キャパシタの分圧電圧が正しく得られなくなる。そのため、このような短絡を検出する必要がある。
入力端子間の短絡を検出する方法として以下のような方法が考えられる。すなわち、分圧電圧の出力を切替スイッチの隣接する全ての入力端子に接続して電圧検出するのではなく、例えば分圧電圧出力を接続した入力端子の両側の隣接入力端子をグランドに接続しておく。このようにすれば隣の入力端子と短絡しても分圧電圧出力がグランドにクランプされるので簡単に短絡を検出することができる。
しかし、切替スイッチの入力端子に各分圧電圧出力とグランドを交互に接続すると、半分の入力端子しか有効に使えず効率が悪い。あるいは大きな切替スイッチを使用する必要があり、電圧モニタ装置自体が大きくなる。
本発明は、抵抗分割された各分圧電圧出力が切替スイッチに接続される際、狭間隔な入力端子に接続された場合でも隣接入力端子間の短絡異常を簡単に検出することができる電圧モニタ装置である。本発明による電圧モニタ装置は、直列に接続された第1キャパシタと第2キャパシタとを少なくとも含む蓄電部の、第1、第2キャパシタの各両端への各印加電圧を検出する。この電圧モニタ装置は、蓄電部に充電電圧を印加する充電回路と、モニタ部と、制御部と、を有する。モニタ部は、第1分圧部と、第1入力端子と、第2分圧部と、第2入力端子と、切替スイッチと、を有する。第1分圧部は、第1、第2キャパシタの接続点における電圧を複数の抵抗で分圧する。第1入力端子には第1分圧部の分圧電圧が入力される。第2分圧部は第2キャパシタの、充電回路側の電圧を複数の抵抗で分圧する。この複数の抵抗は、第1キャパシタと第2キャパシタとが同容量の場合に第1分圧部の分圧電圧とは異なる分圧電圧を出力するように抵抗値が設定されている。第2分圧部の分圧電圧が入力される第2入力端子は第1入力端子に隣接して設けられている。切替スイッチは第1、第2入力端子のいずれか一つを選択して制御部に出力する。制御部は切替スイッチに第1、第2入力端子の選択信号を出力するとともに、切替スイッチの出力に基づき第1、第2キャパシタの両端への各印加電圧を算出する。そして第1、第2入力端子間が短絡した際に、切替スイッチの出力が異常電圧となるように、第1、第2分圧部を構成する複数の抵抗の抵抗値が設定されている。制御部はこの異常電圧から算出した第1、第2キャパシタの両端への各印加電圧から第1、第2入力端子間が短絡したことを判定する。この構成により、短絡が発生すると分圧電圧出力が正常時の分圧電圧の範囲を逸脱する。その結果、入力端子間の短絡を簡単に検出することができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図である。図2は本実施の形態における電圧モニタ装置の入力端子短絡時の等価回路図である。
主電源1はバッテリーまたは発電機からなり、充電回路2に接続されている。充電回路2は充電電圧と充電電流とを所定の値に制御する。充電回路2は制御部3から充電の開始および停止の指令を得る。制御部3は後述するように電圧モニタ装置全体を制御するとともに、上位制御部4と通信して充電の開始、停止を決定する。
第1分圧部である分圧部5Aは、電気二重層キャパシタC1〜Cn(nはキャパシタの個数)を直列に接続した蓄電部6の、キャパシタC1とキャパシタC2との接続点に印加される接続点電圧V1を複数の抵抗R1、R2により分圧するように構成されている。第1入力端子である入力端子IN1には分圧部5Aの分圧電圧が入力される。第2分圧部である分圧部5Bは、キャパシタC2の、充電回路2側の電圧を複数の抵抗R3、R4で分圧する。入力端子IN1に隣接する第2入力端子である入力端子IN2には分圧部5Bの分圧電圧が入力される。以下同様に、キャパシタC3〜Cnにはそれぞれ、各キャパシタの、充電回路2側の電圧を複数の抵抗で分圧する分圧部が設けられている。蓄電部6は充電回路2により所定の電圧まで充電される。
切替スイッチ7は、スイッチSW1〜SWn+1からいずれかを選ぶ信号を制御部3から受ける。そして複数の入力端子IN1〜INn+1の内、その選択信号に適合する入力端子INx(xは選択信号で、1≦x≦n+1)の電圧を切替スイッチ7の出力として制御部3に出力する。
モニタ部8は、分圧部5A、5Bを含む複数の分圧部、入力端子IN1〜INn+1、切替スイッチ7、温度検出部9を有し、充電時に電圧が異なる電気二重層キャパシタCxの端子の接続点における電圧と蓄電部6の環境温度とをモニタしている。
