JPWO2006025448A1 - チオレドキシンを用いた消化器官保護方法 - Google Patents

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Abstract

チオレドキシンを含有する組成物すなわち食品又は飲料、並びにそれらを摂取することを特徴とする、消化器官保護方法に関するものである。より詳細には、各種ストレスにより生じうる胃潰瘍などの発症を防止する消化器官保護方法に関するものである。酵母チオレドキシンを食物中に一定濃度配合した食品を摂食することにより、各種ストレスなどが原因で生じる胃粘膜の損傷、例えば胃壁における胃潰瘍の形成を防止することが可能となる。食物中に含有させる酵母チオレドキシンの濃度は、食品の場合0.01〜1.0質量%、飲料の場合0.1〜10μg/mlが望ましい。

Description

本出願は、2004年8月31日に提出された日本国特許出願 特願2004−253031に基づく優先権を主張する。
本発明は、チオレドキシンを含有する組成物、及びそれを摂取することを特徴とする、消化器官保護方法に関するものである。より詳細には、各種ストレスにより生じうる胃潰瘍などの発症を防止する組成物及びそれを摂取することを特徴とする消化器官保護方法に関するものである。
チオレドキシン(以下「TRX」)とは、高度に保存されたC-X-Y-Cの活性中心(特にX:Gly、Y:Pro)を持つ、約12kDaの電子伝達タンパク質であり、ほとんどの生物の細胞内に存在することが知られている(非特許文献1から4)。TRXは他のタンパク質に存在するジスルフィド結合の酸化還元活性を有し、その酸化還元活性によりタンパク質の活性や機能、性質を調節する機能を有する。
様々なストレス、特に酸化ストレスは脂質・遺伝子・タンパク質などの生体高分子に傷害を与え、細胞・組織に害を及ぼすが、それに伴いTRXの体内での濃度が変化することが知られている。すなわち体内でのTRX濃度の上昇により、各種ストレスにより生じたアレルギーの改善もしくは予防、粘膜の保護もしくは修復、皮膚の保護等がなされると考えられている。
TRXが有する酸化還元活性を応用した様々な技術が現在までに開示されている。例えばTRXによる各種アレルゲンの中和(特許文献1)、TRXによる転写因子AP-1の活性化(特許文献2)、TRXによるアレルギー予防、皮質改善、粘膜障害保護(特許文献3)、炎症疾患の予防ないし治療(特許文献4)等が開示されている。
特表平10−510244号公報 特開平10−191977号公報 特開2000−103743号公報 特開2002−179588号公報 Laurent, T. C., Moore, E. C., & Reichard, P. (1964) J. Biol. Chem. 239, 3436-3444 Holmgren, A. (1989) Ann. Rev. Biochem. 54, 237-271 Holmgren, A. (1989) J. Biol. Chem. 264, 13963-1366 Buchanan, B. B., Schurmann, P., Decottignies, P. & Lozano, R. M. (1994), Arch. Biochem. Biophys. 314, 257-60
しかしながら、外部ストレスにより動物個体に生じる各種症状(例えば胃潰瘍等)に対する、TRX摂取の効果に関しては、従来何らの報告もされていなかった。本発明が解決しようとする課題は、外部ストレスにより動物個体に生じる各種症状に対するTRXの効果を確認し、それをストレス保護食品素材として応用することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、酵母TRXを食物中に一定濃度配合した食品を摂食することにより、各種ストレスなどが原因で生じる胃粘膜の損傷、例えば胃壁における胃潰瘍の形成が防止されることを見出し、本発明を完成させるに至った。課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1) ストレスによる消化器官の損傷を防止する方法において、チオレドキシンを含有する組成物を経口摂取することを特徴とする、消化器官保護方法。
(2) ストレスが、物理的ストレス、化学的ストレス、生物学的ストレス及び心理的ストレスからなる群のうちの一つまたは二つ以上のものであることを特徴とする、前記(1)に記載の方法。
(3) 消化器官の損傷による症状が、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、神経性胃炎、神経性下痢、神経性食欲不振症、神経性嘔吐症、空気嚥下、便秘及び下痢からなる群のうちの一つまたは二つ以上のものであることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の方法。
