JPWO2006118249A1 - アミド基含有高分子化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】昇温過程、降温過程におけるヒステリシスが大きい等の特異な熱応答性能を示すアミド基含有高分子化合物を提供する。【解決手段】アミド基含有高分子化合物は、一般式(1):【化13】(式中、R1、R2は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、nは2以上の整数である。)で表される。アミド基含有高分子化合物は、1分子中にアミド基を2個有する新規な化合物であり、特異な熱応答特性、例えば、昇温過程、降温過程におけるヒステリシスが大きい(加熱した場合の相転移温度と冷却した場合の相転移温度との差が大きい)という特徴を有する。【選択図】なし
Description
本発明は新規なアミド基含有高分子化合物およびその製造方法に関する。
熱刺激に応答してその物理特性が可逆的な相転移を起こす水溶性高分子化合物は、熱応答性高分子化合物と言われている。この熱応答性高分子化合物は1分子中に親水性基と疎水性基とを含む化合物である。そして、ある温度以下では水に溶解し、その温度以上になると水に不溶となる可逆的な相転移を起こす。この相転移を起こす温度は曇点と呼ばれている。従来、このような特性を有するアミド基含有高分子化合物としては、ポリ(N−ヒドロキシメチルプロピル)メタクリルアミドが知られている。
特開平11−124414号公報
本発明者らはこのアミド基含有高分子化合物とは別に、α炭素の2つの官能基が同一であるため、主鎖に不斉炭素原子を持たず、立体規則性のない高分子化合物を合成し、その物理特性を検討していたところ、特定のアミド基含有高分子化合物が特異な熱応答性を示すことを見出し本発明を成すに至った。即ち、本発明は、新規なアミド基含有高分子化合物を提供することにあり、また、昇温過程、降温過程におけるヒステリシスが大きい等の特異な熱応答性能を示すアミド基含有高分子化合物を提供することにある。
本発明は、一般式(1):
また、一般式(2):
本発明の一般式(1)で示されるアミド基含有高分子化合物は、1分子中にアミド基を2個有する新規な化合物であり、特異な熱応答特性、例えば、昇温過程、降温過程におけるヒステリシスが大きい(加熱した場合の相転移温度と冷却した場合の相転移温度との差が大きい)という特徴を有する。
本発明の実施の形態に係るアミド基含有高分子化合物は、下記一般式(1)で表されるアミド基含有高分子化合物である。
アミド基含有高分子化合物は、ポリ(N、N’−アルキルメチレンマロンアミド)と呼称される。このようなアミド基含有高分子化合物としては、ポリ(N、N’−メチルメチレンマロンアミド)、ポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)、ポリ(N、N’−プロピルメチレンマロンアミド)、ポリ(N、N’−ブチルメチレンマロンアミド)、ポリ(N、N’−ペンチルメチレンマロンアミド)が例示される。これらの中でも、ポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド、ポリ(N、N’−プロピルメチレンマロンアミド)、ポリ(N、N’−イソプロピルメチレンマロンアミド)が好ましい。
またアミド基含有高分子化合物は、下記一般式(2)で表されるアミド基含化合物(N、N’−アルキルメチレンマロンアミド)をラジカル重合開始剤の存在下に重合させることにより製造できる。
本発明の実施の形態に係る製造方法に使用されるラジカル重合は、ビニル系単量体のラジカル重合反応に使用されている重合方法が適用可能である。ここで、ラジカル重合開始剤としては、例えばα、α’−アゾビスイソブチロニトリル、α、α’−アゾビスバレロニトリルが例示される。使用される反応溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、t−ブチルアルコールが例示される。
次に実施の形態を合成例にて説明する。この合成例で得られた有機化合物の分析、アミド基含有高分子化合物水溶液の光透過率、アミド基含有高分子化合物水溶液の曇点は下記の方法にしたがって測定した。
○有機化合物の分析:核磁気共鳴スペクトル分析法、元素分析、ガスクロマトグラフィ分析を使用した。その内、核磁気共鳴スペクトル分析は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)分析法にしたがい、測定装置はJEOL−GX型磁気共鳴装置(400MHz)を使用した。この時の測定溶媒には重水素置換クロロホルム(CDCl3−d)、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)を用いた。
○アミド基含有高分子化合物水溶液の光透過率:温度制御装置SPR−10(日立)を装備した日立磁気分光光度計U−3210を用いて測定した。昇温速度は1℃/分、透過光の波長は500nmで測定した。
○アミド基含有高分子化合物水溶液の曇点:光透過率が最大値と最小値の中間値に達した時の温度として定義した。
