JP2004196977A - カチオン硬化性シリコーン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A)式:(R1)m(R2)nSiO(4-m-n)/2で示される構造単位からなるカチオン重合性シリコーン化合物;B)カチオン硬化触媒;C)(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物;(2)式(II)で示されるシリケート化合物;(3)式(III):R7 aSiX4-aで例示されるシランカップリング剤;及び(4)金属脂肪酸塩又は金属アルコラートより選択される1種類以上の接着力付与剤を含む、樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシロキサン結合を主骨格として有する柔軟な樹脂組成物、かかる樹脂組成物を含む接着剤、そしてかかる樹脂組成物に導電性成分、熱伝導性成分を配合した熱・電気伝導性柔軟樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンポリマーは、安定な−Si−O−Si−O−の基本骨格を有し耐熱性、柔軟性などの観点から、多くの分野で使用されている。シリコーン系接着剤としては、室温で硬化するもの、加熱により硬化するもの、紫外線照射により硬化するものなどがある(非特許文献1参照)が、カチオン硬化触媒で硬化するタイプの柔軟なシリコーン系接着剤は、ポリシロキサン骨格に由来する凝集力の低さ、カチオン重合性基当量の大きさのために接着力が乏しく、ほとんど実用化には至っていない。
【0003】
例えば、シリコーン系接着剤は、その柔軟性・密着性のために界面の熱伝導が良くなるなどの理由から放熱性樹脂としての使用例が数多く存在するが、カチオン硬化触媒で硬化するタイプのシリコーン系接着剤には上述した理由から、柔軟性と実用的な接着性を兼ね備えた接着剤は見当たらない。カチオン硬化性のシリコーンでは、柔軟性、接着性の両方が高い接着剤は得られないと従来考えられていた(非特許文献1を参照)。
【0004】
一方、シリコーンには、優れた離型性がある事から離型剤としての用途も数多くあり、このような離型剤として、カチオン硬化触媒で硬化する置換基をペンダントさせたシリコーンをカチオン硬化触媒で硬化させるものを使用することは報告されている。しかし、このようなカチオン硬化触媒で硬化するシリコーンは柔軟性を特徴としたものではない(特許文献1〜7を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−131417号公報
【特許文献2】
特開2002−241695号公報
【特許文献3】
特開2001−226592号公報
【特許文献4】
特開2001−270990号公報
【特許文献5】
特開2002−241504号公報
【特許文献6】
特開2002−80527号公報
【特許文献7】
特開2000−355648号公報
【非特許文献1】
荒井正俊、シリコーン系接着剤、「工業材料臨時増刊号」、日刊工業新聞社、1993年9月、41巻、12号、p.124−129
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、柔軟性、接着性の両方が高いカチオン硬化タイプのシリコーン系樹脂組成物の開発が求められていた。本願発明者らは、かかる樹脂組成物を開発すべく鋭意研究を行った結果、カチオン硬化性のシリコーン化合物に特定の組み合わせの添加剤を加えることにより、柔軟性が高くても接着力がよい樹脂組成物が得られることを発見して、本発明を完成させるに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、
A)カチオン重合性シリコーン化合物であって、式:(R1)m(R2)nSiO(4-m-n)/2{式中、R1は、カチオン重合性基を持たない基で、互いに同一でも異なっていてもよい置換又は非置換の1価の炭化水素基、水素原子、又はヒドロキシル基であり、R2は、互いに同一又は異なっていてもよいカチオン重合性基を有する直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であり、m及びnは、それぞれ0〜3の整数であり、m+n=0〜3の整数である}で示される構成単位からなり、1分子中に少なくとも1個のカオチン重合性基を有し、1分子中に少なくとも1個のR2を有する化合物;
B)カチオン硬化触媒;
C)以下の(1)〜(4)より選択される1種類以上の接着力付与剤
(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物;
(2)式(II):
【0008】
【化2】
【0009】
{式中、R3〜R6は、(C1〜C6)アルキル基であり、pは、1〜5の整数である}で示されるシリケート化合物;
(3)式(III):R7 aSiX4-a
{式中、R7のうち少なくとも1個は、カチオン重合性基で置換された、直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であり、残りの基は、直鎖状又は分岐状の(C1〜C5)アルキル基、(C1〜C5)アルケニル基、アリール基、水素原子、又はヒドロキシル基であり;Xは、メトキシ、エトキシ、若しくはプロポキシのような(C1〜C5)アルコキシ基、又はハロゲンのような加水分解性基であり、aは、1〜3の整数である}で示されるシランカップリング剤;及び
(4)金属脂肪酸塩又は金属アルコラート
を含む、樹脂組成物に関する。
更に、本発明の樹脂組成物は、上記A)〜C)の成分に加えて、所望により以下より選択される1種類以上の成分:
(1)カチオン硬化触媒安定剤;
(2)増感剤;及び
(3)可塑剤
を含むことができる。
【0010】
本発明の樹脂組成物は、上述したように優れた柔軟性及び接着性を有する。ここで本発明の樹脂組成物における柔軟性とは、例えばタイプA硬度(JIS)0〜80の範囲内の柔軟性がある樹脂を無段階でコントロール・作成できることを指す。本発明の樹脂組成物の、硬化後の形態はゴム状である。
【0011】
また本発明の樹脂組成物は、シロキサン結合を主骨格として有するために、温度依存性の少ない柔軟性を有する。このため、高温から低温まで柔軟性に優れ、270〜−40℃の範囲で硬度変化をほとんど示さない。また、高温域での耐熱耐久性にも優れている。
【0012】
更に本発明の樹脂組成物の接着力は、一般的なシリコーン系接着剤が有する以上の接着強度(1MPa以上)を有する。
【0013】
そして本発明の樹脂組成物は、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によってカチオン重合を開始させる物質を生成するカチオン硬化触媒を配合しているため、加熱又はエネルギー線(紫外線など)によって速やかに硬化する。
【0014】
また本発明の樹脂組成物は、無溶剤タイプの接着剤であるが、必要に応じて有機溶媒溶液として用いてもよい。更に本発明の樹脂組成物の硬化したものは、非常に柔軟であるが空気界面に対する表面硬化性が高く、従来のラジカル硬化タイプのシリコーン系接着剤(特に、アクリル基を有するもの)に見られる、空気中の酸素による硬化阻害に起因するタックを有していないのが特徴である。このため、接着工程において表面硬化阻害を防ぐための、例えば不活性ガス置換などの工程を省くことができ、コストダウンを期待することができる。
【0015】
このような高い接着性と高い柔軟性を有する本発明の樹脂組成物は、各種用途に広く使用することができる。
【0016】
一般的に、導電性樹脂、熱伝導性樹脂における使用において、特に接着面積が大きくなる場合、更に被着体の機械的強度が低い場合応力緩和が要求されるが、高い柔軟性、密着性を有する本発明の樹脂組成物に導電性フィラーや、熱伝導性絶縁フィラーを配合することにより、導電・熱伝用途にも適応可能である。
