JP2009149757A - ポリアミドイミドおよびその製造方法、ポリアミドイミド系絶縁塗料、ならびに絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トリメリット酸を含有する酸成分と芳香族ジイソシアネートを含有するイソシアネート成分とを反応させるポリアミドイミドの製造方法であって、前記酸成分と前記イソシアネート成分とをカプロラクタム化合物の存在下で反応させることを特徴とするポリアミドイミドの製造方法、前記製造方法によって得られ、重量平均分子量800〜20000を有するポリアミドイミド、前記ポリアミドイミドを40質量%以上含有するポリアミドイミド系絶縁塗料、前記ポリアミドイミド系絶縁塗料を導体に塗布し、焼付けてなる絶縁電線。
【選択図】なし
Description
ブロックイソシアネートに用いられるイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、MDI、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器および窒素吹き込み管を取り付けたフラスコ内に窒素吹き込み管から毎分150mLの窒素ガスを流しながら、酸成分としてトリメリット酸無水物1022.0gおよびトリメリット酸11.3gと、イソシアネート成分としてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート1354.1gと、カプロラクタム化合物としてε−カプロラクタム366.6gとを仕込んだ。
実施例1と同様にしてポリアミドイミド系絶縁塗料を調製した後、この絶縁塗料に、ブロックイソシアネート(バイエル社製、商品名:デスモジュールCTステーブル)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた濃度が40w/v%であるN−メチル−2−ピロリドン溶液25.78gを添加し、70℃に昇温し、同温度で2時間攪拌することにより、ブロックイソシアネートが添加されたポリアミドイミド系絶縁塗料を得た。得られたポリアミドイミド系絶縁塗料に含まれているポリアミドイミドのガラス転移点は312℃であった。該絶縁塗料におけるポリアミドイミドの濃度は45質量%、該絶縁塗料の30℃における粘度(B型粘度計、ロータNo.3で測定)は3.40Pa・sであり、30℃における還元粘度は0.12dL/gであった。
実施例2において、ブロックイソシアネート(バイエル社製、商品名:デスモジュールCTステーブル)の質量を4倍に増量したこと以外は、実施例2と同様にして、ポリアミドイミド系絶縁塗料を得た。得られた絶縁塗料におけるポリアミドイミドの濃度は45質量%、該絶縁塗料の30℃における粘度(B型粘度計、ロータNo.3で測定)は3.4Pa・sであり、30℃における還元粘度は0.12dL/gであった。
実施例1において、ε−カプロラクタムを使用せず、その代わりにクレゾール110.3gを用い、N−メチル−2−ピロリドンの量を1383.3gから3114gに変更し、N,N−ジメチルホルムアミド922.2gの代わりにキシレン778.1gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリアミドイミド系塗料を得た。得られた絶縁塗料におけるポリアミドイミドの濃度は35質量%、該絶縁塗料の30℃における粘度(B型粘度計、ロータNo.3で測定)は2Pa・sであり、30℃における還元粘度は0.3dL/gであった。
次に、表1に示す線速にて、各実施例または比較例1で得られたポリアミドイミド系塗料を直径1.0mmの銅線表面に常法によって塗布し、280℃で焼付けを行ない、表1に示す皮膜の厚さの絶縁皮膜を有する絶縁電線を作製した。
〔可撓性〕
長さが50cmの絶縁電線を30%伸張させた後、直径1mm(表1中の1d)または2mm(表1中の2d)の丸棒に20ターンで巻きつけた後、導体に達する亀裂の数をカウントすることにより、可撓性を評価した。
前記可撓性を調べた後の絶縁電線を240℃の温度に1時間加熱した後、導体に達する亀裂の数をカウントすることにより、耐熱衝撃性を評価した。
導体露出、皮膜浮きおよび亀裂について、JIS C3003「8.1.a)」に準じてそれぞれ2回ずつ測定し、その平均値を求めた。
