JP2005146173A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極性の異なる2種類の樹脂を原料としてなり、力学的特性、溶融成形性に優れ、各種成形材料の素材として利用可能な熱可塑性重合体組成物を提供する。
【解決手段】 シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)、およびポリカーボネート系重合体からなる重合体ブロック(I)と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体からなる重合体ブロック(II)を有するブロック共重合体(c)からなり、共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)およびブロック共重合体(c)の重量をそれぞれWa、WbおよびWcとしたとき、それらが下記の式(1)および(2)を満足する熱可塑性重合体組成物。
98/2≦Wa/Wb≦2/98 (1)
1/100≦Wc/(Wa+Wb)≦100/100 (2)
【選択図】 なし

Description

本発明は、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体と、オレフィン系重合体を含有する、力学的特性、溶融成形性に優れた熱可塑性重合体組成物に関する。
近年、地球環境の保全を図る目的で、酸性雨やダイオキシンなどに対する環境改善の要求が高まっており、その中でも塩化ビニル系重合体を他の素材に置き換える動きが注目を浴びてきている。このような他の素材への置き換えの一環として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)に代表されるスチレン系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるオレフィン系重合体などの成形品が広く用いられるようになってきた。
そこで、これらの素材からなる成形品に対しても、資源の有効利用と環境保全の観点から廃棄物のリサイクルが要求されている。例えば、特許文献1(特開平7−292124号公報)には、ABS樹脂とポリプロピレンなど、互いに相容性がなく、曲げ弾性率と流動性が異なる2種類の樹脂を混合して射出成形してなる成形品が記載されており、樹脂原料の少なくとも一部として、パージ材等の廃棄物を使用することが提案されている。しかし、上記のような極性の異なる樹脂をまとめて回収し、これらをそのまま粉砕し、成形材料として再生利用した場合には、特に極性が異なり、かつ類似した構造単位を有しない樹脂同士の組み合わせでは相容性が一般によくないので、強度などの力学的物性が劣った成形品しか得られず、さらに成形する際に成形不良を引き起こす原因となる。したがって、このような樹脂の廃棄物を再生処理する際には、各樹脂を完全に分離することが望ましいが、その作業はきわめて繁雑であり、手間がかかる。
相容性がよくない複数種の樹脂を分離することなく、そのまま再生利用するためには、上記した問題点を克服すること、すなわち、相容性を改良することが必須となる。
例えば、上記したABS樹脂とポリオレフィン系重合体の組み合わせでは、特許文献2(特開平5−43753号公報)に、ポリオレフィンとポリメタクリレートとのブロック共重合体を相容化剤として使用することが、また、特許文献3(特開平6−192503号公報)には、オレフィン系熱可塑性エラストマーを相容化剤として使用することが提案されている。さらに、特許文献4(特開2002−317076号公報)には、水素添加ジエン系重合体(スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の水素添加物など)と、ABS樹脂と混和性あるいは反応性を有する単量体単位と該水素添加ジエン系重合体と混和する単量体単位を有する重合体(エポキシ変性ポリスチレン−グラフト−ポリメチルウメタクリレート、ポリスチレン−ブロック−アクリロニトリル・スチレン共重合体など)を溶融混練してなる組成物を、ABS樹脂とポリプロピレン系重合体の相容化剤として使用することが提案されている。
特開平7−292124号公報 特開平5−43753号公報 特開平6−192503号公報 特開2002−317076号公報
前記したように、資源の有効利用と環境保全の観点から廃棄物のリサイクルが強く求められるようになってきている。また、ABS樹脂に代表されるスチレン系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるオレフィン系重合体などの材料や成形品の利用範囲が広がってきている。このため、これらの樹脂をまとめて回収する機会が増加してきており、より高度なリサイクル技術が求められるようになってきている。
本発明の目的は、このような要求に応えるための前提となる、力学的特性、溶融成形性などに優れた熱可塑性重合体組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリカーボネート系重合体からなる重合体ブロック(I)と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体からなる重合体ブロック(II)を有するブロック共重合体が、ABS樹脂とオレフィン系重合体の相容性を改良するのに有用であり、そのような特定のブロック共重合体を使用することにより、力学的特性、溶融成形性に優れ、各種成形材料の素材として利用可能な樹脂組成物が得られることを見出し、さらに検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)、およびポリカーボネート系重合体からなる重合体ブロック(I)と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体からなる重合体ブロック(II)を有するブロック共重合体(c)からなり、共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)およびブロック共重合体(c)の重量をそれぞれWa、WbおよびWcとしたとき、それらが下記の式(1)および(2)を満足する熱可塑性重合体組成物を提供する。
98/2≦Wa/Wb≦2/98 (1)
1/100≦Wc/(Wa+Wb)≦100/100 (2)
なお、上記のブロック共重合体(c)は、特開2001−220505号公報や特開2001−220506号公報に記載されており、ポリカーボネート系樹脂とゴム強化スチレン系樹脂、あるいはポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂の相容性を改良する目的で使用される。これらの文献には、ポリオレフィン系重合体をさらに配合することができるとの記載はあるが、ABS樹脂とポリオレフィン系重合体の相容性の改良に上記したブロック共重合体(c)が有用であることは開示も示唆もされていない。
本発明によれば、ABS樹脂等のシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(a)と、ポリプロピレン等のオレフィン系重合体(b)といった、極性が異なる2種類の重合体を含有し、力学的特性、溶融成形性に優れ、各種成形材料の素材として利用可能な熱可塑性重合体組成物が提供される。また、成形品の廃棄物をリサイクルして熱可塑性重合体組成物の原料の一部として使用することが可能であるので、資源の有効利用と環境保全の観点からも技術的意味は大きい。
本発明において使用するシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(a)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が使用される。これらのうちでも、特にスチレンが好ましい。