【0017】
このような本発明の樹脂組成物が有する接着性と高い柔軟性は、以下に具体的に示す特定の組み合わせの添加剤をカチオン硬化性シリコーンに加えることにより達成される。
【0018】
【発明の実施の態様】
A)カチオン重合性シリコーン化合物
本発明の樹脂組成物に使用される、A)カチオン重合性シリコーン化合物は、柔軟性樹脂組成物を形成する主成分のベースポリマーであり、式:(R1)m(R2)nSiO(4-m-n)/2{式中、R1は、カチオン重合性基を持たない基で、互いに同一でも異なっていてもよい置換又は非置換の1価の炭化水素基、水素原子、又はヒドロキシル基であり、R2は、互いに同一又は異なっていてもよいカチオン重合性基を有する直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であり、m及びnは、それぞれ0〜3の整数であり、m+n=0〜3の整数である}で示される構成単位からなり、1分子中に少なくとも1個のカオチン重合性基を有し、1分子中に少なくとも1個のR2を有する、即ちnが1、2又は3である構成単位を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン化合物である。
【0019】
本発明の樹脂組成物においては、このシリコーン化合物中のカチオン重合性基同士が重合、架橋することで柔軟な樹脂ネットワークが形成され、柔軟性樹脂として機能する。
【0020】
上記の式においては、R1は、ケイ素原子に結合しており、カチオン重合性基を持たない、互いに同一でも異なっていてもよい置換又は非置換の1価の炭化水素基、水素原子、又はヒドロキシル基である。炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの直鎖状又は分岐状のアルキル基、ビニル、アリルのようなアルケニル基、フェニル、トリルのようなアリール基が例示される。さらにこれらの炭化水素基の一部が他の原子又は基によって置換されたもの、例えばクロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換炭化水素基が例示される。これらのうち、メチル基であるものが合成も容易で入手しやすい。また、R1の一部は、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの炭素数1〜4のアルコキシ基でもよい。これらの官能基を利用して、さらに別の官能基を反応させて新たな機能を導入したり、あるいは分子構造を変化させるために利用したりすることができる。
【0021】
上記の式において、R2は、互いに同一又は異なっていてもよいカチオン重合性基を有する直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基である。カチオン重合性基としては、重合、架橋反応を起こす基であれば任意の基を用いることができるが、代表的にはエポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基、重合性内部オレフィン基、環状シロキサンなどの基を挙げることができる。
【0022】
カチオン重合性基として例示されるエポキシ及びオキセタニル基は、それぞれ以下の式:
【0023】
【化3】
【0024】
{式中、R8〜R17は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、水素原子、又は他のカチオン重合性官能基などであるか、或いは同一若しくは隣接する炭素原子に結合したそれぞれの基が一緒になって飽和炭素環を形成する}で示される化合物から誘導される基を意味する。
【0025】
カチオン重合性基であるビニルオキシ基は、式:−O−CH=CHで示される基である。
【0026】
カチオン重合性基である重合性内部オレフィン基は、少なくとも1つの二重結合を鎖内に有する直鎖アルキル基を意味する。
【0027】
カチオン重合性基である環状シロキサンは、式:
【0028】
【化4】
【0029】
{式中、R18及びR19は、互いに同一又は異なっていてもよい(C1〜C5)アルキル基であり;qは、3又は8である}で示される環状化合物から誘導される基を意味する。
【0030】
このようなカチオン重合性基としては、具体的にはエポキシ、グリシジルオキシ、グリシジルオキシカルボニル、グリシジルアミノ、2,3−エポキシシクロペンチル、3,4−エポキシシクロヘキシル、エポキシトリシクロデセニル、エポキシジシクロペンタジエニルなどのようなオキシラン酸素含有エポキシ基;3−オキセタニル、1−メチル−3−オキセタニル、1−エチル−3−オキセタニル、3−エチル−3−オキセタニル、3−エチル−3−オキセタニルエトキシなどのようなオキセタニル基;ビニロキシ;及びペンタメチルシクロトリシロキサニルなどの基を使用することができる。このようなカチオン重合性基のうち、なかでも、式:
【0031】
【化5】
【0032】
で示されるエポキシシクロヘキシル基を有する基は、環ひずみに由来して開き易いエポキシ環を有するため、重合速度の観点からカチオン重合性基として好ましく使用することができる。この様なエポキシシクロヘキシル基を持つシリコーンは、他のカチオン硬化性シリコーンと任意の割合で配合して用いることができる。
【0033】
基R2は、上記のようなカチオン重合性基を有する直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基である。カチオン重合性基のうち、エポキシ又はオキセタニル基を有する基は、直鎖の(C2〜C20)アルキル基を介してケイ素原子と結合しており、ビニルオキシ基を有する基は、直鎖の(C2〜C20)アルキル基、又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基を介して結合しているのが一般的である。
【0034】
R2の例としては、具体的には3,4−エポキシブチル基、グリシジルオキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などのエポキシ基を含有する基,3−エチル−3−オキセタニルエトキシ基、3−(3−エチル−3−オキセタニルエトキシ)プロピル基などのオキセタニル基を含有する基、2−ビニロキシエチル基、3−ビニロキシプロピル基、2−ビニロキシエトキシ基、4−ビニロキシブトキシ基などのビニルオキシ基を含有する基、2−ブテニロキシ基、アレニロキシ基などの重合性内部オレフィンを有する基などが挙げられる。その他、2−(ペンタメチルシクロトリシロキサニル)エチル基、2−(ペンタメチルシクロトリシロキサニル)エトキシ基などの環状シロキサンを含む基も挙げることができる。ただし、カチオン重合性基で置換された直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であれば、上記で例示したものに限定されるものではない。
【0035】
また、上記の式中、シロキサン構成単位中のm、nはそれぞれ0〜3の整数であり、m+n=0〜3の整数であり、このシロキサン構成単位からなるカチオン重合性シリコーン化合物は、直鎖又は分岐鎖のいずれの骨格を有することもできる。良好な柔軟性と機械強度を両立するためには、全体のシロキサン単位中m=2、n=0となる直鎖状シロキサン単位を有することが好ましい。また、m=1、n=0となる単位を導入することにより、分岐状構造を持たせることも、硬化性や粘度を制御する場合にしばしば有効である。このカチオン重合性シリコーン化合物は、好ましくは5〜10000、より好ましくは20〜1000のシロキサン構成単位からなる。
【0036】
