JP2011116927A - ポリカーボネート複合樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】外観を損なうことなく、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性、更には熱安定性、耐衝撃性を改善したポリカーボネート複合樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂主成分としてポリカーボネート樹脂85〜99質量%、及びポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物を共重合させた密度が0.85〜0.92g/cmのシラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。ポリカーボネート樹脂に特定の低密度シラン変性ポリエチレン樹脂を配合することにより、外観を損なうことなく、耐薬品性、更には熱安定性、耐衝撃性を改善することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリカーボネート複合樹脂組成物に係り、詳しくは、エチレン性不飽和シラン化合物を共重合させたシラン変性ポリエチレン樹脂とポリカーボネート樹脂を複合化することにより、耐薬品性、熱安定性及び外観、更には耐衝撃性に優れたポリカーボネート複合樹脂組成物に関する。
本発明はまた、このようなポリカーボネート複合樹脂組成物の製造方法と、このポリカーボネート複合樹脂組成物を射出成形してなるポリカーボネート複合樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱変形性、剛性、寸法安定性等に優れるため、電気機器、通信機器、精密機械、自動車部品等、幅広い用途に使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は耐薬品性が低いことから、耐薬品性を改善するためにポリエチレンとの複合化が種々検討されている。
ポリカーボネート樹脂と非相溶性のポリエチレンをポリカーボネート樹脂に複合化すると、ポリカーボネート樹脂をマトリックスとし、ポリエチレンをドメインとする二相構造が形成される。この時、ポリエチレンとして結晶性の高い高密度ポリエチレンを用いた場合には、成形工程でポリカーボネート樹脂の固化後にポリエチレンの成形収縮が起こり、ポリカーボネート樹脂マトリックスとポリエチレンドメインとの間に空洞(ボイド)が形成される。このように形成されるボイドは衝撃強度を低下させるだけでなく、入射光を散乱させるために、例えばカーボンブラックの配合等で黒色に着色した成形品の場合、白化現象により黒色度が低下し、外観が著しく損なわれるという欠点がある。
また、マトリックスであるポリカーボネート樹脂に対して、流動性の低いポリエチレンを用いた場合、分散性が低下するために十分に耐薬品性が改善されず、逆に流動性の高いポリエチレンを用いた場合には、成形品表層近傍に大きく引き伸ばされたドメインを形成するため、層状剥離などの問題が生じる。
これに対して、適切な流動性を有する低密度ポリエチレンを選択することで、ポリカーボネート樹脂中におけるポリエチレンの分散性を向上させ、かつポリエチレンドメインの成形時の収縮を抑制することができ、これにより、上述したような問題が改善される。
また、ポリカーボネート樹脂は用途により、強度の向上や線膨張抑制(成形時の収縮率を制御して寸法精度の向上を図る。)等のため、種々の無機充填材の添加が一般的に行われる。しかし、無機充填材を配合した場合の成形品外観と熱安定性を保障する技術は従来提案されておらず、外観及び又は熱安定性の低下が問題となっている。
即ち、無機充填材のうち、ガラス(ガラスファイバー、ミルドガラスファイバー、フレークガラス等)はポリカーボネート樹脂を劣化させにくい反面、成形品表面に顕著な凹凸を生じ、外観不良となる。一方で、無機鉱物(タルク、ワラストナイト、マイカ等)は成形品の外観は良好であるが、ポリカーボネート樹脂を分解し、即ち、樹脂の熱安定性を損ない、得られる成形品の機械的強度を低下させてしまう。
特許文献1には、ポリカーボネート樹脂に無機充填材を配合した場合の耐摩耗性の改善を目的として、シラン変性ポリエチレン樹脂を配合することが提案されている。
この特許文献1では、シラン変性ポリエチレン樹脂として、密度0.930〜0.965g/cmの高密度ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト重合させてなる高密度シラン変性ポリエチレン樹脂が用いられている。
また、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂の摺動性の改善を目的としてシラン変性ポリエチレン樹脂を配合することが提案されている。
この特許文献2では、密度0.945〜0.965g/cmのシラン変性ポリエチレン樹脂が好ましいとされ、密度が0.945g/cm未満のシラン変性ポリエチレン樹脂では耐熱性に劣るものとなると記載されている。
特開平8−100114号公報 特開平5−247236号公報
ポリカーボネート樹脂に、特許文献1,2に記載されるような高密度シラン変性ポリエチレン樹脂を配合することにより、熱安定性や耐衝撃性、耐薬品性の改善が認められるが、十分ではなく、特に、成形品の外観(黒色度)が著しく損なわれるという問題がある。
本発明は上記従来の問題点を解決し、外観を損なうことなく、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性、更には熱安定性、耐衝撃性を改善したポリカーボネート複合樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、このようなポリカーボネート複合樹脂組成物の製造方法と、このポリカーボネート複合樹脂組成物を射出成形してなるポリカーボネート複合樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂に特定の低密度シラン変性ポリエチレン樹脂を配合することにより、外観を損なうことなく、耐薬品性、更には熱安定性、耐衝撃性を改善することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 樹脂主成分として、ポリカーボネート樹脂85〜99質量%、及び、ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物を共重合させてなる密度が0.85〜0.92g/cmのシラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[2] [1]において、該樹脂主成分100質量部に対して、ポリオレフィン系樹脂50質量部以下を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]において、該シラン変性ポリエチレン樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minであることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[4] [2]又は[3]において、該ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びポリプロピレンの中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、樹脂成分100質量部に対して無機充填材を1〜50質量部含有してなることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[6] [5]において、該無機充填材が、ガラスファイバー、ミルドガラスファイバー、ワラストナイト、タルク、及びマイカの中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、樹脂成分として更にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、及びAS樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[8] [5]ないし[7]のいずれかにおいて、樹脂成分の溶融混練過程を経た後に無機充填材を後添加してなることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
[9] [5]ないし[8]のいずれかにおいて、下記式で算出されるMFR変化率が10%以下であることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
MFR変化率=(R20−R)/R×100
(ただし、Rは該組成物を280℃で5分間保持したときのMFR値(280℃,21.18N)(単位:g/10min)であり、R20は該組成物を280℃で20分間保持したときのMRF値(280℃,21.18N)(単位:g/10min)を示す。)