○有機化合物の分析:核磁気共鳴スペクトル分析法、元素分析、ガスクロマトグラフィ分析を使用した。その内、核磁気共鳴スペクトル分析は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)分析法にしたがい、測定装置はJEOL−GX型磁気共鳴装置(400MHz)を使用した。この時の測定溶媒には重水素置換クロロホルム(CDCl3−d)、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)を用いた。
○アミド基含有高分子化合物水溶液の光透過率:温度制御装置SPR−10(日立)を装備した日立磁気分光光度計U−3210を用いて測定した。昇温速度は1℃/分、透過光の波長は500nmで測定した。
○アミド基含有高分子化合物水溶液の曇点:光透過率が最大値と最小値の中間値に達した時の温度として定義した。
[合成例1]
(α−トリメチルシリルメチル)マロン酸ジエチルの合成
還流器、撹拌機を備えた三つ口フラスコに、ナトリウムエトキシド(8.5g、0.125モル)を脱水エタノール(60ml)に溶解した溶液を入れ、次いで、マロン酸ジエチル(20g、0.125モル)を加えて30分間撹拌した。その後、温度を85℃まで上げながらクロロメチルトリメチルシラン(15.5g、0.126モル)を1時間かけて加えた。24時間還流を行った後、反応液に少量の酢酸を加えて酸性になったことをリトマス紙で確認した後、エタノールを除去した。反応液に蒸留水(30ml)を加えて生成した塩を溶解し、ジエチルエーテル(10ml)で2回抽出を行い、ベンゼン(10ml)で1回抽出を行った。得られた抽出液を減圧濃縮後、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行なった。ここで、展開溶媒は酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/5)を使用した。得られた精製物を分析したところ、このものは、(α−トリメチルシリルメチル)マロン酸ジエチルであることが判明した。また、この化合物の収率は70.2%であった。
(α−トリメチルシリルメチル)マロン酸ジエチルの合成
還流器、撹拌機を備えた三つ口フラスコに、ナトリウムエトキシド(8.5g、0.125モル)を脱水エタノール(60ml)に溶解した溶液を入れ、次いで、マロン酸ジエチル(20g、0.125モル)を加えて30分間撹拌した。その後、温度を85℃まで上げながらクロロメチルトリメチルシラン(15.5g、0.126モル)を1時間かけて加えた。24時間還流を行った後、反応液に少量の酢酸を加えて酸性になったことをリトマス紙で確認した後、エタノールを除去した。反応液に蒸留水(30ml)を加えて生成した塩を溶解し、ジエチルエーテル(10ml)で2回抽出を行い、ベンゼン(10ml)で1回抽出を行った。得られた抽出液を減圧濃縮後、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行なった。ここで、展開溶媒は酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/5)を使用した。得られた精製物を分析したところ、このものは、(α−トリメチルシリルメチル)マロン酸ジエチルであることが判明した。また、この化合物の収率は70.2%であった。
尚、合成例1について核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)の結果を図1に示す。また、その測定値は下記に示す通りであった。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.00(s、9H、Si(CH3)3)、1.15(d、J=7.8、2H、SiCH2)、1.23(t、J=7.2、6H、CH2CH3)、3.31(t、J=7.8、1H、CH)、4.13(q、J=7.2、4H、OCH2)13C NMR(100MHz、CDCl3)δ−1.67、13.9、15.8、47.8、61.2、170.5
[合成例2]
N、N’−エチル−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドの合成
ナス型フラスコに合成例1で得られた(α−トリメチルシリルメチル)マロン酸ジエチル(10g、0.014モル)と70%エチルアミン溶液36g、0.08モル)を入れて室温で4時間撹拌した。その後、減圧濃縮により得た生成物をエタノールにより再結晶し、ろ過後、ろ物をn−ヘキサンで洗浄し、無色透明の針状結晶を得た。この針状結晶を分析したところ、このものは、N、N’−エチル−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドであることが確認された。この化合物の収率は39.1 %であった。
N、N’−エチル−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドの合成
