JP3617844B2 - 絶縁電線 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、たとえばモータのコアに捲き付けられる、耐加工性にすぐれた絶縁電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、機器の小型化、軽量化の傾向に伴い、モータについても、より小型、軽量で、しかも高性能のものが要求されるようになってきた。この要求に答えるには、モータのコアにより多くの絶縁電線を捲き付ける必要があるが、コアのスロット内に絶縁電線を強引に詰め込むことになり、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生じる危険性がある。そして、絶縁被膜に損傷が生じると、レアー不良やアース不良等が発生し、モータの電気特性に不具合を生じるという問題がある。
【0003】
そこで、通常は、ポリアミドイミド系の塗料の塗布、焼付けにより形成された、機械的強度にすぐれた絶縁被膜を有する絶縁電線が、上記用途に使用されている。なお、ポリアミドイミドとしては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとトリメリット酸無水物との反応生成物が、一般的に使用される(たとえば特公昭44−19274号公報、特公昭45−27611号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近ではさらに小型、軽量で性能の良いモータが要求され、それに対応すべく、絶縁電線の捲線量がさらに増大する傾向にあり、ポリアミドイミド系の絶縁被膜でも損傷を生じることが多くなってきた。
そこで、絶縁被膜の損傷を少しでも減少させるために、たとえば有機または無機の潤滑剤等を塗料に配合して、絶縁被膜の表面に潤滑性を付与することが検討されているが、この方法では、絶縁被膜の損傷を根本的に解決することはできない。
【0005】
絶縁被膜の機械的強度をさらに向上すれば損傷の発生を減少できるが、単に機械的強度を向上させたのでは、被膜が剛直で可撓性に劣るものとなり、電線を曲げた際に割れたり剥離したりしやすくなって、絶縁電線の加工性が悪化するという問題がある。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであって、可撓性にすぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜を有し、耐加工性にすぐれた絶縁電線を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するため、本発明者らは、ポリアミドイミドの構造について検討を行い、その結果、ポリアミドイミドの構造中に、ベンゼン、ビフェニルまたはベンズアニリドの構造を導入すると、絶縁被膜の弾性率が向上して、可撓性にすぐれ、しかも、損傷し難い絶縁被膜を形成できることを見出した。そして、上記の構造をどの程度の割合で構造中に導入すればよいかをさらに検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の絶縁電線は、少なくとも酸クロライドを含む酸成分と、ジアミン成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、原料としてのジアミン成分が、下記一般式(I):
【0007】
【化10】
Figure 0003617844
【0008】
[上記式中Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。nは1〜4の数を示す。]、下記一般式(II):
【0009】
【化11】
Figure 0003617844
【0010】
[上記式中R,Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。p,qは同一または異なって1〜4の数を示す。]、および下記一般式(III):
【0011】
【化12】
Figure 0003617844
【0012】
[上記式中R,Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。r,sは同一または異なって1〜4の数を示す。]で表される芳香族ジアミン化合物のうちの少なくとも1種を含有し、かつ原料としてのジアミン成分における、これら芳香族ジアミン化合物の合計の含有割合が30〜70モル%であることを特徴とする。
【0013】
また本発明の他の絶縁電線は、ジアミン成分と、ジアミン成分に対して略2倍モル量の酸成分との反応生成物であるイミドジカルボン酸と、ジイソシアネート成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、原料としてのジアミン成分、ジイソシアネート成分が、上記一般式(I)(II)および(III)で表される芳香族ジアミン化合物、並びに下記一般式(IV):
【0014】
【化13】
Figure 0003617844
【0015】
[上記式中Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。tは1〜4の数を示す。]、下記一般式(V):
【0016】
【化14】
Figure 0003617844
【0017】
[上記式中R,Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。u,vは同一または異なって1〜4の数を示す。]、および下記一般式(VI):
【0018】
【化15】
Figure 0003617844
【0019】
[上記式中R,R10は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。w,xは同一または異なって1〜4の数を示す。]で表される芳香族ジイソシアネート化合物のうちの少なくとも1種を含有し、かつ原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、これら芳香族ジアミン化合物、芳香族ジイソシアネート化合物の合計の含有割合が30〜70モル%であることを特徴とする。
【0020】
本発明のうち前者の、少なくとも酸クロライドを含む酸成分とジアミン成分とから1段階の反応によりポリアミドイミドを製造する場合に、原料としてのジアミン成分に含有される、前記一般式(I)で表される芳香族ジアミン化合物としては、下記一般式(Ia):
【0021】
【化16】
Figure 0003617844
【0022】
[上記式中Rは前記と同じ基を示し、nは1〜4である。]で表されるp−フェニレンジアミン誘導体が好適に使用される。p−フェニレンジアミン誘導体の具体例としては、たとえばp−フェニレンジアミン、2−メチル−p−フェニレンジアミン、2−エチル−p−フェニレンジアミン、2−メトキシ−p−フェニレンジアミン、2−エトキシ−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2−ブロモ−p−フェニレンジアミン等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0023】
また、前記一般式(I)で表される芳香族ジアミン化合物としては、m−フェニレンジアミンおよびその誘導体、o−フェニレンジアミンおよびその誘導体等を使用することもできる。
上記各芳香族ジアミン化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(1)で表されるp−フェニレンジアミンが、本発明に最も好適に使用される。
【0024】
【化17】
Figure 0003617844
【0025】
前記一般式(II)で表される芳香族ジアミン化合物の具体例としては、たとえばベンジジン、3−メチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−3,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノビフェニル等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0026】
