JPH08319428A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH08319428A
JPH08319428A JP14977195A JP14977195A JPH08319428A JP H08319428 A JPH08319428 A JP H08319428A JP 14977195 A JP14977195 A JP 14977195A JP 14977195 A JP14977195 A JP 14977195A JP H08319428 A JPH08319428 A JP H08319428A
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JP
Japan
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carbonate
resin
weight
elastomer
thermoplastic
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Application number
JP14977195A
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English (en)
Inventor
Motoyuki Sugiura
基之 杉浦
Tomio Yamada
富穂 山田
Tsunehisa Yamada
倫久 山田
Hiroshi Omura
博 大村
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】熱可塑性エラストマ−(I)99.9〜50重
量%と、ポリカーボネート系樹脂セグメント5〜95重
量%とビニル系樹脂セグメント95〜5重量%とからな
り、一方のセグメントにより形成された連続相中に他方
のセグメントにより形成された分散相が微細に分散して
いる多相構造を示すグラフト共重合体(II)0.1〜5
0重量%とからなる熱可塑性エラストマ−組成物。 【効果】熱可塑性エラストマ−と特定のグラフト共重合
体との組み合わせからなる熱可塑性エラストマ−組成物
は、柔軟性を維持しながら耐熱性、塗装性、耐擦傷性お
よび成形性が改良され、かつ成形品表面の外観に優れた
エラストマ−組成物である。それゆえその成形品は自動
車部品、電気・電子部品、工業部品、および建築部品な
どに広く使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟性、強度、耐熱
性、塗装性、耐擦傷性、成形加工性、表面外観および意
匠性に優れた熱可塑性エラストマ−組成物に関するもの
であり、その成形品は自動車部品、電気および電子部
品、工業部品、建築部品などの広い分野で有効に使用さ
れるものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマ−は優れた反発弾
性、耐熱性、成形加工性等が認められ多くの分野で使用
されている。ところが、最近では熱可塑性エラストマ−
のよりいっそうの高性能化が要求されており、種々のポ
リマ−をブレンドする試みがなされている。例えば、特
開昭63−41554号公報には熱可塑性ポリオレフィ
ン系エラストマ−の耐熱性を向上させるためにポリアミ
ドをブレンドした組成物が開示されている。また、特開
平3−35055号公報には熱可塑性ポリウレタン系エ
ラストマ−の耐熱性を向上させるために、アクリロニト
リル−スチレン共重合体をブレンドした組成物が開示さ
れている。さらに、特開平4−76063号公報には熱
可塑性エラストマ−にジエン系ゴムとポリスチレン等の
樹脂を過酸化物の存在下にブレンドして、柔軟性、強度
および成形加工性に優れるエラストマ−組成物が開示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、熱可塑性エ
ラストマ−とアクリロニトリル−スチレン共重合体を始
めとするビニル系重合体やポリアミドを始めとするエン
ジニアリングプラスチックス等とは相溶性が全く無いた
め、単にブレンドしただけでは大きく相分離し、物性が
大きく低下してしまうという欠点があり、その改良が望
まれている。本発明の目的は、柔軟性を維持しながら、
耐熱性、塗装性、耐擦傷性、成形加工性及び表面外観の
優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決すべく鋭意研究した結果、特定の多相構造を示
すポリカーボネート系樹脂セグメントとビニル系樹脂セ
グメントとからなるグラフト共重合体を熱可塑性エラス
トマ−に配合した組成物が柔軟性を維持しながら耐熱
性、強度、塗装性、耐擦傷性、成形加工性、表面外観お
よび意匠性を一段と向上した組成物であることを見いだ
し、本発明を完成させるに至った。
【0005】すなわち本発明は、熱可塑性エラストマ−