環境温度を出力する温度検出部9は、基準電圧Vrefを抵抗R7とサーミスタTH1とで分圧し、両者の間の電圧を温度出力として出力する。この温度出力は電圧バッファとしてのオペアンプOP1を介して複数の入力端子の1つである入力端子IN3に接続されている。
制御部3は上記の温度出力により環境温度を算出し、また切替スイッチ7を制御する。これ以外に制御部3は、蓄電部6の充電状態を監視する。さらに各入力端子IN1〜INn+1の電圧から、それぞれのキャパシタC1〜Cnの印加電圧を算出し、異常があれば上位制御部4へ通信により情報を伝達する。すなわち制御部3は切替スイッチ7の出力に基づきキャパシタC1〜Cnの両端への各印加電圧を算出する。また必要であれば、充電停止指令を充電回路2へ送出する。さらに、各分圧部に用いられる抵抗比を記憶している。
次に、このように構成された電圧モニタ装置の動作について説明する。充電回路2は制御部3から充電開始の指令を受けると、蓄電部6に所定の充電電圧を印加して蓄電部6を充電する。このとき、各キャパシタC1〜Cnへの印加電圧が高い場合、あるいは周囲環境温度が高い場合には、容量および内部抵抗の劣化が進行する。そこで、制御部3は各キャパシタC1〜Cnの印加電圧と環境温度とをモニタする。そして印加電圧が所定値を著しく超えたり、環境温度が所定値を著しく超えたりする異常が発生すれば、制御部3は充電回路2を制御して充電を停止する。場合によっては蓄電部6を放電する。このように制御部3はキャパシタC1〜Cnへの過負荷を軽減する。なお、図示していないが、強制空冷するファンや水冷するための冷却水循環路とポンプとを設けて制御部3がこれらを制御し、環境温度を低下させて過負荷を軽減してもよい。
蓄電部6が正常に充電されれば、制御部3は充電回路2に対して充電停止を指令する。その後、切替スイッチ7に対してどの入力端子INxを選択するかの選択信号を順次出力する。これにより制御部3は、各キャパシタC1〜Cnの接続点電圧V1〜Vnが各分圧部で分圧された分圧電圧VM1〜VMnを、切替スイッチ7の出力から読み込んでいく。
制御部3は読み込まれた各分圧電圧VM1〜VMnに基づいて、実際の各キャパシタC1〜Cnの印加電圧を推定する。具体的には、各分圧部の分圧比の逆数を各分圧電圧VM1〜VMnに乗じて接続点電圧V1〜Vnを算出する。そして。得られた接続点電圧V1〜Vnのうち、隣接する接続点電圧の差Vx+1−Vxを算出することで、制御部3は各キャパシタC1〜Cnの両端に印加されている電圧を推定する。
例えば図1に示した第2キャパシタであるキャパシタC2の印加電圧は、第1キャパシタであるキャパシタC1とキャパシタC2との接続点電圧V1と、キャパシタC2の充電回路2側の接続点電圧V2より、V2−V1を制御部3で算出することで推定している。なお、これらの演算の詳細は後述する。
次に、環境温度の検出方法について説明する。一定の基準電圧Vrefは、第1抵抗である抵抗R7と、温度に反比例して抵抗値が変化するサーミスタTH1とで分圧される。すなわち、抵抗R7とサーミスタTH1とは基準電圧Vrefを分圧する第3分圧部5Cを形成している。抵抗R7とサーミスタTH1とによる分圧電圧(温度出力)VMtは、オペアンプOP1を介して切替スイッチ7の入力端子IN3に接続されている。そのため、制御部3は入力端子の選択信号で入力端子IN3を選択することにより、温度を算出するための温度出力VMtを読み込む。
こうして得られた各種電圧より、制御部3は各キャパシタC1〜Cnの印加電圧と環境温度とを算出する。それぞれの印加電圧と環境温度との推定値のうち、いずれかが所定の閾値幅を逸脱する場合、通信出力を用いて上位制御部4へ異常を送信する。各キャパシタC1〜Cnの印加電圧と環境温度とが閾値幅内の場合、制御部3は引き続き所定時間毎に印加電圧や環境温度をモニタする。
図1において、キャパシタC2の両端に印加される印加電圧はV2−V1である。したがって、まず制御部3はスイッチSW1をオンにし、V1の電圧を抵抗分割した分圧電圧VM1=V1×R2/(R1+R2)を読み込む。
次に、制御部3はスイッチSW1をオフした後、スイッチSW2をオンにし、V2の電圧を抵抗分割した分圧電圧VM2=V2×R4/(R3+R4)を読み込む。
制御部3は、読み込んだVM1、VM2に、それぞれの分圧部5A、5Bの分圧比の逆数を乗算した後、減算処理を実行する。具体的には、制御部3は次の(1)式よりV2−V1の値、すなわちC2の両端印加電圧を求める。
