JPWO2007018221A1 - 2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

シアノヒドリン化合物を原料とする簡便な2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法を提供する。一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒および水の混合物に酸を導入することを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法である:【化1】式中、R1は、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基であり、R2は炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。

Description

本発明は、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法に関する。
2−ヒドロキシエステル化合物は、医農薬原料や写真薬原料の中間体として、工業的に重要な化合物である。2−ヒドロキシエステル化合物を製造する方法としては、出発原料として、アミド、アルコール類およびギ酸エステルを使用する方法や、2−ヒドロキシカルボン酸とアルコール類とを使用する方法のほか、シアノヒドリン化合物とアルコール類とを使用する方法などがある。中でも、シアノヒドリン化合物はアルデヒドと青酸とから容易に調製できるため、シアノヒドリン化合物を出発原料とする2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法が各種提案されている。
例えば、ケトンシアノヒドリンと硫酸とを反応させ、反応物とアルコールとをエステル化し、これにアルカリ金属などの無水硫酸塩を添加して2−ヒドロキシ脂肪酸エステル類を製造する方法がある(米国特許第2041820号明細書)。
また、第一工程においてシアノヒドリン化合物をアルコール溶媒中で塩化水素などの酸と反応させてイミノエーテル塩酸塩を合成し、第二工程において未反応の酸を除去した後に水を添加して加水分解し、高収率で2−ヒドロキシエステル化合物を製造する方法もある(特開平4−230241号公報)。2−ヒドロキシニトリル類、アルコール類および塩化水素ガスの反応による従来の方法では、反応時間が12〜15時間と長く、かつその間、反応混合液を連続してHCl流と接触させる必要があるため、操作が煩雑であり、エステルの収率も低い。
Figure 2007018221
また、特定のシアノヒドリン化合物に水とリン酸とを反応させ、その反応物にアルコール類を添加してエステル化を行う方法もある(特開平6−247895号公報)。該方法は、酸として硫酸や塩酸などの強酸を使用すると、生成物であるヒドロキシカルボン酸エステルおよびアルコール類のエーテル化反応の併発が避けられず、反応生成物中に副生物としてアルコキシカルボン酸エステルが混入する点に鑑みてなされたものであり、リン酸を使用する点に特徴がある。リン酸を用いて反応を行うとエーテル化物を生成する副反応が抑制され、高選択率で反応が進行する。下記式に示すように、該反応は、シアノヒドリン化合物に水とリン酸とを作用させてアミド化し、次いでアルコール類によりエステル化を行うものである。
Figure 2007018221
また、特定のシアノヒドリン化合物に特定量の水および特定量の硫酸を反応させ、その反応物にアルコール類を添加してエステル化を行なう方法もある(特開平6−247896号公報)。シアノヒドリン化合物に水と硫酸とを作用させてアミド化し、次いでアルコール類によりエステル化を行ない、この反応混合物に含水アルコール類を連続的に供給しながら同時に生成するヒドロキシカルボン酸エステルを留出させることでエーテル化合物を生成する副反応を抑制し、高選択率で反応を進行させるというものである。
なお、シアノヒドリン化合物を原料に使用する場合には、シアノ基を構成する窒素原子が還元され最終的にアンモニアとなって排出されるため、使用する酸の種類に応じて硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどが副生する。このようなアンモニウム塩を分別する方法として、例えば、アンモニウム塩、アルコール類、2−ヒドロキシエステル化合物等を含有する反応液スラリーに硫酸ナトリウムを添加して、蒸留によって2−ヒドロキシエステル化合物を回収する方法(米国特許第2041820号明細書)や、反応液スラリーを固液分離する方法がある(特開平4−230241号公報)。
しかしながら、米国特許第2041820号明細書に記載の方法は、無水の状態で反応を行うため副反応が発生し易く、収率が低下する場合がある。また、シアノヒドリン化合物を原料に使用する場合には、シアノ基を構成する窒素原子が還元され最終的にアンモニアとなって排出されるため、酸として硫酸を使用すると不溶性の硫酸アンモニウムが発生し、処理負担が必要となる。なお、硫酸アンモニウムの処理負担の点では、特開平6−247896号公報に記載の方法も同じである。また、シアノヒドリン化合物とアルコール類との混合物を使用する特開平4−230241号公報に記載の方法では、該混合物に添加する塩化水素量が少ない場合にはスラリー状の反応物の流動性が低下し撹拌が困難となるため、予め多量の反応溶媒を必要とする。ただし、塩化水素量が2モル以上となる場合には、過剰に添加した酸の留去操作も必要となる。なお、特開平6−247895号公報に記載の方法は、リン酸を用いてアミド化を行なうものであり、水質汚濁防止法により製造所の立地によっては排出されるリン酸廃水の処理が困難となる場合がある。
また、上述の米国特許第2041820号明細書、特開平4−230241号公報、特開平6−247895号公報、および特開平6−247896号公報の方法は、いずれも二段の反応を行い、第一工程の反応物を得た後に第二工程を実施しており、実際の反応操作が煩雑である。なお、シアノヒドリン化合物は上記したように、物質の添加順序によって反応が異なり、したがって形成される中間体も異なる。例えば、シアノヒドリン化合物は、塩酸存在下に水によってアミド塩酸塩を形成し、次いでアルコール類を反応させるとエステル体を形成する。一方、シアノヒドリン化合物に塩酸存在下でアルコール類を反応させるとイミノエーテル塩酸塩を最初に形成し、これに水を加えると加水分解して対応するエステル体を形成する。
なお、シアノヒドリン化合物は青酸をアルデヒドやケトンのカルボニル基に作用させることで容易に反応液中に調製できる。このため、該反応液からシアノヒドリン化合物を単離せずに対応する2−ヒドロキシエステル化合物を製造できれば、未反応の青酸との分離工程が不要となる。また、残存する青酸を他の不要物の処理工程で同時に処理できれば、残存青酸の処理負担が軽減される。例えば2−ヒドロキシエステル化合物として2−ヒドロキシブタン酸メチル(以下、MHBAと略称する)を例にとれば、MHBAは塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩の溶解能を有するため、固液分離した後の濾液に相当量の塩化アンモニウムが含まれる。MHBAを蒸留精製するために該濾液を加熱すると、塩化アンモニウムが存在するためMHBAが熱分解を起こし、収率が低下する。また、収率を向上させるために、固液分離した塩化アンモニウムに含まれるMHBAを流し出そうとすると、多量の溶媒が必要となる。また2−ヒドロキシエステル化合物の製造では、分子内に存在するヒドロキシル基がアルコール類と反応してアルコキシル基を生成する場合や、ヒドロキシル基とカルボニル基が反応して二量体を生成する場合や、2−ヒドロキシエステル化合物が一分子の水と反応して2−ヒドロキシカルボン酸が生成する場合があることが知られている。
