本発明は、複数の無線ノード(無線送受信装置)から構成される相互無線通信ネットワークシステムに関し、より特定的には、電池駆動の無線ノードの電池消費量を管理する電源管理方法およびネットワークシステムに関するものである。
相互無線通信ネットワークシステムでは、情報を収集するホスト装置と複数の無線ノードで構成されており、特に無線ノードは、無線ノード群の中で統括的なネットワーク処理を行う親機と、それに従属する複数の子機とで構成されている。このような無線ノード構成により、親機が中心となって各子機と共にアドホックネットワークを随時構築し、親機が各子機との相互通信を行うとともに、無線ノード群を代表してホスト装置と相互通信するようになっている。このように、親機は各子機からの情報を集約し、各子機を代表してホスト装置に伝送することによって子機の負担を軽減し、子機を低コストで簡単に構成できるようにしている。ところが、この方法では1つの親機に処理が集中し、送受信量が子機に比較して極端に増大するため、親機の電源である電池の残量が十分でない場合は、親機の送信出力不足などによるネットワーク全体の速度低下や、最悪の場合は親機の電池切れによる通信回線の切断といった問題が生じるので、無線ノードの電源管理が必要不可欠であった。
そこで従来の無線ノードの電源管理方法としては、特許文献1のようなものがあった。図24は、特許文献1に記載された従来の無線ノードの電源管理方法の構成図である。図24に示すシステムでは、複数の無線ノード2401とホスト装置2402とホスト装置と無線ノードを中継するゲートウエイ装置2403からなる相互無線通信ネットワークにおいて、最初に送信要求を出した無線ノードが暫定の親無線ノードである暫定親機2404となり、その他の無線ノードが子機2405となって、暫定親機2404と子機2405の間で相互通信を開始する。その後、暫定親機2404が全子機の電池残容量のデータを収集し、収集したデータから最も動作状態の良い子機を、真の親無線ノードである真親機2406として選び直し、真親機2406を中心とした子機との相互無線通信に切り換え、真親機2406がゲートウエイ装置2403を介してホスト装置2402と相互無線通信するように構成している。その後は、同じ手順で定期的に真親機を選び直すことにより、親機として電池切れの起きにくい適切な無線ノードを選択できるとしている。
特許文献1:特開平10−145276号公報 しかしながら、前述したような従来の構成では、子機の数が多くなると、子機が真親機に選出される機会が少なくなるため、電池残量に余力のある子機が真親機に切り替わって電池消耗の偏りを無くすという効果が十分有効に発揮されないという問題がある。
また、全ての子機の中から真親機を選出するように構成されていることから、無線ノードが広範囲に分布しているような場合には、真親機と子機の平均無線通信距離が長くなり、無線送信に要するネットワーク全体の消費電力量が大きくなるので、どの無線ノードも平均的に早期に電池切れを起こしてしまうおそれがある。
さらに、選出された真親機の送信電力で電波が到達する範囲外に子機があった場合、当該子機が電池残量に余力があったとしてもネットワークから切り離して縮退運転をする必要があったり、あるいは受信感度を得られる場所に真親機や子機を物理的にその都度移動させたりする必要があり、その結果、ネットワークの性能や利便性を著しく低下させてしまうという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点を解決するもので、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークにおいて、無線ノードの偏った電池消耗を効率的に防止し、ネットワーク全体の消費電力量を下げて無線ノードの平均電池寿命を延長し、常に親機と子機の相互無線通信を可能な状態にすることを目的とする。
本発明に係る電源管理方法は、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークシステムにおける無線ノードの電源である電池の消費量を管理するための電源管理方法であって、ネットワーク構築時に複数個の無線ノードでグループを作り、複数個のグループを構築するステップと、各グループにおいて、グループ内の他のノードと通信するとともに他のグループとの通信のための通信中継局となるグループマスターの役目を行うグループマスターノードをグループ内の無線ノードのうちから1つ暫定的に決定し、グループ内の他のノードをグループマスターノードの配下に接続されて端末局動作をする子ノードとするステップと、各グループ内における各無線ノードが、通信セッション開始時に他の無線ノードとテストデータを交換し、送信相手ごとに必要最小限の送信電力を算出するステップと、各グループ内における各無線ノードが、算出された各必要最小限の送信電力によって他の無線ノードとの通信を行うステップと、グループマスターノードが、所定時間毎にグループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定し、グループマスターの交代時期に到達したと判断した場合に、子ノードのうちの1つとグループマスターの役目を交代するステップとを有する。
本構成によって、複数個の無線ノードによる比較的小規模な無線アドホックネットワークグループを複数個構成し、グループ内の親機であるグループマスターノードが子機である子ノードと相互無線通信すると共に他のグループのグループマスターノードとも相互無線通信し、グループ内の各無線ノードは必要最小限の送信電力で同一グループ内の他の無線ノードと相互無線通信し、さらに、グループ内で定期的にグループマスターを交代していくことができる。
ここでグループマスターノードとは、無線ノードのグループによる無線通信ネットワークの中で基地局動作をする無線ノードであり、子ノードとは、グループマスターノードの配下に接続されて端末局動作をする無線ノードである。
グループマスターノードが、グループ内の各子ノードとの通信における通信トラフィック量を監視するステップをさらに含み、グループマスターノードの通信トラフィック量があらかじめ設定した通信トラフィック量に達した場合に、最も通信トラフィック量の少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と高い相関関係にある通信トラフィック量を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
また、子ノードが、それぞれ自身の通信トラフィック量を監視し、グループマスターノードに通信トラフィック量を報告するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も通信トラフィック量の少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することができる。
さらに、グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードの平均通信トラフィック量を算出し、他のグループマスターとの間で平均通信トラフィック量情報を交換するステップと、平均通信トラフィック量があらかじめ設定したレベルを超えたグループを、平均通信トラフィック量の最も少ない隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均通信トラフィック量が平準化するようグループを分離するステップとをさらに含むように構成することができる。
また、グループマスターノードが、グループ内で通信トラフィック量が最も多い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の通信トラフィック量が最も少ない無線ノードと交換するステップをさらに含むように構成することができる。
各子ノードが、それぞれ自身の電池残量を監視し、グループマスターノードに電池残量を報告するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経渦した時点で、最も電池残量のある子ノードとグループマスターを交代するように構成することができる。
本構成によって、電池残量そのものを手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正確に検知することができる。
ここで、グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードの平均電池残量を算出し、他のグループマスターとの間で平均電池残量情報を交換するステップと、平均電池残量があらかじめ設定したレベル以下になったグループを、平均電池残量の最も高い隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均電池残量が平準化するようグループを分離するステップとをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ間でグループの平均電池残量の偏りが発生した場合、平均電池残量の差異に開きのある複数のグループを合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
また、グループマスターノードが、グループ内で電池残量の最も低い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の電池残量の最も高い無線ノードと交換するステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの電池残量の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
グループ内で電池残量の最も低い子ノードの電池残量が、あらかじめ設定した量より低下した場合に、電池残量の最も低い子ノードをグループから切り離すステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に電池残量が低下した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害を回避することができる。
グループマスターノードが、各子ノードとの通信において発生した再送回数を監視するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も再送回数が少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することが可能である。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードとの通信において発生した再送回数の平均を算出し、他のグループマスターとの間で平均再送回数情報を交換するステップと、平均再送回数があらかじめ設定したレベル以上になったグループを、平均再送回数の最も低い隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均再送回数が平準化するようにグループを分離するステップとをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりとして、グループ間でグループの平均再送回数の偏りが発生した場合、平均再送回数の差異に開きのある複数のグループを合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
グループマスターノードが、グループ内で再送回数が最も多い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の再送回数の最も少ない無線ノードと交換するステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりとして、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの再送回数の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
グループ内で再送回数が最も多い子ノードの再送回数が、あらかじめ設定した量を超えた場合に、再送回数が最も多い子ノードをグループから切り離すステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に再送回数の多い無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害を回避することができる。
グループマスターノードが、各子ノードとの通信において発生した符号誤り率を監視するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も符号誤り率が低かった子ノードとグループマスターを交代するように構成できる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードとの通信において発生した符号誤り率の平均を算出し、他のグループマスターとの間で平均符号誤り率情報を交換するステップと、平均符号誤り率があらかじめ設定したレベル以上になったグループを、平均符号誤り率の最も低い隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均符号誤り率が平準化するようにグループを分離するステップとをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりとして、グループ間でグループの平均符号誤り率の偏りが発生した場合、平均符号誤り率の差異に開きのある複数のグループを合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
グループマスターノードが、グループ内で符号誤り率が最も高い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の符号誤り率の最も低い無線ノードと交換するステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりとして、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの符号誤り率の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
グループ内で符号誤り率が最も高い子ノードの再送回数が、あらかじめ設定した量を超えた場合に、符号誤り率が最も多い子ノードをグループから切り離すステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に符号誤り率の多い無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害を回避することができる。
本発明に係る電源管理装置は、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークシステムにおける無線ノードの電源である電池の消費量を管理するための電源管理装置であって、無線ノードは、ネットワーク構築時に形成される複数個の無線ノードで構成される複数個のグループのうちいずれかに属し、グループ内の他のノードと通信するとともに他のグループとの通信のための通信中継局となるグループマスターの役目を行うグループマスターノードが自己の属するグループの中に存在しない場合には暫定的なグループマスターノードとなり、自己の属するグループの中にグループマスターが存在する場合には、前記グループマスターノードの配下に接続されて端末局動作を行う子ノードとなるグループ構築部と、グループマスターノードである場合に、グループ内の他の子ノードと通信するとともに、他のグループとの通信のための通信中継局となる親機動作部と、グループマスターノードである場合に、所定時間毎にグループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定し、グループマスターの交代時期に到達したと判断した場合に、子ノードのうちの1つに対してグループマスターの役目を交代するための交代要求を行う交代制御部と、子ノードである場合に、グループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定するために必要となる情報を自己の属するグループのグループマスターに対して送信するとともに、グループマスターノードからの交代要求を受けて前記親機動作部による動作に移行する子機動作部とを備える。
本構成によって、複数個の無線ノードによる比較的小規模な無線アドホックネットワークグループを複数個構成し、グループ内の親機であるグループマスターノードが子機である子ノードと相互無線通信すると共に他のグループのグループマスターノードとも相互無線通信し、グループ内の各無線ノードは必要最小限の送信電力で同一グループ内の他の無線ノードと相互無線通信し、さらに、グループ内で定期的にグループマスターを交代していくことができる。
本発明に係る電源管理方法のプログラムは、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークシステムにおける無線ノードの電源である電池の消費量を管理するための電源管理方法のプログラムであって、ネットワーク構築時に複数個の無線ノードでグループを作り、複数個のグループを構築するステップと、各グループにおいて、グループ内の他のノードと通信するとともに他のグループとの通信のための通信中継局となるグループマスターの役目を行うグループマスターノードをグループ内の無線ノードのうちから1つ暫定的に決定し、グループ内の他のノードをグループマスターノードの配下に接続されて端末局動作をする子ノードとするステップと、各グループ内における各無線ノードが、通信セッション開始時に他の無線ノードとテストデータを交換し、送信相手ごとに必要最小限の送信電力を算出するステップと、各グループ内における各無線ノードが、算出された各必要最小限の送信電力によって他の無線ノードとの通信を行うステップと、グループマスターノードが、所定時間毎にグループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定し、グループマスターの交代時期に到達したと判断した場合に、子ノードのうちの1つとグループマスターの役目を交代するステップとを含む電源管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
このプログラムは、CPU、メモリ、各種インターフェイスなどを含む装置上で実行されることにより、コンピュータを電源管理装置として機能させるものである。また、このような電源管理方法のプログラムを記録した、CD−ROMやフレキシブルディスク、光磁気ディスク、メモリカードなどの可搬型記録媒体、通信回線の先に備えられる他の記録装置、コンピュータのハードディスクやRAMなどの記録媒体が本発明の範囲に含まれるものであり、この記録媒体に記録されたプログラムがCPU、メモリなどを含む装置上で実行されることにより電源管理装置を構成することとなる。
本発明の詳細を、以下の「発明を実施するための最良の形態」および図面を用いて説明するが、これは例示を目的としており、本発明はこれに限定されることを意図しない。
本発明の第1実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第1実施形態における無線ノードの装置ブロック図。
本発明の第1実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第1実施形態におけるグループ構築動作を説明するフローチャート。
本発明の第1実施形態におけるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第1実施形態におけるグループ間のホッピング通信動作を説明する手順図。
本発明の第1実施形態における伝送データフォーマットの説明図。
本発明の第2実施形態における通信トラフィックによるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第3実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第3実施形態における電池残量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第4実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第4実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第5実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第6実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第7実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第7実施形態における通信トラフィック量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第8実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第10実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第10実施形態における再送回数によるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第11実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第14実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第14実施形態における符号誤り率によるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第15実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明のトポロジーシミュレーションモデルの説明図。
本発明のトポロジー効果をシミュレートした結果を示す所要電力特性図。
従来の無線ノードの電源管理方法の構成図。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態における無線ノードのブロック図である。
