JPWO2006008827A1 - 自己融着性絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

本発明は、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性が向上した自己融着性絶縁電線及び当該電線用の自己融着性絶縁材に関する。従来の自己融着性絶縁電線は、熱可塑性樹脂の活性基が少ないため、架橋剤を余分に添加する必要があり、このためエナメル焼き付け時の製造条件の幅が狭くなるという欠点があった。更に絶縁油中等の特殊な状況下での用途の場合、余分に含有されている硬化剤が絶縁油に含有されている種々の化学物質と反応する欠点もあった。本発明の自己融着性絶縁電線は、かかる問題点を解決したものであり、少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びに1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する熱硬化型自己融着絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられたものである。また、本発明の自己融着性絶縁材は、かかる自己融着性絶縁電線に用いられるものである。

Description

本発明は、主として電気、電子、通信機器、電装部品用コイル、モーター等に使用されるエナメル線の用途全般に適用可能な自己融着性絶縁電線および該電線用自己融着性絶縁材に関する。
自己融着性絶縁電線は、加熱等の方法により自己融着層を軟化させ、電線相互を固着させることが可能な絶縁電線であり、コイルとしての強度を高めることや、複雑な形状のコイルを作製する等の目的に用いられる。また、自己融着性絶縁電線の捲線は、通常のエナメル線と同様に行われるため、捲線時に皮膜にクラック等が生じないことも要求される。
前記のことから、自己融着性絶縁電線の融着層は、融着性に加え、可撓性の良好な樹脂を用いることが必要であり、実際には、分子量20000又は30000以上の熱可塑性高分子、たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリヒドロキシエーテル樹脂等が用いられる。
しかしながら、上記熱可塑性高分子を用いる場合、耐熱用途の機器に使用する時には高融点の樹脂を使用する必要があるため、高温で処理することにより、絶縁層や機器を劣化させる欠点が存在していた。このため、自己融着性絶縁電線を耐熱用途の機器に使用する場合、熱硬化型の自己融着線にするのが一般的である。具体的には、皮膜の可撓性に優れた分子量20,000又は30,000以上の熱可塑性樹脂にフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート等の架橋剤を添加した塗料を半硬化状態でエナメル焼付けし、熱硬化型自己融着層を形成させる材料が使用されていた。
しかし、熱可塑性樹脂の活性基は架橋剤との架橋により耐熱性が向上する程存在していないため、架橋剤を余分に添加し、架橋剤間の重合により耐熱性を向上させることが一般的である。この場合の半硬化状態の自己融着皮膜は、安定性が低いため、エナメル焼き付け時の製造条件の幅が狭くなるという欠点があった。
更に絶縁油中、冷媒中等の特殊な状況下での用途の場合、余分に含有されている硬化剤(3官能基以上を有する場合には、架橋反応時の未反応残基も含む。)が、絶縁油、冷媒に含有されている種々の化学物質と反応する欠点もあった。
本発明の目的は、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性が向上した自己融着性絶縁電線を提供することと、当該電線用の自己融着性絶縁材を提供することである。
前記従来技術の欠点を解決するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、以下の自己融着性絶縁電線であれば、これらの欠点を排除し得ることを見出だし、本発明を完成した。
1)融着時の流動性の向上及び融着の容易性を向上させるために、分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂を用いること。
2)余分な残基の少ない3次元構造を形成して、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性を向上させるために、1分子中に2個の活性基を有する架橋剤を用いること。
3)融着皮膜の強度及び耐熱性を向上させるために、ポリサルホン系樹脂を用いること。さらに、必要に応じてエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂を用いること。
前記課題を解決する本発明の第1の発明(以下、「第1発明」と記載する。)は、少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びに1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する自己融着性絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられた自己融着性絶縁電線である。
前記課題を解決する本発明の第2の発明(以下、「第2発明」と記載する。)は、少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びにエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂及び1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する自己融着性絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられた自己融着性絶縁電線である。