上記式で示される構成単位からなるA)カチオン重合性シリコーン化合物は、硬化後の柔軟性や機械的強度の観点から官能基当量300〜12000になるように置換された化合物が好ましく、より好ましくは1000〜4000の範囲の化合物である。このようなシロキサン単位からなるA)成分のケイ素原子数は、平均で5〜10000であり、好ましくは20〜1000である。これら、分子量の違うポリシロキサンは求める粘度、皮膜物性に応じて自由に選択・配合することができる。上述したカチオン重合性シリコーン化合物としては、エポキシ変性、ビニルエーテル変性、オキセタン変性シリコーン化合物が好ましく、接着性の観点からはエポキシ変性、オキセタン変性シリコーン化合物がより好ましく、入手の容易さからは、エポキシ変性シリコーン化合物が更に好ましい。
【0037】
このようなカチオン重合性シリコーン化合物としては、具体的には以下の式で示すような、脂環エポキシ側鎖置換型ジメチルシリコーン(例えば、信越化学工業株式会社製 KF102、エポキシ等量3,600);エポキシ側鎖置換型ジメチルシリコーン(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SF8413、エポキシ等量4,000;信越化学工業株式会社製 KF1001、エポキシ等量4,000);エポキシ両末端置換型ジメチルシリコーン(例えば、信越化学工業株式会社製 X−22−163B、エポキシ当量1,760)などを用いることができる。
【0038】
【化6】
【0039】
上記式中、折れ線は、直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基である。
【0040】
上記のような各種カチオン重合性基を分子内に持つカチオン重合性シリコーン化合物は、市販されているか、又は市販の各種シリコーンオイル化合物から当業者が周知の方法で製造することができる。
【0041】
B)カチオン硬化触媒
本発明の樹脂組成物に使用されるカチオン硬化触媒とは、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって反応し、酸などのカチオン重合を開始させる物質を生成することによって、A)のシリコーン化合物のカチオン重合性基であるエポキシ、オキセタニルなどの基の重合、架橋反応を進行させる化合物であって、「酸発生剤」とも呼ばれる。カルボン酸のように最初から酸の形をとっている化合物は含まれない。
【0042】
本発明の樹脂組成物に使用しうるカチオン硬化触媒としては、公知のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩およびフェロセン類などを挙げることができる。以下に具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0043】
(a)スルホニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒
スルホニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒としては、ビス〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを使用することができる。
【0044】
(b)ヨードニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒
ヨードニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを使用することができる。
【0045】
(c)ホスホニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒
ホスホニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒としては、エチルトリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどを使用することができる。
【0046】
(d)ジアゾニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒
ジアゾニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒としては、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを使用することができる。
【0047】
(e)アンモニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒
アンモニウム塩系の酸発生型カチオン硬化触媒としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを使用することができる。
【0048】
(f)フェロセン系の酸発生型カチオン硬化触媒
フェロセン系の酸発生型カチオン硬化触媒としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1−メチルエチル)ベンゼン〕鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1−メチルエチル)ベンゼン〕鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1−メチルエチル)ベンゼン〕鉄(II)テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1−メチルエチル)ベンゼン〕鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを使用することができる。
【0049】
これらの酸発生型カチオン硬化触媒としては、(a)スルホニウム塩と(b)ヨードニウム塩系の硬化触媒が、硬化速度、安定性、経済性の面から好ましく使用することができる。これらのカチオン硬化触媒は、いずれも市販されており、例えば旭電化工業社製SP−150、SP−170、CP−66、CP−77;ユニオンカーバイド社製CYRACURE−UVI−6990、UVI−6974;日本曹達社製CI−2855、CI−2639;三新化学工業社製サンエイドSI−15、SI−20、SI−25、SI−40、SI−45、SI−47、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−160、SI−180;「イルガキュア261」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1−メチルエチル)ベンゼン〕−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート)、「ロードシル(RHODORSIL)2074」;(ローヌ・プーラン社製4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)などを使用することができる。
【0050】
本発明の樹脂組成物において使用しうるカチオン硬化触媒は、上述した材料の中から選択し、単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。カチオン硬化触媒の使用量の好適な範囲は、特に制限がないが、A)カチオン重合性基を分子内に持つシリコーンオイル化合物100質量部に対して0.05〜25質量部、好ましくは0.1〜20質量部である。添加量が0.05質量部より少ないと感度不良となり硬化するために著しく大きな光照射エネルギーや長時間の高温処理が必要である。また、25質量部を超えて添加しても感度は向上せず、カチオン硬化性シリコーンに対して十分に溶解、或いは安定な乳化状態が得られない場合がある。さらに硬化後の樹脂中に未硬化成分として残存する量が多くなり硬化物物性が低下する恐れがある。
【0051】
