JPWO2006051940A1 - L−オルニチン結晶およびその製造方法 - Google Patents

L−オルニチン結晶およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

L−オルニチンの結晶、ならびに(i)L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物あるいはそれらを含有する溶液を陽イオン交換樹脂に付し、L−オルニチンを該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程、(ii)L−オルニチンを吸着させた該陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程、および(iii)該L−オルニチン水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法などを提供する。

Description

本発明は、L−オルニチンの結晶(L−オルニチン結晶)およびその製造方法に関する。
L−オルニチンは、栄養強化添加物や医薬品などの成分として広く用いられている。
しかしながら、L−オルニチンは、その遊離塩基を結晶として取得することが難しいことから、通常、塩酸塩などの塩の形態で流通している(シグマ社製品カタログ2004−2005年版)。
L−オルニチンを例えば栄養強化などの目的で輸液などの成分として用いる場合、例えば塩酸塩をそのまま利用するとアシドーシス症状を引き起こす恐れがある。また、塩素イオンを多量に含む輸液を投与することは、特に腎疾患患者などでは好ましくない。さらに、L−オルニチンを栄養強化添加物などとして食品などに混合して、またはそのまま経口で用いる場合、例えば塩酸塩では、その苦味のため利用が難しくなることはよく知られている。そのため、遊離塩基としてのL−オルニチンが求められているが、上述した通り、L−オルニチン結晶を取得することは難しい。一般に非結晶のアミノ酸は吸湿性が高く、流通形態としては好ましくない。従って、流通形態として良好なL−オルニチン結晶およびその製造方法が求められている。
一方、遊離塩基であるL−オルニチンの水溶液(L−オルニチンの水溶液)などの使用が知られているが、該L−オルニチンの水溶液からL−オルニチン結晶を取得する方法は知られていない(特許文献1〜3参照)。また、L−オルニチンを含む遊離塩基であるアミノ酸の水溶液を十分乾燥させることにより遊離のアミノ酸を結晶状で取得できることが知られているが、L−オルニチン結晶に関する具体的な記載はない(特許文献4参照)。
特公昭46−3194号公報 特開平4−364155号公報 特開昭55−136254号公報 特開2003−144088号公報
本発明の目的は、L−オルニチンの供給源として優れたL−オルニチン結晶およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(11)に関する。
(1)L−オルニチンの結晶。
(2)L−オルニチンの含有量が95重量%以上である(1)記載の結晶。
(3)L−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法。
(4)L−オルニチンの水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法。
(5)(i)L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物あるいはそれらを含有する溶液を陽イオン交換樹脂に付し、L−オルニチンを該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程、(ii)L−オルニチンを吸着させた該陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程、および(iii)該L−オルニチン水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法。
(6)L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物を含有する溶液がL−オルニチン培養液である(5)記載の製造方法。
(7)アルカリ水溶液がアンモニア水である(3)、(5)または(6)記載の製造方法。
(8)溶出液からアルカリ成分を除去する方法が溶出液の濃縮である(3)または(5)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)親水性有機溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる溶媒である(4)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)親水性有機溶媒がメタノールまたはエタノールである(4)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(11)(i)L−オルニチンを陽イオン交換樹脂に付し、該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程、(ii)L−オルニチンを吸着させた該陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程、および(iii)該L−オルニチン水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの精製方法。
本発明により、L−オルニチンの供給源として優れたL−オルニチン結晶およびその製造方法が提供される。
本発明のL−オルニチン結晶におけるL−オルニチンの含有量は好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上である。該結晶は、5重量%未満の、好ましくは3重量%未満の水分を含有していてもよく、更に、5%重量未満の、好ましくは3重量%未満のメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの親水性有機溶媒を含有していてもよい。
本発明のL−オルニチン結晶には、複数の結晶形が存在するが、本発明のL−オルニチン結晶は、これら全ての結晶形を包含する。
