JPWO2006085421A1 - オキセタン化合物およびそれを含む硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物を提供することを課題とする。エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物により、上記課題が達成される。

Description

本発明は、オキセタン化合物およびそれを含む硬化性組成物に関する。
紫外線や電子線で硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂の分野でオキセタン化合物が用いられている。このオキセタン化合物は、4員環の環状エーテルであるオキセタン環を有しているため、3員環の環状エーテルであるエポキシ環を有する化合物(以下「エポキシ化合物」という。)に比べ、炭素−酸素間の結合がより分極した状態となる結果、高い反応性を示し、ルイス酸等をカチオン重合の開始剤に用いると開環反応が進行することが知られている。また、オキセタン化合物は、エポキシ環よりも環の歪が小さいオキセタン環を有しているため、エポキシ化合物に比べ、エネルギー的に安定となる結果、開始反応についてはオキセタン化合物の方が遅いが、成長反応についてはオキセタン化合物の方が速いということも知られている。
最近、このようなオキセタン化合物を用いた硬化性組成物が多数報告されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
具体的には、特許文献1〜5には、一分子中にエポキシ環とオキセタン環を有し、エポキシ環とオキセタン環の両方の特性を併せ持った樹脂が開示されている。しかしながら、これらの樹脂は、ラジカル重合により生成しているため鎖状高分子(具体的には、炭素−炭素結合により主鎖が形成された樹脂)の側鎖に官能基を有した構造であり、耐熱性が不十分であったり、加工性、反応性、塗装作業性等に問題があった。
また、特許文献6には、オキセタン環を有するシランカップリング剤および該シランカップリング剤を含有する硬化性樹脂溶液組成物が開示されており、特許文献7には、珪素原子を有する多官能オキセタン化合物および該多官能オキセタン化合物を含むカチオン硬化性組成物が開示されている。しかしながら、これらの組成物は、いずれも反応性に問題があった。
特開平9−208674号公報 特開平9−221625号公報 特開平9−278866号公報 特開平10−330652号公報 特開平11−148045号公報 特開2001−329112号公報 特開2001−342194号公報
そこで、本発明は、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有する特定のシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する特定の化合物との反応により得られるオキセタン化合物等の特定のオキセタン化合物を用いた硬化性組成物が、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物および下記(6)〜(13)に記載の硬化性組成物を提供するものである。
(1)エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物(以下「活性水素基含有オキセタン化合物」ともいう。)との反応により得られるオキセタン化合物。
(2)エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物(以下「活性水素基含有エポキシ化合物」ともいう。)との反応により得られるオキセタン化合物。
(3)アルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
(4)オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
(5)オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
(6)上記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物の少なくとも1種と、カチオン重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
(7)更に、充填剤を含有する上記(6)に記載の硬化性組成物。
(8)前記充填剤がシリカである上記(7)に記載の硬化性組成物。
(9)前記シリカの含有量が、1〜95質量%である上記(8)に記載の硬化性組成物。
(10)更に、上記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を含有する上記(6)〜(9)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(11)更に、ビニルエーテル化合物を含有する上記(6)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(12)更に、α,β不飽和カルボニル化合物を含有する上記(6)〜(11)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(13)更に、エポキシ化合物を含有する上記(7)〜(12)のいずれかに記載の硬化性組成物。
以下に示すように、本発明によれば、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明のオキセタン化合物を含有する硬化性組成物は、用いるシラン化合物の縮合度により、硬化性組成物の粒度を制御することが可能であるため加工性にも優れ、従来のオキセタン化合物を用いた場合のようにエポキシ樹脂を混合させる必要がなく、混合する際の作業性や相溶性等を考慮する必要がなくなるため有用である。エポキシ化合物を混合させる場合は、充填剤と併用することにより、汎用のエポキシ化合物の反応性を向上させることができ、また、充填剤の量により粘度を調整することができる。
更に、本発明のオキセタン化合物を含有する硬化性組成物は、熱および光のいずれでも硬化することが可能であることから、各種の熱・光硬化樹脂、具体的には、繊維強化複合材料、接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤、光造形用樹脂などの硬化物;インキ、トナーなどの印刷物;シーラント等に応用することができるため有用である。
図1は、実施例1−1で得られたオキセタン化合物1の1H−NMR(重クロロホルム)スペクトルのチャートである。 図2は、実施例2および比較例1の組成物の光DSCチャートである。 図3は、実施例3および比較例2の組成物のDSCチャートである。 図4は、実施例4−1〜4−4の組成物の光DSCチャートである。 図5は、実施例4−2〜4−4の組成物の硬化物の貯蔵弾性率のスペクトルである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の第1の態様のオキセタン化合物は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有オキセタン化合物との反応により得られるオキセタン化合物である。
本発明の第2の態様のオキセタン化合物は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有オキセタン化合物と、活性水素基含有エポキシ化合物との反応により得られるオキセタン化合物である。
本発明の第3の態様のオキセタン化合物は、アルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有オキセタン化合物と、活性水素基含有エポキシ化合物との反応により得られるオキセタン化合物である。
本発明の第4の態様のオキセタン化合物は、オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有エポキシ化合物との反応により得られるオキセタン化合物である。
本発明の第5の態様のオキセタン化合物は、オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有オキセタン化合物と、活性水素基含有エポキシ化合物との反応により得られるオキセタン化合物である。
以下、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物、オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物、アルコキシシリル基を有するシラン化合物、活性水素基含有オキセタン化合物および活性水素基含有エポキシ化合物について説明する。
<エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物>
エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物は、特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。
1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R1が複数ある場合は、複数のR1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
2は、エポキシ基を有する一価の有機基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい有機基(例えば、酸素原子を含んでいてもよい炭素数2〜6の2価の非環状脂肪族基、炭素数6〜10の2価の環状脂肪族基等)を介してエポキシ基がケイ素原子に結合する基であるのが好ましい。R2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
このようなシラン化合物としては、具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどの3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランもしくは3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどの2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランもしくは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルキルジアルコキシシラン;およびこれらの縮合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ここで、これらの縮合物とは、鎖状、ラダー状もしくはかご状のシロキサン骨格またはこれらが混在するシロキサン骨格に、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物であり、その具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランのアルコキシシリル基の一部を縮合させたもの等が挙げられる。
本発明においては、このような縮合物は、例えば、上記一般式(1)で表される化合物を加水分解により縮合させて得ることができるが、特にこれに限定されず、シロキサン骨格を形成した後に、該シロキサン骨格にエポキシ基およびアルコキシシリル基を有する化合物を導入することにより合成してもよい。また、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基等の官能基を分子内に有するシラン化合物、または、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを併用して縮合したものでもよい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−)の形成時にアルコールが生成するため、シラン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
これらシラン化合物の例示のうち、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランであるのが入手しやすいという理由から好ましい。
本発明においては、上記シラン化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A187、日本ユニカー社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−402、信越化学工業社製)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学工業社製)等を用いることができる。
<オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物>
オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物は、特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(1a)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、m、n、R1およびR3は、それぞれ一般式(1)におけるのと同様である。
21は、オキセタン環を有する一価の有機基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい有機基(例えば、酸素原子を含んでいてもよい炭素数2〜6の2価の非環状脂肪族基、炭素数6〜10の2価の環状脂肪族基等)を介してオキセタン環がケイ素原子に結合する基であるのが好ましい。
このようなシラン化合物としては、具体的には、例えば、特許文献6に記載されているオキセタン環を含有するシランカップリング剤;およびこれらの縮合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ここで、これらの縮合物とは、鎖状、ラダー状もしくはかご状のシロキサン骨格またはこれらが混在するシロキサン骨格に、オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物であり、その具体例としては、特許文献6に記載されているオキセタン環を含有するシランカップリング剤のアルコキシシリル基の一部を縮合させたもの等が挙げられる。
本発明においては、このような縮合物は、例えば、上記一般式(1a)で表される化合物を加水分解により縮合させて得ることができるが、特にこれに限定されず、シロキサン骨格を形成した後に、該シロキサン骨格にオキセタン環およびアルコキシシリル基を有する化合物を導入することにより合成してもよい。また、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基等の官能基を分子内に有するシラン化合物、または、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを併用して縮合したものでもよい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−)の形成時にアルコールが生成するため、シラン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
