JP2010205708A - フェノキシ樹脂絶縁ワニス - Google Patents

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健吾 吉田
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Abstract

【課題】 耐熱性、可とう性に優れ、しかも導体との密着性、高負荷条件下での耐摩耗性といった機械的強度に優れた絶縁被膜を形成できる絶縁ワニス、および当該ワニスを、導体上に塗布、焼付けてなるプライマー層を有する絶縁電線を提供する。
【解決手段】 ビフェニル型フェノキシ樹脂を含み、硬化剤としてブロックイソシアネートを含有する絶縁ワニスで、さらにビスフェノール型フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。また、前記ビスフェノール型フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、過酷な巻線加工に対応できる、機械的強度の高い被膜で且つ優れた導体との密着性を保持した絶縁被膜を形成することができる絶縁ワニス、及び当該ワニスでプライマー層を形成した絶縁電線に関する。
モータの巻線やトランスの巻線の絶縁電線で、耐熱性の要求が高い用途については、ポリエステルイミド樹脂を主成分とした絶縁ワニスが用いられている。
巻線加工工程の自動化、高速化の発展に従い、巻線の絶縁被膜に対する耐摩耗性、耐熱性、可とう性の要求については年々厳しくなり、さらに、各種電気機器の高出力化、または小型化、省電力化への要請に伴う高占積率化も進み、巻線に加えられる加工負荷が厳しくなっている。このような事情下、ポリエスエルイミド樹脂絶縁被膜の耐摩耗性、可とう性、密着性を改善する提案が種々なされている。
例えば、特許第3766447号では、アセチレン類、アルキノール類、アルデヒド類、アミン類、メルカプタン類、およびチオ尿素類等の金属不活性剤と、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の硬化性樹脂を配合することにより、導体に対する絶縁被膜の密着性に優れ、耐摩耗性といった機械的強度を改善することが提案されている。
特許第3766447号
しかしながら、巻線加工の過酷化は年々、厳しくなる一方で、絶縁被膜の密着性、耐摩耗性といった皮膜の機械的強度について更なる向上が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性、可とう性に優れ、しかも導体との密着性、高負荷条件下での耐摩耗性といった機械的強度に優れた絶縁被膜を形成できる絶縁ワニスを提供することにある。
本出願人は、密着力に優れた絶縁皮膜について種々検討し、プライマー層としてフェノキシ樹脂を用いることで、導体に対して優れた密着性を有する絶縁被膜を得られることを見出し、これについて出願した(特願2007−266405号)。そして、更に検討を進めた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の絶縁ワニスは、ビフェニル型フェノキシ樹脂を含み、硬化剤としてブロックイソシアネートを含有する。さらに、ビスフェノール型フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。また、前記ビスフェノール型フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂であることが好ましい。
本発明の絶縁電線は、上記本発明のフェノキシ樹脂絶縁ワニスを、導体上に塗布、焼付けてなるプライマー層を有する。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔フェノキシ樹脂絶縁ワニス〕
本発明のフェノキシ樹脂絶縁ワニスは、塗膜構成樹脂として、ビフェニル型フェノキシ樹脂を含有し、硬化剤としてブロックイソシアネートを使用することを特徴としている。さらに、ビスフェノール型フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。
<ビフェニル型フェノキシ樹脂>
ビフェニル型フェノキシ樹脂とは、例えば、ジヒドロキシビフェニルの水酸基とエピクロロヒドリンを反応させて、高分子量化することにより得られ、分子内にビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂である。
ビフェニル型フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量30000〜80000(GPCによる測定)、特に50000〜60000のものが好ましく用いられ、また、エポキシ当量(JIS K7236)は、10000〜30000g/eqであることが好ましく、より好ましくは10000〜20000g/eqである。市販品を用いてもよく、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製のYX8100BH30、YX6954BH30などを用いることができる。
