JPH0636617A - 絶縁電線 - Google Patents
絶縁電線Info
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- JPH0636617A JPH0636617A JP19236092A JP19236092A JPH0636617A JP H0636617 A JPH0636617 A JP H0636617A JP 19236092 A JP19236092 A JP 19236092A JP 19236092 A JP19236092 A JP 19236092A JP H0636617 A JPH0636617 A JP H0636617A
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Abstract
有し、耐加工性に優れた絶縁電線を提供する。 【構成】 下記一般式(I)(II) または(III) で表される
芳香族ジアミン化合物を含むジアミン成分と、少なくと
も酸クロライドを含む酸成分とからなるポリアミドイミ
ド系塗料、または、上記ジアミン成分と、下記一般式(I
V)(V) または(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化
合物を含むジイソシアネート成分と、酸成分とからなる
ポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより、電線の
表面に絶縁被膜を形成する。 【化1】
Description
に捲き付けられる、耐加工性にすぐれた絶縁電線に関す
るものである。
い、モータについても、より小型、軽量で、しかも高性
能のものが要求されるようになってきた。この要求に答
えるには、モータのコアにより多くの絶縁電線を捲き付
ける必要があるが、コアのスロット内に絶縁電線を強引
に詰め込むことになり、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生
じる危険性がある。そして、絶縁被膜に損傷が生じる
と、レアー不良やアース不良等が発生し、モータの電気
特性に不具合を生じるという問題がある。
料の塗布、焼付けにより形成された、機械的強度にすぐ
れた絶縁被膜を有する絶縁電線が、上記用途に使用され
ている。なお、ポリアミドイミドとしては、ジフェニル
メタン−4,4′−ジイソシアネートとトリメリット酸
無水物との反応生成物が、一般的に使用される(たとえ
ば特公昭44−19274号公報、特公昭45−276
11号公報等参照)。
に小型、軽量で性能の良いモータが要求され、それに対
応すべく、絶縁電線の捲線量がさらに増大する傾向にあ
り、ポリアミドイミド系の絶縁被膜でも損傷を生じるこ
とが多くなってきた。そこで、絶縁被膜の損傷を少しで
も減少させるために、たとえば有機または無機の潤滑剤
等を塗料に配合して、絶縁被膜の表面に潤滑性を付与す
ることが検討されているが、この方法では、絶縁被膜の
損傷を根本的に解決することはできない。
損傷の発生を減少できるが、単に機械的強度を向上させ
たのでは、被膜が剛直で可撓性に劣るものとなり、電線
を曲げた際に割れたり剥離したりしやすくなって、絶縁
電線の加工性が悪化するという問題がある。本発明は、
以上の事情に鑑みてなされたものであって、可撓性にす
ぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜を有し、耐加工性にす
ぐれた絶縁電線を提供することを目的としている。
決するため、本発明者らは、ポリアミドイミドの構造に
ついて検討を行い、その結果、ポリアミドイミドの構造
中に、ベンゼン、ビフェニルまたはベンズアニリドの構
造を導入すると、絶縁被膜の弾性率が向上して、可撓性
にすぐれ、しかも、損傷し難い絶縁被膜を形成できるこ
とを見出した。そして、上記の構造をどの程度の割合で
構造中に導入すればよいかをさらに検討した結果、本発
明を完成するに至った。すなわち本発明の絶縁電線は、
少なくとも酸クロライドを含む酸成分と、ジアミン成分
とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付け
により形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、
原料としてのジアミン成分が、下記一般式(I) :
基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。nは1〜
4の数を示す。]、下記一般式(II):
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示す。p,qは同一または異なって1〜4の
数を示す。]、および下記一般式(III) :
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示す。r,sは同一または異なって1〜4の
数を示す。]で表される芳香族ジアミン化合物のうちの
少なくとも1種を含有し、かつ原料としてのジアミン成
分における、これら芳香族ジアミン化合物の合計の含有
割合が10〜80モル%であることを特徴とする。
分と酸成分との反応生成物であるイミドジカルボン酸
と、ジイソシアネート成分とを原料とするポリアミドイ
ミド系塗料の塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を
有する絶縁電線において、原料としてのジアミン成分、
ジイソシアネート成分が、上記一般式(I)(II) および(I
II) で表される芳香族ジアミン化合物、並びに下記一般
式(IV):
基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。tは1〜
4の数を示す。]、下記一般式(V) :
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示す。u,vは同一または異なって1〜4の
数を示す。]、および下記一般式(VI):
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示す。w,xは同一または異なって1〜4の
数を示す。]で表される芳香族ジイソシアネート化合物
のうちの少なくとも1種を含有し、かつ原料としてのジ
アミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対す
る、これら芳香族ジアミン化合物、芳香族ジイソシアネ
ート化合物の合計の含有割合が10〜80モル%である
ことを特徴とする。
イドを含む酸成分とジアミン成分とから1段階の反応に
よりポリアミドイミドを製造する場合に、原料としての
ジアミン成分に含有される、前記一般式(I) で表される
芳香族ジアミン化合物としては、下記一般式(Ia):
は1〜4である。]で表されるp−フェニレンジアミン
誘導体が好適に使用される。p−フェニレンジアミン誘
導体の具体例としては、たとえばp−フェニレンジアミ
ン、2−メチル−p−フェニレンジアミン、2−エチル
−p−フェニレンジアミン、2−メトキシ−p−フェニ
レンジアミン、2−エトキシ−p−フェニレンジアミ
ン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2−ブロモ
−p−フェニレンジアミン等があげられる。これらは単
独で、あるいは2種以上混合して使用される。
アミン化合物としては、m−フェニレンジアミンおよび
その誘導体、o−フェニレンジアミンおよびその誘導体
等を使用することもできる。上記各芳香族ジアミン化合
物の中でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式
(1) で表されるp−フェニレンジアミンが、本発明に最
も好適に使用される。
化合物の具体例としては、たとえばベンジジン、3−メ
チル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメ
チル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,3′−ジメ
チル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメ
チル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメ
チル−3,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメ
チル−3,3′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジエ
チル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメ
トキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジ
エトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−
ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−
ジブロモ−4,4′−ジアミノビフェニル等があげられ
る。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用さ
れる。
手のしやすさやコスト等の点で、下記式(2) で表される
3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル
が、本発明に最も好適に使用される。
ン化合物の具体例としては、たとえば4,4′−ジアミ
ノベンズアニリド、3,4′−ジアミノベンズアニリ
ド、3,3′−ジアミノベンズアニリド、2′−メチル
−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−メチル−
4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,2′−ジメチ
ル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,2′−ジ
メチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′
−ジメチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′
−エチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−
エチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2′−メ
トキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、3′−メ
トキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,2′
−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニリド、
3,2′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベンズアニ
リド、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベン
ズアニリド、2′−エトキシ−4,4′−ジアミノベン
ズアニリド、3′−エトキシ−4,4′−ジアミノベン
ズアニリド、2′−クロロ−4,4′−ジアミノベンズ
アニリド、2,2′−ジクロロ−4,4′−ジアミノベ
ンズアニリド、2′−ブロモ−4,4′−ジアミノベン
ズアニリド、2,2′−ジブロモ−4,4′−ジアミノ
ベンズアニリド等があげられる。これらは単独で、ある
いは2種以上混合して使用される。
手のしやすさやコスト等の点で、下記式(3) で表される
4,4′−ジアミノベンズアニリドが、本発明に最も好
適に使用される。
香族ジアミン化合物とともにジアミン成分中に含まれる
他のジアミンとしては、たとえば4,4′−ジアミノジ
フェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエー
テル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,
4′−ジアミノジフエニルメタン、4,4′−ジアミノ
ジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルス
ルフィド、4,4′−ジアミノジベンゾフェノン、4,
4′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミ
ノジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4′−〔ビ
ス(4−アミノフェノキシ)〕ビフェニル、4,4′−
〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルエーテ
ル、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフ
ェニルスルホン、4,4′−〔ビス(4−アミノフェノ
キシ)〕ジフェニルメタン、4,4′−〔ビス(4−ア
ミノフェノキシ)〕ジフェニルプロパン、4,4′−
〔ビス(4−アミノフェノキシ)〕ジフェニルヘキサフ
ルオロプロパン等、従来公知の種々のジアミン化合物が
あげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合し
て使用される。
の高強度化の点で、4,4′−ジアミノジフェニルエー
テルが、好適に使用される。一般式(I)(II) または(II
I) で表される芳香族ジアミン化合物の、ジアミン成分
中における割合は10〜80モル%に限定される。詳細
に説明すると、上記各芳香族ジアミン化合物のうちのい
ずれか1種を単独でジアミン成分に含有させる場合に
は、そのジアミン成分中に占める割合が10〜80モル
%に限定される。また、上記各芳香族ジアミン化合物の
2種以上を併用する場合には、その合計の割合が10〜
80モル%に限定される。
未満では、当該芳香族ジアミン化合物の添加効果が得ら
れず、絶縁被膜が損傷しやすいものとなってしまう。一
方、芳香族ジアミン化合物の割合が80モル%を超える
と、絶縁被膜が剛直で可撓性に劣り、割れたり剥離した
りしやすいものとなってしまう。なお芳香族ジアミン化
合物の、ジアミン成分中に占める割合は、上記範囲の中
でもとくに、30〜70モル%の範囲内であるのが好ま
しい。
てポリアミドイミドを生成する酸クロライドの具体例と
しては、トリメリット酸クロライドまたはその誘導体が
あげられる。また、テレフタル酸クロライドやイソフタ
ル酸クロライドを添加することもできる。上記酸クロラ
イドを含む酸成分とジアミン成分とから、本発明に使用
されるポリアミドイミド系塗料を製造するには、たとえ
ば、略化学量論量のジアミン成分と酸成分とを適当な有
機溶媒中で共重合させる、従来のポリアミドイミド系塗
料と同様の製造方法を採用することができる。
I) で表される芳香族ジアミン化合物を前記の割合で配
合したジアミン成分を、略等モル量の酸成分とともに、
適当な有機溶媒中で0〜200℃の温度で1〜24時間
反応させると、ジアミン成分と酸成分との反応生成物で
あるポリアミドイミドが、反応液中に生成する。この反
応液には、副生成物である塩酸も含まれているので、ポ
リアミドイミドを、ろ過、沈澱等の方法で反応液中から
取り出すか、または反応液ごと、多量の水で洗浄した
後、乾燥させる。そして、乾燥後のポリアミドイミドを
再び有機溶媒に溶解すると、ポリアミドイミド系塗料が
得られる。
ド系塗料としては、一般式(I)(II)または(III) で表さ
れる芳香族ジアミン化合物を、上記範囲を超えて含有す
るジアミン成分と、酸成分とを原料として製造したポリ
アミドイミド系塗料と、芳香族ジアミン化合物を含有し
ないか、または上記範囲未満のごく少量含有するジアミ
ン成分と酸成分とを原料として製造したポリアミドイミ
ド系塗料とを配合したものも使用可能である。この場合
には、原料としての全ジアミン成分中の芳香族ジアミン
化合物の割合が前記範囲内になるように、両塗料の配合
割合を調整すればよい。
分とを反応させてイミドジカルボン酸を得、このイミド
ジカルボン酸とジイソシアネート成分とを反応させてポ