本発明は上記現状に鑑みて、シアノヒドリン化合物を原料化合物として使用し、合成反応および廃液処理を簡便にできる2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、シアノヒドリン化合物を原料とした2−ヒドロキシエステル化合物の合成反応について詳細に検討したところ、従来は、シアノヒドリン化合物に酸存在下に水またはアルコール類を反応させて第一段階を行い、次ぐ第二段階目で、得られた中間体から目的物である2−ヒドロキシエステル化合物を製造していたが、シアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒および水の混合物に酸を導入すると、アミド体やイミノエーテル塩酸塩などの中間体を単離することなく、また副生成物であるアルコキシル体や2−ヒドロキシエステル二量体や2−ヒドロキシカルボン酸等の生成が少なく、一段階でシアノヒドリン化合物から2−ヒドロキシエステル化合物を製造しうることを見出した。
すなわち、本発明は、一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒および水の混合物に酸を導入する第一工程を含むことを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2007018221
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基であり、Rは炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。
さらに、本発明は、上記一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、上記一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒、および水の混合物に酸を導入する第1工程、前記第1工程で得た反応液からアルコール類を除去する第2工程、前記第2工程で得た残留反応液に水を添加して有機溶媒層と水層とに分離させる第3工程、および前記第3工程で得た有機溶媒層から2−ヒドロキシエステル化合物を回収する第4工程、を有することを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法を提供する。
本発明によれば、一段階の反応でシアノヒドリン化合物から2−ヒドロキシエステル化合物を高収率で製造でき、かつ中間体を単離する処理も不要である。特に、シアノヒドリン化合物として青酸とアルデヒドとの反応液を使用する場合には、シアノヒドリン化合物の製造工程と2−ヒドロキシエステル化合物の製造工程から排出される廃液を別個に処理するよりも極めて効率的に廃液処理を行なうことができる。
本発明の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法の概略図である。
本発明の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法の概略を図1に示す。以下、図1を参照しつつ、2−ヒドロキシブタン酸メチル(MHBA)の製造を例として挙げて、本発明の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法を工程順に説明する。ただし、本発明が後述する形態のみに限定されるわけではない。
(1)反応工程
本発明の第一は、一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒および水の混合物に酸を導入することを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法である。
Figure 2007018221
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基であり、Rは炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。
を構成する炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、テトラデシル、オクタデシルなどの直鎖アルキル基のほか、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルオクチルなどの分岐を有するアルキル基などが挙げられる。炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。置換基としてはハロゲン基、ニトロ基などがある。また、炭素数3〜14の置換もしくは非置換のアリール基としては、フェニル、o−,m−もしくはp−トリル、2,3−もしくは2,4−キシリル、クメニル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル及びピレニルなど;アリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルおよびトリチルなどがある。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基などがある。本発明では、Rとしては、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、または3−メトキシフェニルであることが好ましい。
を構成する炭素数1〜12のアルキル基としては、上記Rで記載したアルキル基が同様に好ましく使用されうる。また、Rは、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルであることが好ましい。
なお、本発明の製造方法において原料として使用される上記式(2)で示すシアノヒドリン化合物において、Rも、上記式(1)におけるRと同じである。また、アルコール類とはROHで示されるものであり、Rも上記式(1)におけるRと同じである。
本発明の特徴は、上記シアノヒドリン化合物に上記アルコール類、有機溶媒および水を添加した混合物を使用し、これに酸を導入して中間体を取り出すことなく、また反応を中断することなく一段階で2−ヒドロキシエステル化合物を製造する点にある。また、上記シアノヒドリン化合物と水に、上記アルコール類、有機溶媒、および塩化水素または酸を仕込む方法については、特に制限されず、これらの物質を複数同時に仕込んでもよい。反応工程を以下に示す。
Figure 2007018221
本発明においては、シアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒および水の仕込みの操作および酸の添加の操作の後は、加熱の操作だけで済む。したがって、中間体分離のための固液分離、蒸留、濃縮等の操作が不要となり、原料を新たに追加するために反応を中断する必要がない。また常圧下で反応が行えるためオートクレーブ等の加圧反応装置が不要であり、安全性、操作性に優れる。さらに、エステル化の収率も高い。また、反応に不活性であり、水に対する溶解度が8質量%以下の有機溶媒の存在下に水を添加してアンモニウム塩を溶解させると、後の分離工程において、二層分離後の水層にアンモニウム塩を回収でき、反応液に含まれるアンモニウム塩と2−ヒドロキシエステル化合物とを効率的に分離できるため、有機溶媒層に含まれるアンモニウム塩濃度を低減できる。
本発明で使用する酸については塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられる。また、パラトルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。特に塩化水素を使用することが好ましい。
本発明で使用する有機溶媒としては、反応に不活性であり、水に対する溶解度が8質量%以下である有機溶媒が好ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの炭素数6〜12である芳香族炭化水素、炭素数6〜18である脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル類、およびクロロホルム、塩化メチレンなどの塩素系炭化水素のいずれか1種以上であることが好ましい。より好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、炭素数6〜18の飽和脂肪族炭化水素および塩化メチレンである。特に、2−ヒドロキシエステル化合物の溶解能が高く、かつ水への溶解度が低いこと、さらに回収が容易であること、不活性であることから、トルエンを用いることが好ましい。
