JP2003007136A - 電気絶縁用樹脂組成物およびエナメル線 - Google Patents

電気絶縁用樹脂組成物およびエナメル線

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JP2003007136A JP2001185861A JP2001185861A JP2003007136A JP 2003007136 A JP2003007136 A JP 2003007136A JP 2001185861 A JP2001185861 A JP 2001185861A JP 2001185861 A JP2001185861 A JP 2001185861A JP 2003007136 A JP2003007136 A JP 2003007136A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑剤の分散性が良好で、エナメル線の外観に
優れ、かつ広い範囲の焼付け条件でも優れた滑り性、特
に耐摩耗性が得られる電気絶縁用樹脂組成物およびこれ
を用いたエナメル線を提供すること。 【解決手段】 (A)酸付加型ポリアミドイミドと、
(B)部分ケン化エステルワックスと、(C)数平均分
子量1,000〜5,000の低分子量ポリエチレン
と、(D)金属塩と、を含む電気絶縁用樹脂組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁用樹脂組
成物およびエナメル線に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドイミドは、耐熱性、耐薬品性
および耐溶剤性が優れているため、各種基材のコート剤
として、エナメル線用ワニス、耐熱塗料などに広く使用
されている。近年、エナメル線を使用する電気メーカー
では、機器の製造工程の合理化のため、自動高速巻線機
を導入しているが、巻線加工時にエナメル線が摩擦や衝
撃等を受けてエナメル線の絶縁層に機械的損傷を生じ、
レイヤーショートあるいはアース不良等が発生して製品
の不良率が増加するという問題が生じている。そこで、
このような機械的損傷の少ない潤滑性の優れたエナメル
線が要望されている。
【0003】通常、エナメル線単体では滑り性に乏しい
ため、エナメル線上に流動パラフィン、固形パラフィ
ン、絶縁油、またはワックス等を塗布したり、機械的強
度および耐摩耗性に優れたナイロン等をオーバーコート
する方法が採用されている。しかし、前者の方法では、
塗布される材料が、エナメル線をモータやトランスに巻
線した後に含浸または注入されるワニスやレジンとの親
和性に劣るため、接着性不良やボイドが発生し易いとい
う問題があった。また後者の方法では、オーバーコート
剤が、アンダーコートのエナメル線の焼付け線と同条件
(炉温、焼付け速度など)で焼付けることができないた
め生産性が低下し、またカットスルー温度などのエナメ
ル線特性が低下するという問題があり、さらに価格が高
いため使用範囲が限定されていた。
【0004】最近、エナメル線のアンダーコート用合成
樹脂塗料にワックスや低分子量のポリエチレンを分散し
た材料を、アンダーコート用塗料と同一条件でオーバー
コートする方法が検討されている。しかし、ワックス類
や低分子量ポリエチレンは、エナメル線用合成樹脂およ
び溶剤との相溶性に乏しいため、エナメル線用合成樹脂
塗料中に分散させるのが困難であり、強力に撹拌するな
どの方法で強制的に分散させたとしても、ワックス類や
低分子量ポリエチレンが分離したり、また分散度が悪い
ためエナメル線の外観が悪く、滑り性が劣るという欠
点、更にはエナメル線の焼付け温度の高い範囲では滑り
性が低下するなどの欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の分子
量を有する酸付加型ポリアミドイミドを用いることによ
り、前記の従来技術の欠点を解決し、滑剤の分散性が良
好で、エナメル線の外観に優れ、かつ広い範囲の焼付け
条件でも優れた滑り性、特に耐摩耗性が得られる電気絶
縁用樹脂組成物およびこれを用いたエナメル線を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)酸付加
型ポリアミドイミドと、(B)部分ケン化エステルワッ
クスと、(C)数平均分子量5,000以下の低分子量
ポリエチレンと、(D)金属塩と、を含む電気絶縁用樹
脂組成物およびこの電気絶縁用樹脂組成物を導体上に直
接または他の絶縁物を介して塗布、焼付けたエナメル線
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる(A)酸付加
型ポリアミドイミドは、ジイソシアネート化合物または
ジアミン化合物と三塩基酸無水物とを反応させて得られ
るポリアミドイミドに、三塩基酸無水物および/または
テトラカルボン酸二無水物を加熱付加させた酸付加型ポ
リアミドイミドである。
【0008】ジイソシアネート化合物またはジアミン化
合物と三塩基酸無水物とを反応させて得られるポリアミ
ドイミドは、下記一般式(I):
【0009】
【化1】
【0010】(式中、R1は3価の有機基を表し、R2
2価の有機基を表し、nは整数を表す。)で示される繰
り返し構造単位を有するものが好ましい。
【0011】R1としては、芳香環を有する炭素数6〜
20の3価の有機基が好ましく、R2としては、芳香環
を有する炭素数6〜20の2価の有機基が好ましい。n
は繰り返し構造単位(I)の数であり、R1及びR2の構
造によって異なるが、一般的に10〜100とするのが
好ましい。