リアミドイミドを製造する2段階の反応の場合には、前
記一般式(I)(II) または(III) で表される芳香族ジアミ
ン化合物、並びに一般式(IV)(V) または(VI)で表される
芳香族ジイソシアネート化合物のいずれかが使用され
る。これら化合物の組み合わせとしては、下記〜の
いずれかが採用される。 ジアミン成分中に、一般式(I)(II) または(III) で
表される芳香族ジアミン化合物のうちの1種または2種
以上を含有させる。ジイソシアネート成分中には、一般
式(IV)(V) または(VI)で表される芳香族ジイソシアネー
ト化合物を含有させない。 ジイソシアネート成分中に、一般式(IV)(V) または
(VI)で表される芳香族ジイソシアネート化合物のうちの
1種または2種以上を含有させる。ジアミン成分中に
は、一般式(I)(II) または(III) で表される芳香族ジア
ミン化合物を含有させない。 ジアミン成分中に、一般式(I)(II) または(III) で
表される芳香族ジアミン化合物のうちの1種または2種
以上を含有させるとともに、ジイソシアネート成分中
に、一般式(IV)(V) または(VI)で表される芳香族ジイソ
シアネート化合物のうちの1種または2種以上を含有さ
せる。
料としてのジイソシアネート成分に含有される、一般式
(IV)で表される芳香族ジイソシアネート化合物として
は、下記一般式(IVa) :
は1〜4である。]で表されるp−フェニレンジイソシ
アネート誘導体が好適に使用される。p−フェニレンジ
イソシアネート誘導体の具体例としては、たとえばp−
フェニレンジイソシアネート、2−フルオロ−p−フェ
ニレンジイソシアネート、2−クロロ−p−フェニレン
ジイソシアネート、2−ブロモ−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,3−ジクロロ−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,5−ジクロロ−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,3,5−トリクロロ−p−フェニレン
ジイソシアネート、2,3,5,6−テトラクロロ−p
−フェニレンジイソシアネート、2−メチル−p−フェ
ニレンジイソシアネート、2−エチル−p−フェニレン
ジイソシアネート、2−ブチル−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,3−ジメチル−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,5−ジメチル−p−フェニレンジイソ
シアネート、2,6−ジメチル−p−フェニレンジイソ
シアネート、2−メトキシ−p−フェニレンジイソシア
ネート、2−エトキシ−p−フェニレンジイソシアネー
ト、2−ブトキシ−p−フェニレンジイソシアネート、
2,3−ジメトキシ−p−フェニレンジイソシアネー
ト、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジイソシアネ
ート、2,6−ジメトキシ−p−フェニレンジイソシア
ネート等があげられる。これらは単独で、あるいは2種
以上混合して使用される。
イソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソ
シアネートおよびその誘導体、o−フェニレンジイソシ
アネートおよびその誘導体等を使用することもできる。
上記各芳香族ジイソシアネート化合物の中でも、入手の
しやすさやコスト等の点で、下記式(4) で表されるp−
フェニレンジイソシアネートが、本発明に最も好適に使
用される。
アネート化合物の具体例としては、たとえばビフェニル
−4,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3′
−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4′−ジイソシ
アネート、3,3′−ジクロロビフェニル−4,4′−
ジイソシアネート、2,2′−ジクロロビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジブロモビフ
ェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジブ
ロモビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,
3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネー
ト、2,2′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソ
シアネート、2,3′−ジメチルビフェニル−4,4′
−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジエチルビフ
ェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメ
トキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,
2′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネ
ート、2,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネート、3,3′−ジエトキシビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジエトキシビ
フェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,3′−ジ
エトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が
あげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合し
て使用される。
でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(5) で
表される3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
アネート化合物の具体例としては、たとえばベンズアニ
リド−4,4′−ジイソシアネート、ベンズアニリド−
3,4′−ジイソシアネート、ベンズアニリド−3,
3′−ジイソシアネート、2′−メチルベンズアニリド
−4,4′−ジイソシアネート、3′−メチルベンズア
ニリド−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメ
チルベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、
3,2′−ジメチルベンズアニリド−4,4′−ジイソ
シアネート、3,3′−ジメチルベンズアニリド−4,
4′−ジイソシアネート、2′−エチルベンズアニリド
−4,4′−ジイソシアネート、3′−エチルベンズア
ニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′−メトキシ
ベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、3′−
メトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネー
ト、2,2′−ジメトキシベンズアニリド−4,4′−
ジイソシアネート、3,2′−ジメトキシベンズアニリ
ド−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキ
シベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート、2′
−エトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネー
ト、3′−エトキシベンズアニリド−4,4′−ジイソ
シアネート、2′−クロロベンズアニリド−4,4′−
ジイソシアネート、2,2′−ジクロロベンズアニリド
