本発明は、交流発電出力を正側および負側で分離し、バッテリの充電用の電源およびランプへの電源を供給する制御回路に関し、特にランプへの電源の供給を安定化した制御回路に関する。
また、本発明は、交流発電機を用いてバッテリの充電を行うバッテリ充電装置に関し、特に、バッテリがオープン状態となった場合に接続負荷を保護する接続負荷保護回路に関する。
一般に、バイクなどのエンジンにより駆動される発電機の交流発電出力を用いて、バッテリを充電するための電源と、ヘッドライト等のランプを点灯するための電源を供給する制御回路がある。
この種の制御回路には、発電機の駆動速度が高速となったときにランプの駆動電圧のピーク値が高くなってランプが過電圧となることを防止するために、発電電圧が高くなるとランプを駆動する半波出力を間引くことにより実効電圧を抑えるものがある(図2(b)、図19(b)、図19(c)参照)。
このような制御回路では、ランプのちらつきなどの問題を生じるため従来、特許文献1に記載される技術があった。この技術によれば、ランプ実効電圧が閾値を越えたときに遅延回路を作動させ、ランプ制御用のサイリスタがONするタイミングを遅らせることによりランプの駆動電圧のピーク値を低減する。
しかしながら特開2001−93680号公報に記載される技術では、発電機の駆動速度がある程度の速度に達すると、バッテリの充電電源がONとなった直後以外の半波成分について一律にレベルシフトを行うだけの動作となり、レベルシフト後の半波成分のピーク値が過大な場合、半波波形を間引かなくては供給電力が過大となってしまうため、ランプのちらつきという第1の問題が浮上する。
また、従来から、交流発電機を用いてバッテリの充電を行うバッテリ充電装置が知られている(例えば、特開2001−93680号公報参照)。この種のバッテリ充電装置においては、バッテリがオープン状態となった場合に、交流発電機の出力電圧と同等の電圧がレギュレータに出力されるために、交流発電機の出力がパワーアップした場合や高回転時には、高い電圧がレギュレータに出力され、接続負荷が破損する恐れがある。
このようなことから、従来は、接続負荷を保護するために以下のような方法が取られていた。その一つの方法としては、図9のような回路を用いて、交流発電機1103の出力電圧を間引く処理を行い、接続負荷1603にかかる実効値電圧を制御するものである。具体的には、このような回路は、例えば、図9に示すような回路で構成されており、バッテリがオープン状態となった場合に、交流発電機1103の出力電圧を間引く制御を行う。
ここで、ツェナーダイオードZ23のツェナー電圧は、バッテリ電圧(規格値)よりも高く設定されており、バッテリがオープン状態において、レギュレータ1203の出力電圧が高いときに、ダイオードD21からツェナーダイオードZ23、抵抗を通って、コンデンサC21に電荷を充電させる。そして、コンデンサC21に電荷がチャージされると、この電圧により、トランジスタQ21をON状態に保持し、トランジスタQ22、Q23をOFFすることによりサイリスタSCR22をOFFする。これによって、接続負荷1603に供給されていたレギュレータ1203の出力をOFFすることができる。
なお、コンデンサC21にチャージされた電荷が減少して電位が低下すると、トランジスタQ21のON状態を保持できなくなり、トランジスタQ21がOFF状態となった場合には、サイリスタSCR22がON状態となってレギュレータ1203が接続負荷1603に対して出力電圧を供給することになるが、このとき、バッテリがオープン状態であれば、先程と同様の経路をたどって、再び、コンデンサC21を充電させる。したがって、こうした状態を継続することによって、レギュレータ1203から接続負荷1603へ供給される出力電圧が間引かれ、接続負荷1603にかかる実効値電圧が制御される。
なお、バッテリ接続時およびバッテリオープン時のチャージ(図9中のA点)−アース(図9中のE点)間電圧、バッテリ(図9中のB点)−アース(図9中のE点)間電圧、ランプ(図9中のL点)−アース(図9中のE点)間電圧、コンデンサC21のチャージ電圧、サイリスタSCR21のゲート信号、サイリスタSCR22のゲート信号は、図10aおよび図10bに示すようになっている。図10aに示すように、バッテリ接続状態においては、バッテリ(図9中のB点)−アース(図9中のE点)間電圧が適切な値に制御されているが、バッテリオープン時には、図10bに示すように、チャージ(図9中のA点)−アース(図9中のE点)間電圧が一部間引かれた状態でバッテリ(図9中のB点)−アース(図9中のE点)間電圧に現れているのがわかる。
図11は、間引き制御のもう一つの方式を示している。この場合も、ツェナーダイオードZ31のツェナー電圧は、バッテリ電圧(規格値)よりも高く設定されており、バッテリがオープン状態において、レギュレータ1204の出力電圧が高いときに、ダイオードD31からツェナーダイオードZ31、抵抗を通って、コンデンサC31に電荷を充電させる。そして、コンデンサC31に電荷がチャージされると、この電圧により、トランジスタQ31をON状態に保持し、サイリスタSCR32をOFFする。これによって、接続負荷1604に供給されていたレギュレータ1204の出力をOFFすることができる。
なお、バッテリ接続時およびバッテリオープン時のチャージ(図11中のA点)−アース(図11中のE点)間電圧、バッテリ(図11中のB点)−アース(図11中のE点)間電圧、ランプ(図11中のL点)−アース(図11中のE点)間電圧、コンデンサC31のチャージ電圧、サイリスタSCR31のゲート信号、サイリスタSCR32のゲート信号は、図12aおよび図12bに示すようになっている。図12aに示すように、バッテリ接続状態においては、バッテリ(図11中のB点)−アース(図11中のE点)間電圧が適切な値に制御されているが、バッテリオープン時には、図12bに示すように、チャージ(図11中のA点)−アース(図11中のE点)間電圧が一部間引かれた状態でバッテリ(図11中のB点)−アース(図11中のE点)間電圧に現れているのがわかる。