また、共重合体(a)を構成するシアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができ、そして、前記共重合体(a)を構成する共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−へキサンジエンなどを挙げることができ、それらの1種または2種以上を用いることができる。それらの中でも、1,3−ブタジエンおよび/または2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)が特に好ましく用いられる。
さらに、上記共重合体(a)を構成するオレフィン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレンなどを挙げることができる。
共重合体(a)として好ましいものは、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−メタクリロニトリル共重合体(MS樹脂)、メタクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)などである。
また、本発明で使用するオレフィン系重合体(b)としては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンの単独重合体、前記したオレフィンの2種以上からなるオレフィン共重合体、または前記したオレフィンの1種または2種以上と他のビニル系単量体の1種または2種以上との共重合体などを挙げることができる。
オレフィン系重合体(b)の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc;好ましくは酢酸ビニル含有量が5〜30重量%)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA;好ましくはアクリル酸エチルの含有量が5〜30重量%)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体などを挙げることができる。好ましいオレフィン系重合体(b)は、前記したオレフィンの単独重合体、オレフィン共重合体の1種または2種以上である。
また、オレフィン系重合体(b)として、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン重合体を水素添加したものを使用することも可能である。
さらに、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、オレフィン系重合体(b)として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA;好ましくはアクリル酸含有量が5〜30重量%)、エチレン−アクリル酸共重合体と亜鉛などの金属との塩、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、アルリル酸とアクリル酸エチルの共重合体ブロックとポリプロピレンブロックを有するブロック共重合体など、極性の官能基(カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基など)を分子内に有するものを併用することも可能である。
本発明において使用するブロック共重合体(c)は、ポリカーボネート系重合体からなる重合体ブロック(I)と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体からなる重合体ブロック(II)を有するブロック共重合体である。
このようなブロック共重合体(c)は前記したとおり公知であり、好ましくは、以下の方法(A)または(B)の方法に従って調製されたものを使用する。
(A)ポリカーボネート系重合体(イ)と、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなり、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基を有するブロック共重合体(ロ)を溶融混練する。
(B)芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなり、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基を有するブロック共重合体(ロ)と2価フェノールおよびカーボネート前駆体を溶融混練する。
上記した製造方法において、ポリカーボネート系重合体(イ)または2価フェノールおよびカーボネート前駆体の反応によって生成するポリカーボネートがブロック共重合体(c)における重合体ブロック(I)となる。また、ブロック共重合体(c)における重合体ブロック(II)は、ブロック共重合体(ロ)によって形成される。
上記したポリカーボネート系重合体(イ)は、2価フェノールとカーボネート前駆体を溶液法または溶融法で反応させて製造されるポリカーボネート系重合体である。ポリカーボネート系重合体(イ)は、2価フェノールおよびカーボネート前駆体の反応混合物であってもよいし、該反応混合物を常法に従って後処理したものであってもよい。また、2価フェノールおよびカーボネート前駆体から形成されるものであれば、市販品として入手可能なポリカーボネートを使用することもできる。2価フェノールおよびカーボネート前駆体の反応物は、これらから形成されるポリカーボネート以外に、各成分の使用量、反応率、その他の反応条件等に応じて未反応の2価フェノールおよびカーボネート前駆体を含有することがある。
上記した2価フェノールの代表的な例として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキサイド等が挙げられる。これらの中でも、2価フェノールとしてビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が特に好ましい。これらの2価フェノールは、1種類のものを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が挙げられ、例えばホスゲン、ジフェニルカーボネート、クロロ炭酸メチル、2価フェノールのジハロホルメート等が例示される。これらの中でも、カーボネート前駆体としてホスゲンが好ましい。
上記したポリカーボネート系重合体(イ)の分子量は、粘度平均分子量で10,000〜100,000の範囲内にあることが好ましく、15,000〜60,000の範囲内にあることが特に好ましい。
ポリカーボネート系重合体(イ)としては、必要に応じて分子量調節剤、分岐剤、触媒等を用いて製造されたものを使用することができる。また、ポリカーボネート系重合体(イ)には、必要に応じて添加剤、例えば亜リン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等の熱安定剤;トリアゾール系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤;テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート;デカブロモジフェニルエーテル等の難燃剤;着色剤、蛍光増白剤などを配合してもよい。
ブロック共重合体(c)における重合体ブロック(II)を構成するブロック共重合体(ロ)は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体(ロ)における芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、メトキシスチレンなどの芳香族ビニル化合物を挙げることができる。芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、1種類の芳香族ビニル化合物から構成されていてもよいし、2種以上の芳香族ビニル化合物から構成されていてもよい。芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンから誘導される構造単位より主としてなるものが好ましい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物からなる構造単位とともに、必要に応じて他の共重合性単量体からなる構造単位を含有していてもよい。他の共重合性単量体からなる構造単位の含有量は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの重量に基づいて30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。他の共重合性単量体としては、例えば、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。
