JP2010135178A - ポリエステルイミド系樹脂ワニス及びこれを用いた絶縁電線 - Google Patents

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健吾 吉田
Masaaki Yamauchi
雅晃 山内
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Abstract

【課題】 耐熱性、機械的強度に優れたポリエステルイミド系絶縁被膜を形成できるポリエステルイミド系樹脂ワニスを提供する。
【解決手段】 ポリエステルイミド系樹脂、第2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上有する多官能チオール化合物を含有し、さらに硬化剤が含有されてもよい。
【効果】 第2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上有する多官能チオール化合物は、メルカプト基を1つしか含まないチオール化合物や、第1級、第3級炭素原子に結合したメルカプト基を有するチオール化合物と比べて、導体密着性に優れた絶縁被膜を形成できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マグネットワイヤなどの絶縁被覆に用いられるポリエステルイミド系樹脂ワニスに関し、さらに詳述すると、耐摩耗性、耐熱性が改善されたポリエステル系絶縁被膜が得られるポリエステルイミド系樹脂ワニス及び当該塗料でプライマー層を形成した絶縁電線に関する。
モータの巻線やトランスの巻線の絶縁電線で、耐熱性の要求が高い用途については、ポリエステルイミド樹脂を主成分としたワニス、特に、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(以下、「THEIC」という)を用いて、分子中にイミド結合およびイソシアヌレート環を導入したポリエステルイミド樹脂を焼付けたポリエステルイミド樹脂ワニスが用いられている。
巻線加工工程の自動化、高速化の発展に従い、巻線の絶縁被膜に対する耐摩耗性、耐熱性、可とう性の要求については年々厳しくなり、さらに、各種電気機器の高出力化、または小型化、省電力化への要請に伴う高占積率化も進み、巻線に加えられる加工負荷が厳しくなっている。
従来のポリエステルイミド樹脂ワニスで形成される絶縁被膜では、このような過酷な巻線加工に対して十分ではなく、更なる改良が求められている。
ポリエステルイミド樹脂ワニスの機械的特性、耐熱性の改善には、理由は明らかでないが、チオール化合物、チアゾール化合物といった硫黄含有有機化合物の添加が有効であると考えられている。
例えば、特開平7−316425(特許文献1)では、syn−トリアジン−2,4,6−トリチオールに代表されるトリアジン化合物を配合すること提案している。また、特開2006−127968号公報(特許文献3)、特開2006−1996号公報(特許文献2)では、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノベンゾチアゾールを配合することを提案している。
特開平7−316425 特開2006−1996号公報 特開2006−127968号公報
しかしながら、巻線加工は、年々、過酷になり、更なる改良が求められている。また、硫黄含有化合物の種類によって、耐熱性、機械的特性に対する改善効果は一律でないことから、所期の改善効果を達成できる硫黄含有有機化合物が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性、機械的強度に優れたポリエステルイミド系絶縁被膜を形成できるポリエステルイミド系樹脂ワニスを提供することにある。
本発明者らは、種々の硫黄含有有機化合物について検討した結果、ポリエステルイミド系樹脂皮膜の耐熱性、機械的強度の改善効果が高い硫黄含有有機化合物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスは、ポリエステルイミド系樹脂、および2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上有する多官能チオール化合物を含有する。
前記多官能チオール化合物は、下記一般式(1)〜(5)のいずれかで表わされる化合物である請求項1に記載のポリエステルイミド系樹脂ワニス。
Figure 2010135178