本発明のアルカリ成分とは、例えばL−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出して得られた溶出液中に含有するL−オルニチン以外のアルカリ性を示す成分のことであり、より具体的には、例えば水酸化ナトリウムを含有する溶出液の場合(例えば水酸化ナトリウム水溶液で溶出した場合)は水酸化ナトリウムであり、炭酸ナトリウムを含有する溶出液の場合(例えば炭酸ナトリウム水溶液で溶出した場合)は炭酸ナトリウムであり、アンモニアを含有する溶出液の場合(例えばアンモニア水で溶出した場合)はアンモニアである。
次に、本発明のL−オルニチン結晶の製造方法について説明する。
本発明のL−オルニチン結晶の製造方法の原料としては、種々の形態のL−オルニチンを用いることができるが、例えばL−オルニチンもしくはその塩、それらを含有する組成物、それらを含有する水溶液などの溶液(L−オルニチン溶液)、L−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂などが用いられる。原料に含まれるL−オルニチンは、例えば発酵法により製造されたもの、化学合成法により製造されたもの、発酵法と化学合成法を組み合わせて製造されたものなどいずれの方法によって製造されたものであってもよい。
上記のL−オルニチンの塩としては、例えば、L−オルニチン・塩酸塩(シグマ社製品カタログ2004−2005年版)、L−オルニチン・L−アスパラギン酸塩(特開平4−364155)、L−オルニチン・リンゴ酸塩(特開昭55−136254)、L−オルニチン・コハク酸塩(CAS Registry No.24870−67−5)などがあげられる。
上記のL−オルニチンまたはその塩を含有する組成物としては、上記のL−オルニチンまたはその塩を含有していれば特に限定されないが、例えば、L−オルニチンを含有する発酵生産物(例えば、L−オルニチンと菌体、酸、塩基、無機塩、溶媒などとの混合物など)、L−オルニチンとその製造に用いた物質との混合物(例えば、L−オルニチンとその製造に用いた溶媒、無機塩などとの混合物など)、上記のL−オルニチンの塩を含有する組成物などがあげられる。
上記のL−オルニチン溶液としては、上記のL−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物が水、親水性有機溶媒またはそれらの混合溶媒に溶解した溶液であれば特に限定されないが、例えば、L−オルニチンの水溶液、市販のL−オルニチン・塩酸塩などを水に溶解したL−オルニチンを含有する水溶液、発酵法により得られるL−オルニチン培養液などがあげられ、好ましくはL−オルニチン培養液があげられる。
本発明で用いられる上記L−オルニチン培養液は、例えば、従来公知の発酵法により得ることができる。すなわち、L−オルニチン生産菌、例えばコリネバクテリウム・グルタミカム、コリネバクテリウム・アセトアジドフィラム、コリネバクテリウム・ハーキュリス、コリネバクテリウム・リリウム、ブレビバクテリウム・ディバリカツム、ブレビバクテリウム・フラブム、ブレビバクテリウム・イマリオフィラム、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム、ブレビバクテリウム・チオゲンタリスなどを炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンなどを含有する通常の培地中、好気的条件下、温度、pHなどを適宜調整しながら培養すると、培養物中にL−オルニチンが生成し蓄積するので、該培養物から上記L−オルニチン培養液を得ることができる。上記の培地としては、炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンなどL−オルニチン生産菌の増殖、およびL−オルニチンの生合成に必要な栄養素を含む限り、合成培地、天然培地のいずれでもよい。炭素源としては、使用する微生物の資化できる炭素源であればいずれでもよく、例えば、グルコース、フラクトースのような糖質、エタノール、グリセロールのようなアルコール類、酢酸のような有機酸類などをあげることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、アミンなどの窒素化合物、ペプトン、大豆加水分解物のような天然窒素源などをあげることができる。無機塩としては、例えば、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、炭酸カリウムなどをあげることができる。ビタミンとしては、例えば、ビオチン、チアミンなどをあげることができる。培養に際しては、さらに必要に応じてL−オルニチン生産菌が生育に要求する物質(例えばアミノ酸要求性の微生物であれば要求アミノ酸)を添加することができる。培養は、好ましくは振とう培養や通気攪拌培養のような好気的条件で行う。培養温度は20〜50℃、好ましくは20〜42℃、より好ましくは28〜38℃である。培養pHは5〜9、好ましくは6〜7.5である。培養時間は、5時間〜5日間、好ましくは16時間〜3日間である。培養物からの培養液と菌体との分離は、従来公知の方法により行うことができ、例えば濾過または遠心分離などにより培養液と菌体を分離する場合は、ヌッチェ、フィルタープレス、ラバル型遠心分離器などを用いることができる。このとき、培養物は塩酸、硫酸、硝酸など、好ましくは硫酸を添加し、pHを1.5〜3.8、好ましくは1.5〜1.8に調整しておくことが好ましい。
本発明のL−オルニチン結晶の製造方法は、(i)L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物あるいはそれらを含有する溶液を陽イオン交換樹脂に付し、L−オルニチンを該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程、(ii)L−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程、および(iii)L−オルニチンの水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程の少なくとも1つを含む。