(4) チオレドキシンが酵母由来であることを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 組成物が食品であることを特徴とする、上記(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 食品におけるチオレドキシン含量が、0.01〜1.0質量%であることを特徴とする、上記(5)に記載の方法。
(7) 組成物が飲料であることを特徴とする、上記(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
(8) 飲料におけるチオレドキシン含量が、0.1〜10μg/mlであることを特徴とする、(7)に記載の方法。
本発明の消化器官保護方法により、消化器官の損傷、例えば胃壁における胃潰瘍の形成を防止することが可能となった。
水浸ストレスによるモデル実験の流れを示した説明図。 水浸ストレスによる胃潰瘍発症を比較したグラフ。 薬剤誘導ストレスによるモデル実験の流れを示した説明図。 薬剤誘導ストレスによる胃潰瘍発症を比較したグラフ。 薬剤誘導ストレスによる胃潰瘍発症を示した図。
発明を実施するための形態
TRXとは、一般には高度に保存されたC-X-Y-Cの活性中心(特にX:Gly、Y:Pro)を有し、生体内の種々の酸化還元反応に関わる、ほとんどの生物の細胞中に存在する電子伝達タンパク質の総称(TRXファミリー)を指す。
本発明の消化器官保護方法において用いられるTRXタンパク質は、本明細書に記載した特徴を有する限り、その製法や給源などは特に限定されない。すなわち本発明のTRXタンパク質は、天然由来のもの、遺伝子工学的手法に生産される組換えタンパク質、あるいは化学合成タンパク質のいずれでも本発明の課題を解決することは可能である。またTRXの給源に関しては、特に限定はされないが、安全性確認が容易な天然供給源から得られるTRX、望ましくは酵母由来のTRX、より望ましくはパン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母及び味噌醤油酵母などの食用酵母、更に望ましくはパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のTRXを用いるのが良い。
また、上記酵母としては食用酵母が望ましく、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属、トルロプシス(Torulopsis)属、ミコトルラ(Mycotorula)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、キャンディダ(Candida)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、ピキア(Pichia)属などが挙げられる。
酵母TRXタンパク質は、典型的には、酵母Saccharomyces cerevisiaeのTRX2タンパク質のアミノ酸配列(Genbank登録番号AAA85584(U40843),thioredox…[gi:1165214],Jae Mahn Songら、24-Jan-1996)に記載のように、104アミノ酸により構成された配列を有する。しかしながら天然のタンパク質の中にはそれを生産する生物種の品種の違いや、生態系の違いによる遺伝子の変異、あるいはよく似たアイソザイムの存在などに起因して1から複数個のアミノ酸変異を有する変異タンパク質が存在することは周知であり、例えばSaccharomyces属の他の種に属する酵母、あるいは他の属、例えば、ピキア属等に属する種の酵母由来のTRXも本発明において使用しうる。なお、本明細書で使用する用語「アミノ酸変異」とは、1以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加などを意味する。本発明の酵母TRXタンパク質は典型的には上記Genbank登録番号AAA85584(U40843)に記載のアミノ酸配列を有するが、その配列を有するタンパク質のみに限定されるわけではなく、本明細書中に記載した特性を有する限り全ての相同タンパク質を含むことが意図される。相同性は少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
酵母の培養の方法としては、公知の方法、例えばバッチ培養、流加連続培養、流加バッチ培養などが挙げられる。培養は、ジャーファーメンターを用いて好適に行うことができ、このときのジャーファーメンターにおける条件としては、特に制限はなく適宜決定することができるが、例えば、培養温度としては28〜33℃程度であり、培養時間としては1〜120時間程度であり、pHとしては4〜7程度であり、通気量としては0〜5vvm程度であり、攪拌速度としては100〜700rpm程度である。
