JPH08199012A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH08199012A
JPH08199012A JP1088695A JP1088695A JPH08199012A JP H08199012 A JPH08199012 A JP H08199012A JP 1088695 A JP1088695 A JP 1088695A JP 1088695 A JP1088695 A JP 1088695A JP H08199012 A JPH08199012 A JP H08199012A
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pts
block copolymer
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JP1088695A
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Sanehiro Shibuya
修弘 渋谷
Keiko Matsuhisa
恵子 松久
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記の成分(A),(B),(C)及び
(D)を下記配合比で含有する熱可塑性樹脂組成物。 (A)結晶性オレフィン系樹脂 20〜70重量部 (B)ポリカーボネート30〜90重量%及び飽和ポリエステル70〜10重 量%からなる縮合系樹脂 80〜30重量部 (C)芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物100 重量部に、水酸基を有する不飽和化合物0.05〜50重量部と芳香族ビニル化 合物0〜50重量部とをグラフト重合工程に付して得られる変性樹脂、成分(A )と成分(B)の合計100重量部に対し、 2〜40重量部 (D)導電性物質、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量 部に対し、 2〜100重量部 特に変性樹脂の水酸基残存率が0.3〜1.0である上
記の熱可塑性樹脂組成物である。 【効果】 導電性、帯電防止性、耐衝撃性、剛性及び耐
溶剤性に優れた成形品を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性、帯電防止性、
耐衝撃性、耐熱性、耐溶剤性及び成形性が優れた熱可塑
性樹脂組成物に関する。この成形品は、帯電防止性包装
用シート、自動車部品、電気及び電子機器部品、例え
ば、スイッチ、ハウジング、面発熱体、半導体デバイス
用コンテナーやトレーおよび中空容器等広い分野で使用
される。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂にカーボンブラック、炭素
繊維、金属繊維等の導電性物質を配合して導電性樹脂を
得ることは公知である。溶融流動性、耐溶剤性、耐熱性
等に優れるポリカーボネートや飽和ポリエステルなどの
縮合系樹脂は、成形加工時や高温多湿条件下での使用に
おいて、吸水して加水分解がおこり、機械特性などが変
化し易いという欠点を有するために、成形加工性、耐吸
水性、耐溶剤性が優れ、かつ安価であるポリプロピレ
ン、ポリエチレン等の結晶性オレフィン系樹脂をブレン
ドすることが提案されている。さらに、相溶性が悪いこ
とに起因する衝撃強度の低下を改善するためにエラスト
マー成分を添加することが提案されている。
【0003】電気抵抗が著しく大きいこれらの樹脂組成
物は、導電性を必要とする面発熱体、静電気の帯電を防
止する必要のある半導体用のコンテナーやトレー等の用
途においては、導電性や帯電防止性の付与が必要とされ
る。このために、上記の導電性物質を添加すると、導電
性や帯電防止性を付与できるが、衝撃強度が大きく低下
するという欠点がある。衝撃強度を改良する為には、変
性ポリオレフィンやエラストマーを配合する方法が知ら
れている。
【0004】変性ポリオレフィンとしては、酸基、エポ
キシ基など様々な官能基を導入したものが検討されてい
るが、一応の効果はみられるもののその効果は小さい。
エラストマーを配合する方法については、具体的には、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体やその水素添加
物を添加する方法(特開昭53−124559号公報)
が開示されており、優れた衝撃強度改良効果を示してい
るが、明細書中に開示されている2〜80重量%の無機
質充填剤の添加された樹脂組成物は、相溶性が低いため
に層状剥離をおこしやすく、−30℃といった低温にお
ける衝撃強度が低く、更に性能を向上させるためには相
溶性の向上が必要である。また、芳香族ポリカーボネー
ト90〜98重量%、及びビニル芳香族化合物と共役ジ
エンのブロック共重合体を水素添加して得られるブロッ
ク共重合体の水素添加物に有機カルボン酸又はその誘導
体を付加させて得られた変性ブロック共重合体2〜10
重量%からなる樹脂混合物100重量部に対して、カー
ボンブラック2〜40重量部を配合してなる樹脂組成物
(特開平6−179806号公報)が開示されており、
体積固有抵抗が低減され、良好な衝撃強度改良効果を示
しているが、芳香族ポリカーボネートの欠点である耐溶
剤性が不十分である。
【0005】特開平1−204962号公報には、芳香
族ポリカーボネート10〜40重量%、ポリブチレンテ
レフタレート40〜85重量%、ゴム含有熱可塑性樹脂
4.5〜25重量%、ポリオレフィン0.5〜10重量
%の合計100重量部にたいして、比表面積が150m
2 /g以上でかつ吸油量が500ml/100g以上で
あるカーボンブラック1〜10重量部を配合してなる樹
脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、ポリオ
レフィンの配合量が少なく、縮合系樹脂の弱点として知
られる、耐加水分解性の改善効果が不十分であるばかり
でなく、ポリオレフィンの配合量が10重量%より多い
範囲では、得られる成形体の衝撃強度が低くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性、帯
電防止性、耐衝撃性、耐熱性、耐溶剤性及び成形性の優
れた熱可塑性樹脂組成物の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このため
鋭意検討を重ねた結果、結晶性オレフィン系樹脂と、ポ
リカーボネートと飽和ポリエステルよりなる縮合系樹脂
との双方に親和性を持つエラストマーとして、特定量の
水酸基含有不飽和化合物又はそれと特定量の芳香族化合
物とがグラフト変性された芳香族ビニル化合物−共役ジ
エンブロック共重合体の水素添加物及び導電性物質を結
晶性オレフィン系樹脂、ポリカーボネート及び飽和ポリ
エステルに配合することにより、導電性に優れるばかり
でなく、衝撃強度や引張伸度、外観、成形加工性の良好
な樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明に到っ