C)(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物、(2)式( II )のシリケート化合物;(3)式( III ):R 7 a SiX 4-a のシランカップリング剤;及び(4)金属脂肪酸塩又は金属アルコラートから選択される1種類以上の接着力付与剤
本発明の樹脂組成物には、接着力付与剤として以下に説明する(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物、(2)式(II)のシリケート化合物;(3)式(III):R7 aSiX4-aのシランカップリング剤;及び(4)金属脂肪酸塩又は金属アルコラートから選択される1種類以上の接着力付与剤を配合する。
【0052】
(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物
本発明の樹脂組成物に非シロキサン型のカチオン硬化性化合物を配合すると、接着力が向上する。このようなカチオン硬化性化合物としては、例えば(a)分子内に少なくとも一個のオキセタニル基を有する化合物;(b)同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも一個のエポキシ基とを有する化合物;(c)分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物;(d)上記(a)、(b)又は(c)以外のカチオン硬化性化合物を用いることができる。
【0053】
具体的には、以下の化合物を挙げることができる。
(a)分子内に少なくとも一個のオキセタニル基を有する化合物
分子内に少なくとも一個のオキセタニル基を有する化合物であれば、任意の化号物を用いることができるが、このような化合物としては、例えばトリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製;商品名EOXA)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(別名キシリレンジオキセタン;東亞合成社製;商品名XDO)、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル〕エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサンを使用することができる。また、高分子量の多価オキセタン環を有する化合物、具体的にはオキセタンオリゴマー(東亞合成社製;商品名Oligo−OXT)、2−オキサスピロ〔3.5〕ノナン、7−メチル−2−オキサスピロ〔3.5〕ノナン、スピロ〔アダマンタン−2,3’−オキセタン〕、スピロ〔ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,3’−オキセタン〕、スピロ〔ビシクロ〔2.2.2〕オクタン−2,3’−オキセタン〕、スピロ〔7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,3’−オキセタン〕、2−オキサスピロ〔3.5〕ノナ−6−エン、5−メチル−2−オキサスピロ〔3.5〕ノナ−6−エン、スピロ〔ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−5−エン−2,3’−オキセタン〕、スピロ〔3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−5−エン−2,3’−オキセタン〕、5−メチル−2−オキサスピロ〔3.5〕ノナン、スピロ〔3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,3’−オキセタン〕などを使用することができる。
これらの化合物(a)は、単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。
これらの化合物(a)は、いずれも公知の化合物であり、市販されているか、又は当業者に周知の方法で合成することができる。
【0054】
(b)同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも一個のエポキシ基とを有する化合物
同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも一個のエポキシ基とを有する化合物であれば、任意の化合物を用いることができるが、このような化合物としては、例えば3−エチル−3−〔(オキシラニルメトキシ)メチル〕オキセタン、7,8−エポキシ−2−オキサ−5−メチル−スピロ〔3.5〕ノナン、6,7−エポキシ−2−オキサ−スピロ〔3.5〕ノナン、スピロ〔5,6−エポキシノルボルナン−2,3’−オキセタン〕、スピロ〔5,6−エポキシ−3−メチルノルボルナン−2,3’−オキセタン〕などを使用することができる。更には、7,8−エポキシ−2−オキサ−5−メチル−スピロ〔3.6〕デカン、5,6−エポキシ−2−オキサ−スピロ〔3.6〕デカンなどを使用することができる。
これらの同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも1個のエポキシ基とを有する化合物(b)は、いずれも市販されているか、又は当業者に周知の方法で容易に合成が可能であり、例えば米国特許3388105号などに合成方法が記載されている。
これら同一分子内に少なくとも一個のオキセタニル基と少なくとも一個のエポキシ基とを有する化合物(b)は、単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
【0055】
(c)分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物としては、公知のエポキシ化合物が使用できる。このエポキシ化合物は1分子中に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されない。
このようなエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えばフェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどを用いることができる。
また、脂肪族エポキシ化合物として、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)を用いることができる。
更にエポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエーテル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレゾルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを使用することができる。
これらの分子内に一個以上のエポキシ基を有し、オキセタニル基を有しない化合物(c)は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
これらの化合物(c)は、いずれも公知の化合物であり、市販されているか、又は当業者に周知の方法で合成することができる。
【0056】
(d)上記(a)、(b)又は(c)以外のカチオン重合性化合物
