JPWO2006077772A1 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
これまで、(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体に、特定の結晶性融点および粘度を有するエンジニアリングプラスチックをブレンドした組成物が知られており、前記エンジニアリングプラスチックの1つとして熱可塑性ポリウレタンが用いられている(特許文献1参照)。この特許文献1には、該組成物が、導電体やハンダ付用針金の絶縁体として適していることが記載されているが、前記エンジニアリングプラスチックとして熱可塑性ポリウレタンを用いたものでは、(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体と熱可塑性ポリウレタンとの相容性が不良であるため、両重合体の特性が十分に発揮されておらず、有用な組成物が得られない。
本発明の目的は、上記した従来技術における問題点を解決して、溶融成形時に成形装置への付着や粘着がなく溶融成形性および取り扱い性に優れていて、特にインフレーション成形をも含めた溶融押出成形の際にダイス部への押出物の付着が生じず、成形品における厚み斑、割れ、筋などが生じず、外観および寸法安定性に優れる成形品を生産性良く円滑に製造することができ、しかも柔軟性、引張破断強度などの力学的性能、耐摩耗性、耐光性、耐熱性、他の材料との溶融接着性などの特性にも優れる成形品や複合成形体を製造することのできる熱可塑性重合体組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、前記熱可塑性重合体組成物からなる成形品および該熱可塑性重合体組成物と他の材料との複合成形体を提供することである。
更に、本発明者らは、前記特許文献8に記載された熱可塑性重合体組成物において、そこで用いられている(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体からなる付加重合系ブロックとポリウレタンブロックを有するブロック共重合体の代わりに、ポリカーボネートと反応性の官能基を有する(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体とポリカーボネートとを溶融混練下に反応させて調製した反応混合物、またはポリカーボネートと反応性の官能基を有する(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体、2つの水酸基を有する化合物、およびポリカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて調製した反応混合物を用いた場合にも、上記した優れた諸特性を有する熱可塑性重合体組成物が得られることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記熱可塑性重合体組成物において、予め調製しておいた熱可塑性ポリウレタンを用いる代わりに、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物をそのまま用いて溶融混練を行った場合にも、上記した優れた諸特性を有する熱可塑性重合体組成物が得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1)芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック(イ)とポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)を有するブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタン(III)、およびパラフィン系オイル(IV)を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物[以下これを「熱可塑性重合体組成物(i)」ということがある]である。
(2) ブロック共重合体(II)が、以下のブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の少なくとも1種である前記(1)の熱可塑性重合体組成物である。
・ブロック共重合体(IIA):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて調製したブロック共重合体。
・ブロック共重合体(IIB):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて調製したブロック共重合体。
(3) ブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)が、触媒の存在下に溶融混練下で反応させて調製したものである前記(2)の熱可塑性重合体組成物;および、
(4) 付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部当たり、ブロック共重合体(II)を5〜200質量部、熱可塑性ポリウレタン(III)を100〜800質量部およびパラフィン系オイル(IV)を10〜200質量部の割合で含有する前記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性重合体組成物;
である。
(5) 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、以下の反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、熱可塑性ポリウレタン(III)、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練することにより得られる熱可塑性重合体組成物[以下これを「熱可塑性重合体組成物(ii)」ということがある]である。
・反応混合物(IIa):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。
・反応混合物(IIb):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。
(6) 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、以下の反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練することにより得られる熱可塑性重合体組成物[以下これを「熱可塑性重合体組成物(iii)」ということがある]である。
・反応混合物(IIa):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。
・反応混合物(IIb):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。
(7) 付加重合系ブロック共重合体(イ−1)におけるポリカーボネート系重合体と反応し得る官能基が水酸基である前記(2)〜(6)のいずれかの熱可塑性重合体組成物;
および、
(8) 付加重合系ブロック共重合体(イ−1)が、末端に水酸基を1分子当たり平均で0.6個以上有する前記(7)の熱可塑性重合体組成物;
である。
(9) 熱可塑性ポリウレタン(III)が、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物からなる熱可塑性ポリウレタン形成用の反応原料であって、有機ジイソシアネート化合物に由来する窒素原子の含有量が高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計質量に基づいて1〜6.5質量%である反応原料を用いて形成した熱可塑性ポリウレタンである前記(1)〜(5)、(7)および(8)のいずれかの熱可塑性重合体組成物である。
さらに、本発明は、
(10) JIS 3号に規定されるダンベル型の試験片にして、JIS K−7311に準じて測定した引張破断強度が8MPa以上である、前記(1)〜(9)のいずれかの熱可塑性重合体組成物である。
そして、本発明は、
(11) 前記(1)〜(10)のいずれかの熱可塑性重合体組成物からなる成形品;および、
(12) 前記(1)〜(10)のいずれかの熱可塑性重合体組成物と他の材料からなる複合成形体;
である。
本発明の熱可塑性重合体組成物から得られる成形品は、柔軟性、引張破断強度などの力学的性能、耐摩耗性、耐光性、耐熱性などの特性に優れ、しかも他の材料との溶融接着性にも優れていて他の材料と強固に接着する。
そのため、本発明の熱可塑性重合体組成物は、そのような優れた特性を活かして、各種の成形品や製品、例えば、電気製品、合成皮革、自動車関連機器などに用いられるフィルム状物、シート状物、ホース状物、チューブ状物、その他の成形品、他の材料と接着した各種複合成形体の製造などに有効に使用することができる。
本発明は、
(i) 付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)を含有する熱可塑性重合体組成物[熱可塑性重合体組成物(i)];
(ii) 付加重合系ブロック共重合体(I)、反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、熱可塑性ポリウレタン(III)並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練して得られる熱可塑性重合体組成物[熱可塑性重合体組成物(ii)];および、
