JPWO2006121081A1 - 高純度アセトニトリル及びその製造方法 - Google Patents

高純度アセトニトリル及びその製造方法

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Abstract

本発明は、精製に用いられるエネルギーが少なく、精製工程も簡易なプロセスであり、アセトニトリル中に含まれるプロピオニトリルを著しく減少させ、波長200nmでの吸光度の低い高純度アセトニトリルを製造する方法の提供することを目的とする。本発明は、含水粗アセトニトリルをアルカリと混合し、アセトニトリル相と水相に分離して水相を除去し、得られたアセトニトリル相を蒸留工程に通して精製アセトニトリルを得、得られた精製アセトニトリルを陽イオン交換樹脂に通して高純度アセトニトリルを得ることを特徴とする高純度アセトニトリルの製造方法に関する。

Description

本発明は、高純度アセトニトリル、および高純度アセトニトリルの製造方法に関する。
現在、一般に市販されているアセトニトリルは、主に、プロピレン又はイソブテンとアンモニア及び分子状酸素との接触的アンモ酸化反応によってアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生成物として得られる粗アセトニトリルを回収、精製したものである。
この副生成物として得られる粗アセトニトリルには、アリルアルコールやオキサゾール、水、アセトン、青酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、プロピオニトリル、cis−およびtrans−クロトンニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸、アクロレイン、メタクロレイン、アセトン等の不純物や、分析不能な不純物等が含まれている。
アセトニトリルは、化学反応用の溶媒、特には医薬中間体の合成や精製の溶媒や、高速液体クロマトグラフィーの移動層溶媒などに用いられ、また最近はDNA合成・精製溶媒、有機EL材料合成用溶媒、電子部品の洗浄溶剤などにも用いられるようになってきており、そうした用途から高度に精製されることが要求されてきている。ひとつの製品で多様な用途に使えることができればより好ましいアセトニトリルと言える。
高度に精製されていることの確認方法として、紫外線領域の吸光度法による不純物の分析は、紫外線領域の吸光度法が非常に感度のよい分析法であるため微量不純物の分析に非常に有効である。
特に、高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒に用いられる場合には、重要な品質項目は波長200nmでの紫外線吸収の吸光度である。最近は、低波長側であるほど分析が高感度で行えるために波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が低い品質が要求される。高純度なアセトニトリルであっても、ごく微量の紫外線領域の吸光度をもつ化合物が不純物として存在すると、その吸光度が高くなるために、高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒として満足できるものにはならなかった。
一方紫外線領域に吸収をもたない不純物に対しては何ら応答はなく、紫外線領域の吸収分析からは高純度であっても、その他の不純物が含まれていないことを保証するものではない。プロピオニトリルはUV吸収をほとんど持たないうえ、判明している不純物の中では高いレベルまで除去するのが最も困難な化合物である。
上述した用途向けの溶媒や洗浄剤に用いられる用途には、プロピオニトリルが少ないことが要求される。
高度に不純物を除去してアセトニトリルを精製するための種々の方法が提案されている。
例えば、本出願人らは、精製されたアセトニトリルを用い、これを発生期の酸素と反応させ、その後に固体塩基、吸着剤から選ばれた物質と接触させることにより波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.05abs/cm以下になる高純度アセトニトリルの製造方法を提案している。発生期の酸素としては具体的にはオゾンが、吸着剤としては陰イオン交換樹脂が開示されている。得られたアセトニトリルをさらに蒸留処理を行い高純度アセトニトリルを製造する工程も開示されている(例えば特許文献1参照)。
また類似のプロセスとして、オゾン処理を行い、ついでモレキュラーシーブ、活性アルミナ、ジルコニア、シリカゲル、木炭、グラファイトカーボンのカラム処理を行う工程によって高純度アセトニトリルを製造する方法が開示されている(例えば特許文献2、特許文献3参照)。