図1(a)において、無線ノード100は、無線ノード各部の制御と送受信データ処理を行うCPU101と、プログラムを格納するROM102と、RAM103と、タイマー104と、無線ノードのCPU101をはじめとする各部に電源を供給する電池105と、変調部106と、送信部107と、送信電力制御部108と、送信電波と受信電波を切り替える切替え部109と、アンテナ110と、受信部111と、復調部112と、受信レベル検出部113で構成される。
無線ノード100から送信する場合、CPU101は、ワークメモリとしてRAM103を用いながらROM102に格納されているプログラム群の中から必要なプログラムを実行し、送信データS1を作成する。送信データS1は変調部106によって変調処理されてIF信号S2となり、IF信号S2は送信部107によって高周波変換および電力増幅される。このとき、送信電力制御部108は、CPU101が出力する送信電力レベルS7に応じた電力制御を送信部107に対して行う。電力増幅された高周波信号は、送信モードに設定された切替え部109によってアンテナ110に送り出され、電波として送信される。この際、CPU101が制御するチャンネル選択信号S3によって送信部107にチャンネル番号が指定され、指定されたチャンネルの周波数で高周波変換が行われる。チャンネル番号が異なれば使用する送信周波数も異なるので、無線ノード同士の衝突は回避されることになる。
無線ノード100が受信する場合、他の無線ノードなどを含む他局の電波がアンテナ110によって受信されて高周波信号となり、受信モードに設定された切替え部109によって受信部111に入力される。受信部111ではCPU101が制御するチャンネル選択信号S3によってチャネル番号が指定され、指定されたチャンネルの周波数で同調が行われてIF信号S4が抽出される。IF信号S4は、復調部112にて復調処理されて受信データS5が再生されてCPU101に入力される。同時に、IF信号S4の受信レベルは、受信レベル検出部113によって常時監視されており、監視結果として受信レベルS6をCPU101に入力するようになっている。受信レベル検出部113は、たとえば、ダイオードと増幅器を組み合わせた検波回路によって構成され、IF信号の包絡線信号を受信レベルとして出力する。
CPU101では、ソフトウエア処理によって送信データS1に誤り訂正符号を付加し、受信データS5に誤り訂正処理を施すことにより、伝送路が訂正能力内の符号誤り率である電波状態にある場合には、エラーフリーの送受信を行うことにより通信の信頼性を高めることができる。また、CPU101は、ROM102に格納されているプログラムを必要に応じて選択する。たとえば、無線ノードがアドホックグループを構築する際に必要な通信手順と処理プログラムは、グループ構築プログラムP1として格納されている。また、
無線ノードがグループマスターノードとして動作する場合の通信手順と処理プログラムは、親機動作プログラムP3に格納され、子ノードとして動作する場合の通信手順と処理プログラムは、子機動作プログラムP4に格納されている。また、グループマスターを交代する際の交代処理通信手順と処理プログラムは、交代制御プログラムP2に格納されている。
グループマスターを交代するタイミングやその他のCPU処理のために必要なタイミングは、タイマー104で常時計時処理が行われた計時結果からCPU101が必要に応じて算出し、それらタイミングを取得するようになっている。
図2は、本発明の実施の形態1における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図2において相互無線通信ネットワークシステム200は、複数の無線ノード201と、ホスト装置202と、ホスト装置202と無線ノード201を中継するゲートウエイ装置(GW)203で構成される。
複数の無線ノード201は、無線ネットワークシステムが構築されるエリアにランダムに設置された状態から始まる(初期状態)。ランダムに設置された複数の無線ノード201から、ネットワーク全体の無線ノード数と比較して十分に少数の無線ノード201からなるグループ206がいくつか形成されてゆく。その際、無線ノード201の中から暫定的にグループマスターノード204が立ち上がり、あらかじめ設定した子ノード数の無線ノードと接続を行ってグループ206を構成する。通常、初期状態の直後は各無線ノードの電池は満杯状態であるので、どの無線ノードがグループマスターになってもかまわない。このとき、子ノード205は暫定的なグループマスターノード204の配下に接続されている。また、暫定的なグループマスターノード間およびGW203間でも無線接続が行われ、グループ間のホッピング通信パスが形成されることによりネットワークシステムの基本形が形成される(グループ形成)。
その後、各グループ内で一定期間ごとに最適なグループマスターノードの再選出が行われてゆく。たとえば、子ノード205がグループマスターノード207に昇格し、グループマスターノード204が子ノード208に降格するなどして、処理負荷が高くて電池消耗が早いグループマスターノード役を持ち回りで交代していき、グループ内の電池残量の平準化が行われる。この再選出動作は、グループマスターノードに備えたタイマー104の計時結果をもとに一定期間ごとに行われる。新たに選出されたグループマスターノード207は、子ノード208との接続を開始するとともにグループ206間のホッピング通信も開始して相互無線通信ネットワークシステム200を形成し維持していく(運用状態)。
次に、本発明の実施の形態1の動作について、図3、図4、図5、図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施の形態1における伝送データフォーマットの図である。
グループマスターノードと子ノード間のデータ伝送は、同一無線周波数チャンネルにおいて、データスロットによるフレーミング形式で行われる。図6におけるフレームは、説明を簡潔にするため3スロットに限定している。すなわち、グループ内の子ノードの数は、ここでは3機である。
図6において、フレーム600は、フレームヘッダ601と、スロット#1のための同期信号である同期信号602と、スロット#1と、スロット#2のための同期信号である同期信号603と、スロット#2と、スロット#3のための同期信号である同期信号604と、スロット#3と、フレームフッタ605で構成される。
フレームヘッダ601は、子ノードのPLLが再生クロックを引き込むためのプリアンブルと、グループマスターノード固有の識別子と、誤り検出符号を備えている。また、同期信号602は、第1子ノードのPLLが再生クロックを再引き込みするためのプリアンブルと、第1子ノードを指定する識別子と、グループマスターノードから第1子ノードに対する制御情報などが格納されるデータフィールドと、誤り検出訂正符号を備えている。同期信号603、同期信号604についても、第2子ノード、第3子ノードに関して同期信号602と同様の構成になっている。フレームフッタ605は、フレーミングのオーバーランなどを防止するための終了識別子を備えている。
まず、電力制御前の状態での伝送動作を説明する。
電力制御前の状態では、グループマスターノード、各子ノードともに最大電力で送信し、グループマスターノードはフレーム600を繰り返し送信する。第1子ノードは、フレームヘッダ601に続く同期信号602を検出すると、スロット#1のタイミング期間に自局データであるスロット#1データ606を送信する。同様に、第2子ノードは、フレームヘッダ601に続く同期信号603を検出すると、スロット#2のタイミング期間に自局データであるスロット#2データ607を送信し、第3子ノードはフレームヘッダ601に続く同期信号604を検出すると、スロット#3のタイミング期間に自局データであるスロット#3データ608を送信する。このようにして、各子ノードは、自局データをグループマスターノードに送信することができる。
電力制御後の状態では、グループマスターノードはフレームヘッダ601とフレームフッタ605は最大電力で送信するが、各同期信号はスロットごとに必要最小限の電力で送信する。各子ノードも、後述の手順であらかじめグループマスターノードから自局宛の必要最小限電力値を受けて取っており、指定された電力値で自局のスロットデータを送信するようになっている。このようにして、送信電力の最適制御を行うことができる。
ここで、子ノードの送信するスロットデータは、グループマスターノードのPLLが再生クロックを引き込むためのプリアンブルと、送信元の子ノード番号を表す識別子と、子ノードからグループマスターノードに対する制御情報などが格納されるデータフィールドと、子ノードが収集したデータが格納されるデータフィールドと、誤り検出訂正符号を備えている。
図3は、本発明の第1実施形態におけるグループ構築動作を説明するフローチャートである。
まず、他の無線ノードを発見する手順を説明する。
全ての無線ノード201は、自局の送信電力を最大に設定し(ステップ301)、無線チャンネルをスキャンしながら各周波数チャンネルに暫定のグループマスターノードが送信する同期信号が存在するかどうかを調べる(ステップ302)。もし、同期信号が検出されていなければ、当該チャンネルではどの無線ノードもグループマスターノードになっていないので、グループマスターノード処理を開始する(ステップ303)。もし、同期信号が検出されたならば、すでに当該チャンネルには他の無線ノードがグループマスターノードとして存在しているので子ノード処理を開始する(ステップ313)が、最も近いグループマスターノードの子ノードになれば電池消耗の面から有利であるので、各無線チャンネルのスキャンをしながら(ステップ302)、同期信号の受信レベルが最大となるチャンネルを探し出す(ステップ314)。以上の手順によって、無線ノード同士がその存在を発見し合うことができる。
次に、グループを構築する手順を説明する。
グループマスターノード処理および子ノード処理において、まず、グループマスターノード204から当該チャンネルに同期信号を送信し(ステップ304)、子ノード205からの接続要求を待つ(ステップ305)。子ノード205では同期信号を正常受信するまで待ち(ステップ315)、同期信号を受信したら接続要求を送信する(ステップ316)。グループマスターノード204で子ノード205からの接続要求を受信したら(ステップ305)、当該子ノードが使用するスロット番号を送信する(ステップ306)。これらステップ305,306,307を全ての子ノードが出揃うまで繰り返し、所定数の子ノードとの接続を行う。すなわち、全てのスロットが各子ノードによって予約され、空きスロットが無くなるまで繰り返される。子ノードでは、自分に割り当てられたスロット番号を受信し(ステップ317)、獲得したスロット番号をRAM103の指定領域に記憶しておく。以上の手順によって、無線ノードによるグループを構築することができる。
次に、無線ノードごとに送信電力を制御する手順を説明する。
全てのスロットへの子ノード割当が完了したら、グループマスターノード204はスロットごとに当該同期信号の送信電力を若干絞り(ステップ308)、当該スロットデータに子ノードが乗せてくるテストデータが正常受信される下限までステップ308を繰り返す(ステップ309)。子ノードは、当該同期信号が正常受信されている限りは(ステップ319)、当該スロットにテストデータを送信するが(ステップ318)、相手側の電力の絞りすぎによって同期信号を正常受信できなければ、テストデータを正しくスロットに送信できなくなるので、空中線電力の下限を認知できる。例えば、スロット#1の場合、当該スロットの同期信号である同期信号602の送信電力を、スロット#1に第1子ノードが送信してくるテストデータが正常受信されなくなるまで絞っていくことになる。グループマスターノード204は、テストデータが正常受信され、なおかつ若干の電力マージンが残る程度の必要最小限の送信電力に設定し(ステップ310)、設定した値を最小電力情報として送信する(ステップ311)。これらステップ308〜311を、全スロットにおいて実行し(ステップ312)、自グループ内の全ての子ノードごとに必要最小限の送信電力を設定する。子ノードでは、自局宛の最小電力情報を受信し、獲得した最小電力情報をRAM103の指定領域に記憶するとともに、自局発の送信電力を当該電力値に設定する。以上の手順によって、グループマスターノードと各子ノード間の送信電力を必要最小限に制御できる。
ここでは、テストデータの送受信により送信相手ごとの必要最小限の送信電力を算出するように構成しているが、実際の運用データの送受信処理において、必要最小限の送信電力を算出するように構成することも可能である。
以上の各手順により、グループマスターノードと子ノードの接続が行われ、グループ構築動作が完了する。
図4は、本発明の実施の形態1におけるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図4では、例示的にグループマスターノードが第1子ノードと交代する手順を示す。
グループマスターノード204は、同期信号を送信し(ステップ401)、当該同期信号に対応したスロットからスロットデータを受信して(ステップ402)、全スロットのデータを受信し終わったら(ステップ403)、各子ノードに対してスロットデータ更新要求を送信する(ステップ404)。その時、グループマスターノードの交代時期かどうかを内蔵タイマー104の計時結果から判定し(ステップ405)、交代時期でなければステップ401に戻ってスロットデータ受信を継続し、交代時期ならば交代制御プログラムの起動を開始して(ステップ406)、時系列的に最初のスロットであるスロット#1を使用している第1子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ407)。
第1子ノードでは、自局宛の同期信号602を正常取得したら(ステップ410、411)、自スロットであるスロット#1にスロット#1データを送信する(ステップ412)。さらに、スロットデータ更新要求を受信するまで休止し(ステップ413)、スロットデータ更新要求を受信したら、自局宛の交代要求を受信したかをチェックする(ステップ414)。このとき、交代要求を受信していなかったらステップ410に戻って新たなスロットデータ送信を継続し、交代要求を受信したら交代制御プログラムの起動を開始して(ステップ415)、交代受付を送信する(ステップ416)。
グループマスターノード204は、第1子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ408)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ409)、グループマスターノードの機能を終了する。
第1子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ417)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ418)。なお、グループ内の第1子ノードも含め各子ノードは、グループマスターノード204からのフレーム600を常に受信しているため、グループマスターが送信するべきフレーム600内容を常にモニタしている。そのため、フレーム600中のグループマスター204固有の識別子と、子ノード205を指定する識別子を入れ替えるだけで即座にフレーム600の送信を継承することができるので、ステップ418のような交代送信が簡単にできる。
以上の各手順により、グループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
図5は、本発明の実施の形態1におけるグループ間のホッピング通信動作を説明する手順図である。
図5では、3グループ間でのホッピング通信動作を示し、具体的には、3機のグループマスターノード間でのホッピング通信の手順を説明する。
第1無線周波数チャンネルのグループマスターノードである前局501と、第2無線周波数チャンネルのグループマスターノードである自局502と、第3無線周波数チャンネルのグループマスターノードである次局503とで構成されるホッピング通信網において、前局501から自局502、自局502から次局503という順番で、順方向データをホッピング通信し、逆方向データが順方向データとは逆の経路でホッピング通信する。
まず、全ての局が共通に相互無線通信するために、無線周波数チャンネルをあらかじめ定めておいた共通チャンネルに設定する(ステップ504)。次に、前局501が中継要求505を自局502に送信する。自局502では中継要求を受信してもすぐには中継許可を返信せず、自局502からのホップ先である次局503との中継契約が確立することを優先する。そのため、自局502から次局503へ中継要求506を送信し、次局503がまたさらに先の局と中継契約した後に返信してくる中継許可507を受信して自局502と次局503との間で中継契約が成立する。その後、自局502が前局501に中継許可508を返信することにより、前局501と自局502の間で中継契約が確立する。
次に、前局501が自己のチャンネル番号509(第1チャンネル)を自局502に送信し、自局502が自己のチャンネル番号510(第2チャンネル)を前局501に送信して相手局のチャンネル番号を認知する。同様に、自局502と次局503の間でも相互にチャンネル番号を送信して相手局のチャンネル番号を認知する。以上の手順により、各グループマスターノード間のホッピング通信の通信経路が開設される。
ホッピング通信の通信経路が開設されたら、前局501と自局502の間のホッピング通信のため、前局501が送信無線周波数を相手局である自局502のチャンネルである第2チャンネルに設定し(ステップ511)、自局502が送信無線周波数を相手局である前局501のチャンネルである第1チャンネルに設定する(ステップ512)。このとき、受信無線周波数に関しては、それぞれ自己のチャンネルを使用する。これらのチャンネル設定により、前局501と自局502の間の相互無線通信が可能になるとともに、両局以外の他局、たとえば次局503への混信を防止できる。
チャンネル設定が完了したら、前局501が中継同期信号514を自局502に送信し、自局502が中継同期信号514を受信したら中継同期検出515を送信する。前局501で中継同期検出515を受信したら、順方向のデータ516を自局502に送信し、自局502がデータ516を正常受信したら、正常受信応答であるACK517を前局501に送信する。なお、自局502から前局501への逆方向のデータ送信に関しても、同様の逆手順で伝送が行われる。また、自局502と次局503の間のデータ伝送に関しても同様の手順を用いる。
以上の各手順により、各グループマスターノード間でホッピング通信を行うことができる。
このような構成と手順によれば、ネットワークを複数のグループに分割し、処理負荷の高いグループマスターを各無線ノードが順番に交代する構成になっているため、ネットワーク全体の無線ノード数と比較してはるかに少数の無線ノード数で構成されるグループ内で頻繁なグループマスター交代が実行されて無線ノードの偏った電池消耗を効率的に防止し、グループという限定されたネットワーク範囲内で、ネットワーク全体における無線ノード間の平均伝送距離よりはるかに短い平均伝送距離において常に親機と子機の相互無線通信を可能な状態にすることによりネットワーク全体の消費電力量を下げて無線ノードの平均電池寿命を延長できる。さらに、グループマスターノード間でホッピング通信を行うことにより、個々のグループマスターノードがGWまでの長距離通信を行うことなくデータ伝送ができるので、さらに電池消耗を防止することができる。
前述したような各効果により、無線ノードの電源である電池を、ネットワーク全体の各無線ノードに関して偏り無く均等に且つ省電力を行いながら消費することになるので、ネットワーク全体の寿命を延長することができる。
図1(b)は、本発明の第1実施形態における無線ノードの装置ブロック図であり、本発明の電源管理方法を電源管理装置として実現した場合の無線ノードの機能ブロックを示している。図1(b)において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図1(b)において、グループ構築部121と、交代制御部122と、親機動作部123と、子機動作部124が入出力制御部125を介して送受信機能各部を制御する。ブロック121〜125は、CPUとソフトウエアの組み合わせで実現しても良いし、ハードウエアで実現しても良い。
なお、変調部106と復調部112を個別のハードウエアブロックとして例示したが、速度的に間に合うならば、これらをCPU101でのソフトウエア処理としてもかまわない。また、データ伝送方式にデータスロットによるフレーミング形式を用いたが、他のデータ伝送方式を使用してもかまわない。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態における通信トラフィックによるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図7において、グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる交代トラフィック量をあらかじめ設定し(ステップ701)、各スロットデータの受信を行うとともに、各子ノードとの通信トラフィック量を子ノードごとに積算していく(ステップ702)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信トラフィック量がステップ701で設定した交代トラフィック量に達したかどうか検査し(ステップ703)、交代トラフィック量に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代トラフィック量に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ704)。このとき、各子ノードとの通信トラフィック量のうち、トラフィック量が最小の子ノードが最も電池残量に余裕があると推定されるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ705)。
子ノードでは、自局宛の交代要求が無ければスロットデータ送信処理を継続し(ステップ708)、交代要求があれば(ステップ709)、交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ710)、交代受付を送信する(ステップ711)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ706)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ707)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ712)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ713)。