た。
【0008】すなわち本発明は、下記の成分(A),
(B),(C)及び(D)を下記配合比で含有する熱可
塑性樹脂組成物である。 (A)結晶性オレフィン系樹脂 20〜70重量部 (B)ポリカーボネート30〜90重量%及び飽和ポリエステル70〜10重 量%からなる縮合系樹脂 80〜30重量部
【0009】 (C)芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物100 重量部に、水酸基を有する不飽和化合物0.05〜50重量部と芳香族ビニル化 合物0〜50重量部とをグラフト重合工程に付して得られる変性樹脂、成分(A )、成分(B)の合計100重量部に対し、 2〜40重量部 (D)導電性物質、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量 部に対し、 2〜100重量部 特に変性樹脂の水酸基残存率(測定法後述)が0.3〜
1.0である上記の熱可塑樹脂組成物である。
【0010】本発明で用いる成分(A)の結晶性オレフ
ィン系樹脂と相溶性のある成分(C)の変性樹脂の水酸
基と成分(B)のポリカーボネート及び飽和ポリエステ
ルのエステル基、カルボキシル基又は水酸基とが反応し
て、変性樹脂とポリカーボネート樹脂及び/又は飽和ポ
リエステルとのブロック共重合体及び/又はグラフト共
重合体が生成し、これが相溶化剤となって成分(C)の
変性樹脂が微細で安定な分散構造を形成し、さらに導電
性物質が、これらの樹脂成分のなす分散構造中に効率よ
く分散することにより、導電性に優れるばかりでなく、
成形体の機械的強度、外観及び成形性等が改良されるも
のと推測される。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】<構成成分>(1)結晶性オレフィン系樹脂(A) 結晶性オレフィン系樹脂(A)は、炭素数2〜10のα
−オレフィンの少なくとも1種からなる重合体若しくは
共重合体であり、X線回折による室温での結晶化度が1
5%以上が好ましく、より好ましくは30〜70%であ
り、融点が85〜250℃、好ましくは110〜200
℃であり、23℃での曲げ弾性率が500〜4000M
Paのものである。結晶化度の低下は最終組成物の弾性
率を低下させる。また、このオレフィン系樹脂は、常温
において成形用樹脂としての充分な分子量が必要であ
る。例えば、プロピレンが主成分である場合、JIS
6758にもとづいて測定したメルトフローレート(2
30℃、2.16kg荷重、以下「MFR」という)が
0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50
g/10分に相当する分子量である。
【0012】結晶性オレフィン系樹脂の構成成分である
上記α−オレフィンの例としては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メ
チルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジ
メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1、4−メ
チルヘキセン−1、4,4−ジメチルヘキセン−1、5
−メチルヘキセン−1、アリルシクロペンタン、アリル
シクロヘキサン、アリルベンゼン、3−シクロヘキシル
ブテン−1、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキ
サン、2−ビニル−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、
ヘプテン−1、またはオクテン−1等があげられる。
【0013】以上のうち、好ましいα−オレフィンの例
として、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン
−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1をあげること
ができる。特に、エチレン、プロピレン、ブテン−1、
4−メチルペンテン−1が好ましい。またその他の成分
として、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチ
ル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オク
タジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合
体成分の一部として用いてもよい。
【0014】結晶性オレフィン系樹脂の具体例として
は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重
合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プ
ロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−4−メチ
ルペンテン−1共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−
1)、プロピレン−3−メチルペンテン−1共重合体、
高密度ポリエチレン、線状中密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレン、プロピレン−1,9−デカジエン共
重合体等があげられる。
【0015】これらのうちで、高レベルの成形加工性と
機械的強度のバランスを与えるという観点から、アイソ
タクティックポリプロピレン、プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体が好ましい。アイソタクティックポロプ
ロピレンやプロピレン−エチレンブロック共重合体の立
体規則性(タクティシティー)は、高いものの方が剛性
の高い成形体を与えるので好ましい。
【0016】これらの結晶性オレフィン系樹脂は、ラジ
カル開始剤の存在若しくは非存在下で変性して用いるこ
とができる。変性の方法は成分(C)の変性樹脂の項で
例示するような、一般的な方法で行うことが出来る。変
性に使用する変性剤は、官能基と不飽和結合を持つ化合
物で、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体、ビニ
ルモノマー等が挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸
及びその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、メ
タクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシ
ジル等が挙げられビニルモノマーの具体例としては、ス
チレン、メチルスチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0017】(2)縮合系樹脂(B) 本発明で用いられる縮合系樹脂(B)は、ポリカーボネ
ートと飽和ポリエステルとからなる。