また、本発明は、ポリサルホン系樹脂が、ポリサルホン樹脂又はポリサルホン樹脂の部分構造を有する樹脂であること;1分子中に2個の官能基を有する架橋剤が、2価の安定化したイソシアネート、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、2価の有機酸又は2価の有機酸の誘導体であること;ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂との質量比が、不揮発分換算で20/80〜90/10であり、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対し、1分子中に2個の官能基を有する架橋剤量が10〜40質量部(不揮発分換算)であること;ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂との質量比が、不揮発分換算で20/80〜90/10であり、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対し、1分子中に2個の官能基を有する架橋剤量が10〜40質量部(不揮発分換算)であり、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対し、エポキシ樹脂量が5〜40質量部であることを望ましい態様としている。
前記課題を解決する本発明の第3の発明(以下、「第3発明」と記載する。)は、かかる自己融着性絶縁電線用である自己融着性絶縁材である。
次に本発明について詳細に記載する。第1発明の樹脂基材の一つである分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂を使用することが可能である。より具体的には市販のエピコート1256、4250、4275、1255HX30(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、PKHC、PKHH、PKHJ(いずれもUCC社製)、YP−50、YP−40ASM40、YP−50EK35、YP−50CS25(いずれも東都化成社製)、デンカブチラール#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C(いずれも電気化学工業社製)、ビニレックスK、L、H、E(チッソ社製)等を例示することができる。
第1発明の他の樹脂基材であるポリサルホン系樹脂は、ポリサルホン樹脂又はポリサルホン樹脂の部分構造を有する樹脂である。より具体的には市販のユーデルP−1700、レーデルA−200A、A−300A(いずれもアメリカのソルベイ社製)、YPS−007−A30、YPS−030−A30(いずれも東都化成社製)等例示することができる。また、ビスフェノールS、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重合反応により生成された樹脂を使用することも可能である。
ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂との質量比は、不揮発分換算で20/80〜90/10であることが好ましく、30/70〜80/20であることが特に好ましい。該質量比が90/10超であると100℃雰囲気下での融着性が低下し易くなり、20/80未満では充分な融着性が得られない。
第1発明の樹脂塗料である1分子中に2個の官能基を有する架橋剤は、2価の安定化イソシアネート、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、2価の有機酸、2価の有機酸の誘導体である。具体的には2価の安定化イソシアネートとしてテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4−4“−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4´−ジイソシアネート等をフェノール性水酸基、アルコール性水酸基等を有する化合物でマスクしたものである。
より具体的には市販のミリオネートMS−50、コロネート2501、2507、2513、2515(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、デュラネート17B60−PX、TPA−B80X、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(いずれも旭化成社製)等を例示することができる。
また、尿素樹脂としては、市販のUFR65、UFR300(いずれも三井サイテック社製)、ベンゾグアナミン樹脂としては、市販のサイメル1123、マイコート102、105、106、1128(いずれも三井サイテック社製)等を例示することができる。
また、2価の有機酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。2価の有機酸の誘導体としては、例えばこれらの酸塩化物が挙げられる。
ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、1分子中に2個の官能基を有する架橋剤量は、10〜40質量部(不揮発分換算)であることが好ましく、15〜30質量部であることが特に好ましい。10質量部未満の場合、高温における融着力が低下し易くなり、40質量部を超える場合、融着が困難になる。