(I)99.9〜50重量%と、ポリカーボネート系樹
脂セグメント5〜95重量%とビニル系樹脂セグメント
95〜5重量%とからなり、一方のセグメントにより形
成された連続相中に他方のセグメントにより形成された
分散相が微細に分散している多相構造を示すグラフト共
重合体(II)0.1〜50重量%とからなることを特徴
とする熱可塑性エラストマ−組成物に関するものであ
る。
【0006】本発明において使用される熱可塑性エラス
トマ−(I)とは、熱可塑性のポリオレフィン系エラス
トマ−、ポリスチレン系エラストマ−、ポリウレタン系
エラストマ−、ポリエステル系エラストマ−、ポリアミ
ド系エラストマ−、ポリ塩ビ系エラストマ−などを挙げ
ることができる。これらの熱可塑性エラストマ−(I)
のなかでもポリオレフィン系エラストマ−、ポリスチレ
ン系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−が耐熱
性改良効果が高く好ましい。さらに成形性改良効果が高
く最も好ましいのはポリオレフィン系エラストマ−であ
る。
【0007】本発明において使用される熱可塑性エラス
トマ−(I)としてのポリオレフィン系エラストマ−と
はオレフィン系共重合体ゴムと結晶性オレフィン系重合
体とからなり、またこれらが結合架橋しているものが好
ましい。ポリオレフィン系エラストマ−を構成するオレ
フィン系共重合体ゴムとは、少なくとも1種のポリエン
(通常はジエン)と2種以上の非極性α−オレフィン単
量体との共重合体からなる本質的に非晶性のゴム状共重
合体であり、エチレンープロピレンージエンエラストマ
ー(EPDM)が好適である。また、ポリオレフィン系
エラストマ−を構成する結晶性オレフィン系重合体と
は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1
等の非極性α−オレフィン単量体を常法で重合して得ら
れる結晶性の重合体であり、代表的には、ポリエチレン
およびその共重合体、ポリプロピレンおよびその共重合
体、ポリブテン等が挙げられるが、ポリプロピレンおよ
びその共重合体が好適である。オレフィン系共重合体ゴ
ムと結晶性オレフィン系共重合体の割合は、通常、両成
分に対し、オレフィン系共重合体ゴムが40〜80重量
%、結晶性オレフィン系重合体が60〜20重量%が好
ましい。両成分は融点以上で混練処理され、熱可塑性ポ
リオレフィン系エラストマ−となる。エスストマ−とし
て有用な性質を付与するために、オレフィン系共重合体
ゴムを加硫するのが好ましく、この場合、前記混練処理
は、過酸化物、フェノ−ル樹脂、硫黄などの加硫剤の存
在下に実施される。なお、熱可塑性ポリオレフィン系エ
ラストマ−は、そのゴム特性等を損なわない限り他の成
分を含んでいても構わない。具体的には、例えばオイ
ル、充填剤、カ−ボンブラック、安定剤等である。
【0008】本発明において使用される熱可塑性エラス
トマ−(I)としてのポリスチレン系エラストマ−とは
少なくとも1つのビニル芳香族単量体の重合体と、少な
くとも1つの共役ジエンの重合体とを含むブロック共重
合体であり、直鎖型であっても、ラジカル型であっても
よい。また、共役ジエンを含む重合体が少量のビニル芳
香族単量体とのランダム共重合体であってもよいし、ビ
ニル芳香族単量体量が暫増する、いわゆるテ−パ−型ブ
ロックであっても構わない。ブロック共重合体の構造に
ついては特に制限はなく、(A−B)n 型、(A−B)
n−A型または(A、B)n−C型のいずれでも使用でき
る。式中、Aはビニル芳香族単量体の重合体、Bは共役
ジエンの重合体、Cはカップリング剤残基、nは1以上
の整数を示す。なお、上記ブロック共重合体において、
共役ジエン部分が水素添加されたブロック共重合体を使
用することも可能である。本発明で使用するポリスチレ
ン系エラストマ−を構成するビニル芳香族単量体として
は、スチレン、α−スチレン、o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、あるいはビニ
ルナフタレンなどが用いられるが、特にスチレンが好ま
しい。また、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、ピペリレンなどが用いられ、このなか
では1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましいも
のである。ブロック共重合体の重量平均分子量は10,
000〜800,000が好ましく、さらに好ましくは
50,000〜500,000である。またブロック共
重合体中のビニル芳香族単量体の含量は5〜60重量%
が好ましく、さらに好ましくは20〜50重量%であ
る。
【0009】本発明において使用される熱可塑性エラス
トマ−(I)としてのポリウレタン系エラストマ−と
は、長鎖ポリオ−ル、短鎖ポリオ−ル、短鎖グリコ−
ル、ジイソシアネ−トなどを原料として重付加反応によ
