JPH08113693A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH08113693A
JPH08113693A JP25079794A JP25079794A JPH08113693A JP H08113693 A JPH08113693 A JP H08113693A JP 25079794 A JP25079794 A JP 25079794A JP 25079794 A JP25079794 A JP 25079794A JP H08113693 A JPH08113693 A JP H08113693A
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JP
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weight
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resin composition
modified
copolymer
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JP25079794A
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English (en)
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Sanehiro Shibuya
修弘 渋谷
Fumiyoshi Yamada
書佳 山田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形性に優れ、低温衝撃性、外観、貯蔵弾性
率に優れた成形体を与えるポリカーボネート樹脂組成物
を提供する。 【構成】 (A)重量平均分子量が20,000〜4
0,000の範囲にあるポリカーボネート樹脂30〜9
0重量%と(B)熱可塑性ポリエステル樹脂70〜10
重量%、の合計量100重量部に対し、つぎの製造法に
より得た変性オレフィン系エラストマー(C)を2〜4
0重量部の割合で配合した熱可塑性樹脂組成物。 (C)成分の製造:20℃における貯蔵弾性率が0.1
〜300MPaの範囲にあり、ISO R1133−1
981に準拠し、温度250℃、荷重5kgの条件下に
おけるメルトフローレートが0.01〜30g/10分
の範囲にあるオレフィン系エラストマー100重量部
に、炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラン化合
物0.01〜10重量部をグラフトさせて得た変性オレ
フィン系エラストマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐衝撃性に優
れた成形品を与える、成形性に優れた熱可塑性樹脂組成
物に関する。この成形品は自動車部品、例えばインスト
ルメントパネル、イグニッションコイル、マニフォール
ド及びバンパー等、電気及び電子機器部品、例えばスイ
ッチ、ハウジング及び容器等広い分野で使用される。
【0002】
【従来の技術】4,4′−ジヒドロキシジフェニルアル
カン系ポリカーボネートで代表される芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、事務機器外装部材、電子機器部材の成形
用樹脂として広く使用されている。この樹脂は、機械的
強度、熱的性質に優れているが、溶融粘度が高く、その
ため比較的高い成形温度(280〜300℃)、高い成
形圧力(1,000〜2,000kg/cm2 )が必要
であることが成形上の難点とされている。また、塗料な
どに対する耐溶剤性が低く、用途が限定されている。
【0003】これらポリカーボネート樹脂の欠点を改良
するために、ポリカーボネート樹脂60〜98重量%、
熱可塑性ポリエステル樹脂1〜30重量%及び結晶性ポ
リエチレン1〜10重量%を含有する樹脂組成物が提案
されている(特開昭50−130847号)。しかし、
ポリエチレンはポリカーボネート樹脂及び熱可塑性ポリ
エステル樹脂とは、非相溶で親和性がないため、単に混
合した場合にはポリエチレンとの界面の接着は良好でな
い。そのため、得られる成形品の相界面が欠陥部とな
り、耐衝撃性等の機械的強度が低下する。また、この二
相は均一かつ微細な分散形態となり難く、射出成形など
の成形加工時にせん断応力を受けたとき、層状剥離(デ
ラミネーション)を生じやすく、外観の悪い成形品とな
り易い。
【0004】三者の相溶性を改良した樹脂組成物とし
て、(A)ポリカーボネート樹脂30〜97重量%と
(B)熱可塑性ポリエステル樹脂70〜3重量%とから
なる樹脂の合計和100重量部に、(C)結晶化度が0
〜80%のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィンに、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレー
ト、アクリルアミド、アクリレート等のカルボキシル
基、エポキシ基、アミド基またはエステル基の官能基を
有するビニル単量体を0.01〜5重量%グラフト共重
合した変性ポリオレフィンを1〜20重量%配合した樹
脂組成物が提案されている(特開昭59−66448
号)。
【0005】この樹脂組成物は、耐衝撃性の向上は見受
けられるが、グリシジルメタクリレートを共重合成分と
する場合には成形加工時の流動性が悪化し易く、無水マ
レイン酸を共重合成分とする場合には、組成物の溶融混
練時に発泡を起こし易く、製造時のトラブルの原因とな
ることがある。更に、特公昭63−40219号公報に
は、熱可塑性ポリエステル樹脂(a)に対し、1/10
〜4重量倍の、結晶化度が75%以下、メルトインデッ
クス0.01〜50g/10分、グラフト率が0.05
〜3重量%のα,β−不飽和カルボン酸グラフト変性エ
チレン−プロピレン共重合体エラストマー(b)と、1
/10〜1重量倍の芳香族ポリカーボネート樹脂(c)
よりなる樹脂組成物が、特開平3−20352号公報に
は、熱可塑性ポリエステル樹脂(a)20〜90重量%
と芳香族ポリカーボネート樹脂(b)80〜10重量%
との合計和100重量部に対し、スチレンとアクリロニ
トリルをエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体
にグラフトした重合体(c)及びエチレン−プロピレン
−ジエン共重合体エラストマー(d)の合計量1〜60
重量部(但し、c/d=1/99〜90/10)配合し
た樹脂組成物が提案されている。これらについても同様
に、耐衝撃性やウエルド強度の向上が十分でない。
【0006】特開平5−247236号公報には、親水
基を有する熱可塑性樹脂100重量部と、ポリエチレン
に、エチレン性不飽和シラン化合物をグラフト重合させ
たシラン変性ポリエチレン樹脂0.01〜20重量部を
含有することを特徴とする摺動材が提案され、実施例と
して、親水基を有する熱可塑性樹脂に、ポリカーボネー
トを用いた樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成
物は、成形加工時における流動性が不充分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形時の流