【0018】i)ポリカーボネート ポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、
脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネ
ート等が挙げられる。そのうちでも芳香族ポリカーボネ
ートが好ましい。芳香族ポリカーボネートは芳香族ジヒ
ドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物
を、ホスゲンと反応させることによって製造される。ま
た、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒ
ドロキシ化合物を炭酸ジエステルでエステル交換反応し
ても製造される。必要により分岐剤の3官能以上の化合
物、分子量調整剤も反応に供される。この芳香族ポリカ
ーボネートは分岐していても、分岐していなくても良い
熱可塑性芳香族ポリカーボネートである。
【0019】芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下「ビスフェノールA」と略記する)、テトラメチルビ
スフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−イソプロピルベンゼ
ン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒ
ドロキシフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、などであり、特にビスフェノールAが望ま
しい。
【0020】また分岐したポリカーボネートを得るに
は、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−
トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2,4,6
−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ
(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、2,6−ジ
メチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)
ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、及
び、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシイ
ンドール〔イサチン(ビスフェノールA)〕、5−クロ
ロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイ
サチンなどで、前記ヒドロキシ化合物の一部、例えば、
0.1〜2モル%を置換する。
【0021】さらに、分子量を調節するのに適した一価
芳香族ヒドロキシ化合物としては、m−若しくはp−メ
チルフェノール、m−若しくはp−プロピルフェノー
ル、p−ブロモフェノール、p−tert−ブチルフェ
ノール、およびp−長鎖アルキル置換フェノール等が挙
げられる。好適なポリカーボネートとしてはビス(4−
ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特に好ましく
はビスフェノールAを主原料とするポリカーボネートで
ある。二種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物を併用して
得られるポリカーボネート共重合体、3価のフェノール
系化合物を少量併用して得られる分岐したポリカーボネ
ートも好適例としてあげることができる(特開昭63−
30524号、同56−55328号、特公昭55−4
14号、同60−25049号、特公平3−49930
号各公報)。芳香族ポリカーボネートは二種以上の混合
物として用いてもよい。
【0022】本発明に使用するポリカーボネートの分子
量は、クロロホルム溶媒を用いて35℃でのゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー〔「GPC」と略す。東
ソー社製HLC−8020を使用。〕により、標準ポリ
スチレンの検量線を用いて、汎用校正曲線法(ユニバー
サルキャリブレーション法)により算出される。本発明
のポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は15,
000〜40,000、好ましくは20,000〜3
5,000の範囲のポリカーボネートである。15,0
00未満の範囲では得られる成形体の衝撃強度が低くな
り、40,000を超える範囲では溶融混練における分
散不良や、成形加工時の流動性不良が生じ易く、好まし
くない。また、数平均分子量(Mn)に対する重量平均
分子量(Mw)の比(Mw/Mn=Q)は、通常1.5
〜4の範囲、好ましくは2〜3の範囲である。4を超え
る範囲では、低温における衝撃強度レベルが低くなる傾
向となる。
【0023】ii)飽和ポリエステル 本発明で用いる飽和ポリエステル(B)としては、種々
の飽和ポリエステルが使用可能である。例えば、通常の
方法にしたがって、ジカルボン酸またはその低級アルキ
ルエステル、酸ハライド若しくは、酸無水物誘導体とグ
リコールとを重縮合させて製造する熱可塑性飽和ポリエ
ステルが挙げられる。
【0024】この飽和ポリエステルの製造に適した芳香
族又は脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、
イソフタル酸、p,p′−ジカルボキシジフェニルスル
ホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシ
フェノキシ吉草酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、
2,7−ナフタリンジカルボン酸あるいはこれらのカル
ボン酸の混合物が挙げられる。
【0025】グリコールの具体例としては、炭素数2〜
12の直鎖アルキレングリコール、例えばエチレングリ
コール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール等;芳香族グリ
コールとして、例えばピロカテコール、レゾノシノー
ル、ヒドロキノン、ビスフェノール−A等;脂環式グリ
コールとして、例えばシクロヘキサンジメタノール等;
又はこれらの化合物のアルキル置換誘導体が挙げられ
る。
【0026】好適な飽和ポリエステルとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリ(1、4−シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート)が挙げられる。液晶性
ポリエステル、例えば、イーストマンコダック社のX7
G、ヘキストセラニーズ社のベクトラ、住友化学工業社
のエコノールなどの商品名で市販されているものも望ま
しい。これらは、単独または二種以上を併用して使用す