次に、隣接する入力端子IN1〜INn+1の短絡が発生した場合の故障検出方法について具体的に説明する。一例として入力端子IN1、IN2間が短絡した場合を、図2を用いて説明する。この状態では、制御部3がスイッチSW1を選択した場合も、スイッチSW2を選択した場合も、図2に示すVM1とVM2の合成電圧値Vaが制御部3に読み込まれる。この合成電圧値Vaは、(2)式で表現することができる。なお、//は並列接続された合成抵抗値を表す。
したがって、制御部3がキャパシタC2の両端印加電圧として算出する電圧値V2’−V1’は、次の(3)式で表現できる。
ここで、VM1=VM2とならないように、R1〜R4の値を設定しておく。すなわち、分圧部5Bは、キャパシタC1とキャパシタC2とが同容量の場合に分圧部5Aの分圧電圧とは異なる分圧電圧が出力されるように抵抗値R3、R4が設定されている。以下同様に、隣り合う入力端子INnとINn−1とでは分圧電圧VMnとVMn−1とが異なるように各分圧部の抵抗値が設定されている。
また入力端子IN1、IN2間に短絡が発生すると切替スイッチ7の出力が異常電圧となり、制御部3が正常値V1−V2とは明らかに異なる異常電圧V1’−V2’を算出するように、各抵抗値R1〜R4をあらかじめ所定値に設定しておく。すなわち、入力端子IN1、IN2が短絡すると、正常に充電される場合の分圧電圧VM1、VM2に比べ著しく大きい、または小さい電圧にシフトするように、あらかじめ抵抗分割する抵抗値R1〜R4が設定されている。
このように各抵抗を設定すると、(2)式、(3)式より、入力端子IN1とIN2の短絡故障発生時に制御部3が算出するV2’−V1’は、短絡していない正常値V2−V1と比べ異なった値、すなわち異常電圧となる。
そして、V2’−V1’>Vth>V2−V1、またはV2’−V1’<Vth<V2−V1が成り立つように、V2−V1とV2’−V1’の中間に電圧閾値Vthを設定する。前者の不等式の場合、任意のVx+1−VxがVth未満であれば正常であり、Vthを超えていれば短絡故障であると判定できる。一方、後者の不等式の場合、任意のVx+1−VxがVthより大きければ正常であり、Vth以下であれば短絡故障であると判定できる。このように制御部3は切替スイッチ7の出力する異常電圧から算出したキャパシタC1、C2の両端への各印加電圧から入力端子IN1、IN2間が短絡したことを判定する。
V2−V1はキャパシタC2の両端電圧として算出される値である。一方、各キャパシタの概略電圧は、蓄電部6全体の電圧を各キャパシタの静電容量の逆数に比例して配分することにより推定できる。そのため、キャパシタの静電容量のばらつきを考慮しつつ、各キャパシタの電圧の正常電圧範囲を決定することができる。この電圧範囲の上下限を閾値として用いることもできる。
通常、各分圧部の抵抗分割比は、直列接続した最上位キャパシタ電圧Vnを分割した電圧が制御部3を構成するマイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限を超えない範囲で、同じになるように設定される。そして、分圧電圧VMn−1とVMnとが切換スイッチ7の入力端子に隣接するように接続すれば、容易にスイッチ7の入力隣接間の短絡を検知できる。これは短絡時にVM1とVM2とが同じ値になり、(1)式の分割比が同じであれば、V2−V1が0となるためである。しかしながらマイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分は耐圧上限値を有するため、高電圧側に合せて抵抗分割比を設定すると、グランド(GND)電位に近いキャパシタC1の分圧電圧VM1が小さくなる。そのため、マイクロコンピュータでの読み取りA/D値は周辺ノイズの影響を受けやすくなる。電気二重層キャパシタの直列数Cnが大きくなるほどその現象は顕著になる。さらにA/D端子の電圧が約0.3Vより低くなると、A/D端子からのリーク(漏れ)電流が急増する。このためA/D端子からの読み取り誤差が増大する。
そのため、キャパシタC1の分圧電圧VM1は、マイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限内でなるべく大きい方が好ましい。そのためには、キャパシタC1に対応する抵抗分割比(R1+R2)/R2やキャパシタC2に対応する抵抗分割比(R3+R4)/R4は小さく設定することが好ましい。
一方、キャパシタC3よりもグランド側から離れた位置に接続されているキャパシタではマイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限を超えないように抵抗分割比を大きく設定する必要がある。このように各分圧部の抵抗分割比が異なる方が分圧電圧の測定精度を向上させることができる。しかしながらそのために、従来の方法では入力端子間の短絡を検出できない。