ナス型フラスコに合成例1で得られた(α−トリメチルシリルメチル)マロン酸ジエチル(10g、0.014モル)と70%エチルアミン溶液36g、0.08モル)を入れて室温で4時間撹拌した。その後、減圧濃縮により得た生成物をエタノールにより再結晶し、ろ過後、ろ物をn−ヘキサンで洗浄し、無色透明の針状結晶を得た。この針状結晶を分析したところ、このものは、N、N’−エチル−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドであることが確認された。この化合物の収率は39.1 %であった。
尚、合成例2について核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)および元素分析の結果を図2に示す。また、その測定値は下記に示す通りであった。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.00(s、9H、Si(CH3)3)、1.12(t、J=7.2、6H、CH2CH3)、1.13(d、J=7.1、2H、SiCH2)、3.07(t、J=7.8、1H、CH)、3.21(m、4H、NHCH2)、7.29(br s、2H、NH)
13C NMR(100MHz、CDCl3)δ−1.66、14.5、20.4、34.4、50.6、172.2Anal.calcd for C11H24O2N2Si:C、54.05;H、9.90;N、11.46. Found:C、53.93;H、9.60;N、11.43.
13C NMR(100MHz、CDCl3)δ−1.66、14.5、20.4、34.4、50.6、172.2Anal.calcd for C11H24O2N2Si:C、54.05;H、9.90;N、11.46. Found:C、53.93;H、9.60;N、11.43.
[合成例3]
N、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドの合成
還流器、撹拌機を備えた三つ口フラスコに合成例2で得られたN、N’−エチル−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミド(3g、0.012mol)とトルエン(50ml)を入れ、1時間撹拌した。これに、トルエン(50ml)に塩化スルフリル(1ml、0.012モル)を混合したものを45分程度かけて加えた。室温で35時間撹拌後、溶媒を留去し、生成した白色固体を少量のクロロホルムに溶解させた。これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行なった。ここで、展開溶媒は、酢酸エチルとクロロホルムの混合溶媒(酢酸エチル/クロロホルム=9:1)を使用した。得られた精製物を分析したところ、このものは、N、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドであることが判明した。この化合物の収率は84.3%であった。
N、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドの合成
還流器、撹拌機を備えた三つ口フラスコに合成例2で得られたN、N’−エチル−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミド(3g、0.012mol)とトルエン(50ml)を入れ、1時間撹拌した。これに、トルエン(50ml)に塩化スルフリル(1ml、0.012モル)を混合したものを45分程度かけて加えた。室温で35時間撹拌後、溶媒を留去し、生成した白色固体を少量のクロロホルムに溶解させた。これを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行なった。ここで、展開溶媒は、酢酸エチルとクロロホルムの混合溶媒(酢酸エチル/クロロホルム=9:1)を使用した。得られた精製物を分析したところ、このものは、N、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドであることが判明した。この化合物の収率は84.3%であった。
尚、合成例3について核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)および元素分析の結果を図3に示す。また、その測定値は下記に示す通りであった。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.00(s、9H、Si(CH3)3)、1.08(t、J=7.3、6H、CH2CH3)、1.74、(s、2H、SiCH2)、3.20(m、4H、NHCH2)、7.03(br s、2H、NH)13C NMR(100MHz、CDCl3)δ0.00、14.7、31.2、35.8、76.2、168.7Anal. calcd for C11H23O2N2SiCl:C、47.38;H、8.31;N、10.05. Found:C、47.61;H、8.13;N、9.88.