以上の各手順により、通信トラフィック量を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態における無線ノードのブロック図である。
図8において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図8において、無線ノード800は、電池残量検出部801を備える。電池残量検出部801は、電池105の電圧などから残容量を検出し、電池残量レベルS8をCPU101に入力するようになっている。この構成により、CPU101は、電池残量を検査することができる。
このような構成の無線ノード800によって、電池残量を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図9のフローチャートを用いて説明する。
図9は、本発明の第7実施形態における電池残量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図9において、子ノードは、電池残量検出部801を用いて電池残量を検査し(ステップ908)、電池残量レベルS8をスロットデータに含めて送信する(ステップ909)。
グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ901)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードの電池残量の情報も収集する(ステップ902)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ901で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ903)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ904)。このとき、各子ノードの電池残量のうち、電池残量が最大の子ノードが最も電池に余裕があるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ905)。
子ノードでは、自局宛の交代要求が無ければ電池残量検査とスロットデータ送信処理を継続し(ステップ908,909,910)、交代要求があれば交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ911)、交代受付を送信する(ステップ912)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ906)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ907)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ913)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ914)。
以上の各手順により、電池残量を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
以上説明したような構成と手順によれば、無線ノードの電池残量そのものを手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを検知することができるので、より正確な基準でグループマスターノード交代を行うことができる。
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図10において、図2と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図10において、相互無線通信ネットワークシステム1000は、グループマスターノード205のグループ204と、グループマスターノード1001のグループ1002に分かれて運用されている(運用状態)。ここで、グループ1002内の各無線ノードの平均電池残量があらかじめ設定したレベル以下になると、グループマスターノード1001はその機能を終了し、同時にグループ1002内の全無線ノードがグループマスターノード205配下の子ノードになって、新しいグループ1006を形成する。そして、グループマスターノード205は、新しいグループマスターノード1003となる。すなわち、グループ1002がグループ204に吸収および合併される(グループ合併)。その後、グループ1006内で各無線ノードの電池残量をもとに偏りの少なくなるようスケジューリングされて、グループ1008とグループ1009に分離する(グループ分離)。分離後は、運用状態に入る。
このような構成の相互無線通信ネットワークシステム1000において、特に、グループ合併する手順について、図11のフローチャートを用いて説明する。
図11は、本発明の第4実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図11の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ1101)。まず、各子ノードからの電池残量を収集し、自己の電池残量と含めて自グループの平均電池残量を計算する(ステップ1102)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ1102で計算した平均電池残量を送信する(ステップ1103)とともに、自グループの平均電池残量があらかじめ設定したレベル以下かどうか評価する(ステップ1104)。
平均電池残量が設定レベル以下でなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ1105)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ1106)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1107)、同期信号を一旦停止する(ステップ1108)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ1109)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ1110)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ1104で自グループの平均電池残量が設定レベル以下であった場合、他グループからの平均電池残量から隣接グループの平均電池残量を評価して(ステップ1111)、設定レベル以上であれば合併要求処理に入り、設定レベル以下であれば近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ1112)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ1113)、合併許可を待つ(ステップ1114)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1115)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ1116)。その後、同期信号を停止して(ステップ1117)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ1118)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均電池残量の偏りが発生した場合、平均電池残量の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、グループ合併する基準をグループの平均電池残量としているが、無線ノードの電池残量と相関のあるパラメータであれば、何を用いても同様の効果が得られる。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、電池残量の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図12において、図2と同じ構成要素については説明を省略する。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の電池残量があらかじめ設定したレベル以下になると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で電池残量の最も高い子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの電池残量の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均電池残量が著しく低下し、平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図13において、図2と同じ構成要素については説明を省略する。
図13において、相互無線通信ネットワークシステム1300は、グループマスターノード1302と、子ノード1303と、もう一機の子ノードとで構成されるグループ1301を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1301内の子ノード1303の電池残量があらかじめ設定したレベル以下になると、グループマスターノード1302は、子ノード1303に切り離しコマンドを伝送した後に当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止する(子ノード切り離し)。子ノード1303の切り離しが完了したら、グループマスターノード1302は、既存の子ノードだけでグループを再構築する。切り離された子ノード1303は、新たなグループマスターノードからの同期信号を見いだせないため、送受信動作を停止してアイドリングしたまま電池寿命を終える(グループ縮小)。グループ縮小後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に電池残量が低下した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害などを回避することができる。
(第7実施形態)
前述した第2実施形態において、グループマスターノードがグループ内の各子ノードとの通信トラフィック量を監視するように構成しているが、各子ノードがそれぞれ自身の通信トラフィック量を監視してグループマスターに報告し、通信トラフィック量の最も少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することが可能である。この例を第7実施形態として説明する。
図14は、本発明の第7実施形態における無線ノードのブロック図である。
図14において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図14において、無線ノード1400は、通信トラフィック検出部1401を備える。通信トラフィック検出部1401は、CPU101により送出するデータおよびCPU101により受信するデータを監視し、通信トラフィック情報S9をCPU101に入力するようになっている。この構成により、CPU101は、通信トラフィック検出部1401からの通信トラフィック情報S9に基づいて、所定期間における通信トラフィック量を積算することができる。
このような構成の無線ノード1400によって、通信トラフィック量を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図15のフローチャートを用いて説明する。
図15は、本発明の第7実施形態における通信トラフィック量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図15において、子ノードは、通信トラフィック検出部1401を用いて通信トラフィック量を検査し(ステップ1508)、通信トラフィック情報S9をスロットデータに含めて送信する(ステップ1509)。
グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ1501)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードの通信トラフィック量の情報も収集する(ステップ1502)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ1501で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ1503)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ1504)。このとき、各子ノードの通信トラフィック量のうち、通信トラフィック量が最小である子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ1505)。
子ノードでは、自局宛の交代要求が無ければ、通信トラフィック量の検査とスロットデータ送信処理を継続し(ステップ1508,1509,1510)、交代要求があれば交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ1511)、交代受付を送信する(ステップ1512)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ1506)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ1507)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ1513)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ1514)。
以上の各手順により、通信トラフィック量を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
以上説明したような構成と手順によれば、無線ノードの電池消耗量と高い相関関係にある通信トラフィック量を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを検知することができる。
(第8実施形態)
図10(第4実施形態)に示すような相互無線通信ネットワークにおけるグループの合併・分離を、各無線ノードの通信トラフィック量をトリガーとして実行するように構成することができる。このような場合を第8実施形態として以下に説明する。
この第8実施形態では、各無線ノードは、第7実施形態と同様に、図14に示すような通信トラフィック検出部1401を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの通信トラフィック情報を受信して、これに基づいてグループの合併・分離を行うこととする。
図16は、本発明の第8実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図16の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ1601)。まず、各子ノードからの通信トラフィック量を収集し、自己の通信トラフィック量と含めて自グループの平均通信トラフィック量を計算する(ステップ1602)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ1602で計算した平均通信トラフィック量を送信する(ステップ1603)とともに、自グループの平均通信トラフィック量があらかじめ設定したレベルを超えたかどうか評価する(ステップ1604)。
平均通信トラフィック量が設定レベルを超えていなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ1605)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ1606)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1607)、同期信号を一旦停止する(ステップ1608)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ1609)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ1610)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ1604で自グループの平均通信トラフィック量が設定レベルを超えている場合、他グループからの平均通信トラフィック量から隣接グループの平均通信トラフィック量を評価して(ステップ1611)、設定レベル以下であれば合併要求処理に入り、設定レベルを超えている場合には近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ1612)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ1613)、合併許可を待つ(ステップ1614)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1615)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ1616)。その後、同期信号を停止して(ステップ1617)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ1618)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均通信トラフィック量の偏りが発生した場合、平均通信トラフィック量の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均通信トラフィック量の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、通信トラフィック量の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第9実施形態)
図12(第5実施形態)に示したようなグループ間における子ノードの交換処理を、各無線ノードの通信トラフィック量をトリガーとして実行するように構成することが可能である。このような場合を第9実施形態として以下に示す。
この第9実施形態についても、各無線ノードは、第7実施形態と同様に、図14に示すような通信トラフィック検出部1401を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの通信トラフィック情報を受信して、これに基づいてグループ間の子ノードの交換を行うこととする。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の通信トラフィック量があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で通信トラフィック量の最も少ない子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの通信トラフィック量の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均通信トラフィック量の平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第10実施形態)
各無線ノードの再送回数を監視し、この再送回数を手がかりにグループマスターノードを交代するように構成することが可能である。このような場合を第10実施形態として以下に説明する。
図17は、本発明の第10実施形態における無線ノードのブロック図である。
図17において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図17において、無線ノード1700は、再送回数検出部1701を備える。再送回数検出部1701は、送信した同期信号に対する返送データを所定時間内に受信しなかった場合に同一データを再度送信する場合にこれをカウントし、積算した再送回数情報S10をCPU101に送信する。
このような構成の無線ノード1700によって、再送回数を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図18のフローチャートを用いて説明する。
図18は、本発明の第10実施形態における再送回数によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図18において、グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ1801)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードとの通信におけるスロットデータの再送回数も積算する(ステップ1802)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ1801で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ1803)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ1804)。このとき、各子ノードの再送回数積算のうち、再送回数が最小の子ノードが最も電池に余裕があると推定されるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ1805)。
子ノードでは、交代要求があれば(ステップ1808)、交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ1809)、交代受付を送信する(ステップ1810)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ1806)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ1807)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ1811)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ1812)。