酵母の培養に用いる培地及び流加培養の際に用いる流加液としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、廃糖蜜などが好適に挙げられる。なお、それらは炭素源、窒素源等を適宜含んでいてもよい。
酵母TRXの精製は、まず細胞を破砕する工程から行う。酵母細胞の破壊は、凍結−解凍の繰り返し、音波処理、機械的崩壊、又は細胞溶解剤の使用を含む適当な慣用的方法により行うことができる。酵母TRXの精製は、前記処理後の破砕物を、遠心分離や濾過等で沈殿物と上澄み液に分離した後、上澄み液を濃縮、塩析、イオン交換、アフィニティ精製又はゲル濾過精製の慣用される方法を適当に組み合わせることにより精製される。あるいは最終精製工程としてRP−HPLCを用いてもよい。なお、本発明の消化器官保護方法に用いられるTRXとしては、純度70%以上の粗精製TRXであれば消化器官保護の用途に利用可能だが、純度90%以上の精製TRXが望ましい。
本発明の消化器官保護方法は、酵母TRXを含有させた食品や飲料、機能性食品・飲料又はサプリメントを経口的に摂取することにより、消化器官を保護することを特徴とする。TRXは、消化酵素の影響を受けにくいことから、それを経口投与した場合でも生体に対して有効な消化器官保護効果を奏すると考えられる。上記消化器官保護方法は、哺乳動物に適用される。
酵母TRXを食品に含有させ、本発明の消化器官保護方法を実施する場合、TRXを0.01〜1.0質量%の割合で配合するのが望ましい。なお、TRXの配合比率が0.01質量%未満では消化酵素による分解を受けるなどにより充分な消化器官保護効果が生じず、逆に1.0質量%以上では配合比率の増加に見合うだけの消化器官保護効果が得られない。その場合の態様は、特に限定はされず、例えば、ソーセージ、ハム、ベーコンなどの肉製品、かまぼこ、水産物の缶詰、魚介類ちくわ、はんぺん、フィッシュソーセージなどの魚製品、マーマレード、ジャムなどの果実製品、チョコレートスプレッド、ピーナッツバター、アーモンドペーストなどの豆穀物の加工品、豆乳、豆腐などの大豆製品、カレー、シチュー、スープ、みそ汁などの汁物、アイスクリーム、チョコレート、クリーム、ガム、ラムネ、キャラメルなどの菓子、パン、ミートパイ、マヨネーズ、ドレッシング、醤油、ソースなどの調味料、その他食用粉類等への使用が可能である。また、上記の他、タブレット等の形態のサプリメントとしても用いることが可能である。
また、酵母TRXを飲料に含有させ、本発明の消化器官保護方法を実施する場合には、TRXを0.1〜10μg/mlの濃度で調製するのが望ましい。なお、TRXの配合比率が0.1μg/ml未満では消化酵素による分解を受けるなどにより充分な消化器官保護効果が生じず、逆に10μg/ml以上では配合比率の増加に見合うだけの消化器官保護効果が得られない。その場合の態様に関しても特に限定はなく、茶、コーヒー、ココア、ビール,清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,野菜ジュース、日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒などが挙げられる。
本発明の消化器官保護方法が適用可能なストレスは、特に限定されず、例えば1)物理的ストレスとして、異物、外傷、手術、出血、寒冷、高熱、放射線、2)化学的ストレスとして、飢餓、酸素欠乏、薬物、3)生物学的ストレスとして、微生物、感染、4)心理的ストレスとして、怒、不安、焦燥、緊張、激しい労働、神経刺激、情緒の変動などが存在する。
また、ストレスによってひき起される疾患には、例えば日本心身医学会医療対策委員会の分類(一部改変)によれば、消化系では消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、神経性胃炎、神経性下痢、神経性食欲不振症、神経性嘔吐症、空気嚥下、便秘、下痢が存在する。
パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)の菌体を、YPD培地(2%グルコース、2%ペプトン、1%イーストエキス)で30℃、4日間フラスコによる振とう培養を行うことにより得た。得られた培養菌体を遠心分離により回収し、1mM DTTを含む50mMリン酸バッファー(pH7.5)に菌体を懸濁した。そして、超音波破砕後の遠心分離上清をTRX抽出液とした。次いで、抽出液を60℃、30分間熱処理をおこない上澄み分画を70%飽和硫安塩析にて沈殿物として回収した。塩析沈殿物を1.5M硫安濃度(pH7.5)にて溶解し、Buthyl-Toyopearl C650ゲル(東ソー社製)を用いて疎水カラムクロマトグラフィーを実施した。TRXは1.0M硫安付近を溶出ピークとして回収された。疎水クロマトグラフィー溶出液を限外ろ過膜(YM10、アミコン社製)を用いて濃縮しSuperdex Pg75(ファルマシア製)ゲルろ過クロマトグラフィーに供した。TRXは分子量10,000付近に主ピークとして溶出された。ゲルろ過溶出分画の純度検定をポリアクリルアミド電気泳動にて調べた結果、分子量12,000の単一バンドを示した。本標品を最終精製品とし、DTTを含まないPBS(pH7.2)にバッファー交換した。