【0012】このようなポリアミドイミドは、たとえば
塩基性極性溶媒中で、ジイソシアネート化合物またはジ
アミン化合物と三塩基酸無水物とを反応させて得ること
ができる。塩基性極性溶媒としては、N−メチル−2−
ピロリドン等の高沸点溶媒を用いるのが好ましい。ま
た、溶媒の使用量は、特に制限されないが、ジイソシア
ネート化合物またはジアミン化合物と三塩基酸無水物の
総量100重量部に対して、100〜500重量部とす
るのが好ましい。反応温度は、通常、80〜180℃で
ある。
【0013】ジイソシアネート化合物またはジアミン化
合物と三塩基酸無水物は、それぞれ芳香族化合物を使用
することが好ましい。上記のポリアミドイミドの製造に
用いられる代表的な化合物を以下に例示する。
【0014】ジイソシアネート化合物としては、4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレン
ジイソシアネ−ト、3,3′−ジフェニルメタンジイソ
シアネ−ト、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,
4′−ジイソシアネ−ト、ビフェニル−3,4′−ジイ
ソシアネ−ト、2,2′−ジエチルビフェニル−4,
4′−ジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト
等が挙げられる。
【0015】また、ジアミン化合物としては、4,4′
−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジ
アミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェ
ニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフ
ルオロプロパン、キシリレンジアミン、フェニレンジア
ミン等が挙げられる。
【0016】三塩基酸無水物としては、トリメリト酸無
水物等が挙げられ、なかでも、三塩基酸無水物クロリド
としてのトリメリト酸無水物クロリドが好ましい。
【0017】ポリアミドイミドを合成する際に、ポリア
ミドイミドの特性を損なわない範囲で、ジカルボン酸、
テトラカルボン酸二無水物等を同時に反応させることが
できる。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、アジピン酸、ジクエン酸、フタルジイミドジカ
ルボン酸、2,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−
チオフェンジカルボン酸等が挙げられ、テトラカルボン
酸二無水物としては、ピロメリト酸無水物、ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、ジフェニルスルホン酸二無水物等が挙
げられる。
【0018】前記ジイソシアネート化合物またはジアミ
ン化合物と、三塩基酸無水物と、必要に応じて使用する
ジカルボン酸および/またはテトラカルボン酸二無水物
の使用量は、生成されるポリアミドイミドの分子量、架
橋度の観点から、三塩基酸無水物とジカルボン酸および
/またはテトラカルボン酸二無水物の酸成分の総量1.
0モルに対して、ジイソシアネート化合物またはジアミ
ン化合物を0.8〜1.1モルとすることが好ましく、
0.95〜1.08モルとすることがより好ましく、特
に、1.0〜1.08モル使用されることが好ましい。
また、酸成分中、ジカルボン酸及びテトラカルボン酸二
無水物は、これらの総量が前記酸成分の総量1.0モル
に対して0〜50モル%の範囲で使用されるのが好まし
い。
【0019】本発明に用いるポリアミドイミドは、数平
均分子量が10,000〜50,000のものが好まし
い。数平均分子量がこの範囲にあると、塗膜の耐熱性や
機械的特性等の諸特性が確保できるとともに、塗料とし
て適正な濃度で溶媒に溶解したときに粘度が適性に保た
れ、塗装時の作業性が良好である。このことから、数平
均分子量は12,000〜30,000であることがよ
り好ましく、18,000〜25,000であることが
特に好ましい。
【0020】なお、ポリアミドイミドの数平均分子量
は、樹脂を合成する反応中にサンプリングしてゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかけ、標
準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均
分子量になるまで反応を継続することにより、上記範囲
に管理することができる。
【0021】本発明の酸付加型ポリアミドイミドは、上
記により反応させて得られたポリアミドイミドに、三塩
基酸無水物および/またはテトラカルボン酸二無水物を
加熱付加させることにより得られる。
【0022】三塩基酸無水物としてはトリメリト酸無水
物が、またテラカルボン酸二無水物としては、ピロメリ
ト酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げら
れる。三塩基酸無水物とテトラカルボン酸二無水物は、
いずれか一方のみ用いることもできるし、両方を併用す
ることもできる。このときの三塩基酸無水物とテトラカ
ルボン酸二無水物の比率は任意である。
【0023】加熱付加付加温度は、70〜110℃の範
囲が好ましく、80〜100℃の範囲がより好ましい。
このような温度条件で、ポリアミドイミドに上記の酸無
水物成分を直接添加し、残存酸価が50〜200、好ま
しくは70〜120、より好ましくは80〜100の範
囲に到達した時点で、付加を終了する。残存酸価がこの