図13は、従来の他の制御方式を示している。この方式は、バッテリがオープン状態のときに、サイリスタSCR43をONさせてレギュレータ1106の出力電圧に対してピークカットの制御を行うものである。ここで、ツェナーダイオードZ43のツェナー電圧は、バッテリ電圧(規格値)よりも高く設定されており、バッテリがオープン状態において、レギュレータ1106の出力電圧が高いときに、ダイオードD41からツェナーダイオードZ43、抵抗を通って、ゲート信号を与えることによりサイリスタSCR43によって交流発電機1105の出力を短絡するものである。したがって、この制御方式では、バッテリオープン時のレギュレータ1106の出力電圧のピークは、ツェナーダイオードZ43のツェナー電圧に近い値となる。
なお、バッテリ接続時およびバッテリオープン時のチャージ(図13中のA点)−アース(図13中のE点)間電圧、バッテリ(図13中のB点)−アース(図13中のE点)間電圧、ランプ(図13中のL点)−アース(図13中のE点)間電圧、サイリスタSCR41のゲート信号、サイリスタSCR42のゲート信号、サイリスタSCR43のゲート信号は、図14aおよび図14bに示すようになっている。図14aに示すように、バッテリ接続状態においては、バッテリ(図13中のB点)−アース(図13中のE点)間電圧が適切な値に制御されているが、バッテリオープン時には、図14bに示すように、チャージ(図13中のA点)−アース(図13中のE点)間電圧がZ43のツェナー電圧に近い値となってバッテリ(図13中のB点)−アース(図13中のE点)間電圧に現れているのがわかる。
一般的に、バッテリやランプの電圧を調整するレギュレータでは、バッテリに関してはオープン式の制御、すなわち、バッテリ電圧が所定値よりも高くなるとOFFする制御を行っている。従来は、このオープン式の制御をサイリスタを用いて行っていたために、バッテリ電圧が所定値よりも高くなった場合に、直ちにOFFすることができなかった。そのため、この対策として、バッテリが無い状態やバッテリがハイインピーダンスになる劣化状態では、上記の間引き制御方式やピークカット方式が用いられてきた。
ところが、現在のように、二輪車の出力負荷が大きくなり、これに伴って交流発電機の出力も大きくなってくると、バッテリのオープン時に間引き制御を行っても、実効値は低減できるもののピーク電圧が高くなるために、負荷に高電圧がかかってしまうという問題がある。こうした事態を防止するために間引き時間を長くするとCDI等の点火が失火してしまい、通常のようにバイクが走行できなかったり、ランプ類が点滅をしてしまうという第2の問題があった。
また、ピークカット方式の場合は、実効値電圧が低くなりすぎて負荷に出力される電圧が小さいために、ランプ類が暗くなったり、負荷が動作しないという問題があった。さらに、出力の大きい交流発電機を短絡することからレギュレータの発熱量が大きくなるといった別の第2の問題もあった。
この発明は、第1の問題に鑑み、交流発電出力を正側および負側で分離し、バッテリの充電用の電源およびランプへの電源を供給する制御回路において、ランプへの電源の供給を安定化することを第1の課題とする。
上記の第1の課題を解決するために第1の発明は、交流発電出力を正側および負側の半波成分に分離し、一方をバッテリの充電端子への接続用の第1の電源供給端子に出力すると共に、他方をランプへの接続用の第2の電源供給端子に出力するバッテリ充電およびランプ点灯制御回路であって、次の手段を備えたものを提供する。
(1)第1の電源供給端子に出力する半波成分の電圧を検出する検出手段。
(2)前記バッテリの充電電圧に相当する基準値を記憶する記憶手段。
(3)前記検出手段による検出信号を前記基準値だけ降下させる第1の信号処理手段。
(4)該第1の信号処理手段の出力信号の大きさに正相関する信号を生成して遅延時間指示とする第2の信号処理手段。
(5)この遅延時間指示に従った遅延時間をもって、第2の電源供給端子に出力する半波成分の出力開始時期を該半波成分の立ち上がり時期から遅延させる制御手段。
また第2の発明は、請求項1記載のバッテリ充電およびランプ点灯制御回路において、前記第2の信号処理手段は、前記第1の信号処理手段の出力信号を積分して遅延時間指示を生成するものであることを特徴とするバッテリ充電およびランプ点灯制御回路を提供する。
この発明によれば、バッテリの充電電圧に相当する基準値を予め設定しておき、検出信号を基準値だけ降下させた後の半波成分の波形の大きさを評価して過大さを示す指標とし、この指標に正相関する遅延時間指示を生成して、第2の電源供給端子に出力する半波成分の出力開始時期を遅延する。このことにより半波成分の過大さを反映して第2の電源供給端子に出力する半波成分の大きさを調整して均一性を向上させることができる利点がある。
しかもバッテリの充電電圧に相当する基準値とするので、バッテリの充電時の半波成分の大きさを基準として調整することができる。すなわち発電機が十分な速度で駆動している状態において、第2の電源供給端子側の半波成分は、バッテリの充電時に最小の波形となるので、この最小の波形を基準に他の半波成分の大きさを揃えることにより、ちらつきを生じない範囲における最大限の電源供給が可能となる利点がある。
これらの利点をもって、前記のランプに対し、ばらつきのない安定した電源を供給することが可能となる。また半波成分の波形の大きさを評価して正相関する遅延時間指示を生成するにあたって、第1の信号処理手段の出力信号を積分して遅延時間指示とする形態をとれば、簡素な回路構成により的確な評価が可能となる利点がある。