−4,4′−ジイソシアネート、2′−ブロモベンズア
ニリド−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジブ
ロモベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート等が
あげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合し
て使用される。
でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(6) で
表されるベンズアニリド−4,4′−ジイソシアネート
が、本発明に最も好適に使用される。
般式(IV)(V) または(VI)で表される芳香族ジイソシアネ
ート化合物とともにジイソシアネート成分中に含まれ、
の組み合わせにおいて、ジイソシアネート成分として
使用される他のジイソシアネートとしては、たとえばジ
フェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェ
ニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニル
メタン−3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエー
テル−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−
4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−
4,4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイ
ソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、
ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、m−キシリレ
ンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート
等、従来公知の種々のジイソシアネート化合物があげら
れる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用
される。
入手のしやすさやコスト等の点で、ジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネートが、好適に使用される。一
般式(I)(II) または(III) で表される芳香族ジアミン化
合物、および一般式(IV)(V) または(VI)で表される芳香
族ジイソシアネート化合物の合計の含有割合は、原料と
してのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量
に対し10〜80モル%に限定される。
満では、絶縁被膜が損傷しやすいものとなってしまう。
一方、両化合物の合計の含有割合が80モル%を超えた
場合には、絶縁被膜が剛直で可撓性に劣り、割れたり剥
離したりしやすいものとなってしまう。なお芳香族ジア
ミン化合物、芳香族ジイソシアネート化合物の合計の含
有割合は、上記範囲の中でもとくに、30〜70モル%
の範囲内であるのが好ましい。
シアネート化合物それぞれの含有割合の上限はとくに限
定されず、ジアミン成分の全量が芳香族ジアミン化合物
であっても、またジイソシアネート成分の全量が芳香族
ジイソシアネート化合物であってもよい。ただし両者の
合計の含有割合は、前記のように80モル%を超えない
ようにする必要があるので、ジアミン成分の全量が芳香
族ジアミン化合物で、かつジイソシアネート成分の全量
が芳香族ジイソシアネート化合物であってはならない。
応においては、ジアミン成分とジイソシアネート成分が
略等モル量使用される。このため、たとえばジアミン成
分の全量が芳香族ジアミン化合物である場合には、原料
としてのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総
量に対する芳香族ジアミン化合物の含有割合は約50モ
ル%前後となるので、芳香族ジイソシアネート化合物の
含有割合は約30モル%以下でなければならない。ジイ
ソシアネート成分の全量が芳香族ジイソシアネート化合
物である場合も同様であって、この場合には、原料とし
てのジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に
対する芳香族ジイソシアネート化合物の含有割合は約5
0モル%前後となるので、芳香族ジアミン化合物の含有
割合は約30モル%以下でなければならない。
シアネート化合物それぞれの含有割合の下限もとくに限
定されないが、前記のように、両化合物の合計の含有割
合が10モル%を下回らないようにする必要があるの
で、たとえば上記両化合物のうちいずれか一方の含有割
合が0モル%である場合(前記の組み合わせに相当
する)には、他方の含有割合は10モル%以上である必
要がある。また両化合物の含有割合がともに0モル%で
ない場合(前記の組み合わせに相当)には、いずれか
一方または両方が10モル%未満であってもよいが、両
者の合計は10モル%以上でなければならない。
成分と、2段階の反応によってポリアミドイミドを生成
する酸成分としては、トリメリット酸、トリメリット酸
無水物、トリメリット酸クロライド、または、トリメリ
ット酸の誘導体のうちの三塩基酸等があげられる。また
酸成分中には、テトラカルボン酸無水物や二塩基酸、た
とえば、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二
無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホテレフタル
酸、ジクエン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸、
4,5−フェナントレンジカルボン酸、ベンゾフェノン
−4,4′−ジカルボン酸、フタルジイミドジカルボン
酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン
酸、アジピン酸等を、一部添加することもできる。
および酸成分から、本発明に使用されるポリアミドイミ
ド系塗料を製造するには、たとえば、略化学量論量のジ
アミン成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で反応させて
イミドジカルボン酸を生成させ、これを、略化学量論量
のジイソシアネート成分と共重合させる、従来のポリア
ミドイミド系塗料と同様の製造方法を採用することがで
きる。
ル量の酸成分とともに、適当な有機溶媒中で0〜150
℃の温度で1〜24時間反応させると、ジアミン成分と
酸成分との反応生成物であるイミドジカルボン酸が、反
応液中に生成する。つぎにこの反応液に、略等モル量の
ジイソシアネート成分を添加して、0〜150℃の温度
で1〜24時間反応させると、ポリアミドイミドが有機
溶媒中に溶解または分散したポリアミドイミド系塗料が
得られる。この場合には、原料としてのジアミン成分お
よびジイソシアネート成分の総量に対する、芳香族ジア
ミン化合物および芳香族ジイソシアネート化合物の合計
の含有割合が前記範囲内になるように、両化合物の配合
割合を調整すればよい。
一般式(I)(II) または(III) で表される芳香族ジアミン
化合物および/または一般式(IV)(V) または(VI)で表さ
れる芳香族ジイソシアネート化合物を、上記範囲を超え
て含有するポリアミドイミド系塗料と、両化合物を含有
しないか、または上記範囲未満のごく少量含有するポリ
アミドイミド系塗料とを配合したものも使用可能であ
る。
化合物を含有するが、ジイソシアネート成分中に芳香族
ジイソシアネートを含有しないポリアミドイミド系塗料
と、逆にジイソシアネート成分中に芳香族ジイソシアネ
ートを含有するが、ジアミン成分中に芳香族ジアミン化
合物を含有しないポリアミドイミド系塗料とを配合した
ものも、ポリアミドイミド系塗料として使用することが
できる。
成分およびジイソシアネート成分の総量に対する、芳香
族ジアミン化合物および芳香族ジイソシアネート化合物
の合計の含有割合が前記範囲内になるように、両塗料の
