JPWO2006129435A1 - 脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法および脂肪酸低級アルキルエステルならびに軽油代替燃料 - Google Patents

脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法および脂肪酸低級アルキルエステルならびに軽油代替燃料 Download PDF

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Abstract

本発明は、粗パーム油からガム質を除去し、脱ガム物を得る脱ガム工程(A)と、カチオン交換樹脂を使用して、前記脱ガム物中の遊離脂肪酸を低級アルキルアルコールでエステル化し、エステル混合物を得るエステル化工程(B)と、前記エステル混合物中の油脂を低級アルキルアルコールでエステル交換するエステル交換反応工程(C)と、前記エステル交換反応工程(C)で得られた油相を少なくとも減圧蒸留する蒸留工程(D)とを有する製造方法である。

Description

本発明は、軽油代替燃料に好適に使用される脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法に関する。
本願は、2005年6月3日に出願された特願2005−164269号に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、軽油代替燃料として、動植物に由来する有機物をエネルギー源としたバイオマス燃料が注目されている。軽油は、石油製品の一種で、原油の蒸留に際し燈油と重油の間で留出する部分をいい、沸点範囲がおよそ250〜400℃のものである(「化学大辞典」共立出版(株)、昭和56年10月15日第26刷発行)。
バイオマス燃料の1つとして、天然油脂を原料とし、これをメタノールなどの低級アルキルアルコールでエステル交換反応した脂肪酸低級アルキルエステルがあり、例えば特許文献1および2には、脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法が開示されている。
軽油代替燃料として使用されるこのような脂肪酸低級アルキルエステルは、精製された菜種油や大豆油を原料として製造されたものがほとんどであるが、精製された菜種油や大豆油は高価であるため、最近では、安価な粗パーム油を原料として使用することが検討され始めている。粗パーム油は、炭素数16〜18の脂肪酸の油脂(グリセライド)を主成分とする未精製のものである。
特許第2590538号公報 特許第3046999号公報
しかしながら、粗パーム油は、数質量%程度の遊離脂肪酸を含有している。遊離脂肪酸は、エステル交換反応の際に添加されるアルカリ触媒を消費し、その結果、アルカリセッケンなどの副生物を生じてしまう。このような副生物が最終的に得られる脂肪酸低級アルキルエステルに含まれると、これを軽油代替燃料として使用した場合に、燃料供給ラインや燃料噴射ノズルの目詰まりを引き起こす原因になると推察されるため、エステル交換反応の前には、粗パーム油から遊離脂肪酸を除去する前処理が不可欠と考えられる。ところが、このように遊離脂肪酸を除去すると、その分、原料ベースの製造歩留まりが低下するという問題がある。また、除去された遊離脂肪酸をメチルエステル化し、軽油代替燃料に戻すことで、製造歩留まりを上げることも考えられるが、そのような方法は遊離脂肪酸のメチルエステル化工程が別途必要となり、効率的ではない。
また、粗パーム油は、遊離脂肪酸の他に、カロチン、リン脂質、タンパク質、樹脂状物質などのガム質、さらには、炭素数20の脂肪酸の油脂なども含有する。このような粗パーム油に元々含まれる成分や、エステル交換反応において添加される触媒由来のアルカリ金属、さらに未反応のトリグリセライド、エステル交換の中間体であるモノグリセライド、ジグリセライドなどのグリセライドは、同様に上述した目詰まりの原因となると考えられる。さらに、これらのうちカロチンは、得られる脂肪酸低級アルキルエステルを茶褐色に着色する原因にもなる。よって、このような目詰まりや着色を引き起こす可能性のある物質の量を、低減することも重要な課題である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、着色がなく、軽油代替燃料として使用した際の燃料供給ラインや燃料噴射ノズルの目詰まりが抑制され、安価で高純度な脂肪酸低級アルキルエステルを高い製造歩留まりで効率的に提供することを課題とする。