(iii) 付加重合系ブロック共重合体(I)、反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練して得られる熱可塑性重合体組成物[熱可塑性重合体組成物(iii)];
を包含する。
また、熱可塑性重合体組成物(i)で使用するブロック共重合体(II)における付加重合系ブロック(イ)、熱可塑性重合体組成物(i)におけるブロック共重合体(II)として用い得るブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、並びに熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)における反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)は、いずれも、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)を有している。
当該芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)および(a−2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、メトキシスチレンなどの芳香族ビニル化合物を挙げることができる。芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)および(a−2)は、1種類の芳香族ビニル化合物から形成されていてもよいし、2種以上の芳香族ビニル化合物から形成されていてもよい。芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)および(a−2)は、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンに由来する構造単位から主として形成されていることが好ましい。
当該共役ジエン系重合体ブロック(b−1)および(b−2)を構成する共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを挙げることができる。共役ジエン系重合体ブロック(b−1)および(b−2)は、1種類の共役ジエン化合物から形成されていてもよいし又は2種以上の共役ジエン化合物から形成されていてもよい。共役ジエン系重合体ブロック(b−1)および/または(b−2)が2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状のいずれであってもよいし、さらにそれらが混在していてもよい。
ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(イ)における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、付加重合系ブロック(イ)の質量に対して、5〜90質量%、更には10〜90質量%、特に20〜80質量%であることが好ましい。
また、ブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量、並びに反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)の質量に対して、5〜90質量%、更には10〜90質量%、特に20〜80質量%であることが好ましい。
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量が前記範囲にある付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)を使用することにより、柔軟性、力学的性能および溶融成形性などにより優れる熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
(X−Y)m−X
(X−Y)n
Y−(X−Y)p
(式中、m、nおよびpはそれぞれ1以上の整数を示す)
で表されるものを挙げることができる。
これらの中でも、本発明の熱可塑性重合体組成物が溶融成形性、柔軟性、力学的性能などにより優れたものになる点から、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)における付加重合系ブロック(イ)、ブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、並びに反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)は、式:X−Yで示されるジブロック共重合体または式:X−Y−Xで表されるトリブロック共重合体の形態であることが好ましく、式:X−Y−Xで表されるトリブロック共重合体の形態であることがより好ましい。特に、式:X−Y−Xで表されるトリブロック共重合体の形態であると、熱可塑性重合体組成物でのパラフィン系オイル(IV)の含浸能(保油能)が高くなり、パラフィン系オイル(IV)の移行(ブリードアウトなど)がより効果的に防止できるという観点からも好ましい。
また、付加重合系ブロック共重合体(I)が2個以上の共役ジエン系重合体ブロックYを含有する場合、ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(イ)が2個以上の共役ジエン系重合体ブロックYを含有する場合、ブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)が2個以上の共役ジエン系重合体ブロックYを含有する場合、および/または反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)が2個以上の共役ジエン系重合体ブロックYを含有する場合は、共役ジエン系重合体ブロックは互いに同じ内容の重合体ブロックであってもよいし又は異なる内容の重合体ブロックであってもよい。
例えば、X−Y−Xで表されるトリブロック構造における2個の芳香族ビニル化合物系重合体ブロックX、或いはY−X−Yで表されるトリブロック構造における2個の共役ジエン系重合体ブロックYは、それらを構成する芳香族ビニル化合物または共役ジエン化合物の種類、その結合形式、重合体ブロックの数平均分子量などが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)および共役ジエン系重合体ブロック(b−2)の数平均分子量が前記範囲内であると、本発明の熱可塑性重合体組成物の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などがより優れたものとなる。
なお、本明細書における付加重合系ブロック共重合体(I)および付加重合系ブロック共重合体(イ−1)のメルトフローレート(MFR)は、いずれも、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
また、本明細書における付加重合系ブロック(イ)のメルトフローレート(MFR)は、ブロック共重合体(II)において、そのポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)を水素原子に置き換えた重合体を用いて、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物(i)で用いるブロック共重合体(II)を構成する付加重合系ブロック(イ)、ブロック共重合体(II)として用い得るブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、並びに本発明の熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)における反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の形成に用いる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)は、いずれも、JIS A硬度が30〜95、更には40〜90、特に50〜85の範囲内にあることが好ましく、それによって、本発明の熱可塑性重合体組成物の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などがより良好なものとなる。
なお、本明細書における付加重合系ブロック共重合体(I)および付加重合系ブロック共重合体(イ−1)のJIS A硬度は、いずれも、JIS K−6253に準拠して測定した値である。
また、本明細書における付加重合系ブロック(イ)のJIS A硬度は、ブロック共重合体(II)において、そのポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)を水素原子に置き換えた重合体を用いて、JIS K−6253に準拠して測定した値である。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などにより製造することができる。アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量を有するブロック共重合体を製造した後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素含有化合物を添加して重合を停止させることにより製造することができる。そして、得られたブロック共重合体を、好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、アルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケル等からなるチーグラー触媒などの水素添加反応触媒の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力0.1〜15MPaの条件下で水素添加することによって、水素添加物としてもよい。