剛直なビフェニル骨格を有するビフェニル型フェノキシ樹脂を塗膜構成樹脂として用いることにより、耐摩耗性に優れ、密着強度に優れた絶縁被膜を得ることができる。使用するビフェニル型フェノキシ樹脂において、よりビフェニル化度の高いフェノキシ樹脂を用いる方が、耐摩耗性、密着強度に優れる傾向にある。
<ビスフェノール型フェノキシ樹脂>
本発明の絶縁ワニスにおいては、塗膜構成樹脂として、さらにビスフェノール型フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。
ビスフェノール型フェノキシ樹脂とビフェニル型フェノキシ樹脂とのブレンド樹脂は、ビフェニル型フェノキシ樹脂単独の場合よりも、機械的強度に優れ、しかも導体との密着強度が高い硬化物を得ることができる傾向にある。単独で用いる場合よりもブレンドした方が機械的強度が高まるという理由は明らかではないが、ビスフェノール骨格と剛直なビフェニル骨格の双方が、硬化物に取り込まれることにより、可とう性を保持した緻密な剛直膜が得られるのではないかと推察される。
本発明で用いられるビスフェノール型フェノキシ樹脂とは、ビスフェノール系化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂のうち、分子量が大きい樹脂をいう。
前記ビスフェノール系化合物としては、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)、ビスフェノールF、またはこれらの組み合わせが用いられる。使用したビスフェノール系化合物の種類に応じて、ビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂(ビスフェノールA型フェノキシ樹脂)、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂(ビスフェノールF型フェノキシ樹脂)、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の耐熱性を高めるために、ビスフェノール系化合物の一部に、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)を用いたビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂などが得られる。
ビスフェノールA型フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量30000〜80000(GPCによる測定)、特に60000〜80000のものが好ましく用いられ、DSC法(10℃/min昇値)によるガラス転移点60〜90℃であることが好ましい。また、エポキシ当量(JIS K7236)は、10000〜100000g/eqであることが好ましく、より好ましくは50000〜100000g/eqである。
ビスフェノールS型フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量20000〜60000(GPCによる測定)、特に30000〜50000のものが好ましく用いられ、DSC法(10℃/min昇値)によるガラス転移点100〜150℃であることが好ましい。
ビスフェノールF型フェノキシ樹脂としては、例えば、重量平均分子量30000〜80000(GPCによる測定)のものが好ましく用いられる。
これらのビスフェノール型フェノキシ樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよいが、好ましくはビスフェノールA型フェノキシ樹脂単独で用いられる。
以上のようなビスフェノール型フェノキシ樹脂としては、市販品を用いてもよい。ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、東都化成(株)製、品番YP−50、YP50S、YP−55、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート、大日本インキ化学工業株式会社製のエピクロン、ユニオンカーバイト株式会社製のPKHC、PKHH、PKHJなどが挙げられる。
ビスフェノールS型フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、東都化成(株)製、品番YPS007A30Aなどが挙げられる。
ビスフェノールF型フェノキシ樹脂の市販品としては、東都化成(株)製のFX−316、ジャパンエポキシレジン社の4010P、4110、4210などが挙げられる。
さらに、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂とビスフェノールF型フェノキシ樹脂の混合品の市販品としては、東都化成(株)製のYP70、ZX−1356−2、ジャパンエポキシレジン社の4250、4275などが挙げられる。