以上の各手順により、通信の再送回数を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
このような構成と手順によれば、無線ノードの電池残量を検出することなく、電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
(第11実施形態)
図10(第4実施形態)に示すような相互無線通信ネットワークにおけるグループの合併・分離を、各無線ノードの再送回数をトリガーとして実行するように構成することができる。このような場合を第11実施形態として以下に説明する。
この第11実施形態では、各無線ノードは、第10実施形態と同様に、図17に示すような再送回数検出部1701を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの再送回数情報を受信して、これに基づいてグループの合併・分離を行うこととする。
図19は、本発明の第11実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図19の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ1901)。まず、各子ノードからの再送回数を収集し、自己の再送回数と含めて自グループの平均再送回数を計算する(ステップ1902)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ1902で計算した平均再送回数を送信する(ステップ1903)とともに、自グループの平均再送回数があらかじめ設定したレベルを超えたかどうか評価する(ステップ1904)。
平均再送回数が設定レベルを超えていなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ1905)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ1906)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1907)、同期信号を一旦停止する(ステップ1908)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ1909)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ1910)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ1904で自グループの平均再送回数が設定レベルを超えている場合、他グループからの平均再送回数から隣接グループの平均再送回数を評価して(ステップ1911)、設定レベル以下であれば合併要求処理に入り、設定レベルを超えている場合には近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ1912)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ1913)、合併許可を待つ(ステップ1914)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1915)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ1916)。その後、同期信号を停止して(ステップ1917)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ1918)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均再送回数の偏りが発生した場合、平均再送回数の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均再送回数の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、再送回数の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第12実施形態)
図12(第5実施形態)に示したようなグループ間における子ノードの交換処理を、各無線ノードの再送回数をトリガーとして実行するように構成することが可能である。このような場合を第12実施形態として以下に示す。
この第12実施形態についても、各無線ノードは、第10実施形態と同様に、図17に示すような再送回数検出部1701を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの再送回数情報を受信して、これに基づいてグループ間の子ノードの交換を行うこととする。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の再送回数があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で再送回数の最も少ない子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの再送回数の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均再送回数の平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第13実施形態)
図13(第6実施形態)に示すようなグループ内の子ノードの切り離し処理を、再送回数をトリガーとして実行する構成とすることができる。この場合を第13実施形態として以下に説明する。なお、この第13実施形態についても、各無線ノードは、第10実施形態と同様に、図17に示すような再送回数検出部1701を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの再送回数情報を受信して、これに基づいてグループ内の子ノードの切り離しを行うこととする。
図13において、相互無線通信ネットワークシステム1300は、グループマスターノード1302と、子ノード1303と、もう一機の子ノードとで構成されるグループ1301を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1301内の子ノード1303の再送回数があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1302は、子ノード1303に切り離しコマンドを伝送した後に当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止する(子ノード切り離し)。子ノード1303の切り離しが完了したら、グループマスターノード1302は、既存の子ノードだけでグループを再構築する。切り離された子ノード1303は、新たなグループマスターノードからの同期信号を見いだせないため、送受信動作を停止してアイドリングしたまま電池寿命を終える(グループ縮小)。グループ縮小後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に再送回数が増大した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、再送回数の増加による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害などを回避することができる。
(第14実施形態)
各無線ノードの符号誤り率を監視し、この符号誤り率を手がかりにグループマスターノードを交代するように構成することが可能である。このような場合を第14実施形態として以下に説明する。
図20は、本発明の第14実施形態における無線ノードのブロック図である。
図20において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図20において、無線ノード2000は、符号誤り率検出部2001を備える。
このような構成の無線ノード2000によって、符号誤り率を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図21のフローチャートを用いて説明する。
図21は、本発明の第14実施形態における符号誤り率によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図21において、グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ2101)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードとの通信における符号誤り率も取得する(ステップ2102)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ2101で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ2103)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ2104)。このとき、各子ノードの符号誤り率のうち、符号誤り率が最小の子ノードが最も電池に余裕があると推定されるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ2105)。
子ノードでは、交代要求があれば(ステップ2108)、交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ2109)、交代受付を送信する(ステップ2110)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ2106)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ2107)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ2111)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ2112)。
以上の各手順により、通信の符号誤り率を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
このような構成と手順によれば、無線ノードの電池残量を検出することなく、電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
なお、ステップ2102での符号誤り率の取得は、グループマスターノードのCPU101で受信データS5へ誤り訂正処理を施す際に算出することができる。また、外符号を用いた場合は、復調部112から符号誤り率を取得してもよい。
(第15実施形態)
図10(第4実施形態)に示すような相互無線通信ネットワークにおけるグループの合併・分離を、各無線ノードの符号誤り率をトリガーとして実行するように構成することができる。このような場合を第15実施形態として以下に説明する。
この第15実施形態では、各無線ノードは、第14実施形態と同様に、図20に示すよう符号な誤り率検出部2001を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの符号誤り率情報を受信して、これに基づいてグループの合併・分離を行うこととする。
図22は、本発明の第15実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図22の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ2201)。まず、各子ノードからの符号誤り率を収集し、自己の符号誤り率と含めて自グループの平均符号誤り率を計算する(ステップ2202)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ2202で計算した平均符号誤り率を送信する(ステップ2203)とともに、自グループの平均符号誤り率があらかじめ設定したレベルを超えたかどうか評価する(ステップ2204)。
平均符号誤り率が設定レベルを超えていなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ2205)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ2206)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ2207)、同期信号を一旦停止する(ステップ2208)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ2209)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ2210)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ2204で自グループの平均符号誤り率が設定レベルを超えている場合、他グループからの平均符号誤り率から隣接グループの平均符号誤り率を評価して(ステップ2211)、設定レベル以下であれば合併要求処理に入り、設定レベルを超えている場合には近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ2212)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ2213)、合併許可を待つ(ステップ2214)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ2215)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ2216)。その後、同期信号を停止して(ステップ2217)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ2218)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均符号誤り率の偏りが発生した場合、平均符号誤り率の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均符号誤り率の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、再送回数の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第16実施形態)
図12(第5実施形態)に示したようなグループ間における子ノードの交換処理を、各無線ノードの符号誤り率をトリガーとして実行するように構成することが可能である。このような場合を第16実施形態として以下に示す。
この第16実施形態についても、各無線ノードは、第14実施形態と同様に、図20に示すような符号誤り率検出部2001を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの符号誤り率情報を受信して、これに基づいてグループ間の子ノードの交換を行うこととする。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の符号誤り率があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で符号誤り率の最も少ない子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの符号誤り率の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均符号誤り率の平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第17実施形態)
図13(第6実施形態)に示すようなグループ内の子ノードの切り離し処理を、符号誤り率をトリガーとして実行する構成とすることができる。この場合を第17実施形態として以下に説明する。なお、この第17実施形態についても、各無線ノードは、第14実施形態と同様に、図20に示すような符号誤り率検出部2001を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの符号誤り率情報を受信して、これに基づいてグループ内の子ノードの切り離しを行うこととする。
図13において、相互無線通信ネットワークシステム1300は、グループマスターノード1302と、子ノード1303と、もう一機の子ノードとで構成されるグループ1301を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1301内の子ノード1303の符号誤り率があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1302は、子ノード1303に切り離しコマンドを伝送した後に当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止する(子ノード切り離し)。子ノード1303の切り離しが完了したら、グループマスターノード1302は、既存の子ノードだけでグループを再構築する。切り離された子ノード1303は、新たなグループマスターノードからの同期信号を見いだせないため、送受信動作を停止してアイドリングしたまま電池寿命を終える(グループ縮小)。グループ縮小後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に符号誤り率が増大した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、符号誤り率の増加による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害などを回避することができる。
以上のような構成の無線ノードを用いれば、図2の相互無線通信ネットワークシステム200に示すようなトポロジーを持つセンサーネットワークシステムを容易に構築することができる。特に、本発明によれば、各無線ノードによるアドホックネットワークシステムを自動的かつ自立的に構成できるので、広範囲にわたる大規模なネットワークシステムを高価な設置コストを必要とせず簡単に実現でき、しかも全ての無線ノードが平準化された電源管理の元で運用されるため、運用寿命の長い信頼性のあるネットワークシステムを提供できる。
本発明に係る電源管理方法におけるトポロジー効果をシミュレートするために、図23(a)に示すようなゲートウェイGWを中心として、半径の値がdずつ増加する同心円上に、等間隔dで無線ノードが配置されたモデルを使用する。
このとき、ゲートウェイGWから半径rの円周上に存在する無線ノード数は2πrである。無線通信の所要送信電力Pは、通信局間の距離の3乗に比例することから、
P=(無線ノード数)×(距離の3乗)×2
となる。
なお、この式において2をかけるのは、ENQ/ACKの双方向通信でひとつのセッションが成り立つからである。
従来例では、各無線ノードがゲートウェイGWと通信を行うことから、従来例における所要電力P0は、
本発明では、無線ノードを複数のグループに分割し、グループ内でピコネット通信を行うとともに、グループ間でアドホックホッピング通信を行ってゲートウェイGWに到達する構成となっていることから、本発明の所要電力P1は、
P1=(ピコネット通信の所要電力)+(ホッピング通信の所要電力)
であり、(ピコネット通信の所要電力)Ppは、
なお、dは無線ノード間隔であるため、1にノーマライズされる。また、間隔dで密に配置された無線ノードのホッピング間隔は3dに近似されることから、ゲートウェイGWまでのホッピング数はr/3となる。
また、アドホックホッピング時の同期確立手順により最低2回のセッションを要する。
さらに、グループ数をg、グループ内の無線ノード数をmとすれば、g=2πr/mであることから、(ホッピング通信の所要電力)Phは、
1つのグループマスターノードに対して4つの子ノードを含むグループを構成するようなm=5のモデルを想定した場合、本発明の所要電力P1は、
このようなシミュレーション結果を図23(b)に示す。図23(b)に示すように、無線ノード数が増加すると従来例の場合では飛躍的に総電力が増加するのに対し、本発明の場合では、送信総電力を抑えることができるのがわかる。
なお、前述した実施形態において、フレーム600中のフレームヘッダ601にはグループマスターノード固有の識別子を備え、各同期信号には各同期信号に対応する子ノードを指定する識別子を備え、各スロットデータには送信元の子ノード番号を表す識別子を備えているが、これら識別子は、当該各無線ノードが個別に持つユニークな機械的固有番号であってもよいし、当該各無線ノードに割り振られた自由名称であってもよい。自由名称を用いる場合は、当該ネットワークシステム中に、無線ノードの自由名称と当該無線ノードの機械的固有番号を結びつける名前解決ノードや名前解決サーバーを備えておけばよい。
また、各実施形態において、空中線伝送路でのデータ伝送時に、さらに外符号処理としてインターリーブ処理と誤り訂正符号化処理を施してからデータ伝送すれば通信の信頼性が向上する。そのとき、外符号処理は、エンコード処理が変調部106の入力段に設けられ、デコード処理が復調部112の出力段に設けられることが望ましい。また、誤り訂正符号には、畳み込み符号やターボ符号などの連続的な符号誤りに対して有効な性能を示すものを用いれば、通信の信頼性がさらに向上する。
本発明にかかる無線ノードの電源管理方法は、相互無線ネットワークシステムを構成する電池駆動の無線端末である無線ノードの電池寿命を、ネットワーク全体に渡って均等に延ばすための電源管理手段に利用可能である。また、無線アドホック通信によるセンサーネットワークシステム等の用途にも応用可能である。
本発明は、複数の無線ノード(無線送受信装置)から構成される相互無線通信ネットワークシステムに関し、より特定的には、電池駆動の無線ノードの電池消費量を管理する電源管理方法およびネットワークシステムに関するものである。