[10] ポリカーボネート樹脂10〜99質量%、ポリオレフィン系樹脂0〜89質量%、及び、ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物を共重合させてなる密度が0.85〜0.92g/cmのシラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%を含有する樹脂成分100質量部に対して無機充填材を1〜50質量部含有してなる強化ポリカーボネート系複合樹脂組成物を製造する方法であって、該樹脂成分の溶融混練過程を経た後に該無機充填材を後添加することを特徴とする強化ポリカーボネート複合樹脂組成物の製造方法。
[11] [1]ないし[9]のいずれかに記載のポリカーボネート複合樹脂組成物を射出成形してなるポリカーボネート複合樹脂成形品。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂に特定の低密度シラン変性ポリエチレン樹脂を配合することにより、外観を損なうことなく、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性、耐衝撃性を効果的に改善し、更には無機充填材を添加した際に生じる熱安定性の低下を大幅に抑制することができる。
即ち、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンを配合することにより耐薬品性の改善を図ることができるが、高密度ポリエチレンでは、ポリカーボネート樹脂マトリックスとポリエチレンドメインとの間の空洞(ボイド)による耐衝撃性低下、外観不良の問題があり、また、ポリカーボネート樹脂マトリックス−ポリエチレンドメイン間の層状剥離による耐衝撃性等の機械的強度の低下の問題もある。一方、低密度ポリエチレンでは、この問題は改善されるが、ポリエチレンドメインの回折光による真珠光沢様の外観不良の問題がある。
また、無機充填材として無機鉱物を配合した場合には、ポリカーボネート樹脂の分解の問題があるが、この問題はポリエチレンの配合では解決し得ない。
本発明によれば、シラン変性ポリエチレン樹脂を配合することにより、低密度ポリエチレンを配合した場合よりも、更なる耐薬品性の改善を図った上で、上記のような低密度ポリエチレンを配合する場合の不具合を改善することができる。
即ち、無機充填材として無機鉱物を添加した場合、より親和性の高いシラン変性ポリエチレン樹脂が無機鉱物表面を取り囲み、無機鉱物とポリカーボネート樹脂との接触を妨げるためにポリカーボネート樹脂の分解が抑制される。
なお、シラン変性ポリエチレン樹脂として特許文献1,2に記載されるような高密度シラン変性ポリエチレン樹脂を用いると、成形時の高密度シラン変性ポリエチレン樹脂由来のドメイン相の結晶化収縮により、ポリカーボネート樹脂マトリックス−シラン変性ポリエチレンドメイン間に空隙(ボイド)が形成され、外観不良、更には耐衝撃性、耐薬品性低下の原因となるが、シラン変性ポリエチレン樹脂の密度を下げることにより、このような空隙の形成を防止して、外観を良好に維持すると共に、耐衝撃性、耐薬品性のより一層の改善を図ることができる。
このような本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物を製造するに当たり、樹脂成分の溶融混練過程を経た後に無機充填材を後添加する本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物の製造方法によれば、溶融混練時の無機充填材によるポリカーボネート樹脂の分解劣化を抑制すると共に、無機充填材自体の劣化(損傷、変質等)も抑制して、良好な機械的強度、滞留熱安定性を示すポリカーボネート複合樹脂組成物を製造することができる。
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物を射出成形してなる本発明のポリカーボネート複合樹脂成形品は、ポリカーボネート樹脂本来の耐衝撃性等の機械的特性や外観に優れる上に耐薬品性にも優れた高品質のポリカーボネート複合樹脂成形品である。
このような本発明のポリカーボネート複合樹脂成形品は、電気・電子機器部品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類などの各種用途に有用であり、特に車輌外装・外板部品、車輌内装部品への適用が期待できる。
本発明のポリカーボネート複合樹脂成形品が適用される車輌外装・外板部品としては、例えばアウタードアハンドル、バンパー、フェンダー、ドアパネル、トランクリッド、フロントパネル、リアパネル、ルーフパネル、ボンネット、ピラー、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールキャップ、フードバルジ、フューエルリッド、各種スポイラー、モーターバイクのカウルなどが挙げられる。
また、車輌内装部品としては、インナードアハンドル、センターパネル、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーションなどのディスプレイハウジングなどが挙げられるが、本発明のポリカーボネート複合樹脂成形品の適用分野は、何らこれらのものに限定されるものではない。
耐薬品性の評価試験方法を示す模式図であり、(a)図は試験片に撓みを負荷した状態を示す側面図、(b)図は同平面図、(c)図は同底面部である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物に配合されるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂である。
芳香族ポリカーボネート樹脂とは、原料として、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを使用し、又は、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物を使用して得られる直鎖又は分岐の熱可塑性重合体又は共重合体である。
上記の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が挙げられる。
また、上記以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
上記の中では、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]が好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物は2種類以上を併用してもよい。
前記のカーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が挙げられ、その具体例としては、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体は2種類以上を併用してもよい。
また、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類の他、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。これらの中では、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができ、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などが挙げられる。本発明で用いるポリカーボネート樹脂の製造方法に制限はないが、工業的には界面重合法又は溶融エステル交換法が有利である。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂の分子量は、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)として、機械的強度と流動性(成形加工性容易性)の観点から、通常10,000〜50,000、好ましくは12,000〜40,000であり、更に好ましくは14,000〜35,000であり、特に好ましくは16,000〜32,000である。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して上記粘度平均分子量に調整してもよい。また、必要に応じ、粘度平均分子量が上記の好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。
ここで、粘度平均分子量(Mv)とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:η=1.23×10−40.83の式から算出される値を意味する。ここで極限粘度([η])とは各溶液濃度(C)(g/dl)での比粘度(ηsp)を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2011116927