<アルコキシシリル基を有するシラン化合物>
アルコキシシリル基を有するシラン化合物は、エポキシ基およびオキセタン環を有しないものであれば特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(1b)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、pは2〜4の整数を表す。
1およびR3は、それぞれ一般式(1)におけるのと同様である。
このようなシラン化合物としては、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシアルキルシランまたはトリアルコキシアリルシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシジアルキルシランまたはジアルコキシジアリルシラン;およびこれらの縮合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ここで、これらの縮合物とは、鎖状、ラダー状もしくはかご状のシロキサン骨格またはこれらが混在するシロキサン骨格を有するシラン化合物であり、その具体例としては、テトラアルコキシシランのアルコキシシリル基の一部を縮合させたもの等が挙げられる。
本発明においては、このような縮合物は、例えば、上記一般式(1b)で表される化合物を加水分解により縮合させて得ることができる。また、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基等の官能基を分子内に有するシラン化合物を併用して縮合したものでもよい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−)の形成時にアルコールが生成するため、シラン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
これらシラン化合物の例示のうち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランであるのが入手しやすいという理由から好ましい。
本発明においては、上記シラン化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン(KBM−04、信越化学工業社製)、テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業社製)等を用いることができる。
<活性水素基含有オキセタン化合物>
活性水素基含有オキセタン化合物は、オキセタン環および活性水素基を有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、下記一般式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、R4は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのがより好ましく、メチル基、エチル基であるのが更に好ましい。
5は、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基であるのが好ましく、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基であるのがより好ましく、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基等が好適に挙げられる。
Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。
このような活性水素基含有オキセタン化合物としては、具体的には、反応させやすいという観点からオキセタンアルコールが好適に例示される。
本発明においては、上記活性水素基含有オキセタン化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)を用いることができる。
<活性水素基含有エポキシ化合物>
活性水素基含有エポキシ化合物は、エポキシ基および活性水素基を有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、下記一般式(2a)で表される化合物、下記一般式(2b)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、R22は、一般式(2)におけるR4と同様である。
23およびR25は、それぞれ一般式(2)におけるR5と同様である。
24は窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の炭化水素基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の直鎖状炭化水素基であるのが好ましく、具体的には、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等のアルキレン基から、水素原子を1個を除いて得られる3価の基が好適に挙げられる。中でも、テトラメチレン基の2位の炭素原子上の水素原子を1個を除いて得られる3価の基が好ましい。
Xは、一般式(2)におけるのと同様である。
このような活性水素基含有エポキシ化合物としては、具体的には、反応させやすいという観点からエポキシアルコールが好適に例示される。具体的には、例えば、2,3−エポキシ−1−プロパノール(別名グリシドール)、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサンが挙げられる。
本発明においては、上記活性水素基含有エポキシ化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、2,3−エポキシ−1−プロパノール(GD、ダイセル化学工業社製)、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン(ETHB、ダイセル化学工業社製)を用いることができる。
本発明の第1の態様のオキセタン化合物は、上記エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物とを反応させて得ることができる。
本発明の第2の態様のオキセタン化合物は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物と、上記活性水素基含有エポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
本発明の第3の態様のオキセタン化合物は、上記アルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物と、上記活性水素基含有エポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
本発明の第4の態様のオキセタン化合物は、上記オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有エポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
本発明の第5の態様のオキセタン化合物は、上記オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物と、上記活性水素基含有エポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
これらの反応は、一般的な縮合反応であって、その反応条件は特に限定されない。
本発明の第1の態様のオキセタン化合物は、例えば、上記エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と上記活性水素基含有オキセタン化合物とを、減圧下、50〜200℃の温度下でかくはんすることによって得ることができる。
具体的には、上記一般式(1)で表されるシラン化合物と、上記一般式(2)で表される活性水素基含有オキセタン化合物とを、以下に示すように、シラン化合物のアルコキシ基と活性水素基含有オキセタン化合物の活性水素基とが当量となるように反応させることにより、下記一般式(3)で表されるオキセタン化合物が生成する。なお、式(3)中、m、n、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、上記一般式(1)および(2)中のものと同様であり、上記一般式(1)で表されるシラン化合物は予めアルコキシシリルの一部を縮合させた縮合物であってもよい。
Figure 2006085421
このようなオキセタン化合物としては、例えば、上記で例示したエポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物および活性水素機含有オキセタン化合物の各種を反応させて得られる反応生成物が挙げられるが、これらのうち、具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとオキセタンアルコールとの反応生成物(下記式(4))が好適に例示される。
Figure 2006085421
本発明の第2〜第5の態様のオキセタン化合物も、本発明の第1の態様のオキセタン化合物と同様に、例えば、それぞれの原料となる上記化合物を、減圧下、50〜200℃の温度下でかくはんすることによって得ることができる。
具体的には、本発明の第2の態様のオキセタン化合物においては、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(2a)で表される化合物および/または上記一般式(2b)で表される化合物とを、本発明の第3の態様のオキセタン化合物においては、上記一般式(1b)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(2a)で表される化合物および/または上記一般式(2b)で表される化合物とを、本発明の第4の態様のオキセタン化合物においては、上記一般式(1a)で表される化合物と、上記一般式(2a)で表される化合物および/または上記一般式(2b)で表される化合物とを、本発明の第5の態様のオキセタン化合物においては、上記一般式(1a)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(2a)で表される化合物および/または上記一般式(2b)で表される化合物とを、以下に示すように、アルコキシ基と活性水素基とが当量となるように反応させることにより、下記一般式(3a)〜(3d)のそれぞれで表される各オキセタン化合物が生成する(上記一般式(2b)で表される化合物を用いる態様は、省略する。)。なお、式(3a)〜(3d)中、各記号は、それぞれ、上記一般式(1)、(1a)、(2)、(2a)および(2b)中のものと同様であり、qは1以上(m−1)以下の整数を表し、上記一般式(1)で表される化合物および上記一般式(1a)で表される化合物は、それぞれ予めアルコキシシリルの一部を縮合させた縮合物であってもよい。
Figure 2006085421
より具体的には、例えば、下記各反応式により、下記式(4)で表される本発明の第1の態様のオキセタン化合物、下記式(4a)および(4a′)のそれぞれで表される本発明の第2の態様のオキセタン化合物、ならびに、下記式(4b)および(4b′)のそれぞれで表される本発明の第3の態様のオキセタン化合物を得ることができる。
Figure 2006085421
本発明の硬化性組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、上記各オキセタン化合物の少なくとも1種と、カチオン重合開始剤とを含有する硬化性組成物である。
本発明の組成物においては、上記オキセタン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、上記カチオン重合開始剤について詳述する。
<カチオン重合開始剤>
本発明の組成物に用いられるカチオン重合開始剤は、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物であり、その具体例としては、光カチオン重合開始剤、光・熱カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤等が挙げられる。
(光カチオン重合開始剤)
上記光カチオン重合開始剤は、光(例えば、紫外線、紫外線レーザー光、可視光線、赤外線等)によりルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。
このような光カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、ジアゾニウム塩タイプ、ヨードニウム塩タイプ、ホスホニウム塩タイプ、スルホニウム塩タイプなどのオニウム塩タイプ;ピリニジウム塩タイプ;鉄−アレーン化合物タイプ;スルホン酸エステルタイプ;ホウ素化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、下記一般式(5)〜(7)で表される鉄・アレーン錯体系は可視光領域(400〜500nm)に吸収を持つカチオン重合開始剤が、配位子交換を経てエポキシ重合を行うという理由から好適に用いられる。
Figure 2006085421
上記式(5)〜(7)中、X-は、BF4 -、PF6 -、AsF6 -またはSbF6 -を表し、R6はアルキル基を表す。
(光・熱カチオン重合開始剤)
上記光・熱カチオン重合開始剤は、光または熱により分解し、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。
このような光・熱カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、下記式(8)または(9)で表されるスルホニウム塩の少なくとも1種を含む化合物、下記式(10)または下記式(11)で表されるオニウム塩の少なくとも1種を含む化合物、下記式(12)〜(14)のいずれかで表される化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Figure 2006085421
上記式(8)〜(11)中、X-は上記式(5)〜(7)と同様であり、R7は、H、CH3、ハロゲンまたはNO2を表し、R8は、H、CH3C(O)またはCH3OC(O)を表す。
上記式(12)中、X-は上記式(5)〜(7)と同様であり、R9は、H、CH3、アセチル基またはメトキシカルボニル基であり、R10は、それぞれ独立に、H、ハロゲンまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、R11は、H、ハロゲンまたはメトキシ基であり、R12は、炭素数1〜4のアルキル基である。
上記式(13)中、R13は、炭素数1〜18の脂肪族基、R14は、炭素数1〜18の脂肪族基または炭素数6〜18の置換もしくは非置換の芳香族基であり、R13とR14は互いに結合して環を形成してもよい。Yは、下記式(15)で表されるスルホニオ基、H、ハロゲン、ニトロ基、アルコキシ基、炭素数1〜18の脂肪族基、炭素数6〜18の置換もしくは非置換のフェニル基、フェノキシ基またはチオフェノキシ基である。Zは、式MQまたはMQp-1OH(MはB、P、AsまたはSbであり、Qはハロゲン原子、pは4または6の整数である)で示される陰イオンである。r、sは、それぞれ独立に、1または2である。