(i)L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物あるいはそれらを含有する溶液を陽イオン交換樹脂に付し、L−オルニチンを該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程は、上記のL−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物あるいはL−オルニチン溶液中に含まれるL−オルニチンを陽イオン交換樹脂に吸着させる工程である。具体的には、例えば上記のL−オルニチン溶液または上記のL−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物を水、有機溶媒などの溶媒に溶解した溶液を、陽イオン交換樹脂を充填したカラムなどに通塔することにより、L−オルニチンを該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程である。通塔後、必要に応じ水などで該陽イオン交換樹脂を洗浄するのが好ましい。用いられる陽イオン交換樹脂としては、例えば強酸性陽イオン交換樹脂があげられ、具体的には、スチレンジビニルベンゼン共重合体からなるスルホン酸を交換基として備えたゲル型強酸性カチオン交換樹脂などがあげられ、より具体的には、ダウエックスHCR−S、ダウエックスHCR−W2、ダウエックスHGR−W2、ダウエックス・マラソンC(以上、ダウケミカル社製)、ダイアイオンSK1B、ダイアイオンSK102、ダイアイオンSK104、ダイアイオンSK110、ダイアイオンSK112、ダイアイオンSK116(以上、三菱化学社製)などがあげられる。
(ii)L−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程は、例えばL−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂、好ましくは上記(i)の方法でL−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂から、アルカリ水溶液を用いL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程である。アルカリ水溶液としては、例えば1〜6mol/L、好ましくは1〜3mol/Lの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基の水溶液、1〜6mol/L、好ましくは1〜3mol/Lのアンモニア水、10〜80重量%、好ましくは10〜40重量%のメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミンなどの有機アミンの水溶液などがあげられる。中でもアンモニア水やメチルアミン、ジメチルアミンなどの低沸点の有機アミンの水溶液が好ましく、アンモニア水がより好ましい。
L−オルニチン水溶液は、上記のアルカリ水溶液で溶出したL−オルニチンを含有する溶出液を例えば塩酸、硫酸、酢酸などでL−オルニチンの等電点まで中和すること(アルカリ成分の除去)により得ることができる。このとき、得られた溶液は脱塩処理に付し、次工程(iii)に用いることが好ましい。脱塩処理方法としては、従来公知の方法などがあげられる。
また、アンモニア水などの上記の好ましいアルカリ水溶液を用いて溶出した場合、得られたL−オルニチンを含有する溶出液を減圧下で濃縮するだけで溶存するアンモニアなどのアルカリ成分を除去することができ、L−オルニチン水溶液を容易に調製することができる。例えば、アンモニア水などを溶出溶媒として用いる場合は、溶出液を、常圧下または減圧下で濃縮することによってL−オルニチン水溶液を得ることができる。減圧下での濃縮は、好ましくは140mmHg以下、より好ましくは40mmHg以下の減圧度で、好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜50℃の温度範囲で行われる。濃縮は、例えばL−オルニチンの濃度が200〜600g/L、好ましくは300〜400g/Lとなるまで行うことが好ましい。
(iii)L−オルニチンの水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程は、例えば、L−オルニチンの水溶液、好ましくは上記(ii)の方法により得られたL−オルニチン水溶液に、親水性有機溶媒を添加するか、または親水性有機溶媒中にL−オルニチンの水溶液、好ましくは上記(ii)の方法により得られたL−オルニチン水溶液を添加し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させることによりL−オルニチン結晶を得る工程である。
L−オルニチンの水溶液は、遊離塩基であるL−オルニチンを含有する水溶液であれば特に限定されないが、例えば上記(ii)で得られたL−オルニチン水溶液そのままで、または後述する所定の濃度に調整して用いることが好ましく、該L−オルニチン水溶液を活性炭などで処理することにより脱色して用いることがより好ましい。
親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあげられ、好ましくはメタノール、エタノールなどがあげられる。
L−オルニチンの水溶液に親水性有機溶媒を添加する場合、L−オルニチン結晶は、例えば、L−オルニチンの水溶液、好ましくは上記(ii)で得られたL−オルニチン水溶液に、攪拌下、0℃〜50℃で、好ましくは5℃〜室温で、より好ましくは室温で親水性有機溶媒を徐々に添加し、必要により放置、攪拌、冷却などの処理を行った後、析出した結晶を分離・乾燥することにより得ることができる。
上記(ii)で得られたL−オルニチン水溶液を用いる場合、上記(ii)で得られたL−オルニチン水溶液は、得られた水溶液そのままで用いることもできるが、L−オルニチンの濃度が、例えば600〜900g/L、好ましくは800〜900g/L、より好ましくは860〜880g/Lとなるように調整して用いることが好ましい。
親水性有機溶媒は、L−オルニチンの水溶液に対して、例えば1〜10倍量、好ましくは3〜8倍量、より好ましくは4〜6倍量用いられる。また、親水性有機溶媒を添加した後、例えば0℃〜室温で、好ましくは0℃〜10℃で5分間〜48時間攪拌することにより、L−オルニチン結晶の収率を向上させることができる。