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下であり、中でも700ppm以下、更には400ppm以下、特に300ppm以下であることが好ましい。またその下限は、10ppm以上、中でも20ppm以上、更には30ppm以上、特に40ppm以上であることが好ましい。末端水酸基濃度を10ppm以上とすることで、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることで、樹脂組成物の耐熱性、滞留熱安定性が、より向上する傾向にあるので好ましい。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88215(1965)に記載の方法)である。
また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂は、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量(Mv)は、通常1,500〜9,500、好ましくは2,000〜9,000である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの使用量は、ポリカーボネート樹脂に対し、通常30質量%以下である。
更に、本発明においては、ポリカーボネート樹脂として、バージン樹脂だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂、所謂マテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂を使用してもよい。使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防などの車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板などの建築部材が挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生されたポリカーボネート樹脂の使用割合は、バージン樹脂に対し、通常80質量%以下、好ましくは50質量%以下である。
[シラン変性ポリエチレン樹脂]
本発明において、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性等の改善のために配合するシラン変性ポリエチレン樹脂は、ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物を共重合させてなる、密度が0.85〜0.92g/cmのものである。
シラン変性ポリエチレン樹脂の密度が上記上限よりも高いと、成形収縮が大きくなることから、マトリックス−ドメイン間においてボイドが形成され、外観不良や耐衝撃性が低下し、上記下限よりも低いと、得られる樹脂組成物の物性(例えば耐衝撃性や耐熱性等)が低下する。
シラン変性ポリエチレン樹脂の密度はより好ましくは0.86〜0.91g/cmであり、特に好ましくは0.87〜0.90g/cmである。このとき、密度の異なるシラン変性ポリエチレン樹脂またはポリエチレン樹脂を二種類以上併用し、上記の密度好適範囲に調整して用いることも可能である。
なお、ここで、シラン変性ポリエチレン樹脂の密度はISO 1183 D法に準拠して測定した値である。
また、シラン変性ポリエチレン樹脂の、190℃におけるメルトフローレート(MFR)は0.1〜50g/10minであることが好ましい。シラン変性ポリエチレン樹脂のMFRが0.1g/10minよりも小さいと分散性が乏しく、大きなドメインを形成しやすくなるため白化が生じやすくなり、50g/10minよりも大きいとドメインが大きく引き伸ばされた構造をとることから、層状剥離による機械的強度の低下が生じやすくなる。
シラン変性ポリエチレン樹脂のより好ましいMFRは0.2〜30g/10minである。このとき、密度の異なるシラン変性ポリエチレン樹脂またはポリエチレン樹脂を二種類以上併用し、上記MFRの好適範囲に調整して用いることも可能である。
なお、ここでMFRとは、ISO 1133に準拠して、温度190℃、荷重21.18Nで測定した値である。
エチレン性不飽和シラン化合物を共重合させるポリエチレンとしては特に制限はなく、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が含有していてもよいポリオレフィン系樹脂のポリエチレンとして例示したもののうち、得られるシラン変性ポリエチレン樹脂の密度が上記好適範囲となるもの、更に好ましくは、得られるシラン変性ポリエチレン樹脂のMFRが上記好適範囲となるものが挙げられる。
このような密度、更にはMFRのシラン変性ポリエチレン樹脂が得られるポリエチレンとしては、それ自体、密度が0.80〜0.98g/cm程度でMFRが0.1〜100g/10min程度の低密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリエチレンに共重合させるエチレン性不飽和シラン化合物としては、下記一般式で表されるシラン化合物が挙げられる。
RSiR’3−n
(ここで、Rはエチレン性不飽和炭化水素基又はオキシ炭化水素基、R’は脂肪族飽和炭化水素基又はフェニル基を示す。Yは加水分解可能な有機基であり、nは0、1又は2である。)
具体的には上記一般式において、Rがビニル、アクリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、又はγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等であり、R’がメチル、エチル、デシル、又はフェニル基等、Yがメトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシプロピオニルオキシ、アルキル又はアリールアミノ基等であり、好ましくはRがビニル又はγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基であるトリアルコキシシランが用いられる。
ポリエチレンに共重合させるエチレン性不飽和シラン化合物の量としては、ポリエチレン100質量部に対して、エチレン性不飽和シラン化合物0.01〜15質量部、特に0.5〜10質量部であることが好ましい。エチレン性不飽和シラン化合物の共重合割合が少な過ぎるとポリエチレンをシラン変性したことによる前述の効果を十分に得ることができず、多過ぎると架橋密度が高くなることで分散性が低下し、外観不良や耐薬品性の低下生じる。
本発明で用いるシラン変性ポリエチレン樹脂は、例えば、ポリエチレンにラジカル発生剤の存在下でエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト重合することによって得ることができる。
ラジカル発生剤としては、グラフト反応条件下でポリエチレンに遊離ラジカル部位を発生させることができ、グラフト反応温度で充分短い半減期を有する任意の化合物を使用することができる。これらのラジカル発生剤には特に制限はないが、代表的なラジカル発生剤としては、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシオクテート、ベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、メチルアゾイソブチレート等のアゾ化合物が挙げられる。
ポリエチレンへのエチレン性不飽和シラン化合物のグラフト反応は、ポリエチレン100質量部に対し、エチレン性不飽和シラン化合物を0.01〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部程度、ラジカル発生剤を0.01〜5質量部、好ましくは0.01〜2質量部程度加え、用いたラジカル発生剤の分解が生じる温度、一般には150〜200℃程度の温度で混練することにより行うことができる。混練には、一軸あるいは多軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー・プラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いることができる。
なお、このようなシラン変性ポリエチレン樹脂としては市販品を用いることもできる。
シラン変性ポリエチレン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、変性に用いたエチレン性不飽和シラン化合物が異なるものや密度等の異なるものを2種以上併用してもよい。