本発明の脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法は、粗パーム油からガム質を除去し、脱ガム物を得る脱ガム工程(A)と、カチオン交換樹脂を使用して、前記脱ガム物中の遊離脂肪酸を低級アルキルアルコールでエステル化し、エステル混合物を得るエステル化工程(B)と、前記エステル混合物中の油脂を低級アルキルアルコールでエステル交換するエステル交換反応工程(C)と、前記エステル交換反応工程(C)で得られた油相を少なくとも減圧蒸留する蒸留工程(D)とを有することを特徴とする。
前記エステル交換反応工程(C)で生成したセッケンを酸で分解して脂肪酸とし、該脂肪酸を前記脱ガム工程(A)に返送するリサイクル工程(E)を更に有することが好ましい。
本発明の脂肪酸低級アルキルエステルは、前記の製造方法により製造され、脂肪酸低級アルキルエステル純度が99質量%以上であって、かつ、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル含有量が0.3質量%以下であることを特徴とする。
本発明の脂肪酸低級アルキルエステルは、さらにグリセライドの含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
本発明の軽油代替燃料は、本発明の脂肪酸低級アルキルエステルを含有することを特徴とする。
本発明の軽油代替燃料は、さらに酸化防止剤を含むことが好ましい。
本発明によれば、着色がなく、軽油代替燃料として使用した際の燃料供給ラインや燃料噴射ノズルの目詰まりが抑制され、安価で高純度な脂肪酸低級アルキルエステルを高い製造歩留まりで効率的に提供できる。
本発明の製造方法の概略工程図である。 本発明の製造方法のうち、リサイクル工程(E)についての概略工程図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法で原料として使用される粗パーム油とは、アブラヤシの果肉を圧搾して得られ、炭素数16〜18の脂肪酸の油脂を主成分とする未精製の混合物である。粗パーム油には、他に、カロチン、リン脂質、タンパク質、樹脂状物質などのガム質、遊離脂肪酸、炭素数20の脂肪酸の油脂などが含まれる。本発明では、粗パーム油であればどのようなものでも好適に使用できるが、特に遊離脂肪酸含有量が5質量%以下、過酸化物価が5 m equivalent/kg以下の粗パーム油が好ましい。
図1は、本発明の製造方法の一例を示す概略工程図であって、脱ガム工程(A)と遊離脂肪酸のエステル化工程(B)とを行った後、エステル交換反応工程(C)と蒸留工程(D)とを実施する。ここで脱ガム工程(A)とエステル化工程(B)は、粗パーム油から脂肪酸低級アルキルエステルを製造する方法において、前処理として位置づけられるものである。図2は、エステル交換反応工程(C)で生成したセッケンを酸で分解して脂肪酸とし、この脂肪酸を原料の脱ガム工程(A)に返送するリサイクル工程(E)の一例を示す概略工程図である。
[脱ガム工程(A)]
粗パーム油の脱ガム工程(A)の具体的な方法としては特に制限はないが、図示のように、粗パーム油にリン酸を添加し、その後、ろ過することにより、ガム質を含有する不溶物を除去する方法が好ましい。
すなわち、粗パーム油を好ましくは50〜70℃、より好ましくは60〜70℃に加熱し、これにリン酸を添加し、1〜60分間程度混合撹拌する。この際必要に応じて、ろ剤や他の添加剤を添加してもよい。混合撹拌の後、この混合物を、布フィルタなどのフィルタを備えたろ過器でろ過することにより、ガム質を含有する不溶物が除去され、脱ガム物がろ液として得られる。
ここで粗パーム油に添加されるリン酸の量は、粗パーム油100質量部に対して0.01〜0.1質量部が好ましい。このような範囲であると、効果的に脱ガムが進行する。また、リン酸は水溶液の形態で添加されることが好ましく、その場合、リン酸水溶液のリン酸濃度は70質量%以上が好ましく、より好ましくは75〜89質量%である。このような濃度であると、溶媒である水が脱ガム工程(A)よりも後段の工程に悪影響を与えるおそれがなく好適である。
粗パーム油に必要に応じて添加されるろ剤としては、例えば、ケイソウ土、パーライト、アルカリ活性白土等が使用でき、このなかでも、ケイソウ土、パーライト等が好ましく、特に好ましくはパーライトである。ろ剤の添加量は、粗パーム油100質量部に対し、例えば、0.03〜0.15質量部であり、好ましくは0.03〜0.1質量部であり、特に好ましくは0.03〜0.05質量部である。
