JP4834925B2 - 電気絶縁用樹脂組成物およびエナメル線 - Google Patents

電気絶縁用樹脂組成物およびエナメル線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気絶縁用樹脂組成物およびエナメル線に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドイミドは、耐熱性、耐薬品性および耐溶剤性が優れているため、各種基材のコート剤として、エナメル線用ワニス、耐熱塗料などに広く使用されている。近年、エナメル線を使用する電気メーカーでは、機器の製造工程の合理化のため、自動高速巻線機を導入しているが、巻線加工時にエナメル線が摩擦や衝撃等を受けてエナメル線の絶縁層に機械的損傷を生じ、レイヤーショートあるいはアース不良等が発生して製品の不良率が増加するという問題が生じている。そこで、このような機械的損傷の少ない潤滑性の優れたエナメル線が要望されている。
【0003】
通常、エナメル線単体では滑り性に乏しいため、エナメル線上に流動パラフィン、固形パラフィン、絶縁油、またはワックス等を塗布したり、機械的強度および耐摩耗性に優れたナイロン等をオーバーコートする方法が採用されている。しかし、前者の方法では、塗布される材料が、エナメル線をモータやトランスに巻線した後に含浸または注入されるワニスやレジンとの親和性に劣るため、接着性不良やボイドが発生し易いという問題があった。また後者の方法では、オーバーコート剤が、アンダーコートのエナメル線の焼付け線と同条件(炉温、焼付け速度など)で焼付けることができないため生産性が低下し、またカットスルー温度などのエナメル線特性が低下するという問題があり、さらに価格が高いため使用範囲が限定されていた。
【0004】
最近、エナメル線のアンダーコート用合成樹脂塗料にワックスや低分子量のポリエチレンを分散した材料を、アンダーコート用塗料と同一条件でオーバーコートする方法が検討されている。しかし、ワックス類や低分子量ポリエチレンは、エナメル線用合成樹脂および溶剤との相溶性に乏しいため、エナメル線用合成樹脂塗料中に分散させるのが困難であり、強力に撹拌するなどの方法で強制的に分散させたとしても、ワックス類や低分子量ポリエチレンが分離したり、また分散度が悪いためエナメル線の外観が悪く、滑り性が劣るという欠点、更にはエナメル線の焼付け温度の高い範囲では滑り性が低下するなどの欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定の分子量を有する酸付加型ポリアミドイミドを用いることにより、前記の従来技術の欠点を解決し、滑剤の分散性が良好で、エナメル線の外観に優れ、かつ広い範囲の焼付け条件でも優れた滑り性、特に耐摩耗性が得られる電気絶縁用樹脂組成物およびこれを用いたエナメル線を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)酸付加型ポリアミドイミドと、(B)部分ケン化エステルワックスと、(C)数平均分子量5,000以下の低分子量ポリエチレンと、(D)金属塩と、を含む電気絶縁用樹脂組成物およびこの電気絶縁用樹脂組成物を導体上に直接または他の絶縁物を介して塗布、焼付けたエナメル線に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)酸付加型ポリアミドイミドは、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミドに、三塩基酸無水物および/またはテトラカルボン酸二無水物を加熱付加させた酸付加型ポリアミドイミドである。
【0008】
ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミドは、下記一般式(I):
【0009】
【化1】
Figure 0004834925
【0010】
(式中、R1は3価の有機基を表し、R2は2価の有機基を表し、nは整数を表す。)で示される繰り返し構造単位を有するものが好ましい。
【0011】
1としては、芳香環を有する炭素数6〜20の3価の有機基が好ましく、R2としては、芳香環を有する炭素数6〜20の2価の有機基が好ましい。nは繰り返し構造単位(I)の数であり、R1及びR2の構造によって異なるが、一般的に10〜100とするのが好ましい。
【0012】
このようなポリアミドイミドは、たとえば塩基性極性溶媒中で、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物とを反応させて得ることができる。塩基性極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶媒を用いるのが好ましい。また、溶媒の使用量は、特に制限されないが、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物の総量100重量部に対して、100〜500重量部とするのが好ましい。反応温度は、通常、80〜180℃である。
【0013】
ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物は、それぞれ芳香族化合物を使用することが好ましい。上記のポリアミドイミドの製造に用いられる代表的な化合物を以下に例示する。
【0014】
ジイソシアネート化合物としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、3,3′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネ−ト、ビフェニル−3,4′−ジイソシアネ−ト、2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト等が挙げられる。
【0015】
また、ジアミン化合物としては、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0016】