JIS C3003「10.2b 2個より法」に準じて測定した。より具体的には、同一巻枠から長さが約50cmの絶縁電線5本を採り、その各々を2つに折り合わせ、0.0294Nの張力を加えながら、約12cmの長さの部分を50回撚り合わせた後、張力を取り去り、折り目部分を取り除いて2個よりの絶縁電線を作製した。この2個よりの絶縁電線の2本の導体間に50Hzまたは60Hzの交流電圧を500V/sで昇圧させながら印加し、絶縁皮膜が破壊されて短絡が生じたときの電圧(kV)を5本の絶縁電線について測定し、この5本の電線の短絡が生じたときの電圧の平均値を求めた。
同一巻枠から長さが約50cmの絶縁電線5本を採り、その各々を2つに折り合わせ、0.0294Nの張力を加えながら、約12cmの長さの部分を50回撚り合わせた後、張力を取り去り、折り目部分を取り除いて2個よりの絶縁電線を作製した。この2個よりの絶縁電線5本を270℃で168時間加熱した後、前記「絶縁破壊電圧」と同様にして絶縁破壊電圧(BDV)を測定し、この5本の電線の短絡が生じたときの電圧の平均値を求めた。
同一巻枠から長さが約50cmの絶縁電線5本を採り、その各々を2つに折り合わせ、0.0294Nの張力を加えながら、約12cmの長さの部分を50回撚り合わせた後、張力を取り去り、折り目部分を取り除いて2個よりの絶縁電線を作製した。この2個よりの絶縁電線5本を水が注入されたステンレス鋼製の容器内に浸漬し、140℃で72時間加熱した後、前記「絶縁破壊電圧」と同様にして絶縁破壊電圧を測定し、この5本の電線の短絡が生じたときの電圧の平均値を求めた。
同一巻枠から長さが約50cmの絶縁電線5本を採り、JIS C3003「9」に準じて一方向式摩耗を測定し、5本の絶縁電線の一方向式摩耗の平均値を求めた。
絶縁皮膜の軟化点(℃)を、JIS C3003
「エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法」に記載の方法に準じた方法で軟化点を測定した。2本の電線について軟化点を測定し、その平均値を耐軟化性の指標とした。
絶縁電線の絶縁皮膜を導体から筒状に剥離し、その筒状の絶縁皮膜の破断時の伸びを引張り試験機で測定した。この絶縁皮膜の破断時の伸びを2本の電線について測定し、その平均値を皮膜伸びの指標とした。
Claims (10)
- トリメリット酸を含有する酸成分と芳香族ジイソシアネートを含有するイソシアネート成分とを反応させるポリアミドイミドの製造方法であって、前記酸成分と前記イソシアネート成分とをカプロラクタム化合物の存在下で反応させることを特徴とするポリアミドイミドの製造方法。
- カプロラクタム化合物が、ε−カプロラクタムである請求項1に記載のポリアミドイミドの製造方法。
- 芳香族ジイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1または2に記載のポリアミドイミドの製造方法。
- 酸成分が、さらに無水トリメリット酸を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドイミドの製造方法。
- 酸成分とイソシアネート成分とをカプロラクタム化合物の存在下で反応させた後、得られた反応溶液とブロックイソシアネートとを混合する請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドイミドの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られ、重量平均分子量8000〜20000を有するポリアミドイミド。
- 請求項6に記載のポリアミドイミドを40質量%以上含有してなるポリアミドイミド系絶縁塗料。
- 有機溶媒として、N−メチル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミドを含有してなる請求項7に記載のポリアミドイミド系絶縁塗料。
- N−メチル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルホルムアミドとの容量比(N−メチル−2−ピロリドン/N,N−ジメチルホルムアミド)が50/50〜70/30である請求項8に記載のポリアミドイミド系絶縁塗料。
- 請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミドイミド系絶縁塗料を直接または他の絶縁層を介して導体に塗布し、焼付けてなる絶縁電線。
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