また、共役ジエン系重合体ブロックを構成する共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを挙げることができる。共役ジエン系重合体ブロックは、1種類の共役ジエン系化合物から構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン系化合物から構成されていてもよい。共役ジエン系重合体ブロックが2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有している場合、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状のいずれであってもよいし、さらにそれらが混在していてもよい。
共役ジエン系重合体ブロックは水素添加されていなくても、一部が水素添加されていても、または全部が水素添加されていてもよい。共役ジエン系重合体ブロックの水素添加率は、耐熱性、耐候性および耐光性の観点から、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
特に、溶融成形性などに優れた熱可塑性重合体組成物を得る場合には、共役ジエン系重合体ブロックが、水素添加されていてもよいイソプレン重合体ブロック、水素添加されていてもよいブタジエン重合体ブロックおよび水素添加されていてもよいイソプレンとブタジエンの共重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種の重合体ブロックであることが好ましい。
ブロック共重合体(ロ)における芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとの結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらが組合わさった結合形態のいずれであってもよいが、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
ブロック共重合体(ロ)は、上記の芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(以下、Xで表すことがある)および共役ジエン系重合体ブロック(以下、Yで表すことがある)から構成されるが、その構造としては、式;(X−Y)−X、(X−Y)、Y−(X−Y)(式中、m、nおよびpはそれぞれ1以上の整数を示す)などで表されるブロック共重合体の形態を挙げることができる。これらの中でも、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)との相容性などに優れた熱可塑性重合体組成物を得る場合には、ブロック共重合体(ロ)が、2個以上の芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと1個以上の共役ジエン系重合体ブロックが直鎖状に結合したブロック共重合体の形態であることが好ましく、式:X−Y−Xで表されるトリブロック共重合体の形態であることがより好ましい。
ブロック共重合体(ロ)が、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックXを2個以上含有する場合、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは互いに同じ内容の重合体ブロックであってもよいし、異なる内容の重合体ブロックであってもよい。また、ブロック共重合体(ロ)が、2個以上の共役ジエン系重合体ブロックYを含有する場合、共役ジエン系重合体ブロックは互いに同じ内容の重合体ブロックであってもよいし、異なる内容の重合体ブロックであってもよい。例えば、X−Y−Xで表されるトリブロック構造における2個の芳香族ビニル化合物系重合体ブロックX、あるいはY−X−Yで表されるトリブロック構造における2個の共役ジエン系重合体ブロックYは、それらを構成する芳香族ビニル化合物または共役ジエン化合物の種類、その結合形式、重合体ブロックの数平均分子量などが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ブロック共重合体(ロ)における芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有量は、ブロック共重合体(ロ)を構成する全構造単位に対して5〜90重量%であることが好ましい。芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有量が上記の範囲内にあるブロック共重合体(ロ)を使用すると、力学的性能や溶融成形性に優れた熱可塑性重合体組成物を得ることができる。ブロック共重合体(ロ)における芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有量は、ブロック共重合体(ロ)を構成する全構造単位に対して10〜90重量%であることがより好ましく、20〜80重量%であることがさらに好ましい。特に、熱可塑性重合体組成物を構成するオレフィン系重合体(b)の含有量が多い場合には、ブロック共重合体(ロ)における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量が5〜60重量%であることが、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)との相容性が良好になる点から好ましい。また、熱可塑性重合体組成物を構成する共重合体(a)において芳香族ビニル化合物の構造単位の含有量が多い場合には、ブロック共重合体(ロ)における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量が50〜90重量%であることが、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)との相容性が良好になる点から好ましい。
ブロック共重合体(ロ)における、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックおよび共役ジエン系重合体ブロックの数平均分子量は特に制限されるものではないが、水素添加前の状態で、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの数平均分子量が2,500〜75,000の範囲内であり、共役ジエン系重合体ブロックの数平均分子量が10,000〜150,000の範囲内であることが好ましい。各重合体ブロックの数平均分子量が上記の範囲内にある芳香族ビニル化合物系重合体ブロックまたは共役ジエン系重合体ブロックから構成されるブロック共重合体(ロ)を使用すると、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)との相容性が良好になる。
また、ブロック共重合体(ロ)の全体の数平均分子量は、水素添加前の状態で、15,000〜300,000の範囲内であることが好ましい。かかる数平均分子量のブロック共重合体(ロ)を使用すると、力学的性能や溶融成形性などの種々の特性に優れた熱可塑性重合体組成物を得ることができる。ブロック共重合体(ロ)の数平均分子量は、20,000〜100,000の範囲内であることがより好ましい。なお、ブロック共重合体(ロ)の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定した値である。
