JPWO2006035642A1 - 芳香族カーボネートの工業的製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明が解決しようとする課題は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とから連続多段蒸留塔を用いて反応蒸留方式によって芳香族カーボネートを製造するにあたり、副生するアルコール類を効率的に分離しつつ、芳香族カーボネートを1時間あたり1トン以上の工業的規模で、長期間安定的に製造できる具体的な方法を提供することにある。反応蒸留法による芳香族カーボネート類の製造方法に関する多くの提案があるが、これらは全て小規模、短期間の実験室的レベルのものであり、工業的規模の大量生産を可能とする具体的な方法や装置の開示は全くなかった。また、反応蒸留方式で芳香族カーボネート類を工業的規模で製造する際に副生する大量のアルコール類を、効率的に長時間安定的に分離できる具体的な方法や装置の開示がなかった。本発明では、副生するアルコール類を好ましくは1時間あたり200kg以上の工業的規模で、効率的に分離しつつ、1時間あたり1トン以上の工業的規模で、芳香族カーボネートを長期間安定的に製造できる特定の構造を有する連続多段蒸留塔Aおよび連続多段蒸留塔Bとそれらを組み合わせた具体的な方法が提供される。

Description

本発明は、芳香族カーボネートの工業的製造法に関する。さらに詳しくは、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを含む原料を、触媒を存在させた連続多段蒸留塔内でエステル交換反応に付し、副生するアルコール類を含む大量の低沸点反応混合物から、該アルコール類を効率的に分離しつつ、エステル交換法ポリカーボネートの原料として有用な芳香族カーボネートを工業的に大量に製造する方法に関する。
芳香族カーボネートは、最も需要の多いエンジニアリングプラスチックである芳香族ポリカーボネートを、有毒なホスゲンを用いないで製造するための原料として重要である。芳香族カーボネートの製法として、芳香族モノヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応による方法が古くから知られており、最近も種々検討されている。しかしながら、この方法はホスゲン使用の問題に加え、この方法によって製造された芳香族カーボネートには分離が困難な塩素系不純物が存在しており、そのままでは芳香族ポリカーボネートの原料として用いることはできない。なぜならば、この塩素系不純物は極微量の塩基性触媒の存在下で行うエステル交換法ポリカーボネートの重合反応を著しく阻害し、たとえば、1ppmでもこのような塩素系不純物が存在すると殆ど重合を進行させることができない。そのため、エステル交換法ポリカーボネートの原料とするには、希アルカリ水溶液と温水による十分な洗浄と油水分離、蒸留などの多段階の面倒な分離・精製工程が必要であり、さらにこのような分離・精製工程での加水分解ロスや蒸留ロスのため収率が低下するなど、この方法を経済的に見合った工業的規模で実施するには多くの課題がある。
一方、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応による芳香族カーボネートの製造方法も知られている。しかしながら、これらのエステル交換反応は全て平衡反応であって、しかもその平衡が原系に極端に偏っていることに加えて反応速度が遅いことから、この方法によって芳香族カーボネート類を工業的に大量に製造するのは多大な困難を伴っていた。これを改良するためにいくつかの提案がなされているが、その大部分は、反応速度を高めるための触媒開発に関するものである。このタイプのエステル交換反応用触媒として数多くの金属化合物が提案されている。たとえば、遷移金属ハライド等のルイス酸またはルイス酸を生成させる化合物類(特許文献1−1:特開昭51−105032号公報;特許文献1−2:特開昭56−123948号公報;特許文献1−3:特開昭56−123949号公報(西独特許公開公報第2528412号、英国特許第1499530号明細書、米国特許第4182726号明細書);特許文献1−4:特開昭51−75044号公報(西独特許公開公報第2552907号、米国特許第4045464号明細書))、有機スズアルコキシドや有機スズオキシド類等のスズ化合物(特許文献2−1:特開昭54−48733号公報(西独特許公開公報第2736062号);特許文献2−2:特開昭54−63023号公報;特許文献2−3:特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書);特許文献2−4:特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書);特許文献2−5:特開昭62−277345号公報;特許文献2−6:特開平1−265063号公報)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩類およびアルコキシド類(特許文献3:特開昭56−25138号公報)、鉛化合物類(特許文献4−1:特開昭57−176932号公報;特許文献4−2:特開平1−93560号公報)、銅、鉄、ジルコニウム等の金属の錯体類(特許文献5:特開昭57−183745号公報)、チタン酸エステル類(特許文献6−1:特開昭58−185536号公報(米国特許第4410464号明細書);特許文献6−2:特開平1−265062号公報)、ルイス酸とプロトン酸の混合物(特許文献7:特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書))、Sc、Mo、Mn、Bi、Te等の化合物(特許文献8:特開平1−265064号公報)、酢酸第2鉄(特許文献9:特開昭61−172852号公報)等が提案されている。しかしながら、触媒開発だけでは、不利な平衡の問題を解決できないので、大量生産を目的とする工業的製造法にするためには、反応方式の検討を含め、非常に多くの検討課題がある。
また、反応方式を工夫することによって平衡をできるだけ生成系側にずらし、芳香族カーボネート類の収率を向上させる試みもなされている。たとえば、ジメチルカーボネートとフェノールの反応において、副生してくるメタノールを共沸形成剤とともに共沸によって留去する方法(特許文献10:特開昭54−48732号公報(西独特許公開公報第736063号、米国特許第4252737号明細書))、副生してくるメタノールをモレキュラーシーブで吸着させて除去する方法(特許文献11:特開昭58−185536号公報(米国特許第410464号明細書))が提案されている。また、反応器の上部に蒸留塔を設けた装置によって、反応で副生してくるアルコール類を反応混合物から分離させながら同時に蒸発してくる未反応原料との蒸留分離を行う方法も提案されている(特許文献12−1:特開昭56−123948号公報(米国特許第4182726号明細書)の実施例;特許文献12−2:特開昭56−25138号公報の実施例;特許文献12−3:特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)の実施例;特許文献12−4:特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)の実施例;特許文献12−5:特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書)の実施例;特許文献12−6:特開昭61−172852号公報の実施例;特許文献12−7:特開昭61−291545号公報の実施例;特許文献12−8:特開昭62−277345号公報の実施例)。
しかしながら、これらの反応方式は基本的にはバッチ方式か、切り替え方式である。触媒開発による反応速度の改良もこれらのエステル交換反応に対しては限度があり、反応速度が遅いことから、連続方式よりもバッチ方式の方が好ましいと考えられていたからである。これらのなかには、連続方式として蒸留塔を反応器の上部に備えた連続攪拌槽型反応器(CSTR)方式も提案されているが、反応速度が遅いことや反応器の気液界面が液容量に対して小さいことから反応率を高くできないなどの問題がある。したがって、これらの方法で高純度芳香族カーボネートを連続的に大量に、長期間安定的に製造するという目的を達成することは困難であり、経済的に見合う工業的実施にいたるには、なお多くの解決すべき課題が残されている。
本発明者等はジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を連続的に多段蒸留塔に供給し、触媒を存在させた該塔内で連続的に反応させ、副生するアルコールを含む低沸点成分を蒸留によって連続的に抜き出すと共に、生成したアルキルアリールカーボネートを含む成分を塔下部より抜き出す反応蒸留法(特許文献13:特開平3−291257号公報)、アルキルアリールカーボネートを連続的に多段蒸留塔に供給し、触媒を存在させた該塔内で連続的に反応させ、副生するジアルキルカーボネートを含む低沸成分を蒸留によって連続的に抜き出すと共に、生成したジアリールカーボネートを含む成分を塔下部より抜き出す反応蒸留法(特許文献14:特開平4−9358号公報)、これらの反応を2基の連続多段蒸留塔を用いて行い、副生するジアルキルカーボネートを効率的にリサイクルさせながらジアリールカーボネートを連続的に製造する反応蒸留法(特許文献15:特開平4−211038号公報)、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物等を連続的に多段蒸留塔に供給し、塔内を流下する液を蒸留塔の途中段および/または最下段に設けられたサイド抜き出し口より抜き出し、蒸留塔の外部に設けられた反応器へ導入して反応させた後に、該抜き出し口のある段よりも上部の段に設けられた循環用導入口へ導入することによって、該反応器内と該蒸留塔内の両方で反応を行う反応蒸留法(特許文献16−1:特開平4−224547号公報;特許文献16−2:特開平4−230242号公報;特許文献16−3:特開平4−235951号公報)等、これらのエステル交換反応を連続多段蒸留塔内で反応と蒸留分離とを同時に行う反応蒸留法を開発し、これらのエステル交換反応に対して反応蒸留方式が有用であることを世界で初めて開示した。
本発明者等が提案したこれらの反応蒸留法は、芳香族カーボネート類を効率よく、かつ連続的に製造することを可能とする初めてのものであり、その後これらの開示をベースとする同様な反応蒸留方式が数多く提案されるようになった(特許文献17:国際公開第00/18720号公報(米国特許第5362901号明細書);特許文献18:イタリア特許第01255746号公報;特許文献19:特開平6−9506号公報(欧州特許0560159号明細書、米国特許第5282965号明細書);特許文献20:特開平6−41022号公報(欧州特許0572870号明細書、米国特許第5362901号明細書);特許文献21−1:特開平6−157424号公報(欧州特許0582931号明細書、米国特許第5334742号明細書);特許文献21−2:特開平6−184058号公報(欧州特許0582930号明細書、米国特許第5344954号明細書);特許文献22:特開平7−304713号公報;特許文献23:特開平9−40616号公報;特許文献24:特開平9−59225号公報;特許文献25:特開平9−110805号公報;特許文献26:特開平9−165357号公報;特許文献27:特開平9−173819号公報;特許文献28−1:特開平9−176094号公報;特許文献28−2:特開2000−191596号公報;特許文献28−3:特開2000−191597号公報;特許文献29:特開平9−194436号公報(欧州特許0785184号明細書、米国特許第5705673号明細書);特許文献30:国際公開第00/18720公報(米国特許第6093842号明細書);特許文献31−1:特開2001−64234号公報;特許文献31−2:特開2001−64235号公報;特許文献32:国際公開第02/40439公報(米国特許第6596894号、米国特許第6596895号、米国特許第6600061号明細書))。