なお、脱ガム工程(A)では、ろ剤を多めに配合した粗パーム油をフィルタに循環供給して、フィルタの表面にプレコート相を形成させ、ろ過をより円滑に行えるようにしてもよい。その際のろ剤の添加量は、粗パーム油100質量部に対し、通常0.2〜1.0質量部、好ましくは0.2〜0.7質量部、より好ましくは0.2〜0.4質量部である。
また、脱ガム工程(A)の前後や、脱ガム工程(A)中において、粗パーム油から水および夾雑物を除去することが好ましい。夾雑物は、前記ガム質の除去と同じ方法、同じ装置により除去してもよいし、粗パーム油貯蔵タンクでの静置分離またはろ過、遠心分離等の方法で除去することができる。夾雑物としては、土、砂利、ゴミがあり、場合によっては金属分等が含まれることもある。
[エステル化工程(B)]
脱ガム工程(A)の後には、カチオン交換樹脂を使用して脱ガム物中の遊離脂肪酸を低級アルキルアルコールでエステル化し、エステル混合物を得るエステル化工程(B)を行う。
遊離脂肪酸は、粗パーム油中に元々含まれるものであって、このエステル化工程(B)で遊離脂肪酸をエステル化してから、後述のエステル交換反応工程(C)を行うことが、最終的に得られる脂肪酸低級アルキルエステルを軽油代替燃料として使用する場合において非常に重要である。
すなわち、遊離脂肪酸が混入した状態でエステル交換を行った場合、遊離脂肪酸にアルカリ触媒が消費され、エステル交換が進行しないばかりでなく、大量のセッケンが生成することになる。それでも尚、エステル交換を進行させようとすれば、アルカリ触媒が大量に必要になり、油脂のケン化が進行しセッケンの生成量がますます増大する。また、生成したアルカリセッケンなどの副生物は、燃料供給ラインや燃料噴射ノズルの目詰まりを引き起こす原因になると考えられる。
よって、エステル化工程(B)において遊離脂肪酸をあらかじめエステル化しておくことにより、軽油代替燃料として使用した際の目詰まりが抑制された脂肪酸低級アルキルエステルが得られる。また、このようなエステル化工程(B)を行うことにより、エステル交換反応工程(C)での遊離脂肪酸によるアルカリ触媒の消費も抑制できるため、エステル交換反応工程(C)が円滑に進行する。
さらに、このようなエステル化工程(B)は、遊離脂肪酸を系外へ除去するのではなく、脂肪酸低級アルキルエステルに変換するものであるので、原料ベースの製造歩留まりを高く維持することができる。しかも、このようなエステル化工程(B)は、脱ガム工程(A)とエステル交換反応工程(C)との間に組み込まれ、これらの工程と連続的に行われるものであるので、非常に効率的である。系外に除去した遊離脂肪酸を別のラインでエステル化した後、これを最終的に得られる脂肪酸低級アルキルエステルに混合することで、製造歩留まりを維持する方法なども考えられるが、そのような方法は効率的ではない。
また、このエステル化工程(B)では、カチオン交換樹脂を使用してエステル化を行うため、脱ガム工程(A)で得られた脱ガム物をカチオン交換樹脂に接触させる簡単な方法で、連続的にエステル化を進行させることができるうえ、固体触媒を使用する方法や、硫酸を加える方法などの他のエステル化方法に比べて、高いエステル化反応率が達成できる。
さらに、カチオン交換樹脂としては、酸型固形カチオン交換樹脂、酸性ゲル型カチオン交換樹脂などがあるが、特に酸性ゲル型カチオン交換樹脂を使用すると、エステル化反応率がより高まるため好ましい。この理由については明らかではないが次のように推察できる。すなわち、酸型固形カチオン交換樹脂は、エステル化反応で生成した水分が付着または吸着することにより触媒能が低下するが、酸性ゲル型カチオン交換樹脂では、水分を水和水として取り込むことができるため、水分による触媒能の低下が生じないことに起因すると考えられる。
酸性ゲル型カチオン交換樹脂の架橋度は、3〜10%の範囲が好ましい。3%以上であれば、樹脂強度の点で好ましく、10%以下であれば、遊離脂肪酸の除去効率の点から好ましい。架橋度は、さらに好ましくは3〜9%、より好ましくは4〜8%である。なかでも、遊離脂肪酸のエステル化反応率が最も高く、樹脂の機械的強度が十分であることなどから、架橋度4%のものが特に好ましい。
好適に使用できる酸性ゲル型カチオン交換樹脂としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのスルホン化物などが挙げられ、例えば、三菱化学社製のダイヤイオンSK104(商品名、架橋度4%)、同SK106(商品名、架橋度6%)、同SK 1B(商品名、架橋度6%)および同SK110(商品名、架橋度10%)や、ダウケミカル社製ダウエックス(商品名、架橋度4%)、ローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(商品名、架橋度4%)などが挙げられる。