Figure 2006085421
上記式(15)中、R13およびR14は、上記式(13)と同様である。
上記式(14)中、X-は上記式(5)〜(7)と同様であり、R15は、それぞれ独立に、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
また、上記光・熱カチオン重合開始剤としては、上記式(8)〜(14)の化合物の他に、ベンジルスルホニウム塩やホスホニウム塩等の任意のオニウム塩を用いることができる。具体的には、ピレニルホスホニウム塩を用いることが、ピレニルメチルカチオン生成効率が良好であるため好ましい。
(熱カチオン重合開始剤)
上記熱カチオン重合開始剤は、熱により分解し、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。
このような熱カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、下記式(16)〜(19)で表される化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Figure 2006085421
(プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤)
上記プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤としては、具体的には、例えば、無機酸および有機酸が挙げられる。
上記無機酸としては、具体的には、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の他、CF3SO3H、ClSO3H、FSO3H、HClO4等の超強酸が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記有機酸としては、具体的には、例えば、CF3COOH、CCl3COOH等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記カチオン重合開始剤の含有量は、上記オキセタン化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。含有量がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の反応性が良好となるためである。
本発明の組成物に、カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を単独で使用した場合、光により発生したカチオンが、上記オキセタン化合物と反応する。また、光・熱カチオン重合開始剤を単独で使用した場合、光または熱により発生したカチオンが、上記オキセタン化合物と反応し、熱カチオン重合開始剤を単独で用いた場合、熱により発生したカチオンが、上記オキセタン化合物と反応する。
一方、本発明の組成物に、光カチオン重合開始剤および光・熱カチオン重合開始剤を併用した場合、光により、光カチオン重合開始剤および光・熱カチオン重合開始剤の一部からカチオンが発生し、上記オキセタン化合物と反応し、更にその反応による反応熱により熱・光カチオン重合開始剤が分解してカチオンを発生し、連鎖反応が生起する。そのため、得られる本発明の組成物は、反応性に優れ、該組成物内に充填剤(フィラー)等のエネルギー線遮蔽物が存在する場合でも硬化できる。したがって、本発明の組成物においては、光カチオン重合開始剤および光・熱カチオン重合開始剤の両方を含有するのが好ましい。
本発明の組成物は、上記オキセタン化合物と上記カチオン重合開始剤とを含有することにより、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好(具体的には、300℃以下でガラス転移点が観測されない結果)となる。これは、用いる本発明のオキセタン化合物が、光および熱のいずれによっても硬化反応が進行するものであり、また、一分子内にオキセタン環およびエポキシ環を有することから反応性(特に、重合初期の反応性)が良好になり、更に、用いる本発明のオキセタン化合物が低分子(分子量600程度以下)またはシラン縮合物であるため官能基が分子間で反応しやすく、硬化時の架橋反応によりシロキサン結合が数多く形成するためであると考えられる。
また、本発明の組成物は、上記オキセタン化合物を含有しているため、従来のオキセタン化合物を用いた場合のようにエポキシ樹脂を混合させる必要がなく、混合する際の作業性や相溶性等を考慮する必要がない。
本発明の組成物は、上記オキセタン化合物および上記カチオン重合開始剤の他に、ルイス酸化合物を含有しているのが、反応速度を制御できる理由から好ましい。
ルイス酸は、従来公知のルイス酸を用いることができ、その具体例としては、ZnCl2、ZnI2、ZnBr2などの亜鉛化合物;SnCl2などのスズ化合物;TiCl4、Ti(OC254、Ti(OCH(CH324、Ti(OC494などのチタン化合物;BCl3、BF3などのホウ素化合物;C25AlCl2などのアルミニウム化合物;ZrCl4、Zr(OC494などのジルコニウム化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、カチオンを安定化する能力が高く、少量で反応速度を制御できる理由から、亜鉛化合物を用いるのが好ましく、また、液状で混合しやすいという理由からチタン化合物を用いるのが好ましい。
ルイス酸化合物の含有量は、上記オキセタン化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部であるのが好ましい。含有量の範囲がこの範囲であると、反応速度をより適切に制御できる。また、均一で透明な硬化物が得られ、かつ、ある程度の反応速度を維持できる理由から、ルイス酸化合物の含有量は、上記オキセタン化合物100質量部に対して、0.1〜3質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
本発明の組成物は、更に、その他の反応性化合物を含有することができる。
その他の反応性化合物としては、例えば、本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、α,β不飽和カルボニル化合物、エポキシ化合物が好適に挙げられる。
本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物は、オキセタン環を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。具体的には、例えば、多官能オキセタン化合物、オキセタン樹脂が挙げられる。これらは、従来公知のものを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物が本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を含有すると、本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物の反応性や、配合物の反応性を向上させることができ、また、粘度を所望の範囲に調整することができる。
本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物の含有量は、オキセタン化合物全量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル基(CH2=CH−O−)を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。従来公知のものを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物がビニルエーテル化合物を含有すると、硬化物の弾性率を所望の範囲に制御することができる。
ビニルエーテル化合物の含有量は、本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物およびビニルエーテル化合物の合計量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
α,β不飽和カルボニル化合物は、互いに共役している炭素−炭素二重結合とカルボニル基とを1組以上、好ましくは2組以上有する化合物である。従来公知のものを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物がα,β不飽和カルボニル化合物を含有すると、ラジカル重合およびカチオン重合で硬化可能となり、また、硬化物の弾性率を所望の範囲に制御することができる。
α,β不飽和カルボニル化合物の含有量は、本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物およびα,β不飽和カルボニル化合物の合計量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
エポキシ化合物は、エポキシ基を1個以上、好ましくは2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、低分子多官能エポキシ基含有化合物が好適に挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、トリスグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミン)、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ビニルシクロヘキセンジエポキシド等)が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、エポキシ化合物は、後述する充填剤との組み合わせで用いられる。
本発明の組成物がエポキシ化合物と充填剤とを含有すると、エポキシ化合物の反応性を向上させることができ、また、充填剤の量により粘度を調整することができ、更に、硬化物の物性を向上させることができる。
エポキシ化合物の含有量は、本発明の第1〜第5の態様のオキセタン化合物およびエポキシ化合物の合計量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、上記カチオン重合性化合物以外の熱可塑性樹脂、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤等を含有することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ナイロン等が挙げられる。
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ等の各種シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
中でも、弾性率を効果的に向上させることができる点で、シリカが好ましい。
充填剤の含有量は、特に限定されないが、充填剤がシリカである場合、硬化性組成物全体に対して、1〜95質量%であるのが好ましく、30〜95質量%であるのがより好ましい。上記範囲でシリカを含有させることにより、優れた硬化性を維持しつつ、弾性率を所望の範囲に調整することが容易にできる。
反応遅延剤としては、具体的には、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法を用いることができる。
本発明の組成物は、本発明の組成物が有する特性を活かして広範な用途に用いられる。例えば、各種の熱・光硬化樹脂、具体的には、繊維強化複合材料、接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤、光造形用樹脂などの硬化物;インキ、トナーなどの印刷物;シーラント等に応用することができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.オキセタン化合物の合成
(実施例1−1)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)50g(0.203mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)70.74g(0.609mol)とを、酸性触媒としてテトラn−ブチルチタン0.34gを使用し、減圧下で反応させた。反応は、60℃から160℃まで徐々に温度を上げ、15時間かくはんすることにより行った。反応率は1H−NMR測定より88.5%で、上記式(4)で表される本発明の第1の態様のオキセタン化合物1を得た。オキセタン化合物1の分子量は、FAB Massの測定結果がm/z=499.3[M+H]+であった。
得られたオキセタン化合物1の1H−NMR(重クロロホルム)スペクトルのチャートを図1に示す。
(実施例1−2)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)100g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)141.48g(1.22mol)とを、減圧下、100℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より88.2%で、実施例1と同様、本発明の第1の態様のオキセタン化合物1を得た。
(実施例1−3)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)100g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)94.32g(0.812mol)と、グリシドール(GD、ダイセル化学工業社製)30.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より85.2%で、上記式(4a)で表される本発明の第2の態様のオキセタン化合物2を得た。
(実施例1−4)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)100g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)94.32g(0.812mol)と、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン(ETHB、ダイセル化学工業社製)52.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より89.5%で、上記式(4a′)で表される本発明の第2の態様のオキセタン化合物2′を得た。
(実施例1−5)
テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業社製)84.6g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)141.48g(1.22mol)と、グリシドール(GD、ダイセル化学工業社製)30.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より89.3%で、上記式(4b)で表される本発明の第3の態様のオキセタン化合物3を得た。