さらに、本出願人は、反応蒸留方式において、多量の触媒を必要とせずに高純度芳香族カーボネートを長時間、安定に製造できる方法として、触媒成分を含む高沸点物質を作用物質と反応させた上で分離し、触媒成分をリサイクルする方法(特許文献33:国際公開第97/11049公報(欧州特許0855384号明細書、米国特許第5872275号明細書))や、反応系内の多価芳香族ヒドロキシ化合物を触媒金属に対して質量比で2.0以下に保ちながら行う方法(特許文献34:特開平11−92429号公報(欧州特許1016648号明細書、米国特許第6262210号明細書))を提案した。本発明者等はさらに、重合工程で副生するフェノールの70〜99質量%を原料として用いて、反応蒸留法でジフェニルカーボネートを製造しこれを芳香族ポリカーボネートの重合原料とする方法をも提案した(特許文献35:特開平9−255772号公報(欧州特許0892001号明細書、米国特許第5747609号明細書))。
しかしながら、これら反応蒸留法による芳香族カーボネート類の製造を提案する全ての先行文献には、工業的規模の大量生産(たとえば、1時間あたり1トン以上)を可能とする具体的な方法や装置の開示は全くなく、またそれらを示唆する記述もない。たとえば、ジメチルカーボネートとフェノールから主としてメチルフェニルカーボネート(MPC)を製造するために開示された反応蒸留塔の高さ(H:cm)、直径(D:cm)、段数(n)と反応原料液導入量(Q:kg/hr)に関する記述は、次表のとおりである。
すなわち、この反応を反応蒸留方式で実施するにあたり用いられた連続多段蒸留塔の最大のものは、本出願人が特許文献33、34において開示したものである。このようにこの反応用に開示されている連続多段蒸留塔における各条件の最大値は、H=1200cm、D=20cm、n=50(特許文献23)、Q=86kg/hrであり、メチルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートを合わせた芳香族カーボネートの生産量は約10kg/hrに過ぎず、工業的規模の生産量ではなかった。
一方、ジメチルカーボネートとフェノールとのエステル交換反応によって副生するメタノール類を含む反応混合物から該アルコール類を分離する方法についてもいくつかの提案がなされている。たとえば、液相部が複数の反応区画に分割されており、反応液が各区画を順次経て反応器から流出するようになっている反応器を用いて上記の反応を行い、気相部のガスを抜き出し、これを熱交換させた後、蒸留塔で分離する方法(特許文献36:特開平2003−113144号公報)や、同じ反応器を用いて気相部のガスを抜き出し、これを熱交換させて液化した後、反応器の気相部の圧力よりも高い圧力で蒸留分離する方法(特許文献37:特開平2003−155264号公報)が提案されている。しかしながら、これらの方法の目的は反応器として上述のような連続式撹拌槽を用いて反応させたときのガス成分の熱エネルギーを熱交換器で水蒸気を発生させることによって、回収することである。ガス成分の熱エネルギーを原料の加熱に使用するとの開示や示唆はまったくない。しかもこれらの反応方式によるガス成分の組成は、ジメチルカーボネート97質量%、メタノール1.5質量%、フェノール1.5質量%(特許文献36)、ジメチルカーボネート98.1質量%、メタノール1.4質量%、フェノール、メチルフェニルカーボネート等0.5質量%(特許文献37)であり、反応蒸留方式によって生成する副生アルコール類を含む低沸点反応混合物の組成とは大きく異なっており、反応蒸留方式による低沸点反応混合物からアルコール類を所定の濃度で分離することとは自ずから異なっている。槽型反応器の上部に設置した蒸留塔の塔頂から、メタノールを約10〜74質量%含む液を30g/hr程度で留出させる方法(特許文献38:特開平6−157410号公報)も提案されている。しかしながらこれらの特許文献は、少量の実験室的規模のものであるか、あるいは、単なる蒸留に必要なエネルギー量の比較計算を行ったものであり、いずれも工業的規模で分離することに関する具体的な記載や示唆が全くない。
ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を反応蒸留方式で行う場合、副生するアルコール類は、通常、反応系内に存在する芳香族カーボネートよりも低沸点の化合物、たとえば、原料のジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物、副生物のアルキルアリールエーテル等を含む低沸点反応混合物として反応蒸留塔の上部から連続的に抜出されている。このエステル交換反応は平衡定数の非常に小さい平衡反応であることから、副生アルコール類はこの反応を阻害するのでこの低沸点反応混合物からアルコール類の含有量の少ない成分とアルコール類を主とする成分とに効率的に長期間安定的に連続的に分離・回収することが工業的に実施する際には重要となってくる。
反応蒸留方式によるジメチルカーボネートとフェノールとのエステル交換反応によって塔上部から抜き出されるメタノール類とジメチルカーボネートを含む低沸点反応混合物を蒸留によって分離する方法についてもいくつかの提案がなされている。それらは、抽出剤としてシュウ酸ジメチルを用いてジメチルカーボネートを抽出しながら塔頂からメタノールを抜き出す抽出蒸留法(特許文献39:特開平7−101908公報)、抽出剤としてエチレンカーボネートを用いてジメチルカーボネートを抽出しながら塔頂からメタノールを抜き出す抽出蒸留法(特許文献23)、常圧で蒸留し塔頂からメタノール約70質量%、ジメチルカーボネート約30質量%からなる混合物を得る方法(特許文献28)、塔頂からメタノール64.5質量%、ジメチルカーボネート35.5質量%からなる混合物を得る方法(特許文献29)、塔頂からメタノール60〜40質量%、ジメチルカーボネート40〜60質量%からなる混合物を得る方法(特許文献24)である。
しかしながら、抽出蒸留法では大量の抽出剤を使用しなければならず、抽出後、これらの抽出剤とジメチルカーボネートをさらに分離する必要があり、他の方法では、塔頂抜き出し液中のメタノール含有量が80質量%未満と低濃度であり、これをジメチルカーボネート製造原料として用いる場合は好ましくない。また、これらの特許文献に記載されているのは、数100g/hr以下のメタノールの分離回収法であり、最大量を記載している特許文献20でさえ、処理されているメタノールの量は約0.9kg/hrである。
また、これらの特許文献におけるメタノール類の蒸留分離を行っている連続時間は、反応蒸留法ではない反応方式を用いている特許文献29の場合が最長であるが高々720時間である。反応蒸留方式を用いている場合は最長でもわずか2週間(特許文献28)であり、他は10日間(特許文献24)や、定常状態になるまでの時間(特許文献14、30)であり、非常に短いものであって、数1000時間、たとえば、5000時間もの長期間安定的に蒸留操作を行う工業的な分離方法の開示や示唆を与えるものではない。このように、反応蒸留法によって芳香族カーボネートを工業的に製造する際に、大量に副生するアルコール類を効率的に長期間安定的に分離する工業的な方法に関する具体的な方法や装置の具体的な開示や示唆は、これまで全くなされていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とから連続多段蒸留塔を用いて反応蒸留方式によって芳香族カーボネートを製造するにあたり、副生するアルコール類を効率的に分離しつつ、芳香族カーボネートを1時間あたり1トン以上の工業的規模で、長期間安定的に製造できる具体的な方法を提供することにある。
本発明者らが連続多段蒸留塔を用いる芳香族カーボネート類の製造方法を開示して以来、反応蒸留法による芳香族カーボネート類の製造方法に関する多くの提案があるが、これらは全て小規模、短期間の実験室的レベルのものであり、工業的規模の大量生産を可能とする具体的な方法や装置の開示は全くなかった。そこで本発明者等は、副生するアルコール類を効率的に分離しつつ、1時間あたり1トン以上の工業的規模で、芳香族カーボネートを長期間安定的に製造できる具体的な方法を見出すべき検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明では、
1.ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを含む原料を触媒が存在する連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、該蒸留塔A内でエステル交換反応と蒸留を同時に行い、副生するアルコール類を含む低沸点反応混合物(A)を該蒸留塔A上部よりガス状で連続的に抜出し、芳香族カーボネート類を含む高沸点反応混合物(A)を該蒸留塔A下部より液状で連続的に抜出す反応蒸留方式によって、芳香族カーボネート類を工業的規模で連続的に大量に製造するにあたり、
(a)該連続多段蒸留塔Aとして、下記式(1)〜(6)の条件を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有し、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d(cm)のガス抜出し口、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口を有する蒸留塔を用いること、
1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
20 ≦ n ≦ 120 式(4)
5 ≦ D/d ≦ 30 式(5)
3 ≦ D/d ≦ 20 式(6)
(b)該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に連続的に供給し、該アルコール類の濃度が90質量%以上である低沸点混合物(B)を該蒸留塔Bの上部よりガス状で連続的に抜き出すこと、
(c)該アルコール類の含有量の少ない高沸点混合物(B)を該連続多段蒸留塔Bの下部より液状で連続的に抜出し、該高沸点混合物(B)を、連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、エステル交換反応に再使用すること、
(d)該連続多段蒸留塔Bとして、下記式(7)〜(14)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する回収部と、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する濃縮部からなる蒸留塔を用いること、