動性、射出成形機のシリンダー内での滞留安定性に優
れ、耐熱性、ウエルド強度、低温衝撃性、外観に優れる
成形品を与える熱可塑性樹脂組成物の提供を目的とす
る。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明は、(A)重量平均分子
量が20,000〜40,000の範囲にあるポリカー
ボネート樹脂30〜90重量%と(B)熱可塑性ポリエ
ステル樹脂70〜10重量%の合計和100重量部に対
し、(C)下記の製造法で得た変性オレフィン系エラス
トマーを2〜40重量部の割合で配合した熱可塑性樹脂
組成物を提供するものである。
【0009】(C)成分の製造:20℃における貯蔵弾
性率が0.1〜300MPaの範囲にあり、ISO R
1133−1981に準拠し、温度250℃、荷重5k
gにおけるメルトフローレートが0.01〜30g/1
0分の範囲にあるオレフィン系エラストマー100重量
部に炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラン化合
物0.01〜10重量部をグラフトさせて得た変性オレ
フィン系エラストマー。
【0010】
【作用】樹脂組成物が溶融、混練されることにより
(C)成分の変性オレフィン系エラストマーのアルコキ
シシリル基と、(A)成分のポリカーボネート樹脂及び
(B)成分の熱可塑性ポリエステル樹脂のヒドロキシ基
および/またはカルボキシル基および/またはエステル
基とが反応してオレフィン系エストマーとポリカーボネ
ート樹脂および/または熱可塑性ポリエステル樹脂のブ
ロック共重合体および/またはグラフト共重合体が生成
し、これが相溶化剤となって(C)成分が微細で安定な
分散構造を形成し、成形体の機械的強度、外観及び組成
物の成形性等が改良されるものと推測される。また、好
適な重合平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の使
用により、成形加工時の易流動性と、低温における成形
体の衝撃強度のバランスを向上させる。
【0011】(発明の具体的説明)(A)ポリカーボネート樹脂 ポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ヒドロキシ化合
物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲ
ンと反応させることによって製造される。また、芳香族
ジヒドロキシ化合物または、これと少量のポリヒドロキ
シ化合物を炭酸ジエステルでエステル交換反応しても製
造される。必要により分岐剤の3官能以上の化合物、分
子量調整剤も反応に供される。この芳香族ポリカーボネ
ート樹脂は、分岐していても、分岐していなくてもよい
熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂である。
【0012】芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下ビスフェノールAと略記する)、テトラメチルビスフ
ェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−p−イソプロピルベンゼン、
ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロ
キシフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン等であり、特に、ビスフェノールAが好まし
い。
【0013】また、分岐した芳香族ポリカーボネート樹
脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−
2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン
−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒド
ロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,
4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−
3、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒド
ロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキ
シ化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシアリー
ル)オキシインドール〔−イサチン(ビスフェノール
A)〕、5−クロロイサチン、5,7−ジクロルイサチ
ン、5−ブロモイサチン等を前記ジヒドロキシ化合物の
一部、例えば、0.1〜2モル%をポリヒドロキシ化合
物で置換する。
【0014】さらに、分子量を調節するのに適した一価
芳香族ヒドロキシ化合物は、m−及びp−メチルフェノ
ール、m−及びp−プロピルフェノール、p−ブロモフ
ェノール、p−第3級−ブチルフェノール及びp−長鎖
アルキル置換フェノール等である。好適な芳香族ポリカ
ーボネート樹脂としては、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)アルカン系化合物、特に好ましくはビスフェノール
Aを主原料とするポリカーボネートである。二種以上の
芳香族ジヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカー
ボネート共重合体、3価のフェノール系化合物を少量併
用して得られる分岐化ポリカーボネート樹脂も好適例と
して挙げることができる(特開昭63−30524号、
同56−55328号、特公昭55−414号、同60
−25049号、特公平3−49930号公報)。芳香
族ポリカーボネート樹脂は二種以上の混合物として用い
てもよい。
【0015】本発明に使用するポリカーボネート樹脂の
分子量は、クロロホルム溶媒を用いて35℃でのゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー〔GPCと略す。東
ソー(株)製HLC−8020を使用。〕により、標準
ポリスチレンの検量線を用いて、汎用較正曲線法(ユニ
バーサルキャリブレーション法)により算出される。本
発明の(A)成分は重量平均分子量(Mw)が20,0
00〜40,000、好ましくは22,000〜35,
000の範囲のポリカーボネートである。20,000
未満の範囲では得られる成形体の衝撃強度が低くなり4
0,000を超える範囲では溶融混練における分散不良
や、成形加工時の流動性不良が生じ易く、好ましくな
い。また、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子
量(Mw)の比(Mw/Mn=Q)は、通常1.5〜4
の範囲、好ましくは2〜3の範囲である。4を超える範
囲では、低温における衝撃強度レベルが低くなる傾向と
なる。
【0016】(B)熱可塑性ポリエステル 熱可塑性ポリエステル樹脂(B)としては、種々の飽和
ポリエステル樹脂が使用可能である。例えば、通常の方
法にしたがってジカルボン酸またはその低級アルキルエ
ステル、酸ハライドもしくは酸無水物誘導体とグリコー
ルとを縮合させて製造する熱可塑性ポリエステル樹脂が