また、本発明は上記第2の問題に鑑みてなされたものであり、位相制御を行ってサイリスタの点弧タイミングを遅らせることにより負荷に出力される電圧のピークを低く抑えると共に、間引きが少なく、かつレギュレータにおける発熱量を低減する接続負荷保護回路を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために本発明は、以下の事項を提案している。
第3の発明は、交流発電機の出力を正側および負側の半波成分に分離し、サイリスタを介して、その一方をバッテリの陽極および接続負荷に供給するバッテリ充電制御装置において、前記バッテリがオープン状態である場合に前記接続負荷を保護する接続負荷保護回路であって、前記交流発電機の出力に正相関する第1の遅延時間を生成する第1の遅延時間生成手段と、該第1の遅延時間生成手段において生成された第1の遅延時間をもって、前記サイリスタの点弧タイミングを制御するサイリスタ制御手段と、を備えたことを特徴とする接続負荷保護回路を提案している。
この発明によれば、第1の遅延時間生成手段が交流発電機の出力に正相関する第1の遅延時間を生成し、生成された第1の遅延時間をもって、サイリスタ制御手段がサイリスタの点弧タイミングを制御する。したがって、バッテリがオープン状態にあって、高い電圧が交流発電機から供給される場合であっても、接続負荷にかかる電圧値を低減することができる。
第4の発明は、第3の発明である接続負荷保護回路について、前記第1の遅延時間生成手段が、前記交流発電機の出力のうち、前記接続負荷側に供給する半波成分に対して半サイクル前の半波成分の電圧値に応じて第1の遅延時間を生成することを特徴とする接続負荷保護回路を提案している。
この発明によれば、第1の遅延時間生成手段が、交流発電機の出力のうち、接続負荷側に供給する半波成分に対して半サイクル前の半波成分の電圧値に応じて第1の遅延時間を生成する。したがって、交流発電機の出力電圧の上昇に迅速に対応することができる。
第5の発明は、第4の発明である接続負荷保護回路について、前記第1の遅延時間生成手段が、前記電圧値の積分値により第1の遅延時間を生成することを特徴とする接続負荷保護回路を提案している。
この発明によれば、第1の遅延時間生成手段が、電圧値の積分値により第1の遅延時間を生成する。したがって、抵抗とコンデンサ等の簡単な回路で交流発電機の出力電圧に正相関する遅延時間を容易に生成することができる。
第6の発明は、第3から第5のいずれかの発明である接続負荷保護回路について、前記バッテリの端子電圧を検出するバッテリ電圧検出手段を備え、該バッテリ電圧検出手段が、バッテリ充電電圧の上限値よりも高く、かつ、前記サイリスタの出力電圧よりも低い閾値を有し、前記バッテリの端子電圧が前記閾値の範囲内であるときに、前記第1の遅延時間をもってサイリスタ制御手段を作動させることを特徴とする接続負荷保護回路を提案している。
この発明によれば、バッテリ電圧検出手段が、バッテリ充電電圧の上限値よりも高く、かつ、サイリスタの出力電圧よりも低い閾値を有し、バッテリの端子電圧が閾値の範囲内であるときに、第1の遅延時間をもってサイリスタ制御手段を作動させる。したがって、バッテリがオープン状態にあるときには、毎サイクルごとにコンデンサの充電を行い、サイリスタの制御を実行することができる。
第7の発明は、第3から第6のいずれかの発明である接続負荷保護回路について、前記サイリスタの出力電圧を検出するサイリスタ電圧検出手段と、前記第1の遅延時間よりも長い第2の遅延時間を生成する第2の遅延時間生成手段とを備え、前記サイリスタの出力電圧が所定値よりも高いときに、前記第2の遅延時間をもってサイリスタ制御回路を作動させることを特徴とする接続負荷保護回路を提案している。
この発明によれば、サイリスタの出力電圧が所定値よりも高いときに、第2の遅延時間をもってサイリスタ制御回路を作動させる。したがって、サイリスタの出力電圧が所定値よりも高いときには、実効値電圧を安定させるために、第2の遅延時間をもってサイリスタ制御回路を作動させることにより間引き制御を実行する。
本発明によれば、位相制御を行ってサイリスタの点弧タイミングを遅らせることにより負荷に出力される電圧のピークを低く抑えると共に安定した実効値電圧を接続負荷に供給できるという効果がある。これにより、接続負荷を高電圧から保護し、電源不足による動作不良を防止し、かつ、レギュレータの発熱を低減できるという効果がある。
また、上記の第1の課題を解決するために本発明は、以下の手段を提案している。
第8の発明は、交流発電出力を正側および負側の半波成分に分離し、一方をバッテリの充電端子に出力すると共に、他方をサイリスタを介してランプに出力するランプ点灯制御回路であって、前記交流発電機の出力電圧を積分して該交流発電機の出力電圧に正相関する遅延時間を生成する位相制御手段と、該生成された遅延時間をもって、前記サイリスタの点弧タイミングを制御するサイリスタ制御手段とを備え、前記位相制御手段が、前記交流発電機の出力のうち、前記ランプに供給する半波成分に対して半サイクル前の半波成分の電圧値に応じて前記遅延時間を生成することを特徴とするランプ点灯制御回路を提案している。
この発明によれば、位相制御手段が交流発電機の出力電圧を積分して該交流発電機の出力電圧に正相関する遅延時間を生成し、サイリスタ制御手段が生成された遅延時間をもって、サイリスタの点弧タイミングを制御する。加えて、位相制御手段が、交流発電機の出力のうち、ランプに供給する半波成分に対して半サイクル前の半波成分の電圧値に応じて遅延時間を生成する。したがって、交流発電機の出力電圧が変動した場合であっても、その変動分を吸収してランプに安定した電圧を供給することができる。
第9の発明は、第8の発明であるランプ点灯制御回路において、前記ランプに供給する電圧を調整するランプ電圧調整手段を備え、該ランプ電圧調整手段が前記ランプに供給する電圧の実効値を平均化する実効値平均化手段を備えることを特徴とするランプ点灯制御回路を提案している。
この発明によれば、ランプ電圧調整手段がランプに供給する電圧の実効値を平均化する実効値平均化手段を備えることから、ランプに供給する電圧を安定化させることができる。