範囲にあると、滑り性、耐摩耗性および可撓性が良好で
ある。また、残存酸価は、加熱付加中に樹脂をサンプリ
ングして、電位差滴定などの分析機器により上記範囲に
管理される。
【0024】本発明に用いる(B)成分の部分ケン化エ
ステルワックスとしては、たとえば、下記式(II):
【0025】
【化2】
【0026】(式中、RおよびR′は炭素数28〜32
の炭化水素基を示し、RおよびR′は同一でもよい)で
表される化合物およびその誘導体が挙げられる。
【0027】(B)成分の部分ケン化エステルワックス
としては、みつろう、鯨ろう、カルナウバ、モンタンろ
う、木ろうのようなワックス状の高級脂肪酸エステルを
部分加水分解したものであり、たとえば、ヘキストジャ
パン株式会社から商品名:ヘキストワックスOP、ヘキ
ストワックスX55、ヘキストワックスO、ヘキストワ
ックスOM、ヘキストワックスFLが上市されている。
部分ケン化エステルワツクスは、(C)成分の低分子量
ポリエチレンとの相溶性に優れるために用いられる。部
分ケン化エステルワックスの使用量は、上記の(A)酸
付加型ポリアミドイミド100重量部に対して、0.1
〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜5重
量部、特に好ましくは0.5〜3重量部である。部分ケ
ン化エステルワックスの使用量がこの範囲にあると、滑
り性およびエナメル線の外観が良好に確保できる。
【0028】本発明に用いる(C)成分の低分子量ポリ
エチレンとしては、数平均分子量が1,000〜5,0
00、好ましくは1,000〜4,000のものであれ
ば特に制限されない。数平均分子量がこの範囲にある
と、分散性およびエナメル線の外観が確保できる。この
ような低分子量ポリエチレンとしては、ヘキストジャパ
ン株式会社から、たとえば、商品名:ヘキストワックス
PE520、ヘキストワックスPE130が上市されて
いる。低分子量ポリエチレンの使用量は、上記の酸付加
型ポリアミドイミド100重量部に対して、0.1〜1
0重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部、特
に好ましくは1〜3重量部である。低分子量ポリエチレ
ンの使用量がこの範囲にあると、滑り性およびエナメル
線の外観が良好であり、また組成物の層分離が起こらな
い。ここで、上記の成分(B)および成分(C)を単独
で配合すると、酸付加型ポリアミドイミドへの分散が不
均一となり、エナメル線の外観が低下し、また組成物が
短時間で層分離するので、両者は併せて配合する必要が
ある。
【0029】本発明に用いる(D)金属塩は、電気絶縁
用樹脂組成物を焼付ける際の塗膜表面の熱劣化を防ぎ、
得られたエナメル線の滑り性を向上させる役割を果た
す。金属塩の金属成分としては、銅、マンガン、コバル
ト等が用いられ、これらの塩としては、たとえば酢酸
銅、サリチル酸銅、ステアリン酸銅、塩化銅(II)、乳
酸マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、酢酸
コバルト、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト等
およびこれらの混合物が挙げられる。これらの金属塩
は、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸ジエチルエステル等のフェノール系老化防止
剤、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジア
ミン等のアミン系老化防止剤とともに用いることもでき
る。金属塩の添加量は、上記の酸付加型ポリアミドイミ
ド100重量部に対して、0.0001〜1重量部、よ
り好ましくは0.001〜0.5重量部、特に好ましく
は0.001〜0.05重量部である。金属塩の使用量
がこの範囲にあると、滑り性およびエナメル線の外観が
良好に保たれる。
【0030】上記の(A)酸付加型ポリアミドイミド
に、上記(B)、(C)および(D)の各成分を添加す
る方法には特に制限はない。たとえば、(B)部分ケン
化エステルワックスと(C)低分子量ポリエチレンと
を、有機溶剤に分散させた(A)酸付加型ポリアミドイ
ミド溶液に添加し、一方(D)金属塩を有機溶剤に溶解
または分散させ、この両者を混合する。(B)部分ケン
化エステルワックス、(C)低分子量ポリエチレン、お
よび(D)金属塩の溶解または分散には、キシレン、ソ
ルベントナフサ等を用いることができる。
【0031】本発明の電気絶縁用樹脂組成物には、これ
らの溶媒が含むことができるが、通常、固形分を20〜
40重量%の範囲として用いることが好ましい。本発明
の電気絶縁用樹脂組成物を、導体上に直接または他の絶
縁物を介して塗布、焼付けてエナメル線を得ることがで
きる。本発明の電気絶縁用樹脂組成物を用いた場合に
は、滑剤が良好に分散すると同時にエナメル線の焼付け
条件を高めても、焼付け時の塗膜表面の熱劣化を抑制す
る効果が大きいため、外観、滑り性、耐摩耗性に優れた
エナメル線を得ることができる。
【0032】
【実施例】次に本発明の実施例について説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明
の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むこ
とは言うまでもない。
【0033】実施例1 トリメリト酸無水物192.1g(1.00モル)、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート252.