ることができる。成分(B)の熱可塑ポリエステルは、
最終樹脂組成物の成形時の流動性、成形体の耐熱性、剛
性、外観等の向上に寄与する。
【0027】(3)変性樹脂(C) 成分(C)の変性樹脂は、芳香族ビニル化合物−共役ジ
エンブロック共重合体の水素添加物100重量部に、水
酸基を有する不飽和化合物0.05〜50重量部と芳香
族ビニル化合物0〜50重量部とをグラフト変性して得
られるエラストマータイプの変性樹脂である。
【0028】i)芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロ
ック共重合体の水素添加物 本発明で使用する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロ
ック共重合体の水素添加物は、具体的には少なくとも1
個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック
と、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブ
ロックからなるブロック共重合体の共役ジエンにもとづ
く脂肪族二重結合の少なくとも80%を水素添加してな
る、ブロック共重合体の水素添加物である。
【0029】芳香族ビニル化合物としては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、2,4,6−トリ
メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、
ブロモスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレ
ン、シアノスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフ
タレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましい。こ
れらは、単独又は2種以上を併用して用いることができ
る。
【0030】共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプ
レン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,
3−ブタジエンの内から1種又は2種以上が選ばれ、な
かでも、ブタジエン、イソプレン又はこれらの組み合わ
せが好ましい。これらのブロック共重合体の製造方法
は、例えば、特開昭40−23798号公報に記載され
た方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒中で合
成することができる。
【0031】共役ジエンを主体とする重合体ブロック
は、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶこと
ができ、例えば、ポリブタジエンブロックにおいては、
1,2−ビニル結合構造が5〜65%、好ましくは10
〜50%である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖
状、分岐状、放射状、ラジアルテレブロック状又はこれ
らの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0032】好ましいブロック共重合体は、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
ク共重合体、イソプレン−スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体である。
【0033】ブロック共重合体の水素添加物の製造法と
しては、例えば、特公昭42−8704号及び同43−
6636号各公報に記載された方法で得ることができ
る。特に、得られるブロック共重合体の水素添加物の耐
熱性、耐熱劣化性に優れた性能を発揮するチタン系水素
添加触媒を用いて合成されたブロック共重合体の水素添
加物が最も好ましく、例えば、特開昭59−13320
3号及び同60−79005号各公報に記載された方法
により、不活性溶媒中でチタン系水素添加触媒の存在下
に上記の構造を有するブロック共重合体を水素添加して
得ることができる。その際、芳香族ビニル化合物−共役
ジエンブロック共重合体の共役ジエンに基づく脂肪族二
重結合は少なくともその80%を水素添加させ、共役ジ
エンを主体とする重合体ブロックを形態的にオレフィン
型化合物重合体に変換させる必要がある。このブロック
共重合体中の水素添加物に含まれる非水素添加の脂肪族
二重結合の量は、赤外分光法、核磁気共鳴法などにより
容易に知ることができる。また、芳香族ビニル化合物ブ
ロックの含量は、10〜50重量%、好ましくは20〜
40重量%である。
【0034】ブロック共重合体の水素添加物の分子量
は、数平均分子量で1万〜20万、好ましくは2万〜1
5万、より好ましくは3万〜10万である。かかるブロ
ック共重合体の水素添加物は、シェル化学社よりクレー
トンG1652、クレートンG1701などのグレード
名で、またクラレ社よりセプトン2007などのグレー
ド名で入手することができる。
【0035】ii)水酸基を有する不飽和化合物 ブロック共重合体の水素添加物を変性するのに用いる水
酸基を有する不飽和化合物としては、水酸基と、不飽和
基すなわち、ブロック共重合体の水素添加物にたいして
グラフト重合可能な炭素−炭素二重結合とを同一分子内
に有する化合物である。
【0036】水酸基を有する不飽和化合物としては、た
とえばα,β−不飽和カルボン酸エステル、具体的には
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
メチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2,2−ビスヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メ
タ)アクリレート、炭素数4〜40のエチレングリコー
ルのオリゴマーの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙
げられる。ここで(メタ)アクリレートは、アクリレー
ト及びメタクリレートを意味する。更に、N−メチロー
ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、
ビス(2−ヒドロキシエチル)マレート、ビス(2−ヒ
ドロキシプロピル)マレート、ビス(2,3−ジヒドロ
キシプロピル)マレート、ビス(2−ヒドロキシメチル
−2−ヒドロキシプロピル)マレート、ビス(2,2−
ビスヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル)マレ
ートなど、並びにこれらの異性体であるフマレート、炭
素数4〜40のエチレングリコール又はプロピレングリ
コールのオリゴマーのマレイン酸もしくはフマル酸エス
テルは、上述のように、両方のカルボン酸がヒドロキシ
アルキル基のエステルでなく、一方の場合も同様に有効