上記各芳香族ジアミン化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(2)で表される3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニルが、本発明に最も好適に使用される。
【0027】
【化18】
Figure 0003617844
【0028】
前記一般式(III)で表される芳香族ジアミン化合物の具体例としては、たとえば4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノベンズアニリド、2′−メチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−メチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′−エチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−エチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′−メトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−メトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,2′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,2′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′−エトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−エトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′−クロロ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,2′−ジクロロ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′−ブロモ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,2′−ジブロモ−4,4′−ジアミノベンズアニリド等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0029】
上記各芳香族ジアミン化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(3)で表される4,4′−ジアミノベンズアニリドが、本発明に最も好適に使用される。
【0030】
【化19】
Figure 0003617844
【0031】
一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物とともにジアミン成分中に含まれる他のジアミンとしては、たとえば4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフエニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ビフェニル、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルエーテル、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルスルホン、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルメタン、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルプロパン、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルヘキサフルオロプロパン等、従来公知の種々のジアミン化合物があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0032】
上記各ジアミン化合物の中でも、絶縁被膜の高強度化の点で、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルが、好適に使用される。
一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物の、ジアミン成分中における割合は30〜70モル%に限定される。詳細に説明すると、上記各芳香族ジアミン化合物のうちのいずれか1種を単独でジアミン成分に含有させる場合には、そのジアミン成分中に占める割合が30〜70モル%に限定される。また、上記各芳香族ジアミン化合物の2種以上を併用する場合には、その合計の割合が30〜70モル%に限定される。
【0033】
芳香族ジアミン化合物の割合が30モル%未満では、当該芳香族ジアミン化合物の添加効果が得られず、絶縁被膜が損傷しやすいものとなってしまう。一方、芳香族ジアミン化合物の割合が70モル%を超えると、絶縁被膜が剛直で可撓性に劣り、割れたり剥離したりしやすいものとなってしまう
【0034】
上記ジアミン成分と、1段階の反応によってポリアミドイミドを生成する酸クロライドの具体例としては、トリメリット酸クロライドまたはその誘導体があげられる。また、テレフタル酸クロライドやイソフタル酸クロライドを添加することもできる。
上記酸クロライドを含む酸成分とジアミン成分とから、本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料を製造するには、たとえば、略化学量論量のジアミン成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で共重合させる、従来のポリアミドイミド系塗料と同様の製造方法を採用することができる。
【0035】
より詳細には、一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物を前記の割合で配合したジアミン成分を、略等モル量の酸成分とともに、適当な有機溶媒中で0〜200℃の温度で1〜24時間反応させると、ジアミン成分と酸成分との反応生成物であるポリアミドイミドが、反応液中に生成する。この反応液には、副生成物である塩酸も含まれているので、ポリアミドイミドを、ろ過、沈澱等の方法で反応液中から取り出すか、または反応液ごと、多量の水で洗浄した後、乾燥させる。そして、乾燥後のポリアミドイミドを再び有機溶媒に溶解すると、ポリアミドイミド系塗料が得られる。
【0036】
また、本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料としては、一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物を、上記範囲を超えて含有するジアミン成分と、酸成分とを原料として製造したポリアミドイミド系塗料と、芳香族ジアミン化合物を含有しないか、または上記範囲未満のごく少量含有するジアミン成分と酸成分とを原料として製造したポリアミドイミド系塗料とを配合したものも使用可能である。この場合には、原料としての全ジアミン成分中の芳香族ジアミン化合物の割合が前記範囲内になるように、両塗料の配合割合を調整すればよい。
【0037】
本発明のうち後者の、ジアミン成分と酸成分とを反応させてイミドジカルボン酸を得、このイミドジカルボン酸とジイソシアネート成分とを反応させてポリアミドイミドを製造する2段階の反応の場合には、前記一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物、並びに一般式(IV)(V)または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物のいずれかが使用される。これら化合物の組み合わせとしては、下記▲1▼〜▲3▼のいずれかが採用される。