該有機溶媒に加えるシアノヒドリン化合物の濃度は、添加する水およびアルコール類の量によっても異なるが、一般には混合液中に好ましくは5.0〜60.0質量%、より好ましくは20.0〜40.0質量%、特に好ましくは26.0〜37.0質量%とする。60.0質量%を上回ると、イミノエーテル化の際に形成される固形分量が多くなりすぎ、スラリーの撹拌が困難となるおそれがある。一方、5.0質量%を下回ると、溶媒回収工程が煩雑となるおそれがある。
添加するアルコール類は、理論的にはシアノヒドリン化合物1モルに対して1モルであるが、反応収率を考慮して、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1.5〜4モル、特に好ましくは2〜4モルである。1モルを下回ると収率が低下し、一方、5モルを超えると過剰に添加されたアルコール類の除去操作が煩雑となるおそれがある。
また、特に酸として塩化水素を吹き込む場合の水の添加量は、理論的にはシアノヒドリン化合物1モルに対して1モルであるが、反応収率を考慮して、好ましくは0.8〜2モル、より好ましくは0.9〜1.5モル、特に好ましくは0.9〜1.2モルである。0.8モルを下回ると収率が低下し、一方、2モルを超えるとやはり収率が低下するおそれがある。ただし、RまたはRに含まれる原子と塩を生成しうる酸は上記の酸の導入量に含めない。ここで、RまたはRに含まれる原子としては、例えば、RまたはRに含まれるアミンの窒素原子などが挙げられる。特に、塩化水素吹き込み前に水が上記範囲で添加されると、イミノエーテル化の際の反応液スラリーの流動性が改善され、撹拌も容易となり、さらに反応液中に含まれる適当量の水により、2−ヒドロキシエステル化合物分子中のヒドロキシル基に由来するアルコキシル化合物や2−ヒドロキシエステル二量体などの生成を抑えることができ、更に反応性および操作性が向上する。なお、混合液における上記シアノヒドリン化合物の濃度は、添加する水、アルコール類に加えて、有機溶媒量を適宜選択することで調整することができる。水を必要量添加することで、反応中に生成する固形物の反応液部分に対する溶解性を向上させ、更に有機溶媒を添加することにより反応液スラリー状態が改善され、撹拌操作を簡便かつ均一に行なうことができる。また、加水分解用の水の後添加操作を回避できる。
本発明では、酸として特に塩化水素を反応で使用することで、従来の方法において多用された硫酸を使用する場合に比べて、廃水処理の負荷を軽減することができる。つまり、シアノヒドリン化合物を原料として2−ヒドロキシエステル化合物を製造する際には、シアノヒドリンに由来する窒素からアンモニアが副生し、硫酸と反応して硫酸水素アンモニウムを形成するが、該化合物は反応活性を低下させるため、シアノヒドリン化合物1モルに対して1モル以上の硫酸の添加が必要となる。また、廃液に含まれる硫酸を中和する場合に必要なアルカリ量は、同モル量の塩酸を中和する場合と比較して2倍量となる。したがって、塩化水素を使用するほうが、廃水処理量も低減できる。
使用する酸は、シアノヒドリン化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜1.5モル、より好ましくは1.05〜1.25モルである。1モルを下回ると反応促進効果が低下し、一方1.5モルを超えると収率が低下するおそれがある。なお、塩化水素はガス状で供給しても塩酸水溶液などの液状で供給してもよく、塩化水素ガスと塩酸水溶液とを併用してもよい。塩酸水溶液を使用する場合の塩酸濃度は、35.0〜38.0質量%が好適であり、含まれる水は前記混合液中の水濃度に含めるものとする。ただし、RまたはRに含まれる原子と塩を生成しうる酸は上記の酸の導入量に含めない。ここで、RまたはRに含まれる原子としては、例えば、RまたはRに含まれるアミンの窒素原子などが挙げられる。
酸の導入時の液温は、0〜80℃であることが好ましく、より好ましくは25〜60℃、特に好ましくは35〜45℃である。0℃を下回ると反応時間が長くなるおそれがある。一方、80℃を超えると原料であるアルコール類と塩化水素が反応し、水及び塩化アルキルを副生するおそれがある。塩化水素として塩酸水溶液を使用する場合も、上記温度範囲に調温することが好ましい。塩化水素の導入時間は、生産性及び反応熱の除熱効率により任意に選択できるが、1〜20時間、特には1〜15時間である。
本発明では、酸の添加後に、反応液を0℃〜常圧下還流温度の範囲で、20時間以内で反応させると目的物である2−ヒドロキシエステル化合物を得ることができるが、異なる温度で第一熟成と第二熟成とを行うことがより好ましい。
例えば、酸の添加後に、反応液を0℃〜常圧下還流温度の範囲、好ましくは35〜45℃で、0時間を超えて4時間以下、より好ましくは1〜2時間熟成させる。これを第一熟成と称する。次いで、20℃〜常圧下還流温度の範囲、好ましくは常圧下還流温度で、0時間を超えて15時間以下、より好ましくは4〜12時間熟成させる。これを第二熟成と称する。このように温度を変化させると、第一熟成では副反応を抑制しつつ、仕込んだ酸の大部分を反応させることにより酸及びアルコール類の消費量を抑えるとともに、ヒドロキシル基のアルコキシル化や二量体の生成を抑え、収率を向上させ、第二熟成で反応温度を高めることにより反応時間を短縮することができ、収率を向上させ、反応時間を短縮できる。なお、本発明では、目的物の形成にしたがってスラリーが形成されるため、第一熟成および第二熟成に亘って反応液を撹拌することが好ましい。本発明では、反応液に有機溶媒、水およびアルコール類を含み、液量が多いため、撹拌も容易である。
本発明で使用するシアノヒドリン化合物は、上記したものであればその製造方法などは問わないが、下記式(3)で示されるアルデヒドとHCNとの反応生成物である場合に、好適である。なお、下記式(3)において、Rは、前記2−ヒドロキシエステル化合物に記載したものと同様である。
Figure 2007018221
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基である。
シアノヒドリン化合物は、アルデヒドまたはケトンのカルボニル基に青酸を付加することによって製造することができ、反応液には5.0〜60.0質量%の濃度で目的のシアノヒドリン化合物が含まれる。本発明では、この反応液をそのままシアノヒドリン化合物として使用することができる。未反応の青酸が存在すると、青酸は本発明の2−ヒドロキシエステル化合物の製造工程において下記に示すようにギ酸アルキルと塩化アンモニウムとに変化する。
Figure 2007018221
式中、Rは炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。
一方、微量残存する青酸は、副生する塩化ナトリウムの処理の際に廃水から除去することができる。具体的には、微量の青酸を含んだ廃水の処理を行う場合に、強塩基物質として水酸化ナトリウムを酸に対して当量以上仕込み中和を行ってpH13以上にする。蒸留などによって含まれるアンモニアを除去する。次いで、このアルカリ溶液に塩素または次亜塩素酸ナトリウムを添加する。アルカリ処理によって青酸はNaCNとなり、次亜塩素酸ナトリウムの酸化力により窒素と二酸化炭素とに分解する。アルカリ溶液に塩素または次亜塩素酸ナトリウムを添加し、アルカリ処理によって青酸を分解する方法を、アルカリ塩素法という。アルカリ塩素法に先立ちアンモニアを除去するのは、含まれるアンモニアが酸化されると次亜塩素酸ナトリウムが無駄に消費されるからである。アルカリ塩素法の反応式を以下に示す。
Figure 2007018221