500 ≦ L ≦ 3000 式(7)
100 ≦ D ≦ 500 式(8)
2 ≦ L/D ≦ 30 式(9)
10 ≦ n ≦ 40 式(10)
700 ≦ L ≦ 5000 式(11)
50 ≦ D ≦ 400 式(12)
10 ≦ L/D ≦ 50 式(13)
35 ≦ n ≦ 100 式(14)
を特徴とする芳香族カーボネート類の工業的製造方法、
2.1時間あたり1トン以上の芳香族カーボネート類を生産することを特徴とする、前項1に記載の方法、
3.該dと該dが、1≦d/d≦5 であることを特徴とする、前項1または2に記載の方法、
4.該連続多段蒸留塔Aが、該インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることを特徴とする、前項1ないし3のうち何れか一項に記載の方法、
5.該連続多段蒸留塔Aが、該インターナルとしてトレイを有する棚段式蒸留塔であることを特徴とする、前項4記載の方法、
6.該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、前項5記載の方法、
7.該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする前項6記載の方法、
8.該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることを特徴とする、前項6または7に記載の方法、
9.該連続多段蒸留塔BのL、D、L/D、n、L、D、L/D、nが、それぞれ、800≦L≦2500、 120≦D≦400、 5≦L/D≦20、 13≦n≦25、 1500≦L≦3500、 70≦D≦200、 15≦L/D≦30、 40≦n≦70、 L ≦ L、 D ≦ Dであることを特徴とする、前項1ないし8のうち何れか一項に記載の方法、
10.該連続多段蒸留塔Bの回収部および濃縮部のインターナルが、それぞれトレイおよび/または充填物であることを特徴とする、前項1ないし9のうち何れか一項に記載の方法、
11.該連続多段蒸留塔Bの回収部および濃縮部のインターナルが、それぞれトレイであることを特徴とする、前項10に記載の方法、
12.該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、前項11記載の方法、
13.該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする、前項12記載の方法、
14.該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることを特徴とする、前項12または13に記載の方法、
15.該連続多段蒸留塔Bで分離されるアルコール類の量が、1時間あたり200kg以上であることを特徴とする、前項1ないし14のうち何れか一項に記載の方法、
16.該低沸点混合物(B)中の該アルコール類の濃度が95質量%以上であることを特徴とする、前項1ないし15のうち何れか一項に記載の方法、
17.該低沸点混合物(B)中の該アルコール類の濃度が97質量%以上であることを特徴とする、前項16に記載の方法、
18.該低沸点混合物(B)をジアルキルカーボネート製造用の原料とすることを特徴とする、前項1ないし17のうち何れか一項に記載の方法、
19.該連続多段蒸留塔Bの下部より液状で連続的に抜出した高沸点混合物(B)中の該アルコール類の含有量が0.2質量%以下であることを特徴とする、前項1ないし18のうち何れか一項に記載の方法、
20.高沸点混合物(B)中の該アルコール類の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする、前項19に記載の方法、
21.ガス状で抜出される該低沸点反応混合物(A)の熱を、該連続多段蒸留塔Aに供給されるエステル交換反応の原料の加熱に使用することを特徴とする、前項1ないし20のうち何れか一項に記載の方法、
を提供する。
本発明を実施することによって、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とから、副生するアルコール類を1時間あたり200kg以上効率的に分離しつつ、95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率で、芳香族カーボネートを、1時間あたり1トン以上、好ましくは1時間あたり2トン以上、さらに好ましくは1時間あたり3トン以上の工業的規模で、2000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に製造できることが見出された。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いられるジアルキルカーボネートとは、一般式(15)で表されるものである。
OCOOR (15)
ここで、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアラールキル基を表す。このようなR1としては、たとえば、メチル、エチル、プロピル(各異性体)、アリル、ブチル(各異性体)、ブテニル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、シクロヘキシルメチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の脂環族基;ベンジル、フェネチル(各異性体)、フェニルプロピル(各異性体)、フェニルブチル(各異性体)、メチルベンジル(各異性体)等のアラールキル基が挙げられる。なお、これらのアルキル基、脂環族基、アラールキル基において、他の置換基、たとえば、低級アルキル基、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン等で置換されていてもよいし、不飽和結合を有していてもよい。
このようなR1を有するジアルキルカーボネートとしては、たとえば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジアリルカーボネート、ジブテニルカーボネート(各異性体)、ジブチルカーボネート(各異性体)、ジペンチルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)、ジヘプチルカーボネート(各異性体)、ジオクチルカーボネート(各異性体)、ジノニルカーボネート(各異性体)、ジデシルカーボネート(各異性体)、ジシクロペンチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘプチルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジフェネチルカーボネート(各異性体)、ジ(フェニルプロピル)カーボネート(各異性体)、ジ(フェニルブチル)カーボネート(各異性体)ジ(クロロベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシメチル)カーボネート、ジ(メトキシエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(クロロエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(シアノエチル)カーボネート(各異性体)等が挙げられる。
これらの中で、本発明において好ましく用いられるのは、R1 がハロゲンを含まない炭素数4以下のアルキル基からなるジアルキルカーボネートであり、特に好ましいのはジメチルカーボネートである。また、好ましいジアルキルカーボネートのなかで、さらに好ましいのは、ハロゲンを実質的に含まない状態で製造されたジアルキルカーボネートであって、たとえば、ハロゲンを実質的に含まないアルキレンカーボネートとハロゲンを実質的に含まないアルコールから製造されたものである。
本発明で用いられる芳香族モノヒドロキシ化合物とは、下記一般式(16)で表されるものであり、芳香族基に直接ヒドロキシル基が結合しているものであれば、どのようなものであってもよい。
ArOH (16)
ここでAr1は炭素数5〜30の芳香族基を表す。このようなAr1を有する芳香族モノヒドロキシ化合物としては、たとえば、フェノール、クレゾール(各異性体)、キシレノール(各異性体)、トリメチルフェノール(各異性体)、テトラメチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、メチルエチルフェノール(各異性体)、メチルプロピルフェノール(各異性体)、ジプロピルフェノール(各異性体)、メチルブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ヘキシルフェノール(各異性体)、シクロヘキシルフェノール(各異性体)等の各種アルキルフェノール類;メトキシフェノール(各異性体)、エトキシフェノール(各異性体)等の各種アルコキシフェノール類;フェニルプロピルフェノール(各異性体)等のアリールアルキルフェノール類;ナフトール(各異性体)および各種置換ナフトール類;ヒドロキシピリジン(各異性体)、ヒドロキシクマリン(各異性体)、ヒドロキシキノリン(各異性体)等のヘテロ芳香族モノヒドロキシ化合物類等が用いられる。これらの芳香族モノヒドロキシ化合物の中で、本発明において好ましく用いられるのは、Ar1が炭素数6から10の芳香族基からなる芳香族モノヒドロキシ化合物であり、特に好ましいのはフェノールである。また、これらの芳香族モノヒドロキシ化合物の中で、本発明において好ましく用いられるのは、ハロゲンを実質的に含まないものである。
本発明で原料として用いられるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物の量比はモル比で、0.5〜3であることが必要である。この範囲外では、目的とする芳香族カーボネートの所定生産量に対して、残存する未反応の原料が多くなり、効率的でないし、またそれらを回収するために多くのエネルギーを要する。この意味で、このモル比は、0.8〜2.5がより好ましく、さらに好ましいのは、1.0〜2.0である。
本発明においては、1時間あたり1トン以上の芳香族カーボネートを連続的に製造するのであるが、そのために連続的に供給される芳香族モノヒドロキシ化合物の最低量は、製造すべき芳香族カーボネートの量(Pトン/hr)に対して、通常13Pトン/hr、好ましくは、10Pトン/hr、より好ましくは7Pトン/hrである。さらに好ましい場合は、7Pトン/hrよりも少なくできる。
本発明において製造される芳香族カーボネートとは、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とがエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネート、およびこれらの混合物のことである。このエステル交換反応においては、ジアルキルカーボネートの1つまたは2つのアルコキシ基が芳香族モノヒドロキシ化合物のアリーロキシ基と交換されアルコール類を副生する反応(式17と式18)があり、本発明においては反応式(17)の反応が主として起こっている。
