JP3287025B2 - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JP3287025B2
JP3287025B2 JP25001492A JP25001492A JP3287025B2 JP 3287025 B2 JP3287025 B2 JP 3287025B2 JP 25001492 A JP25001492 A JP 25001492A JP 25001492 A JP25001492 A JP 25001492A JP 3287025 B2 JP3287025 B2 JP 3287025B2
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acid
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裕紀 松浦
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえばモータのコア
に捲き付けられる、耐加工性にすぐれた絶縁電線に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、機器の小型化、軽量化の傾向に伴
い、モータについても、より小型、軽量で、しかも高性
能のものが要求されるようになってきた。この要求に答
えるには、モータのコアにより多くの絶縁電線を捲き付
ける必要があるが、コアのスロット内に絶縁電線を強引
に詰め込むことになり、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生
じる危険性がある。そして、絶縁被膜に損傷が生じる
と、レアー不良やアース不良等が発生し、モータの電気
特性に不具合を生じるという問題がある。
【0003】そこで、通常は、ポリアミドイミド系の塗
料の塗布、焼付けにより形成された、機械的強度にすぐ
れた絶縁被膜を有する絶縁電線が、上記用途に使用され
ている。なお、ポリアミドイミドとしては、下記式(2)
で表されるジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネ
ートとトリメリット酸無水物との反応生成物が、一般的
に使用される(たとえば特公昭44−19274号公
報、特公昭45−27611号公報等参照)。
【0004】
【化2】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近ではさら
に小型、軽量で性能の良いモータが要求され、それに対
応すべく、絶縁電線の捲線量がさらに増大する傾向にあ
り、ポリアミドイミド系の絶縁被膜でも損傷を生じるこ
とが多くなってきた。そこで、絶縁被膜の損傷を少しで
も減少させるために、たとえば有機または無機の潤滑剤
等を塗料に配合して、絶縁被膜の表面に潤滑性を付与す
ることが検討されているが、この方法では、絶縁被膜の
損傷を根本的に解決することはできない。
【0006】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
のであって、損傷しにくい絶縁被膜を有し、耐加工性に
すぐれた絶縁電線を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するため、本発明者らは、絶縁被膜の硬度をさらに向
上させるべく、鋭意検討を行った。その結果、下記一般
式(1) :
【0008】
【化3】
【0009】で表される繰り返し単位からなるポリアミ
ドイミドにおいて、式中のR1 ,R2に、所定の割合で
剛直な直鎖構造を導入するとともに、ポリアミドイミド
の分子量を示す還元比粘度を高くすると、絶縁被膜の硬
度を従来より著しく向上させることができ、耐加工性に
すぐれた絶縁電線が得られることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0010】すなわち本発明の絶縁電線は、上記一般式
(1) で表される繰り返し単位からなり、式中のR1 およ
びR2 の合計の70モル%以上、90モル%未満が剛直
な直鎖構造であるとともに、分子量を示す還元比粘度が
0.4以上であるポリアミドイミドを含むポリアミドイ
ミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を
有することを特徴とする。
【0011】上記一般式(1) で表される繰り返し単位の
うちR1 ,R2 が剛直な直鎖構造である割合が、合計で
70モル%を下回ると、絶縁被膜の弾性率が不十分とな
って、絶縁被膜の硬度を十分に向上できなくなる。逆に
1 ,R2 が剛直な直鎖構造である割合が、合計で90
モル%以上になると、被膜が剛直で可撓性に劣るものと
なり、電線を曲げた際に割れたり剥離したりしやすくな
って、絶縁電線の加工性が悪化する。
【0012】また、分子量を示す還元比粘度が0.4未
満では、ポリアミドイミドの分子量が小さ過ぎるため、
塗布、焼付けにより形成される絶縁被膜の硬度を十分に
向上できなくなる。なお、上記還元比粘度は、0.5以
上であるのがより好ましい。上記一般式(1)中のR1は、
後述する〜の製造方法において、ポリアミドイミド
の原料として使用される酸成分の残基を表し、当該R1
に相当する剛直な直鎖構造は、下記式(A1)および(A2)か
らなる群より選ばれた少なくとも1種に限定される。
【0013】
【化4】
【0014】また一般式(1)中のR2は、上記酸成分と反
応されるジイソシアネート成分またはジアミン成分の残
基を表し、当該R2に相当する剛直な直鎖構造は、下記
式(B1)(B2)(B3)(B4)(B5)および(B6)からなる群より選ば