な化合物として例示することができる。
【0037】更に、アリルアルコール、クロチルアルコ
ール、4−(2−ヒドロキシエチル)スチレン、3−
(2−ヒドロキシエチル)スチレン、4−(ヒドロキシ
メチル)スチレン、3−(ヒドロキシメチル)スチレ
ン、4−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン
などが挙げられる。以上の水酸基を有する不飽和化合物
は、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
これらのなかで、より高いレベルの機械的物性を示す成
形体を得るという観点から、好ましくは2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートである。
【0038】この水酸基を有する不飽和化合物の芳香族
ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素添加
物へのグラフト量は0.05〜10重量%、好ましくは
0.2〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%で
ある。0.05重量%未満では、成形品の衝撃強度や外
観の改良効果が小さく、10重量%を越えると、ポリエ
ステルやポリカーボネートの分子切断に起因する機械的
物性の低下などの不都合を生じやすい。
【0039】芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合
体の水素添加物にグラフト重合されている水酸基を有す
る不飽和化合物の水酸基残存率(測定法後述)は0.3
〜1.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜
1.0、とりわけ好ましくは0.7〜1.0の範囲であ
る。水酸基残存率が0.3以上の範囲で、上記の改良効
果が、より大きくなる傾向となる。
【0040】グラフト工程に使用する水酸基を有する不
飽和化合物の使用量は、ブロック共重合体の水素添加物
100重量部に対して0.05〜50重量部、好ましく
は1〜20重量部である。0.05重量部未満では必要
なグラフト量が得られないため、成形体の衝撃強度や外
観の改良効果が低く、50重量部を越えるとポリエステ
ルやポリカーボネートの過度の分子切断ないしは架橋を
促進し、成形加工性に難点が生じたり、成形品の機械的
物性低下を招く。
【0041】iii)芳香族ビニル化合物 上記水酸基を有する不飽和化合物のブロック共重合体の
水素添加物へのグラフト量を向上させる目的で、グラフ
ト重合工程、とりわけ溶融混練法によるグラフト重合工
程において、芳香族ビニル化合物の併用は有効である。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−
メチルスチレン、α−メトキシスチレン、メチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレ
ン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレ
ン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、シアノス
チレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンなどが
あげられ、なかでも、スチレン、α−メチルスチレン、
メチルスチレンが好ましい。これらは、単独又は2種以
上を併用して用いることができる。
【0042】ブロック共重合体の水素添加物100重量
部に対する芳香族ビニル化合物の添加量は、0〜50重
量部、好ましくは0.05〜50重量部、特に好ましく
は、1〜20重量部である。芳香族ビニル化合物の添加
によって、水酸基を有する不飽和化合物のブロック共重
合体の水素添加物へのグラフト量の向上効果が大きくな
る。また50重量部を越えると、得られる成形体の衝撃
強度が低下する。
【0043】iv)ラジカル開始剤 ラジカル開始剤としては、t−ブチルヒドロパーオキシ
ド、クメンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキ
サン−2,5−ジヒドロパーオキシド、t−ブチルパー
オキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、ジクミ
ルパーオキシド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキシド、メチ
ルエチルケトンパーオキシド、過酸化カリウム、過酸化
水素などの有機及び無機過酸化物、2,2−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2,2−アゾビス(イソブチルアミ
ド)ジハライド、2,2−アゾビス[2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ
−t−ブタンなどのアゾ化合物、ジクミルなどの炭素ラ
ジカル発生剤なども用いることができる。これらのラジ
カル開始剤は、変性剤や反応条件との関連において適宜
選択でき、2種以上を併用することもできる。ラジカル
開始剤の使用量は、上記ブロック共重合体の水素添加物
100重量部に対して、0.01〜10重量部、好まし
くは0.05〜5重量部の範囲である。また、特に溶融
混練によってグラフト重合を行う場合には、好ましくは
0.05〜3重量部の範囲である。
【0044】V)グラフト変性方法 ブロック共重合体の水素添加物にたいする水酸基を有す
る不飽和化合物又はそれと芳香族化合物のグラフト変性
は、膨潤状態、溶解状態、溶融状態あるいは固体状態の
ブロック共重合体の水素添加物に、水酸基を有する不飽
和化合物又はそれと芳香族ビニル化合物及びラジカル開
始剤が含浸した状態での加熱等によって実施されるが、
特に、溶解、溶融での反応が好ましい。
【0045】溶解状態での反応に使用される溶媒は、反
応の種類によって適宜選択されるが、たとえば、脂肪
族、脂環族、芳香族の炭化水素及びそのハロゲン化物、
炭素数6以上のエステル、ケトン、エーテル、ならびに
二硫化炭素等の中から選ばれることが多い。またこれら
は、2種以上の混合溶媒として用いることも可能であ
る。溶融での反応は、溶媒使用の必要がない、あるい
は、少量の使用のみであるので、製造費を節約でき、ま
た環境への溶剤蒸気放出を避けることができるなどの利
点を持っている。
【0046】以下、溶融混練によるラジカルグラフト変
性方法について具体的に説明する。溶融状態での反応
は、通常の溶融混練装置、たとえば、押出機、攪拌機を
用いることができる。具体的には、ラボプラストミル、
一軸又は二軸混練機、横型二軸多円盤装置、横型二軸表
面更新機、ダブルヘリカルリボン攪拌機などである。こ
のときの混練温度は、芳香族ビニル化合物−共役ジエン
ブロック共重合体の水素添加物が溶融状態になる温度で
あれば、任意の温度で実施可能であるが、劣化防止など
の点で150〜250℃が望ましい。混練時間は、0.