ブロック共重合体(ロ)の230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.01〜100g/10分の範囲内であることが好ましい。かかるメルトフローレートを有するブロック共重合体(ロ)を使用することにより、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)との相容性が良好となり、力学的性能や溶融成形性などの物性が優れる熱可塑性重合体組成物を得ることができる。ブロック共重合体(ロ)の230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.05〜80g/10分の範囲内であることがより好ましい。なお、ブロック共重合体(ロ)のメルトフローレートは、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
ブロック共重合体(ロ)としては、市販されているものを使用することも可能である。
ブロック共重合体(ロ)は、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基を有する。
ブロック共重合体(ロ)が有する、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、アルコキシカルボニル基、チオカルボキシル基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。ブロック共重合体(ロ)は、これらの官能基を2種類以上含有していてもよい。そのような官能基の中でも、水酸基が好ましい。
また、ブロック共重合体(ロ)における、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基は、ブロック共重合体(ロ)の末端に位置していることが好ましい。
ブロック共重合体(ロ)の製造方法は、何ら限定されるものではないが、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などにより製造することができる。アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量に達した時点で、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド等のオキシラン骨格を有する化合物、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラクトン)、メチルバレロラクトン等のラクトン化合物などを付加させ、次いで、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素含有化合物を添加して重合を停止させることにより製造することができる。そして、得られたブロック共重合体を、好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中でアルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケル等からなるチーグラー触媒などの水素添加反応触媒の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力0.1〜15MPaの条件下で水素添加することによって、水素添加物としてもよい。また、所望により、水素添加前または水素添加後のブロック共重合体を、無水マレイン酸等によって変性してもよい。
ブロック共重合体(ロ)は、その製造工程にもよるが、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有し、上記した官能基を有していないブロック共重合体を包含し得る。
本願明細書では、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有し、上記した官能基を有していないブロック共重合体と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有し、ポリカーボネート系重合体と反応し得る官能基を有するブロック共重合体を一括してブロック共重合体(ロ)と考える。
ブロック共重合体(ロ)における、ポリカーボネート系重合体と反応し得る官能基の数は、ブロック共重合体1分子当たりの平均で0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.7〜1の範囲内にあることがさらに好ましい。
上記(A)の方法によってブロック共重合体(c)を製造する場合、共重合体(a)およびオレフィン系重合体(b)の両者に対する相容性が良好になることから、ポリカーボネート系重合体(イ)とブロック共重合体(ロ)の割合は、
[ポリカーボネート系重合体(イ)の重量]:[ブロック共重合体(ロ)の重量]=20:80〜80:20の範囲内であることが好ましく、同重量比が30:70〜70:30の範囲内であることがより好ましく、35:65〜65:35の範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記(B)の方法によってブロック共重合体(c)を製造する場合、2価フェノールおよびカーボネート前駆体の合計重量とブロック共重合体(ロ)の割合は、
[2価フェノールおよびカーボネート前駆体の合計重量]:[ブロック共重合体(ロ)の重量]=20:80〜80:20の範囲内であることが好ましく、同重量比が30:70〜70:30の範囲内であることがより好ましく、35:65〜65:35の範囲内であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体(c)の製造に際しては、触媒を使用することが好ましい。
かかる触媒としては特に制限はなく、例えば、有機チタン化合物、有機アンチモン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機マンガン化合物、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機カルシウム化合物、有機鉛化合物、有機サマリウム化合物、有機ランタン化合物、有機イッテルビウム化合物、有機コバルト化合物、有機カドミウム化合物、または有機マグネシウム化合物等の有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機チタン化合物、有機スズ化合物および有機サマリウム化合物が好ましい。触媒としては1種類の化合物を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、2種以上の化合物を併用する場合、各化合物に含まれる金属は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記した有機チタン化合物としては、特に制限はなく、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、エチレングリコールチタネート、ブチレングリコールチタネート、シュウ酸チタンカリウム、酒石酸チタンカリウム、チタニウムアセチルアセトナート、ジブトキシビス(トリエタノールアミネート)チタン、およびヘキサフルオロチタンカリウムなどが挙げられ、その中でもテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラートが特に好ましい。