れた少なくとも1種に限定される。
【0015】
【化5】
【0016】ポリアミドイミドは、略化学量論量のジ
イソシアネート成分と酸成分とを共重合させる、ジア
ミン成分と酸成分とを反応させた後、反応生成物を、略
等モル量のジイソシアネート成分と共重合させる、酸
クロライドを含む酸成分とジアミン成分とを共重合させ
る、等の従来公知の製造方法により製造することができ
る。
【0017】上記の製造方法で製造されるポリアミド
イミドの構造中に、前記のような剛直な直鎖構造を導入
して絶縁被膜を高強度化するには、酸成分として、前記
式(A1)(A2)に示す剛直な直鎖構造を分子中に有する直鎖
状の酸を使用するとともに、ジイソシアネート成分とし
て、前記式(B1)〜(B6)に示す剛直な直鎖構造を分子中に
有する直鎖状のジイソシアネートを使用すればよい。
【0018】直鎖状の酸としては、たとえばトリメリッ
ト酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸クロライ
ド、トリメリット酸の誘導体のうちの三塩基酸、ビフェ
ニルトリメリット酸、ビフェニルトリメリット酸無水
物、ビフェニルトリメリット酸クロライド、ビフェニル
トリメリット酸の誘導体のうちの三塩基酸等があげられ
る。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用さ
れる。
【0019】これらの中でも入手のしやすさやコスト等
の点で、トリメリット酸無水物が好適に使用される。ま
た直鎖状の芳香族ジイソシアネートとしては、たとえば
p−フェニレンジイソシアネート、2−フルオロ−p−
フェニレンジイソシアネート、2−クロロ−p−フェニ
レンジイソシアネート、2−ブロモ−p−フェニレンジ
イソシアネート、2,3−ジクロロ−p−フェニレンジ
イソシアネート、2,3,5−トリクロロ−p−フェニ
レンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラクロロ
−p−フェニレンジイソシアネート、2−メチル−p−
フェニレンジイソシアネート、2−エチル−p−フェニ
レンジイソシアネート、2−ブチル−p−フェニレンジ
イソシアネート、2−メトキシ−p−フェニレンジイソ
シアネート、2−エトキシ−p−フェニレンジイソシア
ネート、2−ブトキシ−p−フェニレンジイソシアネー
ト、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,
3′−ジクロロビフェニル−4,4′−ジイソシアネー
ト、3,3′−ジブロモビフェニル−4,4′−ジイソ
シアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′
−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジブチルビフ
ェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメ
トキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,
3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネ
ート、3,3′−ジブトキシビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネート、ターフェニル−4,4″−ジイソシア
ネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ナフ
チレン−2,6−ジイソシアネート等の化合物等があげ
られる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使
用される。
【0020】これらの中でも入手のしやすさやコスト等
の点で、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−
ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネートおよ
びナフチレン−1,5−ジイソシアネートが好適に使用
される。の製造方法において、上記直鎖状の酸やジイ
ソシアネートのみを原料として使用した場合には、前記
一般式(1) で表される繰り返し単位のうちR1 ,R2
剛直な直鎖構造である割合が、合計で100モル%にな
って、前記のように絶縁被膜が剛直で可撓性に劣るもの
となり、引張強さや引張弾性率が前記範囲を下回って、
絶縁被膜が傷付き易いものとなってしまう。したがっ
て、分子中に屈曲部分を有するかまたは屈曲可能な部分
を有する酸やジイソシアネートを併用して、R1 ,R2
が剛直な直鎖構造である割合を、合計で70モル%以
上、90モル%未満の範囲内にすることにより、被膜に
柔軟性を付与して、被膜の強度と可撓性のバランスをと
る必要がある。
【0021】分子中に屈曲部分を有するかまたは屈曲可
能な部分を有する酸としては、テトラカルボン酸無水物
や二塩基酸、たとえば、ピロメリット酸二無水物、ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカル
ボン酸二無水物、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホ
テレフタル酸、ジクエン酸、2,5−チオフェンジカル
ボン酸、4,5−フェナントレンジカルボン酸、ベンゾ
フェノン−4,4′−ジカルボン酸、フタルジイミドジ
カルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジ
カルボン酸、アジピン酸等があげられる。これらは単独
で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0022】これらの中でも入手のしやすさやコスト等
の点で、イソフタル酸が好適に使用される。また分子中
に屈曲部分を有するかまたは屈曲可能な部分を有するジ
イソシアネートとしては、たとえばジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,
3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4′
−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−
ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソ
シアネート、ジフェニルスルホン−4,4′−ジイソシ
アネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリ
レン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイ
ソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等、従
来公知の種々のジイソシアネートがあげられる。これら
は単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0023】これらの中でも入手のしやすさやコスト等
の点で、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネー
トが好適に使用される。上記の製造方法によれば、略
等モル量の酸成分とジイソシアネート成分とを共重合さ
せてポリアミドイミドを合成する1段階の反応により、
本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料を製造する
ことができる。
【0024】詳細には、略等モル量の酸成分とジイソシ
アネート成分とを、適当な有機溶媒中で0〜180℃の
温度で1〜24時間反応させると、上記ジイソシアネー
ト成分と酸成分との共重合体であるポリアミドイミド
が、有機溶媒中に溶解または分散したポリアミドイミド
系塗料が得られる。この場合に、前記一般式(1) 中のR
1 ,R2 が剛直な直鎖構造である割合を、合計で70モ
ル%以上、90モル%未満にするには、原料としての酸
成分およびジイソシアネート成分の総量中に占める、直
鎖状の酸およびジイソシアネートの合計の含有割合が7
0モル%以上、90モル%未満となるように、各化合物
の配合割合を調整すればよい。
【0025】また、本発明に使用されるポリアミドイミ
ド系塗料としては、一般式(1) 中のR1 ,R2 の合計の
90モル%以上が剛直な直鎖構造であるポリアミドイミ
ド系塗料と、R1 ,R2 の合計の90モル%未満が剛直
な直鎖構造であるポリアミドイミド系塗料とを配合した
もの、あるいはR1 ,R2 の合計の70モル%未満が剛
直な直鎖構造であるポリアミドイミド系塗料と、R1
2 の合計の70モル%以上が剛直な直鎖構造であるポ
リアミドイミド系塗料とを配合したものを使用すること
もできる。この場合には、配合系中における、R1 ,R
2 が剛直な直鎖構造である割合が、70モル%以上、9
0モル%未満となるように、配合するポリアミドイミド
系塗料の配合割合を調整すればよい。
【0026】前記の製造方法で製造されるポリアミド
イミド系塗料の構造中に、前記のような剛直な直鎖構造
を導入して絶縁被膜を高強度化するには、酸成分とし
て、前記例示の直鎖状の酸を使用し、かつジイソシアネ
ート成分として、前記例示の直鎖状のジイソシアネート
を使用するとともに、ジアミン成分として、前記各式に
示すような剛直な直鎖構造を分子中に有する、直鎖状の
ジアミンを使用すればよい。
【0027】このような直鎖状のジアミンとしては、た
とえばp−フェニレンジアミン、2−フルオロ−p−フ
ェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミ
ン、2−ブロモ−p−フェニレンジアミン、2,3−ジ
クロロ−p−フェニレンジアミン、2,3,5−トリク
ロロ−p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テト
ラクロロ−p−フェニレンジアミン、2−メチル−p−
フェニレンジアミン、2−エチル−p−フェニレンジア
ミン、2−ブチル−p−フェニレンジアミン、2−メト
キシ−p−フェニレンジアミン、2−エトキシ−p−フ
ェニレンジアミン、2−ブトキシ−p−フェニレンジア
ミン、ビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−ジ
クロロビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−ジ
ブロモビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−ジ
メチルビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−ジ
エチルビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−ジ
ブチルビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−ジ
メトキシビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′−
ジエトキシビフェニル−4,4′−ジアミン、3,3′
−ジブトキシビフェニル−4,4′−ジアミン、ベンジ
ジン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、4,4″−
ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、
2,6−ジアミノナフタレン等があげられる。これらは
単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0028】これらの中でも入手のしやすさやコスト等
の点で、p−フェニレンジアミンが好適に使用される。
の製造方法において、上記直鎖状の酸、ジイソシアネ
ートおよびジアミンのみを原料として使用した場合に
は、前記一般式(1) で表される繰り返し単位のうち
1 ,R2 が剛直な直鎖構造である割合が、合計で10
0モル%になって、前記のように絶縁被膜が剛直で可撓
性に劣るものとなり、引張強さや引張弾性率が前記範囲
を下回って、絶縁被膜が傷付き易いものとなってしま
う。したがって、分子中に屈曲部分を有するかまたは屈
曲可能な部分を有する酸やジイソシアネートあるいはジ
アミンを併用して、R1 ,R2 が剛直な直鎖構造である
割合を、合計で70モル%以上、90モル%未満の範囲
内にすることにより、被膜に柔軟性を付与して、被膜の
強度と可撓性のバランスをとる必要がある。
【0029】分子中に屈曲部分を有するかまたは屈曲可
能な部分を有する酸およびジイソシアネートとしては、
前記例示の各種化合物があげられる。また分子中に屈曲
部分を有するかまたは屈曲可能な部分を有するジアミン
としては、たとえばm−フェニレンジアミン、ジアミノ
ジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジア
ミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルプロパ
ン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノベンゾフェ
ノン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、
4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル〕エーテル、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキ
シ)ビフェニル〕メタン、4,4′−〔ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ビフェニル〕スルホン、4,4′−〔ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル〕プロパン等、
従来公知の種々のジアミンがあげられる。これらは単独
で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0030】これらの中でも入手のしやすさやコスト等
の点で、ジアミノジフェニルエーテルが好適に使用され
る。上記の製造方法においては、略化学量論量のジア
ミン成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で反応させてイ
ミドジカルボン酸を生成させ、これを、略化学量論量の
ジイソシアネート成分と共重合させる2段階の反応によ
り、本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料を製造
することができる。
【0031】詳細には、ジアミン成分を、略2倍モル量
の酸成分とともに、適当な有機溶媒中で0〜150℃の
温度で1〜24時間反応させると、ジアミン成分と酸成
分との反応生成物であるイミドジカルボン酸が、反応液
中に生成する。つぎにこの反応液に、略等モル量のジイ
ソシアネート成分を添加して、0〜150℃の温度で1
〜24時間反応させると、ポリアミドイミドが有機溶媒
中に溶解または分散したポリアミドイミド系塗料が得ら
れる。この場合に、前記一般式(1) 中のR1 ,R2 が剛
直な直鎖構造である割合を、合計で70モル%以上、9
0モル%未満にするには、原料としての酸成分、ジアミ
ン成分およびジイソシアネート成分の総量中に占める、
直鎖状の酸、ジアミンおよびジイソシアネートの合計の
含有割合が70モル%以上、90モル%未満となるよう
に、各化合物の配合割合を調整すればよい。
【0032】また、前記の場合と同様に、一般式(1)
中のR1 ,R2 の合計の90モル%以上が剛直な直鎖構
造であるポリアミドイミド系塗料と、R1 ,R2 の合計
の90モル%未満が剛直な直鎖構造であるポリアミドイ
ミド系塗料とを配合したもの、あるいはR1 ,R2 の合
計の70モル%未満が剛直な直鎖構造であるポリアミド
イミド系塗料と、R1 ,R2 の合計の70モル%以上が
剛直な直鎖構造であるポリアミドイミド系塗料とを配合
したものを、ポリアミドイミド系塗料として使用するこ
ともできる。この場合には、配合系中における、R1
2 が剛直な直鎖構造である割合が、70モル%以上、
90モル%未満となるように、配合するポリアミドイミ
ド系塗料の配合割合を調整すればよい。
【0033】前記の製造方法で使用されるジアミン成
分としては、上記の製造方法で例示したものと同様の
化合物が使用できる。ポリアミドイミド系塗料の構造中
に剛直な直鎖構造を導入して絶縁被膜を高強度化すべ
く、直鎖状のジアミンを使用すること、被膜の強度と可