り、分子内にウレタン結合を介して得られる重合体であ
る。この熱可塑性ポリウレタンエラストマ−の原料であ
る長鎖ポリオ−ルには、ポリ(1,4−ブチレンアジペ
−ト)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペ−ト)、ポリカ
プロラクトン、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレ
ングリコ−ル、ポリオキシテトラメチレングリコ−ルな
どがある。また短鎖グリコ−ルには、エチレングリコ−
ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−
ルなどがあり、さらにジイソシアネ−トとしては、トリ
レンジイソシアネ−ト、4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソ
ホロンジイソシアネ−トなどがある。そして、長鎖ポリ
オ−ルとジイソシアネ−トでソフトセグメントを形成
し、短鎖グリコ−ルとジイソシアネ−トでハ−ドセグメ
ントを形成するものである。熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマ−の好ましい分子量は、好ましくは5,000〜
500,000、さらに好ましくは10,000〜30
0,000である。
【0010】本発明において使用されるグラフト共重合
体(II)は、ポリカ−ボネ−ト系樹脂セグメントとビニ
ル系樹脂セグメントから構成され、ポリカ−ボネ−ト系
樹脂セグメントとは、従来のポリカ−ボネ−ト系樹脂と
同様の製法、即ち界面重合法、ピリジン法、クロロホル
メ−ト法等の溶液重合法で製造されるものとエステル交
換法の溶融法で製造されるものであり、粘度平均分子量
が2000〜100000、好ましくは5000〜50
000、特に好ましくは6000〜30000のもので
ある。溶液法で製造される場合は、反応後のポリカ−ボ
ネ−ト系樹脂溶液からポリカ−ボネ−ト系樹脂を固形化
して回収する方法として、ポリカ−ボネ−ト系樹脂溶液
に貧溶媒を添加して沈殿化する方法、ポリカ−ボネ−ト
系樹脂溶液から溶媒を留去して濃縮し、粉状体とする方
法、ポリカ−ボネ−ト系樹脂溶液に貧溶媒を添加し、加
熱下の温水中に該混合物を添加し温水中に懸濁させて溶
媒および貧溶媒を留去して固形化して水スラリ−液を生
成させつつ固形化過程の液を湿式粉砕機に循環し粉砕す
る方法等の種々の方法があるが、本発明においてはポリ
カ−ボネ−ト系樹脂の水懸濁液として、ポリカ−ボネ−
ト系樹脂の水スラリ−液をそのまま用いるのが、合理的
で好ましい。
【0011】ポリカ−ボネ−ト系樹脂の製造に使用する
二価フェノ−ル系化合物として好ましいものは、具体的
には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エ−テル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ジフェニルメタンが例示される。
【0012】本発明において反応性の不飽和末端基を有
するポリカ−ボネ−ト系樹脂を使用しても何ら問題な
い。上記の不飽和末端基を有するポリカ−ボネ−ト系樹
脂の製法は、分子量調整剤もしくは末端停止剤として、
二重結合を有する一官能化合物を、又はこれと従来の末
端停止剤を併用するほかは従来のポリカ−ボネ−ト系樹
脂と同様の製法、即ち界面重合法、ピリジン法、クロロ
ホルメ−ト法等の溶液法で製造されるものである。不飽
和末端基を導入するための二重結合を有する一官能基化
合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢
酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、5−ヘキセン
酸、9−デセン酸、9−ウンデセン酸などの不飽和カル
ボン酸;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライ
ド、ソルビン酸クロライド、アリルアルコ−ルクロロホ
ルメ−ト、イソプロペニルフェノ−ルクロロホルメ−ト
またはヒドロキシスチレンクロロホルメ−トなどの酸ク
ロライドまたはクロロホルメ−ト;イソプロペニルフェ
ノ−ル、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニルマレ
イミド、ヒドロキシ安息香酸アリルエステルまたはヒド
ロキシ安息香酸メチルアリルエステルなどの不飽和酸を
有するフェノ−ル類等が挙げられる。これらの化合物は
従来の末端停止剤と併用してもよいものであり、上記し
た二価フェノ−ル系化合物1モルに対して、通常、1〜
25モル%、好ましくは1.5〜10モル%の範囲で使
用される。
【0013】ポリカ−ボネ−ト系樹脂は、上記の成分を
必須として製造するものであるが、分岐化剤の二価フェ
ノ−ル系化合物に対して0.01〜3モル%、特に0.