挙げられる。
【0017】このポリエステル樹脂を製造するのに適し
た芳香族または脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、p,p′−ジカルボキシジフェニ
ルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カル
ボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフェノ
キシ酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,6−
ナフタリンジカルボン酸または2,7−ナフタリンジカ
ルボン酸等あるいはこれらのカルボン酸の混合物が挙げ
られる。
【0018】グリコールの具体例としては、炭素数2〜
12の直鎖アルキレングリコール、例えばエチレングリ
コール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール等;芳香族グリ
コールとしてピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロ
キノン、ビスフェノールA等;脂環式グリコールとして
シクロヘキサンジメタノール等;又はこれらの化合物の
アルキル置換誘導体が挙げられる。
【0019】好適な熱可塑性ポリエステル樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(1,4−
シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)が挙げられ
る。液晶性ポリエステル、例えばイーストマンコダック
社のX7G、ヘキストセラニーズ社のベクトラ、住友化
学工業(株)のエコノールなどの商品名で市販のものも
好ましい。これらは、単独又は二種以上併用して用いる
ことができる。この(B)成分の熱可塑性ポリエステル
樹脂は、樹脂組成物の成形時の流動性、成形体の耐熱
性、剛性、外観の向上に寄与する。
【0020】(C)変性オレフィン系エラストマー 変性オレフィン系エラストマー(C)は、オレフィン系
エラストマー100重量部に、炭素−炭素二重結合を有
するアルコキシシラン化合物0.01〜20重量部及び
他のビニル単量体0〜20重量部をグラフト重合させた
変性オレフィン系エラストマーである。
【0021】オレフィン系エラストマーを変性するため
の炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラン化合物
の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリn−プロポキシシラ
ン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリn−
ブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビ
ニルメトキシジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メ
トキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、トリフェ
ノキシビニルシラン、ジエトキシ−2−ピペリジノエト
キシビニルシラン、ジメトキシフェノキシビニルシラ
ン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ジエ
トキシメチルビニルシラン、3−メタクリロキシプロピ
ルジメトキシメチルシラン、エトキシジメチルビニルシ
ラン、ジメチルイソブトキシビニルシラン、ジメチルフ
ルフリロキシビニルシラン、ジメチルイソペンチロキシ
ビニルシランジフェニルエトキシビニルシラン、p−ス
チリルトリメトキシシラン、m−スチリルトリメトキシ
シラン等が挙げられる。
【0022】これらのうちで、より高いレベルの衝撃強
度を示す成形体を得るという観点から好ましくは、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリn−ブトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシランであり、最も好ましいものは、
ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシランである。
【0023】以上の炭素−炭素二重結合を有するアルコ
キシシラン化合物は二種以上併用して用いることができ
る。この炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラン
化合物のオレフィン系エラストマーへのグラフトにおい
て、本発明の効果を損なわない範囲で他のビニル単量体
を使用できる。
【0024】かかる他の単量体としては、スチレン、α
−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、メチルスチ
レン、ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチ
レン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチ
レン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、シアノ
スチレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン等の
芳香族ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル
酸エステル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等のシアノビニル系単量体;酪酸ビニル等のビニ
ルエステル系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビ
ニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル系単量体等の複素環含有ビニル化合物等を挙げること
ができる。これらは二種以上併用してもよい。
【0025】これらの中でもスチレン、α−メチルスチ
レン、メチルスチレン等のスチレン系単量体が好まし
い。これらのビニル単量体の使用量は、オレフィン系エ
ラストマー100重量部に対して0〜20重量部、より
好ましくは0〜10重量部の範囲である。20重量部を
超える範囲では、得られる成形体の衝撃強度が低くな
る。
【0026】炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシ
ラン化合物の使用量は、オレフィン系エラストマー
(C)100重量部に対して0.01〜20重量部、好
ましくは0.1〜10重量部、最も好ましくは0.5〜
5重量部の範囲である。0.01重量部未満では、得ら
れる樹脂成形体の衝撃強度が低く、20重量部を超える
と成形品の外観が悪化したり、機械的強度が低下する。
【0027】本発明で使用するオレフィン系エラストマ
ーは、23℃における貯蔵弾性率(E′)が、0.1〜
300MPa、好ましくは10〜100MPaの範囲に
あり、ISO R1133−1981に準拠し、温度2
50℃、荷重5kgにおけるメルトフローレートが0.