一般に製品に成形されたシラン変性ポリエチレン樹脂は、シラノール縮合触媒の存在下で水架橋される。本発明においては、触媒非存在下においても十分な耐薬品性、更には熱安定性、耐衝撃性の改善効果を示すが、必要に応じてシラノール縮合触媒を用いてもよい。シラノール縮合触媒を用いることで、無機充填材と樹脂成分とがより強固に接着するようになる。このようなシラノール縮合触媒には、一般に、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、有機塩基、無機酸、及び有機酸等があり、具体的には、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸塩、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン等の有機塩基、硫酸、塩酸などの無機酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸等の有機酸を挙げることができる。これらのシラノール縮合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シラノール縮合触媒を用いる場合、その使用量は、シラン変性ポリエチレン樹脂100質量部に対して通常0.001〜10質量部程度、好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。このシラノール縮合触媒の量が0.001質量部未満である場合、架橋反応を触媒するために十分でなく、10質量部を超えると、架橋反応が進行しすぎるために、シラン変性ポリエチレン樹脂が流動性を失い、大きなドメインを形成するために外観不良や物性の低下が起こる。
シラノール縮合触媒を存在させる方法としては、例えば次のような方法を用いることができる。
(1) シラン変性する際に用いたと同じポリエチレンに、シラノール縮合触媒を押出機等で混練することによりマスターバッチを作り、該マスターバッチを製品成形前にシラン変性ポリエチレン樹脂とドライブレンドして成形を行う方法。
(2) シラノール触媒を含有しない製品(成形品)をシラノール触媒の水溶液またはエマルジョン中に浸漬する方法。
これらの方法でシラノール縮合触媒の導入された製品は、大気中に放置することによっても、大気中の水分により水架橋が進行するが、一般に製品を常温〜200℃程度、通常は常温〜100℃程度の水(液状または蒸気状)と10秒〜1週間程度、通常は1分〜1日程度にわたって接触させて水架橋させてもよい。
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂及びシラン変性ポリエチレン樹脂の他、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよく、ポリオレフィン系樹脂の配合で流動性や物性の調整が可能である。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合等が挙げられる。
これらのポリオレフィン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリオレフィン系樹脂のうち、特に高い耐薬品性を付与することができることから、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びポリプロピレン樹脂が好ましい。
以下に、ポリオレフィン系樹脂のうち、ポリエチレン系樹脂について説明する。
ポリエチレン系樹脂とは、エチレンと、エチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、この共重合可能なモノマーとしては特に制限はないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、イソプレン、ブタジエン或いはアクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸類、或いはこれらのエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸或いはその酸無水物等の1種又は2種以上が挙げられ、これらは主鎖に共重合されていてもよく、また、グラフト重合可能なものはグラフト重合せしめてもよい。
これらのポリエチレン系樹脂は通常の方法で製造することができる。
なかでも好ましいポリエチレン系樹脂としては、エチレンと炭素数3〜10、好ましくは炭素数4〜8のα−オレフィンの1種又は2種以上との共重合体であり、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、特に共重合成分が主鎖に導入された直鎖状ポリエチレン系樹脂が好ましい。
このようなポリエチレン系樹脂中のエチレンの含有量は、少な過ぎると融点の低下によるハンドリングの悪化やコストアップが問題となり、多過ぎると結晶化による成形収縮で白化現象が起こる。従って、ポリエチレン系樹脂中のエチレンの含有量は90〜40モル%、特に85〜50モル%であることが好ましい。
本発明で用いるポリエチレン系樹脂は、上述のようなポリエチレン系樹脂であって、密度が0.85〜0.92g/cmの低密度のポリエチレン系樹脂であることが好ましい。このポリエチレン系樹脂の密度が0.92g/cmを超えると、ドメインのボイドによる白化現象、層状剥離、ポリエチレンの分散不良に起因する耐薬品性の低下の問題がある。密度0.92g/cm以下の低密度のポリエチレン系樹脂を用いることにより、結晶性が低減され、成形時の収縮率がポリカーボネート樹脂の収縮率と近いものとなり、ボイドの形成が抑えられ、ボイドの形成が抑制されるために、耐衝撃性が向上する。
しかし、ポリエチレン系樹脂の密度が0.85g/cmよりも小さいと物性の低下が起こるので、密度0.85g/cm以上のポリエチレン系樹脂を用いる。ポリエチレン系樹脂の密度は、特に0.86〜0.92g/cm、とりわけ0.88〜0.90g/cmであることが好ましい。
なお、ここで、ポリエチレン系樹脂の密度はISO 1183 D法に準拠して測定した値である。
なお、このような低密度のポリエチレン系樹脂は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜4.0であることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4.0よりも大きいと耐衝撃性が低下するなどの問題があり、1.3より小さいと成形性が劣る。このポリエチレン系樹脂のより好ましい分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜3.5である。
ここで、ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatografy)により測定される。具体的には、後述の実施例の項に記載される通りである。
また、ポリエチレン系樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は0.1〜50g/10minであることが好ましい。ポリエチレン系樹脂のMFRが0.1g/10minよりも小さいと分散性が乏しく、大きなドメインを形成しやすくなるため白化が生じやすくなり、50g/10minよりも大きいとドメインが大きく引き伸ばされた構造をとることから真珠光沢による外観不良や層状剥離、物性の低下が生じやすくなる。
ポリエチレン系樹脂のより好ましいMFRは0.2〜30g/10minである。
なお、ここでMFRとは、ISO 1133に準拠して、温度190℃、荷重21.18Nで測定した値である。
[その他の樹脂]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物には、樹脂成分として、更に、上記ポリカーボネート樹脂、シラン変性ポリエチレン樹脂及びポリオレフィン系樹脂以外の樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、及びAS樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することができ、これらの他の樹脂を含むことにより、それぞれ次のような効果が奏される。
ポリエチレンテレフタレート:耐薬品性の向上
ポリブチレンテレフタレート:耐薬品性の向上、流動性の改善
ポリスチレン:流動性の改善
ABS樹脂:流動性の改善、耐衝撃性の向上
AS樹脂:流動性の改善
[樹脂成分]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物は、樹脂成分として、ポリカーボネート樹脂及びシラン変性ポリエチレン樹脂(本発明において、ポリカーボネート樹脂及びシラン変性ポリエチレン樹脂を「樹脂主成分」と称し、ポリカーボネート樹脂及びシラン変性ポリエチレン樹脂に必要に応じて配合されるポリオレフィン系樹脂及びABS樹脂等のその他の樹脂を含めて「樹脂成分」と称す。)と、必要に応じて更にポリオレフィン系樹脂及びABS樹脂等のその他の樹脂を含むものであるが、その含有量は、
ポリカーボネート樹脂:85〜99質量%
シラン変性ポリエチレン樹脂:1〜15質量%
からなる樹脂主成分100質量部に対して、ポリオレフィン系樹脂を好ましくは0〜50質量部、その他の樹脂を好ましくは0〜40質量部である。
ポリカーボネート樹脂が上記上限より多く、シラン変性ポリエチレン樹脂が上記下限より少ないと、シラン変性ポリエチレン樹脂を用いたことによる本発明の効果を十分に得ることができず、逆に、ポリカーボネート樹脂が上記下限よりも少なく、シラン変性ポリエチレン樹脂が上記上限よりも多いと、ポリエチレンドメインサイズの増大による外観不良や物性の低下が生じる。