第10の発明は、第9の発明であるランプ点灯制御回路において、前記実効値平均化手段が前記ランプに供給する電圧を積分する積分回路と、該積分回路の積分値を所定の閾値と比較し、該積分値が前記サイリスタ制御手段によるサイリスタの点弧タイミング時に該閾値を上回っている場合に、前記位相制御手段が生成する遅延時間に、さらに遅延時間を付加して前記サイリスタの点弧タイミングを制御する点弧タイミング制御手段と、を備えることを特徴とするランプ点灯制御回路を提案している。
この発明によれば、実効値平均化手段がランプに供給する電圧を積分する積分回路と、積分回路の積分値を所定の閾値と比較し、積分値がサイリスタ制御手段によるサイリスタの点弧タイミング時に該閾値を上回っている場合に、位相制御手段が生成する遅延時間に、さらに遅延時間を付加してサイリスタの点弧タイミングを制御する点弧タイミング制御手段とから構成される。したがって、簡単な回路構成で、ランプに供給する電圧を安定化させることができる。
第11の発明は、第9または第10の発明であるランプ点灯制御回路について、前記積分回路が少なくとも容量素子を備え、ランプ電圧調整手段が該容量素子の充電時間を早める充電時間短縮回路を備えることを特徴とするランプ点灯制御回路を提案している。
この発明によれば、ランプ電圧調整手段が容量素子の充電時間を早める充電時間短縮回路を備えることから、所望の傾きをもった積分波形を生成し、付加すべき遅延時間を的確に制御することができる。
第12の発明は、第9から第11のいずれかの発明であるランプ点灯制御回路について、前記ランプ電圧調整手段が前記ランプへの過電圧の印加を防止する過電圧防止回路を備えたことを特徴とするランプ点灯制御回路を提案している。
この発明によれば、ランプ電圧調整手段が前記ランプへの過電圧の印加を防止する過電圧防止回路を備えることから、例えば、複数のランプのうちのどれかのランプが開放状態等になって交流発電機側から過電圧が発生した場合においても、他のランプへの過電圧の印加を的確に防止することができる。
この発明によれば、半サイクル前の半波成分の大きさに応じて、ランプに出力する半波成分の大きさを調整し、電圧値の均一性を向上させることができ、ランプのチラツキ等を防止できる効果がある。また、簡単な回路構成で、ランプへの印加電圧の実効値を平準化できるという効果がある。
この発明の第1の実施形態にかかる制御回路の概略を示すブロック図である。
制御回路2の各部における波形を示すタイムチャートである。
従来の制御回路の各部における波形を示すタイムチャートである。
第2の実施形態に係る接続負荷保護回路の概略を示す構成図である。
第2の実施形態に係る接続負荷保護回路の構成図である。
第2の実施形態に係る接続負荷保護回路の回路各部の信号波形図である。
第2の実施形態に係る接続負荷保護回路の回路各部の信号波形図である。
第2の実施形態の変形例の構成図である。
変形例の回路各部の信号波形図である。
変形例の回路各部の信号波形図である。
従来例の構成図である。
従来例の回路各部の信号波形図である。
従来例の回路各部の信号波形図である。
従来例の構成図である。
従来例の回路各部の信号波形図である。
従来例の回路各部の信号波形図である。
従来例の構成図である。
従来例の回路各部の信号波形図である。
従来例の回路各部の信号波形図である。
第3の実施形態にかかるランプ点灯制御回路の概略を示すブロック図である。
第3の実施形態にかかるランプ点灯制御回路の回路図である。
第3の実施形態にかかるランプ点灯制御回路の各部における波形を示すタイムチャートである。
第3の実施形態にかかるランプ点灯制御回路の各部における波形を示すタイムチャートである。
従来の制御回路の各部における波形を示すタイムチャートである。
発明を実施するための形態
[第1の実施形態]
以下、図面を用いてこの発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係るバッテリ充電およびランプ点灯制御回路(以下「制御回路」という)の概略を示すブロック図である。同図に示すように、発電機1は例えばバイクのエンジンに直結駆動されるオルタネータである。制御回路2は、発電機1の出力端が接続される入力端子3と、負荷が接続される第1および第2の電源供給端子4−1、4−2とを有し、入力端子3に入力される交流発電出力を正側および負側の半波成分に分離し、正側の半波成分を用いて第1の電源供給端子4−1に電源を供給すると共に、負側の半波成分を用いて第2の電源供給端子4−2に電源を供給するものである。バッテリ5は例えばバイクのバッテリであり、第1の電源供給端子4−1に陽極(充電端子)が接続される。ランプ6は例えばヘッドライト等のランプであり、第2の電源供給端子4−2とグランドとの間に接続される。
上記の制御回路2はサイリスタ7−1、7−2を有する。サイリスタ7−1は、アノード側が入力端子3に接続されると共に、カソード側が第1の電源供給端子4−1に接続され、交流発電出力の正側の半波成分を第1の電源供給端子4−1に出力するものである。サイリスタ7−2は、カソード側が入力端子3に接続されると共に、アノード側が第2の電源供給端子4−2に接続され、交流発電出力の負側の半波成分を第2の電源供給端子4−2に出力するものである。
第1の電源制御回路8−1は、サイリスタ7−1のゲートへのトリガ電流のタイミングを制御して第1の電源供給端子4−1への電源の供給を制御するものである。同様に第2の電源制御回路8−2は、サイリスタ7−2のゲートへのトリガ電流のタイミングを制御して第2の電源供給端子4−2への電源の供給を制御するものである。