相互無線通信ネットワークシステムでは、情報を収集するホスト装置と複数の無線ノードで構成されており、特に無線ノードは、無線ノード群の中で統括的なネットワーク処理を行う親機と、それに従属する複数の子機とで構成されている。このような無線ノード構成により、親機が中心となって各子機と共にアドホックネットワークを随時構築し、親機が各子機との相互通信を行うとともに、無線ノード群を代表してホスト装置と相互通信するようになっている。このように、親機は各子機からの情報を集約し、各子機を代表してホスト装置に伝送することによって子機の負担を軽減し、子機を低コストで簡単に構成できるようにしている。ところが、この方法では1つの親機に処理が集中し、送受信量が子機に比較して極端に増大するため、親機の電源である電池の残量が十分でない場合は、親機の送信出力不足などによるネットワーク全体の速度低下や、最悪の場合は親機の電池切れによる通信回線の切断といった問題が生じるので、無線ノードの電源管理が必要不可欠であった。
そこで従来の無線ノードの電源管理方法としては、特許文献1のようなものがあった。図24は、特許文献1 に記載された従来の無線ノードの電源管理方法の構成図である。図24に示すシステムでは、複数の無線ノード2401とホスト装置2402とホスト装置と無線ノードを中継するゲートウエイ装置2403からなる相互無線通信ネットワークにおいて、最初に送信要求を出した無線ノードが暫定の親無線ノードである暫定親機2404となり、その他の無線ノードが子機2405となって、暫定親機2404と子機2405の間で相互通信を開始する。その後、暫定親機2404が全子機の電池残容量のデータを収集し、収集したデータから最も動作状態の良い子機を、真の親無線ノードである真親機2406として選び直し、真親機2406を中心とした子機との相互無線通信に切り換え、真親機2406がゲートウエイ装置2403を介してホスト装置2402と相互無線通信するように構成している。その後は、同じ手順で定期的に真親機を選び直すことにより、親機として電池切れの起きにくい適切な無線ノードを選択できるとしている。
特開平10−145276号公報 しかしながら、前述したような従来の構成では、子機の数が多くなると、子機が真親機に選出される機会が少なくなるため、電池残量に余力のある子機が真親機に切り替わって電池消耗の偏りを無くすという効果が十分有効に発揮されないという問題がある。
また、全ての子機の中から真親機を選出するように構成されていることから、無線ノードが広範囲に分布しているような場合には、真親機と子機の平均無線通信距離が長くなり、無線送信に要するネットワーク全体の消費電力量が大きくなるので、どの無線ノードも平均的に早期に電池切れを起こしてしまうおそれがある。
さらに、選出された真親機の送信電力で電波が到達する範囲外に子機があった場合、当該子機が電池残量に余力があったとしてもネットワークから切り離して縮退運転をする必要があったり、あるいは受信感度を得られる場所に真親機や子機を物理的にその都度移動させたりする必要があり、その結果、ネットワークの性能や利便性を著しく低下させてしまうという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点を解決するもので、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークにおいて、無線ノードの偏った電池消耗を効率的に防止し、ネットワーク全体の消費電力量を下げて無線ノードの平均電池寿命を延長し、常に親機と子機の相互無線通信を可能な状態にすることを目的とする。
本発明に係る電源管理方法は、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークシステムにおける無線ノードの電源である電池の消費量を管理するための電源管理方法であって、ネットワーク構築時に複数個の無線ノードでグループを作り、複数個のグループを構築するステップと、各グループにおいて、グループ内の他のノードと通信するとともに他のグループとの通信のための通信中継局となるグループマスターの役目を行うグループマスターノードをグループ内の無線ノードのうちから1つ暫定的に決定し、グループ内の他のノードをグループマスターノードの配下に接続されて端末局動作をする子ノードとするステップと、各グループ内における各無線ノードが、通信セッション開始時に他の無線ノードとテストデータを交換し、送信相手ごとに必要最小限の送信電力を算出するステップと、各グループ内における各無線ノードが、算出された各必要最小限の送信電力によって他の無線ノードとの通信を行うステップと、グループマスターノードが、所定時間毎にグループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定し、グループマスターの交代時期に到達したと判断した場合に、子ノードのうちの1つとグループマスターの役目を交代するステップとを有する。
本構成によって、複数個の無線ノードによる比較的小規模な無線アドホックネットワークグループを複数個構成し、グループ内の親機であるグループマスターノードが子機である子ノードと相互無線通信すると共に他のグループのグループマスターノードとも相互無線通信し、グループ内の各無線ノードは必要最小限の送信電力で同一グループ内の他の無線ノードと相互無線通信し、さらに、グループ内で定期的にグループマスターを交代していくことができる。
ここでグループマスターノードとは、無線ノードのグループによる無線通信ネットワークの中で基地局動作をする無線ノードであり、子ノードとは、グループマスターノードの配下に接続されて端末局動作をする無線ノードである。
グループマスターノードが、グループ内の各子ノードとの通信における通信トラフィック量を監視するステップをさらに含み、グループマスターノードの通信トラフィック量があらかじめ設定した通信トラフィック量に達した場合に、最も通信トラフィック量の少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と高い相関関係にある通信トラフィック量を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
また、子ノードが、それぞれ自身の通信トラフィック量を監視し、グループマスターノードに通信トラフィック量を報告するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も通信トラフィック量の少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することができる。
さらに、グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードの平均通信トラフィック量を算出し、他のグループマスターとの間で平均通信トラフィック量情報を交換するステップと、平均通信トラフィック量があらかじめ設定したレベルを超えたグループを、平均通信トラフィック量の最も少ない隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均通信トラフィック量が平準化するようグループを分離するステップとをさらに含むように構成することができる。
また、グループマスターノードが、グループ内で通信トラフィック量が最も多い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の通信トラフィック量が最も少ない無線ノードと交換するステップをさらに含むように構成することができる。
各子ノードが、それぞれ自身の電池残量を監視し、グループマスターノードに電池残量を報告するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も電池残量のある子ノードとグループマスターを交代するように構成することができる。
本構成によって、電池残量そのものを手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正確に検知することができる。
ここで、グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードの平均電池残量を算出し、他のグループマスターとの間で平均電池残量情報を交換するステップと、平均電池残量があらかじめ設定したレベル以下になったグループを、平均電池残量の最も高い隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均電池残量が平準化するようグループを分離するステップとをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ間でグループの平均電池残量の偏りが発生した場合、平均電池残量の差異に開きのある複数のグループを合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
また、グループマスターノードが、グループ内で電池残量の最も低い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の電池残量の最も高い無線ノードと交換するステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの電池残量の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
グループ内で電池残量の最も低い子ノードの電池残量が、あらかじめ設定した量より低下した場合に、電池残量の最も低い子ノードをグループから切り離すステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に電池残量が低下した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害を回避することができる。
グループマスターノードが、各子ノードとの通信において発生した再送回数を監視するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も再送回数が少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することが可能である。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードとの通信において発生した再送回数の平均を算出し、他のグループマスターとの間で平均再送回数情報を交換するステップと、平均再送回数があらかじめ設定したレベル以上になったグループを、平均再送回数の最も低い隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均再送回数が平準化するようにグループを分離するステップとをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりとして、グループ間でグループの平均再送回数の偏りが発生した場合、平均再送回数の差異に開きのある複数のグループを合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
グループマスターノードが、グループ内で再送回数が最も多い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の再送回数の最も少ない無線ノードと交換するステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりとして、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの再送回数の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
グループ内で再送回数が最も多い子ノードの再送回数が、あらかじめ設定した量を超えた場合に、再送回数が最も多い子ノードをグループから切り離すステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に再送回数の多い無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害を回避することができる。
グループマスターノードが、各子ノードとの通信において発生した符号誤り率を監視するステップをさらに含み、現在のグループマスターノードがグループマスターの役目を開始してから所定時間が経過した時点で、最も符号誤り率が低かった子ノードとグループマスターを交代するように構成できる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
グループマスターノードが、グループ内の各無線ノードとの通信において発生した符号誤り率の平均を算出し、他のグループマスターとの間で平均符号誤り率情報を交換するステップと、平均符号誤り率があらかじめ設定したレベル以上になったグループを、平均符号誤り率の最も低い隣接するグループに吸収および合併を行うステップと、グループの吸収および合併後に平均符号誤り率が平準化するようにグループを分離するステップとをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりとして、グループ間でグループの平均符号誤り率の偏りが発生した場合、平均符号誤り率の差異に開きのある複数のグループを合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
グループマスターノードが、グループ内で符号誤り率が最も高い子ノードを、隣接あるいは近隣のグループ内の符号誤り率の最も低い無線ノードと交換するステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、無線ノードの電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりとして、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの符号誤り率の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
グループ内で符号誤り率が最も高い子ノードの再送回数が、あらかじめ設定した量を超えた場合に、符号誤り率が最も多い子ノードをグループから切り離すステップをさらに含む構成とすることができる。
本構成によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に符号誤り率の多い無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害を回避することができる。
本発明に係る電源管理装置は、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークシステムにおける無線ノードの電源である電池の消費量を管理するための電源管理装置であって、無線ノードは、ネットワーク構築時に形成される複数個の無線ノードで構成される複数個のグループのうちいずれかに属し、グループ内の他のノードと通信するとともに他のグループとの通信のための通信中継局となるグループマスターの役目を行うグループマスターノードが自己の属するグループの中に存在しない場合には暫定的なグループマスターノードとなり、自己の属するグループの中にグループマスターが存在する場合には、前記グループマスターノードの配下に接続されて端末局動作を行う子ノードとなるグループ構築部と、グループマスターノードである場合に、グループ内の他の子ノードと通信するとともに、他のグループとの通信のための通信中継局となる親機動作部と、グループマスターノードである場合に、所定時間毎にグループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定し、グループマスターの交代時期に到達したと判断した場合に、子ノードのうちの1つに対してグループマスターの役目を交代するための交代要求を行う交代制御部と、子ノードである場合に、グループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定するために必要となる情報を自己の属するグループのグループマスターに対して送信するとともに、グループマスターノードからの交代要求を受けて前記親機動作部による動作に移行する子機動作部とを備える。
本構成によって、複数個の無線ノードによる比較的小規模な無線アドホックネットワークグループを複数個構成し、グループ内の親機であるグループマスターノードが子機である子ノードと相互無線通信すると共に他のグループのグループマスターノードとも相互無線通信し、グループ内の各無線ノードは必要最小限の送信電力で同一グループ内の他の無線ノードと相互無線通信し、さらに、グループ内で定期的にグループマスターを交代していくことができる。
本発明に係る電源管理方法のプログラムは、複数の無線ノードから構成される相互無線通信ネットワークシステムにおける無線ノードの電源である電池の消費量を管理するための電源管理方法のプログラムであって、ネットワーク構築時に複数個の無線ノードでグループを作り、複数個のグループを構築するステップと、各グループにおいて、グループ内の他のノードと通信するとともに他のグループとの通信のための通信中継局となるグループマスターの役目を行うグループマスターノードをグループ内の無線ノードのうちから1つ暫定的に決定し、グループ内の他のノードをグループマスターノードの配下に接続されて端末局動作をする子ノードとするステップと、各グループ内における各無線ノードが、通信セッション開始時に他の無線ノードとテストデータを交換し、送信相手ごとに必要最小限の送信電力を算出するステップと、各グループ内における各無線ノードが、算出された各必要最小限の送信電力によって他の無線ノードとの通信を行うステップと、グループマスターノードが、所定時間毎にグループマスターの役目を交代する時期に到達したか否かを判定し、グループマスターの交代時期に到達したと判断した場合に、子ノードのうちの1つとグループマスターの役目を交代するステップとを含む電源管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
このプログラムは、CPU、メモリ、各種インターフェイスなどを含む装置上で実行されることにより、コンピュータを電源管理装置として機能させるものである。また、このような電源管理方法のプログラムを記録した、CD-ROMやフレキシブルディスク、光磁気ディスク、メモリカードなどの可搬型記録媒体、通信回線の先に備えられる他の記録装置、コンピュータのハードディスクやRAMなどの記録媒体が本発明の範囲に含まれるものであり、この記録媒体に記録されたプログラムがCPU、メモリなどを含む装置上で実行されることにより電源管理装置を構成することとなる。
本発明の詳細を、以下の「発明を実施するための最良の形態」および図面を用いて説明するが、これは例示を目的としており、本発明はこれに限定されることを意図しない。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態における無線ノードのブロック図である。
図1(a)において、無線ノード100は、無線ノード各部の制御と送受信データ処理を行うCPU101と、プログラムを格納するROM102と、RAM103と、タイマー104と、無線ノードのCPU101をはじめとする各部に電源を供給する電池105と、変調部106と、送信部107と、送信電力制御部108と、送信電波と受信電波を切り替える切替え部109と、アンテナ110と、受信部111と、復調部112と、受信レベル検出部113で構成される。
無線ノード100から送信する場合、CPU101は、ワークメモリとしてRAM103を用いながらROM102に格納されているプログラム群の中から必要なプログラムを実行し、送信データS1を作成する。送信データS1は変調部106によって変調処理されてIF信号S2となり、IF信号S2は送信部107によって高周波変換および電力増幅される。このとき、送信電力制御部108は、CPU101が出力する送信電力レベルS7に応じた電力制御を送信部107に対して行う。電力増幅された高周波信号は、送信モードに設定された切替え部109によってアンテナ110に送り出され、電波として送信される。この際、CPU101が制御するチャンネル選択信号S3によって送信部107にチャンネル番号が指定され、指定されたチャンネルの周波数で高周波変換が行われる。チャンネル番号が異なれば使用する送信周波数も異なるので、無線ノード同士の衝突は回避されることになる。
無線ノード100が受信する場合、他の無線ノードなどを含む他局の電波がアンテナ110によって受信されて高周波信号となり、受信モードに設定された切替え部109によって受信部111に入力される。受信部111ではCPU101が制御するチャンネル選択信号S3によってチャネル番号が指定され、指定されたチャンネルの周波数で同調が行われてIF信号S4が抽出される。IF信号S4は、復調部112にて復調処理されて受信データS5が再生されてCPU101に入力される。同時に、IF信号S4の受信レベルは、受信レベル検出部113によって常時監視されており、監視結果として受信レベルS6をCPU101に入力するようになっている。受信レベル検出部113は、たとえば、ダイオードと増幅器を組み合わせた検波回路によって構成され、IF信号の包絡線信号を受信レベルとして出力する。
CPU101では、ソフトウエア処理によって送信データS1に誤り訂正符号を付加し、受信データS5に誤り訂正処理を施すことにより、伝送路が訂正能力内の符号誤り率である電波状態にある場合には、エラーフリーの送受信を行うことにより通信の信頼性を高めることができる。また、CPU101は、ROM102に格納されているプログラムを必要に応じて選択する。たとえば、無線ノードがアドホックグループを構築する際に必要な通信手順と処理プログラムは、グループ構築プログラムP1として格納されている。また、
無線ノードがグループマスターノードとして動作する場合の通信手順と処理プログラムは、親機動作プログラムP3に格納され、子ノードとして動作する場合の通信手順と処理プログラムは、子機動作プログラムP4に格納されている。また、グループマスターを交代する際の交代処理通信手順と処理プログラムは、交代制御プログラムP2に格納されている。
グループマスターを交代するタイミングやその他のCPU処理のために必要なタイミングは、タイマー104で常時計時処理が行われた計時結果からCPU101が必要に応じて算出し、それらタイミングを取得するようになっている。
図2は、本発明の実施の形態1における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図2において相互無線通信ネットワークシステム200は、複数の無線ノード201と、ホスト装置202と、ホスト装置202と無線ノード201を中継するゲートウエイ装置(GW)203で構成される。