三塩基酸無水物としては、トリメリト酸無水物等が挙げられ、なかでも、三塩基酸無水物クロリドとしてのトリメリト酸無水物クロリドが好ましい。
【0017】
ポリアミドイミドを合成する際に、ポリアミドイミドの特性を損なわない範囲で、ジカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物等を同時に反応させることができる。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ジクエン酸、フタルジイミドジカルボン酸、2,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸等が挙げられ、テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン酸二無水物等が挙げられる。
【0018】
前記ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と、三塩基酸無水物と、必要に応じて使用するジカルボン酸および/またはテトラカルボン酸二無水物の使用量は、生成されるポリアミドイミドの分子量、架橋度の観点から、三塩基酸無水物とジカルボン酸および/またはテトラカルボン酸二無水物の酸成分の総量1.0モルに対して、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物を0.8〜1.1モルとすることが好ましく、0.95〜1.08モルとすることがより好ましく、特に、1.0〜1.08モル使用されることが好ましい。また、酸成分中、ジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物は、これらの総量が前記酸成分の総量1.0モルに対して0〜50モル%の範囲で使用されるのが好ましい。
【0019】
本発明に用いるポリアミドイミドは、数平均分子量が10,000〜50,000のものが好ましい。数平均分子量がこの範囲にあると、塗膜の耐熱性や機械的特性等の諸特性が確保できるとともに、塗料として適正な濃度で溶媒に溶解したときに粘度が適性に保たれ、塗装時の作業性が良好である。このことから、数平均分子量は12,000〜30,000であることがより好ましく、18,000〜25,000であることが特に好ましい。
【0020】
なお、ポリアミドイミドの数平均分子量は、樹脂を合成する反応中にサンプリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかけ、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで反応を継続することにより、上記範囲に管理することができる。
【0021】
本発明の酸付加型ポリアミドイミドは、上記により反応させて得られたポリアミドイミドに、三塩基酸無水物および/またはテトラカルボン酸二無水物を加熱付加させることにより得られる。
【0022】
三塩基酸無水物としてはトリメリト酸無水物が、またテラカルボン酸二無水物としては、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。三塩基酸無水物とテトラカルボン酸二無水物は、いずれか一方のみ用いることもできるし、両方を併用することもできる。このときの三塩基酸無水物とテトラカルボン酸二無水物の比率は任意である。
【0023】
加熱付加付加温度は、70〜110℃の範囲が好ましく、80〜100℃の範囲がより好ましい。このような温度条件で、ポリアミドイミドに上記の酸無水物成分を直接添加し、残存酸価が50〜200、好ましくは70〜120、より好ましくは80〜100の範囲に到達した時点で、付加を終了する。残存酸価がこの範囲にあると、滑り性、耐摩耗性および可撓性が良好である。また、残存酸価は、加熱付加中に樹脂をサンプリングして、電位差滴定などの分析機器により上記範囲に管理される。
【0024】
本発明に用いる(B)成分の部分ケン化エステルワックスとしては、たとえば、下記式(II):
【0025】
【化2】
Figure 0004834925
【0026】
(式中、RおよびR′は炭素数28〜32の炭化水素基を示し、RおよびR′は同一でもよい)で表される化合物およびその誘導体が挙げられる。
【0027】
(B)成分の部分ケン化エステルワックスとしては、みつろう、鯨ろう、カルナウバ、モンタンろう、木ろうのようなワックス状の高級脂肪酸エステルを部分加水分解したものであり、たとえば、ヘキストジャパン株式会社から商品名:ヘキストワックスOP、ヘキストワックスX55、ヘキストワックスO、ヘキストワックスOM、ヘキストワックスFLが上市されている。部分ケン化エステルワツクスは、(C)成分の低分子量ポリエチレンとの相溶性に優れるために用いられる。部分ケン化エステルワックスの使用量は、上記の(A)酸付加型ポリアミドイミド100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部である。部分ケン化エステルワックスの使用量がこの範囲にあると、滑り性およびエナメル線の外観が良好に確保できる。
【0028】
本発明に用いる(C)成分の低分子量ポリエチレンとしては、数平均分子量が1,000〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものであれば特に制限されない。数平均分子量がこの範囲にあると、分散性およびエナメル線の外観が確保できる。このような低分子量ポリエチレンとしては、ヘキストジャパン株式会社から、たとえば、商品名:ヘキストワックスPE520、ヘキストワックスPE130が上市されている。低分子量ポリエチレンの使用量は、上記の酸付加型ポリアミドイミド100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部である。低分子量ポリエチレンの使用量がこの範囲にあると、滑り性およびエナメル線の外観が良好であり、また組成物の層分離が起こらない。ここで、上記の成分(B)および成分(C)を単独で配合すると、酸付加型ポリアミドイミドへの分散が不均一となり、エナメル線の外観が低下し、また組成物が短時間で層分離するので、両者は併せて配合する必要がある。