[合成例4]
N、N’−エチルメチレンマロンアミドの合成
乾燥管付きのフラスコに合成例3で得られたN、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミド(2.8g、0.01モル)とアセトニトリル(150ml)を入れ、溶解するまで撹拌した。その後、フッ化カリウム二水和物(1.22g、0.013モル)と少量のジシクロヘキサノ−18クラウン−6(0.015g、0.04モル)を加え、室温で撹拌して、N、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドの消失をTLCで確認できるまで撹拌した。その後、混合液をろ過し、ろ物をアセトニトリル(75ml)で洗浄し、ろ液を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過で硫酸マグネシウムを取り除き、ろ液を濃縮し、アセトンに溶解させ、溶けなかったものをろ過で取り除き濃縮し、薄黄色透明の液体を得た。この透明液体を分析したところ、このものは、N、N’−エチルメチレンマロンアミドであることが判明した。また、この化合物の収率は75.2%であった。
N、N’−エチルメチレンマロンアミドの合成
乾燥管付きのフラスコに合成例3で得られたN、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミド(2.8g、0.01モル)とアセトニトリル(150ml)を入れ、溶解するまで撹拌した。その後、フッ化カリウム二水和物(1.22g、0.013モル)と少量のジシクロヘキサノ−18クラウン−6(0.015g、0.04モル)を加え、室温で撹拌して、N、N’−エチル−α−クロロ−(α−トリメチルシリルメチル)マロンアミドの消失をTLCで確認できるまで撹拌した。その後、混合液をろ過し、ろ物をアセトニトリル(75ml)で洗浄し、ろ液を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過で硫酸マグネシウムを取り除き、ろ液を濃縮し、アセトンに溶解させ、溶けなかったものをろ過で取り除き濃縮し、薄黄色透明の液体を得た。この透明液体を分析したところ、このものは、N、N’−エチルメチレンマロンアミドであることが判明した。また、この化合物の収率は75.2%であった。
合成例4について核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)の結果を図4に示す。また、その測定値は下記の通りであった。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ1.18(t、J=7.3、6H、CH3)、3.32(m、6H、NHCH2)、6.29(s、2H、=CH2)、8.00(br s、2H、NH)13C NMR(100MHz、DMSO)δ14.5、33.8、127.9、138.1、164.7
[合成例5]
N、N’−エチルメチレンマロンアミドの重合
フラスコに合成例4で得られたN、N’−エチルメチレンマロンアミド(1.68g、9.8モル)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(N、N’−エチルメチレンマロンアミドに1モルに対して1/100モル)、ジメチルホルムアミド(DMF)(3ml、モノマー濃度3モル/l)を入れ、冷メタノール中で十分に冷却しながら脱気し、窒素置換を3回行った後、真空状態で密栓し60℃で20時間重合を行った。得られた反応精製物をジエチルエーテルにより再沈殿を行った。得られた精製物を核磁気共鳴スペクトル分析、元素分析、GPC(ゲルパーミュエイションクロマトグラフィ)分析した結果、このものは、ポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)であり、下記化学構造を有するアミド基含有高分子化合物であることが判明した。尚、式中、nは数平均重合度で200であった。また、このアミド基含有高分子化合物の収率は11%であった。
N、N’−エチルメチレンマロンアミドの重合
フラスコに合成例4で得られたN、N’−エチルメチレンマロンアミド(1.68g、9.8モル)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(N、N’−エチルメチレンマロンアミドに1モルに対して1/100モル)、ジメチルホルムアミド(DMF)(3ml、モノマー濃度3モル/l)を入れ、冷メタノール中で十分に冷却しながら脱気し、窒素置換を3回行った後、真空状態で密栓し60℃で20時間重合を行った。得られた反応精製物をジエチルエーテルにより再沈殿を行った。得られた精製物を核磁気共鳴スペクトル分析、元素分析、GPC(ゲルパーミュエイションクロマトグラフィ)分析した結果、このものは、ポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)であり、下記化学構造を有するアミド基含有高分子化合物であることが判明した。尚、式中、nは数平均重合度で200であった。また、このアミド基含有高分子化合物の収率は11%であった。
合成例5について核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)の結果を図5に示す。また、その測定値は下記の通りであった。
次に、上記で得られた高分子化合物の熱応答特性を下記のようにして調べた。