こうした工程によって得られたアセトニトリルは、高純度でありまた紫外線領域の吸光度も非常に小さいという優れた高純度アセトニトリルであるものの、プロピオニトリルは十分に低減されておらず、また、複数の処理工程を経由して製造されるために、工程が複雑であるとか、精製に用いられるエネルギー消費量が増えるなどによって、コストが大きく増加するという問題があった。
また加圧蒸留、減圧蒸留、加圧蒸留という3本の蒸留塔を用い、蒸留の負荷すなわち還流比を大きくしてアセトニトリルを蒸留精製して精製アセトニトリルを得た後、陽イオン交換樹脂を通過させて高純度アセトニトリルを製造するという方法も開示されている(例えば特許文献4参照)。この方法は、減圧、加圧のためのエネルギーを消費する上、加圧仕様の設備が必要であるという問題がある。またプロピオニトリル等の不純物の除去について満足できるものではない。
エネルギー消費量の少なく設備的にも簡易であるアセトニトリルの製造方法で、コストの上昇を最小限に抑えながら、医薬中間体の合成・精製の溶媒、DNA合成・精製溶媒、有機EL材料合成用溶媒、電子部品の洗浄溶剤などの用途向けにプロピオニトリルの含有量が少なく、高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒としても十分に使用可能なレベルにまで精製されて紫外線領域の吸光度の小さい高純度アセトニトリルが望まれていた。
従来の精製方法では、こうした要求を満足できる品質の達成は、困難であった。
特開平6−329610号公報(米国特許5,629,443号明細書) 米国特許第5,292,919号明細書 米国特許第5,426,208号明細書 特開平11−35542号公報(米国特許2004/0176631) 特開昭58−124751号公報 特公昭45−36490号公報 特開昭55−153757号公報 特公昭63−31458号公報
本発明の目的は、エネルギー消費量が少なく、精製設備も工程も簡易であるようなプロセスを提供することでコストの上昇を最小限に抑えながらも、医薬中間体の合成・精製の溶媒、DNA合成・精製溶媒、有機EL材料合成用溶媒、電子部品の洗浄溶剤などの用途向けにプロピオニトリルの含有量が少なく、さらに高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒としても十分に使用可能なレベルである波長200nmでの紫外線吸収の吸光度の低い高純度アセトニトリル、およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、含水粗アセトニトリルをアルカリ水溶液と混合し、アセトニトリル相と水相とに分離して水相を除去し、得られたアセトニトリル相を蒸留工程に通して精製アセトニトリルを得、得られた精製アセトニトリルを陽イオン交換樹脂に通すことによって、精製に用いられるエネルギー消費量を少なくし、高圧工程を含まず精製設備も工程も簡易であるようなプロセスを提供することでコストの上昇を最小限に抑えながらも、驚くべきことに、アセトニトリル中に含まれるプロピオニトリルの含有率が著しく少なく、波長200nmでの紫外線吸収の吸光度の低い高純度アセトニトリルが得られることを見出し、これにより医薬中間体の合成・精製の溶媒、DNA合成・精製溶媒、有機EL材料合成用溶媒、電子部品の洗浄溶剤などの用途向けにプロピオニトリルの含有量が少なく、また高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒としても十分に使用可能なレベルまで精製された高純度アセトニトリルを提供することも可能になることを見出して、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
(1)含水粗アセトニトリルをアルカリと混合し、アセトニトリル相と水相とに分離して水相を除去し、得られたアセトニトリル相を蒸留工程に通して精製アセトニトリルを得、得られた精製アセトニトリルを陽イオン交換樹脂に通して高純度アセトニトリルを得ることを特徴とする高純度アセトニトリルの製造方法、
(2)高純度アセトニトリルが、プロピオニトリルの含有量が150重量ppm以下、かつ200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.3abs/cm以下の高純度アセトニトリルであることを特徴とする(1)に記載の高純度アセトニトリルの製造方法。