01〜30の範囲にあり、分子構造中に60重量%以上
の脂肪族炭化水素連鎖を含むゴム状重合体である。これ
らのゴム状重合体の具体例としては、ポリイソブチレン
等のオレフィン類の単独重合体及びエチレン−プロピレ
ン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、
エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブタジエン共
重合体、エチレン−イソプレン共重合体、エチレン−ク
ロロプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重
合体等のエチレンと有機酸エステルとの共重合体等の異
種のオレフィン類またはジオレフィン類との共重合体等
が挙げられる。また、その他のジオレフィン類として、
4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,
4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエ
ン、1,9−デカジエン、ジシクロペンタジエン、エチ
リデンノルボルネン等の非共役ジエンを重合成分の一部
として用いてもよい。
【0028】これらの共重合体は、ランダム共重合体、
ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体の
いずれの場合でも良いが、好ましくはランダム共重合体
である。さらに、ジエン化合物重合体の水素添加物も、
ポリオレフィンと同様あるいは類似の化学構造を含み、
本発明におけるオレフィン系エラストマーとして使用で
きる。
【0029】ジエン化合物重合体の例としては、0〜4
0重量%の範囲の芳香族ビニル化合物と60〜100重
量%の範囲の共役ジエン化合物との組み合わせであるブ
ロック共重合体、ランダム共重合体ないしはグラフト共
重合体が挙げられ、なかでも、ブロック共重合体が好ま
しい。
【0030】芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物と
のブロック共重合体の水素添加物は、具体的には少なく
とも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロ
ックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックからなるブロック共重合体の共役ジエ
ン化合物にもとづく脂肪族二重結合の少なくとも80%
を水素添加してなる、水添ブロック共重合体である。
【0031】芳香族ビニル化合物としては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、2,4,6−トリ
メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフタレ
ンなどが挙げられ、なかでも、スチレンが好ましい。こ
れらは、単独または2種以上併用して用いることができ
る。
【0032】共役ジエン化合物としては、ブタジエン、
イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル
−1,3−ブタジエンが挙げられる。なかでも、ブタジ
エン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
このブロック共重合体の製造方法は、例えば、特公昭4
0−23798号公報に記載された方法により、リチウ
ム触媒を用いて不活性溶媒中で合成することができる。
【0033】共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックは、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶ
ことができる。例えば、ポリブタジエンブロックにおい
ては、1,2−ビニル結合構造が5〜65%、好ましく
は10〜50%である。ブロック共重合体の分子構造
は、直鎖状、分岐状、放射状、ラジアルテレブロック状
あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであっても
良い。好ましいブロック共重合体は、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体であ
る。
【0034】水素添加ブロック共重合体の製造法として
は、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43
−6636号公報に記載された方法で得ることができ
る。特に、得られる水添ブロック共重合体の耐熱性、耐
熱劣化性に優れた性能を発揮するチタン系水添触媒を用
いて合成された水添ブロック共重合体が最も好ましく、
例えば、特開昭59−133203号公報、特開昭60
−79005号公報に記載された方法により、不活性溶
媒中でチタン系水添触媒の存在下に上記した構造を有す
るブロック共重合体を水素添加して得ることができる。
その際、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロッ
ク共重合体の共役ジエンに基づく脂肪族二重結合は少な
くとも80%水素添加せしめ、共役ジエン化合物を主体
とする重合体ブロックを形態的にオレフィン型化合物重
合体に変換させる必要がある。この水添ブロック共重合
体中に含まれる非水添の脂肪族二重結合の量は、赤外分
光法、核磁気共鳴法などにより容易に知ることができ
る。また、芳香族ビニルブロックの含量は、重量分率で
0〜40%、好ましくは0〜35%である。40%を超
える範囲では得られる成形体の衝撃強度が低くなる。
【0035】かかる水添ブロック共重合体は、シェル化
学(株)よりクレートンG1701、クレートンG16
52のグレード名で、クラレ(株)よりセプトン200
7のグレード名で入手することができる。これらのオレ
フィン系エラストマーは各々単独又は二種以上併用して
用いることができる。
【0036】これらの中でも、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチ
レン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン
−アクリル酸メチル共重合体等であり、最も好ましいも
のは、エチレン−プロピレンランダム共重合体である。
【0037】本発明に使用するオレフィン系エラストマ
ーの貯蔵弾性率の範囲は23℃において0.1〜300
MPaであり、より好ましくは1〜100MPaであ
る。300MPaを超える範囲では、成形体の衝撃強度
が低い。0.1MPa未満のものは、室温で、ベタつき
易く、炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラン化
合物とのグラフト工程で、取り扱いに難点を生じ易い。
【0038】貯蔵弾性率は、プレス成形、射出成形等で
得られるオレフィン系エラストマーの試片について、市
販の種々の粘弾性測定装置を用いて測定することがで
き、一例を挙げると、レオメトリックス社のメカニカル
スペクトロメーター(型式番号RMSII型)等がある。
これらの装置を使用し、23℃において周波数1ヘル
ツ、ひずみ量0.1〜1.5%の範囲で測定した値をも
って貯蔵弾性率の値とする。
【0039】本発明で使用するオレフィン系エラストマ
ーの、ISO R1133−1981に準拠し温度25
0℃、荷重5kgの条件で測定されるメルトフローレー
ト(MFR)は0.01〜60g/10分の範囲、より
好ましくは0.5〜35g/10分の範囲である。0.