例えば、本発明において、硫酸に代えて塩化水素を使用する場合は、このような未反応の青酸を含む場合に特に優れる。すなわち、上記のようにアルカリ処理を行なう場合には含まれる酸を中和し更にアルカリ溶液にするために水酸化ナトリウムなどを使用する。この際、硫酸を中和するための水酸化ナトリウムの使用量は、塩酸を中和する場合と比較して2倍の量が必要となる。廃水処理を行う場合、配管等の閉塞を避け結晶の析出を防ぐ必要があるため中和で生成するナトリウム塩を溶解する必要があるが、硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムの10℃における水に対する溶解度は、硫酸ナトリウムは8.26質量%であり塩化ナトリウムは26.31質量%であり、塩化ナトリウムは硫酸ナトリウムの3.2倍の溶解度をもつ。塩化ナトリウムに比較して硫酸ナトリウムの分子量は2.4倍であるから、硫酸を使用した場合の廃水量と塩酸を使用した場合の排水量とを比較すると、前者は後者の8.3倍の廃水量となる。したがって、特にシアノヒドリン化合物を青酸を原料に使用して調製し、シアノヒドリン化合物反応液に微量の青酸が残存する場合には、特に2−ヒドロキシエステル化合物の製造工程に塩化水素を使用することで、2−ヒドロキシエステル化合物の反応系から排出される塩化アンモニウムを含む廃液の処理と同時に残存する青酸を分別でき、かつ処理すべき廃液量を低減することができる。
(2)アルコール留去工程
本発明の第一は、上述の(1)のように、2−ヒドロキシエステル化合物を効率的に製造する方法を提供するが、その後、さらに以下(2)〜(5)の工程を加えることによって、2−ヒドロキシエステル化合物を精製し、同時に反応液を次の製造サイクルで再利用する一連の製造方法が提供される。
すなわち、本発明の第二は、一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒、および水の混合物に酸を導入する第1工程、
前記第1工程で得た反応液からアルコール類を除去する第2工程、
前記第2工程で得た残留反応液に水を添加して有機溶媒層と水層とに分離させる第3工程、および
前記第3工程で得た有機溶媒層から2−ヒドロキシエステル化合物を回収する第4工程、を有することを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法:
Figure 2007018221
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基であり、Rは炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。
第1工程は、本発明の第一と同様であるため、ここでは説明を省略する。有機溶媒は、反応に不活性であり、水に対する溶解度が8質量%以下である有機溶媒が好ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの炭素数6〜12である芳香族炭化水素、炭素数6〜18である脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル類、およびクロロホルム、塩化メチレンなどの塩素系炭化水素のいずれか1種以上であることが好ましい。より好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、炭素数6〜18の飽和脂肪族炭化水素および塩化メチレンである。特に、2−ヒドロキシエステル化合物の溶解能が高く、かつ水への溶解度が低いこと、さらに回収が容易であること、不活性であることから、トルエンを用いることが好ましい。
第2工程では、前記2−ヒドロキシエステル化合物およびアンモニウム塩を含有する反応液からアルコール類を留去する。予め、有機溶媒に含まれるアルコール類を除去することで、2−ヒドロキシエステル化合物の回収工程において、有機溶媒から2−ヒドロキシエステル化合物を高純度で製造することができる。
アルコール留去は、反応液を蒸留する際に、アルコール類が留去できる条件で蒸留を行なえばよく、一般には、留去温度は、好ましくは60〜130℃、より好ましくは60〜100℃、特に好ましくは70〜90℃である。反応液に含まれるアルコール類は、上記温度範囲で反応液から留出させることができる。130℃を超えると、反応液に含まれる2−ヒドロキシエステル化合物が存在する水やアンモニウム塩の作用によって分解する場合があり不利であり、一方、60℃未満で蒸留するには過度の減圧条件が必要となる。なお、圧力は、上記アルコール類が蒸留できる圧力であれば、公知の範囲でよい。
なお、アルコール留去工程で留去したアルコール類は、2−ヒドロキシエステル化合物の製造原料として使用することもできる。アルコール留去工程で得た回収アルコールに、アルコール類より低沸点であるギ酸アルキルを多く含む場合は、ギ酸アルキルを留去した後に、アルコール類を分留すればよい。
(3)二層分離工程
本工程では、アルコール留去後の反応液に水を加えて有機溶媒層と水層とに分離させる。反応液に含まれるアンモニウム塩を固液分離しただけでは、有機溶媒にアンモニウム塩が溶解することを防止できないが、水を添加した後に有機溶媒層と水層とに二層分離すると、効率的に有機溶媒に含まれるアンモニウム塩濃度を低減させることができる。なお、有機溶媒層には、2−ヒドロキシエステル化合物が主として溶解し、水層には主としてアンモニウム塩、シアノヒドリン化合物が溶解する。一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物においてRの炭素数が1〜5、Rの炭素数が1〜3である場合、該2−ヒドロキシエステル化合物は水に対する溶解度が高く、該2−ヒドロキシエステル化合物の一部または全部も水層に溶解する。
反応液に含まれるアンモニウム塩は、有機溶媒に不溶であるためスラリー状で存在するが、水を添加することで水にアンモニウム塩を溶解させ、有機溶媒からアンモニウム塩を除去する。したがって、添加する水の量は、含まれるアンモニウム塩が溶解するに足る量であることが必要であり、かつ有機溶媒との二層分離が可能な量となる。好ましくは、塩化アンモニウムの2.6〜5.0質量倍、より好ましくは2.6〜3.0質量倍、特に好ましくは2.6〜2.8質量倍である。2−ヒドロキシエステル化合物は水にも溶解する場合があり、添加する水の量が5.0質量倍を超えると、2−ヒドロキシエステル化合物の回収率が低下する場合がある。一方、2.6質量倍を下回るとアンモニウム塩が完全に溶解せず、分液操作の障害になる。
アルコール留去後の反応液は、蒸留直後は蒸留時温度と同じ高温を示すため、好ましくは温度が70℃以下、より好ましくは40℃以下となったら水を添加する。70℃を上回る状態で水を添加すると、2−ヒドロキシエステル化合物が温度の作用で水によって加水分解を受ける場合がある。なお、添加する水の温度に制限はないが、好ましくは0〜40℃、より好ましくは20〜40℃である。添加水の温度が40℃を超えた場合には、反応液のpHによるが、2−ヒドロキシエステル化合物が水によって加水分解を受ける場合がある。一方、0℃を下回るとアンモニウム塩の溶解性が低下する場合がある。
また、水を添加後、釜内液の中和を行ってもよい。釜内液のpHは、好ましくは3〜9、より好ましくは5〜8、特に好ましくは6.5〜7.5である。pHが9を超える場合は、室温でも加水分解が起こりうる。pHが3未満の場合は、有機溶媒層から2−ヒドロキシエステル化合物を回収する第4工程で加熱する際に分解が速くなる場合がある。なお、本発明におけるpHとは、温度25℃におけるpHをいうものとする。
(4)有機溶媒層からの2−ヒドロキシエステル化合物回収工程
本発明では、上記工程で得た二層分離後の有機溶媒層を蒸留して、2−ヒドロキシエステル化合物を製造する。該有機溶媒層は、上記工程によって、水やアンモニウム塩の含有量が極めて低減されたものであるため、有機溶媒層を2−ヒドロキシエステル化合物の蒸留温度に加熱しても、これらによって加水分解されることがなく、高い収率で2−ヒドロキシエステル化合物を製造することができる。