第2の電源制御回路8−2において、電圧検出回路801は、入力端子3における正側の半波成分の電圧を検出し、検出信号Vdとして出力する回路である。シフト電圧記憶回路802は、所定のシフト電圧Vsを記憶保持する回路である。このシフト電圧Vsは、バッテリ5の充電電圧Vcに相当する値に予め設定されている。電圧シフト回路803は、検出信号Vdとして入力される半波成分の波形をシフト電圧Vsだけシフトダウンするものである。積分回路804は、電圧シフト回路803の出力信号をVd1とすると、出力信号Vd1として入力されるシフトダウン後の波形を積分するものである。積分回路804の積分出力は、遅延時間指示Vtとしてゲート制御回路805に出力される。ゲート制御回路805は、サイリスタ7−2のゲートに対しトリガ電流を与える回路であり、遅延時間指示Vtに従ってサイリスタ7−2がONするタイミングを制御することにより、第2の電源供給端子7−2から供給される電源を制御するものである。
次にこの制御回路2の動作について説明する。図2は、制御回路2の各部における波形を示すタイムチャートである。また図3は、従来の制御回路の各部における波形を示し、ΔVはランプ6側の出力電圧V2のばらつき成分を示す。図2、3において、図(a)は入力端子3における電圧(発電機1の出力電圧Vg)、図(b)は入力端子3における電流(発電機1の出力電流Ig)、図(c)は第2の電源供給端子7−2における電圧(ランプ6側の出力電圧V2)を示す。
図1〜3を参照して説明すると、発電機1の出力電圧Vgは無負荷時は図2(a)中、一点鎖線で示すように正弦波となる。第1の電源制御回路8−1は、バッテリ5が過充電とならないように、所定のアルゴリズムにより正側の半波成分Wpを適宜間引いて間欠的にサイリスタ7−1のONを許容する。
サイリスタ7−1のONが許容されている場合、半波成分Wpの立ち上がりの時点でサイリスタ7−1がONし(図2:A)、バッテリ5への充電電流として出力電流Igが大きく正側に流れる(図2:B)。出力電流Igが0になるとサイリスタ7−1がOFFとなる。なお、サイリスタ7−1がONの期間、出力電圧はバッテリ5の充電電圧Vcにバイアスされる。
サイリスタ7−1がOFFとなって負側の半波成分Wnが立ち上がると(図2:C)、後述するように遅延時間指示Vtは0であるから、ゲート制御回路805は半波成分Wnの立ち上がりと共にサイリスタ7−2をONする。これによりランプ6側への出力電流が流れる(図2:D)。
一方、サイリスタ7−1のONが許容されていない場合、サイリスタ7−1は半波成分Wpが立ち上がってもOFFを維持し、半波成分Wpの電圧は無負荷時の正弦波に近い波形となる(図2:E)。なお出力電流Igは導通しない(図2:F)。このとき半波成分Wpの電圧は、電圧検出回路801により検出され、検出信号Vdとして電圧シフト回路803に出力される。この検出信号Vdは、電圧シフト回路803により充電電圧Vcに相当するシフト電圧Vsだけシフトダウンされ、これにより信号Vd1が生成される。この信号Vd1は、半波成分Wpの充電電圧Vcを上回る超過部分(図2中ハッチングを施した部分)に相当する波形を示し、この信号Vd1を積分回路804により積分することにより、上記の超過部分の面積に比例する値が取得される。このようにして取得された値は、遅延時間指示Vtとしてゲート制御回路805に出力される。
ゲート制御回路805は、負側の半波成分Wnの立ち上がり時から、遅延時間指示Vtに従って遅延したタイミングでサイリスタ7−2をONするので、超過部分の面積に比例した遅延時間Tdをもってランプ6側への出力電流Igが立ち上がることになる(図2:G)。したがって充電時は、出力電圧が充電電圧Vcにバイアスされているため遅延時間Td=0、すなわち負側の半波成分の立ち上がりから遅延することなくランプ6側への出力電流Igが立ち上がる(図2:D)。一方、非充電時は、上記の超過部分の面積に比例した遅延時間Tdをもってランプ6側への出力電流Igが立ち上がる。このことにより、充電時の出力電流Ig(図2:D)を基準として非充電時の出力電流Ig(図2:G)のピーク値を調整して均一にすることが可能となる。またランプ6への出力電圧V2は、図2(c)に示すようにランプ6への出力電流Igと同形になる。
以上、この発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えばバッテリ5の充電電圧Vcに相当するシフト電圧Vsを、予め設定された固定値としてシフト電圧記憶回路802に与える形態をとれば、回路構成の簡素化の点で有利となる。また、シフト電圧Vsを実際の充電電圧Vcに対応して変動値として与えられる形態をとっても良い。この場合、例えばサイリスタ7−1がONとなって出力電圧Vgが充電電圧Vcによりバイアスされたときの値を検出し、検出した値からシフト電圧Vsを生成してシフト電圧記憶回路802に与える形態をとることもできる。このことによりバッテリ5の実際の充電電圧Vcを反映した制御が可能となり、ランプ6側への出力を均一にする制御の精度をさらに向上できる点で有利となる。
[第2の実施形態]
以下、図面を用いて、本発明の第2の実施形態に係る接続負荷保護回路について、詳細に説明する。
第2の本実施形態に係る接続負荷保護回路は、図4に示すように、交流発電機1001と、第1の遅延時間生成部(第1の遅延時間生成手段に相当)1002と、サイリスタ制御部(サイリスタ制御手段に相当)1003と、第2の遅延時間生成部(第2の遅延時間生成手段に相当)1004と、電圧検出部(バッテリ電圧検出手段に相当)1005と、バッテリ1006と、接続負荷1007と、サイリスタ1008とから構成されている。
交流発電機1001は、例えば、バイクのエンジンに直結駆動されるオルタネータであり、回転数に応じた交流電圧を各相から出力する。第1の遅延時間生成部1002は、後述する電圧検出部1005からの信号に基づいて、バッテリ1006の電圧が所定値よりも高く、バッテリ1006がオープン状態であるときに、交流発電機1001からの交流出力を入力し、入力した交流電圧の大きさに応じた遅延時間を生成する。具体的には、接続負荷1007に供給する半波成分に対して半サイクル前の半波成分の電圧値を積分して遅延時間を生成し、生成した遅延時間をサイリスタ制御部1003に供給する。