また、上記において、所望により、水素添加前または水素添加後のブロック共重合体を、無水マレイン酸等によって変性することによって分子内に酸無水物基等の官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(I)を製造することもできる。
なお、付加重合系ブロック共重合体(I)としては、市販されているものを使用してもよい。
その場合の2価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキサイドなどを挙げることができる。これらの中でも、2価フェノールとしてビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)が特に好ましい。
ブロック共重合体(II)におけるポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)、ブロック共重合体(II)として用い得るブロック共重合体(IIA)の形成に用いるポリカーボネート系重合体(ロ−1)、反応混合物(IIa)の形成に用いるポリカーボネート系重合体(ロ−1)は、1種類のカーボネート前駆体を用いて形成したものであってもよいし、または2種類以上のカーボネート前駆体を用いて形成したものであってもよい。
なお、本明細書におけるポリカーボネート系重合体(ロ−1)の粘度平均分子量は、溶液粘度法(測定温度=20℃、溶媒=塩化メチレン)によって測定した値である。
付加重合系ブロック(イ)をαで表し、ポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)をβで表した場合に、直鎖状のブロック共重合体としては、例えば、式;α−βで表されるジブロック共重合体、式;α−β−αで表されるトリブロック共重合体、式;β−α−βで表されるトリブロック共重合体などの種々のブロック共重合体を挙げることができる。
そのうちでも、ブロック共重合体(II)が、式;α−βで表されるジブロック共重合体であると、熱可塑性重合体組成物(i)の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などがより優れたものとなることから好ましい。
・ブロック共重合体(IIA):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて調製したブロック共重合体。
・ブロック共重合体(IIB):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて調製したブロック共重合体。
なお、ブロック共重合体(IIB)では、2つの水酸基を有する化合物とカーボネート前駆体との反応によってポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)が形成されている。
また、前記した付加重合系ブロック共重合体(イ−1)は、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を、該共重合体の分子末端に有していることが好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(イ−1)中には、その製造工程にもよるが、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を持たないブロック共重合体(該官能基を持たない芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有する水添または未水添のブロック共重合体)が含まれることがあるが、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)として、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基の数が、1分子当たり、平均して前記した0.6個以上、更には0.7個以上、特に0.7〜1個であるものを使用することにより、ブロック共重合体(II)、ブロック共重合体(IIA)、ブロック共重合体(IIB)、反応混合物(IIa)または(IIb)を円滑に調製することができる。
なお、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)としては、市販されているものを使用してもよい。
また、熱可塑性重合体組成物(i)に用い得るブロック共重合体(IIB)並びに熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)に用いる反応混合物(IIb)の調製に当たっては、ブロック共重合体(IIB)または反応混合物(IIb)と、付加重合系ブロック共重合体(I)および熱可塑性ポリウレタン(III)との相容性が良好になることから、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物およびカーボネート前駆体を、[付加重合系ブロック共重合体(イ−1)の質量]:[2つの水酸基を有する化合物およびカーボネート前駆体の合計質量]=20:80〜80:20、更には30:70〜70:30、特に35:65〜65:35の範囲内で用いることが好ましい。
また、熱可塑性重合体組成物(i)に用い得るブロック共重合体(IIB)の調製に当たっては、例えば、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物およびカーボネート前駆体を、必要に応じて触媒の存在下に、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機により通常180〜300℃で3〜15分溶融混練する方法を採用することによりブロック共重合体(IIB)を得ることができる。
なお、触媒失活剤を使用する場合には、その添加は、カーボネート結合の形成反応終了後から溶融混練終了までの間に行なうことが好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物(i)では、ブロック共重合体(IIA)またはブロック共重合体(IIB)と共に上記した他の成分を含有する反応生成物をそのまま用いても一般に格別の支障が生じないことが多い。そのため、当該反応生成物からブロック共重合体(IIA)またはブロック共重合体(IIB)を分離回収せずに、ブロック共重合体(IIA)またはブロック共重合体(IIB)を含む当該反応生成物を用いて本発明の熱可塑性重合体組成物(i)を製造すると、熱可塑性重合体組成物(i)の製造工程を簡便化することができる。
なお、本明細書でいう引張破断強度は、JIS K−7311に準拠して測定した値である。
なお、本明細書でいう前記反応生成物のJIS A硬度は、JIS K−6253に準拠して測定した値である。
さらに、熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)に用いる反応混合物(IIb)の調製に当たっては、例えば、付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物およびカーボネート前駆体を、必要に応じて触媒の存在下に、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機により通常180〜300℃で3〜15分溶融混練する方法を採用することにより反応混合物(IIb)を得ることができる。
なお、触媒失活剤を使用する場合には、その添加は、カーボネート結合の形成反応終了後から溶融混練終了までの間に行なうことが好ましい。
また、熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)に用いる反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)は、熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などを良好なものにするために、JIS A硬度が40〜99、更には50〜95、特に60〜95の範囲内にある反応混合物を用いることが好ましい。
なお、本明細書でいう前記反応混合物のJIS A硬度は、JIS K−6253に準拠して測定した値である。
熱可塑性ポリウレタン(III)としては、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物から形成されたものが好ましい。
ポリカーボネートポリオールを構成するポリオール成分としては、ポリエステルポリオールの構成成分として例示したポリオール成分を使用することができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを挙げることができ、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネートなどを挙げることができ、ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
なお、本明細書でいう高分子ポリオールの数平均分子量は、JIS K−1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