▲1▼ ジアミン成分中に、一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物のうちの1種または2種以上を含有させる。ジイソシアネート成分中には、一般式(IV)(V)または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物を含有させない。
▲2▼ ジイソシアネート成分中に、一般式(IV)(V) または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物のうちの1種または2種以上を含有させる。ジアミン成分中には、一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物を含有させない。
▲3▼ ジアミン成分中に、一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物のうちの1種または2種以上を含有させるとともに、ジイソシアネート成分中に、一般式(IV)(V)または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物のうちの1種または2種以上を含有させる。
【0038】
上記▲2▼または▲3▼の組み合わせにおいて、原料としてのジイソシアネート成分に含有される、一般式(IV)で表される芳香族ジイソシアネート化合物としては、下記一般式(IVa):
【0039】
【化20】
Figure 0003617844
【0040】
[上記式中Rは前記と同じ基を示し、tは1〜4である。]で表されるp−フェニレンジイソシアネート誘導体が好適に使用される。p−フェニレンジイソシアネート誘導体の具体例としては、たとえばp−フェニレンジイソシアネート、2−フルオロ−p−フェニレンジイソシアネート、2−クロロ−p−フェニレンジイソシアネート、2−ブロモ−p−フェニレンジイソシアネート、2,3−ジクロロ−p−フェニレンジイソシアネート、2,5−ジクロロ−p−フェニレンジイソシアネート、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジイソシアネート、2,3,5−トリクロロ−p−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラクロロ−p−フェニレンジイソシアネート、2−メチル−p−フェニレンジイソシアネート、2−エチル−p−フェニレンジイソシアネート、2−ブチル−p−フェニレンジイソシアネート、2,3−ジメチル−p−フェニレンジイソシアネート、2,5−ジメチル−p−フェニレンジイソシアネート、2,6−ジメチル−p−フェニレンジイソシアネート、2−メトキシ−p−フェニレンジイソシアネート、2−エトキシ−p−フェニレンジイソシアネート、2−ブトキシ−p−フェニレンジイソシアネート、2,3−ジメトキシ−p−フェニレンジイソシアネート、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジイソシアネート、2,6−ジメトキシ−p−フェニレンジイソシアネート等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0041】
また、前記一般式(IV)で表される芳香族ジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネートおよびその誘導体、o−フェニレンジイソシアネートおよびその誘導体等を使用することもできる。
上記各芳香族ジイソシアネート化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(4)で表されるp−フェニレンジイソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
【0042】
【化21】
Figure 0003617844
【0043】
前記一般式(V)で表される芳香族ジイソシアネート化合物の具体例としては、たとえばビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジクロロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジクロロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジブロモビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジブロモビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0044】
上記各芳香族ジイソシアネート化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(5)で表される3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
【0045】
【化22】
Figure 0003617844
【0046】
前記一般式(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物の具体例としては、たとえばベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、ベンズアニリド−3,4′−ジイソシアネート、ベンズアニリド−3,3′−ジイソシアネート、2′−メチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3′−メチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3,2′−ジメチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′−エチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3′−エチルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′−メトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3′−メトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3,2′−ジメトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′−エトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3′−エトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′−クロロベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジクロロベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′−ブロモベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジブロモベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0047】
上記各芳香族ジイソシアネート化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(6)で表されるベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
【0048】
【化23】
Figure 0003617844
【0049】
前記▲2▼または▲3▼の組み合わせにおいて、一般式(IV)(V)または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物とともにジイソシアネート成分中に含まれ、▲1▼の組み合わせにおいて、ジイソシアネート成分として使用される他のジイソシアネートとしては、たとえばジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等、従来公知の種々のジイソシアネート化合物があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