複数の無線ノード201は、無線ネットワークシステムが構築されるエリアにランダムに設置された状態から始まる(初期状態)。ランダムに設置された複数の無線ノード201から、ネットワーク全体の無線ノード数と比較して十分に少数の無線ノード201からなるグループ206がいくつか形成されてゆく。その際、無線ノード201の中から暫定的にグループマスターノード204が立ち上がり、あらかじめ設定した子ノード数の無線ノードと接続を行ってグループ206を構成する。通常、初期状態の直後は各無線ノードの電池は満杯状態であるので、どの無線ノードがグループマスターになってもかまわない。このとき、子ノード205は暫定的なグループマスターノード204の配下に接続されている。また、暫定的なグループマスターノード間およびGW203間でも無線接続が行われ、グループ間のホッピング通信パスが形成されることによりネットワークシステムの基本形が形成される(グループ形成)。
その後、各グループ内で一定期間ごとに最適なグループマスターノードの再選出が行われてゆく。たとえば、子ノード205がグループマスターノード207に昇格し、グループマスターノード204が子ノード208に降格するなどして、処理負荷が高くて電池消耗が早いグループマスターノード役を持ち回りで交代していき、グループ内の電池残量の平準化が行われる。この再選出動作は、グループマスターノードに備えたタイマー104の計時結果をもとに一定期間ごとに行われる。新たに選出されたグループマスターノード207は、子ノード208との接続を開始するとともにグループ206間のホッピング通信も開始して相互無線通信ネットワークシステム200を形成し維持していく(運用状態)。
次に、本発明の実施の形態1の動作について、図3、図4、図5、図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施の形態1における伝送データフォーマットの図である。
グループマスターノードと子ノード間のデータ伝送は、同一無線周波数チャンネルにおいて、データスロットによるフレーミング形式で行われる。図6におけるフレームは、説明を簡潔にするため3スロットに限定している。すなわち、グループ内の子ノードの数は、ここでは3機である。
図6において、フレーム600は、フレームヘッダ601と、スロット#1のための同期信号である同期信号602と、スロット#1と、スロット#2のための同期信号である同期信号603と、スロット#2と、スロット#3のための同期信号である同期信号604と、スロット#3と、フレームフッタ605で構成される。
フレームヘッダ601は、子ノードのPLLが再生クロックを引き込むためのプリアンブルと、グループマスターノード固有の識別子と、誤り検出符号を備えている。また、同期信号602は、第1子ノードのPLLが再生クロックを再引き込みするためのプリアンブルと、第1子ノードを指定する識別子と、グループマスターノードから第1子ノードに対する制御情報などが格納されるデータフィールドと、誤り検出訂正符号を備えている。同期信号603、同期信号604についても、第2子ノード、第3子ノードに関して同期信号602と同様の構成になっている。フレームフッタ605は、フレーミングのオーバーランなどを防止するための終了識別子を備えている。
まず、電力制御前の状態での伝送動作を説明する。
電力制御前の状態では、グループマスターノード、各子ノードともに最大電力で送信し、グループマスターノードはフレーム600を繰り返し送信する。第1子ノードは、フレームヘッダ601に続く同期信号602を検出すると、スロット#1のタイミング期間に自局データであるスロット#1データ606を送信する。同様に、第2子ノードは、フレームヘッダ601に続く同期信号603を検出すると、スロット#2のタイミング期間に自局データであるスロット#2データ607を送信し、第3子ノードはフレームヘッダ601に続く同期信号604を検出すると、スロット#3のタイミング期間に自局データであるスロット#3データ608を送信する。このようにして、各子ノードは、自局データをグループマスターノードに送信することができる。
電力制御後の状態では、グループマスターノードはフレームヘッダ601とフレームフッタ605は最大電力で送信するが、各同期信号はスロットごとに必要最小限の電力で送信する。各子ノードも、後述の手順であらかじめグループマスターノードから自局宛の必要最小限電力値を受けて取っており、指定された電力値で自局のスロットデータを送信するようになっている。このようにして、送信電力の最適制御を行うことができる。
ここで、子ノードの送信するスロットデータは、グループマスターノードのPLLが再生クロックを引き込むためのプリアンブルと、送信元の子ノード番号を表す識別子と、子ノードからグループマスターノードに対する制御情報などが格納されるデータフィールドと、子ノードが収集したデータが格納されるデータフィールドと、誤り検出訂正符号を備えている。
図3は、本発明の第1実施形態におけるグループ構築動作を説明するフローチャートである。
まず、他の無線ノードを発見する手順を説明する。
全ての無線ノード201は、自局の送信電力を最大に設定し(ステップ301)、無線チャンネルをスキャンしながら各周波数チャンネルに暫定のグループマスターノードが送信する同期信号が存在するかどうかを調べる(ステップ302)。もし、同期信号が検出されていなければ、当該チャンネルではどの無線ノードもグループマスターノードになっていないので、グループマスターノード処理を開始する(ステップ303)。もし、同期信号が検出されたならば、すでに当該チャンネルには他の無線ノードがグループマスターノードとして存在しているので子ノード処理を開始する(ステップ313)が、最も近いグループマスターノードの子ノードになれば電池消耗の面から有利であるので、各無線チャンネルのスキャンをしながら(ステップ302)、同期信号の受信レベルが最大となるチャンネルを探し出す(ステップ314)。以上の手順によって、無線ノード同士がその存在を発見し合うことができる。
次に、グループを構築する手順を説明する。
グループマスターノード処理および子ノード処理において、まず、グループマスターノード204から当該チャンネルに同期信号を送信し(ステップ304)、子ノード205からの接続要求を待つ(ステップ305)。子ノード205では同期信号を正常受信するまで待ち(ステップ315)、同期信号を受信したら接続要求を送信する(ステップ316)。グループマスターノード204で子ノード205からの接続要求を受信したら(ステップ305)、当該子ノードが使用するスロット番号を送信する(ステップ306)。これらステップ305,306,307を全ての子ノードが出揃うまで繰り返し、所定数の子ノードとの接続を行う。すなわち、全てのスロットが各子ノードによって予約され、空きスロットが無くなるまで繰り返される。子ノードでは、自分に割り当てられたスロット番号を受信し(ステップ317)、獲得したスロット番号をRAM103の指定領域に記憶しておく。以上の手順によって、無線ノードによるグループを構築することができる。
次に、無線ノードごとに送信電力を制御する手順を説明する。
全てのスロットへの子ノード割当が完了したら、グループマスターノード204はスロットごとに当該同期信号の送信電力を若干絞り(ステップ308)、当該スロットデータに子ノードが乗せてくるテストデータが正常受信される下限までステップ308を繰り返す(ステップ309)。子ノードは、当該同期信号が正常受信されている限りは(ステップ319)、当該スロットにテストデータを送信するが(ステップ318)、相手側の電力の絞りすぎによって同期信号を正常受信できなければ、テストデータを正しくスロットに送信できなくなるので、空中線電力の下限を認知できる。例えば、スロット#1の場合、当該スロットの同期信号である同期信号602の送信電力を、スロット#1に第1子ノードが送信してくるテストデータが正常受信されなくなるまで絞っていくことになる。グループマスターノード204は、テストデータが正常受信され、なおかつ若干の電力マージンが残る程度の必要最小限の送信電力に設定し(ステップ310)、設定した値を最小電力情報として送信する(ステップ311)。これらステップ308〜311を、全スロットにおいて実行し(ステップ312)、自グループ内の全ての子ノードごとに必要最小限の送信電力を設定する。子ノードでは、自局宛の最小電力情報を受信し、獲得した最小電力情報をRAM103の指定領域に記憶するとともに、自局発の送信電力を当該電力値に設定する。以上の手順によって、グループマスターノードと各子ノード間の送信電力を必要最小限に制御できる。
ここでは、テストデータの送受信により送信相手ごとの必要最小限の送信電力を算出するように構成しているが、実際の運用データの送受信処理において、必要最小限の送信電力を算出するように構成することも可能である。
以上の各手順により、グループマスターノードと子ノードの接続が行われ、グループ構築動作が完了する。
図4は、本発明の実施の形態1におけるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図4では、例示的にグループマスターノードが第1子ノードと交代する手順を示す。
グループマスターノード204は、同期信号を送信し(ステップ401)、当該同期信号に対応したスロットからスロットデータを受信して(ステップ402)、全スロットのデータを受信し終わったら(ステップ403)、各子ノードに対してスロットデータ更新要求を送信する(ステップ404)。その時、グループマスターノードの交代時期かどうかを内蔵タイマー104の計時結果から判定し(ステップ405)、交代時期でなければステップ401に戻ってスロットデータ受信を継続し、交代時期ならば交代制御プログラムの起動を開始して(ステップ406)、時系列的に最初のスロットであるスロット#1を使用している第1子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ407)。
第1子ノードでは、自局宛の同期信号602を正常取得したら(ステップ410、411)、自スロットであるスロット#1にスロット#1データを送信する(ステップ412)。さらに、スロットデータ更新要求を受信するまで休止し(ステップ413)、スロットデータ更新要求を受信したら、自局宛の交代要求を受信したかをチェックする(ステップ414)。このとき、交代要求を受信していなかったらステップ410に戻って新たなスロットデータ送信を継続し、交代要求を受信したら交代制御プログラムの起動を開始して(ステップ415)、交代受付を送信する(ステップ416)。
グループマスターノード204は、第1子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ408)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ409)、グループマスターノードの機能を終了する。
第1子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ417)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ418)。なお、グループ内の第1子ノードも含め各子ノードは、グループマスターノード204からのフレーム600を常に受信しているため、グループマスターが送信するべきフレーム600内容を常にモニタしている。そのため、フレーム600中のグループマスター204固有の識別子と、子ノード205を指定する識別子を入れ替えるだけで即座にフレーム600の送信を継承することができるので、ステップ418のような交代送信が簡単にできる。
以上の各手順により、グループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
図5は、本発明の実施の形態1におけるグループ間のホッピング通信動作を説明する手順図である。
図5では、3グループ間でのホッピング通信動作を示し、具体的には、3機のグループマスターノード間でのホッピング通信の手順を説明する。
第1無線周波数チャンネルのグループマスターノードである前局501と、第2無線周波数チャンネルのグループマスターノードである自局502と、第3無線周波数チャンネルのグループマスターノードである次局503とで構成されるホッピング通信網において、前局501から自局502、自局502から次局503という順番で、順方向データをホッピング通信し、逆方向データが順方向データとは逆の経路でホッピング通信する。
まず、全ての局が共通に相互無線通信するために、無線周波数チャンネルをあらかじめ定めておいた共通チャンネルに設定する(ステップ504)。次に、前局501が中継要求505を自局502に送信する。自局502では中継要求を受信してもすぐには中継許可を返信せず、自局502からのホップ先である次局503との中継契約が確立することを優先する。そのため、自局502から次局503へ中継要求506を送信し、次局503がまたさらに先の局と中継契約した後に返信してくる中継許可507を受信して自局502と次局503との間で中継契約が成立する。その後、自局502が前局501に中継許可508を返信することにより、前局501と自局502の間で中継契約が確立する。
次に、前局501が自己のチャンネル番号509(第1チャンネル)を自局502に送信し、自局502が自己のチャンネル番号510(第2チャンネル)を前局501に送信して相手局のチャンネル番号を認知する。同様に、自局502と次局503の間でも相互にチャンネル番号を送信して相手局のチャンネル番号を認知する。以上の手順により、各グループマスターノード間のホッピング通信の通信経路が開設される。
ホッピング通信の通信経路が開設されたら、前局501と自局502の間のホッピング通信のため、前局501が送信無線周波数を相手局である自局502のチャンネルである第2チャンネルに設定し(ステップ511)、自局502が送信無線周波数を相手局である前局501のチャンネルである第1チャンネルに設定する(ステップ512)。このとき、受信無線周波数に関しては、それぞれ自己のチャンネルを使用する。これらのチャンネル設定により、前局501と自局502の間の相互無線通信が可能になるとともに、両局以外の他局、たとえば次局503への混信を防止できる。
チャンネル設定が完了したら、前局501が中継同期信号514を自局502に送信し、自局502が中継同期信号514を受信したら中継同期検出515を送信する。前局501で中継同期検出515を受信したら、順方向のデータ516を自局502に送信し、自局502がデータ516を正常受信したら、正常受信応答であるACK517を前局501に送信する。なお、自局502から前局501への逆方向のデータ送信に関しても、同様の逆手順で伝送が行われる。また、自局502と次局503の間のデータ伝送に関しても同様の手順を用いる。
以上の各手順により、各グループマスターノード間でホッピング通信を行うことができる。
このような構成と手順によれば、ネットワークを複数のグループに分割し、処理負荷の高いグループマスターを各無線ノードが順番に交代する構成になっているため、ネットワーク全体の無線ノード数と比較してはるかに少数の無線ノード数で構成されるグループ内で頻繁なグループマスター交代が実行されて無線ノードの偏った電池消耗を効率的に防止し、グループという限定されたネットワーク範囲内で、ネットワーク全体における無線ノード間の平均伝送距離よりはるかに短い平均伝送距離において常に親機と子機の相互無線通信を可能な状態にすることによりネットワーク全体の消費電力量を下げて無線ノードの平均電池寿命を延長できる。さらに、グループマスターノード間でホッピング通信を行うことにより、個々のグループマスターノードがGWまでの長距離通信を行うことなくデータ伝送ができるので、さらに電池消耗を防止することができる。
前述したような各効果により、無線ノードの電源である電池を、ネットワーク全体の各無線ノードに関して偏り無く均等に且つ省電力を行いながら消費することになるので、ネットワーク全体の寿命を延長することができる。
図1(b)は、本発明の第1実施形態における無線ノードの装置ブロック図であり、本発明の電源管理方法を電源管理装置として実現した場合の無線ノードの機能ブロックを示している。図1(b)において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図1(b)において、グループ構築部121と、交代制御部122と、親機動作部123と、子機動作部124が入出力制御部125を介して送受信機能各部を制御する。ブロック121〜125は、CPUとソフトウエアの組み合わせで実現しても良いし、ハードウエアで実現しても良い。
なお、変調部106と復調部112を個別のハードウエアブロックとして例示したが、速度的に間に合うならば、これらをCPU101でのソフトウエア処理としてもかまわない。また、データ伝送方式にデータスロットによるフレーミング形式を用いたが、他のデータ伝送方式を使用してもかまわない。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態における通信トラフィックによるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図7において、グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる交代トラフィック量をあらかじめ設定し(ステップ701)、各スロットデータの受信を行うとともに、各子ノードとの通信トラフィック量を子ノードごとに積算していく(ステップ702)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信トラフィック量がステップ701で設定した交代トラフィック量に達したかどうか検査し(ステップ703)、交代トラフィック量に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代トラフィック量に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ704)。このとき、各子ノードとの通信トラフィック量のうち、トラフィック量が最小の子ノードが最も電池残量に余裕があると推定されるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ705)。
子ノードでは、自局宛の交代要求が無ければスロットデータ送信処理を継続し(ステップ708)、交代要求があれば(ステップ709)、交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ710)、交代受付を送信する(ステップ711)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ706)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ707)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ712)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ713)。
以上の各手順により、通信トラフィック量を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態における無線ノードのブロック図である。
図8において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図8において、無線ノード800は、電池残量検出部801を備える。電池残量検出部801は、電池105の電圧などから残容量を検出し、電池残量レベルS8をCPU101に入力するようになっている。この構成により、CPU101は、電池残量を検査することができる。
このような構成の無線ノード800によって、電池残量を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図9のフローチャートを用いて説明する。
図9は、本発明の第7実施形態における電池残量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図9において、子ノードは、電池残量検出部801を用いて電池残量を検査し(ステップ908)、電池残量レベルS8をスロットデータに含めて送信する(ステップ909)。
グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ901)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードの電池残量の情報も収集する(ステップ902)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ901で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ903)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ904)。このとき、各子ノードの電池残量のうち、電池残量が最大の子ノードが最も電池に余裕があるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ905)。
子ノードでは、自局宛の交代要求が無ければ電池残量検査とスロットデータ送信処理を継続し(ステップ908,909,910)、交代要求があれば交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ911)、交代受付を送信する(ステップ912)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ906)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ907)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ913)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ914)。
以上の各手順により、電池残量を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
以上説明したような構成と手順によれば、無線ノードの電池残量そのものを手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを検知することができるので、より正確な基準でグループマスターノード交代を行うことができる。