また、ポリオレフィン系樹脂の含有量が上記上限よりも多いと外観不良や層状剥離、物性の低下が生じ、その他の樹脂の含有量が上記上限よりも多いと耐衝撃性や耐熱性が低下する。
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂とシラン変性ポリエチレン樹脂のみを含む場合、その含有量はポリカーボネート樹脂85〜99質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%であり、好ましくはポリカーボネート樹脂90〜98質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂2〜10質量%である。
また、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂とシラン変性ポリエチレン樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む場合、その好適な含有量はポリカーボネート樹脂70〜98質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%、ポリオレフィン系樹脂1〜15質量%であり、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂80〜96質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂2〜10質量%、ポリオレフィン系樹脂2〜10質量%である。
また、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂とシラン変性ポリエチレン樹脂とその他の樹脂を含む場合、その好適な含有量は、ポリカーボネート樹脂40〜98質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%、その他の樹脂1〜45質量%であり、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂60〜96質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂2〜10質量%、その他の樹脂2〜30質量%である。
更に、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂とシラン変性ポリエチレン樹脂とポリオレフィン系樹脂とその他の樹脂を含む場合、その好適な含有量は、ポリカーボネート樹脂25〜97質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%、ポリオレフィン系樹脂1〜15質量%、その他の樹脂1〜45質量%であり、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂50〜94質量%、シラン変性ポリエチレン樹脂2〜10質量%、ポリオレフィン系樹脂2〜10質量%、その他の樹脂2〜30質量%である。
[無機充填材]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物は、無機充填材を含む強化ポリカーボネート複合樹脂組成物であってもよく、無機充填材の配合により、弾性率の制御や成形時の収縮を抑制して寸法精度の向上を図ることができる。
無機充填材としては、ガラスファイバー(チョップドストランド)、ミルドガラスファイバー(ガラス短繊維)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のガラス系フィラー;炭素繊維、炭素短繊維、カーボンナノチューブ、黒鉛などの炭素系フィラー;チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられ、好ましくは、ガラスファイバー、ミルドガラスファイバー、ワラストナイト、タルク、マイカ等であり、この中でも外観及び滞留熱安定性の両立を図る上で、ワラストナイト、タルクが好ましい。これらの無機充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機充填材の形状としては、繊維状、針状、板状、球状が好ましく、成形収縮率や線膨張の低減を考慮した場合、繊維状、針状、板状の無機充填材がより好ましい。
無機充填材のサイズとしては、短軸径0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜50μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。無機充填材の短軸径が10nmより小さいとポリエチレンドメイン形状を十分に壊すことができず、成形品に真珠光沢が残ってしまう。また、100μmより大きいと無機充填材間が大きくなるため、無機充填材間において真珠光沢が残ってしまう。後述の如く、特に、無機充填材の短軸径は、ポリエチレンドメインの短軸径と同等であることが真珠光沢を効率的に消失させる上で好ましい。
なお、ここで、無機充填材の短軸径とは、無機充填材を2枚の平行な板で挟んだ場合、その平行板の間隔が最も狭くなる部分の長さであり、無機充填材が繊維状であれば、繊維径に該当し、板状であれば板厚に該当し、球状であればその直径に該当する。
無機充填材の短軸径(平均短軸径)は、得られた射出成形品の射出方向の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、任意に選択した50個の無機充填材の短軸径の測定値の数平均値として求めることもできるが、例えば、製品として供給される繊維状無機充填材の製品規格としての平均繊維径を短軸径とすることもできる。板状、球状の無機充填材についても同様である。
なお、無機充填材のアスペクト比(=長軸径/短軸径。長軸径とは、無機充填材を2枚の平行な板で挟んだ場合、その平行板の間隔が最も広くなる部分の長さであり、無機充填材が繊維状であれば、繊維長さに該当し、板状であれば板面の長径に該当し、球状であればその直径に該当する。)については特に制限はないが、2〜500であることが好ましい。無機充填材のアスペクト比が大き過ぎると無機充填材の配向方向とそれに直交する方向に対する成形収縮の差が大きくなりすぎることから歪みを生じやすくなり、小さ過ぎると線膨張の抑制効果が十分でない。
なお、アスペクト比についても、短軸径と同様に、SEM観察により無機充填材の短軸径と長軸径を測定し、個々の無機充填材についてアスペクト比を算出し、その数平均値として求めることもできるが、製品として供給される無機充填材の製品規格としてのアスペクト比を採用することもできる。
無機充填材の配合量は、樹脂成分100質量部に対して好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜30質量部、更に好ましくは3〜15質量部である。無機充填材の配合量が上記下限未満では、成形収縮率の最適化が不十分で寸法精度を十分に高めることができず、上記上限を超えると成形性の悪化、脆化などの問題が生じる。
[その他の成分]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の樹脂成分と無機充填材の他、通常のポリカーボネート樹脂組成物に含有される他の種々の添加剤を含有していてもよい。
含有し得る各種添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、強化剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。以下、本発明に係る樹脂組成物に好適な添加剤の一例について具体的に説明する。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の中では、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
酸化防止剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部である。酸化防止剤の含有量が0.001質量部未満の場合は抗酸化剤としての効果が不十分であり、1質量部を超える場合は効果が頭打ちとなり経済的ではない。