物理的ストレスに対する保護作用を解析するモデルとして、SDラット(6週齢、オス、n=5)に水浸ストレスを与える実験を行った。水浸ストレスとは、ラットを12時間絶食させた後、水中にこれらのラットを浸漬することによるストレスを指す。TRXをラットに投与する方法は、水浸ストレスの開始15分前(前投与)、及び水浸ストレスの終了15分後(後投与)の2種類で、生理食塩水(0.9% NaCl)200μLにTRXが10mg/kg体重となるように溶解し、経口投与することで行った。また、対照実験として、上記生理食塩水200μL、及び上記生理食塩水200μLにオボアルブミン(OVA)を10mg/kg体重で溶解した溶液を経口投与し、その他の条件は上記と同様で行った(図1)。ストレスの軽重の比較は、水浸ストレス終了後5時間の時点でラットを屠殺し、胃を摘出し、胃壁に生じた胃潰瘍の長さを比較することにより行った。
解析の結果、前投与の場合、OVAでは潰瘍長が平均5.5mm、TRXでは平均1.2mmであった。対象実験の生理食塩水では潰瘍長が平均2.5mmであることを考慮すると、TRXは水浸ストレスによる胃潰瘍の発症を有意に抑制する効果があることが明らかとなった(図2)。
また、後投与の場合、生理食塩水では潰瘍長が平均4.5mm、TRXでは平均3.5mmであった。TRXにより、水浸ストレスによる胃潰瘍の発症を若干抑制する効果はみられたものの、生理食塩水との有意差は検出できなかった(図2)。以上より、TRXによる消化器官保護方法においては、ストレスを与えられる前にTRXを摂取する方が、ストレスを与えられる後に摂取するよりも効果が大きいことが明らかとなった。
化学的ストレスに対する保護作用を解析するモデルとして、ラットに薬剤誘導ストレスを与える実験を行った。使用した動物はSDラット(6週齢、オス)5匹であり、ここでいう薬剤誘導ストレスとは、80%エタノールに150mMの塩酸を溶解させて調製した溶液(エタノール溶液)を、5ml/kg体重でラットに経口投与することによるストレスを指す。本実施例においては、実験開始後1日、2日及び3日後にTRX及び対照実験としてOVAを10mg/kg体重となるように与え、3日後のTRXまたはOVAの投与後1時間後において上記薬剤誘導ストレスを与え、更にその1時間後にラットを屠殺し、胃を摘出し、胃壁に生じた胃潰瘍の長さを比較した(図3)。
解析の結果、OVAでは潰瘍長が平均7.5mmであったが、TRXでは平均4.5mmであった。すなわちTRXはOVAと比較し、薬剤誘導ストレスによる胃潰瘍の発症を抑制する効果がみられた(図4)。また、その際における胃潰瘍の発症状況を図5において示す。
本発明の消化器官保護方法により、各種ストレスなどが原因で生じる消化器官の損傷、例えば胃壁における胃潰瘍の形成を防止することが可能となり、その性質を利用することにより、各種機能性食品への素材として応用することができる。


Claims (8)

  1. ストレスによる消化器官の損傷を防止する方法において、チオレドキシンを含有する組成物を経口摂取することを特徴とする、消化器官保護方法。
  2. ストレスが、物理的ストレス、化学的ストレス、生物学的ストレス及び心理的ストレスからなる群のうちの一つまたは二つ以上のものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 消化器官の損傷による症状が、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、神経性胃炎、神経性下痢、神経性食欲不振症、神経性嘔吐症、空気嚥下、便秘及び下痢からなる群のうちの一つまたは二つ以上のものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. チオレドキシンが酵母由来であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 組成物が食品であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 食品におけるチオレドキシン含量が、0.01〜1.0質量%であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 組成物が飲料であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  8. 飲料におけるチオレドキシン含量が、0.1〜10μg/mlであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。



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