サイリスタ制御部1003は、バッテリ1006や接続負荷1007に直列に配置されたサイリスタ1008の点弧を制御するものであり、第1の遅延時間生成部1002および後述する第2の遅延時間生成部1004から入力した遅延時間に基づいてサイリスタ1008の点弧タイミングを制御する。第2の遅延時間生成部1004は、電圧検出部1005からの信号により接続負荷1007に供給される電圧の実効値が所定値よりも高いときに、第1の遅延時間よりも長い第2の遅延時間を生成して、これをサイリスタ制御部1003に出力する。そして、これによって、接続負荷1007に供給される電圧の実効値を安定させるために間引き制御を行う。電圧検出部1005は、バッテリ1006の端子電圧を検出し、この端子電圧が予め定めた所定値よりも高いか否かを判断する。
図5は、第2の実施形態に係る接続負荷保護回路の構成をさらに詳細に示したものである。
図5に示すように、第2の実施形態に係る接続負荷保護回路は、交流発電機1101と、レギュレータ1201と、バッテリ1701と、接続負荷1801と、ヘッドライト3001と、テールライト1011とから構成され、さらに、レギュレータ1201は、バッテリ電圧調整回路1301(図4の電圧検出部1005に相当)と、間引き制御部1401(図4の第2の遅延時間生成部1004に相当)と、位相制御回路1501(図4の第1の遅延時間生成部1002に相当)と、サイリスタ制御部1601(図4のサイリスタ制御部1003に相当)と、ランプ電圧制御回路1901とから構成されている。
また、バッテリ電圧調整回路1301は、バッテリ1701の規格値に相当するツェナー電圧を有するツェナーダイオードZ1、Z2と抵抗により構成され、間引き制御部1401は、ツェナーダイオードZ3と時定数回路を形成する抵抗R6とコンデンサC1およびダイオードD2とから構成されている。また、位相制御回路1501は、ツェナーダイオードZ4と抵抗R5、ダイオードR5、時定数回路を形成する抵抗R2、コンデンサC3と、ツェナーダイオードZ5、ダイオードD6、トランジスタQ4、ダイオードD5、コンデンサC2とから構成されている。
次に、図6aおよび図6bを用いて、図5の回路の動作を説明すると、まずバッテリ1701が接続されている場合には、図6aのバッテリ(B)−アース(E)間電圧は、サイリスタ制御部1601によりサイリスタSCR2のゲート信号が制御されるため、その電圧値は、所定値内を推移し、バッテリ1701の端子電圧がツェナーダイオードZ4のツェナー電圧を上回ることはない。したがって、位相制御回路1501内のトランジスタQ4のベースには電圧が供給されず、OFF状態となっている。このとき、コンデンサC3は、交流発電機1101の負のサイクルでダイオードD6、ツェナーダイオードZ5、コンデンサC3、抵抗R2、ダイオードD5の経路で電荷が充電されるが、トランジスタQ4がOFFであるため、C3に充電された負の電圧による電荷が放電するループが存在せず、時定数回路は動作しない。一方、ヘッドライト3001、テールライト1011には、図6aに示すように、交流発電機1101の負のサイクルにおいて、ランプ電圧制御回路1901がサイリスタSCR1に対して、ゲート信号を供給することによりランプ(L)−アース(E)間電圧を発生させる。
次に、バッテリ1701が無い状態あるいは劣化状態である場合には、バッテリ電圧調整回路1301が作動することにより、トランジスタQ1をOFFする。トランジスタQ1がOFF状態であると、交流発電機1101の出力は、ダイオードD4、抵抗R1、ダイオードD8、抵抗R4を経由してサイリスタ制御部1601のトランジスタQ2をONさせる。
トランジスタQ2がONすると、交流発電機1101の出力は、ダイオードD4、トランジスタQ3のエミッタ−ベース間を介して、抵抗R3、ダイオードD7を経由してQ2に流れ、これによって、トランジスタQ3がONする。トランジスタQ3がONすると、交流発電機1101の出力は、ダイオードD4、トランジスタQ3、抵抗、ダイオードD3を経由してサイリスタSCR2にゲート信号を供給する。これによって、交流発電機1101の出力がバッテリ1701および接続負荷1801に供給される。
サイリスタSCR2がONすると、バッテリ1701および接続負荷1801に所定値よりも高い電圧が供給される。すると、ツェナーダイオードZ4、抵抗R5を介して、コンデンサC2に電荷が充電される。なお、このとき、ツェナーダイオードZ4のツェナー電圧は、バッテリ1701の調整電圧の最大値よりも高く設定されている。
コンデンサC2が充電されると、この充電電圧によりトランジスタQ4がONする。トランジスタQ4がONすると、コンデンサC3に充電された負電圧が交流発電機1101の正のサイクルでダイオードD9、トランジスタQ4のコレクタ−エミッタ間、交流発電機1101のチャージ(A)−アース(E)間、ダイオードD4、抵抗R1を経由する放電ループが形成されるため、時定数回路が作動し、この放電時間に相当する時間、ダイオードD4、抵抗R1、ダイオードD8、抵抗R4を経由してトランジスタQ2のONタイミングを遅らせることにより、サイリスタSCR2へのゲート信号の供給を遅延させて位相を制御する。
なお、交流発電機1101の回転数が早くなると、これに応じて交流発電機1101からの出力電圧も大きくなるが、交流発電機1101からの出力電圧も大きくなると、コンデンサC3に充電される負の電圧も高くなり、その影響でサイリスタSCR2へのゲート信号の供給も遅延するため、サイリスタからバッテリ1701、接続負荷1801に高い電圧が供給されることはない。
また、ツェナーダイオードZ4のツェナー電圧をバッテリ調整電圧の最大値よりも高く、かつサイリスタSCR2の出力電圧よりも低く設定することにより、コンデンサC2に対して、バッテリ1701がオープン時には、毎サイクルごと充電を行うことが可能となり、トランジスタQ4のON状態を維持できるため、位相制御を毎サイクルごとに実行することができる。