【0050】
上記各ジイソシアネート化合物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートが、好適に使用される。
一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物、および一般式(IV)(V)または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物の合計の含有割合は、原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対し30〜70モル%に限定される。
【0051】
両化合物の合計の含有割合が30モル%未満では、絶縁被膜が損傷しやすいものとなってしまう。一方、両化合物の合計の含有割合が70モル%を超えた場合には、絶縁被膜が剛直で可撓性に劣り、割れたり剥離したりしやすいものとなってしまう
【0052】
芳香族ジアミン化合物および芳香族ジイソシアネート化合物それぞれの含有割合の上限はとくに限定されず、ジアミン成分の全量が芳香族ジアミン化合物であっても、またジイソシアネート成分の全量が芳香族ジイソシアネート化合物であってもよい。
ただし両者の合計の含有割合は、前記のように70モル%を超えないようにする必要があるので、ジアミン成分の全量が芳香族ジアミン化合物で、かつジイソシアネート成分の全量が芳香族ジイソシアネート化合物であってはならない。
【0053】
イミドジカルボン酸を経由する2段階の反応においては、ジアミン成分とジイソシアネート成分が略等モル量使用される。このため、たとえばジアミン成分の全量が芳香族ジアミン化合物である場合には、原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する芳香族ジアミン化合物の含有割合は約50モル%前後となるので、芳香族ジイソシアネート化合物の含有割合は約20モル%以下でなければならない。ジイソシアネート成分の全量が芳香族ジイソシアネート化合物である場合も同様であって、この場合には、原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する芳香族ジイソシアネート化合物の含有割合は約50モル%前後となるので、芳香族ジアミン化合物の含有割合は約20モル%以下でなければならない。
【0054】
芳香族ジアミン化合物および芳香族ジイソシアネート化合物それぞれの含有割合の下限もとくに限定されないが、前記のように、両化合物の合計の含有割合が30モル%を下回らないようにする必要があるので、たとえば上記両化合物のうちいずれか一方の含有割合が0モル%である場合(前記▲1▼▲2▼の組み合わせに相当する)には、他方の含有割合は30モル%以上である必要がある。また両化合物の含有割合がともに0モル%でない場合(前記▲3▼の組み合わせに相当)には、いずれか一方または両方が10モル%未満であってもよいが、両者の合計は30モル%以上でなければならない。
【0055】
上記ジアミン成分およびジイソシアネート成分と、2段階の反応によってポリアミドイミドを生成する酸成分としては、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸クロライド、または、トリメリット酸の誘導体のうちの三塩基酸等があげられる。
また酸成分中には、テトラカルボン酸無水物や二塩基酸、たとえば、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホテレフタル酸、ジクエン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸、4,5−フェナントレンジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、フタルジイミドジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、アジピン酸等を、一部添加することもできる。
【0056】
上記ジアミン成分、ジイソシアネート成分および酸成分から、本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料を製造するには、たとえば、略化学量論量のジアミン成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で反応させてイミドジカルボン酸を生成させ、これを、略化学量論量のジイソシアネート成分と共重合させる、従来のポリアミドイミド系塗料と同様の製造方法を採用することができる。
【0057】
より詳細には、ジアミン成分を、略2倍モル量の酸成分とともに、適当な有機溶媒中で0〜150℃の温度で1〜24時間反応させると、ジアミン成分と酸成分との反応生成物であるイミドジカルボン酸が、反応液中に生成する。つぎにこの反応液に、略等モル量のジイソシアネート成分を添加して、0〜150℃の温度で1〜24時間反応させると、ポリアミドイミドが有機溶媒中に溶解または分散したポリアミドイミド系塗料が得られる。この場合には、原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、芳香族ジアミン化合物および芳香族ジイソシアネート化合物の合計の含有割合が前記範囲内になるように、両化合物の配合割合を調整すればよい。
【0058】
また、ポリアミドイミド系塗料としては、一般式(I)(II)または(III)で表される芳香族ジアミン化合物および/または一般式(IV)(V)または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物を、上記範囲を超えて含有するポリアミドイミド系塗料と、両化合物を含有しないか、または上記範囲未満のごく少量含有するポリアミドイミド系塗料とを配合したものも使用可能である。
【0059】
さらに、ジアミン成分中に芳香族ジアミン化合物を含有するが、ジイソシアネート成分中に芳香族ジイソシアネートを含有しないポリアミドイミド系塗料と、逆にジイソシアネート成分中に芳香族ジイソシアネートを含有するが、ジアミン成分中に芳香族ジアミン化合物を含有しないポリアミドイミド系塗料とを配合したものも、ポリアミドイミド系塗料として使用することができる。
【0060】
これらの場合には、原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、芳香族ジアミン化合物および芳香族ジイソシアネート化合物の合計の含有割合が前記範囲内になるように、両塗料の配合割合を調整すればよい。なお、本発明に使用されるポリアミドイミド系塗料には、さらに必要に応じて、顔料、染料、無機または有機のフィラー、潤滑剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0061】
本発明の絶縁電線は、上記ポリアミドイミド系塗料を電線の表面に塗布し、焼付けて絶縁被膜を形成することで製造される。
絶縁被膜の膜厚については本発明ではとくに限定されず、電線のサイズ等に応じて、従来と同程度の膜厚に形成することができる。
絶縁被膜の下層には、当該絶縁被膜および電線との密着性のよい材料からなる下地層を設けることもできる。
【0062】
下地層としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルイミド系、ポリエステルアミドイミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系等、従来公知の種々の絶縁塗料の塗布、焼付けにより形成される絶縁膜があげられる。中でも、電線や絶縁被膜との密着性、或いは、被膜の機械的強度等の観点から、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとトリメリット酸無水物とを含むポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形成される下地層が好ましい。