配合割合を調整すればよい。なお、本発明に使用される
ポリアミドイミド系塗料には、さらに必要に応じて、顔
料、染料、無機または有機のフィラー、潤滑剤等の各種
添加剤を添加してもよい。
ド系塗料を電線の表面に塗布し、焼付けて絶縁被膜を形
成することで製造される。絶縁被膜の膜厚については本
発明ではとくに限定されず、電線のサイズ等に応じて、
従来と同程度の膜厚に形成することができる。絶縁被膜
の下層には、当該絶縁被膜および電線との密着性のよい
材料からなる下地層を設けることもできる。
ステル系、ポリエステルイミド系、ポリエステルアミド
イミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系等、従来
公知の種々の絶縁塗料の塗布、焼付けにより形成される
絶縁膜があげられる。中でも、電線や絶縁被膜との密着
性、或いは、被膜の機械的強度等の観点から、ジフェニ
ルメタン−4,4′−ジイソシアネートとトリメリット
酸無水物とを含むポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付
けにより形成される下地層が好ましい。
限定されないが、被膜の機械的強度等を考慮すれば、絶
縁被膜と下地層との膜厚の比が1/10〜10/1の範
囲内であることが好ましい。絶縁被膜の上層には、絶縁
被膜の表面に潤滑性を付与すべく、表面潤滑層を設けて
もよい。
形パラフィンといったパラフィン類の塗膜も使用できる
が、耐久性等を考慮すると、各種ワックス、ポリエチレ
ン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の潤滑剤をバインダ
ー樹脂で結着した表面潤滑層がより好ましい。
比較例に基づいて説明する。実施例1 温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素
吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込
み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、0.5
モルのトリメリット酸クロライド(以下「TMC」とい
う)と、0.1モルのp−フェニレンジアミン(以下
「p−PDA」という)と、0.4モルの4,4′−ジ
アミノジフェニルエーテル(以下「DDE」という)と
を投入した。p−PDAの全ジアミン中に占める割合は
20モル%であった。
25%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを入
れ、攪拌器で攪拌しつつ80℃で2時間、さらに140
℃で2時間加熱し、その後放冷した。つぎにこの反応液
を多量の水中に投入し、ポリアミドイミドを析出させる
とともに洗浄して副生成物である塩酸を除去した後、1
00℃で3時間乾燥させた。そして、乾燥後のポリアミ
ドイミドを再び、固形分濃度が25%となるようにN−
メチル−2−ピロリドンに溶解して、ポリアミドイミド
系塗料を得た。
0mmの銅線表面に、常法によって塗布、焼付けして、膜
厚35μmの絶縁被膜を有する絶縁電線を作製した。実施例2 ポリアミドイミド系塗料作製時のp−PDAおよびDD
Eの仕込み量を、p−PDA=0.25モル、DDE=
0.25モル、p−PDAの全ジアミン中に占める割合
を50モル%としたこと以外は、上記実施例1と同様に
して絶縁電線を作製した。
Eの仕込み量を、p−PDA=0.35モル、DDE=
0.15モル、p−PDAの全ジアミン中に占める割合
を70モル%としたこと以外は、上記実施例1と同様に
して絶縁電線を作製した。
ず、DDEを0.5モル仕込んだこと以外は、上記実施
例1と同様にして絶縁電線を作製した。比較例2 ポリアミドイミド系塗料作製時にDDEを仕込まず、p
−PDAを0.5モル仕込んだこと以外は、上記実施例
1と同様にして絶縁電線を作製した。
4′−ジイソシアネートとTMAとを含む市販のポリア
ミドイミド系塗料(日立化成社製の品番HI−400)
を常法によって塗布、焼付けして、膜厚8μmの下地層
を形成した。つぎにこの下地層上に、実施例2で使用し
たのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗
布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶
縁電線を作製した。実施例5 比較例1で作製した、ジアミン成分としてDDEのみを
含むポリアミドイミド系塗料と、比較例2で作製した、
ジアミン成分としてp−PDAのみを含むポリアミドイ
ミド系塗料とを、原料段階でのp−PDAとDDEとの
モル比がp−PDA/DDE=50/50となるように
配合し、十分に攪拌混合してポリアミドイミド系塗料を
作製した。そして、このポリアミドイミド系塗料を使用
して、上記実施例2と同様にして絶縁電線を作製した。
溶性潤滑塗料(東芝ケミカル社製の品番TEC−960
1)を常法によって塗布、焼付けして表面潤滑層を形成
したこと以外は、上記実施例2と同様にして絶縁電線を
作製した。上記各実施例、比較例の絶縁電線について、
以下の各試験を行った。
し、残った絶縁被膜(長さ6cm)を、引張試験機を用い
て、チャック間隔3cm、引張速度1mm/分の条件で引張
試験し、得られたS−Sカーブがら弾性率(kg/mm2 )
を求めた。可撓性試験 実施例、比較例の絶縁電線に、直径1mmのものから1mm
ずつ段階的に直径が大きくなる複数の丸棒を順次あてが
って、電線を丸棒の外形に対応させて曲げた際の、絶縁
被膜の割れや剥離を観察し、絶縁被膜に異状が見られな
かった最小の丸棒の直径d(mm)を記録した。
急伸させて切断した後、切断部分における、被膜の銅線
からの浮き量(mm)を測定した。ピアノ線損傷荷重測定 実施例、比較例の絶縁電線に直交させてピアノ線を重ね
合わせ、ピアノ線に種々の重さの荷重をかけた状態でピ
アノ線を引抜き、絶縁被膜が損傷する荷重を記録した。
p−PDAを含有しない比較例1の絶縁電線では、絶縁
被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重測定の結
果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。一方、ジ
アミン成分が100%p−PDAである比較例2の絶縁
電線は、焼付けの段階で被膜が電線から剥落してしま
い、絶縁被膜を形成することができなかった。
も、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、
銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。ま
た、上記各実施例の結果より、p−PDAの割合が高く
なる程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁被膜が
損傷し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性は、p−
PDAの割合が低い程好ましいことが判った。
施例4の結果を比較すると、実施例4は、実施例2に比
べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいこと
から、下地層を形成することで、他の特性をそのまま維
持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判っ
た。同様にp−PDAの割合が同じ実施例2と実施例5
の結果を比較すると、両者はほぼ同じ特性を示し、この
ことから、ポリアミドイミド系塗料を、p−PDAを含
むものと含まないものの混合により製造しても、共重合
により製造された塗料とほぼ同じ結果が得られることが
判った。
実施例6の結果を比較すると、絶縁被膜上に表面潤滑層
を形成することにより、他の特性はそのまま維持しつ
つ、絶縁被膜をさらに損傷し難くできることが判った。実施例7 p−PDAに代えて、0.1モルの3,3′−ジメチル
−4,4′−ジアミノビフェニル(以下「DBRB」と
いう)を使用したこと以外は、前記実施例1と同様にし
て絶縁電線を作製した。
の仕込み量を、DBRB=0.25モル、DDE=0.