Figure 2010135178

Figure 2010135178

Figure 2010135178

Figure 2010135178

式中、Lは、下記一般式で表わされるメルカプト基を示し、
Figure 2010135178

R’は炭素数1〜3のアルキル基であり、mは0又は1である。
多官能チオール化合物は、ポリエステルイミド系樹脂100質量部あたり0.5〜25質量部含有されていることが好ましく、さらに、硬化剤が含まれていることが好ましい。
本発明の絶縁電線は、導体;上記本発明のポリエステルイミド樹脂ワニスを塗布、焼付けてなるプライマー層;及び該プライマー層上に形成した少なくとも1層の上塗り層を有する。
本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスは、特殊な多官能チオール化合物を含有しているので、導体に対する密着性に優れ、機械的特性、耐熱性に優れた絶縁被膜を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔絶縁被膜用塗料〕
本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスは、被膜形成成分としてのポリエステルイミド系樹脂および第2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上有する多官能チオール化合物を含有する。
<ポリエステルイミド系樹脂>
本発明のワニスに用いられるポリエステルイミド系樹脂とは、分子内にエステル結合とイミド結合を有する樹脂で、酸無水物とアミンから形成されるイミド、アルコールとカルボン酸から形成されるポリエステル、そして、イミドの遊離酸基または無水基がエステル形成反応に加わることで形成される樹脂である。このようなポリエステルイミド樹脂は、イミド化、エステル化、エステル交換反応が生じるような条件で製造することができる。
本発明のワニスに用いられるポリエステルイミド系樹脂は、上記のようにイミド化、エステル化、エステル交換反応が生じるような条件で製造されたポリエステルイミド樹脂であってもよいし、さらに、硬化剤が含まれたものであってもよい。
含有され得る硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤、メチレン化合物、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロへキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロへキサンジイソシアネート、イソプロピデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1、3−ジイソシアナトメリルシクロへキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−ビス(イソシナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物などのイソシアネート基をブロックしたブロックイソシアネートが挙げられる。このようなイソシアネート系硬化剤は、通常、ポリエステルイミド100質量部あたり、1〜20質量部含有され得る。
メラミン化合物としては、例えば、メチルメラミン、ブチル化メラミン、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミンなどが挙げられる。メラミン化合物は、通常、ポリエステルイミド100質量部あたり、1〜20質量部含有され得る。
チタネートカップリング剤としては、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラヘキシルチタネート等のチタンアルコキシドが好ましく用いられる。
以上のような硬化剤は、1種類だけ用いてもよいし、異なる2種類以上の硬化剤を混合して用いてもよい。
以上のようなポリエステルイミド系樹脂としては、イミド化、エステル化、エステル交換反応により合成したものであってもよいし、市販の樹脂を用いてもよい。さらに、硬化剤などを含んだ市販のポリエステルイミド樹脂を用いてもよいし、市販のポリエステルイミド樹脂ワニスを用いることもできる。市販のポリエステルイミド樹脂ワニスとしては、日立化成工業製のIsomid40SM45、大日精化社製のEH402−45、FS304、FS201、日触スケネクタディ社のアイソミッド、ゼネラルエレクトリック社製のイミデックス等のエステルイミドワニスなどが挙げられる。
<多官能チオール化合物>
本発明で用いられる多官能チオール化合物は、第2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個含むチオール化合物であり、具体的には、下記一般式(1)〜(5)で示されるチオール化合物である。
Figure 2010135178