撓性のバランスをとるべく、分子中に屈曲部分を有する
かまたは屈曲可能な部分を有するジアミンを併用するこ
とも同様である。
【0034】の製造方法において、上記ジアミン成分
と共重合させる酸クロライドとしては、前記各式に示す
ような剛直な直鎖構造を分子中に有する、トリメリット
酸クロライドまたはその誘導体があげられる。また、被
膜の強度と可撓性のバランスをとるべく、分子中に屈曲
部分を有するかまたは屈曲可能な部分を有するテレフタ
ル酸クロライドやイソフタル酸クロライドが併用され
る。
【0035】上記の製造方法においては、略等モル量
のジアミン成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で0〜2
00℃の温度で1〜24時間反応させると、ジアミン成
分と酸成分との反応生成物であるポリアミドイミドが、
反応液中に生成する。この反応液には、副生成物である
塩酸も含まれているので、ポリアミドイミドを、ろ過、
沈澱等の方法で反応液中から取り出すか、または反応液
ごと、多量の水で洗浄した後、乾燥させる。そして、乾
燥後のポリアミドイミドを再び有機溶媒に溶解すると、
ポリアミドイミド系塗料が得られる。この場合に、前記
一般式(1) 中のR1 ,R2 が剛直な直鎖構造である割合
を、合計で70モル%以上、90モル%未満にするに
は、原料としての酸成分およびジアミン成分の総量中に
占める、直鎖状の酸クロライドおよびジアミンの合計の
含有割合が70モル%以上、90モル%未満となるよう
に、各化合物の配合割合を調整すればよい。
【0036】また、前記の場合と同様に、一般式(1)
中のR1 ,R2 の合計の90モル%以上が剛直な直鎖構
造であるポリアミドイミド系塗料と、R1 ,R2 の合計
の90モル%未満が剛直な直鎖構造であるポリアミドイ
ミド系塗料とを配合したもの、あるいはR1 ,R2 の合
計の70モル%未満が剛直な直鎖構造であるポリアミド
イミド系塗料と、R1 ,R2 の合計の70モル%以上が
剛直な直鎖構造であるポリアミドイミド系塗料とを配合
したものを、ポリアミドイミド系塗料として使用するこ
ともできる。この場合には、配合系中における、R1
2 が剛直な直鎖構造である割合が、70モル%以上、
90モル%未満となるように、配合するポリアミドイミ
ド系塗料の配合割合を調整すればよい。
【0037】なお、本発明に使用されるポリアミドイミ
ド系塗料には、さらに必要に応じて、顔料、染料、無機
または有機のフィラー、潤滑剤等の各種添加剤を添加し
てもよい。本発明の絶縁電線は、上記ポリアミドイミド
系塗料を電線の表面に塗布し、焼付けて絶縁被膜を形成
することで製造される。
【0038】絶縁被膜の膜厚については本発明ではとく
に限定されず、電線のサイズ等に応じて、従来と同程度
の膜厚に形成することができる。絶縁被膜の下層には、
当該絶縁被膜および電線との密着性のよい材料からなる
下地層を設けることもできる。下地層としては、ポリウ
レタン系、ポリエステル系、ポリエステルイミド系、ポ
リエステルアミドイミド系、ポリアミドイミド系、ポリ
イミド系等、従来公知の種々の絶縁塗料の塗布、焼付け
により形成される絶縁膜があげられる。中でも、電線や
絶縁被膜との密着性、或いは、被膜の機械的強度等の観
点から、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネー
トとトリメリット酸無水物とを含むポリアミドイミド系
塗料の塗布、焼付けにより形成される下地層が好まし
い。
【0039】下地層の膜厚についても本発明ではとくに
限定されないが、被膜の機械的強度等を考慮すれば、絶
縁被膜と下地層との膜厚の比が1/10〜10/1の範
囲内であることが好ましい。絶縁被膜の上層には、絶縁
被膜の表面に潤滑性を付与すべく、表面潤滑層を設けて
もよい。
【0040】表面潤滑層としては、流動パラフィン、固
形パラフィンといったパラフィン類の塗膜も使用できる
が、耐久性等を考慮すると、各種ワックス、ポリエチレ
ン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の潤滑剤をバインダ
ー樹脂で結着した表面潤滑層がより好ましい。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の絶縁電線を、実施例並びに
比較例に基づいて説明する。実施例1 温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素
吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込
み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、10
8.6gのトリメリット酸無水物(以下「TMA」とい
う)と、36.2gのp−フェニレンジイソシアネート
(以下「PPDI」という)と、84.8gのジフェニ
ルメンタ−4,4′−ジイソシアネート(以下「MD
I」という)とを投入した。酸成分およびジイソシアネ
ート成分の総量に対する、直鎖状の酸としてのTMAと
直鎖状のジイソシアネートとしてのPPDIの合計の割
合は70モル%であった。
【0042】つぎに、上記フラスコ中に637gのN−
メチル−2−ピロリドンを入れ、攪拌器で攪拌しつつ8
0℃で3時間反応させ、次いで、3時間かけて140℃
まで昇温し、140℃で、ポリアミドイミドの還元比粘
度が0.52になるまで反応させた後、加熱を止め、室
温まで冷却して濃度15%のポリアミドイミド系塗料を
得た。
【0043】このポリアミドイミド系塗料を、直径1.