上記で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)1gを水99gに溶解した。この水溶液を加熱し(昇温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。45℃附近で濁りが発生して相転移を起こした。また、この加熱後の水溶液を冷却し(降温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。27℃附近で透明性が向上し、相転移を起こした。これらの結果を後記する図6に示した。
上記で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)1gを水99gに溶解した。この水溶液を加熱し(昇温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。45℃附近で濁りが発生して相転移を起こした。また、この加熱後の水溶液を冷却し(降温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。27℃附近で透明性が向上し、相転移を起こした。これらの結果を後記する図6に示した。
[合成例5’]
N、N’−エチルメチレンマロンアミドの重合
窒素バブリングを行ったトリクロロメタン(20ml)に合成例4で得られたN、N’−エチルメチレンマロンアミド(3.31g、19.4モル)を溶解させた。これに、2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)(0.06g)を加えて、再び窒素置換を行い、30℃で12時間重合を行った。得られた反応精製物にジエチルエーテルと石油エーテルの混合溶剤(ジエチルエーテル50重量部と石油エーテル50重量部の混合物)で再沈殿を行い白色固体を得た。この白色固体を核磁気共鳴スペクトル分析した結果、このものはポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)であることが判明した。収量は1.6478 g(49.8%)であった。ついで、上記で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)1gを水99gに溶解した。この水溶液を加熱し(昇温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。45℃附近で濁りが発生して相転移を起こした。また、この加熱後の水溶液を冷却し(降温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。27℃附近で透明性が向上し、相転移を起こした。図7は、合成例5’で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)の昇温過程、降温過程におけるヒステリシス挙動の測定結果を図示したものである。相転移温度は、昇温時45.9℃、降温時28.4℃であった。
N、N’−エチルメチレンマロンアミドの重合
窒素バブリングを行ったトリクロロメタン(20ml)に合成例4で得られたN、N’−エチルメチレンマロンアミド(3.31g、19.4モル)を溶解させた。これに、2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)(0.06g)を加えて、再び窒素置換を行い、30℃で12時間重合を行った。得られた反応精製物にジエチルエーテルと石油エーテルの混合溶剤(ジエチルエーテル50重量部と石油エーテル50重量部の混合物)で再沈殿を行い白色固体を得た。この白色固体を核磁気共鳴スペクトル分析した結果、このものはポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)であることが判明した。収量は1.6478 g(49.8%)であった。ついで、上記で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)1gを水99gに溶解した。この水溶液を加熱し(昇温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。45℃附近で濁りが発生して相転移を起こした。また、この加熱後の水溶液を冷却し(降温速度:1℃/分)、その透明度を測定した。27℃附近で透明性が向上し、相転移を起こした。図7は、合成例5’で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)の昇温過程、降温過程におけるヒステリシス挙動の測定結果を図示したものである。相転移温度は、昇温時45.9℃、降温時28.4℃であった。
合成例5’について核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)の結果を図8に示す。また、その測定値は下記の通りであった。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ1.0−1.3(−CH3−CH2),2.2−2.5(CH2C),3.0−3.4(CH3−CH2−),9.2−9.8(NH)
合成例5、5’で得られた上記ポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)は、温度変化に応答して低温溶解、高温沈殿を示す温度感受性の機能を備える。また、従来ヒステリシスを有するポリアクリルアミドとしてあがるポリ(N−(1−ヒドロキシメチルプロピル)メタクリルアミド)(以下P(HMPMA)とする。)よりもヒステリシスが大きい。