本実施の形態では、隣り合う入力端子INnとINn−1とでは分圧電圧VMnとVMn−1とが異なるように各分圧部の抵抗値を設定している。そして制御部3は、各キャパシタの両端電圧が所定の閾値を上回るか下回ったときに入力端子間の短絡が生じていると判断する。以上の構成、動作により、確実に切替スイッチ7の入力端子間の短絡を検出することができる。なお、本構成では全ての入力端子に分圧電圧出力が接続できるので、入力端子を有効に利用できる。
ここで、抵抗値や抵抗分割比の設定の具体例を説明する。図1において、電気二重層キャパシタの直列数Cnを6、C1〜C6間の満充電電圧を12Vとする。この場合、各キャパシタの両端電圧はそれぞれ2Vとなる。なお、マイクロコンピュータのA/Dコンバータ部分の上限電圧は高精度の電圧が得られる2.5Vとする。
まず、充電過程で種々の演算に対するノイズの影響を低減できるようにVM1の値を高めるため、キャパシタC1に対応する分圧部5Aにおいて、R1=866Ω、R2=866Ωとする。分割比は(R1+R2)/(R2)=2である。切換スイッチ7の入力間短絡がない正常時に、入力端子IN1の電圧VM1は1V、演算電圧V1は2Vとなる。
一方、キャパシタC2に対応する分圧部5Bにおいては、R3=4330Ω、R4=866Ωとする。分割比は(R3+R4)/(R4)=6である。切換スイッチ7の入力間短絡がない正常時に、入力端子IN2の電圧VM2は0.67V、演算電圧V2は4Vである。すなわちV2−V1=2Vであり、VM2はVM1と異なる値となる。
これに対し、切換スイッチの入力端子IN1とIN2との間が短絡した時の異常電圧Vaは(2)式より、Va=0.875Vとなる。したがって、V2‘−V1’=5.25−1.75=3.25Vとなる。
これらより例えば、Vthを、V2−V1とV2‘−V1’の中間値である2.625Vに設定すれば制御部3は入力端子IN1とIN2との間の短絡を検出することができる。VthはV2−V1とV2‘−V1’との間で適宜設定することができる。たとえば、キャパシタC1〜C6の容量ばらつきが10%と見積もれるのであれば、下限閾値を1.8Vとして、これを下回る場合に短絡と判定してもよい。また、上限閾値を2.2Vとして、これを上回る場合に短絡と判定してもよい。
なお、VM1の値が0.3V以上になるように分圧部5Aの抵抗分割比を設定することでノイズの影響を抑制することができるので、上記以外の抵抗分割比に設定することもできる。さらに、上記の説明では蓄電部6が満充電の場合の電圧を例に説明しているが、より低充電の状態で判定してもよい。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図である。図4は同電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子との短絡時の等価回路図である。図5A〜図5Cは同電圧モニタ装置の充電電圧の経時特性図であり、図5Aは正常時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。図5Bは温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より高い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図である。図5Cは温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より低い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図を示す。
図3に示す電圧モニタ装置は、図1に示した実施の形態1の構成において温度検出部9の温度出力VMtの入力端子の位置が異なる。すなわち温度検出部9の温度出力VMtは入力端子IN2に接続され、分圧部5Bの分圧電圧VM2は入力端子IN3に接続されている。この場合、入力端子IN3は分圧電圧VM2が入力される第2端子であり、入力端子IN2は温度出力VMtが入力される第3端子である。これ以外は実施の形態1と同じ構成であるので、同一構成要素には同一番号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態における特徴的な点は、温度検出部9の温度出力VMtを入力される入力端子IN2と、分圧部5Aの分圧電圧VM1または分圧部5Bの分圧電圧VM2が入力される入力端子IN1またはIN3とが短絡した時の検出方法である。