0mmの銅線表面に、常法によって塗布、焼付けして、膜
厚35μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を作製した。実施例2 ポリアミドイミド系塗料作製時のPPDIの仕込み量を
18.1g、MDIの仕込み量を70.7gにするとと
もに、ジイソシアネート成分として44.8gの3,
3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネー
ト(以下「TODI」という)を加え、酸成分およびジ
イソシアネート成分の総量に対する、直鎖状の酸として
のTMAと直鎖状のジイソシアネートとしてのPPDI
およびTODIの合計の割合を75モル%としたこと以
外は、上記実施例1と同様にして絶縁電線を作製した。
還元比粘度は0.46であった。
【0044】実施例3 TODIに代えて35.6gのナフチレン−1,5−ジ
イソシアネート(以下「NDI」という)を使用し、酸
成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、直鎖
状の酸としてのTMAと直鎖状のジイソシアネートとし
てのPPDIおよびNDIの合計の割合を75モル%と
したこと以外は、上記実施例2と同様にして絶縁電線を
作製した。還元比粘度は0.47であった。
【0045】実施例4 PPDIに代えて23.8gのNDIを使用し、酸成分
およびジイソシアネート成分の総量に対する、直鎖状の
酸としてのTMAと直鎖状のジイソシアネートとしての
TODIおよびNDIの合計の割合を75モル%とした
こと以外は、上記実施例2と同様にして絶縁電線を作製
した。還元比粘度は0.58であった。
【0046】実施例5 PPDIの仕込み量を27.1g、TODIの仕込み量
を59.7g、MDIの仕込み量を42.4gとし、酸
成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、直鎖
状の酸としてのTMAと直鎖状のジイソシアネートとし
てのPPDIおよびTODIの合計の割合を85モル%
としたこと以外は、上記実施例2と同様にして絶縁電線
を作製した。還元比粘度は0.56であった。
【0047】比較例1 ポリアミドイミド系塗料作製時にPPDIを仕込まず、
MDIの仕込み量を141.4gとし、酸成分およびジ
イソシアネート成分の総量に対する、直鎖状の酸として
のTMAの割合を50モル%としたこと以外は、前記実
施例1と同様にして絶縁電線を作製した。還元比粘度は
0.45であった。
【0048】比較例2 ポリアミドイミド系塗料作製時のPPDIの仕込み量を
18.1g、MDIの仕込み量を113.1gとし、酸
成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、直鎖
状の酸としてのTMAと直鎖状のジイソシアネートとし
てのPPDIの合計の割合を60モル%としたこと以外
は、前記実施例1と同様にして絶縁電線を作製した。還
元比粘度は0.50であった。
【0049】比較例3 ポリアミドイミド系塗料作製時のPPDIの仕込み量を
18.1g、MDIの仕込み量を28.3gにするとと
もに、ジイソシアネート成分として44.8gのTOD
Iと35.6gのNDIとを加え、酸成分およびジイソ
シアネート成分の総量に対する、直鎖状の酸としてのT
MAと直鎖状のジイソシアネートとしてのPPDI、T
ODIおよびNDIの合計の割合を90モル%としたこ
と以外は、前記実施例1と同様にして絶縁電線を作製し
た。還元比粘度は0.48であった。
【0050】上記各実施例、比較例の絶縁電線につい
て、以下の各試験を行った。引張弾性率、引張強さ測定 実施例、比較例の絶縁電線から銅線をエッチング除去
し、残った絶縁被膜(長さ6cm)を、引張試験機を用い
て、チャック間隔3cm、引張速度1mm/分の条件で引張
試験し、得られたS−Sカーブがら引張弾性率(kg/mm
2 )および引張強さ(kg/mm2 )を求めた。
【0051】可撓性試験 実施例、比較例の絶縁電線に、直径1mmのものから1mm
ずつ段階的に直径が大きくなる複数の丸棒を順次あてが
って、電線を丸棒の外形に対応させて曲げた際の、絶縁
被膜の割れや剥離を観察し、絶縁被膜に異状が見られな
かった最小の丸棒の直径d(mm)を記録した。
【0052】捲線加工後の漏れ電流値測定 実施例、比較例の絶縁電線を、ステータータイプのイン
サート捲線機を用いてコイル状に巻き付けた後、対向電
極とともに3%食塩水中に浸漬し、コイルを負極として
対向電極との間に3Vの直流電圧を印加して漏れ電流値
を測定し、各電線に生じた導体まで達する傷の大きさを
評価した。
【0053】以上の結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】上記表1の結果より、酸成分およびジイソ