以上記載したとおり、例示した化学物質をそれぞれ任意に選択し、所要量を配合し、シクロヘキサノン等の有機溶媒に溶解することにより、融着皮膜の強度及び耐熱性が向上し、余分な残基の少ない3次元構造が形成され、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性が向上した自己融着性絶縁材が得られる。尚、自己融着性絶縁材にポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の潤滑剤等を配合することも可能である。
次いで、前記の自己融着性絶縁材を常法により導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布して焼付け、自己融着性絶縁電線を製造する。
第2発明は、第1発明における樹脂塗料にエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂を配合した自己融着性絶縁材を、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布して焼付けた自己融着性絶縁電線であり、その他の化学物質は第1発明と同一である。このエポキシ樹脂を配合することにより、さらに融着皮膜の強度と耐熱性を向上させることができる。この場合、当該エポキシ樹脂のエポキシ当量が1000未満の場合は可撓性が低下し、5000を超える場合は皮膜の強度、耐熱性の向上が認められない。
ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、エポキシ樹脂量(不揮発分換算)は、5〜40質量部であることが好ましく、10〜35質量部であることが特に好ましい。5質量部未満であると高温での融着力が低下しやすく、40質量部を超えると融着しにくくなる。
このエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂として、具体的には市販のエピコート1007、1009、1010(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、YD−017、019、020、907、909、927、929(いずれも東都化成社製)等を例示することができる。
第3発明は、かかる自己融着性絶縁電線に用いる自己融着性絶縁材であり、上記で説明したものである。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に記載する。
なお、以下の表1、表2の実施例、比較例の配合表において、*1のポリヒドロキシエーテル樹脂はPKHH(商品名;UCC社製)、*2のポリサルホン系樹脂はYPS−007(商品名;東都化成社製)、*3のエポキシ樹脂はエピコート1009(商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、*4の2価のイソシアネートはミリオネートMS−50(商品名;日本ポリウレタン工業社製)、*5の尿素樹脂はUFR300(商品名;三井サイテック社製)、*6のベンゾグアナミン樹脂はマイコート102(商品名;三井サイテック社製)、*7のアミノ樹脂はサイメル370(商品名;三井サイテック社製)、*8の多官能(3官能以上)イソシアネートはコロネートAPステープル(商品名;日本ポリウレタン工業社製)、*9のフェノール樹脂はプライオーフェン5592(商品名;大日本インキ化学工業社製)である。
実施例1
分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂としてPKHH 90質量部、ポリサルホン系樹脂としてYPS−007 10質量部(不揮発分換算)を、80℃に加熱したシクロヘキサノン300質量部に添加して溶解した。得られた溶液を室温に冷却し、1分子中に官能基を2個有するイソシアネートとしてミリオネートMS−50を20質量部添加して溶解し、更にシクロヘキサノンを添加して不揮発分を30%(質量)に調整し、自己融着性絶縁材を調製した。
径1.0mmの銅線にポリエステルイミド塗料(東特塗料社製。ネオヒート8600)を塗布し、エナメル焼付けして、絶縁厚30μmの絶縁電線を調製し、前記自己融着性絶縁材を15μmの厚さに塗布、焼付け、自己融着性絶縁電線を製造した。
実施例2〜4及び8〜10
表1に示す配合割合で、実施例1の場合と同様にして、自己融着性絶縁電線を製造した。
実施例5
表1に示す配合割合で、実施例1の場合と同様にして、不揮発分を30%(質量)に調整した後、得られた混合物120質量部(不揮発分換算)に、潤滑性を改善するためにポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業社製)2質量部を添加し、均一に分散し、熱硬化型自己融着絶縁材を調製した。次いで、実施例1と同様の方法により、自己融着性絶縁電線を製造した。
実施例6、7
実施例1において、ミリオネートMS−50を、尿素樹脂UFR300(実施例6)、ベンゾグアナミン樹脂マイコート102(実施例7)に置換した以外は、表1に示す配合で実施例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
実施例11