なお、複数種の高分子ポリオールを使用する場合には、それぞれの1分子当たりの水酸基数およびそれらの使用量(モル数)から計算される1分子あたりの平均水酸基数を、該1分子当たりの水酸基数とする。
また、鎖伸長剤として、分岐を分子内に有する数平均分子量が100〜400の脂肪族ジオールを使用して製造した熱可塑性ポリウレタン(III)を用いると、常温付近において損失係数の値が大きく、かつ広い温度範囲にわたって大きな損失係数の値を保持する制振性能に優れる熱可塑性重合体組成物を得ることができる。そのような分岐を分子内に有する脂肪族ジオールとしては、メチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の脂肪族ジオールが好ましく用いられる。
そのうちでも、本発明の熱可塑性重合体組成物の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などが優れたものになることから、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いて形成した熱可塑性ポリウレタン(III)を含有することが好ましい。また、脂肪族または脂環式ジイソシアネートを用いて形成した熱可塑性ポリウレタン(III)は耐光性に優れることから好ましく用いられる。
熱可塑性ポリウレタン(III)の形成に当たっては、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤が有している活性水素原子1モルに対し、有機ジイソシアネート化合物が有しているイソシアネート基が0.9〜1.3モルとなるような割合で各成分を使用することが好ましい。前記割合で各成分を用いて形成した熱可塑性ポリウレタン(III)を含有することにより、本発明の熱可塑性重合体組成物(i)〜(iii)の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などの特性がより優れたものになる。
ウレタン化反応触媒の使用量は、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計質量に基づいて0.1ppm〜0.2質量%、更には0.5ppm〜0.02質量%、特に1ppm〜0.01質量%の範囲内であることが好ましい。
ウレタン化反応触媒は、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物のうち1つまたは2つ以上に含有させておくことができるが、高分子ポリオールに含有させておくことが好ましい。
ウレタン化反応触媒失活剤の使用量は、熱可塑性ポリウレタン(III)の形成に用いた高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計質量に基づいて1ppm〜2質量%、更には5ppm〜0.2質量%、特に10ppm〜0.1質量%の範囲内であることが好ましい。
ウレタン化反応触媒失活剤は、付加重合系ブロック共重合体(I)と、ブロック共重合体(II)、反応混合物(IIa)または反応混合物(IIb)と、熱可塑性ポリウレタン(III)と、パラフィン系オイル(IV)、および必要に応じてその他の成分を混合し溶融混練を行って熱可塑性重合体組成物を製造し、その熱可塑性重合体組成物の物性が所望の値になった時点で添加することが、本発明の熱可塑性重合体組成物の溶融成形性、柔軟性、力学的性能などの点から好ましい。
なお、本明細書でいうパラフィン系オイル(IV)の動粘度は、JIS K−2283に準拠して測定した値である。
なお、本明細書でいうパラフィン系オイル(IV)の流動点は、JIS K−2269に準拠して測定した値である。
なお、本明細書でいうパラフィン系オイル(IV)の引火点は、JIS K−2265に準拠して測定した値である。
本発明の熱可塑性重合体組成物(i)は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、熱可塑性ポリウレタン(III)を150〜800質量部の割合で含有することがより好ましく、200〜700質量部の割合で含有することが更に好ましく、350〜700質量部の割合で含有することが特に好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物(i)は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、パラフィン系オイル(IV)を50〜150質量部の割合で含有することがより好ましく、75〜125質量部の割合で含有することが更に好ましい。
そのような場合には、それらの反応生成物中に含まれる付加重合系ブロック共重合体(イ−1)[付加重合系ブロック共重合体(I)に相当]、ブロック共重合体(II)、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)などの量を勘案して、熱可塑性重合体組成物中における付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)の含有割合が、上記した好ましい範囲になるように、反応生成物やその他の成分の配合割合を調整することが好ましい。
熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)では、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、反応混合物(IIa)および/または反応混合物(IIb)を10〜450質量部の割合で使用することがより好ましく、20〜300質量部の割合で使用することが更に好ましい。
熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)では、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、熱可塑性ポリウレタン(III)を150〜1500質量部の割合で使用することがより好ましく、200〜1100質量部の割合で使用することが更に好ましく、350〜1100質量部の割合で使用することが特に好ましい。
熱可塑性重合体組成物(ii)および(iii)では、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、パラフィン系オイル(IV)を50〜300質量部の割合で使用することがより好ましく、75〜200質量部の割合で使用することが更に好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物(i)〜(iii)は、例えば、各構成成分を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて、通常、150〜220℃の温度で約30秒〜5分間程度溶融混練することによって製造することができる。
〔1〕 付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)と共に他の成分を含む上記した反応生成物{以下「ブロック共重合体(II)含有反応生成物」ということがある}]、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を反応させて予め製造した熱可塑性ポリウレタン(III)並びにパラフィン系オイル(IV)を混合して溶融混練する方法。
〔2〕 付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]、パラフィン系オイル(IV)、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混合して溶融混練する方法。
(1)高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を反応させて調製した熱可塑性ポリウレタン(III)、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]およびパラフィン系オイル(IV)を一括して混合し溶融混練する方法。
(2)付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]、パラフィン系オイル(IV)、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を一括して混合し溶融混練する方法。
(3)ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混合して溶融混練し、それとは別に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)を別途混合して溶融混練し、両方の溶融混練物を混合して更に溶融混練する方法。
(4)付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]およびパラフィン系オイル(IV)を混合して溶融混練し、その溶融混練物に高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を添加して更に溶融混練する方法。
(5)付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混合して溶融混練した後に、そこにパラフィン系オイル(IV)を添加して更に溶融混練する方法。
(6)高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混練反応させた熱可塑性ポリウレタンを製造し、次いでそれに付加重合系ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]を添加して溶融混練し、そこにパラフィン系オイル(IV)を更に添加して溶融混練する方法。