上記(a)、(b)又は(c)以外の化合物であって、酸発生型カチオン硬化触媒が発生する酸により重合開始反応や架橋反応を起こすカチオン重合性化合物を用いることができる。このようなカチオン重合性化合物としては、例えばテトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランなどのオキソラン化合物;トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンなどの環状アセタール化合物;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリンなどのチイラン化合物;3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコルジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応生成物であるスピロオルソエステル化合物;ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエンなどのエチレン性不飽和化合物;環状エーテル化合物;環状チオエーテル化合物;ビニル化合物、重合性内部オレフィンを有する化合物、環状シロキサンを含む化合物などを用いることができる。
以上列挙した(a)〜(d)の化合物のなかでも、シリコーンに相溶性を有するオキセタン化合物を好ましく使用することができる。
このようなオキセタン化合物としては、以下の式:
【0057】
【化7】
【0058】
で示される化合物を特に好ましく使用することができる。このオキセタン化合物は、長いアルキル基を持つことで、極性の低いシリコーンにも相溶可能であり、任意の割合で添加することができる。
【0059】
また、オキセタニル基を有するポリシロキサン化合物であるオキセタン変性シルセスキオキサンも、例外的に使用することができる。シルセスキオキサンとは、かご型のポリシロキサンのことで、その頂点がオキセタンによって変性された化合物を好ましく使用することができる。この化合物は本特許で例示した柔軟性を示すカチオン硬化性シリコーンよりも官能基当量が小さい事から、カチオン硬化性シリコーンに任意の割合では配合することはできないが、カチオン硬化性シリコーン100重量部に対して10重量部以下の量で配合することができ接着力を付与することができる。
【0060】
このような非シロキサン系カチオン硬化性化合物の配合割合は、任意であり、当業者が適宜決定することができるが、好ましくはカチオン重合性シリコーン化合物100重量部に対して約100〜1重量部、接着性と硬化皮膜の柔軟性の観点から特に好ましくは約40〜10重量部の範囲である。なお、シリコーンと相溶性を有する化合物を用いるのが好ましいが、相溶性の悪いカチオン硬化性化合物を用いる場合は、カチオン重合性基を分子内に持つシリコーンオイル化合物と分離しない量が望ましい。また、分離する場合であっても、強度に撹拌することで乳化又は安定に分散するものであれば使用することができる。
【0061】
(2)式( II )で示されるシリケート化合物
【0062】
【化8】
【0063】
式中、R3〜R6は、(C1〜C6)アルキル基であり、pは、1〜5の整数である。かかるシリケート化合物を配合することで、本発明の樹脂組成物は、接着力が向上する。上記のシリケート化合物のなかでも、R3〜R6が、メチル、エチル又はプロピルのもの、更にはメチル又はエチルのもの、また機械的強度の面からはpが2〜4のもの、特にp=3のものを好ましく使用することができる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、p=2〜5のポリメトキシシラン、ポリエトキシシランなどのシリケート化合物を好ましく用いることができる。このようなシリケート化合物は、市販されており、1種のみ、又は複数のものの混合物として使用することができる。
【0064】
シリケート化合物の配合量は、カチオン重合性シリコーン化合物100重量部に対して約0.1〜50重量部、好ましくは約1〜5重量部の範囲である。
【0065】
(3)式( III ):R 7 a SiX 4-a で示されるシランカップリング剤
式中、R7のうち少なくとも1個は、カチオン重合性基で置換された、直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であり、残りの基は、メチル、エチル、プロピル、ブチルのような直鎖状又は分岐状の(C1〜C5)アルキル基、ビニル、アリルのような(C1〜C5)アルケニル基、フェニル、トリルのようなアリール基、水素原子、又はヒドロキシル基である。また、これらの炭化水素基の一部が他の原子又は基によって置換されたもの、例えばクロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換炭化水素基が例示される。これらの官能基を利用して、さらに別の官能基を反応させて新たな機能を導入したり、あるいは分子構造を変化させるために利用したりすることができる。また、Xは、メトキシ、エトキシ、若しくはプロポキシのような(C1〜C5)アルコキシ基、又はハロゲンのような加水分解性基であり、aは、1〜3の整数である。かかるシランカップリング剤を配合することにより、本発明の樹脂組成物は、接着力が向上する。
【0066】
カチオン重合性基で置換された、直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基である基R7としては、具体的には3,4−エポキシブチル基、グリシジルオキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などのエポキシ基を含有する基,3−エチル−3−オキセタニルエトキシ基、3−(3−エチル−3−オキセタニルエトキシ)プロピル基などのオキセタニル基を含有する基、2−ビニロキシエチル基、3−ビニロキシプロピル基、2−ビニロキシエトキシ基、4−ビニロキシブトキシ基などのビニルオキシ基を含有する基、2−ブテニロキシ基、アレニロキシ基などの重合性内部オレフィンを有する基などが挙げられるが、カチオン硬化性基で置換された基であればそれに限定されるものではない。その他、2−(ペンタメチルシクロトリシロキサニル)エチル基、2−(ペンタメチルシクロトリシロキサニル)エトキシ基などの環状シロキサンを含む基も挙げることができる。以上例示したカチオン重合性基で置換された基R7を有する上記のシランカップリング剤を使用することができる。
【0067】
また、式(III)のシランカップリング剤において、Xは、メトキシ、エトキシ、若しくはプロポキシのような(C1〜C5)アルコキシ基、又はハロゲンのような加水分解性基であるが、ハロゲンは加水分解の結果腐食を誘発する酸を発生するため、Xは、好ましくはメトキシ又はエトキシ基である。
【0068】
式(III)のシランカップリング剤としては、特に好ましくはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルオキセタンなどを用いることができる。
【0069】
これらのシランカップリング剤は、市販されているか、又は当業者に周知の方法で合成することができる。
シランカップリング剤の配合割合は、カチオン重合性シリコーン化合物100重量部に対して、約0.1〜50重量部、好ましくは約1〜5重量部である。
【0070】
上述した(1)〜(3)から選択される1種類以上の接着力付与剤は、単独でも組み合わせても使用することができる。組み合わせて使用する際の接着力付与剤の配合割合も、カチオン重合性シリコーン化合物100重量部に対して、約0.1〜50重量部、好ましくは約1〜5重量部である。
【0071】
(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒
金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される触媒としては、従来用いられているシラノール縮合触媒を使用することができ、例えば特開2002−241695号に記載されているシラノール縮合触媒を用いることができる。具体的には、ジブチルスズジアセテ−ト、ジブチルスズジオクテ−ト、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラアルキルチタネートなどの有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトなどの有機金属触媒を使用することが例示できる。