OCOOR + ArOH → ArOCOOR + ROH (17)
ArOCOOR+ ArOH → ArOCOOAr +ROH (18)
また、生成したアルキルアリールカーボネート2分子間のエステル交換反応である不均化反応によってジアリールカーボネートとジアルキルカーボネートに変換される反応(式19)が一部含まれている。
2ArOCOOR → ArOCOOAr + ROCOOR (19)
本発明では、主としてアルキルアリールカーボネートが得られるが、このアルキルアリールカーボネートをさらに芳香族モノヒドロキシ化合物とエステル交換反応をさせるか、不均化反応(式19)をさせることによって、ジアリールカーボネートとすることができる。このジアリールカーボネートは、ハロゲンを全く含まないため、エステル交換法でポリカーボネートを工業的に製造するときの原料として重要である。
なお、本発明でエステル交換反応の原料として用いられるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物はそれぞれ純度の高いものであってもいいが、他の化合物を含むものであってもよく、たとえば、この工程および/または他の工程で生成する化合物や反応副生物を含むものであってもよい。工業的に実施する場合、これらの原料として、新規に反応系に導入されるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物に加え、この工程および/または他の工程から回収されたものをも使用することが好ましい。
本発明においては、連続多段蒸留塔Aの塔上部から連続的に抜出される低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔Bで連続的蒸留分離して、塔底成分として連続的に得られる副生アルコール類の含有量の少ない高沸点混合物(B)を、エステル交換反応の原料として再使用することが必要であり、このことは工業的実施のためには必須である。本発明の方法では、他の化合物を含むこのような回収されたものも原料として用いることができる。したがって、たとえば、本発明において、ジアルキルカーボネートとしてジメチルカーボネートを、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノールを原料にして、メチルフェニルカーボネートおよびジフェニルカーボネートを製造する場合、その原料中に反応生成物であるメチルアルコールや、メチルフェニルカーボネートおよびジフェニルカーボネートを少量含んでいてもよく、さらには反応副生物であるアニソールや高沸点副生物を含んでいてもよい。
本発明で使用される触媒としては、たとえば、下記の化合物から選択される。
<鉛化合物>PbO、PbO2、Pb34等の酸化鉛類;PbS、Pb2S等の硫化鉛類;Pb(OH)2、Pb22(OH)2等の水酸化鉛類;Na2PbO2、K2PbO2、NaHPbO2、KHPbO2等の亜ナマリ酸塩類;Na2PbO3、Na22PbO4、K2PbO3、K2[Pb(OH)6]、K4PbO4、Ca2PbO4、CaPbO3等の鉛酸塩類;PbCO3、2PbCO3・Pb(OH)2等の鉛の炭酸塩およびその塩基性塩類;Pb(OCOCH32、Pb(OCOCH34、Pb(OCOCH32・PbO・3H2O等の有機酸の鉛塩およびその炭酸塩や塩基性塩類;Bu4Pb、Ph4Pb、Bu3PbCl、Ph3PbBr、Ph3Pb(またはPh6Pb2)、Bu3PbOH、Ph3PbO等の有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す。);Pb(OCH32、(CH3O)Pb(OPh)、Pb(OPh)2等のアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sb等の鉛の合金類;ホウエン鉱、センアエン鉱等の鉛鉱物類、およびこれらの鉛化合物の水和物;
<銅族金属の化合物>CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、CuI、CuI2、Cu(OAc)2、Cu(acac)2、オレフイン酸銅、Bu2Cu、(CH3O)2Cu、AgNO3、AgBr、ピクリン酸銀、AgC66ClO4、[AuC≡C−C(CH33]n、[Cu(C78)Cl]4等の銅族金属の塩および錯体(acacはアセチルアセトンキレート配位子を表す。);
<アルカリ金属の錯体>Li(acac)、LiN(C492等のアルカリ金属の錯体;
<亜鉛の錯体>Zn(acac)2等の亜鉛の錯体;
<カドミウムの錯体>Cd(acac)2等のカドミウムの錯体;
<鉄族金属の化合物>Fe(C108)(CO)5、Fe(CO)5、Fe(C46)(CO)3、Co(メシチレン)2(PEt2Ph)2、CoC55(CO)7、Ni−π−C55NO、フェロセン等の鉄族金属の錯体;
<ジルコニウム錯体>Zr(acac)4,ジルコノセン等のジルコニウムの錯体;
<ルイス酸類化合物>AlX3、TiX3,TiX4、VOX3、VX5、ZnX2、FeX3、SnX4 (ここでXはハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。)等のルイス酸およびルイス酸を発生する遷移金属化合物;
<有機スズ化合物>(CH33SnOCOCH3、(C253SnOCOC65、Bu3SnOCOCH3、Ph3SnOCOCH3、Bu2Sn(OCOCH32、Bu2Sn(OCOC11232、Ph3SnOCH3、(C253SnOPh、Bu2Sn(OCH32、Bu2Sn(OC252、Bu2Sn(OPh)2、Ph2Sn(OCH32、(C253SnOH、Ph3SnOH、Bu2SnO、(C8172SnO、Bu2SnCl2、BuSnO(OH)等の有機スズ化合物;
等の金属含有化合物が触媒として用いられる。これらの触媒は多段蒸留塔内に固定された固体触媒であってもいいし、反応系に溶解する可溶性触媒であってもよい。
もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物、たとえば、脂肪族アルコール類、芳香族モノヒドロキシ化合物類、アルキルアリールカーボネート類、ジアリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類等と反応したものであっても良いし、反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。
本発明を反応系に溶解する可溶性触媒で実施する場合は、これらの触媒は、反応条件において反応液への溶解度の高いものであることが好ましい。この意味で好ましい触媒としては、たとえば、PbO、Pb(OH)2、Pb(OPh)2;TiCl4、Ti(OMe)、(MeO)Ti(OPh)、(MeO)Ti(OPh)、(MeO)Ti(OPh)、Ti(OPh)4;SnCl4、Sn(OPh)4、Bu2SnO、Bu2Sn(OPh)2;FeCl3、Fe(OH)3、Fe(OPh)3等、またはこれらをフェノールまたは反応液等で処理したもの等が挙げられる。
図1は、本発明の反応蒸留を行う連続多段蒸留塔Aの例を示す概略図である。本発明において反応蒸留を行うために用いられる連続多段蒸留塔Aとは、(1)〜(6)の条件を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナル(たとえば、トレイ6)を有し、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d(cm)のガス抜出し口1、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d(cm)の液抜出し口2、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口3、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口4を有する蒸留塔であることが必要である。
1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
20 ≦ n ≦ 120 式(4)
5 ≦ D/d ≦ 30 式(5)
3 ≦ D/d ≦ 20 式(6)
なお、本発明で用いる用語「塔頂部またはそれに近い塔の上部」とは、塔頂部から下方に約0.25Lまでの部分を意味し、用語「塔底部またはそれに近い塔の下部」とは、塔底部から上方に約0.25Lまでの部分を意味する。また、「L」は、前述の定義とおりである。
図2は、本発明のアルコール類を含む低沸点反応混合物(A)の蒸留分離を行う連続多段蒸留塔Bの例を示す概略図である。本発明において、該連続多段蒸留塔Aの上部から連続的に抜出される低沸点反応混合物(A)を、該アルコール類の濃度が90質量%以上である低沸点混合物(B)と該アルコール類の含有量の少ない高沸点混合物(B)とに連続的に蒸留分離するために用いられる連続多段蒸留塔Bとは、式(7)〜(14)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナル(たとえば、トレイ7)を有する回収部SSと、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナル(たとえば、トレイ8)を有する濃縮部ESからなる蒸留塔であることが必要である。なお、図2中の参照番号1ないし4は、図1と同一の部材を示す。
500 ≦ L ≦ 3000 式(7)
100 ≦ D ≦ 500 式(8)
2 ≦ L/D ≦ 30 式(9)
10 ≦ n ≦ 40 式(10)
700 ≦ L ≦ 5000 式(11)
50 ≦ D ≦ 400 式(12)
10 ≦ L/D ≦ 50 式(13)
35 ≦ n ≦ 100 式(14)
式(1)〜(6)を同時に満足する連続多段蒸留塔Aと、式(7)〜(14)を同時に満足する連続多段蒸留塔Bを用いることによって、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とから、副生するアルコール類を長期間安定的に効率的に分離しつつ、未反応原料を効率的に回収・再使用しながら、1時間あたり1トン以上の工業的規模で、高選択率・高生産性で、たとえば、2000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に、芳香族カーボネートを製造することができることが見出されたのである。本発明の方法を実施することによって、このような優れた効果を有する工業的規模での芳香族カーボネートの製造が可能になった理由は明らかではないが、式(1)〜(14)の条件が組み合わさった時にもたらされる複合効果のためであると推定される。
なお、各々の要因の好ましい範囲は下記に示される。
L(cm)が1500より小さいと、反応率が低下するため目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成できる反応率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを8000より小さくすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、2000≦L ≦6000 であり、さらに好ましくは、2500≦L≦5000 である。