01g/10分未満では、これを使用して製造される変
性オレフィン系エラストマーとポリカーボネート樹脂お
よび熱可塑性ポリエステルとの混練において、分散不良
を起こし易く、成形品の外観不良や、衝撃強度低下につ
ながる。また、60g/10分を超える範囲では、得ら
れる成形体の低温における衝撃強度が低い。
【0040】上記の炭素−炭素二重結合を有するアルコ
キシシラン化合物ないしはこれと上記の他のビニル単量
体でオレフィン系エラストマーを変性する方法は特に限
定されないが、例えばオレフィン系エラストマーと炭素
−炭素二重結合を有するアルコキシシラン化合物ないし
はこれと他のビニル単量体とを共存させ、有機過酸化物
などのラジカル発生剤の存在下又は非存在下で反応させ
る方法、紫外線や放射線を照射する方法、酸素やオゾン
と接触させる方法等がある。
【0041】ラジカル発生剤としては、t−ブチルヒド
ロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、2,5−
ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキシド、ベ
ンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、1,3
−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパー
オキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、過酸化カ
リウム、過酸化水素などの有機及び無機過酸化物、2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビ
ス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2′−アゾビ
ス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピ
オンアミド〕、アゾジ−t−ブタン等のアゾ化合物、ジ
クミル等の炭素ラジカル発生剤などを用いることができ
る。これらのラジカル発生剤は、変性剤や反応形態との
関連において適宜選択できる。また二種以上を併用する
ことができる。
【0042】ラジカル発生剤の使用量は、上記オレフィ
ン系エラストマー100重量部に対して0〜30重量
部、好ましくは0〜10重量部の範囲である。グラフト
共重合時の温度は、通常30〜350℃、好ましくは8
0〜250℃の範囲、変性反応時間は50時間以下、好
ましくは0.5分〜24時間の範囲である。グラフト反
応は溶液状態、溶融状態、懸濁状態のいずれの状態を採
用してもよい。更に、押出機等による溶融変性の際に、
反応効率を向上する目的で、例えばキシレン等の有機溶
剤の添加や減圧混練することにより、未反応成分等を除
去することもできる。
【0043】構成成分の組成比 本発明における成分(A)のポリカーボネート樹脂と成
分(B)の熱可塑性ポリエステル樹脂の配合割合は、両
者の和100重量%において、(A)成分が30〜90
重量%、好ましくは40〜80重量%で、(B)成分が
70〜10重量%、好ましくは60〜20重量%であ
る。
【0044】(A)成分が90重量%を超えるとポリカ
ーボネート樹脂の耐溶剤性、流動性改良効果が小さく、
30重量%未満では耐衝撃強度の低下が著しい。成分
(C)の変性オレフィン系エラストマーの配合量は、
(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対し
て、2〜40重量部、好ましくは3〜30重量部、更に
好ましくは5〜20重量部である。成分(C)の配合量
が少ないと耐衝撃強度の改良効果が小さく、配合量が4
0重量部を超えると弾性率の低下が大きい。
【0045】付加的成分 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(A)、
(B)及び(C)以外の他の成分を含有することができ
る。例えば成分(C)の変性オレフィン系エラストマー
の一部(90重量%まで)を未変性のオレフィン系エラ
ストマーに置き換えてもよい。
【0046】更にポリプロピレン、ポリエチレン等の結
晶性ポリオレフィン、アクリルゴム、アクリル−スチレ
ンコアシエルゴム、ABS、AES、ポリフェニレンエ
ーテル、ヒドロキシアルキル化ポリフェニレンエーテ
ル、ポリアミド等を樹脂組成物中に1〜50重量%含有
させてもよい。更に、有機・無機充填剤、補強剤、特に
ガラス繊維、カーボン繊維、マイカ、タルク、ワラスト
ナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等
を樹脂組成物に5〜40重量%添加することは、剛性、
耐熱性、寸法精度、寸法安定性等の向上に有効である。
実用のために、各種着色剤及びそれらの分散剤なども1
〜10重量%の割合で使用できる。
【0047】さらに、必要に応じて化学的及び物理的性
質を改良するために非樹脂質添加剤を含有しうる。例え
ば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、亜リン酸エス
テル等のリン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外
線吸収剤、脂肪族カルボン酸エステル系滑剤、パラフィ
ン系滑剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤等であ
る。
【0048】上記のヒンダードフェノール系酸化防止剤
の具体例として、2,6−ジ第三級ブチル−p−クレゾ
ール、イルガノックス1076(チバガイギー社商品
名)、スミライザーGM(住友化学工業社商品名)等で
ある。また、リン系酸化防止剤としては、スミライザー
TNP(住友化学工業社商品名)、マークPEP36
(アデカアーガス社商品名)、イルガフォス168(チ
バガイギー社商品名)等である。
【0049】組成物の調製法及び成形法 本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための方法は、溶融
法、溶液法、懸濁法等、特に限定されないが、実用的に
は溶融混練する方法が好ましい。溶融混練の方法として
は、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方
法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各成分を、
必要であれば付加的成分の項に記載の添加物等と共に、
ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダ
ー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出
