JPH05225830A - 絶縁電線 - Google Patents
絶縁電線Info
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- JPH05225830A JPH05225830A JP4159384A JP15938492A JPH05225830A JP H05225830 A JPH05225830 A JP H05225830A JP 4159384 A JP4159384 A JP 4159384A JP 15938492 A JP15938492 A JP 15938492A JP H05225830 A JPH05225830 A JP H05225830A
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Abstract
有し、耐加工性に優れた絶縁電線を提供する。 【構成】 下記一般式(I) : 【化1】[上記式中R1 ,R2 は明細書に記載のとお
り。]で表される芳香族ジイソシアネート化合物を10
〜80モル%の範囲内で含有するジイソシアネート成分
と、酸成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗
布、焼付けにより、電線の表面に絶縁被膜を形成する。
Description
に捲き付けられる、耐加工性にすぐれた絶縁電線に関す
るものである。
い、モータについても、より小型、軽量で、しかも高性
能のものが要求されるようになってきた。この要求に答
えるには、モータのコアにより多くの絶縁電線を捲き付
ける必要があるが、コアのスロット内に絶縁電線を強引
に詰め込むことになり、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生
じる危険性がある。そして、絶縁被膜に損傷が生じる
と、レアー不良やアース不良等が発生し、モータの電気
特性に不具合を生じるという問題がある。
料の塗布、焼付けにより形成された、機械的強度にすぐ
れた絶縁被膜を有する絶縁電線が、上記用途に使用され
ている。なお、ポリアミドイミドとしては、下記式(II)
で表されるジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネ
ートとトリメリット酸無水物との反応生成物が、一般的
に使用される(たとえば特公昭44−19274号公
報、特公昭45−27611号公報等参照)。
に小型、軽量で性能の良いモータが要求され、それに対
応すべく、絶縁電線の捲線量がさらに増大する傾向にあ
り、ポリアミドイミド系の絶縁被膜でも損傷を生じるこ
とが多くなってきた。そこで、絶縁被膜の損傷を少しで
も減少させるために、たとえば有機または無機の潤滑剤
等を塗料に配合して、絶縁被膜の表面に潤滑性を付与す
ることが検討されているが、この方法では、絶縁被膜の
損傷を根本的に解決することはできない。
損傷の発生を減少できるが、単に機械的強度を向上させ
たのでは、被膜が剛直で可撓性に劣るものとなり、電線
を曲げた際に割れたり剥離したりしやすくなって、絶縁
電線の加工性が悪化するという問題がある。本発明は、
以上の事情に鑑みてなされたものであって、可撓性にす
ぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜を有し、耐加工性にす
ぐれた絶縁電線を提供することを目的としている。
決するため、本発明者らは、ポリアミドイミドの構造に
ついて検討を行い、その結果、下記一般式(I) :
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示す。]で表される芳香族ジイソシアネート
化合物を、原料としてのジイソシアネート成分中に含有
させて、ポリアミドイミドの構造中にビフェニル部分を
導入すると、当該絶縁被膜の弾性率が向上して、可撓性
にすぐれ、しかも、損傷し難い絶縁被膜を形成できるこ
とを見出した。そして、上記一般式(I) で表される芳香
族ジイソシアネート化合物の含有割合についてさらに検
討を行った結果、本発明を完成するに至った。
ジイソシアネート成分と酸成分とを原料とするポリアミ
ドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被
膜を有する絶縁電線において、原料としてのジイソシア
ネート成分が、上記一般式(I) で表される芳香族ジイソ
シアネート化合物を10〜80モル%の範囲内で含有す
ることを特徴とする。
るジイソシアネート成分のうち、一般式(I) で表される
芳香族ジイソシアネート化合物の具体例としては、たと
えばビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ビフェ
ニル−3,3′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,
4′−ジイソシアネート、3,3′−ジクロロビフェニ
ル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジクロロ
ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−
ジブロモビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、
2,2′−ジブロモビフェニル−4,4′−ジイソシア
ネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネート、2,2′−ジメチルビフェニル−4,
4′−ジイソシアネート、2,3′−ジメチルビフェニ
ル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチル
ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−
ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、
3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシ
アネート、2,2′−ジメトキシビフェニル−4,4′
−ジイソシアネート、2,3′−ジメトキシビフェニル
−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエトキシ
ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−
ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、
2,3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシ
アネート等があげられる。これらは単独で、あるいは2
種以上混合して使用される。
でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(Ia)で
表される3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
ート化合物とともにジイソシアネート成分中に含まれる
他のジイソシアネートとしては、たとえばジフェニルメ
タン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン
−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−
3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−
4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,
4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,
4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシ
アネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−
キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシ
アネート等、従来公知の種々のジイソシアネート化合物
があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合
して使用される。
入手のしやすさやコスト等の点で、前記式(II)で表され
るジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートが、
好適に使用される。上記ジイソシアネート成分とともに
ポリアミドイミド系塗料を構成する酸成分としては、ト
リメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸
クロライド、または、トリメリット酸の誘導体のうちの
三塩基酸等があげられる。とくに、入手のしやすさやコ
スト等の点で、下記式(III) で表されるトリメリット酸
無水物が、好適に使用される。
物や二塩基酸、たとえば、ピロメリット酸二無水物、ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカ
ルボン酸二無水物、テレフタル酸、イソフタル酸、スル
ホテレフタル酸、ジクエン酸、2,5−チオフェンジカ
ルボン酸、4,5−フェナントレンジカルボン酸、ベン
ゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、フタルジイミド
ジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−
ジカルボン酸、アジピン酸等を、一部添加することもで
きる。
アネート化合物の、ジイソシアネート成分中に占める割
合が10〜80モル%の範囲内に限定されるのは、以下
の理由による。つまり、一般式(I) で表される芳香族ジ
イソシアネート化合物の割合が10モル%未満では、当
該芳香族ジイソシアネート化合物の添加効果が得られ
ず、絶縁被膜が損傷しやすいものとなってしまう。一
方、一般式(I) で表される芳香族ジイソシアネート化合
物の割合が80モル%を超えると、絶縁被膜が剛直で可
撓性に劣り、割れたり剥離したりしやすいものとなって
しまう。
シアネート化合物の、ジイソシアネート成分中に占める
割合は、上記範囲の中でもとくに、30〜60モル%の
範囲内であるのが好ましい。一般式(I) で表される芳香
族ジイソシアネート化合物の、ジイソシアネート成分中
に占める割合が60〜80モル%である場合には、絶縁
被膜の可撓性を維持するため、酸成分中に、下記式(I
V):
れ曲がり構造を有する酸を、好ましくは5〜40モル%
の範囲内、より好ましくは10〜30モル%の範囲内で
含有させるのがよい。分子中に折れ曲がり構造を有する
酸としては、上記イソフタル酸の他、o−フタル酸、ベ
ンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカ
ルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸等があげられ
る。
ると、ポリアミドイミドの構造中に、上記酸に起因する
屈曲部分が生じて、絶縁被膜の可撓性が向上する。な
お、上記分子中に折れ曲がり構造を有する酸の割合が5
モル%未満では可撓性向上の効果が十分に得られないお
それがあり、逆に40モル%を超えると、一般式(I) で
表される芳香族ジイソシアネート化合物の添加による弾
性率向上の効果が阻害され、絶縁被膜が損傷しやすいも
のとなるおそれがある。