有機チタン化合物は、1種類の化合物を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記した有機スズ化合物としては、特に制限はなく、例えば、モノメチルスズオキサイド、モノエチルスズオキサイド、モノプロピルスズオキサイド、モノブチルスズオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、フェニルメチルスズオキサイド、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジブロマイド、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズモノブチレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズスルフィド、ジフェニルスズスルフィドなどが挙げられ、これらの中でもモノメチルスズオキサイド、モノエチルスズオキサイド、モノプロピルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド等のスズオキサイド;およびモノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズモノブチレート、ジブチルスズジアセテート等のスズカルボキシレートが特に好ましい。有機スズ化合物は、1種類の化合物を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記した有機サマリウム化合物としては、特に制限はなく、例えば、サマリウムアセテート、サマリウムオキザレート、サマリウムアセチルアセトナート、サマリウムオキサイド、サマリウムクロライド、サマリウムブロマイドなどが挙げられ、その中でもサマリウムアセチルアセトナートが特に好ましい。有機サマリウム化合物は、1種類の化合物を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記した触媒の使用量は、ポリカーボネート系重合体(イ)とブロック共重合体(ロ)の合計重量、あるいは2価フェノール、カーボネート前駆体およびブロック共重合体(ロ)の合計重量に基づいて0.1ppm〜0.2重量%の範囲内であることが好ましく、0.5ppm〜0.02重量%の範囲内であることがより好ましく、1ppm〜0.01重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、ブロック共重合体(c)の製造に際して触媒を使用する場合、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)との相容性を損なわない限り、得られたブロック共重合体(c)に対し、触媒失活剤を添加することが好ましい。触媒失活剤としては、例えば、ラウリルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジステアリルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスフェート、フェニルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル等のリン系化合物;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、4,4’−オクチル−2,2’−ビフェノール等のヒンダードフェノール系化合物などが挙げられるが、リン系化合物が好ましい。
触媒失活剤の使用量は、ポリカーボネート系重合体(イ)とブロック共重合体(ロ)の合計重量、あるいは2価フェノール、カーボネート前駆体およびブロック共重合体(ロ)の合計重量に基づいて1ppm〜2重量%の範囲内であることが好ましく、5ppm〜0.2重量%の範囲内であることがより好ましく、10ppm〜0.1重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体(c)は、例えば、ポリカーボネート系重合体(イ)、ブロック共重合体(ロ)、および必要に応じて触媒を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機により、通常180〜300℃で3〜15分溶融混練することにより得ることができる。
また、2価フェノール、カーボネート前駆体、ブロック共重合体(ロ)、および必要に応じて触媒を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機により、通常180〜300℃で3〜15分溶融混練することにより得ることができる。
上記の手法により、ポリカーボネート系重合体(イ)とブロック共重合体(ロ)を反応させて得られた反応混合物、また、2価フェノール、カーボネート前駆体およびブロック共重合体(ロ)を反応させて得られた反応混合物は、ブロック共重合体(c)の他に、未反応のブロック共重合体(ロ)、未反応のポリカーボネート系重合体などを含有する。これらの含有量は、反応に使用した原料の割合、反応温度等の反応条件によって変化する。
また、そのような反応混合物は、2価のフェノールおよびカーボネート前駆体から形成されるポリカーボネートを含有する場合がある。さらに、ブロック共重合体(ロ)の製造工程にもよるが、上記した反応混合物は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有し、官能基を有しないブロック共重合体を含み得る。
本願発明においては、このような他の成分との混合物の形で調製されるブロック共重合体(c)を使用しても、一般には、格別の支障がない。従って、上記の手法で調製される反応混合物をブロック共重合体(c)として使用することが簡便であり好ましい。
上記した反応混合物をブロック共重合体(c)として使用する場合、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)の双方に対して良好な相容性を示すものとなることから、該反応混合物は、その引張破断強度が10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましく、15MPa以上であることがさらに好ましい。なお、本発明書でいう引張破断強度は、JIS K−7311に準拠して測定した値である。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)およびブロック共重合体(c)の重量をそれぞれWa、WbおよびWcとしたとき、これらの各成分を、
98/2≦Wa/Wb≦2/98 (1)
1/100≦Wc/(Wa+Wb)≦100/100 (2)
となる割合で含有する。
共重合体(a)のオレフィン系重合体(b)に対する割合が上記の式(1)で示される範囲から外れると、2種類の樹脂の特性が有効に発揮されない。共重合体(a)のオレフィン系重合体(b)に対する割合は、
95/5≦Wa/Wb≦5/95 の範囲内であることが好ましく、
90/10≦Wa/Wb≦10/90 の範囲内であることがより好ましく、
85/15≦Wa/Wb≦15/85 の範囲内であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体(c)の、共重合体(a)およびオレフィン系重合体(b)の合計重量(Wa+Wb)に対する割合が上記の式(2)で示される範囲から外れる場合には、得られる熱可塑性重合体組成物の強度や伸度等の力学的性能が損なわれる。
ブロック共重合体(c)の、共重合体(a)およびオレフィン系重合体(b)の合計重量に対する割合は、
3/100≦Wc/(Wa+Wb)≦75/100 の範囲内であることが好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系などの酸化防止剤、カーボンブラック、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維等の補強剤;アルミナ、タルク、ゼオライト、フェライト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の充填材;染料、顔料、核剤、熱劣化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃剤、紫外線吸収剤、エンジニアリング用樹脂、汎用樹脂、ポリマーアロイ用相容化剤、その他機能性添加剤として用いられる有機系または無機系の添加剤を任意に含有することができる。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、プロセスオイル、パラフィンワックス、ジオクチルフタレート(DOP)等の可塑剤を、物性を損なうことのない範囲で含有することができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した構成成分を均一に混合し得る方法であればいずれの方法で製造してもよいが、溶融混練法が簡便であり好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、例えば、各構成成分を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて、好ましくは170〜280℃で、より好ましくは190〜240℃で混練することで製造することができる。