機、ロール、バンバリーミキサー等で混練することがで
きる。
【0050】また、各成分の溶融混練の温度は、100
℃から400℃の範囲、好ましくは120℃から300
℃の範囲である。更に各成分の混練順序及び方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、変性オレフィン系
エラストマーとポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂及び付加的成分を一括で混練する方法、一部
又は全量の変性オレフィン系エラストマーとポリエステ
ル樹脂を混練した後、残りの成分を混練する方法、オレ
フィン系エラストマーと水酸基を有するα,β−不飽和
カルボン酸エステル系単量体、共重合可能な他の単量体
及びラジカル開始剤とを混練して水酸基を有する変性オ
レフィン系エラストマーとした後、残りの成分を混練す
る方法、オレフィン系エラストマーと水酸基を有する
α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体、共重合可能
な他の単量体、ラジカル開始剤、ポリカーボネート樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂及び付加的成分等を一括
で混練する方法、減圧混練する方法等いずれの方法をと
ってもよい。更に、溶融混練の際に、クロルベンゼン、
トリクロルベンゼン、キシレン等の有機溶媒や、テトラ
キス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジブチルスズオ
キシド、ジブチルスズラウリレート、ジブチルスズジア
セテート等の触媒を添加することもできる。本発明の熱
可塑性樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるもので
はなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成
形法、すなわち射出成形、中空成形、押出成形、熱成
形、プレス成形等の各種成形法が適用できる。
【0051】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、以下で部及びパーセントは重量によるものと
する。なお、変性オレフィン系エラストマーにグラフト
重合された炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラ
ン化合物の量は、灰化分析により求めた。
【0052】参考例1:ビニルトリメトキシシラングラ
フト変性エチレン−プロピレン共重合体(変性POE−
1)の製造:日本合成ゴム(株)製エチレン−プロピレ
ン共重合体エラストマー(商品名EP01P:250℃
−荷重5kgにおけるMFRは12.7g/10分、2
3℃における貯蔵弾性率は41MPa、密度0.86g
/cm3 、ガラス転移温度−39℃;EP01Pとして
示す。)40g(100部)、ビニルトリメトキシシラ
ン1.2g(3部)、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト0.06g(0.15部、商品名“パーブチルZ”;
日本油脂(株)製)をあらかじめ混合したのち、東洋精
機製作所(株)製二軸混練機(商品名:ラボプラストミ
ル)を用いて、温度200℃、スクリュー回転数180
rpmで3分間溶融混練し、得た塊状の混練物を空冷し
た後、切断してペレットを得た。得たビニルトリメトキ
シシラングラフト変性エチレン−プロピレン共重合体エ
ラストマー(変性POE−1)の、ビニルトリメトキシ
シラングラフト量は、灰化分析により1.5%であっ
た。
【0053】参考例2:ビニルトリメトキシシラングラ
フト変性エチレン−プロピレン共重合体(変性POE−
2)の製造:t−ブチルパーオキシベンゾエートを使用
しなかったことのほかは、参考例1と同様の操作を行な
い、ペレット状の変性POE−2を得た。灰化分析によ
りビニルトリメトキシシラングラフト量は1.3%であ
った。
【0054】参考例3:ビニルトリメトキシシラングラ
フト変性エチレン−プロピレン共重合体(変性POE−
3)の製造:原料のポリオレフィン系エラストマーとし
て、日本合成ゴム(株)製エチレン−プロピレン共重合
体エラストマー(商品名EP07P:250℃−荷重5
kgにおけるMFRは2.2g/10分、23℃におけ
る貯蔵弾性率は21MPa、密度0.86g/cm3
EP07Pとして示す。)を使用したほかは、参考例1
と同様の操作を行なって、ペレット状の変性POE−3
を得た。灰化分析により、ビニルトリメトキシシランの
グラフト量は1.5%であった。
【0055】参考例4:3−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラングラフト変性エチレン−プロピレン共
重合体(変性POE−4)の製造:ビニルトリメトキシ
シランの代りに、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシランを使用したことのほかは、参考例1と同様の
操作を行ない、ペレット状の変性POE−4を得た。灰
化分析により、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランのグラフト量は1.7%であった。
【0056】参考例5:ビニルトリメトキシシラングラ
フト変性エチレン−プロピレン共重合体(変性POE−
5)の製造:原料のポリオレフィン系エラストマーとし
て、三井石油化学工業(株)製のエチレン−プロピレン
エラストマー(商品名タフマーP0080K、250℃
−荷重5kgにおけるMFRは147g/10分、23
℃における貯蔵弾性率は29MPa、密度0.88g/
cm3 ;P0080Kとして示す。)を使用したほか
は、参考例1と同様の操作を行なって、ペレット状の変
性POE−5を得た。灰化分析により、ビニルトリメト
キシシランのグラフト量は1.6%であった。
【0057】参考例6:ビニルトリメトキシシラングラ
フト変性ポリプロピレン(変性PP)の製造:密度が
0.90g/cm3 、メルトフローインデックス0.3
g/10分、23℃における貯蔵弾性率が1,460M
Paのアイソタクティックポリプロピレン粉末(iso
−PPと示す。)100重量部に対して、過酸化ベンゾ
イル0.25重量部とビニルトリメトキシシラン3重量
部を加え、混合撹拌機で2分間混合したのち、口径40
mm、L/D23の単軸押出機にて200℃で溶融混練
することにより、シラングラフト変性ポリプロピレンを
得た。灰化分析により、ビニルトリメトキシシランのグ
ラフト量は1.8%であった。
【0058】参考例7:ビニルトリメトキシシラングラ
フト変性高密度ポリエチレン(変性HDPE)の製造
アイソタクィックポリプロピレンの代わりに、密度0.