(5)水層からの2−ヒドロキシエステル化合物回収工程
上記二層分離工程で分離した水層にはアンモニウム塩が含まれるが、2−ヒドロキシエステル化合物も含まれる場合がある。本工程では、水層のpHが3〜8であることを確認し、および/またはpH3〜8に調整した後に、該水層を蒸留して水と2−ヒドロキシエステル化合物とを蒸留回収する。
この水層に2−ヒドロキシエステル化合物が含まれている場合、水層をそのまま廃棄すると収率を低下させる。一方、これを蒸留して回収すると2−ヒドロキシエステル化合物は加熱による加水分解を受けやすく、回収効率が低下する。特に、2−ヒドロキシエステル化合物の製造工程では、加水分解のために酸を反応系に添加することが多く、このため得られた水層は強酸性を示す場合があり、水層の加温によって加水分解しやすい。しかしながら、水層のpHを3〜8に調整すると、加熱条件下でも2−ヒドロキシエステル化合物の分解を回避できることを見出した。水層のpHは、より好ましくは4.0〜7.0、特に好ましくは5.0〜6.0である。なお、該水層のpHの調整は、蒸留前に行なわれれば時期に制限はなく、例えば、前記した二層分離工程において、アルコール留去前の反応液に水酸化ナトリウムなどを添加してpHを3〜8に調整してもよく、アルコール留去後の反応液に水を添加する際、または反応液に水を添加する前にpHを3〜8に調整してもよい。これによって、結果として二層分離の水層をpH3〜8に調整することができる。pHの調整には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、酢酸ナトリウムなどの有機酸塩、リン酸塩などを使用することができる。なお、水層の液性が何等の調整なしにpH3〜8を示す場合には、そのまま蒸留すればよい。
本発明の第二では、該水層から水と2−ヒドロキシエステル化合物とを蒸留回収する。2−ヒドロキシエステル化合物を単独で回収してもよいが、2−ヒドロキシエステル化合物が水と共沸組成を形成する場合には、両者を共沸蒸留して回収する。この場合の蒸留条件は、2−ヒドロキシエステル化合物の加水分解を回避でき、かつ水と2−ヒドロキシエステル化合物とが共沸できる条件であることが好ましく、例えば、温度10℃〜100℃、より好ましくは20〜90℃、特に好ましくは30℃〜80℃で蒸留する。また、圧力は常圧以下で、好ましくは1.2kPa〜101.3kPa、より好ましくは2.3kPa〜70.1kPa、特に好ましくは4.2kPa〜47.4kPaの範囲で行う。なお、本発明で、上記(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物において、特にRおよびRがメチルまたはエチルの場合は、これらの化合物の水溶性が高くなり、かつ水との共沸組成を形成しやすい。
なお、留出物を次の製造プロセスにおいて、有機溶媒層と水層との分離工程における添加水として再使用すると、2−ヒドロキシエステル化合物も廃棄されず製造プロセスで再利用されるため、収率を向上させることができる。留去工程で得た留出液に、留出液より低沸点であるアルコール類を多く含む場合は、アルコール類を留去した後に、2−ヒドロキシエステル化合物と水との共沸物を分留すればよい。
本発明によれば、上記式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物を、アンモニウム塩、アルコール類、2−ヒドロキシエステル化合物等を含有する反応液スラリーから効率的かつ簡便にアンモニウム塩から分離でき、主として2−ヒドロキシエステル化合物を溶解する有機溶媒を得たのちにこれを蒸留すると、容易に目的物を製造することができる。
また、2−ヒドロキシエステル化合物と水とを含む水層を蒸留すると、両者が共沸されるため、次の2−ヒドロキシエステル化合物の製造プロセスで再使用すると、収率を向上させることができる。
本発明の製造方法は、2−ヒドロキシエステル化合物の反応工程にかかわらず適用することができ、特に有機溶媒を含む反応液を調製し、これに水を添加すれば、容易に水層にアンモニウム塩を溶解させることができため、応用範囲が広い。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(参考例1)
撹拌機、温度計、還流器を備えた300ml容ガラス製4つ口フラスコに、n−プロピルアルデヒド120.0g(2.07mol)およびトリエチルアミンを仕込み、恒温水槽により15℃に調温した。フラスコ内液を15℃に維持しながら青酸56.0g(2.07mol)を1時間かけて滴下した。滴下後は15℃で1時間熟成を行った。これにより、2−ヒドロキシブチロニトリルを97.7質量%含有する2−ヒドロキシブチロニトリル反応液を得た。
(参考例2)
n−プロピルアルデヒドに代えて、n−ブチルアルデヒドを同モル使用する以外は、参考例1と同様にして、2−ヒドロキシバレロニトリルを98.6質量%含有する2−ヒドロキシバレロニトリル反応液を得た。
(参考例3)
n−プロピルアルデヒドに代えて、n−ペンチルアルデヒドを同モル使用する以外は、参考例1と同様にして、2−ヒドロキシヘキシロニトリルを98.6質量%含有する2−ヒドロキシヘキシロニトリル反応液を得た。
(参考例4)
n−プロピルアルデヒドに代えて、m−アニスアルデヒドを同モル使用する以外は、参考例1と同様にして、m−メトキシマンデロニトリルを99.12質量%含有するm−メトキシマンデロニトリル反応液を得た。
(参考例5)
撹拌機、温度計、還流器を備えた500ml容ガラス製4つ口フラスコに、n−プロピルアルデヒド290.4g(5.00mol)およびトリエチルアミンを仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度15℃に調温した。フラスコ内液の温度を15℃に維持しながら青酸141.0g(5.22mol)を滴下した。滴下後、15℃にて1時間熟成を行った。これにより、2−ヒドロキシブチロニトリルを97.7質量%含有する2−ヒドロキシブチロニトリル反応液を得た。
(参考例6)
撹拌機、温度計、還流器を備えた500ml容ガラス製4つ口フラスコに、フルフラール384.3g(4.00mol)およびトリエチルアミンを仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度15℃に調温した。フラスコ内液の温度を15℃に維持しながら青酸112.8g(4.17mol)を滴下した。滴下後、15℃にて1時間熟成を行った。これにより、2−ヒドロキシ−2−フランアセトニトリルを97.7質量%含有する2−ヒドロキシ−2−フランアセトニトリル反応液を得た。
(実施例1)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコに、トルエン206.4g、メタノール206.9g(6.46mol)、水40.7g(2.26mol)、及び参考例1で得た2−ヒドロキシブチロニトリル反応液180.4g(2−ヒドロキシブチロニトリル2.07mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しつつ塩化水素86.3g(2.37mol)を吹き込んだ。その後、40℃にて1時間熟成した。次いで、フラスコ内液還流温度で5時間熟成を行った。TCDを検出器としたガスクロマトグラフィーを用いてフラスコ内液の分析を行なったところ、生成物は2−ヒドロキシブタン酸メチルであり、生成量は215.9g(1.83mol)であり、収率は88.3%であった。
(実施例2)
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器を接続した1Lの容器に、トルエン29.5質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル30.7質量%、メタノール20.2質量%、塩化アンモニウム16.5質量%等を含むエステル化反応液600gを仕込んだ。容器内液を加熱し、容器内温度が90℃に達するまで単蒸留にてメタノールを留去した。