【0072】
(4)の縮合反応触媒の配合割合は、カチオン重合性シリコーン化合物100重量部に対して約0.05〜20重量部の範囲であり、硬化性の面からは特に0.1〜15重量部の範囲が好ましい。
【0073】
C)接着力付与剤としては、上述した(1)〜(4)から選択される1種類以上が使用されるが、(2)式(II)のシリケート化合物及び/又は(3)式(III)のシランカップリング剤の成分を使用する場合には、更に(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒を加えて使用することが必須である。(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒を添加することにより、(2)式(II)のシリケート化合物及び(3)式(III)のシランカップリング剤の加水分解反応が促進され、本発明の樹脂組成物は、更に著しく接着強度が向上する。
【0074】
上述したように、C)接着力付与剤の成分は、(1)非シリコーン系カチオン硬化性化合物;(2)式(II)のシリケート化合物;及び(3)式(III)のシランカップリング剤より選択される1種類以上の接着力付与剤と、(4)縮合反応触媒を組み合わせた場合に特に高い接着力が発揮する。これらの(1)〜(4)の成分のうち(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物のみをC)接着力付与剤の成分として含む本発明の樹脂組成物に配合することができるが、また(1)〜(4)の成分は、以下のような組み合わせでC)接着力付与剤の成分として配合するのが好ましい。
(2)と(4);(3)と(4);(2)と(3)と(4);(1)と(2)と(4);(1)と(3)と(4);及び(1)と(2)と(3)と(4)。
なかでも(1)と(2)と(3)と(4)を組み合わせたC)接着力付与剤を配合すると、優れた接着力が得られる。
【0075】
D)所望により添加する成分
本発明の樹脂組成物には、所望により、(1)カチオン硬化触媒安定剤;(2)増感剤;及び(3)可塑剤より選択される1種類以上の成分を配合することができる。
【0076】
(1)カチオン硬化触媒安定剤
本発明の樹脂組成物に配合されているカチオン硬化触媒は、カチオン硬化触媒安定剤と併用することにより保存安定性が向上するため、カチオン硬化触媒安定剤を配合することが望ましい。かかる安定剤としては、カチオン硬化触媒を安定化しうる化合物であればいかなる化合物も使用しうるが、なかでも特表平8−511572、特開平5−5006及び特開平8−283320に例示されている安定剤を好ましく使用することができる。かかる安定剤の配合割合は、安定剤の活性によって大きく変るが、カチオン硬化触媒100質量部に対して約10〜0.01質量部、好ましくは約5〜1質量部の範囲である。
【0077】
(2)増感剤
本発明の樹脂組成物は、加熱又はエネルギー線の照射によって速やかに硬化するが、エネルギー線の増感剤を配合することにより、エネルギー線によるカチオン硬化触媒の反応特性を変えることができる。このような増感剤としては、例えばピレン、ペリレン、フェノチアジン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−デシルチオキサントン及び2−ドデシルチオキサントンのようなチオキサントンなどを用いることができる。これらの増感剤は、市販されているか、又は当業者に周知の方法で合成することができる。
【0078】
(3)可塑剤
本発明の樹脂組成物には、カチオン硬化を阻害しない範囲で、必要に応じて可塑剤を配合することができる。可塑剤としては、例えば各種シリコーンオイル、有機変性シリコーンオイル、エポキシ、又はオキセタン環当量が大きい樹脂を用いることができる。なかでも可塑剤としてはシリコーンを好ましく使用することができ、本発明の樹脂組成物の主成分であるA)カチオン重合性基を分子内に持つシリコーンオイル化合物と相溶性の良いもの、特にメルカプト変性やカルビノール変性タイプのシリコーンオイル化合物を好ましく使用することができる。
【0079】
これらの可塑剤は、市販されているか、又は当業者に周知の方法で合成することができる。また、これらの可塑剤は、目的とする硬度(柔軟性)に応じて任意の割合で添加することができ、当業者であればその添加割合を適宜決定することができる。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分A)〜C)と、所望により更に成分D)を含むが、必要であれば保存剤、着色料、フィラー、溶剤など一般に樹脂に対して加えられる添加剤などを適宜添加することができる。ただし、成分A)〜D)の作用を阻害する物質は添加しないのが望ましい。例えばカチオン硬化触媒の作用を阻害するアミン系添加剤、硬化を阻害するアルカリ性物質などをその硬化阻害が実用上問題になるほど添加するのは望ましくない。
【0081】
本発明の樹脂組成物は、優れた柔軟性と接着性を有するため、接着剤など各種用途に有効に使用することができる。特に本発明の樹脂組成物に導電性フィラーを配合することにより、優れた柔軟性と接着性が要求される導電性接着剤として使用することができる。導電性フィラーとしては、例えば特開2002−235065号に記載するように、Au、Ag、Ni、Cu、Sb、Sn、はんだなどの金属粒子、カーボンなどの導電性を有する物質の粒子(カーボンブラックやカーボンナノチューブなど)、これらの粒子又は非導電性のガラス、セラミックス、プラスチック粒子を核として表面に他の導電性材料を被覆したものを用いることができる。更に、上記のような物質からなる導電性粒子を核とし,この核の表面を絶縁層で被覆し、加圧すると内部の核が絶縁層を破って接触するようにしたものも使用でき、この場合異方性導電材料となりうる。カーボンブラックを配合することで樹脂の強度を向上できる。また、カーボンナノチューブを配合することで導電樹脂が伸びた時の抵抗値変化を小さくできる。また、これらの導電フィラーは、必要に応じて単独で、又は任意の割合で組み合わせて使用することができる。導電性フィラーを本発明の樹脂組成物に配合する場合の配合割合は、本発明の樹脂組成物中通常約1〜60体積%であるが、求める粘度、導電性などの性能に応じて自由に配合することができる。また、溶剤を任意に添加することで粘度を調節することもできる。
【0082】
また本発明の樹脂組成物には、絶縁熱伝導性フィラーを配合することにより、柔軟性と接着性が要求される絶縁熱伝導性接着剤として使用することができる。このような絶縁熱伝導性フィラーとしては、各種金属酸化物(Al2O3、TiO2、ZnO)や、窒化物(AlN)、炭化物(SiC)などの絶縁物であって、熱伝導率が10W/mK以上のものを好ましく使用することができる。
【0083】
これらの導電性フィラー及び絶縁熱伝導性フィラーは、種類、形状、大きさの異なるものを任意の割合で組み合わせて用いることができる。
【0084】
上述のように、本発明の樹脂組成物を導電性接着剤又は絶縁熱伝導性接着剤として使用する場合、それぞれのフィラーを配合するのに適した粘度になるように、接着性エポキシシリコーン樹脂を配合するのが望ましい。好ましくは25℃の温度で、1000〜10mPa・s、より好ましくは500〜100mPa・sの粘度になるように樹脂を配合することができる。
【0085】
また、上記のようなフィラーのほかにも、樹脂の強度向上のために公知・市販のフィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、例えばシリカ、アルミナ、タルクのような無機フィラーや、アクリル、ポリカーボネート、シリコーンフィラーを挙げることができる。この様な粒子は、機械的強度の向上や、透明性を向上させるために特にナノレベルで分散させたものを用いることもできる。このようなフィラーとしては、表面をシランカップリング剤などで処理したものを用いることもできる。