(実施例1−6)
テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業社製)84.6g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)141.48g(1.22mol)と、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン(ETHB、ダイセル化学工業社製)52.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より91.3%で、上記式(4b′)で表される本発明の第3の態様のオキセタン化合物3′を得た。
2.オキセタン化合物を含有する硬化性組成物の調製および性状
(実施例2および比較例1)
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記の方法により、光示差走査熱量(光DSC)を測定し、実施例2で得られた組成物については硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。
<光DSC>
光化学反応熱熱量計(PDC121、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、Hg−Xeランプ(200W)により照度10mW/cm2で紫外線(365nm)を照射して、25℃下で光示差走査熱量測定を行った。得られたチャートを図2に示す。また、照射後0〜8分の熱流(W/g)の積分値(J/g)を算出した。その結果を第1表に示す。
<DMA>
実施例2で得られた組成物を型に充填し、ベルトコンベア式光照射装置(S−250−C1、日本電池社製、ランプ:MAN250NL(HAN250NL)3000W)のベルトコンベアに乗せて、ピーク照度516mW/cm2、積算光量1988mJ/cm2の紫外線を表・裏各2回ずつ照射した。その後、100℃で2時間、更に180℃で3時間硬化し、縦32mm×横12mm×厚さ1mmのシート状試験片を得た。
得られた試験片について、動的粘弾性スペクトロメータ(ARES、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、ねじれモードで歪±0.01%の振動を振動数1Hzで与え、昇温速度5℃/分で室温から300℃の範囲で動的粘弾性測定を行い、弾性率(G′)を調べた。ここで、G′(ジープライム)は貯蔵弾性率(Pa)のことである。
Figure 2006085421
上記第1表中の各成分は、下記のとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−1で得られたオキセタン化合物1
・多官能オキセタン:下記式(20)で表される化合物、OX−SC、東亞合成社製、数平均分子量1575
・光カチオン重合開始剤1:下記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤1:下記式(22)で表される化合物、SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006085421
図2および第1表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1を含有する組成物(実施例2)は、エポキシ環を有しない多官能オキセタンを含有する組成物(比較例1)に比べて、紫外線に対する反応性(特に、開始反応の反応性)が優れていることが分かった。
また、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルから、オキセタン化合物1を含有する組成物(実施例2)の硬化物は、300℃以下の温度範囲において、ガラス転移点Tgが消失しており、耐熱性に優れていることが分かった。
(実施例3および比較例2)
下記第2表の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各組成物を得た。得られた各組成物について、下記の方法により、示差走査熱量(DSC)を測定した。
<DSC>
DSC(2920 Modulated DSC、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、昇温速度10℃/分で室温から350℃の範囲で示差走査熱量測定を行った。得られたチャートを図3に示す。また、室温から350℃の範囲の熱流(W/g)の積分値(J/g)を算出した。その結果を第2表に示す。
Figure 2006085421
第2表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−1で得られたオキセタン化合物1
・多官能オキセタン:上記式(20)で表される化合物、OX−SC、東亞合成社製、数平均分子量1575
・熱カチオン重合開始剤1:CP−77、旭電化工業社製
図3および第2表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1を含有する組成物(実施例3)は、エポキシ環を有しない多官能オキセタンを含有する組成物(比較例2)に比べて、反応開始温度が低く、熱に対する反応性が優れていることが分かった。
(実施例4−1〜4−4)
下記第3表の各成分を、第3表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第3表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記の方法により、光示差走査熱量(光DSC)を測定し、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。
<光DSC>
実施例2および比較例1の場合と同様の方法で行った。得られたチャートを図4に示す。
<DMA>
紫外線照射後において、100℃で2時間、更に180℃で3時間のポストキュアの代わりに、100℃で2時間、更に180℃で2時間のポストキュアを行った以外は、実施例2の場合と同様の方法で行った。実施例4−2〜4−4について、得られた貯蔵弾性率(G′)のスペクトルを図5に示す。
Figure 2006085421
第3表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−2で得られたオキセタン化合物1
・シリカ:FUSELEX、龍森社製
・光カチオン重合開始剤1:上記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤2:上記式(22)で表される化合物、SI−80L、三新化学工業社製
図4および図5に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1とシリカとを含有する組成物(実施例4−1〜4−3)は、オキセタン化合物1を含有しシリカを含有しない場合(実施例4−4)と比べて、オキセタン化合物1の反応性が同等であり、かつ、貯蔵弾性率が高かった。
(実施例5−1〜5−6)
下記第4表の各成分を、第4表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第4表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、実施例2の場合と同様の方法により、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。50℃における貯蔵弾性率(G′)の値を第4表に示す。
Figure 2006085421
第4表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−2で得られたオキセタン化合物1
・シリカ:FUSELEX、龍森社製
・エポキシ化合物:下記式(23)で表される化合物、CY−179、Huntsman Advanced Materials社製
・エポキシ樹脂:下記式(24)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD−128、東都化成社製
・オキセタン樹脂:下記式(25)で表されるオキセタン樹脂、OXT−121、東亞合成社製
・多官能オキセタン:上記式(20)で表される化合物、OX−SC、東亞合成社製、数平均分子量1575
・光カチオン重合開始剤1:上記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤1:上記式(22)で表される化合物、SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006085421
式中、nは1〜3の整数である。
第4表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1に加えて、エポキシ化合物、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂またはオキセタン化合物を配合することによって、硬化物の弾性率を向上させることができた(エポキシ化合物等を配合しない実施例4−4の組成物の硬化物の50℃における貯蔵弾性率(G′)は5.83×108Paであった(なお、ポストキュアの時間は異なる。)。図5参照。)。中でも、更にシリカを含有する場合(実施例5−1〜5−4)は、硬化物の弾性率に優れていた。
(実施例6−1〜6−3)
下記第5表の各成分を、第5表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第5表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、実施例2および比較例1の場合と同様の方法により、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。50℃における貯蔵弾性率(G′)の値を第5表に示す。
Figure 2006085421
第5表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−2で得られたオキセタン化合物1
・ビニルエーテル化合物1:下記式(26)で表される化合物、CHDVE、日本カーバイド工業社製
・α,β不飽和カルボニル化合物1:下記式(27)で表される化合物、M−309、東亞合成社製
・光カチオン重合開始剤1:上記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤1:上記式(22)で表される化合物、SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006085421
第5表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1に加えて、ビニルエーテル化合物またはα,β不飽和カルボニル化合物を配合することにより、硬化物の弾性率を向上させることができた。
本発明は、オキセタン化合物およびそれを含む硬化性組成物に関する。
紫外線や電子線で硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂の分野でオキセタン化合物が用いられている。このオキセタン化合物は、4員環の環状エーテルであるオキセタン環を有しているため、3員環の環状エーテルであるエポキシ環を有する化合物(以下「エポキシ化合物」という。)に比べ、炭素−酸素間の結合がより分極した状態となる結果、高い反応性を示し、ルイス酸等をカチオン重合の開始剤に用いると開環反応が進行することが知られている。また、オキセタン化合物は、エポキシ環よりも環の歪が小さいオキセタン環を有しているため、エポキシ化合物に比べ、エネルギー的に安定となる結果、開始反応についてはオキセタン化合物の方が遅いが、成長反応についてはオキセタン化合物の方が速いということも知られている。
最近、このようなオキセタン化合物を用いた硬化性組成物が多数報告されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
具体的には、特許文献1〜5には、一分子中にエポキシ環とオキセタン環を有し、エポキシ環とオキセタン環の両方の特性を併せ持った樹脂が開示されている。しかしながら、これらの樹脂は、ラジカル重合により生成しているため鎖状高分子(具体的には、炭素−炭素結合により主鎖が形成された樹脂)の側鎖に官能基を有した構造であり、耐熱性が不十分であったり、加工性、反応性、塗装作業性等に問題があった。
また、特許文献6には、オキセタン環を有するシランカップリング剤および該シランカップリング剤を含有する硬化性樹脂溶液組成物が開示されており、特許文献7には、珪素原子を有する多官能オキセタン化合物および該多官能オキセタン化合物を含むカチオン硬化性組成物が開示されている。しかしながら、これらの組成物は、いずれも反応性に問題があった。
特開平9−208674号公報 特開平9−221625号公報 特開平9−278866号公報 特開平10−330652号公報 特開平11−148045号公報 特開2001−329112号公報 特開2001−342194号公報
そこで、本発明は、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有する特定のシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する特定の化合物との反応により得られるオキセタン化合物等の特定のオキセタン化合物を用いた硬化性組成物が、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物および下記(6)〜(13)に記載の硬化性組成物を提供するものである。
(1)下記式(3)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421

(式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R 2 は、エポキシ基を有する一価の有機基を表し、R 2 が複数ある場合は、複数のR 2 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 3 は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R 3 が複数ある場合は、複数のR 3 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 4 は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 5 は、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。)
(2)下記式(3a)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421