01〜10分、好ましくは0.1〜5分の間である。
【0047】また未反応の水酸基を有する不飽和化合物
などを除去するため、また得られる変性樹脂の劣化防止
のために、溶融混練・造粒は減圧下で行うことが望まし
い。グラフト変性剤である水酸基を有する不飽和化合物
又はそれと芳香族ビニル化合物の添加方法は、ブロック
共重合体の水素添加物とドライブレンドして一括混練す
る方法、溶融状態のブロック共重合体の水素添加物に変
性剤とラジカル開始剤を添加する方法等があげられる。
この際に、反応効率向上のために有機溶剤を少量添加し
てもよい。
【0048】(4)導電性物質(D) 本発明に使用する導電性物質は粉末状、中空球状又はフ
ァイバー状のもので、導電性を示す物質であり、具体的
にはカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素
中空球、金属粉末、金属繊維などがあげられる。軽量成
形体を得るという観点からは、炭素質のものが好まし
い。また、樹脂成分中へ分散させやすい粒子状のカーボ
ンブラックが好ましい。カーボンブラックとしてはチャ
ンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラッ
ク、ランプブラック、ケッチェンブラック、アセチレン
ブラックなどが使用でき、これらの中でもファーネスブ
ラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなど
が好ましい。
【0049】さらに、カーボンブラックのなかでも比表
面積が大きいものが好ましく、具体的には20m2 /g
以上、より好ましくは40m2 /g以上のものである。
表面層がグラファイト構造を有する導電性カーボンブラ
ックで、スーパーコンダクティブファーネス(Supe
r Conductive Furnace:SC
F)、エクストラコンダクティブファーネス(Extr
a Conductive Furnace:EC
F)、又はアセチレンブラックなども好ましく、これら
を使用するとさらに高いレベルの導電性を備えた成形品
を与える樹脂組成物が得られる。
【0050】これらのカーボンブラックは市販品より適
宜選んで使用することができ、具体例としては、三菱化
学社製のファーネスブラック#3050、同#315
0、同#3250、同#3750、同#3950等、S
CFとしてCabot社製バルカンSCやバルカンP、
ECFとしてケッチェンブラックインターナショナル社
製ケッチェンブラックEC、Cabot社製バルカンX
C−72やCXS−99等、さらにアセチレンブラック
としては電気化学社製のデンカブラック等の商品名のも
のを挙げることができる。これらの導電性物質は二種以
上を併用することもできる。
【0051】(5)付加的成分 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(A),
(B),(C)及び(D)以外の他の成分を含有するこ
とができる。例えば、成分(C)の変性樹脂の一部を未
変性のスチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加
物、スチレン−イソプレンブロック共重合体水素添加
物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体水素添加
物、エチレン−プロピレン共重合体などのエラストマー
に置き換えても良い。
【0052】また、ポリフェニレンエーテル、ポリアミ
ド、ABS、AES、アクリルゴム、アクリル−スチレ
ンコアシェルゴム又はこれらの混合物などの樹脂組成物
を含有させても良い。さらに、有機・無機充填剤、補強
剤、特にガラス繊維、マイカ、タルク、ワラスラナイ
ト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカなどを
添加することは、剛性、耐熱性などの向上に有効であ
る。実用のために、各種着色剤及びそれらの分散剤など
も使用できる。
【0053】また、必要に応じて化学的及び物理的性質
を改良するために非樹脂質添加剤を含有し得る。例えば
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル
系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、脂
肪族カルボン酸エステル系滑剤、パラフィン系滑剤、難
燃剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などである。
【0054】上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の
具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、イルガノックス1076(チバガイギー社商品
名)、スミライザーGM(住友化学工業社商品名)など
である。また、リン系酸化防止剤としては、スミライザ
ーTNP(住友化学工業社商品名)、マークPEP36
(アデカアーデス社商品名)、イルガフォス168(チ
バガイギー社商品名)などである。
【0055】(6)構成成分の組成比 本発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(A)の結晶
性オレフィン系樹脂と成分(B)の縮合系樹脂の配合組
成比は、両者の合計100重量部に対して、成分(A)
が70〜20重量部、好ましくは55〜30重量部であ
り、成分(B)は80〜30重量部、好ましくは70〜
45重量部である。成分(A)が70重量部を越える
と、耐熱性及び低温における衝撃強度が低く、20重量
部未満では加水分解による物性変化や成形加工性の改良
効果が少ない。成分(B)が80重量部を越えると、成
形性や耐吸水性の改良効果が小さく、30重量部未満で
は成形体の衝撃強度が低い。
【0056】また、成分(B)における、ポリカーボネ
ートと飽和ポリエステルの組成比については、ポリカー
ボネートと飽和ポリエステルの合計100重量%に対し
て、ポリカーボネートが30〜90重量%、好ましくは
40〜80重量%であり、飽和ポリエステルは70〜1