以上のようなビスフェノール型フェノキシ樹脂を含有する場合、ビフェニル型フェノキシ樹脂との混合割合は特に限定しないが、ビスフェノール型フェノキシ樹脂:ビフェニル型フェノキシ樹脂(質量比)で、2:8〜8:2とすることが好ましく、より好ましくは3:7〜7:3である。
<硬化剤>
フェノキシ樹脂は、骨格中に、反応性に富むエポキシ基や水酸基を有しているので、これらと反応して架橋構造を形成できる硬化剤を共存させることが好ましい。
本発明の絶縁ワニスには、硬化剤として、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤で保護したブロックイソシアネートを用いている。ブロックイソシアネート化合物は、常温で安定であるが、その解離温度以上に加熱すると、遊離のイソシアネート基を再生するものである。イソシアネートの解離温度は、ブロック剤の種類によるが、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜130℃である。
上記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロへキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロへキサンジイソシアネート、イソプロピデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメリルシクロへキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−ビス(イソシナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物などが挙げられる。
これらのイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロックするブロック剤としては、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、ブチルセロソルブ類などが挙げられる。
以上のようなブロックイソシアネートとして、市販品を用いてもよく、例えば、住友バイウレタン社のCT stable、BL−3175、TPLS−2759、BL−4165、日本ポリウレタン工業社製のMS−50などを用いることができる。
ブロックイソシアネートは、フェノキシ樹脂総量(ビスフェノール型フェノキシ樹脂とビフェニル型フェノキシ樹脂の合計量)100質量部あたり5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の割合で用いる。
<有機溶剤>
本発明の絶縁ワニスは、上記のようなフェノキシ樹脂およびブロックイソシアネートを、有機溶剤に溶解したものである。
本発明で用いられる有機溶剤としては、ベース樹脂を溶解できるものであればよく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサエチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトンなどの極性有機溶媒をはじめ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルなどのエステル類;ジエチルエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物;ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素化合物;クレゾール、クロルフェノールなどのフェノール類;ピリジンなどの第三級アミンなどが挙げられ、これらの有機溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。
有機溶剤は、通常、ワニスにおける固形分含有率30〜60質量%程度となるように用いられる。
<その他の成分>
本発明のフェノキシ樹脂系絶縁ワニスは、上記フェノキシ樹脂、硬化剤、有機溶剤の他に、下記成分が含まれ得る。
例えば、上記ブレンド型フェノキシ樹脂の特性に影響を与えない程度であれば、他の骨格を有するフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂など、他の絶縁被膜に用いられる樹脂が含まれていてもよい。
また、ブロックイソシアネート以外の硬化剤、例えば、メチレン化合物、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤などが、ブレンド型フェノキシ樹脂とブロックイソシアネートからなる硬化系に影響を及ぼさない程度の量であれば、含有されていてもよい。