(式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R 2 は、エポキシ基を有する一価の有機基を表し、R 2 が複数ある場合は、複数のR 2 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 3 は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R 3 が複数ある場合は、複数のR 3 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 4 およびR 22 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 5 およびR 23 は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。)
(3)下記式(3b)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421

(式中、pは2〜4の整数を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R 3 は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R 3 が複数ある場合は、複数のR 3 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 4 およびR 22 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 5 およびR 23 は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。)
(4)下記式(3a′)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421

(式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R 2 は、エポキシ基を有する一価の有機基を表し、R 2 が複数ある場合は、複数のR 2 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 3 は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R 3 が複数ある場合は、複数のR 3 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 4 は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 5 およびR 25 は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。R 24 は窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の炭化水素基を表す。)
(5)下記式(3b′)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421

(式中、pは2〜4の整数を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R 3 は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R 3 が複数ある場合は、複数のR 3 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R 4 は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 5 およびR 25 は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。R 24 は窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の炭化水素基を表す。)
(6)上記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物の少なくとも1種と、カチオン重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
(7)更に、充填剤を含有する上記(6)に記載の硬化性組成物。
(8)前記充填剤がシリカである上記(7)に記載の硬化性組成物。
(9)前記シリカの含有量が、1〜95質量%である上記(8)に記載の硬化性組成物。
(10)更に、上記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を含有する上記(6)〜(9)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(11)更に、ビニルエーテル化合物を含有する上記(6)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(12)更に、α,β不飽和カルボニル化合物を含有する上記(6)〜(11)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(13)更に、エポキシ化合物を含有する上記(7)〜(12)のいずれかに記載の硬化性組成物。
以下に示すように、本発明によれば、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好な硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明のオキセタン化合物を含有する硬化性組成物は、用いるシラン化合物の縮合度により、硬化性組成物の粒度を制御することが可能であるため加工性にも優れ、従来のオキセタン化合物を用いた場合のようにエポキシ樹脂を混合させる必要がなく、混合する際の作業性や相溶性等を考慮する必要がなくなるため有用である。エポキシ化合物を混合させる場合は、充填剤と併用することにより、汎用のエポキシ化合物の反応性を向上させることができ、また、充填剤の量により粘度を調整することができる。
更に、本発明のオキセタン化合物を含有する硬化性組成物は、熱および光のいずれでも硬化することが可能であることから、各種の熱・光硬化樹脂、具体的には、繊維強化複合材料、接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤、光造形用樹脂などの硬化物;インキ、トナーなどの印刷物;シーラント等に応用することができるため有用である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の第1の態様のオキセタン化合物は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物(以下「活性水素基含有オキセタン化合物」ともいう。)との反応により得られるオキセタン化合物であり、その構造は上記式(3)で表される。
本発明の第2の態様のオキセタン化合物は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有オキセタン化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物(以下「活性水素基含有エポキシ化合物」ともいう。)との反応により得られるオキセタン化合物であり、その構造は上記式(3a)または上記式(3a′)で表される
本発明の第3の態様のオキセタン化合物は、アルコキシシリル基を有するシラン化合物と、活性水素基含有オキセタン化合物と、活性水素基含有エポキシ化合物との反応により得られるオキセタン化合物であり、その構造は上記式(3b)または(3b′)で表される
以下、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物、アルコキシシリル基を有するシラン化合物、活性水素基含有オキセタン化合物および活性水素基含有エポキシ化合物について説明する。
<エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物>
エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物は、特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。
1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R1が複数ある場合は、複数のR1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
2は、エポキシ基を有する一価の有機基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい有機基(例えば、酸素原子を含んでいてもよい炭素数2〜6の2価の非環状脂肪族基、炭素数6〜10の2価の環状脂肪族基等)を介してエポキシ基がケイ素原子に結合する基であるのが好ましい。R2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
このようなシラン化合物としては、具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどの3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランもしくは3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどの2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランもしくは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルキルジアルコキシシラン;およびこれらの縮合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ここで、これらの縮合物とは、鎖状、ラダー状もしくはかご状のシロキサン骨格またはこれらが混在するシロキサン骨格に、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物であり、その具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランのアルコキシシリル基の一部を縮合させたもの等が挙げられる。
本発明においては、このような縮合物は、例えば、上記一般式(1)で表される化合物を加水分解により縮合させて得ることができるが、特にこれに限定されず、シロキサン骨格を形成した後に、該シロキサン骨格にエポキシ基およびアルコキシシリル基を有する化合物を導入することにより合成してもよい。また、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基等の官能基を分子内に有するシラン化合物、または、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを併用して縮合したものでもよい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−)の形成時にアルコールが生成するため、シラン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
これらシラン化合物の例示のうち、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランであるのが入手しやすいという理由から好ましい。
本発明においては、上記シラン化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A187、日本ユニカー社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−402、信越化学工業社製)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学工業社製)等を用いることができる。
<アルコキシシリル基を有するシラン化合物>
アルコキシシリル基を有するシラン化合物は、エポキシ基およびオキセタン環を有しないものであれば特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(1b)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、pは2〜4の整数を表す。
1およびR3は、それぞれ一般式(1)におけるのと同様である。
このようなシラン化合物としては、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシアルキルシランまたはトリアルコキシアリルシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシジアルキルシランまたはジアルコキシジアリルシラン;およびこれらの縮合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ここで、これらの縮合物とは、鎖状、ラダー状もしくはかご状のシロキサン骨格またはこれらが混在するシロキサン骨格を有するシラン化合物であり、その具体例としては、テトラアルコキシシランのアルコキシシリル基の一部を縮合させたもの等が挙げられる。
本発明においては、このような縮合物は、例えば、上記一般式(1b)で表される化合物を加水分解により縮合させて得ることができる。また、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基等の官能基を分子内に有するシラン化合物を併用して縮合したものでもよい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−)の形成時にアルコールが生成するため、シラン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
これらシラン化合物の例示のうち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランであるのが入手しやすいという理由から好ましい。
本発明においては、上記シラン化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン(KBM−04、信越化学工業社製)、テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業社製)等を用いることができる。
<活性水素基含有オキセタン化合物>
活性水素基含有オキセタン化合物は、オキセタン環および活性水素基を有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、下記一般式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、R4は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのがより好ましく、メチル基、エチル基であるのが更に好ましい。
5は、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基であるのが好ましく、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよいアルキレン基であるのがより好ましく、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基等が好適に挙げられる。
Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。
このような活性水素基含有オキセタン化合物としては、具体的には、反応させやすいという観点からオキセタンアルコールが好適に例示される。
本発明においては、上記活性水素基含有オキセタン化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)を用いることができる。
<活性水素基含有エポキシ化合物>
活性水素基含有エポキシ化合物は、エポキシ基および活性水素基を有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、下記一般式(2a)で表される化合物、下記一般式(2b)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006085421
式中、R22は、一般式(2)におけるR4と同様である。
23およびR25は、それぞれ一般式(2)におけるR5と同様である。
24は窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の炭化水素基を表し、窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の直鎖状炭化水素基であるのが好ましく、具体的には、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等のアルキレン基から、水素原子を1個を除いて得られる3価の基が好適に挙げられる。中でも、テトラメチレン基の2位の炭素原子上の水素原子を1個を除いて得られる3価の基が好ましい。
Xは、一般式(2)におけるのと同様である。
このような活性水素基含有エポキシ化合物としては、具体的には、反応させやすいという観点からエポキシアルコールが好適に例示される。具体的には、例えば、2,3−エポキシ−1−プロパノール(別名グリシドール)、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサンが挙げられる。
本発明においては、上記活性水素基含有エポキシ化合物としては、市販品を使用することもでき、具体的には、例えば、2,3−エポキシ−1−プロパノール(GD、ダイセル化学工業社製)、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン(ETHB、ダイセル化学工業社製)を用いることができる。
本発明の第1の態様のオキセタン化合物は、上記エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物とを反応させて得ることができる。
本発明の第2の態様のオキセタン化合物は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物と、上記活性水素基含有エポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
本発明の第3の態様のオキセタン化合物は、上記アルコキシシリル基を有するシラン化合物と、上記活性水素基含有オキセタン化合物と、上記活性水素基含有エポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
これらの反応は、一般的な縮合反応であって、その反応条件は特に限定されない。
本発明の第1の態様のオキセタン化合物は、例えば、上記エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と上記活性水素基含有オキセタン化合物とを、減圧下、50〜200℃の温度下でかくはんすることによって得ることができる。
具体的には、上記一般式(1)で表されるシラン化合物と、上記一般式(2)で表される活性水素基含有オキセタン化合物とを、以下に示すように、シラン化合物のアルコキシ基と活性水素基含有オキセタン化合物の活性水素基とが当量となるように反応させることにより、下記一般式(3)で表されるオキセタン化合物が生成する。なお、式(3)中、m、n、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、上記一般式(1)および(2)中のものと同様であり、上記一般式(1)で表されるシラン化合物は予めアルコキシシリルの一部を縮合させた縮合物であってもよい。
Figure 2006085421
このようなオキセタン化合物としては、例えば、上記で例示したエポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物および活性水素機含有オキセタン化合物の各種を反応させて得られる反応生成物が挙げられるが、これらのうち、具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとオキセタンアルコールとの反応生成物(下記式(4))が好適に例示される。
Figure 2006085421
本発明の第2〜第の態様のオキセタン化合物も、本発明の第1の態様のオキセタン化合物と同様に、例えば、それぞれの原料となる上記化合物を、減圧下、50〜200℃の温度下でかくはんすることによって得ることができる。
具体的には、本発明の第2の態様のオキセタン化合物においては、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(2a)で表される化合物および/または上記一般式(2b)で表される化合物とを、本発明の第3の態様のオキセタン化合物においては、上記一般式(1b)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(2a)で表される化合物および/または上記一般式(2b)で表される化合物とを、以下に示すように、アルコキシ基と活性水素基とが当量となるように反応させることにより、下記一般式(3a)〜(3b)のそれぞれで表される各オキセタン化合物が生成する(上記一般式(2b)で表される化合物を用いる態様は、省略する。)。なお、式(3a)〜(3b)中、各記号は、それぞれ、上記一般式(1)、(1a)、(2)、(2a)および(2b)中のものと同様であり、qは1を表し、上記一般式(1)で表される化合物および上記一般式(1a)で表される化合物は、それぞれ予めアルコキシシリルの一部を縮合させた縮合物であってもよい。
Figure 2006085421
より具体的には、例えば、下記各反応式により、下記式(4)で表される本発明の第1の態様のオキセタン化合物、下記式(4a)および(4a′)のそれぞれで表される本発明の第2の態様のオキセタン化合物、ならびに、下記式(4b)および(4b′)のそれぞれで表される本発明の第3の態様のオキセタン化合物を得ることができる。
Figure 2006085421
本発明の硬化性組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、上記各オキセタン化合物の少なくとも1種と、カチオン重合開始剤とを含有する硬化性組成物である。
本発明の組成物においては、上記オキセタン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、上記カチオン重合開始剤について詳述する。
<カチオン重合開始剤>
本発明の組成物に用いられるカチオン重合開始剤は、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物であり、その具体例としては、光カチオン重合開始剤、光・熱カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤等が挙げられる。
(光カチオン重合開始剤)
上記光カチオン重合開始剤は、光(例えば、紫外線、紫外線レーザー光、可視光線、赤外線等)によりルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。
このような光カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、ジアゾニウム塩タイプ、ヨードニウム塩タイプ、ホスホニウム塩タイプ、スルホニウム塩タイプなどのオニウム塩タイプ;ピリニジウム塩タイプ;鉄−アレーン化合物タイプ;スルホン酸エステルタイプ;ホウ素化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、下記一般式(5)〜(7)で表される鉄・アレーン錯体系は可視光領域(400〜500nm)に吸収を持つカチオン重合開始剤が、配位子交換を経てエポキシ重合を行うという理由から好適に用いられる。
Figure 2006085421
上記式(5)〜(7)中、X-は、BF4 -、PF6 -、AsF6 -またはSbF6 -を表し、R6はアルキル基を表す。
(光・熱カチオン重合開始剤)
上記光・熱カチオン重合開始剤は、光または熱により分解し、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。
このような光・熱カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、下記式(8)または(9)で表されるスルホニウム塩の少なくとも1種を含む化合物、下記式(10)または下記式(11)で表されるオニウム塩の少なくとも1種を含む化合物、下記式(12)〜(14)のいずれかで表される化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Figure 2006085421
上記式(8)〜(11)中、X-は上記式(5)〜(7)と同様であり、R7は、H、CH3、ハロゲンまたはNO2を表し、R8は、H、CH3C(O)またはCH3OC(O)を表す。
上記式(12)中、X-は上記式(5)〜(7)と同様であり、R9は、H、CH3、アセチル基またはメトキシカルボニル基であり、R10は、それぞれ独立に、H、ハロゲンまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、R11は、H、ハロゲンまたはメトキシ基であり、R12は、炭素数1〜4のアルキル基である。
上記式(13)中、R13は、炭素数1〜18の脂肪族基、R14は、炭素数1〜18の脂肪族基または炭素数6〜18の置換もしくは非置換の芳香族基であり、R13とR14は互いに結合して環を形成してもよい。Yは、下記式(15)で表されるスルホニオ基、H、ハロゲン、ニトロ基、アルコキシ基、炭素数1〜18の脂肪族基、炭素数6〜18の置換もしくは非置換のフェニル基、フェノキシ基またはチオフェノキシ基である。Zは、式MQまたはMQp-1OH(MはB、P、AsまたはSbであり、Qはハロゲン原子、pは4または6の整数である)で示される陰イオンである。r、sは、それぞれ独立に、1または2である。
Figure 2006085421
上記式(15)中、R13およびR14は、上記式(13)と同様である。
上記式(14)中、X-は上記式(5)〜(7)と同様であり、R15は、それぞれ独立に、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
また、上記光・熱カチオン重合開始剤としては、上記式(8)〜(14)の化合物の他に、ベンジルスルホニウム塩やホスホニウム塩等の任意のオニウム塩を用いることができる。具体的には、ピレニルホスホニウム塩を用いることが、ピレニルメチルカチオン生成効率が良好であるため好ましい。
(熱カチオン重合開始剤)
上記熱カチオン重合開始剤は、熱により分解し、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。
このような熱カチオン重合開始剤としては、具体的には、例えば、下記式(16)〜(19)で表される化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Figure 2006085421
(プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤)
上記プロトン酸(ブレンステッド酸)開始剤としては、具体的には、例えば、無機酸および有機酸が挙げられる。
上記無機酸としては、具体的には、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の他、CF3SO3H、ClSO3H、FSO3H、HClO4等の超強酸が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記有機酸としては、具体的には、例えば、CF3COOH、CCl3COOH等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記カチオン重合開始剤の含有量は、上記オキセタン化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。含有量がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の反応性が良好となるためである。
本発明の組成物に、カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を単独で使用した場合、光により発生したカチオンが、上記オキセタン化合物と反応する。また、光・熱カチオン重合開始剤を単独で使用した場合、光または熱により発生したカチオンが、上記オキセタン化合物と反応し、熱カチオン重合開始剤を単独で用いた場合、熱により発生したカチオンが、上記オキセタン化合物と反応する。
一方、本発明の組成物に、光カチオン重合開始剤および光・熱カチオン重合開始剤を併用した場合、光により、光カチオン重合開始剤および光・熱カチオン重合開始剤の一部からカチオンが発生し、上記オキセタン化合物と反応し、更にその反応による反応熱により熱・光カチオン重合開始剤が分解してカチオンを発生し、連鎖反応が生起する。そのため、得られる本発明の組成物は、反応性に優れ、該組成物内に充填剤(フィラー)等のエネルギー線遮蔽物が存在する場合でも硬化できる。したがって、本発明の組成物においては、光カチオン重合開始剤および光・熱カチオン重合開始剤の両方を含有するのが好ましい。
本発明の組成物は、上記オキセタン化合物と上記カチオン重合開始剤とを含有することにより、反応性、特に光・熱に対するカチオン重合性に優れ、耐熱性も良好(具体的には、300℃以下でガラス転移点が観測されない結果)となる。これは、用いる本発明のオキセタン化合物が、光および熱のいずれによっても硬化反応が進行するものであり、また、一分子内にオキセタン環およびエポキシ環を有することから反応性(特に、重合初期の反応性)が良好になり、更に、用いる本発明のオキセタン化合物が低分子(分子量600程度以下)またはシラン縮合物であるため官能基が分子間で反応しやすく、硬化時の架橋反応によりシロキサン結合が数多く形成するためであると考えられる。
また、本発明の組成物は、上記オキセタン化合物を含有しているため、従来のオキセタン化合物を用いた場合のようにエポキシ樹脂を混合させる必要がなく、混合する際の作業性や相溶性等を考慮する必要がない。
本発明の組成物は、上記オキセタン化合物および上記カチオン重合開始剤の他に、ルイス酸化合物を含有しているのが、反応速度を制御できる理由から好ましい。