【0086】
本発明の樹脂組成物を製造するためには、当業者には周知の方法で上記の成分A)〜C)、及び所望により成分D)を配合することにより調製する。混合に際して、混合物が透明であることが望ましいが、相溶しなくても安定な乳化状態を維持できるのであれば必ずしも透明である必要はない。
【0087】
【実施例】
以下に、実施例により本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。
攪拌装置
本実施例においては、攪拌装置として二軸のプラネタリーミキサーを用いた。冷却用のジャケットが付いているものを使用するのが好ましい。冷却用ジャケットは、カチオン開始剤の熱による開始反応を防ぐために用いる(攪拌時の発熱を抑えるもの)。
この他にも、ニーダーや遊星式ミキサー、各種ホモジナイザー、粉体の均一分散にロールミル、ビーズミルなども用いることができる。これ以外の攪拌装置もその能力に合わせて適時適応可能である。
配合混合物を乳化攪拌するには、高いせん断力がかかる高速回転ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザーなども好適できる。
【0088】
実施例1.(UV、熱硬化併用型接着剤組成物)
i) カチオン硬化性シリコーン、可塑剤の攪拌
二軸プラネタリーミキサーにエポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製 KF102;脂環エポキシ側鎖置換型ジメチルシリコーン、エポキシ等量3,600)100部、オキセタン化合物(東亞合成株式会社製 OXT−221;ビス{〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチル}エーテル)5部、シリカ超微粒子フィラー(シーアイ化成株式会社製ナノファインSiO2)10部を仕込み、均一になるまで攪拌した。このとき、液温が40℃以上にならないように攪拌速度を調節するか、或いは冷却ジャケットにて冷却を行った。
ii) 各種開始剤、カップリング剤の添加
液温が25℃以下になるように十分に冷却しながら、これに熱カチオン開始剤(三新化学工業株式会社製 SI−80L;6フッ化アンチモネート系芳香族スルホニウム塩)5部、光カチオン開始剤(Rhodia製 PHOTOINITIATOR 2074;(トリクミイル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオルフェニイル)ボレート)1部、増感剤(日本化薬株式会社製 KAYACURE DETX−s;2,4−ジエチルチオキサントン)0.5部、メチルシリケート(信越化学工業株式会社製 TMOS;テトラメチルオキシシラン)2部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 KBM−403;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)2部、有機スズ系縮合触媒(三共有機合成株式会社製 SCAT−24;ジブチルスズ系開始剤)0.5部を添加した。均一になるまで充分に混合乳化し、本発明の接着剤組成物を得た。
【0089】
実施例2.(UV、熱硬化併用型導電性接着剤組成物)
i) カチオン硬化性シリコーン、接着付与剤、可塑剤、フィラーの攪拌
二軸プラネタリーミキサーにエポキシ変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SF8413;エポキシ側鎖置換型ジメチルシリコーン、エポキシ等量4,000)50部、エポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製 X−22−163B;エポキシ両末端置換型ジメチルシリコーン、エポキシ当量1,760)50部、メルカプト変性シリコーン(信越化学工業株式会社製 X−22−167B;メルカプト両末端置換型ジメチルシリコーン、官能基当量1,670)、オキセタン化合物(東亞合成 OXT−212;3−エチル−3−〔(2−エチルヘキシルオキシ)メチル〕オキセタン)10部を仕込み、均一になるまで攪拌した。このとき、液温が40℃以上にならないように攪拌速度を調節するか、或いは冷却ジャケットにて冷却を行った。
ii) 各種開始剤、カップリング剤の添加
液温が25℃以下になるように十分に冷却しながら、これに熱カチオン開始剤(三新化学工業株式会社製 SI−25L;6フッ化アンチモネート系芳香族スルホニウム塩)5部、光カチオン開始剤(Rhodia製 PHOTOINITIATOR 2074;(トリクミイル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオルフェニイル)ボレート)1部、増感剤(日本化薬株式会社製 KAYACURE DETX−s;2,4−ジエチルチオキサントン)0.5部、メチルシリケート(信越化学工業株式会社製 TEOS;テトラエチルオキシシラン)2部、シランカップリング剤(東亞合成株式会社製 TESOX;トリエトキシシリルオキセタン)2部、有機スズ系縮合触媒(三共有機合成株式会社製 SCAT−24;ジブチルスズ系開始剤)0.5部を添加した。均一になるまで充分に混合乳化した。
iii) 導電、熱伝導性フィラーの混練
これに、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製 #5500)10部、カーボンナノファイバー(昭和電工株式会社製 VGCF)10部、銀フレーク(METALOR社製 SA−0200)10部、特殊形状銀粉(株式会社アイタンク製 毬栗Ag)10部を添加した。均一になるまで十分に混練して、本発明の接着剤組成物を得た。
【0090】
実施例3.(熱硬化型、熱伝導絶縁性接着剤組成物)
i)カチオン硬化性シリコーン、可塑剤の攪拌
二軸プラネタリーミキサーにエポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製 KF1001;エポキシ側鎖置換型ジメチルシリコーン、エポキシ等量4,000)50部、エポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製 X−22−163B;エポキシ両末端置換型ジメチルシリコーン、エポキシ当量1,760)50部、メルカプト変性シリコーン(信越化学工業株式会社製X−22−167B;メルカプト両末端置換型ジメチルシリコーン、官能基当量1,670)、オキセタン化合物(東亞合成株式会社製 OXT−211;3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン)5部を仕込み、均一になるまで攪拌した。このとき、液温が40℃以上にならないように攪拌速度を調節するか、或いは冷却ジャケットにて冷却を行った。
ii) 各種開始剤、カップリング剤の添加
液温が25℃以下になるように十分に冷却しながら、これに熱カチオン開始剤(三新化学工業株式会社製 SI−60L;6フッ化アンチモネート系芳香族スルホニウム塩)5部、メチルシリケート(多摩化学工業株式会社製 Mシリケート51;ポリテトラメトキシシラン)2部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 KBM−403;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)2部、有機スズ系縮合触媒(三共有機合成株式会社製 SCAT−24;ジブチルスズ系開始剤)0.5部を添加した。均一になるまで充分に混合乳化した。