実施の形態1で述べたように、キャパシタC1〜Cnの両端印加電圧をモニタする場合の切替スイッチ7の入力端子間短絡は、あらかじめ短絡を検出可能な各分圧部の抵抗値と制御部3内に故障判定の電圧閾値Vthを設定しておく方法で解決できる。しかし温度検出部9では分圧するための抵抗の一方がサーミスタTH1であり抵抗値が温度で変化するため、あらかじめ故障判定できる抵抗値に設定できない。その理由を以下に説明する。
Vrefを5V、キャパシタの温度特性を補正するための温度範囲を−40℃から+25℃とする。またR7は200kΩとする。25℃でのサーミスタTH1の抵抗値が10kΩ、温度特性であるB定数が3400の場合、VMtの温度依存性は(表1)のように指数関数的に変化する。
(表1)に示すように、VMtは温度変化により図1の分圧電圧VM1とVM2の値を包含するので、IN2とその隣接端子との間の短絡、すなわちIN2のIN1との短絡、またはIN2のIN3との短絡を検知できない。
そこで図3に示すように、抵抗R7とそれに直列に接続したサーミスタTH1で基準電圧Vrefを分圧し、その分圧電圧(温度出力)と切替スイッチ7の入力端子IN2との間にオペアンプOP1を電圧バッファとして挿入する。この電圧バッファにより、入力端子IN2が隣接する入力端子IN1やIN3と短絡した場合でも、制御部3は簡単にこのような故障を検出できる。
以下にその検出方法について具体的に説明する。まず図5Aを用いて入力端子IN2とIN1やIN3との短絡が無く正常に充電する場合について説明する。入力端子IN1、IN3の電圧VM1、VM3は、正常時の電圧変化の軌跡をたどって満充電まで上昇し、これに応じて図5Aに示すようにV1、V2が上昇する。
これに対し、切替スイッチ7の入力端子IN1、IN2が短絡し、VMt>VM1である場合について図5Bを用いて説明する。図4に示すように入力端子IN1、IN2が短絡した場合、正常時のV1を抵抗分割した分圧電圧VM1=V1×R2/(R1+R2)の値に関わらず、VM1は、電圧バッファであるオペアンプOP1の出力電圧値(=温度出力)VMt=Vref×TH1/(R7+TH1)に固定される。特に蓄電部6が充電開始初期の0Vから所定の満充電電圧まで急速に充電される充電制御の場合、充電中の時間0からTの短時間の範囲においては、環境温度の変化が非常に小さいと想定される。そのため、入力端子IN1、IN2の電圧VM1、VMtは一定の値に固定されたままになる。これによってV1は図5Bのように高い値で一定になる。
このため、充電開始初期にはV2−V1の印加電圧、すなわちキャパシタC2の両端印加電圧が充電初期にマイナスの電圧からスタートし、満充電になる前にマイナスからプラスへ逆転する。そしてさらに満充電に達した時、キャパシタC2の両端印加電圧V2−V1は異常に小さい電圧として検出される。一方、キャパシタC1の両端印加電圧V1は異常に大きい電圧として検出される。
一方、短絡時の温度出力VMtがキャパシタC1の満充電電圧V1よりも小さい値の場合は、図5Cに示すようになる。すなわち、キャパシタC2の両端印加電圧V2−V1は異常に大きい電圧として制御部3で算出される。
このように温度検出部9の温度出力VMtと短絡すれば、キャパシタC1、C2の印加電圧は異常な挙動を示す。この挙動を利用し、充電中に減少する印加電圧、充電初期のキャパシタのマイナスの印加電圧、あるいは満充電時の過大な印加電圧といった異常電圧を制御部3で検出する。この検知結果に基づき制御部3は、温度検出部9の温度出力の入力端子IN2に、隣接する分圧電圧の入力端子IN1が短絡したことを検出する。すなわち制御部3は、入力端子IN2と入力端子IN1との間が短絡した際に生じる入力端子IN1の異常電圧から算出したキャパシタC1、C2の両端への各印加電圧から入力端子IN1、IN2間が短絡したと判定する。
この際、各々の異常電圧に対する所定の閾値をそれぞれ設定しておき、閾値を逸脱したか否かで正常充電と区別する。すなわち、前述のように満充電状態におけるキャパシタの両端印加電圧で判断する場合には、実施の形態1と同様に、キャパシタC1〜C6の容量ばらつきを見越して閾値を設定することができる。容量ばらつきが10%と見積もれるのであれば、下限閾値を1.8Vとして、これを下回る場合に短絡と判定してもよい。また、上限閾値を2.2Vとして、これを上回る場合に短絡と判定してもよい。このように、温度検出部9の出力が含まれる短絡であっても簡単に検出できる。