また、バッテリ1701や接続負荷に供給する電圧の実効値電圧を制御するためには、サイリスタSCR2へのゲート信号の供給遅延時間が短いときに間引き制御を併用すればよい。具体的には、ツェナーダイオードZ3、抵抗R6を経由してコンデンサC1を充電して、トランジスタQ1のONを維持してトランジスタQ2をOFFすることにより間引き制御を行う。なお、第2の実施形態においては、上述のように、位相制御を実施しているため、間引きの回数は少ない。そのため、間引き制御特有の問題を生ずることもない。
図7、図8aおよび図8bに示した接続負荷保護回路は、図5に示した接続負荷保護回路の変形例であり、ヘッドライト3002、テール1012に電圧を供給するランプ電圧制御回路1902の周辺の構成が異なっている。本実施形態の接続負荷保護回路は、図7に示す回路においても用いることができる。
したがって、本実施形態によれば、位相制御を行ってサイリスタの点弧タイミングを遅らせることにより負荷に出力される電圧のピークを低く抑えると共に、間引きが少なく、かつレギュレータにおける発熱量を低減することができる。
[第3の実施形態]
以下、図面を用いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
図15は、第3の実施形態に係るランプ点灯制御回路の概略を示すブロック図である。第3の実施形態に係るランプ点灯制御回路は、交流発電出力を正側および負側の半波成分に分離し、一方をバッテリの充電端子に出力すると共に、他方をサイリスタを介してランプに出力するものであり、同図に示すように、発電機2001と、サイリスタ2002と、ランプ2003と、ゲート制御回路(サイリスタ制御手段に相当)2004と、位相制御回路(位相制御手段に相当)2005と、ランプ電圧調整回路(ランプ電圧調整手段に相当)2006と、バッテリ電圧制御回路2007と、バッテリ2008とから構成されている。
発電機2001は、例えば、バイクのエンジンに直結駆動されるオルタネータであり、エンジンの回転速度に応じた電圧を供給する。サイリスタ2002は、カソード側が発電機2001に接続されると共に、アノード側がライトスイッチに接続され、交流発電出力の負側の半波成分をランプ2003に出力するものである。ランプ2003は、例えば、ヘッドライト等のランプであり、ライトスイッチを介して、サイリスタ2002のアノードと接続されている。ゲート制御回路2004は、サイリスタ2002のゲートへのトリガ電流のタイミングを制御してランプ2003への電源の供給を制御するものである。
位相制御回路2005は、交流発電出力を正側および負側の半波成分に分離し、負側の半波成分に対して、後述する所望の位相制御を行うものである。ランプ電圧調整回路2006は、ランプ2003に供給される電圧を調整して、供給する電圧の実効値を制御する。バッテリ電圧制御回路2007は、バッテリ2008の電圧を監視し、その電圧を制御する。バッテリ2008は、例えば、バイクのバッテリである。
次に、図16から図18を用いて、回路各部の動作について詳細に説明する。ここで、図16は、第3の実施形態に係るランプ点灯制御回路の回路構成を示す図であり、図17および図18は、回路各部の波形を示している。
<位相制御回路の動作>
図16および図17を用いて、位相制御回路の動作について説明する。なお、第3の実施形態においては、交流発電機出力の下側の半波をランプ2003に供給する場合を示す。位相制御回路は、図16に示すように、コンデンサC54と、ダイオードD54と、ツェナーダイオードZ56と、抵抗R54とから構成されている。
この回路は、発電機2001が正側の半波を出力したときに、コンデンサC54、ダイオードD54、ツェナーダイオードZ56、抵抗R54を通って、GNDに抜ける経路でコンデンサC54に電荷を充電する。ツェナーダイオードZ56は、このツェナー電圧よりも発電機2001の出力レベルが小さいときには、電流の通過を阻止し、そのままサイリスタSCR51を点弧させる。なお、このとき、コンデンサC54は、発電機2001の出力端側をプラス、他端をマイナスとして充電される。
次に、発電機1001が負側の半波を出力したとき、トランジスタQ53のエミッタからベース、ダイオードD56、抵抗R55を通して発電機2001に戻る経路を形成して、トランジスタQ53をONする。トランジスタQ53がON状態になると、発電機2001、トランジスタQ53のエミッタ−コレクタ間、抵抗R63、ダイオードD55を通って、コンデンサC54に戻る放電ループを形成して、コンデンサC54に蓄えられた電荷を放電する。そして、コンデンサC54の放電が終了すると、トランジスタQ51がONとなり、ダイオードD51を介して、サイリスタSCR51にゲート信号が供給される。
すなわち、発電機2001の正側の出力がツェナーダイオードZ56のツェナー電圧(図17のVc)よりも大きいときには、コンデンサC54に電荷が充電され、この電荷の放電時間分(図17のΔT)だけサイリスタSCR51の点弧タイミングが遅延される。
上記の動作を図17を用いて説明する。図17は、第3の実施形態に係るランプ点灯制御回路の各部における波形を示すタイムチャートである。図17において、(a)は発電機2001の出力電圧Vg、(b)は発電機2001の出力電流Ig、(c)はランプ電圧調整回路2006側の出力電圧V2を示す。また、図中、Vcは、ツェナーダイオードZ56のツェナー電圧を示す。
図17を参照して説明すると、発電機2001の出力電圧Vgは無負荷時は図17(a)中、一点鎖線で示すように正弦波となる。バッテリ2008への充電が行われないとき、半波成分Wpの電圧は無負荷時の正弦波に近い波形となる(図17:E)。なお、このとき出力電流Igは導通しない(図17:F)。また、半波成分Wpの電圧が、閾値Vcを超えると(図17中ハッチングを施した部分)、この信号により、上記の超過部分の面積に比例する電荷がコンデンサC54に充電される。