ら、本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料を製造
するには、たとえば、略化学量論量のジイソシアネート
成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で共重合させる、従
来のポリアミドイミド系塗料と同様の製造方法を採用す
ることができる。より詳細には、一般式(I) で表される
芳香族ジイソシアネート化合物を前記の割合で配合した
ジイソシアネート成分を、略等モル量の酸成分ととも
に、適当な有機溶媒中で0〜180℃の温度で1〜24
時間反応させると、上記芳香族ジイソシアネート化合物
を含むジイソシアネート成分と酸成分との共重合体であ
るポリアミドイミドが、有機溶媒中に溶解または分散し
たポリアミドイミド系塗料が得られる。
ド系塗料としては、一般式(I) で表される芳香族ジイソ
シアネート化合物と酸成分とを原料として製造したポリ
アミドイミド系塗料と、上記芳香族ジイソシアネート化
合物以外のジイソシアネート化合物と酸成分とを原料と
して製造したポリアミドイミド系塗料とを配合したもの
も使用可能である。この場合には、原料としての全ジイ
ソシアネート成分中の、一般式(I) で表される芳香族ジ
イソシアネート化合物の割合が10〜80モル%の範囲
内になるように、両塗料の配合割合を調整すればよい。
ド系塗料には、さらに必要に応じて、顔料、染料、無機
または有機のフィラー、潤滑剤等の各種添加剤を添加し
てもよい。本発明の絶縁電線は、上記ポリアミドイミド
系塗料を電線の表面に塗布し、焼付けて絶縁被膜を形成
することで製造される。
に限定されず、電線のサイズ等に応じて、従来と同程度
の膜厚に形成することができる。絶縁被膜の下層には、
当該絶縁被膜および電線との密着性のよい材料からなる
下地層を設けることもできる。下地層としては、ポリウ
レタン系、ポリエステル系、ポリエステルイミド系、ポ
リエステルアミドイミド系、ポリアミドイミド系、ポリ
イミド系等、従来公知の種々の絶縁塗料の塗布、焼付け
により形成される絶縁膜があげられる。中でも、電線や
絶縁被膜との密着性、或いは、被膜の機械的強度等の観
点から、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネー
トとトリメリット酸無水物とを含むポリアミドイミド系
塗料の塗布、焼付けにより形成される下地層が好まし
い。
限定されないが、被膜の機械的強度等を考慮すれば、絶
縁被膜と下地層との膜厚の比が1/10〜10/1の範
囲内であることが好ましい。絶縁被膜の上層には、絶縁
被膜の表面に潤滑性を付与すべく、表面潤滑層を設けて
もよい。
形パラフィンといったパラフィン類の塗膜も使用できる
が、耐久性等を考慮すると、各種ワックス、ポリエチレ
ン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の潤滑剤をバインダ
ー樹脂で結着した表面潤滑層がより好ましい。
比較例に基づいて説明する。実施例1 温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素
吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込
み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、10
8.6gのトリメリット酸無水物(以下「TMA」とい
う)と、29.9gの3,3′−ジメチルビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート(以下「TODI」とい
う)と、113.1gのジフェニルメタン−4,4′−
ジイソシアネート(以下「MDI」という)とを投入し
た。TODIの全ジイソシアネート中に占める割合は2
0モル%であった。
メチル−2−ピロリドンを入れ、攪拌器で攪拌しつつ8
0℃で3時間加熱し、さらに、3時間かけて140℃ま
で昇温した後、140℃で1時間加熱した。そして、1
時間経過した段階で加熱を止め、放冷して、濃度25%
のポリアミドイミド系塗料を得た。このポリアミドイミ
ド系塗料を、直径1.0mmの銅線表面に、常法によって
塗布、焼付けして、膜厚35μmの絶縁被膜を有する絶
縁電線を作製した。
の仕込み量を、TODI=59.7g、MDI=84.
8g、TODIの全ジイソシアネート中に占める割合を
40モル%としたこと以外は、上記実施例1と同様にし
て絶縁電線を作製した。
の仕込み量を、TODI=74.7g、MDI=70.
7g、TODIの全ジイソシアネート中に占める割合を
50モル%としたこと以外は、上記実施例1と同様にし
て絶縁電線を作製した。
の仕込み量を、TODI=89.6g、MDI=56.
6g、TODIの全ジイソシアネート中に占める割合を
60モル%としたこと以外は、上記実施例1と同様にし
て絶縁電線を作製した。
の仕込み量を、TODI=112.0g、MDI=3
5.3g、TODIの全ジイソシアネート中に占める割
合を75モル%としたこと以外は、上記実施例1と同様
にして絶縁電線を作製した。
MDIを141.4g仕込んだこと以外は、上記実施例
1と同様にして絶縁電線を作製した。比較例2 ポリアミドイミド系塗料作製時にMDIを仕込まず、T
ODIを149.3g仕込んだこと以外は、上記実施例
1と同様にして絶縁電線を作製した。
4′−ジイソシアネートとTMAとを含む市販のポリア
ミドイミド系塗料(日立化成社製の品番HI−400)
を常法によって塗布、焼付けして、膜厚17μmの下地
層を形成した。つぎにこの下地層上に、実施例3で使用
したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗
布、焼付けして、膜厚18μmの絶縁被膜を形成し、絶
縁電線を作製した。