PKHH 50質量部、YPS−007 50質量部(不揮発分換算)及びエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂としてエピコート1009 5質量部を、80℃に加熱したシクロヘキサノン200質量部に添加して溶解した。得られた溶液を室温に冷却し、ミリオネートMS−50を10質量部添加して溶解し、更にシクロヘキサノンを添加して不揮発分を30%(質量)に調整し、自己融着性絶縁材を調製した。次いで、実施例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
実施例12〜15
表1に示す配合割合で、実施例11の場合と同様にして、自己融着性絶縁電線を製造した。
比較例1
PKHH100質量部を、80℃に加熱したシクロヘキサノン300質量部に添加して溶解した。得られた溶液を室温に冷却し、アミノ樹脂としてサイメル370を40質量部(不揮発分換算)添加して溶解し、更にシクロヘキサノンを添加して不揮発分を30%(質量)に調整し、自己融着性絶縁材を調製した。次いで、実施例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
比較例3
比較例1において、サイメル370をミリオネートMS−50に置換した以外は、表2に示す配合で比較例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
比較例4
比較例3において、PKHHをYPS−007に置換した以外は、比較例3と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
比較例5
比較例3において、PKHH100質量部を、PKHH80質量部、エピコート1009 20質量部に置換した以外は、比較例3と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
比較例2
比較例1において、PKHH100質量部を、PKHH50質量部、YPS−007 50質量部(不揮発分換算)とした以外は、比較例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
比較例6〜8
比較例2において、サイメル370 40質量部を、サイメル370 20質量部(比較例6)、多官能イソシアネート樹脂コロネートAPステープル20質量部(比較例7)、フェノール樹脂プライオーフェン5592 20質量部(比較例8)に置換した以外は、比較例2と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
Figure 2006008827
Figure 2006008827
(試験例)
上記実施例、比較例で得られた自己融着性絶縁電線の可撓性、絶縁破壊電圧、融着性、高温下の融着性及び耐油性を次の方法により測定し、試験した。
1)可撓性
JIS C−3003により試験した。
2)絶縁破壊電圧
前記JIS C−3003により試験した。
3)融着性
NEMA MW1000 3.57により試験した。なお、試料の融着条件は、160℃、2時間とした。
4)高温下の融着性
前記融着性と同一の方法により試験した。ただし、測定温度は100℃に設定した。
5)耐油性
スニソ4GS(商品名;日本サン石油社製)に2%(質量)の濃度でリン酸トリクレジル(和光純薬工業社製。試薬特級)を添加した絶縁油に、各試料を浸漬し、150℃で500時間加熱し、各試料の絶縁破壊電圧及び融着性を前記の方法により測定し、各試料の耐油性を試験した。また、使用した絶縁油の外観を肉眼で観察し、濁りの有無を確認した。
(評価基準)
・融着性(室温)
○:100N以上、△:80N以上100N未満、×:80N未満
・融着性(100℃)
○:80N以上、△:60N以上80N未満、×:60N未満
・耐油性(融着性)
○:80N以上、△:60N以上80N未満、×:60N未満、−:測定不可能
(試験結果)
表1に示す通り、本発明の自己融着性絶縁電線(実施例1〜15)は、いずれも可撓性は良好で、絶縁油の外観も良好であり、融着性も測定温度及び絶縁油への浸漬の有無とは無関係に優れたものであった。
一方、比較例1〜8の自己融着性絶縁電線は、絶縁油の外観が不良なもの(比較例1、2、6〜8)、可撓性が劣化し、室温における融着性が極端に低下するもの(比較例4)、高温における融着性、耐油性が極端に低下するもの(比較例3、5)が認められた。
これらの試験結果から、本発明の自己融着性絶縁電線は、従来の自己融着性絶縁電線には存在しない極めて優れた性能を有していることが明らかになった。
本発明の自己融着性絶縁電線は、前記のとおり主として電気、電子、通信機器、電装部品用コイル、モーター等に使用されるエナメル線の用途全般に利用可能である。
本発明は、主として電気、電子、通信機器、電装部品用コイル、モーター等に使用されるエナメル線の用途全般に適用可能な自己融着性絶縁電線および該電線用自己融着性絶縁材に関する。
自己融着性絶縁電線は、加熱等の方法により自己融着層を軟化させ、電線相互を固着させることが可能な絶縁電線であり、コイルとしての強度を高めることや、複雑な形状のコイルを作製する等の目的に用いられる。また、自己融着性絶縁電線の捲線は、通常のエナメル線と同様に行われるため、捲線時に皮膜にクラック等が生じないことも要求される。
前記のことから、自己融着性絶縁電線の融着層は、融着性に加え、可撓性の良好な樹脂を用いることが必要であり、実際には、分子量20000又は30000以上の熱可塑性高分子、たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリヒドロキシエーテル樹脂等が用いられる。