25モル、DBRBの全ジアミン中に占める割合を50
モル%としたこと以外は、上記実施例7と同様にして絶
縁電線を作製した。
の仕込み量を、DBRB=0.35モル、DDE=0.
15モル、DBRBの全ジアミン中に占める割合を70
モル%としたこと以外は、上記実施例7と同様にして絶
縁電線を作製した。
BRBを0.5モル仕込んだこと以外は、上記実施例7
と同様にして絶縁電線を作製した。実施例10 直径1.0mmの銅線表面に、前記実施例4で使用したの
と同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼
付けして、膜厚8μmの下地層を形成した。
たのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗
布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶
縁電線を作製した。上記各実施例、比較例の絶縁電線に
ついて、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験お
よびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結
果を、ジアミン成分としてDBRBを配合しなかったも
のに相当する前記比較例1の結果と併せて表2に示す。
0%DBRBである比較例3の絶縁電線は、可撓性試験
の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断
試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが
判った。これに対し実施例7〜9の絶縁電線は何れも、
損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるとともに、銅線
から剥離し難い絶縁被膜を有することが判った。また、
上記各実施例の結果より、DBRBの割合が高くなる
程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁被膜が損傷
し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性は、DBRB
の割合が低い程好ましいことが判った。
例10の結果を比較すると、実施例10は、実施例8に
比べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいこ
とから、下地層を形成することで、他の特性をそのまま
維持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判
った。実施例11 p−PDAに代えて、0.1モルの4,4′−ジアミノ
ベンズアニリド(以下「DABAN」という)を使用し
たこと以外は、前記実施例1と同様にして絶縁電線を作
製した。
Eの仕込み量を、DABAN=0.25モル、DDE=
0.25モル、DABANの全ジアミン中に占める割合
を50モル%としたこと以外は、上記実施例11と同様
にして絶縁電線を作製した。
Eの仕込み量を、DABAN=0.35モル、DDE=
0.15モル、DABANの全ジアミン中に占める割合
を70モル%としたこと以外は、上記実施例11と同様
にして絶縁電線を作製した。
ABANを0.5モル仕込んだこと以外は、上記実施例
11と同様にして絶縁電線を作製した。実施例14 直径1.0mmの銅線表面に、前記実施例4で使用したの
と同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗布、焼
付けして、膜厚8μmの下地層を形成した。
したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗
布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶
縁電線を作製した。上記各実施例、比較例の絶縁電線に
ついて、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験お
よびピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結
果を、ジアミン成分としてDABANを配合しなかった
ものに相当する前記比較例1の結果と併せて表3に示
す。
0%DABANである比較例4の絶縁電線は、可撓性試
験の結果より、絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切
断試験の結果より、絶縁被膜が銅線から剥離し易いこと
が判った。これに対し実施例11〜13の絶縁電線は何
れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるととも
に、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判っ
た。また、上記各実施例の結果より、DABANの割合
が高くなる程、絶縁被膜の弾性率が向上し、かつ、絶縁
被膜が損傷し難くなるが、絶縁被膜の可撓性や密着性
は、DABANの割合が低い程好ましいことが判った。
実施例14の結果を比較すると、実施例14は、実施例
12に比べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小
さいことから、下地層を形成することで、他の特性をそ
のまま維持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できるこ
とが判った。実施例15 温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素
吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、上記窒素吹き込
み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、0.5
モルのトリメリット酸無水物(以下「TMA」という)
と、0.25モルのp−PDAとを投入した。
−ピロリドンを入れ、攪拌器で攪拌しつつ80℃で2時
間加熱して、イミドジカルボン酸を生成させた。つぎに
上記反応液中に、0.25モルのジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネート(以下「MDI」という)
を添加し、攪拌器で攪拌しつつ80℃で2時間、140
℃で2時間、さらに180℃で2時間加熱し、その後放
冷して、固形分濃度25%のポリアミドイミド系塗料を
得た。
用して、前記実施例1と同様にして絶縁電線を作製し
た。なお原料段階における、ジアミン成分およびジイソ
シアネート成分の総量に対するp−PDAの割合は50
モル%であった。実施例16 ポリアミドイミド系塗料作製時のp−PDAの仕込み量