1〜1モル%の範囲で併用して分岐化ポリカ−ボネ−ト
系樹脂とすることもできる。このような分岐化剤として
は、フロログリシン、2,6−ジメチル−2,4,6−
トリ(ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、4,6−ジ
メチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)
ヘプテン−2、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−
メチルベンジル)−4−メチルフェノ−ル、α,α′,
α″−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−
トリイソプロピルベンゼンなどで例示されるポリヒドロ
キシ化合物、および3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ
−ル)オキシインド−ル〔=イサチンビスフェノ−
ル〕、5−クロルイサチン、5,7−ブロムイサチン、
5−ブロムイサチンなどが例示される。
【0014】このときのポリカ−ボネ−ト系樹脂の粒径
は0.1〜5mm程度の粉状またはペレット状であること
が好ましい。粒径が過度に大きいとグラフト共重合体
(II)を合成する際の懸濁液中での分散が困難であるば
かりでなく、ビニル単量体等の含浸時間が長くなる欠点
がある。また多孔質であることが含浸する上でより好ま
しい。
【0015】本発明において使用されるグラフト共重合
体(II)を構成するビニル系樹脂セグメントとは、具体
的には、スチレン、核置換スチレン、α−置換スチレン
などの芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリル
などのシアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アク
リル酸エステル単量体、フェニルマレイミド、シクロヘ
キシルマレイミドなどのマレイミド単量体からなる群か
ら選択される1種以上の単量体を重合して得られるビニ
ル系樹脂のことである。
【0016】本発明でいうグラフト共重合体(II)と
は、ポリカ−ボネ−ト系樹脂セグメントにより形成され
る連続相中に、ビニル系樹脂セグメントが球状に微細に
分散しているもの、またはビニル系樹脂セグメントによ
り形成される連続相中に、ポリカ−ボネ−ト系樹脂セグ
メントが球状に微細に分散しているものをいい、分散し
ている樹脂の粒子径は0.01〜10μmである。分散
樹脂粒子径が0.01μm未満の場合あるいは10μm
を超える場合、成形品の耐熱性や表面外観が低下するた
め好ましくない。本発明のグラフト共重合体(II)中の
ビニル系樹脂の数平均重合度は10〜5000、好まし
くは100〜2000である。数平均重合度が10未満
であると、成形品の耐熱性が低下するため好ましくな
い。また、数平均重合度が5000を超えると、熱可塑
性エラストマー組成物の溶融粘度が高く、成形性が低下
したり、成形品の表面外観が悪化するために好ましくな
い。本発明のグラフト共重合体(II)は、ポリカ−ボネ
−ト系樹脂セグメントが5〜95重量%、好ましくは3
0〜90重量%、最も好ましくは50〜85重量%から
なるものである。したがって、ビニル系樹脂セグメント
は95〜5重量%、好ましくは70〜10重量%、最も
好ましくは50〜15重量%である。ポリカ−ボネ−ト
系樹脂セグメントが5重量%未満、あるいは95重量%
を超えると、成形品の表面外観が悪化したりあるい塗装
性の改良効果が不十分となり好ましくない。
【0017】本発明において、熱可塑性エラストマー
(I)は、50〜99.9重量%、好ましくは60〜9
9.9重量%、さらに好ましくは70〜99重量%、す
なわち、グラフト共重合体(II)は50〜0.1重量
%、好ましくは40〜0.1重量%、さらに好ましくは
30〜1重量%である。熱可塑性エラストマー(I)が
99.9重量%を越える場合、すなわちグラフト共重合
体(II)が0.1重量%未満だと成形品の耐熱性や塗装
性の改良効果が不十分で、また熱可塑性エラストマー
(I)が50重量%未満、すなわちグラフト共重合体(I
I)が50重量%を越えると熱可塑性エラストマー組成
物の柔軟性、成形加工性および成形品の表面外観が低下
してしまい好ましくない。
【0018】本発明のグラフト共重合体(II)を製造す
る際のグラフト化法は、一般によく知られている連鎖移
動法、電離性放射線照射法、マクロモノマー法等いずれ
の方法によってもよいが、最も好ましいのは、下記に示
す方法によるものである。何とならば、グラフト効率が
高く熱による二次的凝集が起こらないため、性能の発現
がより効果的であり、また製造方法が簡便であるためで
ある。
【0019】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
方法を具体的に詳述する。すなわち、ポリカ−ボネ−ト
系樹脂粒子100重量部を水に懸濁せしめ、別にビニル
単量体の1種または2種以上の混合物5〜99重量部
に、ラジカル重合性有機過酸化物の1種または2種以上
の混合物を該ビニル単量体100重量部に対して0.1
〜10重量部と、10時間の半減期を得るための分解温
度が40〜90℃であるラジカル重合開始剤をビニル単
量体とラジカル重合性有機過酸化物との合計100重量
部に対して0.01〜5重量部とを溶解せしめた溶液を
加え、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない
条件で加熱し、ビニル単量体、ラジカル重合性有機過酸
化物およびラジカル重合開始剤をポリカ−ボネ−ト系樹
脂粒子中に含浸せしめ、ついでこの水性懸濁液の温度を
上昇せしめ、ビニル単量体とラジカル重合性有機過酸化
物とをポリカ−ボネ−ト系樹脂粒子中で共重合せしめ
て、グラフト化前駆体を得る。このグラフト化前駆体を
直接熱可塑性エラストマー(I)と共に溶融混合しても
よい。またグラフト化前駆体を150〜350℃の溶融
下、混練することにより、本発明におけるグラフト共重
合体(II)を得ることもできる。このとき、グラフト化
前駆体に、別にポリカーボネート系樹脂またはビニル系
樹脂を混合し、溶融下に混練してもグラフト共重合体
(II)を得ることができる。最も好ましいのはグラフト
化前駆体を混練し得られたグラフト共重合体(II)であ
る。