【0063】
下地層の膜厚についても本発明ではとくに限定されないが、被膜の機械的強度等を考慮すれば、絶縁被膜と下地層との膜厚の比が1/10〜10/1の範囲内であることが好ましい。
絶縁被膜の上層には、絶縁被膜の表面に潤滑性を付与すべく、表面潤滑層を設けてもよい。
【0064】
表面潤滑層としては、流動パラフィン、固形パラフィンといったパラフィン類の塗膜も使用できるが、耐久性等を考慮すると、各種ワックス、ポリエチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の潤滑剤をバインダー樹脂で結着した表面潤滑層がより好ましい。
【0065】
【実施例】
以下に、本発明の絶縁電線を、実施例並びに比較例に基づいて説明する。
比較例1
温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、撹拌器、窒素吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、0.5モルのトリメリット酸クロライド(以下「TMC」という)と、0.1モルのp−フェニレンジアミン(以下「p−PDA」という)と、0.4モルの4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(以下「DDE」という)とを投入した。p−PDAの全ジアミン中に占める割合は20モル%であった。
【0066】
つぎに、上記フラスコ中に、固形分濃度が25%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを入れ、撹拌器で撹拌しつつ80℃で2時間、さらに140℃で2時間加熱し、その後放冷した。
つぎにこの反応液を多量の水中に投入し、ポリアミドイミドを析出させるとともに洗浄して副生成物である塩酸を除去した後、100℃で3時間乾燥させた。そして、乾燥後のポリアミドイミドを再び、固形分濃度が25%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解して、ポリアミドイミド系塗料を得た。
【0067】
このポリアミドイミド系塗料を、直径1.0mmの銅線表面に、常法によって塗布、焼付けして、膜厚35μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を作製した。
実施例1
ポリアミドイミド系塗料作製時のp−PDAおよびDDEの仕込み量を、p−PDA=0.25モル、DDE=0.25モル、p−PDAの全ジアミン中に占める割合を50モル%としたこと以外は、上記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
【0068】
実施例2
ポリアミドイミド系塗料作製時のp−PDAおよびDDEの仕込み量を、p−PDA=0.35モル、DDE=0.15モル、p−PDAの全ジアミン中に占める割合を70モル%としたこと以外は、上記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
【0069】
比較例2
ポリアミドイミド系塗料作製時にp−PDAを仕込まず、DDEを0.5モル仕込んだこと以外は、上記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
比較例3
ポリアミドイミド系塗料作製時にDDEを仕込まず、p−PDAを0.5モル仕込んだこと以外は、上記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
【0070】
実施例3
直径1.0mmの銅線表面に、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとTMAとを含む市販のポリアミドイミド系塗料(日立化成社製の品番HI−400)を常法によって塗布、焼付けして、膜厚8μmの下地層を形成した。
つぎにこの下地層上に、実施例1で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶縁電線を作製した。
実施例4
比較例2で作製した、ジアミン成分としてDDEのみを含むポリアミドイミド系塗料と、比較例3で作製した、ジアミン成分としてp−PDAのみを含むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階でのp−PDAとDDEとのモル比がp−PDA/DDE=50/50となるように配合し、十分に撹拌混合してポリアミドイミド系塗料を作製した。そして、このポリアミドイミド系塗料を使用して、上記実施例1と同様にして絶縁電線を作製した。
【0071】
実施例5
実施例1で作製した絶縁電線の絶縁被膜上に、焼付型水溶性潤滑塗料(東芝ケミカル社製の品番TEC−9601)を常法によって塗布、焼付けして表面潤滑層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして絶縁電線を作製した。
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、以下の各試験を行った。
【0072】
弾性率測定
実施例、比較例の絶縁電線から銅線をエッチング除去し、残った絶縁被膜(長さ6cm)を、引張試験機を用いて、チャック間隔3cm、引張速度1mm/分の条件で引張試験し、得られたS−Sカーブがら弾性率(kg/mm)を求めた。
可撓性試験
実施例、比較例の絶縁電線に、直径1mmのものから1mmずつ段階的に直径が大きくなる複数の丸棒を順次あてがって、電線を丸棒の外形に対応させて曲げた際の、絶縁被膜の割れや剥離を観察し、絶縁被膜に異状が見られなかった最小の丸棒の直径d(mm)を記録した。
【0073】
急伸切断試験
実施例、比較例の絶縁電線を両端から急速に引っ張り、急伸させて切断した後、切断部分における、被膜の銅線からの浮き量(mm)を測定した。
ピアノ線損傷荷重測定
実施例、比較例の絶縁電線に直交させてピアノ線を重ね合わせ、ピアノ線に種々の重さの荷重をかけた状態でピアノ線を引抜き、絶縁被膜が損傷する荷重を記録した。
【0074】
以上の結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003617844
【0076】
上記表1の結果より、ジアミン成分としてp−PDAを含有しない比較例2の絶縁電線、およびジアミン成分として20%しかp−PDAを含有しない比較例1の絶縁電線では、絶縁被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重測定の結果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。一方、ジアミン成分が100%p−PDAである比較例3の絶縁電線は、焼付けの段階で被膜が電線から剥落してしまい、絶縁被膜を形成することができなかった。
【0077】
これに対し実施例1、2の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。また、上記両実施例の結果より、p−PDAの割合が高くなる程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁被膜が損傷し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性は、p−PDAの割合が低い程好ましいことが判った。
【0078】
またp−PDAの割合が同じ実施例1実施例3の結果を比較すると、実施例3は、実施例1に比べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいことから、下地層を形成することで、他の特性をそのまま維持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判った。
同様にp−PDAの割合が同じ実施例1実施例4の結果を比較すると、両者はほぼ同じ特性を示し、このことから、ポリアミドイミド系塗料を、p−PDAを含むものと含まないものの混合により製造しても、共重合により製造された塗料とほぼ同じ結果が得られることが判った。