0重量%、好ましくは60〜20重量%である。ポリカ
ーボネートが90重量%を越える範囲及び10重量%未
満の範囲では、衝撃強度が不満足である。
【0057】成分(C)の変性樹脂の配合量は成分
(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、2〜
40重量部、好ましくは、3〜30重量部、さらに好ま
しくは5〜25重量部である。成分(C)の配合量が2
重量部未満では衝撃強度の改良効果が少なく、40重量
部を超えると成形体の弾性率の低下が大きい。成分
(D)の導電性カーボンの配合量は成分(A)、成分
(B)および成分(C)の合計100重量部に対して、
2〜100重量部、好ましくは、5〜50重量部、さら
に好ましくは8〜30重量部である。成分(D)の配合
量が2重量部未満では導電性、帯電防止性や弾性率の改
良効果が少なく、100重量部を超えると耐衝撃性の低
下が大きい。
【0058】(7)組成物の調整法及び成形法 本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための方法は、溶融
法、溶液法、懸濁法など特に限定されないが、実用的に
は溶融混練法が好ましい。溶融混練の方法としては、熱
可塑性樹脂について一般的に実用されている方法が適用
できる。例えば、粉状または粒状の各成分を必要であれ
ば前記付加的成分と共にヘンシェルミキサー、リボンブ
レンダー、V型ブレンダーなどにより均一に混合した
後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキ
サーなどで混練する事ができる。また、各成分の溶融混
練の温度は、180〜350℃の範囲、好ましくは22
0〜300℃の範囲である。各成分の混練順序及び方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、各成分を一
括で混練する方法、一部又は全量の変性樹脂とポリカー
ボネート、飽和ポリエステルとを混練した後、残りの成
分を混練する方法、減圧混練する方法などいずれの方法
をとってもよい。さらに、溶融混練の際に、クロロベン
ゼン、トリクロロベンゼン、キシレンなどの有機溶剤
や、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジブ
チルスズオキシドなどの触媒を添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法は、特に限定
されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般的な成
形法、すなわち、射出成形、押出成形、中空成形、熱成
形、プレス成形など各種の成形法が適応できる。
【0059】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0060】参考例1:変性樹脂−1の製造 スチレン−ブタジエントリブロック共重合体の水素添加
物(シェル化学社製商品名クレートンG1652、以下
「G1652」と略記)6kg、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート(以下「HEMA」と略記)600g、
スチレンモノマー(以下「SM」と略記)300g、
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼン(化薬アクゾ社製 商品名パーカドックス14、
以下「P14」と略記)30gをドライブレンドした
後、2軸押出機(日本製鋼所社製商品名TEX−30
型)を用いて、シリンダー温度160℃、スクリュー回
転数200rpm、吐出量2kg/hr、ベント圧力5
0mmHgの条件下で、減圧混練し、変性樹脂−1を得
た。得られた変性樹脂0.3gをクロロホルム50ml
に常温で溶解させ、メタノール300mlに注ぎ沈殿さ
せた。この沈殿物をろ別して減圧乾燥(常温)して、精
製樹脂を得た。この精製樹脂のHEMA含量は下記の方
法によって求めた。
【0061】HEMAの定量方法 赤外分光法(以下「IR法」という):得られた精製樹
脂をプレス成形してフィルムにし、IRスペクトルを測
定した。定量は1724cm-1のカルボニル基特性吸収
を用いた検量線により行った。プロトン核磁気共鳴分光
法(以下「H−NMR法」という):精製樹脂30〜5
0mgをo−ジクロロベンゼン約1ml中130℃で溶
解し、重水素化ベンゼンを少量加えてサンプルを調整
し、H−NMRスペクトルを測定した。定量は、水酸基
と結合したメチレン(化学シフト:3.9ppm)、エ
ステル基と結合したメチレン(化学シフト:4.2pp
m)の吸収により行った。IR法により得られる値は、
HEMAのグラフト付加量を表し、H−NMR法により
得られる値は、水酸基を保持しているHEMA量を表し
ている。したがって水酸基残存率は次式で定義すること
ができる。
【0062】
【数1】
【0063】結果を表1に示す。 参考例2:変性樹脂−2の製造 参考例1において、HEMAを600gから300gに
変えた以外は、参考例1と同様に行い、変性樹脂−2を
得た。結果を表1に示す。
【0064】参考例3:変性樹脂−3の製造 参考例1において、HEMAを600gから300g
に、SMを600gから480gに、P14を30gか
ら48gに変えた以外は、参考例1と同様に行い、変性
樹脂−3を得た。結果を表1に示す。
【0065】参考例4:変性樹脂−4の製造 参考例1において、G1652をスチレン−イソプレン
ジブロック共重合体の水素添加物(シェル化学社製 商
品名クレートンG1701、以下「G1701」と略
記)に変えた以外は、参考例1と同様に行い、変性樹脂
−4を得た。結果を表1に示す。
【0066】参考例5:変性樹脂−5の製造 参考例1において、G1652をスチレン−イソプレン
トリブロック共重合体の水素添加物(クラレ社製 商品
名セプトンS2007、以下「S2007」と略記)に
変えた以外は、参考例1と同様に行い、変性樹脂−5を
得た。結果を表1に示す。
【0067】参考例6:変性樹脂−6の製造 クロロベンゼン10リットルにG1650 600g、
HEMA250gを溶解した。窒素雰囲気下、110℃
にて攪拌しつつ、この溶液に、クロロベンゼン0.6リ