【0020】前記ラジカル重合性有機過酸化物とは、一
般式(1)
【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル
基、R2は水素原子またはメチル基、R3およびR4はそ
れぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜1
2のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基
または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。mは
1または2である。)で表される化合物、または、一般
式(2)
【0021】
【化2】 (式中、R6は水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基、R7は水素原子またはメチル基、R8およびR9はそ
れぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数1〜1
2のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基
または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。nは
0、1または2である。)で表される化合物が好まし
い。
【0022】一般式(1)で表されるラジカル重合性有
機過酸化物として、具体的には、t−ブチルペルオキシ
アクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト、t−アミルペル
オキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト、t−ヘキ
シルペルオキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト、
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリ
ロイロキシエチルカ−ボネ−ト、クミルペルオキシアク
リロイロキシエチルカ−ボネ−ト、p−イソプロピルク
ミルペルオキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト、
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ−ボ
ネ−ト、t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカ−ボネ−ト、t−ヘキシルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカ−ボネ−ト、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ−ボ
ネ−ト、クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
−ボネ−ト、p−イソプロピルクミルペルオキシメタク
リロイロキシエチルカ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト、t−アミル
ペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−
ト、t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエトキシ
エチルカ−ボネ−ト、1,1,3,3−テトラメチルブ
チルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカ−ボ
ネ−ト、クミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエ
チルカ−ボネ−ト、p−イソプロピルクミルペルオキシ
アクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト、t−ブ
チルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカ−
ボネ−ト、t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエ
トキシエチルカ−ボネ−ト;t−ヘキシルペルオキシメ
タクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト、1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタクリロ
イロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト、クミルペルオキ
シメタクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト、p
−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエ
トキシエチルカ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキシアク
リロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、t−アミルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、
t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプロピル
カ−ボネ−ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、
クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカ−ボ
ネ−ト、p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイ
ロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、t−
アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカ−
ボネ−ト、t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシ
イソプロピルカ−ボネ−ト、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピル
カ−ボネ−ト、クミルペルオキシメタクリロイロキシイ
ソプロピルカ−ボネ−ト、p−イソプロピルクミルペル
オキシメタクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト等
を例示することができる。
【0023】さらに、一般式(2)で表される化合物と
しては、t−ブチルペルオキシアリルカ−ボネ−ト、t
−アミルペルオキシアリルカ−ボネ−ト、t−ヘキシル
ペルオキシアリルカ−ボネ−ト、1,1,3,3−テト
ラメチルブチルペルオキシアリルカ−ボネ−ト、p−メ
ンタンペルオキシアリルカ−ボネ−ト、クミルペルオキ
シアリルカ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキシメタリル
カ−ボネ−ト、t−アミルペルオキシメタリルカ−ボネ
−ト、t−ヘキシルペルオキシメタリルカ−ボネ−ト、
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタリ
ルカ−ボネ−ト、p−メンタンペルオキシメタリルカ−
ボネ−ト、クミルペルオキシメタリルカ−ボネ−ト、t
−ブチルペルオキシアリロキシエチルカ−ボネ−ト、t
−アミルペルオキシアリロキシエチルカ−ボネ−ト、t
−ヘキシルペルオキシアリロキシエチルカ−ボネ−ト、
t−ブチルペルオキシメタリロキシエチルカ−ボネ−
ト、t−アミルペルキシメタリロキシエチルカ−ボネ−
ト、t−ヘキシルペルオキシメタリロキシエチルカ−ボ
ネ−ト、t−ブチルペルオキシアリロキシイソプロピル
カ−ボネ−ト、t−アミルペルオキシアリロキシイソプ
ロピルカ−ボネ−ト、t−ヘキシルペルオキシアリロキ
シイソプロピルカ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキシメ
タリロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、t−アミルペル
オキシメタリロキシイソプロピルカ−ボネ−ト、t−ヘ
キシルペルオキシメタリロキシイソプロピルカ−ボネ−
ト等を例示することができる。中でも特に好ましくは、
t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ
−ト、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチル
カ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキシアリルカ−ボネ−
ト、t−ブチルペルオキシメタリルカ−ボネ−トであ
る。
【0024】本発明においては前記(I)+(II)を含
む樹脂成分100重量部に対して150重量部未満の無
機充填剤を配合することができる。上記無機充填剤とし
ては、粉粒状、平板状、鱗片状、針状、球状または中空
状および繊維状等が挙げられ、具体的には硫酸カルシウ
ム、珪酸カルシウム、クレ−、珪藻土、タルク、アルミ
ナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属粉、グラファイト、
炭化珪素、窒化珪素、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミ
ニウム、カ−ボンブラックなどの粉粒状充填材、雲母、
ガラス板、セリサイト、パイロフィライト、アルミフレ
−クなどの金属箔、黒鉛などの平板状もしくは鱗板状充
填材、シラスバル−ン、金属バル−ン、ガラスバル−
ン、軽石などの中空状充填材、ガラス繊維、炭素繊維、
グラファイト繊維、ウィスカ−、金属繊維、シリコ−ン
カ−バイト繊維、アスベスト、ウオストナイトなどの鉱
物繊維等の例を挙げることができる。充填剤の配合量が
150重量部を越えると柔軟性が低下するので好ましく
ない。また該無機充填剤の表面は、ステアリン酸、オレ
イン酸、パルチミン酸またはそれらの金属塩、パラフィ
ンワックス、ポリエチレンワックスまたはそれらの変性
物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネ−ト等を使用
して表面処理して施すことが好ましい。
【0025】本発明では、更に本発明の要旨を逸脱しな
い範囲において、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム等の無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等の有機難燃
剤、木粉等の有機充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、
滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、架橋剤、着色
剤等の添加剤およびLDPE、HDPE、PPなどのポ
リオレフィン、AS、ABS、MBSなどのビニル系樹
脂、エンジニアリングプラスチックスなどを添加しても
差し支えない。
【0026】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
温度100〜350℃、好ましくは120〜300℃で
溶融・混合することによって製造される。上記温度が1
00℃未満の場合、溶融が不完全であったり、また溶融
粘度が高く、混合が不充分となり、成形品に相分離や層
状剥離が現れるため好ましくない。また350℃を超え
ると、混合される樹脂の分解もしくはゲル化が起こり好
ましくない。溶融・混合する方法としては、バンバリ−
ミキサ−、加圧ニ−ダ−、混練押出機、二軸押出機、ロ
−ル等の通常用いられる混練機により行うことができ
る。
【0027】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は成
形加工性に優れるため、射出成形、押出成形、真空成
形、ブロ−成形の何れの成形方法にても成形することが
できる。なかでも射出成形は流動性、成形品外観の観点
から、押出成形は成形シ−トの成形性、シ−ト外観の観
点から、また真空成形は深絞り成形性の観点からより好
ましい。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。なお、これらの例において、%は特に断らない
限り、重量%を表す。 参考例1 (グラフト共重合体(IIA)の製造)水酸化ナトリウム