【0079】
さらにp−PDAの割合が同じ実施例1実施例5の結果を比較すると、絶縁被膜上に表面潤滑層を形成することにより、他の特性はそのまま維持しつつ、絶縁被膜をさらに損傷し難くできることが判った。
比較例4
p−PDAに代えて、0.1モルの3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル(以下「DBRB」という)を使用したこと以外は、前記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
【0080】
実施例6
ポリアミドイミド系塗料作製時のDBRBおよびDDEの仕込み量を、DBRB=0.25モル、DDE=0.25モル、DBRBの全ジアミン中に占める割合を50モル%としたこと以外は、上記比較例4と同様にして絶縁電線を作製した。
【0081】
実施例7
ポリアミドイミド系塗料作製時のDBRBおよびDDEの仕込み量を、DBRB=0.35モル、DDE=0.15モル、DBRBの全ジアミン中に占める割合を70モル%としたこと以外は、上記比較例4と同様にして絶縁電線を作製した。
【0082】
比較例5
ポリアミドイミド系塗料作製時にDDEを仕込まず、DBRBを0.5モル仕込んだこと以外は、上記比較例4と同様にして絶縁電線を作製した。
実施例8
直径1.0mmの銅線表面に、前記実施例3で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼付けして、膜厚8μmの下地層を形成した。
【0083】
つぎにこの下地層上に、実施例6で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶縁電線を作製した。
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結果を、ジアミン成分としてDBRBを配合しなかったものに相当する前記比較例2の結果と併せて表2に示す。
【0084】
【表2】
Figure 0003617844
【0085】
上記表2の結果より、ジアミン成分としてDBRBを含有しない比較例2の絶縁電線、およびジアミン成分として20%しかDBRBを含有しない比較例4の絶縁電線では、絶縁被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重測定の結果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。一方、ジアミン成分が100%DBRBである比較例5の絶縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
これに対し実施例6、7の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。また、上記両実施例の結果より、DBRBの割合が高くなる程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁被膜が損傷し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性は、DBRBの割合が低い程好ましいことが判った。
【0086】
またDBRBの割合が同じ実施例6実施例8の結果を比較すると、実施例8は、実施例6に比べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいことから、下地層を形成することで、他の特性をそのまま維持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判った。
比較例6
p−PDAに代えて、0.1モルの4,4′−ジアミノベンズアニリド(以下「DABAN」という)を使用したこと以外は、前記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
【0087】
実施例9
ポリアミドイミド系塗料作製時のDABANおよびDDEの仕込み量を、DABAN=0.25モル、DDE=0.25モル、DABANの全ジアミン中に占める割合を50モル%としたこと以外は、上記比較例6と同様にして絶縁電線を作製した。
【0088】
実施例10
ポリアミドイミド系塗料作製時のDABANおよびDDEの仕込み量を、DABAN=0.35モル、DDE=0.15モル、DABANの全ジアミン中に占める割合を70モル%としたこと以外は、上記比較例6と同様にして絶縁電線を作製した。
【0089】
比較例7
ポリアミドイミド系塗料作製時にDDEを仕込まず、DABANを0.5モル仕込んだこと以外は、上記比較例6と同様にして絶縁電線を作製した。
実施例11
直径1.0mmの銅線表面に、前記実施例3で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼付けして、膜厚8μmの下地層を形成した。
【0090】
つぎにこの下地層上に、実施例9で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶縁電線を作製した。
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結果を、ジアミン成分としてDABANを配合しなかったものに相当する前記比較例2の結果と併せて表3に示す。
【0091】
【表3】
Figure 0003617844
【0092】
上記表3の結果より、ジアミン成分としてDABANを含有しない比較例2の絶縁電線、およびジアミン成分として20%しかDABANを含有しない比較例6の絶縁電線では、絶縁被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重測定の結果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。一方、ジアミン成分が100%DABANである比較例7の絶縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
これに対し実施例9、10の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。また、上記両実施例の結果より、DABANの割合が高くなる程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁被膜が損傷し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性は、DABANの割合が低い程好ましいことが判った。
【0093】
またDABANの割合が同じ実施例9実施例11の結果を比較すると、実施例11は実施例9に比べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいことから、下地層を形成することで、他の特性をそのまま維持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判った。
実施例12
温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、撹拌器、窒素吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、0.5モルのトリメリット酸無水物(以下「TMA」という)と、0.25モルのp−PDAとを投入した。
【0094】
つぎに、上記フラスコ中にN−メチル−2−ピロリドンを入れ、撹拌器で撹拌しつつ80℃で2時間加熱して、イミドジカルボン酸を生成させた。
つぎに上記反応液中に、0.25モルのジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(以下「MDI」という)を添加し、撹拌器で撹拌しつつ80℃で2時間、140℃で2時間、さらに180℃で2時間加熱し、その後放冷して、固形分濃度25%のポリアミドイミド系塗料を得た。
【0095】
そして、このポリアミドイミド系塗料を使用して、前記比較例1と同様にして絶縁電線を作製した。