iii) 熱伝導性絶縁フィラーの混練
この混合液に熱伝導性絶縁窒化アルミニウムフィラー500部、熱伝導性絶縁超微粒子セラミックフィラー(シーアイ化成株式会社製 ナノファインAl2O3)10部を添加した。均一になるまで充分に混練し、本発明の接着剤組成物を得た。
【0091】
比較例(接着力を上げる成分無添加)
i) カチオン硬化性シリコーン、開始剤の攪拌
液温が25℃以下になるように十分に冷却しながら、二軸プラネタリーミキサーにエポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製 KF−1001;エポキシ側鎖置換型ジメチルシリコーン、エポキシ等量4,000)100部、熱カチオン開始剤(三新化学工業株式会社製 SI−60L;6フッ化アンチモネート系芳香族スルホニウム塩)5部、光カチオン開始剤(Rhodia製 PHOTOINITIATOR 2074;(トリクミイル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオルフェニイル)ボレート)1部、増感剤(日本化薬株式会社製 KAYACURE DETX−s;2,4−ジエチルチオキサントン)0.5部を混合乳化し、接着力を上げる成分無添加の比較例を得た。
以上実施例1〜3及び比較例において調製した樹脂組成物について、接着強度、硬さ(タイプA)、硬化性、体積抵抗値、熱伝導率を測定した。結果を以下の表に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
表中、接着強度は、ガラス/ガラス φ6mm割裂強度で表し、150℃熱硬化性は、150℃ホットプレート上でタックフリーになる時間で表し、UV硬化性は、エリア型メタルハライドランプUV照射装置にてタックフリーになる照射量で表した。熱伝導率は、レーザーフラッシュ熱定数測定装置を使用して測定した。
【0094】
本発明の樹脂組成物は、比較例で調製した組成物に比べて、特に優れた接着強度を示した。なお本発明のカチオン硬化性シリコーン樹脂組成物は、UV硬化後、熱速硬化後に熱エージング(120℃×10分)を更に行うことで、向上した特性(接着力)を示した。表中接着強度も120℃×10分熱エージング後の数値である。これは、樹脂マトリックスがカチオン硬化性成分によってゲル化する反応と、シラノールによる縮合反応の触媒が界面との接着力を向上させる反応機構が異なることに起因すると考えられる。
【0095】
上記の結果から、本発明により、熱、UV、あるいは両者を併用することにより硬化可能なカチオン硬化性柔軟シリコーン樹脂が得られることが示された。これを利用して、本発明の樹脂組成物を用いて硬化させることにより、熱・電気伝導性柔軟性樹脂を作製することができる。
Claims (9)
- A)カチオン重合性シリコーン化合物であって、式:(R1)m(R2)nSiO(4-m-n)/2{式中、R1は、カチオン重合性基を持たない基で、互いに同一でも異なっていてもよい置換又は非置換の1価の炭化水素基、水素原子、又はヒドロキシル基であり、R2は、互いに同一又は異なっていてもよいカチオン重合性基を有する直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であり、m及びnは、それぞれ0〜3の整数であり、m+n=0〜3の整数である}で示される構成単位からなり、1分子中に少なくとも1個のカオチン重合性基を有し、1分子中に少なくとも1個のR2を有する化合物;B)カチオン硬化触媒;
C)以下の(1)〜(4)より選択される1種類以上の接着力付与剤
(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物;
(2)式(II):
(3)式(III):R7 aSiX4-a
{式中、R7のうち少なくとも1個は、カチオン重合性基で置換された、直鎖の(C2〜C20)アルキル基又は直鎖の(C2〜C20)アルコキシ基であり、残りの基は、直鎖状又は分岐状の(C1〜C5)アルキル基、(C1〜C5)アルケニル基、アリール基、水素原子、又はヒドロキシル基であり;Xは、メトキシ、エトキシ、若しくはプロポキシのような(C1〜C5)アルコキシ基、又はハロゲンのような加水分解性基であり、aは、1〜3の整数である}で示されるシランカップリング剤;及び
(4)金属脂肪酸塩又は金属アルコラート
を含む、樹脂組成物。 - 更に、以下より選択される1種類以上の成分:
(1)カチオン硬化触媒安定剤;
(2)増感剤;及び
(3)可塑剤
を含む、請求項1記載の樹脂組成物。 - C)接着力付与剤として、(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物のみを含む、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- C)接着力付与剤として、(2)シリケート化合物及び/又は(3)式:R7 aSiX4-aで示されるシランカップリング剤と、(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒を、組み合わせて更に含む、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- C)接着力付与剤として、(2)シリケート化合物と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒;(3)式(III):R7 aSiX4-aで示されるシランカップリング剤と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒;(2)シリケート化合物と(3)式(III):R7 aSiX4-aで示されるシランカップリング剤と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒;(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物と(2)シリケート化合物と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒;(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物と(3)式(III):R7 aSiX4-aで示されるシランカップリング剤と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒;又は(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物と(2)シリケート化合物と(3)式(III):R7 aSiX4-aで示されるシランカップリング剤と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒の組み合わせを含む、請求項4記載の樹脂組成物。
- C)接着力付与剤として、(1)非シロキサン系カチオン硬化性化合物と(2)シリケート化合物と(3)式(III):R7 aSiX4-aで示されるシランカップリング剤と(4)金属脂肪族塩又は金属アルコラートから選択される縮合反応触媒の組み合わせを含む、請求項5記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の樹脂組成物を含む接着剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の樹脂組成物、及び導電性フィラーを含む、導電性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の樹脂組成物、及び絶縁熱伝導性フィラーを含む、絶縁熱伝導性樹脂組成物。
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