しかしながら、上記熱可塑性高分子を用いる場合、耐熱用途の機器に使用する時には高融点の樹脂を使用する必要があるため、高温で処理することにより、絶縁層や機器を劣化させる欠点が存在していた。このため、自己融着性絶縁電線を耐熱用途の機器に使用する場合、熱硬化型の自己融着線にするのが一般的である。具体的には、皮膜の可撓性に優れた分子量20,000又は30,000以上の熱可塑性樹脂にフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート等の架橋剤を添加した塗料を半硬化状態でエナメル焼付けし、熱硬化型自己融着層を形成させる材料が使用されていた。
しかし、熱可塑性樹脂の活性基は架橋剤との架橋により耐熱性が向上する程存在していないため、架橋剤を余分に添加し、架橋剤間の重合により耐熱性を向上させることが一般的である。この場合の半硬化状態の自己融着皮膜は、安定性が低いため、エナメル焼き付け時の製造条件の幅が狭くなるという欠点があった。
更に絶縁油中、冷媒中等の特殊な状況下での用途の場合、余分に含有されている硬化剤(3官能基以上を有する場合には、架橋反応時の未反応残基も含む。)が、絶縁油、冷媒に含有されている種々の化学物質と反応する欠点もあった。
本発明の目的は、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性が向上した自己融着性絶縁電線を提供することと、当該電線用の自己融着性絶縁材を提供することである。
前記従来技術の欠点を解決するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、以下の自己融着性絶縁電線であれば、これらの欠点を排除し得ることを見出だし、本発明を完成した。
1)融着時の流動性の向上及び融着の容易性を向上させるために、分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂を用いること。
2)余分な残基の少ない3次元構造を形成して、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性を向上させるために、1分子中に2個の活性基を有する架橋剤を用いること。
3)融着皮膜の強度及び耐熱性を向上させるために、ポリサルホン系樹脂を用いること。さらに、必要に応じてエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂を用い、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する前記エポキシ樹脂量を5〜40質量部とすること。
4)前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂との質量比が不揮発分換算で20/80〜90/10であり、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する前記架橋剤量を10〜40質量部(不揮発分換算)とすること。
前記課題を解決する本発明の第1の発明(以下、「第1発明」と記載する。)は、少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びに1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する自己融着性絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられた自己融着性絶縁電線であって、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂との質量比が不揮発分換算で20/80〜90/10であり、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する前記架橋剤量が10〜40質量部(不揮発分換算)である自己融着性絶縁電線である。
前記課題を解決する本発明の第2の発明(以下、「第2発明」と記載する。)は、少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びにエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂及び1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する自己融着性絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられた自己融着性絶縁電線であって、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂との質量比が不揮発分換算で20/80〜90/10であり、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する前記架橋剤量が10〜40質量部(不揮発分換算)であり、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂と前記ポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する前記エポキシ樹脂量が5〜40質量部である自己融着性絶縁電線である。
また、本発明は、ポリサルホン系樹脂が、ポリサルホン樹脂又はポリサルホン樹脂の部分構造を有する樹脂であること;1分子中に2個の官能基を有する架橋剤が、2価の安定化したイソシアネート、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、2価の有機酸又は2価の有機酸の誘導体であることを望ましい態様としている。