Figure 2010135178

Figure 2010135178

Figure 2010135178

Figure 2010135178
(1)〜(5)式中、Lは、下記一般式で表わされるメルカプト基である。
Figure 2010135178
式中、R’は炭素数1〜3のアルキル基、好ましくは直鎖状アルキル基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられ、これらのうち、特にメチル基又はエチル基が好ましい。mは0または1である。
このような化合物としては、具体的には、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトペンチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどが挙げられる。また、市販品としては、昭和電工株式会社のカレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1などを用いることができる。
これらのうち、トリアジン構造を骨格を有している多官能チオール化合物は、特に耐熱性に優れているという点で好ましく用いられる。
以上のように、1分子中に複数個のメルカプト基を含有することにより、例えば、その反応性から、一方のSH基が導体の銅表面と水素結合を形成し、別のSH基がポリエステルイミド系樹脂中のカルボニルあるいは硬化剤と反応することで、ポリエステルイミド樹脂と導体との架橋形成に寄与し、ひいては被膜密着性、耐摩耗性の向上に寄与できるのではないかと考えられる。
また、第1級炭素や第3級炭素に結合したメルカプト基含有化合物やチアゾール化合物と比べて、第2級炭素に結合しているメルカプト基は、適度な反応性、反応抑制効果を有するのではないかと考えられる。例えば、硬化前のポリエステルイミド樹脂中のカルボニル基や樹脂に共存させた硬化剤との反応が抑制されることで、フリーの状態のメルカプト基が残存し、導体への塗布により、残存していたフリーのSH基の一部が、導体の銅表面と水素結合を形成したり、さらには焼付により、残存していたフリーのSH基がポリエステルイミド系樹脂中のカルボニルあるいは硬化剤と反応することで、ポリエステルイミド樹脂との結合を形成できるのではないかと考えられる。そして、絶縁被膜構成樹脂と導体との間に多官能チオール化合物を介した緩やかな架橋構造が形成されることにより、捲き線加工時に加えられる外的ストレス、すなわち、絶縁被膜に負荷された摩擦力、引張り力、屈曲に対して、導体表面からポリエステルイミド系樹脂膜が剥離、亀裂することを防止できるのではないかと考えられる。
このような多官能チオール化合物は、塗料に含まれるポリエステルイミド系樹脂100質量部あたり、0.5〜25質量部程度含まれることが好ましく、より好ましくは1.0〜20質量部である。0.5質量部未満では、多官能チオールの添加効果が小さく、一方、多くなりすぎると、多官能チオールに含まれる硫黄により、導体、特に銅が硫化酸化されやすくなる。尚、市販のポリエステルイミド樹脂ワニスを用いる場合には、ポリエステルイミド樹脂ワニスの固形分100質量部に対して、多官能チオール化合物を0.5〜25質量部程度配合することが好ましい。
<その他の成分>
本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスは、さらに有機溶剤が含まれる。本発明で用いられる有機溶剤としては、プライマー層構成樹脂を溶解できるものであればよく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサエチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトンなどの極性有機溶媒をはじめ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルなどのエステル類;ジエチルエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物;ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素化合物;クレゾール、クロルフェノールなどのフェノール類;ピリジンなどの第三級アミンなどが挙げられ、これらの有機溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。
さらに必要に応じて、本発明の目的が阻害されない範囲で、顔料、染料、無機又は有機のフィラー、潤滑剤、酸化防止剤、レべリング剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。
本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスは、ポリエステルイミド系樹脂、多官能チオール及びその他の添加剤を配合し、固形分含有率30〜60質量%程度となるように、有機溶剤で希釈することにより製造される。
ポリエステルイミド系樹脂に代えて、市販のポリエステルイミド樹脂ワニスを用いる場合には、当該絶縁ワニスに、当該絶縁ワニスの固形分100質量部に対して0.5〜25質量部、好ましくは1.0〜20質量部となるように、多官能チオールを添加することによっても製造できる。
以上のような組成を有する本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスは、耐熱性、可とう性、耐摩耗性に優れた絶縁被膜を形成できるだけでなく、ストレスが負荷した状態でも導体に対する密着性が優れているので、絶縁電線のプライマー層用塗料として用いることもできる。
本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスを、導体に直接塗布した後、焼付けて硬化することにより絶縁被膜を形成できる。焼付温度としては、塗料に含まれる有機溶剤が揮発できる温度、さらに硬化剤が含まれている場合には、ポリエステルイミド樹脂が硬化できる温度であることが好ましい。
〔絶縁電線〕
本発明の絶縁電線は、導体表面に、上記本発明のポリエステルイミド系樹脂ワニスの硬化物で形成されるプライマー層を有するものである。
導体としては、通常、電線導体に用いられる公知の導体で、銅線、アルミニウム線などの金属導体が用いられる。
本発明のポリエステルイミド系ワニスを、350〜500℃程度の炉内を、1パスあたり10秒〜30秒間(10回引きなら100秒〜300秒間)、通過させることにより行うことが好ましい。焼きつけにより、耐熱性、耐摩耗性、可とう性に優れたプライマー層を得ることができる。
プライマー層の厚みは、特に限定しないが、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。プライマー層としては、この程度の厚みで十分だからである。
本発明のポリエステルイミド樹脂ワニスを塗布、焼付して形成されるプライマー層は、ワニスに含まれているポリエステルイミド樹脂の硬化体に多官能チオール化合物由来のスルフィド結合を有している。
本発明の絶縁電線は、上記のようなプライマー層上に、少なくとも1層以上の上塗り層を有している。
上塗り層の組成としては特に限定せず、従来より絶縁被膜に用いられているポリエステルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂などを用いることができる。上塗り層構成樹脂は、プライマー層構成樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよく、絶縁電線の用途に応じて適宜選択される。
上塗り層の膜厚は10〜30μm程度が好ましい。また、上塗り層が2層以上で構成される場合、絶縁電線の最表層の上塗り層は、潤滑性を有する被膜、例えば、高潤滑ポリイミド、高潤滑アミドイミドなどで構成されることが好ましい。
本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
〔測定評価方法〕
はじめに、本実施例で行なった評価方法について説明する。
(1)耐摩耗性
JIS C3003−1999に記載の耐摩耗試験に準拠し、一方向摩耗値(g)を測定した。どの程度の力が加わったときに被膜が破損するかを調べるもので、捲線時のストレスに対する被膜強度の指標となる。
なお、各絶縁電線について、9本ずつ測定した結果の平均値を示す。
(2)絶縁破壊電圧
作製した絶縁電線2本を用いて撚り線を作成し、これをJIS C2002 10に準じて、絶縁破壊電圧(kV)を測定し、10個のサンプルの測定値を平均して平均絶縁破壊電圧を求めた。
なお、各絶縁電線10本ずつ測定した結果の平均値を示す。
(3)可とう性
絶縁電線を、初期長さに対して20%伸長し、伸長後、JIS C3003 7.1.1可とう性試験に準拠して試験した。具体的には、絶縁電線の自己径(1d)、2倍(2d)を有する丸棒に沿って電線を、電線と電線とが接触するように30回巻き付けた後、亀裂の有無を観察し、亀裂が発生しなかったときの丸棒の径(1d又は2d)を調べた。1dでも亀裂を生じない場合は、可とう性に優れているといえる。
(4)ヒートショック試験
絶縁電線を、初期長さに対して20%伸長し、伸長後、JIS C3003 20の耐衝撃試験に準拠して試験した。具体的には、200℃で30分間加熱した後、絶縁電線の自己径(1d)、2倍(2d)、3倍(3d)を有する丸棒に沿って電線を、電線と電線とが接触するように30回巻き付けた後、亀裂の有無を観察し、亀裂が発生しなかったときの丸棒の径を調べた。丸棒の径が小さいほど、可とう性が高温処理によっても保持できていることを意味し、耐熱性に優れているといえる。
同様のヒートショック試験を220℃、で30分間加熱処理した後についても行った。
(5)軟化温度
JIS C3003「エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法」に準じて、軟化温度(℃)を測定した。JISに規定する荷重(700g)、2倍荷重(1400g)及び3倍荷重のそれぞれについて、電線が導通したときの温度(軟化温度)を測定した。なお、各絶縁電線について、4本ずつ測定した結果の最大値と最小値の平均値を示す。
〔エステルイミド系樹脂ワニス及び絶縁電線の製造〕
ポリエステルイミド樹脂として、A(日立化成工業製のIsomid40SM45ワニス)又はB(大日精化社製のEH402−45ワニス)を使用し、AまたはBの固形分(ポリエステルイミド系樹脂)100質量部あたり、表1に示すようなチオール化合物を2質量部添加することにより、ポリエステルイミド系樹脂ワニスを調製した。チオール化合物を添加しなかった場合(No.1、2)及び調製したポリエステルイミド系樹脂ワニス(No.3〜6)を直径1.008mmの銅線に塗布し、400℃で焼付けることにより、仕上げ径1.080mm(絶縁被膜厚み0.036mm)の絶縁電線を製造した。
製造した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、耐摩耗性、絶縁破壊電圧、可とう性、ヒートショック試験、軟化温度を測定した。結果を表1に示す。
尚、表1に示すチオール化合物は、以下のとおりである。
・2級チオールa:昭和電工社製の「カレンズMT NR1」(これは、「1,3,5−トリス(メルカプトブチルオキシエチル)1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン」である)
・2級チオールb:昭和電工社製の「カレンズMT BD1」(これは「1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン」である)
・2級チオールc:昭和電工社製の「カレンズMT PE1」(これは「ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)」である)
・1級チオール :3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール
Figure 2010135178
No.1、2とNo.3〜5との比較から、第2級炭素に結合しているメルカプト基を複数有する多官能チオール化合物を添加することにより、耐摩耗性、絶縁破壊電圧、可とう性、ヒートショック試験後の可とう性のいずれもが向上していることがわかる。
No.6はメルカプト基を1つしか有しないチオール化合物を含有させた場合である。チオール化合物を添加していないNo.1と比べて、耐摩耗性、絶縁破壊電圧、可とう性、ヒートショック試験後の可とう性のいずれもが向上しているが、耐摩耗性の向上の程度は、No.3〜5よりも劣っていた。従って、第2級炭素に結合しているメルカプト基を複数個有する多官能チオール化合物の添加が効果的であることがわかる。
本発明のポリエステルイミド樹脂ワニスは、耐摩耗性、耐熱性、可とう性に優れ、しかも高温、長時間保持した後も優れた可とう性を保持しているので、過酷な巻き線加工、ワニス含浸処理が行われるマグネットワイヤ、例えば、小型化、省電力化の要請に応えるモータの巻線やトランスのコイル用絶縁電線として有用である。