【0029】
本発明に用いる(D)金属塩は、電気絶縁用樹脂組成物を焼付ける際の塗膜表面の熱劣化を防ぎ、得られたエナメル線の滑り性を向上させる役割を果たす。金属塩の金属成分としては、銅、マンガン、コバルト等が用いられ、これらの塩としては、たとえば酢酸銅、サリチル酸銅、ステアリン酸銅、塩化銅(II)、乳酸マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト等およびこれらの混合物が挙げられる。これらの金属塩は、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル等のフェノール系老化防止剤、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系老化防止剤とともに用いることもできる。金属塩の添加量は、上記の酸付加型ポリアミドイミド100重量部に対して、0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、特に好ましくは0.001〜0.05重量部である。金属塩の使用量がこの範囲にあると、滑り性およびエナメル線の外観が良好に保たれる。
【0030】
上記の(A)酸付加型ポリアミドイミドに、上記(B)、(C)および(D)の各成分を添加する方法には特に制限はない。たとえば、(B)部分ケン化エステルワックスと(C)低分子量ポリエチレンとを、有機溶剤に分散させた(A)酸付加型ポリアミドイミド溶液に添加し、一方(D)金属塩を有機溶剤に溶解または分散させ、この両者を混合する。(B)部分ケン化エステルワックス、(C)低分子量ポリエチレン、および(D)金属塩の溶解または分散には、キシレン、ソルベントナフサ等を用いることができる。
【0031】
本発明の電気絶縁用樹脂組成物には、これらの溶媒が含むことができるが、通常、固形分を20〜40重量%の範囲として用いることが好ましい。本発明の電気絶縁用樹脂組成物を、導体上に直接または他の絶縁物を介して塗布、焼付けてエナメル線を得ることができる。本発明の電気絶縁用樹脂組成物を用いた場合には、滑剤が良好に分散すると同時にエナメル線の焼付け条件を高めても、焼付け時の塗膜表面の熱劣化を抑制する効果が大きいため、外観、滑り性、耐摩耗性に優れたエナメル線を得ることができる。
【0032】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むことは言うまでもない。
【0033】
実施例1
トリメリト酸無水物192.1g(1.00モル)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート252.8g(1.01モル)、N−メチル−2−ピロリドン667.4g(6.74モル)を、温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。130℃にて6時間保温して得られた数平均分子量が2,2000のポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:30%)100重量部を100℃に保温し、トリメリト酸無水物を1重量部づつ添加していき、残存酸価110(無水トリメリット酸添加量:3重量部)の酸付加型ポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:31%)を得た。
【0034】
次に、キシレン32重量部に部分ケン化エステルワックス(ヘキストジャパン株式会社製、商品名:ヘキストワックスOP)および数平均分子量2,000の低分子量ポリエチレン(ヘキストワックスジャパン株式会社製、商品名:ヘキストワックスPE520)をそれぞれ8重量部加えて加熱溶解し、これを室温のキシレン112重量部に急激に攪拌しながら一気に投入して、均一なワックス分散液を得た。
【0035】
上記の酸付加型ポリアイミドイミド溶液200重量部に、酢酸銅を0.1重量%溶解させたN-メチル-2-ピロリドン溶液重量6部および上記で得られたワックス分散液24重量部を添加し、攪拌して分散させ、電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0036】
実施例2
トリメリト酸無水物192.1(1.00モル)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート257.5g(1.03モル)およびN-メチル-2-ピロリドン660g(6.67モル)を、温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約4時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。130℃にて4時間保温して得られた数平均分子量が19,000のポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:30%)100重量部を100℃に保温し、トリメリト酸無水物を1重量部づつ添加していき、残存酸価130(トリメリト酸無水物添加量:5重量部)の酸付加型ポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:32%)を得た。
【0037】
次に、実施例1における数平均分子量2,000の低分子量ポリエチレン(ヘキストワックスPE520)の代わりに、数平均分子量3,000の低分子量ポリエチレン(ヘキストジャパン株式会社製、商品名:ヘキストワックスPE130)を、また酢酸銅の代わりに塩化銅(II)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0038】
実施例3