ルイス酸は、従来公知のルイス酸を用いることができ、その具体例としては、ZnCl2、ZnI2、ZnBr2などの亜鉛化合物;SnCl2などのスズ化合物;TiCl4、Ti(OC254、Ti(OCH(CH324、Ti(OC494などのチタン化合物;BCl3、BF3などのホウ素化合物;C25AlCl2などのアルミニウム化合物;ZrCl4、Zr(OC494などのジルコニウム化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、カチオンを安定化する能力が高く、少量で反応速度を制御できる理由から、亜鉛化合物を用いるのが好ましく、また、液状で混合しやすいという理由からチタン化合物を用いるのが好ましい。
ルイス酸化合物の含有量は、上記オキセタン化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部であるのが好ましい。含有量の範囲がこの範囲であると、反応速度をより適切に制御できる。また、均一で透明な硬化物が得られ、かつ、ある程度の反応速度を維持できる理由から、ルイス酸化合物の含有量は、上記オキセタン化合物100質量部に対して、0.1〜3質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
本発明の組成物は、更に、その他の反応性化合物を含有することができる。
その他の反応性化合物としては、例えば、本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、α,β不飽和カルボニル化合物、エポキシ化合物が好適に挙げられる。
本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物は、オキセタン環を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。具体的には、例えば、多官能オキセタン化合物、オキセタン樹脂が挙げられる。これらは、従来公知のものを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物が本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を含有すると、本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物の反応性や、配合物の反応性を向上させることができ、また、粘度を所望の範囲に調整することができる。
本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物の含有量は、オキセタン化合物全量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル基(CH2=CH−O−)を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。従来公知のものを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物がビニルエーテル化合物を含有すると、硬化物の弾性率を所望の範囲に制御することができる。
ビニルエーテル化合物の含有量は、本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物およびビニルエーテル化合物の合計量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
α,β不飽和カルボニル化合物は、互いに共役している炭素−炭素二重結合とカルボニル基とを1組以上、好ましくは2組以上有する化合物である。従来公知のものを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物がα,β不飽和カルボニル化合物を含有すると、ラジカル重合およびカチオン重合で硬化可能となり、また、硬化物の弾性率を所望の範囲に制御することができる。
α,β不飽和カルボニル化合物の含有量は、本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物およびα,β不飽和カルボニル化合物の合計量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
エポキシ化合物は、エポキシ基を1個以上、好ましくは2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、低分子多官能エポキシ基含有化合物が好適に挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、トリスグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミン)、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ビニルシクロヘキセンジエポキシド等)が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、エポキシ化合物は、後述する充填剤との組み合わせで用いられる。
本発明の組成物がエポキシ化合物と充填剤とを含有すると、エポキシ化合物の反応性を向上させることができ、また、充填剤の量により粘度を調整することができ、更に、硬化物の物性を向上させることができる。
エポキシ化合物の含有量は、本発明の第1〜第3の態様のオキセタン化合物およびエポキシ化合物の合計量に対して、0.1〜99.9質量%であるのが好ましく、30〜97質量%であるのがより好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、上記カチオン重合性化合物以外の熱可塑性樹脂、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤等を含有することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ナイロン等が挙げられる。
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ等の各種シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
中でも、弾性率を効果的に向上させることができる点で、シリカが好ましい。
充填剤の含有量は、特に限定されないが、充填剤がシリカである場合、硬化性組成物全体に対して、1〜95質量%であるのが好ましく、30〜95質量%であるのがより好ましい。上記範囲でシリカを含有させることにより、優れた硬化性を維持しつつ、弾性率を所望の範囲に調整することが容易にできる。
反応遅延剤としては、具体的には、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法を用いることができる。
本発明の組成物は、本発明の組成物が有する特性を活かして広範な用途に用いられる。例えば、各種の熱・光硬化樹脂、具体的には、繊維強化複合材料、接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤、光造形用樹脂などの硬化物;インキ、トナーなどの印刷物;シーラント等に応用することができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.オキセタン化合物の合成
(実施例1−1)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)50g(0.203mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)70.74g(0.609mol)とを、酸性触媒としてテトラn−ブチルチタン0.34gを使用し、減圧下で反応させた。反応は、60℃から160℃まで徐々に温度を上げ、15時間かくはんすることにより行った。反応率は1H−NMR測定より88.5%で、上記式(4)で表される本発明の第1の態様のオキセタン化合物1を得た。オキセタン化合物1の分子量は、FAB Massの測定結果がm/z=499.3[M+H]+であった。
得られたオキセタン化合物1の1H−NMR(重クロロホルム)スペクトルのチャートを図1に示す。
(実施例1−2)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)100g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)141.48g(1.22mol)とを、減圧下、100℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より88.2%で、実施例1と同様、本発明の第1の態様のオキセタン化合物1を得た。
(実施例1−3)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)100g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)94.32g(0.812mol)と、グリシドール(GD、ダイセル化学工業社製)30.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より85.2%で、上記式(4a)で表される本発明の第2の態様のオキセタン化合物2を得た。
(実施例1−4)
2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(A186、日本ユニカー社製)100g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)94.32g(0.812mol)と、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン(ETHB、ダイセル化学工業社製)52.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より89.5%で、上記式(4a′)で表される本発明の第2の態様のオキセタン化合物2′を得た。
(実施例1−5)
テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業社製)84.6g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)141.48g(1.22mol)と、グリシドール(GD、ダイセル化学工業社製)30.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より89.3%で、上記式(4b)で表される本発明の第3の態様のオキセタン化合物3を得た。
(実施例1−6)
テトラエトキシシラン(KBE−04、信越化学工業社製)84.6g(0.406mol)と、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(OXT−101、東亞合成社製)141.48g(1.22mol)と、1,2−エポキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン(ETHB、ダイセル化学工業社製)52.0g(0.406mol)とを、減圧下、120℃で3時間反応させた。反応率は1H−NMR測定より91.3%で、上記式(4b′)で表される本発明の第3の態様のオキセタン化合物3′を得た。
2.オキセタン化合物を含有する硬化性組成物の調製および性状
(実施例2および比較例1)
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記の方法により、光示差走査熱量(光DSC)を測定し、実施例2で得られた組成物については硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。
<光DSC>
光化学反応熱熱量計(PDC121、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、Hg−Xeランプ(200W)により照度10mW/cm2で紫外線(365nm)を照射して、25℃下で光示差走査熱量測定を行った。得られたチャートを図2に示す。また、照射後0〜8分の熱流(W/g)の積分値(J/g)を算出した。その結果を第1表に示す。
<DMA>
実施例2で得られた組成物を型に充填し、ベルトコンベア式光照射装置(S−250−C1、日本電池社製、ランプ:MAN250NL(HAN250NL)3000W)のベルトコンベアに乗せて、ピーク照度516mW/cm2、積算光量1988mJ/cm2の紫外線を表・裏各2回ずつ照射した。その後、100℃で2時間、更に180℃で3時間硬化し、縦32mm×横12mm×厚さ1mmのシート状試験片を得た。
得られた試験片について、動的粘弾性スペクトロメータ(ARES、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、ねじれモードで歪±0.01%の振動を振動数1Hzで与え、昇温速度5℃/分で室温から300℃の範囲で動的粘弾性測定を行い、弾性率(G′)を調べた。ここで、G′(ジープライム)は貯蔵弾性率(Pa)のことである。
Figure 2006085421
上記第1表中の各成分は、下記のとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−1で得られたオキセタン化合物1
・多官能オキセタン:下記式(20)で表される化合物、OX−SC、東亞合成社製、数平均分子量1575
・光カチオン重合開始剤1:下記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤1:下記式(22)で表される化合物、SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006085421
図2および第1表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1を含有する組成物(実施例2)は、エポキシ環を有しない多官能オキセタンを含有する組成物(比較例1)に比べて、紫外線に対する反応性(特に、開始反応の反応性)が優れていることが分かった。
また、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルから、オキセタン化合物1を含有する組成物(実施例2)の硬化物は、300℃以下の温度範囲において、ガラス転移点Tgが消失しており、耐熱性に優れていることが分かった。
(実施例3および比較例2)
下記第2表の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各組成物を得た。得られた各組成物について、下記の方法により、示差走査熱量(DSC)を測定した。
<DSC>
DSC(2920 Modulated DSC、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、昇温速度10℃/分で室温から350℃の範囲で示差走査熱量測定を行った。得られたチャートを図3に示す。また、室温から350℃の範囲の熱流(W/g)の積分値(J/g)を算出した。その結果を第2表に示す。
Figure 2006085421
第2表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−1で得られたオキセタン化合物1