D(cm)が100よりも小さいと、目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを2000より小さくすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、150≦D≦1000 であり、さらに好ましくは、200≦D≦800 である。
L/Dが2より小さい時や40より大きい時は安定運転が困難となり、特に40より大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなり選択率の低下をもたらす。より好ましいL/Dの範囲は、3≦L/D≦30 であり、さらに好ましくは、5≦L/D≦15 である。
nが20より小さいと反応率が低下するため目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成できる反応率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを120よりも小さくすることが必要である。さらにnが120よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなり選択率の低下をもたらす。より好ましいnの範囲は、30≦n≦100 であり、さらに好ましくは、40≦n≦90 である。
D/dが5より小さいと設備費が高くなるだけでなく大量のガス成分が系外に出やすくなるため、安定運転が困難になり、30よりも大きいとガス成分の抜出し量が相対的に小さくなり、安定運転が困難になるだけでなく、反応率の低下をもたらす。より好ましいD/dの範囲は、8≦D/d≦25 であり、さらに好ましくは、10≦D/d≦20 である。
D/dが3より小さいと設備費が高くなるだけでなく液抜出し量が相対的に多くなり、安定運転が困難になり、20よりも大きいと液抜出し口や配管での流速が急激に速くなりエロ−ジョンを起こしやすくなり装置の腐食をもたらす。より好ましいD/dの範囲は、5≦D/d≦18 であり、さらに好ましくは、7≦D/d≦15 である。さらに本発明では該dと該dが 1≦d/d≦5 を満足する場合、さらに好ましいことがわかった。
(cm)が500より小さいと、回収部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを3000より小さくすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、800≦L≦2500 であり、さらに好ましくは、1000≦L≦2000 である。
(cm)が100よりも小さいと、目的とする蒸留量を達成できないし、目的の蒸留量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを500より小さくすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、120≦D≦400 であり、さらに好ましくは、150≦D≦300 である。
/Dが2より小さい時や30より大きい時は長期安定運転が困難となる。より好ましいL/Dの範囲は、5≦L/D≦20 であり、さらに好ましくは、7≦L/D≦15 である。
が10より小さいと回収部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを40よりも小さくすることが必要である。より好ましいnの範囲は、13≦n≦25 であり、さらに好ましくは、15≦n≦20 である。
(cm)が700より小さいと、濃縮部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを5000より小さくすることが必要である。Lが5000よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなる。より好ましいL(cm)の範囲は、1500≦L ≦3500 であり、さらに好ましくは、2000≦L≦3000 である。
(cm)が50よりも小さいと、目的とする蒸留量を達成できないし、目的の蒸留量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを400より小さくすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、70≦D≦200 であり、さらに好ましくは、80≦D≦150 である。
/Dが10より小さい時や50より大きい時は長期安定運転が困難となる。より好ましいL/Dの範囲は、15≦L/D≦30 であり、さらに好ましくは、20≦L/D≦28 である。
が35より小さいと濃縮部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを100よりも小さくすることが必要である。nが100よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなる。より好ましいnの範囲は、40≦n≦70 であり、さらに好ましくは、45≦n≦65 である。
また、LとLの関係、およびDとDの関係は、連続多段蒸留塔Bに供給される該低沸点反応混合物(A)の量、およびアルコール類の濃度等によって異なるが、本発明の方法を実施する場合、 L ≦ L、 D ≦ D であることが好ましい。
本発明は、1時間あたり1トン以上の高生産性で芳香族カーボネートを高選択率で長期間安定的に生産することを特徴としているが、好ましくは1時間あたり2トン以上、さらに好ましくは1時間あたり3トン以上の芳香族カーボネートを生産することにある。また、本発明は、該連続多段蒸留塔AのL、D、L/D、n、D/d、D/d がそれぞれ、2000≦L≦6000、 150≦D≦1000、 3≦L/D≦30、 30≦n≦100、 8≦D/d≦25、 5≦D/d≦18の場合は、1時間あたり2トン以上、好ましくは1時間あたり2.5トン以上、さらに好ましくは1時間あたり3トン以上の芳香族カーボネートを製造することを特徴とするものである。さらに、本発明は、該連続多段蒸留塔AのL、D、L/D、n、D/d、D/d がそれぞれ、2500≦L≦5000、 200≦D≦800、 5≦L/D≦15、 40≦n≦90、 10≦D/d≦25、 7≦D/d≦15の場合は、1時間あたり3トン以上、好ましくは1時間あたり3.5トン以上、さらに好ましくは1時間あたり4トン以上の芳香族カーボネートを製造することを特徴とするものである。
本発明でいう芳香族カーボネートの選択率とは、反応した芳香族モノヒドロキシ化合物に対するものであって、本発明では通常95%以上の高選択率であり、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率を達成することができる。
本発明で用いられる連続多段蒸留塔Aは、インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることが好ましい。本発明でいうインターナルとは、蒸留塔において実際に気液の接触を行わせる部分のことを意味する。このようなトレイとしては、たとえば、泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラックトレイ等が好ましく、充填物としては、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック等の不規則充填物やメラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッド等の規則充填物が好ましい。トレイ部と充填物の充填された部分とを合わせ持つ多段蒸留塔も用いることができる。なお、本発明で用いる用語「インターナルの段数n」とは、トレイの場合は、トレイの数を意味し、充填物の場合は、理論段数を意味する。したがって、トレイ部と充填物の充填された部分とを合わせ持つ連続多段蒸留塔の場合、nはトレイの数と、理論段数の合計である。
本発明のジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応は、平衡定数が極端に小さく、しかも反応速度が遅いので、反応蒸留に用いる連続多段蒸留塔Aとしては、インターナルがトレイである棚段式蒸留塔がより好ましいことが見出された。さらに該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイが機能と設備費との関係で特に優れていることが見出された。そして、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有していることが好ましいことも見出された。より好ましい孔数は該面積1mあたり120〜900個であり、さらに好ましくは、150〜800個である。また、該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることが好ましいことも見出された。より好ましい孔1個あたりの断面積は、0.7〜4cmであり、さらに好ましくは0.9〜3cmである。さらには、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有しており、且つ、孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmである場合、特に好ましいことが見出された。連続多段蒸留塔Aに上記の条件を付加することによって、本発明の課題が、より容易に達成されることが判明したのである。
本発明で用いられる連続多段蒸留塔Bは、濃縮部ESおよび回収部SSのインターナルとして、前記のトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることが好ましい。濃縮部ESおよび回収部SSのインターナルがいずれもトレイである場合はさらに好ましい。さらに該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイが機能と設備費との関係で特に優れていることが見出された。そして、濃縮部ESおよび回収部SSにおける該多孔板トレイの多孔板部の好ましい孔数と孔断面積は、いずれも前記の連続多段蒸留塔Aの多孔板部のそれらと同じである。
本発明を実施する場合、原料であるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを触媒が存在する連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行い、芳香族カーボネート類を含む高沸点反応混合物を塔下部より液状で連続的に抜出すことにより芳香族カーボネート類を工業的規模で連続的に製造し、一方副生するアルコール類を含む低沸点反応混合物(A)を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に連続的に供給し、アルコール類を主成分とする低沸点混合物(B)を塔上部よりガス状で連続的に抜き出し、高沸点混合物(B)を塔下部より液状で連続的に抜出す。該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に供給するにあたり、ガス状で供給してもよいし、液状で供給してもよい。また、連続多段蒸留塔Aからガス状で抜出される該低沸点反応混合物(A)の熱を他の物質の加熱、たとえば、連続多段蒸留塔A内に供給されるエステル交換反応の原料の加熱に使うことは特に好ましい方法である。この場合、熱交換の程度によって、連続多段蒸留塔B内に供給される該低沸点反応混合物(A)は、ガス状、気液混合状、液状となる。該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に供給するに先立って該蒸留塔Bの供給口付近の液温に近い温度にするために、加熱または冷却することも好ましい。なお、この原料中には、反応生成物であるアルコール類、アルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネートやアルキルアリールエーテルや高沸点化合物などの反応副生物が含まれていてもいいことは前述のとおりである。他の工程での分離・精製にかかる設備、費用のことを考慮すれば、実際に工業的に実施する本発明の場合は、これらの化合物を少量含んでいることが好ましい。