エステル化工程(B)の具体的な方法としては、カチオン交換樹脂が充填されたカラムを用意し、低級アルキルアルコールと脱ガム工程(A)で得られた脱ガム物との混合物をカラムに供給し、通過させる方法が挙げられる。
カラムを通過させる際の条件は、エステル化効率の点から、カラム温度が好ましくは40〜70℃、より好ましくは50〜65℃、さらに好ましくは60〜65℃で、カラム滞留時間が好ましくは60〜480分間、より好ましくは90〜360分間、さらに好ましくは90〜240分間である。
なお、低級アルキルアルコールと脱ガム物との混合物をカラムに供給する前には、前処理として、カチオン交換樹脂をアルコールで洗浄しておくことが好ましい。洗浄のためのアルコールとしては、エステル化反応に使用するものと同じ低級アルキルアルコールを使用することが好ましい。また、このような洗浄は、カラムに通す前後のアルコール中の水分が変化しなくなるまで行うことが好ましい。このように洗浄することにより、カチオン交換樹脂中の水分がアルコールで置換され、遊離脂肪酸のエステル化効率をより高めることができる。具体的には、カチオン交換樹脂の2〜5倍容量のアルコールで洗浄することが好ましい。
低級アルキルアルコールとしては、炭素数4以下のアルコールが使用でき、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、好適には、図示のようにメタノールを使用する。
また、低級アルキルアルコールの添加量は、原料として使用される粗パーム中の脂肪酸分布などにより適宜決定されるが、脱ガム物100質量部に対して、通常5〜30質量部であり、好ましくは10〜28質量部、より好ましくは15〜26質量部である。
また、低級アルキルアルコール中の水分量は低いほど好ましく、例えば1500ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。
[エステル交換反応工程(C)]
このようなエステル化工程(B)の後、得られたエステル混合物中の油脂を、アルカリ触媒の存在下、低級アルキルアルコールでエステル交換し、エステル混合物を得るエステル交換反応工程(C)を行う。ここでエステル交換の対象となる油脂は、主成分として粗パーム油に含まれるものであって、主に炭素数16〜18の脂肪酸の油脂である。
エステル交換反応工程(C)で使用する低級アルキルアルコールとしては、前述のエステル化工程(B)で例示したものを同様に使用でき、好適には、図示のようにメタノールを使用する。低級アルキルアルコールの添加量は、エステル混合物100質量部に対し、例えば、5〜50質量部であり、好ましくは5〜45質量部である。
エステル交換反応工程(C)の温度は、例えば、30〜120℃であり、好ましくは50〜100℃であり、特に好ましくは60〜80℃である。また、エステル交換反応工程(C)の処理時間は適宜設定でき、30〜90分間程度が好適である。
また、エステル交換反応工程(C)には通常触媒が使用され、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒が例示でき、この中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。触媒の添加量は、エステル混合物100質量部に対し、例えば、0.1〜0.4質量部であり、好ましくは0.2〜0.4質量部であり、特に好ましくは0.2〜0.3質量部である。
このようにエステル交換反応工程(C)を行うことにより、脂肪酸低級アルキルエステルを主成分とする油相と、グリセリンを主成分とする相(以下、グリセリン相という。)とが生成する。油相は蒸留工程(D)へと送られ、グリセリン相はリサイクル工程(E)へと送られる。油相とグリセリン相との分離は、静置分離、遠心分離等で行えばよく、静置分離の場合には、30〜70℃で、30〜90分間程度静置すればよい。
また、油相とグリセリン相とを分離する前には、アルカリ触媒を水洗するための水を添加することが好ましい。
エステル交換反応工程(C)は1段で行っても2段以上で行ってもよいが、このエステル交換反応は可逆反応であることから、より高い収率で脂肪酸低級アルキルエステルが得られるように、2段以上とすることが好ましい。より好ましくは、1段目で95〜96%程度の収率まで進行させ、2段目で99%程度の収率まで進行させる2段で行う。また、1段目の後には、脂肪酸低級アルキルエステルを主成分とする油相と、グリセリン相とを分離し、油相のみを2段目に供給する。