ットルに溶解した過酸化ベンゾイル(水分含有量25重
量%)80gを2時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌
を続けた。室温まで放冷したのち、大量のメタノール中
に注いでポリマー成分を析出させ、濾別、メタノールに
て洗浄、次いで減圧乾燥する事により変性樹脂−6を得
た。参考例1と同様の方法により、HEMAのグラフト
付加量を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】実施例1〜17、比較例1〜6 参考例1〜6で得られた変性樹脂のほか、G1652、
G1701、ゴム含有熱可塑性樹脂として、ポリブタジ
エンゴムを成分として含むアクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン樹脂(略称ABS樹脂。表中、ABSと略
記。宇部サイコン社製 サイコラックT)、ポリプロピ
レン(PP1と略記、三菱化学社製 商品名MA8 M
FR0.7g/10分、23℃における曲げ弾性率13
00MPa)、プロピレン−エチレンブロックコポリマ
ー(PP2と略記、三菱化学社製
【0070】商品名BC8D MFR1.2g/10
分、23℃における曲げ弾性率7900MPa)、ポリ
カーボネート(PC 三菱ガス化学社製 商品名ユーピ
ロンS2000、Mw26200)、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT 三菱化学社製 商品名ノバドール
5010)、導電性カーボンブラック(CB−1:三菱
化学社製 商品名ファーネスブラック3050B、比表
面積50m2 /g、CB−2:ケッチェンブラックイン
ターナショナル社製 商品名ケッチェンブラックEC、
比表面積1000m2 /g)を表2〜4に示す組成比に
よって、各成分を二軸押出混練機(日本製鋼所社製 商
品名TEX−30型)でシリンダー設定温度250℃、
スクリュー回転数250rpm、時間当たりの処理量
9.5kgの条件で減圧混練してペレットを得た。これ
らの樹脂成分の溶融混練に際しては、これらの樹脂成分
の合計100重量部に対して0.2重量部の4−メチル
−2,6−ジ−t−ブチルフェノールと0.2重量部の
イルガノックス1010(チバガイギー社製)を添加し
た。
【0071】得られた樹脂組成物の特性は、射出成形機
(東芝機械製作所社製 IS−55型)を用いて、シリ
ンダー温度250℃、金型冷却温度60℃で射出成形し
た試験片を下記の方法によって測定評価した。結果を2
〜4に示す。なお、混練及び成形に際しては、事前に8
0℃で15時間乾燥した。 (1)メルトフローレート(MFR):東洋精機製作所
社製メルトフローレート測定機を用い、JIS K72
10、ISO R1133に示された操作に準じて、温
度250℃、荷重2.16kgの条件で測定した。測定
に際し、ペレット試料を事前に80℃で15時間乾燥し
た。 (2)アイゾット衝撃強度:JIS K7110に準
じ、23℃及び−30℃におけるノッチ付きアイゾット
衝撃強度を測定した。 (3)曲げ弾性率及び曲げ強度:JIS K7203に
準じて測定した。 (4)導電性
【0072】(圧縮成形操作による測定用成形シートの
作製)東洋精機製作所製油圧式圧縮成形機を用い、25
0℃にて予熱3分、250℃、19.6MPaにて3分
加圧成形した後、25℃、22.1MPaにて5分間加
圧冷却する事により導電性及び帯電防止性評価用の縦横
各100mm、厚さ2mmのシートを成形し23±2
℃、湿度50±5%の雰囲気下で2日間状態調節した。
【0073】(表面固有抵抗測定)23±2℃、湿度5
0±5%の雰囲気下において、カーボンブラックを含有
しない試料の圧縮成形シートについては、IEC−93
−1958、及びJEC−147−1976に準拠し、
アドバンテスト社製超絶縁抵抗計(商品名R8340)
及び抵抗測定用チェンバー(商品名R12702A)を
使用し、カーボンブラックを含有する試料については、
三菱化学社製ロレスターAPを使用して表面固有抵抗を
測定した。
【0074】(5)耐溶剤性の評価:上記の射出成形試
片を温度25℃のクロロホルム中に1分間浸漬したのち
すばやく引き上げ、室温下で放置してクロロホルムを蒸
発させて、目視にて未浸漬の試片と比較し、表面の変化
を観察した。表面の変化が殆ど見られない又は見られな
いものを○(耐溶剤性良好)、表面の溶解等著しい変化
が見られるものを×(耐溶剤性不良)とした。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、導電性、帯電防
止性、耐衝撃性、剛性及び耐溶剤性に優れた成形品を与
える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 LPE 69/00 KKH LPN //(C08L 69/00 23:02 51:06)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(A),(B),(C)及び
    (D)を下記配合比で含有する熱可塑性樹脂組成物。 (A)結晶性オレフィン系樹脂 20〜70重量部 (B)ポリカーボネート30〜90重量%及び飽和ポリエステル70〜10重 量%からなる縮合系樹脂 80〜30重量部 (C)芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物100 重量部に、水酸基を有する不飽和化合物0.05〜50重量部と芳香族ビニル化 合物0〜50重量部とをグラフト重合工程に付して得られる変性樹脂、成分(A )と成分(B)の合計100重量部に対し、 2〜40重量部 (D)導電性物質、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量 部に対し、 2〜100重量部
  2. 【請求項2】 変性樹脂の水酸基残存率が0.3〜1.
    0である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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