また、本発明において、原料であるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物を連続多段蒸留塔A内に連続的に供給するには、該蒸留塔Aの上部のガス抜出し口よりも下部であるが塔の上部または中間部に設置された1箇所または数箇所の導入口から、液状および/またはガス状で供給してもよいし、芳香族モノヒドロキシ化合物を多く含む原料を蒸留塔の上部の導入口から液状で供給し、ジアルキルカーボネートを多く含む原料を蒸留塔の下部の液抜出し口よりも上部であって塔の下部に設置された導入口からガス状および/または液状で供給することも好ましい方法である。なお、連続多段蒸留塔Bの高沸点混合物(B)は、上部または/および下部の導入口から連続多段蒸留塔Aに連続的に供給されるが、その組成によって上記の導入方法を選択することが好ましい
本発明において、連続多段蒸留塔A内に触媒を存在させる方法はどのようなものであってもよいが、触媒が反応液に不溶解性の固体状の場合は、連続多段蒸留塔内の段に設置する、充填物状にして設置するなどによって塔内に固定させる方法などがある。また、原料や反応液に溶解する触媒の場合は、蒸留塔の中間部より上部から蒸留塔内に供給することが好ましい。この場合、原料または反応液に溶解させた触媒液を原料と一緒に導入してもよいし、原料とは別の導入口からこの触媒液を導入してもよい。本発明で用いる触媒の量は、使用する触媒の種類、原料の種類やその量比、反応温度並びに反応圧力などの反応条件の違いによっても異なるが、原料の合計質量に対する割合で表して、通常、0.0001〜30質量%、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.001〜1質量%で使用される。
本発明で行われるエステル交換反応の反応時間は連続多段蒸留塔A内での反応液の平均滞留時間に相当すると考えられるが、これは該蒸留塔Aのインターナルの形状や段数、原料供給量、触媒の種類や量、反応条件などによって異なるが、通常0.01〜10時間、好ましくは0.05〜5時間、より好ましくは0.1〜3時間である。反応温度は、用いる原料化合物の種類や触媒の種類や量によって異なるが、通常100〜350℃である。反応速度を高めるためには反応温度を高くすることが好ましいが、反応温度が高いと副反応も起こりやすくなり、たとえば、アルキルアリールエーテルなどの副生が増えるので好ましくない。このような意味で、好ましい反応温度は130〜280℃、より好ましくは150〜260℃、さらに好ましくは、180〜250℃の範囲である。また反応圧力は、用いる原料化合物の種類や組成、反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常0.1〜2×10Pa、好ましくは、10〜10Pa、より好ましくは2×10〜5×10の範囲で行われる。
本発明においては、連続多段蒸留塔Aの上部から連続的に抜出される低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に供給する位置は、回収部SSと濃縮部ESの間である。連続多段蒸留塔Bは、蒸留物の加熱のためのリボイラーと、還流装置を有することが好ましい。
本発明においては、該低沸点反応混合物(A)は、通常、10〜1000トン/hrで、連続多段蒸留塔Aから抜出され、連続多段蒸留塔B内に供給され、蒸留分離され、該蒸留塔Bの上部から低沸点混合物(B)が、下部から高沸点混合物(B)がそれぞれ連続的に抜出される。本発明においては、該低沸点混合物(B)中の該アルコール類の濃度を、該低沸点混合物(B)100質量%に対して、90質量%以上にすることが必要であり、好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上にすることが可能であり、また、該高沸点混合物(B)中の該アルコール類の含有量を、該高沸点混合物(B)100質量%に対して、0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下とすることが可能である。そして、低沸点混合物(B)の主成分として分離されるアルコール類は、200kg/hr以上とすることが必要であり、好ましくは500kg/hr以上、より好ましくは1〜20トン/hrの量で、長時間安定的に連続的に分離することができる。
本発明で分離される低沸点混合物(B)は、副生するアルコール類を90質量%以上含有するが残りの成分の全部または大部分は、ジアルキルカーボネートである。したがって、該低沸点混合物(B)をジアルキルカーボネート製造原料として用いることが好ましい。ジアルキルカーボネートの製造方法としては、アルコール類のカルボニル化反応を用いる方法と、アルキレンカーボネートの加アルコール分解反応を用いる方法が工業的に実施されているが、該低沸点混合物(B)はいずれの反応の原料としても用いることができる。アルキレンカーボネートの加アルコール分解反応は平衡反応であるので、アルコール濃度の高い原料を用いることが好ましいので、本発明で得られる低沸点混合物(B)を、この反応の原料とすることは好ましい方法である。この場合、該低沸点混合物(B)中のアルコール濃度が、該低沸点混合物(B)100質量%に対して、95質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上のものを原料とすることが特に好ましい。
また、本発明で分離される高沸点混合物(B)は、該低沸点反応混合物(A)の成分から低沸点混合物(B)の成分を抜出した成分からなっており、副生アルコール類を0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下含有するものであって、通常、主成分はジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物であって、少量の副生アルキルアリールエーテルおよび少量の芳香族カーボネート類を含有するものであるので、本発明においては、この高沸点混合物(B)を連続多段蒸留塔Aに連続的に供給し、エステル交換反応の原料とすることは特に好ましい方法である。なお、この場合、連続多段蒸留塔Aに供給される原料中のジアルキルカーボネートの量は該高沸点混合物(B)中の量だけでは不足するので、通常反応によって消費された量に見合う量のジアルキルカーボネートを含む原料を新たに追加する必要がある。連続多段蒸留塔Aに新たに追加されるジアルキルカーボネートを含む原料は、直接、連続多段蒸留塔Aに供給してもよいし、連続多段蒸留塔Bに供給し、高沸点混合物(B)の一部として連続多段蒸留塔Aに供給することも可能である。この新たに追加されるジアルキルカーボネートを含む原料が、たとえば、0.1質量%より多くのアルコール類を含んでいる場合には、連続多段蒸留塔Bの適当な位置に供給し、該アルコール類の含有量を低下させた上で、高沸点混合物(B)の一部として連続多段蒸留塔Aに供給することが好ましい。
なお、連続多段蒸留塔Aに供給される原料は、原料1と原料2とから構成され、通常、原料1中には、別途行われるアルキルアリールカーボネートの不均化反応(式19)を主とする工程で生成するジアルキルカーボネートが含まれる。したがって、連続多段蒸留塔Aにおいて、アルキルアリールカーボネートを生成する反応によって消費されるジアルキルカーボネートの約半分量は、この不均化反応によって生成しリサイクルされる原料1中のジアルキルカーボネートでまかなわれるが、不足する約半分量は、フレッシュなジアルキルカーボネートとして追加される必要がある。このことによって、反応蒸留を定常状態で継続されることができる。本発明では、この不足分を、通常、原料2にジアルキルカーボネートを追加するが、もちろん、原料1に追加してもよい。
本発明で行われる連続多段蒸留塔Bの蒸留条件は、塔底温度が150〜300℃、好ましくは170〜270℃、さらに好ましくは190〜250℃であり、塔頂圧力が2×10〜5×10Pa、好ましくは4×10〜3×10Pa、さらに好ましくは6×10〜2×10Paであり、還流比が0.1〜20、好ましくは0.5〜15、さらに好ましくは1.0〜10である。
なお、本発明でいう長期安定運転とは、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上、反応蒸留を行う連続多段蒸留塔Aと該低沸点反応混合物(A)の蒸留分離を行う連続多段蒸留塔Bのいずれもが、フラッディングや配管のつまりやエロージョンがなく、運転条件に基づいた定常状態で運転が継続でき、所定の高生産性と高選択率を維持しつつ、1時間あたり1トン以上の所定量の芳香族カーボネートを製造しながら、一方では所定の分離効率を維持しながら、1時間あたり200kg以上の所定量の副生アルコール類が蒸留分離されていることを意味している。
本発明で用いられる連続多段蒸留塔を構成する材料は、主に炭素鋼、ステンレススチールなどの金属材料であるが、製造する芳香族カーボネートの品質の面からは、ステンレススチールが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。混合物の組成はガスクロマトグラフィー法で測定し、ハロゲンはイオンクロマトグラフィーで測定した。
[実施例1]
<連続多段蒸留塔A>
図1に示されるようなL=3300cm、D=500cm、L/D=6.6、n=80、D/d=17、D/d=9 である連続多段蒸留塔を用いた。なお、この実施例では、インターナルとして、孔1個あたりの断面積=約1.5cm、孔数=約250個/mを有する多孔板トレイを用いた。
<連続多段蒸留塔B>
図2に示されるようなL=1700cm、D=180cm、L/D=9.4、n=16、L=2500cm、D=100cm、L/D=25、n=55 である連続多段蒸留塔を用いた。この実施例では、インターナルとして回収部、濃縮部ともに多孔板トレイ(孔1個あたりの断面積=約1.3cm、孔数=約550個/m)を用いた。
<反応蒸留と低沸点反応混合物(A)から副生メタノールの分離>
図3に示される装置を用いて反応蒸留と副生メタノールの分離をおこなった。