8g(1.01モル)、N−メチル−2−ピロリドン6
67.4g(6.74モル)を、温度計、攪拌機、冷却
管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で、
反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら
約2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。1
30℃にて6時間保温して得られた数平均分子量が2,
2000のポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:30
%)100重量部を100℃に保温し、トリメリト酸無
水物を1重量部づつ添加していき、残存酸価110(無
水トリメリット酸添加量:3重量部)の酸付加型ポリア
ミドイミド溶液(樹脂分濃度:31%)を得た。
【0034】次に、キシレン32重量部に部分ケン化エ
ステルワックス(ヘキストジャパン株式会社製、商品
名:ヘキストワックスOP)および数平均分子量2,0
00の低分子量ポリエチレン(ヘキストワックスジャパ
ン株式会社製、商品名:ヘキストワックスPE520)
をそれぞれ8重量部加えて加熱溶解し、これを室温のキ
シレン112重量部に急激に攪拌しながら一気に投入し
て、均一なワックス分散液を得た。
【0035】上記の酸付加型ポリアイミドイミド溶液2
00重量部に、酢酸銅を0.1重量%溶解させたN-メ
チル-2-ピロリドン溶液重量6部および上記で得られた
ワックス分散液24重量部を添加し、攪拌して分散さ
せ、電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0036】実施例2 トリメリト酸無水物192.1(1.00モル)、4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネート257.5g
(1.03モル)およびN-メチル-2-ピロリドン66
0g(6.67モル)を、温度計、攪拌機、冷却管を備
えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で、反応に
より生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約4時
間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。130℃
にて4時間保温して得られた数平均分子量が19,00
0のポリアミドイミド溶液(樹脂分濃度:30%)10
0重量部を100℃に保温し、トリメリト酸無水物を1
重量部づつ添加していき、残存酸価130(トリメリト
酸無水物添加量:5重量部)の酸付加型ポリアミドイミ
ド溶液(樹脂分濃度:32%)を得た。
【0037】次に、実施例1における数平均分子量2,
000の低分子量ポリエチレン(ヘキストワックスPE
520)の代わりに、数平均分子量3,000の低分子
量ポリエチレン(ヘキストジャパン株式会社製、商品
名:ヘキストワックスPE130)を、また酢酸銅の代
わりに塩化銅(II)を用いたことを除いて、実施例1と
同様にして電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0038】実施例3 トリメリト酸無水物192.1(1.00モル)、4,
4′−ジアミノジフェニルエ−テル200.2g(1.
00モル)、N-メチル-2-ピロリドン904g(9.