本発明の絶縁ワニスは、さらに必要に応じて、本発明の目的が阻害されない範囲で、顔料、染料、無機又は有機のフィラー、潤滑剤、酸化防止剤、レべリング剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。
以上のような組成を有する本発明の絶縁ワニスは、耐熱性、可とう性、耐摩耗性に優れた絶縁被膜を形成できるだけでなく、ストレスが負荷した状態でも導体に対する密着性が優れているので、絶縁電線のプライマー層用塗料として用いることが好ましい。
本発明の絶縁ワニスを、導体に直接塗布した後、焼付けて硬化することにより絶縁被膜を形成できる。焼付温度としては、フェノキシ樹脂がブロックイソシアネートと反応して熱硬化できる温度であることが好ましい。
〔絶縁電線〕
本発明の絶縁電線は、導体表面に、上記本発明の絶縁ワニスの硬化物で形成されるプライマー層を有するものである。
導体としては、通常、電線導体に用いられる公知の導体で、銅線、アルミニウム線などの金属導体が用いられる。
本発明の絶縁ワニスを、350〜500℃程度の炉内を、1パスあたり10秒〜30秒間(10回引きなら100秒〜300秒間)、通過させることにより行うことが好ましい。
プライマー層の厚みは、特に限定しないが、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。プライマー層としては、この程度の厚みで十分だからである。
本発明の絶縁電線は、上記のようなプライマー層上に、少なくとも1層以上の上塗り層を有している。
上塗り層の組成としては特に限定せず、従来より絶縁被膜に用いられているポリエステルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂などを用いることができる。上塗り層構成樹脂は、プライマー層構成樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよく、絶縁電線の用途に応じて適宜選択される。
上塗り層が2層以上で構成される場合、絶縁電線の最表層の上塗り層は、潤滑性を有する被膜、例えば、高潤滑ポリイミド、高潤滑アミドイミドなどで構成されることが好ましい。
本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
〔測定評価方法〕
はじめに、本実施例で行なった評価方法について説明する。
(1)可とう性
絶縁電線を、初期長さに対して20%伸長し、伸長後、JIS C3003 7.1.1可とう性試験に準拠して試験した。具体的には、絶縁電線の自己径(1d)、2倍(2d)を有する丸棒に沿って電線を、電線と電線とが接触するように30回巻き付けた後、亀裂の有無を観察し、亀裂が発生しなかったときの丸棒の径(1d又は2d)を調べた。1dでも亀裂を生じない場合は、可とう性に優れているといえる。
(2)ヒートショック試験
絶縁電線を、初期長さに対して20%伸長し、伸長後、JIS C3003 20の耐衝撃試験に準拠して試験した。具体的には、240℃で1時間加熱した後、絶縁電線の自己径(1d)、2倍(2d)を有する丸棒に沿って電線を、電線と電線とが接触するように30回巻き付けた後、亀裂の有無を観察し、亀裂が発生しなかったときの丸棒の径を調べた。丸棒の径が小さいほど、可とう性が高温処理によっても保持できていることを意味し、耐熱性に優れているといえる。
(3)耐摩耗性
JIS C3003−1999に記載の耐摩耗試験に準拠し、一方向摩耗値(g)を測定した。どの程度の力が加わったときに被膜が破損するかを調べるもので、捲線時のストレスに対する被膜強度の指標となる。
なお、各絶縁電線について、9本ずつ測定した結果の平均値を示す。
(4)ピール捻回試験(密着強度)
IEC規格に基づいて行った。作製した絶縁電線の上弦、下弦に相当する円弧部分の絶縁被膜を剥離した後、絶縁電線の両端をピール捻回試験機にセットした(標点距離:500mm)。セットされた絶縁電線の中央部分において、絶縁皮膜の残存部分にカッターで切り込みをいれた後、回転速度120rpmで捻回試験を行い、絶縁被膜が剥離し始めるときの捻り回数を調べた。剥離するまでの捻り回数が多いほど、密着強度に優れていることを示す。
(5)密着性
JIS−C3003「8.1a)急激伸長」に準じて、膜浮(2箇所測定したときの平均値)を測定した。
測定は、初期(作製直後)、160℃で6時間放置後、180℃で6時間放置後について行った。
(6)耐軟化性
JIS C3003「エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法」に準じて、軟化温度(℃)を測定した。JISに規定する荷重(700g)、及び2倍荷重(1400g)のそれぞれについて、電線が導通したときの温度(軟化温度)を測定した。
なお、各絶縁電線について、4本ずつ測定した結果の最大値と最小値の平均値を示す。
〔塗膜構成ベース樹脂〕
(1)ビスフェノール型フェノキシ樹脂
東都化成株式会社のビスフェノールA型フェノキシ樹脂である「YP−50」(JIS K7236に基づくエポキシ当量87600g/eq、GPCによる重量平均分子量60000〜80000、DSC法(10℃/min昇値)によるガラス転移点84℃)を用いた。