シアネート成分の総量に対する、直鎖状の酸およびジイ
ソシアネートの配合割合が70モル%未満で、前記一般
式(1) 中のR1 ,R2 が剛直な直鎖構造である割合が、
合計で70モル%未満であるポリアミドイミドからなる
絶縁被膜を有する比較例1,2はいずれも、引張弾性率
および引張強さが低く、かつ捲線加工後の漏れ電流値が
大きいことから、絶縁被膜が損傷しやすいものであるこ
とがわかった。また、酸成分およびジイソシアネート成
分の総量に対する、直鎖状の酸およびジイソシアネート
の配合割合が90モル%で、一般式(1) 中のR1 ,R2
が剛直な直鎖構造である割合が、合計で90モル%であ
るポリアミドイミドからなる絶縁被膜を有する比較例3
は、可撓性が悪いことと、引張強さが低いことから、絶
縁被膜が硬くかつ脆いことがわかった。
【0056】これに対し、実施例1〜5の絶縁電線はい
ずれも、上記各比較例にくらべて損傷しにくく、かつ可
撓性にすぐれた絶縁被膜を有することがわかった。実施例6 ポリアミドイミドの還元比粘度が0.7になるまで反応
を続行したこと以外は、前記実施例2と同様にして絶縁
電線を作製した。
【0057】比較例4 ポリアミドイミドの還元比粘度が0.35になった時点
で反応を中止したこと以外は、前記実施例2と同様にし
て絶縁電線を作製した。上記実施例、比較例について、
前記の各試験を行った。結果を、実施例2の結果と併せ
て表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】上記表2の結果より、還元比粘度が0.4
未満の0.35であるポリアミドイミドからなる絶縁被
膜を有する比較例4は、引張弾性率および引張強さが低
く、かつ捲線加工後の漏れ電流値が大きいことから、絶
縁被膜が損傷しやすいものであることがわかった。これ
に対し、実施例2,6の絶縁電線はいずれも、上記比較
例4にくらべて損傷しにくく、かつ可撓性にすぐれた絶
縁被膜を有することがわかった。
【0060】また、実施例2,6の結果を比較すると、
還元比粘度の高い実施例6の方が、実施例2よりも絶縁
被膜の強度が高く、損傷しにくいこともわかった。実施例7 ポリアミドイミド系塗料作製時のTMAの仕込み量を8
6.8gとし、酸成分として18.8gのイソフタル酸
(以下「IPA」という)を加えるとともに、ジイソシ
アネート成分としてのPPDIの仕込み量を27.1
g、TODIの仕込み量を30.0gとし、酸成分およ
びジイソシアネート成分の総量に対する、直鎖状の酸と
してのTMAと直鎖状のジイソシアネートとしてのPP
DI、TODIおよびNDIの合計の割合を80モル%
としたこと以外は、前記比較例3と同様にして絶縁電線
を作製した。還元比粘度は0.44であった。
【0061】上記実施例について、前記の各試験を行っ
た。結果を、比較例3の結果と併せて表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】上記表3の結果より、分子中に屈曲部分を
有する酸成分としてのIPAを添加して、酸成分および
ジイソシアネート成分の総量に対する、直鎖状の酸およ
びジイソシアネートの配合割合を90%未満に低下させ
ると、絶縁被膜の可撓性および引張強さを改善できるこ
とがわかった。実施例8 温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素
吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込
み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、下記の
酸成分とジアミン成分とを投入した。 ・酸成分: TMA=1.0モル ・ジアミン成分: p−フェニレンジアミン(以下「p−PDA」という)
=0.3モル 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(以下「DD
E」という)=0.2モル つぎに、上記フラスコ中にN−メチル−2−ピロリドン
を入れ、攪拌器で攪拌しつつ100℃で2時間加熱し
た。そして、2時間経過した段階で加熱を止め、放冷し
てジカルボン酸を作製した。
【0064】つぎにこのジカルボン酸を常法により精製
した後、当該ジカルボン酸0.5モルと、下記のジイソ
シアネート成分とを、上記と同様の反応容器中に投入し
た。 ・ジイソシアネート成分: PPDI=0.1モル NDI=0.1モル MDI=0.3モル つぎて、上記フラスコ中にN−メチル−2−ピロリドン
を入れ、攪拌器で攪拌しつつ、室温から3時間かけて1
40℃まで昇温し、140℃で1時間加熱した。そし
て、1時間経過した段階で加熱を止め、放冷して、濃度
25%のポリアミドイミド系塗料を得た。原料としての