本発明で使用される熱安定剤としては、分子中の少なくとも1つのエステルがフェノール及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノールでエステル化された亜リン酸エステル化合物(a)、亜リン酸(b)及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト(c)の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記の亜リン酸エステル化合物(a)の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中で、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部である。熱安定剤の含有量が0.001質量部未満の場合は熱安定剤としての効果が不十分であり、1質量部を超える場合は耐加水分解性が悪化する場合がある。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価又は3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中では、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸および/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であればよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
離型剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。離型剤の含有量が0.001質量部未満の場合は離型性の効果が十分でない場合があり、2質量部を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題がある。
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール][メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の中では、好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール]である。
紫外線吸収剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常0.01〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。紫外線吸収剤の含有量が0.01質量部未満の場合は耐候性の改良効果が不十分の場合があり、3質量部を超える場合はモールドデボジット等の問題が生じる場合がある。
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;亜鉛華、弁柄、酸化クロム、酸化チタン、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。有機顔料および有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性の点から、カーボンブラック、酸化チタン、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
染顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。染顔料の含有量が5質量部を超える場合は耐衝撃性が十分でない場合がある。
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
難燃剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは3〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部である。難燃剤の含有量が1質量部未満の場合は難燃性が十分でない場合があり、30質量部を超える場合は耐熱性が低下する場合がある。
滴下防止剤としては、例えば、ポリフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィンが挙げられ、特にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。これは、重合体中に容易に分散し、且つ、重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示す。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。ポリテトラフルオロエチレンは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル社より、「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」として、ダイキン工業社より「ポリフロン(商品名)」として市販されている。
滴下防止剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、通常0.02〜4質量部、好ましくは0.03〜3質量部である。滴下防止剤の配合量が5質量部を超える場合は成形品外観の低下が生じる場合がある。
[ポリカーボネート複合樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物を製造するための混練条件等については、用いるポリカーボネート樹脂及びシラン変性ポリエチレン樹脂、その他の樹脂成分の物性や配合割合、用いる無機充填材の種類や配合割合、その他の添加剤の有無等により異なり、一概に言えないが、例えば、以下のような条件を採用することができる。
樹脂成分、無機充填材、添加剤等を配合し、ブレンドした組成物を、シリンダー温度200〜300℃、スクリュー回転数80〜400rpmで混練する。無機充填材の添加方法としては、樹脂成分と無機充填材を混練機へ一括供給により混練してもよいが、ガラスファイバーやワラストナイト等の繊維状ないし針状無機充填材の場合、強いニーディリングによって針状無機充填材が折れ、充填材としての性能低下を招くことがある。また、タルク、ワラストナイト、マイカ等の無機鉱物系の無機充填材は、ポリカーボネート樹脂と加熱下で接触する時間が長くなることで、ポリカーボネート樹脂を分解劣化させる。
本発明では、このポリカーボネート樹脂の分解劣化をシラン変性ポリエチレン樹脂の配合で抑制しているが、ポリカーボネート樹脂の分解劣化をより一層抑制するために、樹脂成分と無機充填材との溶融混練時間は短い方が好ましい。
そのため、無機充填材は、サイドフィード法を用いて、予め溶融混練過程を経た樹脂成分に対して、混練途中から添加し、その後軽いニーディングゾーンを経て、ストランドとして押し出す手法が好ましい。押し出されたストランドは冷却し、切断してペレット化する。
混練の際にはスクリュー回転数と吐出量をバランスさせ、ダイスにおける樹脂圧を1〜50MPa程度として、樹脂圧力を一定にかけながら押し出すことで、効果的に剪断応力がかかり、ポリカーボネート樹脂中におけるポリエチレンドメインと無機充填材の分散性が向上する。シリンダー内に樹脂が充填されない状態で混練しても十分な剪断応力がかからず、ポリエチレンは大きなドメインを形成しやすくなり、また無機充填材は均一分散されないために物性のばらつきや外観不良が生じやすくなる。
[ポリカーボネート複合樹脂成形品の製造方法]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物からポリカーボネート複合樹脂成形品を製造する成形法としては、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、多色射出成形法、多色射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、断熱金型を用いた成形法、高速加熱冷却金型を用いた成形法、インサート成形法、IMC(インモールドコーティング)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等を挙げることができる。
本発明のポリカーボネート複合樹脂成形品は、このうち、特に射出成形により得られるものである。
本発明においては、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物を他の熱可塑性樹脂組成物と多色複合成形して複合成形品とすることもできる。
[ポリカーボネート複合樹脂組成物の熱安定性]
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂にシラン変性ポリエチレン樹脂を配合したことによるポリカーボネート樹脂の分解抑制効果で、無機充填材を含む場合であっても、好ましくは、熱安定性の指標としての下記式で算出されるMFR変化率が10%以下の良好な熱安定性を示す。このMFR変化率は、溶融滞留下においてポリカーボネート樹脂が分解して分子量が低下することによる流動性の増加度合を示すものであり、MFR変化率は小さい程熱安定性に優れる。
MFR変化率=(R20−R)/R×100
(ただし、Rは該組成物を280℃で5分間保持したときのMFR値(280℃,21.18N)(単位:g/10min)であり、R20は該組成物を280℃で20分間保持したときのMRF値(280℃,21.18N)(単位:g/10min)を示す。)
本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物のMFR変化率が10%を超えると、滞留熱安定性が不十分であり、得られる成形品の耐衝撃性等の機械的強度も低下する。