なお原料段階における、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAの割合は50モル%であった。
比較例8
ポリアミドイミド系塗料作製時のp−PDAの仕込み量を0.1モルにするとともに0.15モルのDDEを添加し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAの割合を20モル%としたこと以外は、上記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した。
【0096】
実施例13
ポリアミドイミド系塗料作製時のp−PDA、DDEおよびMDIの仕込み量を、p−PDA=0.15モル、DDE=0.1モル、MDI=0.15モルにするとともに0.1モルのp−フェニレンジイソシアネート(以下「PPDI」という)を添加し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAおよびPPDIの合計の割合を50モル%としたこと以外は、上記比較例8と同様にして絶縁電線を作製した。
【0097】
実施例14
ポリアミドイミド系塗料作製時にp−PDAとMDIを仕込まず、DDEおよびPPDIの仕込み量を、DDE=0.25モル、PPDI=0.25モル、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するPPDIの割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例13と同様にして絶縁電線を作製した。
【0098】
比較例9
ポリアミドイミド系塗料作製時にp−PDAを仕込まず、DDEを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した。
比較例10
ポリアミドイミド系塗料作製時にMDIを仕込まず、PPDIを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した。
【0099】
実施例15
直径1.0mmの銅線表面に、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとTMAとを含む市販のポリアミドイミド系塗料(日立化成社製の品番HI−400)を常法によって塗布、焼付けして、膜厚8μmの下地層を形成した。
つぎにこの下地層上に、実施例13で使用したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶縁電線を作製した。
【0100】
実施例16
比較例9で作製した、ジアミン成分としてDDEのみを含み、ジイソシアネート成分としてMDIのみを含むポリアミドイミド系塗料と、比較例10で作製した、ジアミン成分としてp−PDAのみを含み、ジイソシアネート成分としてPPDIのみを含むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階での、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAおよびPPDIの合計の割合が50モル%となるように配合し、十分に撹拌混合してポリアミドイミド系塗料を作製した。そして、このポリアミドイミド系塗料を使用して、上記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した。
【0101】
実施例17
実施例12で作製した、ジアミン成分としてp−PDAのみを含むポリアミドイミド系塗料と、実施例14で作製した、ジイソシアネート成分としてPPDIのみを含むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階でのp−PDAとPPDIとのモル比がp−PDA/PPDI=30/20、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAおよびPPDIの合計の割合が50モル%となるように配合し、十分に撹拌混合してポリアミドイミド系塗料を作製した。そして、このポリアミドイミド系塗料を使用して、上記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した。
【0102】
実施例18
実施例13で作製した絶縁電線の絶縁被膜上に、焼付型水溶性潤滑塗料(東芝ケミカル社製の品番TEC−9601)を常法によって塗布、焼付けして表面潤滑層を形成したこと以外は、上記実施例13と同様にして絶縁電線を作製した。上記各実施例、比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
Figure 0003617844
【0104】
上記表4の結果より、ジアミン成分としてp−PDAを含有せず、かつジイソシアネート成分としてPPDIを含有しない比較例9の絶縁電線、およびp−PDAとPPDIの合計の割合が20モル%である比較例8の絶縁電線では、絶縁被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重測定の結果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。一方、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAおよびPPDIの合計の割合が100モル%である比較例10の絶縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
【0105】
これに対し実施例12〜14の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。
た実施例13実施例15の結果を比較すると、実施例15は、実施例13に比べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいことから、下地層を形成することで、他の特性をそのまま維持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判った。
【0106】
同様に実施例13実施例16の結果を比較すると、これらはほぼ同じ特性を示し、このことから、ポリアミドイミド系塗料を混合により製造しても、共重合により製造された塗料とほぼ同じ結果が得られることが判った。
さらに実施例13実施例18の結果を比較すると、絶縁被膜上に表面潤滑層を形成することにより、他の特性はそのまま維持しつつ、絶縁被膜をさらに損傷し難くできることが判った。
【0107】
実施例19
p−PDAに代えて、0.25モルのDBRBを使用したこと以外は、前記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した
【0108】
実施例20
ポリアミドイミド系塗料作製時のDBRBの仕込み量を0.15モル、MDIの仕込み量を0.15モルにするとともに、0.1モルのDDEと0.1モルのPPDIを添加し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するDBRBおよびPPDIの合計の割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例19と同様にして絶縁電線を作製した。
【0109】
実施例21
PPDIに代えて、0.1モルの3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート(以下「TODI」という)を使用したこと以外は、上記実施例20と同様にして絶縁電線を作製した。
実施例22
ポリアミドイミド系塗料作製時にDBRBとMDIを仕込まず、DDEおよびTODIの仕込み量を、DDE=0.25モル、TODI=0.25モル、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するTODIの割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例21と同様にして絶縁電線を作製した。
【0110】