(日触スケネクタディー社製の商品名アイソミッド40
−SH)を常法によって塗布、焼付けして、膜厚10μ
mの下地層を形成した。つぎにこの下地層上に、実施例
3で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法に
よって塗布、焼付けして、膜厚25μmの絶縁被膜を形
成し、絶縁電線を作製した。
て、以下の各試験を行った。外観評価 上記各実施例、比較例の絶縁電線の外観を、目視にて観
察した。弾性率測定 実施例、比較例の絶縁電線から銅線をエッチング除去
し、残った絶縁被膜(長さ6cm)を、引張試験機を用い
て、チャック間隔3cm、引張速度1mm/分の条件で引張
試験し、得られたS−Sカーブがら弾性率(kg/mm2 )
を求めた。
ずつ段階的に直径が大きくなる複数の丸棒を順次あてが
って、電線を丸棒の外形に対応させて曲げた際の、絶縁
被膜の割れや剥離を観察し、絶縁被膜に異状が見られな
かった最小の丸棒の直径d(mm)を記録した。
急伸させて切断した後、切断部分における、被膜の銅線
からの浮き量(mm)を測定した。ピアノ線損傷荷重測定 実施例、比較例の絶縁電線に直交させてピアノ線を重ね
合わせ、ピアノ線に種々の重さの荷重をかけた状態でピ
アノ線を引抜き、絶縁被膜が損傷する荷重を記録した。
分としてTODIを含有しない比較例1の絶縁電線で
は、絶縁被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重
測定の結果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。
一方、ジイソシアネート成分が100%TODIである
比較例2の絶縁電線では、可撓性試験の結果より、絶縁
被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果より、
絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
も、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、
銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。ま
た、上記各実施例の結果より、TODIの割合が高くな
る程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁被膜が損
傷し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性は、TOD
Iの割合が低い程好ましく、両特性のバランスを考慮す
ると、TODIの割合が30〜60モル%の範囲内にあ
る実施例2〜4がとくに優れたものであることが判っ
た。
実施例6,7の結果を比較すると、実施例6,7はいず
れも、実施例3に比べて急伸切断試験による絶縁被膜の
浮き量が小さいことから、下地層を形成することで、他
の特性をそのまま維持しつつ、被膜の密着性をさらに向
上できることが判った。一方向摩耗試験 前記実施例3および比較例1の絶縁電線について、JI
S C−3003「エナメル銅線及びエナメルアルミニ
ウム線試験方法」に所載の測定方法により、絶縁被膜の
一方向摩耗量を測定した。
S C−3003「エナメル銅線及びエナメルアルミニ
ウム線試験方法」に所載の二個より法により、絶縁被膜
の絶縁破壊電圧を測定した。以上の結果を表2に示す。
なお、表中各欄の括弧内は、それぞれのデータの標準偏
差値を表している。
における絶縁被膜は、従来品である比較例1の絶縁電線
における絶縁被膜と同レベルの耐圧性を有する上、この
比較例1における絶縁被膜に比べて耐摩耗性にすぐれた
ものであることが判った。実施例8 比較例1で作製した、ジイソシアネート成分としてMD
Iのみを含むポリアミドイミド系塗料と、比較例2で作
製した、ジイソシアネート成分としてTODIのみを含
むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階でのTODI
とMDIとのモル比がTODI/MDI=20/80と
なるように配合し、十分に攪拌混合してポリアミドイミ
ド系塗料を作製した。そして、このポリアミドイミド系
塗料を使用して、前記実施例1と同様にして絶縁電線を
作製した。
Iのみを含むポリアミドイミド系塗料と、比較例2で作
製した、ジイソシアネート成分としてTODIのみを含
むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階でのTODI
とMDIとのモル比がTODI/MDI=50/50と
なるように配合したこと以外は、上記実施例8と同様に
して絶縁電線を作製した。
Iのみを含むポリアミドイミド系塗料と、比較例2で作
製した、ジイソシアネート成分としてTODIのみを含
むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階でのTODI
とMDIとのモル比がTODI/MDI=75/25と
なるように配合したこと以外は、上記実施例8と同様に
して絶縁電線を作製した。
観評価、弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験および
ピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。結果を表3に
示す。
はそれぞれ、TODIの割合が同じ実施例1,3,5
(表1参照)とほぼ同じ特性を示し、このことから、ポ
リアミドイミド系塗料を、TODIを含むものと含まな
いものの混合により製造しても、共重合により製造され
た塗料とほぼ同じ結果が得られることが判った。実施例11 ポリアミドイミド系塗料作製時のTODIおよびMDI
の仕込み量を、TODI=135.8g、MDI=4
2.9g、TODIの全ジイソシアネート中に占める割