特に、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が無機充填材を含まない場合、MFR変化率は3%以下、特に2%以下であることが好ましい。
また、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が、ガラスファイバー、ミルドファイバー等のポリカーボネート樹脂に対する分解作用の小さい無機充填材を含む場合、MFR変化率は5%以下、特に3%以下であることが好ましい。
また、本発明のポリカーボネート複合樹脂組成物が、タルク、ワラストナイト等のポリカーボネート樹脂に対する分解作用の大きい無機充填材を含む場合であっても、MFR変化率は10%以下、特に5%以下であることが好ましい。
このような優れた熱安定性は、本発明に係る低密度シラン変性ポリエチレン樹脂を配合すると共に、前述のように、溶融混練過程を経たポリカーボネート樹脂に無機充填材を後添加することにより達成される。
[ポリカーボネート複合樹脂成形品の耐薬品性]
本発明のポリカーボネート複合樹脂成形品は、下記の耐薬品性の評価試験で測定される破断伸び保持率が70%以上、特に80%以上であることが好ましい。
<耐薬品性の評価試験>
厚さ4mmの引張試験片(ISO 3167 typeA)を成形時の残留歪みを除くために120℃で2時間アニール処理を行う。その後、変形率0.94%の撓みを負荷した状態で、試験薬品としてイソプロパノールを塗布し、この状態で48時間保持した後の試験片の破断伸びEに対して、薬品を塗布せず同様の撓みを同じ時間負荷した試験片の破断伸びEに対する保持率(%)(E/E×100)を算出する。
上記の破断伸び保持率が上記下限未満では、本発明で目的とする耐薬品性の改良効果を十分に得ることができない。
なお、ここで、耐薬品性の評価試験の詳細は、後掲の実施例に記載される通りである。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、用いた樹脂の物性の測定方法は以下の通りである。
<ポリエチレン樹脂又はシラン変性ポリエチレン樹脂のMFR>
ISO 1133に準拠して、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
<ポリエチレン樹脂又はシラン変性ポリエチレン樹脂の密度>
ISO 1183 D法に準拠して測定した。
<ポリエチレン樹脂の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn>
ポリエチレン樹脂の分子量分布Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnを測定して求めた。GPCの測定は、武内著、丸善発行の「ゲルパーミエーションクロマトグラフィー」に準じて行なった。すなわち、分子量既知の標準ポリスチレン(東洋ソーダ製単分散ポリスチレン)を使用し、ユニバーサル法により、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)に換算し、Mw/Mnの値を求めた。測定は、ウォーターズ社製「150C−ALC/GPC」を用い、カラムは昭和電工製「AD80M/S」を3本使用した。サンプルは、ポリエチレン樹脂をo−ジクロルベンゼンに0.2質量%に希釈したものを、200μl使用した。測定は140℃、流速1ml/minで実施した。
<ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量Mvの測定>
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:[η]=1.23×10−40.83の式から算出した。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度(C)(g/dl)での比粘度(ηsp)を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2011116927
<ポリカーボネート樹脂の水酸基値>
四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88215(1965)に記載の方法)による。
また、実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の配合成分は、以下の通りである。
ポリカーボネート樹脂:下記のポリカーボネート樹脂A81質量%と下記のポリカーボネート樹脂B19質量%との混合樹脂
ポリカーボネート樹脂A:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品
芳香族ポリカーボネート樹脂「商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000」
粘度平均分子量22000、末端水酸基濃度180ppm
ポリカーボネート樹脂B:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品
芳香族ポリカーボネート樹脂「商品名:ユーピロン(登録商標)H−4000」
粘度平均分子量16000、末端水酸基濃度150ppm
シラン変性ポリエチレンA:三菱化学(株)製品 低密度シラン変性ポリエチレン樹脂「商品名:XLE815N」、密度0.915g/cm、MFR0.5g/10min
シラン変性ポリエチレンB:三菱化学(株)製品 高密度シラン変性ポリエチレン樹脂「商品名:XHE650N」、密度0.947g/cm、MFR0.4g/10min
ポリエチレンA:日本ポリエチレン(株)製品 低密度エチレン−プロピレン共重合体「商品名:カーネルKF282」、エチレン含有量80〜85モル%、密度0.915g/cm、Mw/Mn2.6、MFR2.2g/10min
ポリエチレンB:日本ポリエチレン(株)製品 高密度エチレン−プロピレン共重合体「商品名:HF350」、エチレン含有量98モル%、密度0.950g/cm、Mw/Mn22、MFR2.5g/10min
ABS:テクノポリマー(株)製品 ABS樹脂「商品名:DP615」50質量%とAS樹脂「商品名:290FC」50質量%との混合樹脂
ガラスファイバー:日本電気硝子(株)製「商品名:ECS03T−127」(平均繊維径13.5μm、平均アスペクト比220)
ミルドガラスファイバー:日本電気硝子(株)製「商品名:EPG70M−99S」(平均繊維径13.5nm、平均アスペクト比5)
ワラストナイト:NYCO minerals(株)製「商品名:NYGLOS4W」(平均繊維径4.5μm、平均アスペクト比11)
着色剤:越谷化成工業(株)製カーボンブラック「商品名:ROYAL BLACK 904G」
酸化防止剤:チバスペシャリテイ・ケミカルズ(株)社製「商品名:Irganox1076」(オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
熱安定剤:チバスペシャリテイ・ケミカルズ(株)社製「商品名:Irgafos168」(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト)
また、各種物性ないし特性の評価方法は次の通りである。
<熱安定性>
メルトインデクサー(東洋精機製)のシリンダー温度を280℃、荷重21.18Nとして、測定するサンプルのペレットをシリンダー内に入れて、5分間加熱後のMFR値(R)と20分間加熱後の同サンプルのMFR値(R20)を測定し、MFR変化率=(R20‐R)/R×100を算出した。
得られたMFR変化率は熱安定性評価の指標とした。すなわち、MFR変化率が大きいほど熱安定性が低く、MFR変化率が小さいほど熱安定性が高いことになる。
<耐衝撃性>
ISO規格多目的試験片(ISO 3167 typeA)をノッチングマシーン(東洋精機製「ノッチングツールA−4型」)を用いて、一枚歯Vカッター(45°、R=0.25mm)、ノッチ回転速度300rpm、ノッチ切削回数を2回としてノッチ加工し、同時にスライサーにより中心部を80mm切り出した。得られたノッチ付きシャルピー試験片を用いてシャルピー衝撃試験をISO 179に準拠して行った。測定は、シャルピー衝撃試験機(東洋精機製「DG−CB」)を用い、ハンマー容量:4.0J、測定温度:23℃で行った。
<耐薬品性>
ISO規格引張試験片(ISO 3167 typeA)を、成形時の残留歪みを除くために120℃で2時間アニール処理を行った。その後、図1(a),(b),(c)に示す如く、スペーサー2と支持円柱4a,4bを用いて、固定枠3で表1に示す変形率の撓みを負荷した状態で、試験薬品としてイソプロパノール(和光純薬工業(株)社製 2−プロパノール99.9+%(cGC))を試験片1の凸面側(図1(c)のX部)に塗布し、この状態で48時間、25℃、湿度50%の恒温恒湿条件で放置し、その後、ISO527引張試験により、破断伸びEを測定した。
別に、イソプロパノールを塗布しないこと以外は上記と同様の条件で撓みを負荷して同条件に放置した後、ISO527引張試験により破断伸びEを測定した。