その後、容器内液を40℃まで冷却し、水314gおよび水酸化ナトリウム4.2gを添加した。これによって、容器内液水層のpHを7.1に調整し、かつ含まれる塩化アンモニウムを水に溶解させた。
続いて分液操作を行い、トルエン39.7質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル38.6質量%を含む有機層352gと、2−ヒドロキシブタン酸メチル9.5質量%等を含む水層491gとを得た。
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器と真空ポンプに接続した配管を有する1Lの容器に上述の二層分離工程で得た水層を全量仕込んだ。仕込んだ水層のpHを確認したところ、pH6.5であった。次いで、36%塩酸水溶液にてpHを5.1に調整した。pH調整後、蒸留系内を26.7kPaに減圧して容器内液を加熱し、水と2−ヒドロキシブタン酸メチルとを回収した。この工程で2−ヒドロキシブタン酸メチル16.5質量%を含む留出液266gを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの回収率は94.2%、対原料の収率は20.9%であった。
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器と真空ポンプに接続した配管を有する500mLの容器に上述の二層分離工程で得た有機層を全量仕込み、蒸留系内を26.7kPaに減圧した。容器内液を加熱しトルエンを蒸留回収した。その後一旦冷却し、蒸留系内を2.7kPaに減圧した。容器内液を加熱し蒸留にて2−ヒドロキシブタン酸メチル107.6gを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの収率は51.3%であった。分離した水層と有機層を各々蒸留して得た2−ヒドロキシブタン酸メチルの合計収率は72.2%であった。
(実施例3)
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器に接続した配管を有する10Lの容器に、トルエン29.5質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル30.7質量%、メタノール20.2質量%、塩化アンモニウム16.5質量%等を含むエステル化反応液6304gを仕込んだ。容器内液を加熱し、容器内温度が90℃に達するまで単蒸留にてメタノールを留去した。
その後、容器内液を40℃まで冷却し、水3357gを添加し、含まれる塩化アンモニウムを水に溶解させた。
続いて分液操作を行い、トルエン57.3質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル32.5質量%を含む有機層3214gと、2−ヒドロキシブタン酸メチル9.6質量%等を含む水層5743gとを得た。
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器と真空ポンプに接続した配管を有する10Lの容器に上述の二層分離工程で得た水層を全量仕込んだ。仕込んだ水層のpHを確認したところ、pH6.5であった。次いで、36%塩酸水溶液にてpHを5.4に調整した。pH調整後、蒸留系内を26.7kPaに減圧し、容器内液を加熱し、水と2−ヒドロキシブタン酸メチルとを回収した。この工程で2−ヒドロキシブタン酸メチル13.6質量%を含む留出液3722gを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの回収率は91.8%、対原料の収率は27.4%であった。
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器と真空ポンプに接続した配管を有する6Lの容器に上述の二層分離工程で得た有機層を全量仕込んだ。そこへ20%水酸化ナトリウム水溶液31gを添加し、容器内液水層のpHを6.8に調整した。続いて分液操作を行い、水層を系外に取り出した。蒸留系内を26.7kPaに減圧した。容器内液を加熱しトルエンを蒸留回収した。その後一旦冷却し、蒸留系内を2.7kPaに減圧した。容器内液を加熱し蒸留にて2−ヒドロキシブタン酸メチルを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの収率は46.0%であった。分離した水層と有機層を各々蒸留して得た2−ヒドロキシブタン酸メチルの合計収率は73.4%であった。
(実施例4)
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器に接続した配管を有する1Lの容器に、トルエン29.2質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル30.0質量%、メタノール19.8質量%、塩化アンモニウム16.1質量%等を含むエステル化反応液514.3gを入れた。容器内液を加熱し、容器内温度が90℃に達するまで単蒸留してメタノールを留去した。
その後、容器内液を40℃まで冷却し、水237gおよび水酸化ナトリウム3.6gを添加した。これによって、容器内液水層のpHを5.3に調整し、かつ含まれる塩化アンモニウムを水に溶解させた。
続いて分液操作を行い、トルエン38.9質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル55.4質量%を含む有機層180.0gと、2−ヒドロキシブタン酸メチル13.7質量%(53.1g)を含む水層388.2gとを得た。
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器と真空ポンプに接続した配管を有する300mLの容器に上述の二層分離工程で得た有機層を全量仕込み、蒸留系内を26.7kPaに減圧した。容器内液を加熱しトルエンを蒸留回収した。その後一旦冷却し、蒸留系内を2.7kPaに減圧した。容器内液を加熱し蒸留にて2−ヒドロキシブタン酸メチル83.8gを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの収率は47.8%であった。
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器と真空ポンプに接続した配管を有する500mLの容器に上述の二層分離工程で得た水層を全量仕込んだ。仕込んだ水層のpHを確認したところ、pH5.2であった。pH調整はせずに蒸留工程に進んだ。蒸留系内を26.7kPaに減圧した。容器内液を加熱し水と2−ヒドロキシブタン酸メチルとを蒸留回収した。この工程で2−ヒドロキシブタン酸メチル24.2質量%(48.9g)を含む留出液202.0gを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの回収率は92.1%、対原料の収率は27.9%であった。残りの7.9%は、熱分解と考えられる。分離した水層と有機層を各々蒸留して得た2−ヒドロキシブタン酸メチルの合計収率は75.7%であった。
(実施例5)
撹拌装置、熱電対温度計、および蒸気凝縮用熱交換器と留出液受け用容器に接続した配管を有する1Lの容器にトルエン29.3質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル29.5質量%、メタノール19.0質量%、塩化アンモニウム16.2質量%等を含むエステル化反応液515.8gを仕込んだ。容器内液を加熱し、容器内温度が90℃に達するまで単蒸留によってメタノールを留去した。
その後、容器内液を40℃まで冷却した。
実施例4の二層分離後の水層を蒸留して得た2−ヒドロキシブタン酸メチルと水とを含む留出液190.5g、水130g、トルエン74.5gおよび水酸化ナトリウム2.5gを容器内に投入し、塩化アンモニウムを水に溶解させるとともに容器内液水層のpHを5.3に調整した。続いて、分液操作を行い、トルエン48.1質量%、2−ヒドロキシブタン酸メチル44.6質量%を含む有機層306.9g、及び2−ヒドロキシブタン酸メチル15.2質量%(63.1g)を含む水層414.4gを得た。上記工程による2−ヒドロキシブタン酸メチルの回収率は94.6%であった。上記有機層を実施例4と同様の方法で得た2−ヒドロキシブタン酸メチルの合計収率は76.1%であった。