(3)蒸留工程が、蒸留塔の塔頂から凝縮器を経由して蒸留塔に還流され残りが蒸留塔外に排出される工程と、塔下部から精製アセトニトリルを回収する工程を含み、該蒸留塔の還流比が5〜50であることを特徴とする(1)または(2)に記載の高純度アセトニトリルの製造方法、
(4)アルカリが水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の高純度アセトニトリルの製造方法、
(5)アセトニトリル相を蒸留して、アセトニトリルより低沸点の成分の除去とアセトニトリルより高沸点の成分の除去とを行うことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の高純度アセトニトリルの製造方法、
(6)陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の高純度アセトニトリルの製造方法、
(7)(1)〜(6)のいずれかの方法によって製造された高純度アセトニトリル、
(8)プロピオニトリルの含有量が150重量ppm以下であり、かつ200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.3abs/cm以下であることを特徴とする高純度アセトニトリル、に関する。
本発明の方法は、エネルギー消費量が少なく、精製設備も工程も簡易であるようなプロセスを採用しているので、コストの上昇を最小限に抑えながらも、医薬中間体の合成・精製の溶媒、DNA合成・精製溶媒、有機EL材料合成用溶媒、電子部品の洗浄溶剤などの用途向けにプロピオニトリルの含有量が少なく、さらに高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒としても十分に使用可能なレベルまで精製されて波長200nmでの紫外線吸収の吸光度の低い高純度アセトニトリルを提供することが可能になる。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明は、含水粗アセトニトリルをアルカリと混合し、アセトニトリル相と水相に分離して水相を除去し、得られたアセトニトリル相を蒸留工程に通して精製アセトニトリルを得、得られた精製アセトニトリルを陽イオン交換樹脂に通して得られることを特徴とする高純度アセトニトリルの製造方法及び該製造方法によって得られる高純度アセトニトリルである。
含水粗アセトニトリルとは、プロピレン、プロパン、イソブテン、イソブタンから接触的アンモ酸化反応によってアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生成物として得られるものを回収、精製したものであり、10〜80重量%のアセトニトリル、20〜90重量%の水、その他多くの種類の不純物等を含んでいるアセトニトリルである。含水粗アセトニトリルは、あらかじめ、例えば前記特許文献8に記載の方法でアリルアルコールを蒸留分離しておくことが好ましい。また、含水粗アセトニトリルは、あらかじめ、20〜80℃、好ましくは60〜75℃において1〜15時間、好ましくは3〜10時間、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液と反応させて、アクリロニトリルや青酸をスクシノニトリルやダイマー等の重合物に変え、できるだけ除去しておくことが好ましい。
アセトニトリルと水は共沸混合物を作る。そのために水の含有量を共沸組成以下にするには工夫が必要である。これまで知られている方法としては、蒸留圧力を低圧から高圧にスイングさせて共沸組成をずらすことによって水を脱水する方法(例えば特許文献5参照)、ベンゼンを添加して抽出蒸留する方法(例えば特許文献6参照)、アルカリを加えて抽出脱水する方法(例えば特許文献7参照)、塩化カルシウムを添加して抽出脱水する方法などある。
本発明の方法は、アルカリを加えて抽出脱水することに特徴がある。即ち、含水粗アセトニトリルに、その中に存在する水を抽出するのに十分な量のアルカリを加えて混合し、ついで分離した水相を除去することによってアセトニトリル相を得る。このとき水の抽出剤としては水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムの水溶液、固形物を用いることが好ましい。好ましくは水溶液である。
抽出温度は5℃〜60℃、好ましくは10℃〜35℃である。