3.4Kgを水4200mlに溶解し、20℃に保ちな
がら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン6.6Kg、ハイドロサルファイト8gを溶解した。
これにメチレンクロライド28000mlを加えて撹拌
しつつ、p−tert−ブチルフェノ−ル260gを加
え、ついでホスゲン3.3Kgを60分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、激しく攪拌して反応液を乳化
させ、乳化後、8gのトリエチルアミンを加え約1時間
撹拌を続け重合させた。重合液を、水相と有機相に分離
し、有機相をリン酸で中和した後、洗液のpHが中性と
なるまで水洗を繰り返した後、イソプロパノ−ルを35
000ml加えて、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾過
し、その後、真空乾燥することにより、白色粉末状のポ
リカ−ボネ−ト系樹脂を得た。このポリカ−ボネ−ト系
樹脂の粘度を測定した結果、粘度平均分子量(Mv)は
16,000であった。このポリカ−ボネ−ト系樹脂の
粉末700gを内容積5000mlのステンレス製オ−
トクレ−ブに入れ、純水2500ml、懸濁剤としてポ
リビニルアルコ−ルを2.5g加えた。別にラジカル重
合開始剤としてのベンゾイルパ−オキサイド「ナイパ−
B」(商品名、日本油脂(株)製)1.5g、ラジカル
重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタク
リロイロキシエチルカ−ボネ−ト6gをビニル単量体と
してのスチレン300gに溶解させ、この溶液を前記オ
−トクレ−ブ中に投入・攪拌した。次いでオ−トクレ−
ブを60〜65℃に保ち、2時間攪拌することによりラ
ジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物を含
むビニル単量体をポリカ−ボネ−ト系樹脂粉に含浸させ
た。次いで、温度を80〜85℃に上げ、その温度で7
時間維持して重合を完結させ、水洗及び乾燥してグラフ
ト化前駆体(IIa)を得た。このグラフト化前駆体(II
a)中のスチレン樹脂を酢酸エチルで抽出し、GPCに
より数平均重合度を測定したところ、900であった。
次いで、このグラフト化前駆体(IIa)をラボプラスト
ミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)で250℃
にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフ
ト共重合体(IIA)を得た。このグラフト共重合体(II
A)を走査型電子顕微鏡「JEOL JSM T30
0」(日本電子(株)製)により観察したところ、粒子
径0.3〜0.4μmの真球状樹脂が均一に分散した多
相構造であった。なおこのとき、スチレン樹脂のグラフ
ト効率は72.2重量%であった。
【0029】参考例2 (グラフト共重合体(IIB)の製造)参考例1におい
て、ビニル単量体としてのスチレン単量体300gをス
チレン単量体210g、アクリロニトリル単量体90g
との混合単量体に、またベンゾイルペルオキシド1.5
gをジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキ
シド「パ−ロイル355」(商品名、日本油脂(株)
製)3gに変更し、分子量調整剤としてα−メチルスチ
レンダイマ−「ノフマ−MSD」(商品名、日本油脂
(株)製)0.3gを使用した以外は、参考例1を繰り
返してグラフト化前駆体(IIb)およびグラフト共重合
体(IIB)を得た。 このときスチレン−アクリロニト
リル樹脂の数平均重合度は1200、またこのグラフト
共重合体(IIB)中に分散している樹脂の平均粒子径は
0.3〜0.4μmであった。なおスチレン−アクリロ
ニトリル樹脂のグラフト効率は69.8重量%であっ
た。
【0030】参考例3 (ブレンド体(IIC)の製造)参考例1で得たポリカー
ボネート系樹脂の粉末と、数平均分子量900のスチレ
ン樹脂をドライブレンドしたのち、ラボプラストミル一
軸押出機((株)東洋精機製作所製)で250℃にて押
し出しブレンド体(IIC)を得た。このとき、分散して
いる樹脂の粒子径は20μmであった。またスチレン樹
脂のグラフト効率は0.1%以下であった。
【0031】参考例3 (ブレンド体(IID)の製造)参考例1で得たポリカー
ボネート系樹脂の粉末と、数平均分子量1200のスチ
レン−アクリロニトリル樹脂をドライブレンドしたの
ち、ラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作
所製)で250℃にて押し出しブレンド体(IID)を得
た。このとき、分散している樹脂の粒子径は12μmで
あった。またスチレン−アクリロニトリル樹脂のグラフ
ト効率は0.1%以下であった。
【0032】実施例1〜10 熱可塑性ポリオレフィン系エラストマ−(IA)「サン
トプレン 101−80」(商品名、三菱モンサント化
成(株)製)(TPOとして表中に表示)および参考例
で得たグラフト共重合体(IIA)または(IIB)、およ
びABS樹脂「スタイラックABS 283」(商品
名、旭化成工業(株)製)(ABSとして表中に表示)
を表1の配合比でドライブレンドした後、シリンダ−温
度180℃に設定されたスクリュ−径30mmの同軸方
向二軸押出機に供給し、押出後造粒した。造粒した樹脂
は射出成形によって試験片を作成し、次の試験を行っ
た。
【0033】(1)引張試験:JIS K 6301
(引張最大強さの単位は、kg/cm2である) (2)ビカット軟化温度:JIS K 7206 (3)塗装性試験 試験片にプライマレス塗料「プライマックNo.20
1」(商品名、日本油脂(株)製)を塗装したのち(8
0℃、40分焼付)、縦横各11本の1mm間隔の直交す
る切れ目をナイフで試験片に到達するまで入れて、格子
状に一辺の長さ1mmの正方形を100個作ったのち、そ
の格子へセロハン粘着テープ(商品名、ニチバン(株)
製)を貼り付け、瞬時に剥がしたとき剥がれずに残った
正方形の数で表した。 (4)硬度:JIS K 6301(Aタイプ) (5)射出成形品の外観 成形品の表面のフロ−マ−ク、肌荒れ、シルバ−ストリ
−ク、ブル−ミングなどを目視で判定した。 判定 ◎:優 ○:良 ×:不可