このようにエステル交換反応工程(C)を2段で行う場合には、1段目での脂肪酸低級アルキルエステル収率に応じて、2段目の低級アルキルアルコール添加量、処理温度や処理時間、触媒添加量などの条件を1段目よりも緩やかに設定すればよいが、好適には、1段目では、エステル混合物100質量部に対して低級アルキルアルコール添加量を10〜50質量部、触媒添加量を0.2〜0.4質量部、処理温度を60〜80℃、処理時間を30〜90分間とし、2段目では、2段目に供給された油相100質量部に対して低級アルキルアルコール添加量を1〜10質量部、触媒添加量を0.01〜0.1質量部、処理温度を50〜70℃、処理時間を1〜15分間とする。
[蒸留工程(D)]
蒸留工程(D)は、エステル交換反応工程(C)で得られた油相を蒸留する工程であるが、この工程を少なくとも減圧蒸留を含むものとすることにより、油相に含まれるモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどの未反応のグリセライド、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル、アルカリセッケンなどのアルカリ金属に由来した成分、さらにカロチンの分解物などを残留物として塔底に残し、かつ、目的物である脂肪酸低級アルキルエステルを留出液として高純度で得ることができる。
残留物に含まれる各成分は、燃料供給ラインや燃料噴射ノズルの目詰まりを引き起こす原因になると考えられるため、このような蒸留工程(D)後には、目詰まりの可能性が低く抑えられ、軽油代替燃料に好適に使用される脂肪酸低級アルキルエステルが得られる。
特に、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステルは融点が高く(例えば、アラキン酸メチルでは55℃)、これが不純物として存在すると、目詰まりの問題を引き起こしやすい。この理由は明らかではないが、粗パーム油は菜種油、大豆油などの高度不飽和油とは異なり、高融点の飽和脂肪酸を多く含むものであるため、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステルが存在すると、これが結晶核となって固体状の結晶の生成が促進され、目詰まりを誘発するためと考えられる。
このような蒸留工程(D)後に得られる脂肪酸低級アルキルエステルは、脂肪酸低級アルキルエステル純度が99質量%以上となるうえ、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル含有量が0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下となり、さらに、同様に目詰まりの原因になると考えられるモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどのグリセライドのトータルの含有量が0.1質量%以下になるため、軽油代替燃料への使用に好適である。
また、このような蒸留工程(D)は、粗パーム油が高度不飽和油ではなく、飽和脂肪酸を多く含むものであるからこそ有効なものである。すなわち、仮に高度不飽和油を減圧蒸留すると、高度不飽和油中に多く含まれる不飽和物の重合が進行し、得られる脂肪酸低級アルキルエステルの品質に無視できない影響を与えるおそれがあるが、粗パーム油ではこのようなおそれがほとんどない。
さらに、このような蒸留工程(D)によれば、粗パーム油に元々含まれるカロチンを分解し、分解物として塔底の残留物に残すことができるため、カロチンを除去する工程を別途行わなくても、カロチンに由来する茶褐色の着色のない無色透明の脂肪酸低級アルキルエステルを得ることができる。
蒸留工程(D)の方法としては、常圧蒸留と減圧蒸留とを組み合わせた方法が好適であり、特に、低級アルキルアルコール(図示例ではメタノール)と水とを留出液として除去する常圧のフラッシュ蒸留工程と、グリセリンを留出液として除去する第1の減圧蒸留工程と、目的物である脂肪酸低級アルキルエステルを留出液として得るとともに、カロチンを分解し、その分解物や、グリセライド、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル、アルカリセッケンなどのアルカリ金属に由来した成分などを残留物として塔底に残す第2の減圧蒸留とを順次行う方法が挙げられる。