ジメチルカーボネート44質量%、フェノール49質量%、アニソール5.7質量%、メチルフェニルカーボネート1質量%、メタノール0.3質量%、からなる原料1を連続多段蒸留塔Aの上部導入口21から液状で80.8トン/hrの流量で連続的に導入した。なお、原料1は導入口20から導入され、熱交換器27で該蒸留塔Aの上部からガス状で抜出される低沸点反応混合物(A)の熱で加熱された上で導入口21に送られた。一方、ジメチルカーボネート76質量%、フェノール19.5質量%、アニソール4.4質量%、メチルフェニルカーボネート0.1質量%、からなる原料2を該蒸留塔Aの下部導入口11から86トン/hrの流量で連続的に導入した。連続多段蒸留塔Aに導入された原料のモル比は、ジメチルカーボネート/フェノール=1.87であった。この原料にはハロゲンは実質的に含まれていなかった(イオンクロマトグラフィーでの検出限界外で1ppb以下)。触媒はPb(OPh)として、反応液中に約70ppmとなるように該蒸留塔Aの上部の導入口10から導入された。該蒸留塔Aの塔底部の温度が233℃で、塔頂部の圧力が9.6×10Paの条件下で連続的に反応蒸留が行われた。24時間後には安定的な定常運転が達成できた。該蒸留塔Aの塔底部に接続された抜出し口25から82.3トン/hrで連続的に抜出された液には、メチルフェニルカーボネートが10.1質量%、ジフェニルカーボネートが0.27質量%含まれていた。メチルフェニルカーボネートの1時間あたりの生産量は8.3トン(蒸留塔Aに導入された量を除いた実質の生成量は7.5トン/hr)、ジフェニルカーボネートの1時間あたりの生産量は0.22トンであることがわかった。反応したフェノールに対して、メチルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートを合わせた選択率は99%であった。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、2000時間後、4000時間後、5000時間後、6000時間後の1時間あたりの生産量は、メチルフェニルカーボネートが、8.3トン、8.3トン、8.3トン、8.3トン、8.3トンであり、ジフェニルカーボネートの1時間あたりの生産量は0.22トン、0.22トン、0.22トン、0.22トン、0.22トンであり、メチルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートを合わせた選択率は99%、99%、99%、99%、99%、99%、であり、非常に安定していた。また、製造された芳香族カーボネートには、ハロゲンは実質的に含まれていなかった(1ppb以下)。
連続多段蒸留塔Aの塔頂からガス状で連続的に抜出された低沸点反応混合物(A)は、熱交換器27でその熱を上記原料1の加熱に使うことによって170℃まで低下させた。85.2トン/hrで抜出された該低沸点反応混合物(A)の組成は、メタノール2質量%、ジメチルカーボネート74質量%、フェノール19.5質量%、アニソール4.4質量%、メチルフェニルカーボネート0.1質量%であった。該低沸点反応混合物(A)は連続多段蒸留塔Bの回収部と濃縮部の間に設けられた導入口31付近の液温に近い温度にされた上で該導入口31から連続的に該蒸留塔Bに供給された。一方、不足するジメチルカーボネートを補うために、フレッシュなジメチルカーボネートが2.53トン/hrで該蒸留塔Bの下部の導入口41から連続的に導入された。該蒸留塔Bは塔底温度226℃、塔頂温度155℃、還流比3で連続的に蒸留分離が行われ、低沸点混合物(B)が抜出し口39から1.73トン/hrで、高沸点混合物(B)が抜出し口35から86トン/hrでそれぞれ連続的に抜出された。該高沸点混合物(B)はメタノールの含有量が0.1質量%以下であり、その組成は上記連続多段蒸留塔Aの原料2の組成と同じであり、これは原料2として循環再使用された。
該低沸点混合物(B)の組成はメタノール97質量%、ジメチルカーボネート3質量%であった。連続的に蒸留分離されたメタノールの量は1.68トン/hrであった。該低沸点混合物(B)はエチレンカーボネートと反応させてジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造するための原料として用いられた。
連続多段蒸留塔Bの運転は、連続多段蒸留塔Aの連続運転にあわせて行ったが、500時間後、2000時間後、4000時間後、5000時間後、6000時間後の分離効率は初期と同様であり、安定に推移した。
[実施例2]
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Aおよび連続多段蒸留塔Bを用いて、下記の条件で反応蒸留と副生メタノールの分離を行った。
<反応蒸留>
ジメチルカーボネート33.3質量%、フェノール58.8質量%、アニソール6.8質量%、メチルフェニルカーボネート0.9質量%、メタノール0.2質量%、からなる原料1を導入口20から熱交換器27を経て連続多段蒸留塔Aの上部導入口21から液状で86.2トン/hrの流量で連続的に導入した。一方、ジメチルカーボネート64.4質量%、フェノール33.8質量%、アニソール1.3質量%、メチルフェニルカーボネート0.4質量%、メタノール0.1質量%からなる原料2を該蒸留塔Aの下部導入口11から86.6トン/hrの流量で連続的に導入した。連続多段蒸留塔Aに導入された原料のモル比は、ジメチルカーボネート/フェノール=1.1であった。この原料にはハロゲンは実質的に含まれていなかった(イオンクロマトグラフィーでの検出限界外で1ppb以下)。触媒はPb(OPh)として、反応液中に約100ppmとなるように該蒸留塔Aの上部導入口10から導入された。該蒸留塔Aの塔底部の温度が230℃で、塔頂部の圧力が6.5×10Paの条件下で連続的に反応蒸留が行われた。24時間後には安定的な定常運転が達成できた。該蒸留塔Aの塔底部に接続された抜出し口25から88トン/hrで連続的に抜出された液には、メチルフェニルカーボネートが13.4質量%、ジフェニルカーボネートが0.7質量%含まれていた。メチルフェニルカーボネートの1時間あたりの生産量は11.8トン(蒸留塔Aに導入された量を除いた実質の生成量は10.7トン/hr)、ジフェニルカーボネートの1時間あたりの生産量は0.6トンであることがわかった。反応したフェノールに対して、メチルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートを合わせた選択率は98%であった。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、1000時間後、2000時間後の1時間あたりの生産量は、メチルフェニルカーボネートが、11.8トン、11.8トン、11.8トンであり、ジフェニルカーボネートの1時間あたりの生産量は0.6トン、0.6トン、0.6トンであり、メチルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートを合わせた選択率は98%、98%、98%であり、非常に安定していた。また、製造された芳香族カーボネートには、ハロゲンは実質的に含まれていなかった(1ppb以下)。
<低沸点反応混合物(A)から副生メタノールの分離>
連続多段蒸留塔Aの塔頂からガス状で連続的に抜出された低沸点反応混合物(A)は、熱交換器27でその熱を上記原料1の加熱に使うことによって161℃まで低下させた。85.4トン/hrで抜出された該低沸点反応混合物(A)の組成は、メタノール3.1質量%、ジメチルカーボネート61質量%、フェノール34.3質量%、アニソール1.2質量%、メチルフェニルカーボネート0.2質量%であった。該低沸点反応混合物(A)は連続多段蒸留塔Bの回収部と濃縮部の間に設けられた導入口31付近の液温に近い温度にされた上で該導入口31から連続的に該蒸留塔Bに供給された。一方、不足するジメチルカーボネートを補うために、フレッシュなジメチルカーボネートが濃縮部の下から4段目の導入口51から3.98トン/hrで該蒸留塔Bに連続的に導入された。該蒸留塔Bは塔底温度213℃、塔頂温度138℃、還流比2.89で連続的に蒸留分離が行われ、低沸点混合物(B)が抜出し口39から2.78トン/hrで、高沸点混合物(B)が抜出し口35から86.6トン/hrでそれぞれ連続的に抜出された。該高沸点混合物(B)はメタノールの含有量が0.1質量%以下であり、その組成は上記連続多段蒸留塔Aの原料2の組成とほぼ同じであり、これは原料2として循環再使用された。
該低沸点混合物(B)の組成はメタノール93.3質量%、ジメチルカーボネート6.7質量%であった。連続的に蒸留分離されたメタノールの量は2.59トン/hrであった。該低沸点混合物(B)はエチレンカーボネートと反応させてジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造するための原料として用いられた。
連続多段蒸留塔Bの運転は、連続多段蒸留塔Aの連続運転にあわせて行ったが、500時間後、1000時間後、2000時間後の分離効率は初期と同様であり、安定に推移した。
[実施例3]
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Aを用いて同様な方法により反応蒸留が行われ、塔上部抜出し口26からメタノール1.5質量%、ジメチルカーボネート81.9質量%、フェノール12.4質量%、アニソール3.9質量%、メチルフェニルカーボネート0.3質量%からなる低沸点反応混合物(A)が80.26トン/hrで抜出された。該低沸点反応混合物(A)は実施例1と同様にして熱交換器27を経て、実施例1と同じ連続多段蒸留塔Bの回収部と濃縮部の間の導入口31から連続的に供給され、一方、不足するジメチルカーボネートを補うために、ジメチルカーボネート99質量%、メタノール1質量%からなるフレッシュ原料が濃縮部の下から4段目の導入口51から1.76トン/hrで該蒸留塔Bに連続的に導入された。該蒸留塔Bにおいて塔底温度219℃、塔頂温度151℃、還流比6.74で連続的に蒸留分離が行われ、低沸点混合物(B)が抜出し口39から1.19トン/hrで、高沸点混合物(B)が抜出し口35から80.83トン/hrでそれぞれ連続的に抜出された。該高沸点混合物(B)はメタノールの含有量が0.1質量%以下であり、これは反応蒸留の原料として上記連続多段蒸留塔Aで循環再使用された。
該低沸点混合物(B)の組成はメタノール99質量%、ジメチルカーボネート1質量%であった。連続的に蒸留分離されたメタノールの量は1.18トン/hrであった。該低沸点混合物(B)はエチレンカーボネートと反応させてジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造するための原料として用いられた。
連続多段蒸留塔Bの運転は、連続多段蒸留塔Aの連続運転にあわせて行ったが、500時間後、1000時間後、2000時間後の分離効率は初期と同様であり安定に推移した。
[実施例4]
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Aを用いて同様な方法により反応蒸留が行われ、塔上部抜出し口26からメタノール2.8質量%、ジメチルカーボネート61.0質量%、フェノール26.4質量%、アニソール9.6質量%、メチルフェニルカーボネート0.2質量%からなる低沸点反応混合物(A)が57.45トン/hrで抜出された。該低沸点反応混合物(A)は実施例1と同様にして熱交換器27を経て、実施例1と同じ連続多段蒸留塔Bの回収部と濃縮部の間の導入口31から連続的に供給され、一方、不足するジメチルカーボネートを補うために、ジメチルカーボネート99.7質量%、メタノール0.3質量%からなるフレッシュ原料が濃縮部の下から4段目の導入口51から2.44トン/hrで該蒸留塔Bに連続的に導入された。該蒸留塔Bにおいて塔底温度215℃、塔頂温度138℃、還流比4.4で連続的に蒸留分離が行われ、低沸点混合物(B)が抜出し口39から1.69トン/hrで、高沸点混合物(B)が抜出し口35から58.2トン/hrでそれぞれ連続的に抜出された。該高沸点混合物(B)はメタノールの含有量が0.08質量%であり、これは反応蒸留の原料として上記連続多段蒸留塔Aで循環再使用された。