なお、入力端子IN2とIN3とが短絡した場合は、分圧部5Bの分圧電圧VM2が温度出力電圧VMtに固定される。この場合も、入力端子IN1とIN2との短絡時と同様に検知できる。この場合、異常検出対象のキャパシタはC1、C2ではなくC2、C3になる。
以上の構成、動作により温度検出部9の温度出力が含まれる短絡であっても、簡単な構成で短絡検出することができる。なお、本構成においても全ての入力端子に接続できるので、入力端子を有効に利用できる。
なおここでは入力端子IN1またはIN3との短絡を例に説明しているが、温度出力の入力端子を例えば入力端子IN4など他の位置にした場合でも同様にして他の入力端子との短絡を検出することができる。
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3における電圧モニタ装置の温度検出部の概略回路図である。図7は同電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子の短絡時に分圧電圧出力が選択された時の一部回路図である。
本実施の形態と図3に示した実施の形態2とが異なる点は、図6に示す回路構成の温度検出部9Aを用いた点である。それ以外の構成は、実施の形態2の構成とほぼ同等であるので、同一構成要素には同一番号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分について説明する。
実施の形態2では、抵抗R7とサーミスタTH1との分圧電圧(温度出力)VMtは、オペアンプOP1で構成された電圧バッファに入力されている。これに対し本実施の形態では、温度出力VMtの入力される入力端子IN2は外部制御可能なスイッチSWを介して既定電圧に接続されている。すなわち、基準電圧Vrefを分圧する第1抵抗である抵抗R7とサーミスタTH1とで構成された第3分圧部である分圧部5Cの分圧電圧(温度出力)VMtはスイッチSWに接続されている。スイッチSWはオン時に抵抗7とサーミスタTH1との接続点を既定電圧に接続する。なお本実施の形態では既定電圧をグランドとしている。また、スイッチSWは制御部3によってオンオフを制御されている。
次に正常時の温度検出部9Aの動作を説明する。図7において、短絡がない正常時であって、切替スイッチ7が温度検出部9Aの温度出力VMtと接続された入力端子IN2以外の入力端子を選択している時、制御部3はスイッチSWをオンにしている。これにより、温度検出時以外は常に入力端子IN2がグランドにクランプされる。
温度を検出する際、制御部3は、温度出力VMtが接続された入力端子IN2を選択するよう切替スイッチ7に選択信号を出力する。このとき制御部3は、同時にスイッチSWをオフにする。これにより、温度出力VMtはグランドから切り離されるので、入力端子IN2の電圧は温度出力VMtになり、制御部3は温度を算出することができる。そして制御部3は蓄電部の環境温度を算出した後、スイッチSWをオンにする。以上のようにスイッチSWを制御することにより、スイッチSWは温度出力VMtを読み込む時だけオフになり、それ以外の時間はオンのままとなる。
次に、温度出力VMtが入力された入力端子IN2と分圧部5Aの分圧電圧VM1が接続された入力端子IN1とが短絡した場合に短絡を検出する方法を説明する。図7に示すように、入力端子IN1とIN2が短絡した状態で切替スイッチ7が入力端子IN1を選択する。この場合、スイッチSWはオンであるので、分圧部5Aの分圧電圧VM1はグランドに接続される。したがって、入力端子IN1の電圧はグランドレベルとなる。入力端子IN1が既定電圧であるグランドレベルであることから、制御部3は入力端子IN1とIN2との短絡を検出することができる。
このように入力端子IN1、IN2が短絡していることがわかれば、制御部3は切替スイッチ7が次に選択する入力端子IN2の温度出力が異常であるとし、温度への換算動作を行わない。また制御部3は、これらの短絡情報や温度が正常に得られないという情報を上位制御部4に通信するとともに、必要に応じて充電停止指令を充電回路2へ送出する等の動作を行う。
以上のように、入力端子IN2と、それに隣接する入力端子IN1または入力端子IN3との短絡が起これば、切替スイッチ7が入力端子IN1または入力端子IN3を選んだ時に電圧が既定電圧となる。そのため入力端子IN1または入力端子IN3の電圧が既定電圧か否かという簡単な判断基準で短絡の有無を検出することができる。また、図6の回路構成に示す温度検出部9Aを用いることにより、実施の形態2に比べてオペアンプOP1が不要で回路構成が簡単になり、低コスト化が可能となる。以上の構成、動作により温度検出部9Aの温度出力がキャパシタの端子電圧を算出するための分圧電圧と短絡した場合でも、さらに簡単な構成で短絡検出することができる。