95g/cm3 、メルトフローインデックス1.1g/
10分、23℃における貯蔵弾性率が780MPaの高
密度ポリエチレン粉末(HDPEと示す)を使用するほ
かは、参考例5と同様の操作を行ない、ビニルトリメト
キシシラングラフト変性高密度ポリエチレンを得た。灰
化分析により、ビニルトリメトキシシランのグラフト量
は1.7%であった。
【0059】
【表1】
【0060】参考例8:無水マレイン酸変性プロピレン
エチレン共重合体(MAH−PEF)の製造:三菱化学
(株)製プロピレン−エチレン共重合体〔商品名:三菱
ポリプロFX−4(MFRは6g/10分、密度は0.
89g/cm3 、23℃における貯蔵弾性率は680M
Pa)〕40g、無水マレイン酸0.4g及びビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.01g
を混合したのち、温度190℃、スクリュー回転数18
0rpmで3分間混練し、粉砕して粒状のペレットを得
た。得た変性プロピレン−エチレン共重合体(略号:M
AH−PEF)のペレットのIR法により求めた無水マ
レイン酸に基づく構成単位の含量は0.6重量%、ペレ
ットのMFRは36g/10分であった。
【0061】参考例9:スチレン/アクリロニトリルグ
ラフト変性エチレン−グリシジルメタクリレート共重合
体(SA−EVG):攪拌器及び温度制御装置を有する
内容積1150mlのステンレス鋼製オートクレーブ内
に、純水495ml、懸濁剤として第三リン酸カルシウ
ム9.9g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
16mgを加えて水性懸濁液とし、これに住友化学工業
(株)製エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビ
ニル共重合体(84/10/6の重量%比)、〔商品
名:ボンドファースト2B、190℃のMFRは3.4
g/10分、密度は0.935g/cm3 〕粒子50g
を撹拌により懸濁させた。
【0062】別に重合開始剤として、t−ブチルパーオ
キシピバレート0.22gをスチレン2.5g、アクリ
ロニトリル2.5g及びキシレン10mlに溶解させ、
これを前記混濁液中に投入し、オートクレーブ内温度を
60℃に昇温させ、該温度で1時間保持して、重合開始
剤を含むスチレン、アクリロニトリルをエチレン−グリ
シジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体(ボンドフ
ァースト2B)中に含浸させた。この水性懸濁液を80
℃に昇温し、該温度で4時間維持して重合させ更に10
0℃に昇温し、該温度に1時間維持して重合を完結させ
た。冷却後、内容物を取出し、水洗、乾燥し、スチレン
/アクリロニトリルグラフト変性エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体を得た。このもののIR法によ
るスチレンの含量は4.1重量%、アクリロニトリルの
含量は2.3重量%であった。
【0063】無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン
共重合エラストマー:三菱化学(株)製マレイン化エチ
レン−プロピレン共重合体エラストマー(商品名:モデ
ィック、無水マレイン酸含量1.2%;表中、MAH−
EPRと示す。)を用いた。
【0064】エチレン−グリシジルメタクリレート共重
合体:住友化学工業(株)製エチレン−メタクリル酸グ
リシジル−酢酸ビニル共重合体(商品名ボンドファース
ト2B;表中、EVGと示す。)を使用した。これらの
ほかに、比較例樹脂組成物の製造に使用する未変性のエ
チレン−プロピレン共重合体エラストマーとして、前記
のEP01Pを使用した。
【0065】芳香族ポリカーボネート樹脂 三菱ガス化学(株)製のポリカーボネート樹脂(商品
名;ユーピロンE2000、Mn13,000、Mw3
0,200;表中、E2000と示す、同S2000、
Mn10,300、Mw26,200;表中S2000
と示す、同S3000、Mn9,800、Mw24,7
00;表中S3000と示す、及び同H4000、Mn
6,700、Mw16,500;表中、H4000と示
す。)を用いた。
【0066】熱可塑性ポリエステル樹脂 三菱化学(株)製のポリブチレンテレフタレート(商品
名;ノバドール5010;表中、PBTと示す。)を用
いた。
【0067】実施例1 参考例1で得たビニルトリメトキシシラングラフト変性
エチレン−プロピレン共重合体(変性EPR−1)11
重量部と、芳香族ポリカーボネート(S2000)60
重量部、ポリブチレンテレフタレート(PBT)40重