比較例11
ポリアミドイミド系塗料作製時にMDIを仕込まず、TODIを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例19と同様にして絶縁電線を作製した。
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結果を、ジアミン成分としてDBRBを配合せず、かつジイソシアネート成分としてPPDIおよびTODIを配合しなかったものに相当する前記比較例9の結果と併せて表5に示す。
【0111】
【表5】
Figure 0003617844
【0112】
上記表5の結果より、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するDBRBおよびTODIの合計の割合が100モル%である比較例11の絶縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
これに対し実施例19〜22の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。
【0113】
実施例23
p−PDAに代えて、0.25モルのDABANを使用したこと以外は、前記実施例12と同様にして絶縁電線を作製した
【0114】
実施例24
ポリアミドイミド系塗料作製時のDABANの仕込み量を0.15モル、MDIの仕込み量を0.15モルにするとともに、0.1モルのDDEと0.1モルのPPDIを添加し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するDABANおよびPPDIの合計の割合を50モル%としたこと以外は、上記 施例23と同様にして絶縁電線を作製した。
【0115】
実施例25
PPDIに代えて、0.1モルのベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート(以下「BADI」という)を使用したこと以外は、上記実施例24と同様にして絶縁電線を作製した。
実施例26
ポリアミドイミド系塗料作製時にDABANとMDIを仕込まず、DDEおよびBADIの仕込み量を、DDE=0.25モル、BADI=0.25モル、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するBADIの割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例25と同様にして絶縁電線を作製した。
【0116】
比較例12
ポリアミドイミド系塗料作製時にMDIを仕込まず、BADIを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例23と同様にして絶縁電線を作製した。
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結果を、ジアミン成分としてDABANを配合せず、かつジイソシアネート成分としてPPDIおよびBADIを配合しなかったものに相当する前記比較例9の結果と併せて表6に示す。
【0117】
【表6】
Figure 0003617844
【0118】
上記表6の結果より、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対するDABANおよびBADIの合計の割合が100モル%である比較例12の絶縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
これに対し実施例23〜26の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。
【0119】
【発明の効果】
本発明の絶縁電線によれば、ポリイミドの構造中にベンゼン、ビフェニルまたはベンズアニリドの構造を導入して、絶縁被膜の弾性率を向上させることで、可撓性にすぐれ、しかも、損傷し難い絶縁被膜を形成することができる。したがって、本発明の絶縁電線は耐加工性にすぐれており、たとえばモータの捲線に使用する場合には、コアへの捲線量を従来より増大させても、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生じるおそれがなく、より小型、軽量で性能の良いモータの要求に対応することができる。

Claims (2)

  1. 少なくとも酸クロライドを含む酸成分と、ジアミン成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、原料としてのジアミン成分が、下記一般式(I):
    Figure 0003617844
    [上記式中R1は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。nは1〜4の数を示す。]、下記一般式(II):
    Figure 0003617844
    [上記式中R2,R3は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。p,qは同一または異なって1〜4の数を示す。]、および下記一般式(III):
    Figure 0003617844
    [上記式中R4,R5は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。r,sは同一または異なって1〜4の数を示す。]で表される芳香族ジアミン化合物のうちの少なくとも1種を含有し、かつ原料としてのジアミン成分における、これら芳香族ジアミン化合物の合計の含有割合が30〜70モル%であることを特徴とする絶縁電線。
  2. ジアミン成分と、ジアミン成分に対して略2倍モル量の酸成分との反応生成物であるイミドジカルボン酸と、ジイソシアネート成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、原料としてのジアミン成分、ジイソシアネート成分が、下記一般式(I):
    Figure 0003617844
    [上記式中R1は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。nは1〜4の数を示す。]、下記一般式(II):
    Figure 0003617844
    [上記式中R2,R3は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。p,qは同一または異なって1〜4の数を示す。]、および下記一般式(III):
    Figure 0003617844
    [上記式中R4,R5は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。r,sは同一または異なって1〜4の数を示す。]で表される芳香族ジアミン化合物、並びに下記一般式(IV):
    Figure 0003617844
    [上記式中R6は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。tは1〜4の数を示す。]、下記一般式(V):
    Figure 0003617844
    [上記式中R7,R8は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。u,vは同一または異なって1〜4の数を示す。]、および下記一般式(VI):
    Figure 0003617844
    [上記式中R9,R10は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。w,xは同一または異なって1〜4の数を示す。]で表される芳香族ジイソシアネート化合物のうちの少なくとも1種を含有し、かつ原料としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、これら芳香族ジアミン化合物、芳香族ジイソシアネート化合物の合計の含有割合が30〜70モル%であることを特徴とする絶縁電線。
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