この温度感受性とヒステリシス機能を利用すれば、先に高分子化をし、その後表面をコーティングするだけで、プラズマ処理などが不要である。よって、容易に表面構築が可能な再生医療用培養容器等に応用できる。とくに、従来のポリアクリルアミドに比べてアミド基を多く有することにより細胞接着たんぱく質との相互作用が強く、細胞シートが基板上に強固に吸着すると考えられる。したがって、移植に適した緻密な細胞シートが得られると考えられる。
ところで、従来ヒステリシスを有するP(HMPMA)の相転移温度は、降温時21.9℃〜22.7℃である。対して、合成例5、5’で得られたポリ(N、N’−エチルメチレンマロンアミド)の相転移温度は、降温時28.4℃である。つまり、P(HMPMA)は、約20℃でシートをはがす操作を行う必要がある。この温度は、細胞活動の至適温度よりもかなり低温である。一方、本ポリマーは約30℃ではがすことができ、細胞活動の至適温度内である。従って、生体移植後の定着がより迅速に起こると考えられる。
また、温度により溶解性が異なること、さらに、ヒステリシスを有することを利用すれば、温度を上げる際と、下げる際で、異なる物質を分離することが可能となる。これは単なる温度感受性ポリマーとは異なる。この機能を利用すれば、例えば水質処理剤へ応用できる。とくに、従来品よりヒステリシスが大きいため、屋外での大量使用など温度制御が厳密に行えない環境においても安定した効果を発揮することが可能になる。
さらに、温度により溶解性が異なることを利用すれば、抗原抗体反応あるいは、DNA−DNA反応により生じた複合体を効率的に分離回収することが可能となるため、臨床検査用素材に応用できる。さらに、ヒステリシスを有すことを利用すれば、単なる温度感受性ポリマーとは異なり、温度を上げる際と、下げる際で、異なる2種類以上の抗原あるいはDNAの測定が可能となる。
さらにまた、温度により溶解性が異なることおよび、ヒステリシスを有することを利用した、インクジェット用被記録材に適用できる。ヒステリシスを有するので、印刷前(使用前)は固体で、印刷時(溶解時)はインクジェット可能で、印刷後(使用後)は印刷前よりも強固に不溶化することが可能となる。
温度により溶解性(親水性/疎水性バランス)が異なることも用いた、分離用担体(液体クロマトグラフフィー用カラム)に応用できる。ホルモン、サイトカインなどのメディエーターが分離可能となる。とくに、従来のポリアクリルアミドに比べてアミド基を多く有することにより蛋白質・ペプチドの保持能に優れると考えられる。ヒステリシスを有すことを利用すれば、単なる温度感受性ポリマーと異なり、温度を上げる際と、下げる際で、異なる2種類以上のメディエーターが分離可能となる。
また、出荷時(使用時)と、肌(皮膚)への塗布時の使用感がことなる化粧品に適用できる。化粧品を使っている時(塗っている時)はサラサラだが、肌に塗布された後は、強くバリアー機能を発揮することが可能となる。また、従来のポリアクリルアミドに比べてアミド基を多く有することにより保湿力も大きいと考えられる。
さらに、温度により色が変わる色素と組合せ、色材転写光記録方法に応用できる。温度をコントロールできる素子と組み合わせた電子材料への応用が可能となる。
さらにまた、温度感受性および、ヒステリシスを有することを利用した、粘着剤に適用できる。肌に発布した後に、肌への密着が高くなり、且つ、内包物質の放出が可能となる。従来のポリアクリルアミドに比べてアミド基を多く有することにより皮膚への吸着性もより高いと考えられる。
加えて、37度で非凝固、凝固の二つの形態を取りうることから、人間の病巣の再現モデルとして適用できる。同様に生身の状態をリアルに再現したぬいぐるみやロボット等への応用が考えられる。なお、ヒステリシスが大きいことから、家庭内での使用や屋外での使用など温度が厳密に制御できない環境でも安定した効果を発揮すると考えられる。
37度で非凝固、凝固の二つの形態を取りうることは、医薬としての応用に適している。すなわち、ポリマーを投与し、標的部位を加熱すれば、その部位の血管を選択的に閉塞することができる。この性質を利用すれば、がん組織で異常亢進している血管新生を特異的に閉塞する新しいがん治療法の開発が可能である。加熱を取り除いても、凝固状態を維持するので、加熱時間は短時間ですむ。従来の温熱治療法では、長時間の加熱が必要であることと比較すれば、患者への負担が軽減できる。
以上のようなポリ(N、N’−アルキルメチレンマロンアミド)は、特異な熱応答特性、例えば、昇温過程、降温過程におけるヒステリシスが大きい(加熱した場合の相転移温度と冷却した場合の相転移温度との差が大きい)という特徴を有する。したがって、かかる特性が要求される用途、例えば、臨床検査用素材、再生医療用培養器素材、インクジェット用被記録材、液体クロマトグラフィ用カラム、化粧料用原料、湿布、粘着剤をつけた紙・布などの医療品、がん治療用医薬に使用される。また、一般の熱応答性の要求される分野、例えば、遮光ガラス、細胞培養基板、温度グラジェント型クロマトグラフィー担体、触媒担体、分離基材として使用される。また、保水材料、水処理用の凝集剤、土壌凝固剤、漏水防止剤、乾燥紙力増強剤、撥水処理等の凝集剤、紙等の補強剤、バインダーに好適に使用される
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