(7)付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]、高分子ポリオール、鎖伸長剤およびパラフィン系オイル(IV)を混合して溶融混練し、次いでそれに有機ジイソシアネート化合物を添加して更に溶融混練する方法。
(8)高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を反応させて予め調製した熱可塑性ポリウレタン(III)およびブロック共重合体(II)[またはブロック共重合体(II)含有反応生成物]と共に、別途調製した付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる組成物を混合して溶融混練する方法。
〔3〕 付加重合系ブロック共重合体(I)、反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、熱可塑性ポリウレタン(III)、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練する方法。
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物(iii)は、以下の〔4〕の方法により製造することができる。
〔4〕 付加重合系ブロック共重合体(I)、反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練する方法。
前記任意の成分を、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)或いは反応混合物(IIa)および/または反応混合物(IIb)、熱可塑性ポリウレタン(III)並びにパラフィン系オイル(IV)の溶融混合時に添加する場合は、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)或いは反応混合物(IIa)および/または反応混合物(IIb)、熱可塑性ポリウレタン(III)並びにパラフィン系オイル(IV)とは別個に溶融混練装置に供給して混練してもよいし、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)或いは反応混合物(IIa)および/または反応混合物(IIb)、熱可塑性ポリウレタン(III)並びにパラフィン系オイル(IV)の少なくとも1種に含有させた上で溶融混練装置に供給して混練してもよい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は溶融成形性に優れていて、特に、インフレーション成形を含めた溶融押出成形時にダイス部分への押出物の付着を大幅に低減できるために、厚み斑、割れ、筋などの不良現象のない高品質の成形品を生産性良く製造することができ、しかも得られる成形品は柔軟性、力学的性能などの各種の特性に優れている。
また、熱可塑性ポリウレタン(III)として脂肪族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネートを用いて形成されたものを使用した場合には、上記した特性と併せて耐光性にも優れる成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物と複合化できる他の材料としては、本発明の熱可塑性重合体組成物以外の各種熱可塑性重合体またはその組成物、熱硬化性樹脂、紙、布帛、金属、木材、セラミックスなどを挙げることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物を使用して得られる積層体では、層の数、各層の厚さ、形状、構造などには特に制限はなく、積層体の用途などに応じて適宜調整することができる。
何ら限定されるものではないが、本発明の熱可塑性重合体組成物を使用して得られる積層体としては、例えば、本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる1つの層と他の材料よりなる1つの層が積層した2層構造体、他の材料よりなる2つの表面層(表裏面層)の間に本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層が中間層として存在する3層構造体、他の材料よりなる1つの層の表裏面に本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層が積層した3層構造体、本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層と他の1種または2種以上の材料よりなる層が交互に4層以上に積層した多層構造体などを挙げることができる。
そして、積層体が他の材料からなる層を2つ以上有する場合は、それぞれの層を構成する他の材料は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、積層体が本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層を2つ以上有する場合は、それぞれの層を構成する熱可塑性重合体組成物は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
前記した成形法のうち、インサート射出成形法による場合は、予め所定の形状および寸法に形成しておいた他の材料を金型内にインサートしておき、そこに本発明の熱可塑性重合体組成物を射出成形して複合成形体を製造する方法が一般に採用される。この場合に、金型内にインサートしておく他の材料の形成方法は特に制限されない。インサートしておく他の材料が合成樹脂やゴム製品である場合は、例えば、射出成形、押出成形とその所定の寸法への切断、プレス成形、注型などのいずれの方法で製造したものであってもよい。また、インサートしておく他の材料が金属材料である場合は、例えば、金属製品を製造する従来汎用の方法(鋳造、圧延、切断、工作加工、研削加工など)によって所定の形状および寸法に予め形成しておけばよい。
また、前記した射出成形方法において、材料の射出順序を逆にして、金型に最初に本発明の熱可塑性重合体組成物を射出して第1の成形品をつくり、次いで他の材料(熱可塑性樹脂など)を射出成形して複合成形体を製造してもよい。
さらに、例えば、カレンダー成形を行う場合は、溶融可塑化状態にあるかまたは固形状態にある他の材料上に、本発明の熱可塑性重合体組成物を溶融下にカレンダー加工して被覆積層させることにより目的とする複合成形体を製造することができる。また、プレス成形による場合は、他の材料の配置下に本発明の熱可塑性重合体組成物を用いて溶融プレスを行うことによって複合成形体を製造することができる。
なお、以下の例において、熱可塑性重合体組成物の溶融粘度、押出成形性、硬度、引張破断強度、引張破断伸度および積層体における接着強度は、以下の方法により測定または評価した。
80℃で1時間減圧下(1333.2Pa以下)に乾燥した熱可塑性重合体組成物の溶融粘度を、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、荷重50kgf、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200℃の条件下で測定した。
熱可塑性重合体組成物を、シート型ダイ(幅=25mm、厚さ=0.3mm)を取り付けた押出成形機(25mmφ、シリンダー温度=200〜215℃、ダイス温度=205℃)から、約3kg/時間の吐出速度で連続的に吐き出している最中に、ダイス部に付着した付着物(以下「目脂」という)を20分毎に3回採取し、その平均質量を測定し、以下の基準で、押出成形性の指標とした。
○:採取した目脂の平均質量が5mg以下である。
×:採取した目脂の平均質量が5mgを超える。
表面を鏡面仕上げした金型を用いて射出成形(シリンダー温度=180〜205℃、金型温度=35℃)して、熱可塑性重合体組成物よりなる円板状の成形品(直径=120mm、厚さ=2mm)を製造した。得られた成形品を23℃で7日間放置した後、成形品を2枚重ね合わせたものを用いて、JIS K−6301に準じて、成形品のJIS A硬度を測定した。
上記の硬度の評価におけるのと同じ操作を行って円板状の成形品(直径=120mm、厚さ=2mm)を製造した。得られた成形品を25℃で7日間放置した後、JIS 3号に規定されるダンベル型に打ち抜いて試験片を作製し、JIS K−7311に準じて、島津製作所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を使用して、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
金型内に、合成樹脂板(寸法:縦×横×厚さ=200mm×150mm×1mm)を配置し、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製;80トン射出成形機)を使用して、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条件下に熱可塑性重合体組成物を射出し、樹脂板の一方の表面に熱可塑性重合体組成物の層が積層した積層体(寸法:縦×横×厚み=200mm×150mm×2mm)を製造した。
得られた積層体から剥離強度測定用の試験片(寸法:縦×横×厚み=80mm×25mm×2mm)を切り出し、それを用いてJIS K−6854に記載の「180度剥離試験」に準じて剥離強度を測定した。