次に、発電機2001の出力が負側の半波成分Wnに遷移すると、上述した放電ループが形成され、コンデンサC54に蓄えられた電荷に比例する遅延時間ΔTをもって、サイリスタSCR51が点弧される。第3の実施形態においては、負側の半波成分Wnの立ち上がり時から、遅延時間ΔTに従って遅延したタイミングでサイリスタSCR51をONするので、超過部分の面積に比例した遅延時間ΔTをもってランプ2003側への出力電流Igが立ち上がることになる(図17:G)。したがって、バッテリ2008の充電時は、発電機2001の出力電圧が閾値Vc以下となるため、遅延時間ΔT=0、すなわち負側の半波成分の立ち上がりから遅延することなくランプ2003側への出力電流Igが立ち上がる(図17:D)。
一方、バッテリ2008の非充電時は、上記の超過部分の面積に比例した遅延時間ΔTをもってランプ2003側への出力電流Igが立ち上がる。このことにより、バッテリ2008の充電時の出力電流Ig(図17:D)を基準として非充電時の出力電流Ig(図17:G)のピーク値を調整して均一にすることが可能となる。またランプ2003への出力電圧V2は、図17(c)に示すようにランプ2003への出力電流Igと同形になる。
<実効値の平均化動作>
次に、図16および図18を用いて、ランプに供給する電圧の実効値(RMS)を平均化する動作について説明する。
発電機2001の出力電圧が安定している場合には、上記の位相制御回路2005を動作させることによって、ランプ2003に供給される電圧を均一化できる。しかしながら、発電機2001の出力電圧は、発電機2001の回転数等の影響で変動する。したがって、ランプ2003の寿命を長くするためには、その実効値を制御することが好ましい。そこで、ランプ電圧調整回路2006では、ランプ2003に供給する電圧の実効値を制御する機能を有している。
具体的には、発電機2001の出力電圧が負側のとき、サイリスタSCR2001が点弧されて、ランプ2003に電圧が供給されるとランプ2003とグランド間(図16中、LとE間)に供給された電圧と同等の電位差が生じる。すると、この電圧により、コンデンサC57が充電される。そして、コンデンサC57の電圧がツェナーダイオードZ58のツェナー電圧(図18(b)の閾値(Z58))を超えると、トランジスタQ54がONし、トランジスタQ53がOFFすることにより、ランプ53が消灯される。
なお、ランプ53への電圧供給は、サイリスタSCR51の点弧により行われているため、ランプ53への電圧供給時に、トランジスタQ54がONしたとしても、サイリスタSCR51のゲートが逆バイアスされない限り、電圧の供給は継続される。
コンデンサC57の放電は、コンデンサC57と抵抗R57とで決まる時定数による。したがって、コンデンサC57の放電は、常に同じ傾きとなる。いま、図18のHに示すように、発電機2001の出力電圧が高くなり、これにより、ランプ2003に供給される電圧(図18中、J)が大きくなると、コンデンサC57は、この電圧で充電されるため、コンデンサC57の充電後の端子電圧は高くなる。
一方、上記のように、コンデンサC57の放電は、コンデンサC57と抵抗R57とで決まる時定数により、常に、同じ傾きとなることから、発電機2001の出力電圧が負側となる次のサイクルで位相制御回路5が動作するタイミングでも、トランジスタQ54がON状態となっている。そのため、トランジスタQ53がONとなるタイミング、すなわち、サイリスタSCR51が点弧されるタイミングがΔtだけ遅くなる(図18中、I)。これにより、ランプ2003に供給される電圧値が小さくなる(図18中、K)。このようにして、ランプ2003に平均よりも大きな電圧が印加された場合には、次のサイクルで、サイリスタSCR51の点弧タイミングをさらに遅延させ、ランプ53に供給される電圧値を低く抑えることから、仮に、発電機2001の出力電圧が変動した場合であっても、例えば、単位時間あたりにランプ2003に供給される電圧の実効値を平均化することができる。
なお、図16のランプ電圧調整回路において、ツェナーダイオードZ58とツェナーダイオードZ59のツェナー電圧は同じであり、抵抗R55の抵抗値に比べて、抵抗R61と抵抗R60の直列抵抗値は、十分小さい値になっている。これは、上記の位相制御を発電機2001の出力の半サイクルの間に行わなければならない関係上、まずは、抵抗R61、抵抗R60の経路でコンデンサC57を急速に充電するためである。
また、ツェナーダイオードZ60と抵抗R55および抵抗R56からなる回路は、例えば、ランプ53の開放等でランプ2003への供給電圧が高くなった場合の保護回路である。具体的には、ツェナーダイオードZ60のツェナー電圧が閾値になっており、ツェナーダイオードZ60のツェナー電圧を超える電圧が生じた場合には、抵抗R55および抵抗R56が並列接続となって、コンデンサC57を充電し、これによって、トランジスタQ54をONさせ、トランジスタQ53をOFFさせることによって、ランプ2003への印加電圧値を制御する。
したがって、第3の実施形態によれば、半サイクル前の半波成分の大きさに応じて、ランプに出力する半波成分の大きさを調整し、電圧値の均一性を向上させることができ、ランプのチラツキ等を防止できる。また、簡単な回路構成で、ランプへの印加電圧を平準化できる。
以上、この発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態においては、発電機出力の正側の半波成分でバッテリを充電し、負側の半波成分でランプへの供給電圧を生成する例について説明したが、これに限らず、バッテリの充電を負側の半波成分で行い、ランプへの供給電圧を正側の半波成分で生成してもよい。