溶融混練によって調製された溶融状態の組成物は、そのまま成形に使用してもよいし、一旦ペレット状にした上で、成形に使用することもできる。
溶融混練に際し、各構成成分の配合順序には特に制限はなく、具体例を示せば、以下のとおりである。
(I)共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)およびブロック共重合体(c)〔上記した反応混合物〕を同時に溶融混練装置に供給して混練する。
(II)共重合体(a)とブロック共重合体(c)〔あるいは上記の反応混合物〕を溶融混練して組成物を調製し、得られた組成物とオレフィン系重合体(b)を溶融混練する。
(III) オレフィン系重合体(b)とブロック共重合体(c)〔あるいは上記の反応混合物〕を溶融混練して組成物を調製し、得られた組成物と共重合体(a)を溶融混練する。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、共重合体(a)および/またはオレフィン系重合体(b)の存在下に、ブロック共重合体(c)の調製を行い、必要に応じて残りの構成成分を添加することによって製造することもできる。
具体的な手順としては、
(IV)共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)の存在下に、前記した(A)または(B)の方法に従って溶融混練を行い、ブロック共重合体(c)の調製を行う。
(V)共重合体(a)の存在下に、前記した(A)または(B)の方法に従って溶融混練を行ってブロック共重合体(c)を調製し、得られた組成物に、オレフィン系重合体(b)を配合する。
(VI)オレフィン系重合体(b)の存在下に、前記した(A)または(B)の方法に従って溶融混練を行ってブロック共重合体(c)を調製し、得られた組成物に、共重合体(a)を配合する。
ブロック共重合体(c)の調製は、共重合体(a)とオレフィン系重合体(b)の全量が存在する条件下で実施してもよいし、共重合体(a)および/またはオレフィン系重合体(b)の少なくとも1部が存在する条件下で実施してもよい。
また、ブロック共重合体(c)の調製を行って得られる組成物に残りの成分を配合する方法としては、(i)溶融状態の組成物を一旦ペレット等の形状にした後に残りの成分と溶融混練する、(ii)溶融状態の組成物に、サイドフィードにより残りの成分を添加し、溶融混練を継続して行うなどの方法が採用できる。
なお、上記においてブロック共重合体(c)の調製に先立って、共重合体(a)および/またはオレフィン系重合体(b)をブロック共重合体(c)の原料に予め配合しておいてもよい。例えば、ポリカーボネート系重合体(イ)/共重合体(a)、ブロック共重合体(ロ)/共重合体(a)、ブロック共重合体(ロ)/オレフィン系重合体(b)、カーボネート前駆体/共重合体(a)などの組み合わせが挙げられる。
本発明の熱可塑性重合体組成物を用いて成形品を製造するには、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、熱可塑性樹脂に対して一般に用いられている種々の成形方法や成形装置が使用できる。本発明の熱可塑性重合体組成物を用いて、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの任意の成形法によって、またそれらの成形技術の複合によって、電気/電子部品、機械部品、自動車部品、事務機用部品、日用品、包装材料、パイプ、シートその他の任意の形状および用途の各種成形品を製造することができる。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、他の材料と複合化することも可能である。かかる他の材料としては、本発明の熱可塑性重合体組成物以外の各種熱可塑性樹脂またはその組成物(合成樹脂)、熱硬化性樹脂、紙、布帛、金属、木材、セラミックスなどを挙げることができる。
本発明においては、熱可塑性重合体組成物の構成成分である共重合体(a)および/またはオレフィン系重合体(b)の少なくとも一部を、該共重合体(a)および/または該オレフィン系重合体(b)からなる成形品を製造する際に生じた成形ロス部分や該成形品のスクラップ(以下、単に「スクラップ」と略称することがある)とすることもできる。
上記の成形品には特に制限はなく、共重合体(a)からなる発泡体、繊維、フィルム、シートや板;オレフィン系重合体(b)からなる発泡体、繊維、フィルム、シートや板など種々のものが包含される。
上記の成形品は、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形など各種の成形法を利用して製造することができる。成形品の製造工程で生じる成形ロス部分としては、例えば、成形品の製造において立ち上げ時や終了時に発生する放流物、フィルムやシートの製造時に発生する両端部のトリム物、射出成形やブロー成形による成形品の製造時に発生するスプルー、あるいは成形品における品質不良品などが挙げられる。
また、上記の成形品のスクラップとしては、一般消費者に使用された後の製品、産業廃棄物からの回収物、またはこれらを破砕した物などが挙げられる。
成形ロス部分やスクラップが、本発明の熱可塑性重合体組成物の製造原料中に占める割合は、該成形ロス部分やスクラップの組成、該成形ロス部分やスクラップを構成する成分の劣化の程度など、種々の条件を考慮して決定することができる。
成形ロス部分やスクラップを本発明の熱可塑性重合体組成物の製造原料の少なくとも一部として使用する場合においても、溶融混練の操作、条件等は先に説明したものから特別に変更されるものではない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、熱可塑性重合体組成物の射出成形性、熱可塑性重合体組成物から得られた成形品の引張降伏点強度および引張破断伸度は、以下の方法により測定または評価した。
(1)射出成形性
表面を鏡面仕上げした金型を用いて、熱可塑性重合体組成物を射出成形(シリンダー温度:200〜220℃、金型温度:30℃)することによりJISで規定されているダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を成形した。得られた成形品の、金型からの離型状態および成形品の表面状態を肉眼で観察し、下記の判定基準で射出成形性を評価した。
○:成形品が金型から容易に離型し、成形品の表面も平滑である。
△:成形品が金型から容易に離型するが、成形品の表面に若干の剥離、フローマーク等の不良現象が認められる。
×:成形品と金型との密着性が高く、成形品の表面が変形している。
(2)引張降伏点強度および引張破断伸度
表面を鏡面仕上げした金型を用いて、熱可塑性重合体組成物を射出成形(シリンダー温度:200〜220℃、金型温度:30℃)することにより、JISで規定されているダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を製造し、JIS K−7113に準じて、島津製作所製「オートグラフ測定装置AG−500D」(商品名)を使用(試験速度:5mm/分、チャック間距離:110mm)して、その引張降伏点強度と引張破断伸度を測定した。
以下の実施例および比較例で使用した重合体および化合物に関する略号を、下記に示す。
〔共重合体(a)〕
ABS
アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)〔宇部サイコン株式会社製、「サイコラックEX−111」(商品名)〕
〔オレフィン系重合体(b)〕
PP−1
ポリプロピレン〔株式会社グランドポリマー製、「グランドポリプロJ106W」(商品名);メルトフローレート(MRF:230℃、2.16kg):20g/10分〕
PP−2
ポリプロピレン〔株式会社グランドポリマー製、「グランドポリプロS119」(商品名);メルトフローレート(MRF:230℃、2.16kg):60g/10分〕
〔ポリカーボネート系重合体(イ)〕
PC
ポリカーボネート〔帝人化成株式会社製、「パンライトL−1225」(商品名)〕
〔ブロック共重合体(ロ)〕
F−SEEPS
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(モル比)、1分子当たりの平均水酸基数:0.9個、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量:8モル%;特開平10−139963号公報の参考例1に記載された方法に準じ、スチレン、イソプレンおよびブタジエンを原料として製造した。〕
F−SEEPSは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体[SEEPS−OH〔ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物、数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(モル比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量:8モル%〕]と分子内に水酸基を有しないブロック共重合体[SEEPS〔ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物、数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(モル比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量:8モル%〕]を含有する〔SEEPS−OH/SEEPS=9/1(モル比)〕。
F−HVSIS
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔数平均分子量:63,000、スチレン含有量:30%、ポリイソプレンブロックにおける水素添加率:90%、1分子当たりの平均水酸基数:0.8個、ポリイソプレンブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量:55モル%;特開平10−139963号公報の参考例3に記載された方法に準じ、スチレンおよびイソプレンを原料として製造した。〕
F−HVSISは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体[HVSIS−OH〔ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物、数平均分子量:63,000、スチレン含有量:30%、ポリイソプレンブロックにおける水素添加率:90%、ポリイソプレンブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量:55モル%〕]と分子内に水酸基を有しないブロック共重合体[HVSIS〔ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物、数平均分子量:63,000、スチレン含有量:30%、ポリイソプレンブロックにおける水素添加率:90%、ポリイソプレンブロックにおける1,2−結合および3,4−結合量の合計量:55モル%〕]を含有する〔HVSIS−OH/HVSIS=8/2(モル比)〕。
SEPS
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子内に水酸基を有しないトリブロック共重合体の水素添加物〔セプトン2002(商品名)、(株)クラレ製〕
〔触媒〕
CAT: ジブチルスズオキシド
参考例1〔ブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-SEEPS Compound E1)の製造〕
ポリカーボネート系重合体(PC)400重量部、ブロック共重合体(F−SEEPS)600重量部および触媒(CAT)0.4重量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-SEEPS Compound E1)を得た。この組成物(PC-SEEPS Compound E1)の溶融粘度は、890Pa・sであった。また、この組成物(PC-SEEPS Compound E1)を用いて上記した方法で射出成形によって、ダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は80であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度:5mm/分、チャック間距離:110mm)した引張破断強度は17MPaであった。
参考例2〔ブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-HVSIS Compound E2)の製造〕
ポリカーボネート系重合体(PC)400重量部、ブロック共重合体(F−HVSIS)600重量部および触媒(CAT)0.4重量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-SEEPS Compound E2)を得た。この組成物(PC-SEEPS Compound E2)の溶融粘度は、108Pa・sであった。また、この組成物(PC-SEEPS Compound E2)を用いて上記した方法で射出成形によって、ダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は70であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度:5mm/分、チャック間距離:110mm)した引張破断強度は12MPaであった。
参考例3〔ブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-SEEPS Compound E3)の製造〕
ポリカーボネート系重合体(PC)650重量部、ブロック共重合体(F−SEEPS)350重量部および触媒(CAT)0.4重量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-SEEPS Compound E3)を得た。この組成物(PC-SEEPS Compound E3)の溶融粘度は、630Pa・sであった。また、この組成物(PC-SEEPS Compound E3)を用いて上記した方法で射出成形によって、ダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は97であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度:5mm/分、チャック間距離:110mm)した引張破断強度は33MPaであった。
参考例4〔ブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-HVSIS Compound E4)の製造〕