SEBS:
ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔(株)クラレ製、「セプトン8006」(商品名)、スチレンに由来する構造単位の含有量=33質量%〕。
SEEPS−1:
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔(株)クラレ製、「セプトン4055」(商品名)、スチレンに由来する構造単位の含有量=30質量%〕。
F−SEEPS:
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物。〔数平均分子量=50,000、スチレン含有量=30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率=98%、イソプレンとブタジエンの比率=50/50(モル比)、1分子当たりの平均水酸基数=0.9個、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量=8モル%;特許文献11の参考例1に記載された方法に準じ、スチレン、イソプレンおよびブタジエンを原料として製造した。〕
なお、このF−SEEPSは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体であるSEEPS−OH[ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物;数平均分子量=50,000、スチレン含有量=30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率=98%、イソプレンとブタジエンの比率=50/50(モル比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量=8モル%]と、分子内に水酸基を有しないブロック共重合体であるSEEPS−2[ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物;数平均分子量=50,000、スチレン含有量=30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率=98%、イソプレンとブタジエンの比率=50/50(モル比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量=8モル%]を含有する[SEEPS−OH/SEEPS−2=9/1(モル比)]。
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物。
(数平均分子量=63,000、スチレン含有量=30質量%、ポリイソプレンブロックにおける水素添加率=90%、1分子当たりの平均水酸基数=0.8個、ポリイソプレンブロックにおける1,4−結合量=45モル%、1,2−結合および3,4−結合量の合計量=55モル%;特許文献11の参考例3に記載された方法に準じ、スチレンおよびイソプレンを原料として製造したもの。)
なお、このF−HVSISは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体であるHVSIS−OH(ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物;数平均分子量=63,000、スチレン含有量=30質量%、ポリイソプレンブロックにおける水素添加率=90%、ポリイソプレンブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量=55モル%)と、分子内に水酸基を有しないブロック共重合体であるHVSIS〔ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物;数平均分子量=63,000、スチレン含有量=30質量%、ポリイソプレンブロックにおける水素添加率=90%、ポリイソプレンブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量=55モル%)を含有する[HVSIS−OH/HVSIS=8/2(モル比)]。
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子内に水酸基を有しないトリブロック共重合体の水素添加物[(株)クラレ製、「セプトン2002」(商品名)、スチレンに由来する構造単位の含有量=30質量%、MFR=70g/10分、JIS A硬度=80]。
PC:
ポリカーボネート[帝人化成株式会社製、「パンライトL−1225」(商品名)、粘度平均分子量=22,500]。
TPU−1:
ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン[(株)クラレ製、「クラミロンU8165」(商品名)、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)をソフトセグメントとし、1,4−ブタンジオールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなるセグメントをハードセグメントとするポリエステル系熱可塑性ポリウレタン;対数粘度(DMF溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)=1.09dl/g、JIS A硬度=65]。
POH−1:
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が2.00であるポリエステルジオール(数平均分子量=3,500)。
POH−2:
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパンおよびアジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が3.00であるポリエステルポリオール(数平均分子量=2,000)。
POH−3:
1分子当たりの水酸基数が2.00であるポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=2,000)。
BD: 1,4−ブタンジオール。
MDI: 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート。
PL: パラフィン系オイル〔出光興産(株)製、「ダイアナプロセス PW−380」(商品名)、動粘度(40℃):382cSt、流動点:−15℃、引火点:300℃〕。
ABS: アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(日本合成ゴム(株)製、「JSR ABS12」(商品名))。
〔ブロック共重合体(II)を含有する組成物(PC−SEEPS Compound E1)の製造〕
(1) ブロック共重合体(F−SEEPS)600質量部、ポリカーボネート系重合体(PC)400質量部および触媒(ジブチルスズオキシド)0.4質量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(II)を含有する組成物(PC−SEEPS Compound E1)を得た。この組成物(PC−SEEPS Compound E1)の溶融粘度は890Pa・sであった。
(2) 上記(1)で得られた組成物(PC−SEEPS Compound E1)を用いて、射出成形(シリンダー温度=200〜220℃、金型温度=30℃)することによって、ダンベル1号型(厚さ=3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は80であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度=5mm/分、チャック間距離=110mm)した引張破断強度は17MPaであった。
〔ブロック共重合体(II)を含有する組成物(PC−SEEPS Compound E2)の製造〕
(1) ブロック共重合体(F−SEEPS)350質量部、ポリカーボネート系重合体(PC)650質量部および触媒(ジブチルスズオキシド)0.4質量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(II)を含有する組成物(PC−SEEPS Compound E2)を得た。この組成物(PC−SEEPS Compound E2)の溶融粘度は、630Pa・sであった。
(2) 上記(1)で得られた組成物(PC−SEEPS Compound E2)を用いて、射出成形(シリンダー温度=200〜220℃、金型温度=30℃)することによって、ダンベル1号型(厚さ=3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は97であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度=5mm/分、チャック間距離=110mm)した引張破断強度は33MPaであった。
〔ブロック共重合体(II)を含有する組成物(PC−HVSIS Compound E3)の製造〕
(1) ブロック共重合体(F−HVSIS)500質量部、ポリカーボネート系重合体(PC)500質量部および触媒(ジブチルスズオキシド)0.4質量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(II)を含有する組成物(PC−HVSIS Compound E3)を得た。この組成物(PC−HVSIS Compound E3)の溶融粘度は、610Pa・sであった。