(実施例6)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコにトルエン202.5g、エタノール265.5g(5.76mol)、水36.3g(2.01mol)、および参考例2で得た2−ヒドロキシバレロニトリル反応液186.1g(2−ヒドロキシバレロニトリル1.85mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しつつ塩化水素76.9g(2.11mol)を吹き込んだ。その後、40℃にて1時間熟成しさらにフラスコ内液還流温度で12時間熟成を行った。次いで、TCDを検出器としたガスクロマトグラフィーを用いてフラスコ内液の分析を行なったところ、生成物は2−ヒドロキシ吉草酸エチルであり、生成量は234.5g(1.60mol)であり、収率は86.7%であった。
(実施例7)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコにトルエン180.0g、メタノール186.6g(5.82mol)、水33.2g(1.84mol)、参考例3で得た2−ヒドロキシヘキシロニトリル反応液213.5g(2−ヒドロキシヘキシロニトリル1.86mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しつつ塩化水素85.0g(2.33mol)を吹き込んだ。その後、40℃にて1時間熟成しさらにフラスコ内液還流温度で12時間熟成を行った。TCDを検出器としたガスクロマトグラフィーを用いてフラスコ内液の分析を行なったところ、生成物は2−ヒドロキシヘキシル酸メチルであり、生成量は236.8g(1.62mol)であり、収率は87.1%であった。
(実施例8)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコにトルエン228.1g、メタノール219.1g(6.84mol)、水39.0g(2.17mol)、および参考例4で得たm−メトキシマンデロニトリル反応液359.7g(m−メトキシマンデロニトリル1.85mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しつつ塩化水素99.7g(2.72mol)を吹き込んだ。その後、40℃にて1時間熟成しさらにフラスコ内液還流温度で9時間熟成を行った。TCDを検出器としたガスクロマトグラフィーを用いてフラスコ内液の分析をしたところ、生成物はm−メトキシマンデル酸メチルであり、生成量は283.5g(1.44mol)であり、収率は78.1%であった。
(実施例9)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコに、トルエン207.0g、メタノール331.6g(10.35mol)、及び参考例5で得た2−ヒドロキシブチロニトリル反応液を174.8g(2−ヒドロキシブチロニトリル2.01mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しながら36%塩酸水溶液229.5g(塩化水素2.27mol)を2時間かけて滴下した。滴下後、40℃にて1時間熟成を行い、その後、昇温して還流温度で5時間熟成を行った。熟成後、反応液を濾過し、副生成した結晶を取り除いた。結晶中に含まれる目的物は、トルエン230gで結晶を洗浄し、濾液に回収した。2層に分離した濾液を分液し、それぞれガスクロマトグラフィーを用いて分析を行ったところ、生成物は2−ヒドロキシブタン酸メチルであり、2層に含まれる合計の生成量は124.7g(1.056mol)であり、収率は52.8%であった。
(実施例10)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコに、トルエン207.0g、メタノール199.0g(6.21mol)、水38.4g(2.13mol)、及び参考例6で得た2−ヒドロキシ−2−フランアセトニトリル反応液を248.6g(2−ヒドロキシ−2−フランアセトニトリル1.98mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しながら塩化水素82.7g(2.27mol)を吹き込んだ。吹込み後、40℃にて1時間熟成を行い、その後、昇温して還流温度で5時間熟成を行った。熟成後、ガスクロマトグラフィーを用いて反応液の分析を行ったところ、生成物は2−ヒドロキシ−2−フラン酢酸メチルであり、生成量は87.4g(0.56mol)であり、収率は28.3%であった。
(実施例11)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコに、トルエン207.0g、メタノール199.0g(6.21mol)、水29.2g(1.621mol)、及び参考例5で得た2−ヒドロキシブチロニトリル反応液を174.8g(2−ヒドロキシブチロニトリル2.01mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度40℃に調温した。フラスコ内液の温度を40℃に維持しながら96%硫酸231.5g(2.27mol)を滴下した。滴下後、40℃にて1時間熟成を行い、その後、昇温して還流温度で5時間熟成を行った。熟成後、ガスクロマトグラフィーを用いて反応液の分析を行ったところ、生成物は2−ヒドロキシブタン酸メチルであり、生成量は162.3g(1.374mol)であり、収率は68.4%であった。
(比較例1)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコに無水メタノール370.9g(11.58mol)、2−ヒドロキシブチロニトリル反応液180.4g(2−ヒドロキシブチロニトリル2.07mol)を仕込み、恒温水槽内でフラスコ内液を撹拌しながら温度0℃に調温した。フラスコ内液の温度を0℃に維持しつつ塩化水素216.3g(5.93mol)を吹き込んだ。得られた混合物を0℃で2時間撹拌して熟成した。熟成中、イミノエーテル塩酸塩が析出し、濃いスラリー状態となり、撹拌が困難となった。このためフラスコから撹拌機を外し、反応液スラリーを減圧濃縮し、塩化水素を除去した。減圧濃縮時間は6時間を要した。
再びフラスコに撹拌機を取り付け、メタノール520.3g、水37.2g(2.064mol)を仕込み加熱還流を1.5時間行った。反応終了後、反応液スラリーにトルエン(ガスクロマトグラフィーによる2−ヒドロキシブタン酸メチル含有量算定のための内部標準物質として使用)を25.0g加え、TCDを検出器としたガスクロマトグラフィーを用いてフラスコ内上澄み液の分析を行なったところ、2−ヒドロキシブタン酸メチル生成量は、215.5g(1.824mol)であり、収率は88.3%であった。
(比較例2)
撹拌機、温度計、還流器を備えた1リットル容ガラス製4つ口フラスコに96質量%硫酸232.6g(2.28mol)を仕込み、2−ヒドロキシブチロニトリル反応液180.4g(2−ヒドロキシブチロニトリル2.07mol)と水41.0g(2.28mol)の混合液を氷水浴下、50分で滴下した。この混合物を60℃で1時間加熱し、更に70℃で3時間加熱し水和反応を行った。水和反応後、20℃まで冷却し粘ちょうな混合物を得た。この混合物に、メタノール199.0g(6.211mol)を添加して6時間還流した。還流後、冷却を行ったが、反応混合物は18℃で固結し、撹拌不能となった。反応混合物の一部をとり、そこに20%アンモニアメタノール溶液を添加後、TCDを検出器としたガスクロマトグラフィーにより分析した結果、2−ヒドロキシブタン酸メチルの生成を確認した。
本発明は、医農薬、写真薬等の中間体として有用な2−ヒドロキシエステル化合物を簡便に製造することができ、有用である。