・多官能オキセタン:上記式(20)で表される化合物、OX−SC、東亞合成社製、数平均分子量1575
・熱カチオン重合開始剤1:CP−77、旭電化工業社製
図3および第2表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1を含有する組成物(実施例3)は、エポキシ環を有しない多官能オキセタンを含有する組成物(比較例2)に比べて、反応開始温度が低く、熱に対する反応性が優れていることが分かった。
(実施例4−1〜4−4)
下記第3表の各成分を、第3表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第3表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記の方法により、光示差走査熱量(光DSC)を測定し、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。
<光DSC>
実施例2および比較例1の場合と同様の方法で行った。得られたチャートを図4に示す。
<DMA>
紫外線照射後において、100℃で2時間、更に180℃で3時間のポストキュアの代わりに、100℃で2時間、更に180℃で2時間のポストキュアを行った以外は、実施例2の場合と同様の方法で行った。実施例4−2〜4−4について、得られた貯蔵弾性率(G′)のスペクトルを図5に示す。
Figure 2006085421
第3表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−2で得られたオキセタン化合物1
・シリカ:FUSELEX、龍森社製
・光カチオン重合開始剤1:上記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤2:上記式(22)で表される化合物、SI−80L、三新化学工業社製
図4および図5に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1とシリカとを含有する組成物(実施例4−1〜4−3)は、オキセタン化合物1を含有しシリカを含有しない場合(実施例4−4)と比べて、オキセタン化合物1の反応性が同等であり、かつ、貯蔵弾性率が高かった。
(実施例5−1〜5−6)
下記第4表の各成分を、第4表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第4表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、実施例2の場合と同様の方法により、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。50℃における貯蔵弾性率(G′)の値を第4表に示す。
Figure 2006085421
第4表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−2で得られたオキセタン化合物1
・シリカ:FUSELEX、龍森社製
・エポキシ化合物:下記式(23)で表される化合物、CY−179、Huntsman Advanced Materials社製
・エポキシ樹脂:下記式(24)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD−128、東都化成社製
・オキセタン樹脂:下記式(25)で表されるオキセタン樹脂、OXT−121、東亞合成社製
・多官能オキセタン:上記式(20)で表される化合物、OX−SC、東亞合成社製、数平均分子量1575
・光カチオン重合開始剤1:上記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤1:上記式(22)で表される化合物、SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006085421
式中、nは1〜3の整数である。
第4表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1に加えて、エポキシ化合物、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂またはオキセタン化合物を配合することによって、硬化物の弾性率を向上させることができた(エポキシ化合物等を配合しない実施例4−4の組成物の硬化物の50℃における貯蔵弾性率(G′)は5.83×108Paであった(なお、ポストキュアの時間は異なる。)。図5参照。)。中でも、更にシリカを含有する場合(実施例5−1〜5−4)は、硬化物の弾性率に優れていた。
(実施例6−1〜6−3)
下記第5表の各成分を、第5表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第5表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、実施例2および比較例1の場合と同様の方法により、硬化物の動的粘弾性(DMA)スペクトルを測定した。50℃における貯蔵弾性率(G′)の値を第5表に示す。
Figure 2006085421
第5表に示す各成分は、下記に示すとおりである。
・オキセタン化合物1:実施例1−2で得られたオキセタン化合物1
・ビニルエーテル化合物1:下記式(26)で表される化合物、CHDVE、日本カーバイド工業社製
・α,β不飽和カルボニル化合物1:下記式(27)で表される化合物、M−309、東亞合成社製
・光カチオン重合開始剤1:上記式(21)で表される化合物、SP−170、旭電化工業社製
・光・熱カチオン重合開始剤1:上記式(22)で表される化合物、SI−60L、三新化学工業社製
Figure 2006085421
第5表に示す結果から明らかなように、オキセタン化合物1に加えて、ビニルエーテル化合物またはα,β不飽和カルボニル化合物を配合することにより、硬化物の弾性率を向上させることができた。
図1は、実施例1−1で得られたオキセタン化合物1の1H−NMR(重クロロホルム)スペクトルのチャートである。 図2は、実施例2および比較例1の組成物の光DSCチャートである。 図3は、実施例3および比較例2の組成物のDSCチャートである。 図4は、実施例4−1〜4−4の組成物の光DSCチャートである。 図5は、実施例4−2〜4−4の組成物の硬化物の貯蔵弾性率のスペクトルである。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物および下記(6)〜(13)に記載の硬化性組成物を提供するものである。
(1)下記式(3)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421
(式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。 2 は、3−グリシドキシプロピル基または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を表し、2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R4は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5は、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。)
(2)下記式(3a)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421
(式中、mは2または3を表し、nは1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。 2 は、3−グリシドキシプロピル基または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を表し、2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R4およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5およびR23は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。)
(3)下記式(3b)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421
(式中、pは2〜4の整数を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R4およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5およびR23は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。)
(4)下記式(3a′)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421
(式中、mは2または3を表し、nは1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。 2 は、3−グリシドキシプロピル基または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を表し、2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R4は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5およびR25は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。R24は窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の炭化水素基を表す。)
(5)下記式(3b′)で表されるオキセタン化合物。
Figure 2006085421
(式中、pは2〜4の整数を表す。qは1を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。R3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R4は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5およびR25は、それぞれ独立に、単結合または窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の二価の炭化水素基を表す。R24は窒素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭素数2以上の3価の炭化水素基を表す。)
(6)上記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物の少なくとも1種と、カチオン重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
(7)更に、充填剤を含有する上記(6)に記載の硬化性組成物。
(8)前記充填剤がシリカである上記(7)に記載の硬化性組成物。
(9)前記シリカの含有量が、1〜95質量%である上記(8)に記載の硬化性組成物。
(10)更に、上記(1)〜(5)に記載のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を含有する上記(6)〜(9)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(11)更に、ビニルエーテル化合物を含有する上記(6)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(12)更に、α,β不飽和カルボニル化合物を含有する上記(6)〜(11)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(13)更に、エポキシ化合物を含有する上記(7)〜(12)のいずれかに記載の硬化性組成物。
式中、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数(ただし、m+n≦4)を表す。
1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R1が複数ある場合は、複数のR1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
2 は、3−グリシドキシプロピル基または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を表す。2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
3は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R3が複数ある場合は、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。

Claims (13)

  1. エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
  2. エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
  3. アルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
  4. オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
  5. オキセタン環およびアルコキシシリル基を有するシラン化合物と、オキセタン環および活性水素基を有する化合物と、エポキシ基および活性水素基を有する化合物との反応により得られるオキセタン化合物。
  6. 請求項1〜5に記載のオキセタン化合物の少なくとも1種と、カチオン重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
  7. 更に、充填剤を含有する請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 前記充填剤がシリカである請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 前記シリカの含有量が、1〜95質量%である請求項8に記載の硬化性組成物。
  10. 更に、請求項1〜5に記載のオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を含有する請求項6〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. 更に、ビニルエーテル化合物を含有する請求項6〜10のいずれかに記載の硬化性組成物。
  12. 更に、α,β不飽和カルボニル化合物を含有する請求項6〜11のいずれかに記載の硬化性組成物。
  13. 更に、エポキシ化合物を含有する請求項7〜12のいずれかに記載の硬化性組成物。
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