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図10において、図2と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図10において、相互無線通信ネットワークシステム1000は、グループマスターノード205のグループ204と、グループマスターノード1001のグループ1002に分かれて運用されている(運用状態)。ここで、グループ1002内の各無線ノードの平均電池残量があらかじめ設定したレベル以下になると、グループマスターノード1001はその機能を終了し、同時にグループ1002内の全無線ノードがグループマスターノード205配下の子ノードになって、新しいグループ1006を形成する。そして、グループマスターノード205は、新しいグループマスターノード1003となる。すなわち、グループ1002がグループ204に吸収および合併される(グループ合併)。その後、グループ1006内で各無線ノードの電池残量をもとに偏りの少なくなるようスケジューリングされて、グループ1008とグループ1009に分離する(グループ分離)。分離後は、運用状態に入る。
このような構成の相互無線通信ネットワークシステム1000において、特に、グループ合併する手順について、図11のフローチャートを用いて説明する。
図11は、本発明の第4実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図11の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ1101)。まず、各子ノードからの電池残量を収集し、自己の電池残量と含めて自グループの平均電池残量を計算する(ステップ1102)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ1102で計算した平均電池残量を送信する(ステップ1103)とともに、自グループの平均電池残量があらかじめ設定したレベル以下かどうか評価する(ステップ1104)。
平均電池残量が設定レベル以下でなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ1105)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ1106)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1107)、同期信号を一旦停止する(ステップ1108)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ1109)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ1110)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ1104で自グループの平均電池残量が設定レベル以下であった場合、他グループからの平均電池残量から隣接グループの平均電池残量を評価して(ステップ1111)、設定レベル以上であれば合併要求処理に入り、設定レベル以下であれば近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ1112)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ1113)、合併許可を待つ(ステップ1114)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1115)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ1116)。その後、同期信号を停止して(ステップ1117)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ1118)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均電池残量の偏りが発生した場合、平均電池残量の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均電池残量の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、グループ合併する基準をグループの平均電池残量としているが、無線ノードの電池残量と相関のあるパラメータであれば、何を用いても同様の効果が得られる。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、電池残量の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図12において、図2と同じ構成要素については説明を省略する。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の電池残量があらかじめ設定したレベル以下になると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で電池残量の最も高い子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの電池残量の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均電池残量が著しく低下し、平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態における相互無線通信ネットワークシステムの構成図である。
図13において、図2と同じ構成要素については説明を省略する。
図13において、相互無線通信ネットワークシステム1300は、グループマスターノード1302と、子ノード1303と、もう一機の子ノードとで構成されるグループ1301を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1301内の子ノード1303の電池残量があらかじめ設定したレベル以下になると、グループマスターノード1302は、子ノード1303に切り離しコマンドを伝送した後に当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止する(子ノード切り離し)。子ノード1303の切り離しが完了したら、グループマスターノード1302は、既存の子ノードだけでグループを再構築する。切り離された子ノード1303は、新たなグループマスターノードからの同期信号を見いだせないため、送受信動作を停止してアイドリングしたまま電池寿命を終える(グループ縮小)。グループ縮小後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に電池残量が低下した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、電池消耗による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害などを回避することができる。
(第7実施形態)
前述した第2実施形態において、グループマスターノードがグループ内の各子ノードとの通信トラフィック量を監視するように構成しているが、各子ノードがそれぞれ自身の通信トラフィック量を監視してグループマスターに報告し、通信トラフィック量の最も少なかった子ノードとグループマスターを交代するように構成することが可能である。この例を第7実施形態として説明する。
図14は、本発明の第7実施形態における無線ノードのブロック図である。
図14において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図14において、無線ノード1400は、通信トラフィック検出部1401を備える。通信トラフィック検出部1401は、CPU101により送出するデータおよびCPU101により受信するデータを監視し、通信トラフィック情報S9をCPU101に入力するようになっている。この構成により、CPU101は、通信トラフィック検出部1401からの通信トラフィック情報S9に基づいて、所定期間における通信トラフィック量を積算することができる。
このような構成の無線ノード1400によって、通信トラフィック量を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図15のフローチャートを用いて説明する。
図15は、本発明の第7実施形態における通信トラフィック量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図15において、子ノードは、通信トラフィック検出部1401を用いて通信トラフィック量を検査し(ステップ1508)、通信トラフィック情報S9をスロットデータに含めて送信する(ステップ1509)。
グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ1501)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードの通信トラフィック量の情報も収集する(ステップ1502)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ1501で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ1503)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ1504)。このとき、各子ノードの通信トラフィック量のうち、通信トラフィック量が最小である子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ1505)。
子ノードでは、自局宛の交代要求が無ければ、通信トラフィック量の検査とスロットデータ送信処理を継続し(ステップ1508,1509,1510)、交代要求があれば交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ1511)、交代受付を送信する(ステップ1512)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ1506)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ1507)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ1513)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ1514)。
以上の各手順により、通信トラフィック量を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
以上説明したような構成と手順によれば、無線ノードの電池消耗量と高い相関関係にある通信トラフィック量を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを検知することができる。
(第8実施形態)
図10(第4実施形態)に示すような相互無線通信ネットワークにおけるグループの合併・分離を、各無線ノードの通信トラフィック量をトリガーとして実行するように構成することができる。このような場合を第8実施形態として以下に説明する。
この第8実施形態では、各無線ノードは、第7実施形態と同様に、図14に示すような通信トラフィック検出部1401を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの通信トラフィック情報を受信して、これに基づいてグループの合併・分離を行うこととする。
図16は、本発明の第8実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図16の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ1601)。まず、各子ノードからの通信トラフィック量を収集し、自己の通信トラフィック量と含めて自グループの平均通信トラフィック量を計算する(ステップ1602)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ1602で計算した平均通信トラフィック量を送信する(ステップ1603)とともに、自グループの平均通信トラフィック量があらかじめ設定したレベルを超えたかどうか評価する(ステップ1604)。
平均通信トラフィック量が設定レベルを超えていなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ1605)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ1606)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1607)、同期信号を一旦停止する(ステップ1608)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ1609)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ1610)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ1604で自グループの平均通信トラフィック量が設定レベルを超えている場合、他グループからの平均通信トラフィック量から隣接グループの平均通信トラフィック量を評価して(ステップ1611)、設定レベル以下であれば合併要求処理に入り、設定レベルを超えている場合には近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ1612)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ1613)、合併許可を待つ(ステップ1614)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1615)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ1616)。その後、同期信号を停止して(ステップ1617)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ1618)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均通信トラフィック量の偏りが発生した場合、平均通信トラフィック量の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均通信トラフィック量の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、通信トラフィック量の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第9実施形態)
図12(第5実施形態)に示したようなグループ間における子ノードの交換処理を、各無線ノードの通信トラフィック量をトリガーとして実行するように構成することが可能である。このような場合を第9実施形態として以下に示す。
この第9実施形態についても、各無線ノードは、第7実施形態と同様に、図14に示すような通信トラフィック検出部1401を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの通信トラフィック情報を受信して、これに基づいてグループ間の子ノードの交換を行うこととする。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の通信トラフィック量があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で通信トラフィック量の最も少ない子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの通信トラフィック量の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均通信トラフィック量の平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第10実施形態)
各無線ノードの再送回数を監視し、この再送回数を手がかりにグループマスターノードを交代するように構成することが可能である。このような場合を第10実施形態として以下に説明する。
図17は、本発明の第10実施形態における無線ノードのブロック図である。
図17において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図17において、無線ノード1700は、再送回数検出部1701を備える。再送回数検出部1701は、送信した同期信号に対する返送データを所定時間内に受信しなかった場合に同一データを再度送信する場合にこれをカウントし、積算した再送回数情報S10をCPU101に送信する。
このような構成の無線ノード1700によって、再送回数を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図18のフローチャートを用いて説明する。
図18は、本発明の第10実施形態における再送回数によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図18において、グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ1801)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードとの通信におけるスロットデータの再送回数も積算する(ステップ1802)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ1801で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ1803)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ1804)。このとき、各子ノードの再送回数積算のうち、再送回数が最小の子ノードが最も電池に余裕があると推定されるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ1805)。
子ノードでは、交代要求があれば(ステップ1808)、交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ1809)、交代受付を送信する(ステップ1810)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ1806)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ1807)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ1811)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ1812)。
以上の各手順により、通信の再送回数を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
このような構成と手順によれば、無線ノードの電池残量を検出することなく、電池消耗量と相関関係にある通信再送回数を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
(第11実施形態)
図10(第4実施形態)に示すような相互無線通信ネットワークにおけるグループの合併・分離を、各無線ノードの再送回数をトリガーとして実行するように構成することができる。このような場合を第11実施形態として以下に説明する。
この第11実施形態では、各無線ノードは、第10実施形態と同様に、図17に示すような再送回数検出部1701を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの再送回数情報を受信して、これに基づいてグループの合併・分離を行うこととする。
図19は、本発明の第11実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図19の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ1901)。まず、各子ノードからの再送回数を収集し、自己の再送回数と含めて自グループの平均再送回数を計算する(ステップ1902)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ1902で計算した平均再送回数を送信する(ステップ1903)とともに、自グループの平均再送回数があらかじめ設定したレベルを超えたかどうか評価する(ステップ1904)。
平均再送回数が設定レベルを超えていなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ1905)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ1906)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1907)、同期信号を一旦停止する(ステップ1908)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ1909)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ1910)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ1904で自グループの平均再送回数が設定レベルを超えている場合、他グループからの平均再送回数から隣接グループの平均再送回数を評価して(ステップ1911)、設定レベル以下であれば合併要求処理に入り、設定レベルを超えている場合には近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ1912)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ1913)、合併許可を待つ(ステップ1914)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ1915)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ1916)。その後、同期信号を停止して(ステップ1917)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ1918)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均再送回数の偏りが発生した場合、平均再送回数の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均再送回数の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、再送回数の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第12実施形態)