前記課題を解決する本発明の第3の発明(以下、「第3発明」と記載する。)は、かかる自己融着性絶縁電線用である自己融着性絶縁材である。
次に本発明について詳細に記載する。第1発明の樹脂基材の一つである分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂を使用することが可能である。より具体的には市販のエピコート1256、4250、4275、1255HX30(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、PKHC、PKHH、PKHJ(いずれもUCC社製)、YP−50、YP−40ASM40、YP−50EK35、YP−50CS25(いずれも東都化成社製)、デンカブチラール#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C(いずれも電気化学工業社製)、ビニレックスK、L、H、E(チッソ社製)等を例示することができる。
第1発明の他の樹脂基材であるポリサルホン系樹脂は、ポリサルホン樹脂又はポリサルホン樹脂の部分構造を有する樹脂である。より具体的には市販のユーデルP−1700、レーデルA−200A、A−300A(いずれもアメリカのソルベイ社製)、YPS−007−A30、YPS−030−A30(いずれも東都化成社製)等例示することができる。また、ビスフェノールS、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重合反応により生成された樹脂を使用することも可能である。
ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂との質量比は、不揮発分換算で20/80〜90/10であることが必要であり、30/70〜80/20であることが特に好ましい。該質量比が90/10超であると100℃雰囲気下での融着性が低下し易くなり、20/80未満では充分な融着性が得られない。
第1発明の樹脂塗料である1分子中に2個の官能基を有する架橋剤は、2価の安定化イソシアネート、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、2価の有機酸、2価の有機酸の誘導体である。具体的には2価の安定化イソシアネートとしてテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4−4“−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4´−ジイソシアネート等をフェノール性水酸基、アルコール性水酸基等を有する化合物でマスクしたものである。
より具体的には市販のミリオネートMS−50、コロネート2501、2507、2513、2515(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、デュラネート17B60−PX、TPA−B80X、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(いずれも旭化成社製)等を例示することができる。
また、尿素樹脂としては、市販のUFR65、UFR300(いずれも三井サイテック社製)、ベンゾグアナミン樹脂としては、市販のサイメル1123、マイコート102、105、106、1128(いずれも三井サイテック社製)等を例示することができる。
また、2価の有機酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。2価の有機酸の誘導体としては、例えばこれらの酸塩化物が挙げられる。
ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、1分子中に2個の官能基を有する架橋剤量は、10〜40質量部(不揮発分換算)であることが必要であり、15〜30質量部であることが特に好ましい。10質量部未満の場合、高温における融着力が低下し易くなり、40質量部を超える場合、融着が困難になる。
以上記載したとおり、例示した化学物質をそれぞれ任意に選択し、所要量を配合し、シクロヘキサノン等の有機溶媒に溶解することにより、融着皮膜の強度及び耐熱性が向上し、余分な残基の少ない3次元構造が形成され、耐熱性及び可撓性を低下させることなく化学的安定性が向上した自己融着性絶縁材が得られる。尚、自己融着性絶縁材にポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の潤滑剤等を配合することも可能である。
次いで、前記の自己融着性絶縁材を常法により導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布して焼付け、自己融着性絶縁電線を製造する。
第2発明は、第1発明における樹脂塗料にエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂を配合した自己融着性絶縁材を、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布して焼付けた自己融着性絶縁電線であり、その他の化学物質は第1発明と同一である。このエポキシ樹脂を配合することにより、さらに融着皮膜の強度と耐熱性を向上させることができる。この場合、当該エポキシ樹脂のエポキシ当量が1000未満の場合は可撓性が低下し、5000を超える場合は皮膜の強度、耐熱性の向上が認められない。
ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、エポキシ樹脂量(不揮発分換算)は、5〜40質量部であることが必要であり、10〜35質量部であることが特に好ましい。5質量部未満であると高温での融着力が低下しやすく、40質量部を超えると融着しにくくなる。
このエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂として、具体的には市販のエピコート1007、1009、1010(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、YD−017、019、020、907、909、927、929(いずれも東都化成社製)等を例示することができる。
第3発明は、かかる自己融着性絶縁電線に用いる自己融着性絶縁材であり、上記で説明したものである。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に記載する。
なお、以下の表1、表2の実施例、比較例の配合表において、*1のポリヒドロキシエーテル樹脂はPKHH(商品名;UCC社製)、*2のポリサルホン系樹脂はYPS−007(商品名;東都化成社製)、*3のエポキシ樹脂はエピコート1009(商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、*4の2価のイソシアネートはミリオネートMS−50(商品名;日本ポリウレタン工業社製)、*5の尿素樹脂はUFR300(商品名;三井サイテック社製)、*6のベンゾグアナミン樹脂はマイコート102(商品名;三井サイテック社製)、*7のアミノ樹脂はサイメル370(商品名;三井サイテック社製)、*8の多官能(3官能以上)イソシアネートはコロネートAPステープル(商品名;日本ポリウレタン工業社製)、*9のフェノール樹脂はプライオーフェン5592(商品名;大日本インキ化学工業社製)である。
分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂としてPKHH 90質量部、ポリサルホン系樹脂としてYPS−007 10質量部(不揮発分換算)を、80℃に加熱したシクロヘキサノン300質量部に添加して溶解した。得られた溶液を室温に冷却し、1分子中に官能基を2個有するイソシアネートとしてミリオネートMS−50を20質量部添加して溶解し、更にシクロヘキサノンを添加して不揮発分を30%(質量)に調整し、自己融着性絶縁材を調製した。
径1.0mmの銅線にポリエステルイミド塗料(東特塗料社製。ネオヒート8600)を塗布し、エナメル焼付けして、絶縁厚30μmの絶縁電線を調製し、前記自己融着性絶縁材を15μmの厚さに塗布、焼付け、自己融着性絶縁電線を製造した。
(実施例2〜4及び8〜10)
表1に示す配合割合で、実施例1の場合と同様にして、自己融着性絶縁電線を製造した。
(実施例5)
表1に示す配合割合で、実施例1の場合と同様にして、不揮発分を30%(質量)に調整した後、得られた混合物120質量部(不揮発分換算)に、潤滑性を改善するためにポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業社製)2質量部を添加し、均一に分散し、熱硬化型自己融着絶縁材を調製した。次いで、実施例1と同様の方法により、自己融着性絶縁電線を製造した。
(実施例6、7)
実施例1において、ミリオネートMS−50を、尿素樹脂UFR300(実施例6)、ベンゾグアナミン樹脂マイコート102(実施例7)に置換した以外は、表1に示す配合で実施例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(実施例11)
PKHH 50質量部、YPS−007 50質量部(不揮発分換算)及びエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂としてエピコート1009 5質量部を、80℃に加熱したシクロヘキサノン200質量部に添加して溶解した。得られた溶液を室温に冷却し、ミリオネートMS−50を10質量部添加して溶解し、更にシクロヘキサノンを添加して不揮発分を30%(質量)に調整し、自己融着性絶縁材を調製した。次いで、実施例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(実施例12〜15)
表1に示す配合割合で、実施例11の場合と同様にして、自己融着性絶縁電線を製造した。
Figure 2006008827
(比較例1)
PKHH100質量部を、80℃に加熱したシクロヘキサノン300質量部に添加して溶解した。得られた溶液を室温に冷却し、アミノ樹脂としてサイメル370を40質量部(不揮発分換算)添加して溶解し、更にシクロヘキサノンを添加して不揮発分を30%(質量)に調整し、自己融着性絶縁材を調製した。次いで、実施例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(比較例3)
比較例1において、サイメル370をミリオネートMS−50に置換した以外は、表2に示す配合で比較例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(比較例4)
比較例3において、PKHHをYPS−007に置換した以外は、比較例3と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(比較例5)
比較例3において、PKHH100質量部を、PKHH80質量部、エピコート1009 20質量部に置換した以外は、比較例3と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(比較例2)