13モル)およびほう酸4.0gを、温度計、攪拌機、
冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中
で、約7時間かけて徐々に昇温して200〜205℃に
昇温させ、この温度で15時間保温し、得られた数平均
分子量が15,000のポリアミドイミド溶液(樹脂分
濃度:25%)100重量部を90℃に保温し、ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸二無水物を1重量部づつ添加
していき、残存酸価130(ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物添加量:5重量部)の酸付加型ポリアミ
ドイミドを得た。次に、実施例2と同様にして電気絶縁
用樹脂組成物を得た。
【0039】実施例4 実施例1において、酢酸銅の代わりに酢酸コバルトを用
いたことを除いて、実施例1と同様にして電気絶縁用樹
脂組成物を得た。
【0040】比較例1 実施例1において、数平均分子量が2,2000のポリ
アミドイミド溶液(樹脂分濃度:30%)にトリメリト
酸無水物を加熱付加させなかったことを除いて、実施例
1と同様にして電気絶縁用樹脂組成物を得た。
【0041】実施例1〜4および比較例1で得られた電
気絶縁用樹脂組成物を、下記に示す焼付け条件にしたが
って、直径1.0mmの銅線に塗布し、ダイスで線引き、
焼付けの工程を下地について7回、上地について1回行
ってエナメル線を製造した。 下地:ポリアミドイミドワニス(日立化成工業株式会社
製、商品名:HI-406) 上地:各実施例または比較例で得た電気絶縁用樹脂組成
物 焼付炉:竪型熱風炉(炉長5m) 炉温:入口/出口=320℃/430℃ 線速:14m/分
【0042】得られたエナメル線は、いずれも外観上平
滑で異常が認められなかった。各エナメル線の皮膜の特
性を下記の方法により試験し、結果を表1に示した。 (1)可撓性:JIS C3003.8.1(1)に準
じて調べた。なお、可撓性の評価における「2d」は、
20%伸長させたエナメル線をその2倍の太さの線に巻
き回し、亀裂が発生しなかったことを意味する。 (2)ピンホール:JIS C3003.36に準じて
調べた。 (3)絶縁破壊電圧:JIS C3003.11.
(2)に準じて調べた。 (4)往復摩耗:旧JIS C3003.10.1に準
じて調べた。 (5)静摩擦係数:エナメル線同士間の静摩擦係数を測
定するものであり、その測定方法は東洋精機社製の電線
滑り試験器を用い、傾斜台上において4本のエナメル線
を同一面上に末広がり状に張設し、この上にこの4本の
エナメル線と交差するように上記供試エナメル線と同じ
エナメル線を2本平行に張設したソリを乗せ、これを水
平位置から徐々に傾斜させ、ソリの滑り開始角度をタン
ジェント目盛りで読み取った。なお、ソリの荷重は10
0gに設定した。
【0043】
【表1】
【0044】表1から、本発明の電気絶縁用樹脂組成物
を用いて得られたエナメル線は、比較例1と比べて、2
倍以上の耐摩耗性を示し耐摩耗性に優れることが示され
る。
【0045】
【発明の効果】本発明の電気絶縁用樹脂組成物によれ
ば、滑り性、特に耐摩耗性および外観の良好なエナメル
線を得ることができ、近年の過酷な巻線、加工、組立作
業に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 91/06 C08L 91/06 H01B 7/02 H01B 7/02 A Fターム(参考) 4J002 AE032 BB023 CM041 DD076 EG046 FD037 FD12 GQ01 5G305 AA02 AA11 AB18 AB36 AB40 BA09 BA26 CA01 CA24 CB08 CD15 5G309 MA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)酸付加型ポリアミドイミドと、
    (B)部分ケン化エステルワックスと、(C)数平均分
    子量1,000〜5,000の低分子量ポリエチレン
    と、(D)金属塩と、を含むことを特徴とする電気絶縁
    用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記(A)酸付加型ポリアミドイミド1
    00重量部に対し、前記(B)部分ケン化エステルワッ
    クスが0.1〜10重量部、前記(C)数平均分子量
    1,000〜5,000の低分子量ポリエチレンが0.
    1〜10重量部、前記(D)金属塩0.0001〜1重
    量部、を含む請求項1記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記(A)酸付加型ポリアミドイミド
    が、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物と三
    塩基酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミド
    に、三塩基酸無水物および/またはテトラカルボン酸二
    無水物を加熱付加させた酸付加型ポリアミドイミドであ
    る、請求項1または2記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリアミドイミドの数平均分子量が
    10,000〜50,000のポリアミドイミドであ
    る、請求項3記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記加熱付加させる三塩基酸無水物が、
    トリメリト酸無水物である、請求項3または4記載の電
    気絶縁用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記加熱付加させるテトラカルボン酸二
    無水物が、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物で
    ある、請求項3〜5のいずれか1項記載の電気絶縁用樹
    脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記(A)酸付加型ポリアミドイミドの
    残存酸価が、50〜200である、請求項1〜6のいず
    れか1項記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の電気
    絶縁用樹脂組成物を、導体上に直接または他の絶縁物を
    介して塗布、焼付けたエナメル線。
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