アルカリの使用量は、粗アセトニトリル中の含有水分によって変わるが、通常は粗アセトニトリルの含有水分に対して10〜90重量%、好ましくは30〜60重量%の範囲である。この方法によってアセトニトリル中の水分の量を10重量%以下、特には3重量%以下にすることが好ましい。含水粗アセトニトリルとアルカリ水溶液の接触は、連続式の向流接触型が好ましい。向流接触塔の充填物としては、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インターロックサドル、テラレットパッキング、ディクソンリング、マクマホンパッキングが好ましく、規則充填物としては、網目構造の充填物が好ましい。
本発明で用いられる蒸留塔は、棚段塔又は充填塔等である。
棚段塔の例としては、ダウンカマーを有する十字流接触型やダウンカマーの無い向流接触型等が挙げられる。また、トレイの開口部として泡鐘型、多孔板型、バルブ型等のものを用いることができる。この蒸留塔の段数は10段以上あれば特に制限はないが、30〜80段のものが好ましい。
充填塔の例としては、充填物として不規則充填物および/または規則充填物を充填した塔を用いることができる。不規則充填物としては、例えば、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インターロックサドル、テラレットパッキング、ディクソンリング又はマクマホンパッキング等が使用できる。規則充填物としては、網目構造の充填物を用いることができる。これら不規則および規則充填物の材質としては、磁製、金属製、プラスチック製又はカーボン製等のものを使用することができる。また、該充填塔は適当な高さの所に液再分布板を設けて気液の接触効率を高めることもできる。
本発明において、アセトニトリルに比べて低沸点の化合物及び高沸点の化合物を分離除去する方法として、2本の蒸留塔を用いて行う方法が挙げられる。具体的には、第1塔でトップから低沸点化合物を分離除去し、第2塔で高沸点化合物をボトムから分離除去し、トップから精製したアセトニトリルを得る方法、又は、第1塔でボトムから高沸点化合物を分離除去し、第2塔でトップから低沸点化合物を分離除去し、ボトム又はその上部から精製したアセトニトリルを得る方法がある。またこれらの変形としてボトムに代えてボトム上部の側流、またトップに代えてトップ下部の側流として抜き出してもよい。
これらの蒸留工程において、還流比や低沸点化合物及び高沸点化合物の抜き出し量は、目的に合う精製アセトニトリルを得るための条件として決定することができる。供給するアセトニトリルに対して低沸点化合物を含むトップの抜き出し量と高沸点化合物を含むボトムの抜き出し量はそれぞれ0.01%以上、好ましくは0.1%以上である。
好ましくは、蒸留工程は、蒸留塔の塔頂から凝縮器を経由して蒸留塔に還流され残りが蒸留塔外に排出される工程と、塔下部から精製アセトニトリルを回収する工程を含み、該蒸留塔の還流比が5〜50であることが好ましい。より好ましくは10〜30であり、最も好ましくは15〜25である。還流比は蒸留塔に還流される重量を蒸留塔外に排出される重量で割った値として定義される。還流比が5より低いと高純度アセトニトリルの純度が低下し、還流比が50より大きいとエネルギー効率が低下する。
蒸留塔の圧力の下限は、絶対圧で0.05MPa以上、好ましくは0.08MPa以上、特に好ましくは0.09MPa以上であり、上限は絶対圧で0.27MPa以下、好ましくは0.20MPa以下、特に好ましくは0.15MPa以下である。
蒸留塔は塔底温度で80〜95℃、特に好ましくは80〜84℃、塔頂温度で70〜80℃、特に好ましくは75〜80℃が好ましい。
以上の工程によって精製アセトニトリルを得、さらに精製アセトニトリルを陽イオン交換樹脂に通すことによって、高純度アセトニトリルを製造することができる。
本発明においては、陽イオン交換樹脂としては、ポーラス型またはゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂または弱酸性陽イオン交換樹脂を用いることができる。強酸性基としてはスルホン酸基、弱酸性基としてはカルボン酸基を例示することができる。また、水溶液用イオン交換樹脂または非水溶液用のイオン交換樹脂のどちらのタイプの樹脂も用いることができる。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、ロームアンドハース社製のAmberlite(1006FH、IRP―69、IR―118、IRC―76、IR120BHAG等)Amberlyst(15H、15DRY、15JWET、16WET、31WET、35WET、XN1010等)、三菱化学社製のダイヤイオン(SK1B、SK104、SK110、SK112、SK116、PK208、PK212、PK216、PK220、PK22、UBK550、PK208、PK208、UBK530等)、ダウケミカル社製のダウエックスモノスフィアー(650C、650HXC、650HXCNG、575CNG、650CUPW、650CNG、575C、MP525C、750C)、ダウエックス(HCR−NG、HCR−W2、HGRW2、MSC1C、50、88、88MB等)、バイエル社製のMP−62等を例示することができる。
弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、AmberliteIRP−64、Amberlite(IRC−76、FPC−3500、IRC−50S)、ダイヤイオンWK(10、11、100、01S、40等)等を例示することができる。
好ましく用いられるのは非水溶液用の強酸性イオン交換樹脂であり、Amberlite1006FH、Amberlyst(15H、15DRY、15JWET、16WET、31WET、35WET)、ダウエックスモノスフィアー650C、ダウエックスHCR−W2等を例示できる。
陽イオン交換樹脂は、プロトン型の形態で使用される。プロトン型になっていない市販品の場合やその可能性がある場合は、陽イオン交換樹脂は、硝酸水溶液、硫酸水溶液または塩酸水溶液等の酸性水溶液で処理を行ってから使用することが必要である。この後十分な量の純水と接触させて洗浄し、ついで十分な量のアセトニトリルと接触させて洗浄し、イオン交換樹脂に含まれる水分、不純物等を除去してから使用することが好ましい。
陽イオン交換樹脂の大きさは0.001〜100mm、さらには0.01〜20mmのものが好ましい。
陽イオン交換樹脂と精製アセトニトリルとの接触は連続方式又は回分方式で行うことができるが、工業的に行うには連続方式で行うことが好ましい。連続方式としては、充填塔又は配管の一部等に陽イオン交換樹脂を充填し、精製アセトニトリルを供給して接触させ通過させる。また、空間速度SVは0.001〜1000(1/min)、好ましくは0.01〜10(1/min)、特に好ましくは0.04〜1(1/min)で操作することが好ましい。陽イオン交換樹脂処理の温度は5℃〜70℃が好ましく、特に好ましくは20℃〜60℃である。
高純度アセトニトリルとして重要な品質項目には、プロピオニトリルの含有量及び波長200nmでの紫外線吸収の吸光度であり、両者が以下に記す条件を満たしていることが必要である。
・プロピオニトリルの含有量が、150重量ppm以下、好ましくは40重量ppm以下、さらに好ましくは25重量ppm以下であること。
・200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.30abs/cm以下、好ましくは0.25abs/cm以下、さらに好ましくは0.20abs/cm以下であること。
以下では、実施例および比較例によって本発明を説明する。紫外線吸収度は次の方法で測定した。
島津製作所自動分光光度計UV3101PCを用い、1cm角の石英性吸収セルを用いて波長190〜500nmに於ける吸光度を蒸留水を対象液として測定した。スキャン速度は中速、分光器のスリット幅設定値は5nmである。
[比較例1]
プロピレンのアンモキシデーション反応の副生物であるアセトニトリルを蒸留で濃縮し、苛性ソーダでpH13とし、75℃で6時間反応し、蒸留によりアリルアルコール及びスクシノニトリル等高沸点物を分離した。次いで、苛性ソーダにより水分を5重量%以下にした後、50段の棚段を有する蒸留塔で還流比15で常圧蒸留を2回行うことによって水、低沸点物質、高沸点物質を除去して精製アセトニトリルを得た。この精製アセトニトリルについて分析を行ったところ波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.57abs/cm、プロピオニトリル20重量ppmであった。
[実施例1]
直径27mmのカラムに陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15JWET)を層高700mmになるように充填した。充填量は400mLである。20℃にて、通液速度100(mL/min)で、4000mLの比較例1の精製アセトニトリルを通液させた。分析を行ったところ波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.17abs/cm、波長254nmでの紫外線吸収の吸光度が0.001abs/cm、プロピオニトリル20重量ppmであった。
[比較例2]