ポリカーボネート系重合体(PC)500重量部、ブロック共重合体(F−HVSIS)500重量部および触媒(CAT)0.4重量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することによりブロック共重合体(c)を含有する組成物(PC-SEEPS Compound E4)を得た。この組成物(PC-SEEPS Compound E4)の溶融粘度は、610Pa・sであった。また、この組成物(PC-SEEPS Compound E4)を用いて上記した方法で射出成形によって、ダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は80であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度:5mm/分、チャック間距離:110mm)した引張破断強度は14MPaであった。
参考例5〔ブロック共重合体(c)を含有しない組成物(PC/SEEPS Compound)の製造〕
ポリカーボネート系重合体(PC)400重量部およびブロック共重合体(SEPS)600重量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度275℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間除湿乾燥することにより組成物(PC/SEEPS Compound)を得た。この組成物(PC/SEEPS Compound)の溶融粘度は、54Pa・sであった。また、この組成物(PC/SEEPS Compound)を用いて上記した方法で射出成形によって、ダンベル1号型(厚さ:3mm)の成形品を製造した。成形品のJIS A硬度は89であり、JIS K−7113に準じて測定(試験速度:5mm/分、チャック間距離:110mm)した引張破断強度は8MPaであった。
実施例1
ABSの70重量部、PP−1の30重量部および参考例1で得られた組成物(PC-SEEPS Compound E1)の5重量部からなる混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工業研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度225℃および吐出量8kg/hrの条件下に溶融混練して、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを60℃で12時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物を得た。
得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、上記した方法で射出成形を行い、射出成形性、得られた成形品の引張降伏点強度および引張破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
実施例2〜10
下記の表1に示した配合割合に従って、ABS、オレフィン系重合体(PP−1またはPP−2)および参考例1〜4で製造した組成物を使用して、実施例1と同様にして溶融混練を行い、熱可塑性重合体組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法で射出成形を行い、射出成形性、得られた成形品の引張降伏点強度および引張破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
比較例1〜2
下記の表1に示した配合割合に従って、ABSおよびオレフィン系重合体(PP−1またはPP−2)のみを使用した以外は、実施例1と同様にして溶融混練を行い、熱可塑性重合体組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法で射出成形を行い、射出成形性、得られた成形品の引張降伏点強度および引張破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
比較例3
下記の表1に示した配合割合に従って、ABS、オレフィン系重合体(PP−1)および参考例5で製造した組成物(SEEPS/PC Compound)を使用して、実施例1と同様にして溶融混練を行い、熱可塑性重合体組成物のペレットを得た。このペレットを用いて、上記した方法で射出成形を行い、射出成形性、得られた成形品の引張降伏点強度および引張破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005146173
表1の結果から、実施例1〜10で得られた本発明の熱可塑性重合体組成物は、溶融成形性に優れると共に、力学的性能に優れた成形品を与えることが分かる。
実施例11
オレフィン系重合体(PP−1)を使用して、射出成形により厚さ2mmのシートを作製した。得られたシートを粉砕してスクラップ(S−1)とした。
実施例1においてPP−1の30重量部を、このスクラップ5重量部とオレフィン系重合体(PP−1)の25重量部の混合物に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により熱可塑性重合体組成物を製造した。得られた熱可塑性重合体組成物は、実施例1で得られる熱可塑性重合体組成物と同様に、良好に射出成形することができた。

Claims (6)

  1. シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)、およびポリカーボネート系重合体からなる重合体ブロック(I)と芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体からなる重合体ブロック(II)を有するブロック共重合体(c)からなり、共重合体(a)、オレフィン系重合体(b)およびブロック共重合体(c)の重量をそれぞれWa、WbおよびWcとしたとき、それらが下記の式(1)および(2)を満足する熱可塑性重合体組成物。
    98/2≦Wa/Wb≦2/98 (1)
    1/100≦Wc/(Wa+Wb)≦100/100 (2)
  2. ブロック共重合体(c)が、以下の方法(A)または(B)に従って調製されたものである、請求項1記載の熱可塑性重合体組成物。
    (A)ポリカーボネート系重合体(イ)と、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなり、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基を有するブロック共重合体(ロ)を溶融混練する。
    (B)芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなり、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基を有するブロック共重合体(ロ)と2価フェノールおよびカーボネート前駆体を溶融混練する。
  3. ブロック共重合体(ロ)における、ポリカーボネート系重合体(イ)と反応し得る官能基が水酸基である請求項2に記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. ブロック共重合体(ロ)が、末端に水酸基を1分子当たり平均0.6個以上有している請求項3に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. ブロック共重合体(c)が、触媒の存在下に溶融混練を行って調製されるものである請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
  6. 該共重合体(a)および/または該オレフィン系重合体(b)からなる成形品を製造する際に生じた成形ロス部分や該成形品のスクラップを、熱可塑性重合体の原料である共重合体(a)および/または該オレフィン系重合体(b)の少なくとも一部として使用してなる、請求項1〜5に記載の熱可塑性重合体組成物。
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WO2006077772A1 (ja) * 2005-01-21 2006-07-27 Kuraray Co., Ltd. 熱可塑性重合体組成物

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