フラッシュ蒸留工程は、通常120〜170℃で行い、第1の減圧蒸留工程は通常150〜190℃、0.5〜3KPa、好ましくは160〜180℃、0.5〜2KPaで行う。なお、第1の減圧蒸留工程では、グリセリンに同伴されて炭素数12や14の脂肪酸に由来する低級アルキルエステルも留出除去される場合があるが、これを目的物である脂肪酸低級アルキルエステルに戻すことにより、原料ベースの製造歩留まりを高く維持できる。
また、カロチンの分解温度は約200℃であるので、第2の減圧蒸留工程は、通常180〜250℃、0.1〜3KPa、好ましくは190〜230℃、0.6〜2KPaで行う。
[リサイクル工程(E)]
リサイクル工程(E)は、エステル交換反応工程(C)で生成したグリセリン相中のセッケンを、酸で分解して脂肪酸とし、この脂肪酸を脱ガム工程、好ましくは、原料の粗パーム油貯蔵タンクに返送する工程である。このようなリサイクル工程(E)により、一層、製造歩留まりを高めることができる。グリセリン相中には、グリセリン、セッケンの他、通常、低級アルキルアルコール(図示例ではメタノール)、アルカリ触媒、水などが存在している。
リサイクル工程(E)の方法としては、エステル交換反応工程(C)で副生物として生成したセッケンを、酸で分解して脂肪酸とし、脱ガム工程(A)に戻せるものであれば制限はないが、具体的には次の方法が好ましい。
まず、エステル交換反応工程(C)で生成したグリセリン相から低級アルキルアルコールを分離除去せずに、そのままのグリセリン相に硫酸などの酸を添加し、その後これを短時間、具体的には60分間撹拌混合して、脂肪酸や硫酸ナトリウムを含む混合物を生成させる。ついで、この混合物から硫酸ナトリウムを除去し、さらに、一部の低級アルキルアルコールやグリセリン、水を除去して得られた混合物(脂肪酸と低級アルキルアルコールを含む)に水を添加して、脂肪酸を主成分とする相と、水、低級アルキルアルコール、グリセリンを含む相とに分離する。そして、脂肪酸を主成分とする相を脱ガム工程(A)、好ましくは、原料の粗パーム油貯蔵タンクに返送する。一方、水、低級アルキルアルコール、グリセリンを含む相については、フラッシュ蒸留により水、低級アルキルアルコールを留除し、粗グリセリンを残留物として得る。また、フラッシュ蒸留で留出した水、低級アルキルアルコールは、ついで、低級アルキルアルコール精留塔に導入し、低級アルキルアルコールを留出液として回収するとともに、廃水を残留物として除去する。
なお、エステル交換反応工程(C)を2段以上で行った場合、各段の終了ごとにグリセリン相を分離回収して、これらを全てこのリサイクル工程(E)に供することが好ましい。
グリセリン相に添加する酸としては、硫酸以外に、塩酸、リン酸など他の酸を使用してもよい。また、その際の温度条件は、好ましくは70℃以下、より好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは40〜60℃とする。酸の添加量は、添加後の液が酸性となる量に調整すればよいが、好ましくはpHが2〜6となるように、より好ましくはpHが3〜5となるように調整する。
さらに、フラッシュ蒸留工程は通常120〜200℃とし、低級アルコールを精留する工程は通常60〜120℃とする。
このようにグリセリン相から低級アルキルアルコールを分離除去せずに酸を添加する方法によれば、低温かつ短時間で酸分解することができる。
[脂肪酸低級アルキルエステルおよび軽油代替燃料]
以上説明したように、脱ガム工程(A)と、エステル化工程(B)と、エステル交換反応工程(C)と、蒸留工程(D)とを有する製造方法によれば、未精製の安価な粗パーム油を原料としているので低コストであり、軽油代替燃料として使用した際に目詰まりの原因となる物質や、着色の原因となる物質の排除を連続的、効率的に行うことができ、しかも、高い製造歩留まりで脂肪酸低級アルキルエステルを製造することができる。
具体的には、粗パーム油という未精製のものを原料としているにもかかわらず、製造された脂肪酸低級アルキルエステルは、その純度が99質量%以上で、かつ、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル含有量が0.3質量%以下、さらに、トータルのグリセライドの含有量が0.1質量%以下であり、軽油代替燃料のEU規格に十分に合致するものである。
このように粗パーム油を原料として得られた脂肪酸低級アルキルエステルは、そのままでも、例えば、自動車、船舶、農業機械、建設機械、発電、暖房などのあらゆる用途の軽油代替燃料として使用できるが、酸化防止剤としても作用するカロチンを実質的に含まないものであるので、空気中の酸素による酸化が原因となって、粘度や密度などの物性変化や重合による層分離などが起こらないように、酸化防止剤を適量添加して軽油代替燃料として使用するすることが好ましい。