(2) 上記(1)で得られた組成物(PC−HVSIS Compound E3)を用いて、射出成形(シリンダー温度=200〜220℃、金型温度=30℃)することによって、ダンベル1号型(厚さ=3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は80であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度=5mm/分、チャック間距離=110mm)した引張破断強度は14MPaであった。
〔ブロック共重合体(II)を含有しない組成物(PC/SEEPS Compound)の製造〕
(1) ブロック共重合体(SEPS)600質量部およびポリカーボネート系重合体(PC)400質量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することにより組成物(PC/SEEPS Compound)を得た。この組成物(PC/SEEPS Compound)の溶融粘度は、54Pa・sであった。
(2) 上記(1)で得られた組成物(PC/SEEPS Compound)を用いて、射出成形(シリンダー温度=200〜220℃、金型温度=30℃)することによって、ダンベル1号型(厚さ=3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は89であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度=5mm/分、チャック間距離=110mm)した引張破断強度は8MPaであった。
(1) ウレタン化反応触媒(テトライソプロピルチタネート)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−3の混合物、POH−1/POH−3=30/70(モル比)、1分子当たりの平均水酸基数=2.00]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、高分子ポリオール:BD:MDIのモル比=1.0:1.1:2.1(窒素原子含有率は1.9質量%)で、かつこれらの合計供給量140g/分[熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタン(III)の含有量が70質量%になる量]で、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。
(2) 上記(1)と同時に、ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(質量比)]を40g/分の供給量[熱可塑性重合体組成物におけるSEBSの含有量が10質量%、PLの含有量が10質量%になる量]で、更に参考例1で得られたブロック共重合体(II)を有する組成物(PC−SEEPS Compound E1)を20g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物におけるPC−SEEPS Compound E1の含有量が10質量%となる量)で、上記(1)の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、190℃加温)に連続供給して溶融混練し、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物1を得た。
(3) 上記(2)で得られた熱可塑性重合体組成物1について、上記した方法で溶融粘度、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、熱可塑性重合体組成物1およびABSを用いて、上記した方法で積層構造体を製造し、得られた積層構造体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ウレタン化反応触媒(テトライソプロピルチタネート)を15ppm含有する高分子ポリオール[POH−2およびPOH−3の混合物;POH−2/POH−3=1/99(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.01]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、高分子ポリオール:BD:MDIのモル比=1.0:1.03:2.03(窒素原子含有率は2.2質量%)で、かつこれらの合計供給量130g/分[熱可塑性重合体組成物における熱可塑性ポリウレタン(III)の含有量が65質量%となる量)で、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。
(2) 上記(1)と同時に、ブロック共重合体(SEEPS−1)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEEPS−1:PL=1:1(質量比)]を50g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物におけるSEEPS−1の含有量が12.5質量%、PLの含有量が12.5質量%となる量)で、更に参考例2で得られたブロック共重合体(II)を有する組成物(PC−SEEPS Compound E2)を20g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物中のPC−SEEPS Compound E2の含有量が10質量%となる量)で、上記(1)の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、190℃加温)に連続供給した。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(ジステアリルホスフェート)0.05質量%(供給量=0.125g/分)を添加して、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物2を得た。
(3) 上記(2)で得られた熱可塑性重合体組成物2について、上記した方法で溶融粘度、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、熱可塑性重合体組成物2およびABSを用いて、上記した方法で積層構造体を製造し、得られた積層構造体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ウレタン化反応触媒(テトライソプロピルチタネート)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−2の混合物;POH−1/POH−2=98.5/1.5(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.015]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、高分子ポリオール:BD:MDIのモル比=1.0:2.4:3.4(窒素原子含有率=2.1質量%)で、かつこれらの合計供給量120g/分(熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタン(III)が60質量%になる量)で、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。
(2) 上記(1)と同時に、ブロック共重合体(SEEPS−1)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEEPS−1:PL=1:1(質量比)]を60g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物中のSEEPS−1の含有量が15質量%、PLの含有量が15質量%になる量)で、また参考例3で得られたブロック共重合体(II)を有する組成物(PC−HVSIS Compound E3)を20g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物中のPC−HVSIS compound E3の含有量が10質量%となる量)で、上記(1)の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、220℃加温)に連続供給した。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(ジステアリルホスフェート)0.03質量%(供給量=0.075g/分)を添加して、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物3を得た。
(3) 上記(3)で得られた熱可塑性重合体組成物3について、上記した方法で溶融粘度、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、熱可塑性重合体組成物3およびABSを用いて、上記した方法で積層構造体を製造し、得られた積層構造体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ウレタン化反応触媒(テトライソプロピルチタネート)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−3の混合物;POH−1/POH−3=30/70(モル比)]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、高分子ポリオール:BD:MDIのモル比=1.0:1.1:2.1(窒素原子含有率は1.9質量%)で、かつこれらの合計供給量125g/分[熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタン(III)の含有量が50質量%となる量)で、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。