陰イオン交換樹脂(アンバーリストA−21)を用いた以外は実施例1を反復して精製アセトニトリルを得た。この精製アセトニトリルについて分析を行ったところ波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が2.0abs/cm、プロピオニトリル20重量ppmであった。
[比較例3]
プロピレンのアンモキシデーション反応の副生物であるアセトニトリルを蒸留で濃縮し、苛性ソーダでpH13とし、75℃、6時間反応し、蒸留によりアリルアルコール及びスクシノニトリル等高沸点物を分離した。次いで、絶対圧で0.02MPaにて減圧蒸留、続いてゲージ圧で0.25MPaGにて加圧蒸留にした以外は比較例1の蒸留を反復して水、低沸点物質、高沸点物質を除去して精製アセトニトリルを得た。得られた精製アセトニトリルの分析を行ったところ波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.62abs/cm、プロピオニトリル210重量ppmであった。
[比較例4]
比較例3で得られたアセトニトリルを用いた以外は実施例1の方法を反復して精製アセトニトリルを得た。得られた精製アセトニトリルの分析を行ったところ波長200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.45abs/cm、プロピオニトリル210重量ppmであった。
以上の実施例、比較例から、本発明の方法によって得られたアセトニトリルはプロピオニトリル含有量が著しく少ないうえ、波長200nmにおける紫外線吸収をする不純物含有量が少ないことがわかる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2005年5月10日出願の日本特許出願(特願2005−136820)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、精製に用いられるエネルギー消費量が少なく、精製設備も工程も簡易であるようなプロセスである。それゆえコストの上昇を最小限に抑えながらも、医薬中間体の合成・精製の溶媒、DNA合成・精製溶媒、有機EL材料合成用溶媒、電子部品の洗浄溶剤などの用途向けにプロピオニトリルの含有量が少なく、さらに高速液体クロマトグラフィー移動相溶媒としても十分に使用可能なレベルまで精製されて波長200nmでの紫外線吸収の吸光度の低い高純度アセトニトリルおよびその製造方法を提供する方法として好適である。

Claims (8)

  1. 含水粗アセトニトリルをアルカリと混合し、アセトニトリル相と水相とに分離して水相を除去し、得られたアセトニトリル相を蒸留工程に通して精製アセトニトリルを得、得られた精製アセトニトリルを陽イオン交換樹脂に通して高純度アセトニトリルを得ることを特徴とする高純度アセトニトリルの製造方法。
  2. 高純度アセトニトリルが、プロピオニトリルの含有量が150重量ppm以下、かつ200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.3abs/cm以下の高純度アセトニトリルであることを特徴とする請求項1に記載の高純度アセトニトリルの製造方法。
  3. 蒸留工程が、蒸留塔の塔頂から凝縮器を経由して蒸留塔に還流され残りが蒸留塔外に排出される工程と、塔下部から精製アセトニトリルを回収する工程を含み、該蒸留塔の還流比が5〜50であることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度アセトニトリルの製造方法。
  4. アルカリが水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高純度アセトニトリルの製造方法。
  5. アセトニトリル相を蒸留して、アセトニトリルより低沸点の成分の除去とアセトニトリルより高沸点の成分の除去とを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高純度アセトニトリルの製造方法。
  6. 陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高純度アセトニトリルの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの方法によって製造された高純度アセトニトリル。
  8. プロピオニトリルの含有量が150重量ppm以下であり、かつ200nmでの紫外線吸収の吸光度が0.3abs/cm以下であることを特徴とする高純度アセトニトリル。
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