酸成分、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総
量に対する、直鎖状の酸としてのTMAと、直鎖状のジ
アミンとしてのp−PDAと、直鎖状のジイソシアネー
トとしてのPPDIおよびNDIの合計の割合は75モ
ル%、還元比粘度は0.46であった。
【0065】このポリアミドイミド系塗料を使用して、
前記実施例1と同様にして、直径1.0mmの銅線表面
に、膜厚35μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を作製し
た。実施例9 温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素
吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込
み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、下記の
酸成分とジアミン成分とを投入した。 ・酸成分: トリメリット酸クロライド(以下「TMC」という)=
0.5モル ・ジアミン成分: 4,4′−ジアミノベンズアニリド(以下「DABA
N」という)=0.15モル p−PDA=0.15モル 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(以下「DD
E」という)=0.20モル つぎに上記フラスコ中に、固形分濃度が25%となるよ
うにN−メチル−2−ピロリドンを入れ、攪拌器で攪拌
しつつ、80℃で2時間、次いで140℃で2時間反応
させた。
【0066】つぎに、上記反応液を多量の水に加えて、
副生成物としての塩酸を除去した後、水中に析出したポ
リアミドイミドをろ別した。そして、ろ別したポリアミ
ドイミドを水で数回洗浄し、100℃で3時間乾燥させ
た後、再度、固形分濃度が25%となるようにN−メチ
ル−2−ピロリドンを加えて溶解させて、ポリアミドイ
ミド系塗料を得た。原料としての酸成分およびジアミン
成分の総量に対する、直鎖状の酸クロライドとしてのT
MCと、直鎖状のジアミンとしてのp−PDAおよびD
ABANの合計の割合は80モル%、還元比粘度は0.
43であった。
【0067】このポリアミドイミド系塗料を使用して、
前記実施例1と同様にして、直径1.0mmの銅線表面
に、膜厚35μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を作製し
た。上記両実施例について、前記の各試験を行った。結
果を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】上記表4の結果より、およびの製造方
法で製造したポリアミドイミド系塗料を用いても、の
製造方法で製造したポリアミドイミド系塗料を用いた前
記各実施例と同様に、損傷しにくく、かつ可撓性にすぐ
れた絶縁被膜を有する絶縁電線を製造できることがわか
った。
【0070】
【発明の効果】本発明の絶縁電線によれば、ポリアミド
イミドの構造中に剛直な直鎖構造を導入するとともに、
分子量を示す還元比粘度を高めることで、可撓性にすぐ
れ、しかも、損傷しにくい絶縁被膜を形成できた。した
がって本発明の絶縁電線は、耐加工性にすぐれており、
たとえばモータの捲線に使用する場合には、コアへの捲
線量を従来より増大させても、捲線工程で絶縁被膜に損
傷を生じるおそれがなく、より小型、軽量で性能の良い
モータの要求に対応することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭47−21586(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/00 - 7/02 H01B 3/16 - 3/56 C09D 179/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1): 【化1】 で表される繰り返し単位からなり、式中のR1およびR2
    の合計の70モル%以上、90モル%未満が、R 1 とし
    て式(A1)および(A2): 【化2】 からなる群より選ばれた少なくとも1種、R 2 として式
    (B1)(B2)(B3)(B4)(B5)および(B6): 【化3】 からなる群より選ばれた少なくとも1種の剛直な直鎖構
    造であるとともに、分子量を示す還元比粘度が0.4以
    上であるポリアミドイミドを含むポリアミドイミド系塗
    料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を有するこ
    とを特徴とする絶縁電線。
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