を0.1モルにするとともに0.15モルのDDEを添
加し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量
に対するp−PDAの割合を20モル%としたこと以外
は、上記実施例15と同様にして絶縁電線を作製した。
よびMDIの仕込み量を、p−PDA=0.15モル、
DDE=0.1モル、MDI=0.15モルにするとと
もに0.1モルのp−フェニレンジイソシアネート(以
下「PPDI」という)を添加し、ジアミン成分および
ジイソシアネート成分の総量に対するp−PDAおよび
PPDIの合計の割合を50モル%としたこと以外は、
上記実施例16と同様にして絶縁電線を作製した。
仕込まず、DDEおよびPPDIの仕込み量を、DDE
=0.25モル、PPDI=0.25モル、ジアミン成
分およびジイソシアネート成分の総量に対するPPDI
の割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例17
と同様にして絶縁電線を作製した。
ず、DDEを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実
施例15と同様にして絶縁電線を作製した。比較例6 ポリアミドイミド系塗料作製時にMDIを仕込まず、P
PDIを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例
15と同様にして絶縁電線を作製した。
4′−ジイソシアネートとTMAとを含む市販のポリア
ミドイミド系塗料(日立化成社製の品番HI−400)
を常法によって塗布、焼付けして、膜厚8μmの下地層
を形成した。つぎにこの下地層上に、実施例17で使用
したのと同じポリアミドイミド系塗料を常法によって塗
布、焼付けして、膜厚27μmの絶縁被膜を形成し、絶
縁電線を作製した。
含み、ジイソシアネート成分としてMDIのみを含むポ
リアミドイミド系塗料と、比較例6で作製した、ジアミ
ン成分としてp−PDAのみを含み、ジイソシアネート
成分としてPPDIのみを含むポリアミドイミド系塗料
とを、原料段階での、ジアミン成分およびジイソシアネ
ート成分の総量に対するp−PDAおよびPPDIの合
計の割合が50モル%となるように配合し、十分に攪拌
混合してポリアミドイミド系塗料を作製した。そして、
このポリアミドイミド系塗料を使用して、上記実施例1
5と同様にして絶縁電線を作製した。
のみを含むポリアミドイミド系塗料と、実施例18で作
製した、ジイソシアネート成分としてPPDIのみを含
むポリアミドイミド系塗料とを、原料段階でのp−PD
AとPPDIとのモル比がp−PDA/PPDI=30
/20、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総
量に対するp−PDAおよびPPDIの合計の割合が5
0モル%となるように配合し、十分に攪拌混合してポリ
アミドイミド系塗料を作製した。そして、このポリアミ
ドイミド系塗料を使用して、上記実施例15と同様にし
て絶縁電線を作製した。
水溶性潤滑塗料(東芝ケミカル社製の品番TEC−96
01)を常法によって塗布、焼付けして表面潤滑層を形
成したこと以外は、上記実施例17と同様にして絶縁電
線を作製した。上記各実施例、比較例の絶縁電線につい
て、前記弾性率測定、可撓性試験、急伸切断試験および
ピアノ線損傷荷重測定の各試験を行った。以上の結果を
表4に示す。
p−PDAを含有せず、かつジイソシアネート成分とし
てPPDIを含有しない比較例5の絶縁電線では、絶縁
被膜の弾性率が低く、また、ピアノ線損傷荷重測定の結
果より、絶縁被膜が損傷し易いことが判った。一方、ジ
アミン成分およびジイソシアネート成分の総量に対する
p−PDAおよびPPDIの合計の割合が100モル%
である比較例6の絶縁電線は、可撓性試験の結果より、
絶縁被膜の可撓性が悪く、また、急伸切断試験の結果よ
り、絶縁被膜が銅線から剥離し易いことが判った。
何れも、損傷し難く、しかも、可撓性にすぐれるととも
に、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有することが判っ
た。またp−PDAの割合が同じ実施例17と実施例1
9の結果を比較すると、実施例19は、実施例17に比
べて急伸切断試験による絶縁被膜の浮き量が小さいこと
から、下地層を形成することで、他の特性をそのまま維
持しつつ、被膜の密着性をさらに向上できることが判っ
た。
割合が同じ実施例17と実施例19,20の結果を比較
すると、これらはほぼ同じ特性を示し、このことから、
ポリアミドイミド系塗料を混合により製造しても、共重
合により製造された塗料とほぼ同じ結果が得られること
が判った。さらにp−PDAの割合が同じ実施例17と
実施例22の結果を比較すると、絶縁被膜上に表面潤滑
層を形成することにより、他の特性はそのまま維持しつ
つ、絶縁被膜をさらに損傷し難くできることが判った。
たこと以外は、前記実施例15と同様にして絶縁電線を
作製した。実施例24 ポリアミドイミド系塗料作製時のDBRBの仕込み量を
0.1モルにするとともに0.15モルのDDEを添加
し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量に
対するDBRBの割合を20モル%としたこと以外は、
上記実施例23と同様にして絶縁電線を作製した。
びMDIの仕込み量を、DBRB=0.15モル、DD
E=0.1モル、MDI=0.15モルにするとともに
0.1モルのPPDIを添加し、ジアミン成分およびジ
イソシアネート成分の総量に対するDBRBおよびPP
DIの合計の割合を50モル%としたこと以外は、上記
実施例24と同様にして絶縁電線を作製した。
フェニル−4,4′−ジイソシアネート(以下「TOD
I」という)を使用したこと以外は、上記実施例25と
同様にして絶縁電線を作製した。実施例27 ポリアミドイミド系塗料作製時にDBRBとMDIを仕
込まず、DDEおよびTODIの仕込み量を、DDE=
0.25モル、TODI=0.25モル、ジアミン成分
およびジイソシアネート成分の総量に対するTODIの
割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例26と
同様にして絶縁電線を作製した。
ODIを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例
23と同様にして絶縁電線を作製した。上記各実施例、
比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試
験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験
を行った。以上の結果を、ジアミン成分としてDBRB
を配合せず、かつジイソシアネート成分としてPPDI
およびTODIを配合しなかったものに相当する前記比