本出願は、2005年8月8日に出願された日本国特許出願第2005−229970号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (24)

  1. 一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒および水の混合物に酸を導入することを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法:
    Figure 2007018221
    式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基であり、Rは炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。
  2. 前記アルコール類の添加量が、前記シアノヒドリン化合物1モルに対して1〜5モルである、請求項1に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、反応に不活性であり、水に対する溶解度が8質量%以下の有機溶媒である、請求項1または2に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  4. 前記有機溶媒が、炭素数6〜12である芳香族炭化水素、炭素数6〜18である脂肪族炭化水素、エーテル類、および塩素系炭化水素からなる群から選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  5. 前記水の添加量が、前記シアノヒドリン化合物1モルに対して0.8〜2モルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  6. 前記酸の導入量が、前記シアノヒドリン化合物1モルに対して1.0〜1.5モルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  7. 前記酸の導入が、温度0〜80℃で行なわれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  8. 前記酸が、塩化水素である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  9. 前記一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物が、一般式(3)で示されるアルデヒドとHCNとの反応生成物であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法:
    Figure 2007018221
    式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基である。
  10. 前記混合物に含まれるシアノヒドリン化合物の濃度が、5.0〜60.0質量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  11. 一般式(1)で示される2−ヒドロキシエステル化合物(ただし、2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸エチルは除く)の製造方法であって、一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物、アルコール類、有機溶媒、および水の混合物に酸を導入する第1工程、
    前記第1工程で得た反応液からアルコール類を除去する第2工程、
    前記第2工程で得た残留反応液に水を添加して有機溶媒層と水層とに分離させる第3工程、および
    前記第3工程で得た有機溶媒層から2−ヒドロキシエステル化合物を回収する第4工程、を有することを特徴とする、2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法:
    Figure 2007018221
    式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基であり、Rは炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んでもよいアルキル基である。
  12. 前記第3工程で得た水層を蒸留して2−ヒドロキシエステル化合物と水とを含有する留出液を得る工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  13. 前記第3工程で得た水層のpHを3〜8に調整することを特徴とする、請求項11または12に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  14. 前記留出液を、前記第3工程で添加する水の代わりに使用することを特徴とする、請求項12または13に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  15. 前記アルコール類の添加量が、前記シアノヒドリン化合物1モルに対して1〜5モルである、請求項11〜14のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  16. 前記有機溶媒が、反応に不活性であり、水に対する溶解度が8質量%以下の有機溶媒である、請求項11〜15のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  17. 前記有機溶媒が、炭素数6〜12である芳香族炭化水素、炭素数6〜18である脂肪族炭化水素、エーテル類、および塩素系炭化水素からなる群から選択される1種以上である、請求項11〜16のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  18. 前記水の添加量が、前記シアノヒドリン化合物1モルに対して0.8〜2モルである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  19. 前記酸の導入量が、前記シアノヒドリン化合物1モルに対して1.0〜1.5モルである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  20. 前記酸の導入が、温度0〜80℃で行なわれる、請求項11〜19のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  21. 前記酸が、塩化水素である、請求項11〜20のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  22. 前記一般式(2)で示されるシアノヒドリン化合物が、一般式(3)で示されるアルデヒドとHCNとの反応生成物であることを特徴とする、請求項11〜21のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法:
    Figure 2007018221
    式中、Rは、水素原子、炭素数1〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、または炭素数3〜14であり酸素原子、硫黄原子、もしくは窒素原子を含んでもよい置換もしくは非置換のアリール基もしくはアラルキル基である。
  23. 前記混合物に含まれるシアノヒドリン化合物の濃度が、5.0〜60.0質量%である、請求項11〜22のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
  24. 前記2−ヒドロキシエステル化合物が、2−ヒドロキシブタン酸メチルである、請求項11〜23のいずれか1項に記載の2−ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
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