酸化防止剤としては、トコフェロール、没食子酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、t−ブチルヒドロキノン(TBHQ)などが好適に使用でき、これらを通常1〜500ppm、好ましくは10〜100ppmとなるように添加する。
また、粗パーム油から製造された脂肪酸低級アルキルエステルには、必要に応じて、他の原料から得られた脂肪酸アルキルエステルなどや軽油を混合して、軽油代替燃料として使用してもよい。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
以下の工程により、粗パーム油から脂肪酸メチルエステルを製造した。
(1)脱ガム工程(A)
65℃に加熱した粗パーム油100質量部に対して、75質量%のリン酸水溶液0.04質量部と、ろ剤であるパーライト0.03質量部を添加して、10分間混合撹拌した。
ついで、これをろ過(KST−142−JA‐S(ジャッケット付)加圧ろ過器、ろ過面積113cm、圧力1kg/cm、温度45℃、Advantec社製NO−5Cろ紙で加圧ろ過)し、ガム質を含有する不溶物を除去し、脱ガム物をろ液として得た。
また、原料の粗パーム油は、油脂として、炭素数12の成分を0.3質量%、炭素数14の成分を1.1質量%、炭素数16の成分を43.9質量%、炭素数18で二重結合を有さない成分を4.3質量%、炭素数18で二重結合を1つ有する成分を39.5質量%、炭素数18で二重結合を2つ有する成分を10.1質量%、炭素数20の成分を0.8〜1質量%含有し、さらに、遊離脂肪酸を3.3質量%含有していた。また、POV(過酸化物価)は3.6で、AV(酸価)は7.2であった。なお、ここで言う炭素数は、エステルにおいて、アルコール由来の炭素を含まないものである。
(2)エステル化工程(B)
酸性ゲル型カチオン交換樹脂である三菱化学社製のダイヤイオンSK104(商品名、架橋度4%)を充填したカラムにメタノールを通過させ、洗浄した。ついで、上記(1)で得られた脱ガム物100質量部に対してメタノールを20質量部添加した混合物を、カラムに供給して通過させ、エステル混合物を得た。その際、カラム温度は65℃、カラム滞留時間は120分間とし、メタノールとしては、水分量が600ppmのものを使用した。
(3)エステル交換反応工程(C)
上記(2)で得られたエステル混合物に対して、エステル交換反応工程(C)を次のように2段で行った。
まず、エステル混合物120質量部に対してメタノールを15質量部、触媒として水酸化ナトリウムを0.3質量部添加し、処理温度70℃で60分間処理(パドル攪拌機付オートクレーブで反応)することで、脂肪酸メチルエステルを主成分とする油相と、グリセリン相とを生成させ、1段目のエステル交換反応を行った。
ついで、これを40℃で60分間静置した後、油相とグリセリン相に分離し、油相100質量部に対してメタノールを5質量部、触媒として水酸化ナトリウムを0.05質量部添加し、処理温度60℃で5分間処理することで、脂肪酸メチルエステルを主成分とする油相と、グリセリン相とを均一層とし、2段目のエステル交換反応を行った。
ついで、この中に水酸化ナトリウムを水洗するための水を14質量部添加し、その後、これを40℃で60分間静置した後、油相とグリセリン相に分離した。
(4)蒸留工程(D)
上記(3)で得られた油相に対して、まず、150℃の常圧でフラッシュ蒸留して、メタノールと水とを留出液として除去した。
ついで、フラッシュ蒸留の残留物に対して、180℃、1.3KPaの条件で第1の減圧蒸留を行って、グリセリンを主成分とする留出液を除去した。
さらに、第1の減圧蒸留の残留物に対して、220℃、1.3KPaの条件で第2の減圧蒸留を行って、留出液として脂肪酸メチルエステルを得た。
得られた脂肪酸メチルエステルの性状と後述の方法で評価した酸化安定性の評価結果を表1にまとめる。
(5)リサイクル工程(E)
上記(3)の1段目と2段目のエステル交換反応で得られたグリセリン相を混合したものに対して、硫酸を添加してpH4.0とし、60℃において60分間撹拌混合した。ついで、この混合物から生成した硫酸ナトリウムを除去した後、脂肪酸を主成分とする相と、水、メタノール、グリセリンを含む相とに分離して、脂肪酸を主成分とする相を原料の粗パーム油に返送した。一方、水、メタノール、グリセリンを含む相については、150℃で水とメタノールをフラッシュ蒸留で除き、粗グリセリンを得た。また、フラッシュ蒸留により留出した水、メタノール混合物はついで、メタノール精留塔に導入し、70℃で蒸留を行ってメタノールを留出液として回収する一方、廃水を残留物として除去した。