合を75モル%とするとともに、酸成分としてTMAと
イソフタル酸(以下「IPA」という)とを使用し、T
MAおよびIPAの仕込み量を、TMA=127.7
g、IPA=3.7g、IPAの全酸成分中に占める割
合を3モル%としたこと以外は、前記実施例1と同様に
して絶縁電線を作製した。
仕込み量を、TMA=105.3g、IPA=22.8
g、IPAの全酸成分中に占める割合を20モル%とし
たこと以外は、上記実施例11と同様にして絶縁電線を
作製した。実施例13 ポリアミドイミド系塗料作製時のTMAおよびIPAの
仕込み量を、TMA=72.4g、IPA=51.2
g、IPAの全酸成分中に占める割合を45モル%とし
たこと以外は、上記実施例11と同様にして絶縁電線を
作製した。
観評価、弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験および
ピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。結果を、TO
DIの割合が同じで、IPAの割合が0モル%である実
施例5の結果と併せて表4に示す。
含有させても、含有させないものとほぼ同程度の特性を
有する絶縁電線を形成できることがわかった。またIP
Aの割合を、3モル%を超え、45モル%未満の範囲内
にすると、他の特性はそのまま維持しつつ、絶縁被膜の
弾性率と可撓性を向上できることが判った。また、上記
各実施例の結果より、IPAの割合が3モル%では特性
にあまり変化が見られず、IPAの割合が45モル%で
は、絶縁被膜が僅かに損傷し易くなるので、両特性のバ
ランスを考慮すると、IPAの割合が5〜40モル%の
範囲内にある実施例12がとくに優れたものであること
が判った。
溶性潤滑塗料(東芝ケミカル社製の品番TEC−960
1を常法によって塗布、焼付けして表面潤滑層を形成し
たこと以外は、上記実施例3と同様にして絶縁電線を作
製した。実施例15 比較例1で作製したポリアミドイミド系塗料100重量
部に、潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン20
重量部を添加して表面潤滑層用の塗料を作製し、これ
を、実施例3で作製した絶縁電線の絶縁被膜上に常法に
よって塗布、焼付けして表面潤滑層を形成したこと以外
は、上記実施例3と同様にして絶縁電線を作製した。
観評価、弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験および
ピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。結果を、TO
DIの割合が同じで、絶縁被膜上に表面潤滑層を形成し
ていない実施例3の結果と併せて表5に示す。
滑層を形成すると、他の特性はそのまま維持しつつ、絶
縁被膜をさらに損傷し難くできることが判った。
イミドの構造中にビフェニル部分を導入して、絶縁被膜
の弾性率を向上させることで、可撓性にすぐれ、しか
も、損傷し難い絶縁被膜を形成することができる。した
がって、本発明の絶縁電線は耐加工性にすぐれており、
たとえばモータの捲線に使用する場合には、コアへの捲
線量を従来より増大させても、捲線工程で絶縁被膜に損
傷を生じるおそれがなく、より小型、軽量で性能の良い
モータの要求に対応することができる。
Claims (7)
- 【請求項1】少なくともジイソシアネート成分と酸成分
とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付け
により形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、
原料としてのジイソシアネート成分が、下記一般式(I)
: 【化1】 [上記式中R1 ,R2 は、同一または異なって、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。]で表される芳香族ジイソシアネート化合物を10
〜80モル%の範囲内で含有することを特徴とする絶縁
電線。 - 【請求項2】原料としてのジイソシアネート成分におけ
る、一般式(I) で表される芳香族ジイソシアネートの含
有割合が30〜60モル%である請求項1記載の絶縁電
線。 - 【請求項3】原料としてのジイソシアネート成分におけ
る、一般式(I) で表される芳香族ジイソシアネートの含
有割合が60〜80モル%であるとともに、酸成分が、
分子中に折れ曲がり構造を有する酸を、5〜40モル%
の範囲内で含有する請求項1記載の絶縁電線。 - 【請求項4】ポリアミドイミド系塗料が、一般式(I) で
表される芳香族ジイソシアネートと、上記以外のジイソ
シアネートと、酸成分とを共重合させて製造される請求
項1記載の絶縁電線。 - 【請求項5】ポリアミドイミド系塗料が、一般式(I) で
表される芳香族ジイソシアネートと酸成分とを原料とし
て製造されたポリアミドイミド系塗料と、上記以外のジ
イソシアネートと酸成分とを原料として製造されたポリ
アミドイミド系塗料との混合物である請求項1記載の絶
縁電線。 - 【請求項6】絶縁被膜の下層に、ジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネートとトリメリット酸無水物と
を含むポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形
成された下地層を有する請求項1記載の絶縁電線。 - 【請求項7】絶縁被膜の上層に表面潤滑層を有する請求
項1記載の絶縁電線。
Priority Applications (9)
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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