なお、温度出力が含まれない入力端子間の短絡検出方法は実施の形態1と同じである。また、本構成においても全ての入力端子に接続できるので、入力端子を有効に利用できる。
なお、実施の形態1〜3においては、複数の電気二重層キャパシタを全て直列に接続する構成としたが、これは蓄電部6に要求される電力仕様に応じて直並列接続としてもよい。図8A〜図8Cは電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の一部回路図である。図8Aは直列接続を並列に接続した一部回路図、図8Bは並列接続を直列に接続した場合の一部回路図、図8Cは並列接続と単数の電気二重層キャパシタを組み合わせて直列に接続した場合の一部回路図をそれぞれ示している。
図8Aに示すように複数の電気二重層キャパシタを直列接続した蓄電部6を並列に接続する直並列構成においては、モニタ部8も蓄電部6と同数設ければよい。また、図8Bに示すように複数の電気二重層キャパシタを並列に接続したものを直列接続した直並列構成や、図8Cに示すような複数の電気二重層キャパシタを並列に接続したものと単数の電気二重層キャパシタを組み合わせて直列接続した直並列構成においては、モニタ部8は充電時に電圧が異なる電気二重層キャパシタの端子の接続点における電圧をモニタするように接続すればよい。すなわち、キャパシタC1に第3キャパシタであるキャパシタC3を並列接続し、これにキャパシタC2を直列接続した構成の蓄電部6でも本発明を適用することができる。またキャパシタC3をキャパシタC2に並列接続してもよい。なお、並列に接続するキャパシタの数は限定されない。
実施の形態1〜3ではキャパシタとして容量の大きい電気二重層キャパシタを用いているが、これに限定されない。しかしながら、電気二重層キャパシタは環境温度や維持電圧によって容量の低下を引き起こしやすい。そのため本実施の形態による電圧モニタ装置は電気二重層キャパシタを用いた蓄電装置に特に有効である。
本発明の電圧モニタ装置は、容易に入力端子間の短絡故障を検出できるので、特にキャパシタを用いた高信頼性を要求される車両用緊急補助電源等として有用である。
本発明の実施の形態1における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図
本発明の実施の形態1における電圧モニタ装置の入力端子短絡時の等価回路図
本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置を含む回路の概略構成図
本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子の短絡時の等価回路図
本発明の実施の形態2における電圧モニタ装置の、正常時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図
温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より高い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図
温度検出部の温度出力電圧が満充電時のキャパシタの分圧部の分圧電圧より低い状態における入力端子短絡時のキャパシタ接続点の電圧の経時特性図
本発明の実施の形態3における電圧モニタ装置の温度検出部の概略回路図
本発明の実施の形態3における電圧モニタ装置の分圧部の分圧電圧出力が接続された入力端子と温度検出部の温度出力が接続された入力端子の短絡時に分圧電圧出力が選択された時の一部回路図
本発明の実施の形態3において、電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の蓄電装置の一部回路図であり、直列接続を並列に接続した一部回路図
本発明の実施の形態3において、電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の蓄電装置の一部回路図であり、並列接続を直列に接続した場合の一部回路図
本発明の実施の形態3において、電気二重層キャパシタを直並列接続した場合の蓄電装置の一部回路図であり、並列接続と単数の電気二重層キャパシタを組み合わせて直列に接続した場合の一部回路図
符号の説明
1 主電源
2 充電回路
3 制御部
4 上位制御部
5A 第1分圧部
5B 第2分圧部
5C 第3分圧部
6 蓄電部
7 切替スイッチ
8 モニタ部
9 温度検出部