図12(第5実施形態)に示したようなグループ間における子ノードの交換処理を、各無線ノードの再送回数をトリガーとして実行するように構成することが可能である。このような場合を第12実施形態として以下に示す。
この第12実施形態についても、各無線ノードは、第10実施形態と同様に、図17に示すような再送回数検出部1701を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの再送回数情報を受信して、これに基づいてグループ間の子ノードの交換を行うこととする。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の再送回数があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で再送回数の最も少ない子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの再送回数の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均再送回数の平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第13実施形態)
図13(第6実施形態)に示すようなグループ内の子ノードの切り離し処理を、再送回数をトリガーとして実行する構成とすることができる。この場合を第13実施形態として以下に説明する。なお、この第13実施形態についても、各無線ノードは、第10実施形態と同様に、図17に示すような再送回数検出部1701を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの再送回数情報を受信して、これに基づいてグループ内の子ノードの切り離しを行うこととする。
図13において、相互無線通信ネットワークシステム1300は、グループマスターノード1302と、子ノード1303と、もう一機の子ノードとで構成されるグループ1301を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1301内の子ノード1303の再送回数があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1302は、子ノード1303に切り離しコマンドを伝送した後に当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止する(子ノード切り離し)。子ノード1303の切り離しが完了したら、グループマスターノード1302は、既存の子ノードだけでグループを再構築する。切り離された子ノード1303は、新たなグループマスターノードからの同期信号を見いだせないため、送受信動作を停止してアイドリングしたまま電池寿命を終える(グループ縮小)。グループ縮小後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に再送回数が増大した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、再送回数の増加による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害などを回避することができる。
(第14実施形態)
各無線ノードの符号誤り率を監視し、この符号誤り率を手がかりにグループマスターノードを交代するように構成することが可能である。このような場合を第14実施形態として以下に説明する。
図20は、本発明の第14実施形態における無線ノードのブロック図である。
図20において、図1(a)と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図20において、無線ノード2000は、符号誤り率検出部2001を備える。
このような構成の無線ノード2000によって、符号誤り率を手がかりにグループマスターノードを交代する手順を図21のフローチャートを用いて説明する。
図21は、本発明の第14実施形態における符号誤り率によるグループマスター交代動作を説明するフローチャートである。
図21において、グループマスターノード204は、グループマスターノード交代時期の判断基準となる時間をあらかじめ設定し(ステップ2101)、各スロットデータの受信を行うとともに子ノードとの通信における符号誤り率も取得する(ステップ2102)。全スロットのデータを受信したら、各子ノードとの通信時間がステップ2101で設定した交代時間に達したかどうか検査し(ステップ2103)、交代時間に達していなければスロットデータ受信を継続し、どれか1つの子ノードでも交代時間に達していれば交代制御プログラムの起動を開始する(ステップ2104)。このとき、各子ノードの符号誤り率のうち、符号誤り率が最小の子ノードが最も電池に余裕があると推定されるので、当該子ノードに対して交代要求を送信する(ステップ2105)。
子ノードでは、交代要求があれば(ステップ2108)、交代制御プログラムの起動を開始し(ステップ2109)、交代受付を送信する(ステップ2110)。
グループマスターノード204は、子ノードからの交代受付を受信したら(ステップ2106)、各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605の送信を停止して(ステップ2107)、グループマスターノードの機能を終了する。
子ノードでは、同期信号が停止したことを確認したら(ステップ2111)、グループマスターノード204に代わって各同期信号およびフレームヘッダ601とフレームフッタ605を、最大の送信電力で送信開始する(ステップ2112)。
以上の各手順により、通信の符号誤り率を交代基準としたグループマスター交代動作が完了する。図2の例示によれば、グループマスターノード204が子ノード208に移行し、子ノード205がグループマスターノード207に移行したことになる。
このような構成と手順によれば、無線ノードの電池残量を検出することなく、電池消耗量と相関関係にある符号誤り率を手がかりにしてグループマスターを交代するタイミングを正しく検知することができる。
なお、ステップ2102での符号誤り率の取得は、グループマスターノードのCPU101で受信データS5へ誤り訂正処理を施す際に算出することができる。また、外符号を用いた場合は、復調部112から符号誤り率を取得してもよい。
(第15実施形態)
図10(第4実施形態)に示すような相互無線通信ネットワークにおけるグループの合併・分離を、各無線ノードの符号誤り率をトリガーとして実行するように構成することができる。このような場合を第15実施形態として以下に説明する。
この第15実施形態では、各無線ノードは、第14実施形態と同様に、図20に示すよう符号な誤り率検出部2001を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの符号誤り率情報を受信して、これに基づいてグループの合併・分離を行うこととする。
図22は、本発明の第15実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャートである。
図22の処理に入る前に、各グループマスターノードは、ホッピング通信によって自グループと他グループの構成情報を交換しておき、他グループの構成情報、すなわち、そのグループの識別子、無線ノードの総数、使用している無線周波数チャンネルなどの情報を共有している。
まず、グループ合併を受け入れる側の手順を説明する。
グループマスターノードは、無線周波数チャンネルを共通チャンネルに設定しホッピング通信を用いて処理を進める(ステップ2201)。まず、各子ノードからの符号誤り率を収集し、自己の符号誤り率と含めて自グループの平均符号誤り率を計算する(ステップ2202)。そして、他のグループマスターノードに対してステップ2202で計算した平均符号誤り率を送信する(ステップ2203)とともに、自グループの平均符号誤り率があらかじめ設定したレベルを超えたかどうか評価する(ステップ2204)。
平均符号誤り率が設定レベルを超えていなければ、他のグループマスターノードからグループ合併要求を受信したかどうかを調べ(ステップ2205)、グループ合併要求を受信しなかったら処理を終了する。グループ合併要求を受信した場合、続いて合併処理に入る。合併処理では、まず、合併許可を送信して相手グループに合併受け入れの意志を示す(ステップ2206)。その後、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ2207)、同期信号を一旦停止する(ステップ2208)。ここで、自グループと相手グループの無線ノード数から所要スロット数を計算し(ステップ2209)、スロット数を増加して同期信号の送信を再開する(ステップ2210)。
次に、グループ合併を要求する側の手順を説明する。
ステップ2204で自グループの平均符号誤り率が設定レベルを超えている場合、他グループからの平均符号誤り率から隣接グループの平均符号誤り率を評価して(ステップ2211)、設定レベル以下であれば合併要求処理に入り、設定レベルを超えている場合には近隣に合併できるグループが無いので、全体のパフォーマンスを落とすなどして縮退運転に入る(ステップ2212)。
合併要求処理では、まず、合併先にグループ合併要求を送信し(ステップ2213)、合併許可を待つ(ステップ2214)。合併許可を得たら、無線周波数を自チャンネルに戻し(ステップ2215)、自グループの子ノードに対して合併先の無線周波数チャンネルを送信して告知する(ステップ2216)。その後、同期信号を停止して(ステップ2217)、合併先のチャンネルに設定する(ステップ2218)。
以上の各手順により、グループの合併動作が完了する。
このような構成と手順によれば、グループ間でグループの平均符号誤り率の偏りが発生した場合、平均符号誤り率の差異に開きのある複数のグループが合併した後に再分離することによって平均符号誤り率の偏りを緩和することができる。
なお、ここではグループ合併および分離するグループ数を2としたが、2グループを越える複数のグループを合併および分離させてもかまわない。また、合併するグループ数と分離するグループ数を同数として説明したが、再送回数の平準化の具合によって、合併前と合併・分離後のグループ数は必ずしも一致しなくてもかまわない。
(第16実施形態)
図12(第5実施形態)に示したようなグループ間における子ノードの交換処理を、各無線ノードの符号誤り率をトリガーとして実行するように構成することが可能である。このような場合を第16実施形態として以下に示す。
この第16実施形態についても、各無線ノードは、第14実施形態と同様に、図20に示すような符号誤り率検出部2001を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの符号誤り率情報を受信して、これに基づいてグループ間の子ノードの交換を行うこととする。
図12において相互無線通信ネットワークシステム1200は、グループマスターノード1202と、子ノード1203と、子ノード1204とで構成されるグループ1201と、グループマスターノード1206と、子ノード1207と、子ノード1208とで構成されるグループ1205を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1201内の子ノード1203の符号誤り率があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1202はグループマスターノード1206に子ノードの交換要求を送信する。交換要求を受信したグループマスターノード1206は、自グループ内で符号誤り率の最も少ない子ノード1207を交代要員とする。その後、交換される子ノード1203と子ノード1207は、自グループのグループマスターノードから切り離しコマンドを受信し、当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止されることによりグループから切り離される。切り離された各子ノードは、それぞれ交換先のグループの無線周波数チャンネルに切り換え、新しいグループマスターノードからの交信要求を手がかりに相互通信を開始する(子ノード交換)。子ノードの交換が完了したら、各グループマスターノードは、既存の子ノードと新規に交換した子ノードによる新しいグループ1209およびグループ1210を再構築する(再グループ化)。再グループ化後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代だけでは無線ノードの符号誤り率の偏りを十分に解消できないような極端に大きな偏りが発生した場合、グループ間で無線ノードを交換することによってその偏りを解消することができる。
なお、グループマスターノードが他からの交代要求を受信しても、自グループ内から交代要員を出すことによって自グループの平均符号誤り率の平準化が困難になる場合は、前記交代要求を拒否する事ができる。交代要求を拒否されたグループマスターノードは、当該グループとの子ノード交換を断念し、その他のグループへ交代要求を送信して交代先を探してもよいし、交代処理そのものを断念して縮退運転に入ってもよい。
(第17実施形態)
図13(第6実施形態)に示すようなグループ内の子ノードの切り離し処理を、符号誤り率をトリガーとして実行する構成とすることができる。この場合を第17実施形態として以下に説明する。なお、この第17実施形態についても、各無線ノードは、第14実施形態と同様に、図20に示すような符号誤り率検出部2001を備える構成であるものとし、グループマスターノードがグループ内の子ノードからの符号誤り率情報を受信して、これに基づいてグループ内の子ノードの切り離しを行うこととする。
図13において、相互無線通信ネットワークシステム1300は、グループマスターノード1302と、子ノード1303と、もう一機の子ノードとで構成されるグループ1301を構成要素として備えている(運用状態)。ここで、グループ1301内の子ノード1303の符号誤り率があらかじめ設定したレベルを超えると、グループマスターノード1302は、子ノード1303に切り離しコマンドを伝送した後に当該子ノードが使用しているスロットの同期信号を停止する(子ノード切り離し)。子ノード1303の切り離しが完了したら、グループマスターノード1302は、既存の子ノードだけでグループを再構築する。切り離された子ノード1303は、新たなグループマスターノードからの同期信号を見いだせないため、送受信動作を停止してアイドリングしたまま電池寿命を終える(グループ縮小)。グループ縮小後は、運用状態に入る。
このような構成と手順によって、グループ内でのグループマスター交代やグループ間の合併やグループ間での無線ノード交換によっても極端に符号誤り率が増大した無線ノードが発生した場合、当該無線ノードをグループから強制的に切り離すことにより、符号誤り率の増加による無線ノードの誤動作が原因となるネットワーク障害などを回避することができる。
以上のような構成の無線ノードを用いれば、図2の相互無線通信ネットワークシステム200に示すようなトポロジーを持つセンサーネットワークシステムを容易に構築することができる。特に、本発明によれば、各無線ノードによるアドホックネットワークシステムを自動的かつ自立的に構成できるので、広範囲にわたる大規模なネットワークシステムを高価な設置コストを必要とせず簡単に実現でき、しかも全ての無線ノードが平準化された電源管理の元で運用されるため、運用寿命の長い信頼性のあるネットワークシステムを提供できる。
本発明に係る電源管理方法におけるトポロジー効果をシミュレートするために、図23(a)に示すようなゲートウェイGWを中心として、半径の値がdずつ増加する同心円上に、等間隔dで無線ノードが配置されたモデルを使用する。
このとき、ゲートウェイGWから半径rの円周上に存在する無線ノード数は2πrである。無線通信の所要送信電力Pは、通信局間の距離の3乗に比例することから、
P=(無線ノード数)×(距離の3乗)×2
となる。
なお、この式において2をかけるのは、ENQ/ACKの双方向通信でひとつのセッションが成り立つからである。
従来例では、各無線ノードがゲートウェイGWと通信を行うことから、従来例における所要電力P0は、
本発明では、無線ノードを複数のグループに分割し、グループ内でピコネット通信を行うとともに、グループ間でアドホックホッピング通信を行ってゲートウェイGWに到達する構成となっていることから、本発明の所要電力P1は、
P1=(ピコネット通信の所要電力)+(ホッピング通信の所要電力)
であり、(ピコネット通信の所要電力)Ppは、
なお、dは無線ノード間隔であるため、1にノーマライズされる。また、間隔dで密に配置された無線ノードのホッピング間隔は3dに近似されることから、ゲートウェイGWまでのホッピング数はr/3となる。
また、アドホックホッピング時の同期確立手順により最低2回のセッションを要する。
さらに、グループ数をg、グループ内の無線ノード数をmとすれば、g=2πr/mであることから、(ホッピング通信の所要電力)Phは、
1つのグループマスターノードに対して4つの子ノードを含むグループを構成するようなm=5のモデルを想定した場合、本発明の所要電力P1は、
このようなシミュレーション結果を図23(b)に示す。図23(b)に示すように、無線ノード数が増加すると従来例の場合では飛躍的に総電力が増加するのに対し、本発明の場合では、送信総電力を抑えることができるのがわかる。
なお、前述した実施形態において、フレーム600中のフレームヘッダ601にはグループマスターノード固有の識別子を備え、各同期信号には各同期信号に対応する子ノードを指定する識別子を備え、各スロットデータには送信元の子ノード番号を表す識別子を備えているが、これら識別子は、当該各無線ノードが個別に持つユニークな機械的固有番号であってもよいし、当該各無線ノードに割り振られた自由名称であってもよい。自由名称を用いる場合は、当該ネットワークシステム中に、無線ノードの自由名称と当該無線ノードの機械的固有番号を結びつける名前解決ノードや名前解決サーバーを備えておけばよい。
また、各実施形態において、空中線伝送路でのデータ伝送時に、さらに外符号処理としてインターリーブ処理と誤り訂正符号化処理を施してからデータ伝送すれば通信の信頼性が向上する。そのとき、外符号処理は、エンコード処理が変調部106の入力段に設けられ、デコード処理が復調部112の出力段に設けられることが望ましい。また、誤り訂正符号には、畳み込み符号やターボ符号などの連続的な符号誤りに対して有効な性能を示すものを用いれば、通信の信頼性がさらに向上する。
本発明にかかる無線ノードの電源管理方法は、相互無線ネットワークシステムを構成する電池駆動の無線端末である無線ノードの電池寿命を、ネットワーク全体に渡って均等に延ばすための電源管理手段に利用可能である。また、無線アドホック通信によるセンサーネットワークシステム等の用途にも応用可能である。
本発明の第1実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第1実施形態における無線ノードの装置ブロック図。
本発明の第1実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第1実施形態におけるグループ構築動作を説明するフローチャート。
本発明の第1実施形態におけるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第1実施形態におけるグループ間のホッピング通信動作を説明する手順図。
本発明の第1実施形態における伝送データフォーマットの説明図。
本発明の第2実施形態における通信トラフィックによるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第3実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第3実施形態における電池残量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第4実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第4実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第5実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第6実施形態における相互無線通信ネットワークの構成図。
本発明の第7実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第7実施形態における通信トラフィック量によるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第8実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第10実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第10実施形態における再送回数によるグループマスター交代動作を説明するフローチャート。
本発明の第11実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第14実施形態における無線ノードのブロック図。
本発明の第14実施形態における符号誤り率によるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明の第15実施形態におけるグループ合併動作を説明するフローチャート。
本発明のトポロジーシミュレーションモデルの説明図。
本発明のトポロジー効果をシミュレートした結果を示す所要電力特性図。
従来の無線ノードの電源管理方法の構成図。