(酸化安定性の評価について)
実施例1で得られた脂肪酸メチルエステルについて、酸化安定性を、欧州バイオデイーゼル規格試験法(EN-14112:2003)のCDM試験(Conductometric Determination Method)に準拠した方法で評価した。ただし測定温度は110℃とした。
具体的には、まず、試料を反応容器で110℃に加熱しながら、清浄空気を送り込み、酸化により生成した揮発性分解物を水中捕集する。この揮発製分解物を捕集することにより、水の導電率が変化するので、このような変化が急激に起こった点(グラフにプロットした際の折曲点)までの時間を測定した。この時間が長い程、酸化安定性が高いと言える。
[実施例2および3]
実施例1で得られた脂肪酸メチルエステルに、酸化防止剤として没食子酸プロピルを実施例2で10ppmの濃度となるように、実施例3で100ppmとなるように添加した。これらについて、実施例1と同様にして酸化安定性を評価した。
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じ粗パーム油を原料とし、脱ガム工程(A)とエステル化工程(B)とを行わずに、エステル交換反応(C)を行った。ついで、蒸留工程(D’)として、150℃の常圧でのフラッシュ蒸留のみを行って、残留物として脂肪酸メチルエステルを得た。こうして得られた脂肪酸メチルエステルの性状についても表1にまとめる。
[実施例4]
第1の減圧蒸留を、190℃、1.3KPa、没食子酸プロピルを50ppm添加した以外は、実施例1と同様にして、酸化安定性を評価し、結果を表2に示す。
[実施例5]
第1の減圧蒸留を、185℃、1.3KPa、没食子酸プロピルを50ppm添加した以外は、実施例1と同様にして、酸化安定性を評価し、結果を表2に示す。
[実施例6]
第1の減圧蒸留を、183℃、1.3KPa、没食子酸プロピルを50ppm添加した以外は、実施例1と同様にして、酸化安定性を評価し、結果を表2に示す。
Figure 2006129435
Figure 2006129435
表中、「%」はいずれも質量基準である。
本発明によれば、着色がなく、軽油代替燃料として使用した際の燃料供給ラインや燃料噴射ノズルの目詰まりが抑制され、安価で高純度な脂肪酸低級アルキルエステルを高い製造歩留まりで効率的に提供できる。

Claims (6)

  1. 粗パーム油からガム質を除去し、脱ガム物を得る脱ガム工程(A)と、
    カチオン交換樹脂を使用して、前記脱ガム物中の遊離脂肪酸を低級アルキルアルコールでエステル化し、エステル混合物を得るエステル化工程(B)と、
    前記エステル混合物中の油脂を低級アルキルアルコールでエステル交換するエステル交換反応工程(C)と、
    前記エステル交換反応工程(C)で得られた油相を少なくとも減圧蒸留する蒸留工程(D)とを有することを特徴とする脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法。
  2. 前記エステル交換反応工程(C)で生成したセッケンを酸で分解して脂肪酸とし、該脂肪酸を前記脱ガム工程(A)に返送するリサイクル工程(E)を有することを特徴とする請求項1に記載の脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により製造され、
    脂肪酸低級アルキルエステル純度が99質量%以上であって、かつ、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル含有量が0.3質量%以下であることを特徴とする脂肪酸低級アルキルエステル。
  4. グリセライドの含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の脂肪酸低級アルキルエステル。
  5. 請求項3または4に記載の脂肪酸低級アルキルエステルを含有することを特徴とする軽油代替燃料。
  6. さらに酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の軽油代替燃料。
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