分離・乾燥方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、析出したL−オルニチン結晶を遠心分離、単板濾過、ヌッチェなどを用いる減圧濾過などの操作により分離した後、例えば室温〜50℃、好ましくは室温で5〜90時間、好ましくは12〜72時間、減圧乾燥することにより、L−オルニチン結晶を得ることができる。
親水性有機溶媒中にL−オルニチンの水溶液を添加する場合、L−オルニチン結晶は、例えば、親水性有機溶媒中に攪拌下、0℃〜室温で、L−オルニチンの水溶液、好ましくは上記(ii)で得られたL−オルニチン溶液を徐々に添加し、析出した結晶を分離・乾燥することにより得ることができる。
上記(ii)で得られたL−オルニチン水溶液を用いる場合、上記(ii)で得られたL−オルニチン水溶液は、得られた水溶液そのままで用いることもできるが、L−オルニチンの濃度が、例えば600〜1000g/L、好ましくは850〜900g/Lとなるように調整して用いることが好ましい。
親水性有機溶媒は、添加するL−オルニチンの水溶液に対して、例えば10〜200倍量、好ましくは100〜150倍量用いられる。また、L−オルニチンの水溶液を添加した後、例えば、0℃〜室温で、好ましくは0℃〜10℃で5分間〜48時間攪拌することにより、L−オルニチン結晶の収率を向上させることができる。
分離・乾燥方法は、上記と同様の方法を用いることができる。
本発明の精製方法は、上記本発明の製造方法の説明で記載した事項に準じて行うことができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特開昭61−119194号に記載の方法に準じて得られたL−オルニチン培養物を遠心分離により菌体分離し、得られたL−オルニチン培養液を強酸性イオン交換樹脂(マラソンC(H型))を充填したカラムに導通した。このカラムを水500mLで洗浄した後、2mol/Lアンモニア水1000mLでL−オルニチンを溶出した。溶出液を約200mLまで濃縮した後、この溶液に活性炭2.5gを加え、60℃で30分間攪拌した。活性炭を濾別した後、濾液を70mLまで濃縮した。得られた濃縮液を室温で攪拌しながら、エタノール350mLを滴下した。次いで、得られた混合物を5℃に冷却し、48時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、エタノール350mLで洗浄したのち、20℃で3日間減圧乾燥することにより、L−オルニチン結晶を白色、柱状晶として得た。収率56.6%。
融点(DSC):150.5℃
赤外線吸収スペクトル(KBr,cm−1):1480.3,1447.5,1244.0,1144.7,933.5
結晶組成分析:第1表に示す。
Figure 2006051940
粉末X線結晶解析:RAD−X型(理学電機社製)により測定した。結果を第2表に示す。
Figure 2006051940
実施例1と同様にして、L−オルニチン培養液を強酸性イオン交換樹脂で処理し、溶出液を20mLまで濃縮した。得られた濃縮液を、室温でエタノール500mL中に攪拌しながら滴下した。析出した結晶を濾取し、エタノール75mLで洗浄した後、20℃で3日間減圧乾燥することにより、L−オルニチン結晶を白色、柱状晶として得た。収率61.1%。
融点(DSC):151.8℃
赤外線吸収スペクトル(KBr,cm−1):1480.3,1447.5,1244.0,1144.7,933.5
結晶組成分析:第3表に示す。
Figure 2006051940
粉末X線結晶解析:RAD−X型(理学電機社製)により測定した。結果を第4表に示す。
Figure 2006051940
本発明により提供される、L−オルニチンの結晶(L−オルニチン結晶)およびその製造方法などはL−オルニチンの供給源として有用である。

Claims (11)

  1. L−オルニチンの結晶。
  2. L−オルニチンの含有量が95重量%以上である請求項1記載の結晶。
  3. L−オルニチンを吸着させた陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法。
  4. L−オルニチンの水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法。
  5. (i)L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物あるいはそれらを含有する溶液を陽イオン交換樹脂に付し、L−オルニチンを該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程、(ii)L−オルニチンを吸着させた該陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程、および(iii)該L−オルニチン水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの結晶の製造方法。
  6. L−オルニチンもしくはその塩またはそれらを含有する組成物を含有する溶液がL−オルニチン培養液である請求項5記載の製造方法。
  7. アルカリ水溶液がアンモニア水である請求項3、5または6記載の製造方法。
  8. 溶出液からアルカリ成分を除去する方法が溶出液の濃縮である請求項3または5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 親水性有機溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる溶媒である請求項4〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 親水性有機溶媒がメタノールまたはエタノールである請求項4〜8のいずれかに記載の製造方法。
  11. (i)L−オルニチンを陽イオン交換樹脂に付し、該陽イオン交換樹脂に吸着させる工程、(ii)L−オルニチンを吸着させた該陽イオン交換樹脂からアルカリ水溶液でL−オルニチンを溶出し、得られた溶出液からアルカリ成分を除去しL−オルニチン水溶液を得る工程、および(iii)該L−オルニチン水溶液を親水性有機溶媒と混合し、得られた混合溶液からL−オルニチンを結晶化させる工程を含むL−オルニチンの精製方法。
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