この破断伸びEに対する保持率(%)として(E/E×100)を算出した。
ここで、変形率とは、試験片1と、これを支える円柱4a,4bとの接点A,Bとを結ぶ直線距離をL、試験片の厚みをa、たわみ量をδとすると、変形率=6aδ/Lで算出される値である。
たわみ量δは、次式により計算される。
δ=([支持円柱の高さ]+[試験片の厚み]−[スペーサーの高さ])
なお、治具支持点間距離Lは101mm、試験片1の厚みaは4mm、スペーサー2の高さは11mm、支持円柱4a,4bの高さ(直径)は10mmである。
<外観評価>
(黒色度)
目視により、試験片の外観を観察し、その黒色度を以下の4段階で評価した。
◎:白化が全くなく、完全な黒。
○:部分的にうっすらと白化が見られるが、ほとんど黒。
△:全体的にうっすらと白化。
×:全体的に白化が見られる。
(真珠光沢の有無)
目視により、試験片の外観を観察し、その真珠光沢度合いを以下の4段階で評価した。
◎:真珠光沢が全く見られない。
○:部分的にうっすら真珠光沢が見られる。
△:全体的にうっすらと真珠光沢が見られる。
×:全体的に著しい真珠光沢が見られる。
(表面粗さ)
目視により、試験片の外観を観察し、その表面粗さを以下の4段階で評価した。
◎:非常に平滑で光沢ある表面を有する。
○:非常に細かな凹凸によりマット調の表面を有する。
△:細かな凹凸によりフィラーの形状が確認できる表面を有する。
×:大きな凹凸によりフィラーの形状が確認できる表面を有する。
[実施例1〜8、比較例1〜7]
表1に示す配合成分のうち、後添加の無機充填材以外の成分を表1に示す割合で混合し、二軸押出機(日本製鋼所(株)製「TEX30α」にて、L/D=52.5、シリンダー径=32mm、シリンダー温度=200〜280℃、スクリュー回転数200rpmとし、混練下流にベントを設け、真空ポンプにて減圧することで、分解生成物等を除去しながら混練し、混練物をダイスにおける樹脂圧を10〜15MPa、吐出量を30kg/hでストランドとして押し出した。無機充填材を後添加にて加える場合には、サイドフィード法を用いて混練途中から添加し、添加後は緩やかに練りを加えて押出した。
押し出したストランドは冷却ベルトコンベアを用いて、冷却水をかけることで冷却し、3〜6mmの長さにカッティングしてペレット化した。
このペレットを用いて熱安定性の評価を行った。
また、得られたペレットを用いて、射出成形機(MEIKI製「NADEM2000」)で、シリンダー温度260℃、金型温度90℃、背圧5MPa、スクリュー回転数100rpm、射出速度6%、保圧30MPa、型締め時間35秒(射出・保圧時間15秒、冷却時間20秒)の条件で射出成形を行い、ISO規格多目的試験片(ISO 3167 typeA)を成形した。
この試験片を用いて耐衝撃性、耐薬品性、及び外観評価を行った。
評価結果を表1に示す。
Figure 2011116927
表1より次のことが分かる。
シラン変性ポリエチレン樹脂を用いていない比較例1では、シラン変性ポリエチレン樹脂を配合した実施例1に比べて、熱安定性、耐衝撃性、耐薬品性が劣る。
シラン変性ポリエチレン樹脂を用いていても、このシラン変性ポリエチレン樹脂の密度が0.947g/cmと高い比較例2では、比較例1よりも改善されるものの、実施例1に比べてやはり熱安定性、耐衝撃性、耐薬品性が悪く、特に、ポリカーボネート樹脂マトリックスとシラン変性ポリエチレン樹脂ドメインとの間の空洞(ボイド)の形成で黒色度が劣る。
また、この高密度シラン変性ポリエチレン樹脂を用いると共に更に無機充填材を配合した比較例3では、熱安定性が更に劣り、耐衝撃性も悪い。
この比較例3は、高密度シラン変性ポリエチレン樹脂の代りに密度0.915g/cmの低密度シラン変性ポリエチレン樹脂を用いた他は同配合の実施例4に比べてすべての評価が劣るものとなる。
シラン変性ポリエチレン樹脂を用いず、ポリカーボネート樹脂に高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンを配合した比較例4〜7のうち、高密度ポリエチレンを用いた比較例6,7では、高密度シラン変性ポリエチレン樹脂を用いた比較例2,3と大差はなく、低密度ポリエチレンを用いた比較例4,5は、比較例6,7よりも改善されるが、十分ではない。
これに対して、低密度シラン変性ポリエチレン樹脂を用いた実施例1〜4では、それぞれ高密度シラン変性ポリエチレン樹脂又はシラン変性していないポリエチレンを同配合で用いた対応する比較例2〜7に比べて顕著な改善効果が得られている。
実施例5は、実施例4の低密度シラン変性ポリエチレン樹脂の一部を低密度ポリエチレンに置き換えたものであり、実施例4に比べて若干性能は劣るものの、十分に実用的な効果が得られている。
実施例6は、実施例4に比べてシラン変性ポリエチレン樹脂の配合量を多くしたものであり、熱安定性、耐薬品性が改善されるが、耐衝撃性、外観は若干劣る。
実施例7は、実施例4の配合からポリカーボネート樹脂の一部をABS樹脂とAS樹脂に置き換えたものであり、耐衝撃性、耐薬品性が改善されている。
実施例8は、無機充填材としてワラストナイトを用い、これを一括添加したものであり、実施例4に比べて熱安定性、耐衝撃性が若干劣る。
このように、本発明によれば、熱安定性、耐薬品性に優れ、また外観、耐衝撃性にも優れたポリカーボネート複合樹脂成形品が提供される。
1 試験片
2 スペーサー
3 固定枠
4a,4b 支持円柱

Claims (11)

  1. 樹脂主成分として、ポリカーボネート樹脂85〜99質量%、及び、ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物を共重合させてなる密度が0.85〜0.92g/cmのシラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  2. 請求項1において、該樹脂主成分100質量部に対して、ポリオレフィン系樹脂50質量部以下を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2において、該シラン変性ポリエチレン樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minであることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  4. 請求項2又は3において、該ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びポリプロピレンの中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、樹脂成分100質量部に対して無機充填材を1〜50質量部含有してなることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  6. 請求項5において、該無機充填材が、ガラスファイバー、ミルドガラスファイバー、ワラストナイト、タルク、及びマイカの中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、樹脂成分として更にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、及びAS樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  8. 請求項5ないし7のいずれかにおいて、樹脂成分の溶融混練過程を経た後に無機充填材を後添加してなることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
  9. 請求項5ないし8のいずれかにおいて、下記式で算出されるMFR変化率が10%以下であることを特徴とするポリカーボネート複合樹脂組成物。
    MFR変化率=(R20−R)/R×100
    (ただし、Rは該組成物を280℃で5分間保持したときのMFR値(280℃,21.18N)(単位:g/10min)であり、R20は該組成物を280℃で20分間保持したときのMRF値(280℃,21.18N)(単位:g/10min)を示す。)
  10. ポリカーボネート樹脂10〜99質量%、ポリオレフィン系樹脂0〜89質量%、及び、ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物を共重合させてなる密度が0.85〜0.92g/cmのシラン変性ポリエチレン樹脂1〜15質量%を含有する樹脂成分100質量部に対して無機充填材を1〜50質量部含有してなる強化ポリカーボネート系複合樹脂組成物を製造する方法であって、該樹脂成分の溶融混練過程を経た後に該無機充填材を後添加することを特徴とする強化ポリカーボネート複合樹脂組成物の製造方法。
  11. 請求項1ないし9のいずれかに記載のポリカーボネート複合樹脂組成物を射出成形してなるポリカーボネート複合樹脂成形品。
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