該低沸点混合物(B)の組成はメタノール94.9質量%、ジメチルカーボネート5.1質量%であった。連続的に蒸留分離されたメタノールの量は1.6トン/hrであった。該低沸点混合物(B)はエチレンカーボネートと反応させてジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造するための原料として用いられた。
連続多段蒸留塔Bの運転は、連続多段蒸留塔Aの連続運転にあわせて行ったが、500時間後、1000時間後の分離効率は初期と同様であり、安定に推移した。
[実施例5]
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Aを用いて同様な方法により反応蒸留が行われ、塔上部抜出し口26からメタノール3.0質量%、ジメチルカーボネート62.8質量%、フェノール28.0質量%、アニソール6.1質量%、メチルフェニルカーボネート0.1質量%からなる低沸点反応混合物(A)が57.11トン/hrで抜出された。該低沸点反応混合物(A)は実施例1と同様にして熱交換器27を経て、実施例1と同じ連続多段蒸留塔Bの回収部と濃縮部の間の導入口31から連続的に供給され、一方、不足するジメチルカーボネートを補うために、フレッシュなジメチルカーボネートが濃縮部の下から4段目の導入口51から2.8トン/hrで該蒸留塔Bに連続的に導入された。該蒸留塔Bにおいて塔底温度213℃、塔頂温度138℃、還流比2.89で連続的に蒸留分離が行われ、低沸点混合物(B)が抜出し口39から1.84トン/hrで、高沸点混合物(B)が抜出し口35から58.07トン/hrでそれぞれ連続的に抜出された。該高沸点混合物(B)はメタノールの含有量が0.09質量%であり、これは反応蒸留の原料として上記連続多段蒸留塔Aで循環再使用された。
該低沸点混合物(B)の組成はメタノール93.3質量%、ジメチルカーボネート6.7質量%であった。連続的に蒸留分離されたメタノールの量は1.72トン/hrであった。該低沸点混合物(B)はエチレンカーボネートと反応させてジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造するための原料として用いられた。
連続多段蒸留塔Bの運転は、連続多段蒸留塔Aの連続運転にあわせて行ったが、500時間後、1000時間後、2000時間後の分離効率は初期と同様であり、安定に推移した。
本発明は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とから連続多段蒸留塔を用いて反応蒸留方式によって芳香族カーボネートを製造するにあたり、副生するアルコール類を効率的に分離しつつ、芳香族カーボネートを1時間あたり1トン以上の工業的規模で、長期間安定的に製造できる具体的な方法として好適に利用できる。
本発明の反応蒸留を行う連続多段蒸留塔Aの例を示す概略図である。内部には段数nを有するインターナル(たとえば、トレイ6)が設置されている。 本発明のアルコール類を含む低沸点反応混合物(A)の蒸留分離を行う連続多段蒸留塔Bの例を示す概略図である。内部にはインターナルが設置されている。インターナルは回収部(たとえば、トレイ7)が段数nで濃縮部(たとえば、トレイ8)が段数nである。 本発明の反応蒸留と副生アルコール類の蒸留分離を行う装置の概略図である。1:ガス抜出し口、2:液抜出し口、3,4:導入口、5:鏡板部、6,7,8:インターナル;SS:回収部、ES:濃縮部、L:連続多段蒸留塔Aの長さ(cm)、D:連続多段蒸留塔Aの内径(cm)、d:連続多段蒸留塔Aのガス抜出し口内径(cm)、d:連続多段蒸留塔Aの液抜出し口内径(cm)、L:連続多段蒸留塔Bの回収部の長さ(cm)、L:連続多段蒸留塔Bの濃縮部の長さ(cm)、D:連続多段蒸留塔Bの回収部の内径(cm)、D:連続多段蒸留塔Bの濃縮部の内径(cm)、10,11,20,21,31,41,51:導入口、22,25,32,35,39:液抜出し口、26,36:ガス抜出し口、24,34,38:導入口、23,33,27,37:熱交換器

Claims (21)

  1. ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを含む原料を触媒が存在する連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、該蒸留塔A内でエステル交換反応と蒸留を同時に行い、副生するアルコール類を含む低沸点反応混合物(A)を該蒸留塔A上部よりガス状で連続的に抜出し、芳香族カーボネート類を含む高沸点反応混合物(A)を該蒸留塔A下部より液状で連続的に抜出す反応蒸留方式によって、芳香族カーボネート類を工業的規模で連続的に大量に製造するにあたり、
    (a)該連続多段蒸留塔Aとして、下記式(1)〜(6)の条件を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有し、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d(cm)のガス抜出し口、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口を有する蒸留塔を用いること、
    1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
    100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
    2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
    20 ≦ n ≦ 120 式(4)
    5 ≦ D/d ≦ 30 式(5)
    3 ≦ D/d ≦ 20 式(6)
    (b)該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に連続的に供給し、該アルコール類の濃度が90質量%以上である低沸点混合物(B)を該蒸留塔Bの上部よりガス状で連続的に抜き出すこと、
    (c)該アルコール類の含有量の少ない高沸点混合物(B)を該連続多段蒸留塔Bの下部より液状で連続的に抜出し、該高沸点混合物(B)を、連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、エステル交換反応に再使用すること、
    (d)該連続多段蒸留塔Bとして、下記式(7)〜(14)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する回収部と、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する濃縮部からなる蒸留塔を用いること、
    500 ≦ L ≦ 3000 式(7)
    100 ≦ D ≦ 500 式(8)
    2 ≦ L/D ≦ 30 式(9)
    10 ≦ n ≦ 40 式(10)
    700 ≦ L ≦ 5000 式(11)
    50 ≦ D ≦ 400 式(12)
    10 ≦ L/D ≦ 50 式(13)
    35 ≦ n ≦ 100 式(14)
    を特徴とする芳香族カーボネート類の工業的製造方法。
  2. 1時間あたり1トン以上の芳香族カーボネート類を生産することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 該dと該dが1≦d/d≦5であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 該連続多段蒸留塔Aが、該インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることを特徴とする、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の方法。
  5. 該連続多段蒸留塔Aが、該インターナルとしてトレイを有する棚段式蒸留塔であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
  9. 該連続多段蒸留塔BのL、D、L/D、n、L、D、L/D、nが、それぞれ、800≦L≦2500、120≦D≦400、5≦L/D≦20、13≦n≦25、1500≦L≦3500、70≦D≦200、15≦L/D≦30、40≦n≦70、L≦L、D≦Dであることを特徴とする請求項1ないし8のうち何れか一項に記載の方法。
  10. 該連続多段蒸留塔Bの回収部および濃縮部のインターナルが、それぞれトレイおよび/または充填物であることを特徴とする、請求項1ないし9のうち何れか一項に記載の方法。
  11. 該連続多段蒸留塔Bの回収部および濃縮部のインターナルが、それぞれトレイであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、請求項11記載の方法。
  13. 該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする、請求項12記載の方法。
  14. 該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
  15. 該連続多段蒸留塔Bで分離されるアルコール類の量が、1時間あたり200kg以上であることを特徴とする、請求項1ないし14のうち何れか一項に記載の方法。
  16. 該低沸点混合物(B)中の該アルコール類の濃度が95質量%以上であることを特徴とする、請求項1ないし15のうち何れか一項に記載の方法。
  17. 該低沸点混合物(B)中の該アルコール類の濃度が97質量%以上であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
  18. 該低沸点混合物(B)をジアルキルカーボネート製造用の原料とすることを特徴とする、請求項1ないし17のうち何れか一項に記載の方法。
  19. 該連続多段蒸留塔Bの下部より液状で連続的に抜出した高沸点混合物(B)中の該アルコール類の含有量が0.2質量%以下であることを特徴とする、請求項1ないし18のうち何れか一項に記載の方法。
  20. 高沸点混合物(B)中の該アルコール類の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. ガス状で抜出される該低沸点反応混合物(A)の熱を、該連続多段蒸留塔Aに供給されるエステル交換反応の原料の加熱に使用することを特徴とする、請求項1ないし20のうち何れか一項に記載の方法。
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