Claims (5)

  1. ポリエステルイミド系樹脂、および第2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上有する多官能チオール化合物を含有するポリエステルイミド系樹脂ワニス。
  2. 前記多官能チオール化合物は、下記一般式(1)〜(5)のいずれかで表わされる化合物である請求項1に記載のポリエステルイミド系樹脂ワニス。
    Figure 2010135178

    Figure 2010135178

    Figure 2010135178

    Figure 2010135178

    Figure 2010135178

    式中、Lは、下記一般式で表わされるメルカプト基を示し、
    Figure 2010135178

    R’は炭素数1〜3のアルキル基であり、mは0又は1である。
  3. 多官能チオール化合物は、ポリエステルイミド系樹脂100質量部あたり0.5〜25質量部含有されている請求項1又は2に記載のポリエステルイミド系樹脂ワニス。
  4. 前記ポリエステルイミド系樹脂には、硬化剤が含まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルイミド系樹脂ワニス。
  5. 導体;請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルイミド樹脂ワニスを塗布、焼付てなるプライマー層;及び該プライマー層上に形成した少なくとも1層の上塗り層を有する絶縁電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014024767A1 (ja) * 2012-08-09 2014-02-13 住友電気工業株式会社 絶縁電線及びそれを用いた電機コイル

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