比較例1において、PKHH100質量部を、PKHH50質量部、YPS−007 50質量部(不揮発分換算)とした以外は、比較例1と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
(比較例6〜8)
比較例2において、サイメル370 40質量部を、サイメル370 20質量部(比較例6)、多官能イソシアネート樹脂コロネートAPステープル20質量部(比較例7)、フェノール樹脂プライオーフェン5592 20質量部(比較例8)に置換した以外は、比較例2と同様にして自己融着性絶縁電線を製造した。
Figure 2006008827
(試験例)
上記実施例、比較例で得られた自己融着性絶縁電線の可撓性、絶縁破壊電圧、融着性、高温下の融着性及び耐油性を次の方法により測定し、試験した。
1)可撓性
JIS C−3003により試験した。
2)絶縁破壊電圧
前記JIS C−3003により試験した。
3)融着性
NEMA MW1000 3.57により試験した。なお、試料の融着条件は、160℃、2時間とした。
4)高温下の融着性
前記融着性と同一の方法により試験した。ただし、測定温度は100℃に設定した。
5)耐油性
スニソ4GS(商品名;日本サン石油社製)に2%(質量)の濃度でリン酸トリクレジル(和光純薬工業社製。試薬特級)を添加した絶縁油に、各試料を浸漬し、150℃で500時間加熱し、各試料の絶縁破壊電圧及び融着性を前記の方法により測定し、各試料の耐油性を試験した。また、使用した絶縁油の外観を肉眼で観察し、濁りの有無を確認した。
(評価基準)
・融着性(室温)
○:100N以上、△:80N以上100N未満、×:80N未満
・融着性(100℃)
○:80N以上、△:60N以上80N未満、×:60N未満
・耐油性(融着性)
○:80N以上、△:60N以上80N未満、×:60N未満、−:測定不可能
(試験結果)
表1に示す通り、本発明の自己融着性絶縁電線(実施例1〜15)は、いずれも可撓性は良好で、絶縁油の外観も良好であり、融着性も測定温度及び絶縁油への浸漬の有無とは無関係に優れたものであった。
一方、比較例1〜8の自己融着性絶縁電線は、絶縁油の外観が不良なもの(比較例1、2、6〜8)、可撓性が劣化し、室温における融着性が極端に低下するもの(比較例4)、高温における融着性、耐油性が極端に低下するもの(比較例3、5)が認められた。
これらの試験結果から、本発明の自己融着性絶縁電線は、従来の自己融着性絶縁電線には存在しない極めて優れた性能を有していることが明らかになった。
本発明の自己融着性絶縁電線は、前記のとおり主として電気、電子、通信機器、電装部品用コイル、モーター等に使用されるエナメル線の用途全般に利用可能である。

Claims (7)

  1. 少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びに1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する熱硬化型自己融着絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられた自己融着性絶縁電線。
  2. 少なくとも分子量20,000以上のポリヒドロキシエーテル樹脂及びポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材、並びにエポキシ当量1,000〜5,000のエポキシ樹脂及び1分子中に2個の官能基を有する架橋剤からなる樹脂塗料を有効成分として含有する熱硬化型自己融着絶縁材が、導体に直接又は他の絶縁皮膜を介して塗布焼付けられた自己融着性絶縁電線。
  3. ポリサルホン系樹脂が、ポリサルホン樹脂又はポリサルホン樹脂の部分構造を有する樹脂である請求項1又は請求項2に記載の自己融着性絶縁電線。
  4. 1分子中に2個の官能基を有する架橋剤が、2価の安定化したイソシアネート、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、2価の有機酸又は2価の有機酸の誘導体である請求項1又は請求項2に記載の自己融着性絶縁電線。
  5. ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂との質量比が、不揮発分換算で20/80〜90/10であり、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、1分子中に2個の官能基を有する架橋剤量が10〜40質量部(不揮発分換算)である請求項1又は2記載の自己融着性絶縁電線。
  6. ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂との質量比が、不揮発分換算で20/80〜90/10であり、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、1分子中に2個の官能基を有する架橋剤量が10〜40質量部(不揮発分換算)であり、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂の合計量100質量部(不揮発分換算)に対する、エポキシ樹脂量が5〜40質量部である請求項2記載の自己融着性絶縁電線。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の自己融着性絶縁電線用である自己融着性絶縁材。
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