較例5の結果と併せて表5に示す。
ジイソシアネート成分の総量に対するDBRBおよびT
ODIの合計の割合が100モル%である比較例7の絶
縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性が
悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅線
から剥離し易いことが判った。これに対し実施例23〜
27の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓性
にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を有
することが判った。
したこと以外は、前記実施例15と同様にして絶縁電線
を作製した。実施例29 ポリアミドイミド系塗料作製時のDABANの仕込み量
を0.1モルにするとともに0.15モルのDDEを添
加し、ジアミン成分およびジイソシアネート成分の総量
に対するDABANの割合を20モル%としたこと以外
は、上記実施例28と同様にして絶縁電線を作製した。
よびMDIの仕込み量を、DABAN=0.15モル、
DDE=0.1モル、MDI=0.15モルにするとと
もに0.1モルのPPDIを添加し、ジアミン成分およ
びジイソシアネート成分の総量に対するDABANおよ
びPPDIの合計の割合を50モル%としたこと以外
は、上記実施例29と同様にして絶縁電線を作製した。
4′−ジイソシアネート(以下「BADI」という)を
使用したこと以外は、上記実施例30と同様にして絶縁
電線を作製した。実施例32 ポリアミドイミド系塗料作製時にDABANとMDIを
仕込まず、DDEおよびBADIの仕込み量を、DDE
=0.25モル、BADI=0.25モル、ジアミン成
分およびジイソシアネート成分の総量に対するBADI
の割合を50モル%としたこと以外は、上記実施例31
と同様にして絶縁電線を作製した。
ADIを0.25モル仕込んだこと以外は、上記実施例
28と同様にして絶縁電線を作製した。上記各実施例、
比較例の絶縁電線について、前記弾性率測定、可撓性試
験、急伸切断試験およびピアノ線損傷荷重測定の各試験
を行った。以上の結果を、ジアミン成分としてDABA
Nを配合せず、かつジイソシアネート成分としてPPD
IおよびBADIを配合しなかったものに相当する前記
比較例5の結果と併せて表6に示す。
ジイソシアネート成分の総量に対するDABANおよび
BADIの合計の割合が100モル%である比較例8の
絶縁電線は、可撓性試験の結果より、絶縁被膜の可撓性
が悪く、また、急伸切断試験の結果より、絶縁被膜が銅
線から剥離し易いことが判った。これに対し実施例28
〜32の絶縁電線は何れも、損傷し難く、しかも、可撓
性にすぐれるとともに、銅線から剥離し難い絶縁被膜を
有することが判った。
の構造中にベンゼン、ビフェニルまたはベンズアニリド
の構造を導入して、絶縁被膜の弾性率を向上させること
で、可撓性にすぐれ、しかも、損傷し難い絶縁被膜を形
成することができる。したがって、本発明の絶縁電線は
耐加工性にすぐれており、たとえばモータの捲線に使用
する場合には、コアへの捲線量を従来より増大させて
も、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生じるおそれがなく、
より小型、軽量で性能の良いモータの要求に対応するこ
とができる。
Claims (2)
- 【請求項1】少なくとも酸クロライドを含む酸成分と、
ジアミン成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の
塗布、焼付けにより形成された絶縁被膜を有する絶縁電
線において、原料としてのジアミン成分が、下記一般式
(I) : 【化1】 [上記式中R1 は、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基またはハロゲン原子を示す。nは1〜4の数を示
す。]、下記一般式(II): 【化2】 [上記式中R2 ,R3 は、同一または異なって、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。p,qは同一または異なって1〜4の数を示
す。]、および下記一般式(III) : 【化3】 [上記式中R4 ,R5 は、同一または異なって、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。r,sは同一または異なって1〜4の数を示す。]
で表される芳香族ジアミン化合物のうちの少なくとも1
種を含有し、かつ原料としてのジアミン成分における、
これら芳香族ジアミン化合物の合計の含有割合が10〜
80モル%であることを特徴とする絶縁電線。 - 【請求項2】ジアミン成分と酸成分との反応生成物であ
るイミドジカルボン酸と、ジイソシアネート成分とを原
料とするポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより
形成された絶縁被膜を有する絶縁電線において、原料と
してのジアミン成分、ジイソシアネート成分が、上記一
般式(I)(II) および(III) で表される芳香族ジアミン化
合物、並びに下記一般式(IV): 【化4】 [上記式中R6 は、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基またはハロゲン原子を示す。tは1〜4の数を示
す。]、下記一般式(V) : 【化5】 [上記式中R7 ,R8 は、同一または異なって、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。u,vは同一または異なって1〜4の数を示
す。]、および下記一般式(VI): 【化6】 [上記式中R9 ,R10は、同一または異なって、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。w,xは同一または異なって1〜4の数を示す。]
で表される芳香族ジイソシアネート化合物のうちの少な
くとも1種を含有し、かつ原料としてのジアミン成分お
よびジイソシアネート成分の総量に対する、これら芳香
族ジアミン化合物、芳香族ジイソシアネート化合物の合
計の含有割合が10〜80モル%であることを特徴とす
る絶縁電線。
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-
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- 1992-07-20 JP JP19236092A patent/JP3617844B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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