(2)ビフェニル型フェノキシ樹脂
ジャパンエポキシレジン株式会社製の「YX8100BH」又は「YX6954BH」を用いた。
(3)エステルイミド樹脂
汎用エステルイミドワニス(日立化成製のエステルイミドワニスである「Isomid40SM45」)、又は高密着エステルイミド(大日精化工業社製の「EH402−45」)を用いた。
〔絶縁ワニスの調製及び絶縁電線の作製〕
(1)絶縁電線No.1〜5
表1に示す量のビスフェノール型フェノキシ樹脂及び/又はビフェニル型フェノキシ樹脂を、クレゾール/シクロヘキサノンに溶解させた。これに、硬化剤としてブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製のMS−50)を、フェノキシ樹脂総量100質量部あたり20質量部となるように添加して、固形分量30質量%の絶縁ワニスを調製した。
調製した絶縁ワニスを、径1.0mmの銅線に塗布し、3μmのプライマー層(1層目)を形成した。
ついで、汎用エステルイミドワニス(日立化成製のエステルイミドワニスである「Isomid40SM45」)、汎用ポリアミドイミドワニス(日立化成工業製の「HI−406E−34」)、自己潤滑ポリアミドイミドワニス(住友電工ウインテック社製)を順次塗布し、2層目(25μm)、3層目(5μm)、4層目(2μm)からなる4層構造の膜厚35μmの絶縁被膜を形成した。
作製した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、可とう性、ヒートショック試験、耐摩耗性、ピール捻回試験、密着性、耐軟化性を測定した。結果を表1に示す。
(2)絶縁電線No.6,7
プライマー層用絶縁ワニスとして、市販の高密着エステルイミドワニス(大日精化製の「EH402−45」)又は汎用エステルイミドワニス(日立化成製の「Isomid40SM45」)を用いた以外は、絶縁電線No.1と同様にして作製し、上記評価方法に基づいて、可とう性、ヒートショック試験、耐摩耗性、ピール捻回試験、密着性、耐軟化性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010205708
塗膜構成ベース樹脂として、No.6、7は従来のエステルイミド樹脂、No.1〜3はビスフェノール型フェノキシ樹脂又はビフェニル型フェノキシ樹脂を単独で用いた場合である。これらを比較すると、汎用エステルイミドプライマー(No.6)では可とう性、ヒートショック試験、耐摩耗性、ピール捻回試験が劣り、高密着エステルイミドプライマー(No.7)では高温放置後の密着性が劣っていたのに対し、フェノキシ樹脂プライマーを用いたNo.1〜3は、可とう性、ヒートショック試験、耐摩耗性、ピール捻回試験については、高密着性エステルイミドプライマーと同程度以上であり、しかも高温放置後の密着性については、高密着性エステルイミドプライマーを用いたときのような密着性の低下は認められず、汎用エステルイミドプライマーを用いた場合と同程度以上の優れた密着性を保持していた。
ビスフェノール型フェノキシ樹脂プライマーを用いた場合(No.1)とビフェニル型フェノキシ樹脂プライマーを用いた場合(No.2、3)とを比べると、ビフェニル型フェノキシ樹脂プライマーを用いた場合の方が、耐摩耗性、ピール捻回試験、密着性といった機械的特性に優れていた。そして、No.2とNo.4、No.3とNo.5とをそれぞれ比べると、ビスフェノール型フェノキシ樹脂とビフェニル型フェノキシ樹脂のブレンド樹脂のプライマーを用いた場合(No.4,5)の方が、ビフェニル型フェノキシ樹脂プライマー単独の場合(No.2,3)よりも、耐摩耗性、ピール捻回試験が向上し、ビスフェノール型フェノキシ樹脂単独のプライマーを用いた場合(No.1)からは、耐摩耗性、ピール捻回試験について大幅に向上していた。
ポリエステルイミド樹脂ワニスの代替として、さらには、従来のポリエステルイミド樹脂ワニスでは不十分であった用途として、高温処理、ワニス含浸処理、過酷な巻き線加工などが行われる巻線用絶縁電線として有用である。

Claims (4)

  1. ビフェニル型フェノキシ樹脂を含有し、硬化剤としてブロックイソシアネートを含有するフェノキシ樹脂絶縁ワニス。
  2. さらに、ビスフェノール型フェノキシ樹脂を含有する請求項1に記載のフェノキシ樹脂絶縁ワニス
  3. 前記ビスフェノール型フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂である請求項2に記載のフェノキシ樹脂絶縁ワニス。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェノキシ樹脂絶縁ワニスを、導体上に塗布、焼付けてなるプライマー層を有する絶縁電線。
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