【0034】(6)押出成形性 熱可塑性ポリオレフィン系エラストマ−(IA)「サン
トプレン 101−80」(商品名、三菱モンサント化
成(株)製)(TPOとして表中に表示)および参考例
で得たグラフト共重合体(IIA)または(IIB)をドラ
イブレンドした後、シリンダ−温度180℃に設定され
たスクリュ−径30mmの一軸押出機に供給し、厚み3mm
のシ−トを製造してその時の押出変動と吐出量により評
価した。 判定 ◎:押出変動が小さく、かつ吐出量が高く
安定 ○:若干の押出変動あり ×:押出変動が大きく、かつ吐出量が不安定 (7)シ−トの外観 押出成形によって得たシ−トの表面の光沢、肌荒れ、層
剥離などを目視で判定した。 判定 ◎:優 ○:良 ×:不可 (8)深絞り成形性 真空成形機を用い、押出成形によって得たシ−トを、シ
−ト温度約150℃にて100秒間加熱し、成形倍率4
倍で真空成形の可否を評価した。 判定 ◎:良好 ○:やや厚みにバラツキあり ×:厚みのバラツキひどく、破れあり
【0035】
【表1】 a)(樹脂(I)+樹脂(II))100重量部に対する
重量部
【0036】実施例11〜20 実施例1〜10のTPOの代わりに、熱可塑性ポリスチ
レン系エラストマ−(IB)「TR1000」(商品
名、日本合成ゴム(株)製)(SBCとして表中に表
示)、または熱可塑性ポリウレタン系エラストマ−(I
C)「クラミロンU3190」(商品名、クラレ(株)
製)(TPUとして表中に表示)を用いた例を表2に示
す。
【0037】
【表2】 a)(樹脂(I)+樹脂(II))100重量部に対する
重量部
【0038】比較例1〜15 グラフト共重合体(IIA)または(IIB)の代わりに、
スチレン−アクリロニトリル樹脂「サンレックスSAN
−C」(商品名、三菱モンサント化成(株)製)(AS
として表中に表示)、スチレン樹脂「旭化成ポリスチレ
ン666」(商品名、旭化成工業(株)製)(PSとし
て表中に表示)参考例1で得たポリカーボネート系樹脂
(PCとして表中に表示)または参考例3で得たブレン
ド体(IIC)を使用した例を表3、表4及び表5に示
す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】表1より、熱可塑性ポリオレフィン系エラ
ストマ−にポリカーボネート系樹脂とビニル系樹脂との
グラフト共重合体をブレンドしたエラストマー組成物
は、柔軟性(引張破断点伸び)を維持したまま、強度、
耐熱性、塗装性、耐擦傷性(硬度)、成形性、表面外
観、意匠性が向上していることがわかる。また、表2よ
り、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマ−を熱可塑性
ポリスチレン系エラストマ−や熱可塑性ウレタン系エラ
ストマーに変更しても同様であることがわかる。一方、
表3より、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマ−に、
ポリカーボネート系樹脂とビニル系樹脂とのグラフト共
重合体の代わりにポリカーボネート系樹脂、スチレン−
アクリロニトリル樹脂またはこれらのブレンド体(比較
例2、3または4)をブレンドしたエラストマー組成物
は、耐擦傷性は向上しているものの、柔軟性(引張破断
点伸び)が大きく低下し、その他の性能はあまり向上し
ていないことがわかる。また、表4及び表5より、熱可
塑性ポリオレフィン系エラストマ−を熱可塑性ポリスチ
レン系エラストマ−や熱可塑性ウレタン系エラストマー
に変更しても同様であることがわかる。
【0043】これらの結果より、ポリカーボネート系樹
脂とビニル系樹脂とのグラフト共重合体が、熱可塑性エ
ラストマ−の強度、耐熱性、塗装性、耐擦傷性(硬
度)、成形性、表面外観、意匠性の改良に大きな効果が
あり、そのエラストマ−組成物は比較例のものと比べ柔
軟性を維持したまま強度、耐熱性、塗装性、耐擦傷性
(硬度)、成形性、表面外観、意匠性が向上した樹脂組
成物であるこがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明に用いるグラフト共重合体(II)
は、熱可塑性エラストマ−(I)の強度、耐熱性、塗装
性、耐擦傷性(硬度)、成形性、表面外観、意匠性の改
良に大きな効果があり、これらの組み合わせからなるエ
ラストマ−組成物は、柔軟性を維持したまま強度、耐熱
性、塗装性、耐擦傷性(硬度)、成形性、表面外観、意
匠性が向上しており、かつ成形品の外観に優れたエラス
トマ−組成物である。それゆえ、その成形品は自動車部
品、電気・電子部品、工業部品および建築部品などに広
く使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 LPN C08L 69/00 LPN 75/04 NGG 75/04 NGG

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマ−(I)99.9〜
    50重量%と、ポリカーボネート系樹脂セグメント5〜
    95重量%とビニル系樹脂セグメント95〜5重量%と
    からなり、一方のセグメントにより形成された連続相中
    に他方のセグメントにより形成された分散相が微細に分
    散している多相構造を示すグラフト共重合体(II)0.
    1〜50重量%とからなることを特徴とする熱可塑性エ
    ラストマ−組成物。
JP14977195A 1995-05-25 1995-05-25 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JPH08319428A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088210A (ja) * 2000-09-19 2002-03-27 Inoac Corp 熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその成形体
WO2006077772A1 (ja) * 2005-01-21 2006-07-27 Kuraray Co., Ltd. 熱可塑性重合体組成物
CN107177194A (zh) * 2017-07-06 2017-09-19 浙江工贸职业技术学院 一种汽车内饰高分子材料及其制备方法

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