トリメリト酸無水物192.1(1.00モル)、4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル200.2g(1.00モル)、N-メチル-2-ピロリドン904g(9.13モル)およびほう酸4.0gを、温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で、約7時間かけて徐々に昇温して200〜205℃に昇温させ、この温度で15時間保温し、得られた数平均分子量が15,000のポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:25%)100重量部を90℃に保温し、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を1重量部づつ添加していき、残存酸価130(ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物添加量:5重量部)の酸付加型ポリアミドイミドを得た。次に、実施例2と同様にして電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0039】
実施例4
実施例1において、酢酸銅の代わりに酢酸コバルトを用いたことを除いて、実施例1と同様にして電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0040】
比較例1
実施例1において、数平均分子量が2,2000のポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:30%)にトリメリト酸無水物を加熱付加させなかったことを除いて、実施例1と同様にして電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0041】
実施例1〜4および比較例1で得られた電気絶縁用樹脂組成物を、下記に示す焼付け条件にしたがって、直径1.0mmの銅線に塗布し、ダイスで線引き、焼付けの工程を下地について7回、上地について1回行ってエナメル線を製造した。
下地:ポリアミドイミドワニス(日立化成工業株式会社製、商品名:HI-406)
上地:各実施例または比較例で得た電気絶縁用樹脂組成物
焼付炉:竪型熱風炉(炉長5m)
炉温:入口/出口=320℃/430℃
線速:14m/分
【0042】
得られたエナメル線は、いずれも外観上平滑で異常が認められなかった。各エナメル線の皮膜の特性を下記の方法により試験し、結果を表1に示した。
(1)可撓性:JIS C3003.8.1(1)に準じて調べた。なお、可撓性の評価における「2d」は、20%伸長させたエナメル線をその2倍の太さの線に巻き回し、亀裂が発生しなかったことを意味する。
(2)ピンホール:JIS C3003.36に準じて調べた。
(3)絶縁破壊電圧:JIS C3003.11.(2)に準じて調べた。
(4)往復摩耗:旧JIS C3003.10.1に準じて調べた。
(5)静摩擦係数:エナメル線同士間の静摩擦係数を測定するものであり、その測定方法は東洋精機社製の電線滑り試験器を用い、傾斜台上において4本のエナメル線を同一面上に末広がり状に張設し、この上にこの4本のエナメル線と交差するように上記供試エナメル線と同じエナメル線を2本平行に張設したソリを乗せ、これを水平位置から徐々に傾斜させ、ソリの滑り開始角度をタンジェント目盛りで読み取った。なお、ソリの荷重は100gに設定した。
【0043】
【表1】
Figure 0004834925
【0044】
表1から、本発明の電気絶縁用樹脂組成物を用いて得られたエナメル線は、比較例1と比べて、2倍以上の耐摩耗性を示し耐摩耗性に優れることが示される。
【0045】
【発明の効果】
本発明の電気絶縁用樹脂組成物によれば、滑り性、特に耐摩耗性および外観の良好なエナメル線を得ることができ、近年の過酷な巻線、加工、組立作業に有用である。

Claims (6)

  1. (A)ポリアミドイミドを酸付加して得られた酸付加型ポリアミドイミドと、
    (B)部分ケン化エステルワックスと、
    (C)数平均分子量1,000〜5,000の低分子量ポリエチレンと、
    (D)金属塩(但し、前記(B)を除く)と、を含む電気絶縁用樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドイミドの数平均分子量が12,000〜25,000であり、
    前記(A)100重量部に対し、
    前記(B)0.1〜10重量部、
    前記(C)0.1〜10重量部、
    前記(D)0.0001〜1重量部、
    を含むことを特徴とする電気絶縁用樹脂組成物。
  2. 前記(Aが、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミドに、三塩基酸無水物および/またはテトラカルボン酸二無水物を加熱付加させた酸付加型ポリアミドイミドである、請求項1記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  3. 前記加熱付加させる三塩基酸無水物が、トリメリト酸無水物である、請求項1又は2記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  4. 前記加熱付加させるテトラカルボン酸二無水物が、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物である、請求項2又は3記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  5. 前記(Aの残存酸価が、50〜200である、請求項1〜のいずれか1項記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載の電気絶縁用樹脂組成物を、導体上に直接または他の絶縁物を介して塗布、焼付けたエナメル線。
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