量部と、安定剤としてこれらの樹脂成分の合計重量10
0重量部に対して0.2重量部の4−メチル−2,6−
ジ−t−ブチルフェノールと0.2重量部のイルガノッ
クス1010(チバガイギー社製商品名)を、二軸混練
機(東洋精機製作所(株)製ラボプラストミル)を用
い、設定温度250℃、スクリュー回転数180rpm
にて3分間混練し、塊状の樹脂組成物を得た。この樹脂
組成物を粉砕して粒状のペレットを得た。
【0068】得たペレットの特性は、射出成形機〔カス
タム・サイエンティフィック(Custom Scie
ntific)社製、CS183MMXミニマックス〕
を用いて温度270℃で射出成形した試験片を、以下の
方法によって測定評価した。測定結果を表1に示す。な
お、混練及び成形に際して、ポリカーボネート樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート及び樹脂組成物はその直前ま
で120℃にて5時間乾燥した。
【0069】成形後、温度23℃、相対湿度50%の恒
温室内で2日ないしは4日間、試験片の状態調節を行な
ったのち、次の物性を調べた。 (1)耐衝撃強度 長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試
験片を射出成形し、アイゾット衝撃試験機〔カスタム・
サイエンティフィック社製、ミニマックスCS−138
TI型〕を用いて、23℃及び−30℃におけるノッチ
付きアイゾット衝撃強度(ノッチ先端R=0.25m
m、深さ=1.2mm)を測定した。
【0070】(2)弾性率 長さ51mm、幅5mm、厚さ2mmの試験片を射出成
形し、固体粘弾性測定装置(レオメトリックスファーイ
ースト社製、RSAII)を用いて周波数1Hzの条件で
30℃における貯蔵弾性率(E′)の値を求めた。 (3)成形加工性 成形加工性の目安であるメルトフローレート(MFR)
を、東洋精機製作所製メルトフローレート測定機を用い
て、ISO R1133に準じ、温度250℃、荷重
2.16kgの条件下で測定した。
【0071】(4)成形品の外観 上記(1)で成形した試験片の層状剥離(デラミネーシ
ョン)、及び外観を評価した。実用上問題の無いものを
○、改良を要するものを△、極めて不良のものを×で表
示した。 (5)溶融混練時の発泡性の評価 前記の二軸混練機を用いて製造した樹脂組成物につい
て、そのままの外観および、そのものの切断面を目視に
て観察し、発泡の少ないものを○、発泡があり、改良を
要するものを△、発泡が多く目立つものを×とした。混
練して得られる樹脂組成物に発泡が多いと、混練工程に
おける安定性不良や、溶融成形工程における食い込み不
良などの不都合な点を生じ易いことを意味する。
【0072】実施例2〜8、比較例1、比較例3〜6お
よび8〜9 実施例1において、ペレットに用いた樹脂組成物の配合
割合を表2または表3に示すように変更した他は同様に
して評価した。
【0073】比較例2、9、10および13 実施例1においてペレットに用いた樹脂組成物の配合割
合を表3に示すように変更したが、270℃においては
射出成形時の溶融状態での流動性が不足し、金型内を樹
脂組成物で完全に充填できず、貯蔵弾性率評価用の試片
が得られなかったため、成形時のシリンダー設定温度を
300℃に変更したほかは実施例1と同様にして評価し
た。結果を表2または表3に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、低温に
おける耐衝撃強度、外観等に優れた成形体を与える。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)重量平均分子量が20,000〜
    40,000の範囲にあるポリカーボネート樹脂30〜
    90重量%と(B)熱可塑性ポリエステル樹脂70〜1
    0重量%、の合計量100重量部に対し、つぎの製造法
    により得た変性オレフィン系エラストマー(C)を2〜
    40重量部の割合で配合した熱可塑性樹脂組成物。 (C)成分の製造:20℃における貯蔵弾性率が0.1
    〜300MPaの範囲にあり、ISO R1133−1
    981に準拠し、温度250℃、荷重5kgの条件下に
    おけるメルトフローレートが0.01〜30g/10分
    の範囲にあるオレフィン系エラストマー100重量部
    に、炭素−炭素二重結合を有するアルコキシシラン化合
    物0.01〜10重量部をグラフトさせて得た変性オレ
    フィン系エラストマー。
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