(2) 上記(1)と同時に、ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(質量比)]を125g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物中のSEBSの含有量が25質量%、PLの含有量が25質量%となる量)で、上記(1)の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36、220℃加温)に連続供給して、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物C−1を得た。
(3) 上記(2)で得られた熱可塑性重合体組成物C−1について、上記した方法で溶融粘度、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
さらに、熱可塑性重合体組成物C−1およびABSを用いて、上記した方法で積層構造体を製造し、得られた積層構造体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ブロック共重合体(SEBS)とパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(質量比)]を60g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物中のSEBSの含有量が15質量%、PLの含有量が15質量%となる量)で、熱可塑性ポリウレタン(TPU−1)を120g/分の供給量[熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタン(III)の含有量が60質量%になる量]で、更に参考例4で得られたブロック共重合体組成物(PU/SEEPS Compound)を20g/分の供給量(熱可塑性重合体組成物中のPU/SEEPS Compoundの含有量が10質量%となる量)で、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36)に供給して220℃で溶融混練し、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物C−2を得た。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物C−2について、上記した方法で溶融粘度、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
さらに、熱可塑性重合体組成物C−2およびABSを用いて、上記した方法で積層構造体を製造し、得られた積層構造体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
それに対して、前記付加重合系ブロック共重合体(I)、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)を含有し、前記ブロック共重合体(II)を含有しない比較例1の熱可塑性重合体組成物、並びに前記付加重合系ブロック共重合体(I)、熱可塑性ポリウレタン(III)、パラフィン系オイル(IV)およびポリカーボネートを含有し、前記ブロック共重合体(II)を含有しない比較例2の熱可塑性重合体組成物は、いずれも、溶融押出成形したときにダイス部への押出物の付着(目脂量)が多く、押出成形に劣っている。しかも、比較例1および2の熱可塑性重合体組成物から得られた成形品は、引張破断強度が低くて力学的特性にも劣り、その上ABS樹脂板との溶融接着性にも劣っている。
Claims (12)
- 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック(イ)とポリカーボネート系重合体ブロック(ロ)を有するブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタン(III)、およびパラフィン系オイル(IV)を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物。
- ブロック共重合体(II)が、以下のブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)の少なくとも1種である請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
・ブロック共重合体(IIA):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて調製したブロック共重合体。
・ブロック共重合体(IIB):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて調製したブロック共重合体。 - ブロック共重合体(IIA)およびブロック共重合体(IIB)が、触媒の存在下に溶融混練下で反応させて調製したものである請求項2に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部当たり、ブロック共重合体(II)を5〜200質量部、熱可塑性ポリウレタン(III)を100〜800質量部およびパラフィン系オイル(IV)を10〜200質量部の割合で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、以下の反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、熱可塑性ポリウレタン(III)、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練することにより得られる熱可塑性重合体組成物。
・反応混合物(IIa):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。
・反応混合物(IIb):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。 - 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、以下の反応混合物(IIa)および反応混合物(IIb)の少なくとも一方、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物、並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練することにより得られる熱可塑性重合体組成物。
・反応混合物(IIa):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)と、ポリカーボネート系重合体(ロ−1)とを溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。
・反応混合物(IIb):
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり且つポリカーボネート系重合体(ロ−1)と反応し得る官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(イ−1)、2つの水酸基を有する化合物、およびカーボネート前駆体を溶融混練下に反応させて得られる反応混合物。 - 付加重合系ブロック共重合体(イ−1)におけるポリカーボネート系重合体と反応し得る官能基が水酸基である請求項2〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 付加重合系ブロック共重合体(イ−1)が、末端に水酸基を1分子当たり平均で0.6個以上有する請求項7に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 熱可塑性ポリウレタン(III)が、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物からなる熱可塑性ポリウレタン形成用の反応原料であって、有機ジイソシアネート化合物に由来する窒素原子の含有量が高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計質量に基づいて1〜6.5質量%である反応原料を用いて形成した熱可塑性ポリウレタンである請求項1〜5、7および8のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- JIS 3号に規定されるダンベル型の試験片にして、JIS K−7311に準じて測定した引張破断強度が8MPa以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなる成形品。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物と他の材料からなる複合成形体。
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